(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】光学素子およびその製造方法、並びにその光学素子の駆動方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/137 20060101AFI20221005BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20221005BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G02F1/137 500
G02F1/1337
G02F1/01 A
(21)【出願番号】P 2017169872
(22)【出願日】2017-09-04
【審査請求日】2020-07-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・2017年日本液晶学会討論会講演予稿集(CD-ROM)、「色素ドープ液晶の電界アシスト光配向挙動」のプリントアウト (発行日 平成29年8月10日) ・2017年第78回応用物理学会秋季学術講演会[講演予稿集](DVD-ROM)、「電界アシストを利用した色素ドープ液晶の光分子再配向」のプリントアウト (発行日 平成29年8月25日)
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 厚
(72)【発明者】
【氏名】臼井 鴻志
(72)【発明者】
【氏名】片山 絵梨香
(72)【発明者】
【氏名】西山 伊佐
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-091759(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0109760(US,A1)
【文献】特表2004-504629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/137
G02F 1/13
G02F 1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を備える基板と、光応答性組成物とを有し、
前記光応答性組成物は、光応答性物質と、異方性分子と、を含有し、
前記電極は、前記光応答性組成物に対して、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定されており、
前記光応答性物質が配向するために必要な光強度の光を照射されることにより、前記光応答物質の長軸方向が光の振動方向に対し略平行に配向
し、
前記光応答性物質が、光化学反応を起こさない異方性の物質であ
る光学素子。
【請求項2】
第一の基板および第二の基板の間に、光応答性物質と、異方性分子と、を含有する光応答性組成物を有し、
第一の基板および第二の基板の少なくとも一方の基板は電極を有し、
前記電極は、前記光応答性組成物に対して、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定されており、
前記光応答性物質が配向するために必要な光強度の光を照射されることにより、前記光応答物質の長軸方向が光の振動方向に対し略平行に配向
し、
前記光応答性物質が、光化学反応を起こさない異方性の物質であ
る光学素子。
【請求項3】
前記光応答性組成物は、前記第一の基板面及び第二の基板面に対して略垂直に配向している請求項2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記光応答性組成物は、前記第一の基板側では該第一の基板面に対して略平行に配向し、前記第二の基板側では該第二の基板面に対して略垂直に配向している請求項2又は3に記載の光学素子。
【請求項5】
前記光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値が、21W/cm2以下である請求項1~
4のうちいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項6】
前記電極を備える基板に、前記光応答性組成物を接触させる工程と、前記電極が、前記光応答性組成物に対して、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定する工程と、を含む、請求項1~
5のうちいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
【請求項7】
前記第一の基板および第二の基板の間に、前記光応答性組成物を挟持させる工程と、前記電極が、前記光応答性組成物に対して、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定する工程と、を含む、請求項2~4のうちいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
【請求項8】
電極を備える基板と、光応答性組成物とを有する光学素子の駆動方法であって、
前記光応答性組成物は、光応答性物質と、異方性分子と、を含有し、
前記光応答性組成物に対して、前記電極により、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加する工程と、前記光応答性組成物に対して、前記光応答性物質を配向させるために必要な光強度の光を照射して、前記光応答物質の長軸方向を光の振動方向に対し略平行に配向させる工程と、を含
み、
前記光応答性物質が、光化学反応を起こさない異方性の物質である
、光学素子の駆動方法。
【請求項9】
第一の基板および第二の基板の間に、光応答性物質と、異方性分子と、を含有する光応答性組成物を有し、第一の基板および第二の基板の少なくとも一方の基板が電極を備える光学素子の駆動方法であって、
前記光応答性組成物に対して、前記電極により、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加する工程と、前記光応答性組成物に対して、前記光応答性物質を配向させるために必要な光強度の光を照射して、前記光応答物質の長軸方向を光の振動方向に対し略平行に配向させる工程と、を含
み、
前記光応答性物質が、光化学反応を起こさない異方性の物質である
、光学素子の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子およびその製造方法、並びにその光学素子の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶は、流動性と大きな屈折率異方性を兼ね備えた高機能材料であり、他の材料には見られない自己組織能と協同効果を示す特徴を有している。さらに、液晶は、基板表面処理や外場によって分子配列を自在に制御することができるという特徴を有している。例えば、基板の表面に、ポリイミドやシランカップリング剤に代表される配向膜を形成することにより、基板に対して平行あるいは垂直に液晶分子を並べることができる。また、外場に電界を用いた場合、電圧を印加することにより、液晶分子の配向制御が可能である。この配向制御の方法は、現在の液晶ディスプレイの作動原理として広く用いられている。色素ドープ液晶に光照射すると、閾値電圧は、光の強さに応じて、照射なしで測定した値に対して減少または増加することも知られている(非特許文献1)。
【0003】
近年、液晶の配向技術の中でも、従来の配向膜や、電界印加に替わる新たな技術として、光を用いる方法が注目されている。光はクリーンなエネルギーであり、応答が速く、複雑な配線等を設けることなく、遠隔操作ができることから、光を用いた液晶の配向に関する研究が盛んに行われている。
【0004】
光で液晶の配向を制御する方法の1つとしては、液晶に、光と強く相互作用する色素をドープする方法が挙げられる。このような液晶の配向を制御する方法としては、アゾベンゼンの光異性化に基づく光化学的制御方法(Weigert効果、以下、「光化学プロセス」とも言う。)が広く知られている。
【0005】
液晶の分子配向変化を光で誘起するには高強度光を必要とするが、少量の色素を液晶に添加することで光応答強度が低下する(非特許文献2)。この色素ドープ液晶では、直線偏光を照射すると、励起した色素と光電場の相互作用に基づき発生するトルクを駆動力として、偏光方向と平行な分子配向変化および屈折率の空間変調が誘起できる(特許文献1、非特許文献3~5)。これまでに多様な色素分子が検討されてきたものの依然として高強度光が必要であり、さらなる効率化が必要不可欠である。最近われわれは、液晶配向を規定する基板表面の効果に着目した。液晶分子の初期配向をホメオトロピック配向に規定する基板表面のシランカップリング剤濃度を減少させることで、分子配向変化に必要な光強度が低減することを見出した(非特許文献6)。
【0006】
光化学プロセスは、極めて微弱な光に対しても応答を示す線形光学効果を利用した方法であるのに対して、光物理プロセスは、非線形光学効果を利用した方法であるという点において、光化学プロセスと光物理プロセスとは大きく異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【文献】L. Lucchetti, L. Catani, and F. Simoni J. Appl. Phys. 115, 203111 (2014).
【文献】I. Janossy, and A. D. Lloyd Mol. Cryst. Liq. Cryst. 203, 77-84 (1991).
【文献】L. Marrucci Liq. Cryst. Today 11, 1-28 (2002).
【文献】Y. Aihara, M. Kinoshita, J. Wang, J. Mamiya, A. Priimagi, and A. Shishido Adv. Opt. Mater. 1, 787-791 (2013).
【文献】J. Wang, Y. Aihara, M. Kinoshita, J. Mamiya, A. Priimagi, and A. Shishido Sci. Rep. 5, 9890 (2015).
【文献】K. Usui, E. Katayama, J. Wang, K. Hisano, N. Akamatsu, and A. Shishido Polym. J. 49, 209-214 (2017).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、光物理プロセスは、液晶が応答(配向)する光強度の閾値が極めて高い点が問題であった。非線形光学効果を利用した光物理プロセスによって、液晶の配向変化を、より低い光強度で誘起することができれば、新たな原理に基づく小型デバイスの製造が実現可能となる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を低減できる光学素子およびその光学素子の製造方法、並びにその光学素子の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、光応答性物質と、異方性分子とを含有する光応答性組成物を用いて、光応答性組成物に対して、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加することにより、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を低減でき、より小さな光強度の光の照射で、光応答性組成物の配向を変化させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
【0013】
[1]電極を備える基板と、光応答性組成物とを有し、
前記光応答性組成物は、光応答性物質と、異方性分子と、を含有し、
前記電極は、前記光応答性組成物に対して、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定されており、
前記光応答性物質が配向するために必要な光強度の光を照射されることにより、前記光応答性組成物の配向が変化する光学素子。
【0014】
[2]第一の基板および第二の基板の間に、光応答性物質と、異方性分子と、を含有する光応答性組成物を有し、
第一の基板および第二の基板の少なくとも一方の基板は電極を有し、
前記電極は、前記光応答性組成物に対して、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定されており、
前記光応答性物質が配向するために必要な光強度の光を照射されることにより、前記光応答性組成物の配向が変化する光学素子。
【0015】
[3]前記光応答性組成物は、前記第一の基板面及び第二の基板面に対して略垂直に配向している前記[2]に記載の光学素子。
[4]前記光応答性組成物は、前記第一の基板側では該第一の基板面に対して略平行に配向し、前記第二の基板側では該第二の基板面に対して略垂直に配向している前記[2]又は[3]に記載の光学素子。
【0016】
[5]前記光応答性物質が、光化学反応を起こさない異方性の物質である前記[1]~[4]のうちいずれか1項に記載の光学素子。
[6]前記光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の光を照射されることにより、前記光応答性物質の長軸方向が光の振動方向に対し略平行に配向する前記[5]に記載の光学素子。
[7]前記光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値が、21W/cm2以下である前記[1]~[6]のうちいずれか1項に記載の光学素子。
【0017】
[8]前記電極を備える基板に、前記光応答性組成物を接触させる工程と、前記電極が、前記光応答性組成物に対して、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定する工程と、を含む、前記[1]~[7]のうちいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
[9]前記第一の基板および第二の基板の間に、前記光応答性組成物を挟持させる工程と、前記電極が、前記光応答性組成物に対して、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定する工程と、を含む、前記[2]~[4]のうちいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
【0018】
[10]電極を備える基板と、光応答性組成物とを有する光学素子の駆動方法であって、
前記光応答性組成物は、光応答性物質と、異方性分子と、を含有し、
前記光応答性組成物に対して、前記電極により、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加する工程と、前記光応答性組成物に対して、前記光応答性物質を配向させるために必要な光強度の光を照射して、前記光応答性組成物の配向を変化させる工程と、を含む、光学素子の駆動方法。
【0019】
[11]第一の基板および第二の基板の間に、光応答性物質と、異方性分子と、を含有する光応答性組成物を有し、第一の基板および第二の基板の少なくとも一方の基板が電極を備える光学素子の駆動方法であって、
前記光応答性組成物に対して、前記電極により、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加する工程と、前記光応答性組成物に対して、前記光応答性物質を配向させるために必要な光強度の光を照射して、前記光応答性組成物の配向を変化させる工程と、を含む、光学素子の駆動方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光応答性組成物に対して、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定されているので、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界が印加されることにより、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を低減でき、より小さな光強度の光の照射で、光応答性組成物の配向を変化させることのできる光学素子、およびその光学素子の製造方法を提供できる。
本発明によれば、光応答性組成物に対して、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加することにより、光応答性組成物の配向性変化させるために必要な光強度の閾値を低減でき、光応答性組成物に対してより小さな光強度の光を照射して、光応答性組成物の配向を変化させる、光学素子の駆動方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の光学素子の一の実施形態として、液晶表示素子10を示す概略断面図である。
【
図2】本発明の光学素子の他の実施形態として、液晶表示素子10’を示す概略断面図である。
【
図3】実施例及び比較例の光学素子の、光応答挙動を測定した結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の光学素子およびその製造方法の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、発明の趣旨をよりよく理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0023】
[光学素子]
本発明の一の態様の光学素子は、電極を備える基板と、光応答性組成物とを有し、
前記光応答性組成物は、光応答性物質と、異方性分子と、を含有し、
前記電極は、前記光応答性組成物に対して、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定されており、
前記光応答性物質が配向するために必要な光強度の光を照射されることにより、前記光応答性組成物の配向が変化するものである。
【0024】
また、本発明の他の態様の光学素子は、第一の基板および第二の基板の間に、光応答性物質と、異方性分子と、を含有する光応答性組成物を有し、
第一の基板および第二の基板の少なくとも一方の基板は電極を有し、
前記電極は、前記光応答性組成物に対して、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定されており、
前記光応答性物質が配向するために必要な光強度の光を照射されることにより、前記光応答性組成物の配向が変化するものである。
【0025】
本発明の光学素子では、光応答性物質と、異方性分子とを含有する光応答性組成物に、所定の閾値以上の光強度を有する光を照射することにより、光応答性組成物に含まれる光応答性物質が配向し、それに伴って、異方性分子の配向が変化し、結果、光応答性組成物の配向が変化する。本発明の光学素子によれば、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定されているので、それにより、光応答性組成物の配向性変化させるために必要な光強度の閾値を低くすることができる。
【0026】
異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界とは、光学的な機能が発現する程度の分子配向の変化を起こさない小さい電界をいう。具体的には、そのような電界を印加していても、後述するように強度分布がガウシアン型である所定の閾値以上の強度をもつ光を入射した場合、光強度に依存して液晶の分子配向が変化し屈折率勾配が形成されるような状態となっている程度の電圧のことを意味し、その範囲において、偏光顕微鏡で観察した際にわずかな透過光量の変化を伴うものであってもよい。
【0027】
異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界は、交流電界であっても直流電界であってもよいが、光学素子の信頼性、耐久性、安定性を考慮すると、直流電界より交流電界の方が好ましい。
【0028】
本発明の光学素子は、異方性分子の配向を光によって制御することで、光応答性組成物の屈折率が空間的・領域的に変化することによる光の散乱、屈折、回折、位相変調等の効果を利用して、光のオンオフあるいは調光等の光学的な機能を発現するものである。本発明の光学素子は、屈折率分布を利用する光学素子(例えば、レンズ、プリズム、ミラー、フィルター等) に特に制限なく適用可能であり、また、液晶表示素子、ホログラム用素子、位相差フィルム等の位相差素子、3Dプリンター用素子、ディスプレイ素子、フィルム、窓材やパーテーション等の建築部材、メガネや面などのウエアラブル部材等として使用することができる。
【0029】
ここでは、本発明の光学素子として、
図1に示す液晶表示素子10を例示する。
液晶表示素子10は、基板11と、電極18,19を備える基板12と、これらの基板の間に封入された、光応答性物質13および異方性分子14を含有する光応答性組成物15とから概略構成されており、電極18,19は、異方性分子14が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定されており、光応答性組成物15に対して、光応答性組成物15の配向を変化させるために必要な光強度の光を照射されることにより、光応答性組成物15の配向が変化する。
【0030】
本発明の光学素子が液晶表示素子10の場合、基板11,12としては、例えば、ガラス基板や、プラスチック基板などの柔軟性をもつ透明基板が用いられる。
【0031】
また、一方の基板11における、他方の基板12と対向する面11aには、シランカップリング剤により垂直配向処理が施された配向膜16が設けられている。同様に、他方の基板12における、一方の基板11と対向する面12aには、シランカップリング剤により垂直配向処理が施された配向膜17が設けられている。
【0032】
基板11は、櫛歯電極18及び櫛歯電極19を有している。基板11及び基板12の少なくとも一方の基板が電極を有し、電極は、前記光応答性組成物に対して、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定されていれば、限定されない。第一の基板と、第一の基板に対向して設けられた第二の基板と、を備え、第一の基板及び第二の基板が共に電極を備え、第一の基板と第二の基板との間に、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を発生させることができるようにしてもよい。
【0033】
また、本発明の光学素子としては、基板と、該基板上に形成された光応答性物質および異方性分子を含有する光応答性組成物層(光応答性組成物からなる層)とから概略構成される光学素子(すなわち、基板が1枚のみの素子)により構成されていてもよい。このような光学素子は、基板上に、光応答性物質および異方性分子を含有する塗液を塗布することにより得られる。
【0034】
光応答性物質としては、応答する光強度に閾値を有する化合物が用いられる。詳細には、光応答性物質としては、光に対して吸収に異方性がある分子構造を持つものであれば特に限定なく用いられる。光応答性物質としては、光化学反応を起こさないか、あるいは、光化学反応を起こしても、その反応が異方性物質の配向に及ぼす影響が小さいものが好ましく、例えば、可視光領域または可視光領域外のいずれの領域の光を照射した場合であっても、その光を吸収して、応答する光強度に閾値を有する化合物が用いられる。
【0035】
本発明において、光を照射すると、光応答性物質が応答するとは、光を照射すると、光応答性物質が配向することである。より詳細には、光応答性物質が配向するとは、光応答性物質が、その長軸方向が光の振動方向(偏光の電場ベクトル)に対し略平行に配向することである。略平行とは、平行方向から±10°以内の状態をいうものとし、平行方向から±5°以内の状態が好ましく、平行方向から±2.5°以内の状態がより好ましい。
【0036】
このような光応答性物質としては、例えば、可視光領域の光に応答するものとしては、二色性色素が用いられる。二色性色素としては、特に限定されるものではなく、アントラキノン系、メロシアニン系、スチリル系、アゾメチン系、キノン系、キノフタロン系、ペリレン系、インジゴ系、テトラジン系、スチルベン系、ベンジジン系色素等が挙げられる。また、オリゴチオフェンも好ましく用いられる。
【0037】
光応答性物質としては、例えば、下記一般式(I-1)
【0038】
【0039】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよく、nは、1~8を表す。)
で表されるオリゴチオフェン系の化合物が挙げられる。
【0040】
R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素原子数1~10のアルキル基(-CnH2n+1)、-OCnH2n+1、-N(CnH2n+1)2、-COOCnH2n+1、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表すものが好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基(-CnH2n+1)、-OCnH2n+1、-N(CnH2n+1)2、-COOCnH2n+1、を表すものがさらに好ましい。
nは、1~5が好ましく、1~3がより好ましい。
【0041】
前記一般式(I-1)は、下記一般式(I-2)
【0042】
【0043】
(式中、R1およびR2は、前記一般式(I-1)のR1およびR2と同じ意味を表す。)
で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(I-2)で表される化合物としては、具体的には、対称性を有する化合物として、下記式(I-3)
【0044】
【0045】
で表される化合物、下記一般式(I-4)
【0046】
【0047】
で表される化合物や、R1およびR2がそれぞれ、-C4H9、-OC4H9、-N(C4H9)2、-COOC4H9、-CNを表す化合物が挙げられる。
また、前記一般式(I-2)で表される化合物としては、非対称性を有する化合物として、R1が-C4H9、または、-N(C4H9)2、R2が-CN、または、-NO2を表す化合物が挙げられる。
また、前記一般式(I-1)は、下記式(I-5)
【0048】
【0049】
で表される化合物、および、下記式(I-6)
【0050】
【0051】
で表される無着色化した化合物も挙げられる。
オリゴチオフェン系の化合物としては、他には、下記一般式(I-7)
【0052】
【0053】
(式中、R1およびR2は、前記一般式(I-1)のR1およびR2と同じ意味を表し、nは、0または1を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(I-7)で表される化合物としては、下記式(I-8)
【0054】
【0055】
(式中、nは、0または1を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
また、光応答性物質としては、下記一般式(I-9)
【0056】
【0057】
(式中、R1およびR2は、前記一般式(I-1)のR1およびR2と同じ意味を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(I-9)で表される化合物としては、下記式(I-10)
【0058】
【0059】
で表される化合物が挙げられる。
また、光応答性物質としては、下記一般式(I-11)
【0060】
【0061】
(式中、A1およびA2は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、2,5-チオフェン基、ナフタレン-2,6-ジイル基を表し、R´、R´´は、それぞれ独立して、-CH=CH-基、-C≡C-基を表し、R1およびR2は前記一般式(I-1)のR1およびR2と同じ意味を表し、n1およびn2は、それぞれ独立して0~8を表し、n3およびn4は、それぞれ独立して0または1を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
n1およびn2は、0~6が好ましく、0~4がより好ましい。
前記一般式(I-11)で表される化合物としては、具体的には、下記式(I-12)から式(I-19)で表される化合物が挙げられる。
【0062】
【化12】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I-1)のR
1およびR
2と同じものを表す。)
【0063】
【化13】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I-1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0064】
【化14】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I-1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0065】
【化15】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I-1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0066】
【化16】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I-1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0067】
【化17】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I-1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0068】
【化18】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I-1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0069】
【化19】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I-1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0070】
また、光応答性物質としては、下記一般式(I-20)
【0071】
【0072】
(式中、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよく、
B1およびB2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)、置換基を有していてもよいフェニル基(この基中に存在する1個以上の-C=は-N=に置換されていてもよい。)、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基(この基中に存在する1個以上の-C-は-O-又は-S-に置換されていてもよい。)、および下記(a)、(b)、又は(c)のいずれかの基を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
【0073】
【化21】
(式中、R
5は、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
【0074】
で表されるクマリン系の化合物が挙げられる。
R3およびR4がアルキル基を表す場合、炭素原子数1~10のアルキル基が好ましく
、炭素原子数1~5のアルキル基がより好ましく、B1およびB2がアルキル基を表す場合、炭素原子数1~10のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基がより好ましい。
前記一般式(I-20)で表される化合物としては、下記式(I-22)から式(I-24)で表される化合物が挙げられる。
【0075】
【化22】
(式中、R
3およびR
4は、前記一般式(I-20)のR
3およびR
4と同じ意味を表す。)
【0076】
【化23】
(式中、R
3およびR
4は、前記一般式(I-20)のR
3およびR
4と同じ意味を表す。)
【0077】
【化24】
(式中、R
3およびR
4は、前記一般式(I-20)のR
3およびR
4と同じ意味を表す。)
【0078】
クマリン系の化合物としては、他には、下記一般式(I-25)
【0079】
【0080】
(式中、B1およびB2は、前記一般式(I-20)のB1およびB2と同じ意味を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
B1およびB2がアルキル基を表す場合、炭素原子数1~10のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基がより好ましい。
前記一般式(I-25)で表される化合物としては、下記式(I-26)から式(I-30)で表される化合物が挙げられる。
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
また、光応答性物質としては、下記一般式(I-31)
【0087】
【0088】
(式中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよく、
B3は水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)、置換基を有していてもよいフェニル基(この基中に存在する1個以上の-C=は-N=に置換されていてもよい。)、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基(この基中に存在する1個以上の-C-は-O-又は-S-に置換されていてもよい。)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
【0089】
R6、R7およびB3がそれぞれ独立してアルキル基を表す場合、炭素原子数1~10のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基がより好ましい。また、R6、R7およびB3がそれぞれ独立してアルケニル基を表す場合、炭素原子数2~10のアルケニル基が好ましく、炭素原子数2~5のアルケニル基がより好ましい。また、B3は、置換基を有していてもよいフェニル基が好ましく、該置換基としては、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基がより好ましい。
前記一般式(I-31)で表される化合物としては、下記式(I-32)
【0090】
【0091】
(式中、R6は、前記一般式(I-31)のR6と同じ意味を表す。)
で表される化合物、下記式(I-33)
【0092】
【0093】
(式中、R8およびR9は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
また、光応答性物質としては、下記一般式(I-34)
【0094】
【0095】
(式中、R10~R13は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
R10~R13は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基中のCH2基が-COO
-または-OCO-で置換されている炭素原子数1~10のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子、アルキル基中のCH2基が-COO-または-OCO-で置換されている炭素原子数1~5のアルキル基を表すことがより好ましい。
前記一般式(I-34)で表される化合物としては、下記式(I-35)
【0096】
【0097】
(式中、R14およびR15は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~10のアルキル基を表す。)
で表される化合物、下記式(I-36)
【0098】
【0099】
(式中、R14~R17は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~10のアルキル基を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
また、光応答性物質としては、下記一般式(I-37)
【0100】
【0101】
(式中、B4は、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)、置換基を有していてもよいフェニル基(この基中に存在する1個以上の-C=は-N=に置換されていてもよい。)、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基(この基中に存在する1個以上の-C-は-O-又は-S-に置換されていてもよい。)、NR18R19(R18およびR19は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、1,4-フェニレン基で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
一般式(I-37)中のR18およびR19としては、炭素原子数1~14のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~14のアルケニル基、フェニル基が好ましい。
前記一般式(I-37)で表される化合物としては、下記式(I-38)
【0102】
【0103】
(式中、R18およびR19は、前記一般式(I-37)のR18およびR19と同じ意味を表す。)
で表される化合物、下記式(I-39)
【0104】
【0105】
(式中、R20は、水素原子、または炭素原子数1~14のアルキル基を表す。)
で表される化合物、下記式(I-40)
【0106】
【0107】
(式中、R21は、水素原子、または炭素原子数1~14のアルキル基を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
【0108】
また、光応答性物質としては、下記一般式(I-41)
【0109】
【0110】
(式中、X1およびX2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子を表し、B5~B8は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)、置換基を有していてもよいフェニル基(この基中に存在する1個以上の-C=は-N=に置換されていてもよい。)、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基(この基中に存在する1個以上の-C-は-O-又は-S-に置換されていてもよい。)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよく、n6およびn7は、それぞれ独立して、1~14を表す。)
で表されるジオキサジン系の化合物が挙げられる。
B5~B8は、それぞれ独立して、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基が好ましく、該置換基としては、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基が好ましい。
前記一般式(I-41)で表される化合物としては、下記式(I-42)
【0111】
【0112】
で表される化合物、下記式(I-43)
【0113】
【0114】
で表される化合物が挙げられる。
【0115】
また、光応答性物質としては、下記一般式(I-44)
【0116】
【0117】
(式中、B9~B12は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)、置換基を有していてもよいフェニル基(この基中に存在する1個以上の-C=は-N=に置換されていてもよい。)、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基(この基中に存在する1個以上の-C-は-O-又は-S-に置換されていてもよい。)、NR18R19(R18およびR19は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、1,4-フェニレン基で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)を表し、
R22~R25 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表されるアントラキノン系の化合物が挙げられる。
【0118】
前記一般式(I-44)で表される化合物としては、下記式(I-45)
【0119】
【0120】
で表される化合物、下記式(I-46)
【0121】
【0122】
で表される化合物、下記式(I-47)
【0123】
【0124】
で表される化合物が挙げられる。
アントラキノン系の化合物としては、他には、下記一般式(I-48)
【0125】
【0126】
(式中、B9~B12は、それぞれ独立して、前記一般式(I-44)のB9~B12と同じ意味を表し、
R22、R23およびR26は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(I-48)で表される化合物としては、下記式(I-49)
【0127】
【0128】
で表される化合物が挙げられる。
さらに、光応答性物質としては、下記式(I-50)
【0129】
【0130】
(式中、R27は、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物、下記式(I-51)
【0131】
【0132】
(式中、R28~R30 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物、下記式(I-52)
【0133】
【0134】
で表される化合物、下記式(I-53)
【0135】
【0136】
で表される化合物、下記式(I-54)
【0137】
【0138】
(式中、R31およびR32は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物、下記式(I-55)
【0139】
【0140】
(式中、Y1およびY2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物、下記式(I-56)
【0141】
【0142】
(式中、R33およびR34は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物、下記式(I-57)
【0143】
【0144】
(式中、R35~R38は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~14のアルキル基、炭素原子数2~14のアルケニル基、炭素原子数2~14のアルキニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、シアノ基(-CN)、ニトロ基(-NO2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-OCO-、または-COO-で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
上記式(I-51)、式(I-54)、式(I-56)および式(I-57)において、R28~R38は、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数2~10のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基がより好ましい。
【0145】
上記式(I-56)で表される化合物として、具体的には、R33およびR34が、それぞれC2H5基であるものが挙げられる。
また、上記式(I-57)で表される化合物として、具体的には、R35~R38が、それぞれC2H5基であるものが挙げられる。
【0146】
これらの化合物の中でも、応答する光強度の閾値が低いことから、オリゴチオフェン系の化合物が好ましい。
また、光応答性物質として、共役系のある液晶化合物を用いることもできる。このような光応答性物質として機能し得る液晶化合物としては、棒状の液晶化合物が好ましい。
【0147】
異方性分子としては、液晶が用いられる。
液晶としては、下記一般式(LC)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0148】
【0149】
(一般式(LC)中、RLCは、炭素原子数1~15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-またはC≡C-で置換されてよく、該アルキル基中の1つまたは2つ以上の水素原子は、任意にハロゲン原子に置換されていてもよく、
ALC1およびALC2は、それぞれ独立して、
(a)トランス-1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基は、酸素原子または硫黄原子で置換されていてもよい。)、
(b)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個のCH基または隣接していない2個以上のCH基は、窒素原子で置換されていてもよい。)、および
(c)1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、またはクロマン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表すが、上記の基(a)、基(b)または基(c)に含まれる1つまたは2つ以上の水素原子は、それぞれ、F、Cl、CF3またはOCF3で置換されていてもよく、
ZLCは単結合、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-、-COO-またはOCO-を表し、
YLCは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、および炭素原子数1~15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-、-C≡C-、-CF2O-、-OCF2-で置換されてよく、該アルキル基中の1つまたは2つ以上の水素原子は、任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、
aは1~4の整数を表すが、aが2、3または4を表し、ALC1が複数存在する場合、複数存在するALC1は、同一であっても異なっていてもよく、ZLCが複数存在する場合、複数存在するZLCは、同一であっても異なっていてもよい。)
【0150】
前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC1)および一般式(LC2)
【0151】
【0152】
(式中、RLC11およびRLC21は、それぞれ独立して、炭素原子数1~15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-またはC≡C-で置換されていてもよく、該アルキル基中の1つまたは2つ以上の水素原子は、任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、ALC11、およびALC21は、それぞれ独立して下記の何れかの構造
【0153】
【0154】
(該構造中、シクロヘキシレン基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子で置換されていてもよく、1,4-フェニレン基中の1つまたは2つ以上のCH基は、窒素原子で置換されていてもよく、また、該構造中の1つまたは2つ以上の水素原子は、F、Cl、CF3またはOCF3で置換されていてもよい。)を表し、XLC11、XLC12、XLC21~XLC23は、それぞれ独立して、水素原子、Cl、F、CF3またはOCF3を表し、YLC11およびYLC21は、それぞれ独立して、水素原子、Cl、F、CN、CF3、OCH2F、OCHF2またはOCF3を表し、ZLC11およびZLC21は、それぞれ独立して、単結合、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-、-COO-またはOCO-を表し、mLC11およびmLC21は、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、ALC11、ALC21、ZLC11およびZLC21が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物群から選ばれる1種または2種以上の化合物であることが好ましい。
【0155】
RLC11およびRLC21は、それぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、
炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基がより好ましく、直鎖状であることがさらに好ましく、アルケニル基としては、下記構造を表すことが最も好ましい。
【0156】
【0157】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
ALC11およびALC21は、それぞれ独立して、下記の構造が好ましい。
【0158】
【0159】
YLC11およびYLC21は、それぞれ独立して、F、CN、CF3またはOCF3が好ましく、FまたはOCF3が好ましく、Fが特に好ましい。
ZLC11およびZLC21は、単結合、-CH2CH2-、-COO-、-OCO-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-またはCF2O-が好ましく、単結合、-CH2CH2-、-OCH2-、-OCF2-またはCF2O-が好ましく、単結合、-OCH2-またはCF2O-がより好ましい。
【0160】
mLC11およびmLC21は、1、2または3が好ましく、低温での保存安定性、応答速度を重視する場合には1または2が好ましく、ネマチック相上限温度の上限値を改善するには2または3が好ましい。
【0161】
前記一般式(LC1)は、下記一般式(LC1-a)から一般式(LC1-c)
【0162】
【0163】
(式中、RLC11、YLC11、XLC11およびXLC12は、それぞれ独立して、前記一般式(LC1)におけるRLC11、YLC11、XLC11およびXLC12と同じ意味を表し、ALC1a1、ALC1a2およびALC1b1は、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表し、XLC1b1、XLC1b2、XLC1c1~XLC1c4は、それぞれ独立して、水素原子、Cl、F、CF3またはOCF3を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物であることが好ましい。
RLC11は、それぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基がより好ましい。
XLC11~XLC1c4は、それぞれ独立して、水素原子またはFが好ましい。
YLC11は、それぞれ独立して、F、CF3またはOCF3が好ましい。
また、前記一般式(LC1)は、下記一般式(LC1-d)から一般式(LC1-m)
【0164】
【0165】
(式中、RLC11、YLC11、XLC11およびXLC12は、それぞれ独立して、前記一般式(LC1)におけるRLC11、YLC11、XLC11およびXLC12と同じ意味を表し、ALC1d1、ALC1f1、ALC1g1、ALC1j1、ALC1k1、ALC1k2、ALC1m1~ALC1m3は、1,4-フェニレン基、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表し、XLC1d1、XLC1d2、XLC1f1、XLC1f2、XLC1g1、XLC1g2、XLC1h1、XLC1h2、XLC1i1、XLC1i2、XLC1j1~XLC1j4、XLC1k1、XLC1k2、XLC1m1およびXLC1m2は、それぞれ独立して、水素原子、Cl、F、CF3またはOCF3を表し、ZLC1d1、ZLC1e1、ZLC1j1、ZLC1k1、ZLC1m1は、それぞれ独立して、単結合、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-、-COO-またはOCO-を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物であるのが好ましい。
RLC11は、それぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基がより好ましい。
XLC11~XLC1m2は、それぞれ独立して、水素原子またはFが好ましい。
YLC11は、それぞれ独立して、F、CF3またはOCF3が好ましい。
ZLC1d1~ZLC1m1は、それぞれ独立して、-CF2O-、-OCH2-が好ましい。
前記一般式(LC2)は、下記一般式(LC2-a)から一般式(LC2-g)
【0166】
【0167】
(式中、RLC21、YLC21、XLC21~XLC23は、それぞれ独立して、前記一般式(LC2)におけるRLC21、YLC21、XLC21~XLC23と同じ意味を表し、XLC2d1~XLC2d4、XLC2e1~XLC2e4、XLC2f1~XLC2f4およびXLC2g1~XLC2g4は、それぞれ独立して、水素原子、Cl、F、CF3またはOCF3を表し、ZLC2a1、ZLC2b1、ZLC2c1、ZLC2d1、ZLC2e1、ZLC2f1およびZLC2g1は、それぞれ独立して、単結合、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-、-COO-またはOCO-を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物であるのが好ましい。
【0168】
RLC21は、それぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基がより好ましい。
【0169】
XLC21~XLC2g4は、それぞれ独立して、水素原子またはFが好ましく、
YLC21は、それぞれ独立して、F、CF3またはOCF3が好ましい。
ZLC2a1~ZLC2g4は、それぞれ独立して、-CF2O-、-OCH2-が好ましい。
また、前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC3)~一般式(LC5)
【0170】
【0171】
(式中、RLC31、RLC32、RLC41、RLC42、RLC51およびRLC52は、それぞれ独立して、炭素原子数1~15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-またはC≡C-で置換されていてもよく、該アルキル基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、ALC31、ALC32、ALC41、ALC42、ALC51およびALC52は、それぞれ独立して、下記の何れかの構造
【0172】
【0173】
(該構造中シクロヘキシレン基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子で置換されていてもよく、1,4-フェニレン基中の1つまたは2つ以上のCH基は、窒素原子で置換されていてもよく、また、該構造中の1つまたは2つ以上の水素原子は、Cl、CF3またはOCF3で置換されていてもよい。)のいずれかを表し、ZLC31、ZLC32、ZLC41、ZLC42、ZLC51およびZLC51は、それぞれ独立して、単結合、-CH=CH-、-C≡C-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-COO-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-またはCF2O-を表し、Z5は、CH2基または酸素原子を表し、XLC41は、水素原子またはフッ素原子を表し、mLC31、mLC32、mLC41、mLC42、mLC51およびmLC52は、それぞれ独立して、0~3を表し、mLC31+mLC32、mLC41+mLC42およびmLC51+mLC52は、1、2または3であり、ALC31~ALC52、ZLC31~ZLC52が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物群から選ばれる1種または2種以上の化合物であることが好ましい。
RLC31~RLC52は、それぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましく、
【0174】
【0175】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
ALC31~ALC52は、それぞれ独立して、下記の構造が好ましく、
【0176】
【0177】
ZLC31~ZLC51は、それぞれ独立して、単結合、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、-CF2O-、-OCF2-またはOCH2-が好ましい。
前記一般式(LC3)は、下記一般式(LC3-a)および一般式(LC3-b)
【0178】
【0179】
(式中、RLC31、RLC32、ALC31およびZLC31は、それぞれ独立して、前記一般式(LC3)におけるRLC31、RLC32、ALC31およびZLC31と同じ意味を表し、XLC3b1~XLC3b6は、水素原子またはフッ素原子を表すが、XLC3b1およびXLC3b2またはXLC3b3およびXLC3b4のうちの少なくとも一方の組み合わせは、共にフッ素原子を表し、mLC3a1は、1、2または3であり、mLC3b1は、0または1を表し、ALC31およびZLC31が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物群から選ばれる1種または2種以上の化合物であることが好ましい。
【0180】
RLC31およびRLC32は、それぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基または炭素原子数2~7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
ALC31は、1,4-フェニレン基、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すことが好ましく、1,4-フェニレン基、トランス-1,4-シクロヘキシレン基を表すことがより好ましい。
ZLC31は、単結合、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
前記一般式(LC3-a)としては、下記一般式(LC3-a1)~一般式(LC3-a6)を表すことが好ましい。
【0181】
【0182】
(式中、RLC31およびRLC32は、それぞれ独立して、前記一般式(LC3)におけるRLC31およびRLC32と同じ意味を表す。)
RLC31およびRLC32は、それぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、RLC31が炭素原子数1~7のアルキル基を表し、RLC32が炭素原子数1~7のアルコキシ基を表すことがより好ましい。
前記一般式(LC3-b)としては、下記一般式(LC3-b1)~一般式(LC3-b12)を表すことが好ましく、下記一般式(LC3-b1)、下記一般式(LC3-b6)、下記一般式(LC3-b8)、下記一般式(LC3-b11)を表すことがより好ましく、下記一般式(LC3-b1)および一般式(LC3-b6)を表すことがさらに好ましく、
【0183】
【0184】
(式中、RLC31およびRLC32は、それぞれ独立して、前記一般式(LC3)におけるRLC31およびRLC32と同じ意味を表す。)
RLC31およびRLC32は、それぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、RLC31が炭素原子数2または3のアルキル基を表し、RLC32が炭素原子数2のアルキル基を表すことがより好ましい。
前記一般式(LC4)は下記一般式(LC4-a)から一般式(LC4-c)、前記一般式(LC5)は下記一般式(LC5-a)から一般式(LC5-c)
【0185】
【0186】
(式中、RLC41、RLC42およびXLC41は、それぞれ独立して、前記一般式(LC4)におけるRLC41、RLC42およびXLC41と同じ意味を表し、RLC51およびRLC52は、それぞれ独立して、前記一般式(LC5)におけるRLC51およびRLC52と同じ意味を表し、ZLC4a1、ZLC4b1、ZLC4c1、ZLC5a1、ZLC5b1およびZLC5c1は、それぞれ独立して、単結合、-CH=CH-、-C≡C-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-COO-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-またはCF2O-を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物であるのがより好ましい。
RLC41、RLC42、RLC51およびRLC52は、それぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基または炭素原子数2~7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
ZLC4a1~ZLC5c1は、それぞれ独立して、単結合、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC6)
【0187】
【0188】
(式中、RLC61およびRLC62は、それぞれ独立して、炭素原子数1~15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-またはC≡C-で置換されていてもよく、該アルキル基中の1つまたは2つ以上の水素原子は、任意にハロゲン置換されていてもよく、ALC61~ALC63はそれぞれ独立して下記
【0189】
【0190】
(該構造中、シクロヘキシレン基中の1つまたは2つ以上のCH2CH2基は、-CH=CH-、-CF2O-、-OCF2-で置換されていてもよく、1,4-フェニレン基中1つまたは2つ以上のCH基は、窒素原子で置換されていてもよい。)のいずれかを表し、ZLC61およびZLC62は、それぞれ独立して、単結合、-CH=CH-、-C≡C-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-COO-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-またはCF2O-を表し、miii1は0~3を表す。ただし、前記一般式(LC1)~一般式(LC5)で表される化合物を除く。)で表される化合物を1種または2種以上含有する液晶組成物が好ましい。
【0191】
RLC61およびRLC62は、それぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基が好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましく、
【0192】
【0193】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
【0194】
ALC61~ALC63は、それぞれ独立して、下記の構造が好ましく、
【0195】
【0196】
ZLC61およびZLC62は、それぞれ独立して、単結合、-CH2CH2-、-COO-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-またはCF2O-が好ましい。
前記一般式(LC6)は、下記一般式(LC6-a)から一般式(LC6-m)
【0197】
【0198】
(式中、RLC61およびRLC62は、それぞれ独立して、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基または炭素原子数2~7のアルケニルオキシ基を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物であることがより好ましい。
【0199】
また、液晶としては、棒状液晶(ネマチック液晶、スメクチック液晶)、円盤状(ディスコティック)液晶、屈曲型液晶(バナナ液晶)、これらにキラリティーが加わった液晶、のいずれであってもよい。
【0200】
液晶の形状(棒状か、円盤状か、屈曲型か)は、望ましい屈折率異方性を得るために適切に選択される。早い応答性が必要な場合は、液体に近い液晶であるネマチック液晶が好ましく、安定な配向性が必要な場合は、固体に近いスメクチック液晶を使用することが好ましい。
【0201】
液晶組成物としては、誘電率異方性(Δε)の値が正の液晶組成物であってもよく、誘電率異方性(Δε)の値が負の液晶組成物であってもよく、誘電率異方性(Δε)の値が正の液晶組成物は、前記一般式(LC1)又は一般式(LC2)で表される化合物の一種又は二種以上を含有することが好ましく、誘電率異方性(Δε)の値が負の液晶組成物は、前記下記一般式(LC3)~一般式(LC5)で表される化合物の一種又は二種以上を含有することが好ましい。
【0202】
キラルな液晶に特有な液晶相を利用することもでき、その場合には、液晶の一部あるいは全部がキラルなものを用いるか、あるいは、液晶とキラルな非液晶を混合すればよい。また、液晶としては、単量体、二量体、三量体以上の多量体(オリゴマー)、高分子(ポリマー)のいずれでもよい。早い応答性が必要な場合には単量体が好ましく、また、安定な配向性が必要な場合は、二量体、三量体以上の多量体(オリゴマー)、高分子(ポリマー)が好ましい。
【0203】
光応答性組成物における光応答性物質の割合は、モル比で、0.01mol%以上30mol%以下であることが好ましく、0.05mol%以上10mol%以下であることがより好ましい。
【0204】
光応答性組成物における光応答性物質の割合が上記範囲内であれば、光応答性組成物に、配向を変化させるために必要な光強度を有する光を照射することにより、光応答性物質の配向に伴って、光応答性組成物に含まれる異方性分子を任意の方向に容易に配向させることができる。
なお、ここで、光応答性物質と異方性分子を配向させる任意の方向とは、これらの物質(分子)の長軸方向が光の振動方向に対し平行となる方向である。
【0205】
光応答性組成物は、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を低減させるために、オリゴマーおよび/またはポリマーを含有することができる。
【0206】
この場合、オリゴマーおよび/またはポリマーを光応答組成物に混ぜてもよいし、重合性基を有する低分子化合物を混ぜてから重合させてもよい。
オリゴマーおよび/またはポリマーとしては、特にポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。重合度、あるいは液晶性の有無は、光応答性組成物への溶解性を考慮して決めればよい。
【0207】
重合性基を有する低分子化合物は液晶性があっても、液晶性がなくてもよいが、液晶性があることが好ましい。なお、液晶性を示すとは、メソゲンと呼ばれる剛直な部位を有し、配向性を示すことをいう。液晶性を示す重合性化合物としては、例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley-VCH社発行、1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編、1994年)、あるいは、特開平7-294735号公報、特開平8-3111号公報、特開平8-29618号公報、特開平11-80090号公報、特開平11-148079号公報、特開2000-178233号公報、特開2002-308831号公報、特開2002-145830号公報に記載されているような、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基等の構造が複数繋がったメソゲンと呼ばれる剛直な部位と、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、エポキシ基といった重合性官能基とを有する棒状重合性液晶化合物、あるいは、特開2004-2373号公報、特開2004-99446号公報に記載されているようなマレイミド基を有する棒状重合性液晶化合物、あるいは、特開2004-149522号公報に記載されているようなアリルエーテル基を有する棒状重号性液晶化合物、あるいは、例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley-VCH社発行、1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編、1994年)や、特開平07-146409号公報に記載されているディスコティック重合性化合物が挙げられる。
【0208】
光応答性組成物におけるオリゴマーおよび/またはポリマーの含有量の合計は、0.1mol%以上、15mol%以下であることが好ましく、2mol%以上、13mol%以下であることがより好ましく、5mol/Lmol%以上、11mol/L以下%以下であることがさらに好ましい。
光応答性組成物におけるオリゴマーおよび/またはポリマーの含有量が上記範囲内であれば、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を低減することができる。
【0209】
光応答性組成物にオリゴマーを添加する場合において、重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0210】
このような構成の光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値(最低値)は、照射する光強度をより小さくするためには、21W/cm2以下であることが好ましく、15W/cm2以下であることがより好ましく、10W/cm2以下であることがさらに好ましい。また、特定の光強度において配向するように制御するためには、必要とする光強度の閾値が特定の範囲となるように調節することが好ましい。
なお、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値とは、光応答性物質が配向し、それに伴って、異方性分子の配向を変化させ、結果、光応答性組成物の配向が変化するために必要な光強度の最低値のことである。
すなわち、本発明における光応答性組成物では、光照射により、光応答性物質が配向するのに伴って、異方性分子が配向する。
【0211】
また、本発明の光学素子における光応答性組成物を含有する層の厚さは、3μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。
光応答性組成物を含有する層の厚さが上記範囲内であれば、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を低くすることができる。
【0212】
本発明の光学素子は、光応答性組成物に光が照射されると、光応答性組成物に含まれる光応答性物質が、その長軸方向が光の振動方向に対し平行となるように配向し、それに伴って、異方性分子が、その長軸方向が光の振動方向に対し平行となるように配向するため、異方性分子(液晶)の複屈折を利用して光の透過光量を制御する液晶表示素子等に適用される。
【0213】
液晶表示素子としては、AM-LCD(アクティブマトリックス液晶表示素子)、TN(ツイステッド・ネマチック液晶表示素子)、STN-LCD(超ねじれネマチック液晶表示素子)、OCB-LCD、IPS-LCD(インプレーンスイッチング液晶表示素子)およびFFS(フリンジフィールドスイッチングモードの液晶表示素子)に有用であるが、アクティブマトリクスアドレス装置を有するAM-LCDに特に有用であり、透過型あるいは反射型の液晶表示素子に用いることができる。
【0214】
光学素子が液晶表示素子10の場合、液晶表示素子10に使用される液晶セルの2枚の基板はガラスまたはプラスチックのような柔軟性をもつ透明な材料を用いることができる。また、2枚の基板の一方はシリコン等の不透明な材料でもよい。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法または、染色法等によって作製することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作製方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱または光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作製することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0215】
また、前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させて、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる液晶層の厚さが3μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。また、2枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラストが良好になるように調整することもできる。さらに、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等からなる柱状スペーサー等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱し、シール剤を熱硬化させる。
【0216】
また、光学素子が液晶表示素子10であって、光応答性組成物が、異方性分子として誘電率異方性(Δε)の値が正の液晶組成物を含有するとき、第一の基板(
図1において、例えば、基板11)側では、第一の基板面(
図1において、基板11における基板12と対向する面11a)に対して略垂直に配向し、第二の基板(
図1において、例えば、基板12)側でも、第二の基板面(
図1において、基板12における基板11と対向する面12a)に対して略垂直に配向していることが好ましい。ここで、略垂直とは、垂直方向から±10°以内の状態をいうものとし、垂直方向から±5°以内の状態が好ましく、垂直方向から±2.5°以内の状態がより好ましい。
【0217】
櫛歯電極18及び櫛歯電極19に代えて、又は、櫛歯電極18及び櫛歯電極19に加えて、例えば、
図2に示す液晶表示素子10’のように、第一の基板11と配向膜16との間に電極層20を設け、電極層20に対して対向させて、第二の基板12と配向膜17との間に電極層21を設けて、電極層20及び電極層21が、第一の基板11及び第二の基板12に対して垂直な方向の電界であって、光応答性組成物に対して前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるような構成としてもよい。この他の構成は、
図1の液晶表示素子10と同様である。電極層20又は電極層21は透明電極層であることが好ましく、電極層20及び電極層21が、共に、透明電極層であってもよい。透明電極層としては、ITO電極の層であることが好ましい。
【0218】
図2に示す液晶表示素子10’において、光応答性組成物は、異方性分子として誘電率異方性(Δε)の値が負の液晶組成物を含有することが好ましく、第一の基板(
図2において、例えば、基板11)側では、第一の基板面(
図2において、基板11における基板12と対向する面11a)に対して略平行に配向し、第二の基板(
図2において、例えば、基板12)側では、第二の基板面(
図2において、基板12における基板11と対向する面12a)に対して略垂直に配向していてもよく、
第一の基板(
図2において、例えば、基板11)側では、第一の基板面(
図2において、基板11における基板12と対向する面11a)に対して略垂直に配向し、第二の基板(
図2において、例えば、基板12)側では、第二の基板面(
図2において、基板12における基板11と対向する面12a)に対して略平行に配向していてもよく、
第一の基板(
図2において、例えば、基板11)側では、第一の基板面(
図2において、基板11における基板12と対向する面11a)に対して略平行に配向し、第二の基板(
図2において、例えば、基板12)側でも、第二の基板面(
図2おいて、基板12における基板11と対向する面12a)に対して略平行に配向していてもよい。
【0219】
このように、第一の基板側と、第二の基板側とにおいて、光応答性組成物の配向する方向を異ならせることにより、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を低くすることができる。
【0220】
基板に対して平行又は垂直に電界を印加する方法としては、例えば、液晶ディスプレイ等に用いられている既知の方法を使用することができる。特に平行に電界を印加する場合は、
図1に示した電極構成だけでなく、電極を両基板に形成したり、FFSモードの電極構成を利用したりすることができ、電極の形状を内部の電界を均一にする、あるいは、有効に活用するように、高さや形状を調整することができる。基板に対して平行な電界は、光応答性組成物が占める空間において均一に平行にすることは難しく、望ましい効果を与えるだけの平行な電界の成分があることが重要である。
【0221】
また、電極は素子の全面に設けても良いし、望む特性に応じて、局所的に設ける、あるいは、パターンを形成して設けてもよい。
【0222】
[光学素子の製造方法]
本発明の光学素子の製造方法は、前記の本発明の光学素子を製造する方法であって、前記第一の基板および第二の基板の間に、前記光応答性組成物を挟持させる工程と、前記電極が、前記光応答性組成物に対して、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定する工程と、を含む方法である。
【0223】
光応答性物質と異方性分子としては、前記の本発明の光学素子に用いられるものと同様のものが用いられる。
【0224】
また、光応答性組成物には、前記の本発明の光学素子と同様に、オリゴマーおよび/またはポリマーをさらに含有させることができる。
【0225】
本発明の光学素子の製造方法では、まず、2枚の基板の間に光応答性組成物を挟持させる。
2枚の基板の間に光応答性組成物を挟持させる方法は、通常の真空注入法または滴下注入(ODF:One Drop Fill)法等を用いることができる。
【0226】
2枚の基板の間に光応答性組成物を挟持させた後、電極が、光応答性組成物に対して、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定する。
【0227】
また、光応答性組成物にオリゴマーが含まれる場合、光応答性組成物に照射した光により、そのオリゴマーを重合させてもよい。
【0228】
本発明の光学素子は、光応答性組成物に、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度を有する光を照射することにより、光応答性組成物の配向を変化させて、上述の、屈折率分布を利用する光学素子、液晶表示素子、ホログラム用素子、位相差フィルム等の位相差素子、3Dプリンター用素子等として使用するものである。本発明の光学素子は、あらかじめ、光応答性組成物に、異方性分子の配向を変化させるために必要な光強度を有する光を照射することにより、光応答性組成物を配向させてもよい。
【0229】
また、光応答性組成物に光を照射する場合、光応答性組成物に照射する光を、光応答性組成物を含有する層の法線方向に対して角度をつけて照射することが好ましく、その角度を、光応答性組成物を含有する層の法線方向に対して0度以上15度以下とすることがより好ましく、0度以上10度以下とすることがさらに好ましい。
【0230】
光応答性組成物に照射する光を、光応答性組成物を含有する層の法線方向に対して角度をつけて照射することにより、例えば、光照射前に、光応答性物質が、その長軸方向を光の振動方向に対し略垂直になるように配向している場合にも、光応答性物質の長軸方向に対して、斜め方向から光を照射することができる。これにより、効率的に、光応答性物質を、その長軸方向が光の振動方向に対し略平行になるように配向させることができる。さらに、光応答性組成物に光を照射する際、光応答性組成物を含有する層の法線方向に対する角度を10度以下とすることにより、より効率的に、光応答性物質を、その長軸方向が光の振動方向に対し略平行になるように配向させることができる。
【0231】
光応答性組成物に光を照射するときの温度は、光応答性組成物に含まれる異方性分子が液晶である場合、その液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15~35℃での温度で光を照射することが好ましい。
光応答性組成物に照射する光を発生させる光源としては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。
また、光応答性組成物に照射する光の強度は、光応答性組成物に含まれる光応答性物質が、その長軸方向を光の振動方向に対し略平行に配向して、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値(光強度の最低値)以上であり、21W/cm2以下であることが好ましく、15W/cm2以下であることがより好ましく、10W/cm2以下であることがさらに好ましい。
【0232】
また、光を照射する時間は、照射する光の強度により適宜選択されるが、0.1秒から3600秒が好ましく、0.5秒から600秒がより好ましく、1秒から600秒であってもよく、4秒から600秒であってもよく、4秒から120秒であってもよい。
【0233】
また、前記の光学素子が液晶表示素子10の場合、光応答性組成物を、第一の基板(
図1において、例えば、基板11)側では、第一の基板面(
図1において、基板11における基板12と対向する面11a)に対して略平行に配向させ、第二の基板(
図1において、例えば、基板12)側では、第二の基板面(
図1において、基板12における基板11と対向する面12a)に対して略垂直に配向させた後、光応答性組成物に配向を変化させるために必要な光強度を有する光を照射することが好ましい。
【0234】
このように、第一の基板側と、第二の基板側とにおいて、光応答性組成物の配向する方向を異ならせることにより、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を低くすることができる。
【0235】
本発明の光学素子の製造方法によれば、光応答性組成物に対して、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加できるように設定されているので、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界が印加されることにより、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を低減でき、より小さな光強度の光の照射で、光応答性組成物の配向を変化させることのできる光学素子を提供できる。
【0236】
[光学素子の駆動方法]
本発明の一の態様の光学素子の駆動方法は、電極を備える基板と、光応答性組成物とを有する光学素子の駆動方法であって、
前記光応答性組成物は、光応答性物質と、異方性分子と、を含有し、
前記光応答性組成物に対して、前記電極により、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加する工程と、前記光応答性組成物に対して、前記光応答性物質を配向させるために必要な光強度の光を照射して、前記光応答性組成物の配向を変化させる工程と、を含む。
【0237】
また、本発明の他の態様の光学素子の駆動方法は、第一の基板および第二の基板の間に、光応答性物質と、異方性分子と、を含有する光応答性組成物を有し、第一の基板および第二の基板の少なくとも一方の基板が電極を有する光学素子の駆動方法であって、
前記光応答性組成物に対して、前記電極により、前記異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加する工程と、前記光応答性組成物に対して、前記光応答性物質を配向させるために必要な光強度の光を照射して、前記光応答性組成物の配向を変化させる工程と、を含む。
【0238】
本発明の光学素子の駆動方法によれば、光応答性組成物に対して、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加することにより、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を低減でき、光応答性組成物に対してより小さな光強度の光の照射で、光応答性組成物の配向を変化させることができる。
【実施例】
【0239】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0240】
〔実施例1〕
下記式(II)
【0241】
【0242】
で表される液晶性化合物99.9mol%と、下記式(IV)で表される光応答性物質(オリゴチオフェンTR5、メルク社製)0.1mol%を混合して、組成物(101)を調製した。
【0243】
【0244】
次いで、シランカップリング剤(オクタデシルトリメトキシシランのエタノール溶液)により垂直配向処理を施したガラス基板と、シランカップリング剤により垂直配向処理を施した電極間距離1mmの櫛歯電極を有するガラス基板を、配向処理が施された面、及び、櫛歯電極を有する面が内側になるように貼り合わせて、厚さ(セルギャップ)100μmのガラスセルを作製した。
【0245】
次いで、このガラスセル内(2枚のガラス基板の間)に、この組成物(101)を封入し70℃に加熱後、室温(25℃)まで徐冷し、光学素子1を得た。
【0246】
光学素子1を偏光顕微鏡(商品名:Olympus BX50、オリンパス社製)で観察したところ、コノスコープ像においては十字のアイソジャイヤが、オルソスコープ像においては暗視野が確認できた。したがって、色素を含む高分子安定化液晶においては分子配向がガラス基板に対して垂直なホメオトロピック配向であることが分った。
【0247】
また、光学素子1の偏光吸収スペクトル測定を行い、ホメオトロピックセルの紫外可視吸収スペクトルを測定した。光学素子1では、分子が垂直配向しているので、波長488nmの光に対して鉛直方向および水平方向の偏光に対して、色素分子に由来する0.15程度の吸光度を持つことが分かった。
【0248】
また、光応答挙動の測定を行った。
【0249】
この観察には、ポンプ光として、ビーム径2mm、波長488nmのAr+レーザーを用いた。そのポンプ光を、グラントムソンプリズムを用いて垂直Vertical偏光とし、焦点距離15cmのレンズで集光して、光学素子1に照射し、光学素子1を透過した光をスクリーンに投影し観察した。
【0250】
ここで、測定の原理を説明する。
【0251】
光応答性物質を含有する液晶に強度分布がガウシアン型である光を入射した場合、所定の閾値より小さい光強度で分子は配向変化せず、入射光がそのまま透過する。しかし、所定の閾値以上の強度をもつ光を照射すると、光強度に依存して液晶の分子配向が変化し、ガウシアン型の屈折率勾配が形成される。ここで、液晶はレンズとしての役割を果たすため、入射した光自体が作り出した屈折率勾配によって位相変調し、自己収束効果および自己位相変調効果が現れる。したがって、液晶を透過した光は、位相の異なる光が干渉し、このような干渉縞を示す。
【0252】
ここでは、サンプルを透過したポンプ光が形成する干渉縞を遠方のスクリーンに投影して観察を行なった。このように、干渉縞が現れるということは、液晶の分子配向が変化し、屈折率勾配が形成されているということを示している。また、干渉縞の本数が多いということは、大きな屈折率勾配が形成されているということを意味する。1つ目の干渉縞が出現する光強度を、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値とする。
【0253】
一方、液晶は印加された電界に対しても応答するが、その応答には閾値電圧を持つことが知られている。光応答性物質及び液晶化合物を含有する光応答性組成物について、電界による液晶分子の配向変化が起きない程度の電界を印加した状態で、光を入射し、干渉縞の観察を行うと、電界を印加しない場合に比べて、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を低下させることができることがわかった。また、電界の印加によって若干の液晶分子の配向変化が起きている場合でも、光照射によって干渉縞が発現し、屈折率勾配が形成されていることがわかった。印加する電界が大きすぎると、電界によって液晶分子は一定方向に配向してしまい、光を入射しても屈折率勾配は形成されなくなり、干渉縞は観察されなくなった。
【0254】
また、光学素子1について、13.0Vの直流電圧を電極間距離1mmの櫛歯電極間に印加しながら、電場が印加されている領域について、ビームプロファイラーを用いて、1つ目の干渉縞が出現する光強度、すなわち、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を測定したところ、5.1W/cm
2であり、下記比較例1の結果に比べて5分の一近くまで大きく低下することが分った(
図3)。13V超える電圧を印加すると、電界による液晶分子の強い配向がおこり、光を入射しても干渉縞は現れなかった。
【0255】
〔比較例1〕
電界を印加しないこと以外は、実施例1と同様にして、光学素子1を用いて、1つ目の干渉縞が出現する光強度、すなわち、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を測定したところ、23.3W/cm
2と、高い値であった(
図3)。
【0256】
〔実施例2~5〕
実施例1と同様な系で、光学素子1に印加した電圧を変えて、1つ目の干渉縞が出現する光強度、すなわち、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を測定したところ、電圧と閾値の関係は表1のようになり、電圧印加による光強度の閾値低下効果がみられた。実施例1~5、比較例1の光応答挙動測定の結果のグラフを、まとめて、
図3に示した。
【0257】
【0258】
〔実施例6〕
実施例1と同様な系で、プラスマイナス10V、矩形波、30Hzの交流電圧を印加したところ、1つ目の干渉縞が出現する光強度、すなわち、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値は9.0W/cm2と、低い値であった。
【0259】
〔実施例7〕
同じ光学素子1について、最初に電界を印加しない状態(0V)で比較例1の光強度の閾値を測定し、次に、実施例5(3.5V)、実施例4(5.2V)、実施例3(9.0V)、実施例2(11.0V)、実施例1(13.0V)の光強度の閾値を測定した後に、再び、電界を印加しない状態(0V)で光強度の閾値を測定したところ、20.4W/cm2であり、電界の印加を一度行うと,その後電界を印加しなくても、最初の状態よりも、閾値が低下することが観測された。
【0260】
実施例1~6では、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を発生させながら、所定の閾値以上の光強度を有する光を照射することにより、光応答性組成物の配向を変化させているが、実施例7では、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を発生させ、その電界の発生を停止してから光を照射することにより、光応答性組成物の配向を変化させている。すなわち、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加する工程と、光応答性組成物に対して、前記光応答性物質を配向させるために必要な光強度の光を照射して、前記光応答性組成物の配向を変化させる工程は、必ずしも、同時である必要はないことを示している。
【0261】
〔実施例8〕
下記組成の、誘電率異方性(Δε)の値が正の液晶組成物(LC-7)
【0262】
【0263】
を調製し、実施例1で使用した液晶性化合物(II)に変えて、この液晶組成物(LC-7)を用いた以外は実施例1と同様にして、組成物(102)を調製した。
【0264】
実施例1と同様にしてガラスセルを作製し、このガラスセル内(2枚のガラス基板の間)に、この組成物(102)を封入した以外は実施例1と同様にして、実施例8の光学素子2を得た。
【0265】
光学素子2を、実施例1と同様にして偏光顕微鏡で観察したところ、コノスコープ像においては十字のアイソジャイヤが、オルソスコープ像においては暗視野が確認できた。
【0266】
また、光学素子2について、プラスマイナス8V、矩形波、30Hzの交流電圧を電極間距離1mmの櫛歯電極間に印加しながら、電場が印加されている領域について、ビームプロファイラーを用いて、1つ目の干渉縞が出現する光強度を測定し、光学素子2の光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を詳細に調べたところ、9.0W/cm2と低い値であった。
【0267】
以上の結果から、一対の基板の間に、光応答性物質と、異方性分子を含有する組成物が挿入された光学素子1~8に、異方性分子が実質的に分子配向変化を起こさない程度の電界を印加すると、光学素子1に電界を印加しないときと比較して、光応答性組成物の配向を変化させるために必要な光強度の閾値を低下させることができた。
【産業上の利用可能性】
【0268】
本発明は、例えば、液晶表示素子およびその製造方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0269】
10,10’・・・液晶表示素子、11,12・・・基板、13・・・光応答性物質、14・・・異方性分子、15・・・光応答性組成物、16・・・配向膜、17・・・配向膜、18,19,20,21・・・電極。