(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】電気外科手術システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2019561136
(86)(22)【出願日】2018-05-16
(86)【国際出願番号】 US2018032989
(87)【国際公開番号】W WO2018213461
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-05-14
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ヴォロシュコ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ギャスプレデス
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ジー・エバンス
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ラスロップ
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダン・スミス
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ターナー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジェイ・アホルト
(72)【発明者】
【氏名】トロイ・エス・ヘム
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-508819(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0236141(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0288539(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0310830(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科手術ワンドであって、
前記電気外科手術ワンドの近位端のハンドル
、および、前記ハンドルに連結され、長手方向軸に沿って前記ハンドルから遠位に延びる細長いシャフトと、
前記
電気外科手術ワンドの遠位端に配置されたブレード部分およびスクリーン部分を有する複合活性電極であって、前記ブレード部分は前
記長手方向軸に沿っ
て延びて前記
電気外科手術ワンドの最遠位部分を画定し、前記スクリーン部分は前記ブレード部分に対して鈍角を形成し、前記鈍角は前記
電気外科手術ワンドの遠位端に向かって開き、前記
電気外科手術ワンド内の吸引チャネルと流体連結する少なくとも一つの開口部をその中に有する、複合活性電極と、
前記複合活性電極から近位側に離間した第二および第三の電極であって、前記第二の電極は、前記
電気外科手術ワンドの外側表面のうち前記複合活性電極のブレード部分に隣接しかつ近位側に離間した部分に広がり、前記第三の電極は、前記
電気外科手術ワンドの前記外側表面のうち前記第二の電極の反対側にある部分に広がる、第二および第三の電極と、
を備える、電気外科手術ワンド。
【請求項2】
前記第二の電極が熱電極を画定する、請求項1に記載の電気外科手術ワンド。
【請求項3】
前記第二および第三の電極が、単一の要素の二つの別個の露出部分を画定する、請求項1に記載の電気外科手術ワンド。
【請求項4】
前記第二の電極が前記
電気外科手術ワンドの片側に広がり、前記第三の電極が前記
電気外科手術ワンドの少なくとも三つの側面に広がる、請求項1に記載の電気外科手術ワンド。
【請求項5】
絶縁スペーサが、前記複合活性電極、前記第二の電極および前記第三の電極の間に配置され、前記長手方向軸に対して鈍角に配向されかつ前記スクリーン部分の前記鈍角に平行な遠位平面を有する、請求項1に記載の電気外科手術ワンド。
【請求項6】
前記スクリーン部分が、表面凹凸をさらに備え、前記表面凹凸は前記表面凹凸に隣接したプラズマをより容易に形成するように構成されている、請求項1に記載の電気外科手術ワンド。
【請求項7】
前記第二の電極の遠位縁が前記第三の電極の遠位縁よりもさらに軸方向に延びるように、前記第二および第三の電極が相互に軸方向にオフセットされている、請求項1に記載の電気外科手術ワンド。
【請求項8】
前記第二および第三の電極の前記遠位縁が、前記スクリーン部分に平行な平面に沿って位置する、請求項7に記載の電気外科手術ワンド。
【請求項9】
前記第二の電極が、前記第三の電極よりも小さい表面積を有する、請求項1に記載の電気外科手術ワンド。
【請求項10】
前記第二の電極が、そこを通る複数の軸方向に離間した開口部を有し、前記第三の電極が、そこを通る複数の半径方向に離間した開口部を有し、両方の複数の前記開口部が、前記
電気外科手術ワンド内の流体送達チャネルと流体連通する、請求項1に記載の電気外科手術ワンド。
【請求項11】
前記第二の電極は、組織の付着を減らすように構成された研磨表面仕上げを有し、前記第三の電極は、表面の流体保持を改善するように構成された非研磨表面仕上げを有する、請求項1に記載の電気外科手術ワンド。
【請求項12】
・電気外科手術コントローラであって、
プロセッサと、
前記プロセッサに連結されたメモリと、
前記プロセッサに動作可能に連結された電圧発生器であって、前記電圧発生器が活性・リターン端子を備える、電圧発生器と、
電気外科手術ワンドのコネクタに連結するように構成されたワンドコネクタであって、前記ワンドコネクタが、複数の電気ピンと、前記電圧発生器の前記活性端子に連結された少なくとも一つの電気ピンとを備える、ワンドコネクタと、
を備える電気外科手術コントローラと、
・電動機に連結されたロータを備える蠕動ポンプであって、前記電動機は前記プロセッサに動作可能に連結される、蠕動ポンプと、
・電気外科手術ワンドであって、
ハンドルと、長手方向中心軸に沿って前記ハンドルから遠位に延びる細長いシャフトと、
前記外科手術ワンドの遠位端に配置された複合活性電極であって、前記複合活性電極は、前記長手方向中心軸に沿って延び、前記長手方向中心軸から横方向にオフセットした前記電気外科手術ワンドの前記最遠位端にあるブレード部分と、少なくとも一つの開口部であって前記開口部を通して前記
電気外科手術ワンド内の流体チャネルと動作関係にある少なくとも一つの開口部を有するスクリーン部分と、を画定する、複合活性電極と、
前記細長いシャフトに隣接し、前記長手方向中心軸に沿って環状に延びるリターン電極であって、互いに別個の第一および第二の露出部分を有し、前記第一の露出部分は、前記
複合活性電極の前記ブレード部分に隣接した前記細長いシャフトの第一の側に沿って延び、前記第二の露出は、前記細長いシャフトの反対側に沿って延びる、リターン電極と、
を備える電気外科手術ワンドと、
を備えるシステムであって、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、電気外科手術処置中に前記プロセッサに少なくとも二つのアブレーションモードを実行させるプログラムを保存し、
前記
少なくとも二つのアブレーションモードのうち第一
のモードでは、前記プログラムが前記プロセッサに、
前記電気外科手術ワンドの前記遠位端の
、前記リターン電極に近接する開口部を通る流体の流れを第一の流量で制御させ
、 最小限の止血
を伴って組織を分子的に解離するように、前記電気外科手術コントローラによって前記複合活性電極に送達されるエネルギーを制御させ、
前記
少なくとも二つのアブレーションモードのうち第二
のモードでは、前記プログラムが前記プロセッサに、
前記第一の流量とは異なる第二の流量で
、前記複合活性電極に近接する開口部の中への流体の流れを制御させ
、
より多くの止血
を伴って組織を分子的に解離するように、前記電気外科手術コントローラによって送達されるエネルギーを制御させる、システム。
【請求項13】
前記第1のモードおよび前記第2のモードのうちの少なくとも一方において、前記複合活性電極に隣接するイオン化された蒸気層を形成するのに十分な電圧
と前記イオン化された蒸気層を消すのに十分な電圧との間で前記電圧
の出力をパルシングする
ことによって、組織を分子的に解離するように前記エネルギーを制御することをさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第一のモード
において第一のレートで、および前記第二のモード
において第二のレートで、前記電圧
の出力をパルシングすることをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年5月16日出願の米国仮出願第62/506,870号の優先権および利益を主張するものであり、その内容は、全ての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
高周波(RF)エネルギーは、効率的な組織切除および凝固を提供し、ポータルまたはカニューレを介して標的組織への比較的簡単なアクセスを提供するため、広範囲の外科手術で使用される。より複雑な臨床処置には一般に、様々な機能および構成を提供できる電気外科手術装置が必要であり、これは時に問題となる場合がある。これらの臨床処置には、狭い解剖学的構造に沿って異なるアクセス角に配置された様々な組織タイプ、および異なる組織効果の治療が含まれる場合がある。解決策は一般に、複数の電気外科手術装置を必要とする。これらのより複雑な処置は、一般に耳鼻科学、関節鏡、関節形成、全身および脊髄の処置で発生する。さらに、従来の電気外科手術装置は、高い組織温度で動作する傾向があり、副作用として説明される術後の組織壊死および残りの組織の変性を伴う、多くの組織損傷を誘発しうる。イオン化された蒸気層(Smith&Nephew、Inc.から市販されているCOBLATION(R)ブランド製品など)を使用した分子解離は、より低い温度で動作し、組織損傷を減少させる可能性が報告されている。
【0003】
したがって、組織の低温電気外科手術治療による狭い解剖学的構造の正確な組織除去のために、改善されたシステムおよび方法が依然として望まれている。特に、様々な場所の狭い解剖学的構造にアクセスし、複数の組織治療モードまたは異なる凝固レベルを提供する単一装置を含む改善されたシステムは、競合優位性を提供する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載される様々な実施形態は、生理食塩水送達を用いたプラズマ外科手術、熱電極、および双極凝固を組み合わせることによって、単一のハンドピースが広範囲の効果を提供できる方法およびシステムを対象とする。いくつかの実施形態は、少なくとも三つの電極を備えたハンドピースと共にデュアルRF発生器を含んでもよい。こうしたシステムは、耳鼻咽頭(ENT)手術を含む様々な観血手術用途に使用されてもよく、また膝関節または股関節の全体的または部分的な関節形成術中の軟組織管理にも使用されてもよい。
【0005】
電気外科手術ワンドが開示され、電気外科手術ワンドの近位端のハンドルおよびハンドルに連結され、長手方向軸に沿ってハンドルから遠位に延びる細長いシャフトを含む。ワンドはまた、ワンドの遠位端上に配置されたブレードおよびスクリーン部分を有する複合活性電極を含み、ブレード部分はワンドの最遠位部分を画定するワンド長手方向軸に沿って横方向に延び、スクリーン部分はブレード部分に対して鈍角を形成し、鈍角はワンドの遠位端に向かって開き、ワンド内の吸引チャネルと動作関係にある少なくとも一つの開口部をその中に有する。ワンドはまた、複合活性電極から近位に離間した第二および第三の電極も含み、第二の電極は、複合活性電極のブレード部分に隣接し、近位に離間したワンドの外側表面の一部分に広がり、第三の電極は、第二の電極の反対側のワンドの外側表面の一部分に広がる。いくつかの実施形態では、第二の電極は、活性電極と電流戻り経路の一部分を形成する熱電極を画定し、第二の電極に隣接するいくつかの止血を提供するように、第二の電極にいくらかの熱効果を提供する。いくつかの実施形態では、第二および第三の電極は、単一の要素の二つの別個の露出部分を画定し、露出部分は絶縁スペーサおよび絶縁シースによって分離される。第二の電極は、ワンドの片側に及んでもよく、第三の電極は、ワンドの少なくとも三つの側に及び、第二の電極よりも大きな表面積を有してもよい。第二の電極および第三の電極は、第二の電極の遠位縁が第三の電極の遠位縁よりも軸方向にさらに延びるように、第二の電極および第三の電極の遠位縁は、活性電極スクリーン部分と平行な平面に沿って位置するように、互いに軸方向にオフセットされてもよい。これは、活性電極の周りにより均一な組織効果を維持するのに役立ちうる。
【0006】
いくつかの実施形態では、スクリーン部分は、表面凹凸に隣接したプラズマをより容易に形成するように構成された一つまたは複数の表面凹凸をさらに備える。第二の電極は、そこを通る軸方向に離間した複数の開口部を有してもよく、第三の電極はまた、そこを通る半径方向に離間した複数の開口部を含んでもよい。少なくともいくつかの開口部は、導電性流体の供給源に流体連結されるワンド内の流体送達チャネルに流体連結される。いくつかの実施形態では、第二の電極は、組織の付着を減らすように構成された研磨表面仕上げを有し、第三の電極はその表面上の流体保持を改善するように構成された粗いまたは非研磨表面仕上げを有する。良好な流体保持は、濡れたリターン電極のより大きな表面を提供し、それによって活性電極の周りの改善された、より均一な、より一貫したプラズマ生成を提供しうる。
【0007】
プロセッサを備えた電気外科手術コントローラ、プロセッサに連結されたメモリ、プロセッサに動作可能に連結される電圧発生器を含むシステムも開示され、電圧発生器は、活性およびリターン端子と、電気外科手術ワンドのコネクタに連結するように構成されたワンドコネクタとを含み、ワンドコネクタは複数の電気ピンを含み、および少なくとも一つの電気ピンが電圧発生器の活性端子に連結する。システムはまた、電動機に連結されたロータを備える蠕動ポンプを含み、電動機はプロセッサに動作可能に連結される。システムはまた、ハンドルを備えた電気外科手術ワンド、長手方向中心軸に沿ってハンドルから遠位に延びる細長いシャフト、および電気外科手術ワンドの遠位端に配置された複合活性電極を含む。複合活性電極は、長手方向中心軸に沿って横方向に延びる電気外科手術ワンドの最遠位端に、ブレード部分と、そこを通る少なくとも一つの吸引開口部を備えたスクリーン部分とを有し、ワンド内の流体チャネルと動作関係にある。ワンドはまた、細長いシャフトの一部分を取り囲み、互いに別個の第一および第二の露出部分を形成するように遠位端に向かって分割される、長手方向中心軸に沿って環状に延びるリターン電極を含む。第一の露出部分は、活性電極のブレード部分に隣接する細長いシャフトの第一の側に沿って延び、第二の露出部分は細長いシャフトの反対側に沿って延びる。メモリは、プロセッサによって実行されると、電気外科手術処置中にプロセッサに少なくとも二つのアブレーションモードを実行させるプログラムを保存する。第一の動作モードでは、プロセッサは、電気外科手術ワンドの遠位端の開口部を通る流体の流れを第一の流量で制御し、リターン電極に近接した開口部を制御し、また止血を最小限に抑えて組織を分子的に解離するように、電気外科手術コントローラによって複合活性電極に送達されるエネルギーをも制御する。第二の動作モードでは、プロセッサは、第一の流量とは異なる第二の流量での開口部を通る流体の流れを制御し、さらに止血により組織を分子的に解離するように、電気外科手術コントローラによって送達されるエネルギーを制御する。いくつかの実施形態では、プロセッサは、組織を分子的に解離するようにエネルギーを制御し、複合活性電極でイオン化された蒸気層を形成するのに十分な電圧と活性電極でイオン化された蒸気層を消すのに十分な電圧との間で電圧発生器の出力を調節することをさらに含む。いくつかの実施形態では、プロセッサは、第一のモードでは第一の速度で、第二のモードでは第一の速度とは異なる第二の速度で電圧を調節するようにエネルギーを制御する。
【0008】
電気外科手術ワンドで複数の組織を治療する方法も説明されており、複合活性電極のブレード部分および電気外科手術ワンドのリターン電極の第一の露出表面が第一の標的組織に隣接するように、第一の配向に電気外科手術ワンドを配置することを含む。ブレード部分は、複合活性の最遠位端に配置され、ワンドの長手方向中心軸に沿って横方向に延びる。リターン電極の第一の露出表面は、電気外科手術ワンドの細長いシャフトの外側部分にわたって広がる。ワンドが第一の配向にある間、方法は、標的組織を同時に切除および熱処理するように、複合活性電極とリターン電極との間の電気エネルギーを印加することをさらに含む。アブレーションは、組織層から第一の標的組織の一部分を分子的に解離するように、エネルギーに応答して、ブレード部分に近接する局所プラズマを形成することによって実施される。組織を熱処理することは、リターン電極の第一の露出表面に隣接した組織層の止血を提供する。方法は、電流経路が活性電極と第一と第二の露出表面との間に形成されるように、複合活性電極のスクリーン部分、リターン電極の第一の露出表面、および第二の露出表面は、第二の標的組織に全て隣接するように、電気外科手術ワンドを第二の配向に配置することをさらに含む。第一および第二の露出表面は両方とも互いに別個である。電気外科手術ワンドが第二の配向にある間、方法は、複合活性電極とリターン電極との間に電気エネルギーを印加し、第二の標的組織の一部分を減量させることを含む。減量は、エネルギーに応答して、複合活性電極のブレード部分およびスクリーン部分の両方に近接した局所プラズマを形成し、第二の標的組織を切除することによって達成される。第二の配向では、リターン電極の第一および第二の露出表面は、ブレードおよびスクリーン部分の両方にわたってより均一なプラズマ生成を促進するように構成された第二の標的組織から実質的に等距離であってもよい。方法はまた、電気外科手術ワンドが第一の配向にある間に、電気外科手術ワンドの第一の露出表面に導電性流体を第一の流量で活性電極に向かって流すこと、および電気外科手術ワンドの第一および第二の露出表面に、第二の配向の第一の流量とは異なる第二の流体流量で導電性流体を流すことも含みうる。方法はまた、ブレード部分に近接した抵抗加熱を伴う期間に散在する断続的な局所プラズマを形成するのに十分な変調電気エネルギーを印加し、同時にリターン電極の第一の露出表面に隣接して熱効果を形成するように、電気外科手術が第一の配向にある間に、電気エネルギーに関連する出力を調整することも含む。電気外科手術ワンドを第二の配向に配置する前に、細長いシャフトは、第二の標的組織へのアクセスを改善するように曲げられてもよい。第一の標的組織は扁桃組織であってもよく、第二の標的組織はアデノイド組織であってもよい。
【0009】
以下に記述される様々な実施形態は、例えば1mm以上のより大きな動脈血管をシールするのに有用である。いくつかの実施形態では、高周波エネルギーは、コントローラの同じ電極端子または異なる電極端子のいずれかに、アブレーションモードおよび凝固モードで提供される。この例では、アブレーションモードは、組織の分子解離または分解をもたらすのに十分な第一の電圧を定義し、および凝固モードは、組織内の切断された血管の止血を達成するのに十分な第二のより低い電圧を定義し、電極に隣接するイオン化蒸気を消すこともできる。他の実施形態では、動脈血管などの血管をシールするように構成された一つまたは複数の凝固電極、および組織内でコラーゲン繊維を収縮させるか、または組織を切除するように構成された一つまたは複数の切除電極を持つ電気外科手術プローブが提供される。いくつかの実施形態では、凝固電極は、単一の電圧を印加して凝固電極で凝固させ、アブレーション電極で組織を切除できるように構成されうる。他の実施形態では、電源は、電源が凝固モード(低電圧)にあるときに凝固電極が使用され、電源がアブレーションモード(高電圧)にあるときに切除電極が使用されるように、プローブと組み合わされる。
【0010】
様々な実施形態の少なくとも一部は、これらの実施形態の利点を単一製品に結合し、したがって開業医および施設に使いやすさとコスト節約とを提供するはずである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
例示的な実施形態の詳細な説明については、以下の添付図面を参照する。
【
図1】
図1は、本開示の少なくとも一部の実施形態による電気外科手術システムを示す。
【
図2】
図2は、本開示の少なくとも一部の実施形態による電気外科手術ワンドの透視図を示す。
【
図3-1】
図3Aおよび
図3Bは、本開示の少なくとも一部の実施形態による第一のワンド先端実施形態の様々な図を示す。
【
図3-2】
図3Cは、本開示の少なくとも一部の実施形態による第一のワンド先端実施形態の様々な図を示す。
図3Dは、本開示の少なくとも一部の実施形態による、
図3A~3Cに示すワンド先端実施形態の断面図を示す。
【
図4-1】
図4Aは、開示された少なくとも一部の実施形態による、第一の配向で第一の標的組織を治療する電気外科手術ワンドの図を示す。
【
図4-2】
図4Bは、開示された少なくとも一部の実施形態による、第二の配向で第二の標的組織を治療する電気外科手術ワンドの図を示す。
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、本開示の少なくとも一部の実施形態による、第二のワンド先端実施形態の斜視図および側面図をそれぞれ示す。
【
図6】
図6Aおよび
図6Bは、本開示の少なくとも一部の実施形態による、第三のワンド先端実施形態の正面斜視図および後方斜視図をそれぞれ示す。
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、本開示の少なくとも一部の実施形態による、第四のワンド先端実施形態の遠位先端の正面および後方斜視図をそれぞれ示す。
【
図8】
図8は、本開示の少なくとも一部の実施形態による、第五のワンド先端実施形態の遠位先端の斜視図を示す。
【
図9】
図9は、少なくとも一部の実施形態による第一のコントローラシステムの概略図を示す。
【
図10】
図10は、少なくとも一部の実施形態による第二のコントローラシステムの概略図を示す。
【
図11】
図11A~
図11Cは、少なくとも一部の実施形態によるコントローラシステムの変化するエネルギー出力の表現を示す。
【
図12】
図12は、本開示の少なくとも一部の実施形態による、第六のワンド先端実施形態の遠位先端の斜視図を示す。
【
図13】
図13Aおよび
図13Bは、本開示の少なくとも一部の実施形態による、第七のワンド先端実施形態の遠位先端の斜視図および側面図を示す。
【
図14-1】
図14Aおよび
図14Bは、本開示の少なくとも一部の実施形態による、第八のワンド先端実施形態の遠位先端の左および右側面図を示す。
【
図14-2】
図14Cは、本開示の少なくとも一部の実施形態による、第八のワンド先端実施形態の断面を示す。
【0012】
定義
特定のシステム構成要素を参照するために様々な用語が使用される。異なる企業は、一つの構成要素を異なる名前で指す場合がある。この文書は、名前は異なるが機能は同じ構成要素を区別することを意図していない。以下の考察および特許請求の範囲において、「含む」および「備える」という用語は、制限無く使用されるため、「…を含むが、これに限定されない」を意味すると解釈されるべきである。また、「連結する(couple)」または「連結する(couples)」という用語は、間接的または直接的な接続のいずれかを意味することを意図する。したがって、第一の装置が第二の装置と連結する場合、その接続は、直接接続または他の装置および接続を介する間接接続であってもよい。
【0013】
単一のアイテムへの言及には、同じアイテムが複数存在する可能性が含まれる。より具体的には、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、「said」および「the」は、文脈が別途明確に規定しない限り、複数の参照を含む。特許請求の範囲は、任意の要素を除外するために作成される場合があることにさらに留意されたい。このように、この記述は、請求項要素の列挙、または「否定的」制限の使用に関連して、「唯一」、「のみ」などの排他的用語を使用するための前提条件となる。最後に、特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有することを理解されたい。
【0014】
「アブレーション」は、プラズマと組織の相互作用に基づいて組織を除去することを意味する。
【0015】
「プラズマ」は、イオン化された放電を放出できる蒸気泡または蒸気層で形成された低温気体を意味するものとする。
【0016】
「活性電極」は、治療の対象となる組織に接触または近接すると、電気的に誘導される組織改変効果を生じる電気外科手術ワンドの電極を意味するものとする。
【0017】
「リターン電極」は、活性電極に関して電荷の電流経路を提供する役割を果たす電気外科手術ワンドの電極、および/またはそれ自体は治療の対象となる組織に電気的に誘導される組織改変効果をもたらさない電気外科手術ワンドの電極を意味するものとする。
【0018】
「熱的電極」は、活性電極でありうる第二の電極に関して電荷の電流経路を提供する役割を果たす電気外科手術ワンドの電極を意味し、熱電極に隣接して電気的に誘導される熱組織改変効果を治療の対象となる組織にもたらす。
【0019】
「パルシング」は、ワンド上の少なくとも一つの電極に生成されて送達されるAC電圧信号の変調出力エネルギーを意味し、出力エネルギーは、少なくとも一つの電極でイオン化された蒸気層を形成するのに十分な出力エネルギーと、イオン化蒸気層を消すことのできる出力エネルギーとの間で変調する。
【0020】
「ブレンド」または「ブレンドカット」とは、組織切断と同時に止血を提供することを意味するものとする。バイポーラモードの場合、これは組織との動作関係(活性電極および熱電極の設定)にある電極表面積の比率が等しくない二つの電極で達成することができ、および/またはこれは(表面積比が等しいまたは等しくない)二つの電極間のパルシング出力(上述)を含みうる。追加的に/代替的に第三の電極が存在し、第一の組織効果を規定する第一のエネルギー出力が第一の電極に送達され、異なる組織効果を規定する第二のエネルギー出力が第二の電極に送達されうる。第一および第二のエネルギー出力は、切除出力、凝固出力、またはパルシング出力を含みうる。
【0021】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限の間のすべての介在値、およびその所定範囲内の任意の他の表示値または介在値が、本発明に包含されることが理解される。また、記載される本発明の変形の任意の特徴は、本明細書に記載される特徴のうちの任意の一つまたは複数と、独立してまたはそれと組み合わせて記載および請求されてもよいことが意図されている。
【0022】
本明細書で言及される既存の主題はすべて(例えば、刊行物、特許、特許出願、およびハードウェア)、主題が本発明の主題と矛盾する場合を除き(その場合、本明細書にあるものが優先される)、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照項目は、本出願の出願日前の開示に対してのみ提供される。本明細書のいかなるものも、本発明が先行発明のためにそのような資料に先行する権利がないことの承認として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の考察は、本発明の様々な実施形態を対象とする。これらの実施形態の一つまたは複数が好ましい場合があるが、開示された実施形態は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲を限定するものとして、解釈されるべきではなく、さもなければ使用されるべきではない。さらに、当業者であれば、以下の説明が広範な用途を有し、任意の実施形態の考察がその実施形態の例示にすぎないことを意味し、請求項を含む本開示の範囲がその実施形態に限定されることを暗示する意図はないことを理解するであろう。
【0024】
図1は、少なくとも一部の実施形態による電気外科手術システム100を示す。特に、電気外科手術システム100は、標的部位に高周波電圧を供給するために、電気外科手術コントローラ104(以下「コントローラ104」)に連結された電気外科手術ワンド102(以下「ワンド102」)を備え、流体送達チューブ116を介してワンド102に導電性流体50を供給するための流体源121を備える。ワンド102は、遠位端108を画定する細長いシャフト106を備える。細長いシャフト106はさらに、近位端111でハンドル110を画定し、医師は外科手術中にワンド102を握る。ワンド102は、一つまたは複数の導線を収容する可撓性多導体ケーブル112をさらに備え(
図1には具体的に図示せず)、可撓性多導体ケーブル112は、ワンドコネクタ114で終結する。
図1に示すように、ワンド102は、エンクロージャ122(
図1の例示的な場合では、前面)の外面上のコントローラコネクタ120などによって、コントローラ104に連結する。
【0025】
図1の図では見えないが、一部の実施形態では、ワンド102は、外部からアクセス可能な管状部材に連結した一つまたは複数の内部流体導管を有する。図示したように、ワンド102は、ワンドの遠位端108に導電性流体を送達するために使用される可撓性管状部材116を有する。流体送達は、送達チューブ116を介してワンド102への流体流供給の速度を提供および制御するために、ポンプ118によって制御されうる。様々な実施形態によれば、管状部材116は、蠕動ポンプ118に連結され、蠕動ポンプ118は、コントローラ104と一体型の構成要素として例示的に示されている(すなわち、コントローラ104のエンクロージャ122内に少なくとも部分的に存在する)。他の実施形態では、蠕動ポンプ118のエンクロージャは、コントローラ104のエンクロージャ122から分離されてもよいが(
図1に破線で示すように)、いずれにしても蠕動ポンプはコントローラ104に動作可能に連結されている。システム100はまた、標的部位を吸引するためのワンド102に関連する吸引または吸引ルーメンまたはチューブ115に連結する真空源(図示せず)も含みうる。別の方法として、吸引速度を制御するために、第二のポンプ(図示せず)を吸引チューブ115に動作可能に連結してもよい。例示的な蠕動ポンプ118は、ロータ部分124(以下「ロータ124」)、ならびにステータ部分126(以下「ステータ126」)を備える。例示的な可撓性管状部材116は、ロータ124とステータ126との間の蠕動ポンプ118内で連結し、可撓性管状部材116に対するロータ124の移動により、排出128に向かって流体移動を生じさせる。
【0026】
図1をさらに参照すると、表示装置またはインターフェース装置130は、コントローラ104のエンクロージャ122を通して見ることができ、いくつかの実施形態では、ユーザーは、インターフェース装置130および/または関連するボタン132によってコントローラ104の動作特性を選択することができる。例えば、一つまたは複数のボタン132を使用して、外科医は、電気外科手術処置中にワンド102で使用するエネルギー範囲またはモードの中から選択することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、電気外科手術システム100は、フットペダルアセンブリ134も備える。フットペダルアセンブリ134は、一つまたは複数のペダル装置136および138、可撓性多導体ケーブル140およびペダルコネクタ142を備えうる。二つのペダル装置136および138のみが示されているが、一つまたは複数のペダル装置が実装されうる。コントローラ104のエンクロージャ122は、ペダルコネクタ142と連結する対応するコネクタ144を備えてもよい。医師はフットペダルアセンブリ134を使用して、アブレーションモードなどのコントローラ104の様々な態様を制御しうる。例えば、ペダル装置136は、ワンド102への無線周波数(RF)エネルギーの印加のオンオフ制御に使用されてもよい。さらに、ペダル装置138は、電気外科手術システムの動作モードを制御および/または設定するために使用されうる。例えば、ペダル装置138の作動は、アブレーションモードと凝固モードとの間、または最小限の止血を伴う純粋な切断モードと後述するように様々なレベルの同時止血を提供する混合および/またはパルスアブレーションモードとの間で切り替えることができる。
【0028】
様々な実施形態の電気外科手術システム100は、Coblation(登録商標)技術を用いるアブレーションを実施する。特に、本開示の譲受人は、Coblation(登録商標)技術の所有者である。Coblation(登録商標)技術は、ワンド102の一つまたは複数の活性電極と一つまたは複数のリターン電極との間の少なくとも一つの無線周波数(RF)信号を印加して、標的組織の近傍に高電界強度を発生させる。電界強度は、一つまたは複数の活性電極と標的組織との間の領域内の一つまたは複数の活性電極の少なくとも一部分にわたって導電性流体を気化させるのに十分でありうる。導電性流体は、血液、または場合によっては細胞外液または細胞内液など、本質的に体内に存在しうる。他の実施形態では、導電性流体は、等張食塩水などの液体または気体であってもよい。いくつかの実施形態では、示されるように、導電性流体は、送達システムによって、活性電極の近傍および/または標的部位に送達される。
【0029】
導電性流体が、原子の再凝縮よりも速く流体の原子が蒸発する点まで加熱されると、気体が形成される。十分なエネルギーが気体に印加されると、原子は互いに衝突し、そのプロセスで電子が放出され、イオン化された気体またはプラズマが形成される(いわゆる「第四の状態」)。別の言い方をすれば、プラズマは、気体を加熱し、気体に電流を流して気体をイオン化するか、電磁波を気体に向けることによって形成されうる。プラズマ形成の方法は、プラズマ中の自由電子に直接エネルギーを与え、電子‐原子衝突がより多くの電子を解放し、所望のイオン化が達成されるまでプロセスをカスケードする。プラズマのより完全な説明は、R.J.Goldston and P.H.Rutherford of the Plasma Physics Laboratory of Princeton University(1995)によるPlasma Physicsに見出すことができ、その完全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
プラズマの密度が十分に低くなるにつれ(すなわち、水溶液で約1020原子/cm3未満)、電子平均自由行程は増大し、続いて注入される電子がプラズマ内でインパクトイオン化を引き起こす。プラズマ層内のイオン粒子が十分なエネルギーを有する時(例、3.5電子ボルト(eV)~5eV)、イオン粒子と標的組織を構成する分子との衝突は、標的組織の分子結合を破壊し、分子をフリーラジカルに解離させ、その後、気体または液体の種に結合する。(熱蒸発または炭化とは対照的に)分子解離によって、標的組織はより大きな有機分子を、水素、酸素、炭素酸化物、炭化水素、および窒素化合物などのより小さな分子および/または原子に分子解離することにより体積的に除去される。関連技術の電気外科手術乾燥および気化において起こるように、組織の細胞および細胞外液内の液体の除去による組織材料の脱水とは対照的に、分子解離は組織構造を完全に除去する。分子解離のより詳細な説明は、譲受人が共通である米国特許第5,697,882号に見出すことができ、その完全な開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
ワンド102の遠位端108で電気外科手術システム100によって生成されるエネルギー密度は、活性電極の数、電極サイズおよび間隔、電極表面積、電極表面上の凹凸および/または鋭い縁部、電極材料、印加電圧、一つまたは複数の電極の電流制限(例えば、電極と直列にインダクタを配置することにより)、電極と接触する流体の導電率、導電性流体の密度、およびその他の要素など、様々な要因を調整することによって変化しうる。したがって、これらの要因を操作して、励起電子のエネルギーレベルを制御することができる。異なる組織構造は異なる分子結合を有するため、電気外科手術システム100は、特定の組織の分子結合を破壊するのに十分であるが、他の組織の分子結合を破壊するには不十分なエネルギーを生成するように構成されてもよい。例えば、脂肪組織(例、動物性脂肪)は二重結合を有し、切断するには4eV~5eVを超える(すなわち、約8eVのように)エネルギーレベルを必要とする。したがって、一部の動作モードにおけるCoblation(登録商標)技術は、こうした脂肪組織を切除しないが、低エネルギーレベルのCoblation(登録商標)技術を使用して、細胞を効果的に切除し、液体状の内部脂肪含量を放出することができる。他の動作モードではエネルギーが増加しているため、二重結合も単結合と同様の方法で破壊できる(例、電圧を上げるか、電極構成を変更して、電極での電流密度を上げる)。様々な現象のより完全な説明は、譲受人が共通である米国特許第6,355,032号、第6,149,120号および第6,296,136号に見出すことができ、その完全な開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
一般的に、開示されたシステムおよび変化するワンド先端実施形態の意図は、様々な機能を提供することができ、第一の構成では第一の組織を精密切開するかまたはブレンドカットを提供し、および第二の構成では異なる組織効果を提供することができる一つのワンドを提供することである。開示された実施形態の第一の例示的なセットは、第一の構成では扁桃組織などの第一の組織を切開するよう構成され、第二の構成ではアデノイドを(急速に分離および除去して)減量するように構成される。開示された実施形態の第二の例示的なセットは、第一の構成では皮膚または外層などの第一の組織を切開または切断するように構成され、第二の構成では第一の組織に隣接した領域を凝固するように構成される。第一および第二の構成は、以下のパラメータの少なくとも一つを変更することで規定される:ワンドの配向または標的組織への接近角度、標的組織との動作関係にある活性電極の表面積および形状の変化、または標的組織の近傍に配置された電極の変化、変形による、ワンドシャフトに沿った曲げ角度の変更、ワンド遠位端に送達され、ワンド遠位端から除去される流体流量の変化、周波数、制御モード、電圧またはワンドの電極の少なくとも一つへの電圧パルスなどのエネルギー出力の変更。例示的なシステムはまた、少なくとも三つの電極を有する一部の三極性または多極性ワンドを備えうる。コントローラを介して、各電極は、第一および第二の構成も規定するコントローラのRF発生器の少なくとも一つの活性端子および一つのリターン端子に互換的に接続されうる。したがって、各電極は、活性電極、熱電極、またはリターン電極、または任意の特定の外科的処置用の浮遊電極であってもよい。
【0033】
より具体的な例として、扁桃腺を除去する時、活性電極は、スペーサから離れるように延びるブレード型またはプレート型の電極(またはニードル型の電極)をより多く必要とする。狭い遠位先端を有する活性電極は、ブレードと同様に作用し、かつフォッサから離れた扁桃組織を精密切開するように、最先端に主にプラズマを形成するように構成される。扁桃摘出中の扁桃腺を把持するためのアクセスは、アデノイドと比較して比較的容易であるため、活性電極が扁桃を切除してフォッサから切り離す際に、二次装置を使用して扁桃腺を把持および除去することが好ましい。扁桃摘出後の著しい痛みは、しばしば残りの組織層の損傷に起因するため、患者の外科手術後の痛みを管理するには、止血が制限された非常に制御された切開が好ましい。それとは反対に、アデノイドを把持することは容易に可能ではなく、そのため活性電極を使用して、アデノイドの上層を徐々に解離し、これらの分子的に解離した層を活性電極を通る吸引開口部を通して除去し、それによってアデノイドを減量する。アデノイド下の組織層も一般的に、熱に対する感受性が低いと考えられる。したがって、アデノイドを減量する際、表面積では活性電極がより大きくなり、組織効果はより活動的(より高い電圧を送達する)になり、流体送達および/または吸引速度がより高くなって、減量した組織の除去を促進することができる。
【0034】
図2は、扁桃およびアデノイド除去のために構成された例示的なシステムによる例示的なワンド実施形態202の側面図を示す。ワンド202は、やや剛性でありうる細長いシャフト206と、細長いシャフト206の近位端211に連結されたハンドル210とを備える。示されるように、シャフト遠位端は、湾曲部203を含み、これは湾曲部203の近位のシャフト長手方向軸に対して非ゼロ角度Θでワンドの最遠位部分を配向するよう構成され、該角度Θは、扁桃組織などの標的組織へのアクセスおよび視認を支援するように構成され、5~45度、より好ましくは10~30度である。いくつかの実施形態では、シャフト206は、湾曲部203が標的組織により良好にアクセスするよう変更されうるように十分に可鍛性でありうるか、または203に隣接して第二の湾曲部(図示せず)を追加してもよい。したがって、細長いシャフト206は、臨床医による操作の際に容易に変形するように、アニールされたステンレス鋼などのいくぶん可鍛性の材料を含んでもよい。遠位端208には、活性電極200、リターン電極201、および電極支持部材204が存在する。ワンド202の遠位端208における様々な要素の関係については、以下でさらに考察される。活性電極200は、多導体ケーブル112内の一つまたは複数の絶縁電気コネクタ(図示せず)によって、コントローラ104(
図1)内の能動制御ネットワークまたは受動制御ネットワークに連結されてもよい。活性電極200は、細長いシャフト106に配置される共通電極またはリターン電極201などの先端の他の電極から電気的に絶縁されている。遠位先端から近位に、リターン電極201は、ワンド202の細長いシャフト106と少なくとも部分的に同心である。遠位端にある細長いシャフトおよび支持部材は、より大きな吸引開口部を可能にし、減量中の組織除去を改善するために、好ましくは楕円形の断面を画定する。支持部材204は、リターン電極201の遠位および周囲に位置付けられ、エポキシ、プラスチック、セラミック、シリコーン、ガラスなどの電気絶縁材料から構成されうる。支持部材204は、細長いシャフト206の遠位端208から延び(通常は約1~20mm)、活性電極202の支持体を提供する。
【0035】
図3Aは、例示的なシステムによる第一のワンド先端実施形態を有するワンド202の斜視図を示す。
図3Aに示すのは、ワンド細長いシャフト206に沿って配置された流体送達要素(図示せず)を介して可撓性管状部材115(
図1に見られる)に流体連結された開口部310を有する遠位先端での活性電極300である。活性電極300は、リップまたはブレード部分322およびスクリーン部分320の両方を含む複合活性電極である。ブレード部分322は、フォッサからの扁桃組織などの組織層から組織を精密切開するよう構成されたワンドの最遠位端を画定する。これはまた、アデノイド組織を減量しながら前縁としても機能し、組織層からアデノイド組織をすくい取り、活性電極300のスクリーン部分および開口部310に向かって導くように構成される。活性電極300は、絶縁スペーサ304に連結され、絶縁スペーサ304によって支持される。スペーサ304の近位には、流体送達開口部308を有するリターン電極306があり、開口部308は、ワンド細長いシャフトに沿って配置された流体送達要素を介して、可撓性管状部材116(図示せず)に流体連結される。例示的なシステムでは、ワンド202の遠位端は、ワンド202の遠位端の部分を電気的に絶縁するだけでなく、開口部308からリターン電極306を越えて活性電極300に向かう導電性流体の流体流を導くためのガードレールを形成することもできる、絶縁シース312で覆われている。
図3Bで最も良くわかるように、絶縁シース312は、ワンド202の下側または上側の第一のリターン電極露出部分306a、およびワンド202の上側の第二のリターン電極露出部分306bを画定し、第一および第二の露出部分306aおよび306bは、同一の電位でリターン電極306の二つの個別の部分を形成するように、リターン電極306の一部も覆う。別の言い方をすれば、二つの露出部分は、スペーサ304によって分離され、シース312と組み合わせて、二つの露出部分306aと306bとの間の効果的に「回路を遮断」するように、リターン電極306に対して絶縁手段を提供する。これにより、エネルギーの流れを指示または分離し、示す位置に三つの別個の導伝性表面を形成することによって、ワンド先端を有効にしてバイポーラ構成で三極タイプの性能をエミュレートする(活性電極300、第一の露出リターン電極部分306aおよび第二の露出リターン電極部分306b)。少なくとも一部の導電性表面は、組織に対するワンドの配向によって本質的に選択され、一部の電極は組織と動作関係にあり、そうでない電極もある。
【0036】
リターン電極306の両方の露出表面は、流体送達開口部を有し、流体送達がワンドおよび活性電極300を取り囲み、遠位先端での凝固および活性電極表面(上部および下)の周りの均一なプラズマ形成のための湿潤および導電性を改善し、これはアデノイド切除に特に役立ちうる。さらに、後で説明するように、リターン電極が一時的に熱電極として動作して止血を提供する場合、リターン電極の第一の露出部分にわたる流体流は付着も減少させうる。異なる電圧設定と連動して流量を積極的に調節することによって達成される熱効果の量は、より少ない流れはより少ない熱につながり、より多くの流れはより多くの加熱を生み出すことができる。発明者らはまた、より広い組織減量効果が活性電極のより大きな表面の周りに望まれる場合には、ワンドは、重力がより多くの流体を上側の開口部308bに比較して下側の開口部308aから流すようにしばしば方向付けられており、その結果、活性電極のスクリーン部分の周りのプラズマ生成の望ましい一貫性を妨げるようにワンドが頻繁に配向されていることも見出した。この流れのバランスを保ち、プラズマ生成を改善するために、上側の流体送達開口部308bは、下側の流体送達開口部308aよりも直径が大きく、または量が多くてもよい。いくつかの実施形態では、開口部308bは、第二の露出リターン電極部分306bの幅を横切る単一の細長いスロットであってもよい。さらに、ワンドおよびスペーサ304内に配置された流体送達チャネルまたは要素は、下部開口部308aよりも多くの流れを上部開口部308bに優先的に導くように構成されうる。いくつかの実施形態では、流体送達チャネルは分割、またはワンドの実質的な部分に沿って二つの別個の流体送達要素を形成しうる。これにより、装置に戻る高抵抗の電気経路が確保され、内部導電性経路の導電性流体を提供する代わりに、電流経路が主に電極および装置の外部表面の周りに押し出される。
【0037】
図3Bは、絶縁シース312から遠位に延びるリターン電極306aおよび306bの第一および第二の部分を示す、ワンド202の第一のワンド先端実施形態の側面図を示す。リターン電極306の両方の露出部分は、一つのシャフト部分305から軸方向に延びるノッチを画定し、絶縁シャフトは、これらの二つの露出部分を画定するように、単一シャフト部分305から遠位で終わる。絶縁シース312は、ワンド遠位先端の遠位端(A-A)の中心長軸に対して角度付き遠位縁で終了してもよく、角度は相対的な長さを画定し、およびそれにより二つのリターン電極部分306aおよび306bの表面積を画定する。この図からもわかるのは、線B-Bおよび線B-Bにほぼ平行なスペーサ304の遠位の角度付き平面321であり、両方ともワンド遠位先端の長軸(A-A)に対して、約30~60度、より好ましくは40~50度の角度(α)をなす。線B-Bは、リターン電極遠位縁307aおよび307bと活性電極300との間の実質的に均一な距離を維持するように、リターン電極部分306aおよび306bの最遠位縁307をほぼ通る線を画定する。実質的に均一な分離を有することは、後で説明するように、特にワンドが減量構成にあるときに、活性電極300全体でより均一な組織効果を提供しうる。
【0038】
活性電極300は、スクリーン部分320およびブレード部分322を有し、それらの間に湾曲面324を有する複合活性電極を規定する。スクリーン電極320は、標的組織を減量するように構成され、示されるように、この組織を吸引するために開口部310を有する。スクリーン部分320は、突起、凹部または空洞などの表面凹凸を含み、この凹凸は、電界強度を集中させ、それによって標的組織のプラズマ開始と伝播、および改善された分子解離を促進する役割を果たす。ここに示されているのは、吸引開口部を取り囲み、特に組織の減量時に有用なスクリーン電極320の周りの改善されたプラズマ形成のための一連の細長い同心の縁を提供する第一の馬蹄形の凹部330を含む一連の凹部である。活性電極300の外側縁表面と吸引開口部310との間のプラズマ伝播をさらに促進するために、追加の半径方向に配向された縁部333を追加して、馬蹄形凹凸を増加した数のセグメントに分離し、馬蹄形凹凸330と凹部332との間の分離と類似した追加のセグメントをもたらすことができる。増加したプラズマ形成は、吸引開口部310に隣接した組織をさらに切除し、該開口部310および関連する流体吸引要素の下流の詰まりを減少させうる。二つのより小さい凹部332は、活性電極300の湾曲部分324と連続しており、これに沿って延びる。凹部はすべて、活性スクリーン電極の上面から離間した底面331を画定する。一般的に、アブレーションモード中に、組織は、活性電極300と光接触した状態に保たれることが好ましく、したがってアブレーション中の活性電極300の有効表面積は、活性電極300の上面および凹部縁である。しかしながら、凝固する間に、組織は活性電極300とより確かな接触をすることが好ましく、その結果、組織は自然に凹部(330、332)に適合し、上面同様下面331も含むように活性電極の表面積を効果的に増加させ、凝固効率を増加させる。効果的な組織凝固のためには、より大きい表面積が好ましい。
【0039】
ブレード部分322は、フォッサと扁桃組織との間の移行部に容易にアクセスするようなサイズおよび形状であり、解剖学的構造に従うように湾曲していてもよい。ブレード部分322は、扁桃の下側にアクセスするのに十分な長さでスペーサ304から遠位および軸方向に離れて延びることができる。ブレード部分322は、ワンド遠位端の中央長軸(A-A)に対してオフセットされてもよく、またリターン電極306aの第一の部分から最も近いが横方向にオフセットされたワンド先端の下側または第一の側に配置されてもよい。ブレード部分322は、より高い電界強度の領域を形成し、優先的にプラズマを形成し、それによってフォッサから扁桃などの組織を優先的に精密切開するように、角度付きまたは尖った先端323で終結しうる。別の言い方をすれば、ブレード部分322は、扁桃の切開のための切断縁を形成するように構成される。
【0040】
図3Cは、第一のリターン電極部分306aを備え、そこを通る軸方向に離間した一対の開口部308aを有する、ワンド202の第一のワンド先端実施形態の下側を示し、開口部308aは、導電性流体がワンド遠位端に送達され、第一のリターン電極部分306aを越えて、活性電極ブレード部分322に向かって流れるように、流体送達要素に流体連結される。この角度から見えるように、ブレード部分322の遠位先端323はまた、軸A-Aに対して対称的に湾曲した遠位縁323も画定し、臨床医がブレード部分322を組織間で移動させるときに、ブレード部分322の輪郭の周りに平滑で均一な組織効果を提供する。
【0041】
図3Dは、ワンド202の第一のワンド先端実施形態の断面を示し、断面の位置は
図3Bに示されている。
図3Dに示すとおり、リターン電極306aおよび306bのそれぞれ第一および第二の露出部分を備えたスペーサ304である。断面は楕円形であり、シャフトを通る吸引チャネル311および活性電極300を通る対応する開口部310の増加を可能にしながら、電極のスペーサへの連結のための空間も可能にする。この図から見ると、リターン電極306はスペーサ304をほぼ取り囲むが、第一の露出部分306aはスペーサ304を取り囲み、ワンドの遠位先端の下側に限定されるが、第二の露出部分306bはスペーサ304の少なくとも3つの側を取り囲むようにさらにスペーサ304を取り囲む。第一の露出部分306aは、ワンドが、主に第一の露出リターン電極部分306aを通る一次電流経路に影響を与えるように配向または構成されるとき、この露出部分306aは、一部の電気的に誘導された組織効果を提供することができるという点で、規定された典型的なリターン電極ではなく、熱電極のように動作するようにサイズ設定されている。これは、第二の露出部分306bが組織と動作関係にないように第二の露出部分306bを組織から離すようにワンドを配向することによって、および/または第二の部分を電気的に絶縁することによって達成されうる(後述)。この電気的に誘導された組織効果は、特に扁桃組織を除去する際に役立つ止血を提供し、組織層またはフォッサのいくらかの止血を伴う扁桃の精密切開が望まれる。活性電極300および第一の露出部分306aは、標的組織に最も近く配置され、したがってスクリーン部分320および第二の露出部分306bよりも、それらの間に形成されるこの一次電流経路を設定する。これにより、主に第一の露出部分306aとブレード部分322との間にバイポーラ電流経路が設定され、ブレード部分322に隣接した切開に、第一の露出部分306aに沿ったいくらかの同時止血がもたらされる。第一の露出部分306aがワンドのより大きな周囲を囲む場合、結果として生じる表面積は、同時組織止血効果を提供しない可能性があり、第一の露出部分はむしろリターン電極のように作用し、それにより組織効果が低下するかまたは提供されない。さらに、スクリーン部分322の一部の周りの電流経路はより容易に形成され、それによって望ましくない組織効果がもたらされうる。
【0042】
第二の露出部分306bは、ワンドが第二の配向で使用されるときに優先的に組み込まれるため、第一の306aよりもシャフトを大きい程度まで取り囲み、これにより活性電極300の広い表面にわたって組織を減量または代替的に凝固させる。第二の配向では、リターン電極の両方の露出部分は、電流経路のより均等な部分であり、したがってリターン電極306は全体として(両方の露出した部分)より機能する。この場合、リターン電極306の二つの部分は、アデノイドを減量するために使用される場合、より均一なプラズマ形成および活性電極300の周りの組織効果の切除のいずれかを提供する活性電極320のより大きい部分を本質的に取り囲むように組み合わされるか、またはコントローラが組織を凝固するように構成された電圧を送達する場合、より大きな血管に対してより均一な組織凝固効果を提供する。フォッサなどの組織を凝固する時、凹面331が組織と接触するように、スクリーン電極表面は組織上に配置されうる。
【0043】
露出リターン電極の部分はまた、表面仕上げが異なっていてもよく、第二の露出部分306bよりも第一の露出部分306aの方が滑らかな仕上がりを有する。発明者らは、電気研磨表面仕上げがより疎水性の表面であることを見出し、その表面に付着する組織を減少させることも見出した。機械加工またはサテン仕上げなどの粗い表面仕上げは、表面の流体保持を改善し、それによって均一なプラズマ生成の鍵となる表面湿潤を改善するように、より親水性である。したがって、第一の部分306a上の流体流と共により滑らかな表面仕上げは、それが熱電極として作用するとき、付着がより起こりやすいときに付着を減少させるのに役立つ。滑らかな仕上げの例は0.012~0.05μm(マイクロメートル)Raの範囲であり、より親水性の表面仕上げは0.8~3.2μm Raの範囲であり、Raは粗さ平均である。第二のリターン電極露出部分306bが作用する第二の構成に配置された場合、増加した表面テクスチャ(粗い表面またはサテン表面)は、流体が第二の露出部分306bの表面から流れ落ちることを妨げ、表面の湿潤を改善し、それによって活性電極の周りのリターン電極のより大きな有効表面を促進し、減量中または代替的に組織の凝固時に必要なより広い組織効果を促進する。
【0044】
図4Aおよび4Bは、組織に対する二つの配向および使用方法を示す。
図4Aに示す第一の配向において、ワンドは扁桃405を精密切開するように位置づけられてもよく、または主にブレード部分322を使用してフォッサまたは組織層410から扁桃405を切断するように位置づけられてもよい。前述のように、この第一の配向では、第一のリターン電極露出部分306aは、部分的に湾曲部103のために組織層410と主に接触しおよびこれに平行であり、したがって第一の露出部分306aは活性電極300に関して一次電流経路416の一部である。第二のリターン電極露出部分306bは、組織から離間しており、最小電流は活性電極300と第二の部分306bの間に流れうる。(開口部308bからの導電性流体流の結果として一部の電流が流れる場合があるが、第二の露出部分は組織と動作関係にはない。)先に説明した通り、これにより、第一の露出部分306aが一時的に熱電極として作用するように変換され、第一の配向で使用中の組織層410のある程度の加熱と止血415が同時に提供される。代替的な実施形態では、二つの露出リターン電極部分306aおよび306bは、コントローラに個別に連結され、それに応じて多重化される二つの電気的に絶縁された要素として形成されてもよく、しかし、この実施形態は、追加的な制御およびコントローラでの多重化を必要とする場合があり、一般的にワンドおよびコントローラの両方にコストを追加しうる。
【0045】
扁桃を治療する間、ワンド202は一時的に回転され(図示せず)、凝固モードで動作させて、扁桃に隣接するより大きな血管を治療することができる。これらの血管は典型的にはフォッサの一部であるか、またはフォッサを扁桃につないでいる。この配向では、活性電極スクリーン部分320の実質的な部分は、凹部の下面331を含む組織層410と接触して配置される。リターン電極306aおよび306bの両方の露出部分は、フォッサ415により均等に隣接している。この凝固構成では、導電性流体が、開口部308aおよび308bから活性電極300の周りおよびその上を吸引開口部310に向かって流れ、露出リターン電極部分306aおよび306bの両方から電流経路416を橋渡しするのに役立ちうる。組織を凝固させるように構成されたRF出力と共に、活性電極300のより広い表面全体にわたって血管をシールする組織凝固効果が達成され、次におそらく第一の配向に戻り、扁桃組織の切開を続ける。さらに、コントローラは、凝固モード時に流体流量を変更してもよく、切開モードまたはアブレーションモードと比較して流体流量が減少する場合がある。
【0046】
第二の配向では、ワンドは、
図4Bに示すように再配向され、減量または高速アブレーションモードで動作する。この配向では、活性電極スクリーン部分320の実質的な部分は、アデノイド組織430に隣接しており、リターン電極306aおよび306bの両方の露出部分は、アデノイド組織430からより均等に離間している。この第二の凝固構成では、導電性流体が、開口部308aおよび308bから活性電極300の周りおよびその上を吸引開口部310に向かって流れ、露出リターン電極部分306aおよび306bの両方から電流経路416を形成する。ブレード部分322および曲線324はまた、スクリーン電極320に向かってアデノイド組織430をすくうようにも構成される。これにより、アデノイド組織430のより広い部分を減量または分子的に解離し、組織層420からアデノイド組織430を減量方式で除去するように、活性電極300にわたるより広い組織効果が可能になる。この配向では、アドノイド組織430により良好にアクセスするために、臨床医は湾曲部103を変更するか、またはワンドシャフト106に沿った第二の湾曲部を追加することができる。さらに、コントローラは、切開モードに対して流体流量を増加させるために、この第二の配向で流体流量送達速度を調整することができ、この増加した流体送達速度は、吸引開口部310を通る副生成物の流れを改善し、組織減量を改善する。
【0047】
第二の実施形態
図5Aおよび
図5Bは、例示的なシステムによる、第二のワンド先端実施形態を有するワンド202の斜視図および側面図をそれぞれ示す。この第二の実施形態は、第一のワンド先端実施形態に対する多くの類似した要素を含み、また前述と同様の方法で扁桃およびアデノイドなどの様々な組織を治療するために使用されうる。類似の要素には、スペーサ504上に配置されたブレード部分522およびスクリーン部分524を有する複合活性電極500と、流体送達開口部508を備えたリターン電極506とを含む。スクリーン部分524は、吸引開口部510の周りに円周方向に配置されたポケットまたは凹部として示される代替的な表面凹凸525を示し、凹凸525は、電界生成に焦点を合わせ、それによってプラズマ開始を促進するスクリーン電極平面上に縁部を形成する。これらの凹凸525は、標的組織に隣接してスクリーン電極平面を配置する時に、標的組織の減量を改善することが見出されている。
図5Aはでも示されるように、その近位端に流体送達開口部508および絶縁シース512の縁部によって形成された細長いチャネル513と、を備えた上部リターン電極506であり、開口部508から流れる流体は、上部リターン電極506の細長い部分の上を活性電極500に向かって流れる。また、この実施形態では、シャフトを取り囲む上部リターン電極506の遠位縁509の代替的な実施形態も示されている。遠位縁509は、透過性の実施形態で説明されるように、ほぼ平行なスクリーン電極部分524および線B-Bに対して角度αでさらに延びる。これにより、第一のワンド先端実施形態に示された遠位縁と比較して、リターン電極および活性電極との間の均一な間隔で長い縁長が維持され、それにより上部リターン電極部分506が電流経路の一部である場合、所望により組織をより一貫して治療することが示されている。
【0048】
図5Bは、下部電極507と、上部リターン電極506からワンドの反対側に配置された下部電極507を完全に囲むスペーサ504を示す。下部電極507はまた、第一のワンド先端実施形態に記載された第一の露出リターン電極と同様に、そこを通る複数の流体流開口部を有してもよい。第一のワンド先端実施形態とは異なり、上部リターン電極506は、下部電極507から電気的に絶縁されているため、下部電極507は必ずしもシャフトの露出部分ではない。したがって、上部リターン電極506は、所望の組織効果および標的組織に応じて、コントローラ(後述)に独立して電気的に連結するか、または下部電極507に電気的に連結することができる。別の言い方をすれば、
図4Aに記述した第一の配向では、下部電極507は、コントローラのリターン端子に電気的に連結されてもよく、一方で上部リターン電極506は電気的に絶縁されてもよい。一方で
図4Bに記述した第二の配向では、上部電極506および下部電極507の両方は、リターン端子に電気的に連結されてもよい。第二のワンド先端実施形態は、バイポーラであってもよく、または後述する三極モードで連結される機会を有する。
【0049】
第三の実施形態
図6Aおよび
図6Bは、第三のワンド先端実施形態の正面斜視図および後方斜視図をそれぞれ示す。この実施形態では、フォッサからの扁桃などの組織層から組織を精密切開するための遠位ブレード部分622で構成された第一の電極620を含む、三つの別個の電極が形成される。第二の実施形態と同様に、第二の電極630および第三の電極640は、独立してコントローラに電気的に連結されてもよく、またすべての電極は互いに分離されて、三極性活性化の機会を提供してもよく、電極の複数の組み合わせを作動させて、様々な組織効果を達成することができる。前述のワンド先端実施形態と同様に、前述の電気絶縁材料を含むスペーサ650は、三つの電極を電気的に絶縁しながらサポートしてもよい。例えば、扁桃を除去する間に、第二の電極630はまた、ブレード電極620と同じ活性端子または異なる活性端子のいずれかに、活性電極として同時に連結されて組織層に最も近く配置されてもよく、第三の電極640は、第二の電極が切開中に組織層に対して同時止血を提供することができるように、リターン電極として連結されてもよい。第二の電極630は、第一の活性(ブレード)電極620よりも広い露出表面積を有しうる。第二の電極は、図示されるようなスクリーンスタイルの電極であってもよい。第二の電極は、第二の電極が平面露出表面を有するように、活性(ブレード)電極620から遠位端の反対側に配置されてもよく、第二の電極がフォッサ組織への近接性を改善し、局所解剖学的構造の形状に従うように、曲線を有してもよい。開口部632は、第二の電極630を通って延び、吸引または吸引ルーメンへの流体流路を提供してもよい。開口部632は、プラズマ形成を促進するための鋭い縁部を有しうる。第二の電極はまた、流体が開口部632を通って吸引されるとき、流体流路を方向付けるように、その厚さ、特に開口部632を通って先細りになる3D形状を有してもよい。またその他の時間で、第二の電極はリターン電極として連結されうる。
【0050】
前述のリターン電極と同様に、第三の電極640は、活性(ブレード)電極620の近位部分の間のいくぶん一貫した距離と、いくつかの部分に沿った二次電極の近位部分の間の一貫した距離も維持するように形作られる、遠位端でシャフトの少なくとも一部を取り囲むことができる。第三の電極640は、活性電極またはリターン電極であってもよい。
【0051】
アデノイドの動作モードでは、第二の電極630は活性電極であり、ブレード電極は潜在的に電気的に浮遊する。アデノイド減量中、第二の電極630には、プラズマを形成し、アデノイド組織を迅速に除去するのに十分なエネルギーが供給されうる。第二の電極またはスクリーン電極630へのエネルギーは、後述するようにパルス化されて、同時に切断および凝固を実施することができる。解離した組織は、第二の電極630を通る複数の開口部632を通して除去することができる。
【0052】
第四の実施形態
図7Aおよび
図7Bは、第四のワンド先端実施形態の遠位先端の正面および後方斜視図をそれぞれ示す。いくつかの前述の実施形態と同様に、このワンド先端実施形態は、所望の組織効果に応じて、活性電極またはリターン電極のいずれかとして独立して連結された電極とともに、三極ワンドとして連結することができ、例えば、他の電極(リターンまたは熱)のうちの少なくとも一つから、アブレーション電極での正確な組織切断またはアブレーションおよび同時止血を提供する。前述の実施形態と同様に、精密切開用一次電極720は、組織切断効果(より先の尖った端部)を提供するように構成された先端形状を有するスペーサ750から離れて延びる遠位先端を有する。一次電極720は、プラズマ副生成物および流体を領域から吸引するための開口部710と共に示されている。一次アブレーション電極はまた、吸引前に組織をさらに切除するためのV字型ブリッジ711を有する。
【0053】
指定されたリターン電極730は、アブレーション電極720よりも大きな表面積を有してもよく、扁桃の除去中にフォッサの凝固に関与する電極回路の一部であるように、アブレーション電極720からワンド遠位端の反対側に位置する。リターン電極730は、そこを通って流体を引き込むための開口部732または穴を有してもよい。流体およびプラズマ副生成物はリターン電極730を通して吸引されてもよく、または導電性流体はこれらの穴を通して送達されてもよい。
【0054】
図7Aおよび
図7Bの両方に示される熱電極740は、リターン電極730と共に電極回路の一部を形成して、フォッサの止血を提供しうる。熱電極740およびリターン電極730は、交換可能であってもよく、ワンド遠位先端の周りにわずかに異なる電界を提供し、これにより第一の電極(720)付近の第一の位置でのアブレーションまたは組織切断効果から、第二の電極(720または730)付近の第二の位置での同時加熱または組織凝固効果まで、混合された組織効果をワンド先端の表面に提供する。前述の実施形態と同様に、熱電極740はワンドシャフトの少なくとも一部分を取り囲む。流体送達開口部745はまた、リターン電極730と同じ側で、リターン電極730と熱電極740との間に配置されてもよい。
【0055】
第五の実施形態
図8は、少なくとも一部の実施形態による、第五のワンド先端実施形態の遠位端の斜視図を示す。特に、第五のENTワンド先端の実施形態は、バイポーラワンド先端構成である。
図8の例示的なワンド先端は、ワンドの上側表面上の活性スクリーン型電極820を備える。活性スクリーン型電極820は、それを通して流体および組織断片が吸引されうる吸引ルーメンの上に存在する。活性スクリーン型電極820は、活性電極820の反対側の表面を含むリターン電極840によって囲まれるか、または取り囲まれ、さらに例示的な実施形態におけるリターン電極840は、活性スクリーン型電極820を保持する支持部材815の遠位先端を越えて延びる。
【0056】
実施形態は、アデノイドのみを標的とし、二つの電極のみを有する。活性電極820は、分子解離によって組織を減量するように構成され、前述のようにアデノイド組織へのアクセスを改善するように構成された角度および位置に配置される。リターン電極840は、ワンドが動き回るときに、リターン電極840とアデノイドに隣接する組織および流体との間の接触を改善し、それによってプラズマを含む電極回路の一貫性を改善するように、活性電極820の周りにさらに延びる。これは、アデノイドを減量しながら全体的な組織効果を改善することを想定している。
【0057】
コントローラ
図9は、少なくともいくつかの実施形態によるコントローラ104の電気ブロック図を示す。特に、コントローラ104はプロセッサ900を備える。プロセッサ900はマイクロコントローラであってもよく、したがって、マイクロコントローラは、リードオンリーメモリ(ROM)902、ランダムアクセスメモリ(RAM)904、フラッシュまたは他の不揮発性プログラマブルメモリ、デジタル‐アナログ変換器(D/A)906、アナログ‐デジタル変換器(A/D)914、デジタル出力(D/O)908、およびデジタル入力(D/I)910と一体型であってもよい。プロセッサ900はさらに、一つまたは複数の外部で利用可能な周辺バス(例えば、I2C、USB)を提供しうる。プロセッサ900はさらに、通信ロジック912と一体型であってもよく(例えば、UART、イーサネット(登録商標)有効ポート)、プロセッサ900が表示装置130などの内部デバイスだけでなく、外部デバイスとも通信できるようにすることができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ900は、マイクロコントローラの形態で実装されてもよいが、他の実施形態では、プロセッサ900は、個々のRAM、ROM、通信、A/D、D/A、DO、DI装置、および周辺構成要素との通信のための通信ハードウェアと組み合わせて独立型の中央処理ユニットとして実装されてもよい。いくつかの例示的なシステムでは、プロセッサ900および関連する機能は、テキサス州オースティンのFreescale Semiconductorから入手可能なMK60シリーズマイクロコントローラとして実装されているが、他のマイクロコントローラを同等に使用できる。
【0058】
ROM902(または可能な場合はフラッシュメモリ)は、プロセッサ900によって実行可能な命令を保存する。特に、ROM902は、実行されると、様々な時間枠にわたって、プロセッサにエネルギー送達を合計させ、エネルギー送達の速度が所定の閾値を超えないことを保証するために提供されるエネルギーを、必要に応じて一時的に停止または「パルス」させる、ソフトウェアプログラムを備えうる(以下に詳細に考察した)。RAM904は、データが一時的に格納され、そこから命令が実行されうるプロセッサ900のワーキングメモリであってもよい。プロセッサ900は、デジタル‐アナログ変換器906(例えば、いくつかの実施形態では、RF電圧発生器916)、デジタル出力908(例えば、いくつかの実施形態では、RF電圧発生器916)、デジタル入力910(例えば、押しボタンスイッチ132または足ペダルアセンブリ134(
図1)などのインターフェース装置)、および通信装置912(例えば、表示装置130)によって、コントローラ104内の他の装置と連結する。
【0059】
電圧発生器916は、例示的なワンドの活性電極(例えば、活性電極200)と連結する交流(AC)電圧信号を生成する。いくつかの実施形態では、電圧発生器は、コントローラコネクタ120の電気ピン920、ワンドコネクタ114の電気ピン922、および最終的には活性電極に連結する活性端子918を画定する。同様に、電圧発生器は、コントローラコネクタ120の電気ピン926、ワンドコネクタ114の電気ピン928、および最終的にはリターン電極に連結するリターン端子924を画定する。追加的な活性端子および/またはリターン端子が使用されうる。活性端子918は、電圧発生器916によって電圧および電流が誘導される端子であり、リターン端子924は電流の戻り経路を提供する。リターン端子924は、コントローラ104のバランス内のコモンまたは接地と同一のコモンまたは接地を提供することが可能である(例えば、押しボタン132で使用されるコモン930)が、他の実施形態では、電圧発生器916は、コントローラ104のバランスから電気的に「浮遊させる」ことができる。したがってリターン端子924は、コモンまたはアース接地(例えば、コモン930)に対して測定した場合、電圧を示す場合があるが、電気的に浮遊した電圧発生器916、したがってアース接地に対するリターン端子924の電圧読み取りの電位は、活性端子918に対する端子924のリターン端子状態を無効にしない。
【0060】
電圧発生器916による活性端子918とリターン端子924の間で生成および印加されるAC電圧信号は、いくつかの実施形態では、約5キロヘルツ(kHz)~20メガヘルツ(MHz)、一部の場合では、約30kHz~2.5MHz、他の場合では約50kHz~500kHz、多くの場合では350kHz未満、および多くの場合では約100kHz~200kHzの間の周波数を有する、RFエネルギーである。一部の用途では、標的組織インピーダンスが100kHzで、より大きいため、約100kHzの周波数が有用である。
【0061】
電圧発生器916によって生成されるRMS(実効値)電圧は、約5ボルト(V)~1800Vの範囲とすることができ、一部の場合では約10V~500Vの範囲であり、アブレーションのモードおよび活性電極サイズに応じて約10V~400Vであることが多い。いくつかの実施形態では、アブレーションのための電圧発生器916によって生成されるピーク間電圧は、10V~2000Vの範囲、一部の場合においては、100V~1800Vの範囲、他の場合では約28V~1200Vの範囲、および多くの場合は約100V~740Vピーク間の範囲の方形波である。
【0062】
電圧発生器916によって生成される電圧および電流は、例えば、約10Hz~20Hzでパルス化される、壊死の小さな深さを主張するレーザーと比較して、電圧が連続的に効果的に印加されるように、十分に高い周波数を有する方形波電圧信号または正弦波電圧として送達されてもよい(例、約5kHz~20MHz)。さらに、電圧発生器916によって生成される方形波電圧のデューティーサイクルは、約0.0001%のデューティーサイクルを有しうるパルスレーザーと比較して、いくつかの実施形態では約50%程度である(例えば、半分の時間は正電圧方形信号としておよび半分の時間は負電圧方形信号として)。方形波が生成され、いくつかの実施形態で提供されているが、AC電圧信号は、各半サイクルの前縁または後縁の電圧スパイクなどのこうした機能を含むように変更可能であり、またはAC電圧信号は特定の形状(例えば、正弦波、三角波)を取るように変更可能である。
【0063】
電圧発生器916は、動作モードおよび活性電極に近接するプラズマの状態に応じて、電極あたり数ミリワットから数百ワットの範囲の平均電力レベルを送達する。プロセッサ900と組み合わせた電圧発生器916は、外科医によって選択される動作モードに基づいて、電圧発生器916から一定の実効値(RMS)電圧出力を設定するように構成される(例えば、一つまたは複数のアブレーションモード、凝固モード)。様々な電圧発生器916の説明は、譲受人が共通である米国特許第6,142,992号および第6,235,020号に見出されることができ、両方の特許の完全な開示は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。“METHOD AND SYSTEM OF AN ELECTROSURGICAL CONTROLLER WITH WAVE-SHAPING”と題した、譲受人が共通である米国特許第8,257,350号も参照され、その完全な開示は以下に完全に複製されるかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
いくつかの実施形態では、電圧発生器916は、デジタル‐アナログ変換器906によってプロセッサ900上で実行されるプログラムによって制御されうる。例えば、プロセッサ900は、一つまたは複数の変数電圧を電圧発生器916に供給することによって、出力電圧を制御してもよく、デジタル‐アナログ変換器906によって提供される電圧は、電圧発生器916によって生成される電圧に比例する。他の実施形態では、プロセッサ900は、デジタル出力変換器908からの一つまたは複数のデジタル出力信号によって、または通信装置912を使用するパケットベースの通信によって、電圧発生器と通信しうる(
図9を過度に複雑にしないために、特に示されていない通信ベースの実施形態)。
【0065】
さらに
図9を参照すると、いくつかの実施形態では、コントローラ104は、活性電極に供給される電流を感知するためのメカニズムをさらに備える。
図9の例示的事例では、活性電極に提供される電流を感知することは、電流感知変圧器932によるものであってもよい。特に、電流感知変圧器932は、活性端子918がシングルターンプライマリになるように、変圧器に通された活性端子918の導体を有してもよい。シングルターンプライマリの電流は、対応するセカンダリの電圧および/または電流を誘導する。したがって、例示的な電流感知変圧器932は、アナログ‐デジタル変換器914に連結される。一部の事例では、電流感知変圧器は、増幅回路、保護回路、および/または回路を介してアナログ‐デジタル変換器914に連結して、感知された値をRMSに変換しうる。特に、
図9の例示的なシステムでは、電流感知変圧器はRMS回路934に連結する。RMS回路934は、電流感知変圧器932からの電流の表示を受け、任意の適切な期間にわたってRMS値を計算する集積回路装置であり(一部の例示的なシステムでは、10ミリ秒のローリングウィンドウで)、アナログ‐デジタル変換器914を介してRMS電流値をプロセッサ900に提供する(丸Aで示す)。RMS回路934とプロセッサ900との間の他の通信連結が考えられる(例えば、I2CまたはUSB経路を介したシリアル通信、イーサネット(登録商標)通信)。電流感知変圧器932は、活性電極に供給される電流を感知するための任意の適切なメカニズムを単に例示するものであり、他のシステムは可能である。例えば、小さな抵抗器(例えば、1オーム、0.1オーム)を活性端子918と直列に配置することができ、抵抗器の両端で誘導される電圧降下は電流の表示として使用される。電圧発生器916が電気的に浮遊していると仮定すると、電流を感知するメカニズムは活性端子918のみに限定されない。したがって、さらに追加的な実施形態では、電流を感知するメカニズムは、リターン端子924に関して実装されうる。例えば、例示的な電流感知変圧器932は、リターン端子924と関連付けられた導体上に実装されてもよい。
【0066】
さらに
図9を参照すると、例示的な実施形態によるコントローラ104は、蠕動ポンプ118をさらに備える。蠕動ポンプ118は、エンクロージャ122内に少なくとも部分的に存在してもよい。蠕動ポンプは、電動機536のシャフトに機械的に連結されたロータ124を備える。一部の事例では、例示されるように、電動機のロータはロータ124に直接連結してもよいが、他の場合には、様々なギア、プーリー、および/またはベルトが電動機936とロータ124との間に存在してもよい。電動機936は、ACモータ、DCモータ、および/またはステッパモータなどの任意の適切な形態をとりうる。電動機936のシャフトの速度を制御し、したがってロータ124の速度を制御するために(およびワンドでの体積流量)、電動機936をモータ速度制御回路938に連結することができる。ACモータの例示的事例では、モータ速度制御回路938は、電動機936に印加される電圧および周波数を制御しうる。DCモータの事例では、モータ速度制御回路938は、電動機936に印加されるDC電圧を制御しうる。ステッパモータの場合、モータ速度制御回路938は、モータの極に流れる電流を制御することができるが、ステッパモータは、ロータ124が滑らかに動くように、十分な数の極を有するか、またはそのように制御される。別の言い方をすれば、回転ごとのステップ数が多いため、ロータ124は滑らかに動く。プロセッサ900は、デジタル‐アナログ変換器906などを介して、モータ速度制御回路936に連結する(丸Cで示す)。
【0067】
図10は、第二の実施形態によるコントローラ1004のブロック図を示す。特に、第二の実施形態は、同時に動作しうる第一の電圧発生器1016aおよび第二の電圧発生器1016bを規定するように、コントローラと通信する追加の独立RF発生器を除いて、前述のコントローラ実施形態と類似している。各RF発生器は、選択可能な可変範囲のRF出力を電気外科手術ワンドの遠位端に送達するように構成される。これらの二つのRF発生器とマルチプレクサ1012およびソフトウェア制御を、少なくとも二つの電極を備えたワンドと共に使用すると、非常に多様な独立制御RF出力が提供され、各電極およびその間の組織効果を変化させることができる。
【0068】
コントローラ1004によって独立して修正されうるRF出力変数には、規制モード(例えば、電圧調節、電力調節、電流調節)、ピークまたは実効値(RMS)電圧、(例えば、様々な電界強度、したがってプラズマ内の電子の様々なエネルギーレベルを開発するか、または組織を凝固させるのに十分な低電圧を開発するために選択)、通常のバイポーラワンドでも機能するパルシング速度とデューティーサイクル(例えば、出力を中断するか、出力を調整すると、単一の電極で切断と凝固が混ざり、組織の付着が減少する場合がある)、および出力波形(例えば、正弦波形、方形波)が含まれうる。
【0069】
少なくとも二つの独立したRF発生器1016aおよび1016bを備えたRFコントローラ1004は、コントローラコネクタの少なくとも二つのピンに選択的に連結され、しばしば三つのピン(1020、1022および1024)、およびさらに多くのピンに接続されている。ピン(1020、1022、および1024)は、電気外科手術ワンド上の少なくとも一つの電極に電気的に連結されうる。リターン端子は、互いに永久的に電気的に連結されてもよく、マルチプレクサへの一つの入力であってもよい。
【0070】
選択は、マルチプレクサ1012と通信するソフトウェア制御の組み合わせを使用して行われてもよい。各RF発生器1016aおよび1016bは、ワンド上の電極にRFエネルギーを選択的かつ潜在的に独立して供給するように構成される。RFエネルギーは、異なる波形(例えば、プラズマアブレーションのための方形波および凝固のための正弦波形)、異なる周波数、異なるパルシングレベルまたはデューティーサイクルおよび異なる調節モード(例えば、電流調節、電圧調節、または電力調節)同様、各電極およびその周りの電界強度の範囲を設定する異なる電位で各独立回路から送達されうる。出力電圧は、電極でプラズマを形成するのに十分な高電界強度を発生させるのに十分高いか、または組織を乾燥または凝固させるのにより低い場合がある。RF電圧をパルシングまたは変調すると、形成された蒸気層が中断または減少する場合があり、その結果、蒸気層が形成され、続いてプラズマおよびそれによる組織切断効果が生じる前に、サイクルの熱フェーズ中にいくらかの止血が発生する。パルシングはまた、ワンド電極への組織の付着を減少させるのにも役立ちうる。
【0071】
各RF発生器からの出力エネルギーは、切断および止血の両方の混合効果を供給するために、互いに対して異なるレベル(電圧、波形、パルシング)で同時に送達されうる。例えば、ワンドの遠位端に多極性組織混合効果を提供するように、プラズマを開始するよう構成された出力は、組織を凝固させるように構成された出力が、第二のRF発生器から第二の電極に供給されると同時に、第一のRF発生器から第一の電極に供給されてもよい。いずれかまたは両方のRF発生器からの第三の端子は、リターンとして選択的にまたは固定的に割り当てられうる。一例としてより具体的には、
図6のワンド先端実施形態を振り返ると、扁桃を切開する間、組織を切除するように構成された出力は、組織を凝固させるように構成された出力が第二のRF発生器1016bから電極630に供給されると同時に、第一のRF発生器1016aから活性電極620に供給されてもよく、パルス出力であってもよい。電極640は、RF発生器1016aまたは1016bのいずれかまたは両方のリターン端子に連結されてもよい。この例示的な出力は、ワンド遠位先端の長さに沿って多極性組織混合効果を設定し、遠位端での組織切断効果は、スクリーン電極630のより近位端に向かってより組織止血効果に混合する。有利なことに、一つのRF発生器は、アブレーションに好ましい比較的高電圧の方形波で電圧制御されたRFエネルギーを送達する能力を有し、第二のRF発生器は、比較的低い電圧で正弦波形で調節された電力でありうるRFエネルギーを送達する能力を有し、これは凝固により好ましい場合がある。リターン電極を含むすべての電極間で電圧/電位がどのように相互作用するかによって、組織効果も変化する。各RF発生器からの電圧またはエネルギー出力の相対的レベルを変更することによって、またはこれらの出力回路の少なくとも一つをパルシングすることによって(後述)、電界が相互作用するため、切断と止血のレベルの混合は、個々の各電極と、一般にワンド遠位端に沿った電極間の両方で達成されうる。ブレンドカットは、ユーザーがスライドスケールで選択的に変更できる(例えば、止血に対して切断を増加または減少させる)。RF発生器(1016aおよび1016b)を含むコントローラ1004は、ユーザーが各電極で切断および凝固のレベルを独立して選択することを可能にしうるか、またはユーザーが事前設定された電極への事前設定出力レベルでプログラムされうるモード(後述)を選択することも可能にしうる。あるいは、ユーザーは、各電極の推奨される出力を自動的に選択する、組織効果モードまたは組織タイプモード(例えば、減量モードまたはアデノイドモード)を選択できる。これらの事前設定レベルはまた、ワンドに依存する場合がある。
【0072】
コントローラ1004はまた、エネルギーが一部の期間にわたりオーバーラップするか、または互い違いになるように送達されるように、独立したRF発生器(1016aおよび1016b)のそれぞれのタイミングを制御してもよい。例えば、ワンドの第一の電極または電極アレイで一定期間プラズマを開始するために、第二の電極間の凝固出力を起動する前に数秒間、第一の活性電極ペアと第二の活性電極ペアを起動する間に事前設定された時間遅延もありうる。
【0073】
独立したRF発生器(1016aおよび1016b)は、コネクタ内の出力ピンとRF発生器を選択的に連結させるシステムに含まれる、いくつかのリレーまたは他の切り替えシステム(マルチプレクサ)で制御される両方のソフトウェアでありうる。コントローラプログラムおよびメモリは、「純粋な切断」、「低温凝固」、または様々なレベルの止血を伴う切断、または切断と止血の間の様々なブレンドを含むことができる出力範囲を割り当てることができる。例えば、純粋な切断モードは、電圧調節出力を用いて、第一の切断電極に対して一定の速度で均一な方形波で達成されうる。いくらかの止血を伴う切断レベルは、上述の出力を第一の切断電極のみに調整するか、または定期的に遮断することによって達成されうる。ワンド先端のより広い領域を横切って広がるさらなる止血を伴う切断を含むブレンドは、切断電極での遮断速度をさらに調整することによって、および/または止血または凝固のために構成されたRF送達で第二の電極を起動することによって達成されうる(例えば、切断電極に供給される電圧よりも二番目に低い電圧で、および可能であれば電力制御モードで)。独立したRF発生器を使用することで、ワンド上の様々な電極に選択的に連結される様々なRF出力が可能になり、(例えば、処置および組織タイプに基づいて選択された)各電極で幅広い組織効果が得られる。
【0074】
パルシングまたは変調出力
前に簡単に説明した別の例示的なモードは、
図9で説明したものと類似した単一のRF発生器で達成されうるパルスまたは変調出力であり、または切断ブレードまたは電極上に送達され、
図10に記載したようなデュアルRF発生器システムを使用する第二の電極によって止血を同時に提供しうる。パルシングまたは電圧変調は
図11Cで表され、少なくとも一つの電極に供給される変調電圧の一例を表し、これは高電圧期間(すなわち、最初にイオン化された蒸気層を作り出し、次にプラズマを作り出すのに十分)と低電圧期間(すなわち、プラズマを維持するには不十分)との間で変調されうる。パルシングの時間は調節可能であり、外科医の好み(例えば、10ミリ秒(ms)の高電圧と10msの低電圧、5msのオンと5msのオフなど)に依存する場合があるが、一般的にはパルシングが遅くなるほど、提供される切断動作も遅くなる。このセクションで説明するパルシングは、切断電極に供給されるRFエネルギーのパルシングであり、そのRFエネルギーが100キロヘルツで方形波(例えば、50%デューティーサイクル)の形で印加されることに留意されたい。したがって、パルシングはRFエネルギーの方形波印加と混合するべきでない。
図11Aに示すのは、本明細書に記載の活性電極などの構成を持つ電極でプラズマを一般的に形成する、例示的に100KHz、180~320Vでの切断またはアブレーション電圧でのより典型的な方形波である。
図11Bに示すのは、本明細書に記載の活性電極と類似した電極でプラズマを一般的に形成しないが、より小さな血管をシールし、局所領域内で組織を凝固させる、例示的に100KHz、40~120Vで交互に変化する凝固または止血電圧での例示的な方形波である。このRFエネルギーのパルシングを
図11Cに示すが、切断電圧は第一の期間に供給され、次いで凝固電圧が第二の期間に供給されるが、これらの第一および第二の期間はおよそ同等でありうるが、望ましい組織効果に応じて相互に異なってもよい。例えば、凝固期間と比較して切断期間が長いと、止血を減少させ、より多くのプラズマ生成と組織切断効果を提供する傾向がある。切断電圧と比較して凝固電圧での期間が長い逆比率は、より遅い切断でより多くの止血を提供する。例えば、発明者らは、2msの凝固期間を伴う8msの切断期間が、最小限の止血を伴う強力な切断を提供し、逆の場合、強力な止血を伴う最小限の切断を提供することを見出した。
図11Cで注目すべきは、表現を簡略化するために、第一および第二の期間が切り捨てられて示されていることである。実際には、約100KHzのAC信号が与えられ、10msの高電圧周期で変調すると、各周期にはさらに多くの(数千の)方形波振動が発生する。
【0075】
さらに、前の段落で言及したように、パルシングは高電圧と低電圧との間であるが、ゼロボルトではないことが好ましい。発明者らは、200~320Vの範囲の高電圧と10~150ボルトの範囲の低電圧の間のパルシングが好ましいことを見出した。本明細書に記載の実施形態について、250~300Vの範囲の高電圧と30~70ボルトの範囲の低電圧の間のパルシングがより好ましく、値は所望の切断のレベルとそれに付随する熱効果に応じて調節される。例えば、300ボルト~70ボルトのパルシングは、積極的な切断および止血の両方を提供する一方、300~30ボルトのパルシングは積極的な切断および止血の減少を提供する。これらの値は、電極構成によって変化しうる。
【0076】
動作の理論は、パルシングにより、プラズマが消滅するだけでなく(分子の解離およびそれによる切断作用が減少する)、蒸気層も崩壊し、電圧が再び上昇すると、蒸気層が形成されるまでより高い電流が消散し、より顕著な熱効果を生み出し、したがって止血を提供する。したがって、第一の切断電圧と第二の凝固電圧との間の期間の比率を修正することに加えて、切断電極から提供される止血の量は、ある程度「低」電圧に依存する。例示的なデュアルRFシステムの第二の電極に関連する同時止血は、ワンド先端に沿って追加の多極性ブレンド止血も提供しうる。高速パルス速度(例えば、5ms未満の高電圧または低電圧)を使用して、パルスの可聴および触覚の性質を低減することには利点があるか、または可聴フィードバックおよび触覚フィードバックは、ある特定の用途で聞いたり感じたりするのに望ましい場合がある。処置および組織タイプのニーズに合わせて調整できる。また、70%高電圧、30%低電圧などの、望ましいデューティーサイクルに平均化されるランダムに割り当てられた高/低電圧期間が存在する場合もあるが、個別サイクルは変化する場合がある。これにより、一部のユーザーが好まない可能性のある反復パルスの性質を隠す、可聴「ホワイトノイズ」効果がより多く生じる場合がある。
【0077】
操作モード
例示的なシステムでは、ユーザーは、コントローラのRF発生器出力を、事前設定された出力エネルギーレベルおよびコントローラに連結された機器に応じて特定の端子に設定するエネルギー出力の「モード」を選択しうる。コントローラはまた、選択可能なエネルギー出力に関連して、ワンド先端へのおよびワンド先端からの流体送達および流体吸引の速度および位置も制御することができ、特定の組織モードまたはユーザーによる選択は、特定の事前設定された流体流量をトリガーし、組織効果をさらに改善しうる。
【0078】
例えば、コントローラは、「扁桃モード」を有しうる。扁桃モードでは、ユーザーが止血を減らすことを望む場合、ユーザーは中程度の切断速度および低い流体送達流量を伴う純粋な切断モード(純粋なアブレーションモード)を選択してもよい。この選択は、例えば、プラズマを形成し組織を精密に切開するのに十分なエネルギーを供給するようにRF発生器が制御された状態で、第一のRF発生器を活性およびリターン電極(例えば、精密切開のために構成された活性電極)に連結することができる。しかし、ブレンドカットモードまたは止血切断モードを選択すると、第一のRF発生器のパルシングが開始される場合があり、第一のRF発生器がプラズマを形成するのに十分なエネルギーの供給と、プラズマの崩壊を可能にするための電圧の低下との間で変調し、パルシングがプラズマの形成およびいくらかの止血中に、初期加熱効果を提供する。先に説明したように、パルシングデューティーサイクルの切断期間と止血期間との間の対応する比率で、様々なレベルの切断および止血を達成しうる。別の方法としてまたは第一のRF発生器を用いたパルシングに加えて、ブレンドカットの選択は、多極性ブレンドカットモードをトリガーする第二のRF発生器(デュアルRF発生器システムに連結された多極性ワンド)から二次電極に供給されるエネルギーを任意にトリガーでき、第二のRF発生器は二次電極対の周りの組織を凝固させるエネルギーを供給するようにプログラムされる。各モードの選択は、組織およびワンドへのおよびからの灌流または吸引レベルを変更する場合もある。扁桃モードチャートの例を以下に示す。
【0079】
より大きい血管に遭遇した場合、電極の異なる部分を配置するためにワンドを回転させるか、またはアブレーションを望まない場合は、血管に隣接する第二の活性電極および純粋な凝固モードを選択してもよい。流体送達は、アブレーションモードおよびブレンドモードと比較して、純粋な凝固モード中に減少する場合がある。
【0080】
【0081】
別の想定されるモードは、組織を減量するように構成された電極を、第一のRF発生器の活性端子に自動的に連結する「アデノイドモード」でありうる。ユーザーは、電界強度(例えば、組織を減量するよう構成される電極の電圧)に関連する変数を、コントローラのメモリ内にプログラムされた事前設定値まで増加させるように動作しうる減量速度を選択できる。また、アデノイドモードは、コントローラの流体送達ポンプを扁桃モードよりも高い事前設定速度に設定して、ワンド遠位先端の周りの流体の流れを補助し、吸引開口部を通る処理組織の流れを支援することもできる。アデノイドモードは、一つのRF発生器のみが電極対に電気的に連結するように、コントローラコネクタの少なくとも一つのピンを遮断することができる。アデノイドモードチャートの例を以下に示す。
【0082】
【0083】
代替的な実施形態では、高および中程度のアブレーションモード、および純粋な凝固を含む、単純化されたモードのセットが提供されてもよく、後者は上述のものと類似している。
【0084】
【0085】
例えば、コントローラは、前述のアデノイドモードと同様に動作し得る「高アブレーション」モードを有してもよい。ユーザーは、電界強度(例えば、組織を減量するよう構成される電極の電圧)に関連する変数を、コントローラのメモリ内にプログラムされた事前設定値まで変更する高アブレーションモード内の減量速度を選択できる。この高アブレーションモードはまた、コントローラの流体送達ポンプを他のモードよりも高い事前設定速度に設定して、ワンド遠位先端の周りの流体の流れを補助し、吸引開口部を通る処理組織の流れを支援することもできる。このモードは、一つのRF発生器のみが電極対に電気的に連結するように、コントローラコネクタの少なくとも一つのピンを遮断することができる。
【0086】
媒体モードは、前述の扁桃モードと類似したオプションを提供しうる。この選択は、例えば、プラズマを形成し組織を精密に切開するのに十分なエネルギーを供給するようにRF発生器が制御された状態で、第一のRF発生器を活性およびリターン電極(例えば、精密切開のために構成された活性電極)に連結することができる。媒体モードでレベルをより高く調節すると、止血を伴わないより純粋な切断モードが提供され、一方でレベルをより低く調節すると、止血切断モードがより多く提供される場合があり、例えば、第一のRF発生器のパルシングなど、第一のRF発生器がプラズマを形成するのに十分なエネルギーの供給と、プラズマの崩壊を可能にするための電圧の低下との間で変動し、パルシングがプラズマの形成およびいくらかの止血中に、初期加熱効果を提供する。本明細書で前述したように、多極構成を使用して切断および止血をブレンドするさらなる例もトリガーされうる。各モードの選択は、組織およびワンドへのおよびからの灌流または吸引レベルを変更する場合もある。
【0087】
代替的な使用ワンドワンド先端の実施形態
以下の実施形態は、より一般的な処置用に構成されたワンド先端実施形態の代替セットを示し、関節形成および一般的な外科処置などの他の処置のための止血および切断の両方を含む様々な組織効果を提供する。前の実施形態と同様に、これら後述のワンド先端実施形態は、組織切断効果を提供するための切断またはブレード型部分を有し、同時に止血を提供するための電極を有しうる。例示的なシステムはまた、少なくとも三つの電極を有する三極性または多極性ワンドを備える。コントローラを介して、各電極は、前述のいくつかの実施形態と同様に、コントローラのRF発生器の少なくとも一つの活性端子および一つのリターン端子に互換的に接続されうる。したがって、各電極は、活性電極、リターン電極、または任意の特定の外科的処置用の浮遊電極であってもよい。
【0088】
第六のワンド先端の実施形態
図12は、第六のワンド先端実施形態1200の斜視図を示す。いくつかの前述の実施形態と同様に、各電極は、活性電極またはリターン電極として互換性があってもよい。いくつかの実施形態では、切断電極1210は活性電極である。例示的な切除電極1210は、プラズマ開始を強化し、組織の切断、切開、または解離を改善するように構成されたより鋭い角部または縁部を有する、薄いプレートまたは外科用メス形状の電極であってもよい。切除電極1210はまた、それを貫通する(特に図示せず)穴を含み得、凝固モードで動作する場合、その穴は、熱効果を改善するように流体で充填されうる。切除電極1210は、長手方向軸に平行に延び、示されるように、ワンド先端の厚さを二分する。ブレード電極1210は、遠位先端で長手方向軸A-Aを横断するように、スペーサ1204の遠位端に沿ってその周りに延びる。別の言い方をすれば、ブレードの最遠位縁は、長手方向軸の両側に配置されるように、ワンドの第一の側に沿って、スペーサの最遠位端の周りに延びる。別の言い方をすれば、第一および第二の平面が二つの垂直な平面を画定する場合、ワンドの長手方向軸と平行および一致の両方で、ブレード電極は、第一の平面の周りに対称的に配置され、第二の平面の周りに非対称的に配置される。例示的な実施形態では、切断電極1210および第二の電極1220は、それらが組み合わさって第三の電極1230とほぼ同じ表面積を提供し、特定の構成において対称的な電流の流れの状況を引き起こすようなサイズにすることができる。
【0089】
いくつかのモードでは、第三の電極1230は、切除電極1210よりサイズ(表面積)が大きく、第三の電極1230は標的組織を凝固させる滑らかな丸み付き表面を有するため、第三の電極1230は凝固電極でありうる。他のモードでは、第二の電極1220は凝固電極であってもよい。さらに他のモードでは、第三の電極1230は、その周りにイオン化された蒸気およびプラズマが形成されうる減量電極でありうる。第二の電極1220は、切断電極および凝固電極の両方にリターン経路を提供するリターン電極であってもよい。
【0090】
第二および第三の電極は、意図された活性電極の任意の縁からできるだけ一貫した距離を維持するように、ワンド上に成形および位置付けられてもよい。第二の電極1220は、時にはリターン電極として、または時には活性電極として作用しうる。一貫した距離は、一般的に、活性電極の長さに沿ってより一貫した組織効果を維持すると考えられる。したがって、第二の電極1220の遠位縁は、ブレード電極1210の湾曲した遠位部分にほぼ追従するように湾曲し、および第三の電極1230の遠位縁1234は、第二の電極1220の近位縁1224からほぼ追従して均一な距離を維持するように湾曲する。第二および第三の電極は、ワンド遠位端の周りに巻きつく適合電極を規定し、ワンド1200の背面図(図示せず)は正面図の鏡像である。第二の電極1220は、ワンド遠位端の底面1225の周りに巻きつき、第三の電極は、上面1235と底面1225の両方の周りに巻きつき、第三の電極の上部分は、上面1235と一致して、遠位に延びるノッチ1232を画定する。第二の電極1220はまた、長手方向軸に沿って、かつワンド遠位端の両側に沿って延びる、遠位に延びるノッチ部分1222を有する。
【0091】
第七のワンド先端の実施形態
図13Aおよび
図13Bは、例示的な実施形態による、第七のワンド先端実施形態の斜視端図および側面図をそれぞれ示す。この実施形態は、皮膚を切開する時、または関節形成術などの軟組織を介した開放処置で特に有用でありうる。示されるように、このワンド先端の実施形態は三つの電極を含む。一次電極1310は細長いブレード型電極である。細い形状は、遠位縁面に高い電界強度を作り出し、組織を分子的に解離し、組織切断機能を実施するように構成されたプラズマを形成する。一次電極に沿った複数の穴1315(存在する場合)は、電流密度場に追加の焦点ポイントを提供して、切断を改善することができる。複数の穴1315は、他の実施形態では省略されてもよい。一次電極1310は、スペーサ1304から遠位方向および横方向の両方に延び、遠位先端の長さに沿って延びる。一次電極1310は、長手方向軸Aを横断するように先端の周りに延びていない。ここで示されるように、一次電極1310は、ほぼ均一な寸法Xを有する。代替的な実施形態では、一次電極の遠位部分1312は、しだいに増加する寸法Xを有することができ、その結果、遠位部分1312は、凝固モードでの性能を改善するためにより大きな表面積を有する。
【0092】
リターン電極1320は、ワンド遠位端に沿って延び、一次電極1310からほぼ一貫した距離を維持し、ワンドの長軸に対して斜めになっている丸みのある球状または球形の端部1322で終結するように、遠位部分での湾曲を含む。
図13Aおよび
図13Bの実施形態では、リターン電極1320は対称であってもよく、スペーサ1304の各側面上に同じ形状を有しうる。リターン電極を通る開口部1324(図示する通り、各側に五つのそのような開口部)は、前述の実施形態と同様に、ワンドシャフトに沿って流体流要素に流体連結され、流体流のための導管を提供しうる。いくつかの実施形態では、流体は、リターン電極1320および二次電極1330の両方の開口部1324を通して送達され、ワンド内の独立した流体チャネルを通して供給されるか、または一つの流体送達要素を通して供給され、ワンド内で電極から十分な距離を隔てて、先の実施形態で説明したように、ワンド内の導電性流体を通る低抵抗内部導電性経路を回避する。流体および破片は、リターンおよび二次電極の球状端1322および1332の間を開くスペーサの開口部1340を通して吸引されうる。
【0093】
二次電極1330は、遠位先端の上面を画定し、二次電極1330は、ワンド遠位端(図示する通り)を取り囲むワンドシャフトの遠位部分であってもよい。二次電極1330は、ワンドの長軸(A-A)に対して角度をつけて配置され、リターン電極終端1322から平行だが離間して配置された丸みのあるまたは球形の端部1332を有する遠位先端で終結しうる。二次電極1330は、ワンドと関連付けられる流体流要素に流体連結された複数の開口部1334(示されるように、各側に三つ)を含んでもよく、開口部1334は流体を流すように、および好ましくは導電性流体を送達するように動作可能である。流体送達開口部1324および1334は、ワンドの同じ側に配置されうる。示されるように、複数の流体送達開口部が、リターン電極1320および二次電極1330の両方の両側に配置されるが、いくつかの実施形態では、複数の流体送達開口部は、片側にのみ存在してもよい。
【0094】
二次電極およびリターン電極の二つの球状遠位先端1322と1332との間に配置されているのは、スペーサ1304によって画定される開口部1340であり、開口部1340は流体およびプラズマ副生成物を吸引するように構成される。ワンド遠位端は好ましくは円形ではないが、高さよりも小さい幅の断面を有する。これにより機器を小さくでき、組織へのアクセスおよび標的部位への可視性が向上する。そのため、リターン電極および二次電極の両方は両側に配置され、一次電極1310は、長手方向軸Aに沿って配置された幅を二分する。
【0095】
使用時に、一次電極1310に、特定のエネルギー出力を供給して、プラズマを生成し、組織を介して切断動作を提供しうる。三極性モードで使用される時、二次電極1330に特定のエネルギーを供給して、二次電極1330に近傍の組織を凝固させることができる。発明者らは、ユーザーが組織に切り込みを始めたときに、組織の特定の深さまで最小限の止血が最初に必要な場合があり、一次電極1310が深く切り込むほど、より止血が必要になる場合があることを想定している。したがって、ブレードが組織内へ深く進むと、二次電極は自然と組織に接近し始め、組織に対する二次電極の位置の結果として、凝固するよう動作可能になり、組織は電流経路へのブリッジとして機能する。代替的使用では、一次電極1310に特定のエネルギー出力を供給して、プラズマを生成し、組織の切断動作を提供し、リターン電極1320のみがコントローラの出力に電気的に連結され、いくらかの止血が必要な場合、組織を凝固させる同じ一次電極とリターン電極(1310および1320)との間で、出力をエネルギー出力に変更することができ、より低い電圧の出力で電力制御も可能である。
【0096】
図13Aおよび
図13Bの機器は、ほとんどまたは全く切断することなく、広い表面積の凝固を提供するようにさらに構成される。凝固中、一次切断電極は、RF発生器から選択的に切り離されたり、浮遊したりする場合またはしない場合がある。機器は、ワンド遠位先端における開口部1334、1324のうちの少なくとも一つを介して導電性流体を供給しながら、両方の球状の先端(端部またはリターンならびに二次電極1320および1330)を組織に配置するかまたは埋め込むように、第二の配向に回転してもよい。この時点で、組織と接触する表面積はほぼ等しく、供給されたエネルギーは、正弦波形、低電圧、および定電力制御などの止血効果を実施する。他の実施形態では、最も遠位の球状先端の下に生理食塩水を送達するための「前向きの」開口部の追加的なセットを使用して、切断電極(1312)の遠位先端により向いた流れを提供することができる。こうした「前向きの」開口部は、組織との最初の接触点でプラズマがより簡単に生成でき、また使用中に先端の周りの生理食塩水のプールが少なくなるため、使用される全体の流量を低くすることができる。また、プラズマ形成の前に組織接触に短時間の抵抗加熱期間がある場合に時々起こる、最初の組織接触に対する熱ブランチング効果を最小限に抑えるのに役立ちうる。したがって、この装置は、RF発生器の数などの多数の出力パラメータ、様々なデューティーサイクルおよび周波数でのパルス出力、三極性モードまたはバイポーラモード、電圧および制御モード(電力制御vs電圧制御)を潜在的に利用する、様々なモードを有しうる。さらに、流体流はそれぞれのモードに対して事前設定値を有してもよく、例えば、流体送達は、切断モード中よりも凝固のみのモード中の方が低くなる場合がある。いくつかのモードでは、流体送達または吸引は、電気読取値に基づいて出力を調整しうる。例えば、より高いインピーダンス読取値は、より乾燥した環境を示し、それによってポンプ速度をブーストし、それによって流体送達を補正するように、信号を送信することができる。発明者らはまた、事前活性化の電極対間のインピーダンスなどの電気パラメータを感知し、インピーダンスが低すぎる場合、ポンプの速度を上げ、それによってエネルギーを送達する前に一定期間流体送達を増加させて電極対間の電流経路を改善することも想定した。これにより、起動が容易になり、滑らかな切開を提供することができ、熱効果を低下させるか、またはホットスポットを低減することができる。
【0097】
【0098】
あるいは、前述の扁桃およびアデノイドモードと同様の方法で、これらの後述の実施形態に対して代替の組織中心モードも想定されている。例えば、「皮膚モード」は、低熱効果、中程度のアブレーションによる組織効果を提供し、周辺損傷なしで簡単に切断でき、また上記の表の「扁桃モード」または純粋な切断モードに類似しうる。「カプセル/結合組織」モードは、中程度の熱効果および高いアブレーションを提供して、ある程度の熱効果が許容されるより困難な組織を切除し、および「筋肉」モードは、血管組織を切開しながら高い熱効果を送達するために、混合またはパルス化された活性化を提供しうる。
【0099】
第八のワンド先端の実施形態
図14A、
図14Bおよび
図14Cは、例示的な実施形態による、
図13Aおよび
図13Bに示すものと類似した別のワンドの遠位端の左側面図、右側面図および断面図をそれぞれ示す。
図14Aおよび
図14Bの設計の要素は、リターン電極および二次電極の非対称性である。さらに、例示的なシステム内の一次電極またはブレード電極1410は、例示的なシステムの開口部を有さないが、ブレード電極1410内の開口部の非存在は、
図14Aおよび
図14Bのリターン電極および二次電極の非対称性とは関連しない。示されるように、リターン電極1420は非対称であり、リターン電極の二つの側面1420aおよび1420bを画定し、第一の側面1420aは第二の側面1420bよりも表面積において著しく大きい。
図14Aおよび
図14Bの例示的なワンド先端は、第一および第二の側面1430aおよび1430bそれぞれを画定する二次電極1430をさらに備え、第一の側面1430aは第二の側面1430bよりも露出表面積が著しく大きく、第一の側面1430aはリターン電極の第一の側面1420aとは反対側にある。別の言い方をすれば、二次電極(1430a)の大部分は、リターン電極1420aの大部分とは反対側にある。
【0100】
非対称性により、二次電極1430は、装置の先端により近い組織に接触することが可能になる。また、非対称性により、装置の先端の周りにエネルギーが押し出され、側面のみではなく切断箇所の周囲に熱効果を生成する。例示的な場合、リターン電極および二次電極の表面積は、切断箇所の各側の熱効果のバランスを取るようにサイズ設定される。
図14Aおよび
図14Bの設計は、パルスモードと共に効果的に使用して、切断箇所の側面および底部に沿ってより均一に分布された熱効果を生み出すことができる。リターン電極と二次電極との間の距離は、
図14Cで表される切断ブレードの周りを電気が流れるのに十分大きい。
【0101】
使用時に、導電性流体は、リターン電極および二次電極の両方で、開口部1424および1434を通して送達される。示されるように、リターン電極1420は、流体が流れ出る五つの開口部を有し(
図14A)、二次電極1430は、三角形状のものに配置され、流体が流れ出る四つの開口部1434を有する(
図14B)。スペーサの開口部1440を通して吸引が行われ、開口部が球状端部1422と1432との間に位置する。
【0102】
図14Cは、ワンド実施形態1400の断面を示す。切断モードの間のみ、電極対1410および1420のみが連結されてもよく、電流経路(P1)は電極1410と1420との間に維持されている。凝固モード、または同一のワンド配向の多極性ブレンドモードでは、組織1450を通る電流経路(P2)が(多極性ブレンドモードでのP1に加えて)存在して、組織を凝固させる場合がある。これらの最後の二つのワンド先端の両方の実施形態では、開口部に連結された別個の流体チャネルが、細長いシャフトの長さに沿って提供され(図で部分的にのみ表示)、シャフト内に流れる流体を通るバイパス電流経路の可能性を除去しうる。
【0103】
上記の考察は、本発明の原則および様々な実施形態を例示することを意味する。上記の開示が完全に理解されると、当業者には多数の変形および修正が明らかになるであろう。以下の特許請求の範囲は、そのようなすべての変形および修正を包含すると解釈されることを意図している。
[付記項1]
電気外科手術ワンドであって、
前記電気外科手術ワンドの近位端のハンドルと、前記ハンドルに連結され、長手方向軸に沿って前記ハンドルから遠位に延びる細長いシャフトと、
前記ワンドの遠位端上に配置されたブレード部分およびスクリーン部分を有する複合活性電極であって、前記ブレード部分は前記ワンドの最遠位部分を画定する前記ワンド長手方向軸に沿って横方向に延び、前記スクリーン部分は前記ブレード部分に対して鈍角を形成し、前記鈍角は前記ワンドの遠位端に向かって開き、前記ワンド内の吸引チャネルと流体連結する少なくとも一つの開口部をその中に有する、複合活性電極と、
前記複合活性電極から近位に離間した第二および第三の電極であって、前記第二の電極は、前記複合活性電極のブレード部分に隣接し、近位に離間した前記ワンドの外側表面の一部分に広がり、前記第三の電極は、前記第二の電極の反対側の前記ワンドの前記外側表面の一部分に広がる、第二と第三の電極と、を備える、電気外科手術ワンド。
[付記項2]
前記第二の電極が熱電極を画定する、付記項1に記載の電気外科手術ワンド。
[付記項3]
前記第二の電極および第三の電極が、単一の要素の二つの別個の露出部分を画定する、付記項1に記載の電気外科手術ワンド。
[付記項4]
前記第二の電極が前記ワンドの片側にわたり、前記第三の電極が前記ワンドの少なくとも三つの側面にわたる、付記項1に記載の電気外科手術ワンド。
[付記項5]
絶縁スペーサが、前記複合活性電極、前記第二の電極および前記第三の電極の間に配置され、前記長手方向軸に対して鈍角に配向され、前記スクリーン部分の前記鈍角に平行な遠位平面を有する、付記項1に記載の電気外科手術ワンド。
[付記項6]
前記スクリーン部分が、前記表面凹凸に隣接したプラズマをより容易に形成するように構成された表面凹凸をさらに備える、付記項1に記載の電気外科手術ワンド。
[付記項7]
前記第二の電極の遠位縁が前記第三の電極の遠位縁よりもさらに軸方向に延びるように、前記第二および第三の電極が相互に軸方向にオフセットされている、付記項1に記載の電気外科手術ワンド。
[付記項8]
前記第二および第三の電極の前記遠位縁が、前記スクリーン部分に平行な平面に沿って位置する、付記項7に記載の電気外科手術ワンド。
[付記項9]
前記第二の電極が、前記第三の電極よりも小さい表面積を有する、付記項1に記載の電気外科手術ワンド。
[付記項10]
前記第二の電極が、そこを通る複数の軸方向に離間した開口部を有し、前記第三の電極が、そこを通る複数の半径方向に離間した開口部を有し、両方の複数の開口部が、前記ワンド内の流体送達チャネルと流体連通する、付記項1に記載の電気外科手術ワンド。
[付記項11]
前記第二の電極は、組織の付着を減らすように構成された研磨表面仕上げを有し、前記第三の電極は、表面の流体保持を改善するように構成された非研磨表面仕上げを有する、付記項1に記載の電気外科手術ワンド。
[付記項12]
システムであって、
電気外科手術コントローラであって、
プロセッサと、
前記プロセッサに連結されたメモリと、
前記プロセッサに動作可能に連結された電圧発生器であって、前記電圧発生器が活性およびリターン端子を備える、電圧発生器と、
電気外科手術ワンドのコネクタに連結するように構成されたワンドコネクタであって、前記ワンドコネクタが、複数の電気ピンと、前記電圧発生器の前記活性端子に連結された少なくとも一つの電気ピンとを備える、ワンドコネクタと、を備える電気外科手術コントローラと、
電動機に連結されたロータを備える蠕動ポンプであって、前記電動機は前記プロセッサに動作可能に連結される、蠕動ポンプと、
電気外科手術ワンドであって、
ハンドルと、長手方向中心軸に沿って前記ハンドルから遠位に延びる細長いシャフトと、
前記長手方向中心軸に沿って延び、そこから横方向にオフセットした前記電気外科手術ワンドの前記最遠位端にブレード部分と、そこを通る前記ワンド内の流体チャネルと動作関係にある少なくとも一つの開口部を有するスクリーン部分とを画定する、前記外科手術ワンドの遠位端に配置される、複合活性電極と、
前記細長いシャフトに隣接し、前記長手方向中心軸に沿って環状に延びるリターン電極であって、互いに別個の第一および第二の露出部分を有し、前記第一の露出部分は、前記活性電極の前記ブレード部分に隣接した前記細長いシャフトの第一の側に沿って延び、前記第二の露出は、前記細長いシャフトの反対側に沿って延びる、リターン電極と、を備える電気外科手術ワンドと、を備えるシステムであって、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、電気外科手術処置中に前記プロセッサに少なくとも二つのアブレーションモードを実行させるプログラムを保存し、前記第一の動作モードでは、前記プログラムが前記プロセッサに、
前記電気外科手術ワンドの前記遠位端の開口部を通る流体の流れを第一の流量で制御させ、前記開口部が前記リターン電極に近接し、
最小限の止血で組織を分子的に解離するように、前記電気外科手術コントローラによって前記複合活性電極に送達されるエネルギーを制御させ、
前記第二の動作モードでは、前記プログラムが前記プロセッサに、
前記第一の流量とは異なる第二の流量で前記開口部の中への流体の流れを制御させ、前記開口部が前記第一の活性電極に近接し、
より多くの止血で組織を分子的に解離するように、前記電気外科手術コントローラによって送達されるエネルギーを制御させる、システム。
[付記項13]
組織を分子的に解離するように前記エネルギーを制御する前記ステップの少なくとも一つが、前記複合活性電極に隣接するイオン化された蒸気層を形成するのに十分な電圧と、前記イオン化された蒸気層を消すのに十分な電圧との間で前記電圧出力をパルシングすることをさらに含む、付記項12に記載のシステム。
[付記項14]
前記第一のモードの第一のレートで、および前記第二のモードの第二のレートで、前記電圧出力をパルシングすることをさらに含む、付記項13に記載のシステム。
[付記項15]
複数の組織を電気外科手術ワンドで処理する方法であって、
複合活性電極のブレード部分および前記電気外科手術ワンドのリターン電極の第一の露出表面が第一の標的組織に隣接するように、前記電気外科手術ワンドを第一の配向に配置することであって、前記複合活性の最遠位端の前記ブレード部分は、ワンド長手方向中心軸に沿って横方向に延び、前記リターン電極の前記第一の露出表面は、前記外科手術ワンドの細長いシャフトの外側部分にわたって広がり、前記ワンドは前記第一の配向にある間、
前記複合活性電極と前記リターン電極との間の電気エネルギーを印加することと、
前記エネルギーに応答して、前記ブレード部分に近接した局所プラズマを形成し、前記局所プラズマによって切除し、その結果、前記第一の標的組織の一部分を組織層から分子的に解離し、一方、前記エネルギーに応答して、前記リターン電極の前記第一の露出表面に熱効果を同時に形成し、その結果、前記組織層に止血を提供する、形成することと、を行う、配置することと、
前記電気外科手術ワンドを第二の配向に配置することであって、前記複合活性電極のスクリーン部分、リターン電極の前記第一の露出表面、および第二の露出表面は、第二の標的組織に隣接し、前記第一と第二の露出表面は互いに別個であり、および前記電気外科手術ワンドが前記第二の配向にある間、
前記複合活性電極と前記リターン電極の前記第一および第二の露出表面との間の電気エネルギーを印加することと、
前記エネルギーに応答して、前記複合活性電極の前記ブレード部分とスクリーン部分の両方に近接した局所プラズマを形成し、前記局所プラズマによって切除し、その結果、前記第二の標的組織の一部分を減量し、前記第二の配向で、リターン電極の前記第一と第二の露出表面が、前記ブレードおよびスクリーン部分の両方にわたって均一なプラズマを促進するように構成された前記第二の標的組織から実質的に等距離である、形成することと、を行う、配置することと、を含む、方法。
[付記項16]
前記電気外科手術ワンドが、前記電気外科手術ワンドの前記第一の露出表面上に導電性流体を第一の流量で前記活性電極に向かって流す、前記第一の配向にある、付記項15に記載の方法。
[付記項17]
前記電気外科手術ワンドが、前記電気外科手術ワンドの前記第一および第二の露出表面上に導電性流体を第一の流量とは異なる第二の流体流量で流す、前記第二の配向にある、付記項16に記載の方法。
[付記項18]
電気エネルギーを印加するいずれかのステップが、前記複合活性電極に近接する止血の期間によって中断される前記複合活性電極に近接した局所プラズマの期間を形成するように構成された変調電気エネルギーを印加することを含む、付記項15に記載の方法。
[付記項19]
前記電気外科手術ワンドを第二の配向に配置する前に、前記細長いシャフトの一部分を、前記第二の標的組織へアクセスするように曲げる、付記項15に記載の方法。
[付記項20]
前記第一の標的組織が扁桃組織であり、前記第二の標的組織がアデノイド組織である、付記項15に記載の方法。