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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】クリーニング方法及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20221007BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20221007BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
H01L21/302 101H
H05H1/46 M
C23C16/44 J
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018200988
(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2020068325
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】岩野 光紘
(72)【発明者】
【氏名】細谷 正徳
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-170611(JP,A)
【文献】特開2008-251639(JP,A)
【文献】特開2006-156530(JP,A)
【文献】特開2018-056248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/46
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置のチャンバ内にクリーニングガスを供給する工程と、
前記チャンバ内の壁面のクリーニングのために、前記チャンバ内で前記クリーニングガスからプラズマを形成する工程と、
を含み、
前記プラズマ処理装置は、
前記チャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持台と、
前記基板支持台の上方に設けられた上部電極と、
前記チャンバ内で磁場の分布を形成するように構成された電磁石と、
前記チャンバの上方で前記上部電極を覆うように延びており、その中に前記電磁石が配置される外部空間を提供する接地導体と、
前記チャンバ内に前記クリーニングガスを供給するように構成されたガス供給部と、
前記チャンバ内でガスからプラズマを生成するために高周波電力を発生するように構成された高周波電源と、
前記電磁石に電気的に接続された駆動電源と、
を備え、
クリーニングガスを供給する前記工程及びプラズマを形成する前記工程では、フォーカスリングが、前記チャンバの中心軸線の周りで延在するように前記チャンバ内で前記基板支持台上に搭載されており、
プラズマを形成する前記工程では、前記電磁石により前記チャンバ内で磁場の分布が形成され、
前記磁場の分布は、前記中心軸線に対して径方向において前記フォーカスリングよりも外側の位置で、最大の水平成分を有し、
前記電磁石は、前記チャンバの上方に設けられたコイルを有し、該コイルは、前記中心軸線の周りで周方向に延在しており、
前記コイルの内径と外径との和の1/2で規定される値は、前記フォーカスリングの外径よりも大きく、
前記コイルの前記内径は、前記フォーカスリングの内径よりも大きく、前記フォーカスリングの前記外径よりも小さい、
クリーニング方法。
【請求項2】
クリーニングガスを供給する前記工程及びプラズマを形成する前記工程は、前記基板支持台上、且つ、前記フォーカスリングによって囲まれた領域内に物体が載置されていない状態で、実行される、請求項1に記載のクリーニング方法。
【請求項3】
クリーニングガスを供給する前記工程及びプラズマを形成する前記工程は、前記基板支持台上、且つ、前記フォーカスリングによって囲まれた領域内にダミー基板が載置されている状態で、実行される、請求項1に記載のクリーニング方法。
【請求項4】
前記最大の水平成分を有する位置は、前記中心軸線から前記コイルの前記内径と前記外径との和の1/4で規定される距離を有する位置である、請求項1~3の何れか一項に記載のクリーニング方法。
【請求項5】
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持台と、
前記基板支持台の上方に設けられた上部電極と、
前記チャンバ内にクリーニングガスを供給するように構成されたガス供給部と、
前記チャンバ内でガスからプラズマを生成するために高周波電力を発生するように構成された高周波電源と、
前記チャンバ内で磁場の分布を形成するように構成された電磁石と、
前記チャンバの上方で前記上部電極を覆うように延びており、その中に前記電磁石が配置される外部空間を提供する接地導体と、
前記電磁石に電気的に接続された駆動電源と、
前記ガス供給部、前記高周波電源、及び前記駆動電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
フォーカスリングが、前記チャンバの中心軸線の周りで延在するように前記基板支持台上に搭載され、
前記制御部は、
前記チャンバ内にクリーニングガスを供給するよう、前記ガス供給部を制御し、
前記チャンバ内で前記クリーニングガスからプラズマを形成して前記チャンバ内の壁面をクリーニングするために、前記高周波電力を供給するよう、前記高周波電源を制御し、
前記プラズマの生成中に、前記中心軸線に対して径方向において前記フォーカスリングよりも外側の位置で最大の水平成分を有する磁場の分布を前記電磁石によって前記チャンバ内で形成するよう、前記駆動電源を制御する、
よう構成されており、
前記電磁石は、前記チャンバの上方に設けられたコイルを有し、該コイルは、前記中心軸線の周りで周方向に延在しており、
前記コイルの内径と外径との和の1/2で規定される値は、前記フォーカスリングの外径よりも大きく、
前記コイルの前記内径は、前記フォーカスリングの内径よりも大きく、前記フォーカスリングの前記外径よりも小さい、
プラズマ処理装置。
【請求項6】
前記電磁石は、磁性材料から形成されたヨークを含む、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記最大の水平成分を有する位置は、前記中心軸から前記コイルの前記内径と前記外径との和の1/4で規定される距離を有する位置である、請求項5又は6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記接地導体は、
筒形状を有し、前記チャンバから上方に延びる第1の部分と、
板状をなしており、前記第1の部分から前記中心軸線に交差又は直交する方向に延びる第2の部分と、
筒形状を有し、前記第2の部分から上方に延びる第3の部分と、
を含み、
前記第1の部分の中心軸線及び前記第の部分の中心軸線は、前記チャンバの中心軸線と一致し、
前記第3の部分は、前記第1の部分よりも前記中心軸線の近くで延在している、
請求項5~7の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記外部空間は、前記第3の部分の外側且つ前記第2の部分上に提供されており、前記チャンバの前記中心軸線の周りで延びている、請求項8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記接地導体は、
板状をなしており、前記第2の部分の上方で前記チャンバの前記中心軸線に交差又は直交する前記方向に延びる第4の部分と、
筒形状を有し、前記第4の部分から上方に延びる第5の部分と、
板状をなしており、前記第5の部分から前記チャンバの前記中心軸線に交差又は直交する前記方向に延びる第6の部分と、
を更に含み、
前記第5の部分の中心軸線は、前記チャンバの前記中心軸線と一致する、
請求項又はに記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記電磁石は、1個のコイルを有する、請求項5~10の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記電磁石は、前記中心軸線に対して同軸状に設けられた複数個のコイルを含む、請求項5~10の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記複数個のコイルのそれぞれに供給される電流が、前記磁場の分布を形成するように調整される、請求項12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持台と、
前記基板支持台の上方に設けられた上部電極と、
前記チャンバ内で磁場の分布を形成するように構成された電磁石と、
前記チャンバの上方で前記上部電極を覆うように延びており、その中に前記電磁石が配置される外部空間を提供する接地導体と、
前記チャンバの中心軸線の周りで延在するように前記基板支持台上に搭載されるフォーカスリングと、
前記チャンバ内にクリーニングガスを供給するように構成されたガス供給部と、
前記チャンバ内でガスからプラズマを生成するために高周波電力を発生するように構成された高周波電源と、
前記電磁石に電気的に接続された駆動電源と、
前記ガス供給部、前記高周波電源、及び前記駆動電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記電磁石は、前記チャンバの上方に設けられたコイルを有し、該コイルは、前記中心軸線の周りで周方向に延在しており、
前記コイルの内径は、前記フォーカスリングの内径よりも大きく、前記フォーカスリングの外径よりも小さい、
プラズマ処理装置。
【請求項15】
ガス供給部と接続するチャンバと、
前記チャンバ内に配置され、基板を支持するための基板支持台と、
前記基板支持台の上方に配置された上部電極と、
前記チャンバの上方に配置されたコイルを有する電磁石と、
前記チャンバの上方で前記上部電極を覆うように延びており、その中に前記コイルが配置される外部空間を提供する接地導体と、
前記基板を囲むように配置されるフォーカスリングと、
前記チャンバ内でガスからプラズマを生成するための高周波電源と、
前記コイルに電気的に接続された駆動電源と、
前記ガス供給部、前記高周波電源、及び前記駆動電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記コイルの内径は、前記フォーカスリングの内径よりも大きく、前記フォーカスリングの外径よりも小さい、
プラズマ処理装置。
【請求項16】
前記コイルは、前記チャンバの中心軸線の周りで周方向に延在している、請求項15に記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記接地導体は、
筒形状を有し、前記チャンバから上方に延びる第1の部分と、
板状をなしており、前記第1の部分から前記中心軸線に交差又は直交する方向に延びる第2の部分と、
筒形状を有し、前記第2の部分から上方に延びる第3の部分と、
を含み、
前記第1の部分の中心軸線及び前記第3の部分の中心軸線は、前記チャンバの中心軸線と一致し、
前記第3の部分は、前記第1の部分よりも前記中心軸線の近くで延在している、
請求項14又は16に記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
前記外部空間は、前記第3の部分の外側且つ前記第2の部分上に提供されており、前記チャンバの前記中心軸線の周りで延びている、請求項17に記載のプラズマ処理装置。
【請求項19】
前記接地導体は、
板状をなしており、前記第2の部分の上方で前記チャンバの前記中心軸線に交差又は直交する前記方向に延びる第4の部分と、
筒形状を有し、前記第4の部分から上方に延びる第5の部分と、
板状をなしており、前記第5の部分から前記チャンバの前記中心軸線に交差又は直交する前記方向に延びる第6の部分と、
を更に含み、
前記第5の部分の中心軸線は、前記チャンバの前記中心軸線と一致する、
請求項17又は18に記載のプラズマ処理装置。
【請求項20】
前記電磁石は、1個のコイルを有する、請求項14~19の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、クリーニング方法及びプラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置が、基板に対するプラズマ処理のために用いられている。プラズマ処理装置は、チャンバ及び基板支持台を備える。基板支持台は、チャンバ内に設けられている。プラズマ処理装置では、処理ガスがチャンバ内に供給され、当該処理ガスからプラズマが形成される。基板は、処理ガスのプラズマからの化学種によって処理される。
【0003】
プラズマ処理では反応生成物が生成される。反応生成物は、チャンバ内の壁面に付着して堆積物を形成する。チャンバ内の壁面に形成された堆積物は除去される必要がある。特許文献1には、容量結合型プラズマ処理装置の上部電極の表面上に形成された堆積物を除去するためのクリーニング方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-170611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板支持台の側方で延在するチャンバ内の壁面に形成された堆積物を効率的に除去することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの例示的実施形態においては、クリーニング方法が提供される。クリーニング方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内にクリーニングガスを供給する工程を含む。クリーニング方法は、チャンバ内の壁面のクリーニングのために、チャンバ内でクリーニングガスからプラズマを形成する工程を更に含む。クリーニングガスを供給する工程及びプラズマを形成する工程では、フォーカスリングが、チャンバの中心軸線の周りで延在するようにチャンバ内で基板支持台上に搭載されている。プラズマを形成する工程では、電磁石によりチャンバ内で磁場の分布が形成される。磁場の分布は、中心軸線に対して径方向においてフォーカスリング上の位置又はフォーカスリングよりも外側の位置で、最大の水平成分を有する。
【発明の効果】
【0007】
一つの例示的実施形態によれば、基板支持台の側方で延在するチャンバ内の壁面に形成された堆積物を効率的に除去すること可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一つの例示的実施形態に係るクリーニング方法を示す流れ図である。
図2】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図3図2に示すプラズマ処理装置の接地導体の内部の構成の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0010】
一つの例示的実施形態においては、クリーニング方法が提供される。クリーニング方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内にクリーニングガスを供給する工程を含む。クリーニング方法は、チャンバ内の壁面のクリーニングのために、チャンバ内でクリーニングガスからプラズマを形成する工程を更に含む。クリーニングガスを供給する工程及びプラズマを形成する工程では、フォーカスリングが、チャンバの中心軸線の周りで延在するようにチャンバ内で基板支持台上に搭載されている。プラズマを形成する工程では、電磁石によりチャンバ内で磁場の分布が形成される。磁場の分布は、中心軸線に対して径方向においてフォーカスリング上の位置又はフォーカスリングよりも外側の位置で、最大の水平成分を有する。
【0011】
上記実施形態のクリーニング方法によれば、上述の磁場の分布が形成されることにより、プラズマの密度が、基板支持台の側方のチャンバ内の壁面に近い位置で高められる。その結果、基板支持台の側方のチャンバ内の壁面から堆積物が効率的に除去される。
【0012】
一つの例示的実施形態において、磁場の分布は、径方向においてフォーカスリングよりも外側の位置で、最大の水平成分を有していてもよい。
【0013】
一つの例示的実施形態において、電磁石は、チャンバの上方に設けられたコイルを有する。コイルは、上記中心軸線の周りで周方向に延在している。コイルの内径と外径との和の1/2で規定される値は、フォーカスリングの外径よりも大きくてもよい。この実施形態によれば、上述の磁場の最大の水平成分は、上記中心軸線からコイルの内径と外径との和の1/4で規定される距離を有する位置で得られる。この位置は、径方向においてフォーカスリングよりも外側の位置である。したがって、プラズマの密度が、基板支持台の側方のチャンバ内の壁面に近い位置で高められる。
【0014】
一つの例示的実施形態において、コイルの内径は、フォーカスリングの内径よりも大きく、フォーカスリングの外径よりも小さくてもよい。この実施形態によれば、フォーカスリング上に形成された堆積物も効率的に除去され得る。
【0015】
一つの例示的実施形態において、クリーニングガスを供給する工程及びプラズマを形成する工程は、基板支持台上、且つ、フォーカスリングによって囲まれた領域内に物体が載置されていない状態で、実行されてもよい。或いは、クリーニングガスを供給する工程及びプラズマを形成する工程は、基板支持台上、且つ、フォーカスリングによって囲まれた領域内に、ダミー基板が載置されている状態で実行されてもよい。
【0016】
別の例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持台、ガス供給部、高周波電源、駆動電源、及び制御部を備える。基板支持台は、チャンバ内に設けられている。ガス供給部は、チャンバ内にクリーニングガスを供給するように構成されている。高周波電源は、チャンバ内でガスからプラズマを生成するために高周波電力を発生するように構成されている。電磁石は、チャンバ内で磁場の分布を形成するように構成されている。駆動電源は、電磁石に電気的に接続されている。制御部は、ガス供給部、高周波電源、及び駆動電源を制御するように構成されている。このプラズマ処理装置では、フォーカスリングが、チャンバの中心軸線の周りで延在するように基板支持台上に搭載される。制御部は、チャンバ内にクリーニングガスを供給するよう、ガス供給部を制御する。制御部は、チャンバ内でクリーニングガスからプラズマを形成してチャンバ内の壁面をクリーニングするために、高周波電力を供給するよう、高周波電源を制御する。制御部は、プラズマの生成中に、中心軸線に対して径方向においてフォーカスリング上の位置又はフォーカスリングよりも外側の位置で最大の水平成分を有する磁場の分布を電磁石によってチャンバ内で形成するよう、駆動電源を制御する。
【0017】
一つの例示的実施形態において、磁場の分布は、径方向においてフォーカスリングよりも外側の位置で、最大の水平成分を有していてもよい。
【0018】
一つの例示的実施形態において、電磁石は、チャンバの上方に設けられたコイルを有する。コイルは、中心軸線の周りで周方向に延在している。コイルの内径と外径との和の1/2で規定される値は、フォーカスリングの外径よりも大きくてもよい。
【0019】
一つの例示的実施形態において、コイルの内径は、フォーカスリングの内径よりも大きく、フォーカスリングの外径よりも小さくてもよい。
【0020】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0021】
図1は、一つの例示的実施形態に係るクリーニング方法を示す流れ図である。図1に示すクリーニング方法(以下、「方法MT」という)は、プラズマ処理装置のクリーニングのために実行される。方法MTでは、チャンバ内の壁面上に形成された堆積物が除去される。堆積物は、プラズマ処理装置におけるプラズマ処理で発生する反応生成物がチャンバ内の壁面に付着することで形成される。
【0022】
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。図2に示すプラズマ処理装置1には、方法MTが適用され得る。プラズマ処理装置1は、チャンバ10を備えている。チャンバ10は、内部空間10sを提供する容器である。チャンバ10は、略円筒形状を有している。図2に示す中心軸線AXは、チャンバ10及び内部空間10sの中心軸線であり、鉛直方向に延びている。
【0023】
チャンバ10は、チャンバ本体12を有する。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。チャンバ10の内部空間10sは、チャンバ本体12の内側に提供されている。チャンバ本体12は、側壁12a及び底部12bを含んでいる。側壁12aは、チャンバ10の側壁を構成している。底部12bは、チャンバ10の底部を構成している。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムといった金属から形成されている。チャンバ本体12の内壁面には、耐プラズマ性を有する膜が形成されている。この膜は、アルマイト膜、酸化イットリウム製の膜といったセラミック製の膜であり得る。チャンバ本体12は、接地されている。
【0024】
側壁12aには、通路12pが形成されている。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。通路12pは、ゲートバルブ12gによって開閉可能である。ゲートバルブ12gは、側壁12aに沿って設けられている。
【0025】
内部空間10sの中には、基板支持台、即ち支持台14が設けられている。支持台14は、支持体15によって支持されている。支持体15は、円筒形状を有している。支持体15は、チャンバ本体12の底部12bから上方に延びている。支持体15は、絶縁性を有している。支持体15は、例えばセラミックから形成されている。
【0026】
支持台14は、基板Wを支持するように構成されている。支持台14は、チャンバ10と中心軸線AXを共有している。支持台14は、載置領域14rを提供している。この載置領域14rの中心は、中心軸線AX上に位置する。基板Wは、その中心が中心軸線AX上に位置するように、載置領域14r上に載置される。
【0027】
支持台14は、電極プレート16、下部電極18、及び静電チャック20を含んでいる。電極プレート16は、略円盤形状を有している。電極プレート16は、導電性を有している。電極プレート16は、アルミニウムといった金属から形成されている。下部電極18は、円盤形状を有している。下部電極18は、導電性を有している。下部電極18は、アルミニウムといった金属から形成されている。下部電極18は、電極プレート16上に搭載されている。下部電極18は、電極プレート16に電気的に接続されている。
【0028】
下部電極18の中には、流路18pが形成されている。流路18pは、下部電極18の中で、例えば渦巻状に延びている。流路18pには、熱交換媒体の循環装置22(例えばチラーユニット)から熱交換媒体(例えば冷媒)が供給される。循環装置22は、チャンバ10の外部に設けられている。流路18pに供給された熱交換媒体は、循環装置22に戻される。熱交換媒体と下部電極18との熱交換により、支持台14上に載置された基板Wの温度が制御される。
【0029】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。静電チャック20は、略円盤形状を有している。静電チャック20は、本体及び電極を有している。静電チャック20の本体は、誘電体製(例えばセラミック製)である。静電チャック20の電極は、導電性の膜であり、静電チャック20の本体の中に設けられている。静電チャック20の電極には、スイッチを介して直流電源24が接続されている。静電チャック20は、上述の載置領域14rを提供している。基板Wが静電チャック20上(載置領域14r上)に載置されている状態で、直流電源24からの直流電圧が静電チャック20の電極に印加されると、基板Wと静電チャック20との間で静電引力が発生する。発生した静電引力によって、基板Wは静電チャック20に引き付けられ、静電チャック20によって保持される。プラズマ処理装置1には、静電チャック20と基板Wの下面との間に伝熱ガス(例えばHeガス)を供給する伝熱ガス供給ラインが設けられていてもよい。
【0030】
静電チャック20の内部には、一つ以上のヒータ(例えば一つ以上の抵抗加熱素子)が設けられていてもよい。一つ以上のヒータにヒータコントローラからの電力が供給されることにより、当該一つ以上のヒータが発熱し、静電チャック20の温度、ひいては基板Wの温度が調整される。
【0031】
支持台14上には、フォーカスリングFRが搭載される。フォーカスリングFRは、環状の板である。フォーカスリングFRは、中心軸線AXの周りで周方向に延在するように、支持台14上に載置される。基板Wは、支持台14上では、フォーカスリングFRによって囲まれた領域内に配置される。フォーカスリングFRは、シリコン、石英といったシリコン含有材料から形成されている。
【0032】
支持体15の周りには、筒状の導体26が設けられている。導体26は接地されている。導体26の上方には、支持台14を囲むように筒状の絶縁体28が設けられている。絶縁体28は、石英といったセラミックから形成されている。支持台14とチャンバ本体12の側壁12aとの間には、排気路が形成されている。排気路には、バッフルプレート30が設けられている。バッフルプレート30は、環状の板である。バッフルプレート30には、その板厚方向にバッフルプレート30を貫通する複数の孔が形成されている。バッフルプレート30は、アルミニウムといった金属から形成された部材の表面に、酸化イットリウムといった耐プラズマ性の被膜を形成することにより構成されている。
【0033】
バッフルプレート30の下方では、排気管32がチャンバ本体12の底部12bに接続されている。排気管32は、排気路に連通可能である。排気管32には、排気装置34が接続されている。排気装置34は、自動圧力制御弁、及びターボ分子ポンプといった減圧ポンプを含んでいる。排気装置34が作動されることにより、内部空間10sの圧力が指定された圧力に設定される。
【0034】
支持台14の上方には、上部電極36が設けられている。上部電極36と支持台14との間には、内部空間10sの一部が介在している。上部電極36は、チャンバ本体12の上部開口を閉じるように設けられている。上部電極36とチャンバ本体12の上端部との間には部材37が介在している。部材37は、絶縁性材料から形成されている。部材37は、セラミック、例えば石英から形成され得る。一実施形態では、上部電極36とチャンバ本体12の上端部との間には、部材37及び後述する接地導体の一部が介在し得る。
【0035】
一実施形態において、上部電極36は、シャワーヘッドを構成している。上部電極36は、一実施形態では、天板38及び支持体40を含んでいる。天板38は、例えばシリコンから形成されている。或いは、天板38は、アルミニウムから形成された部材の表面に、酸化イットリウムといったセラミックから形成された被膜を設けることにより構成される。天板38には、その板厚方向に天板38を貫通する複数のガス吐出口38hが形成されている。
【0036】
支持体40は、天板38上に設けられている。支持体40は、天板38を着脱自在に支持するように構成されている。支持体40は、アルミニウムといった導電性材料から形成されている。支持体40の内部には、ガス拡散室40dが形成されている。支持体40には、複数の孔40hが形成されている。複数の孔40hは、ガス拡散室40dから下方に延びている。複数の孔40hはそれぞれ、複数のガス吐出口38hに連通している。
【0037】
ガス拡散室40dには、ガス供給部41が接続されている。ガス供給部41は、チャンバ10内に、即ち内部空間10sにガスを供給するように構成されている。ガス供給部41は、複数のガスを出力可能であるように構成されている。複数のガスは、プラズマ処理に用いられる処理ガスを含む。また、複数のガスは、クリーニングガスを含む。ガス供給部41は、複数の流量制御器及び複数のバルブを有する。ガス供給部41は、出力すべき一つ以上のガスの流量を個別に調整するように構成されている。ガス供給部41から出力されたガスは、ガス拡散室40d及び複数の孔40hを介して、複数のガス吐出口38hから内部空間10sに吐出される。
【0038】
支持体40には、流路40pが形成されている。流路40pには、チラーユニット42が接続されている。流路40pとチラーユニット42との間では、冷却水といった冷媒が循環される。チラーユニット42から流路40pに供給される冷媒と上部電極36との間の熱交換により、上部電極36の温度が調整される。
【0039】
プラズマ処理装置1は、第1の高周波電源43及び第2の高周波電源44を更に備えている。第1の高周波電源43及び第2の高周波電源44は、チャンバ10の外部に設けられている。第1の高周波電源43は、主としてプラズマの生成のための第1の高周波電力を発生するよう構成されている。第1の高周波電力の周波数は、限定されるものではないが、例えば100MHzである。第1の高周波電源43は、整合器45及び給電導体48を介して、上部電極36に電気的に接続されている。整合器45は、第1の高周波電源43の出力インピーダンスと負荷側(上部電極36側)のインピーダンスとを整合させるための整合回路を有している。給電導体48は、その下端で上部電極36に接続されている。給電導体48は、上部電極36から上方に延びている。給電導体48は筒状又は棒状の導体であり、その中心軸線は中心軸線AXに略一致している。なお、第1の高周波電源43は、上部電極36ではなく、整合器45を介して下部電極18に電気的に接続されていてもよい。
【0040】
第2の高周波電源44は、主として基板Wにイオンを引き込むための第2の高周波電力、即ち、バイアス用の高周波電力を発生するように構成されている。第2の高周波電力の周波数は、第1の高周波電力の周波数よりも低い。一実施形態では、第2の高周波電力の周波数は、13.56MHよりも高くてもよい。一実施形態では、第2の高周波電力の周波数は、40MHz以上であってもよい。一実施形態では、第2の高周波電力の周波数は、60MHz以上であってもよい。第2の高周波電源44は、整合器46を介して、下部電極18に電気的に接続されている。整合器46は、第2の高周波電源44の出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)のインピーダンスとを整合させるための整合回路を有している。
【0041】
ガス供給部41からクリーニングガスがチャンバ10内に供給され、第1の高周波電源43から第1の高周波電力が供給されると、チャンバ10内でクリーニングガスからプラズマが形成される。チャンバ10内の壁面のクリーニングは、形成されたプラズマからの化学種によって行われる。クリーニングは、支持台14の側方のチャンバ10内の壁面、例えば側壁面に対してなされる必要がある。このため、プラズマ処理装置1は、電磁石60を備えている。
【0042】
電磁石60は、チャンバ10内に磁場の分布を形成するよう構成されている。この磁場の分布は、中心軸線AXに対して径方向においてフォーカスリングFR上の位置又はフォーカスリングFRよりも外側の位置で、最大の水平成分を有する。最大の水平成分が得られる位置は、径方向においてチャンバ10の内側の位置、即ち内部空間10sの中の位置であってもよい。一実施形態において、磁場の分布は、径方向においてフォーカスリングFRよりも外側の位置で、最大の水平成分を有していてもよい。大きい水平成分の磁場が形成されている箇所では、電子の滞在時間が長くなる。その結果、大きい水平成分の磁場が形成されている箇所では、プラズマの密度が上昇する。したがって、電磁石60によって上記磁場の分布が形成されると、プラズマの密度が、支持台14の側方のチャンバ10内の壁面に近い位置で高められる。その結果、支持台14の側方のチャンバ10内の壁面から堆積物が効率的に除去される。
【0043】
一実施形態において、電磁石60は、コイル64を有する。コイル64は、上部電極36の上方、即ちチャンバ10の上方に配置されている。電磁石60のコイル64は、配線68を介して駆動電源66に接続されている。駆動電源66からの電流がコイル64に与えられると、電磁石60によって磁場が形成される。電磁石60は、ヨーク62を更に有していてもよい。ヨーク62は、磁性材料から形成されている。ヨーク62は、ベース部62a及び複数の筒状部62bを有している。ベース部62aは、略環状且つ略板状をなしており、中心軸線AXに対して直交する方向に延在している。複数の筒状部62bの各々は、筒形状を有しており、ベース部62aから下方に延在している。複数の筒状部62bは、中心軸線AXに対して同軸状に設けられている。コイル64は、中心軸線AXの周りで巻かれている。コイル64は、径方向において隣り合う二つの筒状部62bの間に設けられている。
【0044】
一実施形態において、周方向に延びるコイル64の中心線の直径DCCは、フォーカスリングFRの外径DFOよりも大きい。即ち、コイル64の内径DCIとコイル64の外径DCOとの和の1/2で規定される値は、フォーカスリングFRの外径DFOよりも大きくてもよい。この実施形態によれば、上述の磁場の最大の水平成分は、中心軸線AXからコイル64の内径DCIと外径DCOとの和の1/4で規定される距離を有する位置で得られる。この位置は、径方向においてフォーカスリングFRよりも外側の位置である。したがって、プラズマの密度が、支持台14の側方のチャンバ10内の壁面に近い位置で高められる。なお、コイル64の内径DCIとコイル64の外径DCOとの和の1/2で規定される値は、チャンバ10の内径(直径)よりも小さくてもよい。
【0045】
一実施形態において、コイル64の内径DCIは、フォーカスリングFRの内径DFIよりも大きく、フォーカスリングFRの外径DFOよりも小さくてもよい。この実施形態によれば、フォーカスリングFR上に形成された堆積物も効率的に除去され得る。
【0046】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、接地導体50を更に備え得る。接地導体50は、導電性を有する。接地導体50は、アルミニウムといった金属から形成されている。接地導体50は、接地されている。接地導体50は、チャンバ本体12の上方で上部電極36を覆うように延びている。給電導体48は、接地導体50によって囲まれた空間を通って上方へ延びて、接地導体50の外部で整合器45を介して第1の高周波電源43に接続されている。
【0047】
接地導体50は、その中に電磁石60が配置される外部空間ESを提供している。外部空間ESは、接地導体50の上端よりも内部空間10sの近くにあり、上部電極36に対して上方に離れており、且つ、上部電極36に対して接地導体50により遮蔽されている。
【0048】
接地導体50は、第1の部分51、第2の部分52、及び第3の部分53を有していてもよい。第1の部分51は、筒形状を有している。第1の部分51の中心軸線は、中心軸線AXと略一致している。第1の部分51は、チャンバ本体12から上方に延びている。図2に示す例では、第1の部分51は、チャンバ本体12の側壁12aの上端から上方に延びている。第1の部分51の下端部分は、部材37と側壁12aの上端との間に介在している。
【0049】
第2の部分52は、上部電極36から上方に離間し、且つ、第1の部分51から中心軸線AXに向けて延びている。第2の部分52は、中心軸線AXに対して交差又は直交する方向に延びる板状をなしている。第1の部分51と第2の部分52は、上部電極36の上に第1の空間IS1を提供している。第1の空間IS1は、接地導体50の内側(即ち、上部電極36側)の空間の一部である。この第1の空間IS1により、鉛直方向において上部電極36と接地導体50との間に距離が確保される。したがって、接地導体50と上部電極36との間の容量的結合が抑制される。上部電極36の上面と接地導体50の第2の部分52の下面との間の鉛直方向の距離は、例えば60mm以上の距離に設定される。
【0050】
第3の部分53は、筒形状を有している。第3の部分53の中心軸線は、中心軸線AXと略一致している。第3の部分53は、第1の部分51よりも中心軸線の近くで延在している。第3の部分53は、第2の部分52から上方に延びている。第3の部分53は、第2の空間IS2を提供している。第2の空間IS2は、第2の部分52の内側の空間であり、接地導体50の内側(即ち、上部電極36側)の空間の一部である。第2の空間IS2は、第1の空間IS1に連続している。なお、給電導体48は、第1の空間IS1及び第2の空間IS2を通って上方に延びている。
【0051】
外部空間ESは、第3の部分53の外側、第2の部分52上、且つ、内部空間10sの上方に接地導体50によって提供されている。外部空間ESは、第3の部分53の外側、且つ、第2の部分52上で、中心軸線AXを中心に周方向に延びている。この外部空間ESに電磁石60が配置されている。なお、外部空間ESの中に配置された電磁石60の下端と上部電極36の上面との間の鉛直方向の距離は60mmより大きい。また、電磁石60の下端と支持台14上に載置された基板Wとの間の鉛直方向の距離は、230mm以下であり得る。
【0052】
外部空間ESの中に配置された電磁石60と内部空間10sとの間の距離は比較的短いしたがって、接地導体50に対して外側に配置された電磁石60によって、磁場の分布が、効率的にチャンバ10の中に形成され得る。
【0053】
電磁石60のコイル64には、上述したように駆動電源66が接続されている。電磁石60及び駆動電源66は、接地導体50に対して外側に配置されている。したがって、駆動電源66への高周波の流入を防止するためのフィルタが、コイル64と駆動電源66との間に設けられていなくてもよい。
【0054】
一実施形態では、接地導体50は、第4の部分54、第5の部分55、及び第6の部分56を更に有していてもよい。第4の部分54は、第2の部分52の上方で、中心軸線AXに対して放射方向に第3の部分53から延びている。第4の部分54は、中心軸線AXに対して交差又は直交する方向に延びる板状をなしている。第5の部分55は、筒形状を有している。第5の部分55の中心軸線は、中心軸線AXに略一致している。第5の部分55は、第3の部分53よりも中心軸線から離れており、第4の部分54から上方に延びている。第6の部分56は、第4の部分54の上方で、第5の部分55から中心軸線AXに向けて延びている。第6の部分56は、中心軸線AXに対して交差又は直交する方向に延びる板状をなしている。一実施形態では、接地導体50は、第6の部分から給電導体48の近傍まで延びる蓋部57を更に有している。
【0055】
第4の部分54、第5の部分55、及び第6の部分56は、第3の空間IS3を提供している。第3の空間IS3は、第4の部分54、第5の部分55、及び第6の部分56によって囲まれた空間であり、接地導体50の内側の空間の一部である。第3の空間IS3は、第2の空間IS2に連続している。給電導体48は、第3の空間IS3を更に通って、上方に延びている。なお、図2に示す例では、第1~第6の部分は、三つの部材で構成されているが、接地導体50を構成する部材の個数は、任意の個数であり得る。
【0056】
以下、図2と共に、図3を参照する。図3は、図2に示すプラズマ処理装置の接地導体の内部の構成の一例を示す平面図である。図3においては、接地導体50の第5の部分55が水平な面で破断された状態が示されている。一実施形態において、プラズマ処理装置1は、図2及び図3に示すように、管71を更に備えている。管71は、上部電極36から、第1の空間IS1及び第2の空間IS2を通って上方に延び、第3の空間IS3を通って、接地導体50に対して側方且つ外側まで延びている。管71は、接地導体50に対して外側で、チラーユニット42に接続される。チラーユニット42からの冷媒は、管71を介して、流路40pに供給される。第3の空間IS3内では、管71が、接地導体50の第4の部分54によって上部電極36から実質的に遮蔽されている。
【0057】
プラズマ処理装置1は、管72を更に備えている。管72は、第1の空間IS1及び第2の空間IS2を通って上方に延び、第3の空間IS3を通って、接地導体50に対して側方且つ外側まで延びている。管72は、接地導体50に対して外側で、チラーユニット42に接続される。冷媒は流路40pから管72を介してチラーユニット42に戻される。第3の空間IS3内では、管72が、接地導体50の第4の部分54によって上部電極36から実質的に遮蔽されている。
【0058】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、管73を更に備えている。管73は、上部電極36から、第1の空間IS1及び第2の空間IS2を通って上方に延び、第3の空間IS3を通って、接地導体50に対して側方且つ外側まで延びている。管73は、接地導体50に対して外側で、ガス供給部41に接続されている。ガス供給部41から出力されるガスは、管73を介して、上部電極36、即ちシャワーヘッドに供給される。第3の空間IS3内では、管73が、接地導体50の第4の部分54によって上部電極36から実質的に遮蔽されている。なお、ガス供給部41と上部電極36(即ち、シャワーヘッド)は、複数の管を介して互いに接続されていてもよい。
【0059】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は直流電源74及び配線75を更に備えている。直流電源74は、上部電極36に印加される負極性の直流電圧を発生するよう構成されている。配線75は、直流電源74と上部電極36とを互いに接続している。配線75は、コイル75cを含み得る。コイル75cは、第3の空間IS3の中に設けられている。配線75は、上部電極36から第1の空間IS1及び第2の空間IS2を通って上方に延び、第3の空間IS3を通って、接地導体50に対して側方且つ外側まで延びている。配線75は、第5の部分55及び接地導体50から電気的に絶縁されている。配線75は、接地導体50に対して外側で、直流電源74に接続されている。第3の空間IS3内では、配線75が、接地導体50の第4の部分54によって上部電極36から実質的に遮蔽される。
【0060】
プラズマ処理装置1は、制御部80を更に備えている。制御部80は、プラズマ処理装置1の各部を制御するように構成されている。制御部80は、コンピュータ装置であり得る。制御部80は、プロセッサ、メモリといった記憶装置、キーボード、マウス、タッチパネルといった入力装置、表示装置、制御信号の入出力インタフェイス等を有し得る。記憶装置には、制御プログラム及びレシピデータが記憶されている。制御部80のプロセッサは、制御プログラムを実行し、レシピデータに従って、プラズマ処理装置1の各部を制御するために制御信号を送出する。制御部80は、方法MTの実行のために、プラズマ処理装置1の各部を制御することが可能である。
【0061】
再び図1を参照し、方法MTについて詳細に説明する。以下では、方法MTがプラズマ処理装置1に適用される場合を例として、方法MTについて説明する。また、以下では、制御部80によるプラズマ処理装置1の各部の制御についても説明する。
【0062】
方法MTは、工程ST1及び工程ST2を含む。工程ST1及び工程ST2の実行中には、フォーカスリングFRは、中心軸線AXの周りで延在するように支持台14上に搭載される。工程ST1及び工程ST2は、支持台14上、且つ、フォーカスリングFRによって囲まれた領域内に、物体が載置されていない状態で、実行されてもよい。或いは、工程ST1及び工程ST2は、支持台14上、且つ、フォーカスリングFRによって囲まれた領域内に、ダミー基板が載置されている状態で実行されてもよい。
【0063】
工程ST1では、チャンバ10内にクリーニングガスが供給される。工程ST1の実行のために、制御部80は、チャンバ10内にクリーニングガスを供給するよう、ガス供給部41を制御する。また、制御部80は、チャンバ10内の圧力を指定された圧力に設定するよう、排気装置34を制御する。
【0064】
続く工程ST2は、工程ST1の実行中に実行される。チャンバ10内の壁面のクリーニングのために、チャンバ10内でクリーニングガスからプラズマが形成される。工程ST2では、電磁石60によりチャンバ内で磁場の分布が形成される。磁場の分布は、上述したように、中心軸線AXに対して径方向においてフォーカスリングFR上の位置又はフォーカスリングFRよりも外側の位置で、最大の水平成分を有する。
【0065】
工程ST2においてクリーニングガスからプラズマを形成するために、制御部80は、第1の高周波電力を供給するよう、第1の高周波電源43を制御する。また、工程ST2において上述の磁場の分布を電磁石60によってチャンバ10内で形成するために、制御部80は、電磁石60のコイル64に電流を供給するよう、駆動電源66を制御する。
【0066】
工程ST2では、フォーカスリングFR上の位置又はフォーカスリングFRよりも外側の位置で最大の水平成分を有する磁場の分布がチャンバ10内で形成される。したがって、プラズマの密度が、支持台14の側方のチャンバ10内の壁面に近い位置で高められる。その結果、支持台14の側方のチャンバ10内の壁面から堆積物が効率的に除去される。
【0067】
一実施形態では、工程ST2で形成される磁場の分布は、径方向においてフォーカスリングよりも外側の位置で、最大の水平成分を有していてもよい。
【0068】
一実施形態では、上述したように、コイル64の内径DCIと外径DCOとの和の1/2で規定される値は、フォーカスリングFRの外径DFOよりも大きくてもよい。この実施形態によれば、上述の磁場の最大の水平成分は、中心軸線AXからコイル64の内径DCIと外径DCOとの和の1/4で規定される距離を有する位置で得られる。この位置は、径方向においてフォーカスリングFRよりも外側の位置である。したがって、プラズマの密度が、支持台14の側方のチャンバ10内の壁面に近い位置で高められる。
【0069】
一実施形態では、上述したように、コイル64の内径DCIは、フォーカスリングFRの内径DFIよりも大きく、フォーカスリングFRの外径DFOよりも小さくてもよい。この実施形態によれば、フォーカスリングFR上に形成された堆積物も効率的に除去され得る。
【0070】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0071】
例えば、電磁石60は、複数のコイル64を有していてもよい。複数個のコイル64は、中心軸線AXに対して同軸状に設けられる。複数個のコイル64のそれぞれに供給される電流は、上述した磁場の分布を形成するように、調整される。
【0072】
また、別の実施形態において、プラズマ処理装置は、電磁石60によって磁場を形成可能な他のタイプのプラズマ処理装置であってもよい。他のタイプのプラズマ処理装置としては、プラズマ処理装置1とは別の容量結合型のプラズマ処理装置、誘導結合型のプラズマ処理装置、又はマイクロ波といった表面波を用いてプラズマを生成するプラズマ処理装置が例示される。
【0073】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0074】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、14…支持台、60…電磁石、AX…中心軸線、FR…フォーカスリング。
図1
図2
図3