(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】拡張装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20221013BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/78 W
H01L21/78 N
(21)【出願番号】P 2017241715
(22)【出願日】2017-12-18
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 晋一
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-017287(JP,A)
【文献】特開2004-345354(JP,A)
【文献】特開2017-059581(JP,A)
【文献】特開2017-073428(JP,A)
【文献】特開2014-143297(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0340263(US,A1)
【文献】特開平03-011749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを拡張する拡張装置であって、
板状物を保持する保持面を有した保持手段と、
ロール状に巻回された帯状シートを該保持手段で保持された板状物に貼着する貼着ローラと、該帯状シートを板状物よりも大きいサイズを有した矩形シートに切り出すカッター手段と、を有した貼着機構と、
該貼着ローラを該保持手段に対して該帯状シートを貼着する貼着方向に相対移動させる移動手段と、
第1方向において該矩形シートに貼着された板状物を挟んで互いに対向して配置され、該貼着機構によって板状物に貼着された該矩形シートの外縁をそれぞれ挟持する第1挟持手段と、第2挟持手段と、該第1方向に直交する第2方向において該矩形シートに貼着された板状物を挟んで互いに対向して配置され、該矩形シートの外縁をそれぞれ挟持する第3挟持手段と、第4挟持手段と、該第1挟持手段と該第2挟持手段とを該第1方向において互いに離反する向きに移動可能とするとともに該第3挟持手段と該第4挟持手段とを該第2方向において互いに離反する向きに移動可能とする挟持手段移動手段と、を有した拡張機構と、
該保持手段で保持され該矩形シートが貼着された板状物を該拡張機構へと受け渡す受渡手段と、を備え
、
該保持手段は、該保持面を含み板状物を保持する板状物保持部と、
該板状物保持部の外周で該貼着方向において該保持面を挟んで貼着開始側と貼着終了側とに配置され、該保持面で保持された板状物の被シート貼着面よりも突出したシート被貼着部と、を更に備え、
該貼着機構は、該保持手段で保持された板状物に対面して配設され、ロール状の該帯状シートを送り出す送り出し部と、
該送り出し部で送り出された該帯状シートの一端を該貼着開始側の該シート被貼着部に貼着するシート貼着手段と、を更に備えた拡張装置。
【請求項2】
シートを拡張する拡張装置であって、
板状物を保持する保持面を有した保持手段と、
ロール状に巻回された帯状シートを該保持手段で保持された板状物に貼着する貼着ローラと、該帯状シートを板状物よりも大きいサイズを有した矩形シートに切り出すカッター手段と、を有した貼着機構と、
該貼着ローラを該保持手段に対して該帯状シートを貼着する貼着方向に相対移動させる移動手段と、
第1方向において該矩形シートに貼着された板状物を挟んで互いに対向して配置され、該貼着機構によって板状物に貼着された該矩形シートの外縁をそれぞれ挟持する第1挟持手段と、第2挟持手段と、該第1方向に直交する第2方向において該矩形シートに貼着された板状物を挟んで互いに対向して配置され、該矩形シートの外縁をそれぞれ挟持する第3挟持手段と、第4挟持手段と、該第1挟持手段と該第2挟持手段とを該第1方向において互いに離反する向きに移動可能とするとともに該第3挟持手段と該第4挟持手段とを該第2方向において互いに離反する向きに移動可能とする挟持手段移動手段と、を有した拡張機構と、
該保持手段で保持され該矩形シートが貼着された板状物を該拡張機構へと受け渡す受渡手段と、を備え、
該受渡手段は、該保持手段で保持され該矩形シートが貼着された板状物を該矩形シートを介して保持する受渡手段保持部と、
該受渡手段保持部の外周で該矩形シートの角部をそれぞれ挟持する角部挟持手段と、を備えた拡張装置。
【請求項3】
前記帯状シートは、基材シートと、該基材シート上に配設された糊層と、を含み、
該糊層上に帯状離型フィルムが配設された状態でロール状に巻回されており、
前記貼着機構は、前記送り出し部で送り出された前記帯状シートから該帯状離型フィルムを剥離するピールプレートと、
剥離された該帯状離型フィルムを巻き取る巻き取り部と、
該ピールプレートと該巻き取り部との間で該帯状離型フィルムを押し下げる錘と、を備えた、請求項
1に記載の拡張装置。
【請求項4】
前記帯状シートは、基材シートと、該基材シート上に配設された糊層と、を含み、
該糊層上に帯状離型フィルムが配設された状態でロール状に巻回されており、
前記貼着機構は、前記保持手段で保持された板状物に対面して配設されロール状の該帯状シートを送り出す送り出し部と、
該送り出し部で送り出された前記帯状シートから該帯状離型フィルムを剥離するピールプレートと、
剥離された該帯状離型フィルムを巻き取る巻き取り部と、
該ピールプレートと該巻き取り部との間で該帯状離型フィルムを押し下げる錘と、を備えた、請求項2に記載の拡張装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを拡張する拡張装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハなどの被加工物は、その表面の格子状の分割予定ラインによって区画された領域にそれぞれデバイスが形成されており、分割予定ラインに沿って分割することによって、デバイスを有する個々のチップに分割される。ウェーハを個々のチップに分割する装置として、例えば、シートの4辺を挟持してエキスパンドする拡張装置が用いられている(例えば、下記の特許文献1を参照)。この拡張装置は、第一方向において被加工物を挟んで互いに対向して配設され、それぞれシートを挟持する第一挟持手段と第二挟持手段と、第一方向に直交する第二方向において被加工物を挟んで互いに対向して配設され、それぞれシートを挟持する第三挟持手段と第四挟持手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の拡張装置は、被加工物が貼着されたシートを拡張するものであり、通常ロール状で提供されているシートを別途作業者が切断し、切断したシートに被加工物を貼着しなければならなかった。また、作業者が保持テーブルにシートを介して被加工物を載置し、挟持機構でシートの四隅を挟持できるように位置決めして載置する必要があり、手間である上、場合によっては一度保持テーブルに載置した被加工物を置き直す等の必要があった。特に分割起点が形成されている被加工物は破損しやすく、シートの貼着時や保持テーブルに載置する際に被加工物を一度置いて持ち上げる等、ハンドリング時に破損するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、従来に比べて作業性を向上させるとともに被加工物が破損するおそれを低減しうる拡張装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シートを拡張する拡張装置であって、板状物を保持する保持面を有した保持手段と、ロール状に巻回された帯状シートを該保持手段で保持された板状物に貼着する貼着ローラと、該帯状シートを板状物よりも大きいサイズを有した矩形シートに切り出すカッター手段と、を有した貼着機構と、該貼着ローラを該保持手段に対して該帯状シートを貼着する貼着方向に相対移動させる移動手段と、第1方向において該矩形シートに貼着された板状物を挟んで互いに対向して配置され、該貼着機構によって板状物に貼着された該矩形シートの外縁をそれぞれ挟持する第1挟持手段と、第2挟持手段と、該第1方向に直交する第2方向において該矩形シートに貼着された板状物を挟んで互いに対向して配置され、該矩形シートの外縁をそれぞれ挟持する第3挟持手段と、第4挟持手段と、該第1挟持手段と該第2挟持手段とを該第1方向において互いに離反する向きに移動可能とするとともに該第3挟持手段と該第4挟持手段とを該第2方向において互いに離反する向きに移動可能とする挟持手段移動手段と、を有した拡張機構と、該保持手段で保持され該矩形シートが貼着された板状物を該拡張機構へと受け渡す受渡手段と、を備え、該保持手段は、該保持面を含み板状物を保持する板状物保持部と、該板状物保持部の外周で該貼着方向において該保持面を挟んで貼着開始側と貼着終了側とに配置され、該保持面で保持された板状物の被シート貼着面よりも突出したシート被貼着部と、を更に備え、該貼着機構は、該保持手段で保持された板状物に対面して配設され、ロール状の該帯状シートを送り出す送り出し部と、該送り出し部で送り出された該帯状シートの一端を該貼着開始側の該シート被貼着部に貼着するシート貼着手段と、を更に備えた。
【0007】
本発明は、シートを拡張する拡張装置であって、板状物を保持する保持面を有した保持手段と、ロール状に巻回された帯状シートを該保持手段で保持された板状物に貼着する貼着ローラと、該帯状シートを板状物よりも大きいサイズを有した矩形シートに切り出すカッター手段と、を有した貼着機構と、該貼着ローラを該保持手段に対して該帯状シートを貼着する貼着方向に相対移動させる移動手段と、第1方向において該矩形シートに貼着された板状物を挟んで互いに対向して配置され、該貼着機構によって板状物に貼着された該矩形シートの外縁をそれぞれ挟持する第1挟持手段と、第2挟持手段と、該第1方向に直交する第2方向において該矩形シートに貼着された板状物を挟んで互いに対向して配置され、該矩形シートの外縁をそれぞれ挟持する第3挟持手段と、第4挟持手段と、該第1挟持手段と該第2挟持手段とを該第1方向において互いに離反する向きに移動可能とするとともに該第3挟持手段と該第4挟持手段とを該第2方向において互いに離反する向きに移動可能とする挟持手段移動手段と、を有した拡張機構と、該保持手段で保持され該矩形シートが貼着された板状物を該拡張機構へと受け渡す受渡手段と、を備え、該受渡手段は、該保持手段で保持され該矩形シートが貼着された板状物を該矩形シートを介して保持する受渡手段保持部と、該受渡手段保持部の外周で該矩形シートの角部をそれぞれ挟持する角部挟持手段と、を備えた。
【0008】
上記帯状シートは、基材シートと、該基材シート上に配設された糊層と、を含み、該糊層上に帯状離型フィルムが配設された状態でロール状に巻回されており、上記貼着機構は、上記送り出し部で送り出された上記帯状シートから該帯状離型フィルムを剥離するピールプレートと、剥離された該帯状離型フィルムを巻き取る巻き取り部と、該ピールプレートと該巻き取り部との間で該帯状離型フィルムを押し下げる錘と、を備えた。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る拡張装置は、ロール状に巻回された帯状シートを保持手段で保持された板状物に貼着する貼着ローラと、帯状シートを板状物よりも大きいサイズを有した矩形シートに切り出すカッター手段とを有した貼着機構と、貼着ローラを保持手段に対して帯状シートを貼着する貼着方向に相対移動させる移動手段と、矩形シートを第1方向および第2方向に拡張する拡張機構と、保持手段で保持され矩形シートが貼着された板状物を拡張機構へと受け渡す受渡手段とを備えたため、ロール状に巻回された帯状シートを保持手段で保持された板状物に貼着した後、カッター手段によって矩形シートに切り出してから、受渡手段により拡張機構へ受け渡し矩形シートを拡張することができる。本発明によれば、ロール状に巻回された帯状シートの状態で拡張装置に供給でき、拡張装置内で帯状シートを板状物に貼着するとともに、板状物よりも大きいサイズの矩形シートに切り出すことが可能となるため、従来に比べて作業性が向上する。
さらに、帯状シートを板状物に貼着する際には、保持手段によって板状物が保持された状態が維持され、矩形シートが板状物に貼着された後拡張機構に受け渡されるまでの間は、受渡手段によって板状物が保持された状態が維持され、板状物が拡張機構に受け渡された後環状のフレームに矩形シートが装着されるまでの間は、常に矩形シートの外縁が第1挟持手段、第2挟持手段、第3挟持手段及び第4挟持手段によって挟持された状態が維持されるため、板状物が破損するおそれを低減しうる。
【0011】
上記保持手段は、上記保持面を含み板状物を保持する板状物保持部と、板状物保持部の外周で上記貼着方向において保持面を挟んで貼着開始側と貼着終了側とに配置され、保持面で保持された板状物の被シート貼着面よりも突出したシート被貼着部と、を更に備え、上記貼着機構は、保持手段で保持された板状物に対面して配設され、ロール状の上記帯状シートを送り出す送り出し部と、送り出し部で送り出された帯状シートの一端を貼着開始側のシート被貼着部に貼着するシート貼着手段と、を更に備えたため、帯状シートに皺を発生させずに、板状物に対して良好に貼着することができる。
【0012】
上記受渡手段は、上記保持手段で保持され上記矩形シートが貼着された板状物を該矩形シートを介して保持する受渡手段保持部と、受渡手段保持部の外周で矩形シートの角部をそれぞれ挟持する角部挟持手段とを備えたため、板状物に貼着された矩形シートの角部を挟持して、上記拡張機構に板状物を破損させず確実に受け渡すことが可能となる。
【0013】
上記帯状シートは、基材シートと、基材シート上に配設された糊層と、を含み、糊層上に帯状離型フィルムが配設された状態でロール状に巻回されており、上記貼着機構は、上記送り出し部で送り出された上記帯状シートから帯状離型フィルムを剥離するピールプレートと、剥離された帯状離型フィルムを巻き取る巻き取り部と、ピールプレートと巻き取り部との間で帯状離型フィルムを押し下げる錘とを備えたため、板状物に基材シートを貼着している間は、帯状シートから剥離された帯状離型フィルムを錘で下方に押し下げておくことにより一定のテンションをかけておくことができ、基材シートに皺が発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】拡張装置の各機構の配置関係を示す説明図である。
【
図3】フレームストッカーの一例の構成を示す斜視図である。
【
図7】カッター手段の構成を示す一部拡大断面図である。
【
図12】貼着機構において貼着開始側のシート被貼着部に基材シートの貼着する状態を示す断面図である。
【
図13】貼着機構において保持手段を水平移動させ貼着ローラで板状物に基材シートを貼着する状態を示す断面図である。
【
図14】貼着機構において貼着終了側のシート被貼着部に貼着された基材シートをカッター手段により切断する状態を示す断面図である。
【
図15】板状物に矩形シートが貼着された状態を示す断面図である。
【
図16】保持手段から受渡手段に矩形シートが貼着された板状物を受け渡す状態を示す斜視図である。
【
図17】受渡手段の保持部に板状物が保持されるとともに角部挟持手段によって矩形シートの四隅が挟持された状態を示す斜視図である。
【
図18】剥離機構において先端針状部材を板状物に接近させた状態を示す断面図である。
【
図19】剥離機構において先端針状部材を板状物に貼着されたテープの周縁側に突き当てた状態を示す断面図である。
【
図20】剥離機構において板状物からテープが剥がされた部分に向けてエアーノズルから高圧エアーを噴射した状態を示す断面図である。
【
図21】剥離機構において折り曲げローラを移動させてテープに接触させた状態を示す断面図である。
【
図22】剥離機構において板状物からテープを完全に剥離させるとともに、保持板の下面にテープを吸引保持させた状態を示す断面図である。
【
図23】拡張機構によって矩形シートの四辺を挟持する状態を説明する平面図である。
【
図24】第1挟持手段及び第2挟持手段によって矩形シートを第一方向に拡張する状態を示す断面図である。
【
図25】第3挟持手段及び第4挟持手段によって矩形シートを第二方向に拡張する状態を示す断面図である。
【
図26】拡張後の板状物にフレームの開口を位置づける状態を示す断面図である。
【
図27】フレーム貼着用ローラによってフレームに矩形シートを貼着する状態を示す断面図である。
【
図28】フレーム貼着用カッターによってフレームに沿って矩形シートを切断する状態を示す断面図である。
【
図29】フレームユニットを搬送する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、板状物に貼着されるシートを挟持して引っ張ることができる拡張装置1の一部の構成を模式的に示している。拡張装置1は、第1方向に延在する第1装置ベース10と、第1装置ベース10の第1方向後部の上方側に複数の支持柱14により支持された第2装置ベース11とを有している。第1装置ベース10には、板状物を保持する保持面21aを有した保持手段20と、帯状シートを保持手段20で保持された板状物に貼着するとともに帯状シートを板状物よりも大きいサイズを有した矩形シートに切り出す貼着機構30と、貼着機構30の貼着ローラを保持手段20に対して帯状シートを貼着する貼着方向(図示の例では第1方向)に相対移動させる移動手段40と、保持手段20で保持され矩形シートが貼着された板状物を受け取り、後述する拡張機構80へと受け渡す受渡手段50と、受渡手段50を第1方向に移動させる受渡移動手段60と、受渡手段50で保持された板状物の一方の面に貼着されたテープを剥離する剥離機構70とを備えている。
【0016】
第2装置ベース11には、第1方向において矩形シートに貼着された板状物を挟んで互いに対向して配置され、貼着機構30によって板状物に貼着された矩形シートの外縁をそれぞれ挟持する第1挟持手段80Aと、第2挟持手段80Bと、第1方向に直交する第2方向において矩形シートに貼着された板状物を挟んで互いに対向して配置され、矩形シートの外縁をそれぞれ挟持する第3挟持手段80Cと、第4挟持手段80Dと、第1挟持手段80Aと第2挟持手段80Bとを第1方向において互いに離反する向きに移動可能とするとともに第3挟持手段80Cと第4挟持手段80Dとを第2方向において互いに離反する向きに移動可能とする挟持手段移動手段とを有した拡張機構80を備えている。
【0017】
図2に示すように、拡張装置1は、板状物を搬入するための搬入口12を有している。搬入口12の隣接した位置には、拡張装置1に加工条件等を入力するとともに、入力内容等が表示される表示手段兼入力手段13を備えている。表示手段兼入力手段13は、例えばタッチパネルにより構成されている。搬入口12に連通した領域が
図1に示した貼着機構30によって矩形シートが板状物に貼着される貼着領域である。貼着領域には保持手段20から受渡手段50へ板状物が受け渡される受渡領域が含まれる。また、受渡領域に隣接した領域は剥離機構70が稼働する剥離領域であり、剥離領域に隣接した領域は拡張機構80が稼働する拡張領域である。
【0018】
拡張装置1は、
図3に示すフレーム5が複数収容されたフレームストッカー17と、フレーム5を所定の搬送先に搬送する第1搬送手段16a及び第2搬送手段16b(
図1を参照)と、拡張機構80によって拡張された板状物を洗浄するための
図4に示す洗浄装置18と、拡張機構80によって拡張された矩形シートに紫外線を照射する紫外線照射装置(不図示)とを備えている。
図2に示すように、フレームストッカー17に隣接した領域は洗浄装置18が稼働する洗浄領域であり、洗浄領域に隣接した領域は紫外線照射装置が稼働する紫外線照射領域である。
【0019】
図1に示す拡張機構80の構成について説明する。第1挟持手段80A及び第2挟持手段80Bは、第2方向に延在する直方体の下側挟持部81aと、一端が下側挟持部81aに連結された断面略L字形のアーム部82aと、下側挟持部81aと平行に延在する上側挟持部81bと、一端が上側挟持部81bに連結された断面略L字形のアーム部82bと、第2装置ベース11の上面に形成された凹部110に沿って移動可能に配設された可動基台87aとをそれぞれ備えている。下側挟持部81aの上面側には、複数のローラ83が第2方向と平行な方向に整列して配設されている。複数のローラ83は、第1方向と平行な回転軸を中心として回転可能であり、下側挟持部81aの上面から外周面の半分程度が突出して装着されている。また、第1挟持手段80A及び第2挟持手段80Bの上側挟持部81bの下面側には、複数のローラ(図示せず)が第2方向と平行な方向に整列して配設されている。上側挟持部81bの下面側に配設された複数のローラは、第1方向と平行な回転軸を中心として回転可能であり、上側挟持部81bの下面から外周面の半分程度が突出して装着されている。
【0020】
第3挟持手段80C及び第4挟持手段80Dは、第1方向に延在する直方体の下側挟持部84aと、一端が下側挟持部84aに連結されたアーム部85aと、下側挟持部84aと平行に延在する上側挟持部84bと、一端が上側挟持部84bに連結されたアーム部85bと、第2装置ベース11の上面に形成された凹部111に沿って移動可能に配設された可動基台87bとをそれぞれ備えている。下側挟持部84aの上面側には、複数のローラ86が第1方向と平行な方向に整列して配設されている。複数のローラ86は、第2方向と平行な回転軸を中心として回転可能であり、下側挟持部84aの上面から外周面の半分程度が突出して装着されている。また、第3挟持手段80C及び第4挟持手段80Dの上側挟持部84bの下面側には、複数のローラ(図示せず)が第1方向と平行な方向に整列して配設されている。上側挟持部84bの下面側に配設された複数のローラは、第2方向と平行な回転軸を中心として回転可能であり、上側挟持部84bの下面から外周面の半分程度が突出して装着されている。
【0021】
挟持手段移動手段は、第1挟持手段80A及び第2挟持手段80Bにそれぞれ接続された第1方向移動手段88aと第3挟持手段80C及び第4挟持手段80Dにそれぞれ接続された第2方向移動手段88bとを備えている。第1方向移動手段88aは、第1方向に延在するボールネジ880と、それぞれのボールネジ880の一端を回転可能に支持する軸受部881と、それぞれのボールネジ880の他端に接続されたモータ882とを備え、第2装置ベース11にそれぞれ配設されている。第1方向移動手段88aは、第1挟持手段80Aと第2挟持手段80Bとを第1方向において互いに離反する向きに移動させることができる。第2方向移動手段88bは、第2方向に延在するボールネジ883と、それぞれのボールネジ883の一端を回転可能に支持する軸受部884と、それぞれのボールネジ883の他端に接続されたモータ885とを備え、第2装置ベース11にそれぞれ配設されている。第2方向移動手段88bは、第3挟持手段80Cと第4挟持手段80Dとを第2方向において互いに離反する向きに移動させることができる。
【0022】
第1搬送手段16a及び第2搬送手段16bは、略H形状の搬送プレート160と、搬送プレート160の下端隅部に配設されフレームの一方の面を吸引保持する複数(図示の例では4つ)のフレーム保持部161とを少なくとも備えている。本実施形態に示す第1搬送手段16aは、
図2に示すように、拡張領域とフレームストッカー17との間を移動領域としている。また、第2搬送手段16bは、フレームストッカー17から紫外線照射領域までを移動領域としている。
【0023】
図3に示すように、フレームストッカー17は、中央に開口6を有するリング状のフレーム5を積み重ねてストックするフレームストッカーの一例である。フレームストッカー17には、フレーム5の内周面に接触する円柱部材170がほぼ均等間隔に複数配設されている。円柱部材170の本数は、図示の例では4本となっているが、この本数に限定されない。なお、フレーム5の材質は、例えば、ステンレスなどの金属によって構成されている。
【0024】
図4に示すように、洗浄装置18は、筒状のカバー部材180を有し、カバー部材180の内側に、板状物を保持する保持面181aを有するスピンナーテーブル181と、スピンナーテーブル181を回転させる回転軸182と、スピンナーテーブル181の外周側に
図3に示したフレーム5を固定する複数(図示の例では4つ)のクランプ機構183と、板状物に洗浄水を供給する洗浄水ノズル184と、洗浄後の板状物を乾燥させるエアーノズル185と、スピンナーテーブル181を鉛直方向に昇降させるためのエアシリンダとピストンとからなる昇降機構186とを備えている。
【0025】
図5(a)に示すように、保持手段20は、保持面21aを含み板状物を保持する板状物保持部21と、板状物保持部21の下部に固定された固定台22と、板状物保持部21及び固定台22を下方から支持するベース23と、ベース23に軸通され板状物保持部21の保持面21aを反転させる回転軸24と、回転軸24の端部が回転可能に支持された門型の支持部25とを備えている。
図5(b)に示すように、支持部25には、例えばエアシリンダとピストンとにより構成された昇降機構27が接続されており、保持手段20の全体を鉛直方向に昇降させることができる。
【0026】
保持手段20は、板状物保持部21の下方側に矩形板状のシート貼着プレート26を備えている。シート貼着プレート26の中央には、上下面(上面26a及び下面26b)を貫通した円形の開口260を有している。開口260の径は、板状物保持部21よりも大径となっている。支持部25において回転軸24が回転し、板状物保持部21の保持面21aを反転させると、保持面21aと開口260とを対向させることができる。この状態において、昇降機構27によって板状物保持部21を下降させることにより、板状物保持部21を開口260に進入させることができる。
【0027】
図5(c)に示すように、シート貼着プレート26の下面26bには、板状物保持部21の外周で貼着方向(図示の例では第1方向)において保持面21aを挟んで貼着開始側と貼着終了側とに配置され、保持面21aで保持された板状物の被シート貼着面よりも突出したシート被貼着部28と、板状物保持部21の保持面21aを挟んでシート被貼着部28と直交する第1方向に延在するローラ用ガイド29とを更に備えている。本実施形態に示すシート被貼着部28は、例えばバー状の部材からなる。シート被貼着部28は、第2方向と平行に向いており、開口260を挟んだ第1方向の外縁側にそれぞれ対向して配設されている。2つのシート被貼着部28にかけわたすように帯状シートを貼着するとともに、開口260から露出した保持面21aに保持された板状物に帯状シートを貼着することで、帯状シートに皺が発生するのを防止することができる。ローラ用ガイド29は、例えば断面略L字形状に形成されている。ローラ用ガイド29は、第1方向と平行に向いており、開口260を挟んだ第2方向の外縁側にそれぞれ対向して配設されている。
【0028】
図1に示す移動手段40は、第1方向に延在する支持板400に配設されたボールネジ41と、ボールネジ41の一端に接続されたモータ42と、ボールネジ41と平行に延在する一対のガイドレール43と、第1方向に水平に移動可能な移動基台44とを備えている。移動基台44の一方の面には、シート貼着プレート26が連結されている。移動基台44の他方の面には、一対のガイドレール43が摺接し、移動基台44の中央に形成されたナットにはボールネジ41が螺合している。モータ42によって駆動されてボールネジ41が回動することにより、移動基台44とともに保持手段20をガイドレール43に沿って第1方向に移動させることができる。移動手段40により、保持手段20が
図2に示した貼着領域内を移動することができる。
【0029】
貼着機構30は、
図1の点線で示すユニット本体300を有している。ユニット本体300は、保持手段20の下方側に位置しており、保持手段20で保持された板状物に対面して配設されている。貼着機構30の各機構は、ユニット本体300内に収容されている。図示の例では、第1装置ベース10の第1方向前部に配設された第2方向に延在する一対のガイド15に沿ってユニット本体300をスライド移動させることができる。これにより、貼着機構30のメンテナンスや各機構の交換作業時、ロール状の帯状シートの供給時等に拡張装置1の外側へユニット本体300を引き出したり、作業完了後にユニット本体300を拡張装置1の貼着領域に設置したりすることができる。
【0030】
図6に示すように、貼着機構30は、リール33と、リール33にロール状に巻回された帯状シート2(シートロール2A)を
図5で示した保持手段20で保持された板状物に貼着する貼着ローラ31と、帯状シート2を板状物よりも大きいサイズを有した矩形シートに切り出す
図7に示すカッター手段32と、リール33の上側に配置され帯状シート2を送り出す送り出し部となる送り出しローラ34aと、送り出しローラ34aと対向して配置された挟み込みローラ34bと、貼着ローラ31と対向して配置された撓み防止ローラ35と、送り出しローラ34aにより送り出された帯状シート2の一端を貼着開始側のシート被貼着部28に貼着するシート貼着手段36とを備えている。
【0031】
本実施形態に示す帯状シート2は、基材シートと、基材シート上に配設された糊層と、から少なくともなるシート本体3と、シート本体3の糊層上に配設された帯状離型フィルム4と、含み、リール33にロール状に巻回されている。基材シートは、例えば、ポリオレフィンやポリ塩化ビニル等である。貼着ローラ31は、図示していないが、板状物(例えば円形板状のウェーハ)の直径以上の長さで水平方向に延在する筒状のローラから構成される。貼着ローラ31の位置は固定されており、上記した保持手段20のシート貼着プレート26が第1方向に移動することにより、一対のローラ用ガイド29に貼着ローラ31の両端が嵌った状態で、ローラ用ガイド29に沿って貼着ローラ31がガイドされシート本体3を下方から板状物に対して押し付けることができる。なお、貼着ローラ31は、特に材質等が限定されず、例えばシリコンゴムにより形成されている。
【0032】
送り出しローラ34aは、例えばサーボモータにより回転駆動される構成となっており、トルク制御によってシートロール2Aからの帯状シート2の送り出し量を制御することができる。挟み込みローラ34bは、シートロール2Aから引き出された帯状シート2を送り出しローラ34aに対して押し付けて挟むことにより、板状物に貼着されるシート本体3に弛みが発生するのを防止することができる。
【0033】
撓み防止ローラ35は、貼着ローラ31の直径よりも大きい直径を有し、貼着ローラ31に隣接して配設されている。撓み防止ローラ35は、撓み防止ローラ35の周面が貼着ローラ31の周面と当接した状態で貼着ローラ31を転動可能に押圧することができる。これにより、貼着ローラ31が板状物に対してシート本体3を押し付けたときにシート本体3が撓むことを防止できる。なお、撓み防止ローラ35は、必ずしもなくてもよい。
【0034】
シート貼着手段36は、クッション360と上下方向に移動する移動部361とを備えている。クッション360の材質は特に限定されないが、貼着ローラ31と同様に、例えばシリコンゴムなどの弾性部材によって形成されている。シート貼着手段36は、移動部361が上昇することにより、クッション360でシート本体3を下方から押し上げて
図5(c)で示したシート被貼着部28にシート本体3を貼着することができる。
【0035】
また、貼着機構30は、テープテンションを一定にするために、送り出しローラ34aで送り出された帯状シート2から帯状離型フィルム4を剥離するピールプレート37と、剥離された帯状離型フィルム4を巻き取る巻き取り部となる巻き取りローラ38と、ピールプレート37と巻き取りローラ38との間に配設されたガイドローラ34cと、可動ローラ34dと、可動ローラ34dと対向して配設された押さえローラ34eと、ピールプレート37と巻き取りローラ38との間で帯状離型フィルム4を押し下げる錘39とを備えている。
【0036】
ピールプレート37は、先形状が尖っており、帯状シート2を押圧して鋭角に形成することで帯状シート2から帯状離型フィルム4を剥離することができる。剥離された帯状離型フィルム4は、ガイドローラ34cと、可動ローラ34dと押さえローラ34eとの間を通って巻き取りローラ38に巻き取られて離型フィルムロール4Aとして形成される。ピールプレート37により帯状シート2から帯状離型フィルム4が剥がされ、シート本体3を板状物に貼着している間は、可動ローラ34dと押さえローラ34eとで帯状離型フィルム4を押さえ込むことにより帯状離型フィルム4を引っ張って、板状物に貼着されるシート本体3がよれるのを防ぐことができる。巻き取りローラ38は、例えばサーボモータにより回転駆動される構成となっている。
【0037】
本実施形態に示す錘39は、ピールプレート37によって帯状シート2から剥離された帯状離型フィルム4を下方に押し下げるためのローラであり、ガイドローラ34cと押さえローラ34eとの間に配設されている。巻き取りローラ38に巻き取られる離型フィルムロール4Aが大径化すると、トルクが変わるが、トルクが変化しても、シート本体3を板状物に貼着すると同時に帯状離型フィルム4を巻き取りローラ38で巻き取っている間は、錘39で帯状離型フィルム4を下方に押し下げておくことにより、帯状離型フィルム4に対して一定のテンションをかけておくことができる。また、錘39で帯状離型フィルム4を下方に押し下げている間は、巻き取りローラ38が錘39側に引っ張られないようにするために、可動ローラ34dと押さえローラ34eとで帯状離型フィルム4を押さえておく。なお、錘39の重量や材質等は特に限られない。
【0038】
図7に示すように、カッター手段32は、貼着終了側のシート貼着プレート26の側部に配設されている。カッター手段32は、カッター収容部320と、カッター収容部320の内部に収容されたカッター刃321(点線で図示)とを備えている。カッター収容部320の下部には、カッター刃321が進退可能な開口が形成されている。カッター収容部320は、
図5(b)に示すように、シート貼着プレート26の側部に配設されたガイドレール323に沿って第2方向に移動可能となっている。このように構成されるカッター手段32では、貼着終了側のシート被貼着部28に貼着されカッター手段32の下方側に位置するシート本体3を切り出すことにより、帯状のシート本体3を矩形シートに形成することができる。本実施形態では、ガイドレール323の一端にカッター用ヒータ322が固定されている。実際にカッター刃321でシート本体3を切断するまでの間は、カッター用ヒータ322にカッター収容部320を接触させておき、カッター刃321を加熱しておくとよい。
【0039】
図8に示すように、受渡手段50は、上記の保持手段20で保持され矩形シートが貼着された板状物を矩形シートを介して保持する受渡手段保持部51と、受渡手段保持部51の外周で矩形シートの角部をそれぞれ挟持する角部挟持手段52とを備えている。受渡手段保持部51は、昇降機構53を介して円板54に配設されている。昇降機構53は、エアシリンダ530とピストン531とからなり、受渡手段保持部51を昇降させることができる。
【0040】
受渡手段保持部51の近傍の位置にフレーム貼着用ローラ57a,57bと、フレーム貼着用カッター58が配設されている。フレーム貼着用ローラ57a,57bは、
図3に示したフレーム5に対して矩形シート7を押し付ける押圧ローラであり、軸部570を中心として回転可能となっている。フレーム貼着用ローラ57a,57bには、例えばヒータが内蔵されている。フレーム貼着用ローラ57a,57bの間には、フレーム貼着用カッター58が配設されている。フレーム貼着用カッター58は、軸部580を中心として回転可能となっている。フレーム貼着用ローラ57a,57b及びフレーム貼着用カッター58は、回転軸55によって回転可能な円板54の上に立設部59を介して配設されている。フレーム貼着用ローラ57a,57b及びフレーム貼着用カッター58は、立設部59の上端において、例えばエアシリンダとピストンとにより構成される昇降機構によって昇降可能となっている。円板54が回転することにより、フレーム貼着用ローラ57a,57b及びフレーム貼着用カッター58を例えばフレーム5に沿って円形に周回させることができる。なお、フレーム貼着用ローラ57a,57b及びフレーム貼着用カッター58の数は、本実施形態に示す構成に限定されない。
【0041】
受渡手段保持部51は、
図9に示すように、枠体500の内側に嵌合された円板状のポーラス部材であり、その上面が板状物を保持する保持面51aとなっている。枠体500は、ベース501により支持されている。受渡手段保持部51には、図示しない吸引源が接続されており、板状物を保持面51aで吸引保持することができる。枠体500とベース501との間には傾き調整機構56が配設されている。傾き調整機構56は、シリンダ560と、バネ561とにより構成されている。バネ561は、例えば圧縮バネにより構成されている。バネ561の伸縮動作によってベース501に対して枠体500が揺動可能となり、例えば保持面51aに板状物を受け渡す際の衝撃を吸収することができる。
【0042】
角部挟持手段52は、受渡手段保持部51の周囲において等間隔を設けて例えば4つ配設されている。本実施形態に示す角部挟持手段52は、
図10(a)に示すように、矩形シート7の角部が載置される載置面520aを有するシート角部載置部520と、シート角部載置部520にされた矩形シートの角部をクランプするクランプ部521と、クランプ部521を開閉させる開閉機構とを備えている。開閉機構は、ピストンロッド522a,522bと、ピストンロッド522aの一端に連結されたバネ523と、ピストンロッド522bの一端に接続されたシリンダ524と、ピストンロッド522a,522bの他端において支点となる軸部525a,525bとを備えている。クランプ部521の上部側は、バネ523によって載置面520aに接近する方向に付勢されている。クランプ部521を開く場合は、
図10(b)に示すように、ピストンロッド522bがシリンダ534において内側に移動することで、軸部525a,525bを支点にしてクランプ部521を回転させて載置面520aから離反する方向にクランプ部521を開くことができる。
【0043】
受渡手段50は、
図1に示した受渡移動手段60によって
図2に示した受渡領域と剥離領域と拡張領域との間を移動可能となっている。受渡移動手段60は、第1方向に延在するボールネジ61と、ボールネジ61の一端に接続された図示しないモータと、ボールネジ61と平行に延在して第1装置ベース10に敷設された一対のガイドレール62と、一方の面で受渡手段50を支持する移動基台63とを備えている。移動基台63の他方の面には、一対のガイドレール62が摺接し、移動基台63の中央に形成されたナットにはボールネジ61が螺合している。モータによって駆動されてボールネジ61が回動することにより、移動基台63とともに受渡手段50をガイドレール62に沿って第1方向に移動させることができる。
【0044】
第2装置ベース11の上面で、かつ、受渡手段50の上方側に剥離機構70が配設されている。剥離機構70は、板状物の表面に貼着されたテープ(例えば表面保護テープ)を剥離するためのテープ剥離ユニットである。剥離機構70は、テープを挟持する
図11(a)に示すテープ保持手段70Aと、板状物から剥離されるテープを折り曲げる
図11(b)に示す折り曲げローラ移動手段70Bと、板状物から剥離されるテープの剥離起点を生成する
図11(c)に示す剥離起点部生成手段70Cとにより構成されている。
【0045】
図11(a)に示すように、テープ保持手段70Aは、第1エアシリンダ71aと、第1エアシリンダ71aによって駆動され鉛直方向に延在する軸710aにより支持される保持ベース72と、保持ベース72の上面に立設された第2エアシリンダ71bと、第2エアシリンダ71bから保持ベース72の下面側に貫通し、第2エアシリンダ71bによって駆動されて進退自在な軸(図示せず)に支持される保持板73と、保持ベース72上に配設され、端部に挟持片711を備え水平方向に進退自在な軸710cを水平方向に進退させる第3エアシリンダ71cと、保持ベース72の下面側で、挟持片711と対向する位置に配置される挟持片712とにより構成されている。
【0046】
保持板73は内部が中空に構成され、下面には図示しない微孔が全面に多数設けられており、第2エアシリンダ71bと保持板73とを連結する軸の内部を介して保持板73内部を吸引可能に構成され、微孔を介して保持板73の下面に負圧を生じさせることが可能となっている。
【0047】
保持ベース72は、第1エアシリンダ71aにより進退可能に駆動される軸710aとともに上下動可能に構成され、さらに、図中の矢印に示すように、軸710aを中心にして水平方向に回転可能になっている。
【0048】
図11(b)に示すように、折り曲げローラ移動手段70Bは、門型形状をなす支持フレーム74により構成され、支持フレーム74は、間隔を置いて並設された柱部740,740aと、柱部740、740aの下端に連結される支持部741と、支持部741の案内孔742に沿って支持部741内に内蔵された図示しない駆動機構により移動する折り曲げローラ75とを備えている。折り曲げローラ75は、長手方向の軸中心を中心として回転可能であり、その長さは、少なくとも板状物に貼着されるテープの直径よりも長くなっている。
【0049】
図11(c)に示すように、剥離起点部生成手段70Cは、第4エアシリンダ71dと、第4エアシリンダ71dから伸びて進退自在で高さ方向における位置を微調整可能な軸710dと、アーム部材76と、アーム部材76の先端に設けられた先端部材77と、先端部材77に取り付けられた先端針状部材78と、エアーノズル79とから構成されている。先端部材77は、上下に移動可能に構成され、その高さ位置が調整されることにより板状物に貼着された表面保護テープの高さに先端針状部材78の先端部が位置づけ可能に構成されている。また、エアーノズル79は、第4エアシリンダ71d、軸710dを介して高圧エアーが供給され、必要に応じて高圧エアーを噴出可能に構成されている。図示の例では、先端針状部材78とエアーノズル79とを別々に設けたが、エアーノズル79が先端針状部材78に内蔵されており、先端針状部材78の先端から高圧エアーを噴出する構成でもよい。
【0050】
次に、拡張装置1の動作例について説明する。
図12に示す板状物Wは、円形板状の被加工物の一例である。板状物Wの表面Waには、デバイスを保護するためのテープTが貼着されている。表面Waと反対側の裏面Wbは、シート本体3(矩形シート)が貼着される被シート貼着面である。本実施形態に示す板状物Wは、レーザー光線の照射により分割予定ラインに沿った改質層が板状物Wの内部に形成され、例えば研削装置において薄化され改質層を起点に個々のチップに分割されているものとする。板状物Wは、その内部に分割予定ラインに沿った改質層が形成されているが、個々のチップに分割されていない状態でもよい。また、板状物Wは、切削ブレード等によって分割予定ラインに沿って切削溝が形成された後研削によって個々のチップに分割されたものでもよい。更に、板状物Wは、分割済みであってダイアタッチフィルム(DAF)が貼着されており、このダイアタッチフィルムを拡張装置1で分断するようにしてもよい。
【0051】
保持手段20の保持面21aで板状物Wの表面Wa側を保持したら、
図1に示した移動手段40によって保持手段20を貼着機構30の上方側に移動させる。
図5(b)に示した回転軸24が回転し板状物保持部21の保持面21aを反転させ板状物Wの裏面Wbを下向きに露出させ、シート貼着プレート26の開口260に対して保持面21aで保持した板状物Wを対向させたのち、昇降機構27によって板状物保持部21を下降させて、板状物保持部21を開口260から進入させ、シート被貼着部28の内側に板状物Wを位置づける。また、板状物保持部21を反転させてから、板状物Wの裏面Wbがシート被貼着部28のシート本体3が貼着される面よりも僅かに上方となるように位置づけてもよい。なお、保持手段20は、板状物保持部21を反転させずに所望の位置(貼着機構30の上方側の位置)に移動してから、板状物保持部21を反転させるようにしてもよい。
【0052】
貼着機構30は、送り出しローラ34aが回転することにより、シートロール2Aから帯状シート2を貼着ローラ31へ向けて送り出す。帯状シート2が送り出しローラ34aと挟み込みローラ34bとの間を通過すると、ピールプレート37によってシート本体3と帯状離型フィルム4とに分離され、シート本体3は貼着ローラ31を通ってシート貼着手段36側に送られる。移動部361が上昇してクッション360でシート本体3を押し上げて貼着開始側のシート被貼着部28に貼着する。このとき、挟み込みローラ34bがシートロール2Aから引き出された帯状シート2を送り出しローラ34aに対して接近して挟み込んで、シート本体3が弛むのを防止する。剥離された帯状離型フィルム4は、ガイドローラ34c、可動ローラ34dと押さえローラ34eとの間を通って巻き取りローラ38に巻き取られていく。
【0053】
図13に示すように、保持手段20が第1方向で剥離領域に近接する向きに移動することにより、板状物Wの裏面Wbをシート本体3の上面に接触させ、
図5(c)に示したローラ用ガイド29に沿って貼着ローラ8を回転させながらシート本体3の下面を上方に押圧しながら板状物Wの裏面Wbにシート本体3を貼着していく。このとき、撓み防止ローラ35が貼着ローラ31に対して押し付けるように回転するため、シート本体3の撓みを防止することができる。
【0054】
シート本体3を板状物Wの裏面Wbに貼着している間は、送り出しローラ34aがトルク制御することにより、シートロール2Aから一定量の帯状シート2を送り出しつつ、
図1に示した移動手段40のモータ42にかかるテンション(負荷)が一定になるように板状物保持部21を移動させることにより、シート本体3の板状物Wへの貼着動作をコントロールすることが好ましい。これにより、板状物Wの裏面Wbに貼着されるシート本体3に皺やひきつりなどが発生するのを防ぐことができる。また、可動ローラ34dが押さえローラ34eに接近して、帯状離型フィルム4を可動ローラ34dと押さえローラ34eとにより挟持していることから、帯状離型フィルム4が引っ張られてシート本体3が弛むことがない。さらに、シート本体3を板状物Wの裏面Wbに貼着している間は、常に錘39が下方に下がって帯状離型フィルム4を下方に押し下げた状態が維持される。これにより、帯状離型フィルム4に一定のテンションをかけておくことができ、シート本体3に皺が発生せず、板状物Wの裏面Wbにシート本体3を良好に貼着することが可能となる。
【0055】
図14に示すように、シート本体3が板状物Wの裏面Wbの全面に貼着され、かつ、貼着終了側のシート被貼着部28に貼着されたら、カッター手段32によってシート本体3が切り出される。具体的には、カッター収容部320からカッター刃321を突出させて、シート本体3を切断する高さ位置に位置づける。続いて、
図5(b)に示したガイドレール323に沿ってカッター刃321を第2方向に移動させることにより、シート本体3を、
図15に示す矩形シート7へと切断する。板状物Wの裏面Wb及びシート被貼着部28に矩形シート7が貼着されたら、矩形シート7の貼着動作が完了する。シート本体3を切断する際には、カッター用ヒータ322によってカッター刃321が加熱された状態となっているため、シート本体3の糊層がカッター刃321に付着しにくく、連続してシート本体3を円滑に切り出すことができる。帯状離型フィルム4は、巻き取りローラ38によって巻き取られていき、離型フィルムロール4Aとして形成される。なお、シートロール2Aが小径化してリール33に巻回された帯状シート2が無くなったら、
図1に示したユニット本体300を装置外へ引き出して、シートロール2Aを交換することが好ましい。また、離径フィルムロール4Aが大径化したら、任意のタイミングで離径フィルムロール4Aを取り外して除去するとよい。
【0056】
図16に示すように、保持手段20は、受渡手段50の上方側に移動したら、昇降機構27によって、板状物保持部21を受渡手段50に接近する方向に下降させ、
図9に示した受渡手段保持部51の保持面51aに矩形シート7を介して板状物Wを載置するとともに、矩形シート7の角部をシート角部載置部520の載置面520aに載置する。このとき、傾き吸収機構56によって、板状物Wの受け渡し時の衝撃が吸収されるため、板状物Wが破損するおそれを低減することができる。続いて、クランプ部521によって矩形シート7の角部を挟持する。板状物保持部21が板状物Wの吸引を解除するとともに、受渡手段保持部51により板状物Wを吸引保持する。このようにして、保持手段20から受渡手段50への板状物Wの受け渡しを行うことにより、
図17に示すように、矩形シート7の四隅が4つの角部挟持手段52によって挟持され、かつ、テープTが上向きに露出した状態で板状物Wが受渡手段50によって保持された状態となる。
【0057】
次に、受渡手段50により板状物Wを保持した状態を維持したまま、
図1に示した剥離機構70を用いて板状物Wの表面WaからテープTを剥離する。まず、
図18に示すように、受渡手段50の上方にテープ保持手段70A及び剥離起点部生成手段70Cを移動させる。この際、板状物Wに貼着されたテープTの外周端部のわずかに外周部分を剥離起点部生成手段70Cにおける先端針状部材78の先端の直下に位置づける。その後、
図11(c)に示した第4エアシリンダ71dを作動させて、先端針状部材78の先端をテープTの外周端部に近接する位置まで降下させる。
【0058】
先端針状部材78の先端がテープTの外周部分に近接するように、テープTの表面高さに合わせて先端針状部材78の先端の高さを微調整し、先端が近接した状態でテープ保持手段70A及び剥離起点部生成手段70Cをわずかに図中左方に移動させることにより、
図19に示すように、先端針状部材78の先端をテープTの外周部分に突き当てる。このとき、4つの角部挟持手段52が矩形シート7の四隅を挟持した状態となっているが、先端針状部材78は、
図17に示した矩形シート7の四隅以外の部分からテープTの外周部分に突き当てることから、先端針状部材78の移動の妨げとはならない。なお、図示したように、テープTの周方向外側から先端針状部材78の先端を突き当てるようにしてもよいが、テープTの外周部分の上方から先端針状部材78の先端を突き当てるようにすることも可能である。
【0059】
先端針状部材78の先端がテープTの外周部分に突き当たった後、第4エアシリンダ71dを作動させて、先端針状部材78をわずかに上昇させることで、テープTの外周部分の一部が良好に剥離される。
【0060】
テープTの一部が剥離された後、
図20に示すように、先端部材77を上昇させるとともに、エアーノズル79から高圧エアーを噴射することにより、先端針状部材78の先端からテープTの外周部分が離反し、テープTの外周部分において先に剥離した一部を含む剥離領域が拡大し、テープ保持手段70Aにより挟持するのに適する剥離起点部TSが生成される。なお、剥離起点部生成工程における保持ベース72の高さは、剥離起点部TSがエアーノズル79からの高圧エアーにより剥離されたときに、剥離起点部TSが保持ベース72に設けられた挟持片711、712間に収まるように調整される。また、エアーノズル79により高圧エアーを噴射して剥離領域を拡大する際に、上記した先端針状部材78をさらに突き当ててもよい。このようにして剥離起点部TSが好適に生成される。
【0061】
テープTの外周部分がエアーノズル79から噴射された高圧エアーにより持ち上げられたら、
図21に示すように、第3エアシリンダ70cの作動により挟持片712を挟持片711側に移動させて、剥離したテープTの外周部分を挟持片711と挟持片712とにより挟持する。そして、第1エアシリンダ71aを作動させることにより、挟持片711,712の下方に折り曲げローラ75を進入させることが可能な程度にテープ保持手段70A全体を上方に移動させる。
【0062】
テープ保持手段70Aを上方に移動させ、折り曲げローラ75をテープ保持手段70A側に移動させる。なお、折り曲げローラ75は、テープTの板状物Wに対する粘着面側に当接しながら剥離を進行させるため、長手方向の軸中心に回転可能で、且つ接触するテープTの粘着面が付着しないようにその表面にはフッ素樹脂がコーティングされている。本実施形態では、板状物Wは研削されて極めて薄い板状に形成されるものであり、折り曲げ角度が小さいとテープTの剥離時に板状物Wの割れ、破損等を引き起こすおそれがあり、できるだけ180度、もしくは、それに近い角度で折り曲げられることが好ましい。
【0063】
図22に示すように、折り曲げローラ75が保持板73下面の図中左方側他端部まで移動すると、板状物Wの表面WaからテープTが完全に剥離される。板状物Wの表面Waから剥離されたテープTは、保持板73により吸引保持される。そして、第3エアシリンダ71cの作動により挟持片712を挟持片711から離反させテープTの外周部分を解放し、例えば廃棄容器に廃棄される。
【0064】
次に、
図1に示した受渡手段移動手段60によって、受渡手段50を拡張機構80の真下に移動させ、拡張機構80へと矩形シート7が貼着された板状物Wを受け渡す。具体的には、
図23に示すように、2つの第1方向移動手段88aを作動させ、第1挟持手段80Aと第2挟持手段80Bとが互いに接近するように可動基台87aを第1方向に水平移動させる。また、2つの第2方向移動手段88bを作動させ、第3挟持手段80Cと第4挟持手段80Dとが互いに接近するように可動基台87bを第2方向に水平移動させる。このとき、角部挟持手段52は、矩形シート7の四隅を挟持しているが、矩形シート7の四隅以外の部分を第1挟持手段80A~第4挟持手段80Dで挟持するため、第1挟持手段80A~第4挟持手段80Dの第1方向及び第2方向の移動の妨げとはならない。
【0065】
次いで、第1方向において板状物Wを挟んで互いに対向した第1挟持手段80Aと第2挟持手段80Bとで矩形シート7を挟持するとともに、第1方向に直交する第2方向において板状物Wを挟んで互いに対向した第3挟持手段80Cと第4挟持手段80Dとで矩形シート7を挟持する。具体的には、昇降機構によって、
図24に示す第1挟持手段80A及び第2挟持手段80Bにおける各下側挟持部81aを上昇させるとともに、各上側挟持部81bを下降させ、下側挟持部81aのローラ83が矩形シート7の下面を押圧するとともに、上側挟持部81bのローラ83が矩形シート7の上面を押圧することによって矩形シート7の上下面を挟持する。また、昇降機構によって、
図25に示す第3挟持手段80C及び第4挟持手段80Dにおける各下側挟持部84aを上昇させるとともに、各上側挟持部84bを下降させ、下側挟持部84aのローラ86が矩形シート7の下面を押圧するとともに、上側挟持部84bのローラ86が矩形シート7の上面を押圧することによって、矩形シート7の上下面を挟持する。そして、
図17に示した受渡手段保持部51による板状物Wの吸引保持を解除するとともに、角部挟持手段52による矩形シート7の角部の挟持を解除し、板状物Wを拡張機構80へと受け渡す。このように、受渡手段50によれば、拡張機構80へ板状物Wを受け渡すまでの間は、板状物Wに貼着された矩形シート7の角部を角部挟持手段52で挟持した状態が維持されるため、拡張機構80に板状物Wを破損させず確実に受け渡すことができる。
【0066】
板状物Wを拡張機構80へと受け渡したら、
図24に示すように、第1方向において矩形シート7を拡張して個々のチップC間の間隔を形成する。具体的には、第1挟持手段80Aと第2挟持手段80Bとが矩形シート7を挟持した状態で第1挟持手段80Aと第2挟持手段80Bとを第1方向において互いに離反するように移動させる。すなわち、
図23に示した2つの第1方向移動手段88aを作動させ、第1挟持手段80Aと第2挟持手段80Bとが互いに離反するように、各可動基台87aを第1方向に移動させ、各下側挟持部81aのローラ83と各上側挟持部81aのローラ83とによって挟持された矩形シート7をそれぞれ外側に引っ張る。矩形シート7が拡張することにともない、隣り合うチップCの間の間隔が大きくなり、各チップCの間に十分な間隔を形成することができる。これにより、板状物Wの搬送時に隣り合うチップC同士が接触することを防止できる。
【0067】
続いて、
図25に示すように、第2方向において矩形シート7を拡張して個々のチップC間の間隔を形成する。具体的には、第3挟持手段80Cと第4挟持手段80Dとが矩形シート7を挟持した状態で第3挟持手段80Cと第4挟持手段80Dとを第2方向において互いに離反するように移動させる。すなわち、
図23に示した2つの第2方向移動手段88bを作動させ、第3挟持手段80Cと第4挟持手段80Dとが互いに離反するように、各可動基台87bを第2方向に移動させ、各下側挟持部84aのローラ86と各上側挟持部84bのローラ86とによって挟持された矩形シート7をそれぞれ外側に引っ張る。矩形シート7が拡張することにともない、隣り合うチップCの間の間隔が拡がり、各チップCの間に十分な間隔を形成することができる。これにより、板状物Wの搬送時に隣り合うチップC同士が接触することを防止できる。なお、本実施形態では、矩形シート7の第1方向の拡張を行った後に第2方向の拡張を行っているが、この場合に限られず、第1方向拡張と第2方向の拡張とを同時に行ってもよいし、第2方向の拡張をしてから第1方向の拡張を行ってもよい。また、矩形シート7の第1方向の拡張量と第2方向の拡張量とは、等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0068】
ここで、第1方向の拡張及び第2方向の拡張により拡張された板状物Wのうち、個々のチップCに分割されていない未分割領域(改質層を起点に分割されなかった領域)がある場合は、図示していないが、例えば、スキージ等によって板状物Wに外力を付与することにより、個々のチップCに分割する。なお、未分割領域の分割は、少なくとも後述するフレーム貼着を実施する前に行う。
【0069】
図26に示すように、第1搬送手段16aによってフレーム5を矩形シート7に対面させる。まず、第1搬送手段16aは、
図3に示したフレームストッカー17に収容されているフレーム5をフレーム保持部161で吸引保持して搬出し、矩形シート7の上方側に移動する。次いで、第1挟持手段80A~第4挟持手段80Dによって矩形シート7を挟持した状態で、矩形シート7の上面7aにフレーム5を対面させるとともに、フレーム5の開口6の内側に板状物Wを位置づける。
【0070】
次いで、
図27に示すように、矩形シート7の上面7aに対面して位置づけられたフレーム5に矩形シート7を貼着する。具体的には、昇降機構によりフレーム貼着用ローラ57a,57bが上昇し、矩形シート7の下面にフレーム貼着用ローラ57a,57bを接触させる。続いて
図8に示した円板54が少なくとも1回転することによりフレーム貼着用ローラ57a,57bをフレーム5に沿って円形に移動させながら矩形シート7の下面を上方に押圧することにより、フレーム5に矩形シート7の上面7aを貼着する。このとき、フレーム貼着用ローラ57a,57bは、ヒータによって加熱されているため、フレーム5に対する矩形シート7の密着性を高めて、フレーム5に矩形シート7を良好に貼着することができる。フレーム5に矩形シート7を貼着したら、フレーム貼着用ローラ57a,57bを下降させて矩形シート7から退避させる。
【0071】
図28に示すように、フレーム5に沿って矩形シート7を切断する。具体的には、昇降機構によりフレーム貼着用カッター58が上昇して矩形シート7に切り込ませ、
図8に示した円板54が少なくとも1回転することにより、フレーム5に沿ってフレーム貼着用カッター58を円形に移動させることにより矩形シート7を切断する。
【0072】
図29に示すように、フレーム5に矩形シート7を介して板状物Wが貼着されたフレームユニット8が形成される。そして、第1搬送手段16aはフレームユニット8を保持した状態で上昇することにより、矩形シート7が切断された位置Pからフレームユニット8を搬出する。フレームユニット8は、
図3に示したフレームストッカー17の脇に配設された図示しない仮置き台に一時的に載置される。その後、
図2に示す第2搬送手段16bによって、仮置き台からフレームユニット8が搬出されるとともに洗浄装置領域に搬送されて、洗浄装置18によって洗浄処理・乾燥処理が施される。そして、フレームユニット8は、紫外線照射領域に搬送され、紫外線照射装置によりフレームユニット8の矩形シート7に対して紫外線が照射されて硬化処理が施される。
【0073】
このように、本発明に係る拡張装置1は、ロール状に巻回された帯状シート2を保持手段20で保持された板状物Wに貼着する貼着ローラ31と、帯状シート2を板状物Wよりも大きいサイズを有した矩形シート7に切り出すカッター手段32とを有した貼着機構30と、貼着ローラ31を保持手段20に対して帯状シート2を貼着する貼着方向に相対移動させる移動手段40と、矩形シート7を第1方向および第2方向に拡張する拡張機構80と、保持手段20で保持され矩形シート7が貼着された板状物Wを拡張機構80へと受け渡す受渡手段50とを備えたため、ロール状に巻回された帯状シート2を保持手段20で保持された板状物Wに貼着した後、カッター手段32によって矩形シート7に切り出してから、受渡手段50により拡張機構80へと受け渡して、矩形シート7を拡張することができる。本発明によれば、ロール状に巻回された帯状シート2の状態で拡張装置1に供給でき、拡張装置1内で帯状シート2を板状物Wに貼着するとともに、板状物Wよりも大きいサイズの矩形シート7に切り出すことが可能となるため、従来に比べて作業性が向上する。
さらに、帯状シート2を板状物Wに貼着する際には、保持手段20によって板状物Wが保持された状態が維持され、矩形シート7が板状物Wに貼着された後拡張機構80に受け渡されるまでの間は、受渡手段50によって板状物Wが保持された状態が維持され、板状物Wが拡張機構80に受け渡された後環状のフレーム5に矩形シート7が装着されるまでの間は、常に矩形シート7の外縁が第1挟持手段80A、第2挟持手段80B、第3挟持手段80C及び第4挟持手段80Dによって挟持された状態が維持されるため、板状物Wが破損するおそれを低減しうる。
【符号の説明】
【0074】
1:拡張装置 2:帯状シート 2A:シートロール 3:シート本体
4:帯状離型フィルム 4A:離型フィルムロール 5:フレーム 6:開口
7:矩形シート 8:フレームユニット
10:第1装置ベース 11:第2装置ベース 12:搬入口
13:表示手段兼入力手段 14:支持柱 15:ガイド 16a:第1搬送手段
16b:第2搬送手段 17:フレームストッカー 18:洗浄装置
20:保持手段 21:板状物保持部 21a:保持面 22:固定台 23:ベース
24:回転軸 25:支持部 26:シート貼着プレート 260:開口
27:昇降機構 28:シート被貼着部 29:ローラ用ガイド
30:貼着機構 31:貼着ローラ 32:カッター手段
33:リール 34a:送り出しローラ 34b:挟み込みローラ
34c:ガイドローラ 34d:可動ローラ 34e:押さえローラ
35:撓み防止ローラ 36:貼着手段 37:ピールプレート 38:巻き取りローラ
39:錘 40:移動手段 41:ボールネジ 42:モータ 43:ガイドレール
44:移動基台 50:受渡手段 51:受渡手段保持部 51a:保持面
52:角部挟持手段 53:昇降機構 54:円板 55:回転軸 56:傾き調整機構
57a,57b:フレーム貼着用ローラ 58:フレーム貼着用カッター 59:立設部
60:受渡移動手段 61:ボールネジ 62:ガイドレール 63:移動基台
70:剥離機構 70A:テープ保持手段 70B:折り曲げローラ移動手段
70C:剥離起点部生成手段 71a:第1エアシリンダ 71b:第2エアシリンダ
71c:第3エアシリンダ 71d:第4エアシリンダ 711,712:挟持片
72:保持ベース 73:保持板 74:支持フレーム 75:折り曲げローラ
76:アーム部材 77:先端部材 78:先端針状部材 79:エアーノズル
80:拡張機構 80A:第1挟持手段 80B:第2挟持手段
80C:第3挟持手段 80D:第4挟持手段