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特許7154284ループ安定性のためのノード分割を有するトランジスタ増幅器及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】ループ安定性のためのノード分割を有するトランジスタ増幅器及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/56 20060101AFI20221007BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
H03F1/56
H03F3/68 220
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020516901
(86)(22)【出願日】2018-10-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018053948
(87)【国際公開番号】W WO2019070694
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】15/723,286
(32)【優先日】2017-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フラワーズ、ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ、ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】フェイド、カーレッド
(72)【発明者】
【氏名】ウッド、サイモン
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-161348(JP,A)
【文献】特開平01-047108(JP,A)
【文献】国際公開第2012/160755(WO,A1)
【文献】特開2013-065938(JP,A)
【文献】特開2015-088975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/56
H03F 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力リード及び出力リードを有するパッケージと、
並列に電気的に接続され、前記入力リードにつなげられる複数のユニット・セル・トランジスタを有するトランジスタ段であって、前記ユニット・セル・トランジスタの各々が出力部を有し、前記複数のユニット・セル・トランジスタが少なくとも第1のセットの複数のユニット・セル・トランジスタと第2のセットの複数のユニット・セル・トランジスタからなるところの、トランジスタ段と、
前記第1のセットの複数のユニット・セル・トランジスタの出力と電気的に接続されている第1の出力ボンディング・パッドと、
前記第1の出力ボンディング・パッドとは別の第2の出力ボンディング・パッドであって、前記第2の出力ボンディング・パッドが前記第2のセットの複数のユニット・セル・トランジスタの出力と電気的に接続されている、第2の出力ボンディング・パッドと、
前記第1の出力ボンディング・パッドと前記出力リードとの間につなげられる複数の第1の出力ボンディング・ワイアと、
前記第2の出力ボンディング・パッドと前記出力リードとの間につなげられる第2の出力ボンディング・ワイアと
を備え、前記第1の出力ボンディング・ワイアは、前記第1の出力ボンディング・パッドと前記パッケージとの間に直接接続され、前記第2の出力ボンディング・ワイアは、前記第2の出力ボンディング・パッドと前記パッケージとの間に直接接続される、パッケージングされたトランジスタ増幅器。
【請求項2】
前記第1の出力ボンディング・ワイアが、前記パッケージの出力リード・パッドに直接接続され、前記第2の出力ボンディング・ワイアが、前記出力リード・パッドに直接接続される、請求項1に記載のパッケージングされたトランジスタ増幅器。
【請求項3】
前記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、第1及び第2の入力ボンディング・パッド並びに第1及び第2の入力ボンディング・ワイアを含み、前記第1及び第2の入力ボンディング・ワイアが前記入力リードをそれぞれの前記第1及び第2の入力ボンディング・パッドに電気的に接続する、請求項1又は2に記載のパッケージングされたトランジスタ増幅器。
【請求項4】
前記第1及び第2の入力ボンディング・ワイアが、前記それぞれの第1及び第2の入力ボンディング・パッドと前記パッケージの入力リード・パッドの間に直接接続される、請求項3に記載のパッケージングされたトランジスタ増幅器。
【請求項5】
前記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、異なる数の入力ボンディング・ワイア及び出力ボンディング・ワイアを含む、請求項3から4までのいずれか一項に記載のパッケージングされたトランジスタ増幅器。
【請求項6】
前記第1及び第2の入力ボンディング・ワイアのうちの少なくとも1つのインダクタンスが、少なくとも10%だけ前記第1及び第2の出力ボンディング・ワイアのうちの少なくとも1つのインダクタンスとは異なる、請求項3から4までのいずれか一項に記載のパッケージングされたトランジスタ増幅器。
【請求項7】
前記複数のユニット・セル・トランジスタの前記出力部のうちの第3のセットの複数のユニット・セル・トランジスタの出力と電気的に接続されている出力ボンディング・パッドと、前記第3の出力ボンディング・パッドと前記出力リードとの間につなげられる第3の出力ボンディング・ワイアとをさらに備える、請求項1から6までのいずれか一項に記載のパッケージングされたトランジスタ増幅器。
【請求項8】
出力インピーダンス整合回路基板と、
出力回路基板と、
前記トランジスタ段と前記出力インピーダンス整合回路基板の間に延びる第1の内部ボンディング・ワイアと、
前記出力インピーダンス整合回路基板と前記出力回路基板の間に延びる第2の内部ボンディング・ワイアと、
を更に備える、請求項1に記載のパッケージングされたトランジスタ増幅器。
【請求項9】
前記第1の出力ボンディング・パッドは、前記第2の出力ボンディング・パッドに直接隣接している、請求項1に記載のパッケージングされたトランジスタ増幅器。
【請求項10】
前記複数のユニット・セル・トランジスタは、複数のIII族窒化物系の高電子移動度トランジスタ(HEMT)を含む、請求項1に記載のパッケージングされたトランジスタ増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において説明する発明の概念は、トランジスタ増幅器に関し、とりわけユニット・セル・トランジスタを有するトランジスタ増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
大電力取り扱い能力を有するトランジスタ増幅器は、多岐にわたるアプリケーションにおいて今日使用されている。出力電力の増大を実現するために、これらのトランジスタ増幅器は、大きな実効ゲート周囲長を有するトランジスタを含むことができる。トランジスタの実効ゲート周囲長を大きくするための1つの技術は、並列に接続されている複数のユニット・セル・トランジスタを設けることである。このようなデバイスでは、実効ゲート周囲長を、個別のトランジスタのゲート周囲長の合計とすることができる。
【0003】
ハイ・パワー・トランジスタ増幅器の1つの実例タイプは、内部整合型電界効果トランジスタ(「FET:field effect transistor」)であり、これはまた、IMFETとも呼ばれる。IMFETは、複数の並列増幅経路を形成するために並列に配置されている複数のユニット・セル・トランジスタを各々が有することができる1つ又は複数のトランジスタ増幅器集積回路チップを含むパッケージングされたトランジスタ増幅器である。ユニット・セル・トランジスタは、例えば、高電子移動度トランジスタすなわち「HEMT:high electron mobility transistor」を含むことができ、例えば、HEMTを炭化ケイ素及び/又は窒化ガリウム系の半導体材料などのワイド・バンドギャップ半導体材料を使用して形成することができる。トランジスタ増幅器集積回路チップは、インピーダンス整合ネットワーク、伝送ライン、電力分割及び統合構造等を含む、例えばプリント回路ボード又はセラミック回路基板などの他の回路基板とともにパッケージにパッケージングすることができる。パッケージは、1つ又は複数の入力リード及び出力リードを含むことができる。集積回路チップと他の回路基板を相互接続するために及び/又は回路基板をパッケージの入力/出力リードに接続するために、ボンディング・ワイアを使用することができる。例えば、100MHzと28GHz又はそれどころかより高い周波数との間になることがある特定の周波数帯域内にある動作周波数を有するように、IMFETトランジスタ増幅器を設計することができる。
【0004】
モノリシック・マイクロ波集積回路(「MMIC:monolithic microwave integrated circuit」)は、もう1つのタイプのハイ・パワー・トランジスタ増幅器であり、これは付随する整合回路、給電ネットワーク、等とともに並列に配置された複数のユニット・セル・トランジスタを含む。IMFETトランジスタ増幅器のように、MMICトランジスタ増幅器は、並列に接続されている複数のユニット・セルHEMTトランジスタを含むことができる。IMFETトランジスタ増幅器とMMICトランジスタ増幅器との間の主な違いは、MMICトランジスタ増幅器では、トランジスタ、インピーダンス整合ネットワーク、及び給電ネットワークを含め、増幅器の回路素子のすべてが単一の「モノリシック」集積回路チップの上に形成されことであるが、IMFETトランジスタ増幅器は、パッケージングされるデバイス内に包含された多数の集積回路チップ及び他の回路基板を有する場合があることである。MMICトランジスタ増幅器の単一の集積回路チップを保護パッケージの入力/出力リードに接続するために、ボンディング・ワイアを使用することができる。
【0005】
IMFETトランジスタ増幅器又はMMICトランジスタ増幅器内の個別のユニット・セル・トランジスタは、増幅器を製作するために使用する製造プロセス及び/又は組み立てプロセスにつきものの変動のためにわずかに異なるように振る舞うことがある。これらの変動が微細であるとしても、これらの変動が、デバイスに典型的に含まれるインピーダンス整合ネットワークによって拡大されることがある。これらの拡大された変動は、並列増幅経路内の異なるレグ同士の間の位相及び/又は他のパラメータのアンバランスをもたらすことがあり、これらのアンバランスが出力信号に発振を生じさせることがある。発振は、トランジスタ増幅器の動作周波数帯域内で及び/又は外で発生することがあるスプリアス信号の形態を取ることがある。帯域内であろうとも帯域外であろうとも、発振は、所望の出力信号のパワーを低下させることがある及び/又は相互変調積を生じ得る付加的な望まれない信号として現れることがある。加えて、帯域内発振は、所望の出力信号に雑音として現れることがある。
【0006】
発振が十分に大きい場合には、発振は、増幅器の性能を極めて大きく劣化させることがある。したがって、いわゆる「ループ解析」が、発振の大きさ及び効果を決定するためにトランジスタ増幅器に関する設計段階中に実行される。発振が十分に大きいことをループ解析が示す場合、設計者はそのときには、出力信号の発振を減少させるためにアンバランスを安定化させるためユニット・セル・トランジスタを通る並列増幅経路に沿って直列抵抗及び/又はシャント抵抗を追加することができる。あいにく、このような抵抗を含むことは、増幅器の利得及び効率の両方を低下させ、そしてまた、デバイスの出力電力レベルも低下させることもあり、これらはIMFETパワー増幅器及びMMICパワー増幅器に関する鍵となる性能パラメータのうちの3つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2002/0066908(A1)号
【文献】米国特許出願公開第2002/0167023(A1)号
【文献】米国特許出願公開第2004/0061129号
【文献】米国特許第7,906,799号
【文献】米国特許第6,316,793号
【文献】米国特許出願公開第2003/0102482(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例によれば、パッケージングされたトランジスタ増幅器が提供され、入力リード及び出力リードを有するパッケージと、並列に電気的に接続され、上記入力リードにつなげられる複数のユニット・セル・トランジスタを有するトランジスタ段であって、上記ユニット・セル・トランジスタの各々が出力部を有する、トランジスタ段と、第1の給電ネットワークにより上記ユニット・セル・トランジスタの上記出力部の第1のサブセットにつなげられる第1の出力ボンディング・パッドと、上記第1の出力ボンディング・パッドとは別の第2の出力ボンディング・パッドであって、上記第2の出力ボンディング・パッドが第2の給電ネットワークにより上記ユニット・セル・トランジスタの上記出力部の第2のサブセットにつなげられる、第2の出力ボンディング・パッドと、上記第1の出力ボンディング・パッドと上記出力リードとの間につなげられる第1の出力ボンディング・ワイアと、上記第2の出力ボンディング・パッドと上記出力リードとの間につなげられる第2の出力ボンディング・ワイアとを含む。
【0009】
いくつかの実施例では、上記第1の出力ボンディング・ワイアが、上記第1の出力ボンディング・パッドに直接接続されることがあり、上記第2の出力ボンディング・ワイアが、上記第2の出力ボンディング・パッドに直接接続されることがある。
【0010】
いくつかの実施例では、1つ又は複数の回路基板が、上記パッケージ内に含まれ、上記第1及び第2の出力ボンディング・ワイアの各々の第1の端部が、上記1つ又は複数の回路基板に直接接続されることがあり、上記第1及び第2の出力ボンディング・ワイアの各々の第2の端部が、上記パッケージに直接接続されることがある。
【0011】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、少なくとも第1及び第2の入力ボンディング・パッド並びに少なくとも第1及び第2の入力ボンディング・ワイアを含むことができ、上記第1及び第2の入力ボンディング・ワイアが上記入力リードを上記それぞれの第1及び第2の入力ボンディング・パッドに電気的に接続される。このような実施例では、上記第1及び第2の入力ボンディング・ワイアが、上記それぞれの第1及び第2の入力ボンディング・パッドに直接接続されることがある。
【0012】
いくつかの実施例では、上記第1の出力ボンディング・ワイアが、上記第1の出力ボンディング・パッドに直接接続されることがあり、上記第2の出力ボンディング・ワイアが、上記第2の出力ボンディング・パッドに直接接続されることがある。
【0013】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、モノリシック・マイクロ波集積回路パワー増幅器を備えることができる。
【0014】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、内部整合型電界効果トランジスタ・パワー増幅器を備えることができる。
【0015】
いくつかの実施例では、上記第1の出力ボンディング・パッドが、上記第2の出力ボンディング・パッドに直接隣接することがある。
【0016】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、異なる数の入力ボンディング・ワイア及び出力ボンディング・ワイアを含むことがある。
【0017】
いくつかの実施例では、上記第1及び第2の入力ボンディング・ワイアのうちの少なくとも1つのインダクタンスが、少なくとも10%だけ上記第1及び第2の出力ボンディング・ワイアのうちの少なくとも1つのインダクタンスとは異なることがある。
【0018】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、第3の給電ネットワークにより上記ユニット・セル・トランジスタの上記出力部の第3のサブセットにつなげられる第3の出力ボンディング・パッドと、上記第3の出力ボンディング・パッドと上記出力リードとの間につなげられる第3の出力ボンディング・ワイアとをさらに含むことができる。
【0019】
本発明の別の実施例によれば、パッケージングされたトランジスタ増幅器が提供され、入力リード及び出力リードを有するパッケージと、上記入力リードにつなげられる入力インピーダンス整合ネットワークと、電気的に並列である複数のユニット・セル・トランジスタを有するトランジスタ段であって、上記トランジスタ段が上記入力インピーダンス整合ネットワークにつなげられ、上記ユニット・セル・トランジスタの各々が出力部を有する、トランジスタ段と、上記トランジスタ段につなげられる出力インピーダンス整合ネットワークと、上記出力インピーダンス整合ネットワークと上記出力リードとの間につなげられる複数の出力ボンディング・ワイアと、上記複数のユニット・セル・トランジスタの上記出力部につなげられる出力統合ノードとを含む。上記複数の出力ボンディング・ワイアが、上記トランジスタ段と上記出力統合ノードとの間にある。
【0020】
いくつかの実施例では、上記出力ボンディング・ワイアの各々が、上記パッケージに直接接続されることがある。
【0021】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、第1及び第2の出力ボンディング・パッドをさらに含むことができ、上記出力ボンディング・ワイアのうちの第1の出力ボンディング・ワイアが上記第1の出力ボンディング・パッドと上記出力リード用のリード・パッドとの間に延び、上記出力ボンディング・ワイアのうちの第2の出力ボンディング・ワイアが上記第2の出力ボンディング・パッドと上記出力リード用の上記リード・パッドとの間に延びる。
【0022】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、少なくとも第1及び第2の入力ボンディング・パッド並びに上記入力リードを上記それぞれの第1及び第2の入力ボンディング・パッドに電気的に接続する少なくとも第1及び第2の入力ボンディング・ワイアを含む。
【0023】
いくつかの実施例では、上記第1及び第2の入力ボンディング・ワイアが、上記パッケージと上記それぞれの第1及び第2の入力ボンディング・パッドとの間に直接接続されることがある。
【0024】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、モノリシック・マイクロ波集積回路パワー増幅器及び/又は内部整合型電界効果トランジスタ・パワー増幅器を備えることができる。
【0025】
いくつかの実施例では、上記第1の出力ボンディング・パッドが、上記第2の出力ボンディング・パッドに直接隣接することがある。
【0026】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、異なる数の入力ボンディング・ワイア及び出力ボンディング・ワイアを含むことができる。
【0027】
いくつかの実施例では、上記入力ボンディング・ワイアのうちの少なくとも1つのインダクタンスが、少なくとも10%だけ上記出力ボンディング・ワイアのうちの少なくとも1つのインダクタンスとは異なることがある。
【0028】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、第3の出力ボンディング・パッドをさらに含むことができ、上記出力ボンディング・ワイアのうちの第3のものが、上記第3の出力ボンディング・パッドと上記出力リードとの間につなげられる。
【0029】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、第3の入力ボンディング・パッド及び第3の入力ボンディング・ワイアをさらに含むことができ、上記第3の入力ボンディング・ワイアが上記第3の入力ボンディング・パッドと上記入力リードとの間につなげられる。
【0030】
本発明のさらに別の実施例によれば、パッケージングされたトランジスタ増幅器が提供され、入力リード及び出力リードを有するパッケージと、上記パッケージ内の1つ又は複数の回路基板であって、上記1つ又は複数の回路基板が複数の電気的並列増幅経路を含み、上記増幅経路の各々が上記入力リード及び上記出力リードにつなげられる、1つ又は複数の回路基板と、上記出力リードを上記1つ又は複数の回路基板のうちの少なくとも1つにつなげる複数の出力ボンディング・ワイアとを含む。上記出力ボンディング・ワイアが、上記1つ又は複数の回路基板と上記電気的並列増幅経路のすべてが最初に統合される場所との間にある。
【0031】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、少なくとも第1及び第2の入力ボンディング・パッド並びに上記入力リードを上記それぞれの第1及び第2の入力ボンディング・パッドに電気的に接続する少なくとも第1及び第2の入力ボンディング・ワイアを含むことができる。
【0032】
いくつかの実施例では、上記第1及び第2の入力ボンディング・ワイアが、上記パッケージと上記それぞれの第1及び第2の入力ボンディング・パッドとの間に直接接続されることがある。
【0033】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、モノリシック・マイクロ波集積回路パワー増幅器及び/又は内部整合型電界効果トランジスタ・パワー増幅器を備えることができる。
【0034】
いくつかの実施例では、上記第1及び第2の入力ボンディング・ワイアが、複数の入力ボンディング・ワイアの一部であり、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、異なる数の入力ボンディング・ワイア及び出力ボンディング・ワイアを含むことができる。
【0035】
いくつかの実施例では、上記第1の入力ボンディング・ワイアのインダクタンスが、少なくとも10%だけ上記出力ボンディング・ワイアのうちの少なくとも1つのインダクタンスとは異なることがある。
【0036】
本発明のさらに追加の実施例によれば、増幅器を設計する方法が提供され、そこでは、入力リード、出力リードを有するパッケージ及び上記入力リードと上記出力リードとの間につなげられるとともに上記パッケージ内に設置された複数の並列増幅経路を有するトランジスタ段を含むパッケージングされたパワー増幅器が設計され、ループ解析シミュレーションが上記設計したパッケージングされたパワー増幅器に実行され、入力信号が複数の並列増幅経路に沿って伝わるように最初に分割される上記パッケージングされたパワー増幅器の入力分割ノードと上記複数の並列増幅経路のすべてが最初に再統合される上記パッケージングされたパワー増幅器の出力統合ノードとのうちの一方の場所が上記ループ解析シミュレーションの結果に基づいて変更される。
【0037】
いくつかの実施例では、入力信号が複数の並列増幅経路に沿って伝わるように最初に分割される上記パッケージングされたパワー増幅器の入力分割ノードと上記複数の並列増幅経路のすべてが最初に再統合される上記パッケージングされたパワー増幅器の出力統合ノードとのうちの一方の場所を変更することが、上記入力分割ノードと上記出力統合ノードとの間にあるボンディング・ワイアの数を変更することを含むことができる。
【0038】
いくつかの実施例では、入力信号が複数の並列増幅経路に沿って伝わるように最初に分割される上記パッケージングされたパワー増幅器の入力分割ノードと上記複数の並列増幅経路のすべてが最初に再統合される上記パッケージングされたパワー増幅器の出力統合ノードとのうちの一方の場所を変更することが、上記トランジスタ段を上記出力リードに接続する少なくとも2つの出力ボンディング・ワイアを上記トランジスタ段と上記出力統合ノードとの間になるように位置付けることができる。
【0039】
いくつかの実施例では、上記方法は、上記パッケージングされたパワー増幅器の上記入力分割ノードと上記パッケージングされたパワー増幅器の上記出力統合ノードとのうちの他方の場所を変更することをさらに含むことができる。
【0040】
いくつかの実施例では、上記方法は、上記パッケージングされたパワー増幅器の上記入力分割ノードと上記パッケージングされたパワー増幅器の上記出力統合ノードとのうちの他方の上記場所を変更することに先立って第2のループ解析シミュレーションを実行することをさらに含むことができる。
【0041】
いくつかの実施例では、上記ループ解析シミュレーションの結果に基づいて、入力信号が複数の並列増幅経路に沿って伝わるように最初に分割される上記パッケージングされたパワー増幅器の入力分割ノードと上記複数の並列増幅経路のすべてが最初に再統合される上記パッケージングされたパワー増幅器の出力統合ノードとのうちの一方の場所を変更することが、入力ボンディング・パッド及び/又は出力ボンディング・パッドを細分化することを含むことができる。
【0042】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、モノリシック・マイクロ波集積回路パワー増幅器を備えることができる。
【0043】
いくつかの実施例では、上記パッケージングされたトランジスタ増幅器が、内部整合電界効果トランジスタ・パワー増幅器を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の実施例によるIMFETトランジスタ増幅器の平面図である。
図2A図1のIMFETトランジスタ増幅器のユニット・セル・トランジスタのサブセットの拡大した模式図である。
図2B図2Aの線2B-2Bに沿って取られた模式的断面図である。
図3】出力ボンディング・パッドの分割の前の図1のIMFETトランジスタ増幅器の平面図である。
図4】典型的な従来のIMFETトランジスタ増幅器の出力回路基板及び出力リードの模式的平面図である。
図5図1のIMFETトランジスタ増幅器の修正した版の模式的平面図である。
図6】従来のMMICトランジスタ増幅器の平面図である。
図7】本発明の実施例によるMMICトランジスタ増幅器の平面図である。
図8】本発明の別の実施例によるMMICトランジスタ増幅器の平面図である。
図9】本発明の特定の実施例による増幅器設計方法のフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
上に論じたように、トランジスタ・パワー増幅器の電力取り扱い能力を、デバイスの実効ゲート周囲長を大きくすることによって高めることができる。(1)多数の並列増幅経路を設けること及び/又は(2)各々の個別の増幅経路のゲート幅を大きくすることによって、ゲート周囲長を大きくすることができる。並列増幅経路を設けることは、デバイス内に1つ又は複数のループを作り出す。これらのループは、入力RF信号が並列ユニット・セル・トランジスタに伝わるように最初に分割される第1の場所から、個別の経路のすべてが単一の出力信号へと再統合された第2の場所まで延びる。上に論じたように、ゲート・フィンガの幅が大きくなるにつれて、デバイス特性の微細な変動が拡大され、そしてこのことが、デバイスの動作周波数範囲内であることも範囲外であることもあり得る望まれない信号の形態での発振を生じさせるアンバランスを導入することがある。このような発振は、パワー・トランジスタ増幅器の性能を低下させることがある又はデバイスを使用不可能にすることさえある。結果として、上に記述した発振が許容可能なレベル内に維持されることを確実にするために、ループ解析を、パワー・トランジスタ増幅器の設計段階中に実行することができる。トランジスタ増幅器設計が許容できないループ挙動を有するだろうことをループ解析モデリングが示すと、抵抗器及び/又は追加のリアクタンス構成要素が、ループ内に追加され、このことがループを安定化させそしていずれの発振をも減衰させるために役立つことがある。
【0046】
本発明の実施例によれば、改善された安定性を示すことができる複数の電気的並列増幅経路を有するパッケージングされたパワー・トランジスタ増幅器が提供される。いくつかの実施例では、これらのパッケージングされたパワー・トランジスタ増幅器は、「分割された」入力ボンディング・パッド及び/又は出力ボンディング・パッドを有することがある。分割された入力ボンディング・パッドを、1つ又は複数の入力ボンディング・ワイアによりトランジスタ増幅器パッケージの入力リードに各々つなげることができ、分割された出力ボンディング・パッドを、1つ又は複数の出力ボンディング・ワイアによりトランジスタ増幅器パッケージの出力リードに各々つなげることができる。入力ボンディング・パッド及び/又は出力ボンディング・パッドを分割することを、「ノード分割」と本明細書においてときには呼ぶことがある。
【0047】
従来のパッケージングされたパワー・トランジスタ増幅器は、1つ又は複数の入力ボンディング・ワイアにより集積回路チップ又は回路基板上の入力ボンディング・パッドに接続される入力リードを典型的には含む。これらの従来のデバイスでは、各々の入力ボンディング・ワイアの第1の端部を、入力リードに接続されるリード・パッドに(例えば、はんだ付けの熱圧着によって)接続することができ、各々の入力ボンディング・ワイアの第2の端部を、入力ボンディング・パッドに接続することができる。同様に、各々の出力ボンディング・ワイアの第1の端部を出力ボンディング・パッドに接続することができ、各々の出力ボンディング・ワイアの第2の端部を、出力リードに接続されるリード・パッドに接続することができる。この従来の設計を用いると、(1)デバイスへの入力であるRF信号が並列増幅経路を流れ下るように分割される入力分割ノード及び(2)並列増幅経路を増幅の後で再統合される出力統合ノードの両方は、両方とも集積回路チップ又は回路基板上であった。したがって、入力ボンディング・ワイア及び出力ボンディング・ワイアは、入力分割ノードと出力統合ノードとの間の並列増幅経路によって形成された「ループ」の外であった。
【0048】
本発明の実施例によるパッケージングされたパワー・トランジスタ増幅器では、入力ボンディング・ワイア及び/又は出力ボンディング・ワイアがデバイス内の並列増幅経路によって形成される「ループ」内であるように、入力分割ノードと出力統合ノードとのうちの一方又は両方の場所を移動させることができる。これらの入力ボンディング・ワイア及び出力ボンディング・ワイアは、高レベルのインダクタンスを有することができ、このインダクタンスがループ内であるようにトランジスタ増幅器を再構成することが、デバイスを安定化できる。その上、入力ボンディング・ワイア及び出力ボンディング・ワイアがデバイスに既に存在するので、入力分割ノード及び/又は出力統合ノードの位置を再設置することが、インピーダンス整合回路などのデバイス性能の他の態様に本質的に強い影響を与えなくてもよい。したがって、本発明の実施例による技術は、デバイス内の回路を再設計することを必要とせずにデバイスを安定化させる利便性の高い方法を提供する。このように、本発明の実施例によるノード分割技術は、回路設計の他の態様を変更すること又はデバイスの性能に悪影響を及ぼす抵抗器を追加することを必要とせずにパワー・トランジスタ増幅器の発振を安定化させる容易で利便性の高い方法を提供できる。
【0049】
いくつかの実施例では、入力リード及び出力リードを有するパッケージを含むパッケージングされたトランジスタ増幅器が提供される。トランジスタ段が入力リードにつなげられる。トランジスタ段は、電気的に互いに並列に配設された複数のユニット・セル・トランジスタを含むことができる。ユニット・セル・トランジスタの各々は、ドレイン・コンタクトなどの出力部を有することができる。パッケージングされたトランジスタ増幅器は、第1の給電ネットワークによりユニット・セル・トランジスタの出力部の第1のサブセットにつなげられる第1の出力ボンディング・パッド、及び第2の給電ネットワークによりユニット・セル・トランジスタの出力部の第2のサブセットにつなげられる第2の別の出力ボンディング・パッドをさらに含む。第1の出力ボンディング・ワイアは、第1の出力ボンディング・パッドと出力リードとの間につなげられ、そして第2の出力ボンディング・ワイアが第2の出力ボンディング・パッドと出力リードとの間につなげられる。ユニット・セル・トランジスタの異なるものが第1及び第2の出力ボンディング・ワイアを介して出力リードにつなげられるので、第1及び第2の出力ボンディング・ワイアは、フィードバック・ループ内であり、これゆえ、これらの出力ボンディング・ワイアのインダクタンスを、デバイスの安定化に役立つように使用することができる。
【0050】
他の実施例では、入力リード及び出力リードを有するパッケージを含むパッケージングされたトランジスタ増幅器が提供される。入力インピーダンス整合ネットワークが入力リードにつなげられ、トランジスタ段が入力インピーダンス整合ネットワークにつなげられる。トランジスタ段は、電気的に互いに並列に配設された複数のユニット・セル・トランジスタを含むことができる。ユニット・セル・トランジスタの各々は、ドレイン・コンタクトなどの出力部を有することができる。出力インピーダンス整合ネットワークがトランジスタ段につなげられる。複数の出力ボンディング・ワイアが、出力インピーダンス整合ネットワークと出力リードとの間につなげられ、そしてデバイスは、複数のユニット・セル・トランジスタの出力のすべてが統合される出力統合ノードをさらに含む。出力ボンディング・ワイアがフィードバック・ループ内にあるように、出力ボンディング・ワイアは、トランジスタ段と出力統合ノードとの間にある。
【0051】
さらに他の実施例では、入力リード及び出力リードを有するパッケージを含むパッケージングされたトランジスタ増幅器が提供される。1つ又は複数の回路基板が、パッケージ内にマウントされ、1つ又は複数の回路基板が複数の並列増幅経路を含み、増幅経路の各々が入力リード及び出力リードにつなげられる。出力ボンディング・ワイアは、出力リードを1つ又は複数の回路基板のうちの少なくとも1つに接続する。出力ボンディング・ワイアは、1つ又は複数の回路基板と並列増幅経路のすべてが最初に統合される場所との間にある。
【0052】
さらに別の実施例によれば、増幅器設計方法が提供され、そこではパッケージングされたパワー増幅器が設計される。パッケージングされたパワー増幅器は、入力リード及び出力リードを有するパッケージ、並びに入力リードと出力リードとの間につなげられる複数の並列増幅経路を有しそしてパッケージ内にマウントされたトランジスタ段を含む。設計が完了した後で、ループ解析シミュレーションが実行される。デバイスが許容できない不安定性のレベルを有することをループ解析シミュレーションが示す場合には、(1)入力信号が複数の並列増幅経路に沿って伝わるように最初に分割されるパッケージングされたパワー増幅器の入力分割ノードと(2)複数の並列増幅経路のすべてが最初に再統合されるパッケージングされたパワー増幅器の出力統合ノードとのうちの一方の場所が、そのときには変更される。
【0053】
本発明の実施例が、添付した図を参照して非常に詳細にここで説明されるだろう。
【0054】
図1は、本発明の実施例によるIMFETパワー・トランジスタ増幅器100の模式的平面図である(すなわち、上方からデバイスを見下ろしている)。図1(及び他の図の様々なもの)では、IMFETパワー・トランジスタ増幅器100のパッケージが、パッケージ内の回路素子を図説するためにシャドウ図で示されている。IMFETパワー・トランジスタ増幅器100は、例えば、(より低くてもより高くてもよいが)10~20dBの間の利得を有することがあり、これゆえ実例の実施例では、例えば、10~100倍だけ入力信号のレベルを高くできる。
【0055】
図1に示したように、IMFETトランジスタ増幅器100は、パッケージ110内に包含された複数の回路基板を含む。回路基板は、1つ又は複数の集積回路チップを含むことができ、例えば、プリント回路ボード又はセラミック回路基板などの他の回路基板もまた含むことができる。本明細書では、集積回路チップ及びプリント回路ボード又はセラミック回路基板などの他の基板を集合的に「回路基板」と呼ぶ。
【0056】
図1に示したように、回路基板は、入力回路基板及び出力回路基板130、180、インピーダンス整合回路基板150-1、150-2、170-1、170-2、並びにトランジスタ増幅器集積回路チップ160-1、160-2を含むことができる。本明細書では、特定の素子の1つよりも多くのインスタンスがデバイスに含まれるときには、素子を、その完全な参照番号により個別に(例えば、トランジスタ増幅器集積回路チップ160-2)、そして参照番号の最初の部分により集合的に(例えば、トランジスタ増幅器集積回路チップ160)呼ぶことができる。
【0057】
パッケージ110をそれぞれの回路基板130、180に接続する入力ボンディング・ワイア120及び出力ボンディング・ワイア190が設けられ、入力回路基板及び出力回路基板130、180、インピーダンス整合回路基板150-1、150-2、170-1、170-2、及びトランジスタ増幅器集積回路チップ160-1、160-2を相互接続する内部ボンディング・ワイア140、142、144、146が設けられる。
【0058】
回路基板130、150、160、170、180が、パッケージ110内に含まれる。パッケージ110は、入力リード112及び出力リード118を含む。入力リード112を、例えば、はんだ付けにより入力リード・パッド114に電気的に接続することができる。1つ又は複数の入力ボンディング・ワイア120は、入力リード・パッド114を入力回路基板130上の入力ボンディング・パッド132に電気的に接続することができる。各々の入力ボンディング・ワイア120の第1の端部を、入力リード・パッド114に直接接続することができ、そして各々の入力ボンディング・ワイア120の第2の端部を、いくつかの実施例では入力ボンディング・パッド132に接続することができる。各々の入力ボンディング・ワイア120を、例えば、熱圧着により入力リード・パッド114及び入力ボンディング・パッド132に接続することができる。
【0059】
入力回路基板130は、任意の適切な基板を備えることができる。いくつかの実施例では、入力回路基板130は、その一方の側に導電性グランド・プレーンを、そしてその反対側にRF伝送ラインを形成する導電性トレースと、入力ボンディング・パッド132などのパッドとを有するセラミック回路基板(例えば、アルミナ基板)を備えることができる。導電性金属は、例えば、金、銅、又はこれらの合金を含むことができる。第1のRF伝送ライン134は、入力ボンディング・パッド132を入力分割ノード136に接続する。入力分割ノード136は、協同給電ネットワーク138への入力部として働き、この協同給電ネットワーク138は、入力リード112の入力でありそして入力ボンディング・パッド132に伝えられるRF入力信号をトランジスタ増幅器集積回路チップ160-1、160-2(図2A及び下記のその考察参照)に含まれる複数のユニット・セル・トランジスタのゲート・フィンガにつなげるために使用される。図1に示したように、協同給電ネットワーク138は、任意のRF入力信号を出力パッド139へと進む複数のサブコンポーネントへと分割する。
【0060】
第1及び第2のトランジスタ増幅器集積回路チップ160-1、160-2は典型的には、入力リード112のところで見られるインピーダンスよりもはるかに低い入力インピーダンスを有する(これは例えば、50オームであってもよい)。したがって、IMFETトランジスタ増幅器100は、IMFETトランジスタ増幅器100の動作周波数帯域の全体にわたって入力リード112とトランジスタ増幅器集積回路チップ160-1、160-2との間のインピーダンス整合を改善する入力インピーダンス整合回路基板150-1、150-2をさらに含む。各々の入力インピーダンス整合回路基板150-1、150-2は、伝送ライン及びキャパシタ及び/又はインダクタンス性素子などのリアクタンス構成要素を含むことができる。内部ボンディング・ワイア140-1、140-2は、各々の出力パッド139と入力インピーダンス整合回路基板150-1、150-2のうちのそれぞれ1つとの間に延びて、入力信号のサブコンポーネントを入力インピーダンス整合回路基板150-1、150-2に伝える。実例の実施例では、各々の入力インピーダンス整合回路基板150-1、150-2を、例えば、上に平板キャパシタを有するセラミック基板として実装することができる。内部ボンディング・ワイア142-1、142-2は、各々の入力インピーダンス整合回路基板150-1、150-2の出力部とそれぞれの第1及び第2のトランジスタ増幅器集積回路チップ160-1、160-2との間に延びる。内部ボンディング・ワイア140、入力インピーダンス整合回路基板150上のキャパシタ及び内部ボンディング・ワイア142の組み合わせは、インダクタ-キャパシタ-インダクタ(LCL:inductor-capacitor-inductor)リアクタンス回路を形成する。このリアクタンス回路(すなわち、内部ボンディング・ワイア140、142と入力インピーダンス整合回路基板150との組み合わせ)は、反射を減少させることができ、これによりIMFETデバイス100の反射減衰量(return loss)及び挿入損失性能を改善する。他のインピーダンス整合回路設計又は実装形態を使用できることが認識されるだろう。
【0061】
入力信号を増幅するユニット・セル・トランジスタが、第1及び第2のトランジスタ増幅器集積回路チップ160-1、160-2上に実装される。図2A及び図2Bは、これらの集積回路チップ160の構造をより詳細に図示する模式図である。特に、図2Aは、トランジスタ増幅器集積回路チップ160-1に含まれるユニット・セル・トランジスタのサブセットの金属レイアウトの模式的平面図である。図2Bは、図2Aの線2B-2B’に沿って取られ、トランジスタ増幅器集積回路チップ160-1に含まれるユニット・セル・トランジスタの半導体及び金属層構造を図示する模式的断面図である。
【0062】
図2Aに示したように、集積回路チップ160-1は、第1の方向(例えば、図2Aに示したy方向)に平行に延びる複数のゲート・フィンガ205に接続されるゲート・バス200を含む。ゲート・バス200を、図2Aには示されていない接続部を介して内部ボンディング・ワイア142-1に接続することができる。ソース・バス210は、複数の並列ソース・コンタクト215に接続される。ソース・バス210を、集積回路チップ160-1の裏面のグランド電圧ノードに接続することができる。ドレイン・バス220は、複数のドレイン・コンタクト225に接続される。ドレイン・バス220を、図2Aには示されていない接続部を介して内部ボンディング・ワイア144-1に接続することができる。
【0063】
図2Aに見ることができるように、各々のゲート・フィンガ205は、1対の隣接するソース及びドレイン・コンタクト215、225の間をy方向に沿って走る。トランジスタ増幅器集積回路チップ160-1は複数のユニット・セル230を含み、ここでは各々のユニット・セル230が個別のトランジスタを備える。1つの個別のユニット・セル・トランジスタ230が図2Aでは破線のボックスにより図示されており、隣接するソース及びドレイン・コンタクト215、225の間に延びるゲート・フィンガ205を含む。「ゲート幅」は、ゲート・フィンガ205がその関連するソース及びドレイン・コンタクト215、225とy方向に重なる距離を指す。すなわち、ゲート・フィンガ205の「幅」は、隣接するソース/ドレイン・コンタクト215、225に平行に延びるゲート・フィンガ205の寸法(y方向に沿った距離)を指す。各々のユニット・セル・トランジスタ230は、1つ又は複数の隣接するユニット・セル・トランジスタ230とソース・コンタクト215及び/又はドレイン・コンタクト225を共有できる。合計で10個のユニット・セル・トランジスタ230が図2Aに図示されているが、トランジスタ増幅器集積回路チップ160-1がより多くの又はより少ないユニット・セル・トランジスタ230を含むことができることが認識されるだろう。トランジスタ増幅器集積回路チップ160-2は、いくつかの実施例ではトランジスタ増幅器集積回路チップ160-1と同一であってもよい、又はある点では異なってもよい(例えば、トランジスタ増幅器集積回路チップ160のうちの1つが他のトランジスタ増幅器集積回路チップ160よりも多くのユニット・セル・トランジスタ230を含んでもよい)。
【0064】
図2Bを参照して、トランジスタ増幅器集積回路チップ160-1は、基板250を含む半導体構造240を備え、この基板は、例えば、4H-SiC又は6H-SiCを含むことができる。チャネル層260は、基板250上にあり、チャネル層260が基板250と障壁層270との間になるように、障壁層270がチャネル層260上にある。チャネル層260及び障壁層270は、III族窒化物系の材料を含むことができ、障壁層270の材料は、チャネル層260の材料よりも大きなバンドギャップを有する。例えば、チャネル層260が、GaNを含むことがあり、一方で障壁層270がAlGaNを含むことがある。
【0065】
障壁層270とチャネル層260との間のバンドギャップの違い及び障壁層270とチャネル層260との間の界面におけるピエゾ電気効果のために、2次元電子ガス(2DEG)は、チャネル層260と障壁層270との間の接合部のところのチャネル層260内に誘起される。2DEGは、それぞれ、ソース・コンタクト215及びドレイン・コンタクト225の下方にあるデバイスのソース領域とドレイン領域との間の導電を可能にする高い導電性層として機能する。ソース・コンタクト215及びドレイン・コンタクト225は、障壁層270の上にある。ゲート・フィンガ205は、ソース・コンタクト215とドレイン・コンタクト225との間の障壁層270の上にある。ゲート・フィンガ205並びにソース及びドレイン・コンタクト215、225が図2Bでは同じ「長さ」を有するようにすべて示されているが、実際には、ゲート・フィンガ205がソース及びドレイン・コンタクト215、225の長さよりも実質的に短い長さを有することが認識されるだろう、そしてソース及びドレイン・コンタクト215、225が必ずしも同じ長さを有する必要がないこともまた認識されるだろう。
【0066】
ゲート・フィンガ205の材料を、障壁層270の組成に基づいて選択することができる。しかしながら、特定の実施例では、窒化物系の半導体材料に対してショットキー・コンタクトを作ることが可能な、Ni、Pt、NiSi、Cu、Pd、Cr、W及び/又はWSiNなどの従来の材料を使用することができる。ソース・コンタクト215及びドレイン・コンタクト225は、GaNに対してオーミック・コンタクトを形成できるTiAlNなどの金属を含むことができる。
【0067】
ドレイン・コンタクト225は、各々のユニット・セル・トランジスタ230の出力部を含むことができる。ドレイン・コンタクト225は、ドレイン・バス220に接続する。再び図1を参照して、複数のボンディング・ワイア144-1は、第1及び第2のトランジスタ増幅器集積回路チップ160-1、160-2のドレイン・バス220をそれぞれの第1及び第2の出力インピーダンス整合回路基板170-1、170-2に接続する。第1及び第2の出力インピーダンス整合回路基板170-1、170-2への内部ボンディング・ワイア144-1、144-2の接続部は、図面を単純化するために図2Aには示されていない。
【0068】
第1及び第2のトランジスタ増幅器集積回路チップ160-1、160-2の出力インピーダンスは、典型的には、出力リード118のところで見られるインピーダンスよりもはるかに低い。各々の出力インピーダンス整合回路基板170-1、170-2は、キャパシタなどのリアクタンス構成要素及びパッケージ110の出力リード118に対してそれぞれのトランジスタ増幅器集積回路チップ160-1、160-2の出力部のインピーダンスを整合させるために使用されるインダクタンス性素子を可能性として含むことができる。
【0069】
出力インピーダンス整合回路基板170-1、170-2は、例えば、セラミック基板(例えば、アルミナ基板)又は上に形成された平板キャパシタを有するプリント回路ボードなどの基板を各々備えることができる。上に記したように、内部ボンディング・ワイア144-1、144-2は、第1及び第2のトランジスタ増幅器集積回路チップ160-1、160-2と出力インピーダンス整合回路基板170-1、170-2との間に延び、内部ボンディング・ワイア146-1、146-2は、出力インピーダンス整合回路基板170-1、170-2と出力回路基板180上の入力パッド181との間に延びる。内部ボンディング・ワイア144、出力インピーダンス整合回路基板170の上のキャパシタ及び内部ボンディング・ワイア146の組み合わせが、インダクタ-キャパシタ-インダクタ(LCL)リアクタンス回路を形成する。このリアクタンス回路(すなわち、内部ボンディング・ワイア144、146と出力インピーダンス整合回路基板170との組み合わせ)は、反射を減少させることができ、これによりIMFETデバイス100の反射減衰量及び挿入損失性能を改善することができる。他のインピーダンス整合回路設計又は実装形態を使用してもよいことが認識されるだろう。
【0070】
出力回路基板180は、任意の適切な基板を含むことができる。いくつかの実施例では、出力回路基板180は、セラミック基板(例えば、アルミナ基板)を備えることができ、これはその一方の側に導電性グランド・プレーンを、そしてその反対側に導電性パッドと、RF伝送ラインを形成するトレースとを有する。複数の入力パッド181を設けることができる。ボンディング・ワイア146-1、146-2は、出力インピーダンス整合回路基板170-1、170-2を入力パッド181に接続する。入力パッド181を、協同給電ネットワーク182の一部とすることができ、この協同給電ネットワーク182は、出力インピーダンス整合回路基板170-1、170-2から出力される信号を統合する。協同給電ネットワーク182を、より大きな協同給電ネットワーク182を一緒に形成する2つの協同給電ネットワーク184-1、184-2として見ることができる。
【0071】
ここで図3を参照して、当初の設計では、協同給電ネットワーク184-1、184-2は、単一の比較的大きな出力ボンディング・パッド185へと両方とも終端化することができる。複数の出力ボンディング・ワイア190は、出力ボンディング・パッド185を出力リード118に接続する。出力リード118を、例えば、はんだ付けによって出力リード・パッド116にマウントすることができる。出力ボンディング・ワイア190は、出力リード・パッド116を出力基板180上の出力ボンディング・パッド185に電気的に接続することができる。各々の出力ボンディング・ワイア190の第1の端部を、出力ボンディング・パッド185に直接接続することができ、各々の出力ボンディング・ワイア190の第2の端部を、出力リード・パッド116に直接接続することができる。各々の出力ボンディング・ワイア190を、1対の直接はんだ接続部により出力リード・パッド116及び出力ボンディング・パッド185に接続することができる。図3にやはり示されているように、出力統合ノード188は、出力ボンディング・パッド185のところに設置される。出力統合ノード188は、第1及び第2のトランジスタ増幅器集積回路チップ160-1、160-2から出力される信号のすべてが最終的に統合される場所である(統合することの一部が協同給電ネットワーク184-1、184-2において出力統合ノード188に先立って生じるが、信号のすべてが統合されることが出力統合ノード188までないことに留意されたい)。
【0072】
上に論じたように、ハイ・パワー・デバイスでは、ゲート・フィンガ205は、デバイスのゲート周囲長(及びこれゆえ電力取り扱い能力)を大きくするために長いゲート幅を有することがあり、これが長いフィードバック・ループという結果になる。これらのハイ・パワー・デバイスが大きなトランスコンダクタンス値を有するという理由で、フィードバック・ループを不安定にする傾向があり得る。特に、フィードバック・ループは、トランジスタの動作の周波数帯域内及び/又は外であり得る望まれない発振信号を発生させることがある。いずれのケースでも、このような発振信号の発生は、問題を含むことがあり、トランジスタ増幅器を使用不可能にすることがある。フィードバック・ループの不安定性は、フィードバック・ループの長さとともに大きくなる傾向がある。従来のIMFET増幅器では、これらのループ不安定性は、例えば、図2Aのゲート・バス200と直列にゲート抵抗器(図2Aには図示せず)を追加することによって、及び/又は2つの隣接するゲート・バス200の間に電気的に直列にいわゆるオッド・モード抵抗器(やはり図2Aには図示せず)を追加することによって安定化される。これらの追加した抵抗は、デバイスを安定化させることができ、そして発振信号を減少させる又は削除することができる。あいにく、これらの直列ゲート抵抗器及びオッド・モード抵抗器は、IMFET増幅器の利得及び効率の両方を低下させ、またデバイスの出力電力レベルも低下させることがあり、これらはIMFETパワー増幅器に関する鍵となる性能パラメータのうちの3つである。
【0073】
従来は、IMFETトランジスタ増幅器の設計が完了すると、デバイスが十分な安定性を示すかどうかを判断するために、ループ解析を実行することができる。ループ解析を、シミュレーション・ソフトウェアを使用して実行することができる。デバイスが十分には安定でないことを、シミュレーションが示す場合には、デバイス設計は、発振を減少させるために典型的には修正される。上に論じたように、デバイスのゲート・フィンガ及びドレイン内のフィードバック・ループを安定化させるために、直列ゲート抵抗器及び/又はオッド・モード抵抗器を追加することによって、IMFETトランジスタ増幅器を修正することができる。
【0074】
図3のIMFETトランジスタ増幅器100と合わせて、不安定性が存在することをループ解析が示す場合には、本発明の実施例に従ってフィードバック・ループを安定化させるために、IMFET増幅器の設計を非常に容易に修正することができる。特に、図1を再び参照して、不安定性が存在することをループ解析が示す場合には、図3の出力ボンディング・パッド185を、2つの別々の出力ボンディング・パッド186-1、186-2(又は、他の実施例では、3つ以上の出力ボンディング・パッド)を作り出すために分割することができる。回路設計をこのように修正すると、図3図1と比較することによって分かるように、出力統合ノード188は、出力ボンディング・パッド185から出力リード・パッド116へと移動する。その結果として、図3の元々の設計では、出力ボンディング・ワイア190は、入力分割ノード136から出力統合ノード188まで延びるループの外であり、一方で、分割された出力ボンディング・パッド186-1、186-2(図5参照)を有するように設計を変更した後では、図1に示したように、出力ボンディング・ワイア190は、ループ内である。出力ボンディング・ワイア190は、大きなインダクタンスを有することがあり、そして非常に低損失であり得る。その結果として、ループ内で出力ボンディング・ワイア190を移動させることによって与えられる追加のリアクタンスは、共鳴を安定化させそして発振信号を減少させる又は削除するためには十分であり得る。
【0075】
とりわけ、2つの別々の出力ボンディング・パッド186-1、186-2を形成するために図3の出力ボンディング・パッド185を分割することが、増幅器の残りの部分の設計に影響を及ぼす必要がない。出力ボンディング・ワイア190がデバイス100内に既に存在するので、出力ボンディング・パッド185を分割することが、インピーダンス整合に強い影響を与える必要がない。このように、本発明の様々な実施例に従って分割された出力ボンディング・パッド185の選択肢を有するようにIMFET増幅器100を設計することにより、回路設計者は、元々の設計が不安定であることになれば、デバイス100を安定化させるための非常に単純なプロセスを有することができる。出力ボンディング・パッド135を、2路より多くに分割する(例えば、3路、4路、等に分割する)ことができること、及び別の伝送ライン134が他の実施例では出力ボンディング・パッド185のこのような多路分割によって形成される各々の個別の入力出力ボンディング・パッド186に接続できることも認識されるだろう。出力ボンディング・パッド185が分割されると、分割された出力ボンディング・パッドは、同じサイズ又は形状を有する必要がないことが認識されるだろう。
【0076】
図4は、従来のIMFET増幅器300の出力回路基板及び出力リードの模式的平面図である。図4に示したように、出力回路基板380は、協同給電ネットワーク382の端部のところに設置される出力統合ノード388を含む。RF伝送ライン384は、出力統合ノード388をRF出力パッド385に接続する。複数の出力ボンディング・ワイア390は、出力ボンディング・パッド385を出力リード・パッド316に接続する。パッケージ310の出力リード318が、出力リード・パッド316にはんだ付けされる。
【0077】
図4に示した出力段設計を有する従来のIMFETトランジスタ増幅器でループ解析ができない場合、ループ挙動を安定化させるために増幅器300の設計を修正することが必要である。典型的には、このことは、上に説明した方式で直列ゲート抵抗器及び/又はオッド・モード抵抗器を追加することにより実現される。やはり上に論じたように、このことは、IMFETトランジスタ増幅器の重要な性能態様を劣悪化させる傾向がある。
【0078】
図5は、図1のIMFETトランジスタ増幅器100の修正した版であるIMFETトランジスタ増幅器100’の模式的平面図である。図5に示したように、IMFETトランジスタ増幅器100’は、IMFETトランジスタ100に類似しており、違いは入力回路基板130の設計においてである。図1図3とを比較することによって分かるように、IMFETトランジスタ増幅器100’は、2つの伝送ライン134-1、134-2が入力ボンディング・パッド131に接続するように設計され、このことは、設計者が、図5に示したように、矢印133により特定された入力ボンディング・パッド131の中央部分を除去することによって入力パッド131を2つの別々の入力パッド132-1、132-2へと分割することを可能にする。元々の入力ボンディング・パッド131のサイズは、入力ボンディング・パッド131がより容易に見られるように、図5ではわずかに誇張されている。入力ボンディング・パッド131はまた、デバイスが入力ボンディング・パッド131又は1対の入力ボンディング・パッド132-1、132-2のいずれかを有することを強調するために破線によって示される。入力ボンディング・パッド131を、2路より多くに分割する(例えば、3路、4路、等に分割する)ことができること、及び別の伝送ライン134が他の実施例では分割によって形成された各々の個別の入力ボンディング・パッドに接続できることが認識されるだろう。入力ボンディング・パッド131が分割されると、分割された入力ボンディング・パッドが同じサイズ又は形状を有する必要がないことが認識されるだろう。
【0079】
図5に示されたような分割された入力ボンディング・パッドを含んだIMFETトランジスタ増幅器が販売されてきていることに留意すべきである。特に、2015年にCree,Inc.により販売されたCGHV59350F IMFETトランジスタ増幅器は、このような分割された入力ボンディング・パッドを含んでいた。
【0080】
本発明の別の実施例によれば、図1及び図5のIMFETトランジスタ増幅器100及び100’をさらに修正することができる。例えば、追加の実施例では、入力ボンディング・ワイア120の数を、出力ボンディング・ワイア190の数とは異なるようにすることができる。実例として、合計で4つの入力ボンディング・ワイア120を設けることができ、一方で合計で8つの出力ボンディング・ワイア190を設けることができる。とりわけ、図5のIMFETトランジスタ増幅器100’がこのやり方で修正される場合、そしてデバイスでループ安定性試験ができない場合には、回路設計者は、(1)ループ・リアクタンスに4つの入力ボンディング・ワイア120を追加するために入力ボンディング・パッド131を分割すること、(2)ループ・リアクタンスに8つの出力ボンディング・ワイア190を追加するために出力ボンディング・パッド185を分割すること、又は(3)ループ・リアクタンスに合計で12本のボンディング・ワイア120、190を追加するために入力ボンディング・パッド131及び出力ボンディング・パッド185の両方を分割することを含め、回路設計を修正するためのいくつかの選択肢を有する。
【0081】
もう1つの実例として、IMFETトランジスタ増幅器に異なる数の入力ボンディング・ワイア120と出力ボンディング・ワイア190とを含めることの代わりに、入力ボンディング・ワイア及び/又は出力ボンディング・ワイアの物理的なサイズを変えることができる。例えば、小さな直径の入力ボンディング・ワイア120を使用することができ、これが大きな直径の出力ボンディング・ワイア190よりも大きなインダクタンスを加えるだろう。もう1つの実例として、入力ボンディング・ワイア120のうちのいくつか又はすべてを出力ボンディング・ワイア190よりも短くすることができ、このことが出力ボンディング・ワイア190により大きなインダクタンスを加えさせるという結果になるだろう。異なる数の入力ボンディング・ワイア120と出力ボンディング・ワイア190とを使用することと同様に、入力ボンディング・パッド及び/又は出力ボンディング・パッドを分割することによって設計に容易に追加することができるいくつかの異なる量の追加のリアクタンスを設計者に提供するために、この技術を使用することができる。これらの2つの技術を、一緒に使用することもできる。
【0082】
本発明の別の実施例によれば、上に説明したボンディング・パッド分割技術を、MMICトランジスタ増幅器に使用することができて、MMICトランジスタ増幅器のフィードバック・ループを安定化させるためにMMICトランジスタ増幅器内に存在する類似のフィードバック・ループにリアクタンスを追加するための技術を提供する。
【0083】
図6は、従来のMMICトランジスタ増幅器400の平面図である。図6に示したように、従来のMMICトランジスタ増幅器400は、パッケージ410内に包含された集積回路チップ430を含む。パッケージ410は、入力リード412及び出力リード418を含む。入力リード412を、例えば、はんだ付けによって入力リード・パッド414にマウントすることができる。1つ又は複数の入力ボンディング・ワイア420は、入力リード・パッド414を集積回路チップ430上の入力ボンディング・パッド432に電気的に接続できる。各々の入力ボンディング・ワイア420の第1の端部を、入力リード・パッド414に直接接続することができ、各々の入力ボンディング・ワイア420の第2の端部を、入力ボンディング・パッド432に接続することができる。
【0084】
集積回路チップ430は、伝送ライン434により入力ボンディング・パッド432に接続される入力分割ノード436、入力インピーダンス整合ネットワーク450、第1のトランジスタ段460、中間インピーダンス整合ネットワーク440、第2のトランジスタ段462、出力インピーダンス整合段470、出力ボンディング・パッド485、及び出力統合ノード488をさらに含む。パッケージ410は、集積回路チップ430を取り囲みそして保護する保護ハウジングを含むことができる。パッケージ410を、例えば、セラミック材料から形成することができる。
【0085】
出力リード418を、例えば、はんだ付けにより出力リード・パッド416に接続することができる。1つ又は複数の出力ボンディング・ワイア490は、出力リード・パッド416を出力ボンディング・パッド485に電気的に接続できる。各々の出力ボンディング・ワイア490の第1の端部を出力リード・パッド416に直接接続することができ、そして各々の出力ボンディング・ワイア490の第2の端部を出力ボンディング・パッド485に接続することができる。伝送ライン487は、出力ボンディング・パッド485を協同給電ネットワーク482に接続する。
【0086】
MMICトランジスタ増幅器400は、複数の集積回路チップ及び他の回路基板が一緒にパッケージングされ、そしてボンディング・ワイアを使用して相互接続されるIMFET設計とは対照的に回路のすべてが単一の半導体チップ上に形成されることを除いて、IMFETトランジスタ増幅器に非常に類似することがある。入力インピーダンス整合ネットワーク450は、IMFETトランジスタ増幅器100の入力インピーダンス整合回路基板150-1、150-2と同じ機能を果たすことができる。同様に、出力インピーダンス整合ネットワーク470は、IMFETトランジスタ増幅器100の出力インピーダンス整合回路基板170-1、170-2と同じ機能を果たすことができる。中間インピーダンス整合ネットワーク440は、第1のトランジスタ段460の出力部のところのインピーダンスを第2のトランジスタ段462の入力部のところのインピーダンスにより良く整合させるように働くことができ、そして入力インピーダンス整合ネットワーク450と類似していてもよい。IMFETトランジスタ増幅器100では、いくつかの実施例では、内部ボンディング・ワイア140、142、144、146がインダクタンスを与えることができるので、インピーダンス整合ネットワークを、本質的に純粋な容量性とすることができ、MMICトランジスタ増幅器400では、インピーダンス整合段460、440、470がまた、それぞれの段内で細長くしたRF伝送ラインなどのインダクタンス性の部分を有することもできる。
【0087】
第1のトランジスタ段460及び第2のトランジスタ段462は、並列に電気的に配置された複数のユニット・セル・トランジスタを含むことができ、各々の段は、IMFETトランジスタ増幅器100に含まれたトランジスタ増幅器集積回路チップ160と類似しても同一であってもよい。これらのさらなる説明は省略されるだろう。2つのトランジスタ段460、462が、大きな利得を与えるためにMMIC増幅器400に設けられる。他のケースでは、単一のトランジスタ段だけが設けられることがある、又は2段より多いトランジスタ段が設けられることがあり、インピーダンス整合段の数をそれに応じて調節できることが認識されるだろう。
【0088】
図6にさらに示されたように、入力分割ノード436及び出力統合ノード488は、両方とも集積回路チップ430上にある。したがって、入力ボンディング・ワイア420及び出力ボンディング・ワイア490は、両方とも入力分割ノード436と出力統合ノード488との間に延びるMMIC増幅器400に含まれる並列増幅経路により画定されるループの外にある。
【0089】
図7は、本発明の実施例によるMMICトランジスタ増幅器500の平面図である。図6図7とを比較することにより分かるように、MMICトランジスタ増幅器500は、MMICトランジスタ増幅器400と類似することがある。しかしながら、MMICトランジスタ増幅器500では、MMICトランジスタ増幅器400の伝送ライン434が2つの伝送ライン535-1、535-2へと分割され、そしてMMICトランジスタ増幅器400の伝送ライン487が2つの伝送ライン589-1、589-2へと分割される。これらの変更のために、入力ボンディング・パッド532を、必要であれば、1対の入力ボンディング・パッド533-1、533-2へと分割することができ、その結果、入力分割ノード536をパッケージ510へと集積回路チップ530の外に移動させることができ、これにより入力分割ノード536と出力統合ノード588との間に延びるフィードバック・ループ内に入力ボンディング・ワイア520のインダクタンスを加えることができる。追加で及び/又は代替で、出力ボンディング・パッド585を、必要であれば、1対の出力ボンディング・パッド586-1、586-2へと分割することができ、その結果、出力統合ノード588をパッケージ510へと集積回路チップ530の外に移動させることができ、これにより入力分割ノード536と出力統合ノード588との間に延びるフィードバック・ループ内に出力ボンディング・ワイア590のインダクタンスを加えることができる。このように、図7は、IMFET増幅器100及び100’に関して上に論じた技術を、フィードバック・ループの安定化に役立つように入力ボンディング・ワイア520及び/又は出力ボンディング・ワイア590のインダクタンスを使用するためにMMICトランジスタ増幅器設計にも適用することができることを示している。図7のMMIC増幅器500は、入力ボンディング・パッド532又は出力ボンディング・パッド585のいずれか又は両方を分割してもよいように設計されているが、他の実施例では、入力ボンディング・パッド532が図6に示した従来の設計を有することができる又は出力ボンディング・パッド585が図6に示した従来の設計を有することができることが認識されるだろう。図8は、MMICトランジスタ増幅器600の平面図であり、ここではノード分割が出力ボンディング・パッド上で実行されるだけであるように、単一の入力ボンディング・パッド432が設けられている。
【0090】
複数の並列増幅経路をともなうユニット・セル・トランジスタ設計を有する従来の窒化ガリウム系のMMICトランジスタ増幅器は、単一の入力ボンディング・パッド及び単一の出力ボンディング・パッドを有し、その各々が複数のMMICトランジスタ増幅器を含むことができる半導体ウェハのRF試験を容易にする1つ又は複数のグランド・パッドによって典型的には側面に位置する。このRF試験中に、半導体ウェハが複数のMMICトランジスタ増幅器集積回路チップへとダイシングされる前に動作することを確実にするために、入力電力の単一のテスト信号が、MMICトランジスタ増幅器を駆動させそしておそらく飽和させるために適用され、上記集積回路チップは、その後に個別のMMICトランジスタ増幅器へとパッケージングされる。このように試験することは、コスト効率の良いスクリーニング手続きである。本発明の実施例によるノード分割技術のもう1つの利点は、従来から使用されている入力ボンディング・パッド及び出力ボンディング・パッドが典型的には多数のプローブ先端を受け入れるのに十分に大きいので、入力ボンディング・パッド及び/又は出力ボンディング・パッドを分割することが上に説明した試験手続きに強い影響を与えないことがあることである。したがって、2つに(又はそれどころか3つ若しくは4つの小さなボンディング・パッドへと)入力ボンディング・パッド及び/又は出力ボンディング・パッドを分割することは、RF試験手続きには全く強い影響を与えないことがある。したがって、本明細書において開示した技術は、回路設計者にボンディング・ワイア・インダクタンスを組み込むための追加の自由度を提供でき、上記ボンディング・ワイア・インダクタンスはそうでなければ、MMICトランジスタ増幅器の性能又は試験可能性に強い影響を与えずに多数の並列増幅経路を設けることによって形成されたフィードバック・ループへの組み立ての既に不可欠な部分である。
【0091】
図9は、本発明の特定の実施例による増幅器設計方法のフロー・チャートである。図9に示したように、動作は、回路設計者がパッケージングされたパワー増幅器用の設計をまとめることで始めることができる(ブロック800)。パッケージングされたパワー増幅器は、入力リードと出力リードとを有するパッケージ及び入力リードと出力リードとの間につなげられるとともにパッケージ内に含まれる複数の並列増幅経路を有するトランジスタ段を含むことができる。設計が完了した後で、ループ解析シミュレーションが実行される(ブロック810)。デバイスが許容できない不安定性のレベルを有することをループ解析シミュレーションが示す場合には(ブロック820)、入力信号が複数の並列増幅経路に沿って伝わるように最初に分割されるパッケージングされたパワー増幅器の入力分割ノードと複数の並列増幅経路のすべてが最初に再統合されるパッケージングされたパワー増幅器の出力統合ノードとのうちの一方の場所がそのときには変更される(ブロック830)。動作は、次いで、ループ解析が再び実行されるブロック810に戻ることができる。一旦、デバイスが安定であることをループ解析が示すと(ブロック820)、そのときには動作が、終了することがある。
【0092】
本発明の実施例によれば、IMFETトランジスタ増幅器及びMMICトランジスタ増幅器が提供され、そこでは、パッケージに接続する入力ボンディング・ワイア及び/又は出力ボンディング・ワイアがフィードバック・ループ内に移動されるように入力分割ノード及び/又は出力統合ノードが移動される。入力分割ノード及び/又は出力統合ノードの場所を変えることにより、重要な追加のインダクタンスを、ループ挙動を安定化させるためにフィードバック・ループ構造内に移動させることができる。言い換えると、1つ又は複数の追加のボンディング・ワイアのインダクタンスを加える能力が、減衰抵抗を追加することを必要とせずに回路を安定化させるための追加の自由度を回路設計者に提供する。
【0093】
上に説明した実施例は、RF伝送ラインが2つのRF伝送ラインに分割される場所及び2つのRF伝送ラインが単一のRF伝送ラインへと統合される場所を有する協同給電ネットワークを含むが、他の実施例では、RF伝送ライン「分割」を、ウィルカーソン(Wilkerson)パワー・スプリッタ/コンバイナで置き換えることができることが認識されるだろう。ウィルカーソン・パワー・スプリッタ/コンバイナは、より複雑で損失が大きい傾向があるが、出力ポート同士の間のより優れた分離を提供する。
【0094】
発明の概念の実施例は、III族窒化物系の高電子移動度トランジスタ(HEMT)デバイスとともに使用するために特に良く適していることがある。本明細書において使用するように、「III族窒化物」という用語は、窒素と周期律表のIII族の元素、通常アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、及び/又はインジウム(In)との間で形成されるそれらの半導電性化合物を指す。上記用語はまた、AlGaN及びAlInGaNなどの三元系化合物及び四元系化合物も指す。これらの化合物はすべて、1モルの窒素が合計で1モルのIII族元素と結合する実験式を有する。
【0095】
本発明の実施例を利用することができるGaN系のHEMTに関する適した構造が、例えば、同一出願人による「Aluminum Gallium Nitride/Gallium Nitride High Electron Mobility Transistors Having A Gate Contact On A Gallium Nitride Based Cap Segment And Methods Of Fabricating Same」に関する2002年6月6日公開の米国特許出願公開第2002/0066908(A1)号、2002年11月14日公開の「Group-III Nitride Based High Electron Mobility Transistor (HEMT) With Barrier/Spacer Layer」に関する米国特許出願公開第2002/0167023(A1)号、2004年4月1日公開の「Nitride-Based Transistors And Methods Of Fabrication Thereof Using Non-Etched Contact Recesses」に関する米国特許出願公開第2004/0061129号、2011年3月15日交付の「Nitride-Based Transistors With A Protective Layer And A Low-Damage Recess」に関する米国特許第7,906,799号、及び2001年11月13日交付の「Nitride Based Transistors On Semi-Insulating Silicon Carbide Substrares」という名称の米国特許第6,316,793号に記載されており、これらの開示は、その全体が引用により本明細書に組み込まれている。
【0096】
本発明の特定の実施例では、基板250を、例えば、炭化ケイ素(SiC)の4Hポリタイプとすることができる半絶縁性炭化ケイ素基板とすることができる。他の炭化ケイ素候補ポリタイプは、3C、6H、及び15Rポリタイプを含む。
【0097】
任意選択のバッファ層、核形成層及び/又は遷移層(図示せず)を、チャネル層260の下の基板250上に設けることができる。例えば、AlNバッファ層を、炭化ケイ素基板とデバイスの残りとの間に適切な結晶構造遷移を実現するために含ませることができる。加えて、歪み平衡遷移層もまた、例えば、同一出願人による、2003年6月5日に公開され、「Strain Balanced Nitride Hetrojunction Transistors And Methods Of Fabricating Strain Balanced Nitride Heterojunction Transistors」という名称の米国特許出願公開第2003/0102482(A1)号に記載されたように設けることもでき、その開示は、本明細書に完全に記述されているかのように引用により本明細書に組み込まれている。その上、SiNキャッピング層などの1つ又は複数のキャッピング層を、障壁層220の上に設けることができる。
【0098】
炭化ケイ素は、III族窒化物デバイスにとって非常に一般的な基板材料であるサファイア(Al)よりもIII族窒化物に対してはるかに近い結晶格子の一致がある。SiCのより近い格子一致は、サファイア上で一般に利用可能な品質よりも高い品質のIII族窒化物膜をもたらすことができる。炭化ケイ素はまた、非常に大きな熱伝導率も有し、その結果、炭化ケイ素上のIII族窒化物デバイスの全出力電力が、典型的には、サファイア上に形成された同じデバイスのケースにおけるように基板の熱消散により限定されるようなものではない。また、半絶縁性炭化ケイ素基板の有効性は、デバイス分離及び寄生容量の減少を提供できる。適切なSiC基板が、例えば、本発明の譲受人であるDurham、N.C.のCree,Inc.により製造される。
【0099】
炭化ケイ素を基板材料として使用することができるけれども、本発明の実施例は、サファイア、窒化アルミニウム、窒化アルミニウム・ガリウム、窒化ガリウム、シリコン、GaAs、LGO、ZnO、LAO、InP等などの任意の適した基板を利用できる。いくつかの実施例では、適切なバッファ層もまた、形成することができる。
【0100】
本発明のいくつかの実施例では、チャネル層260の伝導帯端のエネルギーが、チャネル層と障壁層との間の界面における障壁層270の伝導帯端のエネルギーよりも小さいことを実現するチャネル層260は、AlGa1-xN、ここでは0≦x<1、などのIII族窒化物である。本発明の特定の実施例では、x=0であり、チャネル層260がGaNであることを示している。チャネル層260をまた、InGaN、AlInGaN、等などの他のIII族窒化物とすることもできる。チャネル層260は、アンドープであっても意図せずにドープされてもよく、そして約20Åよりも大きな厚さまで成長させることができる。チャネル層260をまた、超格子又はGaN、AlGaN、等の組み合わせなどの多層構造とすることもできる。
【0101】
チャネル層260は、障壁層270のバンドギャップよりも小さなバンドギャップを有することができ、そしてチャネル層260はまた、障壁層270よりも大きな電子親和力を有することもできる。発明の概念の特定の実施例では、障壁層270は、約0.1nmと約10nmとの間の厚さを有するAlN、AlInN、AlGaN又はAlInGaNである。発明の概念の特定の実施例では、障壁層270は、十分に厚く、そしてチャネル層260と障壁層270との間の界面のところに意味のあるキャリア濃度を誘起させるのに十分に高いAl組成及びドーピングを有する。
【0102】
障壁層270は、III族窒化物であってもよく、そしてチャネル層260のバンドギャップよりも大きなバンドギャップ及びチャネル層260よりも小さな電子親和力を有する。したがって、本発明の特定の実施例では、障壁層270は、AlGaN、AlInGaN及び/若しくはAlN又はこれらの層の組み合わせを含むことができる。障壁層270を、例えば、約0.1nmから約30nmまでの厚さにすることができる。本発明の特定の実施例では、障壁層270は、アンドープである又は約1019cm-3未満の濃度にn型ドーパントでドープされる。本発明のいくつかの実施例では、障壁層270は、AlGa1-xN、ここでは0<x<1、である。特定の実施例では、アルミニウム濃度は約25%である。しかしながら、本発明の他の実施例では、障壁層270は、約5%と約100%との間のアルミニウム濃度を有するAlGaNを含む。本発明の具体的な実施例では、アルミニウム濃度は、約10%よりも大きい。
【0103】
第1の、第2の、等という用語が様々な要素を記述するために本明細書では使用されることがあるけれども、これらの要素は、これらの用語により限定されるべきではないことが理解されるだろう。これらの用語は、1つの要素をもう1つから区別するために使用されるにすぎない。例えば、第1の要素は、第2の要素と呼ばれることがあり、同様に、本発明の範囲から逸脱せずに、第2の要素が第1の要素と呼ばれることがある。本明細書において使用したように、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の組み合わせ及びすべての組み合わせを含む。
【0104】
本明細書において使用される専門用語は、単に特定の実施例を説明する目的のためであり、発明を限定するものではない。本明細書において使用したように、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」という単数形は、文脈が別なふうに明確に指示しない限り、同様に複数形を含むこととする。「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」及び/又は「含んでいる(including)」という用語は、この明細書で使用されるときに、述べた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はこれらのグループの存在又は追加を排除しないことがさらに理解されるだろう。
【0105】
別なふうに規定されない限り、本明細書において使用した(技術用語及び科学用語を含め)すべての用語は、この発明が属する技術の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において使用した用語は、この明細書の文脈及び関連する技術におけるその意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書において特別にそのように規定されない限り理想化した又は過度に形式張った感覚で解釈されないことがさらに理解されるだろう。
【0106】
層、領域又は基板などの要素が、もう1つの要素の「上」にある又は「上へと」延びていると呼ばれるときには、他の要素の直接上にある若しくは直接上へと延びることがある、又は介在する要素がやはり存在してもよいことがあることが理解されるだろう。対照的に、ある要素が、もう1つの要素の「直接上に」ある又は「直接上へと」延びていると呼ばれるときには、介在する要素は存在しない。ある要素が、もう1つの要素に「接続される」又は「つなげられる」と呼ばれるときには、他の要素に直接接続される若しくはつなげられることがある、又は介在する要素が存在してもよいこともまた理解されるだろう。対照的に、ある要素が、もう1つの要素に「直接接続される」又は「直接つなげられる」と呼ばれるときには、介在する要素は存在しない。
【0107】
「下方に(below)」若しくは「上方に(above)」又は「上部に(upper)」若しくは「下部に(lower)」又は「水平に(horizontal)」若しくは「側方に(lateral)」若しくは「垂直に(vertical)」などの相対的な用語を、図に図示したように、1つの要素、層又は領域のもう1つの要素、層又は領域に対する関係を説明するために本明細書において使用することができる。これらの用語が、図に描いた向きに加えてデバイスの異なる向きを包含するものであることが理解されるだろう。
【0108】
発明の実施例を、発明の理想化した実施例(及び中間構造)の模式的図版である断面図を参照して本明細書において説明する。図面における層及び領域の厚さは、明確化のために誇張されることがある。加えて、図版の形状からの変形、その結果として、例えば、製造技術及び/又は許容範囲の変形が予測される。したがって、発明の実施例は、本明細書において図示した領域の特定の形状に限定するように解釈されるべきではないが、例えば、製造からもたらされる形状の逸脱を含むものである。
【0109】
図面及び明細書では、発明の典型的な実施例が開示されてきており、具体的な用語が採用されてきているとはいえ、これらの用語は、一般的であり単に説明の感覚で使用されるに過ぎず、限定の目的ではなく、発明の範囲は、別記の特許請求の範囲に記述される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9