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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】光検出器および光を検出するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/42 20060101AFI20221013BHJP
   H01J 40/16 20060101ALI20221013BHJP
   H01J 1/34 20060101ALI20221013BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
G01J1/42 G
H01J40/16
H01J1/34
G01J1/02 D
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019014596
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2019132842
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】15/883,654
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504144253
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル マシューズ
(72)【発明者】
【氏名】タル クズニズ
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル マーギュリス
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0051879(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0148112(US,A1)
【文献】特開平10-048044(JP,A)
【文献】特開平05-187914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00-1/60
H01J 31/00-31/68
H01J 37/00-37/36
H01J 40/00-40/20
G01T 1/00-1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出器であって、
光子-電子変換器に衝突する光子を1つまたは複数の光電子に変換するように構成された光子-電子変換器と、
光電子感知領域を備える光電子検出回路と、
チャンバと、
前記チャンバ内部で、および前記光電子感知領域の方に向かって前記1つまたは複数の光電子の伝播を加速するための1つまたは複数のバイアス信号を前記光検出器に供給するように構成されたバイアス回路と、
複数の動作モードのうちの選択された動作モードで動作するように構成された光電子マニピュレータであって、前記複数の動作モードが、前記1つまたは複数の光電子が前記光電子感知領域に達するのを阻止するレベルによって互いに異なる、光電子マニピュレータと、
(a)前記光子、(b)前記1つまたは複数の光電子、(c)記光子-電子変換器に衝突した以前の光子、および(d)記光子-電子変換器によって出力された以前の1つまたは複数の光電子のうちの少なくとも1つに関するセンサからのフィードバックに基づいて前記光電子マニピュレータによって前記1つまたは複数の光電子を阻止する前記レベルを制御するように構成されたコントローラと、
を備える、光検出器。
【請求項2】
前記コントローラが前記選択された動作モードを選択することによって前記光電子マニピュレータを制御するように構成されている、請求項1に記載の光検出器。
【請求項3】
前記複数の動作モードが、前記光電子マニピュレータが前記1つまたは複数の光電子が前記光電子感知領域に達するのを完全に妨げるように構成される完全阻止モードを含む、請求項1に記載の光検出器。
【請求項4】
前記センサをさらに備え、前記センサが前記光検出器内部に配置されている、請求項1に記載の光検出器。
【請求項5】
前記センサが前記光検出器の外部にある、請求項1に記載の光検出器。
【請求項6】
前記センサが前記光検出器の1つまたは複数の電気出力を感知するように構成されている、請求項1に記載の光検出器。
【請求項7】
前記フィードバックが前記光子-電子変換器に衝突する光線の少なくとも一部の強度を示す、請求項1に記載の光検出器。
【請求項8】
前記フィードバックが前記光電子検出回路によって検出される前記光電子の少なくとも一部の電流を示す、請求項1に記載の光検出器。
【請求項9】
前記フィードバックが前記光子-電子変換器によって放出される前記光電子の少なくとも一部の電流を示す、請求項1に記載の光検出器。
【請求項10】
前記光電子マニピュレータが前記1つまたは複数の光電子を前記光子-電子変換器の方に向けることによって、前記1つまたは複数の光電子が前記光電子感知領域に達するのを少なくとも部分的に阻止するように構成されている、請求項1に記載の光検出器。
【請求項11】
前記光電子マニピュレータが前記1つまたは複数の光電子を前記チャンバの方に向けることによって、前記1つまたは複数の光電子が前記光電子感知領域に達するのを少なくとも部分的に阻止するように構成されている、請求項1に記載の光検出器。
【請求項12】
前記光電子マニピュレータが前記1つまたは複数の光電子を前記光電子感知領域とは異なる前記光電子検出回路の一部の方に向けることによって、前記1つまたは複数の光電子が前記光電子感知領域に達するのを少なくとも部分的に阻止するように構成されている、請求項1に記載の光検出器。
【請求項13】
前記光電子マニピュレータが前記1つまたは複数の光電子の焦点をずらすことよって、前記1つまたは複数の光電子が前記光電子感知領域に達するのを少なくとも部分的に阻止するように構成されている、請求項1に記載の光検出器。
【請求項14】
前記コントローラが、(a)前記光電子マニピュレータに供給される制御電圧と(b)光電子収集効率との間の推定マッピングに基づいて前記光電子マニピュレータを制御するように構成され、前記光電子収集効率が、(i)前記光電子感知領域に達する光電子の数と(ii)前記光子-電子変換器によって放出される光電子の数との比である、請求項1に記載の光検出器。
【請求項15】
少なくとも1つの追加の光電子感知領域を備える少なくとも1つの追加の光電子検出回路をさらに備える、請求項1に記載の光検出器。
【請求項16】
前記光電子マニピュレータが1つまたは複数の開孔を含む導電性開孔構成要素である、請求項1に記載の光検出器。
【請求項17】
前記導電性開孔構成要素が導電性グリッドである、請求項16に記載の光検出器。
【請求項18】
前記導電性開孔構成要素が偏向器である、請求項16に記載の光検出器。
【請求項19】
前記偏向器がコンデンサを備える、請求項18に記載の光検出器。
【請求項20】
光検出器の光子-電子変換器によって前記光子-電子変換器に衝突する光子を1つまたは複数の光電子に変換するステップと、
前記1つまたは複数の光電子が前記光検出器のチャンバ内部で前記光検出器の光電子感知領域に向かって伝播している間に、バイアス回路によって、前記1つまたは複数の光電子を加速するための1つまたは複数のバイアス信号を前記光検出器に供給するステップと、
前記1つまたは複数の光電子が前記光電子感知領域に達するのを阻止するレベルによって互いに異なる複数の動作モードのうちの選択された動作モードで光電子マニピュレータを動作させるステップと、
(a)前記光子、(b)前記1つまたは複数の光電子、(c)記光子-電子変換器に衝突した以前の光子、および(d)記光子-電子変換器によって出力された以前の1つまたは複数の光電子のうちの少なくとも1つに関するセンサからのフィードバックに基づいて前記光電子マニピュレータによって前記1つまたは複数の光電子を阻止する前記レベルを制御するステップと、
前記1つまたは複数の光電子が前記光電子感知領域に衝突すると、電子検出回路によって、前記1つまたは複数の光電子を感知するステップと、
を含む、光検出のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年1月30日に出願された米国特許出願第15/883,654号の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド光子検出器(HPD)センサなどの、「光電管」装置に基づく光感知器は、高い利得(例えば、100~200,000の範囲にある利得)で機能することができる。
【0003】
ウエハ走査用途における高アスペクト比の孔の底部から微弱信号などの非常に弱い信号(単一光子さえ)を検出するためには、これらの高い利得が必要とされる。
【0004】
ウエハを高コントラストで走査する場合、ウエハのある特定のパターン(通常、高反射パターン)は、多くの光子を含む光線を長時間にわたって反射し、それによって長時間の高いアノード電流をもたらす。長時間は、約1マイクロ秒と見なされてもよく、高いアノード電流は、数10ミリアンペアに達することさえある大きさを有する。
【0005】
長時間の高いアノード電流は、HPDセンサを損傷するか、さもなければ加熱する原因となる可能性がある。HPDセンサの加熱は、結果として測定または予測が困難な利得変化をもたらすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
長時間の強い光線に耐える高利得の光検出器を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
光検出器、および光を感知するための方法が提供される。
【0008】
本発明をよりよく理解するために、そして本発明がどのように実施され得るかを示すために、ここで純粋に例として、全体を通して同様の数字が対応する要素または段落を示す添付図面を参照する。
【0009】
ここで、図面を詳細に具体的に参照すると、図示する項目は、例示であり、本発明の好ましい実施形態の例示的な議論の目的のためだけのものであり、本発明の原理および概念的な態様の最も有用な、容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示されていることが強調される。この点に関して、本発明についての基本的な理解に必要とされるものよりも詳細に本発明の構造の詳細を示すことは試みられておらず、図面とともに説明を読むことで、当業者には本発明のいくつかの形態がどのように実際に具現化され得るかが明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】光検出器の例である。
図2】光検出器の例である。
図3】光検出器の例である。
図4】光検出器の例である。
図5】光検出器の例である。
図6】光検出器の例である。
図7】光検出器の例である。
図8】光検出器の例である。
図9】光検出器の例である。
図10】方法の例である。
図11】光検出器の例である。
図12】光検出器の例である。
図13】光検出器の例である。
図14】光検出器の例である。
図15】光検出器の例である。
図16】収集効率をグリッドに印加される電圧にマッピングする関数の例である。
図17】時間に対する電流の例である。
図18】連続動作モードと非線形動作モードとの間の違いの例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
光検出器へのいかなる言及も、必要な変更を加えて光検出器によって実行される方法に適用されるものとする。
方法へのいかなる言及も、必要な変更を加えて方法を実行するように構成された光検出器に適用されるものとする。
【0012】
(i)光子-電子変換器に衝突する光子を1つまたは複数の光電子に変換するように構成された光子-電子変換器と、(ii)光電子感知領域を含む光電子検出回路と、(iii)チャンバと、(iv)チャンバ内部で、および光電子感知領域に向かって1つまたは複数の光電子の伝播を加速するための1つまたは複数のバイアス信号を光検出器に供給するように構成されたバイアス回路と、(v)複数の動作モードのうちの選択された動作モードで動作するように構成された光電子マニピュレータであって、複数の動作モードが、1つまたは複数の光電子が光電子感知領域に達するのを阻止するレベルによって互いに異なる、光電子マニピュレータと、(vi)(a)光子、(b)1つまたは複数の光電子、(c)以前に光子-電子変換器に衝突した以前の光子、および(d)以前に光子-電子変換器によって出力された以前の1つまたは複数の光電子のうちの少なくとも1つに関するフィードバックに基づいて光電子マニピュレータを制御するように構成されたコントローラと、を含むことができる光検出器を提供することができる。
【0013】
図1は、光子-電子変換器21と、チャンバ22と、グリッド23などの光電子マニピュレータと、導電性シールド27によってシールドされた、中空空間26が前に置かれた電子検出器29および読出し回路28と、電子検出器29と、コントローラ30と、バイアス回路31と、を含むものとして光検出器10を示す。
グリッド23は、導電性である。
【0014】
光検出器10は、以下の検出器、すなわち、反射型ハイブリッド光子検出器(RHPD)、HPD、光電子増倍管(PMT)、反射型PMT、電子衝撃電荷結合デバイスCCD(EBCCD)、電子ビーム撮像装置(すなわち、カメラである感知装置)などのいずれであってもよい。
【0015】
読出し回路28および電子検出器29は、光電子検出回路61を形成する。
【0016】
図1のグリッド23は、非阻止動作モードで動作し、グリッド23には、電子検出器29の光電子感知領域33へ向かう光電子12の進行を妨げないバイアス信号が供給されている。
【0017】
光子11が光子-電子変換器21に衝突すると、光電子12は、グリッド23を通って、中空空間26を通って伝播し、電子検出器29の光電子感知領域33に衝突する。
【0018】
電子検出器29は、電子検出器29の検出信号を読み出すための読出し回路に結合されている。
【0019】
光子-電子変換器21および電子検出器29は、チャンバ22の対向面に配置されている。
【0020】
電子検出器は、非ガイガーモードで動作することができるアバランシェ検出器であってもよく、または任意の他の電子検出器であってもよい。
【0021】
光子-電子変換器21と電子検出器29との間の領域は、光子-電子変換器21と電子検出器29との間に1から数キロボルトまでの(例えば、3~8キロボルトの)電位差をもたらすバイアス信号によって光電子が加速される電子衝撃領域と見なされてもよい。
【0022】
電子衝撃領域において得られる衝撃利得(Gb)は、200~1,700の範囲であってもよい。
【0023】
電子検出器29の利得(Ged)は、1~500の範囲であってもよい。
【0024】
光検出器の全体の利得は、GbにGedを掛けたものに実質的に等しい。
【0025】
図2は、光子-電子変換器21と、チャンバ22と、グリッド23などの光電子マニピュレータと、導電性シールド27によってシールドされた、中空空間26が前に置かれた電子検出器29および読出し回路28と、コントローラ30と、バイアス回路31と、を含むものとして光検出器10を示す。
【0026】
図2では、グリッド23は、阻止動作モードで動作し、光電子12は、光子-電子変換器21に向かって偏向される。グリッド23は、光子-電子変換器21の電位よりも負になるようにバイアスされてもよい。
【0027】
図3では、光電子マニピュレータは、チャンバ22の長手軸に平行な2つのプレート35および36を含むコンデンサ25である。
【0028】
コンデンサは、異なる構成のものであってもよい。例えば、2つの平行なプレートを含む代わりに、コンデンサは、球形コンデンサ、二重ワイヤコンデンサ、八脚コンデンサ(octopod capacitor)などであってもよい。
【0029】
コンデンサは、コンデンサがバイアス回路31によって設定される場合、動作モードに応じて、光電子を偏向させても、光電子を偏向させなくてもよい。
【0030】
図4では、コンデンサ25は、非阻止動作モードで動作し、コンデンサ25は、光電子が光電子感知領域33に達するのを妨げない。
【0031】
図5では、コンデンサは、阻止動作モードで動作し、光電子が光電子感知領域33に達するのを妨げる。
【0032】
図5では、コンデンサは、導電性シールド27に衝突するように光電子を偏向させる。
【0033】
図6では、光電子マニピュレータは、光電子を偏向させることができるアンテナ型偏向器37である。
【0034】
図7は、ガードセンサ41に結合されたコントローラ30を示す。ガードセンサ41は、光子-電子変換器21に衝突する光のビームに応答して光子-電子変換器21によって生成される電流、温度、または任意の電気信号を感知することができる。ガードセンサ41からの検出信号は、コントローラ30に供給される。コントローラは、これらの検出信号に基づいてグリッド23をどのモードで動作させるべきかを決定することができる。
【0035】
図8は、ガードセンサ41に結合されたコントローラ30を示す。ガードセンサ41は、チャンバ22内部に配置されている。
【0036】
グリッドは、ガードセンサが光電子の強度を感知することができるように、光電子をガードセンサ41に偏向させることができる。
【0037】
あるいは、ガードセンサ41は、電子検出器に衝突する光電子電流の少なくとも一部を感知するために、電子検出器29または読出し回路28と組み合わされてもよい。
【0038】
ガードセンサは、比較的強い光線から生じる光電子を感知するために使用されるため、ガードセンサ41は、電子検出器29よりも感度が低くてもよい。
【0039】
図9は、光子-電子変換器21の前に置かれ、光線のサンプルをガードセンサ41に供給しながらも、大部分の光線(または、光線の任意の他の部分)が光子-電子変換器21に衝突することができるようにするビームスプリッタ45を示す。ガードセンサ41は、ビームの強度を感知し、検出信号をコントローラ30に送る。
【0040】
グリッド、コンデンサ、およびアンテナは、光電子マニピュレータの例を限定するものではない。
【0041】
例えば、光電子マニピュレータは、グリッドとは異なる(光電子が通過することができる)1つまたは複数の開孔を含む導電性開孔構成要素であってもよい。
【0042】
さらに、別の例として、光電子マニピュレータは、偏向器、偏向レンズなどであってもよい。
【0043】
光電子マニピュレータの応答時間は、光線(または一連の光線)が光検出器10に損傷を与えるか、または利得不安定性を引き起こす可能性があることを感知したときに、光検出器10への損傷または利得不安定性を防止するのに十分短くなければならない。応答時間は、数分の1秒未満(例えば、1、10、100、1000マイクロ秒未満)であってもよい。
【0044】
光電子マニピュレータの異なる動作モード間の変化は、速くてもよく、緩やかでも緩やかでなくてもよい。例えば、光電子マニピュレータは、光電子を光電子感知領域から徐々に偏向させることができ、および/または光電子感知領域に向かう光電子の進行を即座に阻止することができる。
【0045】
光電子マニピュレータは、グリッド、コンデンサ、偏向器などのうちの少なくとも2つの要素の組合せを含んでもよいことに留意されたい。
【0046】
バイアス回路は、0~1,000ボルト超の範囲にあってもよい絶対値を有することができる1つまたは複数のバイアス電圧によって光電子マニピュレータまたは光検出器の任意の他の部分をバイアスすることが可能な1つまたは複数の高電圧電源回路を含むことができる。
【0047】
図10は、本発明の実施形態による方法100を示す。
【0048】
方法100は、光検出器の光子-電子変換器によって、光子-電子変換器に衝突する光子を1つまたは複数の光電子に変換するステップ110によって開始する。
【0049】
方法100は、バイアス回路によって、チャンバ内部を光電子感知領域に向かって伝播する1つまたは複数の光電子を加速するための1つまたは複数のバイアス信号を光検出器に供給するステップ120によって開始することもできる。加速は、光電子マニピュレータによって妨げられてもよい。加速は、光電子マニピュレータによって妨げられない場合は、1つまたは複数の光電子を光電子感知領域上に衝突させる。
【0050】
ステップ120は、電気的バイアス、磁気的バイアス、または電気的バイアスと磁気的バイアスとの組合せを含むことができる。磁気的バイアスは、偏向器型マニピュレータを使用することを含んでもよい。磁気的バイアスは、1つまたは複数の光電子の伝搬方向に垂直な磁場を印加することを含んでもよい。
【0051】
光電子検出回路の動作モードに応じて、ステップ120の後にステップ130またはステップ140が続くことができる。
【0052】
ステップ130は、阻止動作モードで動作する光電子マニピュレータによって、1つまたは複数の光電子が光電子検出回路の光電子感知領域に達するのを阻止することを含むことができる。
【0053】
ステップ140は、非阻止動作モードで動作する光電子マニピュレータによって、1つまたは複数の光電子が光電子感知領域に達するのを可能にすることを含むことができる。
【0054】
ステップ140の後に、光電子検出回路によって1つまたは複数の光電子を感知するステップ150が続いてもよい。光電子検出回路は、読出し回路および光電子感知領域を含むことができる。
【0055】
方法100は、光子-電子変換器に衝突する光線の強度を感知するステップ105を含むこともできる。感知は、直接感知(光線、または光線の一部の強度の測定)、あるいは1つまたは複数のガードセンサによる強度の間接感知(例えば、電子-光変換器に生じる電流または他の信号の感知)を含んでもよい。
【0056】
ステップ105の後に、ステップ105の結果に基づいて、コントローラによって光電子マニピュレータの選択された動作モードを決定するステップ108が続くことができる。
【0057】
例えば、光子-電子変換器に衝突する光線の強度が、所定の値を超えるか、または所定の期間にわたってある特定の値を超える場合に、光電子マニピュレータを阻止動作モードで動作させるように決定する。
【0058】
動作モードは、阻止動作モードおよび非阻止動作モードに加えて、異なる量の部分的な阻止を行う複数の部分的な阻止モードを含むことができる。
【0059】
図11は、光子-電子変換器21と、チャンバ22と、グリッド23などの光電子マニピュレータと、導電性シールド27によってシールドされた、中空空間26が前に置かれた電子検出器29および読出し回路28と、コントローラ30と、バイアス回路31と、を含むものとして光検出器10を示す。
【0060】
図11では、グリッド23は、光電子が電子検出器29に達するのを部分的に阻止する。光子-電子変換器21によって出力された光電子の一部は、光子-電子変換器21に戻るが、他の光電子は、電子検出器29に衝突する。
【0061】
光子-電子変換器21によって生成される1つまたは複数の光電子と、電子検出器29に達する光電子の数との間にはいかなる関係があってもよい。異なるバイアス電圧は、この比率を決定することができる。
【0062】
図12は、反射構成で動作する光検出器10を示す。光検出器10は、通路52と、光子-電子変換器21と、チャンバ22と、グリッド23などの光電子マニピュレータと、導電性シールド27によってシールドされた、中空空間26が前に置かれた電子検出器29および読出し回路28と、コントローラ30と、バイアス回路31と、を含む。
【0063】
反射構成で動作する場合、光子11は、チャンバ22を通って、通路52を通って進み、光子-電子変換器21に衝突する。通路52は、どこに形成されてもよく、例えば、チャンバ22の側壁内およびグリッド23の上方に形成されてもよい。
【0064】
図13は、光子-電子変換器21と、チャンバ22と、(開孔55を有する)開孔電極54などの光電子マニピュレータと、導電性シールド27によってシールドされた、中空空間26が前に置かれた電子検出器29および読出し回路28と、コントローラ30と、バイアス回路31と、を含むものとして光検出器10を示す。
【0065】
1つまたは複数の光電子は、開孔55を通って伝播し(阻止されない限り)、電子検出器29に衝突することができる。
【0066】
阻止のレベルは、バイアス回路31によって開孔電極54に供給されるバイアス電圧によって決定することができる。
【0067】
図14は、光子-電子変換器21と、チャンバ22と、(開孔55を有する)開孔電極54などの光電子マニピュレータと、導電性シールド27によってシールドされた、中空空間26が前に置かれた電子検出器29および読出し回路28と、コントローラ30と、バイアス回路31と、を含むものとして光検出器10を示す。図14では、光電子の少なくとも一部は、1つまたは複数の光電子によって形成されるビームの焦点をずらすことによって電子検出器に達するのが妨げられる。
【0068】
図1図14の光検出器のいずれも、フィードバック70が供給されるコントローラ30を含むことができる。フィードバックは、光子11、1つまたは複数の光電子12、以前に光子-電子変換器に衝突した以前の光子、および以前に光子-電子変換器によって出力された以前の1つまたは複数の光電子のいずれを示してもよい。
【0069】
コントローラは、フィードバックに基づいて光電子マニピュレータを制御することができ、それによって1つまたは複数の光電子が電子検出器に達するのを阻止するレベルを決定する。
【0070】
図15は、光子-電子変換器21と、チャンバ22と、光電子マニピュレータ60と、導電性シールド27によってシールドされた、中空空間26が前に置かれた電子検出器29および読出し回路28と、コントローラ30と、バイアス回路31と、を含むものとして光検出器10を示す。
【0071】
コントローラ30は、フィードバックに基づいて光電子マニピュレータ60を制御することができ、それによって1つまたは複数の光電子12が電子検出器29に達するのを阻止するレベルを決定する。
【0072】
図のいずれかに示される光検出器のいずれかの電子検出器は、単一の電子感知素子(単一のピクセル)を含んでもよく、または電子感知素子のアレイ(複数のピクセル)を含んでもよい。電子感知素子のアレイは、1つまたは複数の追加の電子感知素子を含むことができる。1つまたは複数の電子感知素子は、同じ中空空間内部に配置されてもよい。
【0073】
1つまたは複数の電子感知素子は、異なる中空空間内部に配置されてもよい。異なる電子感知素子の間には、(チャンバ内部で)いかなる空間的関係があってもよい。少なくとも異なる電子感知素子に対する異なる中空空間の間には、(チャンバ内部で)いかなる空間的関係があってもよい。
【0074】
コントローラは、1つまたは複数のスキームに従って光電子マニピュレータを制御するように構成されてもよい。
【0075】
簡単にするため(および図15を参照して)、光電子マニピュレータ60がグリッドによって実施され、フィードバック70が電子検出器29から読み出されると仮定する。
【0076】
CE(収集効率)は、光子-電子変換器21によって放出された光電子の数に対する電子検出器29に達する光電子の数である。
【0077】
1に等しいCEは、光子-電子変換器によって放出された光電子がすべて検出されることを意味する。ゼロに等しいCEは、放出された光電子のいずれもが検出されないことを意味する。
【0078】
gは、バイアス回路31からグリッド、または光電子マニピュレータの任意の他の実施態様に供給されるバイアス電圧である。
【0079】
グリッドの特定の機械的および電子的態様は、CEをグリッドに印加される電圧に関連付ける関数、すなわちCE(Vg)をマッピングする。
【0080】
CE対グリッドに印加される電圧の関数の概略図が図16に示されている。曲線201は、CEとVgの関係を示す。
【0081】
c(t)は、光子-電子変換器によって放出されるような光電子電流である。Icは、ウエハ走査適用中の入力光子束に比例する未知の関数である。
【0082】
s(t)は、(一例では、グリッド制御への入力でもある)電子センサ電流である。この電流は、Is(t)=G*Ic(t)*CE(Vg(t))によって与えられ、ここで、Gはセンサの(時間的に一定であってもよい)利得である。
【0083】
ゲーティングの目的は、光検出器利得安定性の制約を満たすため、ならびに/または出力信号経路に沿った光検出器および他の敏感な電子部品への損傷を回避するために、「高すぎる」入力においてIsを「遮断する」ことである。
【0084】
「非阻止」モード(または「オフ」モード)、すなわち、
【数1】
の場合、V0をグリッドの電圧として表記する。
【0085】
光電子マニピュレータは、二状態切換えで動作することができる。
【0086】
グリッドの「阻止オン」切換え。この場合、第2の電圧V1を定義し、ここで
1>CE(V1)≧0
である。
【0087】
まず始めに、ゲート電圧がV0、したがってセンサの電流が次式で与えられると仮定する。
【数2】
【0088】
ある特定のしきい値電流Is(thon)を超えることによって、動的制御ループは、ゲーティングバイアス電圧をV1に切り替え、その結果、感知装置の電流がIs(on)=G*Ic*CE(V1)に低下する。
【0089】
グリッドの「阻止オフ」切換え。ある特定の新しいしきい値電流Is(thoff)未満に低下することによって、ここで、Is(thoff)は、(限定されないが)Is(thoff)≒Is(thon)*CE(V1)とすることができ、制御ループは、ゲートをV0に切り替えて、通常の使用に戻る。
【0090】
1がCE(V1)=0(すなわち、完全な阻止)となるように設定されると、電子センサ29からの感知は、「オフ」信号を供給することができない(IsがIcに無関係にゼロになるため)。この場合、フィードバック制御ループのためのセンサは、図9に示すように入力光線51をサンプリングするなど、別のソースからのものであってもよい。
【0091】
光電子マニピュレータは、選択された多状態切換えで動作することができる。
【0092】
多状態切換えは、異なるCEレベルに対するViの数および対応する量の電流しきい値に関する以外は二状態切替えに類似している。
【0093】
光電子マニピュレータは、連続的に動作してもよい。
【0094】
しきい値を使用する代わりに、制御ループは、印加される電圧Vg(t+dt)と測定される電流Is(t)との間で連続関数をマッピングすることができる。この関数を、CLと呼ぶこととし、Vg(t+dt)=CL(Is(t),Vg(t))となる。
【0095】
例えば、CLは、図17に示すように、ある「飽和」電流(Isat)を上回ると、Isを制限して最大電流(Imax)に近くなるように、一方、Isatを下回ると、グリッドが「オフ」モード(Is=G*Ic)になるように設計することができる。図17では、曲線211は、Isを示し、曲線212は、G*Icを示す。
【0096】
光電子マニピュレータは、非線形応答を提供するように動作してもよい。
【0097】
非線形応答は、CL関数を慎重に制御することによって、入力信号(Ic)を非線形出力信号(Is)にロバストかつ決定論的にマッピングすることができる連続法の「洗練された」使用法である。そのような関数の一例は、次式の通りであってもよい。
【0098】
【数3】
【数4】
【0099】
このようにして、入力信号は、完全に使用され得て、十分に高い入力で遮断されない。
【0100】
図18は、連続動作モードと非線形動作モードの違いを示す。X軸は、G*Icであり、Y軸は、Isである。曲線221は、非線形動作モードにおけるG*IcとIsの関係を示し、一方、曲線222は、連続動作モードにおけるG*IcとIsの関係を示す。
【0101】
いくつかの例示的な態様および実施形態について上で論じたが、当業者は、ある特定の修正形態、置換形態、追加形態、およびそれらの部分的組合せを認識されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲および今後紹介される特許請求の範囲は、その真の精神および範囲内にあるようなすべてのそのような修正形態、置換形態、追加形態、および部分的組合せを含むと解釈されるべきであることが意図されている。
【0102】
本発明は、その特定の実施形態と併せて記載されたが、多くの代替形態、修正形態、および変形形態が当業者には明らかであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および幅広い範囲内に入るすべてのそのような代替形態、修正形態、および変形形態を包含することが意図されている。
【0103】
明瞭にするために別々の実施形態の文脈において記載された本発明のある特定の特徴は、単一の実施形態においても組み合わせて提供されてもよいことを認識されたい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載された本発明の様々な特徴も、別々にまたは任意の適切な部分的組合せにおいて提供されてもよい。
【0104】
別段の規定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様のまたは等価の方法を本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な方法は、本明細書に記載されている。
【0105】
本発明は、上で具体的に示され記載されたものに限定されないことを当業者は認識されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定され、前述の記載を読むと当業者には思い浮かぶであろう、上記の様々な特徴の組合せおよび部分的組合せの両方、ならびにそれらの変形形態および修正形態を含む。本発明の好ましい実施形態が示され、記載されたが、様々な代替、代用、および均等物を使用することができ、本発明は、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるべきであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0106】
10 光検出器
11 光子
12 光電子
21 光子-電子変換器
22 チャンバ
23 グリッド
25 コンデンサ
26 中空空間
27 導電性シールド
28 読出し回路
29 電子検出器
30 コントローラ
31 バイアス回路
33 光電子感知領域
35 プレート
36 プレート
37 アンテナ型偏向器
41 ガードセンサ
45 ビームスプリッタ
52 通路
54 開孔電極
55 開孔
60 光電子マニピュレータ
61 光電子検出回路
70 フィードバック
201 曲線
211 曲線
212 曲線
221 曲線
222 曲線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18