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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】電気試験測定プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/06 20060101AFI20221013BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
G01R1/06 D
G01R1/073 A
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016161442
(22)【出願日】2016-08-19
(65)【公開番号】P2017067762
(43)【公開日】2017-04-06
【審査請求日】2019-08-15
(31)【優先権主張番号】14/830339
(32)【優先日】2015-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アイラ・ジー・ポロック
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー・エイ・キャンプベル
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・エイ・ハガーアップ
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07262614(US,B1)
【文献】特開2007-178143(JP,A)
【文献】特開2009-79905(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0087334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06
G01R 1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイスにおける試験箇所との電気的接触を行うための電気試験測定プローブであって、
本体と、
上記本体に対して直線的に移行できるように構成された剛性部材と、
第1の端部に第1試験箇所コンタクトが配設され、第2の端部において上記剛性部材に固止された平板状の可撓性アームと、
上記本体に固定されると共に、上記可撓性アームの上記第1の端部と上記第2の端部との間の位置に接続された可撓性連接部であって、第1の方向への上記剛性部材の移行に応答して上記可撓性アームを屈曲させるように、及び第2の方向への上記剛性部材の移行に応答して可撓性アームの屈曲を解消するように構成された平板状の可撓性連接部と
を具え、
上記可撓性連接部が上記可撓性アームと同一面上にない電気試験測定プローブ。
【請求項2】
第1の端部に第2試験箇所コンタクトが配設され、第2の端部において上記剛性部材に固止された平板状の第2の可撓性アームを更に具え、
上記可撓性連接部が上記第2の可撓性アームの上記第1の端部と上記第2の端部との間の位置にも接続され、上記可撓性連接部が、上記第1試験箇所コンタクト及び上記第2試験箇所コンタクトを、上記第1の方向への上記剛性部材の移行に応答して互いに向けて同時に移動させるように、並びに上記第2の方向への上記剛性部材の移行に応答して互いから離れるように同時に移動させるように構成される、
請求項1に記載の電気試験測定プローブ。
【請求項3】
上記可撓性アームが、上記可撓性連接部に対してほぼ垂直に配置される請求項1に記載の電気試験測定プローブ。
【請求項4】
上記可撓性アーム及び上記第2の可撓性アームが、上記可撓性連接部に対してほぼ垂直に配置される請求項2に記載の電気試験測定プローブ。
【請求項5】
上記被試験デバイスの試験箇所を照射するための光源を更に具え、
該光源は、上記可撓性アームの屈曲に合わせて屈曲するよう構成される上記可撓性連接部の一部分に配置されることで、上記光源からの光の方向が上記試験箇所コンタクトの方向に自動的に追従する請求項1又は2に記載の電気試験測定プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験測定機器用の電気試験測定プローブに関し、より具体的には、被試験デバイスにおける試験箇所へのより良好なアクセスを提供するための、電気試験測定プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
オシロスコープなどの試験測定機器の使用者は多くの場合、被試験デバイス(DUT)内で発生する電気信号の視覚化及び測定を行う目的で、回路基板などのDUTを試験測定機器の入力部に接続するために、プローブを使用する。これらの使用者は典型的には、多種多様な電子装置のための回路基板を設計する技術者である。電子装置の消費者は通例、これらの装置が物理的に可能な限り小さいことを望む。したがって、技術者は多くの場合、大量の電気構成要素を小さい回路基板面積内に詰め込むという課題を負う。加えて、電気構成要素自体は通例、世代が下るごとに物理的により小さくなるように設計される。DUT内の電気構成要素の小さいサイズ及び高い密度は、技術者がDUT上の試験箇所(試験ポイント)を探針(プローブ)するのを困難にする可能性がある。
【0003】
したがって、試験測定プローブは、依然として高い帯域幅及び良好な信号忠実度を提供しつつ、アクセスが困難であり得るDUT試験箇所と電気的に接触可能でなければならない。DUTにおける試験箇所は、幾何学形状及びアクセスし易さにかなりの違いがある。試験箇所はDUTにおいて、水平から垂直までのあらゆる配向の角度で存在し得る。電気構成要素によって、試験箇所が分かりにくくなる場合がある。とりわけDDR2、DDR4、及びPCIe Gen 4などの現在の高速信号バスは、多くの場合、差動シグナリングを使用し、このことは、これらの信号を測定するために使用されるプローブが、同時に2つの試験箇所と電気的に接触可能でなければならないことを要する。2つの試験箇所が異なる平面上にある場合、このことはより一層困難である場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-83974号公報
【文献】特開2014-109449号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】「N5382A InfiniiMax II 12GHz差動ブラウザ」の製品紹介サイト、キーサイト・テクノロジー社、[online]、[2016年8月19日検索]、インターネット<URL:http://www.keysight.com/ja/pd-471532-pn-N5382A/infiniimax-ii-12-ghz-differential-browser?cc=JP&lc=jpn>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プローブは、場合によっては、DUT試験箇所(試験ポイント)に半永久的に取り付けられ得る。例えば、「はんだ付け(solder-down)」型プローブは、試験箇所にはんだ付けされるか又は導電性エポキシを用いて試験箇所に取り付けられる、プローブからのワイヤを有することがある。この種の半永久的なプローブ取り付けスキームは、信頼性の高いDUTへの接続を提供し得る。しかしながら、はんだ付けプローブはいくつかの欠点も有する。DUT試験箇所のアクセスし易さが、多くの場合良好ではないので、プローブ・ワイヤのDUTへのはんだ付けの工程は、長い設定時間及び格別の器用さを要し、プローブ使用者にとって困難である可能性がある。さらに、はんだ付け接続の品質のばらつきが、特により高い周波数において、信号忠実度の高い変動性をもたらす可能性がある。加えて、プローブを取り付けるために使用されるワイヤの小さいゲージは、ワイヤを所定位置にはんだ付けするときに使用者がDUTを損傷し得ることを容易にする。試験箇所の様々な組を探針するために、使用者は、ワイヤのはんだを除去しワイヤをはんだ付けし直さねばならない-これは、使用者がいくつかの異なるDUT試験箇所を素早くチェックする必要があり得る高速デバッグ環境にとってこの型のプローブを適さないものにする、時間のかかる工程である。最後に、この型のはんだ付けプローブは、僅か数回の接続後に損耗する傾向があり、交換するのが高価である可能性がある。
【0007】
これらの問題のうちのいくつかを克服するために、「ブラウザ・プローブ(browser probe)」として知られる別の様式のプローブは、使用者の手の中に又は保持器具を用いて保持され、使用者によって1つ又は複数のDUTにおける試験箇所に触れるよう位置決めされるように、設計される(非特許文献1参照)。この型のブラウザ・プローブは、最大のプローブ配置融通性及び最小の測定設定時間が望ましいデバッグ環境にとって、より適している。ブラウザ・プローブは、電気信号をDUTにおける1つの試験箇所で接地に対して測定する、シングル-エンド型プローブとして設計され得るか、又は、電気信号をDUTにおける2つの試験箇所で測定し、2つの測定された信号間の差に基づいて出力信号を生み出す、差動プローブとして設計され得る。
【0008】
しかしながら、プローブの試験箇所コンタクトの正確な位置決め、又はプローブの下の試験箇所がより良く見えるようにすること、等のような、DUTにおける試験箇所(試験ポイント)へのより良好なアクセスを提供するための、改善されたプローブが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
被試験デバイスにおける試験箇所(試験ポイント)との電気的接触を行うための調節可能な試験箇所コンタクトを有するプローブは、本体と、剛性部材と、可撓性アームと、可撓性連接部と、を含む。剛性部材は、本体に対して直線的に移行可能である。可撓性アームは、一方の端部に試験箇所コンタクトが配設されており、他方の端部において剛性部材に固止(固定)される。可撓性連接部は、本体に及び可撓性アームに固定される。可撓性連接部は、剛性部材の一方の方向への移行に応答して可撓性アームを屈曲させるように、及び剛性部材の他方の方向への移行に応答して可撓性アームの屈曲が解消されるように、構成される。
【0010】
調節可能な電気試験測定プローブは、プローブ先端本体と、関節式試験箇所アームと、連接棒体と、試験箇所アーム位置決め装置と、を含む。連接棒体は、プローブ先端本体の遠位端(Distal end)に結合され、また関節式試験箇所アームにヒンジ止めされる。試験箇所アーム位置決め装置は、関節式試験箇所アームの近位端(Proximal end)にヒンジ止めされ、プローブ先端本体に可動式に結合され、プローブ先端本体の遠位端に向かって及びそこから離れるように摺動(スライド)可能である。試験箇所アーム位置決め装置を摺動させることは、関節式試験箇所アームの遠位端の、プローブ先端本体に対する位置を変化させる。
【0011】
調節可能な電気試験測定プローブは、本体と、被試験デバイスの試験箇所との電気的接触を行うための試験箇所コンタクトと、光源と、を含む。試験箇所コンタクトは、本体に可動式に結合され、本体と試験箇所コンタクトとの間の角度が使用者により調節可能となるように構成される。光源は表面上に配設される。表面は、本体に可動式に結合され、また試験箇所コンタクトにも結合され、この結果、試験箇所コンタクトと本体との間の角度が調節されるとき、表面と本体との間の角度が同時に調節されて、光源が試験箇所コンタクトと実質的に同じ方向を指すのを維持する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態による、試験測定機器及び試験測定プローブを含む例示の試験測定システムの斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態による、プローブ・ヘッドの側面図である。
図3A図3Aは、本発明の実施形態による、試験箇所コンタクトが実質的に開いた位置に調節されたプローブ・ヘッドの底面図である。
図3B図3Bは、本発明の実施形態による、試験箇所コンタクトが実質的に閉じた位置に調節されたプローブ・ヘッドの底面図である。
図4A図4Aは、本発明の実施形態によるプローブにおいて使用するための可撓性回路の上面図である。
図4B図4Bは、本発明の実施形態による、図4Aの可撓性回路が設置されたプローブ・ヘッドの上面部分切り欠き図である。
図5図5は、本発明の実施形態による、関節式試験箇所アームを有するプローブ・ヘッドの上面図である。
図6図6は、本発明の実施形態による、光源を有するプローブ・ヘッドの底面図である。
図7A図7Aは、本発明の実施形態による、可撓性アームが実質的に屈曲していない姿勢であるプローブ・ヘッドの正面部分の側面図である。
図7B図7Bは、本発明の実施形態による、可撓性アームが屈曲した姿勢であるプローブ・ヘッドの正面部分の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、例示の試験測定システム100を描写している。試験測定システム100は、オシロスコープなどの試験測定機器110、並びに試験測定プローブ120を含む。試験測定プローブ120は、試験測定機器110の入力部112に接続する。プローブ120を使用して、回路基板であり得る使用者の被試験デバイス(DUT)10における1つ又は複数の試験箇所との電気的接触を行うことができる。例えば、使用者は、回路基板10上に配置された集積回路(IC)12上の1つ又は複数のピンと物理的に接触するようにプローブ120を位置決めして、DUT10におけるこれらの箇所に存在する電気信号を監視することができる。
【0014】
プローブ120は通例、プローブ・ヘッド122と、プローブ-機器インタフェース126と、プローブ・ヘッド122とプローブ-機器インタフェース126との間の1つ又は複数の導体124と、を含む。ブラウザ・プローブとして、プローブ・ヘッド122は通例、試験箇所(試験ポイント)へのアクセスし易さが最大となるように可能な限り小さいが、使用者が把握して快適に保持できるように十分に大きくもある寸法とされる。プローブ・ヘッド122は別法として、固定具又は保持器具によって保持されてよい。導体124は典型的には、1本又は複数本の比較的長いケーブル、例えば高精度の同軸ケーブル又はケーブル対として設計されるが、これは通常、機器110とDUT10との間の接続部の可撓性が望ましいからである。しかしながら、導体124は別法として、プローブ・ヘッド122とプローブ-機器インタフェース126間で電力、制御信号、及びデータ信号を搬送するのに好適な、可撓性回路、剛性の回路基板、又は別の形態の相互接続部として設計され得る。プローブ-機器インタフェース126は、試験測定機器110の入力部112に接続するのに好適なコネクタを含み、例えば信号調整、プローブ制御、又はプローブ・メモリを提供するための、追加の回路構成も含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、図1に例示される実施形態のように、プローブ120は差動プローブである。差動プローブとして、プローブ120は、2つのDUT試験箇所と電気的に接触するための少なくとも2つの試験箇所コンタクト128を含む。典型的には、2つの試験箇所コンタクト128を使用して、DUT10上のトレース、ビア、構成要素のピン若しくはパッド、又はコネクタ・コンタクトの対を探針する。DUT試験箇所の各対は、2つの試験箇所間に、ほぼゼロ・インチ(ゼロ・ミリメータ)の離間から約0.200インチ(約5.08ミリメータ)まで又はそれ以上の離間の間隔にわたる、様々な量の空間を有し得る。これらの試験箇所間隔の変動に対処するために、プローブ120は、試験箇所コンタクト128間の間隔の調節を可能にするための調節機構129を含む。他の実施形態によれば、プローブ120は、シングル-エンド型プローブである。シングル-エンド型の実施形態では、1つの試験箇所コンタクト128が、DUT試験箇所と電気的に接触し、別の試験箇所コンタクト128が、DUT接地と電気的に接触する。
【0016】
図2は、本発明の実施形態による、プローブ・ヘッド200の側面図である。プローブ・ヘッド200は本体205を含み、その寸法は、使用者にDUTの良好な可視性を提供するために可能な限り小さいが、依然として、プローブ・ヘッド200の良好な物理的制御を提供するために、例えば使用者の親指と人指し指との間に把持されることによって、使用者が快適に保持するのに十分に大きいものとされる。本体205は、使用者に向上した人間工学的把持箇所を提供するための、隆起部206又は起伏207などの表面特徴部を有し得る。好ましい実施形態では、本体205を、成形プラスチックなどの軽量の非導電性材料から形成することができる。図2においては、プローブ・ヘッド200のいくつかの内部構成要素をより明確に例示するために、本体205の一部が仮想線で描かれている。
【0017】
プローブ・ヘッド200は、ランナ(runner)とも呼ばれる、本体205に対して直線的に移行できるように構成される剛性部材210を含む。例えば、図2において描写された剛性部材210は、本体205に対してx軸に沿って前後に摺動可能である。いくつかの実施形態では、図2において例示されるように、剛性部材210は、本体205内に形成された溝路内で移行し、この溝路は、ランナ210の移動をx軸に沿った線に制約するように形成される。
【0018】
DUT試験箇所と電気的に接触するために、プローブ・ヘッド200は、可撓性(フレキシブル)アーム215を含む。可撓性アーム215は、その遠位端(distal end:末端部)に試験箇所コンタクト220が設置されている。使用者は、DUTにおける対象の試験箇所に試験箇所コンタクト220が触れるように、プローブ・ヘッド200を位置決めすることになる。いくつかの実施形態では、試験箇所コンタクト220は、ポゴ・ピンを具える。ポゴ・ピンは、ばね式の圧縮可能なピンを使用することによりDUT試験箇所との良好な電気機械的接続を提供する、良く知られている型のコンタクトである。ポゴ・ピンは、プローブ使用者に自身がDUT試験箇所と良好に接触しているという触覚フィードバックを提供し、使用者がプローブ・ヘッド200を保持する角度をより自由にすることを可能にし、また2つのDUT試験箇所間の平面度の違いに対処することもできる。さらに、ポゴ・ピンは、何百回という接続サイクルの間持ちこたえ、最終的に故障した場合は容易に交換可能である。通例、ポゴ・ピン試験箇所コンタクト220は、可撓性アーム215上の遠位端上に配設され、可撓性アーム215は、アクセスの困難なDUT試験箇所内へのポゴ・ピン試験箇所コンタクト220のより良好な到達を可能とするために、水平に対して下向きの角度で配向される。
【0019】
ポゴ・ピン試験箇所コンタクト220は可撓性アーム215の遠位端から実質的に片持ち梁式(cantilevered:カンチレバー式)に支持されるので、ポゴ・ピンは高い機械的強度を有することが望ましい。したがって、好ましい実施形態では、ポゴ・ピン試験箇所コンタクト220は、少なくとも部分的に、ジルコニアなどの高性能セラミック材料、及びベリリウム銅(BeCu)などの高強度金属で構成される。これらの材料は、機械的強度を提供するだけでなく、ポゴ・ピン試験箇所コンタクト220の一部として直列抵抗部221を製作するのに好適でもある。知られているように、DUT試験箇所の可能な限り近くに抵抗部を配置することは、探針されているDUT回路の電気的負荷を最小化するのを助ける。
【0020】
可撓性アーム215は、その近位端(Proximal end:基部に近い端部)において剛性部材210に取り付けられる。可撓性アーム215を、例えば、ねじ225などの固定具によって、又は例えばリベット若しくは接着剤などの別の好適な取り付け方法によって、剛性部材210に取り付けることができる。可撓性アーム215の近位端がランナ210に固止されるので、ランナ210がx軸に沿って前方に移動するとき、可撓性アーム215の近位端もx軸に沿って前方に移動し、ランナ210がx軸に沿って後方に移動するとき、可撓性アーム215の近位端もx軸に沿って後方に移動する。
【0021】
しかしながら、可撓性アーム215のこの前後移動は、可撓性(フレキシブル)連接部230によって制約される。可撓性連接部230は、可撓性アーム215の近位端と遠位端との間の中間点231において、可撓性アーム215に接続する。可撓性連接部230はまた、点232において本体205に固定される。この構造により、可撓性連接部230は、可撓性アーム215との、3本の棒体の機械的連接部を形成する:1つの棒体は可撓性連接部230であり、第2の棒体は可撓性アーム215の第1の部分であり、第3の棒体は可撓性アーム215の第2の部分である。可撓性連接部230は、点231と点232との間の距離を実質的に一定に維持するように働く。したがって、ランナ210及び取り付けられた可撓性アーム215の近位端がx軸に沿って前方に移動するとき、点231、232の間の距離を可撓性連接部230によって制約することが、可撓性アーム215を1つ又は複数の位置で歪ませ屈曲させる。可撓性アーム215が屈曲するとき、これは可撓性連接部230に対してねじり力を及ぼし、可撓性連接部230を僅かによじれさせる。逆に、ランナ210がx軸に沿って後方に移動するとき、可撓性アーム215は屈曲が解消されて実質的に真っ直ぐとなる配向へと戻る。
【0022】
いくつかの好ましい実施形態では、可撓性アーム215のこの屈曲が発生する部分をより精確に制御するために、及び屈曲の動きの繰り返し精度を向上させるために、可撓性アーム215の一部分に補剛材216が取り付けられる。補強材(stiffener:スチフナ)216は、可撓性アーム215の一方側に取り付けられてもよく、又はこれが可撓性アーム215の一部分を挟んでもよい。可撓性アーム215の屈曲の動きをさらに制御するために、及び可撓性アーム215のy軸に沿った垂直移動を防止するために、補強材216を、任意選択で、本体205に取り付けられる支持プレート217内で枢動するように設計することができる。補強材216はこのことにより、可撓性アーム215の屈曲が、可撓性アーム215の特定の部分218内で発生するよう制約するように働く。すなわち、補強材216は、可撓性アーム215上に、関節領域218、又はヒンジ領域を規定する。補強材216は、有益なことに、試験箇所コンタクト220に追加の機械的強度を提供する役割も果たし得る。本発明の様々な実施形態では、可撓性アーム215の長さ、可撓性連接部230の長さ及び形状、補強材216の長さ及び位置決め、並びに剛性部材210の移行範囲の組み合わせが全て、可撓性アーム215の動きの最小及び最大範囲を設定するように選択され得る。
【0023】
剛性部材210をその移行の直線的経路に沿って移動させるために、使用者は、リニア・アクチュエータ235を操作する。リニア・アクチュエータ235は、剛性部材210を押すか又は引き寄せるかして、これに応じて剛性部材210を、本体205に対して前方か又は後方に移動させる。いくつかの好ましい実施形態では、リニア・アクチュエータ235は、剛性部材210のねじ穴と係合するねじ山付きロッド236、及びねじ山付きロッド236に接続されるサムホイール237を具える。使用者は、サムホイール237を一方の方向に回して、剛性部材210をx軸に沿って前方に移動させ、このことにより可撓性アーム215を屈曲させ、また、サムホイール237を他方の方向に回して、剛性部材210をx軸に沿って後方に移動させ、このことにより可撓性アーム215の屈曲を解消する。他の実施形態では、リニア・アクチュエータ235は、剛性部材210に取り付けられ使用者の指によって操作される、摺動部又はレバーを具え得る。
【0024】
いくつかの好ましい実施形態では、プローブ・ヘッド200は、第2の対称な可撓性アーム215を含む。第1の可撓性アーム215と同様に、第2の可撓性アーム215は、その遠位端に試験箇所コンタクト220が同じく配設されており、その近位端において剛性部材210に同じく取り付けられる。同様に、可撓性連接部230は、第2の可撓性アーム上のその近位端と遠位端との間にある中間点に、同じく接続される。差動プロービング用途にとって特に有益であるこれらの実施形態では、可撓性アーム215の対は、屈曲することで試験箇所コンタクト220の対の間の間隔を変化させてDUT試験箇所の対と適正に位置合わせされるように、設計される。剛性部材210がx軸に沿って前方に移動するとき、可撓性連接部230は、可撓性アーム215を、顎のような又はペンチのような動きで互いに向かって同時に内向きに歪ませ屈曲させ、この結果、試験箇所コンタクト220間の距離は減少する。逆に、剛性部材210がx軸に沿って後方に移動するとき、可撓性連接部215は、屈曲が解消されるか、又は互いから離れるように屈曲して実質的に真っ直ぐとなる配向へと戻され、この結果、試験箇所コンタクト220間の距離は増大する。
【0025】
可撓性アーム215の対のこのペンチのような動きを、本発明の実施形態によるプローブ・ヘッド200の底面図である図3A及び図3Bを参照することによって、さらに例示することができる。図3Aは、可撓性アーム215が実質的に開いた位置にあり試験箇所コンタクト220がそれらの最大間隔をとっている、プローブ・ヘッド200を描写している。図3Aに示すように、可撓性アーム215が実質的に開いた位置にあるとき、ランナ210はサムホイール237に対してその最も後ろ寄りの位置にあり、可撓性アーム215は実質的に真っ直ぐとなる、すなわち、可撓性アーム215はx軸と実質的に平行である。この位置では、試験箇所コンタクト220は、約0.200インチ離間しているDUT試験箇所と対合するように間隔を空けられる。
【0026】
比較として、図3Bは、可撓性アーム215が実質的に閉じた位置にあり試験箇所コンタクト220がそれらの最小間隔をとっている、プローブ・ヘッド200を描写している。図3Bに示すように、可撓性アーム215が実質的に閉じた位置にあるとき、ランナ210は、サムホイール237から最も遠いその最も前寄りの位置にあり、可撓性アーム215の各々は、他方の可撓性アーム215に向かって屈曲される。この位置では、試験箇所コンタクト220は、約0.010インチ(約0.254ミリメータ)離間しているDUT試験箇所と対合するように間隔を空けられるが、いくつかの実施形態では、この間隔はさらに小さくすることができる。

【0027】
図3A及び図3Bにおいて描写されている実施形態などの、いくつかの実施形態では、可撓性アーム215は、例えば可撓性(フレキシブル)回路基板などの、比較的平坦な薄い材料から製作される。したがって、図3A及び図3Bにおけるように、底面から見ると、可撓性アーム215を形成する可撓性回路基板の薄い縁部のみが見える。上で検討されたように、可撓性連接部230は、剛性部材210の移動に応答して可撓性アーム215の動きを制約するような、可撓性アーム215の各々との、3本の棒体の機械的連接部を形成するように構成される。すなわち、可撓性アーム215の各々及び本体205上の点の間の距離を固定することにより、可撓性連接部230は、剛性部材210の前方への動きに応答して、可撓性アーム215を互いに向けて屈曲させる。
【0028】
いくつかの好ましい実施形態では、製造コストを低減するために、可撓性アーム215及び可撓性連接部230は、単一の可撓性回路として一緒に形成される。図4A及び図4Bは、本発明の実施形態による、1対の可撓性アーム215を含むそのような可撓性回路400の例を例示する。可撓性回路400は、既知の材料及び工程を使用して製造され、1つ又は複数の導電層、1つ又は複数の絶縁層、並びに層間の1つ又は複数のビアを含み得る。図4Aは、可撓性回路400を、これをプローブ・ヘッド200から分解して平たく敷いた場合の外観で描写している。可撓性回路400は、可撓性アーム215の対を形成する2つの部分、並びに可撓性連接部230を形成する1つの部分を含む。図2を参照して上で検討されたように、可撓性回路400の可撓性連接部230の部分は典型的には、点232において本体205に固定され、点231において可撓性回路400の可撓性アーム215の部分に接続する。
【0029】
コストの低減に加え、可撓性回路400の固有の可撓性が、可撓性アーム215の関節化又は屈曲のために必要な機械的特性を提供しつつ、同時に可撓性回路400が、電気信号を搬送するための電気構成要素及び導電性トレースの配置に対処することができるので、可撓性アーム215及び可撓性連接部230を単一の可撓性回路400として形成することは、有利である。例えば、いくつかの実施形態によれば、可撓性回路400は、例えば増幅器415などのプローブ・ヘッドの回路構成を収容する部分410を含む。試験箇所コンタクト220の一方から可撓性回路400の可撓性連接部230の部分を通って増幅器415の入力部に至る電気経路を提供するための導電性トレース420が、可撓性回路400上に配設される。いくつかの実施形態では、増幅器415は、試験箇所コンタクト220間の差動信号を増幅するための、差動増幅器である。可撓性回路400は、図1に関して上で検討されたように、プローブ-機器インタフェース126へと至るケーブル124などの1つ又は複数の導体に、プローブ・ヘッド200を接続するためのインタフェース426を提供する、部分425も含み得る。例えば増幅器415の出力部と接続インタフェース426との間の電気経路を提供するトレース421などの追加のトレースを、可撓性回路400上に配設することができる。可撓性回路400を、DUT試験箇所から接続インタフェース426まで信号を搬送するための良好な電気伝送特性を有するように、製造することができる。
【0030】
図4Bは、本発明の実施形態による、可撓性回路400が本体205内にどのように装着されるかを例示するために本体205の一部を部分的に切り欠いて示した、プローブ・ヘッド200の上面図である。可撓性回路400がプローブ・ヘッド200内に組み付けられるとき、可撓性回路400の可撓性アーム215の一部は、それらの縁部がx軸と実質的に平行になり、それらの頂部表面及び底部表面がx-y平面と実質的に位置合わせされるようにし、そして、可撓性アーム215の近位端を剛性部材210に固止できるように、折り畳まれる。可撓性回路400の部分410、425は、本体205内でx-z平面と実質的に位置合わせされて存在する。増幅器415、並びに可撓性回路400上に配設され得る他の構成要素及びトレースは、本体205によって全体に覆われるが、接続インタフェース426は、1つ又は複数の導体124の容易な接続を可能にするために露出される。例えばアルミニウムのストリップなどのヒート・シンク430を、プローブ・ヘッド200内に組み込むこともでき、これは増幅器415の表面と接触して増幅器415によって生成される熱を放散させるような方法で設置される。
【0031】
上で検討された本発明の特定の実施形態は、例えば試験箇所コンタクト220間の間隔を変化させるために、屈曲及び屈曲の解消によって調節可能である、可撓性アーム215を開示している。しかしながら、より汎用的には、本発明の他の実施形態は、可撓性アームではなく関節式アームを採用する。図5は、そのような関節式アーム構造の例を有するプローブ500の上面図である。プローブ500は、近位端506及び遠位端507を有するプローブ先端本体505を含む。プローブ500は、近位端511及び遠位端512を有する関節式試験箇所アーム510も含む。関節式試験箇所アーム510は、近位端511と遠位端512との間に少なくとも1つの関節点513又は連結部を有し、このことにより第1のリンク510a及び第2のリンク510bを規定する。関節式試験箇所アーム510は、DUT上の試験箇所との電気的接触を行うために、遠位端512にポゴ・ピンなどの試験箇所コンタクト514が配設されてよい。試験箇所コンタクト514からプローブ500の他の部分まで電気経路を提供するために、関節式試験箇所アーム510に沿って又はこれを通して、ケーブル又はワイヤが延ばされていてよい。
【0032】
連接棒体515が、プローブ先端本体505の遠位端507に結合され、関節点513と関節式試験箇所アーム510の遠位端512との間の連結部516において、第2のリンク510bにヒンジ止めもされる。連接棒体515とプローブ先端本体505との間の結合部517は、示されるように固定的なものであってよく、又は可動連結部であってもよい。第1のリンク510a、第2のリンク510b、及び連接棒体515は、3本の棒体の機械的連接機構を形成する。
【0033】
連結部521において、試験箇所アーム位置決め装置520が、関節式試験箇所アーム510の近位端511にヒンジ止めされる。試験箇所アーム位置決め装置520は、プローブ先端本体505に可動式に結合され、軸522に沿ってプローブ先端本体505の遠位端507に向かって及びそこから離れるよう摺動可能となるように構成される。この構造により、試験箇所アーム位置決め装置520を摺動(スライド)させることは、対応する、関節式試験箇所アーム510の遠位端512の位置の変化をもたらす。例えば、図5において点線によって例示されるように、試験箇所アーム位置決め装置520がプローブ先端本体505の遠位端507に向かって位置520’へと前方に摺動されるとき、3本の棒体の連接機構は、関節式試験箇所アーム510を関節点513においてヒンジ式に動作させ、関節式試験箇所アーム510の遠位端512を、新しい位置512’に移動させる。連結部513、516、521は単純なヒンジとして例示されているが、これらは、例えばボール・ジョイントなどの、3次元での移動を可能にする連結部であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、プローブ500は、第2の3本の棒体の連接機構を一緒に形成する、第2の関節式試験箇所アーム530及び第2の連接棒体535、並びに第2の試験箇所アーム位置決め装置540を含む。第2の関節式試験箇所アーム530も、その遠位端にポゴ・ピン534などの試験箇所コンタクトが配設されていてよい。第2の試験箇所アーム位置決め装置540は、第1の試験箇所アーム位置決め装置520が第1の関節式試験箇所アーム510を移動させる様式と同様に、第2の関節式試験箇所アーム530を移動させるように構成される。いくつかの実施形態では、第1の試験箇所アーム位置決め装置520及び第2の試験箇所アーム位置決め装置540は、1つに接続され、この結果、これらは連動して摺動する。2つの試験箇所アーム位置決め装置520、540を、例えばコネクタ棒体545によって、1つに接続することができる。2つの試験箇所アーム位置決め装置520、540の摺動を、例えば調節ねじであってよい、間隔調節装置550によって行うことができる。間隔調節装置550を使用して2つの試験箇所アーム位置決め装置520、540の両方を前方に又は後方に摺動させることによって、使用者は、ポゴ・ピン514、534の間の空間を、DUT試験箇所の組の間の間隔と整合するように調節することができる。
【0035】
DUT上の試験箇所は多くの場合、アクセスが困難で照明の薄暗いDUTの区域内に位置付けられる。したがって、DUT試験箇所の周囲の区域を照明することが、多くの場合望ましい。図6は、プローブ・ヘッド600の底面図であり、このプローブ・ヘッド600は、本発明のいくつかの実施形態によれば、DUT試験箇所の周囲の区域を照明するための光源610を含む。プローブ・ヘッド600は、図4に関して上で検討された、可撓性回路400を利用する。光源610は、可撓性回路400の可撓性連接部230の部分の、部分620の底面上に配設される。この位置では、プローブ・ヘッド600が使用されているとき、光源610により生成される光は、標的のDUT試験箇所を取り囲むDUT上の区域に向けられる。好ましい実施形態では、光源610は、発光ダイオード(LED)を具える。光源610のための電力を、可撓性回路400の接続インタフェース426を通して供給することができる。プローブ・ヘッド600は、光源610のオン及びオフを切り替えるためのスイッチ615も含み得る。
【0036】
図7A及び図7Bは、いくつかの実施形態において、剛性部材210の動きに応答して可撓性アーム215の屈曲と同時に屈曲するように構成される可撓性連接部230の突出部分620上に、光源610が配設され、このことにより、光源610によって放射される光の方向が、試験箇所コンタクト220の配向に自動的に追随しこれと実質的に位置合わせされる様子を例示している。
【0037】
例えば、図7Aは、可撓性アーム215が、ランナ210がその最も後ろ寄りの位置にある場合に対応する、実質的に屈曲していない姿勢であるプローブ・ヘッド600の、正面部分の側面図である。この姿勢では、可撓性連接部230の部分620は、実質的に水平であり(即ち、部分620とx軸との間の角度が小さいか又はほぼゼロ)、したがって、光源610によって放射される光710の方向は、部分620の表面に対して実質的に垂直であり、かつ試験箇所コンタクト220の配向715と実質的に位置合わせされる。図7Bにおいて描写されるように、ランナ210が前方に移動されて可撓性アーム215を実質的に屈曲した姿勢に移動させるとき、試験箇所コンタクト220は、可撓性アーム215の屈曲により、配向715’に変わる。配向715’は、配向715よりも実質的により水平に近い。同時に、可撓性アーム215の移動により可撓性連接部230において作り出されたねじり力は、可撓性連接部230の部分620を上向きに屈曲させ(即ち、部分620とx軸との間の角度が角度θ’へと増大し)、このことは次に、光源610によって放射される光を新しい方向710’へと変化させる。可撓性アーム215が再調節されて実質的に屈曲していない姿勢に向けて戻る場合、部分620は、弛緩して水平な姿勢に向かって戻る傾向を有することになる。このようにして、光源610からの光710、710’の方向は、試験箇所コンタクト220の配向715、715’に自動的に実質上追随する。
【0038】
より汎用的には、本発明の実施形態は、本体と、被試験デバイス(DUT)の試験箇所との電気的接触を行うための少なくとも1つの試験箇所コンタクトと、光源と、を有する電気試験測定プローブを含む。試験箇所コンタクトは、典型的には使用者によって、試験箇所コンタクトと本体との間の角度が調節可能であるような方法で、プローブ本体に可動式に結合される。光源は、同じく本体に可動式に結合されるプローブの表面上に配設される。試験箇所コンタクトと本体との間の角度が使用者によって調節されるとき、表面も自動的に(具体的には、表面と本体との間の角度を同時に変化させることによって)調節されて、光源が試験箇所コンタクトと実質的に同じ方向を指すのを維持するような方法で、表面もまた、試験箇所コンタクトに結合される。図7A及び図7Bにおいて例示され上で検討された実施形態などの、いくつかの実施形態では、試験箇所コンタクトは、可撓性回路の第1の部分(例えば、可撓性回路400の可撓性アーム215の部分など)によって、本体に可動式に結合され、表面は、可撓性回路の第2の部分(例えば、可撓性回路400の可撓性連接部230の部分の部分620など)を具える。
【0039】
本発明の具体的な実施形態が例示を目的として示し記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができる。例えば、本発明を、以下のような様々な概念として記載することができる。
【0040】
本発明の概念1は、
本体と、
本体に対して直線的に移行できるように構成された剛性部材と、
第1の端部に試験箇所コンタクトが配設され、第2の端部において剛性部材に固止(固定)された、可撓性アームと、
本体に固定され可撓性アーム上の第1の端部と第2の端部との間の点に接続された可撓性連接部であって、第1の方向への剛性部材の移行に応答して可撓性アームを屈曲させるように、及び第2の方向への剛性部材の移行に応答して可撓性アームの屈曲を解消するように構成された、可撓性連接部と
を具える、被試験デバイスにおける試験箇所との電気的接触を行うためのプローブである。
【0041】
本発明の概念2は、試験箇所コンタクトがポゴ・ピンを具える、概念1によるプローブである。
【0042】
本発明の概念3は、ポゴ・ピンが抵抗部を具える、概念2によるプローブである。
【0043】
本発明の概念4は、
可撓性アームの屈曲が可撓性アームの特定の部分内で発生するよう制約するための、可撓性アームに取り付けられた補強材をさらに具える、概念1によるプローブである。
【0044】
本発明の概念5は、
剛性部材の直線的な移行を生じさせるための、剛性部材に可動式に接続されたリニア・アクチュエータをさらに具える、概念1によるプローブである。
【0045】
本発明の概念6は、リニア・アクチュエータが、
剛性部材のねじ穴に係合するねじ山付きロッドと、
ねじ山付きロッドに固定されたサムホイールと
を具える、概念5によるプローブである。
【0046】
本発明の概念7は、
第1の端部に第2の試験箇所コンタクトが配設され、第2の端部において剛性部材に固止された、第2の可撓性アームをさらに具え、
可撓性連接部が第2の可撓性アーム上の第1の端部と第2の端部との間の点にも接続され、この可撓性連接部が、第1の試験箇所コンタクト及び第2の試験箇所コンタクトを、第1の方向への剛性部材の移行に応答して互いに向けて同時に移動させるように、並びに第2の方向への剛性部材の移行に応答して互いから離れるように同時に移動させるように構成される、
概念1によるプローブである。
【0047】
本発明の概念8は、可撓性アーム及び可撓性連接部が単一の可撓性回路として形成される、概念1によるプローブである。
【0048】
本発明の概念9は、
可撓性回路上に配設された増幅器と、
可撓性回路上に配設され、試験箇所コンタクトから増幅器の入力部までの電気経路を提供する、導電性トレースと
をさらに具える、概念8によるプローブである。
【0049】
本発明の概念10は、
被試験デバイス上の試験箇所を取り囲む区域を照射するための光源をさらに具える、概念1によるプローブである。
【0050】
本発明の概念11は、光源が発光ダイオードを具える、概念9によるプローブである。
【0051】
本発明の概念12は、
光源のオン及びオフを切り替えるためのスイッチをさらに具える、概念9によるプローブである。
【0052】
本発明の概念13は、可撓性アームの屈曲と同時に屈曲するように構成された可撓性連接部の部分上に光源が配設され、この結果、光源からの光の方向が試験箇所コンタクトの配向に自動的に実質上追随する、概念9によるプローブである。
【0053】
本発明の概念14は、
近位端及び遠位端を有するプローブ先端本体と、
近位端、遠位端、及びこれらの間の関節点を有する関節式試験箇所アームと、
プローブ先端本体の遠位端に結合され、関節点と関節式試験箇所アームの遠位端との間の点において関節式試験箇所アームにヒンジ止めされた、連接棒体と、
関節式試験箇所アームの近位端にヒンジ止めされた試験箇所アーム位置決め装置であって、プローブ先端本体に可動式に結合され、プローブ先端本体の遠位端に向かって及びそこから離れるように摺動可能である、試験箇所アーム位置決め装置と
を具え、
試験箇所アーム位置決め装置を摺動させることが、プローブ先端本体に対する関節式試験箇所アームの遠位端の位置の変化をもたらす、電気試験測定プローブである。
【0054】
本発明の概念15は、
被試験デバイス上の試験箇所との電気的接触を行うための、関節式試験箇所アームの遠位端に配設された試験箇所コンタクトをさらに具える、概念14による電気試験測定プローブである。
【0055】
本発明の概念16は、
近位端、遠位端、及びこれらの間の第2の関節点を有する第2の関節式試験箇所アームと、
プローブ先端本体の遠位端に結合され、第2の関節点と関節式試験箇所アームの遠位端との間の点において第2の関節式試験箇所アームにヒンジ止めされた、第2の連接棒体と、
第2の関節式試験箇所アームの近位端にヒンジ止めされた第2の試験箇所アーム位置決め装置であって、プローブ先端本体に可動式に結合され、プローブ先端本体の遠位端に向かって及びそこから離れるように摺動可能である、第2の試験箇所アーム位置決め装置と
をさらに具え、
第2の試験箇所アーム位置決め装置を摺動させることが、プローブ先端本体に対する第2の関節式試験箇所アームの遠位端の位置の変化をもたらす、概念14による電気試験測定プローブである。
【0056】
本発明の概念17は、2つの試験箇所アーム位置決め装置が1つに接続され、この結果、これらが連動して摺動し、かつ、2つの試験箇所アーム位置決め装置を第1の方向に摺動させることが、2つの関節式試験箇所アームの遠位端の間の空間を増大させ、2つの試験箇所アーム位置決め装置を第2の方向に摺動させることが、2つの関節式試験箇所アームの遠位端の間の空間を減少させる、概念16による電気試験測定プローブである。
【0057】
本発明の概念18は、
各関節式試験箇所アームの遠位端上に配設されたポゴ・ピンと、
2つの試験箇所アーム位置決め装置を摺動させてポゴ・ピン間の間隔を調節するための、2つの試験箇所アーム位置決め装置に結合された間隔調節装置と
をさらに具える、概念17による電気試験測定プローブである。
【0058】
本発明の概念19は、間隔調節装置が調節ねじを具える、概念18による電気試験測定プローブである。
【0059】
本発明の概念20は、
本体と、
被試験デバイスの試験箇所との電気的接触を行うための試験箇所コンタクトであって、本体に可動式に結合され試験箇所コンタクトと本体との間の角度が調節可能であるように構成された、試験箇所コンタクトと、
被試験デバイスの試験箇所を照射するための光源と
を具え、この光源が本体に可動式に結合される表面上に配設され、この表面が試験箇所コンタクトにも結合され、この結果、試験箇所コンタクトと本体との間の角度が調節されるとき、表面と本体との間の角度を同時に自動的に変化させて、光源が試験箇所コンタクトと実質的に同じ方向を指すのを維持する、電気試験測定プローブである。
【0060】
本発明の概念21は、試験箇所コンタクトが可撓性回路の第1の部分によって本体に可動式に結合され、表面が可撓性回路の第2の部分を具える、概念20による電気試験測定プローブである。
【符号の説明】
【0061】
10 DUT
12 IC
100 試験測定システム
110 試験測定機器
112 試験測定機器の入力部
120 試験測定プローブ
122 プローブ・ヘッド
124 導体
126 プローブ-機器インタフェース
128 試験箇所コンタクト
129 調節機構
200 プローブ・ヘッド
205 プローブ・ヘッドの本体
206 隆起部
207 起伏
210 剛性部材(ランナ)
215 可撓性アーム
216 補強材
217 支持プレート
218 ヒンジ領域
220 試験箇所コンタクト
221 直列抵抗部
225 ねじ
230 可撓性連接部
231 中間点
232 点
235 リニア・アクチュエータ
236 ねじ山付きロッド
237 サムホイール
400 可撓性回路
410 可撓性回路の部分
415 増幅器
420 導電性トレース
421 導電性トレース
425 可撓性回路の部分
426 接続インタフェース
430 ヒート・シンク
500 プローブ
505 プローブ先端本体
506 近位端
507 遠位端
510 第1の関節式試験箇所アーム
510a 第1のリンク
510b 第2のリンク
511 近位端
512 遠位端
512’ 別の部分の遠位端
513 関節点(連結部)
514 試験箇所コンタクト(ポゴ・ピン)
515 第1の連接棒体
516 連結部
517 結合部
520 第1の試験箇所アーム位置決め装置
520’ 別の位置にある第1の試験箇所アーム位置決め装置
521 連結部
522 軸
530 第2の関節式試験箇所アーム
534 試験箇所コンタクト(ポゴ・ピン)
535 第2の連接棒体
540 第2の試験箇所アーム位置決め装置
545 コネクタ棒体
550 間隔調節装置
600 プローブ・ヘッド
610 光源
615 スイッチ
620 可撓性連接部の突出部分
710 光
710’ 別の方向に向かう光
715 試験箇所コンタクトの配向
715’ 試験箇所コンタクトの別の配向
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B