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特許7157749電解めっき液用添加剤を含有する電解めっき液及び該電解めっき液を用いた電解めっき方法
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  • 特許-電解めっき液用添加剤を含有する電解めっき液及び該電解めっき液を用いた電解めっき方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】電解めっき液用添加剤を含有する電解めっき液及び該電解めっき液を用いた電解めっき方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 3/38 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
C25D3/38 101
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019539426
(86)(22)【出願日】2018-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2018031139
(87)【国際公開番号】W WO2019044651
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2017166424
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸一
(72)【発明者】
【氏名】豊田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】石渡 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 拓也
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンギュン
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0155248(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0014356(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102634778(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 3/00- 3/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(1)~(4)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する電解めっき液用添加剤と、塩化物イオン源とを含有し、該塩化物イオン源が塩化水素である、電解めっき液
【化1】
【化2】
【請求項2】
前記電解めっき液用添加剤が、メタノール、エタノール、n-プロパノール、及びイソプロパノールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコール化合物を含有する請求項1に記載の電解めっき液。
【請求項3】
前記電解めっき液用添加剤は、電解銅めっき液用添加剤である請求項1又は2に記載の電解めっき液。
【請求項4】
金属塩と、電解質とを含有する請求項1~3のいずれか一項に記載の電解めっき液。
【請求項5】
前記金属塩が銅塩である請求項に記載の電解めっき液。
【請求項6】
前記金属塩が硫酸銅であり、前記電解質が硫酸である請求項又はに記載の電解めっき液。
【請求項7】
請求項のいずれか一項に記載の電解めっき液を用いる電解めっき方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有する化合物を含有する電解めっき液用添加剤、該電解めっき液用添加剤を含有する電解めっき液及び該電解めっき液を用いた電解めっき方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高集積化電子回路における微細配線やTSV、バンプの形成では、溝や穴などのパターンに対して金属を埋め込む手法が用いられる。電解めっきは金属を埋め込む代表的な手法の一つであり、なかでも、金属として銅を埋め込む電解銅めっきが広く知られている。従来の電解銅めっきでは、埋め込まれた銅層の表面平坦性が悪いことにより、回路の接続不良が引き起こされることが問題となっていた。その解決法として、電解銅めっき液中に平滑剤などの添加剤を導入し、その作用によって表面平坦性よく銅を埋め込む手段などが検討されてきた。
【0003】
電解めっき液に用いられる一般的な平滑剤としては、ポリエチレンイミン、ポリアニリン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどがある。例えば特許文献1には、微細銅配線埋め込み用電気銅めっき水溶液に用いられる平滑剤として、ポリビニルピロリドンが開示されている。また、特許文献2には、銅被膜形成用銅めっき液に用いられる平滑剤として、ポリエチレンイミンが開示されている。また、特許文献3には、非シアン系の酸性銀めっき浴に用いられる平滑剤として、ポリエチレンイミンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5809055号明細書
【文献】特許第6142165号明細書
【文献】特開2007-327127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1~3に記載されている平滑剤を含有した電解めっき液を用いて電解めっき方法により金属層を形成した場合、金属層の表面平坦性は十分ではなかった。よって、電解めっき方法によって表面平坦性に優れた金属層を形成可能な電解めっき液用添加剤が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、検討を重ねた結果、特定の構造を有する化合物を含有する電解めっき液用添加剤、該電解めっき液用添加剤を含有する電解めっき液及び該電解めっき液を用いた電解めっき方法により、上記課題を解決しうることを知見し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、化学式(1)~(4)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する電解めっき液用添加剤である。
【0008】
【化1】
【0009】
【化2】
【0010】
また、本発明は、上記電解めっき液用添加剤を含有する電解めっき液を提供するものである。
【0011】
更に、本発明は、上記電解めっき液を用いた電解めっき方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電解めっき液用添加剤を必須の有効成分として含有する電解めっき液を用いて電解めっき方法により基体上に金属層を形成する工程を行う場合に、基体の表面が微細な構造を有していても溝や穴に金属を表面平坦性よく埋め込むことができ、表面平坦性に優れた金属層を形成することができる。また、本発明の電解めっき液用添加剤は、電解銅めっき液に添加した場合に、得られる銅層の表面平坦性が非常に良好であることから、電解銅めっき液用添加剤として特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】評価試験において、基体の表面に電解めっき方法により銅層を形成した後の被めっき基体断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<電解めっき液用添加剤>
本発明の電解めっき液用添加剤は、上記化学式(1)~(4)で表される化合物No.1(商品名:PAMAMデンドリマー、エチレンジアミンコア、0.0世代、Aldrich社製)、No.2(商品名:PAMAMデンドリマー、エチレンジアミンコア、1.0世代、Aldrich社製)、No.3(商品名:PAMAMデンドリマー、エチレンジアミンコア、2.0世代、Aldrich社製)、No.4(商品名:PAMAMデンドリマー、エチレンジアミンコア、3.0世代、Aldrich社製)から選択される少なくとも1種を含有する。
【0015】
上記化合物を含有する電解めっき液用添加剤を添加した電解めっき液を用いて、電解めっき方法により金属層を形成した場合に、表面平坦性に優れた金属層を形成することができる。なかでも上記化合物No.1を含有する電解めっき液用添加剤を使用した電解めっき液を用いた場合は、より表面平坦性に優れた金属層を形成することができる。
【0016】
また、上記化合物No.1~4より選択される少なくとも1種と特定のアルコール化合物とを含有する電解めっき液用添加剤を用いた電解めっき液は、電解めっき方法により金属層を形成すると、より優れた表面平坦性を示すため好ましい。上記特定のアルコール化合物としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、及びイソプロパノールである。なかでもメタノールを用いた場合は、表面平坦性に特に優れた金属層を形成することができるため更に好ましい。これらは、1gの上記化合物No.1~4に対して、好ましくは0.1g~100g、より好ましくは1g~10g配合して用いられる。
【0017】
<電解めっき液>
次に、本発明の電解めっき液について説明する。本発明の電解めっき液は、上記の化合物No.1~4より選択される少なくとも1種を含有する電解めっき液用添加剤を必須の有効成分として含有する水溶液である。本発明の効果をより顕著に得る観点からその好ましい濃度は、0.1mg/L~100mg/L、より好ましくは0.5mg/L~50mg/L、更に好ましくは1mg/L~30mg/Lである。
【0018】
本発明の電解めっき液は、上記電解めっき液用添加剤以外の成分として、従来公知の電解めっき液と同様に、金属の供給源である金属塩、電解質の他、塩化物イオン源、めっき促進剤及びめっき抑制剤等を含有してもよい。
【0019】
本発明の電解めっき液に用いられる金属塩の金属としては、電解めっき方法により成膜が可能な金属であれば特に限定されることなく、銅、錫、銀等が挙げられる。特に、本発明の電解めっき液用添加剤を電解銅めっき液に用いた場合には、得られる銅層の表面平坦性が優れているため、好ましい。電解銅めっき液に配合される銅塩としては、硫酸銅、酢酸銅、フルオロホウ酸銅、硝酸銅等が挙げられる。
【0020】
また、本発明の電解めっき液に用いられる電解質である無機酸としては、硫酸、燐酸、硝酸、ハロゲン化水素、スルファミン酸、ホウ酸、フルオロホウ酸等が挙げられる。
【0021】
本発明の電解めっき液は、特に、硫酸銅及び硫酸をベースとする銅めっき液は得られる銅層の表面平坦性が非常に良好であることから、好適である。この場合、硫酸銅(CuSO4・5H2Oとして)を10g/L~300g/L、好ましくは100g/L~250g/L、硫酸を20g/L~400g/L、好ましくは30g/L~150g/Lの範囲内とすることが、めっき速度の観点から効率的である。
【0022】
また、本発明の電解めっき液には、均一で平滑な金属層を形成するために、塩化物イオン源を使用することができる。塩化物イオン源は、電解めっき液中に5mg/L~200mg/Lとなるように配合することが好ましく、20mg/L~150mg/Lとなるように配合することがより好ましい。塩化物イオン源は、特に限定されるものではないが、例えばNaClやHCl(塩化水素)などを使用することができる。
【0023】
更に、本発明の電解めっき液には、硫黄元素を含有する有機化合物及びその塩化合物等のめっき促進剤(光沢剤)を配合することもできる。めっき促進剤としては、下記一般式(1)~(3)で表される化合物がある。
【0024】
【化3】
【0025】
(一般式(1)、(2)の式において、Rは、任意に置換してもよいアルキル基であり、好ましくは炭素数1から6のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1から4のアルキル基である;Arは、任意に置換してもよいアリール基であり、例えば任意に置換してもよいフェニル基またはナフチル基である;Xは、対イオンであり、例えばナトリウムまたはカリウム等である。)
【0026】
【化4】
【0027】
(式中、R1及びR2は、水素原子、炭素数1~6の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数1~3の置換基を有していてもよい炭素数5~9のシクロアルキル基、または炭素数1~3の置換基を有していてもよいアリール基であり、Mは、アルカリ金属、アンモニウムまたは1価の有機アンモニウムを表し、nは、1~7の数を表す。)
【0028】
上述したなかでもめっき促進剤としては、3,3’-ジチオビス(1-プロパンスルホン酸)ナトリウム(以下、SPSと表すこともある)は、金属層の形成を促進する高い効果を有するため、好ましい。
【0029】
これらのめっき促進剤の濃度は、電解めっき液中において、好ましくは0.1mg/L~100mg/L、より好ましくは0.5mg/L~50mg/L、更に好ましくは1mg/L~30mg/Lである。
【0030】
更に、本発明の電解めっき液には、めっき抑制剤を配合することが好ましい。めっき抑制剤としては、例えば酸素含有高分子有機化合物を使用することができ、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンランダムコポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられ、なかでもポリエチレングリコールが好ましい。本発明の効果を顕著に得る観点からこれら酸素含有高分子有機化合物の分子量は、好ましくは500~100,000、より好ましくは1,000~10,000である。特に、分子量1,000~10,000のポリエチレングリコールが最も好ましい。同様の観点から酸素含有高分子有機化合物の濃度は、電解めっき液中において、好ましくは20mg/L~5,000mg/L、より好ましくは50mg/L~3,000mg/Lである。
【0031】
本発明の電解めっき液には、めっき液に添加できることが知られているその他の添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲内で任意に用いることができる。
【0032】
その他の添加剤としては、アントラキノン誘導体、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アルカンスルホン酸、アルカンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸エステル、ヒドロキシアルカンスルホン酸、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩、ヒドロキシアルカンスルホン酸エステル、ヒドロキシアルカンスルホン酸有機酸エステル等が挙げられる。これらの添加剤の濃度は、電解めっき液中において、好ましくは0.1mg/L~500mg/L、より好ましくは0.5mg/L~100mg/Lである。
【0033】
<電解めっき方法>
次に、本発明の電解めっき液を用いた電解めっき方法について説明する。
【0034】
本発明の電解めっき方法は、電解めっき液として本発明の電解めっき液を使用する他は従来の電解めっき方法と同様に行えばよい。ここでは、被めっき基体上に銅層を形成する電解銅めっき方法について説明する。
【0035】
電解めっき装置としては、例えばパドル攪拌式めっき装置を用い、めっき槽に本発明の電解銅めっき液を充填した電解銅めっき浴中に、被めっき基体を浸漬する。被めっき基体は、例えば、銅シード層付きSi基板上に、フォトレジストを用いて、レジストパターンが形成されたものとする。
【0036】
この際、例えば、電解銅めっき浴の温度は、10℃~70℃、好ましくは20℃~50℃であり、電流密度は、1A/dm2~70A/dm2、好ましくは2A/dm2~50A/dm2、より好ましくは5A/dm2~30A/dm2の範囲内である。また、電解めっき液の撹拌方法は、空気撹拌、急速液流撹拌、撹拌羽根等による機械撹拌等を使用することができる。
【0037】
上述したような条件下で、上記レジストパターンの開口部に銅を埋め込むことで、被めっき基体上に表面平坦性に優れた銅層を形成することができる。
【0038】
本発明の電解めっき方法を使用して製造される、めっきが施された製品は特に限定されないが、例えば、自動車工業材料(ヒートシンク、キャブレータ部品、燃料注入器、シリンダー、各種弁、エンジン内部等)、電子工業材料(接点、回路、半導体パッケージ、プリント基板、薄膜抵抗体、コンデンサー、ハードディスク、磁性体、リードフレーム、ナット、マグネット、抵抗体、ステム、コンピューター部品、電子部品、レーザ発振素子、光メモリ素子、光ファイバー、フィルター、サーミスタ、発熱体、高温用発熱体、バリスタ、磁気ヘッド、各種センサー(ガス、温度、湿度、光、速度等)、MEMS等)、精密機器(複写機部品、光学機器部品、時計部品等)、航空・船舶材料(水圧系機器、スクリュー、エンジン、タービン等)、化学工業材料(ボール、ゲート、プラグ、チェック等)、各種金型、工作機械部品、真空機器部品等、広範なものが挙げられる。本発明の電解めっき方法は、特に微細なパターンが求められる電子工業材料に使用することが好ましく、中でも、TSV形成、バンプ形成等に代表される半導体パッケージ、プリント基板の製造において使用することがより好ましく、該半導体パッケージが最も好ましい。
【実施例
【0039】
以下、実施例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0040】
[実施例1]
平滑剤として化合物No.1とメタノールとを含有する電解めっき液用添加剤を用いて、表1に示す組成で電解銅めっき液を調製した。尚、実施例1~3及び比較例1、2において、電解銅めっき液の溶媒は水であり、各成分の濃度は水で調整した。また、実施例及び比較例で用いるポリエチレングリコールの重量平均分子量は3,600~4,400である。なお、重量平均分子量は、標準試料としてポリスチレンを用い、溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲル浸透クロマトグラフィー分析によって測定した。
【0041】
[実施例2]
平滑剤として化合物No.1を用い、メタノールを含有しない電解めっき液用添加剤を用いて、表1に示す組成で電解銅めっき液を調製した。
【0042】
[実施例3]
平滑剤として化合物No.4とメタノールとを含有する電解めっき液用添加剤を用いて、表1に示す組成で電解銅めっき液を調製した。
【0043】
【表1】
【0044】
[比較例1]
平滑剤として下記に示す比較化合物1とメタノールとを含有する電解めっき液用添加剤を用いて、表2に示す組成で電解銅めっき液を調製した。
【0045】
【化5】
【0046】
[比較例2]
平滑剤として下記に示す比較化合物2(Aldrich社製のポリエチレンイミン(エチレンジアミン枝状、M 800)とメタノールとを含有する電解めっき液用添加剤を用いて、表2に示す組成で電解銅めっき液を調製した。
【0047】
【化6】
【0048】
【表2】
【0049】
[製造例1]
電解めっき装置として、パドル攪拌式めっき装置を用い、めっき槽に実施例1~3及び比較例1、2の電解銅めっき液をそれぞれ充填した電解銅めっき浴中に、被めっき基体を浸漬した。被めっき基体には、銅シード層付きSi基板上に、フォトレジストを用いて、レジストパターン(形状:断面円形状の開口部を有する、開口径:20μm、30μm及び50μm)を形成したものを用いた。次いで、下記めっき条件で各々電解銅めっき方法により、レジスト開口部に銅を埋め込み、被めっき基体上に銅層を形成した。
(めっき条件)
(1)ホール径(μm):20、30、50
(2)電流密度(A/dm2):12、16、18
(3)浴温:35℃
(4)めっき時間:めっきされた銅層の最小高さ(Lmin)が40μmになるまでの時間
【0050】
[評価例1]
図1に示すように、製造例1によって被めっき基体2の表面に形成された銅層1の断面をレーザ顕微鏡(キーエンス社製、型番:VK-9700)で観察することで、銅層1の最小高さ(Lmin)と最大高さ(LMax)を測定した。また、以下の式によりΔLを算出した。評価結果を表3に示す。
ΔL=LMax-Lmin
【0051】
【表3】
【0052】
表3において、ΔLの値が小さいほど、表面平坦性に優れた銅層が形成できたことを表す。表3の結果より、実施例1~3で調製した電解銅めっき液を用いて、電解めっき方法により銅層を形成した場合は、比較例1で調製した電解銅めっき液を用いた場合よりも、ΔLの値が小さいことから、表面平坦性に優れた銅層を形成できることがわかった。尚、比較例2の電解銅めっき液を用いた場合には、形成された銅層の表面形状に歪があり、ΔLを算出することができなかった。
【0053】
また、化合物No.1を含有する実施例1の電解めっき液を用いた場合(評価例1-1~1-3)と、化合物No.4を含有する実施例3の電解めっき液を用いた場合(評価例1-7~1-9)を比較すると、評価例1-1~1-3の方が、ΔLの値が小さいことから、化合物No.1を含有する電解めっき液用添加剤を電解銅めっき液に添加した方が、表面平坦性により優れた銅層を形成できることがわかった。
【0054】
さらに、化合物No.1とメタノールを含有する実施例1の電解めっき液を用いた評価例1-1~1-3は、化合物No.1を含有し、メタノールを含有しない実施例2の電解めっき液を用いた評価例1-4~1-6と比較して、ΔLの値が小さく、電解めっき液用添加剤がメタノールを含むことで、より優れた銅層の表面平坦性を示すことが確認できた。
【0055】
以上説明したように、本発明の電解銅めっき浴用添加剤を用いた電解めっき液を用いて電解めっき方法により、被めっき基体上に銅層を形成した場合は、表面平坦性に優れた銅層を形成することができることがわかった。なかでも、化合物No.1とメタノールとを含有する電解銅めっき液用添加剤を用いた場合には、特に表面平坦性に優れた銅層を形成できることが確認できた。
【符号の説明】
【0056】
1 銅層、2 被めっき基体、3 最小高さ(Lmin)、4 最大高さ(LMax)、5 ΔL。
図1