(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】非常時における設備機器の運転制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 9/08 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
H02J9/08
(21)【出願番号】P 2018048445
(22)【出願日】2018-03-15
【審査請求日】2020-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】荻本 紘史
【審査官】山本 香奈絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-028848(JP,A)
【文献】特開2005-027459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備内の電力系統が全停電した場合に、非常用電力系統により所定の機器を自動起動させる運転制御システムであって、
前記非常用電力系統の電源である第1のDEGと、
前記非常用電力系統の電源であり、前記第1のDEGとは異なる第2のDEGと、
緊急時の対応に起動させる少なくとも1以上の機器からなる第1の負荷設備機器群と、
緊急時の対応に起動させる少なくとも1以上の機器からなり、前記第1の負荷設備機器群とは異なる第2の負荷設備機器群と、
前記第1の負荷設備機器群と、前記第2の負荷設備機器群と、における電力系統を連結し又は開放する上位側系統連系用遮断器と、
前記第1の負荷設備機器群と、前記第2の負荷設備機器群と、における電力系統を連結し又は開放し、前記上位側系統連系用遮断器よりも下位側に位置する下位側系統連系用遮断器と、
前記下位側系統連系用遮断器に開放を指示するインターロックと、
を備え、
前記第1の負荷設備機器群は、前記第1のDEGと電力系統により連結され、
前記第2の負荷設備機器群は、前記第2のDEGと電力系統により連結され、
前記上位側系統連系用遮断器又は前記下位側系統連系用遮断器が電力系統を連結したときには、前記第1及び第2のDEGにより該遮断器を介して双方向に送電可能であり、
前記インターロックは、前記第1のDEGと前記第2のDEGとが非同期の状態において該第1のDEGと該第2のDEGとが共に起動する
とともに、前記上位側系統連系用遮断器が開放状態である場合に、その起動の前に前記下位側系統連系用遮断器に開放を指示する
運転制御システム。
【請求項2】
前記設備内の前記電力系統の停電を検知する停電検知部を更に備える請求項1に記載の運転制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常時における設備機器の運転制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場設備や電気制御設備等の各種の設備において、運転継続状態の際に停電し、その後復電した場合に、設備機器を自動起動させる設備機器の制御システムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、エレベータ等の輸送設備や空調設備等の機器の運転制御システムが提案されている。しかしながら、この技術は、正常時に通常使用する電力系統の復電時における自動制御システムであって、「非常用」電力系統での復電については記載がなく、震災等により電力系統が全て停電した場合には、その通常使用する電力系統が復電するまで待たなければならないとの問題がある。
【0004】
近年、各種の生産工場においては、生産能力や生産効率の向上の観点から多くの生産設備が設置されるようになっている。例えば、製錬工場を例に挙げると、自熔炉、転炉、精製炉に付随したボイラー、各種の循環ポンプ、冷却塔等の設備機器が、工場の生産性を維持するために設置されている。
【0005】
このような生産工場においては、一般的に、電力系統が全停電したときに備え、ディーゼルエンジン発電機(DEG)等の非常用発電装置が設けられている。震災等により電力系統が全停電すると、非常用回線切替盤(以下、「エンジン回線切替盤」ともいう)がその停電状態を検知し、DEG等の発電装置が自動起動する。そして、DEGの電圧が確立すると、緊急時の対応のために起動させる複数台の設備機器(負荷設備機器)に送電され、その設備機器を起動させるようになっている。
【0006】
その際、複数のDEGを用いて、それぞれのDEGがそれぞれの負荷設備機器群と接続された態様の運転制御システムが用いられることがある。負荷設備機器群を全て同一の系統である場合、震災等により高圧ケーブル等の配電設備が故障した場合その下位の系統は全て停電するおそれがあるが、負荷設備機器群を分散することにより、全ての機器が停電するおそれを回避することができる。
【0007】
そのような運転制御システムとして、例えば
図1に記載の運転制御システムを挙げることができる。この運転制御システム10は、第1のDEG11、第2のDEG12が位置する上位側で2系列の非常用電力系統を互いに連結させる上位側系統連系用遮断器13と、下位側で2系列の非常用電力系統を互いに連結させる下位側系統連系用遮断器14と、を備えている。なお、本明細書において遮断器とは、2の電力系統を連結又は開放を切り替える設備機器を意味する。
【0008】
上位側で2系列の非常用電力系統を互いに連結させる上位側系統連系用遮断器13を備えることにより、第1のDEG11、第2のDEG12のいずれかが故障等して動作不能となって場合においても、適切に設備機器への電力供給を行うことができる。
【0009】
また、常用回線を構成する高圧ケーブルに断線等のトラブル(
図1中のXの箇所)が生じたとしても、下位側で2系列の非常用電力系統を互いに連結させる下位側系統連系用遮断器14を備えることにより、適切に設備機器への送電を継続させることができる。そのため、複数のDEGを非常用電力系統の電源として備える運転制御システムは、非常時の運転制御システムとして有用である。特に、製錬工場では、停電により設備機器が停止するとその損害は大きく、複数のDEGを非常用電力系統の電源として備える運転制御システムは極めて有用である。
【0010】
さて、複数のDEGを非常用電力系統の電源として備える運転制御システムは、複数のDEGを備えていることから設備機器を自動起動する際に種々の不具合が生じることがある。
【0011】
例えば、誤作動により遮断器が連結していることに気付かず、複数のDEGが非同期の状態で同時に起動した場合には、これらのDEGがトリップするおそれがある。DEGがトリップすると、配線に大電流が流れ、それぞれのDEGに過負荷がかかりDEGの故障や高圧電気設備の破損・ケーブルの焼損等を引き起こす可能性がある。なお、本明細書においてDEGが同期の状態とは、DEGの電圧、位相、周波数が同じに制御された状態をいう。また、DEGが非同期の状態とは、それらのいずれかが異なって制御された状態をいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、複数のDEGを非常用電力系統の電源として備える運転制御システムにおいて、それら複数のDEGが非同期の状態で作動した場合に生じる不都合を効率的に防ぐことができ、DEGや設備の故障等を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、複数のDEGが非同期の状態において複数のDEGが共に起動する場合に、その起動の前に遮断器に開放を指示するインターロックを備えた運転制御システムであれば、上述した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
(1)本発明の第1の発明は、設備内の電力系統が全停電した場合に、非常用電力系統により所定の機器を自動起動させる運転制御システムであって、前記非常用電力系統の電源である第1のDEGと、前記非常用電力系統の電源であり、前記第1のDEGとは異なる第2のDEGと、緊急時の対応に起動させる少なくとも1以上の機器からなる第1の負荷設備機器群と、緊急時の対応に起動させる少なくとも1以上の機器からなり、前記第1の負荷設備機器群とは異なる第2の負荷設備機器群と、前記第1の負荷設備機器群と、前記第2の負荷設備機器群と、における電力系統を連結し又は開放する遮断器と、前記遮断器に開放を指示するインターロックと、を備え、前記インターロックは、前記第1のDEGと前記第2のDEGとが非同期の状態において該第1のDEGと該第2のDEGとが共に起動する場合に、その起動の前に前記遮断器に開放を指示する運転制御システムである。
【0016】
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記設備内の前記電力系統の停電を検知する停電検知部を更に備える運転制御システムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数のDEGを非常用電力系統の電源として備える運転制御システムにおいて、それら複数のDEGが非同期の状態において複数のDEGが共に起動した場合に生じる不都合を効率的に防ぐことができ、DEGや設備の故障等を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】運転制御システムの構成を示す図であり、DEGが複数設けられており、複数系列の非常用電力系統を有する構成の態様を示す図である。
【
図2】運転制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】運転制御システムに備えられるインターロックのインターロックシーケンス図である。
【
図4】通常用電力系統が全停電したときの運転制御システムによる制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0020】
≪1.運転制御システム≫
本実施の形態に係る運転制御システム1は、工場設備等の設備の電力系統が全停電した場合に、非常用電力系統により所定の設備機器を自動起動させる運転制御システムである。一般に、工場設備等には、通常の操業に使用する電力系統(通常用電力系統)と、通常用電力系統が全停電したときに発動する非常用電力系統とが設けられている。
【0021】
工場設備等の設備内には、種々の設備機器が備えられており、例えば銅製錬工場の設備内には、自熔炉、転炉、精製炉に付随したボイラー、各種の循環ポンプ、冷却塔等の設備機器が備えられている。これらの設備機器は、電力系統による電力の供給により起動する機器であり、電力の負荷設備機器ともいう。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る運転制御システム1の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る運転制御システム1は、DEGが2つ設けられており、2系列の非常用電力系統を有する態様となっている。第1のDEGの符号を「11」とし、第2のDEGの符号を「12」とする。
【0023】
また、運転制御システム1は、第1のDEG11、第2のDEG12が位置する上位側で2系列の非常用電力系統を互いに連結させる上位側系統連系用遮断器13と、下位側で2系列の非常用電力系統を互いに連結させる下位側系統連系用遮断器14と、を備えている。
【0024】
運転制御システム1においては、震災等の非常時にDEGからの非常用電力系統により設備機器を起動させるに際して、通常、上位側系統連系用遮断器13と、下位側系統連系用遮断器14とがそれぞれ開放状態となっており、第1のDEG11と第2のDEG12とは、それぞれ1台につき1系列の非常用電力系統に送電する構成となっている。つまり、第1のDEG11からの非常用電力系統により、第1の負荷設備機器群21、22に対して電力が供給され、第2のDEG12からの非常用電力系統により、第2の負荷設備機器群23、24に対して電力が供給されるような構成となっている。
【0025】
一方で、上位側で2系列の非常用電力系統を互いに連結させる上位側系統連系用遮断器13を備えることにより、第1のDEG11、第2のDEG12のいずれかが故障等して動作不能となって場合においても、適切に設備機器への電力供給を行うことができる。
【0026】
すなわち、1台のDEG(例えば第1のDEG11)が故障した場合、設備機器への電力負荷を所定の割合で制限した後に上位側系統連系用遮断器13を連結して2系列の非常用電力系統を連結させるようにする。これにより、故障していない第2のDEG12からの電力供給により、通常は第2のDEG12からの送電により起動する第2の負荷設備機器群23、24のみならず、第1の負荷設備機器群21、22の起動も生じさせることができる。
【0027】
そして、運転制御システム1は、非同期の状態において複数DEGが共に起動する場合に、その起動の前に下位側系統連系用遮断器14を開放するように指示するインターロック25を備える。これにより、非同期の状態において複数DEGが共に起動する場合であっても、これらのDEGがトリップすることを防止することができる。
【0028】
≪2.運転制御システムの構成≫
次に、運転制御システムを構成する設備機器について説明する。
図2に運転制御システム1の構成を示すブロック図を示す。
図2に示すように、運転制御システム1は、停電を検知する停電検知部26と、第1のDEG11と、第2のDEG12と、下位側で2系列の非常用電力系統を互いに連結させる下位側系統連系用遮断器14と、下位側系統連系用遮断器14に開放を指示するインターロック25と、設備内に電力系統により起動する複数の機器からなる負荷設備機器群20と、負荷設備機器群20における設備機器を起動させる制御装置で構成される制御部27と、を備える。
【0029】
[停電検知部]
停電検知部26は、設備内の電力系統が停電したことを検知する。停電検知部26は、第1のDEG11及び第2のDEG12並びに制御部27と電気的に接続されており、設備内の電力系統が停電したことを検知すると、その停電検出信号を第1のDEG11及び第2のDEG12及び制御部27に送信する。
【0030】
[DEG]
DEG11、12は、非常用電力系統の電源である。震災等により通常用電力系統が全停電したときには、非常用電力系統が発動する。DEG11、12は、その非常用電力系統の電源装置であり、電気的に接続された停電検知部26からの停電検出信号に基づいて作動する。
【0031】
[インターロック]
インターロック25は、遮断器に開放を指示する。インターロック25は、第1のDEG11と第2のDEG12とが非同期の状態において第1のDEG11と第2のDEG12とが共に起動する場合に、その起動の前に遮断器14に開放を指示する。
【0032】
図3にインターロックシーケンスの構成図を示す。インターロック25は、(1)常用回線全停電でないとき、(2)常用回線全停電であって、且つ非同期モードではないとき(第1のDEG11と第2のDEG12が同期の状態であるとき)、(3)遮断器16又は遮断器17が開放状態であって遮断器13が開放状態のとき、の(1)~(3)のいずれかの場合には、下位側系統連系用遮断器14に遮断器連結許可信号を送る(
図3(a)参照)。
【0033】
一方、インターロック25は、(4)常用回線全停電であるとき、(5)非同期モードであるとき(第1のDEG11と第2のDEG12が非同期の状態であるとき)、(6)第1のDEG11と第2のDEG12との起動を開始する、の(4)~(6)の全てを満たす場合には、下位側系統連系用遮断器14に遮断器開放信号を送る(
図3(b)参照)。
【0034】
なお、インターロック25の処理は、制御部27で処理されてもよいし、別の機器で処理されていてもよい。
【0035】
[下位側系統連系用遮断器]
下位側系統連系用遮断器とは、下位側で2系列の非常用電力系統を互いに連結させる遮断器である。下位側系統連系用遮断器14は、インターロック25から遮断器開放信号を受信したときには、遮断器を開放する。そして、下位側系統連系用遮断器14は、遮断器を開放した場合には、制御部27に制御部指示信号を送信する。
【0036】
制御部27が制御部指示信号を受信する前に、下位側系統連系用遮断器14は、遮断器を開放する。そのため、非同期の状態において複数DEGが共に起動する場合であっても、遮断器14が開放されるため、複数のDEGがトリップすることを防止することができる。
【0037】
[制御部]
制御部27は、負荷設備機器群20を構成する設備機器の起動を制御する。制御部27は、負荷設備機器群20を起動させる装置(制御装置)で構成されている。また、インターロック25、若しくは下位側系統連系用遮断器14から制御部指示信号を受信し、負荷設備機器群20に運転指示信号を送信する。これにより、制御部27は、制御部指示信号を受信するまで負荷設備機器群20に運転指示信号を送信することはないため、非同期の状態において複数DEGが共に起動する場合であっても、複数のDEGがトリップすることを防止することができる。なお、制御部27はこれらの制御を同一の機器で行ってもよく、異なる機器で行ってもよい。
【0038】
[負荷設備機器群]
負荷設備機器群20は、設備内に複数設けられている、電力により起動する電力負荷設備機器の集合体である。
【0039】
≪3.運転制御システムによる起動制御≫
次に、運転制御システム1による設備機器の起動制御、すなわち、通常用電力系統が全停電したときの非常用電力系統を用いた運転制御システム1による設備機器の起動制御の方法について説明する。
【0040】
図4は、通常用電力系統が全停電したときの運転制御システム1による制御の流れを示すフローチャートである。運転制御システム1において、制御部27は、停電検知部26による停電検知の情報(停電検出信号)の有無を常時監視し、停電を検出すると停電シーケンスに入り、自動起動の対象である負荷設備機器群20を構成する設備機器に対して順次に起動指令を出力して起動させる。
【0041】
先ず、停電シーケンスに入ると、制御部27は、停電検知部26からの停電検出信号の有無の確認(ON確認)を実行し(ステップSP1)、停電検出信号の受信を確認すると(YES)、ステップSP2に移行する。このとき、停電検知部26は、停電検出信号を第1のDEG11及び第2のDEG12にも送信する。停電検知部26から停電検出信号を受信した第1のDEG11及び第2のDEG12は、非常用電力系統の作動を開始させるとともに、電圧確立信号、及びDEGの電圧、位相、周波数に関する情報信号(DEG情報信号)をインターロック25に送信する。
【0042】
次に、ステップSP2において、制御部27は、復電に先立ち、負荷設備機器群20を構成する設備機器のうちの起動が不要な設備機器についての運転指令の出力を切断する出力断処理を行う。これにより、起動が不要な設備機器の起動による電力容量が逼迫することを防ぐことができる。
【0043】
次に、ステップSP3において、インターロック25は、第1のDEG11及び第2のDEG12双方からの電圧確立信号の有無の確認を実行し、双方からの電圧確立信号の受信を確認すると(YES)、ステップSP4に移行する。一方、第1のDEG11及び第2のDEG12のいずれかがが故障して一方からの電圧確立信号しか確認できなかった場合には(NO)、制御部27に制御部指示信号を送信し、ステップSP6に移行する。
【0044】
次に、ステップSP4において、インターロック25は、第1のDEG11及び第2のDEG12双方からのDEG情報信号の有無の確認を実行し、第1のDEG11と第2のDEG12と、が非同期であることを確認すると(YES)、下位側系統連系用遮断器14に遮断器開放指示信号を送信してステップSP5に移行する。一方、第1のDEG11と第2のDEG12と、が同期であることを確認すると(NO)、制御部27に制御部指示信号を送信し、ステップSP6に移行する。
【0045】
ステップSP5において、下位側系統連系用遮断器14は、遮断器開放指示信号を受信して遮断器を開放し、ステップSP6に移行する。尚、ステップSP5において、インターロック25は、下位側系統連系用遮断器14が開放したことを確認する信号を送った後に、ステップSP6に移行してもよい。
【0046】
ステップSP6において、インターロック25は、制御部27に制御部指示信号を送信する。制御部27は、制御部指示信号を受信し、ステップSP7に移行する。
【0047】
次に、ステップSP7において、制御部27は、ステップSP2において起動が不要な設備機器以外の正常な負荷設備機器に対して運転指示信号を出力する(負荷運転信号ON)。
【0048】
このように、本実施の形態に係る運転制御システム1によれば、制御部27が負荷設備機器群20に対して運転指令を出力する前に、第1のDEG11と第2のDEG12との作動確認及び非同期確認を行い、下位側系統連系用遮断器14を開放しているため、下位側系統連系用遮断器が連結されて非同期の状態において複数DEGが共に起動する場合であっても、これらのDEGがトリップすることを防止することができる。
【0049】
なお、この実施形態において、2つのDEG11、12を一つの実施形態として説明したが、この運転制御システムは、3つ以上のDEGを含む運転制御システムであってもよい。非同期の状態において複数のDEGが共に起動する場合に、その起動の前に下位側系統連系用遮断器14を開放するように指示するインターロック25を備えていれば目的を達成することができる。
【0050】
また、この実施形態において、インターロック25は、下位側系統連系用遮断器14を開放するように指示するインターロックを一例に説明をしたが、本発明に係る運転制御システムは、下位側系統連系用遮断器14のみならず、上位側系統連系用遮断器13について開放をするように指示することのできるインターロックであってもよい。
【0051】
更に、この実施形態のステップSP6において、インターロック25が制御部27に制御部指示信号を送信しているが、例えば、電力系統が開放された後に下位側系統連系用遮断器14が制御部27に制御部指示信号を送信するような態様であってもよい。
【0052】
以上のように、本発明に係る運転制御システムは、複数のDEGを非常用電力系統の電源として備える運転制御システムであっても、種々の不具合が生じる危険性を軽減することができる運転制御システムである。
【符号の説明】
【0053】
1 運転制御システム
11 第1のDEG
12 第2のDEG
13 上位側系統連系用遮断器
14 下位側系統連系用遮断器
15 遮断器
16 遮断器
17 遮断器
20 負荷設備機器群
21、22 第1の負荷設備機器群
23、24 第2の負荷設備機器群
25 インターロック
26 停電検知部
27 制御部