IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7154232堆積-処理-エッチングプロセスを用いたシリコンの選択的堆積
<>
  • 特許-堆積-処理-エッチングプロセスを用いたシリコンの選択的堆積 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】堆積-処理-エッチングプロセスを用いたシリコンの選択的堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20221007BHJP
   C23C 16/24 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/24
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019566806
(86)(22)【出願日】2018-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 US2018036241
(87)【国際公開番号】W WO2018226817
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】62/515,852
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, フェイ
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アブヒジット バス
(72)【発明者】
【氏名】フィッサー, ロバート ヤン
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-211127(JP,A)
【文献】特表2008-522437(JP,A)
【文献】特表2014-512669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜を選択的に堆積する方法であって、
第1の表面と第2の表面を有する基板を提供することと、
前記第1の表面と前記第2の表面の上に、前記第1の表面の上と前記第2の表面の上とで異なる結晶化度を有するシリコン膜を堆積するために、シラン及び堆積プラズマに前記基板を曝露することと、
前記第1の表面の上のシリコン膜と前記第2の表面の上のシリコン膜との間の結晶化度の差異を増大させるため、Ar、He、又はHのうちの一又は複数のプラズマを含む処理プラズマに前記シリコン膜を曝露することと、
前記第2の表面から前記膜のほとんどすべてを除去し、前記第1の表面の上の前記シリコン膜の少なくとも一部を残すため、前記第1の表面と前記第2の表面から前記膜をエッチングすることと、
前記第2の表面と比べて、前記第1の表面の上に膜を選択的に形成するため、堆積、処理及びエッチングを繰り返すことと、
を含む方法。
【請求項2】
前記基板の前記第1の表面は基本的にシリコンからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板の前記第2の表面は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ガラス又は金属のうちの一又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記シランは一般式Si2n+2を有する少なくとも1つの種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記シランは基本的にSiHからなる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記シランは基本的にSiからなる、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記シランは基本的にSiHCl(ジクロロシラン又はDCS)からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記堆積プラズマは、Ar、He、H、又はNのうちの一又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
堆積後、前記シリコン膜の結晶化度は、前記第1の表面の上と前記第2の表面の上とで異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記処理プラズマは基本的に容量結合プラズマからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記処理プラズマは基本的に誘導結合プラズマからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
処理後、堆積した前記シリコン膜の結晶化度は前記第1の表面の上と前記第2の表面の上とで異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記膜は熱エッチングプロセスを用いてエッチングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記膜は、プラズマエッチングプロセスを用いてエッチングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記膜はH、HCl、Cl、又はNFからなるプラズマによってエッチングされる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は概して、シリコン膜を選択的に堆積させる方法に関する。具体的には、本開示は、多重ステージの堆積-処理-エッチングプロセスにより、シリコン層を選択的に堆積するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ガスの化学反応によって基板上に膜を形成することは、現代の半導体デバイスの製造における第一次段階の1つである。そのような堆積プロセスは、化学気相堆積(CVD)、並びに、従来型のCVD技法と組み合わせてプラズマを使用するプラズマ化学気相堆積(PECVD)を含む。
【0003】
[0003] 半導体用のパターニング用途のニーズがあるため、選択的な堆積プロセスがより頻繁に採用されてきている。従来、マイクロエレクトロニクス業界では、さまざまなリソグラフィやエッチングプロセスを使用してパターニングが行われてきた。しかしながら、リソグラフィは指数関数的に複雑化し、高価になっているため、フィーチャ(特徴)を堆積するための選択的堆積がより興味をそそるものになっている。
【0004】
[0004] デバイスサイズが10nmレジーム(regime)未満まで縮小し続けているため、フォトリソグラフィ技術を使用した従来のパターニングプロセスはますます困難になりつつある。より小さなデバイスサイズでは、正確でないパターニングとデバイス性能の低下が蔓延している。さらに、複数のパターニング技術により、製造プロセスは複雑化し、高価になっている。
【0005】
[0005] そのため、別の表面と比べて、ある1つの表面の上に膜を選択的に堆積する技術的な方法が必要になっている。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の一又は複数の実施形態は、第1の表面と第2の表面を有するように準備された基板に膜を選択的に堆積する方法を対象としている。第1の表面と第2の表面にシリコン膜を堆積するため、基板はシランと堆積プラズマに曝露される。シリコン膜は第1の表面と第2の表面とで異なる性質を有する。第1の表面又は第2の表面のうちの一又は複数の上で、シリコン膜の構造、組成又は形態を変えるため、シリコン膜は処理プラズマに曝露される。処理プラズマはAr、He、又はHのうちの一又は複数のプラズマを含む。第2の表面から膜のほぼすべてを除去し、第1の表面の上のシリコン膜の少なくとも一部を残すため、膜は第1の表面及び第2の表面からエッチングされる。第2の表面と比べて、第1の表面の上に膜を選択的に形成するため、堆積、処理及びエッチングが繰り返される。
【0007】
[0007] 本開示の追加的な実施形態は、基本的にシリコンからなる第1の表面と、少なくとも1つの異なる材料からなる第2の表面を有するように準備された基板に膜を選択的に堆積する方法を対象としている。第1の表面と第2の表面にシリコン膜を堆積するため、基板はSiHと堆積プラズマに曝露される。シリコン膜は第1の表面と第2の表面とで異なる性質を有する。第1の表面又は第2の表面のうちの一又は複数の上で、シリコン膜の構造、組成又は形態を変えるため、シリコン膜は処理プラズマに曝露される。処理プラズマはAr、He、又はHのうちの一又は複数のプラズマからなる。第2の表面から膜のほぼすべてを除去し、第1の表面の上のシリコン膜の少なくとも一部を残すため、膜は第1の表面及び第2の表面から熱エッチングされる。第2の表面と比べて、第1の表面の上に膜を選択的に形成するため、堆積、処理及びエッチングが繰り返される。
【0008】
[0008] 本開示のさらなる実施形態は、基本的にシリコンからなる第1の表面と、少なくとも1つの異なる材料からなる第2の表面を有するように準備された基板に膜を選択的に堆積する方法を対象としている。第1の表面と第2の表面にシリコン膜を堆積するため、基板はSiHと堆積プラズマに曝露される。シリコン膜は第1の表面と第2の表面とで異なる性質を有する。第1の表面又は第2の表面のうちの一又は複数の上で、シリコン膜の構造、組成又は形態を変えるため、シリコン膜は処理プラズマに曝露される。処理プラズマはAr、He、又はHのうちの一又は複数のプラズマからなる。第2の表面から膜のほぼすべてを除去し、第1の表面の上のシリコン膜の少なくとも一部を残すため、膜は第1の表面及び第2の表面からプラズマエッチングされる。第2の表面と比べて、第1の表面の上に膜を選択的に形成するため、堆積、処理及びエッチングが繰り返される。
【0009】
[0009] 本発明の上述の特徴を詳細に理解しうるように、上記で簡単に要約されている本発明のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は付随する図面に示されている。しかし、本発明は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、付随する図面は、この発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、発明の範囲を限定するとみなすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一又は複数の実施形態によるプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0011] 本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明は下記の説明において明記される構成又はプロセスステップの詳細事項に限定されないということを、理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつ、様々な方法で実践又は実行されることが可能である。
【0012】
[0012] 本書で使用する「基板」とは、製造プロセス中に膜処理が実行される任意の基板又は基板上に形成された材料表面のことを指す。例えば、処理が実行され得る基板表面には、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、歪みシリコン、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、並びに金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電材料などの任意の他の材料が含まれる。基板は、半導体ウエハを含むが、それに限定されるわけではない。基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、UV硬化、電子ビーム(eビーム)硬化、且つ/又はベークするために、基板を前処理プロセスに曝すことができる。本発明では、基板自体の表面に直接的に膜処理を行うことに加えて、開示されている膜処理ステップのうちの任意のものが、以下でより詳細に開示するように、基板に形成された下部層に実施されることもある。「基板表面(substrate surface)」という語は、文脈から分かるように、かかる下部層を含むことを意図している。したがって、例えば基板表面上に膜/層または膜/層の一部が堆積している場合には、新たに堆積した膜/層の露出面が、基板表面になるのである。
【0013】
[0013] 本開示の実施形態は、様々な表面組成を有する基板上に膜(例えば、シリコン)を選択的に堆積する方法を提供する。いくつかの実施形態は、有利にはクラスタツール環境で実行可能な循環的な堆積-処理-エッチングプロセスを含む方法を提供する。いくつかの実施形態は、有利には、他の表面と比べて、シリコン表面の上にシリコン膜を堆積する。
【0014】
[0014] 特定の操作理論に縛られることなく、材料(例えば、Si)の核形成は様々な表面で異なると考えられている。そのため、結晶度の異なる膜上での核形成は異なるであろう。加えて、材料(例えば、Si)のエッチング速度は様々な表面で異なるであろう。いくつかの実施形態は、有利には、他の表面ではなく、特定の表面の上でより速く材料(例えば、Si)をエッチングするためにプラズマを使用する方法を提供する。いくつかの実施形態は、有利には、堆積-処理-エッチングプロセスを繰り返すことによって、シリコン膜の選択的な堆積を作り出すため、異なる表面上で異なるエッチング速度を使用する。
【0015】
[0015] 図は、本開示の一又は複数の実施形態による例示的な処理方法100を示す。第1の表面と第2の表面を有する基板が、110での処理に提供される。このように使用されている、「提供される(provided)」という用語は、更なる処理のために、基板がある位置又は環境に置かれることを意味する。第1の表面と第2の表面は材料が異なる。例えば、表面の一方はシリコンで、他方は金属になりうる。いくつかの実施形態では、第1の表面と第2の表面は同じ化学組成を有するが、異なる物理特性(例えば、結晶化度)を有する。
【0016】
[0016] 第1の表面は、限定するものではないが、例えば、金属膜を含む任意の好適な材料になりうる。いくつかの実施形態では、第1の表面は、シリコン、タングステン、コバルト、銅、ルテニウム、パラジウム、プラチナ、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、銀、ハフニウム、タンタル、又はランタノイドのうちの一又は複数を含む金属である。いくつかの実施形態では、第1の表面は、基本的にシリコンからなる。このように使用されている、「基本的に~からなる」という表現は、表面に関して、原子ベースで約95%、98%、又は99%以上がシリコンであることを意味する。
【0017】
[0017] 第2の表面は、第1の表面とは異なる任意の好適な表面になりうる。第1の表面と第2の表面の違いは、膜組成又は膜の何らかの物理特性に基づきうる。いくつかの実施形態では、第2の表面は、金属ボライド、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属オキシカーバイド、金属酸窒化物、金属オキシボライド、金属窒化ホウ素、金属ボロカーバイド、金属炭窒化物、金属オキシカーボナイトライド、金属ボロカーボナイトライド、金属ボロオキシナイトライド、金属オキシボロカーボナイトライド、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、第2の表面は、低誘電率(k<5)又は高誘電率(k>=5)を有する誘電体材料を含む。いくつかの実施形態では、第2の表面は、酸化ケイ素、窒化ケイ素のうちの一又は複数を含む。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態では、第1の表面は金属表面を含み、第2の表面は、第1の表面と同様の金属を含むが、第1の表面とは異なる結晶化度を有する。いくつかの実施形態では、第1の表面と第2の表面は、異なる結晶構造、密度、及び/又は表面終端を有する誘電体材料を含む。
【0019】
[0019] 図中のプロセスの説明は、シリコンを含む第1の表面と酸化ケイ素又は窒化ケイ素のうちの一又は複数を含む第2の表面を有する基板に関して示されているが、当業者であれば、これが可能な構成の1つを表わしているにすぎず、他の組み合わせも本開示の範囲内にあることを認識するであろう。基板は120で、シラン及び堆積プラズマに曝露される。本開示の目的では、この曝露は堆積と称される。いくつかの実施形態では、シランは化学式Si2n+2を有する少なくとも1つの種(species)を含む。いくつかの実施形態では、シランは基本的にSiHからなる。いくつかの実施形態では、シランは基本的にSiからなる。いくつかの実施形態では、シランは基本的にジクロロシランSiHClからなる。このように使用される「基本的に~からなる」という表現は、シランに関して、重量単位で約95%、98%、又は99%以上が上記の種であることを意味する。いくつかの実施形態では、シランはハロゲン原子がCl、Br及びIのうちの一又は複数を含むハロゲン化ケイ素種を含む。いくつかの実施形態では、ハロゲン化ケイ素は実質的にフッ素原子を含まない。このように使用されている、「実質的にフッ素原子を含まない」という表現は、ハロゲン種の組成に関して、原子ベースで約95%、98%、又は99%以下がフッ素であることを意味する。
【0020】
[0020] いくつかの実施形態では、堆積プラズマは、Ar、He、H又はNのうちの一又は複数を含む。いくつかの実施形態では、堆積プラズマは、基本的にArからなる。いくつかの実施形態では、堆積プラズマは、基本的にHeからなる。いくつかの実施形態では、堆積プラズマは、基本的にHからなる。いくつかの実施形態では、堆積プラズマは、基本的にNからなる。このように使用されている「基本的に~からなる」という表現は、堆積プラズマに関して、原子ベースで約95%、98%、又は99%以上が上記の種であることを意味する。
【0021】
[0021] 堆積プラズマは、導電結合プラズマ(CCP)又は誘導結合プラズマ(ICP)であってよく、また、直接プラズマ又は遠隔プラズマであってよい。いくつかの実施形態では、堆積プラズマは約0Wから約2000Wの範囲の出力を有する。いくつかの実施形態では、最小プラズマ出力は0W、10W、50W又は100Wを超える。
【0022】
[0022] 堆積120中の温度は、例えば、使用される前駆体及び/又は堆積プラズマに応じて、任意の好適な温度になりうる。いくつかの実施形態では、堆積温度は、約100°C~500°Cの範囲内、又は約150°C~約450°Cの範囲内、又は約200°C~約400°Cの範囲内にある。
【0023】
[0023] 堆積120中の処理チャンバ圧力は、約100mTorr~300Torrの範囲内、又は約200mTorr~約250Torrの範囲内、又は約500mTorr~約200Torrの範囲内、又は約1Torr~約150Torrの範囲内にありうる。
【0024】
[0024] 既に特定されているように、第1の表面及び第2の表面の上でのシリコン膜の核形成は、120における第1の表面及び第2の表面の上でのシラン/プラズマへの曝露の結果として、厚み並びに堆積した膜の物理特性に影響を及ぼしうる。いくつかの実施形態では、堆積後、第1の表面の上と第2の表面の上に堆積したシリコン膜の結晶化度は異なる。
【0025】
[0025] 堆積した膜は、処理プロセスに移行する前に任意の好適な厚みになりうる。いくつかの実施形態では、堆積した膜の厚みは、処理プロセスに移行する前に約5A、10A、15A、20A又は25A以上である。いくつかの実施形態では、堆積した膜の厚みは、処理プロセスに移行する前に約100A、90A、80A、70A、60A又は50A以下である。
【0026】
[0026] 第1の表面及び/又は第2の表面の上のシリコン膜の構造、組成又は形態を変えるため、堆積後、基板は130で処理プラズマに曝露される。本開示の目的では、この曝露は処理と称される。
【0027】
[0027] いくつかの実施形態では、処理プラズマは、Ar、He、又はHのうちの一又は複数を含む。いくつかの実施形態では、処理プラズマは、基本的にArからなる。いくつかの実施形態では、処理プラズマは、基本的にHeからなる。いくつかの実施形態では、処理プラズマは、基本的にHからなる。このように使用される「基本的に~からなる」という表現は、処理プラズマに関して、原子ベースで約95%、98%、又は99%以上が上記の種であることを意味する。いくつかの実施形態では、処理プラズマは堆積プラズマと同じである。いくつかの実施形態では、処理プラズマは堆積プラズマとは異なる。
【0028】
[0028] 処理プラズマは、導電結合プラズマ(CCP)又は誘導結合プラズマ(ICP)であってよく、また、直接プラズマ又は遠隔プラズマであってよい。いくつかの実施形態では、プラズマは約0~約2000Wの範囲内の出力を有する。いくつかの実施形態では、最小プラズマ出力は0W、10W、50W又は100Wを超える。
【0029】
[0029] 処理130での温度は、例えば、使用される処理プラズマに応じて任意の好適な温度になりうる。いくつかの実施形態では、処理温度は、約100°C~約500°Cの範囲内、又は約150°C~約450°Cの範囲内、又は約200°C~約400°Cの範囲内にある。
【0030】
[0030] 処理130中の処理チャンバ圧力は、約100mTorr~300Torrの範囲内、又は約200mTorr~約250Torrの範囲内、又は約500mTorr~約200Torrの範囲内、又は約1Torr~約150Torrの範囲内にありうる。
【0031】
[0031] 既に特定されているように、第1の表面及び第2の表面の上のシリコン膜の構造、組成又は形態は、130での処理プラズマへの曝露の結果として、異なるものになるであろう。いくつかの実施形態では、第1の表面及び第2の表面の上のシリコン膜の処理後の結晶化度は異なる。いくつかの実施形態では、第1の表面及び第2の表面の上のシリコン膜の処理後の結晶化度は処理前とは異なり、処理後の結晶化度の差異は処理前よりも大きくなる。
【0032】
[0032] 処理後、140で基板はエッチングされ、第2の表面からはほとんどすべてのシリコン膜が除去され、第1の表面の上の少なくとも一部のシリコン膜は残される。このように使用される「ほとんどすべて」という表現は、第2の表面から十分な量の膜が除去され、その後の堆積プロセスに核形成遅延(nucleation delay)をもたらす。いくつかの実施形態では、第2の表面からほとんどすべての膜を除去することは、第2の表面から少なくとも約95%、98%又は99%の膜がエッチングされるか除去されることを意味する。
【0033】
[0033] いくつかの実施形態では、膜は熱エッチングプロセスによってエッチングされる。本開示の目的では、熱エッチングプロセスは、エッチャントを熱エッチングプロセスの反応物質(reactant)として利用しうる。いくつかの実施形態では、熱エッチングプロセスは、Hを含むエッチャントと共に実施される。いくつかの実施形態では、不活性ガスは、熱エッチングプロセスの間に、エッチャントと共に流される。
【0034】
[0034] いくつかの実施形態では、膜はプラズマエッチングプロセスによってエッチングされる。本開示の目的では、プラズマエッチングプロセスで利用されるプラズマは、エッチングプラズマと称される。いくつかの実施形態では、エッチングプラズマは、H、HCl、Cl、又はNFのうちの一又は複数を含む。いくつかの実施形態では、エッチングプラズマは、基本的にHからなる。いくつかの実施形態では、エッチングプラズマは、基本的にHClからなる。いくつかの実施形態では、エッチングプラズマは、基本的にClからなる。いくつかの実施形態では、エッチングプラズマは、基本的にNFからなる。このように使用される「基本的に~からなる」という表現は、エッチングプラズマに関して、原子ベースで約95%、98%、又は99%以上が上記の種であることを意味する。いくつかの実施形態では、不活性ガスは、プラズマエッチングプロセスの間に、エッチングプラズマと共に流される。
【0035】
[0035] エッチングプラズマは、導電結合プラズマ(CCP)又は誘導結合プラズマ(ICP)であってよく、また、直接プラズマ又は遠隔プラズマであってよい。いくつかの実施形態では、プラズマは約0~約2000Wの範囲内の出力を有する。いくつかの実施形態では、最小プラズマ出力は0W、10W、50W又は100Wを超える。
【0036】
[0036] エッチング130中の温度は、例えば、使用されるエッチングプロセス、エッチャント及び/又はエッチングプラズマに応じて、任意の好適な温度になりうる。いくつかの実施形態では、エッチング温度は、約100°C~約500°Cの範囲内、又は約150°C~約450°Cの範囲内、又は約200°C~約400°Cの範囲内にある。
【0037】
[0037] エッチング140中の処理チャンバ圧力は、約100mTorr~300Torrの範囲内、又は約200mTorr~約250Torrの範囲内、又は約500mTorr~約200Torrの範囲内、又は約1Torr~約150Torrの範囲内にありうる。
【0038】
[0038] エッチング後、方法100は決定点(decision point)150に達する。シリコン膜が第1の層上で所定の厚みに達すると、基板はオプションにより、160でさらなるポストプロセスを継続する。シリコン膜が第1の層上で所定の厚みに達しない場合には、「堆積」-「処理」-「エッチング」のサイクルを少なくとも1回追加するため、方法は120に戻る。
【0039】
[0039] いくつかの実施形態は、オプションのポストプロセス(事後処理)160工程を含む。ポストプロセス160は、膜又は基板のパラメータを改善するため、堆積した膜又は基板を修正するために使用されうる。いくつかの実施形態では、ポストプロセス160は、膜のアニーリングを含む。いくつかの実施形態では、ポストプロセス160は、堆積120、処理130及び/又はエッチング140に使用されるのと同じ処理チャンバでのインシトゥ(その場)アニールによって実施されうる。好適なアニーリング処理には、非限定的に、急速熱処理(RTP)又は急速熱アニール(RTA)、スパイクアニール、又はUV硬化、又は電子ビーム硬化及び/又はレーザアニールが含まれる。アニール温度は、約500°C~900°Cの範囲内でありうる。アニール中の環境の組成物には、H、Ar、He、N、NH、SiHなどの一又は複数が含まれうる。アニール中の圧力は、約100mTorr~約1atmの範囲内であってよい。
【0040】
[0040] 本開示に記載されている方法中の任意の時点で、基板は加熱又は冷却されうる。このような加熱又は冷却は、限定するものではないが、基板支持体の温度を変化させること、及び、基板表面へ加熱されたまたは冷却されたガスを流すことを含む、任意の好適な手段によって、達成することができる。いくつかの実施形態では、基板支持体は、伝導的に基板温度を変化させるように制御することができる、ヒータ/クーラを含む。一又は複数の実施形態では、基板温度を局所的に変化させるため、使用されるガス(反応性ガスまたは不活性ガス)が加熱または冷却される。いくつかの実施形態では、基板温度を対流によって変化させるため、ヒータ/クーラは、チャンバ内部で基板表面に隣接するように配置される。
【0041】
[0041] 基板はまた、プロセス中に、静止又は回転させることができる。回転基板は、連続的に、又は非連続に段階的に、回転されうる。例えば、プロセス全体を通して基板を回転させてもよく、又は、様々な反応性ガス、パージガス又はプラズマへの曝露の合間に基板を少しずつ回転させてもよい。処理中に基板を(連続的に或いは段階的に)回転させることは、例えばガス流形状の局所的可変性の影響を最小化することによって、より均一な堆積、又はエッチングの生成に役立ちうる。
【0042】
[0042] 本明細書全体を通じて、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「一又は複数の実施形態」、又は「実施形態」に対する言及は、実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所での「一又は複数の実施形態で」、「いくつかの実施形態で」、又は「一実施形態で」又は「実施形態で」などの文言の表出は、必ずしも、本発明の同一の実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、一又は複数の実施形態において任意の適切な様態で組み合わせてもよい。
【0043】
[0043] 本書の発明は特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は本発明の原理及び用途の例示にすぎないことを、理解されたい。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の方法及び装置に様々な改変及び変形を行いうることが、当業者には明らかになろう。したがって、本発明は、付随する特許請求の範囲及びその均等物に含まれる改変例及び変形例を含むことが意図されている。
図1