(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】基板処理装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20221006BHJP
G03F 7/16 20060101ALI20221006BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20221006BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20221006BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20221006BHJP
B05C 11/08 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
H01L21/30 569C
G03F7/16 502
H01L21/66 J
G01B11/24 K
G01N21/956 A
B05C11/08
(21)【出願番号】P 2018190227
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】濱田 佳志
(72)【発明者】
【氏名】桾本 裕一朗
(72)【発明者】
【氏名】羽山 隆史
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-036235(JP,A)
【文献】特開平11-005056(JP,A)
【文献】特開2016-025293(JP,A)
【文献】特開2018-032766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
21/66
G03F 7/16
7/30
G01B 11/24
G01N 21/956
B05C 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を処理する基板処理装置であって、
被処理基板を保持して回転させる回転保持部と、
前記回転保持部に保持された被処理基板の表面を撮像領域に含む撮像部と、
前記撮像部の前記撮像領域に光を照射する光源と、
前記撮像部による撮像結果に基づいて検査を行う検査部と、
前記検査に用いる撮像結果を、当該撮像結果が得られたときの被処理基板の向きに基づいて選択する選択部と、を有する、基板処理装置。
【請求項2】
前記検査に先立って、前記回転保持部に保持された被処理基板の向きが互いに異なる複数の状態の撮像結果を取得する事前取得部と、
前記複数の状態の撮像結果に基づいて、前記検査用の撮像時に不適切な被処理基板の向きを判定する判定部と、を有し、
前記選択部は、前記判定部での判定結果に基づいて、前記検査に用いる撮像結果を選択する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記判定部による前記不適切な被処理基板の向きの判定結果、前記検査用の撮像時の被処理基板の回転数及び前記検査用の撮像時の前記撮像部のフレームレートに基づいて、前記検査に用いる撮像結果を選択する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記検査部は、前記撮像結果の検査対象領域の情報に基づいて検査を行う、請求項1~3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記検査対象領域は複数であり、
前記選択部は、前記検査対象領域毎に、前記検査に用いる撮像結果を選択する、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記検査対象領域は前記検査中に移動し、
前記選択部は、前記検査中の各時点における前記検査対象領域毎に、当該検査対象領域が設定された撮像結果を前記検査に用いるか否かの判定を行い、当該判定結果に基づいて前記検査に用いる撮像結果を選択する、請求項4または5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記検査部は、複数種類の前記検査を行い、
前記光源は、前記検査の種類毎に設けられ、
前記検査の種類と前記光源の種類は、撮像フレーム毎に設定される、請求項1~6のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
被処理基板を処理する基板処理装置を検査する検査方法であって、
前記基板処理装置は、
被処理基板を保持して回転させる回転保持部と、
前記回転保持部に保持された被処理基板の表面を撮像領域に含む撮像部と、
前記撮像部の前記撮像領域に光を照射する光源と、を有し、
当該検査方法は、
前記検査に用いる撮像結果を、当該撮像結果が得られたときの被処理基板の向きに基づいて選択する工程と、
前記撮像部による撮像結果に基づいて検査を行う工程と、を有する、検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、処理対象物の上方に位置するノズルから当該処理対象物の上面に向けて流下する液体の流下状態を判定する流下判定方法を開示している。この方法では、ノズルから処理対象物の上面に至る液体の流下経路を撮像視野に含めて撮像が行われる。次いで、撮像された画像のうち流下経路に対応する評価対象領域内で、液体の流下方向に沿って1列に並ぶ画素からなる画素列毎に、当該画素列に属する画素の画素値の合計値が算出される。そして、流下方向に直交する直交方向に沿った合計値の変化態様に基づき液体の流下の有無が判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、被処理基板を処理する基板処理装置での処理時の検査に用いる撮像画像の品質を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、被処理基板を処理する基板処理装置であって、被処理基板を保持して回転させる回転保持部と、前記回転保持部に保持された被処理基板の表面を撮像領域に含む撮像部と、前記撮像部の前記撮像領域に光を照射する光源と、前記撮像部による撮像結果に基づいて検査を行う検査部と、前記検査に用いる撮像結果を、当該撮像結果が得られたときの被処理基板の向きに基づいて選択する選択部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、被処理基板を処理する基板処理装置での処理時の検査に用いる撮像画像の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態にかかる基板処理装置としてのレジスト膜形成装置を備えた基板処理システムの構成の概略を模式的に示す平面図である。
【
図2】第1の実施形態にかかる基板処理装置としてのレジスト膜形成装置を備えた基板処理システムの構成の概略を模式的に示す正面図である。
【
図3】第1の実施形態にかかる基板処理装置としてのレジスト膜形成装置を備えた基板処理システムの構成の概略を模式的に示す背面図である。
【
図4】レジスト膜形成装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【
図5】レジスト膜形成装置の構成の概略を示す横断面図である。
【
図6】レジスト膜形成装置の検査に関する制御部の構成の概略を示すブロック図である。
【
図7】レジスト膜形成装置による処理時の検査に用いられるカメラの撮像結果の検査対象領域の説明図である。
【
図8】被処理基板の向きに応じて外乱光が撮像結果に影響を及ぼすことを説明する図である。
【
図9】カメラの撮像素子の露光タイミング及び当該撮像素子からの撮像結果の出力タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図10】被処理基板の向きが所定角度ずつずれた撮像結果それぞれと輝度値との関係を示す図である。
【
図11】被処理基板の回転数及びカメラのフレームレートと、検査時の光源の発光タイミングとの関係を説明する図である。
【
図12】第2の実施形態にかかる検査対象領域の説明図である。
【
図13】第2の実施形態にかかるレジスト膜形成装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【
図14】第3の実施形態にかかる基板処理装置としてのレジスト膜形成装置の検査に関する制御部の構成の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイス等の製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程では、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジスト液を供給しレジスト膜を形成するレジスト塗布処理等を含む一連の処理が行われ、ウェハ上に所定のレジストパターンが形成される。上記一連の処理には、上述のレジスト塗布処理の他、所定のパターンに露光されたレジスト膜を現像する現像処理等が含まれる。この一連の処理は、ウェハを処理する各種処理装置やウェハを搬送する搬送装置等を搭載した塗布現像処理システムで行われている。
【0009】
この塗布現像処理システムにおいて、上記処理装置のうち、レジスト液等の処理液を用いる処理を行う液処理装置は、ウェハを保持して回転するスピンチャックと、このスピンチャックに保持されたウェハに処理液を供給する処理液供給ノズルとを有する。この液処理装置では、例えば、スピンチャックに保持されたウェハの中央に処理液供給ノズルから処理液を供給しながら当該スピンチャックを回転させる回転処理が行われる。
【0010】
回転処理では、処理液供給ノズルの吐出口付近を撮像し、撮像された結果を解析して処理液供給ノズルからの吐出状態を判定すること等が必要になる場合がある。この判定のための技術としては、特許文献1に記載のものがある。特許文献1では、ノズルから処理対象物の上面に至る液体の流下経路を撮像視野に含めて撮像し、その撮像結果に基づいてノズルからの液体の流下状態を判定する。
【0011】
ところで、処理液供給ノズルからの吐出状態を判定する検査等の、基板処理装置の検査には、高精度化が求められている。この高精度化のためには、検査に撮像画像を用いる場合、高品質な撮像画像を取得する必要がある。この点に関し、特許文献1には何らの開示も示唆もされていない。
【0012】
そこで、本開示にかかる技術は、被処理基板を処理する基板処理装置での処理時の検査に用いる撮像画像の品質を向上させる。
【0013】
以下、本実施形態にかかる基板処理装置及び検査方法を、図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる基板処理装置としてのレジスト膜形成装置を備えた基板処理システム1の内部構成の概略を模式的に示す説明図である。
図2及び
図3は、各々基板処理システム1の内部構成の概略を模式的に示す、正面図と背面図である。なお、本実施の形態では、基板処理システム1が被処理基板としてのウェハWに対して塗布処理及び現像処理を行う塗布現像処理システムである場合を例にして説明する。
【0015】
基板処理システム1は、
図1に示すように、複数枚のウェハWを収容したカセットCが搬入出されるカセットステーション10と、ウェハWに所定の処理を施す複数の各種処理装置を備えた処理ステーション11と、を有する。そして、基板処理システム1は、カセットステーション10と、処理ステーション11と、処理ステーション11に隣接する露光装置12との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション13と、を一体に接続した構成を有している。
【0016】
カセットステーション10には、カセット載置台20が設けられている。カセット載置台20には、基板処理システム1の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置するカセット載置板21が複数設けられている。
【0017】
カセットステーション10には、図のX方向に延びる搬送路22上を移動自在なウェハ搬送装置23が設けられている。ウェハ搬送装置23は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板21上のカセットCと、後述する処理ステーション11の第3のブロックG3の受け渡し装置との間でウェハWを搬送できる。
【0018】
処理ステーション11には、各種装置を備えた複数例えば4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション11の正面側(
図1のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション11の背面側(
図1のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション11のカセットステーション10側(
図1のY方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション11のインターフェイスステーション13側(
図1のY方向正方向側)には、第4のブロックG4が設けられている。
【0019】
第1のブロックG1には、
図2に示すように複数の液処理装置、例えば現像処理装置30、下部反射防止膜形成装置31、レジスト膜形成装置32、上部反射防止膜形成装置33が下からこの順に配置されている。
現像処理装置30は、ウェハWを現像処理する。
下部反射防止膜形成装置31は、ウェハWのレジスト膜の下層に反射防止膜(以下「下部反射防止膜」という)を形成する。
レジスト膜形成装置32は、ウェハWにレジスト液を供給してレジスト膜を形成する。
上部反射防止膜形成装置33は、ウェハWのレジスト膜の上層に反射防止膜(以下「上部反射防止膜」という)を形成する。
【0020】
例えば現像処理装置30、下部反射防止膜形成装置31、レジスト膜形成装置32、上部反射防止膜形成装置33は、それぞれ水平方向に3つ並べて配置されている。なお、これら現像処理装置30、下部反射防止膜形成装置31、レジスト膜形成装置32、上部反射防止膜形成装置33の数や配置は、任意に選択できる。
【0021】
これら現像処理装置30、下部反射防止膜形成装置31、レジスト膜形成装置32、上部反射防止膜形成装置33では、例えばウェハW上に所定の処理液を用いたスピンコーティングが行われる。スピンコーティングでは、例えば処理液供給ノズルからウェハW上に処理液を吐出すると共に、ウェハWを回転させて、処理液をウェハWの表面に拡散させる。
【0022】
第2のブロックG2には、
図3に示すように、熱処理装置40、アドヒージョン装置41、周辺露光装置42が上下方向と水平方向に並べて設けられている。
熱処理装置40は、ウェハWの加熱や冷却といった熱処理を行う。
アドヒージョン装置41は、レジスト液とウェハWとの定着性を高めるためのものである。
周辺露光装置42は、ウェハWの外周部を露光する。
これら熱処理装置40、アドヒージョン装置41、周辺露光装置42の数や配置は、任意に選択できる。
【0023】
例えば第3のブロックG3には、複数の受け渡し装置50、51、52、53、54、55、56が下から順に設けられている。また、第4のブロックG4には、複数の受け渡し装置60、61、62が下から順に設けられている。
【0024】
図3に示すように第1のブロックG1~第4のブロックG4に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、ウェハ搬送装置70が配置されている。
【0025】
ウェハ搬送装置70はそれぞれ、例えばY方向、X方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム70aを有している。ウェハ搬送装置70は、上下に複数台配置されており、各ウェハ搬送装置70は、ウェハ搬送領域D内を移動し、例えば各ブロックG1~G4の同程度の高さの所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0026】
また、ウェハ搬送領域Dには、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送装置80が設けられている。
【0027】
シャトル搬送装置80は、例えば
図3のY方向に直線的に移動自在になっている。シャトル搬送装置80は、ウェハWを支持した状態でY方向に移動し、第3のブロックG3の受け渡し装置52と第4のブロックG4の受け渡し装置62との間でウェハWを搬送できる。
【0028】
図1に示すように第3のブロックG3のX方向正方向側の隣には、ウェハ搬送装置90が設けられている。ウェハ搬送装置90は、例えばX方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム90aを有している。ウェハ搬送装置90は、ウェハWを支持した状態で上下に移動して、第3のブロックG3内の各受け渡し装置にウェハWを搬送できる。
【0029】
インターフェイスステーション13には、ウェハ搬送装置100と受け渡し装置101が設けられている。ウェハ搬送装置100は、例えばY方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム100aを有している。ウェハ搬送装置100は、例えば搬送アーム100aにウェハWを支持して、第4のブロックG4内の各受け渡し装置、受け渡し装置101及び露光装置12との間でウェハWを搬送できる。
【0030】
以上の基板処理システム1には、制御部200が設けられている。
制御部200は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータにより構成され、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、基板処理システム1における各種処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、当該記憶媒体から制御部200にインストールされたものであってもよい。
【0031】
ここで、上述したレジスト膜形成装置32の構成について
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、レジスト膜形成装置32の構成の概略を示す縦断面図であり、
図5は、レジスト膜形成装置32の構成の概略を示す横断面図である。
【0032】
レジスト膜形成装置32は、
図4に示すように内部を密閉可能な処理容器110を有している。処理容器110の側面には、
図5に示すように、ウェハWの搬入出口111が形成され、搬入出口111には開閉シャッタ112が設けられている。
【0033】
処理容器110内の中央部には、ウェハWを保持して回転させる回転保持部としてのスピンチャック120が設けられている。このスピンチャック120は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引によりウェハWをスピンチャック120上に吸着保持できる。
【0034】
スピンチャック120は、例えばモータ等を備えたチャック駆動部121により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部121には、例えばシリンダ等の昇降駆動機構(図示せず)が設けられており、スピンチャック120は昇降自在になっている。なお、スピンチャック120の下方には、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。
【0035】
また、処理容器110内には、スピンチャック120に保持されるウェハWを囲み得るようにスピンチャック120に対してカップ122が設けられている。カップ122は、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収する。
【0036】
図5に示すようにカップ122のX方向負方向(
図5の下方向)側には、Y方向(
図5の左右方向)に沿って延伸するレール130が形成されている。レール130は、例えばカップ122のY方向負方向(
図5の左方向)側の外方からY方向正方向(
図5の右方向)側の外方まで形成されている。レール130には、アーム131が設けられている。
【0037】
アーム131には、レジスト液をウェハWに供給する、処理液供給部としてのレジスト液供給ノズル132が支持されている。アーム131は、ノズル駆動部133により、レール130上を移動自在である。これにより、レジスト液供給ノズル132は、カップ122のY方向正方向側の外方に設置された待機部134からカップ122内のウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面の上方をウェハWの径方向に移動できる。また、ノズル駆動部133によって、アーム131は昇降自在であり、レジスト液供給ノズル132の高さを調節できる。レジスト液供給ノズル132は、レジスト液を供給するレジスト液供給装置Mに接続されている。
【0038】
また、処理容器110内には、スピンチャック120に保持されたウェハWの表面を撮像領域に含む、撮像部としてのカメラ140が設けられている。カメラ140の撮像領域は、検査に必要な撮像範囲が含まれていれば、ウェハWの表面全体ではなくウェハWの表面の一部のみが含まれるように設定されていてもよい。このカメラ140は、ウェハWの搬入出及びレジスト液供給ノズル132の移動を阻害しない位置に配設されるように、例えば、処理容器110の天壁113に固定部材(図示せず)を介して固定されている。カメラ140には、例えばCCDカメラを用いることができる。
カメラ140は、検査の際、所定のフレームレートで撮像を行う。なお、検査のときと、検査に先立って行われる後述の事前検査のときとで、撮像間隔や当該カメラ140が有する撮像素子の露光時間は異なる。
【0039】
さらに、処理容器110内には、カメラ140の撮像領域に光を照射する光源150が設けられている。光源150は、平面視においてスピンチャック120に保持されたウェハWをカメラ140との間に挟む位置であって、ウェハWの搬入出及びレジスト液供給ノズル132の移動を阻害しない位置に配設されている。この光源150は、例えば、カップ122の内壁上方に固定されている。
【0040】
カメラ140による撮像のタイミングや光源150の発光タイミングは制御部200により制御され、また、カメラ140での撮像結果は当該制御部200に出力され、検査等に用いられる。
【0041】
以上のように構成されるレジスト膜形成装置32では、カメラ140や光源150が制御され、カメラ140での撮像結果に基づいて、処理中の当該レジスト膜形成装置32の検査が行われる。
【0042】
次に、レジスト膜形成装置32の検査に関する制御部200の構成について説明する。
図6は制御部200の上記検査に関する構成の概略を示すブロック図である。
図7は、検査に用いられるカメラ140の撮像結果における、検査対象領域の説明図であり、カメラ140の撮像画像の一例を示している。
図8は、ウェハWの向きに応じて外乱光が撮像結果に影響を及ぼすことを説明する図であり、ウェハWの撮像画像を模式的に示したものであり、
図8(A)と
図8(B)ではウェハWの向きが異なっている。なお、
図8において、符号NはウェハWの向きの基準となるノッチを示している。
【0043】
制御部200は、
図6に示すように、記憶部201と、検査部202と、選択部203と、事前取得部204と、判定部205と、を有する。
記憶部201は、レジスト膜形成装置32の検査に関する各種情報を記憶する。
【0044】
検査部202は、処理中のレジスト膜形成装置32の検査を、選択部203で選択されたカメラ140での撮像結果に基づいて行う。例えば、検査部202は、上記撮像結果の検査対象領域を切り出し、その切り出した撮像結果に基づいて、レジスト膜形成装置32の検査を行う。例えば、
図7に示すように、検査対象領域Pは、ウェハWの表面の中央付近に対応する領域に設定される。このように検査対象領域Pが設定された場合、制御部200は、例えば、検査対象領域Pの撮像結果に基づいて、ウェハW中央の液膜が所望の外周形状を有するか否かの判定(検査)を行う。液膜の外周形状は、撮像画像における輝度の差(明暗)に基づいて取得することができ、また、上述の判定は、例えば基準画像とのパターンマッチングにより行われる。基準画像は予め取得され記憶部201に記憶されている。なお、検査対象領域や検査の内容は上述のものに限られない。
【0045】
選択部203は、検査部202での検査に用いられる、カメラ140での撮像結果を選択する。選択部203における撮像結果の選択は、当該撮像結果が得られたときの、スピンチャック120に保持され回転中のウェハWの向き(以下、「ウェハWの向き」と省略することがある。)に基づいて行われる。このように撮像結果の選択を行う理由は、以下の通りである。
【0046】
カメラ140の撮像領域には、前述のように、スピンチャック120に保持されたウェハWの表面が含まれる。ウェハWの表面にIC(Integrated Circuit)パターンが形成されている場合、光源150から出射されICパターンで反射された光すなわち外乱光が撮像結果に与える影響が、ウェハWの向きに応じて変わる。例えば、ウェハWの向きが
図8(A)のときに、撮像画像において外乱光によりウェハWの中央付近の輝度が高くなったとする。この場合に、ウェハWの向きが
図8(A)の状態から90度回転した
図8(B)のときに、ウェハWの外周付近において撮像画像の輝度が高くなることがある。そして、撮像結果において、外乱光により輝度が高くなる部分が、検査対象領域Pと重なる場合、撮像結果に基づく検査を正確に行うことができない。
【0047】
そのため、選択部203は、上述のように、検査に用いられる撮像結果を、当該撮像結果が得られたときのウェハWの向きに基づいて選択する。具体的には、選択部203は、通常の状態(例えばレジスト液の吐出が行われていない状態やレジスト液の液膜が未形成の状態)でも検査対象領域の輝度が高いウェハWの向きの撮像結果が除外されるように選択する。このような選択を可能とするため、事前取得部204及び判定部205が設けられている。
【0048】
事前取得部204は、スピンチャック120やカメラ140、光源150等を制御し、検査に先立って、スピンチャック120に保持されたウェハWの向きが互いに異なる複数の状態の撮像結果を取得する。
判定部205は、事前取得部204が取得した、スピンチャック120に保持されたウェハWの向きが高いに異なる複数の状態の撮像結果に基づいて、撮像結果の検査対象領域の輝度が高くなるウェハWの向き、すなわち、検査用の撮像時に不適切なウェハWの向きを、検査に先立って判定する。判定部205での判定結果に基づいて、選択部203での選択が行われる。上記検査用の撮像時に不適切なウェハWの向きの判定方法については後述する。なお、以下では、「検査用の撮像時におけるウェハWの向きとして不適切」であることを、「不適切」である等と省略することがある。
【0049】
次に、以上のように構成された基板処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。まず、複数のウェハWを収納したカセットCが、基板処理システム1のカセットステーション10に搬入され、ウェハ搬送装置23によりカセットC内の各ウェハWが順次処理ステーション11の受け渡し装置53に搬送される。
【0050】
次にウェハWは、第2のブロックG2の熱処理装置40に搬送され温度調節処理される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって例えば第1のブロックG1の下部反射防止膜形成装置31に搬送され、ウェハW上に下部反射防止膜が形成される。その後ウェハWは、第2のブロックG2の熱処理装置40に搬送され、加熱処理され、温度調節される。
【0051】
次にウェハWはアドヒージョン装置41に搬送され、アドヒージョン処理される。その後ウェハWは、第1のブロックG1のレジスト膜形成装置32に搬送され、ウェハW上にレジスト膜が形成される。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、プリベーク処理される。なお、プリベーク処理においても下部反射防止膜形成後の熱処理と同様な処理が行われ、また、後述の上部反射防止膜形成後の熱処理、露光後ベーク処理、ポストベーク処理においても同様な処理が行われる。ただし、各熱処理に供される熱処理装置40は互いに異なる。
【0052】
次にウェハWは、上部反射防止膜形成装置33に搬送され、ウェハW上に上部反射防止膜が形成される。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送されて、加熱され、温度調節される。その後、ウェハWは、周辺露光装置42に搬送され、周辺露光処理される。
【0053】
次にウェハWは、露光装置12に搬送され、所定のパターンで露光処理される。
【0054】
次いで、ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、露光後ベーク処理される。その後ウェハWは、たとえば現像処理装置30に搬送されて現像処理される。現像処理終了後、ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、ポストベーク処理される。そして、ウェハWは、カセット載置板21のカセットCに搬送され、一連のフォトリソグラフィー工程が完了する。
【0055】
ここで、レジスト膜形成装置32における処理について詳述する。
レジスト膜形成装置32では、カメラ140での撮像結果に基づく検査を検査部202で行いながらレジスト膜を形成していく。この検査やレジスト膜の形成に先立って、ウェハW毎に行われる事前処理として、検査用の撮像時に不適切なウェハWの向きを判定する処理が行われる。
【0056】
この処理では、スピンチャック120の上面でウェハWが吸着保持されると、上述の不適切な向きの判定に用いる撮像結果の取得のため、事前取得部204が、レジスト液供給ノズル132を退避させた状態のまま、カメラ140等を制御する。具体的には、事前取得部204が、スピンチャック120に保持されたウェハWの向きが互いに異なる複数の状態それぞれで、光源150から光が照射されカメラ140による撮像が行われるように、スピンチャック120、カメラ140、光源150を制御する。より具体的には、事前取得部204が、スピンチャック120に保持されたウェハWの向きをスピンチャック120の回転軸周りに所定角度(分割角度)ずつずらした複数の状態それぞれで、光源150から光が照射され撮像が行われるように、制御を行う。
【0057】
この制御は、例えば、スピンチャック120により低回転数でウェハWを回転させながら、チャック駆動部121内に設けられたエンコーダ(図示せず)からの出力信号に基づいて行われる。ここで用いられるエンコーダからの出力信号とは、スピンチャック120が一回転するごとに出力されるZ相信号と、スピンチャック120が一回転する間に所定回数出力されるA相信号(またはB相信号)である。例えば、ウェハWの向きを、スピンチャック120の基準角度からのズレで表すものとしたとき、制御部200は、上記エンコーダからのZ相信号の立ち上がった時を、ウェハWの向きが0度とする。また、制御部200は、上記分割角度に相当する数のA相信号(またはB相信号)がエンコーダに入力される毎に、カメラ140の撮像素子を所定時間露光させると共に当該撮像素子から撮像結果を出力させる。
図9は、カメラ140の撮像素子の露光タイミング及び当該撮像素子からの撮像結果の出力タイミングの一例を示すタイミングチャートである。図のタイミングチャートは、スピンチャック120が一回転する間にA相信号及びB相信号が5400回出力され、上記分割角度を2度とするときのものである。このタイミングチャートに基づく制御によれば、A相が30回入力される毎に、上記撮像素子の露光及び当該撮像素子からの撮像結果の出力が行われ、ウェハWの向きが2°ずつずれた撮像結果を、ウェハWが1回転する分、計180枚取得することができる。
【0058】
事前取得部204により撮像結果が取得されると、判定部205が、撮像結果毎に、当該撮像結果に対応するウェハWの向きが不適切であるか否か判定する。具体的には、まず、判定部205は、撮像結果毎に、当該撮像結果における検査対象領域(例えば
図7の符号P参照)の輝度を抽出する。抽出する輝度は、例えば、検査対象領域に含まれる画素の輝度値の平均値である。判定部205は、撮像結果毎に、抽出した輝度に基づいて、当該撮像結果に対応するウェハWの向きが不適切であるか否か判定する。例えば、撮像結果から抽出した輝度が所定の閾値より大きい場合、判定部205は、当該撮像結果に対応するウェハWの向きが不適切であると判定する。
【0059】
図10は、ウェハWの向きが2°ずつずれた撮像結果それぞれと輝度値との関係を示す図である。判定部205は、
図10の撮像結果及び輝度値が得られた場合、輝度値が閾値(図の例では150)を超えるウェハWの向きが136~144°または316~324°である撮像結果について、当該撮像結果に対応するウェハWの向きが不適切であると判定する。
また、判定部205は、撮像結果毎のウェハWの向きが不適切であるか否かの判定結果を、ウェハWの向き毎の、上記不適切であるか否かの判定結果として記憶部201に記憶させる。
これにより事前処理が終了する。
【0060】
事前処理後、レジスト膜の形成及び検査が行われる。検査はレジスト膜を形成するための各処理で行われるため、まず、レジスト膜の形成について説明する。
【0061】
レジスト膜の形成の際、制御部200は、まず、ウェハWの中心部上方にレジスト液供給ノズル132を移動させ、ウェハWを低回転数(例えば300rpm)で回転させながら、ウェハW上にレジスト液を供給し液膜を形成する液膜形成処理を行う。
【0062】
そしてレジスト液供給ノズル132からのレジスト液の供給時間が所定の長さに達した時点で、ウェハWの回転数を維持したまま、レジスト液の供給を停止する。次いでレジスト液供給ノズル132を退避させると共に、高回転数(例えば3000rpm)でウェハWを回転させ、ウェハWの中心部に供給されたレジスト液をウェハWの全面に拡散させ所定の膜厚の塗布膜を形成する拡散処理を行う。次に、所定の回転数(例えば1500rpm)でウェハWを回転させ、ウェハW上の塗布膜を乾燥させる乾燥処理を行う。その後、スピンチャック120に吸着保持されていたウェハWがレジスト膜形成装置32から搬出され、次のウェハWが搬入される。
【0063】
上述の液膜形成処理、拡散処理、乾燥処理それぞれに際し、カメラ140での撮像結果に基づく検査が行われる。
各処理における検査の際、制御部200は、所定のフレームレートでカメラ140に撮像させる。
そして、撮像結果のうち、検査に用いるものは、事前処理で得られた、ウェハWの向きとして不適切な向きの判定結果に基づいて、選択部203により選択される。具体的には、各処理における検査用の撮像結果は、事前処理で記憶された、ウェハWの向き毎の、当該ウェハWの向きが不適切であるか否かの判定結果に基づいて選択される。より具体的には、上記検査に用いる撮像結果は、上記判定結果、検査用の撮像時のウェハWの回転数及び検査用の撮像時のカメラ140のフレームレートに基づいて決定される。
【0064】
図11は、検査用の撮像時のウェハWの回転数及び検査用の撮像時のカメラのフレームレートと、検査に用いる撮像結果との関係を説明する図である。
ここで、例えば、事前処理で
図10に示すような撮像結果及び輝度値が得られているものとし、ウェハWの回転数が900rpm、フレームレートが60fpsであるものとす。このとき、
図11に示すように、nフレーム目とn+2フレーム目はウェハWの向きが不適切となる時間が存在せず、n+1フレーム目とn+3フレーム目は中間の時間帯にウェハWの向きが不適切となる時間が存在する場合がある。
この場合、選択部203は、検査に用いる撮像結果として、nフレーム目、n+2フレーム目の撮像結果を選択し、n+1フレーム、n+3フレーム目の撮像結果は選択しない。
【0065】
そして、検査部202は、選択部203により選択された撮像結果に基づいて検査を行う。これにより、検査用の撮像時のウェハWの回転数及びカメラ140のフレームレートによらず、正確に検査を行うことができる。
【0066】
なお、検査の結果、不良である場合、当該検査に対応する処理は中止されると共に、以降の処理は行われずに、ウェハWはレジスト膜形成装置32から搬出される。
【0067】
検査用の撮像の際、光源150は、常時点灯させていてもよいし、各フレームの一部の期間だけ点灯させていてもよい。また、検査用の撮像の際、カメラ140が有する撮像素子の露光時間は、フレームレートをfとしたとき、1/f秒以下であればよい。
【0068】
本実施形態によれば、レジスト膜形成装置32による処理時の検査に用いられるカメラ140による撮像結果を、当該撮像結果が得られたときのウェハWの向きに基づいて選択する。したがって、上記検査に用いる撮像結果を、検査対象部分において外乱光の影響が少ないものに限定することができる。つまり、上記検査に用いる撮像画像の品質を向上させることができる。よって、撮像結果に基づく上記検査を正確に行うことができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、上述の事前処理で、スピンチャック120に保持されたウェハWの向きが互いに異なる複数の状態それぞれで、実際に光源150から光を照射しながらカメラ140による撮像を行う。そして、撮像結果に基づいて、不適切なウェハWの向きを判定し、判定結果に基づいて、検査に用いる撮像結果を選択する。したがって、上記検査に用いる撮像結果として、検査対象領域において外乱光の影響が少ないものを正確に取得することができる。
【0070】
(第1実施形態の変形例)
以上の実施形態では、ウェハW毎に、事前処理を行い、不適切なウェハWの向きを判定するものとした。ただし、同一のロットのウェハWにおいて、形成されているICパターンが共通であるときにおいて、以下の条件(A)、(B)を満たす場合は、ロットの1枚目のウェハWにのみ、事前処理を行い不適切なウェハWの向きを判定するようにしてもよい。そして、その判定結果に基づいて、同一ロットの他のウェハWの検査を行っても良い。
(A)レジスト膜形成装置32に搬入されてスピンチャック120に載置される時のウェハWの向きが同一ロット内で共通
(B)レジスト膜形成装置32に搬入されてスピンチャック120に載置される時のスピンチャック120の向きが常に一定
【0071】
なお、上記(A)を満たす場合とは、例えばロット内でのウェハWの向き及び搬送経路が共通である場合である。また、ロット内でウェハWの向きを共通にすることに代えて、搬送経路の途中において、各ウェハWのノッチ位置を合わせることによりウェハWの向きを揃える機構を設けてもよい。
【0072】
(第2の実施形態)
図12は、第2の実施形態にかかる検査対象領域の説明図である。
図13は、第2の実施形態にかかるレジスト膜形成装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【0073】
第1の実施形態では、検査対象領域Pは一箇所に設定されていた。この検査対象領域Pは、複数であってもよく、例えば、
図12に示すように、ウェハWの表面とレジスト液供給ノズル132との両方に設定されてもよい。
検査対象領域Pが複数ある場合、選択部203による撮像結果の選択、判定部205による不適切なウェハWの向きの判定は、検査対象領域P毎に行われる。
【0074】
また、検査対象領域Pが複数ある場合、検査対象領域P毎に検査を異ならせてもよい。つまり、検査部202が行う検査は複数種類であってもよい。
このように、検査の種類が複数ある場合、検査の種類毎すなわち検査対象領域P毎に、異なる光源が用いられてもよい。
【0075】
図13のレジスト膜形成装置32は、検査対象領域がウェハWの表面である検査のための光源150の他に、検査対象領域がレジスト液供給ノズル132である検査のための他の光源160が処理容器110内に設けられている。光源150及び光源160は共に、カメラ140の撮像領域に光を照射するものであるが、光源150は主にウェハWに光を照射し、光源160は主にレジスト液供給ノズル132に光を照射する。
光源160は、光源150と同様に、ウェハWの搬入出及びレジスト液供給ノズル132の移動を阻害しない位置に配設されている。この光源160は、例えば、処理容器110の天壁113に固定部材(図示せず)を介して固定されている。
【0076】
なお、光源160を用いた撮像結果に基づく検査の際も、光源150を用いた撮像結果に基づく検査の際と同様、検査に用いる撮像結果を選択部203がウェハWの向きに基づいて選択する。
ただし、光源160を用いた撮像結果に基づく検査と、光源150を用いた撮像結果に基づく検査を行う場合、制御部200は、検査毎に別々に撮像が行われるようにカメラ140を制御する。
【0077】
制御部200は、上述のように複数の検査を行う場合、例えば、カメラ140の撮像フレーム毎に、検査の種類と検査に用いる光源を切り替える。具体的には、例えば、奇数フレームの撮像の際には、第1実施形態と同様、光源150を用い、撮像結果から検査対象領域としてのウェハWの表面の領域を切り出して検査を行う。そして、偶数フレームの撮像の際には光源160を用い、撮像結果から検査対象領域としてのレジスト液供給ノズル132の領域を切り出して検査を行う。
【0078】
なお、上述のように複数の光源を切り替えて用いる場合、事前取得部204による、検査に先立った撮像結果の取得や、判定部205による不適切なウェハWの向きの判定は、光源毎に行われる。
また、各光源からの光の波長が同じ場合は、事前取得部204による、検査に先立った撮像結果の取得の際に、各光源からの光の出射タイミングは互いに異なるように設定される。
ただし、各光源からの光の波長が互いに異なる場合は、光源毎に光の出射タイミングを同時にしてもよい。そして、同じ撮像結果に基づいて、各光源の発光時に不適切なウェハWの向きの判定を行ってもよい。これにより、検査の種類と光源が複数ある場合に事前処理に要する時間を短縮することができる。
【0079】
(第2の実施形態の変形例)
以上の例では、光源及び検査の種類が複数ある場合に、光源毎及び検査の種類毎に検査対象領域が異なり、検査対象領域が複数設定されていた。この例に限らず、光源及び検査の種類が複数ある場合に、検査対象領域を1つとしてもよい。
【0080】
(第3の実施形態)
【0081】
図14は、第3の実施形態にかかる基板処理装置としてのレジスト膜形成装置の検査に関する制御部の構成の概略を示すブロック図である。
第1及び第2の実施形態では、検査対象領域Pは固定であった。それに対し、本実施形態では、検査対象領域Pは検査中に移動する。検査対象領域Pが検査中に移動する場合とは、例えば、検査対象が、処理中に移動するレジスト液供給ノズル132である場合である。
【0082】
本実施形態において、判定部210は、少なくとも検査対象領域Pとなりうる領域毎に、検査用の撮像時に不適切なウェハWの向きを判定する。
【0083】
また、選択部211は、検査に用いるカメラ140での撮像結果を選択するときに、カメラ140で得られた撮像結果を全て取得する。その際、選択部211は、各撮像結果について、検査対象領域を決定する。検査対象領域の決定には、例えば、検査対象が、処理中に移動するレジスト液供給ノズル132である場合、当該撮像結果が得られたときのレジスト液供給ノズル132の位置情報が用いられる。なお、レジスト液供給ノズル132の位置情報には、ノズル駆動部133に設けられたステッピングモータ(図示せず)からの出力パルス信号を用いることができる。上述の検査対象領域の決定には、検査を開始してから当該撮像結果が得られるまでに経過した時間の情報が用いてもよい。
そして、選択部211は、撮像結果毎に、当該撮像結果に対して決定された検査対象領域Pにかかる判定部210でのウェハWの不適切な向きの判定結果に基づいて、検査に用いるか否かを判定し、当該判定結果に基づいて検査に用いる撮像結果を選択する。
このようにして、選択部211は、検査中の各時点における検査対象領域毎に、当該検査対象領域が設定された撮像結果を用いるかの決定を行い、その決定結果に基づいて、検査に用いる撮像結果を選択する。
【0084】
本実施形態によれば、検査対象領域Pが移動する場合においても検査を行うことができる。
また、本実施形態では、各撮像結果について検査対象領域を決定する際に、当該撮像結果が得られたときのレジスト液供給ノズル132の位置情報を用いていた。これにより、レジスト液供給ノズル132の移動速度等のプロセス条件によらず、検査対象領域を適切に決定することができる。
【0085】
以上の説明では、検査対象の処理は、ウェハW上にレジスト液を供給し液膜を形成する処理等であるものとしたが、検査対象の処理は、これに限定されることなく、ウェハW上の不要物を除去するための洗浄処理等、他の処理であっても良い。
【0086】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0087】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)被処理基板を処理する基板処理装置であって、
被処理基板を保持して回転させる回転保持部と、
前記回転保持部に保持された被処理基板の表面を撮像領域に含む撮像部と、
前記撮像部の前記撮像領域に光を照射する光源と、
前記撮像部による撮像結果に基づいて検査を行う検査部と、
前記検査に用いる撮像結果を、当該撮像結果が得られたときの被処理基板の向きに基づいて選択する選択部と、を有する、基板処理装置。
【0088】
(2)前記検査に先立って、前記回転保持部に保持された被処理基板の向きが互いに異なる複数の状態の撮像結果を取得する事前取得部と、
前記複数の状態の撮像結果に基づいて、前記検査用の撮像時に不適切な被処理基板の向きを判定する判定部と、を有し、
前記選択部は、前記判定部での判定結果に基づいて、前記検査に用いる撮像結果を選択する、上記(1)に記載の基板処理装置。
【0089】
(3)前記選択部は、前記判定部による前記不適切な被処理基板の向きの判定結果、前記検査用の撮像時の被処理基板の回転数及び前記検査用の撮像時の前記撮像部のフレームレートに基づいて、前記検査に用いる撮像結果を選択する、上記(2)に記載の基板処理装置。
【0090】
(4)前記検査部は、前記撮像結果の検査対象領域の情報に基づいて検査を行う、上記(1)~(3)のいずれか1に記載の基板処理装置。
【0091】
(5)前記検査対象領域は複数であり、
前記選択部は、前記検査対象領域毎に、前記検査に用いる撮像結果を選択する、上記(14)に記載の基板処理装置。
【0092】
(6)前記検査対象領域は前記検査中に移動し、
前記選択部は、前記検査中の各時点における前記検査対象領域毎に、当該検査対象領域が設定された撮像結果を前記検査に用いるか否かの判定を行い、当該判定結果に基づいて前記検査に用いる撮像結果を選択する、上記(4)または(5)に記載の基板処理装置。
【0093】
(7)前記検査部は、複数種類の前記検査を行い、
前記光源は、前記検査の種類毎に設けられ、
前記検査の種類と前記光源の種類は、撮像フレーム毎に設定される、上記(1)~(6)のいずれか1に記載の基板処理装置。
【0094】
(8)被処理基板を処理する基板処理装置を検査する検査方法であって、
前記基板処理装置は、
被処理基板を保持して回転させる回転保持部と、
前記回転保持部に保持された被処理基板の表面を撮像領域に含む撮像部と、
前記撮像部の前記撮像領域に光を照射する光源と、を有し、
当該検査方法は、
前記検査に用いる撮像結果を、当該撮像結果が得られたときの被処理基板の向きに基づいて選択する工程と、
前記撮像部による撮像結果に基づいて検査を行う工程と、を有する、検査方法。
【符号の説明】
【0095】
32 レジスト膜形成装置
140 カメラ
150 光源
202 検査部
203 選択部
W ウェハ