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特許7157978原料粉末の力学特性から固形粉末化粧料の耐衝撃性を予測する方法
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  • 特許-原料粉末の力学特性から固形粉末化粧料の耐衝撃性を予測する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】原料粉末の力学特性から固形粉末化粧料の耐衝撃性を予測する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/08 20060101AFI20221014BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 8/88 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20221014BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
G01N3/08
A61K8/73
A61K8/02
A61K8/88
A61K8/81
A61K8/25
A61K8/891
A61Q1/00
A61Q1/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018209860
(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公開番号】P2020075880
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】591275665
【氏名又は名称】三信鉱工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】豊田 直晃
(72)【発明者】
【氏名】浅野 浩志
(72)【発明者】
【氏名】高尾 泰正
(72)【発明者】
【氏名】浅井 巌
【審査官】奥野 尭也
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-516408(JP,A)
【文献】特開平09-304257(JP,A)
【文献】特開2000-247839(JP,A)
【文献】米国特許第6460399(US,B1)
【文献】特開2016-180685(JP,A)
【文献】特表2013-536861(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179463(WO,A1)
【文献】特開2005-271013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00- 3/62
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料用球状粒子を含有する固形粉末化粧料において、製剤特性のひとつである耐衝撃性指標としての落下強度を、下記手順に従った微小粒子圧壊力測定から得られる化粧料用球状粒子の擬似永久ひずみ率を物性指標として予測評価する方法。得られた球状粒子の擬似永久歪み率を相対比較して、その値が小さいほど当該球状粒子を含有する固形粉末化粧料の耐衝撃性が高いと判断する。
(1)球状粒子を試料台に散布し、光学顕微鏡で観察しながら、平面圧子先端内に単粒子が収まるように初期位置を調整する。
(2)試料台を圧縮方向に一定速度で作動させて、球状粒子に一定の試験力を負荷した後、引張り方向に上記速度と同じ速度で移動することにより除荷する。測定中は、一連の粒子歪みεに対応した応力σを連続的に検出する。測定は、試料台あるいは圧子と、粒子とが完全に離れるまで続ける。
(3)得られた応力‐歪み曲線の変形履歴において、最大歪み(イ)と残留歪み(ロ)を得て、最大歪み(イ)に対する残留歪み(ロ)の比率を擬似永久歪み率(=(ロ)/(イ))として算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、化粧料用球状粒子の特定の力学特性を用い、当該球状粒子を含有する固形粉末化粧料において、製剤特性のひとつである耐衝撃性を予測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スキンケアやメイクアップ化粧料は、ユーザーが容器から手にとって直接肌に塗布し使用することが一般的である。そして、化粧料は毎日使用するものであることから、化粧効果において、その機能性は勿論のこと、使用感(感触)も極めて重要な要素と言える。
【0003】
メイクアップ化粧料のなかでも、粉末製剤を圧縮成型してなる固形粉末化粧料においては、機能性や感触以外にも、輸送中の振動や使用者による誤落下による破損を防止するために十分な耐衝撃性が求められる。
【0004】
固形粉末化粧料の耐衝撃性は、一般に、ある一定の高さから当該化粧料を充填容器ごと落下させ、製剤にヒビやワレ、カケが生じるまでの回数をもって落下強度とする落下試験によって評価される。
【0005】
固形粉末化粧料の耐衝撃性に影響を及ぼす因子としてはいくつか考えられるが、ゴムやエラストマーのような弾性変形挙動、あるいはプラスチックのような塑性変形挙動を示す球状粒子の適用による耐衝撃性への影響は、特に顕著であるとの認識がある。
【0006】
一般に、感触特性としての柔らかさに優れる上記球状粒子は、固形粉末化粧料に適用すると、耐衝撃性を低下させる傾向にあることは経験的に理解されている。これまでに固形粉末化粧料において、柔らかさと耐衝撃性を両立すべく数多くの検討がなされている。例えば、特許文献1には、球状粉末と特定の粒子径を有する固形油粉末とを組み合わせることで、感触と耐衝撃性を両立した固形粉末化粧料が開示されている。また、特許文献2には、球状粉末と特定の粒子径を有する煙霧状シリカ、及び半固形油剤を組み合わせることで、感触と耐衝撃性を両立した固形粉末化粧料が開示されている。
【0007】
しかしながら、実際には、柔らかさと耐衝撃性の両立は、開発の現場におけるトライアンドエラーで蓄積されたノウハウによることが多いという現状がある。すなわち、球状粒子の明確な力学特性をもって、当該球状粒子を含有する固形粉末製剤の耐衝撃性を予測する方法はこれまでに知られていない。
【0008】
一方で、近年では感触特性に特化した機能性粉体の開発が盛んに行われている。例えば、特許文献3には、粒子形態を中空状に制御することにより、同組成の中実粒子と比較して柔らかい感触を付与した中空顆粒が開示されている。また特許文献4、及び5には、粒子形態を多孔質に制御することにより、同組成の無孔質粒子と比較して柔らかい感触を付与した多孔質球状粒子が開示されている。
【0009】
新規機能性材料開発の現場においては、原料粉末の力学特性をもって当該粉末を固形粉末化粧料に適用した際の耐衝撃性を予測することができれば、より効率的な開発が見込まれる。
【0010】
これらの背景に基づき、原料粉末の力学特性から、当該原料粉末を含有する固形粉末化粧料の耐衝撃性を予測する方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2005-272427号公報
【文献】特開2009-209139号公報
【文献】特開2014-058441号公報
【文献】特開1985-197746号公報
【文献】特開1994-136175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、化粧料用球状粒子の特定の力学特性を用いて、当該球状粒子を含有する固形粉末化粧料の耐衝撃性を予測する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる実情において、本願発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の微小粒子圧壊力測定から得られる化粧料用球状粒子の擬似永久歪み率と、当該球状粒子を含有する固形粉末化粧料の耐衝撃性指標である落下強度との間に高い相関性があることを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち本願発明は、化粧料用球状粒子を含有する固形粉末化粧料において、製剤特性のひとつである耐衝撃性指標としての落下強度を、微小粒子圧壊力測定における特定の解析方法(球状粒子に一定の試験力を負荷した後、除荷することで得られる応力‐歪み曲線の変形履歴から、最大歪み(イ)と残留歪み(ロ)を得る。最大歪み(イ)に対する残留歪み(ロ)の比率を擬似永久歪み率(=(ロ)/(イ))と定義して算出する方法)から得られる当該球状粒子の擬似永久歪み率を物性指標として関連付けて予測する方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本願発明は、化粧料用球状粒子の力学特性により、当該球状粒子を含有する固形粉末化粧料の耐衝撃性を予測する方法を提供するものであり、本法によれば化粧品製剤開発の作業効率を向上するのみならず、新規機能性粉体の開発指針としても活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】微小粒子圧壊力測定装置概略
図2】変形履歴解析における応力‐歪み曲線模式図
図3】化粧料用球状粒子の擬似永久歪み率(試験力6.37MPa)と当該球状粒子を含有する固形粉末化粧料の落下強度との相関性を表すグラフ
図4】化粧料用球状粒子の擬似永久歪み率(試験力12.74MPa)と当該球状粒子を含有する固形粉末化粧料の落下強度との相関性を表すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本願発明の化粧料用球状粒子を含有する固形粉末化粧料における耐衝撃性の予測方法を、その好ましい実施形態に基づいて説明する。本願発明によれば、化粧料用球状粒子を含有した固形粉末化粧料において、製剤特性のひとつである耐衝撃性を客観的に評価することができる。ここで、固形粉末化粧料の耐衝撃性とは、ある一定の高さから当該化粧料を充填容器ごと落下させ、製剤にヒビやワレ、カケが生じるまでの回数をもって評価される落下強度を言う。
【0018】
本願発明の化粧料用球状粒子を含有する固形粉末化粧料における耐衝撃性の予測方法は、評価の対象となる当該球状粒子の単粒子を用いて微小粒子圧壊力測定を実施し、歪みεに対応する応力σをプロットして得られる応力‐歪み曲線の変形履歴から、最大歪み(イ)と残留歪み(ロ)を得て、最大歪み(イ)に対する残留歪み(ロ)の比率を擬似永久歪み率(=(ロ)/(イ))として定義し、当該球状粒子を含有する固形粉末化粧料の落下強度を予測評価する。
【0019】
本願発明の実施形態においては、下記手順に従った微小粒子圧壊力測定から得られる化粧料用球状粒子の擬似永久歪み率を物性指標として評価する。
(1)球状粒子を試料台に散布し、光学顕微鏡で観察しながら、平面圧子先端内に単粒子が収まるように初期位置を調整する。
(2)試料台を圧縮方向に一定速度で作動させて、球状粒子に一定の試験力を負荷した後、引張り方向に上記速度と同じ速度で移動することにより除荷する。測定中は、一連の粒子歪みεに対応した応力σを連続的に検出する。測定は、試料台あるいは圧子と、粒子とが完全に離れるまで続ける。
(3)得られた応力‐歪み曲線の変形履歴において、最大歪み(イ)と残留歪み(ロ)を得て、最大歪み(イ)に対する残留歪み(ロ)の比率を擬似永久歪み率(=(ロ)/(イ))として算出する。
【0020】
上記手順に従って得られた化粧料用球状粒子の擬似永久歪み率を相対比較して、その値が小さいほど当該球状粒子を含有する固形粉末化粧料の耐衝撃性が高いと判断する。
【0021】
本願発明の測定方法において、対象とする化粧料用球状粒子は、弾性変形、及び/又は塑性変形挙動を示す粒子である。本願発明において弾性とは、外力を負荷した後、負荷を取り去ると元の形に戻る性質を言う。一方で、塑性とは、外力を負荷した際に、ある一定の応力(降伏応力)を超えると、負荷を取り去っても元の形に戻らない性質を言う。
【0022】
本願発明の測定方法において、対象とする化粧料用球状粒子の粒子径は1~30μmである。本願発明の目的は、感触特性としての柔らかさを有する球状粒子を、固形粉末化粧料に適用した際の耐衝撃性を評価することにあるため、一般に粉末化粧料などに感触改良を目的として適用される球状粒子の粒子径範囲を指定した。
【0023】
本願発明の測定方法において、対象とする化粧料用球状粒子の粒子形状は、真球状に限らず、略球状も含まれる。実用的には微小粒子圧壊力測定を適用するに当り、支障がない程度に球形性があれば足りる。
【0024】
本願発明の測定方法により耐衝撃性が予測評価される固形粉末化粧料において、当該化粧料中に含有される化粧料用球状粒子の含有量は、特に限定されないが3~20重量%であることが好ましい。さらに好ましくは5~15重量%である。化粧料用球状粒子の含有量が3重量%よりも少ないと、当該球状粒子が固形粉末化粧料の耐衝撃性に及ぼす影響は小さく、本願発明の測定法を適用できない場合がある。また含有量が20重量%よりも大きいと、圧縮成形性が低下し、製品として成立しないほど耐衝撃性が低下する場合がある。
【0025】
化粧料用球状粒子の物理機器を用いた評価において、使用する平面圧子先端径は、特に限定されないがφ30μm以上であることが好ましい。平面圧子先端径がφ30μmよりも小さいと、圧縮時に粒子が平面圧子先端からはみ出してしまい、圧力を粒子全体に負荷することができず測定に支障をきたす場合がある。
【0026】
化粧料用球状粒子の物理機器を用いた評価において、使用する平面圧子に取付ける精密バネのバネ定数は、特に限定されないが10kN/m以下であることが好ましい。バネ定数が10kN/mよりも大きいと低応力側の歪みを正確に検出できない場合がある。
【0027】
化粧料用球状粒子の物理機器を用いた評価において、手順(2)で規定する試験力は、特に限定されないが5~20MPaであることが好ましい。試験力が5MPaよりも小さいと、対象粒子に十分な変形を加えることができないため、最大歪みが小さくなり試料間の差異を検出できない場合がある。また試験力が20MPaよりも大きいと、多くの塑性変形粒子において降伏応力を超えるため、試験力が低いときと同様に試料間の差異を検出できない場合がある。
【0028】
化粧料用球状粒子の物理機器を用いた評価において、手順(2)で規定する試料台の移動速度は、特に限定されないが1μm/sec以下であることが好ましい。移動速度が1μm/secより大きいと短時間で測定が終了してしまうため、十分なプロット数を得られず測定精度が低下する場合がある。
【0029】
化粧料用球状粒子の物理機器を用いた評価において、応力、及び歪みのデータ取り込み速度は、特に限定されないが1~500msecの範囲であることが好ましい。データ取り込み速度が500msec以上では、十分なプロット数が得られない場合がある。データ取り込み速度が1msec以上であれば、十分なプロット数を得ることができる。
【0030】
化粧料用球状粒子の擬似永久歪み率は、図1に示すような変位制御方式の微小粒子圧壊力測定装置を用いて測定できる。市販品としては、微小粒子圧壊力測定装置NS-A100(ナノシーズ社製)が挙げられる。微小粒子圧壊力測定を実施するときの室内温度及び相対湿度は、化粧料使用時の環境を考慮すると、10~35℃、及び30~65%RHが好ましい。
【実施例
【0031】
以下実施例により本願発明をさらに詳細に説明する。尚、これらは本願発明を何ら限定するものではない。
【0032】
(実施例1)
[物性評価]
表1に示す化粧料用球状粒子a~eについて、下記のようにして微小粒子圧壊力測定を実施して、擬似永久歪み率を得た。各試料について、粒子径が9~11μmの範囲内に入る球状粒子を選択して測定を実施し、最大歪み(イ)に対する残留歪み(ロ)の比率を擬似永久歪み率(=(ロ)/(イ))として算出した。
測定装置:微小粒子圧壊力測定装置(ナノシーズ社製 NS-A100)
測定条件:室内温度25℃、相対湿度50%RH
平面圧子先端径φ50μm
バネ定数6.18kN/m
試料台移動速度0.2μm/sec
手順(2)で負荷した試験力6.37MPa(0.5mN)
データ取り込み速度100msec
[耐衝撃性評価]
表2に示す化粧料用球状粒子a~eを含有する固形粉末化粧料(各々A~E)の落下強度を評価した。落下強度は、高さ50cmからポリアセタール製の落下面(厚み2cm)に対して容器ごと水平に繰り返し落下させ、ヒビやワレ、カケが生じなかった最大回数を落下強度とした。
【0033】
(固形粉末化粧料の製造方法)
表2に示す固形粉末化粧料A~Eの製造方法を以下に示す。粉体部をヘンシェルミキサーにて均一に混合した。さらに、粉体部の混合物と油剤部をヘンシェルミキサーに加えて均一に混合し、アトマイザー粉砕後、ふるいを通して粉末化粧料基材を得た。得られた粉末化粧料基材を中皿に充填し、圧縮成型することで固形粉末化粧料を得た。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
図3は、表1に記載した化粧料用球状粒子において、微小粒子圧壊力測定から得られた擬似永久歪み率と、表2に記載した当該球状粒子を含有する固形粉末化粧料の落下強度について、試料ごとにプロットしたグラフである。各プロットに対して回帰直線を引くと、決定係数R=0.91と非常に高い相関性が認められた。
【0037】
(実施例2)
[物性評価]
表3に示す化粧料用球状粒子a~eについて、下記のようにして微小粒子圧壊力測定を実施して、擬似永久歪み率を得た。各試料について、粒子径が9~11μmの範囲内に入る球状粒子を選択して測定を実施し、最大歪み(イ)に対する残留歪み(ロ)の比率を擬似永久歪み率(=(ロ)/(イ))として算出した。
測定装置:微小粒子圧壊力測定装置(ナノシーズ社製 NS-A100)
測定条件:室内温度25℃、相対湿度50%RH
平面圧子先端径φ50μm
バネ定数6.18kN/m
試料台移動速度0.2μm/sec
手順(2)で負荷した試験力12.74MPa(1mN)
データ取り込み速度100msec
[耐衝撃性評価]
表2に示す化粧料用球状粒子a~eを含有する固形粉末化粧料(各々A~E)の落下強度を評価した。落下強度は、高さ50cmからポリアセタール製の落下面に対して容器ごと水平に繰り返し落下させ、ヒビやワレ、カケが生じなかった最大回数を落下強度とした。
【0038】
【表3】
【0039】
図4は、表3に記載した微小粒子圧壊力測定から得られた擬似永久歪み率と、表2に記載した固形粉末化粧料の落下強度について、試料ごとにプロットしたグラフである。各プロットに対して回帰直線を引くと、決定係数R=0.93と非常に高い相関性が認められた。
【0040】
試験力を6.37MPa、及び12.74MPaのいずれに制御した場合でも、球状粒子の擬似永久歪み率と、当該球状粒子を含有する固形粉末化粧料の落下強度との間に高い相関性が観られた。すなわち、本願発明の測定方法を原料粉末である球状粒子に適用することで、特定の試験力範囲内において、固形粉末化粧料の落下強度を非常に精度良く予測することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本願発明の評価方法は、化粧料用球状粒子を含有する固形粉末化粧料の製剤特性のひとつである耐衝撃性を、微小粒子圧壊力測定から得られる当該球状粒子の擬似永久歪み率を物性指標として関連付けて予測できるものである。本願発明の方法を用いれば、化粧品製剤開発の作業効率を向上するのみならず、新規機能性粉体の開発指針としても活用できる。
図1
図2
図3
図4