(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】電磁誘導式エンコーダの巻線及びスケール構成
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20221011BHJP
G01D 5/20 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
G01D5/245 E
G01D5/20 110Q
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018233686
(22)【出願日】2018-12-13
【審査請求日】2021-11-11
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】テッド ステイトン クック
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-186348(JP,A)
【文献】特開2009-186200(JP,A)
【文献】特開2014-169899(JP,A)
【文献】特開2001-201363(JP,A)
【文献】特開平10-213408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00 ー 5/252
G01B 7/00 ー 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸方向と一致する測定軸方向に沿って2つの要素の相対的位置を測定するために使用可能である電子式エンコーダであって、
前記測定軸方向に沿って延在し、互いに平行に配置される第1のパターントラック及び第2のパターントラックを含む信号変調スケールパターンを含むスケールであって、各パターントラックは、磁束変化を局所的に比較的大きく減衰させる磁場減衰要素、及び、磁束変化を局所的に比較的小さく減衰させる、又は、前記磁束変化を局所的に増大させる磁場持続要素を含み、前記磁場減衰要素及び前記磁場持続要素は、空間波長Wを有する周期パターンで前記X軸方向に沿って交互配置される、前記スケールと、
前記パターントラックに近接して取り付けられ、前記パターントラックに対して前記測定軸方向に沿って移動するように構成される検出部と、
を含み、
前記検出部は、
基板上に固定される少なくとも1つの磁場発生ループを含む磁場発生コイル部と、
検知コイル部と、
を含み、
前記磁場発生コイル部は、コイル駆動信号に応えて、前記第1のパターントラックと位置合わせされる第1の内部領域内に第1の磁束変化を提供し、コイル駆動信号に応えて、前記第2のパターントラックと位置合わせされる第2の内部領域内に第2の磁束変化を提供するように構成され、
前記検知コイル部は、
前記第1の内部領域内に配置され、前記空間波長Wに対応する前記X軸方向に沿って繰り返す正極性巻線ゾーンに分布するN個の正極性巻線からなるセット、及び、前記正極性巻線ゾーンと交互に配置され、前記空間波長Wに対応する前記X軸方向に沿って繰り返す負極性巻線ゾーンに分布するN個の負極性巻線からなるセットを含み、Nは、少なくとも2である整数であり、前記正極性巻線及び前記負極性巻線のそれぞれは、隣接する磁場減衰要素又は磁場持続要素によって提供される前記磁束変化への局所的な作用に反応し、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部によって提供される第1トラックの第1空間位相信号成分に信号寄与を提供する、前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部と、
前記第2の内部領域内に配置され、前記空間波長Wに対応する前記X軸方向に沿って繰り返す正極性巻線ゾーンに分布するM個の正極性巻線からなるセット、及び、前記正極性巻線ゾーンと交互に配置され、前記空間波長Wに対応する前記X軸方向に沿って繰り返す負極性巻線ゾーンに分布するM個の負極性巻線からなるセットを含み、Mは、少なくとも2である整数であり、前記正極性巻線及び前記負極性巻線のそれぞれは、隣接する磁場減衰要素又は磁場持続要素によって提供される前記磁束変化への局所的な作用に反応し、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部によって提供される第2トラックの第1空間位相信号成分に信号寄与を提供する、前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部と、
を含み、
前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部及び前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、それぞれ、前記X軸方向に沿って第1の検知スパン及び第2の検知スパンを規定し、前記第1の検知スパン及び前記第2の検知スパンは、前記X軸方向に沿って互いに位置合わせされず、前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部及び前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、前記第1のパターントラックと前記第2のパターントラックとの間の前記X軸方向に沿った境界線に対して互いに関して対称ではなく、
前記第2のパターントラックの前記周期パターンは、前記第1のパターントラックの前記周期パターンに対して、前記X軸方向に沿って位置合わせされるか、又は、0.5
*WではないスケールトラックパターンオフセットSTOだけシフトされ、
前記電子式エンコーダは、
A)前記磁場発生コイル部が、前記第1のパターントラックに沿った前記第1の内部領域及び前記第2のパターントラックに沿った前記第2の内部領域内に、相反する極性の磁束変化を提供するように構成され、
開始端から前記検知コイル部に沿って進むと、前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、前記第1のパターントラックに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有する構成を有し、前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、前記第2のパターントラックに沿ったその開始端巻線も前記第1の巻線極性を有する構成を有し、前記第1のパターントラック及び前記第2のパターントラックに沿った前記開始端巻線は、前記X軸方向に沿って、巻線オフセットWO=STO+/-0.5
*Wだけ互いにオフセットにされる、又は、
B)前記磁場発生コイル部が、前記第1のパターントラックに沿った前記第1の内部領域及び前記第2のパターントラックに沿った前記第2の内部領域内に、同じ極性の磁束変化を提供するように構成され、
開始端から前記検知コイル部に沿って進むと、前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、前記第1のパターントラックに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有する構成を有し、前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、前記第2のパターントラックに沿ったその開始端巻線が、前記第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有する構成を有し、前記第1のパターントラック及び前記第2のパターントラックに沿った前記開始端巻線は、前記X軸方向に沿って、巻線オフセットWO=STO+/-0.5
*Wだけ互いにオフセットにされる、
のうちの一方に従って構成される、電子式エンコーダ。
【請求項2】
A)に従って構成される、請求項1に記載の電子式エンコーダ。
【請求項3】
N=Mである、請求項2に記載の電子式エンコーダ。
【請求項4】
前記スケールトラックパターンオフセットSTOは、0+/-0.25Wの範囲内である、請求項2に記載の電子式エンコーダ。
【請求項5】
前記スケールトラックパターンオフセットSTOは、ゼロである、請求項4に記載の電子式エンコーダ。
【請求項6】
前記開始端から前記検知コイル部に沿って進むと、
前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、前記第1のパターントラックに沿ったその開始端巻線が前記第1の巻線極性を有し、その終了端巻線が、前記第1の巻線極性とは反対である前記第2の巻線極性を有する構成を有し、
前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、前記第2のパターントラックに沿ったその開始端巻線が前記第1の巻線極性を有し、その終了端巻線が、前記第1の巻線極性とは反対である前記第2の巻線極性を有する構成を有する、請求項4に記載の電子式エンコーダ。
【請求項7】
前記開始端から前記検知コイル部に沿って進むと、
前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、前記第1のパターントラックに沿ったその開始端巻線が前記第1の巻線極性を有し、その終了端巻線も前記第1の巻線極性を有し、前記開始端巻線と前記終了端巻線との間の少なくとも1つの巻線ゾーンが、前記第1の巻線極性とは反対である前記第2の巻線極性を有する2つの巻線を含む構成を有し、
前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、前記第2のパターントラックに沿ったその開始端巻線が前記第1の巻線極性を有し、その終了端巻線も前記第1の巻線極性を有し、前記開始端巻線と前記終了端巻線との間の少なくとも1つの巻線ゾーンが、前記第1の巻線極性とは反対である前記第2の巻線極性を有する2つの巻線を含む構成を有する、請求項4に記載の電子式エンコーダ。
【請求項8】
前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部の各巻線ゾーンにある前記巻線の少なくとも半分以上が、
前記第1の内部領域内で前記X軸方向に対して横断方向に位置合わせされ、前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部の巻線の一部を形成するように、前記第2の内部領域内で前記X軸方向に対して横断方向に位置合わせされる導体セグメントに検知電流を直接出力するように、第1の直列接続部を介して直列接続される第1の導体セグメントと、
前記第1の内部領域内で前記X軸方向に対して横断方向に位置合わせされ、前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部の巻線の一部を形成するように、前記第2の内部領域内で前記X軸方向に対して横断方向に位置合わせされる導体セグメントから検知電流を直接入力するように、第2の直列接続部を介して直列接続される第2の導体セグメントと、
を含む、請求項4に記載の電子式エンコーダ。
【請求項9】
前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部及び前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部の前記巻線は、プリント回路基板の複数の層内に作られる導体を含み、前記導体は、前記プリント回路基板の様々な層を接続するフィードスルーを含み、前記第1の内部領域及び前記第2の内部領域内にある前記巻線の部分にはフィードスルーは含まれない、請求項8に記載の電子式エンコーダ。
【請求項10】
B)に従って構成される、請求項1に記載の電子式エンコーダ。
【請求項11】
N=Mである、請求項10に記載の電子式エンコーダ。
【請求項12】
前記スケールトラックパターンオフセットSTOは、0+/-0.25Wの範囲内である、請求項10に記載の電子式エンコーダ。
【請求項13】
前記スケールトラックパターンオフセットSTOは、ゼロである、請求項12に記載の電子式エンコーダ。
【請求項14】
前記開始端から前記検知コイル部に沿って進むと、
前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、前記第1のパターントラックに沿ったその開始端巻線が前記第1の巻線極性を有し、その終了端巻線が、前記第1の巻線極性とは反対である前記第2の巻線極性を有する構成を有し、
前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、前記第2のパターントラックに沿ったその開始端巻線が、前記第1の巻線極性とは反対である前記第2の巻線極性を有し、その終了端巻線が前記第1の巻線極性を有する構成を有する、請求項12に記載の電子式エンコーダ。
【請求項15】
前記開始端から前記検知コイル部に沿って進むと、
前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、前記第1のパターントラックに沿ったその開始端巻線が前記第1の巻線極性を有し、その終了端巻線も前記第1の巻線極性を有し、前記開始端巻線と前記終了端巻線との間の少なくとも1つの巻線ゾーンが、前記第1の巻線極性とは反対である前記第2の巻線極性を有する2つの巻線を含む構成を有し、
前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、前記第2のパターントラックに沿ったその開始端巻線が、前記第1の巻線極性とは反対である前記第2の巻線極性を有し、その終了端巻線も前記第1の巻線極性とは反対である前記第2の巻線極性を有し、前記開始端巻線と前記終了端巻線との間の少なくとも1つの巻線ゾーンが、前記第1の巻線極性を有する2つの巻線を含む構成を有する、請求項12に記載の電子式エンコーダ。
【請求項16】
前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部の各巻線ゾーンにある前記巻線の少なくとも半分以上が、
前記第1の内部領域内で前記X軸方向に対して横断方向に位置合わせされ、前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部の巻線の一部を形成するように、前記第2の内部領域内で前記X軸方向に対して横断方向に位置合わせされる導体セグメントに検知電流を直接出力するように、第1の直列接続部を介して直列接続される第1の導体セグメントと、
前記第1の内部領域内で前記X軸方向に対して横断方向に位置合わせされ、前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部の巻線の一部を形成するように、前記第2の内部領域内で前記X軸方向に対して横断方向に位置合わせされる導体セグメントから検知電流を直接入力するように、第2の直列接続部を介して直列接続される第2の導体セグメントと、
を含み、
前記第1の直列接続部及び前記第2の直列接続部は、前記第1の内部領域及び前記第2の内部領域間の領域に、交差又はツイストを提供する、請求項12に記載の電子式エンコーダ。
【請求項17】
前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部及び前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部の前記巻線は、プリント回路基板の複数の層内に作られる導体を含み、前記導体は、前記プリント回路基板の様々な層を接続するフィードスルーを含み、前記第1の内部領域及び前記第2の内部領域内にある前記巻線の部分にはフィードスルーは含まれない、請求項16に記載の電子式エンコーダ。
【請求項18】
前記第1トラックの第1空間位相信号成分及び前記第2トラックの第1空間位相信号成分は組み合わされて、組み合わせ第1空間位相信号が形成される、請求項1に記載の電子式エンコーダ。
【請求項19】
前記第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部及び前記第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部の各巻線は、連続導体の対応する部分を含み、前記第1トラックの第1空間位相信号成分及び前記第2トラックの第1空間位相信号成分は、前記連続導体内で本質的に組み合わされて、前記組み合わせ第1空間位相信号が形成される、請求項18に記載の電子式エンコーダ。
【請求項20】
信号処理回路が、前記検出部に動作可能に接続され、前記第1トラックの第1空間位相信号成分及び前記第2トラックの第1空間位相信号成分は、前記信号処理回路の入力部に接続され、信号処理によって組み合わされて、前記組み合わせ第1空間位相信号が形成される、請求項18に記載の電子式エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2016年8月24日に出願された「WINDING CONFIGURATION FOR INDUCTIVE POSITION ENCODER」なる名称の米国特許出願第15/245,560号の一部継続出願である2017年12月21日に出願された「WINDING AND SCALE CONFIGURATION FOR INDUCTIVE POSITION ENCODER」なる名称の米国特許出願第15/850,457号の一部継続出願であり、これらの特許出願それぞれの開示は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、測定器に関し、より具体的には、精密測定器において使用できる電磁誘導式エンコーダに関する。
【背景技術】
【0003】
様々なエンコーダ構成には、様々なタイプの光学式、静電容量式、磁気式、電磁誘導式、移動及び/又は位置トランスデューサが含まれうる。これらのトランスデューサは、読取ヘッド内の送信器及び受信器の様々な幾何学的構成を使用して、読取ヘッドとスケールとの間の移動を測定する。磁気式及び電磁誘導式トランスデューサは、汚れに対して比較的ロバストではあるが、完璧にそうあるわけではない。
【0004】
米国特許第6,011,389号(以下、第‘389号特許)は、高精度用途に使用可能である電磁誘導式トランスデューサについて説明している。米国特許第5,973,494号(以下、第‘494号特許)及び米国特許第6,002,250号(以下、第‘250号特許)は、信号生成及び処理回路を含む電磁誘導式インクリメンタル型ノギス及びリニアスケールについて説明している。米国特許第5,886,519号(以下、第‘519号特許)、米国特許第5,841,274号(以下、第‘274号特許)及び米国特許第5,894,678号明細書(以下、第‘678号特許)は、電磁誘導式トランスデューサを使用する電磁誘導式アブソリュート型ノギス及び電子式巻き尺について説明している。米国特許第7,906,958号(以下、第‘958号特許)は、高精度用途に使用可能である電磁誘導式トランスデューサについて説明しており、2つの平行の半分部と送信コイル及び受信コイルの複数のセットとを有するスケールが、特定の信号オフセット成分を軽減する。当該成分は、軽減されなければ、電磁誘導式トランスデューサにおいて誤差を生じさせる場合がある。しかし、第‘958号特許は、非従来型のスケールを必要とし、概略的なコイルレイアウトしか示さない。したがって、その教示は、有用ではあるが、「理想的」なセンサ又は少なくとも「同一」のセンサによって生成された信号に関する。対照的に、第‘958号特許は、実際のレイアウト、製造及びコスト制約から生じる、通常「非理想的」なセンサをもたらす幾つかの製造問題及び/又は制限を考慮及び/又は解決していない。これらの問題及び関連の設計要素について、以下により詳細に説明する。
【0005】
これらの特許に説明されるように、電磁誘導式トランスデューサは、プリント回路基板技術を使用して製造されてよく、汚れにほとんど影響されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの従来技術のシステムは、例えば小型サイズ、信号強度、高分解能、価格、実際のレイアウト、位置ずれ及び汚れに対するロバスト性等の組み合わせといったユーザによって望まれる特徴の特定の組み合わせを提供する能力に限界がある場合がある。改良された組み合わせを提供するエンコーダの構成が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この概要は、以下の詳細な説明において更に説明される概念のセレクションを、簡略形式で紹介するために提供される。この概要は、請求項に係る主題の重要な特徴を特定することを意図しておらず、また、請求項に係る主題の範囲を決定する助けとして使用されることも意図していない。
【0008】
X軸方向と一致する測定軸方向に沿って2つの要素の相対的位置を測定するために使用可能な電子式エンコーダが提供される。様々な実施態様において、電子式エンコーダは、スケールと、検出部とを含む。様々な実施態様において、信号処理部が、(例えば磁場発生コイル部への)駆動信号を提供し、検出部から(例えば検知コイル部から)入力される検出信号に基づいて、検出部とスケールパターンとの相対的位置を決定するように、検出部に動作可能に接続されてよい。様々な実施態様において、信号処理部は、(例えば検出部の基板として使用される回路基板上の回路として)検出部と一体にされてよい。他の実施態様では、信号処理部は、コネクタを介して検出部に接続される外部回路を含んでもよい。
【0009】
スケールは、測定軸方向に沿って延在し、互いに平行に配置される第1のパターントラック及び第2のパターントラックを含む信号変調スケールパターンを含む。各パターントラックは、磁束変化を局所的に大きく減衰させる磁場減衰要素と、磁束変化を局所的に小さく減衰させるか、又は、磁束変化を局所的に増大させる磁場持続要素とを含む。磁場減衰要素及び磁場持続要素は、空間波長Wを有する周期パターンでX軸方向に沿って交互配置される。
【0010】
検出部は、パターントラックに近接して取り付けられ、パターントラックに対して測定軸方向に沿って移動するように構成される。様々な実施態様において、検出部は、磁場発生コイル部と、検知コイル部とを含む。
【0011】
磁場発生コイル部は、基板上に固定されうる少なくとも1つの磁場発生ループを含む。磁場発生コイル部は、コイル駆動信号に応えて、第1のパターントラックと位置合わせされる第1の内部領域内に第1の磁束変化を提供し、コイル駆動信号に応えて、第2のパターントラックと位置合わせされる第2の内部領域内に第2の磁束変化を提供するように構成される。
【0012】
検知コイル部は、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部を含む。様々な実施態様において、検知コイル部は更に、既知の原理に従って、また、検出部と併せて使用される所望の信号処理及び位置測定技術に応じて、第1トラックの第1空間位相信号コイル部及び第2トラックの第1空間位相信号コイル部に類似する第1及び第2トラックの「追加」の空間位相信号コイル部(例えば第2、第3、第4の空間位相信号コイル部等)を含んでもよい。
【0013】
第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第1の内部領域内に配置され、空間波長Wに対応するX軸方向に沿って繰り返す正極性巻線ゾーンに分布するN個の正極性巻線からなるセット、及び、正極性巻線ゾーンと交互に配置され、空間波長Wに対応するX軸方向に沿って繰り返す負極性巻線ゾーンに分布するN個の負極性巻線からなるセットを含む。Nは、少なくとも2である整数である。正極性巻線及び負極性巻線のそれぞれは、隣接する磁場減衰要素又は磁場持続要素によって提供される磁束変化への局所的な作用に反応し、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部によって提供される第1トラックの第1空間位相信号成分に信号寄与を提供する。第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第2の内部領域内に配置され、空間波長Wに対応するX軸方向に沿って繰り返す正極性巻線ゾーンに分布するM個の正極性巻線からなるセット、及び、正極性巻線ゾーンと交互に配置され、空間波長Wに対応するX軸方向に沿って繰り返す負極性巻線ゾーンに分布するM個の負極性巻線からなるセットを含む。Mは、少なくとも2である整数である。正極性巻線及び負極性巻線のそれぞれは、隣接する磁場減衰要素又は磁場持続要素によって提供される磁束変化への局所的な作用に反応し、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部によって提供される第2トラックの第1空間位相信号成分に信号寄与を提供する。
【0014】
(例えば第‘958号特許に開示されるような)従来技術の構成とは対照的に、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、それぞれ、X軸方向に沿って第1の検知スパン及び第2の検知スパンを規定し、第1の検知スパン及び第2の検知スパンは、X軸方向に沿って互いに位置合わせされず、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第1のパターントラックと第2のパターントラックとの間のX軸方向に沿った境界線に対して互いに関して対称ではない。これは、以下により詳細に説明される幾つかの実用的設計の自由及び他の利点を提供する。
【0015】
(例えば第‘958号特許に開示されるような)従来技術の構成とは対照的に、様々な実施形態において、第2のパターントラックの周期パターンは、第1のパターントラックの周期パターンに対して、X軸方向に沿って位置合わせされるか、又は、0.5*W(Wはスケールパターン波長又はピッチである)ではないスケールトラックパターンオフセットSTOだけシフトされる。
【0016】
様々な実施形態において、電子式エンコーダは、次のA)又はB)の一方に従って構成される。
【0017】
A)磁場発生コイル部が、第1のパターントラックに沿った第1の内部領域及び第2のパターントラックに沿った第2の内部領域内に、相反する極性の磁束変化を提供するように構成され、
開始端から検知コイル部に沿って進むと、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第1のパターントラックに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有する構成を有し、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第2のパターントラックに沿ったその開始端巻線も第1の巻線極性を有する構成を有し、第1のパターントラック及び第2のパターントラックに沿った開始端巻線は、X軸方向に沿って、巻線オフセットWO=STO+/-0.5*Wだけ互いからオフセットにされる。
【0018】
又は、
B)磁場発生コイル部が、第1のパターントラックに沿った第1の内部領域及び第2のパターントラックに沿った第2の内部領域内に、同じ極性の磁束変化を提供するように構成され、
開始端から検知コイル部に沿って進むと、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第1のパターントラックに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有する構成を有し、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第2のパターントラックに沿ったその開始端巻線が、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有する構成を有し、第1のパターントラック及び第2のパターントラックに沿った開始端巻線は、X軸方向に沿って、巻線オフセットWO=STO+/-0.5*Wだけ互いからオフセットにされる。
【0019】
A)又はB)の何れかによる様々な実施形態において、Nは、Mと同じであってよい。A)又はB)の何れかによる様々な実施形態において、スケールトラックパターンオフセットSTOは、0+/-0.25Wの範囲内であってよい。A)又はB)の何れかによる幾つかの実施形態では、スケールトラックパターンオフセットSTOは、ゼロであってよく、これは、従来のスケールの構成に相当する。A)又はB)の何れかによる様々な実施形態において、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部の巻線は、プリント回路基板の複数の層内に作られる導体を含み、導体は、プリント回路基板の様々な層を接続するフィードスルーを含み、第1の内部領域及び第2の内部領域内にある巻線の部分にはフィードスルーは含まれない
【0020】
A)又はB)の何れかによる様々な実施形態において、第1トラックの第1空間位相信号成分及び第2トラックの第1空間位相信号成分は組み合わされて、組み合わせ第1空間位相信号が形成される。幾つかのこのような実施形態では、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部の各巻線は、連続導体の対応する部分を含み、第1トラックの第1空間位相信号成分及び第2トラックの第1空間位相信号成分は、連続導体内で本質的に組み合わされて、組み合わせ第1空間位相信号が形成される。他のこのような実施形態では、信号処理部が、前述されたように、検出部に動作可能に接続されてよく、第1トラックの第1空間位相信号成分及び第2トラックの第1空間位相信号成分は、信号処理回路の入力部に接続され、信号処理によって組み合わされて、組み合わせ第1空間位相信号が形成される。
【0021】
A)による様々な実施形態では、開始端から検知コイル部に沿って進むと、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第1のパターントラックに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有し、その終了端巻線が、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有する構成を有する。この場合、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第2のパターントラックに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有し、その終了端巻線が、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有する構成を有する。
【0022】
A)による様々な他の実施形態では、開始端から検知コイル部に沿って進むと、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第1のパターントラックに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有し、その終了端巻線も第1の巻線極性を有し、開始端巻線と終了端巻線との間の少なくとも1つの巻線ゾーンが、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有する2つの巻線を含む構成を有する。この場合、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第2のパターントラックに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有し、その終了端巻線も第1の巻線極性を有し、開始端巻線と終了端巻線との間の少なくとも1つの巻線ゾーンが、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有する2つの巻線を含む構成を有する。
【0023】
B)による様々な実施形態では、開始端から検知コイル部に沿って進むと、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第1のパターントラックに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有し、その終了端巻線が、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有する構成を有する。この場合、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第2のパターントラックに沿ったその開始端巻線が、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有し、その終了端巻線が第1の巻線極性を有する構成を有する。
【0024】
B)による様々な他の実施形態では、開始端から検知コイル部に沿って進むと、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第1のパターントラックに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有し、その終了端巻線も第1の巻線極性を有し、開始端巻線と終了端巻線との間の少なくとも1つの巻線ゾーンが、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有する2つの巻線を含む構成を有する。この場合、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第2のパターントラックに沿ったその開始端巻線が、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有し、その終了端巻線も第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有し、開始端巻線と終了端巻線との間の少なくとも1つの巻線ゾーンが、第1の巻線極性を有する2つの巻線を含む構成を有する。
【0025】
上で開示された設計特徴の最も基本的な組み合わせが、従来技術において(例えば第‘958号特許において)、電磁誘導式エンコーダにおける特定の「オフセット」信号成分を相殺又は無効化するために必要な設計制約であると当然に思われていた幾つかの設計制約を取り除くのに十分である。一例として、第‘958号特許は、広く利用されない非従来型のスケール(つまり、2つの平行トラックを有し、スケールパターンが互いに対して、そのスケールピッチの半分だけオフセットにされるスケール)を必要とする。このようなスケールは、コスト及び入手可能性についての不利点があり、また、他のタイプの検出器と互換性がない。有利なことに、非従来型スケールも従来型スケールも、本明細書に開示される様々な対応する実施形態で使用できる。別の例として、従来技術(例えば第‘958号特許)は、2つの平行スケールトラックに沿って整列する検出部の2つの対称の半分部内に完全な対称性を前提又は必要とする。しかし、当該従来技術は、実際のレイアウト、製作又は製造制約により生じうるレイアウト及びルーティングの非対称性を考慮していない。当該非対称性は、様々な信号非対称性をもたらし、また、「信号オフセット」の無効化を阻止する。これは、第‘958号特許に示される単純な「単一位相」の概略表現とは対照的に、複数の「空間位相」コイル部が同じ領域内で重ね合わされなければならないことを考えると特に当てはまることである。また、これは、高分解能及び適切な信号レベルを達成するために、小さい寸法を有する検知ループを多く必要としうる比較的長い検出器設計についても特に当てはまる。有利なことに、本明細書に開示される様々な検出部の設計原理は、多数の実用的レイアウト及び製造の選択肢を可能にし、実際のレイアウト及び製造制約により生じる潜在的な信号非対称性は、本明細書に開示されるレイアウト原理及び特徴により低減されて取るに足りなくなる。
【0026】
有利なことに、本明細書に開示される様々な設計原理及び特徴は更に、米国特許第5,998,990号及び第7,239,130号(それぞれ第‘990号特許及び第‘130号特許)に説明されるような「動的ピッチ」作用により生じる位置測定誤差を克服する選択肢を提供する。これらの特許は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に開示される設計原理及び特徴は、微細ピッチ及び/又は高分解能エンコーダであっても、従来のスケール及び/又はコストの低い検出部設計構成を使用しつつ、例えば「動的ピッチ」作用から生じる誤差を低減及び/又は無効化するために、第‘990号特許及び/又は第‘130号特許に開示される設計原理及び特徴とは別々に又は組み合わせて使用されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、検出部及びスケールを含む電子式エンコーダを使用するハンドツールタイプのノギスの組立分解等角図である。
【
図2】
図2は、電子式エンコーダに使用可能である検出部の第1の例示的な実施態様を示す平面図である。
【
図3】
図3は、電子式エンコーダに使用可能である検出部の第2の例示的な実施態様を示す平面図である。
【
図4】
図4は、検出部の磁場発生コイルの端部の第1の例示的な実施態様を示す等角図である。
【
図5】
図5は、検出部の磁場発生コイルの端部の第2の例示的な実施態様を示す等角図である。
【
図6】
図6は、電子式エンコーダを含む測定システムのコンポーネントの1つの例示的な実施態様を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、電子式エンコーダに使用可能である検出部及び互換スケールパターンの第3の例示的な実施態様を示す平面図である。
【
図8】
図8は、電子式エンコーダに使用可能である検出部及び互換スケールパターンの第4の例示的な実施態様を示す平面図である。
【
図9】
図9は、電子式エンコーダに使用可能である検出部及び互換スケールパターンの第5の例示的な実施態様を示す平面図である。
【
図10】
図10は、電子式エンコーダに使用可能である検出部及び互換スケールパターンの第6の例示的な実施態様を示す平面図である。
【
図11】
図11は、電子式エンコーダに使用可能である検出部及び互換スケールパターンの第7の例示的な実施態様を示す平面図である。
【
図12】
図12は、電子式エンコーダに使用可能である検出部及び互換スケールパターンの第8の例示的な実施態様を示す平面図である。
【
図13】
図13は、電子式エンコーダに使用可能である検出部及び互換スケールパターンの第9の例示的な実施態様を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、スケール170を含む略長方形の横断面の本尺を有するスケール部材102と、スライダアセンブリ120とを含むハンドツールタイプのノギス100の組立分解等角図である。様々な実施態様において、スケール170は、(例えばX軸方向に相当する)測定軸方向MAに沿って延在してよく、また、信号変調スケールパターン180を含んでよい。既知のタイプのカバー層172(例えば100μmの厚さ)が、スケール170を覆ってよい。スケール部材102の第1の端の近くのジョー108及び110と、スライダアセンブリ120上の可動ジョー116及び118とが、既知の方法で、物体の寸法を測定するために使用される。スライダアセンブリ120は、端止め具154によって、スケール部材102の下のデプスバー溝152内に収められるデプスバー126を含んでもよい。デプスバー測定面128を穴の中に延ばして、その深さを測定することができる。スライダアセンブリ120のカバー139が、オン/オフスイッチ134と、ゼロ設定スイッチ136と、測定結果ディスプレイ138とを含んでよい。スライダアセンブリ120のベース140は、スケール部材102のサイドエッジ146に接触するガイドエッジ142を含み、ネジ147によって弾性圧力バー148をスケール部材102の対向するエッジに付勢することで、測定、及び、スケール170に対する読取ヘッド部164の移動に適切な位置合わせを保証する。
【0029】
ベース140上にはピックオフアセンブリ160が設けられている。このピックオフアセンブリ160は、読取ヘッド部164を保持している。読取ヘッド部164は、本実施態様では、磁場発生コイル及び測定軸方向MAに沿って配置された検知要素群(例えば集合的に磁場発生及び検知巻線部)を含む検出部167と、信号処理部(例えば制御回路)166とを搭載した基板162を含んでいる。回路及び接続部の汚染を防止するように、弾性シール163が、カバー139と基板162との間で圧縮されるとよい。検出部167は、絶縁コーティングによって覆われてよい。
【0030】
1つの特定の例示的な例では、検出部167は、スケール170と平行にかつスケール170に対向して配置され、また、スケール170に対向する検出部167の前面は、深さ(Z)方向に沿って、約0.5mmの間隙によって、スケール170(及び/又は信号変調スケールパターン180)から離間されてよい。読取ヘッド部164とスケール170とを合わせて、電子式エンコーダの一部としてのトランスデューサが形成されうる。一実施態様では、トランスデューサは、変化する磁場を発生させることによって動作する渦電流トランスデューサであってよい。以下により詳細に説明されるように、変化する磁場は、当該変化する磁場内に置かれた信号変調スケールパターン180の信号変調要素の幾つかにおいて、エディカレントと知られる渦電流を誘導する。当然ながら、
図1に示されるノギス100は、小型サイズ、(例えば長い電池寿命のための)低電力動作、高分解能及び高精度測定、低価格、汚れに対するロバスト性等の比較的最適化された組み合わせを提供するように、長年にわたって進化してきた電子式エンコーダを通常実装する様々な応用のうちの1つである。これらの要素の何れかにおける小さい改良でも、非常に望ましいことであるが、特に、様々な応用における商業上の成功を達成するために課される設計上の制約を鑑みると、達成することは困難である。以下の説明に開示される原理は、特に費用効果的に、また、コンパクトに、これらの要素のうちの幾つかに改良を提供する。
【0031】
図2は、
図1等に示される電子式エンコーダに使用可能な検出部167及び信号変調スケールパターン180を示す第1の例示的な実施態様の平面図である。
図2は、部分的に具象的、部分的に概略的であるとみなされてよい。
図2の下部に、検出部167及び信号変調スケールパターン180の拡大部が示される。
図2では、以下に説明される様々な要素は、その形状又は外形によって表され、また、互いに重ね合わされて、特定の幾何学的関係を強調するように示される。当然ながら、以下の説明に基づいて当業者には明らかであるように及び/又は以下に
図4を参照してより詳細に説明されるように、各種要素は、必要に応じて、様々な動作間隙及び/又は絶縁層を提供するように、Z軸方向位置がそれぞれ異なる平面に配置された異なるレイヤー上にあってよい。本開示の全図面を通して、当然ながら、1つ以上の要素のX軸、Y軸及び/又はZ軸寸法は、明確にするために拡大されている。
【0032】
信号変調スケールパターン180の図示される部分は、破線の外形で示される信号変調要素SMEを含み、信号変調要素は、(
図1に示される)スケール170上に配置される。
図2に示される実施形態では、ほとんどの信号変調要素SMEのY軸方向の端は、第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2の下に隠れている。
図1において見られるように、当然ながら、信号変調スケールパターン180は、動作中、検出部167に対して移動する。
【0033】
図2の例では、信号変調スケールパターン180は、X軸に垂直であるY軸に沿って、公称スケールパターン幅寸法NSPWDを有し、また、(例えばX軸方向に相当する)測定軸方向MAに沿って周期的に配置される個別の信号変調要素SMEを含む。しかし、より一般的には、信号変調スケールパターン180は、パターンがX軸方向に沿った位置の関数として変化する空間特徴を有し、これにより、既知の方法に従って、検出部167の検知要素SEN(例えばSEN14)に生じる位置依存検出信号(幾つかの実施形態では、検出信号成分とも呼ばれる)を提供するならば、個別の要素又は1つ以上の連続パターン要素を含む様々な代替空間変調パターンを含んでよい。
【0034】
様々な実施態様では、検出部167は、信号変調スケールパターン180に近接して取り付けられ、信号変調スケールパターン180に対して測定軸方向MAに沿って移動するように構成される。検出部は、磁場発生コイルFGCと複数の検知要素とを含み、これらは、当業者には理解されるように、様々な実施形態において、多種多様の対応する信号処理スキームと組み合わせて使用される様々な代替構成を取りうる。
図2は、検知要素SEN1~SEN24の単一の代表セットを示す。検知要素SEN1~SEN24は、この特定の実施形態では、直列に接続される検知ループ要素(或いは、検知コイル要素又は検知巻線要素とも呼ばれる)を含む。この実施形態では、隣接するループ要素は、反対の巻線極性を有するように、(例えば
図4に示されるように)既知の方法に従って、フィードスルーによって接続されるPCBの様々な層上の導体の構成によって接続される。つまり、第1のループが、正の極性の検出信号寄与を有する変化する磁場に反応する場合、隣接するループは、負の極性の検出信号寄与で反応する。この特定の実施形態では、検知要素は、それらの検出信号又は信号寄与が合計され、「合計」検出信号が、検出信号出力接続部SDS1及びSDS2において、信号処理部(図示せず)へと出力されるように、直列に接続される。
図2は、視覚的な混乱を避けるために、検知要素の単一セットを示すが、当然ながら、当業者には理解されるように、幾つかの実施形態では、(例えば直交信号を提供するために)異なる空間位相位置において、検知要素の1つ以上の追加のセットを提供するように、検出を構成することが有利である。しかし、当然ながら、本明細書において説明される検知要素の構成は、例示に過ぎず、限定ではない。一例として、個々の検知要素ループは、幾つかの実施形態では、例えば2016年6月30日に出願され、本発明の譲受人に譲渡された同時係属中の米国特許出願番号第15/199723号に開示されるように、対応する信号処理部に個別の信号を出力してもよい。より一般的には、様々な実施形態において、様々な既知の検知要素構成が、様々な既知の信号変調スケールパターン及び信号処理スキームと組み合わせた使用のために、本明細書において開示され、請求項に係る原理と組み合わせて使用されてよい。
【0035】
様々な検知要素及び磁場発生コイルFGCは、基板(例えば
図1の基板162)上に固定されてよい。磁場発生コイルFGCは、X軸方向に沿って公称コイル領域長さ寸法NCALDと、Y軸方向に沿って約YSEPの公称コイル領域幅寸法とを有する内部領域INTAを取り囲むものとして説明されてよい。様々な実施態様において、磁場発生コイルFGCは、内部領域INTAを取り囲む単一の巻回を含んでよい。動作中、磁場発生コイルFGCは、コイル駆動信号に応えて、内部領域INTA内に磁束変化を発生させる。
【0036】
様々な実施態様において、磁場発生コイルFGCは、(例えば
図4及び/又は
図5を参照して開示されるように実現される)入力部INPと、第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2と、終端部EDPとを含んでよい。入力部INPは、信号処理部(例えば
図1の信号処理部166又は
図6の信号処理部766等)からのコイル駆動信号を、磁場発生コイルFGCに提供するように接続する第1の接続部CP1及び第2の接続部CP2を含む。第1の接続部CP1及び第2の接続部CP2は、プリント回路基板フィードスルー等を介して、信号処理部に接続されてよく、当該接続は、幾つかの実施形態では、終端部EDPを参照して以下に開示される原理と同様の原理を使用してシールドされてもよい。第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2それぞれは、内部領域INTAの側面に隣接してX軸方向に沿って延在し、Y軸方向に沿って公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDを有する。図示される実施形態では、公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDは、第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2について同じであるが、これは、すべての実施形態で必須というわけではない。(例えば
図4及び/又は
図5を参照して開示されるように実現される)終端部EDPは、第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2間の公称コイル領域幅寸法YSEPに相当するY軸方向の距離間隔に亘り、内部領域INTAの端の近くおいて、第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2間の接続を提供する。本明細書に開示される原理による様々な実施態様では、磁場発生コイルFGCは、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDが、公称コイル領域幅寸法YSEPの少なくとも0.1倍である設計比率を使用して構成されることが有利である。幾つかの実施態様では、磁場発生コイルFGCは、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDが、公称コイル領域幅寸法YSEPの少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍、又は、少なくとも0.50倍であるように構成されてよい。幾つかの実施態様では、磁場発生コイルFGCは、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDが、磁束変化に応じて生じる検出信号に対応する、規定された公称動作周波数における伸長部EP1及びEP2の表皮深さの少なくとも25倍であるように構成されてよい。
【0037】
検知要素SEN1~SEN24は、(例えば測定軸方向MAに相当する)X軸方向に沿って配置され、基板(例えば
図1の基板162)上に固定される。
図2の例では、各検知要素SENは、Y軸方向に沿って公称検知要素幅寸法NSEWDを有する。
図2の例では、各検知要素SENは、Y軸方向に沿って公称検知要素幅寸法NSEWDを有する。公称検知要素幅寸法NSEWDの少なくとも半分以上は、Y軸方向に沿った公称コイル領域幅寸法YSEPに含まれる。検知要素SENは、スケール170の(例えば1つ以上の信号変調要素SMEである)信号変調スケールパターン180の隣接する信号変調部によって提供される磁束変化への局所的影響に応じた検出信号を提供するように構成される。なお、「信号変調スケールパターン180の隣接する信号変調部」とは、スケール170の信号変調スケールパターン180における各検知要素SENに対向している部位を意味し、例えば、信号変調要素SME及び信号変調要素SME間の隙間(信号変調要素SMEが設けられていない部位)がこれに該当する。信号処理部(例えば
図1の信号処理部166又は
図6の信号処理部766等)は、検出部167から入力された検出信号に基づいて、スケール170に対する複数の検知要素SEN1~SEN24の位置を決定するように構成されてよい。一般に、磁場発生コイルFGC及び検知要素SEN1~SEN24等は、組み込まれた各参照文献において説明されるような(例えば電磁誘導式エンコーダの)既知の原理に従って動作してよい。
【0038】
様々な実施態様では、磁場発生コイルFGCと検知要素SENとは、(例えばプリント回路基板の異なる層内に配置されること等によって)互いから絶縁されている。1つのそのような実施態様では、少なくとも1つの検知要素SENの公称検知要素幅寸法NSEWDは、公称コイル領域幅寸法YSEPよりも大きく、伸長部の少なくとも1つの伸長部EP1又はEP2の内側の縁IEを、オーバーラップ寸法ODとして規定される量だけ超えて延在することが有利である。更に、様々な実施形態において、磁場発生コイルFGCは、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDが、対応するオーバーラップ寸法ODよりも大きいように構成されることが有利でありうる。様々な実施態様において、伸長部EP1及びEP2は、プリント回路基板の第1の層上に作成されてよく、検知要素SENは、少なくともオーバーラップ寸法ODの付近において、上記第1の層とは異なる層を含むプリント回路基板の1つ以上の層内に作成される導電性ループを含んでよい。
【0039】
様々な実施態様において、基板は、プリント回路基板を含んでよく、磁場発生コイルFGCは、当該プリント回路基板上に作成された(例えば伸長部E1及びE2を含む)導電性トレースを含んでよい。様々な実施態様において、検知要素SENは、プリント回路基板上に作成された導電性トレースによって形成される磁束検知ループを含んでよい。
図1に関して上記されたように、様々な実施態様において、検出部167は、様々なタイプの測定器(例えばノギス、マイクロメータ、ゲージ、リニアスケール等)内に含まれてよい。例えば検出部167は、スライド部材に固定されてよく、信号変調スケールパターン180は、X軸方向と一致する測定軸を有するはり部材に固定されてよい。このような構成において、スライド部材は、はり部材に移動可動に取り付けられ、X軸方向及びY軸方向に沿って延在する平面(Z軸方向は、当該平面に対して直交する)内で測定軸方向MAに沿って移動可能である。
【0040】
図3は、
図1等に示される電子式エンコーダにおいて検出部167として使用可能である検出部367の第2の例示的な実施態様を示す平面図である。検出部367は、
図2の検出部167と同様の特徴及びコンポーネントを有し、その設計及び動作は、本明細書に開示され、請求項に記載される様々な設計原理を満たすように構成されている。具体的には、
図3において「プライム記号(’)の付いた」参照符号によって指定される要素は、
図2における対応する同様の「プライム記号の付いていない」参照符号を有する要素に類似し、以下に明記されない限り、同様に動作すると理解されてよい。
【0041】
図3及び
図2の実施形態の主な相違点は、公称スケールパターン幅寸法NSPWDが公称検知要素幅寸法NSEWD’及び検出部367の他のY軸寸法よりも有意に大きいように、検出部367が、Y軸方向に沿って、検出部167よりも狭い点である。例えば1つの特定の実施態様において、公称検知要素幅寸法NSEWD’は、公称スケールパターン幅寸法NSPWDの約2/3以下であってよい。様々な実施態様において、このような構成は、信号変調スケールパターン180に対する検出部367の側方移動に関してより大きい側方オフセット許容範囲をもたらしうる。
【0042】
この相違点に関わらず、検出部367の他の特徴は、検出部167の他の特徴に類似する。例えば各検知要素SEN’は、Y軸方向に沿って公称検知要素幅寸法NSEWD’を有してよく、公称検知要素幅寸法NSEWD’の少なくとも半分以上は、Y軸方向に沿った公称コイル領域幅寸法YSEP’に含まれる。様々な実施態様において、磁場発生コイルFGC’は、(例えば
図4及び/又は
図5を参照して開示されるように実現される)第1の伸長部EP1’及び第2の伸長部EP2’と、終端部EDP’とを含み、これらはすべて、検出部167の対応する要素に類似した構成を有してよい。幾つかの実施態様では、磁場発生コイルFGC’は、公称磁場発生トレース幅寸法NGTWD’が、公称コイル領域幅寸法YSEP’の少なくとも0.10倍、又は、少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍、又は、少なくとも0.50倍であるように構成されてよい。他の特徴及び/又は設計関係も、必要に応じて、
図2を参照して説明された特徴及び/又は設計関係に類似するようにされてよい。
【0043】
上記検出部167及び367の例示的な構成に関して、当然ながら、幾つかの従前のシステムは、磁場発生コイルに、比較的狭いトレース幅及び/又は比較的大きい内部領域(例えばより大きい内部領域INTA及び/又は公称コイル領域幅寸法YSEP)を利用していた。より具体的には、幾つかの従前のシステムでは、一般に、システムが比較的長い期間の間、共鳴するように十分に高いQ値を有するように、関連の検出部要素が、比較的高いインダクタンスを有することが望ましいと考えられていた。これは、使用された信号処理及び測定方法に関して、有利であると考えられていたからである。対照的に、本明細書に開示される原理によれば、より広いトレース幅が使用される(例えば特定の応用によって課される検出部全体のY軸寸法制限について、INTA及び/又はYSEPを犠牲にして)。これは、比較的小さいインダクタンスと、更に、より小さい全体インピーダンスとをもたらし、これに対し、より大きい量の電流が、比較的短い期間に流れることが可能となる(例えばより強い信号を生成できる)。また、測定の所望の長さの時間について、共鳴が依然として達成可能である。検出部167及び367に関して上記されたように、様々な実施態様において、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDは、公称コイル領域幅寸法YSEPの少なくとも0.10倍、又は、少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍、又は、少なくとも0.50倍である。幾つかの実施態様において、幾つかの特定の例示的な値として、公称コイル領域幅寸法YSEPは、約2.0mm、又は、8.0mm、又は、10mmであってよく、また、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDは、少なくとも約0.25mm、又は、0.50mm、又は、1.00mm又はそれ以上であってよい。これらは、約0.10mmであった幾つかの従前のシステムにおけるトレース幅と比較されうる。本明細書に開示される構成といった構成は、幾つかの事例では、同等の駆動信号を磁場発生コイルに入力した際に、同等の従来技術の構成の信号レベルを、1.5倍以上、また、幾つかの事例では、3倍以上で超える検出信号レベルを達成することが分かっている。
【0044】
検出部167及び367等の例示的な構成に関して、様々な実施態様において、検知要素SEN(例えば
図2及び
図3に示されるように領域を取り囲むループ又はコイル要素)は、本明細書に開示される最大信号利得設計原理に従って構成される場合に、より従来型の検知要素に優る幾つかの利点(例えは増加された利得等)を提供しうる。磁場発生コイルFGCに一致する又は磁場発生コイルFGC内(例えばINTA内)に置かれる検知要素の磁場受信領域の量は、相対的に最大化されるべきである一方で、(例えばY軸方向に沿った)磁場発生コイル部FGCを形成する導体の外側にある検知要素の磁場受信領域の量は、相対的に最小化されるべきである。当然ながら、
図2及び
図3に示される検知要素SENは、この原理に一致する上記設計関係を有するオーバーラップ寸法ODを示す。例えば各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDは、対応するオーバーラップ寸法ODよりも大きいようにされる。
【0045】
図4は、本明細書に開示され、請求項に係る原理に従った検出部467内に含まれる磁場発生コイルFGCの終端部EDPの第1の例示的な実施態様を示す等角図の「ワイヤフレーム」図である。当然ながら、検出部467の要素は、
図2の検出部167の同様の参照符号が付けられた要素と同様に設計され、機能してよく、一般に、それらとの類似性によって理解されるものとする。検出部467は、磁場発生コイルFGCと、複数の検知要素SEN1~SEN24(
図4には、代表検知要素SEN17~SEN24が示されている)とを含む。磁場発生コイルFGCは、第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2と、終端部EDPとを含み、基板(例えば
図1の基板162)上に固定され、内部領域INTAを取り囲む。
【0046】
様々な実施態様において、磁場発生コイルFGCと検知要素SENとは、例えばプリント回路基板の様々な層(
図4では、層構造は明示的に示されてはいない)内に配置されることによって、互いから絶縁される。
図4において、様々なラベル付けされたZ座標が、様々なプリント回路基板(PCB)層の各表面と一致する又は各表面を特定すると理解されるものとする。しかし、別の作成方法が使用されてもよい。信号変調スケールパターン180の信号変調要素SMEは、Z座標Zsmeにある(
図1に示される)スケール170の表面上にある。当然ながら、スケール170は、検出部467の要素を担持するプリント回路基板(PCB)と離間している。
図4に示される実施形態では、PCBは、Z座標Zfsにある前面(例えば絶縁コーティングの前面)を有する。動作間隙が、スケール要素のZ座標Zsmeと、前面のZ座標Zfsとの間に存在する。伸長部EP1及びEP2は、Z座標Zepを有するPCB層表面上に作成されてよく、また、絶縁コーティングによって覆われてよい。検知要素SENは、Z座標ZseL1及びZseL2を有する各PCB層表面上にある相互接続された導電性ループ部を含んでよい。導電性ループ部は、上記されたように、導体が、互いに交差する一方で、検知要素の信号寄与を直列に接続し、各信号寄与極性を提供するように、フィードスルーを使用して、層間で接続されてよい。
【0047】
第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2それぞれは、X軸方向に沿って延在し、X軸方向及びY軸方向に垂直であるZ軸方向に沿って、信号変調スケールパターン180に対向する検出部467のPCBの前面から、伸長部のz距離EPZD=(Zep-Zfs)に、名目上位置する。上記されたように、終端部EDPは、第1の伸長部EP1と第2の伸長部EP2との間の公称コイル領域幅寸法YSEPに相当するY軸方向の距離間隔に亘り、内部領域INTAの端の付近において、それらの間に接続を提供する導電性経路を含む。
図4に示される実施形態では、終端部EDPは、検出部467のPCBの前面から、シールドされた終端セクションのz距離SESZD=(Zses-Zfs)に名目上位置しているZ座標Zsesを有する対応するPCB層の表面上にあるシールドされた終端セクションSESを含む。シールドされた終端セクションのz距離SESZDは、伸長部のz距離EPZDよりも大きい。第1の接続部CNP1(例えばPCBフィードスルー)は、第1の伸長部EP1を、シールドされた終端セクションSESの第1の端に接続し、第2の接続部CNP2(例えばPCBフィードスルー)は、第2の伸長部EP2を、シールドされた終端セクションSESの第2の端に接続する。
【0048】
図4に示される実施態様では、検出部467は更に、X軸方向及びY軸方向に沿って延在し、Z座標Zcsrを有する対応するPCB層の表面上に名目上位置し、また、検出部467のPCBの前面から、シールド領域のz距離SRZD=(Zcsr-Zfs)に名目上位置する導電性シールド領域CSR(例えば
図4において、幾分任意に配置された破線の「縁」線によって表される導電性の平面領域)を含む。様々な実施態様において、シールド領域のz距離SRZDは、シールドされた終端セクションのz距離SESZDよりも小さく、導電性シールド領域CSRは、シールドされた終端セクションSESの少なくとも一部と、検出部467のPCBの前面との間に配置される。導電性シールド領域CSRは、検出部467のPCBにおける広いグランドプレーン層の一部を含んでもよいし、又は、幾つかの実施形態では、個別の領域を含んでもよい。導電性シールド領域CSRは、第1の接続部CNP1及び第2の接続部CNP2(例えばPCBフィードスルー)が、導電性シールド領域CSRから分離又は絶縁されるように、クリアランスホールCHを含んでもよい。
【0049】
一般に、磁場発生コイルの終端部(例えばY軸方向に沿って延在する終端部)の以前から知られている構成によって発生される磁場成分は、終端部に最も近い検知要素の検出信号にエラー成分(いわゆる「終端効果(end effect)」)を生じさせる。検出部内に「テーパされた終端構成」を使用して、及び/又は、終端部を終端検知要素から遠くに離すことによって、この終端効果を軽減する試みがなされてきている。しかし、これらのアプローチは、望ましくなく信号強度を低下させるか、検出部のX軸寸法を増加させるか、又は、その両方を生じさせる。対照的に、上記シールド構成は、終端部によって生成される磁場成分を減少させる、及び/又は、それが、信号変調要素SEMに達しないようにする傾向がある。したがって、最も近い検知要素に結合される磁場成分は、より小さいか、及び/又は、スケール位置に関係なく、略一定であり、したがって、任意の終端効果を実質的に軽減する。
【0050】
上記されたように、様々な実施態様において、伸長部EP1及びEP2は、プリント回路基板の第1の層上に作成されてよく、シールドされる終端セクションSESは、プリント回路基板の第2の層上に作成されてよく、導電性シールド領域CSRは、プリント回路基板の第2の層よりも検出部の前面(例えば検出部のPCBの前面)に近い回路基板の層上に作成される。1つのそのような実施態様では、導電性シールド領域CSRは、第1の層と第2の層との間に配置されるプリント回路基板の層上に作成されてよい。このような構成では、導電性シールド領域CSRは、プリント回路基板のグランドプレーン層の少なくとも一部を含んでよく、グランドプレーン層は、第1の層と第2の層との間に配置される。1つの実施態様において、伸長部EP1又はEP2と、シールドされた終端セクションSESとの間の(例えば第1の接続部CNP1又は第2の接続部CNP2の一部としての)接続は、Z軸方向に沿って延在するプリント回路基板フィードスルーを含んでよい。1つのこのような構成において、導電性シールド領域CSRは、第1の層と第2の層との間に配置されるプリント回路基板の層上に作成されてよく、プリント回路基板のフィードスルーは、導電性シールド領域CSR内に作成される開口を貫通してよい。
【0051】
図5は、本明細書に開示され、請求項に係る原理に従って、検出部567内に含まれる磁場発生コイルFGC’’の終端部EDP’’の第2の例示的な実施態様を示す等角図の「ワイヤフレーム」図である。当然ながら、検出部567の要素は、
図2の検出部167及び/又は
図4の検出部467の同様の参照符号が付けられた要素と同様に設計され、操作されてよく、一般に、それらとの類似性によって理解されるものとする。
【0052】
図5では、
図4にあるように、様々なラベル付けされたZ座標が、様々なプリント回路基板(PCB)層の各表面と一致する又は各表面を特定すると理解されるものとする。しかし、別の作成方法を使用してもよい。信号変調スケールパターン180の要素SMEは、Z座標Zsmeにある(
図1に示される)スケール170の表面上にある。検出部567は、Z座標Zfsにある前面(例えば検出部567のPCB上の絶縁コーティングの前面)を有する。動作間隙が、スケール要素のZ座標Zsmeと、前面のZ座標Zfsとの間に存在する。伸長部EP1及びEP2は、Z座標Zepを有するPCB層の表面上に作成されてよく、また、絶縁コーティングによって覆われてよい。検知要素SENは、Z座標ZseL1及びZseL2を有するPCB層の各表面上にある相互接続された導電性ループ部を含んでよく、これらは、検出部467を参照して上で述べたように接続される。
【0053】
第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2は、検出部567の信号変調スケールパターン180に対向する前面から、伸長部のz距離EPZD=(Zep-Zfs)に、名目上位置している。検出部467にあるように、終端部EDP’’は、第1の伸長部EP1と第2の伸長部EP2との間の公称コイル領域幅寸法YSEPに相当するY軸方向の距離間隔に亘り、内部領域INTAの端の付近において、それらの間に接続を提供する導電性経路を含む。
図5に示される実施形態では、終端部EDP’’は、Z座標Zses’’を有する対応するPCB層の表面上にあるシールドされた終端セクションSES’’を含む。終端セクションSES’’は、検出部567の前面から、シールドされた終端セクションのz距離SESZD’’=(Zses’’-Zfs)に名目上位置する。シールドされた終端セクションのz距離SESZD’’は、伸長部のz距離EPZDよりも大きい。(例えばPCBフィードスルーCNP1A及び導電性トレースCNP1Bを含む)第1の接続部CNP1は、第1の伸長部EP1を、シールドされた終端セクションSESの第1の端に接続し、(例えばPCBフィードスルーCNP2A及び導電性トレースCNP2Bを含む)第2の接続部CNP2は、第2の伸長部EP2を、シールドされた終端セクションSESの第2の端に接続する。
【0054】
図5に示される実施態様では、検出部567は更に、導電性シールド領域CSR’’(例えば
図5において、破線の縁線によって表される導電性の平面領域)を含む。導電性シールド領域CSR’’は、X軸及びY軸方向に沿って延在し、Z座標Zcsr’’を有する対応するPCB層の表面上に名目上位置し、また、検出部567のPCBの前面から、シールド領域のz距離SRZD’’=(Zcsr’’-Zfs)に名目上位置する。様々な実施態様において、シールド領域のz距離SRZD’’は、シールドされた終端セクションのz距離SESZD’’よりも小さく、導電性シールド領域CSR’’は、シールドされた終端セクションSES’’の少なくとも一部と、検出部567のPCBの前面との間に配置される。
図5に示される実施形態について、当然ながら、幾つかの実施態様では、シールド領域CSR’’は、必要に応じて、伸長部EP1及びEP2と同じ表面上に配置されてもよい(つまり、必要に応じて、Zcsr’’=Zep及びEPZD=SRZD’’である)。更に、1つのこのような実施態様において、必要に応じて、シールドされた終端セクションSES’’及び導電性トレースCNP1B及びCNP2Bは、検知要素SENに使用されたのと同じ表面上に配置されてよい(つまり、必要に応じて、Zses’’=ZseL1又はZses’’=ZseL2等である)。このような実施態様では、検出部567のPCBが、検出部467よりも、少ない層を含んでも、及び/又は、Z軸方向に沿ってより薄くてもよい。いずれの場合でも、検出部567における終端部EDP’’のシールドされた構成は、検出部467における終端部EDPを参照して上で述べた様態と同様の様態で、終端効果を軽減する。
【0055】
上記例示的な検出部467及び567に関して、当然ながら、導電性シールド領域CSR(CSR’’)は、磁場発生コイルFGCの伸長部EP1及びEP2の層の位置に比べて、(例えば異なるPCB層等の上に配置された)シールドされた終端セクションSESの相対的な層の位置に少なくとも部分的に基づいて、検知要素SEN上のシールドされた終端セクションSESの(例えば磁束変化に関連する)効果を減少させることができる。このような構成は、導電性シールド領域CSR(CSR’’)の利用を可能にし、磁場発生コイルFGCに、より短い全体のX軸寸法を可能にする(例えばこれに対し、終端部EDPは、磁束変化等に応じて生じる検出信号に影響を及ぼすことを回避するために、検知要素SENから遠く離れて配置される必要がない)。
【0056】
図6は、電子式エンコーダ710を含む測定システム700のコンポーネントの1つの例示的な実施態様を示すブロック図である。当然ながら、
図6の幾つかの番号が付けられたコンポーネント7XXは、以下に特に指定のない限り、
図1の同様に番号が付けられたコンポーネント1XXに対応するか、及び/又は、同様の動作を有する。電子式エンコーダ710は、信号処理部766と、合わされるとトランスデューサを形成するスケール770及び検出部767とを含む。様々な実施態様では、検出部767は、
図2乃至
図6に関して説明された構成の何れか又は他の構成を含んでよい。測定システム700は更に、ディスプレイ738及びユーザによって操作可能なスイッチ734、736といったユーザインターフェースを含み、また、電源765を追加的に含んでもよい。様々な実施態様では、外部データインターフェース732が含まれてもよい。これらの要素はすべて、信号プロセッサとして具体化されうる信号処理部766(又は信号処理及び制御回路)に結合される。信号処理部766は、検出部767から入力される検出信号に基づいて、スケール770に対する検出部767の検知要素の位置を決定する。
【0057】
様々な実施態様において、
図6の信号処理部766(及び/又は
図1の信号処理部166)は、本明細書において説明される機能を行うように、ソフトウェアを実行する1つ以上のプロセッサを含んでも又はそれらから構成されてよい。プロセッサは、プログラマブル汎用又は特殊用途向けマイクロプロセッサ、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)等又はこのようなデバイスの組み合わせを含む。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等、又は、このようなコンポーネントの組み合わせといったメモリに記憶されてよい。ソフトウェアは更に、光学ベースのディスク、フラッシュメモリデバイス又はデータを記憶する任意の他のタイプの不揮発性記憶媒体といった1つ以上の記憶デバイスに記憶されてもよい。ソフトウェアは、特定のタスクを行う又は特定のアブストラクトデータタイプを実現するルーティン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む1つ以上のプログラムモジュールを含んでよい。分散型コンピュータ環境では、プログラムモジュールの機能は、組み合わされても、複数のコンピュータシステム又はデバイスにわたって分散され、有線又は無線構成のサービスコールを介してアクセスされてよい。
【0058】
図7は、
図1等に示される電子式エンコーダにおいて、検出部167及びスケールパターン180としてそれぞれ使用可能である検出部767及び互換スケールパターン780の第3の例示的な実施態様を示す平面図である。検出部767は、
図2の検出部167と同様の特徴及びコンポーネントを有し、その設計及び動作は、本明細書に開示され、請求項に記載される様々な設計原理を満たすように構成されている。具体的には、
図2又は本明細書における他の図面における参照符号又はラベルと同様又は同一の
図7における参照符号又はラベル(例えば7XX及び2XXのように同様の「XX」との接尾語)によって指定される要素は、類似の要素を指定し、以下に明記される点を除き、同様に動作すると理解されてよい。したがって、検出部767及びスケールパターン780の重要な相違点についてのみ、以下に説明する。検出部767及び互換スケールパターン780は、以下により詳細に説明されるように、上記実施態様と比べてよりロバストな信号精度及び/又は信号強度を提供する点で、追加の利点を提供する。
【0059】
図7及び
図2の実施形態の主な相違点は、スケールパターン780が、互いに平行に配置された第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTを含む点である。第1のパターントラックFPTは、もう1つのパターントラックに最も近い第1トラック内部境界FTIBと、もう1つのパターントラックから最も遠い第1トラック外部境界FTEBとの間のY軸方向に沿った公称第1パターントラック幅寸法FPTWDを有する。第2のパターントラックSPTは、もう1つのパターントラックに最も近い第2トラック内部境界STIBと、もう1つのパターントラックから最も遠い第2トラック外部境界STEBとの間のY軸方向に沿った公称第2パターントラック幅寸法SPTWDを有する。第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTそれぞれは、X軸方向に沿った位置の周期関数として変化する空間変化特徴を提供するように配置される信号変調要素SMEを含む。
図7において、斜線で領域を示した信号変調要素SMEは、既知の原理に従って、磁束変化を局所的に比較的大きく減衰させる磁場減衰要素(例えば磁場減衰要素は、回路基板タイプのスケールの伝導性プレート、又は、金属バータイプのスケールの凸部)を表すと考えられ、斜線で領域を示した信号変調要素SME間の空間は、磁束変化の局所的な減衰が比較的小さいか、または、既知の原理に従って、磁束変化を局所的に増大させる磁場持続要素(例えば磁場持続要素は、回路基板タイプのスケールの非伝導性領域、又は、金属バータイプのスケールの凹部)を表すと考えられる。
【0060】
別の主な相違点は、検出部767が、スケールパターン780との互換動作のために構成される点である。検出部767は、磁場発生コイル部FGCを含み、当該磁場発生コイル部FGCは、基板上に固定されていてよく、また、第1トラック磁場発生コイル部FTFGCPと第2トラック磁場発生コイル部STFGCPとを含む。磁場発生コイル部FGCは、信号処理部からのコイル駆動信号を磁場発生コイル部FGCに提供するように接続する少なくとも2つの接続部(例えばCP1及びCP2)を含む入力部INPを含んでよい。磁場発生コイル部FGCにおいて、第1トラック磁場発生コイル部FTFGCPは、第1のパターントラックFPTと位置合わせされた第1の内部領域FINTAを取り囲み、X軸方向に沿って公称第1内部領域長さ寸法FIALDと、Y軸方向に沿って公称第1内部領域幅寸法YSEP1とを有し、コイル駆動信号に応えて、第1の内部領域FINTA内に第1の磁束変化を発生させる。同様に、第2トラック磁場発生コイル部STFGCPは、第2のパターントラックSPTと位置合わせされた第2の内部領域SINTAを取り囲み、X軸方向に沿って公称第2内部領域長さ寸法SIALDと、Y軸方向に沿って公称第2内部領域幅寸法YSEP2とを有し、コイル駆動信号に応えて、第2の内部領域SINTA内に変化する第2の磁束を発生させる。
【0061】
検出部767は更に、X軸方向に沿って配置され、基板上に固定される複数の検知要素SEN(例えばSEN1、SEN14)を含む。各検知要素SENは、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTAに亘るY軸方向に沿った公称検知要素幅寸法NSEWDを有する。複数の検知要素は、スケールパターン780の隣接する信号変調要素SMEによって提供される磁束変化への局所的影響に応じた検出器信号を提供するように構成される。様々な実施態様において、複数の検知要素SENは、磁束検知ループを含み、プリント回路基板上に作成される導電性トレース及びフィードスルーによって形成されうる。(例えば
図7に示されるような)様々な実施態様において、(例えば第1の方向における電流を生成するために第1の極性の磁束変化に応じる)第1の検知ループ極性を提供するように構成される磁束検知ループは、X軸方向に沿って、(例えば第2の方向における電流を生成するために第1の極性とは反対極性の磁束変化に応じる)第1の検知ループ極性とは反対の第2検知ループ極性を提供するように構成される磁束検知ループと交互配置される。信号処理部が、コイル駆動信号を提供するために、検出部に動作可能に接続されてよく、既知の方法に従って、検出部767の図示される検知要素SENから(及び既知の原理に従って他の空間位相位置に提供される他の図示されていない検知要素SENから)の検出信号入力に基づいて、検出部とスケールパターンとの相対位置を決定する。
【0062】
図7に示されるように、磁場発生コイル部FGC及び検知要素SENは、本明細書においてすでに開示した原理に従って有利に構成される。磁場発生コイル部FGCは、終端部EDPの1つ以上について、シールド構成を実現するために、図示されるフィードスルーの1つ以上を含んでよい。当然ながら、特定の実施態様において不要である又は所望されない図示されるフィードスルーは、省略されてよい。
【0063】
図7に示される実施態様では、第1トラック内側伸長部FTIEP及び第1トラック外側伸長部FTOEPそれぞれは、第1の内部領域FINTAに隣接してX軸方向に沿って延在する。第1トラック内側伸長部FTIEPは、第1トラック内部境界FTIBに隣接して位置付けられ、第1トラック外側伸長部FTOEPは、第1トラック外部境界FTEBに隣接して位置付けられる。第1トラック内側伸長部FTIEPは、Y軸方向に沿って公称第1トラック内側磁場発生トレース幅寸法NFTIGTWDを有する。第1トラック外側伸長部FTOEPは、Y軸方向に沿って公称第1トラック外側磁場発生トレース幅寸法NFTOGTWDを有する。本明細書に開示される原理によれば、公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法NFTIGTWD及びNFTOGTWD(同じであっても互いに異なっていてもよい)それぞれは、公称第1内部領域幅寸法YSEP1の少なくとも0.1倍である。幾つかの実施態様では、第1トラック磁場発生トレース幅寸法NFTIGTWD及びNFTOGTWDが、公称第1内部領域幅寸法YSEP1の少なくとも0.15倍、少なくとも0.25倍、又は、少なくとも0.50倍であることが有利でありうる。
【0064】
第2トラック内側伸長部STIEP及び第2トラック外側伸長部STOEPそれぞれは、第2の内部領域SINTAに隣接してX軸方向に沿って延在する。第2トラック内側伸長部STIEPは、第2トラック内部境界STIBに隣接して位置付けられ、第2トラック外側伸長部STOEPは、第2トラック外部境界STEBに隣接して位置付けられる。第2トラック内側伸長部STIEPは、Y軸方向に沿って公称第2トラック内側磁場発生トレース幅寸法NSTIGTWDを有する。第2トラック外側伸長部STOEPは、Y軸方向に沿って公称第2トラック外側磁場発生トレース幅寸法NSTOGTWDを有する。本明細書に開示される原理によれば、公称第2トラック磁場発生トレース幅寸法NSTIGTWD及びNSTOGTWD(同じであっても互いに異なっていてもよい)それぞれは、公称第2内部領域幅寸法YSEP2の少なくとも0.1倍である。幾つかの実施態様では、第2トラック磁場発生トレース幅寸法NSTIGTWD及びNSTOGTWDが、公称第2内部領域幅寸法YSEP2の少なくとも0.15倍、少なくとも0.25倍、又は、少なくとも0.50倍であることが有利でありうる。他の特徴及び/又は設計関係も、必要に応じて、
図2を参照して説明された特徴及び/又は設計関係と類似するようにされてよい。
【0065】
様々な実施態様において、上記特徴と組み合わせて、公称検知要素幅寸法NSEWDの少なくとも半分以上が、第1トラック外側伸長部FTOEPと第2トラック外側伸長部STOEPとの間に含まれる。幾つかの実施態様では、公称検知要素幅寸法NSEWDの半分以上が、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTA内に含まれる。様々な実施態様において、磁場発生コイル部FGC及び検知要素SENは、互いから絶縁される。
図7に示されるように、少なくとも1つの検知要素SENの公称検知要素幅寸法NSEWDは、第1トラック外側伸長部FTOEPと第2トラック外側伸長部STOEPとの間に亘る全体内部領域幅寸法OIAWDよりも大きく、第1トラック外側伸長部FTOEP及び第2トラック外側伸長部STOEPの少なくとも一方の内側エッジIEを、オーバーラップ寸法(例えば第1トラックオーバーラップ寸法FTOD及び/又は第2トラックオーバーラップ寸法STOD)と規定される量だけ越えて延在する。様々な実施態様では、磁場発生コイル部FGCは、各公称外側磁場発生トレース幅寸法(NFTOGTWD及びNSTOGTWD)が、その関連付けられるオーバーラップ寸法よりも大きいように構成される。様々な実施態様では、すべての伸長部(FTIEP、FTOEP、STIEP及びSTOEP)は、プリント回路基板の第1の層内に作成され、検知要素SENは、少なくともオーバーラップ寸法の付近において、第1の層とは異なる層を含むプリント回路基板の1つ以上の層内に作成される導電性ループを含む。
【0066】
図7に示される特定の実施態様では、第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTそれぞれは、第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTにおいて、X軸方向に沿って同じ空間的周期又は波長Wに従って配置される同じタイプの信号変調要素SMEを含んでよい。第2のパターントラックSPTにおける信号変調要素SMEは、第1のパターントラックにおける信号変調要素に対して約W/2の公称スケールトラックオフセットSTOだけ、測定軸方向(X軸方向)に沿ってオフセットされている。
図7における電流の流れの矢印によって示されるように、磁場発生コイル部FGCは、第1の内部領域FINTAにおいて、第1の極性を有する第1トラック変化磁束を発生させ、また、第2の内部領域SINTAにおいて、第1の極性とは反対の第2の極性を有する第2トラック変化磁束を発生させるように構成される。
【0067】
上記されたように、複数の検知要素SENは、X軸方向に沿って検知ループ極性が交互にされ、プリント回路基板上に作成される導電性トレースによって形成される磁束検知ループ(或いは、検知コイル又は検知巻線とも呼ばれる)を含んでよい。様々な実施形態において、各磁束検知ループの少なくとも半分以上が、Y軸方向に沿って第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTAに亘ってよい。
図7に示されるように、特定の検知要素SEN14が、例えば第1トラックの正極性巻線(又は巻線部)FTSEN14と、第2トラックの負極性巻線(又は巻線部)STSEN14とを含むものとして説明されうる。特定の検知要素SEN15は、例えば第1トラックの負極性巻線(又は巻線部)FTSEN15と、第2トラックの負極性巻線(又は巻線部)STSEN15とを含むものとして説明され、他の検知要素について、以下同様にされてよい。第1(トラック)の内部領域FINTAと位置合わせされる巻線(又は巻線部)のセット又はグループは、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCの1つ実施態様を提供する。第2(トラック)の内部領域SINTAと位置合わせされる巻線(又は巻線部)のセット又はグループは、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCの1つの実施態様を提供する。第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは共に、スケールパターン780と協働して、その巻線又は巻線部(例えばFTSEN及びSTSEN)のそれぞれにおいて生じるすべての信号成分が同じ空間位相を有するように構成される全体の検知コイル部SCCを形成する。つまり、この特定の実施形態において、各検知要素SENは、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTAにおいて、同じ検知ループ極性を提供する巻線又は巻線部を含む。第1の内部領域FINTAにおける発生磁束の極性は、第2の内部領域SINTAにおける発生磁束の極性とは反対であるので、これは、第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTにおいて約W/2のスケールトラックパターンオフセットSTOを有する信号変調要素SMEのパターンと相互作用して、各検知要素SENにおいて、強化信号寄与が生成される。当然ながら、様々な空間位相を有する追加の検知コイル部SCCが同様に構成されて、既知の原理に従って、検出部767に追加されてもよく、結果として生じる信号(例えば直交信号)はすべて処理されて、ロバストな位置測定値が提供されうる。
【0068】
図8は、
図1等に示される電子式エンコーダにおいて、検出部167及びスケールパターン180としてそれぞれ使用可能である検出部867及び互換スケールパターン780の第4の例示的な実施態様を示す平面図である。
図8に示されるスケールパターン780は、
図7に示されるスケールパターン780と同様又は同一であってよく、検出部867とのその動作に関すること以外、以下に詳細には説明しない。検出部867は、
図7の検出部767の特徴及びコンポーネントに類似する特徴及びコンポーネントを有し、その設計及び動作は、本明細書に開示され、請求項に記載される同様の設計原理を満たすように構成されており、また、同様の利点を提供する。
図7又は本明細書における他の図面における参照符号又はラベルと同様又は同一の
図8における参照符号又はラベル(例えば8XX及び7XXのように同様の「XX」との接尾語)によって指定される要素は、類似の要素を指定し、以下に明記される点を除き、同様に動作すると理解されてよい。したがって、検出部867及び検出部767の重要な相違点についてのみ、以下に詳述する。
【0069】
検出部767と同様に、検出部867は、スケールパターン780との互換動作のために構成される。第1トラック磁場発生コイル部FTFGCPは、第1のパターントラックFPTと位置合わせされた第1の内部領域FINTAを取り囲み、X軸方向に沿って公称第1内部領域長さ寸法FIALDと、Y軸方向に沿って公称第1内部領域幅寸法YSEP1とを有し、コイル駆動信号に応えて、第1の内部領域FINTA内に第1の磁束変化を発生させる。同様に、第2トラック磁場発生コイル部STFGCPは、第2のパターントラックSPTと位置合わせされた第2の内部領域SINTAを取り囲み、X軸方向に沿って公称第2内部領域長さ寸法SIALDと、Y軸方向に沿って公称第2内部領域幅寸法YSEP2とを有し、コイル駆動信号に応えて、第2の内部領域SINTA内に変化する第2の磁束を発生させる。
【0070】
検出部867と検出部767との1つの重要な相違点は、
図8における電流の流れの矢印によって示されるように、磁場発生コイル部FGCが、第1の内部領域FINTAにおいて第1の極性を有する第1トラック変化磁束を発生させ、また、第2の内部領域SINTAにおいて第1の極性と同じ極性を有する第2トラック変化磁束を発生させるように構成される点である。これに関連して、以下に説明されるように、複数の検知要素SEN(例えばSEN1、SEN14)において、第2の重要な相違点がある。
【0071】
検出部767と同様に、検出部867において、複数の検知要素SENは、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTAに亘るY軸方向に沿った公称検知要素幅寸法NSEWDを有し、複数の検知要素SENは、スケールパターン780の隣接する信号変調要素SMEによって提供される磁束変化への局所的影響に応じた検出器信号を提供するように構成される。複数の検知要素SENは、プリント回路基板上に作成される導電性トレースによって形成される磁束検知ループ(或いは、検知コイル又は検知巻線とも呼ばれる)を含んでよい。様々な実施形態において、磁束検知ループの少なくとも半分以上が、Y軸方向に沿って第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTAに亘ってよい。しかし、検出部767とは対照的に、検出部867内に示される磁束検知ループそれぞれは、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTAにおいて、相反する検知ループ極性を提供するように、それらの導電性トレースの交差又はツイストを含む。様々な実施形態では、磁束検知ループの少なくとも半分以上について、それらの導電性トレースの交差又はツイストは、不所望の信号外乱を作成しないように、第1の内部領域FINTAと第2の内部領域SINTAとの間の第1トラック内側伸長部FTIEP及び第2トラック内側伸長部STIEPを含む「非アクティブ」中心領域内又は上に位置付けられる。
【0072】
図8に示されるように、特定の検知要素SEN14が、例えば第1トラックの正極性巻線(又は巻線部)FTSEN14と、第2トラックの負極性巻線(又は巻線部)STSEN14とを含むものとして説明されうる。特定の検知要素SEN15は、例えば第1トラックの負極性巻線(又は巻線部)FTSEN15と、第2トラックの正極性巻線(又は巻線部)STSEN15とを含むものとして説明され、他の検知要素について、以下同様にされてよい。第1(トラック)の内部領域FINTAと位置合わせされる巻線(又は巻線部)のセット又はグループは、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCの別の実施態様を提供する。第2(トラック)の内部領域SINTAと位置合わせされる巻線(又は巻線部)のセット又はグループは、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCの別の実施態様を提供する。
図8に示されるように、検知要素SENの磁束検知ループは更に、(例えば
図8の下部に拡大図で示される1つの例示的な検知ループ導体図及び関連の電流の流れの矢印によって概略的に示されるように)、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCのそれぞれにおいて、相反する検知ループ極性をX軸方向に沿って交互配置するように構成される。
【0073】
第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは共に、スケールパターン780と協働して、その巻線又は巻線部(例えばFTSEN及びSTSEN)のそれぞれにおいて生じるすべての信号成分が同じ空間位相を有するように構成される全体の検知コイル部SCCを形成する。
【0074】
つまり、上記説明によれば、第1の内部領域FINTAにおける発生磁束の極性は、第2の内部領域SINTAにおける発生磁束の極性と同じであるので、これは、第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTにおいて約W/2のスケールトラックオフセットSTOを有する信号変調要素SMEと相互作用し、「ツイストした」検知要素SENのそれぞれにおいて、強化信号寄与が生成される。信号処理部が、コイル駆動信号を提供するために、検出部に動作可能に接続されてよく、既知の方法に従って、検出部867の図示される検知要素SENから(及び既知の原理に従って他の空間位相位置に提供される他の図示されていない検知要素SENから)の検出信号入力に基づいて、検出部とスケールパターンとの相対位置を決定する。
【0075】
図8に示されるように、磁場発生コイル部FGC及び検知要素SENは、本明細書においてすでに開示した原理に従って有利に構成される。磁場発生コイル部FGCは、終端部EDPの1つ以上について、シールド構成を実現するために、図示されるフィードスルーの1つ以上を含んでよい。当然ながら、特定の実施態様において不要である又は所望されない図示されるフィードスルーは、省略されてよい。本明細書に開示される原理によれば、公称第1トラック磁場発生トレース幅寸法NFTIGTWD及びNFTOGTWDそれぞれは、公称第1内部領域幅寸法YSEP1の少なくとも0.1倍である。幾つかの実施態様では、第1トラック磁場発生トレース幅寸法NFTIGTWD及びNFTOGTWDが、公称第1内部領域幅寸法YSEP1の少なくとも0.15倍、少なくとも0.25倍、又は、少なくとも0.50倍であることが有利でありうる。本明細書に開示される原理によれば、公称第2トラック磁場発生トレース幅寸法NSTIGTWD及びNSTOGTWDそれぞれは、公称第2内部領域幅寸法YSEP2の少なくとも0.1倍である。幾つかの実施態様では、第2トラック磁場発生トレース幅寸法NSTIGTWD及びNSTOGTWDが、公称第2内部領域幅寸法YSEP2の少なくとも0.15倍、少なくとも0.25倍、又は、少なくとも0.50倍であることが有利でありうる。
【0076】
検出部867において使用される他の特徴及び/又は設計関係も、必要に応じて、検出部767を参照して説明された互換性のある特徴及び/又は設計関係に類似するようにされてよい。
【0077】
図7及び
図8を参照して上記されたものと同様の磁場発生極性及び検知要素極性と組み合わせて使用される2トラックスケールパターンは、参照することによりすでに本明細書に組み込まれている第‘958号特許において、詳細な作成又はレイアウトの配慮点に言及することなく開示されたように、単一トラックスケールパターン構成において生じうる特定の信号オフセット成分を低減又は排除するのに役立ちうる。本明細書においてすでに述べたように、従来のシステム(例えば第‘958号特許において言及されるシステム)は、磁場発生コイルに、比較的細いトレース及び/又は比較的大きい内部領域(例えば大きい内部領域FINTA及び/若しくはSINTA並びに/又は公称コイル領域幅寸法YSEP1及び/若しくはYSEP2)を使用する。幾つかの従来のシステムでは、検出部の検知要素に、磁場発生コイル内部領域内の変化磁束を受け取るために比較的大きい領域が結合されていることが望ましいと、通常考えられていた。これは、電流の流れ及び信号強度に関して有利であると考えられていたことによる。対照的に、本明細書に開示される原理によれば、(例えば特定の応用によって課される全体検出部Y軸寸法制限について、内部領域FINTA及び/若しくはSINTA並びに/又はYSEP1及び/若しくはYSEP2を犠牲にして)より太いトレース幅が使用され、これは、磁場発生コイル部FGCに比較的小さい全体インピーダンスをもたらし、これにより、より多くの量の電流が、比較的短時間の間に流れる(例えばより強い信号を生成する)ことが可能となり、また、測定のために望ましい長さの時間について、共鳴も依然として達成可能である。これは、実施上の配慮点(例えばこれまでに使用されてきた単一トラックエンコーダと同じ空間に収まるようにすること)によって比較的小さい第1トラックパターン幅及び第2のトラックパターン幅に制限されうる2トラックスケールパターンにとって特に有益である。本明細書に開示される原理に従って構成される2トラック構成は、同等の駆動信号を磁場発生コイル部に入力した場合に、同等の従来技術の構成の信号レベルを、時には、1.5倍以上、更には、3倍以上に超える検出信号レベルを達成することが分かっている。
【0078】
図1乃至
図8を参照して、好適な実施態様が図示及び説明されたが、本開示に基づけば当業者には、図示及び説明された特徴の配置及び動作の順序における多数の変形態様が明らかであろう。上で開示される原理を実現するために、様々な代替形態が使用されてもよい。
【0079】
一例として、
図2、
図3、
図7及び
図8に示され、
図2、
図3、
図7及び
図8を参照して説明された実施形態は、非ゼロであるオーバーラップ寸法ODを使用するが、これは、すべての実施形態における要件ではない。別の例として、
図7及び
図8に示される検知要素SENの特定の構成及びスケールトラックパターンオフセットSTOは、例示に過ぎず、限定ではない。上記説明及び開示された原理に基づいて、当業者には理解可能であるように、他のスケールトラックパターンオフセットSTOを、特定のスケールトラックオフセット量に対応するように検知要素SENの形状の適切な適応と組み合わせて使用してもよい。
【0080】
図9は、電子式エンコーダにおいて使用可能である検出部967及び互換スケールパターン980の第5の例示的な実施態様を示す平面図である。検出部967は、
図7の検出部767と同様の特徴及びコンポーネントを有し、その設計及び動作は、本明細書に開示され、請求項に記載される様々な設計原理を満たすように構成されている。具体的には、
図7又は本明細書における他の図面における参照符号又はラベルと同様又は同一の
図9における参照符号又はラベル(例えば9XX及び2XXのように同様の「XX」との接尾語)によって指定される要素は、類似の要素を指定し、以下に明記される点を除き、同様に動作すると理解されてよい。したがって、検出部967及びスケールパターン980の重要な相違点についてのみ、以下に説明する。検出部967及び互換スケールパターン980は、幾つかの実施形態において入手が容易な従来のスケールを使用できることは勿論のこと、追加のレイアウト及び製造オプションを提供し、検出部967のコストを削減する点においても、幾つかの利点を提供する。また、以下により詳細に説明されるように、開示される設計原理及び特徴は更に、前述され、組み込まれている第‘990号特許及び第‘130号特許に説明されているように、特定の取り付け傾斜又は位置ずれによる「動的ピッチ」作用から生じる位置測定誤差を解決するための代替案も提供する。
【0081】
スケールパターン780と同様に、スケールパターン980は、互いに平行に配置された第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTを含み、各パターントラックは、磁束変化を局所的に比較的大きく減衰させる磁場減衰要素と、磁束変化の局所的な減衰が比較的小さい、又は磁束変化を局所的に増大させる磁場持続要素とを含んでよい信号変調要素SMEを含む。信号変調要素SME(磁場減衰要素)及び磁場持続要素は、空間波長Wを有する周期パターンでX軸方向に沿って交互配置される。しかし、1つの主な相違点は、スケールパターン780とは対照的に、スケールパターン980では、第2のパターントラックSPTは、第1のパターントラックに対して、約W/2又は厳密にW/2のスケールトラックパターンオフセットSTOでオフセットされていない。むしろ、スケールパターン980では、第2のパターントラックの周期パターンは、第1のパターントラックの周期パターンに対して、X軸方向に沿って位置合わせされるか、又は、約又は厳密に0.5*WではないスケールトラックパターンオフセットSTOだけシフトされる。例えばスケールパターンオフセットSTOは、有利には、0+/-0.25Wの範囲内にあってよい。幾つかの実施形態では、より一層有利には、スケールパターンオフセットSTOはゼロであってよく、これは、従来のスケールの構成に対応する。(従来のスケールでは、信号変調要素は、通常、中断や切れ目又はオフセットなくスケールパターンの全幅に亘って延在する細い長方形の要素又はストリップである。)従来のスケールは、様々な長さがあり、様々なパターン又はオフセットを有する複数のトラックを有する特殊スケールよりもコストが低いことにより、すぐに利用可能である。
【0082】
検出部767と同様に、検出部967は、パターントラックFPT及びSPTに近接して取り付けられ、パターントラックFPT及びSPTに対して測定軸方向に沿って移動するように構成され、磁場発生コイル部FGCと、対応する空間位相を有する信号成分を提供する少なくとも1つの対応する検知コイル部SCCとを含む。磁場発生コイル部FGCについては、ここでは簡単にしか説明しない。磁場発生コイル部FGCは、基板上に固定され、コイル駆動信号に応えて、第1のパターントラックFPTと位置合わせされた第1の内部領域FINTA内に第1の磁束変化を提供するように構成される第1トラック磁場発生コイル部FTFGCPと、コイル駆動信号に応えて、第2のパターントラックSPTと位置合わせされた第2の内部領域SINTA内に第2の磁束変化を提供するように構成される第2トラック磁場発生コイル部STFGCPとを含む。検出部967では、第2の磁束変化は、第1の磁束変化の磁場極性とは反対の磁場極性を有する。磁場発生コイル部FGCは、有利には、上記原理に従って構成されてよい。しかし、当該設計原理は、様々な実施態様における例示に過ぎず、限定ではない。
【0083】
検出部967の検知コイル部SCCは、検出部767の検知コイル部と同様であってよく、また、以下に説明される幾つかの相違点を除き、同様に理解されてよい。
【0084】
幾つかの同様の態様を簡単にまとめると、
図9に示される検知コイル部SCCは、第1トラック巻線又は巻線部FTSEN及び第2トラック巻線又は巻線部STSENをそれぞれ含む複数の検知要素SENを含む。例えばSEN13は、第1トラック正極性巻線(又は巻線部)FTSEN13と、第2トラック正極性巻線(又は巻線部)STSEN13とを含むものとして説明されうる。第1の(トラック)内部領域FINTAと位置合わせされる巻線(又は巻線部)FTSENのセット又はグループは、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCの一実施態様を提供する。第2の(トラック)内部領域SINTAと位置合わせされる巻線(又は巻線部)FTSENのセット又はグループは、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCの一実施態様を提供する。第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは共に、全体の検知コイル部SCCを形成し、スケールパターン980と協働して、巻線又は巻線部(例えばFTSEN及びSTSEN)のそれぞれにおいて生じるすべての信号成分が同じ空間位相を有するように構成される。
【0085】
検出部767との比較における相違点に関して、検出部967は、スケールパターン780とは異なるスケールトラックパターンオフセットSTOを有するスケールパターン980との互換動作のために構成される幾つかの追加の及び/又は変更された特徴を含む。具体的には、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは、X軸方向に沿って、巻線オフセットWO=STO+/-0.5
*Wに従って配置され、STOは、スケールパターン980の特定の実施態様に使用される特定のスケールトラックパターンオフセットSTOである。
図9に示される実施形態について上述されたように、スケールトラックパターンオフセットSTOは、0.5
*Wになることはなく、有利には、(例えば
図9に示されるように)0+/-0.25Wの範囲内であり、より一層有利には、ゼロであってよい。
図9に示される実施形態から分かるように、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは、それぞれ、X軸方向に沿って、第1の検知スパンFSS及び第2の検知スパンSSSを規定する。前述の実施形態とは対照的に、第1の検知スパンFSS及び第2の検知スパンSSSは、X軸方向に沿って互いに位置合わせされず、また、第1のパターントラックFPTと第2のパターントラックSPTとの間のX軸方向に沿った境界線に対して互いに対称に置かれていない。代わりに、それらのスパンFSS及びSSSは、巻線オフセットWOだけ互いにオフセットにされる。
図9の下の部分に示される特定の実施態様では、各検知要素SENにおいて、第1トラック巻線FTSENは、第2トラック巻線STSENからWOだけオフセットにされる。
【0086】
図9に示される特定の実施態様では、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCのそれぞれは、X軸方向に沿って中断なく交互配置される同数の正極性巻線(巻線部)及び負極性巻線(巻線部)を提供するように構成される。しかし、第‘990号特許及び第‘130号特許は、検知コイル部における仮想の交互配置される正極性ゾーン及び負極性ゾーンに関して、ピッチ補正について説明している。様々なピッチ補正された検知コイル部が、同数の正極性巻線及び負極性巻線を有しうるが、各極性ゾーン内に巻線が分布する必要はない。例えば幾つかのピッチのバランスが取れた構成では、1つの正極性ゾーンは2つの正極性巻線を含み、別の正極性ゾーンは空であってもよい。このような原理は、本明細書に開示される様々な原理及び特徴と組み合わされてよい。したがって、
図9に示される具体的な中断されない及び均一の第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは例示に過ぎず、限定ではない。より一般的に、第1の内部領域FINTA内に配置される第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCは、空間波長Wに対応するX軸方向に沿って繰り返す正極性巻線ゾーンに分布するN個の正極性巻線からなるセットと、正極性巻線ゾーンと交互に配置され、空間波長Wに対応するX軸方向に沿って繰り返す負極性巻線ゾーンに分布するN個の負極性巻線からなるセットとを含んでよく、Nは、少なくとも2である整数である。正極性巻線及び負極性巻線(例えばFTSEN1~FTSEN24)はそれぞれ、隣接する磁場減衰要素(例えば信号変調要素SME)又は磁場持続要素によって提供される磁束変化への局所的な作用に反応し、(例えば検出信号出力接続部SDS1及びSDS2において)第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCによって提供される第1トラックの第1空間位相信号成分に信号寄与を提供する。同様に、第2の内部領域SINTA内に配置される第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは、空間波長Wに対応するX軸方向に沿って繰り返す正極性巻線ゾーンに分布するM個の正極性巻線からなるセットと、正極性巻線ゾーンと交互に配置され、空間波長Wに対応するX軸方向に沿って繰り返す負極性巻線ゾーンに分布するM個の負極性巻線からなるセットとを含んでよく、Mは、少なくとも2である整数である。正極性巻線及び負極性巻線(例えばSTSEN1~STSEN24)はそれぞれ、隣接する磁場減衰要素(例えば信号変調要素SME)又は磁場持続要素によって提供される磁束変化への局所的な作用に反応し、(例えば検出信号出力接続部SDS1及びSDS2において)第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCによって提供される第2トラックの第1空間位相信号成分に信号寄与を提供する。様々な実施形態では、N=Mであるならば、有利である。しかし、幾つかの実施形態において、これが厳密に必要なわけではない。
【0087】
当然ながら、
図9に示される特定の実施形態では、各検知要素SENは、巻線オフセットWO=STO+/-0.5
*Wを有し、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTA内に同じ検知ループ極性を提供する巻線又は巻線部FTSEN及びSTSENを含む。第1の内部領域FINTA内の発生磁束極性は、第2の内部領域SINTA内の発生磁束極性とは反対であるので、これは、スケールパターン980の第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTにおいてスケールトラックパターンオフセットSTOを有する信号変調要素SMEのパターンと相互作用して、各検知要素SENにおいて、強化信号寄与が生成される。更に、当然ながら、開始端(例えば
図9における左端)から検知コイル部SCCに沿って進むと、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCは、第1のトラックFPTに沿ったその開始端巻線(例えばFTSEN1)が第1の巻線極性(例えば正極性)を有する構成を有し、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは、第2のトラックSPTに沿ったその開始端巻線(例えばSTSEN1)も第1の巻線極性(例えば正極性)を有する構成を有し、第1のトラック及び第2のトラックに沿った開始端巻線は、X軸方向に沿って、巻線オフセットWO=STO+/-0.5
*Wだけ互いにオフセットにされる。この特定の特徴は、スケールパターン980に対する検出部967の静的又は動的「ピッチ」位置ずれによって生じうる信号オフセット成分を相殺又は除去するために重要である。ピッチ位置ずれは、検出部967が、検出部967がスケールパターン980の平面と平行ではないようにY軸周りに回転されたある角度に傾斜されていることを指す。発明者は、第‘990号特許及び/又は第‘130号特許に開示されているピッチ補正に関する留意事項に加えて、以前は認識されていなかった別の検討事項は、スケールパターン(例えばスケールパターン780又は980)の磁場減衰要素及び磁場持続要素の作用におけるわずかな違いに関連することを発見した。上記原理に従って構成される検知コイル部SCCは、他の異なる以前から知られているピッチ補正に関する留意事項に加えて、このピッチ補正に関する留意事項に対処する。
【0088】
図10は、上記スケールパターン980とも互換性がある検出部1067の第6の例示的な実施態様を示す平面図である。検出部1067は、
図8の検出部867及び
図9の検出部967と同様の特徴及びコンポーネントを有し、その設計及び動作は、本明細書に開示され、請求項に記載される様々な設計原理を満たすように構成されている。具体的には、
図8及び/又は
図9、又は本明細書における他の図面における参照符号又はラベルと同様又は同一の
図10における参照符号又はラベルによって指定される要素は、類似の要素を指定し、以下に明記される点を除き、同様に動作すると理解されてよい。したがって、検出部1067の重要な相違点についてのみ、以下に説明する。検出部1067は、スケールパターン980との組み合わせで、検出部967を参照して上述された利点と同様の利点を幾つか提供する。
【0089】
検出部867及び967と同様に、検出部1067は、パターントラックFPT及びSPTに近接して取り付けられ、パターントラックFPT及びSPTに対して測定軸方向に沿って移動するように構成され、磁場発生コイル部FGCと、対応する空間位相を有する信号成分を提供する少なくとも1つの対応する検知コイル部SCCとを含む。磁場発生コイル部FGCについては、ここでは簡単にしか説明しない。磁場発生コイル部FGCは、基板上に固定されてよく、図示される実施形態では、第1のパターントラックFPTに沿った第1の内部領域FINTA及び第2のパターントラックSPTに沿った第2の内部領域SINTA内に同じ極性の磁束変化を提供するように構成された第1トラック磁場発生コイル部FTFGCPと、第2トラック磁場発生コイル部STFGCPとを含む。磁場発生コイル部FGCは、有利には、上記原理に従って構成されてよい。しかし、当該設計原理は、様々な実施態様における例示に過ぎず、限定ではない。幾つかの実施態様では、第1トラック磁場発生コイル部FTFGCP及び第2トラック磁場発生コイル部STFGCPは、同じ極性の磁束変化を提供するので、検知コイル部SCCを囲む単一の巻線が、第1トラック内側伸長部FTIEP及び第2トラック内側伸長部を使用する必要なく、両方の「コイル部」を提供すると見なされてよい。当該構成は、幾つかの上記利点を提供しないかもしれないが、幾つかの実施態様では十分でありうる。
【0090】
検出部1067の検知コイル部SCCは、検出部867の検知コイル部と同様であってよく、また、以下に説明される幾つかの相違点を除き、同様に理解されてよい。
【0091】
幾つかの同様の態様を簡単にまとめると、
図10に示される検知コイル部SCCは、第1トラック巻線又は巻線部FTSEN及び第2トラック巻線又は巻線部STSENをそれぞれ含む複数の検知要素SENを含む。例えばSEN13は、第1トラック正極性巻線(又は巻線部)FTSEN13と、第2トラック負極性巻線(又は巻線部)STSEN13とを含むものとして説明されうる。第1の(トラック)内部領域FINTAと位置合わせされる巻線(又は巻線部)FTSENのセット又はグループは、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCの一実施態様を提供する。第2の(トラック)内部領域SINTAと位置合わせされる巻線(又は巻線部)のセット又はグループは、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCの一実施態様を提供する。第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは共に、全体の検知コイル部SCCを形成し、スケールパターン980と協働して、巻線又は巻線部(例えばFTSEN及びSTSEN)のそれぞれにおいて生じるすべての信号成分が同じ空間位相を有するように構成される。
【0092】
検出部867との比較における相違点に関して、検出部1067は、スケールパターン780とは異なるスケールトラックパターンオフセットSTOを有するスケールパターン980との互換動作のために構成される幾つかの追加の及び/又は変更された特徴を含む。具体的には、検出部967における巻線オフセットWOとの関連で前述された原理に従って理解されうるように、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは、X軸方向に沿って、巻線オフセットWO=STO+/-0.5
*Wに従って配置される。前述のとおり、スケールパターン980のスケールトラックパターンオフセットSTOは、0.5
*Wになることはなく、有利には、0+/-0.25Wの範囲内であり、より一層有利には、ゼロであってよい。当該スケールパターン980との互換性のために、検出部1067では、第1の検知スパンFSS及び第2の検知スパンSSSは、X軸方向に沿って互いに位置合わせされず、また、第1のパターントラックFPTと第2のパターントラックSPTとの間のX軸方向に沿った境界線に対して互いに関して対称ではない。代わりに、それらのスパンFSS及びSSSは、巻線オフセットWOだけ互いにオフセットにされる。
図9の下の部分に示される特定の実施態様では、各検知要素SENにおいて、第1トラック巻線FTSENは、第2トラック巻線STSENからWOだけオフセットにされる。
【0093】
図10に示される特定の実施態様では、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCのそれぞれは、X軸方向に沿って中断なく交互配置される同数の正極性巻線(巻線部)及び負極性巻線(巻線部)を提供するように構成される。しかし、検出部967を参照して前述された理由から、
図10に示される具体的な中断されない及び均一の第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは例示に過ぎず、限定ではない。より一般的に、第1の内部領域FINTA内に配置される第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCは、空間波長Wに対応するX軸方向に沿って繰り返す正極性巻線ゾーンに分布するN個の正極性巻線からなるセットと、正極性巻線ゾーンと交互に配置され、空間波長Wに対応するX軸方向に沿って繰り返す負極性巻線ゾーンに分布するN個の負極性巻線からなるセットとを含んでよく、Nは、少なくとも2である整数である。正極性巻線及び負極性巻線(例えばFTSEN1~FTSEN24)はそれぞれ、隣接する磁場減衰要素(例えば信号変調要素SME)又は磁場持続要素によって提供される磁束変化への局所的な作用に反応し、(例えば検出信号出力接続部SDS1及びSDS2において)第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCによって提供される第1トラックの第1空間位相信号成分に信号寄与を提供する。同様に、第2の内部領域SINTA内に配置される第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは、空間波長Wに対応するX軸方向に沿って繰り返す正極性巻線ゾーンに分布するM個の正極性巻線からなるセットと、正極性巻線ゾーンと交互に配置され、空間波長Wに対応するX軸方向に沿って繰り返す負極性巻線ゾーンに分布するM個の負極性巻線からなるセットとを含んでよく、Mは、少なくとも2である整数である。正極性巻線及び負極性巻線(例えばSTSEN1~STSEN24)はそれぞれ、隣接する磁場減衰要素(例えば信号変調要素SME)又は磁場持続要素によって提供される磁束変化への局所的な作用に反応し、(例えば検出信号出力接続部SDS1及びSDS2において)第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCによって提供される第2トラックの第1空間位相信号成分に信号寄与を提供する。様々な実施形態では、N=Mであるならば、有利である。しかし、幾つかの実施形態において、これが厳密に必要なわけではない。
【0094】
当然ながら、
図9に示される特定の実施形態では、各検知要素SENは、巻線オフセットWO=STO+/-0.5
*Wを有し、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTA内に反対の検知ループ極性を提供する巻線又は巻線部FTSEN及びSTSENを含む。第1の内部領域FINTA内の発生磁束極性は、第2の内部領域SINTA内の発生磁束極性と同じであるので、これは、スケールパターン980の第1のパターントラックFPT及び第2のパターントラックSPTにおいてスケールトラックパターンオフセットSTOを有する信号変調要素SMEのパターンと相互作用して、各検知要素SENにおいて、強化信号寄与が生成される。更に、当然ながら、開始端(例えば
図10における左端)から検知コイル部SCCに沿って進むと、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCは、第1のトラックFPTに沿ったその開始端巻線(例えばFTSEN1)が第1の巻線極性(例えば正極性)を有する構成を有し、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは、第2のトラックSPTに沿ったその開始端巻線(例えばSTSEN1)が、第1の巻線極性と反対の第2の巻線極性(例えば負極性)を有する構成を有し、第1のトラック及び第2のトラックに沿った開始端巻線は、X軸方向に沿って、巻線オフセットWO=STO+/-0.5
*Wだけ互いにオフセットにされる。検出部967を参照して前述された原理に従って、この特定の特徴は、スケールパターン980に対する検出部1067の静的又は動的「ピッチ」位置ずれによって生じうる信号オフセット成分を相殺又は除去するために重要である。
【0095】
図11は、検出部967と機能的に類似し、上記スケールパターン980とも互換性がある検出部1167の第7の例示的な実施態様を示す平面図である。
図9における参照符号又はラベルと同様又は同一の
図11における参照符号又はラベルによって指定される要素は、類似の要素を指定し、同様に動作すると理解されてよい。検出部1167及び互換スケールパターン980は、検出部967について前述された利点と同様の利点を幾つか提供する。
【0096】
検出部1167の磁場発生コイル部FGCは、検出部967の磁場発生コイル部と同様又は同一であってよい。検出部967との比較において、検出部1167の重要な相違点ついてのみ、以下に説明する。
【0097】
検出部967では、検知コイル部SCCは、検知要素SENと呼ばれる対応する検知ループの一部として、対で提供される第1トラック巻線FTSEN及び第2トラック巻線STSENを含む。この配置を説明する1つの方法として、検出部967では、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCの対応する巻線ゾーン内にある第1トラック巻線FTSENは、第1の内部領域FINTA内でX軸方向に対して横断方向に位置合わせされる第1の導体セグメント及び第2の導体セグメントを含む。第1の導体セグメントは、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCの(例えば第2トラック巻線部STSENの)巻線の一部を形成するように、第2の内部領域SINTA内でX軸方向に対して横断方向に位置合わせされる(例えば第2トラック巻線部STSENの)導体セグメントに検知電流を直接出力するように、第1の直列接続部を介して直列接続される。更に、第2の導体セグメントは、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCの(例えば第2トラック巻線部STSENの)巻線の一部を形成するように、第2の内部領域SINTA内でX軸方向に対して横断方向に位置合わせされる(例えば第2トラック巻線部STSENの)導体セグメントから検知電流を直接入力するように、第2の直列接続部を介して直列接続される。
【0098】
対照的に、検出部1167では、検知コイル部SCCは、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCC内に「別々に」提供され、図示されるように、
図11の右側にあるそれらの端においてのみ直列接続される第1トラック巻線FTSEN及び第2トラック巻線STSENを含む。
図11の下の部分に、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCを提供するために使用される導体の1つの例示的な構成が示される。これ以外の点について、検出部1167は、検出部967を参照して説明された原理に従って提供される構成特徴と同様の構成特徴を有し、同様の利点を提供すると理解されるものとする。
【0099】
図12は、検出部1067と機能的に類似し、上記スケールパターン980とも互換性がある検出部1267の第8の例示的な実施態様を示す平面図である。
図10における参照符号又はラベルと同様又は同一の
図12における参照符号又はラベルによって指定される要素は、類似の要素を指定し、同様に動作すると理解されてよい。検出部1267及び互換スケールパターン980は、検出部1067について前述された利点と同様の利点を幾つか提供する。
【0100】
検出部1267の磁場発生コイル部FGCは、検出部1067の磁場発生コイル部と同様又は同一であってよい。検出部1067との比較において、検出部1267の重要な相違点ついてのみ、以下に説明する。
【0101】
検出部1067では、検知コイル部SCCは、検知要素SENと呼ばれる対応する検知ループの一部として、対で提供される第1トラック巻線FTSEN及び第2トラック巻線STSENを含む。この配置を説明する1つの方法として、検出部1067では、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCの対応する巻線ゾーン内にある第1トラック巻線FTSENは、第1の内部領域FINTA内でX軸方向に対して横断方向に位置合わせされる第1の導体セグメント及び第2の導体セグメントを含む。第1の導体セグメントは、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCの(例えば第2トラック巻線部STSENの)巻線の一部を形成するように、第2の内部領域SINTA内でX軸方向に対して横断方向に位置合わせされる(例えば第2トラック巻線部STSENの)導体セグメントに検知電流を直接出力するように、第1の直列接続部を介して直列接続される。更に、第2の導体セグメントは、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCの(例えば第2トラック巻線部STSENの)巻線の一部を形成するように、第2の内部領域SINTA内でX軸方向に対して横断方向に位置合わせされる(例えば第2トラック巻線部STSENの)導体セグメントから検知電流を直接入力するように、第2の直列接続部を介して直列接続される。第1の直列接続部及び第2の直列接続部は、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTA間の領域内に交差又はツイストを提供する。
【0102】
対照的に、検出部1267では、検知コイル部SCCは、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCC内に「別々に」提供され、図示されるように、
図12の右側にあるそれらの端においてのみ直列接続される第1トラック巻線FTSEN及び第2トラック巻線STSENを含む。
図12の下の部分に、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCを提供するために使用される導体の1つの例示的な構成が示される。これ以外の点について、検出部1267は、検出部1067を参照して説明された原理に従って提供される構成特徴と同様の構成特徴を有し、同様の利点を提供すると理解されるものとする。
【0103】
図13は、検出部1167と機能的に類似し、上記スケールパターン980とも互換性がある検出部1367の第9の例示的な実施態様を示す平面図である。
図11における参照符号又はラベルと同様又は同一の
図13における参照符号又はラベルによって指定される要素は、類似の要素を指定し、同様に動作すると理解されてよい。検出部1367及び互換スケールパターン980は、検出部1167について前述された利点と同様の利点を幾つか提供する。
【0104】
検出部1367の磁場発生コイル部FGCは、検出部1167の磁場発生コイル部と同様又は同一であってよい。検出部1367は、検出部1167との好都合な比較のために、X軸方向に沿って同じ長さで示されるが、検出部1367における磁場発生コイル部FGCの長さが短くされることにより、必要に応じて、大幅に短く作られてもよいことは理解されるものとする。検出部1167との比較において、検出部1367の重要な相違点ついてのみ、以下に説明する。
【0105】
検出部1167(だけでなく検出部967でも)では、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCのそれぞれは、交互に配置される正極性ゾーン及び負極性ゾーンにおいて、X軸方向に沿って中断なく交互配置される正極性巻線(巻線部)及び負極性巻線(巻線部)で構成される。更に、開始端(例えば図における左端)から検知コイル部に沿って進むと、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCは、第1のトラックFPTに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有し、その終了端巻線(例えば図における右端)が、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有する構成を有し、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは、第2のトラックSPTに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有し、その終了端巻線が、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有する構成を有する。
【0106】
しかし、前述されたように、検出部1167(だけでなく検出部967)における特定の中断されない及び均一の第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは、例示に過ぎず、限定ではない。検出部1367は、幾つかの可能な代替構成のうちの1つを示す。
図13に示される特定の実施形態では、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCは、4つの第1トラック巻線FTSENを含む。正極性の第1トラック巻線FTSEN1及びFTSEN4が、対応する正極性巻線ゾーン内にあり、2つの負極性の第1トラック巻線FTSEN2及びFTSEN3が、正極性巻線ゾーン間の間にある負極性巻線ゾーン内にある。第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは、4つの第2トラック巻線STSENを含む。正極性の第2トラック巻線STSEN1及びSTSEN4が、対応する正極性巻線ゾーン内にあり、2つの負極性の第1トラック巻線STSEN2及びSTSEN3が、正極性巻線ゾーン間の間にある負極性巻線ゾーン内にある。
【0107】
検出部1367の検知コイル部SCCとその代わりとして使用可能である様々な代替案のより一般的な説明として、開始端(例えば
図13における左端)から検知コイル部SCCに沿って進むと、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCは、第1のトラックFPTに沿ったその開始端巻線(例えばFTSEN1)が第1の巻線極性(例えば正極性)を有し、その終了端巻線(例えばFTSEN4)も第1の巻線極性(例えば正極性)を有し、その開始端巻線とその終了端巻線との間の少なくとも1つの巻線ゾーンが、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性(例えば負極性)を有する2つの巻線(例えばFTSEN2及びFTSEN3)を含む構成を有する。第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは、第2のトラックに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有し、その終了端巻線も第1の巻線極性を有し、その開始端巻線とその終了端巻線との間の少なくとも1つの巻線ゾーンが、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有する2つの巻線を含む構成を有する。
【0108】
なお、
図13は、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC用の検出信号出力接続部SDS1及びSDS2の第1のセットと、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCC用の検出信号出力接続部SDS1及びSDS2の第2のセットとを含む。これらは、それぞれ、第1トラックの第1空間位相信号成分及び第2トラックの第1空間位相信号成分を運ぶ及び/又は出力してよい。様々なこのような実施形態において、信号処理回路が検出部1367に動作可能に接続され、これらの接続部のセットにおいて入手できる第1トラックの第1空間位相信号成分及び第2トラックの第1空間位相信号成分は、信号処理回路の入力部に接続され、信号処理によって組み合わせられ、組み合わせ第1空間位相信号が形成されうる。これは、本明細書に開示される様々な実施形態において、組み合わせ第1空間位相信号を形成するために、第1トラックの第1空間位相信号成分及び第2トラックの第1空間位相信号成分を組み合わせる1つの代替方法である。対照的に、
図9乃至
図12に示される検出部は、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCの各巻線が、連続導体の対応する部分を含み、第1トラックの第1空間位相信号成分及び第2トラックの第1空間位相信号成分は、連続導体内で本質的に組み合わされて、組み合わせ第1空間位相信号が形成される別の代替方法を使用する。組み合わせ第1空間位相信号は、検出信号出力接続部SDS1及びSDS2の単一セットにおいて入手できる。当然ながら、
図9乃至
図13に示される検出部構成のいずれも、組み合わせ第1空間位相信号を提供する何れかの方法に容易に適応することができる。
【0109】
当然ながら、検出部1167と機能的に類似する検出部1367は、検出部1267と機能的に類似する同様の検出部を示唆する。当該検出部では、磁場発生コイル部FGCは、検出部1267の磁場発生コイル部と同様又は同一でありうるが、様々な実施態様において、短くされた長さを有してもよい。検出部1267(だけでなく検出部1067においても)では、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCのそれぞれは、交互に配置される正極性ゾーン及び負極性ゾーンにおいて、X軸方向に沿って中断なく交互配置される正極性巻線(巻線部)及び負極性巻線(巻線部)で構成される。更に、開始端(例えば図における左端)から検知コイル部に沿って進むと、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCCは、第1のトラックFPTに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有し、その終了端巻線(例えば図における右端)が、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有する構成を有し、第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCは、第2のトラックSPTに沿ったその開始端巻線が、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有し、その終了端巻線が第1の巻線極性を有する構成を有する。
【0110】
対照的に、検出部1267について説明された検知コイル部SCCの代わりに使用されてよい様々な機能的に類似する検知コイル部SCCの一般的な説明として、開始端から検知コイル部SCCに沿って進むと、その第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第1のトラックに沿ったその開始端巻線が第1の巻線極性を有し、その終了端巻線も第1の巻線極性を有し、その開始端巻線とその終了端巻線との間の少なくとも1つの巻線ゾーンが、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有する2つの巻線を含む構成を有する。その第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部は、第2のトラックに沿ったその開始端巻線が、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有し、その終了端巻線も、第1の巻線極性とは反対である第2の巻線極性を有し、その開始端巻線とその終了端巻線との間の少なくとも1つの巻線ゾーンが、第1の巻線極性を有する2つの巻線を含む構成を有する。
【0111】
当然ながら、
図9乃至
図13に示されたすべての検出部構成では、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCの巻線は、プリント回路基板の複数の層内に作られる導体を含んでよい。導体は、プリント回路基板の様々な層を接続するフィードスルーを含むが、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTA内にある巻線の部分にはフィードスルーは含まれない。これは、巻線が、第1の内部領域FINTA及び第2の内部領域SINTAでは、第1トラックの第1空間位相信号検知コイル部FTFSPSCC及び第2トラックの第1空間位相信号検知コイル部STFSPSCCの主な信号発生領域から外れるため、フィードスルーを収容するために必要となる、非理想的な導体ルーティングに関連付けられうるループ面積の不均衡に関連付けられる信号不均衡が大幅に取り除かれる点で有利である。
【0112】
本開示の好適な実施態様が図示及び説明されたが、本開示に基づけば当業者には、図示及び説明された特徴の配置及び動作の順序における多数の変形態様が明らかであろう。本明細書に開示される原理を実現するために、様々な代替形態が使用されてもよい。
【0113】
一例として、
図9乃至
図13を参照して説明され且つ強調された例示的な原理は、
図7及び
図8を参照して説明され且つ強調されたY軸方向に沿った様々な例示的な寸法及び寸法関係と組み合わされて説明される。しかし、当該組み合わせは例示に過ぎず、限定ではない。より一般的に、
図9乃至
図13を参照して説明され且つ強調された例示的な原理は、本明細書に開示される原理に基づき、当業者には明らかであるように、Y軸方向に沿った寸法及び寸法関係における上記制約とは無関係の他の検出部構成に使用された場合に、幾つかの便益を提供する場合もある。
【0114】
別の例として、当然ながら、信号変調要素SMEは、様々な実施態様において、ループ要素若しくはプレート要素、又は、材料特性変化を含んでもよく、及び/又は、様々な実施態様において、所望の周期信号プロファイルを生成するために、W/2又はW/2よりも大きい若しくは小さいX軸方向に沿った寸法を有してもよい。別の例として、当然ながら、本明細書に開示される様々な特徴及び原理は、回転式エンコーダに適用されてもよく、その場合、円形測定軸方向及び半径方向が、上記説明において言及されるX軸方向及びY軸方向と同様となる。
【0115】
より一般的には、上記様々な実施態様及び特徴は、更なる実施態様を提供するために、組み合わされてもよい。本明細書において参照されたすべての米国特許及び米国特許出願は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。必要に応じて、実施態様の態様は、更なる実施態様を提供するために、様々な特許及び出願の概念を採用するように、変更されてもよい。
【0116】
上記詳細な説明に照らせば、これらの及び他の変更を実施態様に行うことができる。一般に、次の請求項において使用される用語は、請求項を、本明細書及び請求項に開示される特定の実施態様に限定すると解釈されるべきではなく、むしろ、当該請求項の等価物の全範囲内のあらゆる可能な実施態様を含むと解釈されるべきである。