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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/374 20110101AFI20221012BHJP
   H04N 5/378 20110101ALI20221012BHJP
【FI】
H04N5/374
H04N5/378
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021034544
(22)【出願日】2021-03-04
(62)【分割の表示】P 2019125238の分割
【原出願日】2016-09-27
(65)【公開番号】P2021093768
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2015195279
(32)【優先日】2015-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】船水 航
(72)【発明者】
【氏名】壽圓 正博
(72)【発明者】
【氏名】駒井 敦
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-186467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源回路からの電流に基づく電圧を記憶する第1記憶部と、前記第1記憶部で記憶された電流を供給する供給部とを有する電流源回路と、
光を電荷に変換する第1光電変換部を有する第1画素と、前記供給部からの電流に基づく電圧を記憶する第2記憶部と前供給部と前記第2記憶部との間の接続を制御する第1制御部とを有する第1記憶回路と、前第2記憶で記憶された電圧に基づく電流を前記第1画素に供給するための第1電流源とを含む第1画素回路と
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第1制御部は、前記供給部と前記第2記憶部との間において直列に接続される第1スイッチと第2スイッチとを少なくとも有する撮像素子。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像素子において、
前記第1スイッチは、前記供給部と前記第2記憶部との間において、前記第2スイッチよりも前記供給部側に配置され、
前記第1制御部は、前記供給部と前記第2記憶部との間を非接続状態にする場合、前記第2スイッチを前記第1スイッチよりも前にオフにする撮像素子。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の撮像素子において、
前記第1電流源は、前記第1画素に接続されるドレイン部と、前記第1記憶回路に接続されるゲート部とを有する第1トランジスタを含み、
前記第1トランジスタのドレイン部は、前記第2スイッチを介して前記第1トランジスタのゲート部と接続される撮像素子。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像素子において、
前記第1トランジスタのドレイン部は、前記第1スイッチを介して前記供給部と接続される撮像素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素は、前記第1光電変換部で変換された電荷により生成される第1信号を読み出すための第1読出回路を有する撮像素子。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子において、
前記第1読出回路は、前記第1光電変換部の電荷を転送するための第1転送部と、前記第1転送部により前記第1光電変換部の電荷が転送される第1フローティングディフュージョンと、前記第1フローティングディフュージョンに接続されるゲート端子を有するトランジスタを含む第1出力部とを含む撮像素子。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の撮像素子において、
前記第1読出回路により読み出された前記第1信号が出力される第1信号線を備え、
前記第1電流源は、前記第1信号線を介して前記第1画素に接続される撮像素子。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部は、第1半導体基板に配置され、
前記第1記憶回路は、第2半導体基板に配置される撮像素子。
【請求項10】
請求項9に記載の撮像素子において、
前記第1半導体基板は、前記第2半導体基板により積層される撮像素子。
【請求項11】
請求項1に記載の撮像素子において、
光を電荷に変換する第2光電変換部を有する第2画素と、前記供給部からの電流に基づく電圧を記憶する第3記憶部と前記供給部と前記第3記憶部との間の接続を制御する第2制御部とを有する第2記憶回路と、前記第3記憶部で記憶された電圧に基づく電流を前記第2画素に供給するための第2電流源とを含む第2画素回路を備え、
前記第1画素回路と前記第2画素回路とは、列方向において並んで配置される撮像素子。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像素子において、
前記第1画素回路と前記第2画素回路とは、前記列方向において隣に並んで配置される撮像素子。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の撮像素子において、
前記第1制御部は、前記供給部と前記第2記憶部との間において直列に接続される第1スイッチと第2スイッチとを少なくとも有し、
前記第2制御部は、前記供給部と前記第3記憶部との間において直列に接続される第3スイッチと第4スイッチとを少なくとも有する撮像素子。
【請求項14】
請求項13に記載の撮像素子において、
前記第1スイッチは、前記供給部と前記第2記憶部との間において、前記第2スイッチよりも前記供給部側に配置され、
前記第3スイッチは、前記供給部と前記第3記憶部との間において、前記第4スイッチよりも前記供給部側に配置され、
前記第1制御部は、前記供給部と前記第2記憶部との間を非接続状態にする場合、前記第2スイッチを前記第1スイッチよりも前にオフにし、
前記第2制御部は、前記供給部と前記第3記憶部との間を非接続状態にする場合、前記第4スイッチを前記第3スイッチよりも前にオフにする撮像素子。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の撮像素子において、
前記第1電流源は、前記第1画素に接続されるドレイン部と、前記第1記憶回路に接続されるゲート部とを有する第1トランジスタを含み、
前記第2電流源は、前記第2画素に接続されるドレイン部と、前記第2記憶回路に接続されるゲート部とを有する第2トランジスタを含み、
前記第1トランジスタのドレイン部は、前記第2スイッチを介して前記第1トランジスタのゲート部と接続され、
前記第2トランジスタのドレイン部は、前記第4スイッチを介して前記第2トランジスタのゲート部と接続される撮像素子。
【請求項16】
請求項15に記載の撮像素子において、
前記第1トランジスタのドレイン部は、前記第1スイッチを介して前記供給部と接続され、
前記第2トランジスタのドレイン部は、前記第3スイッチを介して前記供給部と接続される撮像素子。
【請求項17】
請求項11から請求項16のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素は、前記第1光電変換部で変換された電荷により生成される第1信号を読み出すための第1読出回路を有し、
前記第2画素は、前記第2光電変換部で変換された電荷により生成される第2信号を読み出すための第2読出回路を有する撮像素子。
【請求項18】
請求項17に記載の撮像素子において、
前記第1読出回路は、前記第1光電変換部の電荷を転送するための第1転送部と、前記第1転送部により前記第1光電変換部の電荷が転送される第1フローティングディフュージョンと、前記第1フローティングディフュージョンに接続されるゲート端子を有するトランジスタを含む第1出力部とを含み、
前記第2読出回路は、前記第2光電変換部の電荷を転送するための第2転送部と、前記第2転送部により前記第2光電変換部の電荷が転送される第2フローティングディフュージョンと、前記第2フローティングディフュージョンに接続されるゲート端子を有するトランジスタを含む第2出力部とを含む撮像素子。
【請求項19】
請求項17または請求項18に記載の撮像素子において、
前記第1読出回路により読み出された前記第1信号が出力される第1信号線と、
前記第2読出回路により読み出された前記第2信号が出力される第2信号線と、を備え、
前記第1電流源は、前記第1信号線を介して前記第1画素に接続され、
前記第2電流源は、前記第2信号線を介して前記第2画素に接続される撮像素子。
【請求項20】
請求項11から請求項19のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とは、第1半導体基板に配置され、
前記第1記憶回路と前記第2記憶回路とは、第2半導体基板に配置される撮像素子。
【請求項21】
請求項20に記載の撮像素子において、
前記第1半導体基板は、前記第2半導体基板により積層される撮像素子。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の撮像素子を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画素から読み出された信号を、単位画素セルまたは複数の画素をまとめたセル毎に並列処理することができる撮像装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2012-244331号公報
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によると、撮像素子は、電源回路からの電流に基づく電圧を記憶する第1記憶部と、前記第1記憶部で記憶された電流を供給する供給部とを有する電流源回路と、光を電荷に変換する第1光電変換部を有する第1画素と、前記供給部からの電流に基づく電圧を記憶する第2記憶部と前供給部と前記第2記憶部との間の接続を制御する第1制御部とを有する第1記憶回路と、前第2記憶で記憶された電圧に基づく電流を前記第1画素に供給するための第1電流源とを含む第1画素回路と、を備える。
第2の態様によると、撮像装置は、第1の態様による撮像素子を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】第1の実施の形態に係る撮像装置1の構成を示すブロック図。
図2】第1の実施の形態に係る画素10の構成を示す回路図。
図3】第1の実施の形態に係る電流源30と記憶回路110の構成を示す回路図。
図4】第1の実施の形態に係る制御部33の動作例を示すタイミングチャート。
図5】第1の実施の形態に係る電流源30の適用例を示す回路図。
図6】第1の実施の形態に係る電流源30の他の適用例を示す回路図。
図7】(a)は、第2の実施の形態に係る画素回路150の一部と、電流源回路50と、基準電流源回路31とを示す回路図。(b)は、第2の実施の形態に係る画素回路150の一部と、電流源回路50と、基準電流源回路31との接続関係を示す図。
図8】第3の実施の形態に係る電流源30と記憶回路110の構成を示す回路図。
図9】(a)は、変形例1に係る電流源回路50とその周辺回路の構成を示す図。(b)及び(c)は、変形例1に係る電流源回路50とその周辺回路の動作例を示すタイミングチャート。
図10】(a)は、変形例2に係る電流源回路50とその周辺回路の構成を示す図。(b)及び(c)は、変形例2に係る電流源回路50とその周辺回路の動作例を示すタイミングチャート。
図11】(a)は、変形例3に係る電流源回路50とその周辺回路の構成を示す図。(b)は、変形例3に係る電流源回路50とその周辺回路の動作例を示すタイミングチャート。
図12】(a)は、変形例4に係る電流源回路50とその周辺回路の構成を示す図。(b)は、変形例4に係る画素10の一部の構成例を示す図。(c)は、変形例4に係る電流源回路50とその周辺回路の動作例を示すタイミングチャート。
図13】(a)-(d)は、変形例5に係る電流源30とその周辺回路の構成を示す図。
図14】(a)-(c)は、変形例5に係る電流源30とその周辺回路の動作例を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置1の構成を示すブロック図である。撮像装置1は、光学系2、撮像素子3、および制御部4を備える。光学系2は、撮像素子3に被写体からの光を射出する。撮像素子3は、光学系2から射出された光を撮像して、例えば、画像データを生成する。制御部4は、撮像素子3から出力された画像データに対して各種の画像処理を行う。また、制御部4は、撮像素子3の動作を制御するための制御信号を撮像素子3に出力する。なお、光学系2は、撮像装置1から着脱可能にしてもよい。
【0007】
図2は、第1の実施の形態に係る画素10の構成を示す回路図である。撮像素子3は、複数の画素10を有する。画素10は、光電変換部12および読出回路100を有する。光電変換部12は、撮像素子3の撮像領域において、例えば、行列状に配置される。光電変換部12は、入射した光を電荷に変換する光電変換機能を有する。光電変換部12は、光電変換された電荷を蓄積する。光電変換部12は、例えば、フォトダイオードにより構成される。読出回路100は、光電変換部12で光電変換された電荷により生成される画素信号を信号線17に読み出す。画素信号は、例えば、画像データを構成する。読出回路100は、転送部13と、排出部14と、フローティングディフュージョン15と、出力部16と、を有する。
【0008】
転送部13は、光電変換部12で光電変換された電荷をフローティングディフュージョン15に転送する。すなわち、転送部13は、光電変換部12およびフローティングディフュージョン15の間に電荷転送路を形成する。出力部16は、転送部13により光電変換部12からフローティングディフュージョン15に転送された電荷により生成された画素信号を信号線17に出力する。出力部16は、ドレイン端子、ゲート端子およびソース端子がそれぞれ、電源VDD、フローティングディフュージョン15および信号線17に接続されるトランジスタである。排出部14は、フローティングディフュージョン15の電荷を排出する。フローティングディフュージョン15は、排出部14により電荷が排出されることで基準電位にリセットされる。
【0009】
電流源30は、信号線17により読出回路100に接続される。電流源30は、読出回路100により光電変換部12で光電変換された電荷により生成された画素信号を読み出すための電流を供給する。電流源30は、具体的には、ドレイン端子、ゲート端子およびソース端子がそれぞれ、信号線17、基準電流源回路31およびグランド(GND)に接続されるトランジスタである。電流源30は、読出回路100の出力部16に電流を供給する。すなわち、出力部16は、電流源30を負荷電流源としてソースフォロワ回路を構成する。電流源30は、基準電流源回路31からの電流に基づいて信号線17に供給する電流を生成する。また、電流源30は、ドレイン端子とゲート端子とがスイッチを介して接続されている。
【0010】
図3は、第1の実施の形態に係る電流源30と、電流源30により信号線17に供給する電流を生成するための記憶回路(保持回路とも称する)110の構成を示す回路図である。図3に示す例では、説明を簡略化するために、電流源30は3個(電流源30A-電流源30C)のみ図示している。
【0011】
基準電流源回路31は、基準電流源I1を有する。基準電流源I1は、電源VDDに接続され、基準電流i1を出力する。電流源30は、基準電流源I1から出力された基準電流i1に応じた電流を信号線17に供給する。
【0012】
記憶回路110は、記憶部32と制御部33を有する。記憶回路110(記憶回路110A-記憶回路110C)は、基準電流源I1から出力される基準電流i1に基づく電圧を記憶する。記憶回路110は、基準電流源I1から出力される基準電流i1に基づく電圧を記憶部32により記憶(保持)する。記憶部32は、電流源30のゲート端子に接続され、記憶(保持)された電圧を電流源30に供給する。
【0013】
電流源30は、記憶部32に記憶された電圧に基づく電流を信号線17に供給する。記憶部32は、例えば、一方の電極が電流源30のゲート端子に接続され、他方の電極がグランドに接続されたコンデンサなどの容量素子により構成される。記憶部32(記憶部32A-記憶部32C)は、図3に示す例ではそれぞれコンデンサC1-コンデンサC3により構成される。
【0014】
制御部33は、基準電流源回路31から記憶部32に供給される電流を制御する。例えば、基準電流源I1から出力された電流に基づく電圧を記憶部32Aに記憶させる場合、基準電流源I1から記憶部32Bおよび記憶部32Cに供給される電流を、基準電流源I1から記憶部32Aに供給される電流よりも小さくなるように制御する。
【0015】
制御部33は、例えば、基準電流源回路31と記憶部32を接続するスイッチにより構成される。制御部33(制御部33A-制御部33C)は、それぞれスイッチSWS(SWS1-SWS3)と、スイッチSWD(SWD1-SWD3)と、スイッチSWO(SWO1-SWO3)とを有する。
【0016】
スイッチSWS(SWS1-SWS3)、スイッチSWD(SWD1-SWD3)およびスイッチSWO(SWO1-SWO3)は、例えば、トランジスタによりそれぞれ構成される。スイッチSWS(SWS1-SWS3)、スイッチSWD(SWD1-SWD3)およびスイッチSWO(SWO1-SWO3)は、不図示の制御回路により出力される制御信号により制御される。なお、抵抗R1-抵抗R3は、グランドに接続される配線の配線抵抗である。
【0017】
図4は、第1の実施の形態に係る制御部33の動作例を示すタイミングチャートである。図4において、SWS1-SWS3、SWD1-SWD3、SWO1-SWO3は、不図示の制御回路からスイッチSWS(SWS1-SWS3)、スイッチSWD(SWD1-SWD3)およびスイッチSWO(SWO1-SWO3)に入力される制御信号を示す。また、縦軸は、不図示の制御回路から出力される制御信号の電圧レベルを示し、横軸は、時刻を示す。スイッチSWS(SWS1-SWS3)、スイッチSWD(SWD1-SWD3)およびスイッチSWO(SWO1-SWO3)は、入力される制御信号がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフとなる。
【0018】
時刻t1において、SWS1およびSWD1がハイレベルになる。スイッチSWD1がオンされることで、電流源30Aのゲート端子とドレイン端子が接続される。これにより、電流源30Aは、ダイオード接続となる。さらに、スイッチSWS1がオンされることで、基準電流源I1と、電流源30Aおよび記憶部32Aと、の間が接続される。これにより、電流源30Aおよび記憶部32Aに基準電流源I1からの基準電流i1が供給される。
【0019】
電流源30Aのゲートソース間電圧Vgsは、基準電流i1および電流源30Aの閾値電圧Vth1に基づく値となる。電流源30Aのゲート端子に印加される電圧Vg1は、電流源30Aのゲートソース間電圧Vgsに応じた値となり、基準電流i1と電流源30Aの閾値電圧Vth1とに基づく電圧となる。記憶部32Aは、基準電流i1により電圧Vg1が記憶される。
【0020】
時刻t2において、SWD1がローレベルになる。スイッチSWD1がオフされることで、基準電流源I1と記憶部32Aとの間の接続が解除される。記憶部32Aには、電流源30Aのゲートソース間電圧Vgsが記憶される。スイッチSWD1をスイッチSWS1よりも先にオフされることで、電流源30Aを介して記憶部32Aに記憶された電圧Vg1が降下することを防ぐことができる。
【0021】
時刻t3において、SWS1がローレベルになる。スイッチSWS1がオフされることで、基準電流源I1と電流源30Aとの間の接続が解除される。以下、同様にして、スイッチSWS2およびスイッチSWD2がオンされることで、基準電流源I1と、電流源30Bおよび記憶部32Bと、の間が接続される。これにより、電流源30Bおよび記憶部32Bに基準電流源I1からの基準電流i1が供給される。時刻t4-時刻t5において、スイッチSWD2及びスイッチSWS2がそれぞれローレベルになる。スイッチSWD2及びスイッチSWS2がそれぞれオフされることで、基準電流源I1と記憶部32Bとの間の接続が解除される。記憶部32Bには、電流源30Bのゲートソース間電圧Vgsが記憶される。
【0022】
時刻t5において、SWS3及びSWD3がハイレベルになる。スイッチSWS3およびスイッチSWD3がオンされることで、基準電流源I1と、電流源30Cおよび記憶部32Cと、の間が接続される。これにより、電流源30Cおよび記憶部32Cに基準電流源I1からの基準電流i1が供給される。時刻t6-時刻t7において、スイッチSWD3及びスイッチSWS3がそれぞれローレベルになる。スイッチSWD3及びスイッチSWS3がそれぞれオフされることで、基準電流源I1と記憶部32Cとの間の接続が解除される。記憶部32Cには、電流源30Cのゲートソース間電圧Vgsが記憶される。
【0023】
時刻t8において、SWO1-SWO3がハイレベルになる。スイッチSWO1-スイッチSWO3がオンされることで、電流源30A-電流源30Cは、それぞれのゲート端子に印加される電圧Vg1-電圧Vg3に基づく電流を信号線17A-信号線17Cに供給する。
【0024】
図5は、第1の実施の形態に係る電流源30の適用例を示す回路図である。電流源30A-30Cは、それぞれ読出回路100A-100Cの出力部16に信号線17を介して電流を供給する。
【0025】
電流源30A-電流源30Cは、制御部33A-制御部33Cにより基準電流源I1からの基準電流が供給される。電流源30A-電流源30Cは、制御部33A-制御部33CのスイッチSWS1-スイッチSWS3、スイッチSWD1-スイッチSWD3およびスイッチSWO1-スイッチSWO3により、電流源30A、電流源30Bおよび電流源30Cの順に基準電流i1が供給される。これにより、記憶部32A-記憶部32Cには、基準電流源I1からの基準電流i1に基づく電圧が記憶される。すなわち、記憶部32A-記憶部32Cにはそれぞれ、基準電流i1と電流源30A-電流源30Cの閾値電圧Vth1-閾値電圧Vth3とに基づく電圧Vg1-Vg3が記憶される。
【0026】
電流源30A-電流源30Cは、記憶部32A-記憶部32Cにそれぞれ記憶された基準電流源I1からの基準電流i1に基づく電圧により生成された電流を信号線17A-信号線17Cに供給する。すなわち、電流源30A-電流源30Cは、記憶部32A-記憶部32Cにそれぞれ記憶された基準電流源I1からの基準電流i1に基づく電圧Vg1-電圧Vg3により生成された電流を読出回路100A-読出回路100Cの各出力部16にそれぞれ供給する。
【0027】
図6は、第1の実施の形態に係る電流源30の他の適用例を示す回路図である。図5において、電流源30A-電流源30Cは、それぞれ読出回路100に電流を供給する適用例について示したが、これに限られない。図6では、図5に示された信号線17A-信号線17Cに接続され、読出回路100により読み出された画素信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路の一部を構成するコンパレータ回路21A-コンパレータ回路21Cの電流源への適用例を示す。
【0028】
電流源30A-電流源30Cは、それぞれコンパレータ回路21A-コンパレータ回路21Cに電流を供給する。図6に示す例では、電流源30A-30Cは、PMOSトランジスタM10-M30により構成される。コンパレータ回路21は、例えば、トランジスタM6-M9を含んで構成される。トランジスタM6及びM7は、ソース端子が共通に接続されて差動対を構成する。トランジスタM8及びM9は、能動負荷部として機能する。トランジスタM6及びM7の一方のゲート端子には、図5に示す信号線17A-17Cから、直接またはコンデンサなどを介して画素信号が入力され、他方のゲート端子には、直接またはコンデンサなどを介して基準信号が入力される。電流源30A-30Cは、トランジスタM6及びM7のソース端子に電流を供給し、コンパレータ回路21のテール電流源として機能する。
【0029】
コンパレータ回路21は、画素信号と基準信号とを比較して生成される出力信号を、ラッチ回路に出力する。ラッチ回路は、コンパレータ回路21の出力信号に基づいて、比較開始時からの経過時間に応じたカウント値を保持する。
【0030】
電流源30A-電流源30Cは、制御部33A-制御部33Cにより基準電流源I1からの基準電流が供給される。電流源30A-電流源30Cは、制御部33A-制御部33CのスイッチSWS1-スイッチSWS3、スイッチSWD1-スイッチSWD3およびスイッチSWO1-スイッチSWO3により、電流源30A、電流源30Bおよび電流源30Cの順に基準電流i1が供給される。これにより、記憶部32A-記憶部32Cには、基準電流源I1からの基準電流i1に基づく電圧が記憶される。すなわち、記憶部32A-記憶部32Cにはそれぞれ、基準電流i1と電流源30A-電流源30Cの閾値電圧Vth1-閾値電圧Vth3とに基づく電圧Vg1-Vg3が記憶される。
【0031】
電流源30A-電流源30Cは、記憶部32A-記憶部32Cにそれぞれ記憶された基準電流源I1からの基準電流i1に基づく電圧により生成された電流をコンパレータ回路21A-コンパレータ回路21Cに供給する。すなわち、電流源30A-電流源30Cは、記憶部32A-記憶部32Cにそれぞれ記憶された基準電流源I1からの基準電流i1に基づく電圧Vg1-電圧Vg3により生成された電流をコンパレータ回路21A-コンパレータ回路21Cにそれぞれ供給する。
【0032】
上記の実施の形態では、撮像素子3に含まれる画素信号の読出回路100や画素信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路のコンパレータ回路21の電流源として示したが、これに限られない。電流源30は、撮像素子3に含まれる電子回路以外にも他のソースフォロワ回路の電流源としても適用可能である。さらに、電流源30は、ソースフォロワ回路以外の電子回路にも適用可能である。
【0033】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3は、光電変換された電荷により生成された信号を信号線17に読み出す読出回路100と、基準電流源I1からの電流i1に基づく電圧を記憶する記憶回路110と、読出回路100により信号を読み出すための電流を信号線17に供給する電流源であって、記憶回路110に記憶された電圧により生成される電流を信号線17に供給する電流源30と、を備える。第1の実施の形態では、電流源30は、記憶回路110に記憶された電圧により生成される電流を信号線17に供給する。そのため、IRドロップの影響を低減することができる。
(2)第1の実施の形態では、スイッチSWOをオンした後は、電流源30は記憶部32に記憶された電圧に基づく電流を生成する。電流源30により生成された電流は、配線抵抗(R1-R3)を介してグランドに流れる。グランド配線では電流と抵抗のIR積による電圧降下(IRドロップ)が生じて、電流源30のソース電圧が上昇する。記憶部32は電流源30のゲートソース間の相対的な電圧を保持しているため、電流源30のソース電圧が上昇することに伴って電圧Vgが上昇し、ゲートソース間電圧の変動が抑制される。ゲートソース間電圧の変動が抑制されることにより、電流源30により供給される電流の変動を抑制することができる。
【0034】
(3)電流源30は、信号線17に接続されるドレイン部と、記憶回路110及びドレイン部に接続されるゲート部と、を含むトランジスタを有する。このようにしたので、記憶回路110は、トランジスタの閾値電圧Vthと基準電流i1とに基づく電圧を記憶することができる。また、電流源30は、閾値電圧Vthばらつきによる影響が少ない電流を供給することができる。
(4)撮像素子3は、光電変換された電荷により生成された第1信号を第1信号線17Aに読み出す第1読出回路100Aと、光電変換された電荷により生成された第2信号を第2信号線17Bに読み出す第2読出回路100Bと、基準電流源I1からの電流i1に基づく電圧を記憶する第1記憶回路110Aと、基準電流源I1からの電流i1に基づく電圧を記憶する第2記憶回路110Bと、第1読出回路100Aにより第1信号を読み出すための電流を第1信号線17Aに供給する電流源であって、第1記憶回路110Aに記憶された電圧により生成される電流を第1信号線17Aに供給する第1電流源30Aと、第2読出回路100Bにより第2信号を読み出すための電流を第2信号線17Bに供給する電流源であって、第2記憶回路110Bに記憶された電圧により生成される電流を第2信号線17Bに供給する第2電流源30Bと、を備える。第1の実施の形態では、第1電流源30Aは、第1記憶回路110Aに記憶された電圧により生成される電流を信号線17Aに供給し、第2電流源30Bは、第2記憶回路110Bに記憶された電圧により生成される電流を信号線17Bに供給する。そのため、複数の信号線において、IRドロップの影響を低減することができる。
【0035】
(5)第2記憶回路110Bは、第1記憶回路110Aに基準電流源I1からの電流i1に基づく電圧が記憶された後に、基準電流源I1からの電流i1に基づく電圧を記憶する。このようにしたので、基準電流源I1からの電流i1に基づく電圧を、複数の記憶回路110に順次記憶させることができる。
(6)第1記憶回路110Aは、第1読出回路100Aにより第1信号を第1信号線17Aに読み出しているときに、基準電流源I1からの電流i1を、第1読出回路100Aにより第1信号を第1信号線17Aに読み出していないときより小さくなるように制御する第1制御部33Aを有し、第2記憶回路110Bは、第2読出回路100Bにより第2信号を第2信号線17Bに読み出しているときに、基準電流源I1からの電流i1を、第2読出回路100Bにより第2信号を第2信号線17Bに読み出していないときより小さくなるように制御する第2制御部33Bを有する。このようにしたので、読出回路100は、記憶回路110に記憶された電圧により生成される電流に基づいて、画素信号を信号線17に読み出すことができる。また、基準電流源I1からの電流i1を小さくなるように調整することで、消費電力を低減することができる。
【0036】
(7)第1電流源30Aは、第1信号線17Aに接続される第1ドレイン部と、第1記憶回路110A及び第1ドレイン部に接続される第1ゲート部と、を含む第1トランジスタM10を有し、第2電流源30Bは、第2信号線17Bに接続される第2ドレイン部と、第2記憶回路110B及び第2ドレイン部に接続される第2ゲート部と、を含む第2トランジスタM20を有する。このようにしたので、記憶回路110AはトランジスタM10の閾値電圧Vth1と基準電流i1とに基づく電圧を記憶し、記憶回路110BはトランジスタM20の閾値電圧Vth2と基準電流i1とに基づく電圧を記憶することができる。また、第1電流源30A及び第2電流源30Bは、閾値電圧Vthばらつきによる影響が少ない電流を供給することができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
図7を参照して、第2の実施の形態に係る撮像素子3を説明する。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には、同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。第2の実施の形態では、基準電流源I1からの電流i1に基づく電圧を記憶する第1記憶部32と、第1記憶部32に記憶された電圧により生成された電流を供給する供給部130と、有する電流源回路50をさらに備え、電流源30は、電流源回路50からの電流により読出回路100に供給する電流を生成する。
【0038】
図7(a)は、第2の実施の形態に係る画素回路150の一部と、電流源回路50と、基準電流源回路31とを示す回路図である。図7(b)は、第2の実施の形態に係る画素回路150の一部と、電流源回路50と、基準電流源回路31との接続関係を示す図である。
【0039】
図7(b)に示す例では、8行×10列の画素回路150を示している。各画素回路150は、画素10と、画素10毎に配置される電流源30及び記憶回路110とを含んで構成される。複数の画素回路150の個数は、撮像素子3の画素10の個数と同数である。複数の電流源回路50の個数は、撮像素子3の画素回路150の列数と同数である。また、複数の電流源回路50の個数は、撮像素子3の画素回路150の列数よりも多くてもよい。例えば、2行×10列の画素回路150と同数であってもよい。図7(b)では、画素回路150の列数が10であるので、電流源回路50の個数は10(電流源回路50a-50j)として示している。各電流源回路50は、図7(a)に示されるように、供給部130と第1記憶部32とスイッチSWS1、SWD1、SWO1とを含む。各電流源回路50には、基準電流源回路31の基準電流源I1からの基準電流i1が供給される。このような複数の電流源回路50及び基準電流源回路31の構成は、図3に示した電流源30及びその周辺回路の構成と同一である。なお、制御部33は、スイッチSWS1と、スイッチSWD1と、スイッチSWO1と、スイッチSWS2と、スイッチSWD2と、スイッチSWO2とから構成してもよい。また、記憶回路110は、第1記憶部32と、第2記憶部132と、制御部33と、供給部130とから構成してもよい。
【0040】
次に、電流源回路50と画素回路150との接続関係を説明する。図7(b)において、左端に位置する電流源回路50aは、左端に位置する複数の画素回路150a1、150a2、150a3、150a4、150a5、150a6、150a7、150a8に接続される。即ち、左端の電流源回路50aは、左端列の複数の画素回路150のそれぞれに接続される。同様に、左端列の電流源回路50aの隣の電流源回路50bは、左端列の画素回路150a1-150a8の隣の列の複数の画素回路150b1-150b8のそれぞれに接続される。以下同様にして、右端に位置する電流源回路50jは、右端列の複数の画素回路150j1、150j2、150j3、150j4、150j5、150j6、150j7、150j8に接続される。
【0041】
電流源回路50と画素回路150との接続は、図7(a)に示したように、画素回路150のスイッチSWS2と電流源回路50のスイッチSWO1とを接続することによって行われる。この接続によって、画素回路150の第2記憶部132のコンデンサC1は、スイッチSWD2、SWS2及びスイッチSWO1を介して、電流源回路50の供給部130に接続される。
【0042】
図7(b)に示した複数の電流源回路50は、例えば左端の電流源回路50aから右端の電流源回路50jに向かって、スイッチSWS1及びSWD1のオンオフ制御により順次、基準電流源I1からの基準電流i1に基づく電圧が第1記憶部32のコンデンサC1に記憶される。なお、これらのスイッチSWS1及びSWD1のオンオフ制御は、図4に示したスイッチSWS1及びSWD1のオンオフ制御とスイッチSWS2及びSWD2のオンオフ制御とスイッチSWS3及びSWD3のオンオフ制御と同様に行われる。
【0043】
全ての電流源回路50a-50jにおいて、基準電流i1に基づく電圧の記憶が終了すると、全ての電流源回路50a-50jのスイッチSWO1が、図4に示したスイッチSWO1-SWO3と同様に、同時にオンされる。このスイッチSWO1によって、全ての電流源回路50a-50jの供給部130は、基準電流i1に基づく電流を画素回路150a-150jに供給可能状態になる。供給部130は、第1記憶部32に記憶された電圧により生成された電流を供給する。この電流源回路50からの電流は、基準電流源I1からの基準電流i1と同一の電流、又は略同一の電流である。このようにして、各電流源回路50a-50jは、基準電流源I1の基準電流i1に基づく電流を生成して、画素回路150a-150jに供給することができる。
【0044】
次いで、最下行の複数の画素回路150a1-150j1の全てのスイッチSWS2、SWD2が、同時にオンされる。このオンにより、最下行の複数の画素回路150a1-150j1において、第2記憶部132のコンデンサC1が各電流源回路50a-50jの供給部130からの電流によって第2記憶部132に電圧が記憶される。このようにして、最下行の複数の画素回路150a1-150j1の第2記憶部132は、それぞれ複数の電流源回路50a-50jからの電流に基づく電圧が同時に記憶される。
【0045】
その後に、下から2行目の複数の画素回路150a2-150j2の全ては、スイッチSWS2、SWD2が同時にオンされて、各電流源回路50a-50jの電流によって、第2記憶部132の電圧が同時に記憶される。以下同様にして、最上行の複数の画素回路150a8-150j8の第2記憶部132に、それぞれ電流源回路50a-50jからの電流に基づく電圧が同時に記憶される。第2記憶部132に電圧が記憶された後に、スイッチSWO2がオンされることによって、電流源30は、第2記憶部132に記憶された電圧に基づく電流を信号線17に供給する。
【0046】
なお、記憶回路110は、読出回路100により信号を信号線17に読み出しているときに、基準電流源I1からの基準電流i1に基づく電圧を第1記憶部32に記憶させてもよい。記憶回路110は、例えば、スイッチSWS2及びSWD2をオフすると共にスイッチSWO2をオンさせて、読出回路100により信号を信号線17に読み出しているときに、スイッチSWS1及びSWD1をオンさせて基準電流源I1から基準電流i1を第1記憶部32に供給させる。第1記憶部32は、基準電流i1が供給されることで、基準電流i1に基づく電圧を記憶する。
【0047】
上記の実施の形態では、撮像素子3に含まれる画素信号の読出回路100の電流源として示したが、これに限られない。電流源30は、画素信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路のコンパレータ回路21の電流源や、撮像素子3に含まれる電子回路以外にも他のソースフォロワ回路の電流源としても適用可能である。さらに、電流源30は、ソースフォロワ回路以外の電子回路にも適用可能である。
【0048】
上述した実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(8)記憶回路110は、基準電流源I1からの電流i1に基づく電圧を記憶する第1記憶部32と、第1記憶部32に記憶された電圧により生成された電流を供給する供給部130と、供給部130から供給された電流に基づく電圧を記憶する第2記憶部132と、を有し、電流源30は、第2記憶部132に記憶された電圧により生成される電流を信号線17に供給する。このようにしたので、基準電流源I1の基準電流i1に基づいて供給部130に電流を生成させて、供給部130からの電流に基づいて電流源30に電流を生成させることができる。
(9)記憶回路110は、供給部130及び第2記憶部132の間に設けられ、読出回路100により信号を信号線17に読み出しているときに、基準電流源I1から第1記憶部32に流れる電流を、読出回路100により信号を信号線17に読み出していないときより小さくなるように制御する制御部33を有する。このようにしたので、読出回路100は、記憶回路110に記憶された電圧により生成される電流に基づいて、画素信号を信号線17に読み出すことができる。また、基準電流源I1からの電流i1を小さくなるように調整することで、消費電力を低減することができる。
【0049】
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態に係る電流源30と記憶回路110の構成を示す回路図である。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には、同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。図3に示した第1の実施の形態では、基準電流源回路31の基準電流源I1は、記憶回路110A-110Cに順次基準電流i1を供給して、電流源30A-30Cの閾値電圧と基準電流i1とに基づく電圧を記憶させる例について説明した。これに対して、第3の実施の形態では、基準電流源回路31の基準電流源I1は、基準電圧生成部60に基準電流i1を供給して基準電圧Vbを生成し、基準電圧Vbを各記憶回路110A-110Cに共通に記憶させる。
【0050】
第3の実施の形態では、基準電流源回路31は、基準電流源I1に加えて基準電圧生成部60を更に備える。基準電圧生成部60は、例えばトランジスタM70を含んで構成され、基準電流源I1により供給される基準電流i1と基準電圧生成部60の閾値電圧とに基づいて、基準電圧Vbを生成する。第3の実施の形態に係る制御部33A-33Cは、それぞれスイッチSWS1-SWS3、スイッチSWO1-SWO3を含んで構成される。
【0051】
記憶部32A及びスイッチSWS1と、記憶部32B及びスイッチSWS2と、記憶部32C及びスイッチSWS3とは、それぞれ基準電圧生成部60に並列に接続されている。スイッチSWS1-SWS3が同時にオンされると、記憶部32A-32Cに基準電圧Vbが記憶される。
【0052】
このように、第3の実施の形態では、基準電圧生成部60により生成された基準電圧Vbを各記憶部32A-32Cに共通に記憶させるため、スイッチSWS1-SWS3は同時にオンさせて基準電圧Vbを記憶させることができる。
【0053】
スイッチSWS1-SWS3がオフされると、記憶部32A-32Cをそれぞれ構成するコンデンサC1-C3は、基準電圧Vbを保持する。スイッチSWO1-SWO3がオンされると、電流源30A-30Cは、それぞれ記憶部32A-32Cに記憶された基準電圧Vbに基づいて電流を生成して、供給先となる読出回路100に電流を供給する。
【0054】
上記の実施の形態では、撮像素子3に含まれる画素信号の読出回路100の電流源として示したが、これに限られない。電流源30は、画素信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路のコンパレータ回路21の電流源や、撮像素子3に含まれる電子回路以外にも他のソースフォロワ回路の電流源としても適用可能である。さらに、電流源30は、ソースフォロワ回路以外の電子回路にも適用可能である。
【0055】
上述した実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(10)第3の実施の形態では、撮像素子3は、基準電流i1に基づき基準電圧Vbを生成する基準電圧生成部60を更に備える。このようにしたので、複数の記憶回路110A-110Cに、基準電流i1に基づく基準電圧Vbを同時に記憶させることができる。
【0056】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0057】
(変形例1)
図9(a)は、変形例1に係る電流源回路50とその周辺回路の構成を示す図である。変形例1に係る撮像素子3は、プリチャージ部70とスイッチSWSrとを更に備える。変形例1に係る電流源回路50(50A-50C)は、それぞれ図3に示した電流源30A-30Cおよび記憶部32A-32Cと同一の電流源および記憶部から構成される。
【0058】
プリチャージ部70は、ダイオード接続されたトランジスタM80を含んで構成される。電流源回路50Aと、電流源回路50Bと、電流源回路50Cとは、プリチャージ部70及びスイッチSWSrに並列接続されている。プリチャージ部70は、各電流源回路50A-50Cに基準電流i1が供給される前に、スイッチSWSrを介してプリチャージ電圧を図9(a)に示すノード80に与える。
【0059】
図9(b)は、変形例1に係る電流源回路50とその周辺回路の動作例を示すタイミングチャートである。なお、図示を省略するが、スイッチSWD1-スイッチSWD3は、それぞれスイッチSWS1-スイッチSWS3と同時にオンされて、スイッチSWS1-スイッチSWS3よりも先にオフされるものとする。
【0060】
時刻t1において、スイッチSWSrは、その制御信号がハイレベルになることでオンして、プリチャージ部70に基準電流i1が供給される。プリチャージ部70のゲートソース間電圧Vgsは、基準電流i1とプリチャージ部70の閾値電圧とに基づく所定の値となる。ノード80には、プリチャージ部70のゲートソース間電圧Vgsがプリチャージ電圧として設定される。
【0061】
時刻t2において、スイッチSWSrの制御信号がローレベルとなり、スイッチSWS1の制御信号がハイレベルとなる。スイッチSWS1がオンすることで、電流源回路50Aにノード80を介して基準電流i1が供給されて、電流源回路50Aの記憶部32Aにより電圧が記憶される。
【0062】
基準電流i1が供給される前にノード80にプリチャージ電圧を設定しておくことで、電流源回路50Aの記憶部32Aは、プリチャージ電圧レベルから電圧が記憶されるため、基準電流i1に基づく電圧に達するまでの時間を短縮することができる。
【0063】
時刻t3から時刻t5までは、電流源回路50B-50Cに順次基準電流i1に基づく電圧を記憶させる。時刻t6において、SWO1-SWO3がオンすることで、各電流源回路50は、基準電流i1に基づく電流を読出回路100に供給する。
【0064】
図9(c)は、変形例1に係る電流源回路50とその周辺回路の動作例を示すタイミングチャートである。上述した図9(b)では、スイッチSWS1-SWS3が順次オフされた後に、スイッチSWO1-SWO3が同時にオンされるものであったが、図9(c)に示す例では、スイッチSWS1のオン終了後に直ちにスイッチSWO1がオンし、同様に、スイッチSWS2、SWS3のオン終了後に直ちにスイッチSWO2,SWO3をそれぞれオンさせる。
【0065】
なお、第1及び第2の実施の形態では、SWO1-SWO3を同時にオンさせる例を説明したが、図9(c)に示す例と同様にして、SWO1-SWO3を順次オンさせるようにしてもよい。
【0066】
(変形例2)
図10(a)は、変形例2に係る電流源回路50とその周辺回路の構成を示す図である。変形例2に係る撮像素子3では、変形例1に対して、スイッチSWXを更に備える。
【0067】
基準電流源I1に入力されるEN信号は、基準電流源I1による基準電流i1の生成を制御する信号である。基準電流源I1は、EN信号がハイレベルの場合に基準電流i1を生成し、EN信号がローレベルの場合は基準電流i1を生成しない。
【0068】
図10(b)は、変形例2に係る電流源回路50とその周辺回路の動作例を示すタイミングチャートである。なお、図示を省略するが、スイッチSWD1-スイッチSWD3は、それぞれスイッチSWS1-スイッチSWS3と同時にオンされて、スイッチSWS1-スイッチSWS3よりも先にオフされるものとする。
【0069】
時刻t1において、EN信号及びスイッチSWXの制御信号がハイレベルとなり、スイッチSWSrの制御信号がハイレベルとなる。EN信号がハイレベルとなることで、基準電流源I1は基準電流i1を出力可能状態となる。スイッチSWX及びスイッチSWSrがオンすることで、プリチャージ部70と基準電流源回路31との間を接続させる。プリチャージ部70は、基準電流i1に基づくプリチャージ電圧を生成し、ノード80にプリチャージ電圧を与える。
【0070】
時刻t2から時刻t5までは、変形例1の場合と同様にして、電流源回路50A-50Cに順次基準電流i1に基づく電圧を記憶させる。時刻t5では、さらにEN信号及びスイッチSWXの制御信号がローレベルとなる。EN信号をローレベルとすることで、基準電流源I1は基準電流i1を生成しない。基準電流i1の生成を停止させることで、消費電力を低減させることができる。スイッチSWXをオフして基準電流源I1とノード80との間の接続を解除することで、基準電流源I1を介してノード80の電圧が降下することを防ぐことができる。時刻t6において、スイッチSWO1-SWO3がオンすることで、電流源回路50A-50Cは、基準電流i1に基づく電流を読出回路100に供給する。
【0071】
図10(c)は、変形例2に係る電流源回路50とその周辺回路の動作例を示すタイミングチャートである。図10(c)に示す例では、スイッチSWS1のオン終了後に直ちにスイッチSWO1がオンし、同様に、スイッチSWS2、SWS3のオン終了後に直ちにスイッチSWO2,SWO3をそれぞれにオンさせる。
【0072】
(変形例3)
図11(a)は、変形例3に係る電流源回路50とその周辺回路の構成を示す図である。変形例3に係る撮像素子3では、基準電流源回路31A-31Cを備える。基準電流源回路31A-31Cは、それぞれ基準電流源I1-I3を含んで構成される。基準電流源I1-I3は、それぞれ異なる電流値となる基準電流i1-i3を生成する。変形例3に係る電流源回路50は、それぞれ図3に示した電流源30および記憶部32と同一の電流源および記憶部から構成される。
【0073】
本変形例では、各電流源回路50に供給する基準電流を切り替えることができる。図11(a)では、電流源回路50は3個(電流源回路50A-50C)のみ図示している。各電流源回路50を構成するスイッチSWDに入力される制御信号の特性などに応じて、予め供給する基準電流を切り替えることで、各電流源回路50により生成される電流のばらつきを抑制することができる。
【0074】
図11(b)は、変形例3に係る電流源回路50とその周辺回路の動作例を示すタイミングチャートである。なお、図示を省略するが、スイッチSWDは、スイッチSWSと同時にオンされて、スイッチSWSよりも先にオフされるものとする。
【0075】
時刻t1において、ENa信号及びSWXaの制御信号がハイレベルとなり、SWSrの制御信号がハイレベルとなる。ENa信号がハイレベルとなることで、基準電流源I1は基準電流i1を出力可能状態となる。スイッチSWXa及びスイッチSWSrがオンすることで、プリチャージ部70と基準電流源I1との間を接続させる。プリチャージ部70は、基準電流i1に基づくプリチャージ電圧を生成し、ノード80にプリチャージ電圧を与える。
【0076】
時刻t2において、SWSrの制御信号がローレベルとなり、SWS1の制御信号がハイレベルとなる。スイッチSWS1がオンすることで、電流源回路50Aには、ノード80を介して基準電流i1が供給されて、基準電流i1に基づく電圧が記憶される。同様に、時刻t3から時刻t5において、電流源回路50B-50Cに順次基準電流i1に基づく電圧が記憶される。
【0077】
時刻t5において、ENa信号及びSWXaの制御信号がローレベル、ENb信号及びSWXbの制御信号がハイレベル、SWSrの制御信号がハイレベルとなる。ENb信号がハイレベルとなることで、基準電流源I2は基準電流i2を出力可能状態となる。SWXb及びSWSrがオンすることで、プリチャージ部70と基準電流源I2との間を接続させる。プリチャージ部70は、基準電流i2に基づくプリチャージ電圧を生成し、ノード80にプリチャージ電圧を与える。
【0078】
時刻t6から時刻t9において、時刻t2からt5までと同様にして、SWS4-SWS6にそれぞれ接続される電流源回路50D-50F(不図示)に、基準電流i2に基づく電圧が順次記憶される。
【0079】
時刻t9では、さらに、ENb信号及びSWXbの制御信号がローレベル、ENc信号及びSWXcの制御信号がハイレベル、SWSrの制御信号がハイレベルとなる。ENcの制御信号がハイレベルとなることで、基準電流源I3は基準電流i3を出力可能状態となる。SWXc及びSWSrがオンすることで、プリチャージ部70と基準電流源I3との間を接続させる。プリチャージ部70は、基準電流i3に基づくプリチャージ電圧を生成し、ノード80にプリチャージ電圧を与える。
【0080】
時刻t10から時刻t13において、時刻t2からt5までと同様にして、SWS7-SWS9にそれぞれ接続される電流源回路50G-50I(不図示)に、基準電流i3に基づく電圧が順次記憶される。
【0081】
時刻t13において、SWO1-SWO9の制御信号が同時にハイレベルになる。スイッチSWO1-SWO9がオンすることで、電流源回路50A-50Iは、それぞれに記憶された電圧に基づく電流を接続先に供給する。
【0082】
(変形例4)
図12(a)は、変形例4に係る電流源回路50とその周辺回路の構成を示す図である。変形例4に係る撮像素子3では、スイッチSWSbを更に備える。スイッチSWSbはその制御信号がハイレベルとなりオンすることで、グランドレベルを各電流源回路50A-50Cに与える。変形例4に係る電流源回路50は、それぞれ図3に示した電流源および記憶部と同一の電流源および記憶部から構成される。
【0083】
撮像素子3の全ての画素10のうちの一部の画素10のみから画素信号を読み出す場合は、一部の画素10以外の画素10を不活性、即ち電流源30に電流を生成させないようにすることで、消費電力を低減することができる。電流源30がPMOSトランジスタから構成される場合は電源VDDレベルの電圧を与え、電流源30がNMOSトランジスタから構成される場合はグランドレベルの電圧を与えて、電流源30に電流を生成させないようにする。ここで、電流源30に電流を生成させる画素10を活性画素、電流源30に電流を生成させない画素10を不活性画素とする。
【0084】
図12(b)は、変形例4に係る画素10の一部の構成例を示す図である。図12(b)において、ハッチングが施された画素10は不活性画素を示し、白抜きの画素10は活性画素を示している。
【0085】
例えば、1フレーム目の画像から注目領域となる活性画素を決定し、2フレーム目で不活性画素の記憶部32に不活性となるような電圧を記憶させると共に、活性画素の記憶部32の電圧は再設定、即ち電圧のリフレッシュを行う。不活性画素の記憶部32の電圧はリフレッシュをする必要はないため、電圧のリフレッシュに必要な時間を短縮することができる。例えば、図12(b)に示すB-B’行では、3フレーム目以降は記憶部32の電圧のリフレッシュを行わないようにすることができる。
【0086】
図12(c)は、変形例4に係る電流源回路50とその周辺回路の動作例を示すタイミングチャートである。なお、図示を省略するが、スイッチSWDは、スイッチSWSと同時にオンされて、スイッチSWSよりも先にオフされるものとする。
【0087】
図12(c)に示す例では、図12(b)に示すA-A’行の左端の画素10に接続される電流源回路(50A)から右端の画素10に接続される電流源回路(50J)に向かって、順次基準電流i1に基づく電圧を記憶させる。時刻t1において、SWSbの制御信号がハイレベルとなり、SWS1の制御信号がハイレベルとなる。スイッチSWSb及びスイッチSWS1がオンすることで、電流源回路50Aの記憶部32Aには、グランドレベル(0V)が記憶される。
【0088】
時刻t2において、EN信号及びSWXの制御信号がハイレベル、SWSbの制御信号がローレベル、SWS2の制御信号がハイレベルとなる。EN信号がハイレベルとなることで、基準電流源I1は基準電流i1を出力可能状態となる。SWX及びSWS2がオンすることで、電流源回路50Bには、基準電流i1が供給されて基準電流i1に基づく電圧が記憶される。同様に、時刻t3から時刻t5において、電流源回路50C-50D(不図示)に、基準電流i1が供給されて基準電流i1に基づく電圧が記憶される。
【0089】
時刻t5では、さらに、EN信号及びSWXの制御信号がローレベル、SWSbの制御信号がハイレベル、SWS5の制御信号がハイレベルとなる。EN信号がローレベルとなることで、基準電流源I1は基準電流i1の生成を停止する。SWSb及びSWS5がオンすることで、電流源回路50E(不図示)には、グランドレベルが記憶される。同様に、時刻t6から時刻t7において、電流源回路50F(不図示)に、グランドレベルが記憶される。
【0090】
時刻t7において、EN信号及びSWXの制御信号がハイレベル、SWSbの制御信号がローレベル、SWS7の制御信号がハイレベルとなる。SWX及びSWS7がオンすることで、電流源回路50G(不図示)には、基準電流i1が供給されて基準電流i1に基づく電圧が記憶される。同様に、時刻t8から時刻t10において、電流源回路50H-50I(不図示)に、基準電流i1が供給されて基準電流i1に基づく電圧が設定される。
【0091】
時刻t10では、さらに、EN信号及びSWXの制御信号がローレベル、SWSbの制御信号がハイレベル、SWS10の制御信号がハイレベルとなる。SWSb及びSWS10がオンすることで、電流源回路50J(不図示)には、グランドレベルが記憶される。
【0092】
時刻t12において、スイッチSWO1-SWO10がオンすることで、電流源回路50A-50Jは、それぞれの記憶部32に記憶された電圧に基づく電流を生成して接続先に供給する。
【0093】
(変形例5)
上述した実施の形態では、各電流源30は、1つのトランジスタにより構成される例を説明した。しかし、図13(a)-(d)に示す例のように、複数のトランジスタM10及びM20のカスコード接続によって構成してもよい。電流源30をトランジスタのカスコード構成とすることで、電流源30の出力インピーダンスを高めることができ、電流源30が供給する電流の変動を抑制することができる。
【0094】
図13(a)-(d)は、変形例5に係る電流源30とその周辺回路の構成を示す図である。図14(a)-(c)は、変形例5に係る電流源30とその周辺回路の動作例を示すタイミングチャートである。図13(a)に示す例では、電流源30及びその周辺回路は、基準電流源I1及びI2と、トランジスタM10、M20、M70と、スイッチSWS、SWD、SWO、SWCと、コンデンサC1及びC2により構成される。トランジスタM70は、基準電流源I2による基準電流i2が供給されて、基準電流i2とトランジスタM70の閾値電圧とに基づく電圧V2を生成する。
【0095】
図14(a)に示すように、時刻t1において、SWCがオンすることで、コンデンサC2とトランジスタM20のゲート端子には電圧V2が供給される。さらに、SWS及びSWDがオンすることで、コンデンサC1には、基準電流源I1による基準電流i1とトランジスタM10の閾値電圧とに基づく電圧V1が記憶される。時刻t2において、スイッチSWDがオフすることで、コンデンサC1に電圧V1が保持される。時刻t3において、スイッチSWC及びSWSがオフして、コンデンサC2に電圧V2が保持される。時刻t4において、スイッチSWOがオンして、電流源30は電流を接続先に供給する。
【0096】
図13(b)に示す例では、図13(a)に対して、コンデンサC2の接続先が異なる。図14(b)に示すように、時刻t1において、図13(a)と同様に、コンデンサC2とトランジスタM20のゲート端子に電圧V2が設定される。コンデンサC2には、コンデンサC1の電位とトランジスタM10のゲート端子の電位とを基準として電圧V2が記憶される。さらに、コンデンサC1には、図13(a)と同様にして、電圧V1が記憶される。
【0097】
時刻t2において、スイッチSWDがオフすることで、コンデンサC1に電圧V1が保持される。時刻t3においてスイッチSWSがオフして、時刻t4においてスイッチSWCがオフすることで、コンデンサC2に電圧V2が保持される。時刻t5において、電流源30は電流を接続先に供給する。
【0098】
図13(c)-(d)に示す例では、電流源30及びその周辺回路は、基準電流源I1と、トランジスタM10、M20と、スイッチSWS、SWD、SWO、SWCと、コンデンサC1及びC2により構成される。コンデンサC1には基準電流i1とトランジスタM10の閾値電圧とに基づく電圧V1が記憶され、コンデンサC2には基準電流i1とトランジスタM20の閾値電圧とに基づく電圧V2が記憶される。図13(c)に示す例では、コンデンサC2には、グランドの電位を基準として電圧V2が記憶される。図13(d)に示す例では、コンデンサC2には、コンデンサC1の電位とトランジスタM10のゲート端子の電位とを基準として電圧V2が記憶される。図13(c)(d)に示す各スイッチのオンオフ制御は同一であり、図14(c)に示す制御信号が入力される。
【0099】
図14(c)に示すように、時刻t1において、コンデンサC2に電圧V2が記憶され、コンデンサC1に電圧V1が記憶される。時刻t2において、スイッチSWDがオフすることで、コンデンサC1に電圧V1が保持される。時刻t3においてスイッチSWCがオフして、コンデンサC2に電圧V2が保持される。時刻t4においてスイッチSWSがオフし、時刻t5においてスイッチSWOがオンすることで、電流源30は電流を接続先に供給する。
【0100】
(変形例6)
撮像素子3は、1つの半導体基板により構成してもよいし、複数の半導体基板を積層した構成としてもよい。撮像素子3は、たとえば、読出回路100が設けられた第1半導体基板と、第1記憶部32及び供給部130が設けられた第2半導体基板とを備えるようにする。
【0101】
上記の実施の形態および変形例では、撮像素子3に含まれる画素信号の読出回路100や画素信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路のコンパレータ回路21の電流源として示したが、これに限られない。電流源30は、撮像素子3に含まれる電子回路以外にも他のソースフォロワ回路の電流源としても適用可能である。さらに、電流源30は、ソースフォロワ回路以外の電子回路にも適用可能である。
【0102】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0103】
上述した実施の形態および変形例は、以下のような撮像素子および電流源回路も含む。(1)光電変換された電荷により生成された信号を信号線に読み出す読出回路と、電源回路からの電流に基づく電圧を保持する保持回路と、上記信号線に接続されるドレイン部と、上記保持回路及び上記ドレイン部に接続されるゲート部と、を有するトランジスタを含む電流源であって、上記保持回路に保持された電圧により生成される電流を上記信号線に供給する電流源と、を備える撮像素子。
(2)(1)のような撮像素子において、上記保持回路は、上記電源回路からの電流に基づく電圧を保持する第1保持部と、上記第1保持部に保持された電圧により生成された電流を供給する供給部と、上記供給部から供給された電流に基づく電圧を保持する第2保持部と、を有し、上記電流源は、上記第2保持部に保持された電圧により生成される電流を上記信号線に供給する。
(3)(2)のような撮像素子において、上記保持回路は、上記供給部及び上記第2保持部の間に設けられ、上記読出回路により上記信号を上記信号線に読み出しているときに、上記電源回路から上記第1保持部に流れる電流を、上記読出回路により上記信号を上記信号線に読み出していないときより小さくなるように制御する制御部を有する。
(4)(2)又は(3)のような撮像素子において、上記保持回路は、上記読出回路により上記信号を上記信号線に読み出しているときに、上記電源回路からの電流に基づく電圧を上記第1保持部に保持する。
(5)(2)又は(3)のような撮像素子において、上記第1保持部及び上記供給部は、上記読出回路が設けられた第1半導体基板とは異なる第2半導体基板に設けられている。(6)(5)のような撮像素子において、上記第1半導体基板は、上記第2半導体基板により積層されている。
(7)(1)から(6)のような撮像素子を備えた撮像装置。
(8)光電変換された電荷により生成された第1信号を第1信号線に読み出す第1読出回路と、光電変換された電荷により生成された第2信号を第2信号線に読み出す第2読出回路と、電源回路からの電流に基づく電圧を保持する第1保持回路と、上記電源回路からの電流に基づく電圧を保持する第2保持回路と、上記第1信号線に接続される第1ドレイン部と、上記第1保持回路及び上記第1ドレイン部に接続される第1ゲート部と、を有する第1トランジスタを含む電流源であって、上記第1保持回路に保持された電圧により生成される電流を上記第1信号線に供給する第1電流源と、上記第2信号線に接続される第2ドレイン部と、上記第2保持回路及び上記第2ドレイン部に接続される第2ゲート部と、を有する第2トランジスタを含む電流源であって、上記第2保持回路に保持された電圧により生成される電流を上記第2信号線に供給する第2電流源と、を備える撮像素子。
(9)(8)のような撮像素子において、上記第2保持回路は、上記第1保持回路に上記電源回路からの電流に基づく電圧が保持された後に、上記電源回路からの電流に基づく電圧を保持する。
(10)(8)又は(9)のような撮像素子において、上記第1保持回路は、上記第1読出回路により上記第1信号を上記第1信号線に読み出しているときに、上記電源回路からの電流を、上記第1読出回路により上記第1信号を上記第1信号線に読み出していないときより小さくなるように制御する第1制御部を有し、上記第2保持回路は、上記第2読出回路により上記第2信号を上記第2信号線に読み出しているときに、上記電源回路からの電流を、上記第2読出回路により上記第2信号を上記第2信号線に読み出していないときより小さくなるように制御する第2制御部を有する。
(11)(8)のような撮像素子において、上記第1保持回路は、上記電源回路からの電流に基づく電圧を保持する第1保持部と、上記第1保持部に記憶された電圧により生成された電流を出力する第1供給部と、上記第1供給部から供給された電流に基づく電圧を保持する第2保持部と、を有し、上記第2保持回路は、上記電源回路からの電流に基づく電圧を保持する第3保持部と、上記第3保持部に記憶された電圧により生成された電流を出力する第2供給部と、上記第2供給部から供給された電流に基づく電圧を保持する第4保持部と、を有し、上記第1電流源は、上記第2保持部に保持された電圧により生成される電流を上記第1信号線に供給し、上記第2電流源は、上記第4保持部に保持された電圧により生成される電流を上記第2信号線に供給する。
(12)(11)のような撮像素子において、上記第1保持回路は、上記第1供給部及び上記第2保持部の間に設けられ、上記第1読出回路により上記第1信号を上記第1信号線に読み出しているときに、上記電源回路から上記第2保持部に流れる電流を、上記第1読出回路により上記第1信号を上記第1信号線に読み出していないときより小さくなるように制御する第1制御部を有し、上記第2保持回路は、上記第2供給部及び上記第4保持部の間に設けられ、上記第2読出回路により上記第2信号を上記第2信号線に読み出しているときに、上記電源回路から上記第4保持部に流れる電流を、上記第2読出回路により上記第2信号を上記第2信号線に読み出していないときより小さくなるように制御する第2制御部を有する。
(13)(11)又は(12)のような撮像素子において、上記第1保持回路は、上記第1読出回路により上記第1信号を上記第1信号線に読み出しているときに、上記電源回路からの電流に基づく電圧を上記第1保持部に保持し、上記第2保持回路は、上記第2読出回路により上記第2信号を上記第2信号線に読み出しているときに、上記電源回路からの電流に基づく電圧を上記第4保持部に保持する。
(14)(11)から(13)のような撮像素子において、上記第3保持部は、上記第1保持部に上記電源回路からの電流に基づく電圧が保持された後に、上記電源回路からの電流に基づく電圧を保持する。
(15)(11)から(14)のような撮像素子において、上記第1保持部、上記第2保持部、上記第1供給部及び上記第2供給部は、上記第1読出回路及び上記第2読出回路が設けられた第1半導体基板とは異なる第2半導体基板に設けられている。
(16)(15)のような撮像素子において、上記第1半導体基板は、上記第2半導体基板により積層されている。
(17)(8)から(16)のような撮像素子を備えた撮像装置。
(18)複数の電子部品を有する電子回路と、電源回路からの電流に基づく電圧を保持する保持回路と、前記電子回路に接続されるドレイン部と、前記保持回路及び前記ドレイン部に接続されるゲート部と、を有するトランジスタを含む電流源であって、前記保持回路に保持された電圧により生成される電流を前記電子回路に供給する電流源と、を備える電子機器。
(19)(18)のような電子機器において、前記電源回路及び前記保持回路の間に設けられ、前記電源回路から前記保持回路の間の電気的な接続を制御する第1制御部と第2制御部とを備え、前記保持回路および前記ドレイン部は、前記第1制御部を介して接続され、前記電源回路および前記第1制御部は、前記第2制御部を介して接続される。
(20)(18)又は(19)のような電子機器において、前記保持回路は、前記電源回路からの電流に基づく電圧を保持する第1保持部と、前記第1保持部に保持された電圧により生成された電流を供給する供給部と、前記供給部から供給された電流に基づく電圧を保持する第2保持部と、を有し、前記電流源は、前記第2保持部に保持された電圧により生成される電流を前記電子回路に供給する。
(21)(20)のような電子機器において、前記保持回路は、前記電子回路が動作を行っているときに、前記電源回路からの電流に基づく電圧を前記第1保持部に保持する。(22)(18)から(21)のような電子機器において、前記電源回路は、電流値の異なる電流を供給する複数の電流源回路を含み、前記保持回路は、前記複数の電流源回路のうち、選択された電流源回路からの電流に基づく電圧を保持する。
(23)(18)から(22)のような電子機器において、前記電流源による前記電子回路への電流供給動作を禁止する第3制御部を備える。
(24)(23)のような電子機器において、前記第3制御部は、グランドに接続される。
(25)(18)から(24)のような電子機器において、前記電流源は、前記トランジスタを含む複数のトランジスタによりカスコード接続で構成されている。
(26)(20)から(21)のような電子機器において、前記第1保持部及び前記供給部は、前記電子回路が設けられた第1半導体基板とは異なる第2半導体基板に設けられている。
(27)(26)のような電子機器において、前記第1半導体基板は、前記第2半導体基板により積層されている。
(28)(18)から(27)のような電子機器において、前記電子回路は、光電変換された電荷により生成される信号を読み出す読出回路である。
(29)(18)から(27)のような電子機器において、前記電子回路は、アナログ信号をデジタル信号に変換する変換部を構成する比較器である。
【0104】
また、上述した実施の形態および変形例は、以下のような撮像素子および撮像装置も含む。
(1)光電変換された電荷により生成された信号を信号線に読み出す読出回路と、基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する記憶回路と、上記読出回路により上記信号を読み出すための電流を上記信号線に供給する電流源であって、上記記憶回路に記憶された電圧により生成される電流を上記信号線に供給する電流源と、を備える撮像素子。
(2)(1)のような撮像素子において、上記記憶回路は、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する第1記憶部と、上記第1記憶部に記憶された電圧により生成された電流を供給する供給部と、上記供給部から供給された電流に基づく電圧を記憶する第2記憶部と、を有し、上記電流源は、上記第2記憶部に記憶された電圧により生成される電流を上記信号線に供給する。
(3)(2)のような撮像素子において、上記記憶回路は、上記供給部及び上記第2記憶部の間に設けられ、上記読出回路により上記信号を上記信号線に読み出しているときに、上記基準電流源から上記第1記憶部に流れる電流を、上記読出回路により上記信号を上記信号線に読み出していないときより小さくなるように調節する調節部を有する。
(4)(3)のような撮像素子において、上記記憶回路は、上記読出回路により上記信号を上記信号線に読み出しているときに、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を上記第1記憶部に記憶する。
(5)(1)から(4)のような撮像素子において、上記電流源は、上記信号線に接続されるドレイン部と、上記記憶回路及び上記ドレイン部に接続されるゲート部と、を含むトランジスタを有する。
(6)(2)から(4)のような撮像素子において、上記第1記憶部及び上記供給部は、上記読出回路が設けられた第1半導体基板とは異なる第2半導体基板に設けられている。(7)(6)のような撮像素子において、上記第1半導体基板は、上記第2半導体基板により積層されている。
(8)(1)から(7)のような撮像素子を備えた撮像装置。
(9)光電変換された電荷により生成された第1信号を第1信号線に読み出す第1読出回路と、光電変換された電荷により生成された第2信号を第2信号線に読み出す第2読出回路と、基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する第1記憶回路と、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する第2記憶回路と、上記第1読出回路により上記第1信号を読み出すための電流を上記第1信号線に供給する電流源であって、上記第1記憶回路に記憶された電圧により生成される電流を上記第1信号線に供給する第1電流源と、上記第2読出回路により上記第2信号を読み出すための電流を上記第2信号線に供給する電流源であって、上記第2記憶回路に記憶された電圧により生成される電流を上記第2信号線に供給する第2電流源と、を備える撮像素子。
(10)(9)のような撮像素子において、上記第2記憶回路は、上記第1記憶回路に上記基準電流源からの電流に基づく電圧が記憶された後に、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する。
(11)(9)又は(10)のような撮像素子において、上記第1記憶回路は、上記第1読出回路により上記第1信号を上記第1信号線に読み出しているときに、上記基準電流源からの電流を、上記第1読出回路により上記第1信号を上記第1信号線に読み出していないときより小さくなるように調節する第1調節部を有し、上記第2記憶回路は、上記第2読出回路により上記第2信号を上記第2信号線に読み出しているときに、上記基準電流源からの電流を、上記第2読出回路により上記第2信号を上記第2信号線に読み出していないときより小さくなるように調節する第2調節部を有する。
(12)(9)のような撮像素子において、上記第1記憶回路は、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する第1記憶部と、上記第1記憶部に記憶された電圧により生成された電流を出力する第1供給部と、上記第1供給部から供給された電流に基づく電圧を記憶する第2記憶部と、を有し、上記第2記憶回路は、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する第3記憶部と、上記第3記憶部に記憶された電圧により生成された電流を出力する第2供給部と、上記第2供給部から供給された電流に基づく電圧を記憶する第4記憶部と、を有し、上記第1電流源は、上記第2記憶部に記憶された電圧により生成される電流を上記第1信号線に供給し、上記第2電流源は、上記第4記憶部に記憶された電圧により生成される電流を上記第2信号線に供給する。
(13)(12)のような撮像素子において、上記第1記憶回路は、上記第1供給部及び上記第2記憶部の間に設けられ、上記第1読出回路により上記第1信号を上記第1信号線に読み出しているときに、上記基準電流源から上記第2記憶部に流れる電流を、上記第1読出回路により上記第1信号を上記第1信号線に読み出していないときより小さくなるように調節する第1調節部を有し、上記第2記憶回路は、上記第2供給部及び上記第4記憶部の間に設けられ、上記第2読出回路により上記第2信号を上記第2信号線に読み出しているときに、上記基準電流源から上記第4記憶部に流れる電流を、上記第2読出回路により上記第2信号を上記第2信号線に読み出していないときより小さくなるように調節する第2調節部を有する。
(14)(12)又は(13)のような撮像素子において、上記第1記憶回路は、第1読出回路により上記第1信号を上記第1信号線に読み出しているときに、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を上記第1記憶部に記憶し、上記第2記憶回路は、上記第2読出回路により上記第2信号を上記第2信号線に読み出しているときに、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を上記第4記憶部に記憶する。
(15)(12)から(14)のような撮像素子において、上記第3記憶部は、上記第1記憶部に上記基準電流源からの電流に基づく電圧が記憶された後に、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する。
(16)(9)から(15)のような撮像素子において、上記第1電流源は、上記第1信号線に接続される第1ドレイン部と、上記第1記憶回路及び上記第1ドレイン部に接続される第1ゲート部と、を含む第1トランジスタを有し、上記第2電流源は、上記第2信号線に接続される第2ドレイン部と、上記第2記憶回路及び上記第2ドレイン部に接続される第2ゲート部と、を含む第2トランジスタを有する。
(17)(12)から(15)のような撮像素子において、上記第1記憶部、上記第2記憶部、上記第1供給部及び上記第2供給部は、上記第1読出回路及び上記第2読出回路が設けられた第1半導体基板とは異なる第2半導体基板に設けられている。
(18)(17)のような撮像素子において、上記第1半導体基板は、上記第2半導体基板により積層されている。
(19)(9)から(18)のような撮像素子を備えた撮像装置。
【0105】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2015年第195279号(2015年9月30日出願)
【符号の説明】
【0106】
3 撮像素子、17 信号線、30 電流源、100 読出回路、110 記憶回路
図1
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