(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】研磨用組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20221006BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20221006BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C09K3/14 550C
C09K3/14 550Z
B24B37/00 H
H01L21/304 622D
H01L21/304 622B
(21)【出願番号】P 2018561856
(86)(22)【出願日】2017-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2017044018
(87)【国際公開番号】W WO2018131341
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-11-13
(31)【優先権主張番号】P 2017002695
(32)【優先日】2017-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000236702
【氏名又は名称】株式会社フジミインコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鎗田 哲
(72)【発明者】
【氏名】吉▲崎▼ 幸信
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/096495(WO,A1)
【文献】特開2015-193714(JP,A)
【文献】特開2016-069465(JP,A)
【文献】特開2001-207170(JP,A)
【文献】特表2008-546214(JP,A)
【文献】国際公開第2008/013226(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
B24B 37/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨対象物を研磨するために用いられる、砥粒と、分散媒と、添加剤とを含む、研磨用組成物であって、
前記砥粒が、表面修飾されており、
前記添加剤が、下記式1:
【化1】
上記式1中、
X
1が、OまたはNR
4であり、
X
2が、単結合またはNR
5であり、
R
1~R
5が、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;ニトロ基;ニトロソ基;カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基;またはCONH
2;である、ただし、
R
2と、R
5とは環を形成してもよく;
X
2が単結合のとき、R
3は水素原子ではなく、または、R
1~R
3がメチル基ではなく;
X
2がNR
5のときであって、R
1~R
3およびR
5のうち3つが水素原子である場合、他の1つは水素原子またはメチル基ではない;
で示され、
pHが、5.0以下であり、ただし、前記添加剤が、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラメチル尿素、1,1,3,3-テトラエチル尿素、1,1-ジメチル尿素、N,N-ジエチルアセトアミド、1,1-ジエチル尿素、N,N-ジメチルアセトアミド、および、クレアチン水和物のいずれでもない、研磨用組成物。
【請求項2】
前記式1中、
X
1が、Oであり、
X
2が、NR
5であり、
R
1~R
3およびR
5の2つ以上が、カルボキシル基、アミノ基または水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基である、請求項
1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
前記式1中、
X
1が、NHであり、
X
2が、NR
5であり、
R
1~R
3およびR
5が、それぞれ独立して、水素原子;カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基;または-CONH
2である、請求項
1に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
前記式1中、
X
2が、単結合であり、
R
1~R
3が、それぞれ独立して、水素原子、または、カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基である、請求項
1に記載の研磨用組成物。
【請求項5】
前記式1中、
X
1が、OまたはNHであり、
X
2が、単結合またはNR
5であり、
R
1~R
3およびR
5が、それぞれ独立して、水素原子、または、カルボキシル基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基である、請求項
1に記載の研磨用組成物。
【請求項6】
前記式1中、
X
1が、Oであり、
R
2と、R
5とが環を形成し、
R
1およびR
3が、それぞれ独立して、水素原子、または、カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基である、請求項
1に記載の研磨用組成物。
【請求項7】
前記添加剤が、1,3-ジメチル尿素、グアニル尿素リン酸塩、ジメチルイソブチルアミド、N-エチルアセトアミド、N-アセチルエチレンジアミンまたは2-アセトアミドエタノールである、請求項
1に記載の研磨用組成物。
【請求項8】
前記添加剤が、ジメチルイソブチルアミドである、請求項
1に記載の研磨用組成物。
【請求項9】
酸化剤を含まない、請求項1~
8のいずれかに記載の研磨用組成物。
【請求項10】
研磨対象物を研磨するために用いられる、研磨用組成物の製造方法であって、
砥粒と、分散媒と、添加剤とを混合することを有し、
前記砥粒が、表面修飾されており、
前記添加剤が、下記式1:
【化2】
上記式1中、
X
1が、OまたはNR
4であり、
X
2が、単結合またはNR
5であり、
R
1~R
5が、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;ニトロ基;ニトロソ基;カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基;またはCONH
2;である、ただし、
R
2と、R
5とは環を形成してもよく;
X
2が単結合のとき、R
3は水素原子ではなく、または、R
1~R
3がメチル基ではなく;
X
2がNR
5のときであって、R
1~R
3およびR
5のうち3つが水素原子である場合、他の1つは水素原子またはメチル基ではない;
で示され、
pHが、5.0以下であり、前記添加剤が、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラメチル尿素、1,1,3,3-テトラエチル尿素、1,1-ジメチル尿素、N,N-ジエチルアセトアミド、1,1-ジエチル尿素、N,N-ジメチルアセトアミド、および、クレアチン水和物のいずれでもない、研磨用組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の研磨用組成物を用いて、または
請求項
10に記載の製造方法によって研磨用組成物を得、当該研磨用組成物を用いて、研磨対象物を研磨する、研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI(Large Scale Integration)の高集積化、高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(chemical mechanical polishing;CMP)法もその一つであり、LSI製造工程、特に多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグ形成、埋め込み配線(ダマシン配線)形成において頻繁に利用される技術である。
【0003】
当該CMPは、半導体製造における各工程に適用されてきており、その一態様として、例えばトランジスタ作製におけるゲート形成工程への適用が挙げられる。トランジスタ作製の際には、金属、シリコン、酸化ケイ素、多結晶シリコン、シリコン窒化膜といった材料を研磨することがあり、生産性を向上させるべく、各材料を高速で研磨する要求が存在する。かような要求に応えるため、例えば、特開2013-041992号公報には、多結晶シリコンの研磨速度を向上させようとする技術が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本発明者らは、CMPの半導体製造における各工程への適用を検討する中で、多結晶シリコンのみならず、シリコン窒化膜を高速で研磨することが製造上好ましい場合があることを知見した。他方、酸化ケイ素膜については、研磨速度を極力低くさせる方が製造上好ましい場合があることを知見した。しかし、多結晶シリコンのみならず、シリコン窒化膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができる研磨用組成物は未だ存在しない。
【0005】
そこで、本発明は、多結晶シリコンのみならず、シリコン窒化膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができる研磨用組成物を提供することを目的とする。
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を積み重ねた。その結果、研磨対象物を研磨するために用いられる、砥粒と、分散媒と、添加剤とを含む、研磨用組成物であって、前記砥粒が、表面修飾されており、前記添加剤が、下記式1:
【0007】
【0008】
上記式1中、X1が、OまたはNR4であり、X2が、単結合またはNR5であり、R1~R5が、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;ニトロ基;ニトロソ基;カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基;またはCONH2;である、ただし、R2と、R5とは環を形成してもよく;X2が単結合のとき、R3は水素原子ではなく、または、R1~R3がメチル基ではなく;X2がNR5のときであって、R1~R3およびR5のうち3つが水素原子である場合、他の1つは水素原子またはメチル基ではない;で示され、pHが、5.0以下である、研磨用組成物によって、上記課題が解決されることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
【0010】
(研磨用組成物)
本発明は、研磨対象物を研磨するために用いられる、砥粒と、分散媒と、添加剤とを含む、研磨用組成物であって、前記砥粒が、表面修飾されており、前記添加剤が、下記式1:
【0011】
【0012】
上記式1中、X1が、OまたはNR4であり、X2が、単結合またはNR5であり、R1~R5が、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;ニトロ基;ニトロソ基;カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基;またはCONH2;である、ただし、R2と、R5とは環を形成してもよく;X2が単結合のとき、R3は水素原子ではなく、または、R1~R3がメチル基ではなく;X2がNR5のときであって、R1~R3およびR5のうち3つが水素原子である場合、他の1つは水素原子またはメチル基ではない;で示され、pHが、5.0以下である、研磨用組成物である。かかる構成によって、多結晶シリコンのみならず、シリコン窒化膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができる。ゆえに、本発明によれば、多結晶シリコンのみならず、シリコン窒化膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができる研磨用組成物を提供することができる。
【0013】
酸性領域では、多結晶シリコンの研磨速度は低下することが通常であるところ、本発明の驚くべき点は、特定の構造を有する添加剤を添加することで、シリコン窒化膜のみならず、多結晶シリコンを高速で研磨することができるところにある。
【0014】
(砥粒)
本発明において、砥粒は、表面修飾されている(本明細書において、「表面修飾砥粒」とも称する)。本発明の好ましい形態によれば、表面修飾砥粒は、砥粒の表面に有機酸が固定されていることによりなる。本発明において、砥粒として、表面修飾砥粒を用いないと、本発明の所期の効果を奏することはできない。
【0015】
砥粒の種類としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物が挙げられる。該砥粒は、単独でもよいしまたは2種以上組み合わせても用いることができる。砥粒の種類としては、好ましくはシリカである。
【0016】
有機酸を表面に固定したシリカは、有機酸を表面に化学的に結合させたシリカであると好ましい。前記シリカにはフュームドシリカやコロイダルシリカ等が含まれるが、特にコロイダルシリカが好ましい。前記有機酸は、特に制限されないが、スルホン酸、カルボン酸、リン酸などが挙げられ、好ましくはスルホン酸またはカルボン酸である。なお、有機酸を表面に固定したシリカは、シリカの表面に上記有機酸由来の酸性基(例えば、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基など)が(場合によってはリンカー構造を介して)共有結合により固定されていることになる。ここで、リンカー構造とは、シリカの表面と、有機酸との間に介在する任意の構造を意味する。よって、有機酸を表面に固定したシリカは、シリカの表面に有機酸由来の酸性基が直接共有結合により固定されていてもよいし、リンカー構造を介して共有結合により固定されていてもよい。
【0017】
これらの有機酸をシリカ表面へ導入する方法は特に制限されず、メルカプト基やアルキル基などの状態でシリカ表面に導入し、その後、スルホン酸やカルボン酸に酸化するといった方法の他に、上記有機酸基に保護基が結合した状態でシリカ表面に導入し、その後、保護基を脱離させるといった方法がある。また、シリカ表面に有機酸を導入する際に使用される化合物は、有機酸基となりうる官能基を少なくとも1つ有し、さらにシリカ表面のヒドロキシル基との結合に用いられる官能基、疎水性・親水性を制御するために導入する官能基、立体的嵩高さを制御するために導入される官能基等を含むことが好ましい。
【0018】
有機酸を表面に固定したシリカの具体的な合成方法として、有機酸の一種であるスルホン酸をシリカの表面に固定するのであれば、例えば、“Sulfonic acid-functionalized silica through quantitative oxidation of thiol groups”, Chem. Commun. 246-247 (2003)に記載の方法で行うことができる。
【0019】
具体的には、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のチオール基を有するシランカップリング剤をシリカにカップリングさせた後に過酸化水素でチオール基を酸化することにより、スルホン酸が表面に固定化されたシリカを得ることができる。本発明の実施例のスルホン酸固定コロイダルシリカも同様にして製造している。
【0020】
カルボン酸をシリカの表面に固定するのであれば、例えば、“Novel Silane Coupling Agents Containing a Photo labile 2-Nitrobenzyl Ester for Introduction of a Carboxy Group on the Surface of Silica Gel”, Chemistry Letters, 3, 228-229 (2000)に記載の方法で行うことができる。具体的には、光反応性2-ニトロベンジルエステルを含むシランカップリング剤をシリカにカップリングさせた後に光照射することにより、カルボン酸が表面に固定化されたシリカを得ることができる。本発明の好ましい実施形態によれば、表面修飾砥粒が、スルホン酸固定シリカである。かかる実施形態によって、多結晶シリコンのみならず、シリコン窒化膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができる。
【0021】
本発明の研磨用組成物中、表面修飾砥粒の平均一次粒子径の下限は、5nm以上であることが好ましく、7nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることがさらに好ましい。このような粒子径であれば、有効な研磨速度が得られる。また、本発明の研磨用組成物中、表面修飾砥粒の平均一次粒子径の上限は、60nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、さらには25nm以下が好ましい。このような粒子径であれば、エロージョンやリセスなどの値が良く制御可能である。なお、表面修飾砥粒の平均一次粒子径は、例えば、BET法で測定される表面修飾砥粒の比表面積に基づいて算出される。本発明の実施例でもそのように測定している。
【0022】
本発明の研磨用組成物中、表面修飾砥粒の平均二次粒子径の下限は、15nm以上であることが好ましく、18nm以上であることがより好ましく、26nm以上であることがさらに好ましい。このような粒子径であれば、有効な研磨速度が得られる。また、表面修飾砥粒の平均二次粒子径の上限は、90nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、このような粒子径であれば、欠陥の数値が良く制御可能である。なお、ここでいう二次粒子とは、表面修飾砥粒が研磨用組成物中で会合して形成する粒子をいい、この二次粒子の平均二次粒子径は、例えばレーザー回折散乱法に代表される動的光散乱法により測定することができる。本発明の実施例でもそのように測定している。
【0023】
本発明の研磨用組成物中の表面修飾砥粒における、レーザー回折散乱法により求められる粒度分布において、微粒子側から積算粒子質量が全粒子質量の90%に達するときの粒子の直径D90と、全粒子質量の10%に達するときの粒子の直径D10との比(本明細書中、単に「D90/D10」とも称する)の下限は、1.3以上であることが好ましく、1.4以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。このような値であれば、有効な研磨速度が得られる。また、D90/D10の上限は特に制限はないが、5.0以下であることが好ましく、4.0以下であることがより好ましく、3.0以下であることがさらに好ましい。このような値であれば、ラフネス(研磨対象物の表面粗さ)が改善される。
【0024】
本発明の研磨用組成物中、表面修飾砥粒の含有量の下限は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、1.0質量%以上であることがよりさらに好ましい。このような値であれば、有効な研磨速度が得られる。また、本発明の研磨用組成物中、表面修飾砥粒の含有量の上限は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。このような値であれば、経済的なメリットが得られる。
【0025】
(分散媒)
本発明の研磨用組成物は、研磨用組成物を構成する各成分の分散のために分散媒が用いられる。分散媒としては、有機溶媒、水が考えられるが、その中でも水を含むことが好ましい。
【0026】
研磨対象物の汚染や他の成分の作用を阻害するという観点から、不純物をできる限り含有しない水が好ましい。具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後フィルタを通して異物を除去した純水や超純水、または蒸留水が好ましい。
【0027】
(添加剤)
本発明では、研磨用組成物に、下記式1:
【0028】
【0029】
上記式1中、X1が、OまたはNR4であり、X2が、単結合またはNR5であり、R1~R5が、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;ニトロ基;ニトロソ基;カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基;またはCONH2;である、ただし、R2と、R5とは環を形成してもよく;X2が単結合のとき、R3は水素原子ではなく、または、R1~R3がメチル基ではなく;X2がNR5のときであって、R1~R3およびR5のうち3つが水素原子である場合、他の1つは水素原子またはメチル基ではない;で示される添加剤を含有させる。かかる構成を有することによって、多結晶シリコンのみならず、シリコン窒化膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができる。
【0030】
研磨用組成物に、上記特定の構造を有する添加剤を添加することによって、本発明の所期の効果を奏するメカニズムは明らかではないが下記のとおりと推測される。無論、本発明の技術的範囲がかかるメカニズムによって制限されない。
【0031】
すなわち、前記添加剤は、多結晶シリコン膜に適度な力で吸着し、さらにその吸着部分が、多結晶シリコン膜のSi-Si原子間結合を脆弱化する作用を有している。その吸着および多結晶シリコン膜との化学反応のため研磨速度の向上に寄与している。上記のような脆弱化はシリコン窒化膜、酸化ケイ素膜ではあまり見られないが、pHを5.0以下にすることで、シリコン窒化膜の研磨速度を高くし、その相乗効果で多結晶シリコンのみならず、シリコン窒化膜を高速で研磨することが出来る。本発明のpH範囲では前記添加剤のない状態では、多結晶シリコン膜が疎水性、シリコン窒化膜が親水性、酸化ケイ素膜が親水性であるが、前記添加剤を加えることで多結晶シリコン膜を親水化できる。一般的に親水膜と疎水膜は研磨の際の研磨パッドに係る負荷が異なり、その境界で欠陥が生じやすい。前記添加剤はその欠陥を防ぐ役割も持っている。
【0032】
なお、本発明の添加剤は塩の形態でもよく、好適な塩の例としては、リン酸塩、アルキル塩酸塩(アルキルの炭素数が1~4)、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩であり、好ましくは、リン酸塩、アルキル塩酸塩(アルキルの炭素数が1~4)であり、さらに好ましくはリン酸塩、メチル塩酸塩である。その理由は、リン酸塩のリン、塩酸塩の塩素、硫酸塩の硫黄などによる電子供与と、前記添加剤における酸素二重結合部分等の多結晶シリコン膜への作用とが協働し、化学反応を促進するためと考えられる。
【0033】
上記式1中、R1~R5としての炭素数1~4のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。好適な例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等である。炭素数が5以上となると、本発明の所期の効果を奏しない。その理由はアルキル基の立体障害が大きくなり、研磨対象物と有効に反応しないため、研磨速度が高くならないためである。また、アルキル部分が大きいと、溶解性が悪く、砥粒としてコロイダルシリカを用いた場合、コロイダルシリカの安定性も悪い。
【0034】
NR4におけるR4は、水素原子;水酸基;ニトロ基;ニトロソ基;カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基;またはCONH2であるが、好ましくは、水素原子、または、カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子または非置換の炭素数1~4のアルキル基である。
【0035】
NR5におけるR5は、水素原子;水酸基;ニトロ基;ニトロソ基;カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基;またはCONH2であるが、好ましくは、水素原子、カルボキシル基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基またはCONH2である。R2と、R5とは環を形成してもよく、好ましくは5~7員環を形成する。なお、「環を形成してもよい」とは、R2とR5とが結合して、少なくとも窒素原子を含む環構造(ヘテロ環構造)を形成してもよいことを意味する。
【0036】
本発明の好ましい実施形態は、X1が、Oであり、X2が、NR5であり、R1~R3およびR5の2つ以上が、カルボキシル基、アミノ基または水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基である。また、R1~R3およびR5の1~3つ、好ましくはR1~R3およびR5の2~3つが、カルボキシル基、アミノ基または水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基である場合、他は水素原子であることが好ましい。さらに、本発明の好ましい実施形態は、X1が、Oであり、X2が、NR5であり、R1~R3およびR5のすべてが、カルボキシル基、アミノ基または水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基である。
【0037】
また、本発明の好ましい実施形態は、X1が、NHであり、X2が、NR5であり、R1~R3およびR5が、それぞれ独立して、水素原子;カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基;または-CONH2である。さらに、本発明の好ましい実施形態は、X1が、NHであり、X2が、NR5であり、R1~R3およびR5が、それぞれ独立して、水素原子;またはカルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基である。
【0038】
また、本発明の好ましい実施形態は、X2が、単結合であり、R1~R3が、それぞれ独立して、水素原子、または、カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基である。さらに、本発明の好ましい形態は、X2が、単結合であり、R1~R3が、それぞれ独立して、水素原子、または、炭素数1~4のアルキル基である。
【0039】
また、本発明の好ましい実施形態は、X1が、OまたはNHであり、X2が、単結合またはNR5であり、R1~R3およびR5が、それぞれ独立して、水素原子、または、カルボキシル基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基である。
【0040】
また、本発明の好ましい実施形態は、X1が、Oであり、R2と、R5とが環を形成し、R1およびR3が、それぞれ独立して、水素原子、または、カルボキシル基、アミノ基もしくは水酸基で置換されてもよい炭素数1~4のアルキル基である。
【0041】
また、本発明の好ましい添加剤は、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン、1,3-ジメチル尿素、1,1,3,3-テトラエチル尿素、グアニル尿素リン酸塩、ジメチルイソブチルアミド、1,1-ジエチル尿素、N-エチルアセトアミド、クレアチン水和物、N-アセチルエチレンジアミンまたは2-アセトアミドエタノールであり、より好ましい添加剤は、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルイソブチルアミドまたはクレアチン水和物である。
【0042】
本発明の研磨用組成物中、添加剤の濃度の下限は、1g/L以上であることが好ましく、3g/L以上であることがより好ましく、4g/L以上であることがさらに好ましく、5g/L以上であることがよりさらに好ましい。このような値であれば、本発明の所期の効果を効率よく奏することができる。また、本発明の研磨用組成物中、添加剤の濃度の上限は、20g/L以下であることが好ましく、10g/L以下であることがより好ましく、8g/L以下であることがさらに好ましく、7g/L以下であることがよりさらに好ましい。このような値であれば、本発明の所期の効果を効率よく奏することができる。
【0043】
(pH調整剤)
本発明において、研磨用組成物のpHは、5.0以下である。pHが5.0超であると、本発明の所期の効果を奏することができない。本発明において、研磨用組成物のpHは、5.0以下であればよいが、好ましくは4.6以下、より好ましくは4.3以下である。本発明の所期の効果を効率よく奏することができる。また、下限は特に制限はないが、好ましくは2.0以上であり、より好ましくは3.0以上であり、さらに好ましくは3.5以上である。その理由は、2.0以上であることによって研磨対象物(特には、ポリシリコン)の研磨速度が高くなるからである。
【0044】
酸性の領域に調整するためのpH調整剤の具体例としては、無機化合物および有機化合物のいずれであってもよいが、例えば、硫酸、硝酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸およびリン酸等の無機酸;クエン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、および乳酸などのカルボン酸、ならびにメタンスルホン酸、エタンスルホン酸およびイセチオン酸等の有機硫酸等の有機酸等が挙げられる。また、上記の酸で2価以上の酸(たとえば、硫酸、炭酸、リン酸、シュウ酸など)の場合、プロトン(H+)が1つ以上放出できるようであれば、塩の状態でもよい。具体的には、例えば、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素アンモニウム(カウンター陽イオンの種類は基本的に何でもよいが、弱塩基の陽イオン(アンモニウム、トリエタノールアミンなど)が好ましい)。なお、下がりすぎたpHを調整するため、塩基性の領域に調整するためのpH調整剤を添加してもよい。
【0045】
(研磨対象物)
シリコン窒化膜としては、SiN(窒化ケイ素)、SiCN(炭窒化ケイ素)などが挙げられる。多結晶シリコンとしては、ポリシリコンが代表的である。酸化ケイ素膜としては、TEOS、メチル基を含有する酸化ケイ素、フッ素化酸化ケイ素(SiOF)などが挙げられる。
【0046】
(研磨用組成物の製造方法)
本発明の研磨用組成物の製造方法は、前記砥粒と、前記分散媒と、前記添加剤とを混合することを有し、(研磨用組成物の)pHが、5.0以下である、研磨用組成物を製造することができる方法であれば制限されない。例えば、前記砥粒と、前記添加剤と、必要に応じて他の成分とを、前記分散媒中で攪拌混合することにより得ることができる。
【0047】
前記砥粒、前記分散媒、および前記添加剤の具体的な説明は、上記の説明が妥当する。また、他の成分としては、pH調整剤、酸化剤、還元剤、界面活性剤、水溶性高分子、防カビ剤等の成分が挙げられる。上記各成分の添加順、添加方法は特に制限されない。上記各成分を、一括してもしくは別々に、段階的にもしくは連続して加えてもよい。また、混合方法も特に制限されず、公知の方法を用いることができる。各成分を混合する際の温度は特に制限されないが、10~40℃が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も特に制限されず、例えば、5~60分が好ましく、10~30分がより好ましい。加えて、上記研磨用組成物の製造方法は、pHが5以下となるように、研磨用組成物のpHを測定し、調整することをさらに含んでいてもよい。
【0048】
(研磨方法)
本発明においては、前記研磨用組成物を用いて、または前記製造方法によって研磨用組成物を得、当該研磨用組成物を用いて、研磨対象物を研磨する、研磨方法も提供される。
【0049】
研磨装置としては、研磨対象物を有する基板等を保持するホルダーと回転数を変更可能なモータ等とが取り付けてあり、研磨パッド(研磨布)を貼り付け可能な研磨定盤を有する一般的な研磨装置を使用することができる。
【0050】
前記研磨パッドとしては、一般的な不織布、ポリウレタン、および多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用することができる。研磨パッドには、研磨用組成物が溜まるような溝加工が施されていることが好ましい。
【0051】
研磨条件にも特に制限はなく、例えば、研磨定盤の回転速度は、10~500rpmが好ましく、キャリア回転速度は、10~500rpmが好ましく、研磨対象物を有する基板にかける圧力(研磨圧力)は、0.1~10psiが好ましい。研磨パッドに研磨用組成物を供給する方法も特に制限されず、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法が採用される。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に本発明の研磨用組成物で覆われていることが好ましい。
【0052】
(多結晶シリコンおよびシリコン窒化膜の研磨速度を向上し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑制する方法)
本発明においては、前記研磨用組成物を使って研磨することを有する、多結晶シリコンおよびシリコン窒化膜の研磨速度を向上し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑制する方法も提供される。前記研磨用組成物の具体的な説明は、上記の説明が妥当する。
【0053】
(研磨速度)
本発明において、ポリシリコンの研磨速度(Å/min)、SiN(窒化ケイ素膜)の研磨速度(Å/min)およびTEOS(酸化ケイ素膜)の研磨速度(Å/min)が、それぞれ、500(Å/min)以上、300(Å/min)以上、100(Å/min)以下であると好ましい。より好ましくは、それぞれ、980(Å/min)以上、370(Å/min)以上、35(Å/min)以下である。なお、上記各研磨速度は、実施例に記載の方法により測定された値である。
【0054】
(選択比)
SiN(窒化ケイ素膜)の研磨速度(Å/min)からTEOS(酸化ケイ素膜)の研磨速度(Å/min)を除した値と、ポリシリコンの研磨速度(Å/min)からTEOS(酸化ケイ素膜)の研磨速度(Å/min)を除した値と、ポリシリコンの研磨速度(Å/min)からSiN(窒化ケイ素膜)の研磨速度(Å/min)を除した値とを算出して、選択比とすると、本発明において、選択比(SiN/TEOS)、選択比(Poly-Si/TEOS)、選択比(Poly-Si/SiN)は、それぞれ、5.0以上、3.0以上、4.0以下が好ましく、10以上、25以上、2.10以下であることがより好ましい。なお、上記選択比は、実施例に記載の方法により測定された各研磨速度に基づき決定される値である。
【実施例】
【0055】
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)/相対湿度40~50%RHの条件下で行われた。
【0056】
<研磨用組成物の製造>
(実施例1)
研磨用組成物を、砥粒(スルホン酸固定コロイダルシリカ;平均一次粒子径:約14nm、平均二次粒子径:約32nm、D90/D10:約2.0と;pH調整剤として硫酸と;添加剤としてテトラメチル尿素と;を、砥粒濃度が3.0質量%となるように、テトラメチル尿素の濃度が6.00g/Lとなるように、また、pHが4.0となるように、分散媒(純水)中で混合することにより調製した(混合温度:約25℃、混合時間:約10分)。なお、実施例7、16、17の砥粒の平均二次粒子径は約67nmである。
【0057】
なお、砥粒の平均一次粒子径は、マイクロメリテックス社製の“Flow SorbII 2300”を用いて測定されたBET法による砥粒の比表面積と、砥粒の密度とから算出した。
【0058】
また、研磨用組成物(液温:25℃)のpHは、pHメータ(株式会社 堀場製作所製 型番:LAQUA)により確認した。
【0059】
また、研磨用組成物(液温:25℃)の電気伝導度([mS/cm])は、株式会社堀場製作所製の電気伝導率計を用いて測定した。
【0060】
(実施例2~17、比較例1~16)
砥粒の平均一次粒子径と、砥粒濃度と、添加剤の種類と、添加剤の濃度と、pH調整剤と、pHとを、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして研磨用組成物を作製した。
【0061】
<研磨性能評価>
研磨対象物として、
・200mmウェハ(Poly-Si(ポリシリコン))、
・200mmウェハ(SiN(窒化ケイ素膜))、
・200mmウェハ(TEOS(酸化ケイ素膜))、
を準備し、上記で得られた研磨用組成物を用いて、各ウェハを以下の研磨条件で研磨し、研磨速度を測定した。また選択比を算出した。
【0062】
(研磨条件)
研磨機:200mmウェハ用CMP片面研磨機
研磨パッド:ポリウレタン製パッド(IC1010:ロームアンドハース社製)
圧力:3psi(約20.7kPa)
プラテン(定盤)回転数:90rpm
ヘッド(キャリア)回転数:87rpm
研磨用組成物の流量:130ml/min
研磨時間:1分間。
【0063】
(研磨速度)
研磨速度(研磨レート)は、以下の式により計算した。
【0064】
【0065】
膜厚は、光干渉式膜厚測定装置(ケーエルエー・テンコール(KLA)株式会社製 型番:ASET)によって求めて、その差を研磨時間で除することにより評価した。結果を表1に示す。
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
<考察>
上記結果のとおり、本発明の研磨用組成物によれば、本発明は、多結晶シリコンのみならず、シリコン窒化膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができていることが分かる。なお、上記のように、より好ましくは、ポリシリコンの研磨速度(Å/min)、SiN(窒化ケイ素膜)の研磨速度(Å/min)およびTEOS(酸化ケイ素膜)の研磨速度(Å/min)が、それぞれ980(Å/min)以上、370(Å/min)以上、35(Å/min)以下であり、選択比(SiN/TEOS)、選択比(Poly-Si/TEOS)、選択比(Poly-Si/SiN)が、それぞれ、10以上、25以上、2.10以下であるが、テトラメチル尿素(実施例1、14~16)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(実施例2)、ジメチルイソブチルアミド(実施例8)またはクレアチン水和物(実施例11)は、これらの好ましい特性をバランスよく満たしており、特に好適であることが示唆される。
【0070】
これに対し、比較例の研磨用組成物は、多結晶シリコンおよびシリコン窒化膜の少なくとも一方を高速で研磨することができず、さらに、組成によっては、酸化ケイ素膜の研磨速度も抑制することもできていない。より具体的には、比較例1~11の添加剤は、本発明の特定の構造を有していないため、本発明の所期の効果を達成することができていない。また、添加剤を添加しなかった比較例12は、多結晶シリコンおよびシリコン窒化膜の研磨速度がいずれも低速である。比較例13、14は、本発明の特定の構造を有する添加剤を添加しているが、pHが5.0超であるため、本発明の所期の効果を達成することができていない。比較例15、16も、本発明の特定の構造を有する添加剤を添加しているが、砥粒の表面修飾がなされていないため、本発明の所期の効果を達成することができていない。
【0071】
上記のとおり、本発明者らは、CMPの半導体製造における各工程への適用を検討する中で、多結晶シリコンのみならず、シリコン窒化膜を高速で研磨することが製造上好ましい場合があることを知見し、酸化ケイ素膜については、研磨速度を極力低くさせる方が製造上好ましい場合があることを知見したが、本発明においては、当該未知の課題を解決できた点で、画期的なものと言える。
【0072】
また、一般的に要求が多くなるほど、すべてを満たす手段の提供は困難となるが、本発明は、(1)多結晶シリコンのみならず、(2)シリコン窒化膜を高速で研磨し、かつ、(3)酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えるとの多くの要求に応えることができる点で画期的なものと言える。
【0073】
本出願は、2017年1月11日に出願された日本国特許出願第2017-002695号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として組み入れられている。