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特許7153142レシピ情報提示システム、レシピエラー推定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】レシピ情報提示システム、レシピエラー推定システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
H01L21/66 Z
H01L21/66 J
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021543913
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(86)【国際出願番号】 JP2019035140
(87)【国際公開番号】W WO2021044611
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 功一
(72)【発明者】
【氏名】高野 正幹
(72)【発明者】
【氏名】植田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】石川 昌義
(72)【発明者】
【氏名】吉田 泰浩
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/159190(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/179890(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/013170(WO,A1)
【文献】特開平7-27707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体検査装置が実施する検査動作を規定するレシピまたは当該レシピに関する情報を提示するシステムであって、
前記システムは、前記半導体検査装置において生じたエラーの原因となった前記レシピを推定するコンピュータシステムを備え、
前記コンピュータシステムは、前記半導体検査装置が前記検査動作を実施する際に用いた前記レシピと、そのレシピに起因して生じた前記エラーとの間の対応関係を機械学習によって学習する学習器を備え、
前記コンピュータシステムは、前記学習器が前記機械学習を完了した後、新たな前記レシピを前記学習器に対して投入することにより、前記半導体検査装置が前記新たなレシピを用いたとき前記エラーが発生するか否かについての推定結果を前記学習器の出力として取得し、
前記コンピュータシステムは、前記新たなレシピによって前記エラーが生じる旨の推定結果を前記学習器から取得した場合は、前記エラーが生じない旨の推定結果が得られるまで、前記新たなレシピを修正して前記学習器に対して再投入することを繰り返し、
前記コンピュータシステムは、前記繰り返しによって得られた前記レシピまたは当該レシピに関する情報を、前記半導体検査装置が用いるべきものとして提示する
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記レシピは、前記検査動作を規定する1以上のレシピパラメータを記述しており、
前記学習器は、前記エラーが発生したとき前記半導体検査装置が用いていた前記レシピパラメータの組み合わせと、前記エラーの内容を記述したエラーパラメータとの間の対応関係を学習し、
前記コンピュータシステムは、前記新たなレシピが記述している前記レシピパラメータを前記学習器に対して投入することにより、前記レシピパラメータに対応する前記エラーパラメータを、前記推定結果として取得する
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記レシピは、前記検査動作を規定する1以上のレシピパラメータを記述しており、
前記コンピュータシステムは、前記繰り返しを実施することにより、前記エラーが生じる前記レシピに対する修正提案を提示するレシピ修正提案部を備え、
前記レシピ修正提案部は、前記修正提案として、前記半導体検査装置が用いるべき前記レシピパラメータを修正候補パラメータとして提示するとともに、前記修正候補パラメータの修正量を提示する
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記学習器はさらに、前記エラーに対する前記レシピパラメータの寄与度を計算する解析器を備え、
前記レシピ修正提案部は、前記寄与度にしたがって、前記レシピパラメータのなかから前記修正候補パラメータを特定する
ことを特徴とする請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記コンピュータシステムはさらに、前記修正量を計算する修正量計算部を備え、
前記修正量計算部は、前記エラーが生じなかった過去の正常レシピにおける正常レシピパラメータの値分布または統計値を取得し、
前記修正量計算部は、前記修正候補パラメータと、前記正常レシピ内において前記修正候補パラメータに対応する前記正常レシピパラメータの前記値分布または統計値との間の差分にしたがって、前記修正量を算出する
ことを特徴とする請求項3記載のシステム。
【請求項6】
前記コンピュータシステムは、前記半導体検査装置の状態を表す状態パラメータを記述した装置データを取得し、
前記学習器は、前記レシピ、前記状態パラメータ、および前記エラーの内容を記述したエラーパラメータの間の対応関係を、前記機械学習によって学習し、
前記コンピュータシステムは、前記学習器が前記機械学習を完了した後、前記新たなレシピとともに前記状態パラメータを前記学習器に対して投入することにより、前記半導体検査装置が前記新たなレシピを用いかつ前記半導体検査装置が前記状態パラメータによって表される状態のとき前記エラーが発生するか否かについての推定結果を、前記学習器の出力として取得する
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記半導体検査装置は、第1検査装置と第2検査装置とを含み、
前記コンピュータシステムは、前記状態パラメータとして、前記第1検査装置の状態を表す第1装置パラメータと、前記第2検査装置の状態を表す第2装置パラメータとを取得し
前記学習器は、前記レシピ、前記第1装置パラメータ、前記第2装置パラメータ、および前記エラーの間の対応関係を前記機械学習によって学習し、
前記学習器は、前記第1装置パラメータと前記第2装置パラメータとの間の差分にしたがって、前記第1装置パラメータと前記第2装置パラメータのうち少なくともいずれかに起因して前記エラーが生じたか否かを推定する
ことを特徴とする請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記学習器は、前記機械学習によって学習した前記対応関係の時系列履歴において、同じレシピまたは類似するレシピ群を用いることによって前記エラーが生じた時点と生じなかった時点とをそれぞれ特定することにより、前記半導体検査装置の検査対象の状態に起因して前記エラーが生じたか否かを推定する
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記半導体検査装置は、第1検査装置と第2検査装置とを含み、
前記学習器は、同じレシピまたは類似するレシピ群を用いることによって前記第1検査装置と前記第2検査装置それぞれにおいて前記エラーが生じたか否かにしたがって、前記レシピに起因して前記エラーが生じたか否かを推定する
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記コンピュータシステムはさらに、前記機械学習が完了した後において前記学習器に前記機械学習を再実施させる再学習実施部を備え、
前記再学習実施部は、前記機械学習が完了した後において、新たな前記レシピと新たな前記エラーとの間の新たな対応関係を取得し、その新たな対応関係を前記学習器に対して入力することにより、前記学習器に前記機械学習を再実施させ、
前記再学習実施部は、前記機械学習の結果を記述した学習データモデルと、前記再実施の結果を記述した再学習データモデルとの間の差分が判定閾値以上である場合は、前記再学習データモデルを前記学習データモデルと置き換える
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記コンピュータシステムはさらに、前記半導体検査装置において前記エラーが生じたときにおける前記半導体検査装置の状態を表すパラメータを、前記エラーの内容とともに提示する、ユーザインターフェースを備える
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記装置データは、前記状態パラメータとして、
前記半導体検査装置を規定仕様にしたがって動作させるための動作補正パラメータを記述した装置固有パラメータ、
前記半導体検査装置の機差を補正するための動作補正パラメータを記述した装置機差補正パラメータ、
前記半導体検査装置による観察条件を記述した観察条件パラメータ、
のうち少なくともいずれかを記述している
ことを特徴とする請求項6記載のシステム。
【請求項13】
前記レシピは、前記検査動作を規定するパラメータとして、
前記半導体検査装置が検査する半導体ウエハ上の座標マップ、
前記半導体ウエハの座標系と前記半導体検査装置の座標系を揃えるために用いるアライメントパラメータ、
前記半導体検査装置が検査する位置を前記半導体ウエハ上における検査位置に合わせるために用いるアドレシングパラメータ、
前記検査位置において前記半導体ウエハ上に形成されているパターンのうち長さを測定すべき部位を指定するために用いる測長パラメータ、
のうち少なくともいずれかを記述している
ことを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項14】
前記エラーパラメータは、前記エラーの内容とともに、
前記半導体検査装置が検査する半導体ウエハ上に形成されているパターンの長さを特定した結果を記述した測長結果、
前記半導体検査装置が前記半導体ウエハを観察することにより取得した観察画像、
前記半導体検査装置の動作ログ、
のうち少なくともいずれかを記述している
ことを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項15】
前記コンピュータシステムはさらに、前記半導体検査装置において前記エラーの内容を、前記エラーの時系列のエラー状況とともに提示する、ユーザインターフェースを備える
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項16】
前記コンピュータシステムはさらに、前記半導体検査装置において前記レシピの内容を、前記レシピを実行した時の実行結果とともに提示する、ユーザインターフェースを備える
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項17】
前記コンピュータシステムはさらに、前記半導体検査装置において前記レシピを修正した結果を提示して、修正レシピの効果を確認できる、ユーザインターフェースを備える
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項18】
前記コンピュータシステムはさらに、前記レシピまたは前記レシピに関する情報を前記ユーザインターフェースに提示する
ことを特徴とする請求項11記載のシステム。
【請求項19】
半導体検査装置が実施する検査動作を規定するレシピのうち前記半導体検査装置において生じたエラーの原因となったものを推定するシステムであって、
前記システムは、前記エラーの原因となった前記レシピを推定するコンピュータシステムを備え、
前記コンピュータシステムは、前記半導体検査装置が前記検査動作を実施する際に用いた前記レシピと、そのレシピに起因して生じた前記エラーとの間の対応関係を機械学習によって学習する学習器を備え、
前記コンピュータシステムは、前記学習器が前記機械学習を完了した後、新たな前記レシピを前記学習器に対して投入することにより、前記半導体検査装置が前記新たなレシピを用いたとき前記エラーが発生するか否かについての推定結果を前記学習器の出力として取得し、当該推定結果に基づいて前記エラーの原因となったものを推定する
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体検査装置のレシピの修正情報を提示するシステム、レシピエラーを推定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体計測装置や半導体検査装置は、レシピと呼ばれる設定パラメータにしたがって、計測動作や検査動作を実施する。レシピパラメータは多くの項目を含んでおり、計測・検査対象の属性や装置の特性などに応じてエンジニアがマニュアル作業によって各項目を最適化するのが一般的である。したがって例えば経時変化によって装置の特性が変わった場合などにおいては、レシピの内容が実際の計測・検査対象や装置と合致しなくなっているので、計測動作や検査動作においてエラーが生じる可能性がある。このようなエラーは、レシピの内容に起因するエラーであるのでレシピエラーと呼ばれる。
【0003】
従来、レシピエラーを低減するためには、サービスエンジニアが半導体工場にはいり、半導体計測装置や半導体検査装置から手動で装置内部データをダウンロードし、装置内部データをグラフ化して修正を要するレシピ項目を推定するのが一般的である。この修正作業においては、エンジニアの経験に基づき修正を要するレシピ項目を推定するので、エンジニアのスキルに大きく依存する。
【0004】
下記特許文献1は、レシピにおけるエラーの原因を修正する技術について記載している。同文献においては、エラーログ内の最も大きい正規化された数のエラーを有するレシピから、レシピエラーの原因を推定することとしている(同文献の請求項1参照)。
【0005】
下記特許文献2は、レシピ条件と動作時間との関係をニューラルネットワークに学習させることにより、レシピ検査時間を予測する技術について記載している(同文献の請求項1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4398441号
【文献】特許第5933985号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体の微細化・多様化にともない、半導体計測装置や半導体検査装置においては、レシピ作成の複雑さやレシピ数が増加することにより、レシピエラーによる装置の稼働率低下が課題となっている。さらに、中国に代表される急激な半導体工場の立ち上がりによるエンジニア不足により、レシピ修正を効率化する要望が強くなっている。しかしレシピ修正は、エンジニアのスキルにより解析時間やロバスト性が大きく左右されてしまう。
【0008】
上記特許文献1記載の技術においては、エラーログからエラーの原因を推定することとしているが、レシピをどのように修正すべきかについては、必ずしも具体的に考慮されていないと考えられる。同文献においてはエラーが発生しなかった正常レシピについての情報を利用していないので、エラー発生時と正常時を対比できないからである。
【0009】
上記特許文献2記載の技術においては、レシピと動作時間の関係をニューラルネットワークに学習させることとしているので、動作時間が異常である場合はそのレシピを特定できる可能性がある。しかし推定した動作時間がエラーであるか否かは提示されないので、同文献の技術によってレシピエラーの原因を推定するは困難であると考えられる。
【0010】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、レシピエラーの原因を推定するとともにそのレシピエラーの修正候補を提示することができるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るレシピ情報提示システムまたはレシピエラー推定システムは、レシピとそのレシピに起因するエラーとの間の対応関係を学習器に学習させておき、新たなレシピをいたときエラーが発生するか否かについての推定結果を前記学習器から取得する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るレシピ情報提示システムまたはレシピエラー推定システムによれば、レシピエラーの原因を推定するとともにそのレシピエラーの修正候補を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1に係るレシピ情報提示システム、レシピエラー推定システムの構成図である。
図2】半導体検査装置11が半導体ウエハを検査する工程を説明するフローチャートである。
図3A】コンピュータシステム100が半導体検査装置11から取得する3つのデータの内容を例示する図である。
図3B】学習器121が学習する入力と出力との間の対応関係を模式的に示す図である。
図4】学習器121の生成および解析器の解析についての手順を説明するフローチャートである。
図5】新たなレシピ112を半導体検査装置11が用いたときエラーが生じるか否かを学習器121によって推定する手順を模式的に示す図である。
図6A】解析器122がレシピパラメータを順位づけした結果を示す模式図である。
図6B】修正量計算部123がレシピパラメータの修正量を計算する手順を模式的に示す図である。
図7A】コンピュータシステム100がオペレータに対して提供するGUIの例である。
図7B】コンピュータシステム100がオペレータに対して提供するGUIの例である。
図7C】コンピュータシステム100がオペレータに対して提供するGUIの例である。
図8】機械学習部120が再学習を実施する手順を説明する動作フローである。
図9】実施形態4に係るレシピ情報提示システム、レシピエラー推定システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明する実施形態において、「半導体検査装置」とは、半導体ウエハ上に形成されたパターンの寸法を計測する装置、半導体ウエハ上に形成されたパターンの欠陥有無を検査する装置、或いはパターンが形成されていないベアウエハの欠陥有無を検査する装置等をいい、これら装置を複数組み合わせた複合装置をも含むものとする。
【0015】
また、以下に説明する実施形態において、「検査」とは、計測または検査の意味で用いるものとし、「検査動作」とは、計測動作または検査動作の意味で用いるものとし、「検査対象」とは、計測または検査の対象となるウエハ、或いは、当該ウエハにおける計測または検査の対象領域を指すものとする。
【0016】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係るレシピ情報提示システム、レシピエラー推定システムの構成図である。当該システムは、半導体検査装置が実施する検査動作を規定するレシピのうちエラーの原因となったものを推定するとともに、当該レシピの修正情報を提示するシステムである(以下「レシピ情報提示システム」または「レシピエラー推定システム」と称する)。ここでは半導体検査装置11~13を対象とするシステムを例示する。各検査装置は同様の構成を備えるので、以下の説明において各検査装置を区別しない場合、半導体検査装置11を用いて説明する。
【0017】
半導体検査装置11は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)や光学式検査装置などによって構成することができる。以下では例として、半導体ウエハ上に形成されたパターンの寸法を計測するSEMを用いることとする。半導体検査装置11~13は同じ装置である場合もあるし、型番などが異なる装置である場合もある。
【0018】
レシピエラー推定システム1は、コンピュータシステム100を備える。コンピュータシステム100は、データベース110、機械学習部120を備える。機械学習部120はさらに、学習器121と解析器122(および後述する修正量計算部123)を備える。データベース110は、データを格納する記憶装置によって構成することができる。機械学習部120は、その機能(すなわち後述する学習器121と解析器122の機能、および修正量計算部123の機能)を実装した回路デバイスなどのハードウェアによって構成することもできるし、その機能を実装したソフトウェアを演算装置が実行することによって構成することもできる。
【0019】
コンピュータシステム100は、半導体検査装置11~13からそれぞれ、後述する3つのデータを取得し、データベース110に格納する。学習器121は、そのデータを教師データとして機械学習を実施する。学習プロセスの詳細については後述する。解析器122の動作については後述する。
【0020】
図2は、半導体検査装置11が半導体ウエハを検査する工程を説明するフローチャートである。半導体検査装置11は、検査する半導体ウエハをロードすることにより、本フローチャートを開始する。検査を実施するためには、半導体ウエハ上の座標系と半導体検査装置11内部の座標系を合致させる必要がある。この工程をアライメント(S201)と呼ぶ。半導体検査装置11の視野は半導体ウエハ表面の一部のみをカバーしているので、検査対象とする領域に対して、半導体検査装置11の視野を位置合わせする必要がある。この工程をアドレッシング(S202)と呼ぶ。半導体検査装置11は視野内に形成されている半導体パターンの長さなどを測定する(S203)。全ての測定対象点について測定完了するまで、S202~S203を繰り返す(S204)。測定完了すると半導体ウエハをアンロードする。
【0021】
図3Aは、コンピュータシステム100が半導体検査装置11から取得する3つのデータの内容を例示する図である。コンピュータシステム100は、装置データ111、計測レシピ(以下単に「レシピ」と呼ぶ場合もある)112、計測結果113、を半導体検査装置11から取得する。
【0022】
装置データ111は、(a)装置固有パラメータ、(b)装置機差補正データ、(c)観察条件パラメータ、を含む。装置固有パラメータは、半導体検査装置11を規定仕様通りに動作させるために用いる補正パラメータである。装置の実際の動作は規定仕様とは異なる場合があるので、実際の動作を規定仕様に合わせるために装置固有パラメータを用いる。装置機差補正データは、半導体検査装置11~13間の機差を補正するために用いるパラメータである。観察条件パラメータは、例えば電子光学系の加速電圧などSEMの観察条件を規定するパラメータである。
【0023】
レシピ112は、レシピパラメータとして、(a)ウエハマップ、(b)アライメントパラメータ、(c)アドレッシングパラメータ、(d)測長パラメータ、を含む。ウエハマップは、半導体ウエハ上の座標マップ(例えばパターンの座標)である。アライメントパラメータは、S201を実施するために用いるパラメータであり、例えば半導体ウエハ上の座標系と半導体検査装置11内部の座標系との間のずれを補正するために用いるパラメータである。アドレッシングパラメータは、S202を実施するために用いるパラメータであり、例えば半導体ウエハ上に形成されているパターンのうち検査対象領域内に存在する特徴的なパターンを特定する情報(特徴量など)である。測長パラメータは、長さを測定する条件を記述したパラメータであり、例えばパターンのうちどの部位の長さを測定するかを指定するパラメータである。
【0024】
計測結果113は、(a)測長結果、(b)画像データ、(c)エラーパラメータ、(d)動作ログ、を含む。測長結果は、半導体ウエハ上のパターンの長さを測定した結果を記述する。画像データは、半導体ウエハの観察画像である。エラーパラメータは、S201~S203いずれかにおいてエラーが生じた場合、そのエラー内容を記述したパラメータである。動作ログは、図2の各ステップを実施するときにおける半導体検査装置11の内部状態を記述したデータである。例えば各部品の動作電圧、観察視野の座標、などが挙げられる。
【0025】
図3Bは、学習器121の入力と出力との間の対応関係を模式的に示す図である。学習器121は、装置データ111と計測レシピ112と計測結果113を教師データとして機械学習を実施し、装置データ111と計測レシピ112を入力として、計測結果(エラー情報)113を出力とする学習器121を生成する。
【0026】
学習器121が機械学習を完了した後、新たな装置データ502と新たな計測レシピ501のペアを学習器121に対して入力すると、学習器121は、その装置データ502と計測レシピ501を用いて、当該装置データ502に対応する半導体検査装置11が当該計測レシピ501にて検査を実施したときエラーが生じるか否かを計測結果113として出力する。すなわちエラーが生じるか否かを推定する。さらに後述するように、機械学習部120は、学習器121、解析器122および修正量計算部123によって、エラーの原因となったレシピパラメータに対する修正量や修正後のレシピを提示することができる。
【0027】
図4は、学習器121の生成および解析器の解析についての手順を説明するフローチャートである。以下図4の各ステップについて説明する。
【0028】
図4:ステップS401)
コンピュータシステム100は、半導体検査装置11~13からそれぞれ装置データ111/レシピ112/計測結果113を取得し、データベース110に格納する。コンピュータシステム100は、ある程度の期間(例:数週間、数か月など)にわたってこれらのデータを蓄積する。
【0029】
図4:ステップS402)
コンピュータシステム100は、データベース110が蓄積しているデータを教師データとして機械学習を実施することにより、学習器121を生成する。本ステップの機械学習における学習器121に対する入力と学習器121からの出力の対応関係は、図3Bの通りである。
【0030】
図4:ステップS403)
学習器121の機械学習が完了した後、解析器122は学習器121が学習した結果、もしくは学習した結果とレシピ112を用いて、各レシピパラメータが学習器の予測結果に及ぼす影響を解析することにより、レシピパラメータを順位付けする。順位づけは、例えば各レシピパラメータのSHAP値を計算することによって実施できる。SHAP値以外の評価値を用いて順位づけしてもよい。以下ではSHAP値を用いる例を説明することとする。
【0031】
図4:ステップS403:補足)
SHAP値は、目的変数に対して各特徴量がどの程度の影響を与えるか(すなわち目的変数に対する寄与度)を数値化した値である。レシピ112は複数のレシピパラメータを含むので(図3Aで説明したもの)、各レシピパラメータを特徴量とみなし、各特徴量のSHAP値を計算することができる。SHAP値の高い順に寄与度が高いとみなすことにより、レシピパラメータを順位づけすることができる。目的変数としては、例えばエラーが発生する確率(またはエラーが発生するか否か)などを用いることができる。順位づけの例および順位づけ結果をどのように用いるかについては後述する。
【0032】
図5は、新たなレシピ501を所定の半導体検査装置で用いたときに、エラーが生じるか否かを学習器121によって推定するとともに、修正すべきレシピパラメータとその修正量を提示する手順を模式的に示す図である。学習器121は図4で説明した機械学習を完了済であるものとする。説明を簡易化するため、新たなレシピ112は3つのレシピパラメータA~Cを有しているものとする。以下図5の各ステップについて説明する。
【0033】
新たなレシピ501および所定の半導体検査装置の装置データ502を、学習器121に対して入力する。学習器121は、装置データ502に対応する半導体検査装置が、その新たなレシピ501を用いたときエラーが生じるか否かを、学習結果にしたがって推定する。ここではエラーが生じると学習器121が推定したと仮定して以下の説明を続ける。
【0034】
解析器122は、新たなレシピ501内の各レシピパラメータの推定結果に対する寄与度(例えばSHAP値)を計算することにより、各レシピパラメータを順位づけする。順位づけの例については後述する。
【0035】
機械学習部120は、修正量計算部123を備える。修正量計算部123は、新たなレシピ501内の各レシピパラメータを、エラーが生じないように修正する。すなわちエラーが生じない値にするための修正量をレシピパラメータごとに計算する。必ずしも全てのレシピパラメータについて修正量を計算する必要はなく、例えば寄与度の順位が高いものから順に修正量を計算してもよい。修正量を計算する手順の具体例については後述する。
【0036】
学習器121は、修正量計算部123が計算した修正量を反映した各レシピパラメータによってエラーが生じるか否かを、改めて推定する。エラーが生じる場合は上記手順を繰り返す。エラーが生じない場合は、修正量を反映した各レシピパラメータを、修正後レシピパラメータとして学習器121から出力する。このとき解析器122による順位づけの結果を併せて出力してもよい。図5においてはレシピパラメータAが最高順位である例を示した。
【0037】
修正後レシピパラメータは、オペレータが手作業によって新たなレシピ501に対して反映してもよいし、機械学習部120が新レシピ501に対して自動的に反映してもよい。また後述するように修正結果をオペレータに対して提示するためのインターフェースをコンピュータシステム100上に設けてもよい。機械学習部120(または修正量計算部123)は、修正レシピを提案する「レシピ修正提案部」としての役割を有する。
【0038】
図6Aは、解析器122がレシピパラメータを順位づけした結果を示す模式図である。解析器122は、学習器121による推定結果に対する各レシピパラメータの寄与度を、SHAP値によって計算することができる。SHAP値が高い順に寄与度が高いとみなすことができる。ここではレシピパラメータAが最も優先順位が高く、レシピパラメータBCは同順位である例を示した。
【0039】
図6Bは、修正量計算部123がレシピパラメータの修正量を計算する手順を模式的に示す図である。解析器122は、過去においてエラーが生じなかった正常レシピパラメータの統計値を求める。例えば正常レシピパラメータの値と頻度の関係を表す分布を統計値として求めることができる。その他、過去の正常レシピパラメータの上下限値、平均値、中央値、などを統計値として用いることもできる。図6Bにおいては視覚的な分かりやすさの観点から頻度分布の例を示した。
【0040】
修正量計算部123は、新たなレシピ501内のレシピパラメータAを取得する。図6Bの例においては、新たなレシピパラメータAが過去の正常レシピパラメータAの頻度分布からやや外れた値を有する例を示した。修正量計算部123は、新たなレシピパラメータAと過去の統計値との間の差分が小さくなるように、修正量を求めることができる。例えば過去の正常レシピパラメータAの平均値との間の差分を修正量とすることができる。その他の統計量を採用した場合は、その統計量との間の差分を修正量とすることができる。その他適当な手法により、新たなレシピパラメータAと過去の統計量との間の差分が小さくなるようにしてもよい。また、レシピパラメータの修正は、複数のパラメータに対して同時に行いエラー発生判定を行ってもよいし、パラメータを一つずつ修正し逐次エラー発生判定を行ってもよい。
【0041】
修正量計算部123は、レシピパラメータBCについても同様に修正量を求める。新たなレシピパラメータが過去の統計値から大きく外れていない場合は、必ずしも修正しなくともよい。図6Bの例においては、新たなレシピパラメータBは過去の頻度分布内に収まっているので、修正しなくともよい。あるいは、さらに統計値との間の差分が小さくなるように修正してもよい。
【0042】
図7Aは、コンピュータシステム100がオペレータに対して提供するGUI(Graphical User Interface)の例である。ここではエラー表示画面701の例を示した。エラー表示画面701は、半導体検査装置11において発生したエラーの内容を表示する画面である。例えば計測結果113の内容を画面表示することができる。
【0043】
図7Bは、コンピュータシステム100がオペレータに対して提供するGUIの例である。ここではレシピ表示画面702の例を示した。レシピ表示画面702は、レシピ112の内容を表示する画面である。その他、装置データ111の内容を併せて表示してもよい。
【0044】
図7Cは、コンピュータシステム100がオペレータに対して提供するGUIの例である。ここでは修正レシピ表示画面703の例を示した。修正レシピ表示画面703は、図5で説明した手順にしたがって修正した新たなレシピ501によりエラーが低減したか否かを視覚的に確認するための画面である。併せて修正後レシピパラメータを表示してもよい。オペレータは修正レシピ表示画面703を介して修正レシピの効果を確認し、修正結果を反映するか否かなどを決定することができる。
【0045】
したがって図7A図7Cに示すGUIは、例えば以下のような情報を提示することができる。(a)半導体検査装置におけるエラーの内容を、時系列のエラー状況とともに提示する。(b)半導体検査装置が用いたレシピの内容を、そのレシピを実行した時の実行結果とともに提示する。(c)修正レシピを提示するとともに、修正レシピの効果を提示する。(d)レシピまたはレシピに関する情報を提示する。
【0046】
<実施の形態1:まとめ>
本実施形態1に係るレシピエラー推定システムにおいて、学習器121は、装置データ111/レシピ112/計測結果113の間の対応関係を学習し、新たなレシピ501を半導体検査装置11が用いたときエラーが生じるか否かを推定する。これによりオペレータは、属人的な判断に依拠することなく、新たなレシピ501を採用するか否かを判断することができる。
【0047】
本実施形態1に係るレシピエラー推定システムにおいて、修正量計算部123は、過去の正常レシピ内のレシピパラメータと、新たなレシピ内のレシピパラメータとの間の差分にしたがって、新たなレシピパラメータの修正量を求める。これによりオペレータは、エラーの原因となるレシピパラメータを、属人的判断に依拠することなく特定することができる。さらにレシピパラメータを修正して再検査することを繰り返す必要がなくなるので、レシピ修正作業を効率化することができる。
【0048】
本実施形態1に係るレシピエラー推定システムにおいて、解析器122は、新たなレシピ内のレシピパラメータを、推定結果に対する寄与度にしたがって順位づけする。これによりオペレータは、優先順位の高いレシピパラメータから順に修正量を反映することができるので、レシピ修正作業を効率化することができる。
【0049】
本実施形態1に係るレシピエラー推定システムは、新たなレシピパラメータの修正量を求める際に、修正候補となるレシピパラメータを特定することにより、エラーの原因となるレシピパラメータも推定することができる。したがってエラー原因を速やかに特定することができる。
【0050】
<実施の形態2>
半導体検査装置において発生するエラーの原因としては、(a)半導体検査装置の状態に起因して発生する装置起因エラー、(b)半導体ウエハの状態に起因して発生するウエハ(またはプロセス)起因エラー、(c)レシピパラメータの値に起因して発生するレシピ起因エラー、の3種類が存在する。装置起因エラーを修正するためには装置を修復する必要があるので、レシピ112を修正することはない。ウエハ起因エラーはレシピ修正によって対処できる場合がある。そこで実施形態1においては、装置データ111/レシピ112/計測結果113の対応関係を学習することにより、レシピパラメータによって修正することができるエラーを特定することとした。
【0051】
他方でエラーが上記(a)~(c)いずれに起因して発生したかについて推定することは、エラー修正のために有用であると考えられる。そこで本発明の実施形態2では、エラー原因の種別を推定する手法について説明する。レシピエラー推定システムの構成は実施形態1と同様である。
【0052】
(エラー原因の種別を推定する例その1)
コンピュータシステム100は、各半導体検査装置11~13が同じレシピ112を用いる場合において、いずれか特定の半導体検査装置においてのみエラーが生じる場合、そのエラーはその特定の半導体検査装置の状態に起因すると推定することができる。必ずしも厳密に同じレシピ112ではなくとも、内容が類似する(例えば特徴量ベクトル間の距離が近い)レシピ112を各半導体検査装置が用いる場合において、特定の半導体検査装置のみエラーが生じるのであれば、そのエラーはその特定の半導体検査装置に起因すると推定することができる。この推定は、(a)コンピュータシステム100が備える演算装置が上記推定ルールにしたがって実施してもよいし(以下説明する例その2と例その3においても同様)、(b)同じレシピ112を用いて特定の半導体検査装置においてのみ生じたエラーパラメータを学習器121に学習させることによって学習器121が実施してもよい。後者の場合、学習器121は、各半導体検査装置の装置データ111間の差分にしたがって、装置起因エラーであるか否かを推定することになる。
【0053】
(エラー原因の種別を推定する例その2)
コンピュータシステム100は、特定のレシピ112を用いる半導体検査装置から時系列に沿って計測結果113を取得し、そのなかである特定の期間においてのみエラーが生じている場合、そのエラーは半導体ウエハの状態に起因すると推定することができる。上記と同様に必ずしも厳密に同じレシピ112ではなくとも、内容が類似するレシピ112の時系列履歴のなかである特定の期間においてのみエラーが生じている場合も、同様である。この推定は例えば、同じレシピ112を用いて生じたエラーの発生期間を学習器121が学習することによって実施できる。
【0054】
(エラー原因の種別を推定する例その3)
コンピュータシステム100は、各半導体検査装置11~13が同じレシピ112を用いる場合において、全ての半導体検査装置からエラーが生じる場合、そのエラーはそのレシピ112に起因すると推定することができる。上記と同様に必ずしも厳密に同じレシピ112ではなくとも、内容が類似するレシピ112を用いる場合において全ての半導体検査装置からエラーが生じる場合も、同様である。さらに必ずしも全ての半導体検査装置においてエラーが生じていなくとも、閾値以上(例えば過半数)の半導体検査装置においてエラーが生じる場合も同様である。この推定は例えば、同じレシピ112を用いた複数の半導体検査装置においてそれぞれエラーが生じたか否かを学習器121が学習することによって実施できる。
【0055】
<実施の形態3>
学習器121が学習した結果得られる学習モデルは、その学習モデルを作成する際に用いた教師データに対応しているので、教師データの内容が変われば学習モデルの内容も変わる可能性がある。例えば半導体検査装置をある程度長い期間運用していると、装置状態や半導体ウエハ状態が運用開始時点から大きく変化し、これにより学習モデルが陳腐化する可能性がある。そこで本発明の実施形態3では、学習器121が学習を完了した後、新たな教師データを用いて再学習を実施する動作例を説明する。レシピエラー推定システムの構成は実施形態1と同様である。
【0056】
図8は、機械学習部120が再学習を実施する手順を説明する動作フローである。新たな教師データ(追加データ)を取得するたびに本フローチャートを実施してもよいし、データベース110内にある程度の量の追加データが蓄積された時点で本フローチャートを実施してもよい。本フローチャートにおいて機械学習部120は、「再学習実施部」としての役割を有する。
【0057】
コンピュータシステム100は、追加データをデータベースに蓄積する(S801)。機械学習部120は、追加データを学習器121に再学習させることにより、学習モデルを生成する(S802)。機械学習部120は、新たに生成した学習モデルと既存の学習モデルとの間の差分が閾値以上であるか否かにしたがって、新たに生成した学習モデルを既存の学習モデルとは異なるモデルとして取り扱うべきか否かを判定する(S803)。例えば学習モデルが記述しているパラメータの特徴量空間内における距離の差分などを閾値と比較することにより、別モデルであるか否かを判定することができる。機械学習部120は、別モデルである場合はS802において生成した学習モデルによって既存の学習モデルを置き換える(S804)。別モデルとして取り扱う必要がない場合は本フローチャートを終了する。
【0058】
<実施の形態4>
図9は、本発明の実施形態4に係るレシピエラー推定システムの構成図である。本実施形態4において、レシピエラー推定システムは、複数の製造拠点(FabricまたはFab)それぞれにおける半導体検査装置のエラー原因を推定する。ここでは拠点910(Fab1)と拠点920(Fab2)を例示した。各拠点とコンピュータシステム100はネットワークによって接続されている。コンピュータシステム100の構成は実施形態1~3と同様である。
【0059】
拠点910は2つの製造ライン911と912を有する。各製造ラインにはそれぞれ異なる型番(型式A、B、C)の半導体検査装置が接続されている。拠点920も同様の構成を備えることができる。コンピュータシステム100は各拠点の各製造ラインそれぞれの半導体検査装置と接続し、装置データ111/レシピ112/計測結果113をそれぞれ取得する。以後の処理は実施形態1~3と同様である。
【0060】
コンピュータシステム100は、拠点ごとあるいは製造ラインごとに異なる学習モデルを生成してもよいし、これらのうちいずれかまたは全てを統合した単一の学習モデルを生成してもよい。前者の場合は拠点ごとあるいは製造ラインごとの特性に応じた学習モデルを生成できる。後者の場合は例えば各拠点や各製造ラインが類似する検査装置を用いている場合において、教師データ量を増やすことにより推定精度を高めることができる。
【0061】
<本発明の変形例について>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0062】
以上の実施形態においては、(a)装置データ、(b)レシピ、(c)計測結果、の対応関係を学習器121に学習させる例を示したが、レシピエラーを特定するためには、少なくともレシピとエラーパラメータとの間の対応関係を学習すれば足りる。したがってそのような構成も本発明の対象である。
【0063】
以上の実施形態において、半導体検査装置のレシピエラーを推定する例を説明したが、装置の動作を規定するパラメータとそのパラメータを採用したときエラーが生じるか否かについて学習器121に学習させることにより、その他装置についても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
11~13:半導体検査装置
100:コンピュータシステム
110:データベース
120:機械学習部
121:学習器
122:解析器
123:修正量計算部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9