(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】ディスプレイ技術のためのナノ構造の平坦レンズ
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20221012BHJP
B82Y 20/00 20110101ALI20221012BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20221012BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221012BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20221012BHJP
G02B 5/00 20060101ALN20221012BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
B82Y20/00
G02B27/02 Z
G09F9/00 313
G09F9/30 365
G09F9/33
G02B5/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021074143
(22)【出願日】2021-04-26
(62)【分割の表示】P 2019565019の分割
【原出願日】2018-05-30
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】201741019417
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】201741045374
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フィッサー, ロバート ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ, アヴィシェク
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/045904(WO,A1)
【文献】特開2010-135212(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105842905(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105609534(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0111856(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B27/00-30/60
G09F9/00-9/46
H01L27/32
51/50
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ装置であって、
基板と、
第1の平面に配置された前記基板上に形成された第1の
表面と、
前記第1の
表面上に配置された第1のエミッタ構造と、
前記第1の平面とは異なる第2の平面に配置された前記基板上に形成された第2の
表面と、
前記第2の
表面上に配置された第2のエミッタ構造と、
前記第1の平面及び前記第2の平面とは異なる第3の平面に配置された前記基板上に形成された第3の
表面と、
前記第3の
表面上に配置された第3のエミッタ構造と、
前記第1の表面、前記第2の表面、及び前記第3の表面の上に形成された封入層と、
前記封入層上に形成された複数の誘電体ナノ構造と、
を備え
、
前記第1のエミッタ構造、前記第2のエミッタ構造、及び前記第3のエミッタ構造は、前記第1のエミッタ構造、前記第2のエミッタ構造、及び前記第3のエミッタ構造によって発せられた異なる波長の光の光路長の差を補うように位置付けられており、
前記第1のエミッタ構造、前記第2のエミッタ構造、及び前記第3のエミッタ構造の各々によって発せられた光は、単一の像平面上に合焦される、
ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記基板は透明なガラス材料である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の
表面は像平面から第1の焦点距離に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の
表面は前記像平面から前記第1の焦点距離よりも長い第2の焦点距離に配置される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第3の
表面は前記像平面から前記第2の焦点距離よりも長い第3の焦点距離に配置される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のエミッタ構造、前記第2のエミッタ構造、及び前記第3のエミッタ構造は、1つのピクセルを構成するサブピクセル素子である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のエミッタ構造は、第1の帯域幅を有する第1の波長の光を発するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のエミッタ構造は、前記第1の波長及び前記第1の帯域幅とは異なる第2の帯域幅を有する第2の波長の光を発するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第3のエミッタ構造は、前記第1の波長及び前記第1の帯域幅、並びに前記第2の波長及び前記第2の帯域幅とは異なる第3の帯域幅を有する第3の波長の光を発するように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の
表面、前記第2の
表面、及び前記第3の
表面の反対側に配置された前記基板の表面は平面である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の誘電体ナノ構造の寸法は、各ナノ構造の幅、各ナノ構造の高さ、及び隣接するナノ構造間の間隔を含み、前記誘電体ナノ構造の寸法は均一である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
ディスプレイ装置であって、
複数の
表面がその上に形成された基板と、
第1の平面に配置された第1の
表面と、
前記第1の
表面上に配置された第1のエミッタ構造と、
前記第1のエミッタ構造の上に形成された第1の封入層と、
前記第1の平面とは異なる第2の平面に配置された第2の
表面と、
前記第2の
表面上に配置された第2のエミッタ構造と、
前記第2のエミッタ構造の上に形成された第2の封入層と、
前記第1の平面及び前記第2の平面とは異なる第3の平面に配置された第3の
表面と、
前記第3の
表面上に配置された第3のエミッタ構造と、
前記第3のエミッタ構造の上に形成された第3の封入層と、
前記第1の封入層、前記第2の封入層、及び前記第3の封入層上に形成された複数の誘電体ナノ構造と、
を備え
、
前記第1のエミッタ構造、前記第2のエミッタ構造、及び前記第3のエミッタ構造は、前記第1のエミッタ構造、前記第2のエミッタ構造、及び前記第3のエミッタ構造によって発せられた異なる波長の光の光路長の差を補うように位置付けられており、
前記第1のエミッタ構造、前記第2のエミッタ構造、及び前記第3のエミッタ構造の各々によって発せられた光は、単一の像平面上に合焦される、
ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記第1の
表面は
前記像平面から第1の焦点距離に配置される、請求項
12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の
表面は前記像平面から前記第1の焦点距離よりも長い第2の焦点距離に配置される、請求項
13に記載の装置。
【請求項15】
前記第3の
表面は前記像平面から前記第2の焦点距離よりも長い第3の焦点距離に配置される、請求項
14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の
表面、前記第2の
表面、及び前記第3の
表面の反対側に配置された前記基板の表面は平面である、請求項
12に記載の装置。
【請求項17】
ディスプレイ装置であって、
第1の表面と、前記第1の表面の反対側に配置された第2の表面とを有する基板であって、前記第1の表面及び前記第2の表面は平面であり、前記第2の表面は前記第1の表面と平行である、基板と、
前記第1の表面上に配置された第1のエミッタ構造と、
前記第1の表面上に配置された第2のエミッタ構造と、
前記第1の表面上に配置された第3のエミッタ構造と、
前記第1のエミッタ構造と、前記第2のエミッタ構造と、前記第3のエミッタ構造の上に配置された封入層と、
前記第1のエミッタ構造の領域に対応する前記封入層上に配置された第1の寸法を有する第1の複数の誘電体ナノ構造と、
前記第2のエミッタ構造の領域に対応する前記封入層上に配置された前記第1の寸法とは異なる第2の寸法を有する第2の複数の誘電体ナノ構造と、
前記第3のエミッタ構造の領域に対応する前記封入層上に配置された前記第1の寸法及び前記第2の寸法とは異なる第3の寸法を有する第3の複数の誘電体ナノ構造と、
を備え
、
前記第1の複数の誘電体ナノ構造、前記第2の複数の誘電体ナノ構造、及び前記第3の複数の誘電体ナノ構造は、前記第1のエミッタ構造、前記第2のエミッタ構造、及び前記第3のエミッタ構造によって発せられた異なる波長の光の光路長の差を補う寸法形態を有し、
前記第1のエミッタ構造、前記第2のエミッタ構造、及び前記第3のエミッタ構造の各々によって発せられた光は、単一の像平面上に合焦される、
ディスプレイ装置。
【請求項18】
前記第1の複数の誘電体ナノ構造、前記第2の複数の誘電体ナノ構造、及び前記第3の複数の誘電体ナノ構造は、ZnO材料、TiO
2材料、及びGaN材料からなる群から選択される材料から形成される、請求項
17に記載の装置。
【請求項19】
前記寸法形態は、前記第1、第2、及び第3の複数の誘電体ナノ構造のサイズ、形状、及び間隔の少なくとも一つである、請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は概して、拡張及び仮想現実用途のディスプレイデバイスに関する。より具体的には、本書に記載の実施形態は、拡張及び仮想現実ディスプレイにおいて用いられる構造化レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]拡張現実は一般に、ユーザが、眼鏡の表示レンズ又は他のヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスを通して周囲環境を見ることができ、また環境の一部として表示され、現れるように生成された仮想物体の画像も見ることができる体感を可能にすると考えられている。拡張現実には、ユーザが体感する環境を充実させる又は拡張する音声及びハプティック入力等のいずれかの種類の入力、並びに仮想イメージ、グラフィック、及び映像が含まれうる。
【0003】
[0003]仮想現実はしかしながら、一般に、ユーザが見かけ上の物理的臨場感を有する、コンピュータによって生成された模擬環境とみなされる。仮想現実の体感を3Dで生成し、実際の環境に取って代わる仮想現実環境を表示するレンズとしてニアアイディスプレイパネルを有する他の着用型ディスプレイデバイスの眼鏡等のHMDを用いて見ることができる。
【0004】
[0004]ニアアイディスプレイパネルには、幾つかの技術的な課題がある。例えば、限られた視野、色収差と関連する写像性、及び没入型の仮想体感を実現することができる仮想現実ディスプレイの実装に依然存在する他の課題である。より具体的には、様々な波長の光を用いたときに、光路の形状寸法的な長さと、光が伝播する媒体の屈折率との積である光路長の差が存在しうるということである。このため、赤色光、緑色光、及び青色光の光路長の差が像平面上に的確に合焦されずに、前述した色収差につながる可能性がある。したがって、最先端技術としての仮想及び拡張現実デバイス用のディスプレイの製造には、多くの課題及び設計制約が存在する。
【発明の概要】
【0005】
[0005]一実施形態では、ディスプレイ装置が提供される。本装置は、上に形成された複数の特徴を有する基板と、第1の平面に配置された第1の特徴と、第1の特徴上に配置された第1のエミッタ構造を含む。本装置はまた、第1の平面とは異なる第2の平面に配置された第2の特徴と、第2の特徴上に配置された第2のエミッタ構造と、第1の平面及び第2の平面とは異なる第3の平面に配置された第3の特徴と、第3の特徴上に配置された第3のエミッタ構造とを含む。複数の特徴の上に封入層が形成され、基板に結合され、封入層上に複数の誘電体ナノ構造が形成される。
【0006】
[0006]別の実施形態では、ディスプレイ装置が提供される。本装置は、複数の特徴がその上に形成された基板と、第1の平面に配置された第1の特徴と、第1の特徴上に配置された第1のエミッタ構造と、第1のエミッタ構造の上に形成された第1の封入層とを含む。本装置はまた、第1の平面とは異なる第2の平面に配置された第2の特徴と、第2の特徴上に配置された第2のエミッタ構造と、第2のエミッタ構造の上に形成された第2の封入層とを含む。また更に、本装置は、第1の平面及び第2の平面とは異なる第3の平面に配置された第3の特徴と、第3の特徴上に配置された第3のエミッタ構造と、第3のエミッタ構造の上に形成された第3の封入層とを含む。第1の封入層、第2の封入層、及び第3の封入層上に複数の誘電体ナノ構造が形成される。
【0007】
[0007]更に別の実施形態では、ディスプレイ装置が提供される。本装置は、第1の表面と第1の表面の反対側に配置された第2の表面とを有し且つ第1の表面及び第2の表面は平面である基板を含む。第1の表面上に第1のエミッタ構造が配置され、第1の表面上に第2のエミッタ構造が配置され、第1の表面上に第3のエミッタ構造が配置される。第1のエミッタ構造、第2のエミッタ構造、及び第3のエミッタ構造の上に封入層が配置される。第1のエミッタ構造の領域に対応する封入層上に第1の寸法を有する第1の複数の誘電体ナノ構造が配置される。第2のエミッタの領域に対応する封入層上に第1の寸法とは異なる第2の寸法を有する第2の複数の誘電体ナノ構造が配置される。第3のエミッタ構造の領域に対応する封入層上に第1の寸法及び第2の寸法とは異なる第3の寸法を有する第3の複数の誘電体ナノ構造が配置される。
【0008】
[0008]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は例示の実施形態のみを示すものであり、したがって、実施形態の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本書に記載の実施形態に係るディスプレイ装置の概略断面図である。
【
図2】本書に記載の実施形態に係るディスプレイ装置の概略断面図である。
【
図3】本書に記載の実施形態に係るディスプレイ装置の概略断面図である。
【
図4A】本書に記載の実施形態に係る、発光ダイオード(LED)アレーの部分概略平面図である。
【
図4B】本書に記載の実施形態に係る、LEDアレーのピクセル上に配置されたナノレンズを有する、
図4AのLEDアレーの部分概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0014]理解を容易にするため、可能な場合、図面共通の同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうると考えられる。
【0011】
[0015]本書に記載の実施形態は、ディスプレイデバイス、例えば、仮想及び拡張現実デバイス及び用途に関するものである。一実施形態では、平面の基板は、その上に形成された階段状の特徴と、各特徴上に形成されたエミッタ構造とを有する。基板上に封入層が配置され、封入層上に複数の均一な誘電体ナノ構造が形成される。本書に開示の装置によって生成される仮想画像は、像平面における色収差を低減することによって、改善された写像性を提供する。
【0012】
[0016]
図1は、本書に記載の実施形態に係るディスプレイ装置100の概略断面図である。ディスプレイ装置100は、上に形成された複数の階段状の特徴112、114,116を有する基板102を含む。基板102は、光学的透明な材料、例えばガラスでできている。あるいは、基板102は、サファイア材料でできていてよい。別の実施形態では、基板102は、窒化アルミニウム材料でできていてよい。特徴112、114、116は、パターン形成及びエッチングツールによって基板102にパターン形成され、エッチングされる。上記ツールの例は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されている。
【0013】
[0017]特徴112、114、116は、基板102上の、基板102の平面の表面144とは反対側に形成される。第1の特徴112は、第1の平面146に配置された表面を画定する。第2の特徴114は、第2の平面148に配置された表面を画定する。第3の特徴116は、第3の平面150に配置された表面を画定する。
【0014】
[0018]各特徴112、114、116は、互いに異なる平面に配置される。例えば、各特徴112、114、116は、像平面132に対して特有の焦点距離を有する平面に配置される。第1の平面146に配置された第1の特徴112は、第1の平面146から像平面132までの第1の焦点距離152を有する。第2の平面148に配置された第2の特徴114は、第2の平面148から像平面132までの第2の焦点距離154を有する。第3の平面150に配置された第3の特徴116は、第3の平面150から像平面132までの第3の焦点距離156を有する。第2の焦点距離154は第1の焦点距離152よりも長く、第3の焦点距離156は第2の焦点距離154よりも長い。特徴112、114、116の焦点距離152、154、156をそれぞれ変化させることによって、以下に更に詳細に述べる色収差を予め補うことが達成できる。
【0015】
[0019]複数のエミッタ構造122、124、126は、複数の特徴112、114、116上に形成される。第1のエミッタ構造122は、第1の特徴112上に配置される。第2のエミッタ構造124は、第2の特徴114上に配置される。第3のエミッタ構造126は、第3の特徴116上に形成される。各エミッタ構造122、124、126は、像平面132に画像を形成するための光を発する。例えば、第1のエミッタ構造122は、像平面132上に画像化される光138を放射し、第2のエミッタ構造124は、像平面132上に画像化される光136を放射し、第3のエミッタ構造126は、像平面132上に画像化される光134を放射する。
【0016】
[0020]各エミッタ構造122、124、126に好適なデバイスの例には、中でも非限定的に、液晶ディスプレイ(LCD)デバイス、発光ダイオード(LED)デバイス、有機発光ダイオード(OLED)デバイスが挙げられる。一実施形態では、エミッタ構造122、124、126は1つのピクセル104を構成し、第1のエミッタ構造122は第1のサブピクセル106であり、第2のエミッタ構造124は第2のサブピクセル108であり、第3のエミッタ構造126は第3のサブピクセル110である。代替的な実施形態では、第1のエミッタ構造122、第2のエミッタ構造124、及び第3のエミッタ構造126は各々、ピクセルとみなされうる。
【0017】
[0021]一例において、第1のエミッタ構造122は、第1の帯域幅を有する第1の波長の光を発するように構成される。一実施形態では、第1のエミッタ構造122は、青色光を発する。第2のエミッタ構造124は、第1の波長及び第1の帯域幅とは異なる第2の帯域幅を有する第2の波長の光を発するように構成される。一実施形態では、第2のエミッタ構造124は、緑色光を発する。第3のエミッタ構造126は、第1及び第2のそれぞれの波長及び帯域幅とは異なる第3の帯域幅を有する第3の波長の光を発するように構成される。一実施形態では、第3のエミッタ構造126は、赤色光を発する。
【0018】
[0022]各エミッタ構造122、124、126は、特徴112、114、116のそれぞれ1つに配置される。このため、各エミッタ構造122、124、126は、像平面132から異なる焦点距離に配置される。特徴112、114、116によってそれぞれ画定された平面146、148、150、そして最終的に、特徴上に配置されたエミッタ構造の色のタイプは、平面146、148、150間のデルタを決定するために時間領域差分法のシミュレーションを実施することによって決定される。
【0019】
[0023]例えば、第1の平面146を画定する第1の特徴112は、その上に配置された青色光エミッタ構造122を有する。第2の平面148を画定する第2の特徴114は、その上に配置された緑色光エミッタ構造124を有する。第3の平面150を画定する第3の特徴116は、その上に配置された赤色光エミッタ構造126を有する。この例において、第1の平面146と第2の平面148との間の平面デルタ118は、青色光波長と緑色光波長との間の波長差の順序で決定される。同様に、第2の平面148と第3の平面150との間の平面デルタ120は、緑色光波長と赤色光波長との間の波長差の順序で決定される。この結果、特徴112、114、116の相対位置、またそれに応じて、対応するエミッタ構造122、124、126の相対位置は、像平面132に対して、様々な波長を有する光の光路長の差を予め補うように位置づけされうる。それゆえに、像平面132における色収差が低減し、写像性が改善される。
【0020】
[0024]ディスプレイ装置100は更に、封入層128と、封入層128上に配置された複数のナノ構造130とを含む。封入層128は、光学的に透明な材料から製造され、特徴112、114、116上に形成されたエミッタ構造122、124、126を封入するように機能する。封入層128は、第1の表面142と、第1の表面142の反対側に配置された第2の表面140とを有する。第1の表面142と第2の表面140はいずれも平面であり、互いに平行している。第1の表面142は、基板102に結合され、基板102に隣接して配置される。一実施形態では、封入層128は、最短の光路長152を有する第1のエミッタ構造122等のエミッタ構造のうちの少なくとも1つと接触するように配置される。
【0021】
[0025]特徴112、114、116の階段状の形態、及び封入層の第1の表面142の平面の形態に起因して、第2及び第3の特徴114、116のそれぞれと、封入層128の第1の表面142との間に隙間空間144が形成される。一実施形態では、隙間空間144は空気等のガスで充満している。代替的な実施形態では、隙間空間144は、基板材料の屈折率又は封入層材料の屈折率のいずれかと同様の屈折率を持つ材料で充満している。
【0022】
[0026]封入層128の第2の表面140上に、複数のナノ構造130が配置される。複数のナノ構造130は、ZnO材料、TiO2材料、GaN材料、及びそれらの組み合わせ等の誘電体材料から形成される。誘電体材料は、異なる結晶格子構造(又はその欠如)と関連する所望の光学特性によって結晶性又は無定形のものであってよい。複数のナノ構造130の各ナノ構造は、ほぼ同じ形態に製造される。言い換えれば、複数のナノ構造130は均一である。各ナノ構造130の形態は、円柱、柱状、立方体等であってよい。個々のナノ構造の高さ、幅、長さ、直径、間隔、又は他の物理特性は、複数のナノ構造130の他のナノ構造とほぼ同様である。一実施形態では、各ナノ構造130の幅/直径は約100nmと約350nmの間であり、各ナノ構造130の高さは約200nmと約300nmの間であり、隣接するナノ構造間の間隔は約50nmと約250nmの間である。
【0023】
[0027]ナノ構造130は、ナノ構造130を製造するために用いられる誘電体材料の種類に応じて様々な技法で堆積される。好適な堆積技法には、化学気相堆積、物理的気相堆積、分子ビームエピタキシー等が含まれる。上記堆積プロセスを実施するのに好適な装置は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されているツールである。ナノ構造130を形成するために堆積される誘電体膜のパターン形成には、ナノインプリントリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、又は上述したような形態サイズを有するナノ構造130を形成するのに好適な他のリソグラフィ技法等のプロセスが含まれる。したがって、均一なナノ構造130の製造は、特有の形態のナノ構造を形成するよりも簡単に成し遂げられる。
【0024】
[0028]階段状の特徴112、114、116を用いることによって異なる波長の光の光路長の差を予め補っておくことによって、ナノ構造130を用いて像平面132上に光を更に合焦させることが可能になる。例えば、第3のエミッタ構造126から放射された赤色光134が像平面132上に合焦され、第2のエミッタ構造124から放射された緑色光136が像平面132上に合焦され、第1のエミッタ構造122から放射された青色光138が像平面132上に合焦される。階段状の特徴112,114,116の光路長の差を予め補うこと、及びナノ構造130の光集束特性により、結果的に、見る人の目線101から、改善された写像性の、また色収差のない画像を像平面132において見ることが可能である。したがって、光134、136、138は同じ平面(例:像平面132)に画像化され、平面内の光によって生成された仮想画像は、全く色収差なく、又は色収差が少なくとも実質的に低減した状態で見ることが可能である。
【0025】
[0029]
図2は、本書に記載の実施形態に係るディスプレイ装置200の概略断面図である。ディスプレイ装置200は、エミッタ構造122、124、126上に配置された複数の封入層202、204、206を含む。例えば、第1の封入層202は第1のエミッタ構造122上に配置され、第1のエミッタ構造122と接触しており、第2の封入層204は第2のエミッタ構造124上に配置され、第2のエミッタ構造124と接触しており、第3の封入層206は第3のエミッタ構造126上に配置され、第3のエミッタ構造126と接触している。このため、第1、第2、及び第3の封入層202、204、206は、特徴112、114、116の階段状の配向と同様に階段状に配向されている。封入層202、204、206のために選択される材料は、封入層128の材料と同様のものである。
【0026】
[0030]第1の封入層202上に第1の複数のナノ構造208が配置され、第2の封入層204上に第2の複数のナノ構造210が配置され、第3の封入層206上に第3の複数のナノ構造212が配置される。ナノ構造130と同様に、各ナノ構造208、210、212は誘電体材料から形成され、均一な形態を有する。ディスプレイ装置100と異ならず、ディスプレイ装置200は、階段状の特徴112、114、116の光路長の差を予め補うこと、及びナノ構造130の光集束特性を用いて、見る人の目線101から、改善された写像性の、また色収差のない画像を像平面132において見ることを可能にする。
【0027】
[0031]
図3は、本書に記載の実施形態に係るディスプレイ装置300の概略断面図である。ディスプレイ装置300は、第1の表面304と、第2の表面306とを有する基板302を含む。基板302は、ほぼ平面であり、第1の表面304及び第2の表面306は互いに反対側に、互いに平行するように配置される。基板302に用いられる材料は、前述した基板120のために選択された材料と同様のものである。
【0028】
[0032]第1のエミッタ構造308、第2のエミッタ構造310、及び第3のエミッタ構造312は、共通平面を画定する第1の表面304上に配置される。エミッタ構造308、310、312は、上述したエミッタ構造122、124、126と同様のものであってよい。第2のエミッタ構造310は第1のエミッタ構造308に隣接して配置され、第3のエミッタ構造312は第2のエミッタ構造310に隣接して配置される。一実施形態では、第1のエミッタ構造308は青色光を発するように構成され、第2のエミッタ構造310は緑色光を発するように構成され、第3のエミッタ構造312は赤色光を発するように構成される。
【0029】
[0033]エミッタ構造308、310、312の上に、封入層128に関連して説明したものと同様の材料から製造された封入層314が配置される。一実施形態では、封入層314は、エミッタ構造308、310、312と接触するように配置される。封入層314は形態がほぼ平面であり、エミッタ構造308、310、312に隣接する全ての領域でほぼ均一な厚さを有する。
【0030】
[0034]第1のエミッタ構造308の領域、例えば第1のエミッタ構造308に対応する基板302のエリアであるサブピクセル領域106に対応する封入層314上に、第1の複数のナノ構造316が形成される。第1のナノ構造316は、サブピクセル領域106内で均一な寸法形態(サイズ、形状、及び間隔)を共有する。第1のナノ構造316の寸法形態は、単数の像平面322で画像化される異なる波長の光間の光路長の差を補うために、第1のエミッタ構造308から放射される光の波長に基づいて選択される。例えば、第1のナノ構造316は、第1のエミッタ構造308から放射される青色光328を像平面322で画像化し合焦させるように選択された寸法形態を有する。
【0031】
[0035]第2のエミッタ構造310の領域、例えばサブピクセル領域108に対応する封入層314上に、第2の複数のナノ構造318が形成される。第2のナノ構造318は、サブピクセル領域108内で均一な寸法形態を共有する。第1のナノ構造316と同様に、第2のナノ構造318の寸法形態は、像平面322で画像化される異なる波長の光間の光路長の差を補うために、第2のエミッタ構造310から放射される光の波長に基づいて選択される。第2のナノ構造318の寸法形態は、第1のナノ構造316の寸法形態とは異なる。例えば、第2のナノ構造318は、第2のエミッタ構造310から放射される緑色光326を像平面322で画像化し合焦させるように選択された寸法形態を有する。
【0032】
[0036]第3のエミッタ構造312の領域、例えばサブピクセル領域110に対応する封入層314上に、第3の複数のナノ構造320が形成される。第3のナノ構造320は、サブピクセル領域110内で均一な寸法形態を共有する。第1及び第2のそれぞれのナノ構造316、318と同様に、第3のナノ構造320の寸法形態は、像平面322で画像化される異なる波長の光間の光路長の差を補うために、第3のエミッタ構造312から放射される光の波長に基づいて選択される。第3のナノ構造320の寸法形態は、第1のナノ構造316及び第2のナノ構造318の寸法形態とは異なる。例えば、第3のナノ構造320は、第3のエミッタ構造312から放射される赤色光324を像平面322で画像化し合焦させるように選択された寸法形態を有する。
【0033】
[0037]したがって、異なる波長を有する光の光路長の差を補うナノ構造316、318、320、及びナノ構造316、318、320の光集束特性を用いることによって画像表示が達成され、見る人の目線101から、改善された写像性の、また色収差のない画像を像平面322において見ることができる。
【0034】
[0038]
図4Aは、本書に記載の実施形態に係る、発光ダイオード(LED)アレー400の部分概略平面図である。好適なLEDアレーの例には、中でも、非限定的に、LEDデバイス及び有機発光ダイオード(OLED)デバイスが含まれる。一実施形態では、LEDアレー400は基板408を含み、その上に配置された複数のピクセル402、404、406を有する。一例において、LEDアレー400はOLEDペンタイルアレーである。
【0035】
[0039]一例において、第1のピクセル402は第1の帯域幅を有する第1の波長の光を発するように構成される。一実施形態では、第1のピクセル402は赤色光を発する。第2のピクセル404は、第1の波長及び第1の帯域幅と異なる、第2の帯域幅を有する第2の波長の光を発するように構成される。一実施形態では、第2のピクセル404は青色光を発する。第3のピクセル406は、第1及び第2のそれぞれの波長及び帯域幅と異なる、第3の帯域幅を有する第3の波長の光を発するように構成される。一実施形態では、第3のピクセル406は緑色光を発する。
【0036】
[0040]各ピクセル402、404、406は、基板408上にアレー400を形成するようなパターンで配置される。一実施形態では、ピクセル402、404、406は、均一なサイズと分布アーキテクチャを有する。別の実施形態では、ピクセル402、404、406は各々、それぞれ特有のサイズと、アレー400全体で均一な分布パターンを有する。主として四辺形の形状を有するピクセル402、404を図示したが、任意の所望の形状をピクセル402、404に用いることができると考えられる。同様に、円形又は楕円形を有するピクセル406を図示したが、任意の所望の形状をピクセル406に用いることができると考えられる。
【0037】
[0041]
図4Bは、本書に記載の実施形態に係る、LEDアレー400のピクセル402、404、406上にそれぞれ配置されたナノレンズ410、414、418を有する、
図4AのLEDアレー400の部分概略平面図である。第1のピクセル402上に、上に形成された複数の第1のナノ構造412を有する第1のナノレンズ410が配置される。第2のピクセル404上に、上に形成された複数の第2のナノ構造416を有する第2のナノレンズ414が配置される。第3のピクセル406上に、上に形成された複数の第3のナノ構造420を有する第3のナノレンズ418が配置される。各ナノレンズ410、414、418は、対応する下位のピクセル402、404、406のサイズ及び形状にほぼ対応するようなサイズ及び形状である。
【0038】
[0042]一実施形態では、各ナノレンズ410、414、418は、単色レンズである。この実施形態では、各ナノレンズ410、414、418に対応する複数のナノ構造412、416、420は、対応するピクセル402、404、406から放射される単一の波長、あるいは定義された範囲の波長の光を変調するように適合される。例えば、第1のナノレンズ410上に配置された第1の複数のナノ構造412は、光収差を低減又は除去し、像平面における赤色光の光路長を補うように適合される。第2のナノレンズ414上に配置された第2の複数のナノ構造416は、光収差を低減又は除去し、像平面における青色光の光路長を補うように適合される。第3のナノレンズ418上に配置された第3の複数のナノ構造420は、光収差を低減又は除去し、像平面における緑色光の光路長を補うように適合される。したがって、様々な波長の光を用いて像平面に合焦画像を形成することが可能である。
【0039】
[0043]各ナノレンズ410、414、418及び各ナノ構造412、416、420のそれぞれのナノレンズ及びナノ構造は、ZnO材料、TiO2材料、GaN材料、及びそれらの組み合わせ等の誘電体材料から形成される。誘電体材料は、異なる結晶格子構造(又はその欠如)と関連する所望の光学特性に応じて結晶性又は無定形のものであってよい。一実施形態では、ナノレンズ410上に配置された複数の第1のナノ構造412の各ナノ構造は、ほぼ均一な第1の形態で製造される。ナノレンズ414上に配置された複数の第2のナノ構造416の各ナノ構造は、第1の形態とは異なる、ほぼ均一な第2の形態で製造される。ナノレンズ418上に配置された複数の第3のナノ構造420の各ナノ構造は、第1の形態及び第2の形態とは異なる、ほぼ均一な第3の形態で製造される。この実施形態では、第1の形態は赤色光を変調するように適合され、第2の形態は青色光を変調するように適合され、第3の形態は緑色光を変調するように適合される。
【0040】
[0044]第1、第2、及び第3の形態は各々特有のものであるが、各ナノ構造412、416、420の形態は、円柱、柱状、立方体等であってよい。ナノ構造412、416、420の高さ、幅、長さ、直径、間隔、又は他の物理特性はそれぞれ、第1、第2、及び第3の形態に対して特有のものである。一実施形態では、ナノ構造412、416、420の各ナノ構造の幅は約50nmと約100nmの間である。
【0041】
[0045]別の実施形態では、ナノ構造412、416、420の各ナノ構造の高さは、ナノレンズ410、414、418によってそれぞれ変調される光の色に対応する波長差の順序である。例えば、ナノ構造412の高さは、ピクセル402から放射される赤色光と、隣接するピクセル404、406からそれぞれ放射される青色光及び緑色光との間の波長差に対応する。ナノ構造416の高さは、ピクセル404から放射される青色光と、隣接するピクセル402、406からそれぞれ放射される赤色光及び緑色光との間の波長差に対応する。ナノ構造420の高さは、ピクセル406から放射される緑色光と、隣接するピクセル402、404からそれぞれ放射される赤色光及び青色光との間の波長差に対応する。
【0042】
[0046]ナノ構造412、416、420は、ナノ構造412、416、420を製造するために用いられる誘電体材料の種類に応じた様々な技法によって堆積される。好適な堆積技法には、化学気相堆積、物理的気相堆積、分子ビームエピタキシー等が含まれる。上記堆積プロセスを実施するのに好適な装置は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されているツールである。
【0043】
[0047]ナノ構造412、416、420を形成するために堆積された誘電体膜のパターン形成には、ナノインプリントリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、又は上述したような形態を有するナノ構造412、416、420を形成するのに好適な他のリソグラフィ技法等のプロセスが含まれる。このため、各ピクセル402、404、406に特有の方法で、対応するナノ構造を有する単色ナノレンズが形成されうる。上述したナノレンズに加えて、本書に記載の実施形態を、偏光子、波遅板等の他の光変調デバイスにおいて実行可能であるとも考えられる。
【0044】
[0048]上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態を、それらの基本範囲を逸脱せずに考案することが可能であり、それらの範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。