(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】濃度分布測定装置
(51)【国際特許分類】
B01D 21/30 20060101AFI20221012BHJP
B01D 21/06 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B01D21/30 K
B01D21/06 A
(21)【出願番号】P 2021042458
(22)【出願日】2021-03-16
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】菅野 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健司
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2008-0085549(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1024363(KR,B1)
【文献】特開2007-326084(JP,A)
【文献】特開2016-215170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D21/01、21/06、21/30
C02F1/52-1/56、3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーキが設けられた槽内に収容され液体中に固形分が分散した混合物中の、深さ方向に関する前記固形分の濃度分布を測定する濃度分布測定装置であって、
下端が前記混合物中の相異なる測定深さに配置された複数の抜き取り管、を有し、
複数の前記抜き取り管を用いて、相異なる測定深さにおける前記混合物の抜き取りを同時に行うことで、前記濃度分布を測定
し、
複数の前記抜き取り管は、下端が前記レーキと干渉するように配置された抜き取り管を有する、濃度分布測定装置。
【請求項2】
複数の前記抜き取り管は、前記槽内の平面視上の第1の位置において、下端が前記混合物中の相異なる測定深さに配置されており、第1の抜き取り管の組を構成し、
前記濃度分布測定装置は、さらに、前記槽内の前記第1の位置と径方向に異なる第2の位置において、下端が前記混合物中の相異なる測定深さに配置されており、第2の抜き取り管の組を構成する、複数の抜き取り管、を有し、
前記第1の抜き取り管の組を用いて前記第1の位置における前記濃度分布を測定し、前記第2の抜き取り管の組を用いて前記第2の位置における前記濃度分布を測定する、請求項1に記載の濃度分布測定装置。
【請求項3】
前記抜き取り管は、下端が一定の測定深さに配置されている、請求項1または2に記載の濃度分布測定装置。
【請求項4】
前記レーキと干渉するように配置された前記抜き取り管は、前記混合物中に浸漬された下部管と、前記下部管が接続された上部管と、を有し、前記レーキとの干渉に起因して前記下部管が所定以上の力で引っ張られた場合に、前記下部管が前記上部管から外れるように構成されている、請求項
1~3のいずれか1項に記載の濃度分布測定装置。
【請求項5】
前記下部管は、前記混合物の液面よりも上方で前記上部管と接続されており、前記液面よりも上方に配置された浮きを有する、請求項
4に記載の濃度分布測定装置。
【請求項6】
前記浮きは、前記下部管が前記上部管から外れた際に、前記下部管の全体が液中に沈まないような浮力を生じさせる、請求項
5に記載の濃度分布測定装置。
【請求項7】
前記レーキと干渉するように配置された前記抜き取り管は、少なくとも前記レーキと干渉する部分が可撓性を有する、請求項
1~6のいずれか1項に記載の濃度分布測定装置。
【請求項8】
前記レーキと干渉するように配置された前記抜き取り管は、下端部に設けられた錘を有する、請求項
7に記載の濃度分布測定装置。
【請求項9】
抜き取られた前記混合物が収容される容器と、
前記容器から前記混合物を排出させる排出機構と、
前記混合物の上澄み液を採取し、前記容器に洗浄液として供給することで、前記容器を洗浄する洗浄機構と、
を有する、請求項1~
8のいずれか1項に記載の濃度分布測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃度分布測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばニッケル粉の製造に、シックナー(沈降濃縮装置)が用いられている(例えば特許文献1参照)。シックナーは、液体中に分散混合している少量の固体粒子を重力の作用で沈降させ高濃度のスラッジ(泥漿)として液体から連続的に分離する工業的装置である。シックナーによる分離の制御性を高めるために、シックナーの槽内の深さ方向おけるスラリーの濃度分布を測定できることが望ましい。
【0003】
特許文献2に、巻き取り装置によりサンプリングチューブの先端を沈殿槽内で上下させることで、汚泥濃度分布を測定する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-12184号公報
【文献】特開2009-22865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に提案された技術では、異なる時刻において複数回の濃度測定を行うこととなるため、濃度分布の時間変動の影響に起因して、濃度分布測定の精度を高めることが難しい。
【0006】
本発明の一目的は、シックナーの槽内の深さ方向おけるスラリー濃度分布の測定に適用でき、濃度分布の測定精度を高めることができる濃度分布測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
レーキが設けられた槽内に収容され液体中に固形分が分散した混合物中の、深さ方向に関する前記固形分の濃度分布を測定する濃度分布測定装置であって、
下端が前記混合物中の相異なる測定深さに配置された複数の抜き取り管、を有し、
複数の前記抜き取り管を用いて、相異なる測定深さにおける前記混合物の抜き取りを同時に行うことで、前記濃度分布を測定する濃度分布測定装置
が提供される。
【発明の効果】
【0008】
シックナーの槽内の深さ方向おけるスラリー濃度分布の測定に適用でき、濃度分布の測定精度を高めることができる濃度分布測定装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による濃度分布測定装置の全体的な構成を例示する概略的な断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態による濃度分布測定装置が有する複数の抜き取り管の平面的な配置を例示する概略的な平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態による濃度分布測定装置が有する抜き取り管の下部管の近傍を例示する概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態による濃度分布測定装置について説明する。
図1は、本実施形態による濃度分布測定装置100(以下、装置100ともいう)の全体的な構成を例示する概略的な断面図である。
図2は、装置100が有する複数の抜き取り管130の平面的な配置を例示する概略的な平面図である。
図3は、装置100が有する抜き取り管130の下部管110の近傍を例示する概略的な斜視図である。
【0011】
装置100は、液体中に固形分が分散した混合物10(以下、スラリー10ともいう)中の、深さ方向に関する固形分の濃度分布を測定する濃度分布測定装置であり、より具体的には、シックナー200が有する、レーキ220が設けられた槽210内における当該濃度分布を測定する濃度分布測定装置である。
【0012】
スラリー10は、例えば、ニッケル粉の製造に用いられるシックナー200の槽210内に収容されたスラリーである。スラリー10の単位体積当たりの重量に対する、スラリー10の単位体積に含まれる固形分の重量の比率が、スラリー10中における固形分の濃度(Solid%)である。本明細書において、濃度とは、スラリー10中における固形分の濃度を意味する。
【0013】
槽210内において、深さ方向に、深い側ほど概ね高濃度となるような、スラリー10の濃度分布が生じている。本明細書において、濃度分布とは、槽210内の深さ方向に関するスラリー10の濃度分布のことをいう。
【0014】
槽210は、平面視で円形を有する。以下、径方向、周方向とは、槽210の中心に対する径方向、周方向のことをいう。槽210は、例えば、直径40m程度の円形を有し、中心部で相対的に深く6m程度の深さを有し、外周部で相対的に浅く4m程度の深さを有する。
【0015】
槽210内に、レーキ220が設けられている。レーキ220は、槽210の中心から外周に延びた掻き取り部221と、掻き取り部221を支えるアーム222と、を有する。レーキ220は、槽210の中心の周りに掻き取り部221が回転する動作により、槽210の底部におけるスラッジ(泥漿)の掻き取りを行う。
【0016】
レーキ220による掻き取りに起因して、周方向のある位置における濃度分布は、時間的に変動する。また、濃度分布は、径方向の位置によっても変動する。このため、周方向および径方向の同じ位置、つまり、平面視上の同じ位置において同時に、複数の測定深さでの濃度を測定することが、濃度分布を精度良く測定する観点から好ましい。
【0017】
装置100は、下端がスラリー10中の相異なる測定深さに配置された複数の抜き取り管130を有する。抜き取り管130のそれぞれは、下端が配置された各測定深さにおけるスラリー10を、槽210から抜き取って濃度測定装置150に供給する。
【0018】
より詳細には、平面視上の(周方向および径方向の)同等な位置において下端がスラリー10中の相異なる測定深さに配置された複数の抜き取り管130が、抜き取り管130の組(束)140を構成するように、複数の抜き取り管130が設けられている。
図1および
図2には、径方向の相異なる位置に配置された2つの組140、具体的には、中心近傍に配置された組141と、外周近傍に配置された組142と、を例示している。
【0019】
なお、装置100が有する抜き取り管130の組140の個数は、例示の2つに限らず、必要に応じて適宜変更されてよい。また、本例では、組141、142において、構成する抜き取り管130の本数をそれぞれ3本とし、測定深さを揃えているが、各々の組140を構成する抜き取り管130の本数、測定深さは、必要に応じて適宜変更されてよい。
【0020】
図2において、破線で示した円240は、1つの組140を構成する(つまり、同じ組140に含まれる)複数の抜き取り管130が配置された位置を、平面視において内包する領域を示す。各々の抜き取り管130が配置された位置とは、各々の抜き取り管130の下端の開口の中心の位置である。組140を構成する複数の抜き取り管130が、平面視上の同等な位置に配置されているとは、当該複数の抜き取り管130の配置された位置が、所定の直径の円240に内包されていることをいう。円240の所定の直径は、円240内の領域において水平方向の濃度分布が実用上同一と考えられる程度に、適度に小さく選択される。
【0021】
例えば1つの目安として、円240の面積は、槽210の面積に対し、1/1000以下であることが好ましく、1/10000以下であることがより好ましく、1/100000以下であることがさらに好ましい。つまり、円240の直径は、槽210の直径に対し、1/32以下であることが好ましく、1/100以下であることがより好ましく、1/320以下であることがさらに好ましい。例えば、槽210の直径が40mであるとき、円240の直径は、1.3m以下であることが好ましく、40cm以下であることがより好ましく、13cm以下であることがより好ましい。実際の装置100において、円240の直径は、より小さい値、例えば5cm程度とすることもできる。
【0022】
組140が配置されている平面視上の位置(以下、組140の位置ともいう)は、例えば、組140に対応する円240の中心の位置で規定されてよい。なお、代表的に、組140の位置を、当該組140を構成する複数の抜き取り管130が配置されている平面視上の位置と捉えてもよい。
【0023】
本実施形態による濃度分布測定装置100では、組140を構成する複数の抜き取り管130を用いて、相異なる測定深さにおけるスラリー10の抜き取りを同時に行うことで、当該組140の位置における濃度分布を、精度良く測定することができる。
【0024】
また、本実施形態による濃度分布測定装置100では、径方向の相異なる複数の位置に組140を配置し、それぞれの組140の位置における濃度分布を測定することで、径方向に関する変動まで反映された濃度分布を、精度良く測定することができる。つまり、深さ方向および面内方向における、立体的な濃度分布を、精度良く測定することができる。
【0025】
測定された濃度分布は、例えば、シックナー200の槽210に供給する水量をできるだけ増やしつつ、一方で、槽210の底部におけるスラッジの濃度をできるだけ高めるような、濃度分布の制御を行う際の、指標として活用される。また例えば、立体的な濃度分布の時間変化を追うことで、シックナー200の性能を評価することもできる。
【0026】
以下、装置100についてより詳しく説明する。装置100は、複数の抜き取り管130(少なくとも1つの、抜き取り管130の組140)と、濃度測定装置150と、制御装置180と、を有する。制御装置180は、例えばパーソナルコンピュータを用いて構成される。
【0027】
各々の抜き取り管130は、スラリー10に浸漬された下部管110と、下部管110が接続された上部管120と、を有する。下部管110は、錘111と、管112と、浮き113と、を有し、接続部114で上部管120に接続されている。上部管120は、管121と、ポンプ122と、を有する。下部管110の下端から吸引されたスラリー10は、上部管120を介して、濃度測定装置150に供給される。なお、槽210の上部は解放されており、橋げたが設けられている。抜き取り管130の束を、橋げたに固定することで、槽210に抜き取り管130を配設することができる。
【0028】
濃度測定装置150は、組140を構成する複数の抜き取り管130のそれぞれに対応するように、複数設けられている。各々の濃度測定装置150は、これに対応する抜き取り管130により抜き取られたスラリー10が収容される容器151と、容器151に収容されたスラリー10の濃度を測定する濃度計152と、を有する。濃度計152としては、特に限定されずどのような濃度計が用いられてもよく、例えば、超音波濃度計、レオメータ等が用いられる。
【0029】
組140を構成する複数の抜き取り管130による抜き取り(吸引)動作が、同時に行われるように、制御装置180が、各々の抜き取り管130のポンプ122を制御する。これにより、複数の測定深さにおける同時刻の濃度状態を反映するように、スラリー10の抜き取りを行うことができる。また、好ましくは、各々の抜き取り管130に対応して設けられた複数の濃度測定装置150により、並行して(同時に)濃度測定を行うことで、効率的に濃度分布を測定することができる。濃度測定装置150で測定された、各測定深さにおける濃度が、制御装置180に入力され、制御装置180が、濃度分布を算出する。
【0030】
濃度分布を精度良く測定するためには、槽210の底部に近い深さの濃度を測定できることが好ましい。このため、複数の抜き取り管130のうち、下端が最も深く配置されたものは、レーキ220と(より具体的には、レーキ220の掻き取り部221あるいはアーム222と)干渉する程度に深く、下端が配置されている。装置100は、抜き取り管130がレーキ220と干渉することに起因する不具合が抑制されるよう、以下のように構成されている。
【0031】
複数の抜き取り管130のうち、少なくとも、レーキ220と干渉する抜き取り管130の、スラリー10に浸漬された部分は、上部管120に接続された下部管110として構成され、下部管110の管112としては、少なくともレーキ220と干渉する部分が可撓性を有するもの(ホース)が用いられる。管112の下端の開口の直径(1本分のホースの内径)は、例えば0.8cm程度である(なお、当該ホースの外径は、例えば1.2cm程度である)。
【0032】
測定深さは、下部管110がスラリー10中で懸垂した下端の深さに設定される。つまり、抜き取り管130のスラリー10中に懸垂した部分の長さにより、測定深さが設定される。抜き取り管130をスラリー10中に懸垂させる簡便な構造で、測定深さを設定することができる。このようにして、抜き取り管130の下端が、一定の測定深さに配置される。
【0033】
下部管110がレーキ220と干渉する期間において、下部管110の下端近傍は、レーキ220により持ち上げられることで変形し、下部管110の下方をレーキ220がくぐる。下部管110によるスラリー10の抜き取り動作は、下部管110がレーキ220と干渉しない期間に行われる。抜き取り動作の際、下部管110の下端が、適正に測定深さに配置されるように(鉛直下方に懸垂するように)、下部管110の下端部には、錘111が設けられている。
【0034】
図3に示すように、錘111は、下部管110の下端の先端に設けられていなくてもよく、下部管110の下端を測定深さまで懸垂させられるような、下端の先端近傍の位置(このような位置を、下端部と呼ぶ)に、設けられていればよい。下端部は、例えば、下部管110の下端の先端から50cm程度までの位置であり、錘111は、例えば、下部管110の下端の先端から30cm程度の位置に設けられる。
【0035】
このように、装置100の通常の動作において、レーキ220と干渉する深さまで配置された下部管110は、レーキ220と干渉する期間に、レーキ220を下方にくぐらせる。しかしながら、何らかの要因により、下部管110がレーキ220に巻き込まれる可能性はある。抜き取り管130は、レーキ220との干渉に起因して下部管110が所定以上の(通常の動作時には生じない異常な)力で引っ張られた場合に、下部管110が上部管120から外れるように構成されている。これにより、レーキ220による抜き取り管130の巻き込みに起因した事故が起こることを、防ぐことができる。
【0036】
図3に示すように、下部管110は、スラリー10の液面11よりも上方に配置された接続部114で上部管120と接続されており、液面11よりも上方に配置された浮き113を有する。接続部114は、上述のように、下部管110が所定以上の力で引っ張られた場合に、下部管110が上部管120から外れる(抜ける)ように構成されている。また、浮き113により、外れた下部管110を、液面11上に浮かせることができるため、容易に回収することができる。外れた下部管110の全体が液中に沈んでしまうと、外れた下部管110の回収が困難となる。このため、浮き113としては、下部管110が上部管120から外れた際に下部管110の全体が液中に沈まないような、充分な浮力を生じさせるものが用いられる。
【0037】
浮き113は、下部管110が上部管120と接続された状態では、液面11よりも上方に配置されている(スラリー10に浸漬されていない)。これにより、下部管110の懸垂が浮き113の浮力に起因して阻害されること、が抑制される。
【0038】
装置100は、好ましくはさらに、排出機構160と、洗浄機構170と、を有する。排出機構160は、容器151に収容されたスラリー10を、濃度測定後に容器151から排出させる。洗浄機構170は、スラリー10の排出後に容器151を洗浄する。容器151の洗浄により、当該容器151を用いた次回の濃度測定を適正に行うことができる。
【0039】
洗浄機構170は、管171と、ポンプ172と、を有する。管171は、下端がスラリー10の液面11の近傍に浸漬されている。ポンプ172としては、好ましくは高圧ポンプが用いられる。洗浄機構170は、スラリー10の上澄み液(具体的には、固形分をほとんど含まない水)を採取し、当該上澄み液を好ましくは加圧して各々の容器151に洗浄液として供給することで、容器151を洗浄する。このように、シックナー200の槽210に収容されたスラリー10の上澄み液を、洗浄液として有効に利用することで、容器151の洗浄液を別途用意する必要がなくなる。これにより、濃度分布測定作業を、より簡便に行うことができる。
【0040】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更、改良、組み合わせ等が可能である。
【0041】
例えば、
図1に示す実施形態では、組141を構成する抜き取り管130と、組142を構成する抜き取り管130とで、濃度測定装置150を共用させることにより、濃度測定装置150を効率的に利用する態様を例示した。このため、組141の位置における濃度分布測定と、組142の位置における濃度分布測定とは、非同時に行われる。このような態様に限らず、組141を構成する抜き取り管130と、組142を構成する抜き取り管130とで、濃度測定装置150を個別に用意することにより、組141における濃度分布測定と、組142の位置における濃度分布測定とを、同時に行うようにしてもよい。なお、組141の位置における濃度分布測定と、組142の位置における濃度分布測定とを、非同時に行う場合、周方向に関する測定条件を揃える観点から、組141に対する掻き取り部221の方位の位置関係(位相)と、組142に対する掻き取り部221の方位の位置関係(位相)と、が同様となるタイミングで、測定を行うことが好ましい。
【0042】
また例えば、
図1に示す実施形態では、洗浄機構170においてスラリー10の上澄み液(洗浄液)を採取する管171を、抜き取り管130とは別の管として設ける態様を例示した。このような態様に限らず、必要に応じ、抜き取り管130を、洗浄液を採取する管として共用してもよい。具体的には、複数の抜き取り管130のうち、下端が浅く配置された抜き取り管130により、洗浄液として利用できる程度に固形分の少ないスラリー10を抜き取り可能な場合、このように抜き取られたスラリー10を、洗浄液として用いてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…スラリー、11…液面、100…濃度分布測定装置、110…下部管、111…錘、112…管、113…浮き、114…接続部、120…上部管、121…管、122…ポンプ、130…抜き取り管、140…(抜き取り管の)組、150…濃度測定装置、151…容器、152…濃度計、160…排出機構、170…洗浄機構、171…管、172…ポンプ、180…制御装置、200…シックナー、210…槽、220…レーキ、221…掻き取り部、222…アーム