IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボンドテック株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】接合装置、接合システムおよび接合方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20221012BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20221012BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 A
H01L21/68 R
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022542711
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2022015898
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2021060026
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】304019355
【氏名又は名称】ボンドテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】山内 朗
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-013813(JP,A)
【文献】特開2016-191883(JP,A)
【文献】特開2004-198668(JP,A)
【文献】国際公開第2009/060890(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/063906(WO,A1)
【文献】特開2014-209571(JP,A)
【文献】国際公開第2018/062467(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/017314(WO,A1)
【文献】特開2017-162919(JP,A)
【文献】特開2001-085500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/677
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板とを接合する接合装置であって、
前記第1基板を支持するステージと、
前記ステージに対向して配置され、前記ステージに対向する側で前記第2基板を保持するヘッドと、
前記ヘッドにおける前記ステージ側とは反対側において前記ヘッドを保持し、前記ヘッドと前記ステージとの並び方向に直交する方向における前記ヘッドおよび前記ステージの外側に延在するヘッドホルダと、
前記ステージの外周部における複数箇所それぞれから前記ヘッドホルダを支持する複数のホルダ支持部と、
前記複数のホルダ支持部を、前記ヘッドホルダと前記ステージとが互いに近づく第1方向または前記ヘッドホルダと前記ステージとが互いに離れる第2方向へ各別に移動させる複数の支持部駆動部と、を備える、
接合装置。
【請求項2】
前記複数の支持部駆動部は、それぞれ、前記複数のホルダ支持部を前記第1方向または前記第2方向へ各別に移動させることにより、前記ステージの周部における複数箇所と、前記ヘッドにおける前記ステージの周部の複数箇所それぞれに対向する複数箇所と、の間の距離を調整することにより、前記ステージに対する前記ヘッドの平行度の調整を行う、
請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
前記複数のホルダ支持部および前記複数の支持部駆動部は、それぞれ、3つずつ存在する、
請求項1または2に記載の接合装置。
【請求項4】
前記複数のホルダ支持部それぞれの前記ヘッドホルダ側の端部に配設され、前記複数のホルダ支持部に対して前記ヘッドホルダが揺動自在な状態で前記複数のホルダ支持部を前記ヘッドホルダに連結する連結部と、
前記ヘッドホルダを前記複数のホルダ支持部に固定するロック状態と、前記ヘッドホルダを前記複数のホルダ支持部に対して揺動自在な状態で維持するアンロック状態と、のいずれかの状態をとりうるロック機構と、を更に備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項5】
前記ヘッドを支持した状態で前記ヘッドホルダに固定され且つ前記ヘッドを支持するヘッド支持部分と前記ヘッドホルダに固定されるホルダ固定部分との間の長さが可変である複数のヘッド支持部材を更に備え、
前記複数のホルダ支持部それぞれの前記ヘッドホルダ側の端部は、前記ヘッドホルダに固定され、
前記複数のヘッド支持部材は、前記複数のヘッド支持部材それぞれの前記ヘッド支持部分と前記ホルダ固定部分との間の長さが調整されることにより、前記ステージに対する前記ヘッドの平行度の調整が可能であり、
前記複数の支持部駆動部は、それぞれ、前記複数のホルダ支持部を前記第1方向または前記第2方向へ各別に移動させることにより、前記ステージの周部における複数箇所と、前記ヘッドにおける前記ステージの周部の複数箇所それぞれに対向する複数箇所と、の間の距離を調整して、前記ヘッドホルダを撓ませることにより、前記ステージに対する前記ヘッドの平行度の調整を行う、
請求項1から3のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項6】
前記ヘッドにおける少なくとも3箇所において、前記ヘッドと前記ステージとの並び方向における前記ヘッドまたは前記第2基板と前記ステージまたは前記第1基板との間の距離を測定する距離測定部を更に備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項7】
前記ステージと前記ヘッドとの少なくとも一方は、
前記第1基板と前記第2基板との少なくとも一方の周部が保持された状態で、前記第1基板と前記第2基板との少なくとも一方の中央部を押圧することにより、前記第1基板と前記第2基板との少なくとも一方の接合面の中央部が周部よりも突出するように前記第1基板と前記第2基板との少なくとも一方を撓ませる押圧機構を有する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項8】
減圧状態で維持され、前記ヘッドおよび前記ステージが内側に配置されるとともに、前記ヘッドと前記ステージとの並び方向から見て、前記複数の支持部駆動部の内側の領域に配置されるチャンバを更に備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項9】
前記ステージ、前記ヘッドおよび前記複数の支持部駆動部を支持するトッププレートと、
防振機構を有し、鉛直上方において前記トッププレートを移動自在に支持するプレート支持部と、を有する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項10】
前記トッププレートに伝達する振動を検出する振動検出部と、
前記トッププレートを前記プレート支持部に対して相対的に移動させるプレート駆動部と、
前記振動検出部により検出される前記振動に基づいて、前記振動を相殺するように前記トッププレートを移動させるよう前記プレート駆動部を制御する除振制御部と、を有する、
請求項9に記載の接合装置。
【請求項11】
第1基板と第2基板とを接合する接合装置と、
前記接合装置が載置される第1架台と、
前記第1基板と前記第2基板とを前記接合装置へ搬送する搬送装置と、
前記第1架台とは異なり、前記搬送装置が載置される第2架台と、を備え、
前記接合装置は、
前記第1基板を支持するステージと、
前記ステージに対向して配置され、前記ステージに対向する側で前記第2基板を保持するヘッドと、
前記ヘッドにおける前記ステージ側とは反対側において前記ヘッドを保持し、前記ヘッドと前記ステージとの並び方向に直交する方向における前記ヘッドおよび前記ステージの外側に延在するヘッドホルダと、
前記ステージの外周部における複数箇所それぞれから前記ヘッドホルダを支持する複数のホルダ支持部と、
前記複数のホルダ支持部を、前記ヘッドホルダと前記ステージとが互いに近づく第1方向または前記ヘッドホルダと前記ステージとが互いに離れる第2方向へ各別に移動させる複数の支持部駆動部と、を有し、
前記第1架台と前記第2架台とは、互いに離間して配置されている、
接合システム。
【請求項12】
第1基板と第2基板とを接合する接合方法であって、
前記第2基板を保持するためのヘッドにおける前記第1基板を保持するためのステージに対向して配置され且つ前記ステージ側とは反対側において前記ヘッドを保持し、前記ヘッドと前記ステージとの並び方向に直交する方向における前記ヘッドおよび前記ステージの外側に延在するヘッドホルダを前記ステージの外周部における複数箇所それぞれから支持する複数のホルダ支持部を、前記ヘッドホルダと前記ステージとが互いに近づく第1方向または前記ヘッドホルダと前記ステージとが互いに離れる第2方向へ各別に移動させることにより、前記ステージの周部における複数箇所と、前記ヘッドにおける前記ステージの周部の複数箇所それぞれに対向する複数箇所と、の間の距離を調整する工程を含む、
接合方法。
【請求項13】
前記ステージに前記第1基板を保持させるとともに、前記ヘッドにおける前記ステージに対向する側に前記第2基板を保持させる基板保持工程と、
前記ホルダ支持部を前記第1方向へ各別に移動させて前記ヘッドを前記ステージに対して相対的に近づけることにより、前記第1基板を前記第2基板に接触させる接触工程と、を更に含む、
請求項12に記載の接合方法。
【請求項14】
前記複数のホルダ支持部を前記第1方向または前記第2方向へ各別に移動させることにより、前記ステージの周部における複数箇所と、前記ヘッドにおける前記ステージの周部の複数箇所それぞれに対向する複数箇所と、の間の距離を調整することにより、前記ステージに対する前記ヘッドの傾きを調整する傾き調整工程を更に含む、
請求項12または13に記載の接合方法。
【請求項15】
前記ヘッドを支持した状態で前記ヘッドホルダに固定され且つ前記ヘッドを支持するヘッド支持部分と前記ヘッドホルダに固定されるホルダ固定部分との間の長さが可変である複数のヘッド支持部材それぞれの前記ヘッド支持部分と前記ホルダ固定部分との間の長さを調整することにより、前記ステージに対する前記ヘッドの傾きを調整する第1傾き調整工程と、
前記複数のホルダ支持部それぞれの前記ヘッドホルダ側の端部は、前記ヘッドホルダに固定され、前記複数のホルダ支持部を前記第1方向または前記第2方向へ各別に移動させることにより、前記ステージの周部における複数箇所と、前記ヘッドにおける前記ステージの周部の複数箇所それぞれに対向する複数箇所と、の間の距離を調整して、前記ヘッドホルダを撓ませることにより、前記ステージに対する前記ヘッドの傾きを調整する第2傾き調整工程と、を更に含む、
請求項12または13に記載の接合方法。
【請求項16】
前記複数のホルダ支持部は、3つ存在する、
請求項12から15のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項17】
前記傾き調整工程の前または前記傾き調整工程中に、前記ヘッドにおける少なくとも3箇所において、前記ヘッドと前記ステージとの並び方向における前記ヘッドまたは前記第2基板と前記ステージまたは前記第1基板との間の距離を測定する距離測定工程を更に含む、
請求項14または15に記載の接合方法。
【請求項18】
前記第1基板と前記第2基板との少なくとも一方の周部が保持された状態で、前記第1基板と前記第2基板との少なくとも一方の中央部を押圧することにより、前記第1基板と前記第2基板との少なくとも一方の接合面の中央部が周部よりも突出するように前記第1基板と前記第2基板との少なくとも一方を撓ませる押圧工程を更に含む、
請求項12から17のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項19】
前記複数のホルダ支持部は、減圧状態で維持され、内側に前記ヘッドおよび前記ステージが配置されたチャンバ内において、前記ヘッドと前記ステージとの並び方向から見て、前記ヘッドおよび前記ステージの外側の領域で前記ヘッドホルダを支持する、
請求項12から18のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項20】
前記ステージおよび前記ヘッドは、トッププレートに支持され、
前記トッププレートは、防振機構を有し、鉛直上方において前記トッププレートを移動自在に支持するプレート支持部により支持されている、
請求項12から19のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項21】
前記トッププレートに伝達する振動を検出し、検出される前記振動に基づいて、前記振動を相殺するように前記トッププレートを前記プレート支持部に対して相対的に移動させる、
請求項20に記載の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合装置、接合システムおよび接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの被接合物の一方をステージに保持し他方をヘッドに保持した状態で、両被接合物の位置ずれ量を測定し、その位置ずれ量に基づいて被接合物の位置合わせを行った後、被接合物同士を接合する接合装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-066287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された接合装置は、ヘッドを鉛直方向へ昇降させるZ軸昇降駆動機構が、ヘッドの鉛直上方に配置されており、ステージが設けられたベースプレートから立設する支持フレームにより支持された構造を有する。この場合、接合装置が設置された地面からZ軸昇降駆動機構までの高さが高くなってしまう。このため、Z軸昇降駆動機構およびヘッドの振動振幅が大きくなってしまい、ステージに対するヘッドの相対的な振動振幅が大きくなってしまう。それ故、2つの被接合物同士のアライメント精度および2つの被接合物を接触させるときの接触位置のばらつきが大きくなり、2つの被接合物同士を接合したときの位置精度が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、基板同士を高い位置精度で接合することができる接合装置、接合システムおよび接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る接合装置は、
第1基板と第2基板とを接合する接合装置であって、
前記第1基板を支持するステージと、
前記ステージに対向して配置され、前記ステージに対向する側で前記第2基板を保持するヘッドと、
前記ヘッドにおける前記ステージ側とは反対側において前記ヘッドを保持し、前記ヘッドと前記ステージとの並び方向に直交する方向における前記ヘッドおよび前記ステージの外側に延在するヘッドホルダと、
前記ステージの外周部における複数箇所それぞれから前記ヘッドホルダを支持する複数のホルダ支持部と、
前記複数のホルダ支持部を、前記ヘッドホルダと前記ステージとが互いに近づく第1方向または前記ヘッドホルダと前記ステージとが互いに離れる第2方向へ各別に移動させる複数の支持部駆動部と、を備える。
【0007】
他の観点から見た本発明に係る接合方法は、
第1基板と第2基板とを接合する接合方法であって、
前記第2基板を保持するためのヘッドにおける前記第1基板を保持するためのステージに対向して配置され且つ前記ステージ側とは反対側において前記ヘッドを保持し、前記ヘッドと前記ステージとの並び方向に直交する方向における前記ヘッドおよび前記ステージの外側に延在するヘッドホルダを前記ステージの外周部における複数箇所それぞれから支持する複数のホルダ支持部を、前記ヘッドホルダと前記ステージとが互いに近づく第1方向または前記ヘッドホルダと前記ステージとが互いに離れる第2方向へ各別に移動させることにより、前記ステージの周部における複数箇所と、前記ヘッドにおける前記ステージの周部の複数箇所それぞれに対向する複数箇所と、の間の距離を調整する工程を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のホルダ支持部が、ステージの外周部における複数箇所それぞれからヘッドホルダを支持し、支持部駆動部が、複数のホルダ支持部を前述の第1方向または前述の第2方向へ各別に移動させる。これにより、ステージおよびヘッドの地面からの距離を短くすることができるので、その分、ステージおよびヘッドの振動振幅を低減することができる。従って、振動に起因した位置ずれが低減されるので、その分、第1基板と第2基板とを高い位置精度で接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る基板接合システムの概略構成図である。
図2A】実施の形態に係る接合装置および搬送装置の一部のシール部材が第2状態の場合の概略断面図である。
図2B】実施の形態に係る接合装置および搬送装置の一部のシール部材が第1状態の場合の概略断面である。
図3】実施の形態に係るシール駆動部の概略図である。
図4】実施の形態に係る活性化処理装置の概略正面図である。
図5】実施の形態に係る接合装置の概略正面図である。
図6A】実施の形態に係るステージおよびヘッドの概略平面図である。
図6B】実施の形態に係るステージおよびヘッドの概略断面図である。
図7】実施の形態に係る接合装置の概略平面図である。
図8A】実施の形態に係るステージとヘッドとの間の距離の測定方法を説明するための図である。
図8B】実施の形態に係るヘッドの傾きを調整する方法を説明するための図である。
図9A】ステージおよびステージ基台の平面図である。
図9B】ステージを回転させる動作を説明するための図である。
図10A】接合する2つの基板の一方に設けられた2つのアライメントマークを示す図である。
図10B】接合する2つの基板の他方に設けられた2つのアライメントマークを示す図である。
図11A】アライメントマークの撮影画像を示す概略図である。
図11B】アライメントマークが互いにずれている状態を示す概略図である。
図12】実施の形態に係る接合装置の一部の概略図である。
図13】実施の形態に係る接合システムが実行する接合方法の流れを示すフローチャートである。
図14A】実施の形態に係る接合システムの搬送装置により基板が搬送される様子を示す図である。
図14B】実施の形態に係る接合システムの搬送装置からロードロック部へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図15A】実施の形態に係る接合システムのロードロック部から搬送装置へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図15B】実施の形態に係る接合システムの搬送装置から活性化処理装置へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図16A】実施の形態に係る接合システムの搬送装置からロードロック部へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図16B】実施の形態に係る接合システムのロードロック部から搬送装置へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図17A】実施の形態に係る接合システムの搬送装置から洗浄装置へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図17B】実施の形態に係る接合システムの洗浄装置から搬送装置へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図18A】実施の形態に係る接合システムの搬送装置からロードロック部へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図18B】実施の形態に係る接合システムのロードロック部から搬送装置へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図19A】実施の形態に係る接合システムのシール部材が第1状態になった様子を示す図である。
図19B】実施の形態に係る接合システムの搬送装置により基板が接合装置へ搬送される様子を示す図である。
図20】実施の形態に係る接合装置が実行する接合工程の流れを示すフローチャートである。
図21A】実施の形態に係る接合装置が、ヘッドをステージに近づける様子を示す図である。
図21B】実施の形態に係る接合装置が、基板を撓ませる様子を示す図である。
図22A】実施の形態に係る接合装置が、基板同士を接触させる様子を示す図である。
図22B】実施の形態に係る接合装置が、基板の周部同士を接触させる様子を示す図である。
図23A】ヘッド駆動部がヘッドの鉛直上側に位置する比較例を示す模式図である。
図23B】ヘッド駆動部がステージの鉛直下側に位置する比較例を示す模式図である。
図23C】本実施の形態に係る接合装置の模式図である。
図24】実施の形態に係る除振ユニットのプレート駆動部を動作させた場合と停止させた場合とにおける振動振幅の周波数スペクトルを示す図である。
図25】変形例に係る接合装置の概略正面図である。
図26】変形例に係る接合装置の概略正面図である。
図27】変形例に係る接合システムが実行する接合方法の流れを示すフローチャートである。
図28】変形例に係る接合装置の一部の概略図である。
図29】変形例に係る接合装置の一部および搬送装置の概略正面図である。
図30】変形例に係る接合装置の概略平面図である。
図31】変形例に係る接合装置の概略平面図である。
図32】変形例に係る接合装置の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る接合装置および接合システムについて、図を参照しながら説明する。本実施の形態に係る接合装置は、第1基板を保持するステージと、ステージに対向して配置され、ステージに対向する側で第2基板を保持するヘッドと、ヘッドホルダと、複数のホルダ支持部と、複数の支持部駆動部と、を備える。ヘッドホルダは、ヘッドにおけるステージ側とは反対側においてヘッドを保持し、ヘッドとステージとの並び方向に直交する方向におけるヘッドおよびステージの外側に延在している。また、複数のホルダ支持部は、それぞれ、ステージの外周部における複数箇所それぞれからヘッドホルダを支持する。更に、複数の支持部駆動部は、ステージの外周部に配置され、複数のホルダ支持部を、ヘッドホルダとステージとが互いに近づく第1方向またはヘッドホルダとステージとが互いに離れる第2方向へ各別に移動させる。
【0011】
本実施の形態に係る接合システムは、図1に示すように、導入ポート811、812と、取り出しポート813と、搬送装置82、84、86と、洗浄装置3と、活性化処理装置2と、接合装置1と、ロードロック部83、85と、搬送装置82、84、86、洗浄装置3、活性化処理装置2、接合装置1およびロードロック部83、85の動作を制御する制御部9と、を備える。また、接合システムは、接合装置1を支持する第1架台42と、第1架台42とは異なり且つ第1架台42から離間して配置された第2架台41と、を備える。第2架台41は、導入ポート811、812、取り出しポート813、搬送装置82、84、86、洗浄装置3、活性化処理装置2およびロードロック部83、85を纏めて支持する。第1架台42は、例えば耐震架台であり、第2架台41は、例えば鉛直上側にグレーチングが設けられた架台である。
【0012】
搬送装置82は、先端部に基板を保持する保持部が設けられたアームを有する搬送ロボット821を備える。搬送ロボット821は、導入ポート811、812および取り出しポート813の並び方向に沿って移動可能であるとともに、旋回することによりアームの先端部の向きを変更することができる。搬送装置82には、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ(図示せず)が設けられている。これにより、搬送装置82内はパーティクルが極めて少ない大気圧環境になっている。
【0013】
洗浄装置3は、搬送されてきた基板に向けて水、洗浄液またはNガスを吐出しながら洗浄する。洗浄装置3は、基板を支持するステージ(図示せず)と、ステージを鉛直方向に直交する面内で回転させる回転駆動部(図示せず)と、超音波またはメガソニック振動を与えた水、洗浄液またはNガスを吐出する洗浄ノズル(図示せず)と、を有する。そして、洗浄装置3は、洗浄ノズルを基板W1、W2の径方向へ揺動させながら洗浄ノズルから超音波を印加した水を基板の接合面に吹き付けながら、ステージを回転させることにより基板W1、W2の接合面全面を洗浄する。そして、洗浄装置3は、洗浄ノズルによる水の吐出を停止させた状態でステージを回転させることにより基板W1、W2をスピン乾燥する。洗浄装置3にも、搬送装置82と同様に、HEPAフィルタ(図示せず)が設けられている。
【0014】
ロードロック部83は、チャンバ831と、チャンバ831内に連通する排気管(図示せず)と、排気管を通じてチャンバ831内の気体を排出する真空ポンプ(図示せず)と、排気管に介挿された排気弁(図示せず)と、を備える。ロードロック部83は、排気弁を開状態にして真空ポンプを作動させてチャンバ831内の気体を、排気管を通してチャンバ831外へ排出することにより、チャンバ831内の気圧を低減(減圧)する。また、ロードロック部83は、チャンバ831における搬送装置82側に配設されたゲート8331と、チャンバ831における搬送装置84側に配設されたゲート8321と、ゲート8331、8321それぞれを開閉駆動するゲート駆動部8332、8322と、を備える。また、ロードロック部83は、チャンバ831内において基板W1、W2の姿勢を調整するアライメント機構(図示せず)を備える。ゲート8331、8321は、それぞれ、チャンバ831における搬送装置82側に貫設された開口(図示せず)と搬送装置84側に貫設された開口(図示せず)とを覆うように設けられている。また、ロードロック部83は、チャンバ831と、チャンバ831内に連通する排気管(図示せず)と、排気管を通じてチャンバ831内の気体を排出する真空ポンプ(図示せず)と、排気管に介挿された排気弁(図示せず)と、を備える。ロードロック部83は、排気弁を開状態にして真空ポンプを作動させてチャンバ831内の気体を、排気管を通してチャンバ831外へ排出することにより、チャンバ831内の気圧を低減(減圧)する。また、ロードロック部83は、チャンバ831における搬送装置82側に配設されたゲート8331と、チャンバ831における搬送装置84側に配設されたゲート8321と、ゲート8331、8321それぞれを開閉駆動するゲート駆動部8332、8322と、を備える。ゲート駆動部8332、8322は、制御部9から入力される制御信号に基づいて、ゲート8331、8321を開閉駆動する。また、ロードロック部85も、ロードロック部83と同様に、チャンバ851と排気管(図示せず)と真空ポンプ(図示せず)と排気弁(図示せず)とを備える。また、ロードロック部85は、チャンバ851における搬送装置82側に配設されたゲート8531と、チャンバ851における搬送装置86側に配設されたゲート8521と、ゲート8531、8521それぞれを開閉駆動するゲート駆動部8532、8522と、を備える。ゲート駆動部8532、8522は、制御部9から入力される制御信号に基づいて、ゲート8531、8521を開閉駆動する。
【0015】
搬送装置84は、チャンバ843と、チャンバ843内に連通する排気管(図示せず)と、排気管を通じてチャンバ831内の気体を排出する真空ポンプ(図示せず)と、排気管に介挿された排気弁(図示せず)と、基板W1、W2を搬送する搬送ロボット841と、を備える搬送手段である。また、搬送装置84は、排気弁を開状態にして真空ポンプを作動させてチャンバ831内の気体を、排気管を通してチャンバ831外へ排出することにより、チャンバ831内を減圧状態で維持する。また、搬送装置84は、チャンバ843における接合装置1側に配設されたゲート8421と、ゲート8421を開閉駆動するゲート駆動部8422と、を備える。チャンバ843は、接合装置1側に貫設された開口(図示せず)と、ロードロック部83側に貫設された開口(図示せず)と、を有する。ゲート8421は、チャンバ843における接合装置1側に貫設された開口(図示せず)を覆うようにチャンバ843の一部に設けられた第2ゲートである。ゲート駆動部8421は、搬送ロボット841が基板W1、W2を接合装置1内へ搬送する際、ゲート8421を開状態にする。また、チャンバ843におけるロードロック部83側に貫設された開口は、ロードロック部83のゲート8321により覆われている。搬送ロボット841は、先端部に基板を保持する保持部が設けられたアームを有し、旋回することによりアームの先端部の向きを変更することができる。また、保持部は、例えば静電チャックであり、基板W1、W2における接合面側とは反対側を吸着保持する。
【0016】
また、搬送装置84は、図2Aに示すように、チャンバ843の外側においてゲート8421を囲繞するように設けられた枠体712と、環状であり枠体712における後述する接合装置1の枠体713に対向する側において枠体712の全周に亘って配設されたシール部材711と、を備える。枠体712は、枠体713に対向し、枠体713から離間して配置される第2枠体である。枠体712における枠体713に対向する面側には、シール部材711が嵌入される溝712aが全周に亘って形成されている。シール部材711は、例えば合成ゴムから管状に形成され、内側に空気その他気体等の流体が充填される充填領域S71を有する。シール部材711は、内側の充填領域S71に流体が充填されることにより膨張して、図2Bに示すように、枠体713に密着して枠体713と枠体712との間の領域S72を密封する第1状態をとる。一方、シール部材711は、内側の充填領域S72内の流体が排出されることにより収縮して枠体713から離間した状態となる第2状態をとる。
【0017】
更に、搬送装置84は、シール部材711を前述の第1状態と第2状態とのいずれか一方となるように気体をシール部材711の充填領域S71へ充填したり充填領域S71に充填された気体を排出したりするシール駆動部714を備える。シール駆動部714は、例えば図3に示すように、一端部でシール部材711の内側の充填領域S71に連通する入排出管L70と、入排出管L70の他端部に接続された逆止弁CV7と、一端部が逆止弁CV7に接続され他端部がタンクT7に接続された導入管L71と、を備える。また、シール駆動部714は、タンクT7内に気体を供給する圧縮機CPR7と、導入管L71に介挿された電磁弁V71と、導入管L71内の圧力を計測する圧力計M71と、を備える。更に、シール駆動部714は、入排出管L70に接続された排出管L72と、排出管L72に介挿された電磁弁V72と、入排出管L70の圧力を計測する圧力計M72と、を備える。ここで、圧縮機CPR7は、圧力計M71の圧力が予め設定された圧力で維持されるようにタンクT7へ気体を供給する。また、制御部9は、圧力計M72により計測される圧力に基づいて、電磁弁V71、V72を制御する。具体的には、制御部9は、電磁弁V72を閉状態にするとともに電磁弁V71を開状態にすることにより、気体をシール部材711の充填領域S71へ充填することにより、シール部材711を第2状態から第1状態に変化させる。一方、制御部9は、電磁弁V71を閉状態にするとともに電磁弁V72を開状態にすることにより、シール部材711の充填領域S71に充填された気体をシール部材711外へ排出することにより、シール部材711を第1状態から第2状態に変化させる。
【0018】
図1に戻って、搬送装置86は、搬送装置84と同様に、チャンバ863と排気管(図示せず)と真空ポンプ(図示せず)と排気弁(図示せず)と搬送ロボット861と、を備える。また、搬送装置86は、チャンバ863における活性化処理装置2側に配設されたゲート8621と、ゲート8621を開閉駆動するゲート駆動部8622と、を備える。チャンバ863は、活性化処理装置2側に貫設された開口(図示せず)と、ロードロック部85側に貫設された開口(図示せず)と、を有する。ゲート8621は、チャンバ861における活性化処理装置2側に貫設された開口(図示せず)を覆うように配置されている。また、チャンバ861におけるロードロック部85側に貫設された開口は、ロードロック部85のゲート8521により覆われている。搬送ロボット861は、搬送ロボット841と同様に、先端部に基板を保持する保持部が設けられたアームを有し、旋回することによりアームの先端部の向きを変更することができる。また、保持部は、例えば静電チャックであり、基板W1、W2における接合面側とは反対側を吸着保持する。
【0019】
活性化処理装置2は、基板の接合面に対して、窒素ガスを用いた反応性イオンエッチングと窒素ラジカルの照射との少なくとも一方を行うことにより接合面を活性化する活性化処理を行う。活性化処理装置2は、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を発生させる装置であり、図4に示すように、ステージ210と、処理チャンバ212と、プラズマチャンバ213と、プラズマチャンバ213の外側に巻回された誘導コイル215と、誘導コイル215へ高周波電流を供給する高周波電源216と、を有する。プラズマチャンバ213は、例えば石英ガラスから形成されている。また、活性化処理装置2は、窒素ガス供給部220Aと、酸素ガス供給部220Bと、を有する。窒素ガス供給部220Aは、窒素ガス貯留部221Aと、供給弁222Aと、供給管223Aと、を有する。酸素ガス供給部220Bは、酸素ガス貯留部221Bと、供給弁222Bと、供給管223Bと、を有する。ステージ210には、基板W1、W2が載置される。処理チャンバ212は、プラズマチャンバ213内に連通している。処理チャンバ212は、排気管201bと排気弁201cとを介して真空ポンプ201aに接続されている。活性化処理装置2は、排気弁201cを開状態にして真空ポンプ201aを作動させて処理チャンバ212内の気体を、排気管202bを通して処理チャンバ212外へ排出することにより、処理チャンバ212内の気圧を低減(減圧)する。
【0020】
高周波電源216としては、誘導コイル215へ例えば27MHzの高周波電流を供給するものを採用することができる。そして、プラズマチャンバ213内にNガスが導入された状態で、高周波電流が誘導コイル215へ供給されると、プラズマチャンバ213内にプラズマPLMが形成される。ここで、誘導コイル215によりプラズマチャンバ213内にプラズマ中に含まれるイオンがトラップされるため、プラズマチャンバ213と処理チャンバ212との間の部分にトラップ板が無い構成であってもよい。誘導コイル215と、高周波電源216と、窒素ガス供給部220Aとから、プラズマチャンバ213内にプラズマPLMを発生させステージ210に支持された基板W1、W2の接合面へプラズマ中のNラジカルを供給するプラズマ発生源が構成される。なお、ここでは、活性化処理装置2として、誘導コイル215と、高周波電源216と、を備えるICPを発生させる装置である例について説明したが、これに限定されるものではなく、代わりにプラズマチャンバ213の外側に配置された平板電極と平板電極に電気的に接続された高周波電源と、プラズマチャンバ213と処理チャンバ212との間の部分に配置されプラズマ中のイオンをトラップするトラップ板と、を備える容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)を発生させる装置であってもよい。この場合、高周波電源としては、例えば27MHzの高周波バイアスを印加するものを採用することができる。そして、高周波電源からプラズマチャンバ内へ供給される電力は、例えば250Wに設定される。バイアス印加部217は、ステージ210に支持された基板W1、W2に高周波バイアスを印加する高周波電源である。このバイアス印加部217としては、例えば13.56MHzの高周波バイアスを発生させるものを採用することができる。このように、バイアス印加部217により基板W1、W2に高周波バイアスを印加することにより、基板W1、W2の接合面の近傍に運動エネルギを有するイオンが繰り返し基板W1、W2に衝突するシース領域が発生する。そして、このシース領域に存在する運動エネルギを有するイオンにより基板W1、W2の接合面がエッチングされる。
【0021】
図1に戻って、接合装置1は、活性化処理装置2において活性化処理された後、洗浄装置3により接合面が洗浄された基板W1、W2同士を接合する。接合装置1は、図5に示すように、チャンバ120と、ステージ141と、ヘッド142と、ヘッドホルダ111と、3つのホルダ支持部1471と、連結部145と、ロック機構149と、3つの支持部駆動部146と、ステージ駆動部143と、エアシリンダ186と、距離計測部185と、基板加熱部1911、1912と、位置測定部150と、除振ユニット160と、を備える。なお、以下の説明において、適宜図5の±Z方向を上下方向、XY方向を水平方向として説明する。また、接合装置1は、チャンバ120、ステージ141、ヘッド142、ヘッドホルダ111、ホルダ支持部1471および支持部駆動部146を纏めて支持するトッププレート114と、除振ユニット160と、第1架台42上に載置されたベース116と、を備える。
【0022】
ステージ141とヘッド142とは、チャンバ120内において、鉛直方向で互いに対向し且つステージ141がヘッド142よりも-Z方向側に位置するように配置されている。ステージ141とヘッド142とは、例えば透光性を有するガラスのような透光性材料から形成されている。ステージ141およびヘッド142には、図6Aに示すように、基板W1、W2を保持する静電チャック1411、1412が設けられている。静電チャック1411、1412は、ステージ141、ヘッド142に基板W1、W2が保持された状態で、ステージ141、ヘッド142における基板W1、W2の周部に対向する領域に設けられており、基板W1、W2の周部を保持する。静電チャック1411、1412は、それぞれ、円環状であり、ステージ141、ヘッド142の周方向に沿って配設された端子電極と、直線状であり基端部において端子電極に電気的に接続された複数の電極子と、を有する。端子電極および複数の電極子は、例えばITOのような透明な導電性材料を含む透明導電膜から形成されている。静電チャック1411、1412は、チャック駆動部(図示せず)により電圧が印加された状態で、基板W1、W2を吸着保持する。また、ステージ141、ヘッド142には、それぞれ、静電チャック1411、1412の内側に凹部141c、142cが設けられており、それらの中央部には、平面視円形の貫通孔141b、142bが設けられている。
【0023】
更に、ステージ141およびヘッド142は、それぞれ、図6Bに示すように、基台183、184に固定されている。ステージ141、ヘッド142には、それぞれ、静電チャック1411、1412の内側に凹部141c、142cが設けられており、それらの中央部には、平面視円形の貫通孔141b、142bが設けられている。基台183、184における貫通孔141b、142bに対応する部分には、貫通孔183b、184bが設けられている。基台183は、図5に示すように、トッププレート114にX軸方向およびY軸方向へ摺動自在のスライダ(図示せず)を介して固定されており、X軸方向またはY軸方向へ移動自在な下側基台1832と、下側基台1832によりXY平面内において回転自在に支持された上側基台1831と、を有する。また、基台183には、基台183の-Z方向側に配置された位置測定部150から放射される光をステージ141側へ透過させるための開口部1831aが形成されている。更に、基台183には、基板W1の中央部を押圧する押圧機構181が固定され、基台184には、基板W2の中央部を押圧する押圧機構182が固定されている。
【0024】
押圧機構181は、図6Bに示すように、ステージ141の貫通孔141bおよび基台183の貫通孔183bを通じてヘッド142側へ出没可能な押圧部1811と、押圧部1811を駆動する押圧駆動部1812と、を有する。押圧機構182も、ヘッド142の貫通孔142bおよび基台184の貫通孔184bを通じてステージ141側へ出没可能な押圧部1821と、押圧部1821を駆動する押圧駆動部1822と、を有する。押圧駆動部1812、1822は、例えばボイスコイルモータを有する。
【0025】
図5に戻って、チャンバ120は、基板W1、W2が配置される領域S1を予め設定された基準真空度以上の真空度で維持する。チャンバ120は、排気管(図示せず)と排気弁(図示せず)とを介して真空ポンプ(図示せず)に接続されている。排気弁を開状態にして真空ポンプを作動させると、チャンバ120内の気体が、排気管を通してチャンバ120外へ排出され、チャンバ120内が減圧雰囲気で維持される。また、排気弁の開閉量を変動させて排気量を調節することにより、チャンバ120内の気圧(真空度)を調節することができる。また、チャンバ120の一部には、位置測定部150により基板W1、W2間における相対位置を測定するために使用される2つの窓部121が設けられている。また、チャンバ120の一部には、基板W1、W2を入出させるための開口部(図示せず)が設けられている。そして、図7に示すように、ゲート1211が、チャンバ120の+X方向側に設けられており、チャンバ120の開口部を覆っている。
【0026】
ヘッドホルダ111は、例えば平面視三角形状の板状である。ヘッドホルダ111は、ヘッド142におけるステージ141側とは反対側、即ち、+Z方向側においてヘッド142および基台184を、支持部材112を介して保持している。支持部材112は、チャンバ120の+Z方向側の周壁に設けられた貫通孔120bに挿通されている。そして、チャンバ120の周壁の貫通孔120bの外周部とヘッドホルダ111における支持部材112の固定部分の外周部との間の領域は、ベローズ113により封止されている。ここで、基台184と支持部材112との間には、ヘッド142に対してステージ141に近づく方向へ作用する力を測定するための圧力センサ148が介在している。ヘッドホルダ111は、図5および図7に示すように、ヘッド142とステージ141との並び方向、即ち、Z軸方向に直交する方向におけるヘッド142およびステージ141の外側に延在している。
【0027】
3つのホルダ支持部1471は、それぞれ、図7に示すように、ステージ141の外周部における3箇所それぞれからヘッドホルダ111の3つの角部を支持する。3つのホルダ支持部1471は、それぞれ、図5に示すように、トッププレート114に固定された筒状のガイド部1472に挿通され、-Z方向側の端部において支持部駆動部146により支持されている。
【0028】
連結部145は、3つのホルダ支持部1471それぞれのヘッドホルダ111側の端部、即ち、+Z方向側の端部に配設され、3つのホルダ支持部1471に対してヘッドホルダ111が揺動自在な状態で3つのホルダ支持部1471それぞれをヘッドホルダ11に連結する。具体的には、連結部145は、3つのホルダ支持部1471それぞれの+Z方向側の端部に設けられた半球状の係合部材1451と、ヘッドホルダ111の-Z方向側に設けられた半球状の窪み部を有する被係合部材1452と、を有する。
【0029】
ロック機構149は、ヘッドホルダ111における連結部145に対応する部分に設けられ、ヘッドホルダ111を3つのホルダ支持部1471に固定するロック状態と、ヘッドホルダ111を3つのホルダ支持部1471に対して揺動自在な状態で維持するアンロック状態と、のいずれかの状態をとりうる。ここで、ロック機構149がアンロック状態である場合、ヘッドホルダ111が振動の影響を受けやすくなる。また、ホルダ支持部1471を-Z方向へ移動させることにより基板W2を基板W1に押しつける際、ヘッドホルダ111の自重程度の圧力しか加えることができない。これに対して、ロック機構149をロック状態にすることで、支持部駆動部146によりホルダ支持部1471を-Z方向へ駆動させることで、基板W2を基板W1に押しつけることが可能となる。
【0030】
3つの支持部駆動部146は、ステージ141の外周部におけるチャンバ120の外側に配置されている。各支持部駆動部146は、ボールネジ1461と、ボールネジ1461をZ軸方向へ駆動するアクチュエータ1462と、トッププレート114に固定されアクチュエータ1462を支持する支持部材1463と、を有する。そして、ボールネジ1461は、+Z方向側の端部がホルダ支持部1471の-Z方向側の端部に当接しており、アクチュエータ1462が、ボールネジ1461をZ軸方向へ昇降させると、それに伴い、ホルダ支持部1471がZ軸方向へ移動する。即ち、3つの支持部駆動部146は、3つのホルダ支持部1471を、ヘッドホルダ111とステージ141とが互いに近づく第1方向、即ち、-Z方向、または、ヘッドホルダ111とステージ141とが互いに離れる第2方向、即ち、+Z方向へ各別に移動させる。また。3つの支持部駆動部146は、それぞれ、3つのホルダ支持部1471をZ軸方向へ各別に移動させることにより、ステージ141の周部における3箇所と、ヘッド142におけるステージ141の周部の3箇所それぞれに対向する3箇所と、の間の距離を調整する。支持部駆動部146は、ロック機構149が前述のアンロック状態である場合、例えば図8Aに示すように、1つのホルダ支持部1471を矢印AR31に示すように+Z方向へ移動させるとともに、他の1つのホルダ支持部1471を矢印AR32に示すように-Z方向へ移動させることにより、ヘッドホルダ111の傾きを調整することができる。
【0031】
図5に戻って、距離測定部185は、例えばレーザ距離計であり、ステージ141およびヘッド142に接触せずにステージ141とヘッド142との間の距離と、ステージ141に保持された基板W1とヘッド142に保持された基板W2との間の距離と、を測定する。なお、距離測定部185は、例えばレーザ干渉計を有するものであってもよい。距離測定部185は、基台183の周部における複数箇所に設けられている。距離測定部185は、ステージ141の下側からヘッド142に向かってレーザ光を照射したときのヘッド142の-Z方向側の面での反射光とステージ141の+Z方向側の面での反射光との差分からステージ141とヘッド142との間の距離を測定する。距離測定部185は、図8Bに示すように、ステージ141の上面における3箇所の部位P11、P12、P13と、ヘッド402の下面における、Z方向において部位P11、P12、P13に対向する3箇所の部位P21、P22、P23との間の距離を測定する。また、距離測定部185は、ヘッド142に基板W2を保持した状態またはステージ141に基板W1を保持した状態で、基板W1、W2と基板W1、W2を保持していないステージ141またはヘッド142との間の距離を測定してもよい。このとき、距離測定部185は、基板W1、W2を保持していないステージ141またはヘッド142側からレーザ光を照射する。
【0032】
図5に戻って、ステージ駆動部143は、ステージ141をXY方向へ移動させたり、Z軸周りに回転させたりする。ステージ駆動部143は、チャンバ120の外側からチャンバ120の周壁に設けられた貫通孔120cに挿通され、先端部が基台183の側面に当接し基端部にフランジが設けられた押圧バー1435を有し、押圧バー1435により基台183を押圧することによりステージ141を移動させる。また、ステージ駆動部143は、チャンバ120の外側に配置され、ボールネジ1431と、ボールネジ1431をX軸方向またはY軸方向へ駆動するアクチュエータ1432と、チャンバ120に固定されアクチュエータ1432を支持する支持部材1433と、を有する。ここで、ボールネジ1431は、押圧バー1435のフランジに当接している。更に、ステージ駆動部143は、チャンバ120の周壁の貫通孔120cの外周部と押圧バー1435のフランジの周部との間の領域を封止するためのベローズ1434を有する。エアシリンダ186は、チャンバ120の外側からチャンバ120の周壁に設けられた貫通孔120cに挿通され、先端部が基台183の側面に当接し基端部にフランジが設けられた押圧バー1865を有し、押圧バー1865により基台183をエアシリンダ186から遠ざかる方向へ付勢している。エアシリンダ186は、基端部にピストン(図示せず)が設けられたピストンロッド1861と、ピストンが収納されるシリンダチューブ1862と、チャンバ120に固定されシリンダチューブ1862を支持する支持部材1863と、を有し、ピストンとシリンダチューブ1862内におけるピストンロッド1861側とは反対側の領域に充填される空気の圧力がピストンロッド1861に加わる構造を有する。ここで、ピストンロッド1861の先端部は、押圧バー1865のフランジに当接している。更に、エアシリンダ186は、チャンバ120の周壁の貫通孔120cの外周部と押圧バー1865のフランジの周部との間の領域を封止するためのベローズ1864を有する。
【0033】
ステージ駆動部143は、例えば図9Aに示すように、チャンバ120の外周部の3箇所に設置されており、エアシリンダ1861は、チャンバ120の外周部におけるステージ駆動部143に対向する3箇所に設置されている。そして、図9Bに示すように、基台183の+X方向側且つ+Y方向側に配置されたステージ駆動部143Bが、矢印AR23に示すように押圧バー1435をチャンバ120の内側へ移動させるとともに、基台183の-X方向側且つ+Y方向側に配置されたステージ駆動部143Aが、矢印AR22に示すように押圧バー1435をチャンバ120の外側へ移動させたとする。このとき、基台183の-X方向側且つ-Y方向側に配置されたエアシリンダ186は、矢印AR21に示すように押圧バー1865により上側基台1831を+Y方向側へ付勢する。この場合、エアシリンダ186Aが、矢印AR21に示すように、ステージ141を押圧することで、右回りに回転する。
【0034】
位置測定部150は、鉛直方向に直交する方向(XY方向、Z軸周りの回転方向)における、基板W1と基板W2との位置ずれ量を測定する。位置測定部150は、第1撮像部151と、第2撮像部152と、を有する。第1撮像部151と第2撮像部152とは、ステージ141における基板W1を保持する側とは反対側に配置されている。また、第1撮像部151および第2撮像部152は、それぞれ、撮像部支持部115によりトッププレート114に固定されている。第1撮像部151および第2撮像部152は、それぞれ、撮像素子(図示せず)と同軸照明系(図示せず)とを有している。同軸照明系の光源としては、基板W1、W2およびステージ141、チャンバ120に設けられた窓部121を透過する光(例えば赤外光)を出射する光源が用いられる。
【0035】
例えば図10Aおよび図10Bに示すように、基板W1には、2つのアライメントマークMK1a、MK1bが設けられ、基板W2には、2つのアライメントマークMK2a、MK2bが設けられている。接合装置1は、位置測定部150により両基板W1、W2に設けられた各アライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bの位置を認識しながら、両基板W1、W2の位置合わせ動作(アライメント動作)を実行する。より詳細には、接合装置1は、まず、位置測定部150により基板W1、W2に設けられたアライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bを認識しながら、基板W1、W2の大まかなアライメント動作(ラフアライメント動作)を実行して、2つの基板W1、W2を対向させる。その後、接合装置1は、位置測定部500により2つの基板W1、W2に設けられたアライメントマークMK1a、MK2a、MK1b、MK2bを同時に認識しながら、更に精緻なアライメント動作(ファインアライメント動作)を実行する。
【0036】
図5に戻って、第1撮像部151の同軸照明系の光源から出射された光は、上方に進行し、窓部121、ステージ141および基板W1、W2の一部あるいは全部を透過する。基板W1、W2の一部あるいは全部を透過した光は、基板W1、W2のアライメントマークMK1a,MK2aで反射され、下向きに進行し、ステージ141および窓部121を透過して第1撮像部151の撮像素子に入射する。また、第2撮像部502の同軸照明系の光源から出射された光も、上方に進行し、窓部121、ステージ141および基板W1、W2の一部あるいは全部を透過する。基板W1、W2の一部あるいは全部を透過した光は、基板W1、W2のアライメントマークMK1a,MK2aで反射され、下向きに進行し、ステージ141および窓部121を透過して第2撮像部152の撮像素子に入射する。このようにして、位置測定部150は、図11Aに示すように、2つの基板W1、W2のアライメントマークMK1a,MK2aを含む撮影画像GAaと、2つの基板W1、W2のアライメントマークMK1b,MK2bを含む撮影画像GAbと、を取得する。なお、第1撮像部151による撮影画像GAaの撮影動作と第2撮像部152による撮影画像GAbの撮影動作とは、略同時に実行される。また、光源がヘッド142に設けられており、光源からの光が、ヘッド142側から第1撮像部151および第2撮像部152に導入される構成であってもよい。
【0037】
図5に戻って、基板加熱部1911、19122は、例えば電熱ヒータであり、それぞれステージ141、ヘッド142に設けられている。基板加熱部1911、1912は、ステージ141およびヘッド142に保持されている基板W1,W2に熱を伝達することにより基板W1、W2を加熱する。また、基板加熱部1911、1912の発熱量を調節することにより、基板W1,W2やそれらの接合面の温度を調節できる。また、基板加熱部1911、1912は、加熱部駆動部(図示せず)に接続されており、加熱部駆動部は、図1に示す制御部9から入力される制御信号に基づいて、基板加熱部1911、1912へ電流を供給することにより基板加熱部19111、1912を発熱させる。
【0038】
除振ユニット160は、いわゆるアクティブ除振台であり、トッププレート114とベース116との間に介在する。除振ユニット160は、図12に示すように、防振機構を有しベース116に固定されるとともに、+Z方向側においてトッププレート114を鉛直方向および水平方向へ移動自在に支持するプレート支持部162と、プレート駆動部163と、振動検出部164と、プレート駆動部163を制御する除振制御部169と、を有する。プレート支持部162は、例えば空気バネ、コイルバネ等を用いた防振機構を有し、トッププレート114を鉛直方向および水平方向に沿って移動自在に支持する。振動検出部164は、トッププレート114に伝達する振動を検出する。プレート駆動部163は、プレート駆動部423は、油圧式アクチュエータ、電磁式アクチュエータ、空気圧式アクチュエータ、ピエゾアクチュエータ、リニア式アクチュエータ等からなり、トッププレート114をプレート支持部162に対して相対的に移動させる方向へ作用する力をトッププレート114に印加する。除振制御部169は、トッププレート114に伝達する振動を低減するようにプレート駆動部163を制御する。具体的には、除振制御部169は、振動検出部164により検出される振動に基づいて、トッププレート114がその振動を相殺するように移動するようにプレート駆動部163を制御する。
【0039】
また、接合装置1は、図2Aに示すように、チャンバ120の外側においてゲート1211を囲繞するように設けられた枠体713と、ゲート1211を駆動するゲート駆動部1212と、を備える。枠体713は、枠体712に対向して配置される第1枠体であり、搬送装置84のシール部材711が第1状態になると、シール部材711が枠体713の全周に密着した状態となる。ところで、基板W1、W2を接合装置1のチャンバ120内へ搬送する際、その都度チャンバ120を大気開放してしまうと、基板W1、W2の搬送後に再度チャンバ120内の真空度を高めるまでに時間を要してしまう。このため、本実施の形態に係る接合システムでは、接合装置1のチャンバ120内を高い真空度で維持しつつ、ロードロック部83および搬送装置84のチャンバ843から接合装置1のチャンバ120へ基板W1、W2を搬送することが要請される。一方、接合装置1において基板W1、W2同士を接合する際には、搬送装置84と接合装置1とが切り離された状態にして振動の影響を低減する必要がある。このため、本実施の形態に係る接合システムでは、前述のような枠体712、713とシール部材711とを備える構成となっている。
【0040】
図1に戻って、制御部9は、例えばパーソナルコンピュータを有する制御システムであり、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを有する。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する。制御部9は、圧力センサ148および位置測定部150から入力される計測信号を計測情報に変換して取得する。また、制御部9は、第1撮像部151および第2撮像部152から入力される撮影画像信号を撮影画像情報に変換して取得する。更に、制御部9は、接合装置1の支持部駆動部146、ステージ駆動部143、チャック駆動部、押圧駆動部1812、1822および加熱部駆動部それぞれへ制御信号を出力することによりこれらの動作を制御する。制御部9は、図11Bに示すように、第1撮像部501から取得した撮影画像GAaに基づいて、基板W1、W2に設けられた1組のアライメントマークMK1a,MK2a相互間の位置ずれ量dxa、dyaを算出する。なお、図11Bは、1組のアライメントマークMK1a,MK2aが互いにずれている状態を示している。同様に、制御部9は、第2撮像部502から取得した撮影画像GAbに基づいて、基板W1、W2に設けられた他の1組のアライメントマークMK1b,MK2b相互間の位置ずれ量dxb、dybを算出する。その後、制御部9は、これら2組のアライメントマークの位置ずれ量dxa、dya、dxb、dybと2組のマークの幾何学的関係とに基づいて、X方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向における2つの基板W1、W2の相対的な位置ずれ量dx、dy、dθを算出する。そして、制御部9は、算出した位置ずれ量dx、dy、dθが低減されるように、ヘッド402をX方向およびY方向へ移動させたり、Z軸周りに回転させたりする。このようにして、接合装置1は、2つの基板W1、W2の水平方向における位置ずれ量dx、dy、dθを補正するアライメント動作を実行する。また、制御部9は、活性化処理装置2、搬送装置82、84、86、洗浄装置3、ゲート駆動部8332、8322、8532、8522、8622、8422、1212、シール駆動部714へ制御信号を出力することによりこれらの動作を制御する。
【0041】
次に、本実施の形態に係る接合システムについて、基板W1、W2が接合システムに投入されてから基板W1、W2が接合されて接合システムから取り出されるまでの動作の流れを図13乃至図22を参照しながら説明する。ここで、基板W1、W2は、予め導入ポート811、812に配置されているものとする。基板W1、W2としては、例えば、Si基板、ガラス基板、酸化物基板(例えば、酸化ケイ素(SiO)基板、アルミナ基板(Al)等)、窒化物基板(例えば、窒化ケイ素(SiN)、窒化アルミニウム(AlN))のいずれかからなる。なお、基板W1、W2の少なくとも一方は、その接合面に金属部分と絶縁膜とが露出しているものであってもよい。或いは、基板W1、W2の少なくとも一方は、その接合面に酸化物または窒化物を堆積することにより形成された絶縁膜が露出しているものであってもよい。ここでは、基板W1がガラス基板または酸化物基板であり、基板W2がSi基板または窒化物基板であるとして説明する。また、導入ポート811には、例えば接合装置1においてヘッド142に保持される基板W2が配置され、導入ポート812には、例えば接合装置1においてステージ141に載置される基板W1が配置される。
【0042】
まず、図13に示すように、接合システムは、基板W1、W2を導入ポート811、812からロードロック部85へ搬送する(ステップS1)。ここで、基板W2が導入ポート811に配置されている場合、搬送ロボット821は、図14Aの矢印AR11に示すように、基板W2を導入ポート811から取り出す。そして、搬送ロボット821は、図14Aの矢印AR12に示すように、基板W2を保持した状態で、搬送装置82におけるロードロック部85へ基板W2を搬入する位置まで移動する。なお、基板W1が、導入ポート812に配置されている場合、搬送ロボット821は、基板W1を導入ポート812から取り出した後、基板W1を保持した状態でそのまま待機する。次に、ロードロック部85のゲート8531が開放されるとともに、搬送ロボット821が、図14Aの矢印AR13に示すように、アームの先端部がロードロック部85側を向くように旋回する。続いて、搬送ロボット821は、図14Bの矢印AR14に示すように、アームを伸張させることによりアームの先端部をロードロック部85のチャンバ851内へ挿入する。そして、基板W1、W2が、アームの先端部からロードロック部85のチャンバ851内に設けられたステージへ移載される。その後、搬送ロボット821は、基板W1、W2のチャンバ851内のステージへの移載が完了すると、図15Aの矢印AR15に示すように、アームを収縮させる。そして、ロードロック部85は、ゲート8531を閉じた後、チャンバ851内を減圧する。
【0043】
次に、図13に示すように、接合システムは、基板W1、W2をロードロック部85から活性化処理装置2へ搬送する(ステップS2)。ここで、図15Aに示すように、ロードロック部85がゲート8521を開放した後、搬送ロボット861が、アームの先端部をロードロック部85側に向けた状態でアームを伸張させる。そして、搬送ロボット861は、ロードロック部85のチャンバ851内において、基板W1、W2がステージからアームの先端部へ移載されると、矢印AR16に示すように、アームを収縮させることにより基板W1、W2をチャンバ851から取り出す。その後、ロードロック部85は、ゲート8521を閉じる。次に、搬送ロボット861は、図15Bの矢印AR17に示すように、アームの先端部が活性化処理装置2側を向くように旋回する。そして、搬送装置86は、ゲート8621を開放する。続いて、搬送ロボット861は、アームを伸張させてアームの先端部を活性化処理装置2内へ挿入する。そして、矢印AR18に示すように、基板W1、W2が、搬送ロボット861のアームの先端部から活性化処理装置2のステージ210(図4参照)へ移載される。その後、搬送ロボット861がアームを収縮させた後、搬送装置86は、ゲート8621を閉じる。
【0044】
図13に戻って、続いて、活性化処理装置2は、基板W1、W2それぞれの互いに接合される接合面の少なくとも一方に対して、窒素ガスを用いた反応性イオンエッチングと窒素ラジカルの照射との少なくとも一方を行うことにより接合面を活性化する活性化処理工程を行う(ステップS3)。ここにおいて、活性化処理装置2は、接合面を活性化処理する対象となる基板の種類によって処理シーケンスが異なる。活性化処理装置2は、基板W1、即ち、ガラス基板または酸化物基板の接合面を活性化処理する場合、まず、図2に示す供給弁222Aを開くことにより窒素ガス貯留部221Aから供給管223Aを通じてチャンバ212内にNガスを導入する。次に、活性化処理装置2は、高周波電源216から誘導コイル215への高周波電流の供給を停止させた状態で、バイアス印加部217によりステージ210に載置された基板W1、W2に高周波バイアスを印加する。これにより、基板W1の接合面に対して、Nガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)が行われる。続いて、活性化処理装置2は、高周波電源216から誘導コイル215への高周波電流の供給を開始して、Nガスでプラズマを発生させる。このとき、活性化処理装置2は、バイアス印加部217による基板W1への高周波バイアスの印加を停止する。このようにして、基板W1の接合面にNラジカルが照射される。
【0045】
一方、活性化処理装置2は、基板W2、即ち、Siまたは窒化物基板の接合面を活性化処理する場合、まず、供給弁222Bを開くことにより酸素ガス貯留部221Bから供給管223Bを通じてチャンバ212内にOガスを導入する。次に、活性化処理装置2は、高周波電源216から誘導コイル215への高周波電流の供給を停止させた状態で、バイアス印加部217によりステージ210に載置された基板W2に高周波バイアスを印加する。これにより、基板W2の接合面に対して、Oガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)が行われる。続いて、活性化処理装置2は、供給弁622Bを閉じてOガス貯留部621Bからチャンバ612内へのOガスの供給を停止することにより、チャンバ612内のOガスを排気する。その後、活性化処理装置2は、供給弁222Aを開くことにより窒素ガス貯留部221Aから供給管223Aを通じてチャンバ212内にNガスを導入する。その後、活性化処理装置2は、高周波電源216から誘導コイル215への高周波電流の供給を開始して、Nガスでプラズマを発生させる。このとき、活性化処理装置2は、バイアス印加部217による基板W2への高周波バイアスの印加を停止する。このようにして、基板W2の接合面にNラジカルが照射される。
【0046】
図13に戻って、その後、搬送装置86が、基板W1、W2を活性化処理装置からロードロック部85へ搬送する(ステップS4)。ここでは、搬送装置86がゲート8621を開放すると、搬送ロボット861が、アームを伸張させてアームの先端部を活性化処理装置2内へ挿入する。そして、活性化処理装置2内において、基板W1、W2がステージ210からアームの先端部へ移載される。次に、搬送ロボット861は、アームを収縮させることにより、図16Aの矢印AR19に示すように、基板W1、W2を活性化処理装置2から取り出す。続いて、搬送ロボット861は、矢印AR20に示すように、アームの先端部がロードロック部85側を向くように旋回すると、ロードロック部85のゲート8521が開放される。その後、搬送ロボット861が、アームを伸張させてアームの先端部をロードロック部85のチャンバ851内へ挿入する。そして、基板W1、W2がアームの先端部からチャンバ851内のステージへ移載される。次に、搬送ロボット861が、図16Bの矢印AR21に示すように、アームを収縮させるとともに、ロードロック部85がゲート8521を閉じる。
【0047】
次に、搬送装置82は、基板W1、W2をロードロック部85から洗浄装置3へ搬送する(ステップS5)。ここで、ロードロック部85がゲート8531を開放した後、搬送ロボット821が、アームの先端部をロードロック部85側に向けた状態でアームを伸張させてアームの先端部をロードロック部85のチャンバ851内へ挿入する。そして、基板W1、W2が、チャンバ851内のステージから搬送ロボット821のアームの先端部へ移載される。その後、搬送ロボット821が、図16Bの矢印AR22に示すように、アームを収縮させることにより基板W1、W2をロードロック部85から取り出した後、ロードロック部85はゲート8531を閉じる。次に、搬送ロボット821は、矢印AR23に示すように、アームの先端部が洗浄装置3側を向くように旋回する。続いて、搬送ロボット821は、図17Aの矢印AR24に示すように、基板W1、W2を保持した状態で、搬送装置82における基板W1、W2を洗浄装置3へ搬入する位置まで移動する。その後、搬送ロボット821が、アームを伸張させてアームの先端部を洗浄装置3内へ挿入する。そして、矢印AR25に示すように、基板W1、W2が搬送ロボット821のアームの先端部から洗浄装置3のステージへ移載される。
【0048】
図13に戻って、続いて、洗浄装置3は、水を基板W1、W2の接合面に吹き付けながら接合面を洗浄する水洗浄工程を実行する(ステップS6)。ここで、洗浄装置3は、洗浄ヘッドから超音波を印加した水を基板W1、W2の接合面に吹き付けながら、基板W1、W2が載置されたステージをXY方向へスキャンさせて基板W1、W2の接合面全面を洗浄する。これにより、基板W1、W2の接合面に付着した異物が除去される。続いて、洗浄装置3は、洗浄ヘッドによる水の吐出を停止させてから、ステージを回転させることにより基板をスピン乾燥することにより洗浄処理を完了する。
【0049】
その後、搬送装置82が、基板W1、W2を洗浄装置3からロードロック部83へ搬送する(ステップS7)。ここでは、搬送ロボット821が、アームを伸張させてアームの先端部を洗浄装置3内へ挿入し、基板W1、W2をステージからアームの先端部へ移載する。次に、搬送ロボット821は、アームを収縮させることにより、図17Bの矢印AR26に示すように、基板W1、W2を洗浄装置3から取り出す。続いて、搬送ロボット821は、矢印AR27に示すように、基板W1、W2を保持した状態で、アームの先端部がロードロック部83側を向くように旋回する。その後、ロードロック部83がゲート8331を開放すると、搬送ロボット821が、図18Aの矢印AR29に示すように、アームを伸張させることによりアームの先端部をロードロック部83のチャンバ831内へ挿入する。そして、基板W1、W2が、アームの先端部からチャンバ831内のステージへ移載される。次に、搬送ロボット821は、基板W1、W2のチャンバ831内のステージへの移載が完了すると、図18Bの矢印AR30に示すように、アームを収縮させる。そして、ロードロック部83がゲート8331を閉じる。
【0050】
図13に戻って、次に、搬送装置84のシール駆動部714が、気体をシール部材711の充填領域S71へ充填することにより、シール部材711を図2Aに示す第2状態から図2Bに示す第1状態にするシール部材当接工程を実行する(ステップS8)。図13に戻って、続いて、搬送装置84がゲート8421を開放する(ステップS9)。これにより、図2Bに示す枠体713と枠体712との間の領域S72に存在する空気が、搬送装置84のチャンバ843内に存在する気体を排気するための真空ポンプにより領域S72外へ排出される。その後、図9に示すように、接合装置1がゲート1211を開放する(ステップS10)。
【0051】
次に、搬送装置84が、基板W1、W2をロードロック部83から接合装置1へ搬送する(ステップS11)。ここでは、ロードロック部83がゲート8321を開放した後、搬送ロボット841が、アームの先端部をロードロック部83側に向けた状態でアームを伸張させてアームの先端部をロードロック部83のチャンバ831内に挿入する。そして、ロードロック部83のチャンバ831内において、基板W1、W2が、ステージからアームの先端部へ移載されると、搬送ロボット841は、図18Bの矢印AR31に示すように、アームを収縮させることにより基板W1、W2をロードロック部83から取り出す。次に、ロードロック部83がゲート8321を閉じる。続いて、搬送ロボット841は、図19Aの矢印AR31に示すように、アームの先端部が接合装置1側を向くように旋回する。ここで、搬送ロボット841は、ロードロック部83から接合装置1においてヘッド142に支持される基板W2を取り出した場合、旋回すると同時にアームの先端部を反転させる。その後、搬送ロボット841は、アームを伸張させてアームの先端部を接合装置1内へ挿入する。そして、図19Bの矢印AR32に示すように、基板W2が、搬送ロボット841のアームの先端部から接合装置1のヘッド142へ移載される、或いは、基板W1が、搬送ロボット841のアームの先端部から接合装置1のステージ141へ移載される。このとき、接合装置1は、ステージ141に基板W1を保持させるとともに、ヘッド142に基板W1、W2の接合面が互いに対向した状態で基板W2を保持させる基板保持工程を実行する。具体的には、制御部9が、例えば基板W1がステージ401に載置された状態で、ステージ141の静電チャック1411を駆動してステージ141に基板W1を保持させる。また、制御部9は、例えば搬送ロボット(図示せず)等によりヘッド142の鉛直下方に配置された基板W2の接合面側とは反対側にヘッド142を接触させた状態で、ヘッド142の静電チャック1421を駆動してヘッド142に基板W2を保持させる。そして、搬送ロボット841が、アームを収縮させる。
【0052】
図13に戻って、続いて、接合装置1がゲート1211を閉じ、搬送装置84がゲート8421を閉じる(ステップS12)。その後、搬送装置84のシール駆動部714が、シール部材711の充填領域S71内の気体を排出することによりシール部材711を収縮させることで、シール部材を接合装置1の枠体713から離間した第2状態にする離脱工程を実行する(ステップS13)。
【0053】
その後、接合装置1は、基板W1、W2同士を接合する基板接合工程を実行する(ステップS14)。ここで、基板接合工程について図20を参照しながら詳細に説明する。なお、図20において、接合装置1は、基板W1、W2の厚さの測定結果が既に制御部9のメモリに記憶されているものとする。まず、接合装置1は、距離測定部185により、ステージ141、ヘッド142の3箇所におけるステージ141とヘッド142との間の距離を測定する距離測定工程を実行する(ステップS101)。
【0054】
次に、接合装置1は、ステージ141、ヘッド142の3箇所におけるステージ141とヘッド142との間の距離に基づいて、ヘッド142のステージ141に対する傾きを調整する傾き調整工程を実行する(ステップS102)。ここでは、3つの支持部駆動部146が、それぞれ、3つのホルダ支持部1471をZ軸方向へ各別に移動させることにより、ヘッド142の基板W2の載置面とステージ141の基板W2の載置面とが平行になるようにヘッド142のステージ141に対する傾きを調整する平行調整を行う。なお、接合装置1は、必ずしもヘッド142のステージ141に対する傾き調整を、基板W1、W2同士を接合する処理を行う毎に毎回行う必要はない。例えば、接合装置1が、基板W1、W2同士を接合する処理を予め設定された回数だけ行う毎にヘッド142のステージ141に対する傾き調整を行うようにしてもよい。或いは、接合装置1の初期設定時において、ヘッド142のステージ141に対する傾き調整を行った後、ロック機構149をロック状態で維持するようにしてもよい。ここで、基板W1,W2の厚さ方向の調整は、支持部駆動部146がホルダ支持部1471を同時に移動させることにより行われる。ロック機構149をロック状態で維持することにより、支持部駆動部146が、ホルダ支持部1471に対して-Z方向への駆動力を与えることにより基板W2を基板W2に押しつけることができ、基板W1、W2同士を加圧する際の加圧力を高めることができる。これにより、基板W1、W2同士を面加圧することによる接合にも対応できる。
【0055】
続いて、接合装置1は、ステージ141およびヘッド142に基板W1、W2が保持されていない状態でのステージ141の上面とヘッド142の下面との間の距離と基板W1、W2の厚さとに基づいて、基板W1の接合面と基板W2の接合面との間の距離を算出する。そして、接合装置1は、算出した距離に基づいて、ヘッド142を鉛直下方へ移動させて基板W1、W2同士を近づける(ステップS103)。このとき、接合装置1は、図21Aの矢印AR101に示すように、3つのホルダ支持部1471を同時に鉛直下方、即ち、-Z方向へ移動させることにより、ヘッド142をステージ141に近づける。
【0056】
図20に戻って、その後、接合装置1は、基板W1、W2同士が離間した状態で、基板W1の基板W2に対する位置ずれ量を算出する(ステップS104)。ここにおいて、制御部9は、まず、位置測定部500の第1撮像部501および第2撮像部502から、非接触状態における2つの基板W1、W2の撮影画像GAa,GAb(図11A参照)を取得する。そして、制御部9は、前述のように、2つの撮影画像GAa,GAbに基づいて、2つの基板W1、W2のX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向の位置ずれ量dx、dy、dθそれぞれを算出する。
【0057】
次に、接合装置1は、算出した位置ずれ量dx、dy、dθを補正するように基板W2を基板W1に対して相対的に移動させることにより、位置合わせを実行する(ステップS105)。ここにおいて、接合装置1は、位置ずれ量dx、dy、dθが低減するように、ステージ141をX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向へ移動させる。
【0058】
続いて、接合装置1は、更にヘッド142をステージ141に近づけることにより、基板W1、W2同士を近づける(ステップS106)。ここで、接合装置1は、ヘッド142を、基板W1、W2の間の隙間が基板W1、W2を撓ませた状態でそれらの中央部同士を接触させるのに最適な隙間となる位置に配置する。この状態で、基板W1、W2の周部同士が50μm程度離間した状態となるようにする。このとき、接合装置1は、図21Bの矢印AR102に示すように、3つのホルダ支持部1471を同時に-Z方向へ移動させることにより、ヘッド142をステージ141に近づける。
【0059】
図20に戻って、その後、接合装置1は、基板W1、W2が互いに離間した状態で、基板W1、W2を撓ませることにより、基板W1の中央部と基板W2の中央部とを接触させる接触工程を実行する(ステップS107)。接合装置1は、例えば図22Aに示すように、基板W1の周部に対して中央部が基板W2に向かって突出するように基板W1を撓ませる。このとき、接合装置1は、チャック駆動部から静電チャック1411へ電圧を印加させることにより静電チャック1411に基板W1の周部を保持させた状態で、矢印AR103に示すように押圧部1811により基板W1の中央部を基板W2に向けて押圧する。これにより、基板W1は、その中央部W1cが基板W2に向かって突出するように撓む。また、接合装置1は、基板W2の周部に対して中央部が基板W1に向かって突出するように基板W2を撓ませる。このとき、接合装置1は、チャック駆動部から静電チャック1421へ電圧を印加させることにより静電チャック1421に基板W2の周部を保持させた状態で、矢印AR104に示すように押圧部1821により基板W2の中央部を基板W1に向けて押圧する。これにより、基板W2は、その中央部が基板W1に向かって突出するように撓む。また、基板W1、W2は、それらの周部の間の距離が一定に維持された状態で、それらの接触部分が、押圧機構181、182により点加圧された中央部を起点として基板W1、W2の間に生じる分子間力(ファンデルワールス力)または基板W1、W2の接合面に存在する水またはOH基による接合力により、基板W1、W2の中央部から周部に向かって広がっていく。
【0060】
次に、接合装置1は、基板W1の接合面が基板W2の接合面に接触した状態で、 基板W2の基板W1に対する位置ずれ量を測定する(ステップS108)。このとき、接合装置1は、基板W1、W2同士の接触部分が広がることにより基板W2の基板W1に対する移動が規制された状態で、基板W1、W2の位置ずれ量を測定する。続いて、接合装置1は、算出した位置ずれ量dx、dy、dθの全てが予め設定された位置ずれ量閾値dxth、dyth、dθth以下であるか否かを判定する(ステップS109)。
【0061】
ここで、接合装置1により、算出した位置ずれ量dx、dy、dθのいずれかが、予め設定された位置ずれ量閾値dxth、dyth、dθthよりも大きいと判定されたとする(ステップS109:No)。この場合、接合装置1は、ヘッド142を上昇させることにより、基板W2を基板W1から離脱させる(ステップS110)。このとき、接合装置1は、ヘッド142を上昇させて基板W1、W2の間の距離を広げつつ、押圧部1811をステージ141に没入させる方向へ移動させるとともに、押圧部1821をヘッド142に埋没させる方向へ移動させる。ここにおいて、接合装置1は、基板W2を基板W1から剥がす際の基板W2の引っ張り圧力が一定となるようにヘッド142の上昇を制御する。これにより、基板W2が基板W1から離脱し、基板W1、W2の接触状態が解除される。
【0062】
続いて、接合装置1は、算出した位置ずれ量dx、dy、dθを全て位置ずれ量閾値dxth、dyth、dθth以下にするための基板W1、W2の補正移動量を算出する(ステップS111)。ここにおいて、制御部9は、基板W2を基板W1に接触させた状態での基板W1と基板W2との位置ずれ量dx、dy、dθと、基板W2が基板W1に接触していない状態での基板W1と基板W2との位置ずれ量との差分に相当する移動量だけ移動させるような補正移動量を算出する。この補正移動量だけオフセットしてアライメントすることにより、再度基板W1、W2同士が接触したときに同様の基板W1、W2の接触による位置ずれが発生すれば基板W1、W2の位置ずれが無くなることになる。
【0063】
その後、接合装置1は、2つの基板W1、W2が接触していない状態で2つの基板W1、W2の相対的な位置ずれ量dx、dy、dθを補正するように、位置合わせを実行する(ステップS112)。ここにおいて、接合装置1は、ステージ141をステップS111で算出された補正移動量だけX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向に移動させる。このようにして、接合装置1は、基板W1、W2が互いに離間した状態で、位置ずれ量dx、dy、dθが低減するように基板W2の基板W1に対する相対位置を調整する。そして、接合装置1は、再びステップS106の処理を実行する。
【0064】
一方、接合装置1により、算出した位置ずれ量dx、dy、dθの全てが、予め設定された位置ずれ量閾値dxth、dyth、dθth以下であると判定されたとする(ステップS109:Yes)。この場合、接合装置1は、基板W1、W2の中央部から周部に向かって基板W1、W2の接触部分を更に広げていき基板W1、W2同士を全面で接触させる(ステップS113)。ここでは、接合装置1は、押圧機構181の押圧部1811を図22Bの矢印AR106に示すようにステージ141に没入させる方向へ移動させ且つ押圧機構182の押圧部1821を矢印AR107に示すようにヘッド142に没入させる方向へ移動させると同時に、矢印AR105に示すようにヘッド142をステージ141に近づく方向へ移動させることにより基板W1、W2の周部同士の距離を縮める。このようにして、接合装置1は、基板W1の周部を基板W2の周部に接触させて基板W1、W2の接合面同士を全面で接触させる。
【0065】
図20に戻って、次に、接合装置1は、基板W1、W2が全面で接触した状態で、基板W1の周部W1sのみを基板W2の周部W2sに押し付けることにより基板W1、W2の周部W1s、W2s同士を加圧することにより基板W1、W2同士を接合する接合工程を実行する(ステップS114)。続いて、接合装置1は、ヘッド142の静電チャック1421を停止させることにより基板W2の保持を解除する(ステップS115)。その後、接合装置1は、ヘッド142を上昇させることによりヘッド142を基板W2から離脱させる。
【0066】
図13に戻って、前述の基板接合工程(ステップS14)の後、搬送装置84のシール駆動部714が、再び、シール部材711を前述の第2状態から前述の第1状態にするシール部材当接工程を実行する(ステップS15)。続いて、搬送装置84がゲート8421を開放した後(ステップS16)、接合装置1がゲート1211を開放する(ステップS17)。その後、搬送装置84が、互いに接合された基板W1、W2を接合装置1からロードロック部83へ搬送する(ステップS18)。ここでは、搬送ロボット841が、アームを伸張させてアームの先端部を接合装置1内へ挿入する。そして、互いに接合された基板W1、W2が、接合装置1のステージ141またはヘッド142から搬送ロボット841のアームの先端部へ移載される。次に、搬送ロボット841が、アームを収縮させることにより、接合装置1から互いに接合された基板W1、W2を取り出す。続いて、搬送ロボット841は、アームの先端部がロードロック部83側を向くように旋回する。その後、搬送ロボット841が、アームの先端部をロードロック部83側に向けた状態でアームを伸張させることによりアームの先端部をロードロック部83のチャンバ831内へ挿入する。そして、チャンバ831内において、互いに接合された基板W1、W2が、アームの先端部からステージへ移載されると、搬送ロボット841は、アームを収縮させる。
【0067】
続いて、接合装置1がゲート1211を閉じ、搬送装置84がゲート8421を閉じる(ステップS19)。このとき、搬送装置84のシール駆動部714が、適宜シール部材711を収縮させることで、シール部材を接合装置1の枠体713から離間した第2状態にする離脱工程を実行する。
【0068】
その後、搬送装置82が、互いに接合された基板W1、W2をロードロック部83から取り出しポート813へ搬送する(ステップS20)。ここで、ロードロック部83がチャンバ831内を大気開放した後ゲート8331を開放すると、搬送ロボット821が、アームの先端部をロードロック部83側に向けた状態でアームを伸張させてアームの先端部をチャンバ831内へ挿入する。そして、互いに接合された基板W1、W2が、チャンバ831内のステージから搬送ロボット821のアームの先端部へ移載される。その後、搬送ロボット821が、アームを収縮させることにより互いに接合された基板W1、W2をロードロック部83から取り出した後、ロードロック部83がゲート8331を閉じる。続いて、搬送ロボット821は、アームの先端部がロードロック部83側とは反対側を向くように旋回する。その後、搬送ロボット821は、互いに接合された基板W1、W2を保持した状態で、アームを伸張させてアームの先端部を取り出しポート813内へ挿入して互いに接合された基板W1、W2を取り出しポート813内に配置する。
【0069】
ここで、本実施の形態に係る接合装置1の特徴について、図23Aおよび図23Bに示す比較例に係る接合装置9A、9Bと比較しながら説明する。接合装置9Aは、図23Aに示すように、ヘッド141を駆動するヘッド駆動部9144がヘッド142の鉛直上方に位置するため地面からヘッド駆動部9144までの高さH91が高くなってしまう。このため、ヘッド駆動部9144およびヘッド駆動部9144に接続されたヘッド142の振動振幅が大きくなってしまい、ステージ141に対するヘッド142の相対的な振動振幅が大きくなってしまう。従って、両基板W1、W2に設けられた各アライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bを撮像して得られる撮像画像のばらつきおよび基板W1、W2を接触させるときの接触位置のばらつきが大きくなり、基板W1、W2同士を接合したときの位置精度が低下してしまう。一方、接合装置9Bは、図23Bに示すように、ヘッド駆動部9144が地面から高い位置に配置されることを避けるために、駆動対象をヘッド142からステージ141に変更し且つステージ141を駆動するステージ駆動部9143をステージ141の鉛直下方に配置している。しかしながら、接合装置9Bは、ステージ駆動部9143の長さが長く且つステージ142の鉛直下方に位置するため地面からステージ141までの距離が長くなってしまう。このため、ステージ駆動部9143およびステージ駆動部9143に接続されたステージ141の振動振幅が大きくなってしまい、ヘッド142に対するステージ141の相対的な振動振幅が大きくなってしまう。従って、前述と同様に、両基板W1、W2に設けられた各アライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bを撮像して得られる撮像画像のばらつきおよい基板W1、W2を接触させるときの接触位置のばらつきが大きくなり、基板W1、W2同士を接合したときの位置精度が低下してしまう。また、接合装置9B内に除振ユニットを配置しようとすると、除振ユニットを配置するスペース分だけステージ141およびヘッド142の地面からの高さが高くなってしまい、振動振幅低減の観点から構成的に不利である。
【0070】
これに対して、本実施の形態に係る接合装置1では、図23Cに示すように、支持部駆動部146が、ステージ141およびヘッド142の側方に配置されている。これにより、ステージ141およびヘッド142と地面との間の距離を短くすることができるので、その分、ステージ141およびヘッド142の振動振幅を低減することができる。また、接合装置1では、ステージ141およびヘッド142の地面からの高さを高くすることなく、接合装置1内における支持部駆動部146の-Z方向側に除振ユニット160を配置することができる。従って、ステージ141およびヘッド142に伝達する振動を低減することができる。
【0071】
また、接合装置1において、除振ユニット160が互いに接合された基板W1、W2の位置ずれ量に与える影響について説明する。図24において、周波数スペクトルSPE1は、除振ユニット160によりプレート駆動部163が動作している場合のステージ141およびヘッド142振動振幅の周波数依存性を示し、周波数スペクトルSPE2は、除振ユニット160のプレート駆動部163が停止している場合のステージ141およびヘッド142の振動振幅の周波数依存性を示す。また、破線は、0.1μmの振動振幅を示すラインである。図24に示すように、周波数スペクトルSPE2は、6Hz付近において、振幅が0.1μmを超えていた。これに対して、周波数スペクトルSPE1では、6Hz付近の振幅が0,1μm未満に低減されている。
【0072】
また、除振ユニット160のプレート駆動部163が停止している状態で接合した複数組の基板W1、W2の位置ずれ量と、除振ユニット160のプレート駆動部163が動作している状態で接合した複数組の基板W1、W2について、基板W1、W2同士の位置ずれ量を比較した。その結果、除振ユニット160のプレート駆動部163が停止している場合の位置ずれ量が100nm程度であったのに対して、除振ユニット160のプレート駆動部163が動作している場合の位置ずれ量は40nm程度に低減されることが判った。これは、除振ユニット160によりステージ141およびヘッド142の特に6Hz付近の周波数の振動成分の振幅が0.1μm未満に低減されたことにより、互いに接合される基板W1、W2同士の位置ずれ量が0.1μm以下に低減されたことを反映しているものと考えられる。その結果、位置ずれ量0.1μm以下の位置精度での基盤W1、W2同士の接合に成功した。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態に係る接合装置1では、3つのホルダ支持部1471が、ステージ141の外周部における3箇所それぞれからヘッドホルダ111を支持している。そして、3つの支持部駆動部146が、それぞれ、ステージ141の外周部に配置され、3つのホルダ支持部1471をZ軸方向へ各別に移動させる。これにより、ステージ141およびヘッド142の地面からの距離を短くすることができるので、その分、ステージ141およびヘッド142の振動振幅を低減することができる。従って、地面から伝達する振動に起因した基板W1、W2同士の位置ずれが低減されるので、その分、基板W1、W2を高い位置精度で接合することができる。
【0074】
また、本実施の形態に係る3つの支持部駆動部146は、それぞれ、3つのホルダ支持部1471のうちの1つをZ軸方向へ各別に移動させることにより、ステージ142の周部における3箇所と、ヘッド142におけるステージ141の周部の3箇所それぞれに対向する3箇所と、の間の距離を調整する。これにより、ヘッド142がステージ141に対して平行となるように、ステージ141に対するヘッド142の傾きを調整することができるので、基板W1、W2同士を接触させる際、基板W2が基板W1に対して傾いていることに起因した位置ずれの発生を抑制することができる。
【0075】
ところで、従来のヘッド142側にピエゾアクチュエータのような3つの伸縮機構を設けてこれらによりヘッド142の傾きを調整する構成では、ヘッド142と伸縮機構とが点接触した状態で動作するため、ヘッド142に伝わる振動の影響を受けやすかった。これに対して、本実施の形態に係る接合装置1では、ヘッド142がヘッドホルダ111、連結部145を介してホルダ支持部1471に連結されている。これにより、ヘッド142が振動の影響を受けにくくすることができる。また、本実施の形態に係る接合装置1は、連結部145とロック機構149とを備える。これにより、ロック機構149をアンロック状態としてヘッドホルダ111の平行調整を行い、ヘッドホルダ111の平行調整が完了するとロック機構149をロック状態にすることができる。これにより、ロック機構149をロック状態にすることによりヘッド142に伝わる振動の影響を低減することができる。
【0076】
更に、本実施の形態に係る距離測定部185は、ヘッド142およびステージ141における3箇所において、Z軸方向におけるヘッド142とステージ141との間の距離を測定する。これにより、ヘッド142のステージ141に対する傾きを精度良く計測することができるので、ヘッド142のステージ141に対する傾きを適切に調整することができる。
【0077】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば図25に示すように、接合装置2001がチャンバを備えない構成であってもよい。なお、図25において、実施の形態と同様の構成については図5と同一の符号を付している。ここで、ステージ駆動部2143は、トッププレート114に固定されアクチュエータ1432を支持する支持部材1433を有する。また、エアシリンダ2186は、トッププレート114に固定されシリンダチューブ1862を支持する支持部材21863を有する。
【0078】
実施の形態では、搬送装置84が、環状であり枠体712における接合装置1の枠体713に対向する側において枠体712の全周に亘って配設されたシール部材711を備える例について説明した。但し、これに限らず、例えば接合装置1が、環状であり枠体713における搬送装置84の枠体712に対向する側において枠体713の全周に亘って配設されたシール部材(図示せず)を備えるものであってもよい。
【0079】
実施の形態において、2つの基板W1、W2のいずれか一方のみにNRIE処理とNラジカル処理とを行い、他方はNRIE処理とNラジカル処理との少なくとも一方を行わない活性化処理を行う構成であってもよい。
【0080】
実施の形態では、接合装置1が、基板W1、W2の接合面全体が互いに接触した状態で、基板W1、W2に圧力を加えるとともに、熱処理を行う例について説明した。但し、これに限らず、例えば接合装置1が、基板W1、W2の接合面全体が互いに接触した状態で、基板W1、W2に圧力を加えるだけで熱処理を行わない構成であってもよい。或いは、接合装置1が、基板W1、W2の接合面全体が互いに接触した状態で、基板W1、W2の熱処理のみ実行し圧力を加えない構成であってもよい。また、接合装置1とは異なる装置において、基板W1、W2への加圧、熱処理が行われてもよい。例えば接合装置1が、基板W1、W2の仮接合までを実行し、その後、他の加熱装置(図示せず)において熱処理が行われてもよい。
【0081】
実施の形態では、活性化処理装置2において基板W1、W2の接合面を活性化する活性化処理を行う例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図26に示す接合装置4001のように、チャンバ120内において基板W1、W2の接合面へ粒子ビームを照射する粒子ビーム源191、192を備えるものであってもよい。なお、図26において実施の形態と同様の構成については図5と同一の符号を付している。粒子ビーム源191、192としては、例えば高速原子ビーム(FAB、Fast Atom Beam)源、イオンガン等を採用することができる。本変形例に係る接合システムは、実施の形態に係る接合システムにおいて、ロードロック部85、搬送装置86および活性化処理装置2を備えていない構成とすることができる。
【0082】
ここで、本変形例に係る接合システムについて、基板W1、W2が接合システムに投入されてから基板W1、W2が接合されて接合システムから取り出されるまでの動作の流れについて図27を参照しながら説明する。まず、接合システムは、基板W1、W2を導入ポート811、812から洗浄装置3へ搬送する(ステップS401)。ここで、基板W1、W2としては、例えば、Si基板、サファイア基板を含むアルミナ基板(Al)、酸化ガリウム(Ga)、窒化物基板(例えば、窒化ケイ素(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN))、GaAs基板、炭化ケイ素(SiC)基板、タンタル酸リチウム(Lt:LiTaO)基板、ニオブ酸リチウム基板(Ln:LiNbO)、ダイヤモンド基板などのいずれかからなる被接合物である。或いは、基板W1、W2として、接合面にAu、Cu、Al、Ti等の金属から形成された電極が設けられた基板であってもよい。次に、洗浄装置3は、水を基板W1、W2の接合面に吹き付けながら接合面を洗浄する水洗浄工程を実行する(ステップS402)。水洗浄工程での処理内容は、実施の形態で説明したステップS106の処理と同様である。続いて、搬送装置82が、基板W1、W2を洗浄装置3からロードロック部83へ搬送する(ステップS403)。ここで、ロードロック部83が、搬送された基板W1、W2を加熱するための基板加熱部(図示せず)を備えており、搬送された基板W1、W2を加熱することにより基板W1、W2の接合面に付着した水分を除去するようにしてもよい。その後、搬送装置84のシール駆動部714が、気体をシール部材711の充填領域S71へ充填することにより、シール部材711を実施の形態で説明した図2Aに示す第2状態から図2Bに示す第1状態にするシール部材当接工程を実行する(ステップS404)。図27に戻って、次に、搬送装置84がゲート8421を開放する第1ゲート開放工程を実行する(ステップS405)。続いて、接合装置4001がゲート1211を開放する第2ゲート開放工程を実行する(ステップS406)。
【0083】
次に、搬送装置84が、基板W1、W2をロードロック部83から接合装置4001へ搬送する搬送工程を実行する(ステップS407)。続いて、接合装置4001がゲート1211を閉じ、搬送装置84がゲート8421を閉じる(ステップS408)。その後、搬送装置84のシール駆動部714が、シール部材711の充填領域S71内の気体を排出することによりシール部材711を収縮させることで、シール部材を接合装置4001の枠体713から離間した第2状態にする離脱工程を実行する(ステップS409)。
【0084】
次に、接合装置4001は、チャンバ120内が減圧雰囲気の状態で2つの基板W1、W2それぞれの接合面を活性化する活性化処理工程を行う(ステップS410)。ここでは、接合装置4001が、粒子ビーム源191、192から放射される粒子ビームを基板W1、W2の接合面へ照射することにより、基板W1、W2の接合面に対して活性化処理を行う。続いて、接合装置4001は、基板W1、W2同士を予め設定された距離まで接近させた後、位置測定部150により測定される位置ずれ量に基づいて、基板W2の基板W1に対する位置決め(アライメント)を行う位置決め工程を実行する(ステップS411)。その後、接合装置4001は、ヘッド142を再びステージ141に近づけることにより、2つの基板W1、W2を接触させた後、2つの基板W1、W2が互いに密着する方向へ圧力を加えることにより、2つの基板W1、W2を接合する(ステップS412)。なお、例えば基板W1、W2の接合面に金属領域が露出している場合には、基板W1、W2の加熱処理を併用してもよい。本変形例の場合、基板W1、W2の接合面には、活性化処理により形成されたダングリングボンドが存在する。これにより、基板W1、W2の接合面同士を接触させることにより、基板W1、W2同士が、ダングリングボンドを介して接合される。
【0085】
次に、搬送装置84のシール駆動部714が、再び、シール部材711を前述の第2状態から前述の第1状態にするシール部材当接工程を実行する(ステップS413)。続いて、搬送装置84がゲート8421を開放する第1ゲート開放工程を実行した後(ステップS414)、接合装置4001がゲート1211を開放する第2ゲート開放工程を実行する(ステップS415)。その後、搬送装置84が、互いに接合された基板W1、W2を接合装置1からロードロック部84へ搬送する(ステップS416)。次に、接合装置4001がゲート1211を閉じ、搬送装置84がゲート8421を閉じる(ステップS417)。次に、搬送装置82が、互いに接合された基板W1、W2をロードロック部83から取り出しポート813へ搬送する(ステップS418)。
【0086】
本構成によれば、チャンバ120内をいわゆる超高真空状態で維持しながら活性化処理工程を行った後接合できるので、超高真空中での基板W1、W2同士の直接接合に適用できる。
【0087】
実施の形態では、接合装置1が除振ユニット160を備える例について説明したが、これに限らず、例えば図28に示すように、接合装置4001が載置される第1架台4042が、いわゆるアクティブ除振台であってもよい。なお、図28において、実施の形態と同様の構成については図5と同一の符号を付している。ここで、接合装置4001は、除振ユニットを備えていない点で実施の形態に係る接合装置1と相違する。第1架台4042は、接合装置4001が鉛直上方、即ち、+Z方向側に設置されるトッププレート4421と、防振機構を有し、地面に設置されるとともに、+Z方向側においてトッププレート4421を移動自在に支持するプレート支持部4422と、を有する。プレート支持部4422は、例えば空気バネ、コイルバネ等を用いた防振機構を有し、トッププレート4421をZ軸方向に沿って移動自在に支持する。また、第1架台4042は、更に、トッププレート4421に伝達する振動を検出する振動検出部4424と、トッププレート4421をプレート支持部2422に対して相対的に移動させるプレート駆動部4423と、トッププレート4421に伝達する振動を低減するようにプレート駆動部2423を制御する除振制御部4429と、を有する。プレート駆動部4423および除振制御部4429は、実施の形態で説明したプレート駆動部163および除振制御部169と同様の構成である。
【0088】
本構成によれば、接合装置4001として除振ユニットを備えない構成とすることができるので、その分、接合装置4001の構成の簡素化並びに軽量化を図ることができる。
【0089】
実施の形態では、接合装置1の除振ユニット160がいわゆるアクティブ除振台である例について説明したが、これに限らず、例えば除振ユニット160が、トッププレート161を、単に空気バネ、磁気バネ等の防振機構を有する支持部により支持してなるいわゆるパッシブ除振台であってもよい。
【0090】
実施の形態では、ステージ141およびヘッド142のそれぞれが、押圧機構181,182を有する例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばステージ141のみが押圧機構181を有し、ヘッド142が押圧機構を備えないものであってもよい。或いは、ヘッド142のみが押圧機構182を有し、ステージ141が押圧機構を備えないものであってもよい。
【0091】
実施の形態では、ロック機構149が接合装置1の動作中においてロック状態またはアンロック状態に切り替え可能である例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば接合装置1を動作させる前に、ヘッドホルダ111の傾きを調整した後、ホルダ支持部1471がヘッドホルダ111にボルト等により固定される構成であってもよい。この場合でも、ホルダ支持部1471をZ軸方向へ移動させてもヘッドホルダ111の撓みに相当するだけヘッドホルダ111の傾きの微調整を行うことは可能である。或いは、実施の形態に係る接合装置1において、ロック機構149を備えない構成であってもよい。この場合でも、チャンバ120内に配置されたヘッド142は、チャンバ120内が減圧されることによりヘッドホルダ111に固定されたベローズ113が収縮する力による加圧力を受けることができるので、ヘッド142の自重と合わせて基板W2をいくらかの圧力で基板W1に押し付けることが可能である。例えば、押圧機構181、182により基板W1、W2の中央部を押圧して撓ませた状態で基板W1、W2の中央部同士を接触させた後、基板W1、W2を全面で接触させることにより接合するいわゆる親水化接合であれば、減圧下でなくともこの程度の圧力でも接合可能である。
【0092】
実施の形態において、基板W1、W2の中央部を押圧することにより基板W1、W2を撓ました状態で基板W1、W2の中央部同士を突き合せた後、基板W1、W2の全面を押圧してもよいし、周部のみを押圧するようにしてもよい。この場合、基板W1、W2の周部の浮きの発生を抑制することができるとともに、基板W1、W2の中央部における歪みの発生を抑制できる。また、実施の形態では、基板W1,W2の中央部を押圧して撓ませた状態で基板W1、W2同士を突き合せた後基板W1、W2同士を接合する例について説明したがこれに限定されるものではなく、基板W1、W2同士を全面で接触させてから接合するものであってもよい。
【0093】
実施の形態では、搬送装置84が搬送ロボット841を備える例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば図29に示すように、搬送装置5084が、長尺であり接合装置5001のチャンバ5120に設けられた開口部5120fに挿通され一端部に基板W1、W2を保持する保持部5845が設けられた支持棒5841と、支持棒5841の他端部で支持棒5841を支持する支持体5842と、支持体5842を駆動する支持体駆動部5843と、を有するものであってもよい。なお、図29において、実施の形態と同様の構成については図5と同一の符号を付している。ここで、接合装置5001は、チャンバ5120以外の構成については実施の形態で説明した接合装置1と同様の構成である。また、搬送装置5084は、チャンバ5120内の真空度を維持するためにチャンバ5120の開口5120fの外周部と支持体5842との間に介在するベローズ5844を有する。支持体駆動部5843は、例えば支持体5842が固定されたスライダ(図示せず)をX軸方向へ摺動自在に支持するレール(図示せず)と、スライダをX軸方向へ駆動するためのボール螺子機構(図示せず)と、を有する。支持体駆動部5843は、矢印AR5001に示すように、支持体5842を支持棒5841がチャンバ5120内へ挿脱される方向へ駆動することにより、基板W1、W2をロードロック部83と接合装置5001とのいずれか一方から他方へ搬送する。また、この搬送装置5084を採用する場合、接合装置1のチャンバ5120は、ロードロック部83のゲート8321との間で枠体712、713およびシール部材711を介して接続される構成とすればよい。なお、ゲート1211は、チャンバ5120の開口120eを覆うように設けられている。
【0094】
図26および図27を用いて説明した変形例に係る接合システムにおいて、搬送装置84の代わりに図29に示す搬送装置3084を採用してもよい。この場合、接合装置5001は、例えば図30に示すように、図7に示す配置に対して反時計回りに90度だけ回転させた配置とすればよい。
【0095】
本構成によれば、ベローズ5844を採用した搬送手段であるため、チャンバ5120内をいわゆる超高真空状態で維持することができる。
【0096】
実施の形態では、3つのホルダ支持部1471が、連結部145を介してヘッドホルダ111の3つの角部を支持する例について説明した。但し、これに限らず、例えば図31に示す接合装置6001のように、3つのホルダ支持部61471が、それぞれ、ヘッドホルダ6111側の端部、即ち、+Z方向側の端部がヘッドホルダ6111の角部に直接固定されているものであってもよい。また、ヘッド142を支持した状態でヘッドホルダ6111に固定される支持部材6112と、支持部材6112とヘッドホルダ6111との間に適宜介在させるシムプレート6117と、を備えるものであってもよい。ここで、支持部材6112は、例えば図32に示すように、+Z方向側の端部に支持部材6112におけるヘッドホルダ6111よりも-Z方向側の部分よりも小径であり側壁に螺子(図示せず)が形成されている突出部6112aを有する。また、ヘッドホルダ6111における支持部材6112が固定されるホルダ固定部分に対応する位置には、ヘッドホルダ6111を厚さ方向に貫通し突出部6112aが嵌入される貫通孔6111aが穿設されている。ここで、突出部6112aの長さは、ヘッドホルダ6111の厚さよりも長く、突出部6112aの先端部は、ヘッドホルダ6111の+Z方向側へ突出している。支持部材6112は、ヘッドホルダ6111の+Z方向側に載置され、突出部6112aの先端部が螺合するナット部(図示せず)を有する固定部材6118によりヘッドホルダ6111に固定されている。また、突出部6112aには、適宜シムプレート6117を嵌入させることができる。そして、突出部6112aに嵌入させるシムプレート6117の数を調整することにより、支持部材6112がヘッド142を支持するヘッド支持部分と支持部材6112がヘッドホルダ6111に固定されるホルダ固定部分との間の長さL61を変更することができる。この支持部材6112とシムプレート6117と固定部材6118とから、支持部材6112がヘッド142を支持するヘッド支持部分と支持部材6112がヘッドホルダ6111に固定されるホルダ固定部分との間の長さL61が可変であるヘッド支持部材が構成されている。
【0097】
本変形例に係る接合装置6001では、まず、3つの支持部材6112それぞれについて、シムプレート6117を適宜突出部6112aに嵌入させることにより、3つの支持部材6112それぞれに対応するへッド支持部分とホルダ固定部分との間の長さL61を調整する。これにより、ステージ141に対するヘッド142の平行度を5μm以下、数μm程度まで調整する。次に、3つの支持部駆動部146が、それぞれ、3つのホルダ支持部61471をZ軸方向へ各別に移動させることにより、ステージ141の周部における3箇所と、ヘッド142におけるステージ141の周部の3箇所それぞれに対向する3箇所と、の間の距離を調整して、ヘッドホルダ6111を撓ませる。これにより、ステージ141に対するヘッド142の平行度を1μm以下、好ましくは0.2μm以下となるように調整する。このように、平行度を5μm以下、数μm程度調整するのであれば、実施の形態で説明したようなロックおよびアンロックが可能な連結部145を有する構造としなくてもヘッドホルダ6111を撓ますことで対応することができる。
【0098】
本構成によれば、ステージ141に対するヘッド142の平行度を0.2μm以下となるように調整することができるので、互いに接合された基板W1、W2同士の位置精度を高めることができる。
【0099】
なお、図31および図32を用いて説明した接合装置6001において、支持部材6112におけるヘッド142側にピエゾアクチュエータが設けられていてもよい。これにより、複数の支持部材6112それぞれに設けられたピエゾアクチュエータを各別に駆動することにより、ヘッド142の傾きを調整することが可能となる。
【0100】
実施の形態では、連結部145が、3つのホルダ支持部1471それぞれの+Z方向側の端部に設けられた半球状の係合部材1451と、ヘッドホルダ111の-Z方向側に設けられた半球状の窪み部を有する被係合部材1452と、を有する例について説明した。但し、係合部材の形状は半球状のものに限定されるものではない。例えば係合部材が、円柱状、角柱状であり、被係合部材が、断面円形または断面矩形であり係合部材が嵌合可能な寸法の窪み部を有するものであってもよい。
【0101】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0102】
本出願は、2021年3月31日に出願された日本国特許出願特願2021-060026号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2021-060026号の明細書、特許請求の範囲および図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、例えばCMOS(Complementary MOS)イメージセンサやメモリ、演算素子、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の製造に好適である。
【符号の説明】
【0104】
1,2001,3001,4001,6001:接合装置、2:活性化処理装置、3:洗浄装置、9:制御部、41:第2架台、42,3042:第1架台、82,84,86,3084:搬送装置、83,85:ロードロック部、111,6111:ヘッドホルダ、112,1433,1463,1863,6112,21433,21863:支持部材、113,1434,1864、5844:ベローズ、114:トッププレート、115:撮像部支持部、116:ベース、120,831,843,851,863,3120,5120:チャンバ、120b,120c,141b、142b,6111a:貫通孔、120e,5120f:開口、141:ステージ、141c、142c:凹部、142:ヘッド、143,143A,143B,143C,143D:ステージ駆動部、145:連結部、146:支持部駆動部、148:圧力センサ、150:位置測定部、151:第1撮像部、152:第2撮像部、153:窓部、154,155:ミラー、162:プレート支持部、163:プレート駆動部、164:振動検出部、169:除振制御部、181,182:押圧機構、183、184:基台、185:距離測定部、186:エアシリンダ、191,192:粒子ビーム源、201a:真空ポンプ、201b:排気管、201c:排気弁、212:処理チャンバ、213:プラズマチャンバ、215:誘導コイル、216,217:高周波電源、220A:窒素ガス供給部、220B:酸素ガス供給部、221A:窒素ガス貯留部、221B:酸素ガス貯留部、222A,222B:供給弁、223A,223B:供給管、711:シール部材、712,713:枠体、712a:溝、714:シール駆動部、811,812:導入ポート、813:取り出しポート、821,841,861:搬送ロボット、1211,8321,8331,8421,8521,8531,8621:ゲート、1212,8322,8332,8422,8522,8532,8622:ゲート駆動部、1411、1412:静電チャック、1431,1461:ボール螺子、1432,1462:アクチュエータ、1435,1865:押圧バー、1451:係合部材、1452:被係合部材、1471,61471:ホルダ支持部、1472:ガイド部、1811,1821:押圧部、1812,1822:押圧駆動部、1831:上側基台、1831a:開口部、1832:下側基台、1861:ピストンロッド、1862:シリンダチューブ、1911、1912:基板加熱部、5841:支持棒、5842:支持体、5843:支持体駆動部、5845:保持部、6112a:突出部、6117:シムプレート、CPR7:圧縮機、CV7:逆止弁、L70:入排出管、L71:導入管、L72:排出管、M71,M72:圧力計、T7:タンク、V71,V72:電磁弁、W1,W2:基板
【要約】
接合装置(1)は、基板(W1)を保持するステージ(141)と、ステージ(141)に対向して配置され基板(W2)を保持するヘッド(142)と、ヘッド(142)におけるステージ(141)側とは反対側においてヘッド(142)を保持し、Z軸方向に直交する方向におけるヘッド(142)およびステージ(141)の外側に延在するヘッドホルダ(111)と、ステージ(141)の外周部における3箇所それぞれからヘッドホルダ(111)を支持する3つのホルダ支持部(1471)と、3つのホルダ支持部(1471)をヘッドホルダ(111)とステージ(141)とが互いに近づく-Z方向または互いに離れる+Z方向へ各別に移動させる3つの支持部駆動部(146)と、を備える。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図23C
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32