(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20221006BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20221006BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/00 L
(21)【出願番号】P 2020012479
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】青木 祐介
【審査官】淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-508971(JP,A)
【文献】特開2012-094591(JP,A)
【文献】特表2015-500562(JP,A)
【文献】特開2011-098384(JP,A)
【文献】特開2009-061667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0020825(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1領域及び複数の第2領域を含む第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を含む第1基板と、前記第1面における前記複数の第1領域にそれぞれ設けられた第1発光素子部と、前記第1面における前記複数の第2領域にそれぞれ設けられた第2発光素子部と、を含む構造体を準備する構造体準備工程と、
複数の前記第1発光素子部及び複数の前記第2発光素子部を第2基板と対向させ、前記複数の第2発光素子部を前記第2基板に固定させずに、前記複数の第1発光素子部を前記第2基板にそれぞれ固定する第1構造体固定工程と、
前記第1構造体固定工程の後に、前記第1基板を前記第2面側から見て、前記第1基板の前記第1領域と重なる部分を前記第2面側から除去して、前記複数の第1発光素子部を前記第1基板から前記第2基板へ転写させる第1転写工程と、
前記第1転写工程の後に、前記複数の第2発光素子部が前記複数の第2領域に設けられた状態で前記第2基板から離す分離工程と、
を備えた、発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1構造体固定工程は、
前記複数の第2発光素子部に第1部材を付着させずに前記複数の第1発光素子部に第1部材を付着させる第1部材付着工程と、
前記第1部材により前記複数の第1発光素子部を前記第2基板に固定する第1固定工程と、
を含む、請求項1記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記複数の第2発光素子部を第3基板と対向させ、前記複数の第2発光素子部を前記第3基板に固定する第2構造体固定工程と、
前記第2構造体固定工程の後に、前記第1基板を前記第2面側から見て、前記第1基板の前記複数の第2領域と重なる部分を前記第2面側から除去して、前記複数の第2発光素子部を前記第1基板から前記第3基板に転写させる第2転写工程と、
をさらに備えた、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2構造体固定工程は、
前記複数の第2発光素子部に第2部材を付着させる第2部材付着工程と、
前記第2部材により前記複数の第2発光素子部を前記第3基板に固定する第2固定工程と、
を含む、請求項3記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1基板は、複数の第3領域をさらに含み、
前記構造体は、前記複数の第3領域にそれぞれ設けられた第3発光素子部をさらに含み、
前記第2構造体固定工程において、複数の前記第3発光素子部は前記第3基板に固定されず、
前記第2転写工程の後において、前記複数の第3発光素子部は、前記複数の第3領域に設けられた状態で前記第3基板から離される、請求項4記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記構造体準備工程は、
前記第1基板に半導体積層体を形成する工程と、
前記半導体積層体の一部を除去して、前記半導体積層体から前記複数の第1発光素子部及び前記複数の第2発光素子部を形成する工程と、
を含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記構造体準備工程と前記第1構造体固定工程との間に、前記複数の第1領域の1つと前記複数の第2領域の1つとの間の前記第1基板の一部を前記第1面側から除去し、前記第1基板に複数の溝部を形成する溝部形成工程をさらに含み、
前記第1転写工程において、前記第1基板を前記溝部に達するまで除去する、請求項1~6のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1基板は、シリコン基板である、請求項1~7のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
複数の第1領域及び複数の第2領域を含む第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を含む第1基板と、前記第1面における前記複数の第1領域にそれぞれ設けられた第1発光素子部と、前記第1面における前記複数の第2領域にそれぞれ設けられた第2発光素子部と、を含む構造体を準備する構造体準備工程と、
複数の前記第1発光素子部及び複数の前記第2発光素子部を第2基板と対向させ、前記複数の第2発光素子部を前記第2基板に固定させずに、前記複数の第1発光素子部を前記第2基板にそれぞれ固定する第1構造体固定工程と、
前記第1構造体固定工程の後に、前記第1基板を前記第2面側から見て、前記第1基板の前記第1領域と重なる部分を前記第2面側から除去して、前記複数の第1発光素子部を前記第1基板から前記第2基板へ転写させる第1転写工程と、
前記第1転写工程の後に、前記複数の第2発光素子部が前記複数の第2領域に設けられた状態で前記第2基板から離す分離工程と、
を備
え、
前記構造体準備工程と前記第1構造体固定工程との間に、前記複数の第1領域の1つと前記複数の第2領域の1つとの間の前記第1基板の一部を前記第1面側から除去し、前記第1基板に複数の溝部を形成する溝部形成工程をさらに含み、
前記第1転写工程において、前記第1基板を前記溝部に達するまで除去する、発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数のピクセルを含む半導体デバイスの組立が知られている(特許文献1)。発光装置の製造方法において、生産性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、生産性を向上させることができる発光装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、発光装置の製造方法は、構造体準備工程と、第1構造体固定工程と、第1転写工程と、分離工程と、を含む。前記構造体準備工程において、複数の第1領域及び複数の第2領域を含む第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を含む第1基板と、前記第1面における前記複数の第1領域にそれぞれ設けられた第1発光素子部と、前記第1面における前記複数の第2領域にそれぞれ設けられた第2発光素子部と、を含む構造体を準備する。前記第1構造体固定工程において、複数の前記第1発光素子部及び複数の前記第2発光素子部を第2基板と対向させ、前記複数の第2発光素子部を前記第2基板に固定させずに、前記複数の第1発光素子部を前記第2基板にそれぞれ固定する。前記第1転写工程において、前記第1構造体固定工程の後に、前記第1基板を前記第2面側から見て、前記第1基板の前記第1領域と重なる部分を前記第2面側から除去して、前記複数の第1発光素子部を前記第1基板から前記第2基板へ転写させる。前記分離工程において、前記第1転写工程の後に、前記複数の第2発光素子部が前記複数の第2領域に設けられた状態で前記第2基板から離す。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、生産性を向上させることができる発光装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図1B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図2A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図2B】実施形態に係る発光装置製造方法を例示するの模式的平面図である。
【
図3A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図3B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的平面図である。
【
図4A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図4B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的平面図である。
【
図5A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図5B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的平面図である。
【
図6A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図6B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的平面図である。
【
図7A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図7B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的平面図である。
【
図8A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図8B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的平面図である。
【
図9A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図9B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的平面図である。
【
図10A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図10B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的平面図である。
【
図11A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図11B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的平面図である。
【
図12A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図12B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的平面図である。
【
図13A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図13B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的平面図である。
【
図14A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図14B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的平面図である。
【
図15A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図15B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
【0010】
図1Aに示すように、本実施形態に係る発光装置の製造方法は、構造体準備工程S110、第1構造体固定工程S120、第1転写工程S130、及び、分離工程S140を含む。本実施形態に係る発光装置の製造方法は、
図1Bに例示する第2構造体固定工程S141、及び、第2転写工程S142を含んでも良い。
【0011】
構造体準備工程では、
図3A及び
図3Bに例示する構造体15を準備する。構造体15は、以下のようにして形成されても良い。例えば、
図2A及び
図2Bに示すように、第1基板10を成長基板として用い、第1基板10の第1面10faに半導体積層体50を成長させる。第1基板10は、例えば、シリコン基板である。第1基板10の厚さは、例えば、200μm以上1000μm以下である。例えば、半導体積層体50及び第1基板10のそれぞれの一部を除去して第1基板10に溝部14を形成する。この工程は、例えば、溝部形成工程に対応する。溝部14の深さは、例えば、第1基板10の厚さの10%以上50%以下であり、好ましくは、第1基板10の厚さの20%以上40%以下である。溝部14の深さを第1基板10の厚さの10%以上とすることで、後述する第1転写工程において、第1基板10を除去する量を減らすことができる。溝部14の深さを第1基板10の厚さの50%以下とすることで、第1基板10の強度を保つことができる。具体的には、溝部14の深さは、例えば、20μm以上500μm以下である。溝部14の深さとは、Z軸方向における溝部14の底面から第1基板10の第1面10faまでの距離である。
【0012】
これにより、
図3A及び
図3Bに例示する構造体15が形成される。構造体15は、第1基板10を含む。第1基板10は、第1面10fa及び第2面10fbを含む。例えば、第2面10fbは、第1面10faの反対側の面である。
【0013】
第1基板10の第1面10faに、複数の第1発光素子部51と、複数の第2発光素子部52と、が設けられる。第1面10faには、複数の第1領域11、及び、複数の第2領域12がある。複数の第1発光素子部51のうち1つの第1発光素子部51が、複数の第1領域11のうちのいずれか1つに設けられる。複数の第2発光素子部52のうち1つの第2発光素子部52が、複数の第2領域12のうちのいずれか1つに設けられる。複数の第1発光素子部51及び複数の第2発光素子部52は、例えば、構造体準備工程において、第1基板10の第1面10faに半導体積層体50を形成した後、半導体積層体50の一部を除去することで形成される。
【0014】
例えば、第1面10faは、第2面10fbと、複数の第1発光素子部51と、の間にある。例えば、第1面10faは、第2面10fbと、複数の第2発光素子部52と、の間にある。この例では、
図3Aに示すように、第1領域11と第2領域12とは、X軸方向に沿って交互に設けられる。
図3Aに示すように、第1発光素子部51と第2発光素子部52とは、X軸方向に沿って交互に設けられる。
【0015】
図3Aに示すように、第1基板10から半導体積層体50に向かう方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0016】
例えば、第1面10faは、X-Y平面に実質的に沿う。
図3Aに示す例において、例えば、第1基板10の第1面10faは、第1基板10の上面である。第1基板10の第1面10faに、半導体積層体50が形成される。第1基板10の第2面10fbは、例えば、第1基板10の下面である。
【0017】
図1Aに例示する第1構造体固定工程S120では、構造体15を第2基板20に固定させる。
例えば、
図4A及び
図4Bに示すように、第1構造体固定工程S120では、複数の第1発光素子部51に第1部材61を設ける。例えば、第1部材61は、第1発光素子部51の表面を覆うように設けられる。この第1部材61は、複数の第2発光素子部52に設けられない。第1部材61は、例えば、樹脂、誘電体、または、金属などを含む。この工程は、第1部材付着工程に対応する。
【0018】
この後、
図5Aに示すように、第1部材61を介して複数の第1発光素子部51が第2基板20に固定されるように、構造体15と第2基板20とを対向させる。複数の第2発光素子部52が第2基板20に対向する。複数の第1発光素子部51を第1部材61により第2基板20に固定する。このとき、複数の第2発光素子部52は第2基板20に固定させない。例えば、複数の第2発光素子部52は第2基板20に接触させない。この工程が、第1固定工程に対応する。第2基板20は、例えば、転写用の基板である。第2基板20には、例えば、シリコン基板、ガラス基板、または、樹脂基板を用いる。第2基板20に固定する複数の第1発光素子部51に第1部材61を設けることで、第1固定工程において、複数の第1発光素子部51を第2基板20に一括して転写させることができる。複数の第1発光素子部51のそれぞれを個別に移動させる場合に比べて、複数の第1発光素子部51を第2基板20に容易に転写させることができるため、高い生産性が得られる。
【0019】
第1部材61は、第1発光素子部51と第2基板20とを固定させる方法に応じて定められる。例えば、熱圧着により複数の第1発光素子部51を第2基板20に固定させる場合には、第1部材61として樹脂が用いられる。この場合、例えば、樹脂として感光性樹脂を用いることで、樹脂膜を複数の第1発光素子部51に選択的に設けることができる。例えば、常温接合の一つである表面活性化接合により複数の第1発光素子部51を第2基板20に固定する場合には、第1部材61として、酸化シリコンや窒化シリコンなどの誘電体を用いることができる。
【0020】
図1Aに例示する第1転写工程S130では、例えば、複数の第1発光素子部51が第2基板20に固定された状態で、第2面10fb側から第1基板10の一部を除去する。
【0021】
例えば、まず、
図5Aに示すように、第1基板10の第2面10fbに、マスク66を形成する。マスク66は、例えばレジストや絶縁膜などである。マスク66は、例えばフォトリソグラフィなどの技術により形成できる。マスク66は、第1領域11に対応する開口部66oを含む。
図5Bに示すように、開口部66oを含むマスク66から第1領域11の部分11pが露出する。
図6A及び
図6Bに示すように、マスク66をマスクとして用いて、第1基板10の、第2面10fb側から見て第1領域11と重なる部分11pを、第2面10fb側から除去する。この第1基板10の除去では、例えば、ボッシュ加工が行われる。第2面10fb側から除去される第1基板10の厚さは、例えば、第1基板10の厚さの10%以上50%以下であり、好ましくは、第1基板10の厚さの20%以上40%以下である。具体的には、除去される第1基板10の厚さは、例えば、20μm以上500μm以下である。第2面10fb側から第1基板10の一部を除去した後、第1発光素子部51には溝部14の深さ以下の厚さの第1基板10が残される。
【0022】
第1領域11の第2面10fb側から見て第1領域11と重なる部分11pが除去されることにより、複数の第1発光素子部51は、第2基板20に固定された状態で、第1基板10から離れる。このようにして、複数の第1発光素子部51を第1基板10から第2基板20へ転写させる。
図6Aに示すように、複数の第1発光素子部51に、第1基板10の一部10pが残っている。上述した溝部形成工程で第1領域11と第2領域12の間の第1基板10に溝部14を形成したことで、第1基板10を第1面10fa側から溝部14に達するまで除去することで第1発光素子部51を第2基板20に容易に転写することができる。第1転写工程S130において、第1基板10の第1発光素子部51及び第2発光素子部52が配置されていない部分に形成した溝部14を利用することで第1基板10を、第1基板10の厚さ方向に除去する量を減らすことができるので生産性を向上させることができる。
【0023】
図1Aに例示する分離工程S140では、
図6Aに示すように、複数の第2発光素子部52が第1基板10の複数の第2領域12に設けられた状態から、
図7Aに示すように、構造体15を第2基板20から離す。
図7Aに示すように、分離工程S140の後、第1部材61により、第2基板20に複数の第1発光素子部51が固定される。
図7A及び
図7Bに示すように、第2基板20に第2発光素子部52は固定されず、第1発光素子部51のみがX軸方向に配列される。
【0024】
複数の第1発光素子部51に残った第1基板10の一部10pを、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)等によって除去する。これにより、
図8A及び
図8Bに示すように、第1発光素子部51が露出する。このようにして、第2基板20に複数の第1発光素子部51が固定された発光装置が製造される。
【0025】
本実施形態に係る製造方法によれば、第1基板10に設けられた複数の第1発光素子部51を、第2基板20に一括して移動させることができる。複数の第1発光素子部51のそれぞれを個別に移動させる場合に比べて、複数の第1発光素子部51の移動が容易に行える。本実施形態によれば、生産性を向上させることができる発光装置の製造方法が提供できる。
【0026】
図1Aに示す実装工程S150では、分離工程S140により得られた発光装置を、例えば、実装基板に実装する。実装基板は、キャリア基板などでも良い。
【0027】
例えば、
図9A及び
図9Bに示すように、実装工程S150では、第2基板20に固定された複数の第1発光素子部51が実装基板70に対向するように、第2基板20と実装基板70とを対向させる。複数の第1発光素子部51の、第1部材61に覆われていない表面を実装基板70に固定する。
【0028】
図10A及び
図10Bに示すように、複数の第1発光素子部51から第2基板20を除去する。このとき、第1発光素子部51に設けられた第1部材61も除去される。
【0029】
例えば、複数の第1発光素子部51と第2基板20とが、樹脂系材料の第1部材61により熱圧着される場合には、例えば、剥離液などを用いたウエットエッチングにより第1部材61を除去して、第2基板20を複数の第1発光素子部51から離すことができる。例えば、第1発光素子部51と第2基板20とが、表面活性化接合により接合される場合には、第2基板20及び第1部材61をエッチングすることにより除去する。上記のような方法により、実装基板70に、複数の第1発光素子部51を一括して実装できる。
【0030】
上記の例では、第1部材61により、複数の第1発光素子部51が第2基板20に固定される。実施形態において、複数の第1発光素子部51が第2基板20に直接固定されても良い。
【0031】
図1Bに示す第2構造体固定工程S141、及び、第2転写工程S142の例について説明する。
【0032】
第2構造体固定工程S141では、例えば、
図4A及び
図4Bに関して説明した方法と同様の方法で、分離工程S140後の複数の第2発光素子部52に第2部材62(
図11A参照)を設ける。第2部材62に用いる材料は、第1部材61に用いる材料と同様で良い。
【0033】
図11Aに示すように、第2部材62が設けられた複数の第2発光素子部52が第3基板30と対向するように、構造体15と第3基板30とを対向させる。第3基板30は、第2基板20とは別の基板でもよい。第3基板30は、例えば、第1基板10から第2発光素子部52を移動させるための基板である。この状態で、第2部材62により、複数の第2発光素子部52を第3基板30に固定する。
【0034】
図1Bに示す第2転写工程S142では、第2発光素子部52が第3基板30に固定された状態で、第2面10fb側から第1基板10の一部を除去する。例えば、
図11A及び
図11Bに示すように、第1基板10の第2面10fbに、マスク67を形成する。この例では、
図11Aに示すように、マスク67は、第2領域12に対応する開口部67oを含む。
図11A及び
図11Bに示すように、開口部67oを含むマスク67から第2領域12の一部が露出する。マスク67は、マスク66に関して説明した方法と同様の方法で形成される。
【0035】
図12A及び
図12Bに示すように、マスク67をマスクとして用いて、第1基板10の、第2面10fb側から見て第2領域12と重なる部分10qを、第2面10fb側から除去する。この第1基板10の除去では、例えば、ボッシュ加工が行われる。この工程で第2面10fb側から除去される第1基板10の厚さは、
図6A及び
図6Bを参照して説明した第1基板10の厚さと同様とすることができる。
【0036】
第2領域12の第2面10fb側から見て第2領域12と重なる部分10qが除去されることにより、複数の第2発光素子部52が、第3基板30に固定された状態で、第1基板10から離れる。このようにして、複数の第2発光素子部52を第1基板10から第3基板30へ転写させる。このとき複数の第2発光素子部52に残った第1基板10の一部(部分10q)を、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)等によって除去する。
【0037】
これにより、
図13A及び
図13Bに示すように、第2発光素子部52の上面が露出する。このようにして、第3基板30に複数の第2発光素子部52が固定される。
【0038】
例えば、
図1Bに示す実装工程S160において、複数の第1発光素子部51実装された実装基板70に、第3基板30に固定された複数の第2発光素子部52を実装する。
【0039】
図14A及び
図14Bに示すように、実装工程S160では、第3基板30に固定された複数の第2発光素子部52が、実装基板70に実装された複数の第1発光素子部51の間に位置するように実装される。実装基板70に、第1発光素子部51と第2発光素子部52とが交互に配置される。
【0040】
その後、
図15A及び
図15Bに示すように、複数の第2発光素子部52を実装基板70の複数の第1発光素子部51の間に固定し、第3基板30を除去する。このとき、第2発光素子部52に設けられた第2部材62も除去する。第3基板30及び第2部材62の除去は、上述した第2基板20及び第1部材61の除去と同様の方法で行うことができる。
【0041】
本実施形態に係る製造方法によれば、複数の第1発光素子部51、及び、複数の第2発光素子部52を含む発光装置が得られる。本実施形態においては、複数の発光素子部を実装基板または転写用の基板に、高精度で実装できる。実施形態によれば、第1基板10に設けられた複数の第1発光素子部51を、第2基板20に一括して転写させることができるため、個片化された複数の発光素子を個別に実装する場合に比べて、高い生産性が得られる。
【0042】
上記の例では、第2部材62により、複数の第2発光素子部52が第3基板30に固定される。実施形態において、複数の第2発光素子部52が第3基板30に直接固定されても良い。
【0043】
上記の
図11A~
図15Bに関して説明した工程において、「第2発光素子部」の波長分布と、
図3Aに例示した「第2発光素子部」の波長分布と、は異なっていても良い。例えば、
図3Aに例示した複数の第2発光素子部52から放出される光の波長分布は、
図3Aに例示した複数の第1発光素子部51から放出される光の波長分布と同じでも良い。実装基板70には異なる波長分布を有する複数の発光素子部が実装されていてもよい。
【0044】
一方、
図11A~
図15Bに例示した「複数の第2発光素子部52」から放出される光の波長分布は、
図10Aに例示した「複数の第1発光素子部51」から放出される光の波長分布と異なっても良い。さらに、
図11A~
図15Bに例示した工程において、「複数の第1発光素子部51」及び「複数の第2発光素子部52」とは異なる「複数の第3発光素子部」が、実装基板70に実装されても良い。この場合、「複数の第3発光素子部」が実装される領域を設けるために、「複数の第1発光素子部51」及び「複数の第2発光素子部52」のピッチが適宜調整されても良い。
【0045】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、発光装置に含まれる、基板、半導体積層体、及び、発光素子部などのそれぞれの具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0046】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
10…第1基板、 10fa…第1面、 10fb…第2面、 10p…一部、 10q…部分、 11…第1領域、 11p…部分、 12…第2領域、 14…溝部、 15…構造体、 20…第2基板、 30…第3基板、 50…半導体積層体、 51…第1発光素子部、 52…第2発光素子部、 61…第1部材、 62…第2部材、 66、67…マスク、 66o、67o…開口部、 70…実装基板、 S110…構造体準備工程、 S120…第1構造体固定工程、 S130…第1転写工程、 S140…分離工程、 S141…第2構造体固定工程、 S142…第2転写工程、 S150…実装工程、 S160…実装工程