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▶ サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】光ビームのコヒーレンス量の調整
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/10 20060101AFI20221012BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20221012BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H01S3/10 Z
G03F7/20 502
G03F7/20 521
H01S3/00 A
H01S3/00 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019503223
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 US2017047449
(87)【国際公開番号】W WO2018044583
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2019-03-15
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】15/256,196
(32)【優先日】2016-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ビビー,トーマス,フレデリック,アレン
(72)【発明者】
【氏名】ソーンズ,ジョシュア,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ロキツキー,ロスティスラフ
(72)【発明者】
【氏名】ダフィー,トーマス,パトリック
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】山村 浩
【審判官】吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-156531(JP,A)
【文献】特開2001-358064(JP,A)
【文献】特開2012-204819(JP,A)
【文献】特開2012-151495(JP,A)
【文献】特開2008-277618(JP,A)
【文献】特開2008-225380(JP,A)
【文献】国際公開第2014/200821(WO,A1)
【文献】特開2001-358064(JP,A)
【文献】特開2010-271696(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0066875(US,A1)
【文献】米国特許第08624209(US,B2)
【文献】特開平6-82707(JP,A)
【文献】特開昭63-167227(JP,A)
【文献】特開2012-199425(JP,A)
【文献】特開2012-204818(JP,A)
【文献】Osamu Wakabayashi et al.,Beam quality of a new-type MOPO laser system for VUV laser lithography,Proceedings of SPIE,米国,2004年,Vol. 5377,1772-1780
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/02,3/04-3/0959,3/098-3/102,3/105-3/131,3/136-3/213,3/23-4/00
G03F 7/20-7/24,9/00-9/02
H01L 21/027,21/30,21/46
JDreamIII
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学システムのキャビティにおける利得媒体の圧力、前記キャビティにおける利得媒体の温度、及び、前記光学システムから放射されたパルス光ビームの繰り返し率、の1つ又は複数を含む、1つ又は複数の動作パラメータと、前記光学システムにおける光学素子に関係する状態情報と、によって規定される複数の動作条件を決定する方法であって
記光ビームの特定のパルスにおける特性の測定値にアクセスすることであって、前記特性が、前記光ビームのコヒーレンス量に関係していることと、
前記光ビームの前記特性の前記測定値を前記特性のターゲット値と比較することと、
前記比較に基づいて制御信号を生成するかどうかを決定することと、
前記制御信号が、前記比較に基づいて生成される場合に、前記特定のパルスに続くパルスのコヒーレンス量を低減するために、前記制御信号に基づいて前記光学素子の物理的特性を修正することによって、前記光ビームにおける前記コヒーレンス量を調整することと、
前記制御信号が、前記比較に基づいて生成されない場合に、前記光ビームの前記特性の前記測定値を前記動作条件用の前記特性の前記ターゲット値として宣言することと、を含み、
前記光ビームの前記特性の前記測定値を前記動作条件の前記特性の前記ターゲット値として宣言することが、前記動作条件と共に、前記測定値を含むデータを格納することを含む、方法。
【請求項2】
前記光ビームの前記特性が、前記光ビームの発散度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光ビームの発散度が、前記キャビティの外部で測定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記特定のパルスに続く前記パルスが、前記特定のパルスに直接続くパルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記制御信号に基づいて前記光学システムの態様を修正することによって、前記光ビームにおける前記コヒーレンス量を調整することが、
前記光学システムの光学素子に前記制御信号を印加することであって、前記光学素子が、前記光学システムから放射された前記光ビームの前記特性の前記測定値を少なくとも部分的に決定するために、前記光学システムにおいて前記光ビームと相互作用する光学面を含み、前記制御信号の前記印加が、前記光学面を移動させるのに十分であることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記光学面を移動させるのに十分な前記制御信号の前記印加が、前記光学面の形状を変更するために、前記光学面の位置を変更するために、前記パルス光ビームの伝搬方向に対して前記光学面の角度を変更するために、又は、前記光学面の曲率を変更するために、十分な前記制御信号の前記印加を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記光学面が、複数の部分を含み、
前記制御信号の印加が、前記光学面における前記複数の部分の少なくとも1つを他の部分の少なくとも1つに対して移動させるのに十分である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
現在の動作条件に対する、前記光学システムの前記動作条件における変更の表示を受信することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記光学システムの前記動作条件における変更の前記表示が、前記光学システムから放射された前記光ビームの前記繰り返し率における、新しい繰り返し率への変更の表示を含み、
前記繰り返し率における前記変更の前記表示が、前記光学システムから前記光ビームを受信するリソグラフィ露光装置から受信される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
光ビームの特性の測定値にアクセスすることが、初回に前記光ビームの前記特性を測定することを含み、
2回目に前記光ビームの前記特性を測定することであって、前記2回目が、初回の後で、且つ前記光ビームにおける前記コヒーレンス量を調整した後で行われること、
前記2回目における前記光ビームの前記特性の前記測定値を前記ターゲット値と比較すること、及び
前記比較に基づいて第2の制御信号を生成するかどうかを決定すること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2016年9月2日に出願された米国特許出願第15/256,196号の優先権を主張し、その米国出願は、参照によりその全体において本明細書に援用される。
【0002】
この開示は、光ビームのコヒーレンス量を調整することに関する。例えば、以下で説明される技術は、パルス光ビームにおけるコヒーレンスを低減又は抑制するために用いられ得る。
【背景技術】
【0003】
フォトリソグラフィは、半導体回路が、シリコンウェーハなどの基板上でパターン化されるプロセスである。フォトリソグラフィ光源は、ウェーハ上のフォトレジストを露光するために用いられる深紫外(DUV)光を供給する。フォトリソグラフィ用のDUV光は、エキシマ光源によって生成される。しばしば光源は、レーザ源であり、パルス光ビームは、パルスレーザビームである。光ビームは、ビームデリバリユニット、レチクル又はマスクを通過し、次に準備されたシリコンウェーハ上に投影される。このように、チップ設計は、フォトレジスト上にパターン化され、次にフォトレジストは、エッチングされ、洗浄され、次にプロセスは、繰り返される。
【発明の概要】
【0004】
1つの一般的な態様において、光学システムを制御する方法は、光学システムから放射されたパルス光ビームの特定のパルスにおける特性の測定値にアクセスすることであって、特性が、光ビームのコヒーレンス量に関係すること、光ビームの特性の測定値を特性のターゲット値と比較すること、比較に基づいて制御信号を生成するかどうかを決定すること、及び制御信号が、比較に基づいて生成される場合に、特定のパルスに続くパルスのコヒーレンス量を低減するために、制御信号に基づいて光学システムの態様を修正することによって、光ビームにおけるコヒーレンス量を調整すること、を含む。
【0005】
実装は、次のフィーチャの1つ又は複数を含んでもよい。光ビームの特性は、光ビームの発散度を含んでもよい。光ビームの発散度は、光学システムの外部で測定されてもよい。
【0006】
特定のパルスに続くパルスは、特定のパルスに直接続くパルスであってもよい。
【0007】
制御信号に基づいて光ビームの特性の値を修正することによって、光ビームにおけるコヒーレンス量を調整することは、光学システムの光学素子に制御信号を印加することであって、光学素子が、光学システムから放射された光ビームの特性の値を少なくとも部分的に決定するために、光学システムにおいて光ビームと相互作用する光学面を含み、制御信号の印加が、光学面を移動させるのに十分であることを含んでもよい。光学面を移動させるのに十分な制御信号の印加は、光学面の形状を変更するために、光学面の位置を変更するために、パルス光ビームの伝搬方向に対して光学面の角度を変更するために、又は光学面の曲率を変更するために十分な制御信号の印加を含んでもよい。光学面は、複数の部分を含んでもよく、制御信号の印加は、光学面における複数の部分の少なくとも1つを他の部分の少なくとも1つに対して移動させるのに十分である。
【0008】
幾つかの実装において、光学システムの動作条件が決定され、動作条件は、1つ又は複数の動作パラメータと関連付けられ、制御信号が、比較に基づいて生成されない場合に、光ビームの特性の測定値は、決定された動作条件用の特性のターゲット値として宣言されてもよい。決定された動作条件用の特性のターゲット値として光ビームの特性の測定値を宣言することは、動作条件の動作パラメータと共に測定値を格納することを含んでもよい。動作パラメータは、光学システムの利得媒体の圧力と、光学システムの利得媒体の温度と、光学システムから放射された光ビームの繰り返し率と、光学システムから放射された光ビームの特性の値を少なくとも部分的に決定するために、光学システムにおいて光ビームと相互作用する光学面を含む光学素子に印加される力量と、の1つ又は複数を含んでもよい。現在の動作条件に対する、光学システムの動作条件の変更の表示が受信されてもよく、現在の動作条件用の特性のターゲット値は、格納データから決定されてもよい。ターゲット値は、決定されたターゲット値に設定されてもよい。光学システムの動作条件における変更の表示は、光学システムから放射された光ビームの繰り返し率の、新しい繰り返し率への変更の表示を含んでもよく、繰り返し率における変更の表示は、光学システムから光ビームを受信するリソグラフィ露光装置から受信されてもよい。
【0009】
幾つかの実装において、光ビームの特性の測定値にアクセスすることは、初回及び2回目に、光ビームの特性の値を測定することを含み、2回目は、初回の後で光ビームにおけるコヒーレンス量の調整後に行われる。2回目における光ビームの特性の値は、ターゲット値と比較されてもよく、第2の制御信号を生成するかどうかは、比較に基づいて決定されてもよい。
【0010】
別の一般的な態様において、光学システムを制御する方法は、複数の動作条件で光学システムから放射された光ビームの特性の値を取得することであって、特性の取得値が、光ビームにおけるコヒーレンス量と関連付けられ、動作条件のそれぞれが、光学素子に関係する1つ又は複数の動作パラメータ及び状態情報と関連付けられ、光学素子が、光ビームの特性の取得値を少なくとも部分的に決定するために、光ビームと相互作用する光学面を含むこと、各動作条件用に特性の取得値及び光学素子に関係する状態情報を格納すること、現在の動作条件で光学システムを操作することであって、現在の動作条件が、光学素子に関係する動作パラメータ及び現在の状態情報の1つ又は複数における現在値に関連付けられること、光学システムの現在の動作条件における変更の表示を受信することであって、変更の表示が、動作パラメータの1つ又は複数における新しい値を含むこと、新しい値に関連する光学素子に関係する状態情報を格納データから決定すること、及び決定された状態情報に基づいたコマンド信号を光学素子に印加すること、を含む。
【0011】
実装は、次のフィーチャの1つ又は複数を含んでもよい。光ビームの特性の取得値は、複数の動作条件のそれぞれのための光ビームにおける許容可能なコヒーレンス量と関連付けられてもよく、決定された状態情報を光学素子に適用した後で、光ビームの特性の別の値が、光ビームの特性の値を測定することによって取得されてもよい。別の値は、1つ又は複数の動作パラメータの新しい値に関連する特性の取得値と比較されてもよい。特性の別の値が許容可能であるかどうかは、比較に基づいて決定されてもよい。
【0012】
状態情報及び決定された状態情報は、光学素子に印加される力量を含んでもよく、特性の別の値が許容可能ではない場合に、第3の力量が、新しい力及び所定に定数に基づいて決定されてもよい。
【0013】
光学素子に関係する状態情報は、光学素子の面の位置を含んでもよい。
【0014】
光学素子に関係する状態情報は、光学素子に印加される力量を含んでもよく、力は、光学素子の面の位置を決定するのに十分である。
【0015】
別の一般的な態様において、光源用のシステムは、光カプラと、第1の光学素子を含む第1の光学システムと、第2の光学素子を含む第2の光学システムと、第1の光学システムと第2の光学システムとの間の利得媒体と、を含み、第1の光学素子、第2の光学素子及び光カプラは、閉路を規定し、閉路の少なくとも一部は、利得媒体を通過し、第1の光学素子及び第2の光学素子の1つ又は複数は、閉路を伝搬する光ビームと相互作用するように配置された光反射面を含み、面は、複数の部分を含み、部分の少なくとも1つは、他のセグメントの表面プロファイルとは相異なる表面プロファイルを有する。
【0016】
実装は、次のフィーチャの1つ又は複数を含んでもよい。第1の光学素子は、複数の部分を備えた面を含むことができ、部分の少なくとも1つは、ミラーであってもよく、部分の少なくとも1つは、格子であってもよい。部分は、互いに隣接していてもよく、少なくとも1つの部分が隣接部分に対して可動であるように、可撓性部材が、何れかの2つの隣接部分間にあってもよい。幾つかの実装において、何れかの部分が、隣接部分に対して可動である。部分における表面プロファイルは、部分の曲率半径及び表面特徴の1つ又は複数によって決定されてもよい。
【0017】
別の一般的な態様において、光源用のシステムは、光カプラと、第1の反射光学素子を含む第1の光学システムと、第2の反射光学素子を含む第2の光学システムと、第1の光学システムと第2の光学システムとの間の利得媒体と、を含み、第1の反射光学素子、第2の反射光学素子、及び光カプラは、閉路を規定し、閉路の少なくとも一部は、利得媒体を通過し、第2の反射光学素子は、複数の別個の反射面を含み、別個の反射面の第1の面は、利得媒体から光ビームを受信するように、且つ別個の反射面の第2の面に光ビームを反射するように配置され、別個の反射面の第2の面は、第1の別個の反射面から光ビームを受信するように、且つ利得媒体の中に光ビームを反射するように配置され、別個の反射面の少なくとも1つは、他の反射面から物理的に分離された、且つ他の反射面に対して可動な1つ又は複数の面である。
【0018】
第2の光学素子の別個の反射面の少なくとも1つは、他の反射面に対して可動であってもよく、第2の光学システムはまた、少なくとも1つの可動な反射面に結合されたアクチュエータを含んでもよく、アクチュエータは、コマンド信号に応じて、可動な反射面を移動させるように構成される。
【0019】
別の一般的な態様において、システムは、パルス光ビームを増幅するように構成された光学システムであって、パルス光ビームが、繰り返し率を有し、光学システムが、光カプラと、第1の光学素子と、利得媒体と、第2の光学素子であって、利得媒体が、第1の光学素子と第2の光学素子との間にあり、第1の光学素子、第2の光学素子、及び光カプラが、利得媒体を通過する閉路を規定する第2の光学素子と、を含む光学システムと、増幅されたパルス光ビームを受信するように構成されたリソグラフィ露光装置と、光学システム及びリソグラフィ露光装置に結合された制御システムであって、制御システムが、第1の繰り返し率から第2の繰り返し率にパルス光ビームの繰り返し率を変更する要求を受信するように、第2の繰り返し率でパルス光ビームの特性の値を決定するように、特性の値が許容可能かどうかを決定するように、且つ特性の値が許容可能ではない場合に、特性の決定値に基づいてコマンド信号を生成し、コマンド信号を光学システムに供給し、コマンド信号が、光学システムの閉路を伝搬する光と相互作用する制御可能な光学素子を物理的に修正するのに十分であるように構成された制御システムと、を含む。
【0020】
実装は、次のフィーチャの1つ又は複数を含んでもよい。パルス光ビームの特性の値は、パルス光ビームの1つ又は複数のパルスにおけるコヒーレンスの尺度であってもよい。
【0021】
制御システムは、コマンド信号を光学システムに供給した後で、特性の値が許容可能かどうかを決定するように更に構成されてもよい。
【0022】
第2の繰り返し率でパルス光ビームの特性の値を決定することは、制御可能な光学素子に印加された力量の値にアクセスすることを含んでもよく、制御可能な光学素子にコマンド信号を供給することは、制御可能な光学素子に相異なる力量を印加することを含んでもよい。
【0023】
第2の繰り返し率でパルス光ビームの特性の値を決定することは、光学システムが第2の繰り返し率で動作する場合に、パルス光ビームの発散度を測定することを含んでもよい。
【0024】
第2の繰り返し率でパルス光ビームの特性の値を決定することは、電子記憶装置に格納されたパルス光ビームの特性の値にアクセスすることを含んでもよい。電子記憶装置に格納されたパルス光ビームの特性の値は、以前に、且つ光学システムが第2の繰り返し率で動作した間に測定された値であってもよい。
【0025】
繰り返し率を変更する要求は、リソグラフィ露光装置から受信されてもよい。
【0026】
制御システムはまた、オペレータインターフェイスを含んでもよく、オペレータインターフェイスは、リソグラフィ露光装置とのオペレータ相互作用を可能にするように構成され、繰り返し率を変更する要求は、オペレータインターフェイスから受信されてもよい。
【0027】
光学システムはまた、利得媒体を励起するように構成された電極を含んでもよく、パルス光ビームの繰り返し率は、電極の点火パターンを制御することによって制御可能であってもよく、発射パターンは、電極が利得媒体を励起させるのに十分なアクティブ状態である場合を明示する。
【0028】
制御可能な光学素子は、第1の光学素子及び第2の光学素子の1つ又は複数であってもよい。
【0029】
本明細書において上記で説明された技術の何れかにおける実装は、プロセス、装置、制御システム、非一時的な機械可読コンピュータ媒体上に格納された命令、及び/又は方法を含んでもよい。1つ又は複数の実装の詳細は、添付の図面及び以下の説明において明らかにされる。他のフィーチャは、説明及び図面から、且つ特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】フォトリソグラフィシステムの例のブロック図である。
図1B図1Aのフォトリソグラフィシステムにおいて用いられるマスクの例のブロック図である。
図2】別の例示的なフォトリソグラフィシステムのブロック図である。
図3A】フォトリソグラフィシステムの一部である光源を制御するために用いられる信号の例のグラフである。
図3B】フォトリソグラフィシステムの一部である光源を制御するために用いられる信号の例のグラフである。
図3C】フォトリソグラフィシステムの一部である光源を制御するために用いられる信号の例のグラフである。
図4】フォトリソグラフィシステムの別の例のブロック図である。
図5A】フォトリソグラフィシステムの別の例のブロック図である。
図5B図4及び5Aのシステムの共振キャビティのx-y平面における側面図である。
図5C図5Bの共振キャビティのy-z平面における側面図である。
図6】例示的な反射光学素子の側面図である。
図7】例示的な反射光学素子の側面図である。
図8】例示的な反射光学素子の側面図である。
図9】例示的な反射光学素子の側面図である。
図10】例示的なビーム回転光学システムの側面図である。
図11A】例示的なビーム回転光学システムの側面図である。
図11B】例示的なビーム回転光学システムの側面図である。
図12】例示的なビーム回転光学システムの側面図である。
図13】例示的なビーム回転光学システムの側面図である。
図14】光学システムを制御するための例示的なプロセスの流れ図である。
図15】光学システムを制御するための例示的なプロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1Aを参照すると、フォトリソグラフィシステム100は、リソグラフィ露光装置115に光ビーム160を供給する光源105を含み、リソグラフィ露光装置115は、ウェーハ120を処理する。光ビーム160は、時間において互いに分離された光パルスを含むパルス光ビームである。リソグラフィ露光装置115は、光ビーム160が、ウェーハ120に到達する前に通る投影光学システム125と、検出器122と、を含む。検出器122は、例えばウェーハ120のイメージ若しくはウェーハ120における光ビーム160を捕捉できるカメラ若しくは他のデバイス、又はx-y平面においてウェーハ120のビーム160の強度などのビーム160の特徴を示すデータを捕捉できる光検出器であってもよい。リソグラフィ露光装置115は、液浸システム又はドライシステムとすることができる。フォトリソグラフィシステム100はまた、光源105を制御するための制御システム150を含んでもよい。制御システム150を含む実装において、制御システム150は、光源105に結合され、且つまたリソグラフィ露光装置115に結合されてもよい。
【0032】
例えば、ウェーハ120上の放射感応性フォトレジスト材料の層を光ビーム160で露光することによって、マイクロ電子フィーチャが、ウェーハ120上に形成される。また図1Bを参照すると、投影光学システム125は、スリット126、マスク124、及び投影レンズ127を含む。光ビーム160は、投影光学システム125に到達した後で、スリット126を通過する。図1A及び1Bの例において、スリット126は、長方形であり、且つ長尺状の長方形状の光ビームへと光ビーム160を成形する。次に、この成形された光ビームは、マスク124を通過する。パターンが、マスク124上で形成され、パターンは、成形された光ビームのどの部分が、マスク124によって透過されるか、及びどの部分が、マスク124によってブロックされるかを決定する。パターンの設計は、ウェーハ120上に形成されることになる特定のマイクロ電子回路設計によって決定される。マスク124によって透過される成形された光ビームの部分は、投影レンズ127を通過し(且つ投影レンズ127によって合焦され得)、ウェーハ120を露光する。
【0033】
クリティカルディメンジョン(CD)は、システム100によってウェーハ120上に印刷できる最小のフィーチャサイズであるが、光ビーム160の波長に依存する。光源105は、中心波長において名目上の波長を有する光を生成する。システム100によって露光されるウェーハ120及び他のウェーハ上に印刷されたマイクロ電子フィーチャの均一なCDを維持するために、光ビーム160の中心波長は、期待若しくはターゲット中心波長に、又はターゲット波長のまわりの一連の波長内にとどまるべきである。従って、中心波長をターゲット中心波長に維持することに加えて、光ビーム160の帯域幅(光ビーム160における波長の範囲)を小さく又は狭くすることが望ましい。様々な技術が、光ビーム160の帯域幅を低減させるために用いられ得る。例えば、光ビーム160は、光ビーム160から幾つかの波長を除去し、一方で他の波長を保持する、格子などの分散光学素子との相互作用を介して狭くされてもよい。しかしながら、かかる帯域幅低減技術は、光ビーム160のコヒーレンスを増加させ得る。コヒーレンスの増加は、スペックルにつながり、その存在は、CDにおける望ましくない変動を引き起こす可能性がある。
【0034】
光ビーム160は、電磁界であり、且つ空間及び/又は時間コヒーレンスを示し得る。ビーム160は、相異なる位置における電磁界の位相が同じである場合に、空間コヒーレンスを有する。ビーム160は、単一の位置における電磁界の位相が、相異なる時刻に同じである場合に、時間コヒーレンスを有する。ビーム160が、空間及び/又は時間コヒーレンスを有する場合に、ビーム160における波面は、互いにランダムに干渉してスペックルを生成する可能性がある。スペックルは、光ビーム160における空間及び/又は時間ノイズを引き起こし、スペックルは、光学システム125及び/又はウェーハ120のx-y平面において、不均一な強度プロファイルを有するスペックルパターンを引き起こす可能性がある。
【0035】
従って、ビーム160が、高度にコヒーレントである場合に、スペックルが、ビーム160に存在し、投影光学システム125及び/又はウェーハ120に送出される光は、ノイズを含む。例えば、ウェーハ120における光は、ビーム160によって送出されるが、x-y平面において不均一な強度を有する可能性があり、この不均一性は、フォトレジストの不均質な露光及びCDにおける変動に帰着し得る。例えば、スペックルは、マイクロ電子フィーチャを構築するフォトレジストの露光領域のサイズの変動に帰着し、フィーチャを不適当に形成させ、不完全にする可能性がある。
【0036】
以下で説明される技術は、光ビーム160の帯域幅を増加させずに、光ビーム160のコヒーレンスを低減し、それによってスペックルの量を低減する。以下でより詳細に説明されるように、光ビーム160のコヒーレンスは、光ビーム160のモード内容を変更することによって低減される。モード内容は、例えば、共振キャビティを規定する1つ又は複数の光学素子の操作又は再配置を通して、光源105の共振キャビティを修正することによって変更され得る。共振キャビティの例が、図2、4、5A、5B及び5Cに関連して以下で説明される。図6~13は、光ビーム160のコヒーレンスを変更できるようにする方法において調整可能な1つ又は複数の光学素子を含む光学素子を示す。共振キャビティに対する修正は、製造時になされるか、現場において人間オペレータによって実行されるか、又は光源105が動作し光を生成する間に、制御システム150を用いて閉ループ方法で制御されてもよい。幾つかの実装(図5、14及び15に関連して説明される例など)において、光ビーム160のコヒーレンスは、リソグラフィ露光装置115からのコマンドに応じて変更されてもよい。
【0037】
幾つかの実装において、光ビーム160におけるコヒーレンス量が調整されるべきかどうかを決定するために、例えば光ビーム160の発散度など、光ビーム160のコヒーレンスに関係する特徴が測定される。電磁ビーム(光ビーム160など)の発散度は、ビームが伝搬方向と平行な平面においてアパーチャから離れるように伝搬するので、ビームサイズにおいて増加の角測度である。従って、ビーム160の発散度は、伝搬方向に垂直な平面において、ビーム160の直径における増加に基づき得る。例えば、光ビーム160が、伝搬方向に垂直な平面において、円形断面を有する実装において、ビーム160の発散度は、ビーム160の半径における増加に基づき得る。幾つかの実装において、光ビーム160は、長方形断面を有してもよく、ビームの発散度は、垂直及び水平方向のどちらか又は両方における増加に基づき得る。電磁波(ビーム160など)の発散度は、波のコヒーレンスが低減するにつれて増加する。ビーム160のコヒーレンスが低減されるべきかどうかを決定するために、ビーム160の特性が測定され得る実装の例が、図5、14及び15に関連して説明される。
【0038】
光ビーム160のコヒーレンスを低減させるための技術の詳細を説明する前に、光源105の例示的な実装が、図2及び3A~3Cに関連して説明される。
【0039】
同様に図2を参照すると、例示的なフォトリソグラフィシステム200のブロック図が示されている。フォトリソグラフィシステム200において、例示的な光源205が、光源105(図1)として用いられる。光源205は、パルス光ビーム260を生成し、パルス光ビーム260は、リソグラフィ露光装置115に供給される。光源205は、例えばパルス光ビーム260(レーザビームとすることができる)を出力するエキシマ光源とすることができる。パルス光ビーム260が、リソグラフィ露光装置115に入ると、パルス光ビーム260は、投影光学システム125を通って導かれ、ウェーハ120上に投影される。このように、1つ又は複数のマイクロ電子フィーチャが、ウェーハ120におけるフォトレジスト上にパターン化され、次にウェーハ120は、後続のプロセスステップに先立って現像されて洗浄され、プロセスは、繰り返す。フォトリソグラフィシステム200はまた、制御システム150を含み、制御システム150は、図2の例において、システム200の様々な動作を制御するために、リソグラフィ露光装置115と同様に光源205のコンポーネントに接続される。
【0040】
図2に示されている例において、光源205は、パワー増幅器(PA)230にシード光ビーム224を供給する主発振器(MO)212を含む2段レーザシステムである。MO212及びPA230は、光源205のサブシステム、又は光源205の一部であるシステムと見なされてもよい。パワー増幅器230は、主発振器212からシード光ビーム224を受信し、且つリソグラフィ露光装置115における使用のための光ビーム260を生成するために、シード光ビーム224を増幅する。例えば、主発振器212は、パルス当たり約1ミリジュール(mJ)のシードパルスエネルギを備えたパルスシード光ビームを放射することができ、これらのシードパルスは、パワー増幅器230によって約10~15mJに増幅することができる。
【0041】
主発振器212は、2つの長尺状電極217を有する放電チャンバ240と、ガス混合物である利得媒体219と、電極217間でガスを循環させるためのファンと、を含む。共振器が、放電チャンバ240の一側におけるライン狭幅化モジュール216と、放電チャンバ240の第2の側における出力カプラ218と、の間に形成される。ライン狭幅化モジュール216は、放電チャンバ240のスペクトル出力を細かく調整する格子などの回折光学部品を含むことができる。主発振器212はまた、出力カプラ218からの出力光ビームを受信するライン中心解析モジュール220と、シード光ビーム224を形成するために必要とされるような出力光ビームのサイズ又は形状を修正するビーム結合光学システム222と、を含む。ライン中心解析モジュール220は、シード光ビーム224の波長を測定又は監視するために使用できる測定システムである。ライン中心解析モジュール220は、光源205における他の位置に配置できるか、又はそれは、光源205の出力部に配置することができる。
【0042】
放電チャンバ240において用いられるガス混合物は、用途に要求される波長及び帯域幅で光ビームを生成するのに適した何れかのガスとすることができる。エキシマ源用に、ガス混合物は、バッファガスとして、例えばアルゴン又はクリプトンなどの希ガス(レアガス)と、例えばフッ素又は塩素などのハロゲンと、例えばヘリウム及び/又はネオンを除いて微量のキセノンを含有してもよい。ガス混合物の具体例は、約193nmの波長で光を放射するフッ化アルゴン(ArF)か、約248nmの波長で光を放射するフッ化クリプトン(KrF)か、又は約351nmの波長で光を放射する塩化キセノン(XeCl)を含む。エキシマ利得媒体(ガス混合物)は、長尺状電極217への電圧の印加によって、高電圧放電において短い(例えばナノ秒)電流パルスを送り込まれる。
【0043】
パワー増幅器230は、主発振器212からシード光ビーム224を受信する、且つ放電チャンバ240を通してビーム回転光学素子252に光ビームを導くビーム結合光学システム232を含み、ビーム回転光学素子252は、シード光ビーム224が放電チャンバ240へと逆に送られるように、シード光ビーム224の方向を修正又は変更する。
【0044】
放電チャンバ240は、1組の長尺状電極241と、ガス混合物である利得媒体219と、電極241間でガス混合物を循環させるためのファンを含む。
【0045】
出力光ビーム260は、帯域幅解析モジュール262を通して導かれ、そこにおいてビーム260の様々なパラメータ(帯域幅又は波長など)が測定され得る。出力光ビーム260はまた、パルスストレッチャ通して導くことができ、パルスストレッチャにおいて出力光ビーム260のパルスのそれぞれは、リソグラフィ露光装置115に衝突する光ビームの性能特性を調整するために、例えば、光遅延ユニットで時間において引き伸ばされる。
【0046】
制御システム150は、光源205の様々なコンポーネントに接続されてもよい。例えば、制御システム150は、1つ又は複数の信号を光源205に送信することによって、光源205が、光パルス、又は1つ又は複数の光パルスを含む光パルスバーストをいつ放射するかを制御してもよい。光ビーム260は、時間において互いに分離される1つ又は複数のバーストを含むことができる。各バーストは、1つ又は複数の光パルスを含むことができる。幾つかの実装において、バーストは、何百ものパルス、例えば100~400パルスを含む。
【0047】
光ビーム260(及び光ビーム160)は、パルス光ビームである。以下で説明されるコヒーレンス低減技術は、パルスごとに適用されてもよい。換言すれば、コヒーレンス量(及び従ってスペックル量)は、個別のパルス用に制御されてもよい。加えて、各パルスにおけるスペックル量は、リソグラフィ露光装置115からのコマンド信号に基づいて制御されてもよい。コヒーレンス低減技術を説明する前に、図3A~3Cは、光源205におけるパルスの生成の概観を提供する。図3Aは、時間の関数としてウェーハ露光信号300の振幅を示し、図3Bは、時間の関数としてゲート信号315の振幅を示し、図3Cは、時間の関数としてトリガ信号の振幅を示す。
【0048】
制御システム150は、光ビーム260を生成するように光源205を制御するために、ウェーハ露光信号300を光源205に送信するように構成することができる。図3Aに示されている例において、ウェーハ露光信号300は、光源205が光パルスバーストを生成する間である期間307用の高値305(例えば1)を有する。別の状況で、ウェーハ120が露光されていない場合に、ウェーハ露光信号300は、低値310(例えば0)を有する。
【0049】
図3Bを参照すると、光ビーム260は、パルス光ビームであり、光ビーム260は、パルスバーストを含む。制御システム150はまた、ゲート信号315を光源205に送信することによって、パルスバーストの期間及び周波数を制御する。ゲート信号315は、パルスバーストの間に高値320(例えば1)を、且つ連続バースト間の時間中に低値325(例えば0)を有する。図示の例において、ゲート信号315が高値を有する期間はまた、バースト316の期間である。バーストは、バースト間の時間間隔によって、時間において分離される。バースト間の時間間隔中に、リソグラフィ走査装置115は、露光用のウェーハ120に次のダイを配置してもよい。
【0050】
図3Cを参照すると、制御システム150はまた、トリガ信号330を用いて、各バースト内のパルスの繰り返し率を制御する。トリガ信号330は、トリガ340を含み、その1つは、光源205に光パルスを生成させるために、光源205に供給される。制御システム150は、パルスが生成されることになるたびに、光源205にトリガ340を送信することができる。従って、光源205によって生成されたパルスの繰り返し率(2つの連続パルス間の時間)は、トリガ信号330によって設定することができる。
【0051】
上記で説明されたように、利得媒体219が、電極217に電圧を印加することによって励起される場合に、利得媒体219は、光を放射する。電圧が、パルスで電極217に印加される場合に、媒体219から放射される光もまたパルス化される。従って、パルス光ビーム260の繰り返し率は、電圧が電極217に印加される比率によって決定され、電圧の各印加は、光パルスを生成する。光パルスは、利得媒体219を通って伝搬し、且つ出力カプラ218を通ってチャンバ214を出る。従って、パルス列は、電極217への電圧の周期的な反復印加によって生成される。トリガ信号330は、例えば、電極217への電圧の印加及びパルスの繰り返し率を制御するために用いることができ、パルスの繰り返し率は、ほとんどの用途に約500~6,000Hzにわたり得る。幾つかの実装において、繰り返し率は、6,000Hzより大きくすることができ、且つ例えば12,000Hz以上とすることができる。
【0052】
制御システム150からの信号はまた、主発振器212及びパワー増幅器230のそれぞれのパルスエネルギ、並びに従って光ビーム260のエネルギを制御するために、主発振器212及びパワー増幅器230内の電極217、241をそれぞれ制御するために使用することができる。電極217に供給される信号と電極241に供給される信号との間には遅延が存在し得る。遅延量は、パルス光ビーム260におけるコヒーレンス量に影響を及ぼし得る。例えば、シード光ビーム224のパルスのコヒーレンスは、時間において変化し、前端(時間的に最初に発生するパルスの部分)は、最小のコヒーレンスを有し、パルスの後で発生する部分は、最大のコヒーレンスを有し得る。電極217に供給される信号と電極241に供給される信号との間の遅延は、パルスのどの部分が増幅されるかを決定する。従って、より大きな遅延は、より多くのコヒーレンスを備えたパルスに帰着し、より短い遅延は、より少ないコヒーレンスを備えたパルスに帰着する。
【0053】
パルス光ビーム260は、例えば約50W~約130Wにおける数十ワットの範囲における平均出力パワーを有することができる。出力部における光ビーム260の放射照度(即ち、単位エリアの平均電力)は、60W/cm~80W/cmに及ぶことができる。
【0054】
図4を参照すると、例示的な光リソグラフィシステム400のブロック図が示されている。光リソグラフィシステム400は、リソグラフィ露光装置115に光ビーム460を供給する光学システム405を含む。光学システム405は、図2に関連して説明されたパワー増幅器(PA)230に似ていてもよい。光学システム405は、ビーム結合光学システム432において入力光ビーム424を受信する。入力光ビーム424は、図2の主発振器(MO)212に似ているレーザ又は光源によって生成されてもよい。幾つかの実装において、MO212に似ている主発振器が、光リソグラフィシステム400に含まれる。
【0055】
図4に示されている実装において、ビーム結合光学システム432は、光カプラ433及び反射光学素子434を含む。光カプラ433は、入力光ビーム424における波長の少なくとも幾つかを透過する材料から作製され、且つ入力光ビーム424における波長の全てを透過してもよい。入力光ビーム424は、光カプラ433を通過し、且つ反射光学素子434から反射される。反射光学素子434は、光ビーム424を反射できる何れかのタイプの光学素子であってもよい。例えば、反射光学素子434は、ミラーであってもよい。図6~9は、光学素子434として使用され得る光学素子の例を示す。
【0056】
光カプラ433及び反射光学素子434は、入力光ビーム424が、光カプラ433を通過し、且つ光学素子434から放電チャンバ440の中へと反射するように、互いに且つ入力光ビーム424の伝搬方向に関連して配置され、放電チャンバ440は、利得媒体419を含む。放電チャンバ440及び利得媒体419は、図2に関連して上記で説明された放電チャンバ240及び利得媒体219にそれぞれ似ていてもよい。
【0057】
図4の例において、光カプラ433及び反射光学素子434は、反射光学素子434が、放電チャンバ440の中に入力ビーム424を導くように、互いに物理的に接触し、且つ角度を付けられる。しかしながら、他の実装において、光カプラ433及び反射光学素子434は、物理的に接触せずに、互いに対して角度を付けられてもよい。
【0058】
反射光学素子434から反射した後で、入力ビーム424は、ビーム回転光学システム452へと放電チャンバ440及び利得媒体419を伝搬する。ビーム回転光学システム452は、ビーム424が、伝搬方向を変更し、且つ再び利得媒体419を通過するように、ビーム424を回転させるように配置される少なくとも1つの光学素子を含む。ビーム424は、それが、ビーム回転光学システム452によって回転された後で、ビーム回転光学システム452の方へ伝わるときのビーム424の経路と一致しない経路に沿って利得媒体419を通過してもよい。このように、ビーム424は、放電チャンバ440を通る閉リング経路443(破線)に従う。例えば、ビーム回転光学システム452は、ミラー、コーナキューブリフレクタ、部分反射光学素子、及び/又はかかる素子の組み合わせを含んでもよい。図10~13は、ビーム回転光学システム452として用いられ得る素子の例を示す。
【0059】
ビーム回転光学システム452によって回転された後で、入力ビーム424は、ビーム結合光学システム432の方へ利得媒体419を伝搬し増幅される。入力ビーム424は、光カプラ433に衝突し、光カプラ433は、入力ビーム424における波長に対して少なくとも部分的に透過性であり、入力ビーム424の一部は、出力ビーム460として光カプラ433を通過する。出力ビーム460は、リソグラフィ露光装置115に供給される。光カプラ433を透過されない入力ビーム424の部分は、光カプラ433から反射され、且つ再び閉路443を巡る。
【0060】
光カプラ433、反射光学素子434、及びビーム回転光学システム452は、共振キャビティ457を規定する。キャビティ457は、ビーム424が伝搬する閉路443を規定する。図4及び5Aにおいて、閉路443は、破線で表現される。閉路443の少なくとも一部は、利得媒体419を通過する。経路443は、閉じられている。何故なら、経路443に入る光が、経路443に沿った1つ又は複数のポイントで、それ自体と交差し重なり合うからである。図4の例において、交差は、光カプラ433において発生する。閉路443は、リング、円若しくは楕円ループ、多角形ループ、又は自らにおいて逆に反射しない部分を少なくとも有する何れかの他のループ状の閉路であってもよい。図4の例などの幾つかの実装において、閉路443の一部は、キャビティ457における閉路443の別の部分と交差してもよい。
【0061】
共振キャビティ457はまた、図4に示されていない追加の素子を含んでもよい。例えば、共振キャビティ457は、ビーム結合光学システム432と利得媒体419との間に分散光学システムを含んでもよい。分散光学システムは、反射素子434からビーム424を受信し、且つ光を縮小し、利得媒体419を通過する空間的に狭いビームを生成する。ビーム424が、ビーム回転システム452から返され、且つ利得媒体419を通過した後で、分散光学システムは、ビーム424が光カプラ433に到達する前に、ビーム424を拡大する。分散光学システムは、プリズム及び/又は格子などの分散光学素子の集合を含んでもよい。分散光学システムは、ビーム結合光学システム432の一部であってもよい。
【0062】
図5Aを参照すると、別の例示的な光リソグラフィシステム500(光学システム505を含む)のブロック図が示されている。光リソグラフィシステム500は、光リソグラフィシステム500が制御システム550を含むことを除いて、光リソグラフィシステム400(図4)と同じである。制御システム550は、光学システム505の使用中に、キャビティ457を調整するために、コマンド信号(コマンド信号555及び557のどちらか又は両方であってもよい)を光学システム505に供給する。
【0063】
光リソグラフィシステム500は、ビーム460の一部551を制御システム550に供給する光ビーム監視光学システム562を含んでもよい。光ビーム監視光学システム562を含む実装において、制御システム550及び光ビーム監視光学システム562は、光学システム505が動作する間に、ビーム460におけるコヒーレンス量を調整するために用いられる閉ループフィードバックシステムを実現する。光ビーム監視光学システム562から部分551を受信することの代替又は追加として、制御システムは、リソグラフィ露光装置115からコマンド信号553を受信してもよい。コマンド信号553は、ビーム460におけるコヒーレンス量を示す検出器122からのデータを含んでもよい。
【0064】
光ビーム監視光学システム562又は制御信号553が、制御システム550にデータを供給するかどうかにかかわらず、制御システム550は、測定データに基づいてビーム460の特性の値を決定する、且つビーム460のコヒーレンスが許容可能な量を超過することを値が示す場合にキャビティ457を調整する閉ループフィードバックシステムを実現する。許容可能なコヒーレンス量は、範囲又は単一値であってもよい。範囲は、閾値、即ちその上ではコヒーレンスが許容可能ではない閾値によって規定されてもよい。閉ループフィードバックシステムは、パルスごとにビーム460のコヒーレンスを制御するために用いられてもよい。
【0065】
ビーム460のコヒーレンス(及び発散度)は、光ビーム460のモード内容を制御することによって調整されてもよい。光ビーム460は、モードを含み、モードは、キャビティ457のジオメトリによって少なくとも部分的に決定される離散的な共振条件である。ビーム460は、キャビティ457がサポートできるモードと一致する電磁波だけを含む。従って、キャビティ457によってサポートされるモードは、光ビーム460のモード内容を集合的に構成する。同様に、x-y及びy-z平面におけるキャビティ457の側断面図である図5B及び5Cをそれぞれ参照すると、共振キャビティ457は、長手方向又は軸モード(x-y平面における、且つキャビティの長手方向軸413に沿った)、及び横又は横断モード(長手方向軸413に垂直なy-z平面における)をサポートする。
【0066】
長手方向モードは、キャビティ457における電磁波によって形成された定常波パターンであると考えられてもよく、定常波の周波数は、ビーム460に含まれる離散周波数に対応する。キャビティ457にサポートされる定常波は、x-y平面においてキャビティ457の断面ジオメトリによって少なくとも部分的に決定される。横モードは、y-z平面においてキャビティ457のジオメトリによって少なくとも部分的に支配される。横モードは、水平(y方向)及び垂直成分(z方向)を有してもよく、横モードは、y-z平面においてビーム460の強度分布を決定する。従って、キャビティ457のジオメトリを変更することによって、例えばキャビティ457において光と相互作用する光学素子の形状を変更することによって、ビーム460のモード内容は、変更され得る。例えば、反射光学素子434及び/又はビーム回転システム452に含まれる素子は、図6~13に関連して説明されるように調整されることによって、形状を変更し得る。
【0067】
ビーム460のモード内容はまた、キャビティ457における温度、キャビティ457における圧力、ビーム460の繰り返し率、及びビーム460のデューティサイクルなどの運転条件によって影響される可能性がある。利得媒体419は、キャビティ457における電極を放電させることによって励起され、ビーム460の繰り返し率及びデューティサイクルは、放電の周波数及び期間によって決定される。電極が放電する場合に、音波が、媒体419に生じる。音波は、媒体419の屈折率を乱す圧力変動を引き起こす。屈折率の乱れは、局所的であり、従って音波は、放電チャンバ440において媒体419の屈折率を空間的に変動させる可能性がある。屈折率における変動は、チャンバ440を伝搬するビーム424の方向を変化させる可能性があり、媒体419は、未知の及び/又は変化する伝達関数を備え、キャビティ457のアパーチャとして働くと考えられ得る。媒体419が、キャビティ457におけるアパーチャとして働くので、媒体419はまた、キャビティ457を伝搬できるモードを部分的に決定する。従って、媒体419の屈折率の乱れはまた、キャビティ457から放射されるビームのモード内容に影響し、それによって、ビーム460のコヒーレンス及び発散度に影響する。例えば乱れの振幅、位置、及び量などの乱れの特徴は、キャビティ457における条件と共に変動し得る。かかるものとして、ビーム460の繰り返し率又は何れか他の動作条件を変化させることは、予測不能な形でビーム460のコヒーレンスを変化させる可能性がある。従って、システム500が、動作し且つビーム460を生成している間に、キャビティ457が、ビーム460のコヒーレンスを低減するように調整されるべきかどうかを決定するために、ビーム460を監視することが望ましくなり得る。
【0068】
制御システム550は、システム500の動作中に、ビーム460が監視され、且つビーム460のコヒーレンスが、反射光学素子434及び/又はビーム回転光学システム452の調整を通して制御され得るようにする。
【0069】
制御システム550は、入力/出力(I/O)インターフェイス567を通してコマンドを受信してもよい。コマンドは、リソグラフィ露光装置115から生じ、及び/又はオペレータ若しくは自動プロセスから直接来てもよい。制御システム550はまた、コマンド信号553を受信しもよく、コマンド信号553は、検出器122からの、ビーム460に関係するデータを含んでもよい。幾つかの実装において、制御システム550は、ビーム460に関係するデータを計測モジュール568から受信する。制御システム550は、ビーム回転システム452及びビーム結合光学システム432のどちらか又は両方にコマンド信号に555、557をそれぞれ供給する。
【0070】
制御システム550は、電子プロセッサ564、電子記憶装置566、入力/出力(I/O)インターフェイス567、及び計測モジュール568を含む。計測モジュール568は、光ビーム監視光学システム562からビーム460の部分551を受信し、部分551に基づいてビーム460の特性を決定する。計測モジュール568は、何れかの光学素子、光学素子の集合、及び/又はビーム460の1つ又は複数の特性を測定する器具類を含んでもよい。例えば、計測モジュール568は、光ビーム監視光学システム562によって供給されるビーム460の部分を撮像するカメラを含んでもよい。カメラからのイメージは、ビーム発散度及び強度などのビーム460の特性を決定するために用いられてもよい。計測モジュール568は、ビーム460の特性を評価できる他の素子を含んでもよい。例えば、計測モジュール568は、ビーム発散度を測定するために用いられ得る可変アパーチャ、ピンホール、及び他の空間フィルタを含んでもよい。計測モジュール568はまた、光ビーム監視光学システム562から光を受信して導くミラー及びレンズ他の光学素子を含んでもよい。
【0071】
光ビーム監視光学システム562は、計測モジュール568にビーム460の一部を導くことができる何れかのデバイスを含んでもよい。例えば、光ビーム監視光学システム562は、制御装置の方へビーム460の幾らかを導くビームスプリッタであってもよい。図5Aに示されている例において、ビーム監視光学システム562は、ビーム結合光学システム432を通過したビーム460のサンプルを取得する。しかしながら、ビーム監視光学システム562は、他の位置に配置されてもよい。例えば、ビーム監視光学システム562は、リソグラフィ露光装置115の内部にあってもよい。幾つかの実装において、光リソグラフィシステム500は、ビーム結合光学システム432とリソグラフィ露光装置115との間に帯域幅解析モジュール(BAM)を含む。BAMは、図2の帯域幅解析モジュール262に似ていてもよく、BAMは、例えば帯域幅及び/又は波長など、ビーム560の様々なパラメータを測定する。これらの実装において、ビーム監視光学システム562は、BAMとリソグラフィ露光装置115との間に配置されてもよい。
【0072】
制御システム550はまた、電子プロセッサ564、電子記憶装置566、及びI/Oインターフェイス567を含む。電子プロセッサ564は、汎用又は専用マイクロプロセッサ、及び何れかの種類のデジタルコンピュータにおける何れか1つ又は複数のプロセッサなど、コンピュータプログラムの実行に適した1つ又は複数のプロセッサを含む。一般に、電子プロセッサは、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、又は両方から命令及びデータを受信する。電子プロセッサ564は、何れかのタイプの電子プロセッサであってもよい。
【0073】
電子記憶装置566は、RAMなどの揮発性メモリ、又は不揮発性メモリであってもよい。幾つかの実装において、電子記憶装置566は、不揮発性及び揮発性部分又はコンポーネントを含む。電子記憶装置566は、制御システム550及び/又は制御システム550のコンポーネントの動作において用いられるデータ及び情報を格納してもよい。情報は、例えばルックアップテーブル又はデータベースに格納されてもよい。例えば、電子記憶装置566は、相異なる動作条件及び性能シナリオの下で、ビーム460の様々な特性の値を示すデータを格納してもよい。例えば、電子記憶装置566は、相異なる繰り返し率及びキャビティ457の温度における光学システム505の最適性能に対応するビーム発散値を格納してもよい。追加又は代替として、電子記憶装置566は、ビーム回転システム452及びビーム結合光学システム432のどちらか又は両方に関係する設定を格納してもよい。
【0074】
電子記憶装置566はまた、恐らくコンピュータプログラムであって、実行された場合に、プロセッサ564に、制御システム550、光学システム505、及び/又はリソグラフィ露光装置115におけるコンポーネントと通信させるコンピュータプログラムとして命令を格納してもよい。例えば、命令は、計測モジュール568からの情報に基づいてビーム460の発散量を電子プロセッサ564に決定させる命令であってもよい。幾つかの実装において、命令は、共振キャビティ457を修正し、且つビーム460のコヒーレンスを低減するようにコンポーネントを移動させるために、ビーム回転システム452又はビーム結合光学システム432の1つ又は複数のコンポーネントへのコマンド信号を制御システム550に生成させ供給させる命令である。コンポーネントの移動は、コンポーネント又はコンポーネントの一部(光と相互作用するコンポーネントの表面など)の何れかのタイプの動きを含むことができる。例えば、移動は、コンポーネントの全て又は一部のシフティングと、回転(rotating)と、回転(turning)と、横方向の動きと、変形又は曲率量の変更を含む何れかの種類の形状の変更と、入射光ビームに対する角度の変更と、の1つ又は複数を含んでもよい。
【0075】
I/Oインターフェイス567は、制御システム550が、オペレータ、光学システム505、ビーム回転システム452、ビーム結合光学システム432、リソグラフィ露光装置115、及び/又は別の電子デバイス上を走る自動プロセスとデータ及び信号を受信及び/又は供給できるようにする何れかの種類の電子インターフェイスである。例えば、I/Oインターフェイス567は、ビジュアルディスプレイ、キーボード、及び通信インターフェイスの1つ又は複数を含んでもよい。
【0076】
図6~13は、反射光学素子434及びビーム回転光学システム452の様々な実装を示す。図6~9に示されている反射光学素子の何れも、反射光学素子434として用いられてもよく、図10~13に示されているビーム回転光学システムの何れも、ビーム回転光学システム452として用いられてもよい。光学システムは、図6~9に示されている反射光学素子の何れかを反射光学素子434として、及び/又は図10~13に示されているビーム回転光学システムの何れかをビーム回転光学システム452として含んでもよい。換言すれば、図6~9に示されている反射光学素子の何れも、図10~13に示されているビーム回転光学システムの何れかと共に用いられてもよい。
【0077】
図6~9は、反射光学素子634、734、834、934それぞれの側面図である。反射光学素子634、734、834、934のそれぞれは、光ビーム424を受信するために適応される反射面を有し、面は、面がどのように入射光を反射するかを決定する表面プロファイルを有する。表面プロファイルは、面の曲率半径、面の材料によって、及び/又は面の物理的特徴(例えば、面は、ブレーズ格子を含んでもよい)によって決定されてもよい。反射光学素子434が、共振キャビティ457の一部を形成するので、光学素子434の表面プロファイルは、共振キャビティ457における光のモード内容を決定する。
【0078】
図6は、x-y平面における光学素子634の側面図である。光学素子634は、軸679に沿ってz方向(ページの中へ及び/又はそこから外に)に延びる。光学素子634は、本体672を含み、本体672は、光反射面674を有する。光反射面674は、ビーム424における波長を反射する何れかのタイプの材料であってもよい。例えば、光反射面674は、ビーム424における波長を反射するように設計されたミラー又は多層誘電体スタックであってもよい。
【0079】
面674は、面法線671を規定する。反射面674は、面法線671に沿って入射光(ビーム424を含む)を反射する。反射面674は、x-y平面において湾曲され、従って面法線671は、x-y平面において1つを超える方向に延びる。反射面674は、例えば環状反射面(円筒状反射面など)又は別のタイプの非球面反射面であってもよい。図6に示されている例において、反射面674は、x-y平面においてビーム424に対して凸面である面674に帰着する曲率を有し、面法線671は、面674から放射状に外へ延びる。
【0080】
光学素子634はまた、1つ又は複数の剛性ファスナ675を含む。本体672は、加力676に応じて変形することができる。加力676は、例えば、ピエゾ(PZT)アクチュエータによって提供される機械力及び/又は空気圧シリンダに印加された空気圧であってもよい。加力676は、トルクを含む何れかの種類の力であってもよい。剛性ファスナ675は、力676が印加された場合に、本体672の一部を固定位置に保持する。力676が印加されている間に本体672の一部を固定位置に保持することによって、剛性ファスナ675は、剛性ファスナ675によって保持されない本体672の別の部分が、力676の印加に応じて変形できる(例えば形状を変える)ようにする。
【0081】
剛性ファスナ675は、本体672の一部と物理的に接触することによって、その部分を固定位置に保持する剛性ポストであってもよい。図6の例において、剛性ファスナ675は、2つのポストを含む。ポストの1つは、端部677aにおいて本体672に装着され、もう一方のポストは、端部677bにおいて本体672に装着される。
【0082】
図6に示されている例において、力676は、本体672の側面678に印加される。側面678は、面674の反対側にある。力676は、面674の曲率を変化させる方向に沿って印加される。図示の例において、力676は、本体672の中心において、面674の中心から延びる面法線671と平行な方向に印加される。側面678において力676を印加することによって、面674は、変形される。例えば、面674の曲率半径は、力676の印加に応じて1~10マイクロメートル(μm)だけ変化し得る。変形量は、側面678において印加された力量によって決定される。従って、面674の曲率は、側面678において適切な力量を印加することによって変更され得る。
【0083】
光学素子634は、光リソグラフィシステム400又は光リソグラフィシステム500において反射光学素子434として用いられてもよい。光学システム400において、光学素子434は、制御システムからコマンド信号を受信しない。光リソグラフィシステム400において用いられる場合に、光学素子634の反射面674は、例えば光リソグラフィシステム400が組み立てられる場合か又はメンテナンス中に、特定の曲率を有するように変形され、変形は、システム400の動作中に意図的には調整されない。
【0084】
光リソグラフィシステム500において用いられる場合に、光学素子434は、制御システム550からコマンド信号557を受信しもよい。光学素子434は、移動又は調整によってコマンド信号557のインスタンスに応答する。例えば、コマンド信号557は、どれだけの力が本体672に印加されるべきかを決定する情報を含んでもよく、コマンド信号557は、側面678において特定の力量を印加するために用いられてもよい。制御システム550は、システム505が動作している間に、コマンド信号557を供給し、且つ光パルスがシステム505によって生成されるたびに、コマンド信号557のインスタンスを供給してもよい。従って、光学素子634が、光学システム505において用いられる場合に、面674は、変形されてもよく、且つ出力ビーム460における各光パルス用に相異なる手法で変形されてもよい。
【0085】
図7は、x-y平面における反射光学素子734の側面図を示す。反射光学素子734は、z方向(ページの中へ及び/又はその外へ)延びる。反射光学素子734は、本体772を含む。本体772は、複数のセグメント781を含み、セグメント781のそれぞれは、反射面774を有する。各反射面774は、相異なる表面プロファイルを有してもよい。例えば、セグメント781の1つ又は複数は、他のセグメントに関連する反射面とは異なる曲率を備えた反射面を有してもよい。本体772が、セグメント781を含み、且つ各セグメント781が、反射面774を含むが、本体772及び面774は、反射面774が、2つの隣接するセグメント781間に、光を反射しないどんな不連続部も領域も意図的に含まないように、物理的に結合又は接触される。
【0086】
図示の例において、本体772は、3つのセグメント781a、781b、781cを含む。セグメント781a、781b、781cは、対応する反射面774a、774b、774cを有する。反射面774a、774b、774cの少なくとも1つは、セグメントのもう1つと異なる曲率量を有する。幾つかの実装において、反射面774a、774b、774cのそれぞれは、相異なる曲率を有する。
【0087】
図8は、x-y平面における反射光学素子834の側面図である。光学反射素子834は、本体872を含む。本体872は、複数のセグメントを含み、複数のセグメントのそれぞれは、反射面874を有する。セグメントは、反射面が、光を反射しない領域を欠く連続的な反射面を形成するように結合される。図8の例において、本体872は、セグメント881a、881b、881cを含む。セグメント881a、881cは、それぞれのベース部882a、882c、及び反射面874a、874cを含む。反射面874a及び874cは、格子である。格子874a及び874cは、同一であっても又は相異なってもよい。セグメント881bは、反射面874bを有するミラーである。ミラーは、z方向(ページの中へ及び/又はそこから外へ)延びる円筒ミラー881bであってもよい。反射面874bは、湾曲される。図8の例において、反射面874bは、x-y平面においてビーム424に対して凸面である。反射面874(反射面874a、874b、874cの集合である)もまた、x-y平面においてビーム424に対して凸面である。
【0088】
反射光学素子834は、反射光学素子434としてシステム400において用いられてもよい。
【0089】
図9は、反射光学素子934の側面図であり、反射光学素子934は、x-y平面において反射面974を含む。反射光学素子934は、反射光学素子934が用いられている間に、反射面974の表面プロファイルが変更され得ることを除いて、反射光学素子834(図8)に似ている。
【0090】
反射光学素子934は、反射面974を有する本体972を含む。本体972は、セグメント981a、981b、981cを含み、それらのセグメントは、それぞれのベース982a、982b、982c及び反射面974a、974b、974cを有する。セグメント981a、981b、981cは、反射面974(反射面974a、974b、974cで構成される)が、光学的に反射性でないどんな領域も含まない連続反射面であるように結合される。
【0091】
反射光学素子934は、可撓性コネクタ983を含む。コネクタ983の1つは、セグメント981aと981bとの間にあり、別の可撓性コネクタ983は、セグメント981bと981cとの間にある。可撓性コネクタ983の1つは、セグメント981a及び981bを接続し、可撓性コネクタ983のもう1つは、セグメント981b及び981cを接続する。可撓性コネクタ983は、可撓性コネクタ983が、反射面974の表面プロファイルを影響を与えないように、側面978の様々なセグメントを接続する。可撓性コネクタ983は、セグメント981a~981cが、特定のセグメントに印加された力に応じて、互いに独立して移動できるように、セグメント981a~981cを保持する。しかしながら、可撓性コネクタ983は、力が印加されない場合に、セグメント981a~981cが、互いに対して移動しないように、十分な強度及び剛性を有する。可撓性コネクタ983は、例えば部分間に形成されるグルーブであってもよい。x-y平面において、グルーブは、側面978に開いている。グルーブは、側面978に開くv形グルーブであってもよく、且つ反射面974(図9に示されているような)の方へとx-y平面におけるポイントに対して先細になってもよい。幾つかの実装において、グルーブは、側面978に開く丸いグルーブであってもよく、且つ反射面974の方へ丸くされる。丸いグルーブは、他のタイプの可撓性コネクタより有効に機械的ストレスを分散させ得、且つ力がセグメントの1つ又は複数に印加された場合に、反射光学素子934が、破損しにくいことに帰着し得る。
【0092】
図9の例において、セグメント981bは、側面978においてセグメント981bに装着されたポスト975によって適所に固定される。独立した力976a、976cが、セグメント981a、981cそれぞれ印加されてもよい。力976a、976cは、例えばPZTトランスデューサを用いて印加されてもよい。力976a、976cは、x-y平面において側面978から印加される。図9に示されている例において、力976a、976bは、それぞれの面974a、974cの方への方向にある。しかしながら、力976a、976bは、x-y平面における他の方向に印加されてもよい。
【0093】
セグメント981aへの力976aの印加は、セグメント981a及び反射面974aをセグメント981bに対して移動させる。セグメント981cへの力976cの印加は、セグメント981c及び反射面974cをセグメント981cに対して移動させる。反射面974a、974cのどちらか又は両方を移動させることによって、面974a、974cから反射される光は、利得媒体419の中へと、且つビーム回転システム252の方へ向けられ得る。
【0094】
反射光学素子934は、反射光学素子434としてシステム500において用いられてもよく、反射光学素子934の反射面1374の表面プロファイルは、システム500が動作中である間に変更されてもよい。例えば、反射面974の表面プロファイルは、光ビーム424の各パルス用に変更されてもよい。
【0095】
図10~13は、ビーム回転システム1052、1152、1252、1352の側面図であり、それらのビーム回転システムの全ては、ビーム回転システム452の実装の例である。共振キャビティ457を伝搬するビーム424は、光線によって表されてもよい。図10~13の例において、424aと名付けられた光線は、ビームのモード内容が、ビーム460のコヒーレンスを低減するように変更されなかった場合に、ビーム424の伝搬を表す光線である。例えば、光線424aは、反射光学素子434が、調整可能でない円筒ミラーである場合に生じる可能性があり、ビーム回転光学システム452は、調整可能でなく、x-y平面において光線424bを収容するほど十分に大きくないコーナキューブリフレクタである。
【0096】
光線424bは、光線424aと比較して、横モードを増加させる方法で共振キャビティ457を通って伝搬する光線である。光線424bは、図6~9の反射光学素子の1つを反射光学素子434として用いることから生じ得る。図10は、調整可能でないが、しかし光線424bを収容するために十分に広い反射面を有する例示的なビーム回転システム1052を示す。以下で説明されるように、図11~13のビーム回転システムは、光線424bなどの光線を収容するように調整可能である。このように、図11~13のビーム回転システムの1つをビーム回転システム452として用いることによって、ビーム424のモード内容を向上させ、それによって、ビーム424のコヒーレンスを減少させ、且つスペックルの存在を低減させることが可能である。
【0097】
図10を参照すると、ビーム回転システム1052の側面図が示されている。図10は、x-y平面において上側からビーム回転システム1052を示す。ビーム回転システム1052は、本体1092及び反射面1094を含む。本体1092は、2つの部分1091a、1091bを含み、それらは、頂点1093から延びる。部分1091a、1091bは、互いに対して角度を付けられる。図10の例において、部分1091a、1091bは、頂点1093で直角を形成する。しかしながら、部分1091a、1091bは、頂点1093において他の角度を形成してもよい。本体1092は、単一の一体型コンポーネントであってよく、又は部分1091a、1091bは、物理的に結合される2つの別個のコンポーネントから作製されてもよい。
【0098】
2つの部分1091a、1091bは、それぞれの反射面1094a、1094bを含む。光線424bは、媒体419を伝搬し、且つ反射面1094bに入射し、反射面1094bは、反射面1094aの方へ光線424bを反射する。光線424bは、面1094aによって反射され、媒体419へ逆に導かれる。光線424bは、光カプラ433(図4及び5)の方へ媒体を伝搬する。
【0099】
図11Aを参照すると、ビーム回転システム1152の側面図が示されている。ビーム回転システム1152は、ビーム回転システム1152が、第2の部分1191cを含み、第2の部分1191cが、部分1191a、1192bに対して配置又は移動され得ることを除いて、ビーム回転システム1052(図10)に似ている。図示の例において、部分1191a、1191bは、頂点1193から直角に延びる。部分1191cは、部分1191bに物理的に接続されるが、しかし部分1191bに対して可動である。例えば、部分1191b及び1191cは、可撓性部分1183によって接続されてもよく、可撓性部分1183は、図9に関連して上記で説明された可撓性部分983に似ていてもよい。
【0100】
部分1191a、1191b、1191cのそれぞれは、それぞれの反射面1194a、1194b、1194cを含む。反射面1194a、1194b、1194cは、ビーム回転システム1152の反射面1194を集合的に形成する。反射面1194は、連続的な反射面である。媒体419からの光は、反射面1194b又は1194cに入射し、これらの面は、反射面1194aに入射光を反射する。反射面1194aは、媒体419の中に、且つ光カプラ433の方へと逆に光を導く。
【0101】
同様に図11Bを参照すると、第2の部分1191cは、部分1191b、1191cが、可撓性部分1183によって接続されている間に、x-y平面において円弧Aに沿って第2の部分を1191c移動させることによって、部分1191bに対して配置されてもよい。このように、反射面1194b、1194c間の角度は、変更され得る。角度は、図11において角度Bとして示されている。角度Bを変更することによって、共振キャビティ457における横モード成長が向上され得る。例えば、角度Bの減少は、ビーム回転システム1152が、追加の横モードから生じる一層多くの光線(光線424bなど)を反射できることに帰着し得る。
【0102】
ビーム回転システム1152は、システム400又はシステム500においてビーム回転システム452として用いられてもよい。例えばビーム回転システム1152が、システム400において用いられる場合などの幾つかの実装において、第2の部分1191cは、共振キャビティ457が組み立てられる場合か又はメンテナンス中に、部分1191bに対して配置され、角度Bは、システム400の動作中に意図的に変更されない。
【0103】
幾つかの実装において、第2の部分1191cは、ビーム回転システム1152を含む光学システムの動作中に、部分1191bに対して移動されてもよい。例えば、ビーム回転システム1152は、システム500においてビーム回転システム452として用いられてもよい。これらの実装において、ビーム回転システム1152は、コマンド信号555の受信に応じて、部分1191を移動させるアクチュエータを含む。アクチュエータは、例えば、光学システムの動作中に円弧Aに沿って部分1191を移動させるために、部分1191cに力を印加するPZTアクチュエータであってもよい。これらの実装において、部分1191cは、例えば、光パルスが生成されるたびに、円弧Aに沿った相異なる位置に移動されてもよい。光パルスの補正は、先行パルスからの情報に基づく。先行パルスは、時間において光パルスに先行する何れかのパルスであってもよい。例えば、先行パルスは、時間において光パルスに直接先行するパルス、及び/又は直接先行するパルスの前に発生するパルスであってもよい。
【0104】
図12を参照すると、ビーム回転システム1252の側面図が示されている。ビーム回転システムは、ベース体1292aを含み、ベース体1292aは、第1の翼体1292b及び第2の翼体1292cに対して配置される。第1及び第2の翼体1292b、1292cは、ベース体1292aに物理的には接続されない。第1の翼体1292bは、x及びy方向においてベース体1292aからずらされる。第2の翼体1292cは、x及び-y方向においてベース体1292aからずらされる。ビーム回転システム1252は、軸1213を中心に対称なミラー対称を有してもよく、軸1213は、x方向と平行である。ベース体1292a、第1の翼体1292b、及び第2の翼体1292cは、反射面1294a、1294b、1294cをそれぞれ含む。一緒に反射面1294a、1294b、1294cは、反射面1294を形成する。反射面1294は、部分が分離されるギャップ1295を有する。従って、例えば反射面1194と異なり、反射面1294は、連続的ではない。
【0105】
第1の翼体1292cの反射面1294cは、利得媒体419から光線424bを受信し、且つ第2の翼体1292bの反射面1294bの方へ光線424bを導く。光線424bは、逆に利得媒体419の中へ、且つ光カプラ433の方へと反射面1294bから反射される。反射面1294b、1294cは、それぞれ、光線424bを受信し反射するように配置される。このように、第1の翼体1292b及び第2の翼体1292cは、第1及び第2の翼体1292b、1292cを含まない設計と比較して、追加の横モードが、共振キャビティ457を伝搬できるようにする。ビーム回転システム1252は、システム400においてビーム回転システム452として用いられてもよい。
【0106】
図13を参照すると、ビーム回転システム1352の側面図が示されている。ビーム回転システム1352は、ビーム回転システム1352が、使用され、且つビーム424(光線424a及び424bを含む)と相互作用している間に、力1376b、1376cが、それぞれ、第1の翼体1292b及び第2の翼体に1292cに印加され得ることを除いて、ビーム回転システム1252(図12)と同じである。力1376b及び力1376cは、例えばPZTアクチュエータで印加されてもよい。
【0107】
ビーム回転システム1352は、ビーム回転システム452としてシステム500において用いられてもよい。制御信号555(図5)は、第1の翼体1392b及び/又は第2の翼体1392cの位置を制御するために用いられてもよい。
【0108】
図14を参照すると、例示的なプロセス1400の流れ図が示されている。プロセス1400は、光学システムを制御するために用いられてもよい。例えば、プロセス1400は、光源(図1の光源105など)の一部である光学システムを制御するために用いられてもよい。プロセス1400は、例えば光学システム405又は505などの何れかの光学システムと共に用いられてもよい。プロセス1400は、1つ又は複数の光学システムを含む光源(例えば光源105又は205など)と共に用いられてもよい。例えば、プロセス1400は、光源205及び/又は光源205のPA230を制御するために用いられてもよい。プロセス1400は、システム500(図5)などの閉ループ制御システムに実現されて用いられてもよい。プロセス1400は、最初に図5のシステム500に関連して説明され、システム500は、光学システム505を含む。プロセス1400は、システム505が光ビーム460を生成する間に、制御システム550の1つ又は複数の電子プロセッサ564によって実行されてもよい。プロセス1400は、プロセス1400が、特定のパルス及び直後のパルスにおいて、又はパルスサブセット内の全てのパルスにおいて実行されるように、パルスごとに実行されてもよい。パルスサブセットは、ビーム460におけるパルスの何れかのセットであり、非連続パルスから構成されてもよい。
【0109】
光ビーム460の特定のパルスにおける特性の測定値がアクセスされる(1410)。特定のパルスは、光ビーム460における何れかのパルスであってもよい。特性は、特定のパルスにおけるコヒーレンス量に関係する。例えば、特性は、パルスの伝搬方向に垂直な平面において、パルスにおける伝搬方向に沿った特定のパルスの発散度又は強度プロファイルであってもよい。特性の測定値は、計測モジュール568から取得されてもよく、計測モジュール568は、光ビーム監視光学システム562から、又は検出器122から光ビーム460の部分551を受信し、検出器122は、リソグラフィ露光装置に存在する。幾つかの実装において、特定のパルスにおける特性の測定値は、電子記憶装置566からアクセスされてもよい。
【0110】
特定のパルスの測定値は、特定のパルスの伝搬路に沿った何れかのポイントで測定されてもよい。例えば、測定値は、キャビティ457の外部の(例えば光ビーム監視光学システム562における)特性の値であってもよく、又は測定値は、キャビティ457に内部の特性の値であってもよい。幾つかの実装において、測定値は、検出器122によって収集されたデータから取得されるか又は導き出され、検出器122は、リソグラフィ露光装置115に存在する。検出器122からのデータの使用は、ウェーハ120(図1)のエッジ上にあるマイクロ電子フィーチャを露光する場合に、追加の柔軟性及び精度を提供し得る。加えて、検出器122からのデータの使用は、光ビーム監視光学システム562の必要性を排除し得る。
【0111】
特性のアクセスされた測定値は、特性のターゲット値と比較される(1420)。特性のターゲット値は、光学システム505の最適で適切な及び/又は許容可能な動作と関連する特性の値であってもよい。ターゲット値は、電子記憶装置566上に格納されてもよい。測定値及びターゲット値は、例えば、特定パルス用の誤差値を決定するために、測定値及びターゲット値を減算することによって比較されてもよい。
【0112】
制御信号が、比較に基づいて生成されてもよい(1430)。制御信号は、ターゲット値と測定値との間の大きさの差を表す誤差値又は他のメトリックが、閾値を超える場合に、生成されてもよい。閾値は、ターゲット値に関する特性用の値域を包含してもよい。従って、閾値に依存して、ターゲット値に近いが、しかしそれ未満であるか、又はターゲット値より大きいが、しかしそれと同じではない測定値は、制御信号の生成に帰着しない可能性がある。測定値及びターゲット値が、同じである場合に、制御信号は、生成されない。測定値は、各パルス用に特性(発散度又は強度など)の値を測定すること、及びこれらの値を平均することから決定されてもよい。例えば、特性の値は、パルスバーストにおける各パルス用に測定されてもよく、値は、全バーストにわたって平均されてもよい。幾つかの実装において、値は、バーストにおけるパルスの全てではなく複数のパルス(例えばパルスグループ)用に測定されてもよい。例えば、値は、バーストにおける1つおきのパルス、又はバーストにおける連続パルスのサブセット(例えばパルスウィンドウ)用に測定されてもよい。別の例において、値は、第1のパルスバーストにおける全てのパルス用に、且つ次のパルスバーストにおいては全てよりも少数のパルス用に測定されてもよい。
【0113】
制御信号が生成される場合に、光ビーム460におけるコヒーレンス量は、特定のパルスに続くパルスにおけるコヒーレンス量を低減するために、制御信号に基づいて光学システム405を修正することによって調整される(1440)。生成される制御信号は、反射光学素子434に供給される制御信号557、及び/又はビーム回転光学システム452に供給される制御信号555であってもよい。光学システム405は、生成された制御信号に基づいて、反射光学素子434及びビーム回転光学システム452のどちらか又は両方の全て若しくは一部を移動又は位置付けることによって修正されてもよい。
【0114】
例えば、反射光学素子634(図6)は、素子434として用いられてもよく、ビーム回転システム1352(図13)は、ビーム回転システム452として用いられてもよい。この例において、ビーム460の特性は、ビーム監視光学システム562から受信された部分551に基づいて、計測モジュールによって決定される。ビーム460の特性の値と特性のターゲット値との間の差の大きさが閾値を超えることが判定される。コマンド信号が生成され、この例においてコマンド信号は、ビーム回転システム1352に供給されるコマンド信号555と、反射光学素子634に供給されるコマンド信号557と、を含む。
【0115】
コマンド信号557は、力676(図6)を反射光学素子634の側面678に印加させるのに十分な情報を含む。印加される力676の量は、特性の測定値とターゲット値との間の差の量に基づいてもよい。力676が反射光学素子634に印加されると、面674は、移動する。面674における部分が、ファスナ675によって保持されるので、面674の移動は、面674の曲率を変化させる。面674の曲率を調整することによって、キャビティ457は、追加の横モードがキャビティ457を伝搬できるように、修正される。これは、ビーム460が、より大きな発散度及びより少ないコヒーレンスを有することに帰着する。
【0116】
同様に、コマンド信号555は、ビーム回転システム1352に供給されるが、力1376b、1376c(図13)のどちらか又は両方を第1及び第2の翼体1392b、1392cにそれぞれ印加させるのに十分な情報を含む。加力は、第1及び/又は第2の翼体1392b、1392cが、ベース体1392aに対して移動することに帰着する。第1の翼体1392b及び/又は第2の翼体1392cを移動させることによって、キャビティ457は、追加の横モードを収容するために更に修正されてもよく、ビーム460のコヒーレンスは低減される。
【0117】
加えて、制御信号が生成された場合に、特性の値は、光学システム505が、特性の新しい値を取得するために制御信号に基づいて修正された後で、再び測定されてもよい。特性の新しい値は、ターゲット値と比較される。特性の新しい値とターゲット値との間の差の大きさが、やはり閾値を超える場合に、第2のコマンド信号が生成され、光学システム505は、更に修正される。生成された制御信号を光学システム505に印加した後で特性の値を測定するプロセスは、反復されてもよい。幾つかの実装において、生成された制御信号を印加した後で特性を測定するプロセスは、ターゲット値と測定値との間の差の大きさが、閾値未満になるまで反復されてもよく、閾値は、ビーム460のコヒーレンスが、許容可能な量未満であることを示す。幾つかの実装において、特性の値が測定されてもよく、制御信号が、生成され、且つビーム460における各パルス用に光学システム505に供給されてもよい。
【0118】
制御信号が生成されない場合に、特性の測定値は、ターゲット値の値に近いか又は等しい。特性の測定値が、ターゲット値の値に近いか又は等しい場合に、光学システム505は、期待通りに、最適に、又は許容可能に動作している可能性があり、ビーム460は、スペックルの形で比較的低い量のノイズを有し得る。従って、制御信号が生成されない場合に、特性の値は、光学システム505の特定の動作条件におけるターゲット値として用いることができる値であり得る。動作条件は、例えば、キャビティ457における温度と、キャビティ457における圧力と、繰り返し率と、デューティサイクルと、キャビティ457用の寿命累積パルスカウントと、直近のガス注入以来のキャビティ457用の累積パルスカウントと、合計動作時間と、を含んでもよい。コマンド信号が生成されない場合の特性の値は、動作条件を示す1つ又は複数のパラメータと共に電子記憶装置に格納されてもよい。動作パラメータは、温度と、繰り返し率と、デューティサイクルと、反射光学素子434及び/又はビーム回転光学システム452の位置決めと、反射光学素子434及び/又はビーム回転光学システム452に印加される力量と、の1つ又は複数を含んでもよい。格納された値は、同じ条件下で、光学システム505を操作する将来のインスタンスにおけるターゲット値として用いられてもよい。
【0119】
このように、ビーム460のコヒーレンスを調整できることに加えて、プロセス1400はまた、光学システム505が、広範囲の動作条件の下で最適に作動するように迅速に調整され得るようにすることによって、光学システム505の性能を改善し得る。例えば、相異なる繰り返し率における特性の測定値に関係するパラメータを格納することによって、光学システム505は、ビーム460の繰り返し率を変更するためにリソグラフィ露光装置115からコマンド信号553を、又はI/Oインターフェイス567を通してオペレータからコマンドを受信した後で、低コヒーレンスパルスを生成するように迅速に適応するために、これらの格納された値に依存してもよい。
【0120】
図15を参照すると、光学システムを制御するためのプロセス1500の例の流れ図が示されている。プロセス1500は、コヒーレンスが、スペックルの形で過度のノイズを光ビームに追加しないことを保証するために、光学システムによって生成された光ビーム(又は光学システムを含む光源によって生成された光ビーム)のコヒーレンスを監視するために、光学システムの閉ループ制御を実行するように用いられてもよい。プロセス1500は、コヒーレンス量が、所定量を超過する場合に、コヒーレンスを低減するために光学システムの態様を修正する。例えば、プロセス1500は、光学システムにおける光学素子の物理的特性を修正してもよい。
【0121】
プロセス1500は、例えば光源105又は205などの何れかの光源と共に用いられてもよい。プロセス1400は、1つ又は複数の光学システムを含む光源(例えば光源105又は205など)と共に用いられてもよい。例えば、プロセス1400は、光源205及び/又は光源205のPA230を制御するために用いられてもよい。プロセス1400は、光学システム405又は505と共に用いられてもよい。プロセス1500は、図5のシステム500に関連して説明される。プロセス1500は、システム500が光ビーム460を生成する間に、制御システム550の1つ又は複数の電子プロセッサ564によって実行されてもよい。プロセス1500は、プロセス1500が、特定のパルス及び直後のパルス、又はパルスサブセット内の全てのパルスに対して実行されるように、パルスごとに実行されてもよく、パルスサブセットは、ビーム460における何れかのパルスセットである。
【0122】
光ビーム460の特性の値が取得される(1510)。光ビーム460は、光学システム505によって生成されたパルス光ビームである。特性は、光ビーム460におけるコヒーレンス量に関係する何れかの特性、又は光ビーム460のコヒーレンス量が由来する、若しくは決定される基となる何れかの特性であってもよい。例えば、特性は、光ビーム460の発散度、又は光ビーム460の伝搬方向に垂直な平面において光ビーム460の強度プロファイルを特徴付ける値であってもよい。幾つかの実装において、取得値は、光学システム505が、少なくとも期待通りに働いており、且つ恐らく理想的な又は最適な方法で働いている場合に取得される。従って、これらの実装において、取得値は、ビーム460に存在する許容可能なコヒーレンス量に対応する値であり得る。
【0123】
特性の値は、光学システム505の1つを超える動作条件で取得される。システム505の動作条件は、キャビティ457における温度及び/又は圧力と、ビーム460の繰り返し率と、ビーム460のデューティサイクルと、キャビティにおいてビーム424と相互作用する光学面を含む光学素子に関係する状態情報と、などの1つ又は複数のパラメータによって規定される。光学素子は、例えば反射光学素子634~934(図6~9)又はビーム回転光学システム1052~1352(図10~13)の何れかであってもよい。
【0124】
光学素子に関係する状態情報は、光学素子の光学面が、キャビティ457を伝搬する光とどのように相互作用するかを示す何れかの情報であってもよい。例えば、状態情報は、ビーム424に対する、光学素子の他の部分に対する、及び/又はキャビティにおける他の光学素子に対する光学面の位置を示してもよい。状態情報は、キャビティ457を伝搬する光に対する光学面の向きの表示であってもよい。例えば、状態情報は、キャビティの長手方向軸413(図5B)に対する、又は閉路443の一部に対する光学面の角度を含んでもよい。光学素子634(図6)、光学素子934(図9)、ビーム回転光学システム1152(図11)、及びビーム回転光学システム1352(図13)など、力の印加に応じて移動する光学面を含む光学素子用に、状態情報は、光学素子に印加される力量を含んでもよい。
【0125】
特性の取得値及び状態情報は、各動作条件用に電子記憶装置566に格納される(1520)。特性の取得値及び加力量は、動作条件を規定するパラメータと共に格納される。特性の取得値及び加力量は、動作条件パラメータによって索引を付けられたルックアップテーブルに格納されてもよい。幾つかの実装において、特性の取得値及び加力量は、動作条件パラメータによって索引を付けられたデータベースに格納される。
【0126】
光学システム505は、現在の動作条件で操作される(1530)。光学システム505は、ビーム460が生成されている場合に動作していると考えられてもよい。現在の動作条件は、光学素子の動作パラメータ(ビーム460の繰り返し率及び利得媒体419の温度など)、並びにビーム460が生成されている間の光学システムの状態情報によって規定される。現在の動作条件は、ビーム460における何れかの数のパルス用の動作条件である条件であってもよい。例えば、動作条件は、複数のバースト用にパルスバーストにおけるパルスの全てに、又は単一パルス用に当てはまり得る。例えば、ビーム460の繰り返し率は、光学システム505の動作条件を規定し得る。
【0127】
現在の動作条件における変更の表示が受信される(1540)。変更の表示は、光学システム505の1つ又は複数の動作パラメータの新しい値を含む。例えば、変更の表示は、ビーム460用の新しい繰り返し率を含んでもよい。従って、この例において、新しい値は、新しい繰り返し率である。変更の表示は、コマンド信号553を介してリソグラフィ露光装置115から受信されてもよい。従って、リソグラフィ露光装置115は、光学システム505が新しい動作条件を有するように、光学システム505が、パラメータの1つ又は複数を変更することを命令してもよい。現在の動作条件における変更の表示は、システム500のオペレータから受信されてもよい。例えば、オペレータは、新しい動作条件に関連するパラメータをI/Oインターフェイス567に直接入力してもよい。
【0128】
光学素子に関係する、且つ動作パラメータの1つ又は複数における新しい値と関連する状態情報が決定される(1550)。新しい値と関連する状態情報は、(1520)において格納されたデータから決定されてもよい。例えば、新しい値は、新しい繰り返し率であってもよく、新しい繰り返し率に関連する光学素子に関係する状態情報は、格納データから検索されてもよい。格納データが、新しい値用の状態情報を含まない場合に、新しい値に最も似ているパラメータの値に関連する状態情報が、新しい値用の状態情報を推定するために用いられてもよい。例えば、光学素子に関係する状態情報が、新しい繰り返し率より大きい、且つ新しい繰り返し率より小さい幾つかの繰り返し率用に知られている場合に、光学素子に関係する状態情報は、利用可能な状態情報から推定されてもよい。例えば、状態情報は、幾つかの相異なる繰り返し率において、光学面の位置を示すチップチルト情報であってもよい。チルトは、光学面によって提供される伝搬方向における偏差量であり、チップは、チルトに直角の方向である。チップチルト情報は、平均されるか、又は新しい繰り返し率用のチップチルト値を推定するための多項式に適合されてもよい。
【0129】
決定された状態情報に基づいたコマンド信号が、光学素子に印加される(1560)。コマンド信号は、例えば、ビーム回転光学システム452に供給されるコマンド信号555、及び/又は反射光学素子434に供給されるコマンド信号557であってもよい。光学素子へのコマンド信号の印加は、コマンド信号に従って光学素子434の光学面を移動させ得る。例えば、コマンド信号は、キャビティ457における他の素子に対して光学面を移動させるか、又は光学面に相異なる曲率を具備させるPZTアクチュエータを駆動するのに十分であってもよい。
【0130】
幾つかの実装において、コマンド信号が、光学素子に供給された後で、ビーム460のコヒーレンスが、光学素子へのコマンド信号の印加の結果として低減されたかどうかを決定するために、光ビーム460の特性の別の値が取得される。取得された別の値は、許容可能なコヒーレンス量に関連することが知られている特性の値と比較されてもよい。取得された別の値が、許容可能なコヒーレンス量を示さない場合に、追加のコマンド信号が印加されてもよく、値は、特性の値が、許容可能なコヒーレンス量を示すまで測定されてもよい。例えば、追加コマンド信号は、特性の値が、ビーム460における許容可能なコヒーレンス量を示すように光学面が位置付けられるまで、光学素子を初期位置のまわりでディザーさせる効果を有し得る。
【0131】
特性の値が、ビーム460における許容可能なコヒーレンス量を示す場合に、光学素子に関係する状態情報は、電子記憶装置566に格納されてもよい。例えば、状態情報は、動作条件と共にルックアップテーブル又はデータベースに前に格納された状態情報に取って代わるか又はそれを更新してもよい。このように、プロセス1500は、所与の動作条件で光学システム505の動作に影響を及ぼし得る変化する状況に適応できるようにする。例えば、反射光学素子434、ビーム回転光学システム452、及び/又は媒体419などのコンポーネントは、所与の動作条件用の以前に決定された状態情報が、不正確になるように経時的に劣化し得る。
【0132】
プロセス1500において、(1510)及び(1520)は、システム505を用いて、(1530~1560)とは相異なる時刻に実行されてもよい。換言すれば、光学素子の状態情報と動作条件とを関連付ける格納データは、アプリオリに作成され、後でシステム505を操作するために用いられてもよい。格納データは、繰り返し用いられてもよい。加えて、上記で説明したように、格納データは、システム505の変化する状況を考慮するために更新されてもよい。
【0133】
他の実装が、特許請求の範囲の範囲内にある。

図1A
図1B
図2
図3A
図3B-3C】
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15