(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】基板洗浄装置および基板洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
H01L21/304 644B
H01L21/304 644C
H01L21/304 622Q
(21)【出願番号】P 2019134833
(22)【出願日】2019-07-22
【審査請求日】2022-06-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】中野 央二郎
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】実開平1-107129(JP,U)
【文献】特開平8-141518(JP,A)
【文献】特開2005-228961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持機構と、
前記基板保持機構に保持された前記基板を回転させる回転機構と、
前記基板を洗浄する洗浄機構と、を備え、
前記洗浄機構は、
支柱と、
前記支柱から延出し、高さ位置が非変動となるアームと、
前記アームに支持され、前記基板の表面に当接することで前記表面を洗浄する洗浄具と、
前記洗浄具を、前記基板から離れた上昇位置と前記基板に当接する下降位置との間で前記アームに対して昇降させる昇降機構と、
少なくとも前記洗浄具が下降する際の速度を制御する制御部と、を備え
、
前記昇降機構は、前記アームに接続されたシリンダと、前記シリンダを用いて前記洗浄具の高さを調整する昇降体と、弾性反発力によって前記昇降体を上昇方向に付勢する付勢体と、を有する、
基板洗浄装置。
【請求項2】
前記基板を外周側から囲むカバーをさらに備える、請求項1記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記昇降機構は、
前記シリンダに流体を供給する流体供給部
をさらに備え、
前記昇降体は、前記シリンダ内の前記流体の圧力に応じて前記洗浄具の高さを調整する、請求項1または2記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記シリンダへの前記流体の供給量を調整することによって前記洗浄具が下降する際の速度を制御する、請求項3記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記アームは、前記支柱を軸として回動することによって、前記基板の厚さ方向と平行に見て前記洗浄具が前記基板に重なる洗浄可能位置と、前記洗浄具が前記基板から外れる退避位置とを切り替え可能である、請求項1~
4のうちいずれか1項に記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄機構を複数備える、請求項1~
5のうちいずれか1項に記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
請求項1~
6のうちいずれか1項に記載の基板洗浄装置を用いて基板を洗浄する基板洗浄方法であって、
前記制御部は、前記洗浄具が前記上昇位置から前記下降位置まで下降する際の速度を段階的または連続的に低くする、基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板洗浄装置および基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ等の基板を洗浄する装置は、例えば、基板を保持する基板保持機構と、基板を回転させる回転機構と、基板を洗浄する洗浄機構とを備える。洗浄機構は、伸縮可能な支柱と、支柱から水平に延出するアームと、アームに支持された洗浄具と、洗浄具を昇降させる昇降機構とを備える(例えば、特許文献1を参照)。
基板洗浄装置は、支柱の短縮などにより洗浄具を下降させて基板の表面に当接させた状態で基板を回転させることによって、この基板の表面を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記基板洗浄装置では、洗浄具を支持するための構造(支柱等)が複雑でサイズが大きく、広い設置スペースが必要であった。そのため、洗浄機構の増設などの設計変更に対応しにくかった。また、前記基板洗浄装置では、基板の保護のため、洗浄具が基板に当接するときに基板に加えられる荷重を抑制することが求められていた。
【0005】
本発明の一態様は、洗浄具を支持する構造を小型化でき、かつ、洗浄具によって基板に加えられる荷重を抑制できる基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、基板を保持する基板保持機構と、前記基板保持機構に保持された前記基板を回転させる回転機構と、前記基板を洗浄する洗浄機構と、を備え、前記洗浄機構は、支柱と、前記支柱から延出し、高さ位置が非変動となるアームと、前記アームに支持され、前記基板の表面に当接することで前記表面を洗浄する洗浄具と、前記洗浄具を、前記基板から離れた上昇位置と前記基板に当接する下降位置との間で前記アームに対して昇降させる昇降機構と、少なくとも前記洗浄具が下降する際の速度を制御する制御部と、を備える基板洗浄装置を提供する。
【0007】
前記基板洗浄装置は、前記基板を外周側から囲むカバーをさらに備えることが好ましい。
【0008】
前記昇降機構は、流体を供給する流体供給部と、前記流体が供給されるシリンダと、前記シリンダ内の前記流体の圧力に応じて前記洗浄具の高さを調整する昇降体と、を備えることが好ましい。
【0009】
前記制御部は、前記シリンダへの前記流体の供給量を調整することによって前記洗浄具が下降する際の速度を制御することが好ましい。
【0010】
前記昇降機構は、前記流体の圧力が上昇したときの前記昇降体の移動方向とは反対の方向に前記昇降体を付勢する付勢体をさらに備えることが好ましい。
【0011】
前記アームは、前記支柱を軸として回動することによって、前記基板の厚さ方向と平行に見て前記洗浄具が前記基板に重なる洗浄可能位置と、前記洗浄具が前記基板から外れる退避位置とを切り替え可能であることが好ましい。
【0012】
前記基板洗浄装置は、前記洗浄機構を複数備えることが好ましい。
【0013】
本発明の他の態様は、前記基板洗浄装置を用いて基板を洗浄する基板洗浄方法であって、制御部は、前記洗浄具が前記上昇位置から前記下降位置まで下降する際の速度を段階的または連続的に低くする、基板洗浄方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、洗浄具を支持する構造を小型化でき、かつ、洗浄具が基板に当接するときに基板に加えられる荷重を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の基板洗浄装置の模式図である。
【
図2】第1実施形態の基板洗浄装置を用いた基板処理装置の平面図である。
【
図4】洗浄具および昇降機構の動作を説明する模式図である。
【
図5】アームの動作の一例を説明する模式図である。
【
図6】昇降機構のシリンダの内圧の変化の一例を示す図である。
【
図7】第2実施形態の基板洗浄装置の洗浄具および昇降機構の模式図である。
【
図8】実施例1において基板に加えられる荷重を示す図である。
【
図9】実施例2において基板に加えられる荷重を示す図である。
【
図10】比較例1において基板に加えられる荷重を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態の基板洗浄装置10の模式図である。
図2は、基板洗浄装置10を用いた基板処理装置100の平面図である。
図2に示すように、基板処理装置100は、略矩形状のハウジング1を備えている。ハウジング1の内部は隔壁1a,1bによってロード/アンロード部2と研磨部3と洗浄部4とに区画されている。ロード/アンロード部2、研磨部3、および洗浄部4は、それぞれ独立に組み立てられ、独立に排気される。基板処理装置100は、基板処理動作を制御する制御部5を有している。
【0017】
ロード/アンロード部2は、多数のウェハ(基板)をストックするウェハカセットが載置される2つ以上(本実施形態では4つ)のフロントロード部20を備えている。フロントロード部20はハウジング1に隣接して配置され、基板処理装置の幅方向(長手方向と垂直な方向)に沿って配列されている。フロントロード部20には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIF、FOUPは、内部にウェハカセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0018】
ロード/アンロード部2には、フロントロード部20の並びに沿って走行機構21が敷設されている。走行機構21上には、ウェハカセットの配列方向に沿って移動可能な2台の搬送ロボット(ローダー)22が設置されている。搬送ロボット22は、走行機構21上を移動することによってフロントロード部20に搭載されたウェハカセットにアクセスできる。各搬送ロボット22は、上側および下側のハンドを備えている。搬送ロボット22は、上側のハンドを、処理されたウェハをウェハカセットに戻すときに使用する。搬送ロボット22は、下側のハンドを、処理前のウェハをウェハカセットから取り出すときに使用する。搬送ロボット22の下側のハンドは、その軸心周りに回転することで、ウェハを反転させることができる。
【0019】
ロード/アンロード部2は最もクリーンな状態を保つ必要がある領域である。ロード/アンロード部2の内部は、基板処理装置外部、研磨部3、および洗浄部4のいずれよりも高い圧力に常時維持されている。ロード/アンロード部2には、HEPAフィルタ、ULPAフィルタ、またはケミカルフィルタなどのクリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられている。このフィルタファンユニットからは、パーティクル、有毒蒸気、および有毒ガスなどが除去されたクリーンエアが常時吹き出している。
【0020】
研磨部3は、ウェハの研磨(平坦化)が行われる領域であり、第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、および第4研磨ユニット3Dを備えている。第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、および第4研磨ユニット3Dは、基板処理装置100の長手方向に沿って配列されている。
研磨部3は研磨液としてスラリーを用いるため、研磨部3の内部には負圧が形成され、その圧力は洗浄部4の内部圧力よりも低く維持されている。
【0021】
第1研磨ユニット3Aは、研磨テーブル30Aと、トップリング31Aと、研磨液供給ノズル32Aと、ドレッサ33Aと、アトマイザ34Aとを備えている。研磨テーブル30Aは、研磨面を有する研磨パッド10Aが取り付けられている。トップリング31Aは、ウェハを保持しかつウェハを研磨テーブル30A上の研磨パッド10Aに押圧しながら研磨する。研磨液供給ノズル32Aは、研磨パッド10Aに研磨液やドレッシング液(例えば、純水)を供給する。ドレッサ33Aは、研磨パッド10Aの研磨面のドレッシングを行う。アトマイザ34Aは、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合流体または液体(例えば純水)を霧状にして研磨面に噴射する。
【0022】
第2研磨ユニット3Bは、研磨パッド10Aが取り付けられた研磨テーブル30Bと、トップリング31Bと、研磨液供給ノズル32Bと、ドレッサ33Bと、アトマイザ34Bとを備えている。第3研磨ユニット3Cは、研磨パッド10Aが取り付けられた研磨テーブル30Cと、トップリング31Cと、研磨液供給ノズル32Cと、ドレッサ33Cと、アトマイザ34Cとを備えている。第4研磨ユニット3Dは、研磨パッド10Aが取り付けられた研磨テーブル30Dと、トップリング31Dと、研磨液供給ノズル32Dと、ドレッサ33Dと、アトマイザ34Dとを備えている。
【0023】
第1研磨ユニット3Aの研磨テーブル30Aの上面には研磨パッド10Aが貼付されている。研磨パッド10Aの上面はウェハを研磨する研磨面を構成する。研磨テーブル30Aは、軸心周りに回転する。ウェハは、トップリング31Aの下面に真空吸着により保持される。研磨時には、研磨液供給ノズル32Aから研磨パッド10Aの研磨面に研磨液が供給される。研磨対象であるウェハは、トップリング31Aにより研磨パッド10Aの研磨面に押し当てられて研磨される。
第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、および第4研磨ユニット3Dは、第1研磨ユニット3Aと同一の構成を有している。
【0024】
第1研磨ユニット3Aおよび第2研磨ユニット3Bに隣接して、第1リニアトランスポータ6が配置されている。第1リニアトランスポータ6は、研磨ユニット3A,3Bが配列する方向に沿って並ぶ4つの搬送位置の間でウェハを搬送する。前記4つの搬送位置は、ロード/アンロード部側から順番に第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4である。
第1リニアトランスポータ6の近傍には、仮置き台180が設けられている。
【0025】
第3研磨ユニット3Cおよび第4研磨ユニット3Dに隣接して、第2リニアトランスポータ7が配置されている。第2リニアトランスポータ7は、研磨ユニット3C,3Dが配列する方向に沿って並ぶ3つの搬送位置の間でウェハを搬送する。前記3つの搬送位置は、ロード/アンロード部側から順番に第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7である。
【0026】
ウェハは、第1リニアトランスポータ6によって研磨ユニット3A,3Bに搬送される。上述したように、第1研磨ユニット3Aのトップリング31Aは、研磨位置と第2搬送位置TP2との間を移動する。したがって、トップリング31Aへのウェハの受け渡しは第2搬送位置TP2で行われる。同様に、第2研磨ユニット3Bのトップリング31Bは研磨位置と第3搬送位置TP3との間を移動する。トップリング31Bへのウェハの受け渡しは第3搬送位置TP3で行われる。第3研磨ユニット3Cのトップリング31Cは研磨位置と第6搬送位置TP6との間を移動する。トップリング31Cへのウェハの受け渡しは第6搬送位置TP6で行われる。第4研磨ユニット3Dのトップリング31Dは研磨位置と第7搬送位置TP7との間を移動する。トップリング31Dへのウェハの受け渡しは第7搬送位置TP7で行われる。
【0027】
第1搬送位置TP1には、搬送ロボット22からウェハを受け取るためのリフタ11が配置されている。リフタ11は、ウェハを搬送ロボット22から第1リニアトランスポータ6に渡す。
第1リニアトランスポータ6と、第2リニアトランスポータ7と、洗浄部4との間にはスイングトランスポータ12が配置されている。スイングトランスポータ12は、第4搬送位置TP4と第5搬送位置TP5との間を移動可能なハンドを有している。スイングトランスポータ12は、第1リニアトランスポータ6から第2リニアトランスポータ7へウェハを受け渡す。ウェハは、第2リニアトランスポータ7によって第3研磨ユニット3Cおよび/または第4研磨ユニット3Dに搬送される。研磨部3で研磨されたウェハはスイングトランスポータ12を経由して洗浄部4に搬送される。
【0028】
洗浄部4は、第1洗浄室190と、第1搬送室191と、第2洗浄室192と、第2搬送室193と、乾燥室194とに区画されている。
第1洗浄室190には、一次洗浄モジュール201が設けられている。一次洗浄モジュール201は、第1洗浄室190内に高さ位置を違えて2つ設けられ、それらが切り替え使用されてもよい。第1搬送室191には、第1搬送ロボット209が設けられている。第2洗浄室192には、二次洗浄モジュール202が設けられている。二次洗浄モジュール202は、第2洗浄室192内に高さ位置を違えて2つ設けられ、それらが切り替え使用されてもよい。第2搬送室193には、第2搬送ロボット210が設けられている。乾燥室194には、乾燥モジュール205が設けられている。乾燥モジュール205は、乾燥室194内に高さ位置を違えて2つ設けられ、それらが切り替え使用されてもよい。
【0029】
第1搬送ロボット209は、仮置き台180と、一次洗浄モジュール201と、二次洗浄モジュール202との間でウェハWを搬送する。第2搬送ロボット210は、二次洗浄モジュール202と、乾燥モジュール205との間でウェハWを搬送する。
【0030】
一次洗浄モジュール201と二次洗浄モジュール202とは、同一構成を有する。一次洗浄モジュール201および二次洗浄モジュール202としては、例えば、
図1に示す基板洗浄装置10が用いられる。
【0031】
図1に示すように、基板洗浄装置10は、基板保持機構40と、回転機構50と、複数の洗浄機構60と、カバー70とを備える。
なお、以下、
図1に即して基板洗浄装置10の各部の位置関係を説明する。
図1において、ウェハWの上面は被洗浄面である。
図1における上下方向は高さ方向である。基板保持機構40の中心軸C1は、例えば鉛直方向に沿う。ここで定めた基板洗浄装置10の姿勢は、基板洗浄装置の使用時の姿勢を限定しない。
【0032】
基板保持機構40は、複数の保持部41を備える。保持部41は、基柱部42と、係止部43とを備える。係止部43は基柱部42の上端に設けられている。係止部43はウェハWの周縁部に係止する。保持部41は、係止部43がウェハWの周縁部に係止することによってウェハWを保持する。複数の保持部41は、ウェハWの周方向に位置を違えて設けられている。
【0033】
C1は基板保持機構40の中心軸である。中心軸C1は高さ方向に沿う。基板保持機構40は、ウェハWの中心軸を中心軸C1に一致させてウェハWを保持する。基板保持機構40は、ウェハWを水平な状態で保持できることが好ましい。
なお、基板保持機構の構成は特に限定されない。例えば、係止部43に代えて、ウェハWの周縁部に押圧状態で当接しつつ自転する円柱状の保持体(図示略)を用いてもよい。
【0034】
回転機構50は、駆動部51と、回転軸52と、基台53とを備える。回転機構50は、駆動部51によって回転軸52および基台53を中心軸C1周りに回転させることで、保持部41を中心軸C1周りに回転させる。回転機構50は、保持部41の回転によってウェハWを中心軸C1周りに回転させる。駆動部51は、例えばモータである。
なお、回転機構は、ウェハを回転させることができればよく、その構成は特に限定されない。回転機構は、例えば、ローラ状の複数の保持体を備えていてもよい。ローラ状の保持体は、ウェハWの周縁部を保持し、自転によりウェハWを回転させる。
【0035】
洗浄機構60は、支柱61と、アーム62と、洗浄具63と、昇降機構64と、洗浄具回転機構65と、アーム回動部66と、制御部67とを備える。
支柱61は、例えば、設置面から上方に延びる。支柱61には、伸縮機構、昇降機構などが設けられていないため、構造は簡略である。そのため、支柱61が必要とする設置スペースは小さい。
【0036】
アーム62は、支柱61の上端から、支柱61に対して交差する方向に延出する。アーム62は、例えば、支柱61の上端から水平に延出する。支柱61に伸縮機構、昇降機構などが設けられていないため、支柱61の上端の高さ位置は変わらない。そのため、アーム62の高さ位置は変動しない。アーム62は、高さ位置を一定に維持して動作する。
支柱61およびアーム62は、洗浄具63を支持している。
【0037】
図3は、洗浄具63および昇降機構64の模式図である。
図3に示すように、洗浄具63は、軸部63aと、保持部63bと、洗浄部材63cとを備える。軸部63aは、中心軸C1と平行な中心軸C2を有する。保持部63bは、軸部63aの下端に設けられている。保持部63bは洗浄部材63cを保持する。洗浄部材63cは、例えば、吸液性を有する弾性材料である。洗浄部材63cは、例えば、多孔質の樹脂材料で構成される。洗浄部材63cを構成する樹脂材料としては、例えば、PVF(ポリビニルホルマール)、PVA(ポリビニルアルコール)、発泡ポリウレタンなどが挙げられる。洗浄部材63cは、例えば、中心軸C2に沿う中心軸を有する円柱状に形成されている。洗浄部材63cは、ウェハWの表面(上面)に当接することでこの表面を洗浄する。洗浄具63は、軸部63aの中心軸C2周りに回転可能である。洗浄具63は、「ペン型」または「ペンシル型」と呼ばれる洗浄具である。洗浄具63は上下動可能である。
【0038】
昇降機構64は、昇降駆動部64aと、支持体64bと、付勢体64cとを備える。
昇降駆動部64aは、例えば、流体供給部(図示略)と、シリンダ64dと、昇降体64eと、連結部64fとを備える。前記流体供給部は、エア(空気)などの流体の供給源である。シリンダ64dには、供給経路64gを通して前記流体供給部から流体が供給される。昇降体64eは、シリンダ64d内に昇降自在に設けられている。昇降体64eは、シリンダ64d内の流体の圧力に応じて昇降し、洗浄具63の高さ位置を調整することができる。例えば、シリンダ64d内の圧力が上昇すると、昇降体64eは下降する。流体は、気体であることが好ましい。連結部64fは、昇降体64eと支持体64bとを連結する。
【0039】
支持体64bは、洗浄具63の軸部63aの上端に連結されている。支持体64bは、軸部63aに対して交差する方向(例えば、水平方向)に延在する。付勢体64cはアーム62に比べて高い位置にある。支持体64bは、アーム62の一部と対向する位置にある。
【0040】
付勢体64cは、例えば、コイルスプリングなどの弾性体である。付勢体64cの上端は支持体64bに取り付けられている。付勢体64cの下端はアーム62に取り付けられている。付勢体64cは、シリンダ64d内の流体の圧力が上昇したときの昇降体64eの移動方向(すなわち、下方)とは反対の方向に昇降体64eを付勢することができる。
【0041】
図4は、洗浄具63および昇降機構64の動作を説明する模式図である。
図3および
図4に示すように、昇降機構64は、例えば、流体供給部(図示略)からシリンダ64dへの流体の供給流量を調整することによってシリンダ64dの内圧を調節し、昇降体64eを上昇または下降させる。例えば、シリンダ64d内の昇降体64eの上側の空間の内圧を高めれば、昇降体64eは下降する。昇降体64eの下側の空間の内圧を高めれば、昇降体64eは上昇する。流体の供給流量を調整するには、例えば、電空レギュレータを使用できる。
昇降機構64は、洗浄具63(詳しくは洗浄部材63c)を、ウェハWから離れた上昇位置P1(
図3参照)と、ウェハWに当接する下降位置P2(
図4参照)との間でアーム62に対して昇降させる。
【0042】
洗浄具回転機構65は、回転駆動部65aと、駆動ベルト65bとを備える。回転駆動部65aは、例えばモータである。回転駆動部65aは、アーム62に取り付けられている。駆動ベルト65bは、回転駆動部65aの駆動力を軸部63aに伝え、洗浄具63を軸周り(中心軸C2周り)に回転させる。
【0043】
図1に示すように、アーム回動部66は、例えばモータである。アーム回動部66は、アーム62を支柱61の中心軸C3周りに回動させる。中心軸C3は、中心軸C1と平行である。
【0044】
図5は、アーム62の動作の一例を説明する模式図である。
図5は、中心軸C1と平行な方向から見た図(平面図)である。
図5に示すOは、ウェハWの中心である。
図5に示すように、アーム回動部66(
図1参照)は、支柱61を軸としてアーム62を回動させることによって、アーム62を、洗浄可能位置P3と退避位置P4との間で移動させる。洗浄可能位置P3は、平面視において洗浄具63がウェハWに重なる位置である。退避位置P4は、平面視において洗浄具63がウェハWから外れる位置である。洗浄可能位置P3と退避位置P4との間を移動する洗浄具63は、中心軸C3周りの円弧状の軌道R1に沿って移動する。なお、平面視とは、例えば、ウェハWの厚さ方向と平行に見ることをいう。
基板洗浄装置10では、洗浄具63が退避位置P4にあるときに、基板保持機構40に対するウェハWの装着および取り外しが可能となる。
【0045】
図1に示すように、制御部67は、洗浄機構60の動作を統括的に制御する。制御部67は、例えば、昇降機構64、洗浄具回転機構65、アーム回動部66などの動作を制御する。制御部67は、昇降機構64によって洗浄具63が下降する際の速度を制御できる。
【0046】
カバー70は、円筒状に形成されている。カバー70の内径はウェハWの外径より大きい。カバー70は、基板保持機構40に保持されたウェハWを外周側から囲むように配置することができる。カバー70の上端を含む部分は、上方に向かって徐々に縮径する。カバー70は、ウェハWを回転させたときの洗浄液の飛沫を受けることができる。
カバー70は、上下動可能に構成されており、ウェハWを囲む上昇位置と、ウェハWの高さ位置を外れる下降位置とを切り替え可能である。上昇位置において、カバー70の上端はウェハWより高い位置にある。
【0047】
次に、
図1、
図3および
図4を参照しつつ、基板洗浄装置10を用いてウェハWを洗浄する方法について説明する。
図1に示すように、ウェハWを基板保持機構40に保持させ、ウェハWを回転機構50によって中心軸C1周りに回転させる。図示しない洗浄液供給部から洗浄液をウェハWの表面に供給する。
図3に示すように、この段階では、洗浄具63はウェハWより高い上昇位置P1にある。
【0048】
アーム回動部66は、アーム62を、支柱61を軸として必要に応じて回動させ、洗浄可能位置P3(平面視において洗浄具63がウェハWに重なる位置)に配置する。洗浄具回転機構65は、洗浄具63を中心軸C2周りに回転させる。
【0049】
図4に示すように、昇降機構64は、例えば、流体供給部(図示略)からシリンダ64dへの流体の供給流量を調整することによってシリンダ64dの内圧を高め、昇降体64eを下降させる。洗浄具63は昇降体64eに連結されているため、昇降体64eに連動して洗浄具63も下降する。洗浄具63の洗浄部材63cはウェハWの上面に当接する。このときの洗浄具63の位置を下降位置P2という。
【0050】
支持体64bは洗浄具63に連結されているため、洗浄具63とともに支持体64bも下降する。支持体64bは下降によりアーム62に近づくため、付勢体64cは圧縮される。
【0051】
制御部67は、昇降機構64によって洗浄具63が下降する際の速度を制御する。
図6は、制御部67から前記流体供給部のシリンダ64dの内圧を調整するための圧力レギュレータ(不図示)に送信されるシリンダ64dの内圧指令値の時間変化の3例を模式的に示す図である。図中、「二重線矢印のみ」、「二重線矢印と三重線矢印の組合せ」、「白矢印」は、それぞれ後述の(実施例1)、(実施例2)、(比較例1)でのシリンダ64dの内圧指令値の変化を模式的に示す。
図6に示すように、前記実施例1,2および比較例1で、それぞれ制御部67は、シリンダ64dの内圧を複数段階(詳しくは5,6段階)または無段階で増加させる。初期段階において、洗浄具63は上昇位置P1(
図3参照)にあり、シリンダ64dの内圧は0kPa(ゲージ圧)である。
【0052】
第1段階S1では、シリンダ64dの内圧を0kPaから11.8kPaまで高める。第2段階S2では、シリンダ64dの内圧を11.8kPaから23.6kPaまで高める。第2段階S2におけるシリンダ64dの平均内圧は、第1段階S1におけるシリンダ64dの平均内圧より大きい。第3段階S3では、シリンダ64dの内圧を23.6kPaから35.4kPaまで高める。第3段階S3におけるシリンダ64dの平均内圧は、第2段階S2におけるシリンダ64dの平均内圧より大きい。第4段階S4では、シリンダ64dの内圧を35.4kPaから47.2kPaまで高める。第4段階S4におけるシリンダ64dの平均内圧は、第3段階S3におけるシリンダ64dの平均内圧より大きい。第5段階S5では、シリンダ64dの内圧を47.2kPaから59.0kPaまで高める。第5段階S5におけるシリンダ64dの平均内圧は、第4段階S4におけるシリンダ64dの平均内圧より大きい。第1段階S1から第5段階S5の各段階の内圧の上昇速度は互いに同じであってよい。
第5段階S5の終了時には、洗浄具63(詳しくは洗浄部材63c)はウェハWに近接するが、まだウェハWに当接していない。
なお、シリンダ64dの内圧が段階的に上昇する場合の段階の数は特に限定されず、2以上の任意の数であってよい。
【0053】
第1段階S1から第5段階S5において段階が上がるときには、時間的な間隔tn(インターバル)を設けることができる。すなわち、第n段階Snと第n+1段階Sn+1との間(n:1~4の整数)にインターバルtnを設けることができる。インターバルtnは、0.1秒以上(例えば0.1秒~1秒)としてよい。インターバルにおいては、シリンダ64dの内圧は一定であってよい。
【0054】
第1段階S1から第5段階S5の各段階の内圧の上昇幅は一定であるのに対して、付勢体64cの弾性反発力は、第1段階S1から第5段階S5にかけて洗浄具63の下降とともに強くなる。そのため、洗浄具63の下降速度は段階ごとに徐々に低くなる。すなわち、洗浄具63は段階ごとに減速する。インターバルを設ける場合、洗浄具63の下降速度は段階的に低くなる。
第1段階S1から第5段階S5において段階が上がるときのインターバルはなくてもよい。シリンダ64dの内圧指令値は時間に比例させて連続的に上昇してもよいし、段階的に上昇してもよい。洗浄具63の下降速度は第1段階S1から第5段階S5にかけて連続的に低くなってもよいし、段階的に低くなってもよい。
【0055】
制御部67は、第5段階S5の終了後、シリンダ64dの内圧をさらに上昇させる。シリンダ64dの内圧は、第5段階S5の後、第6段階S6に移行する。第6段階S6では、シリンダ64dの内圧を59.0kPaから、例えば74.9kPaまで高める。第6段階S6におけるシリンダ64dの平均内圧は、第5段階S5におけるシリンダ64dの平均内圧より大きい。
洗浄具63(詳しくは洗浄部材63c)は、第6段階S6において下降位置P2に達してウェハWに当接する。洗浄位置P1から下降位置P2に至る過程において、洗浄具63の下降速度は下降位置P2で最も低くなる。下降位置P2では、ウェハWとの当接による洗浄部材63cの弾性圧縮により、洗浄具63に、上方向への反発力が加えられる。洗浄具63には、付勢体64cにより上方向への弾性反発力も加えられる。
【0056】
第5段階S5と第6段階S6との間には、時間的な間隔(インターバル)t5があってもよい。このインターバルt5は、0.3秒以上(例えば0.3秒~1秒)としてよい。インターバルt5においては、シリンダ64dの内圧は変化せず一定であってもよい。第5段階S5と第6段階S6との間のインターバルt5は、第1段階S1から第5段階S5までのインターバルt1~t4より長いことが好ましい。
【0057】
洗浄具の下降動作のストロークが大きい場合には、洗浄具がウェハに当接する際にウェハに加えられる荷重は大きくなりやすい。
図1等に示す基板洗浄装置10は、支柱61に伸縮機構等がないためアーム62の高さが非変動であることから、昇降機構64のみにより洗浄具63を下降させる。そのため、基板洗浄装置10は、洗浄具63のストロークが大きくなりやすい構造を有するといえる。しかし、基板洗浄装置10は、制御部67によって洗浄具63が下降する際の速度を制御することができるため、洗浄具63がウェハWに当接する際の速度を低くし、ウェハWに加えられる荷重を抑制できる。よって、ウェハWの破損を防ぐことができる。
【0058】
基板洗浄装置10では、洗浄機構60の支柱61の構造が簡略であるため、洗浄具63を支持する構造を小型化し、その設置スペースを小さくできる。そのため、空いたスペースに新たに洗浄機構を増設することなどによって、洗浄性能を高めることができる。基板洗浄装置10は、洗浄機構60の支柱61の構造が簡略であるため、低コスト化を図ることもできる。
基板洗浄装置10では、制御部67によって洗浄具63が下降する際の速度を制御することができるため、ウェハWに達する前の洗浄具63の下降速度(例えば、第1段階S1から第4段階S4までの下降速度)を高くし、洗浄処理の効率を高めることができる。
【0059】
図6に示すように、シリンダ64dの内圧は段階的に高められるため、無段階でシリンダ64dの内圧を高める場合に比べて、洗浄具63がウェハWに近接した時点(第5段階S5の終了時)での洗浄具63の下降速度が抑制される。そのため、洗浄具63が慣性によりウェハWに衝突するのを回避できる。
【0060】
図1に示す基板洗浄装置10では、ウェハWを囲むカバー70を備える。そのため、ウェハWを洗浄するためには、洗浄具63を退避位置P4から洗浄可能位置P3に移動させるにあたり、洗浄具63を高く配置してカバー70を越える必要がある。そのため、洗浄具63を下降させる際のストロークは大きくなる。上述のように、洗浄具のストロークが大きいと、ウェハに加えられる荷重の点では不利となりやすいが、基板洗浄装置10では、制御部67によって洗浄具63が下降する際の速度を制御することができるため、洗浄具63がウェハWに当接する際の速度を低くし、洗浄具63がウェハWに当接する際にウェハWに加えられる荷重を抑制できる。よって、ウェハWの破損を防ぐことができる。
【0061】
昇降機構64は、流体供給部(図示略)と、流体が供給されるシリンダ64dと、シリンダ64d内の流体の圧力に応じて洗浄具63の高さを調整する昇降体64eとを備える。そのため、シリンダ64dへの流体の供給流量を調整することによってシリンダ64dの内圧を調節し、昇降体64eを昇降させることができる。よって、装置構成を簡略にすることができる。また、洗浄具63の下降速度を精度よく制御できる。
【0062】
制御部67は、シリンダ64dへの流体の供給流量を調整することによって洗浄具63の下降速度を制御するため、洗浄具63の下降速度を正確に定めることができる。
【0063】
昇降機構64は付勢体64cを備えるため、簡略な構造で洗浄具63の下降速度の制御を実現できる。
【0064】
アーム62は、洗浄可能位置P3と退避位置P4とを切り替えできるため、洗浄具63が退避位置P4にあるときに、基板保持機構40に対するウェハWの装着および取り外しが可能となる。よって、ウェハWの洗浄の作業性を高めることができる。
【0065】
基板洗浄装置10は、複数(例えば2つ)の洗浄機構60を備えるため、ウェハWの洗浄の効率を高めることができる。
【0066】
図7は、第2実施形態の基板洗浄装置110に用いられる洗浄具63および昇降機構164の模式図である。なお、
図3等に示す基板洗浄装置10と共通の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
昇降機構164は、支持体64bと連結部64fとの間にロードセル165が設けられている点で、
図3に示す昇降機構64と異なる。
昇降機構164は、ロードセル165を備えているため、洗浄具63(詳しくは洗浄部材63c)がウェハWに当接する下降位置P2を常に把握し位置補正をすることが可能となる。そのため、洗浄具63によってウェハWに加えられる荷重の上昇値の管理が容易となる。
【実施例】
【0067】
以下、
図1に示す基板洗浄装置10を用いた場合に、ウェハWに加えられる荷重を抑制できることを実施例および比較例に基づいて説明する。
(実施例1)
図1に示す基板洗浄装置10を用いて、次に示す条件でウェハWの洗浄を行った。
ウェハWを回転機構50によって回転させるとともに、
図6に示すように、制御部67によって、シリンダ64dの内圧を5段階で上昇させた。シリンダ64dの内圧は、第5段階S5の後、第6段階S6に移行させた。洗浄具63は、第6段階S6においてウェハWに当接させた。第1段階S1から第5段階S5までの間で段階がひとつ上がる際のインターバルt1~t4は共通で0.1秒とした。第5段階S5と第6段階S6との間にはインターバルを設定しなかった。
図8は、実施例1においてウェハWに加えられる荷重を示す図である。
図8に示すように、ウェハWに加えられる荷重は、洗浄具63がウェハWに当接するとき(T1)において上昇したが、当該上昇値はそれほど高くなかった。
【0068】
(実施例2)
第5段階S5と第6段階S6との間に、0.3秒のインターバルt5を設定したこと以外は実施例1と同様にしてウェハWの洗浄を行った。
図9は、実施例2においてウェハWに加えられる荷重を示す図である。
図9に示すように、ウェハWに加えられる荷重は、洗浄具63がウェハWに当接するときに大きく上昇することはなかった。
【0069】
(比較例1)
シリンダ64dの内圧を前記初期段階のゼロから前記第6段階S6の最高値まで一度(無段階)で上昇させた。これによって、洗浄具は、ウェハに当接する直前まで、実施例1、2に比べてはるかに高速の下降速度で下降した。それ以外の操作は実施例1と同様にした。
図10は、比較例1においてウェハに加えられる荷重を示す図である。
図10に示すように、ウェハに加えられる荷重は、洗浄具がウェハに当接するとき(T2)に大きく上昇した。荷重の上昇値は非常に大きかった。
【0070】
図8~
図10に示すように、
図1に示す基板洗浄装置10を用いた実施例1,2では、洗浄具63がウェハWに当接するときにウェハWに加えられる荷重を抑制できた。特に、実施例2では、ウェハWに加えられる荷重の上昇を小さくできた。
【0071】
本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、昇降機構の構成は前述の構成に限定されない。洗浄具は、ボールネジ、サーボモータ等を用いた昇降機構により昇降させてもよい。
前述の洗浄方法では、洗浄具が上昇位置から下降位置まで下降する際の速度は徐々に低くなるが、洗浄具の下降速度の変化はこれに限らない。例えば、洗浄具は、上昇位置から下降位置の直前まで一定の第1速度で下降し、その後、ウェハに当接するまで第1速度より低い第2速度で下降してもよい。
シリンダへの流体の供給流量を調整するには、流体の供給経路に設けられた弁(図示略)の開度を調整してもよい。
基板洗浄装置が備える洗浄機構の数は2に限定されず、1でもよいし、3以上の任意の数であってもよい。
【0072】
上述の実施形態では、基板処理装置は、ウェハを研磨する研磨装置であるが、複数の研磨ユニットを他の基板処理ユニットに置き換えることによって、別の基板処理装置を構成してもよい。「他の基板処理ユニット」としては、例えば、成膜処理ユニット(めっき処理ユニット、CVDユニットなど)、ウェットエッチングユニット、ドライエッチングユニットなどが挙げられる。また、異なる複数の基板処理ユニットを組み合わせてもよい。
【0073】
図2に示す一次洗浄モジュール201と二次洗浄モジュール202とは、異なる構成であってもよい。一次洗浄モジュールとしては、ロール洗浄型の洗浄装置を採用してもよい。ロール洗浄型の洗浄装置は、基板の両面側にそれぞれロール型の洗浄具(ロールスポンジ)を備える。ロール洗浄型の洗浄装置は、前記洗浄具を用いて基板の両面をスクラブ洗浄できる。
【0074】
図3に示す制御部67は、各段階のシリンダ64dの設定内圧(前記内圧指令値)への到達信号をシリンダ64dの内部から連通接続した圧力センサ(不図示)から得て、さらに所定のインターバル時間待機してから次の段階の設定内圧になるように前記流体供給部の前記圧力レギュレータに指令を出すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10,110…基板洗浄装置、40…基板保持機構、50…回転機構、60…洗浄機構、61…支柱、62…アーム、63…洗浄具、64…昇降機構、64c…付勢体、64d…シリンダ、64e…昇降体、67…制御部、70…カバー、100…基板処理装置、P1…上昇位置、P2…下降位置、P3…洗浄可能位置、P4…退避位置、W…ウェハ(基板)。