(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】硬化物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 26/28 20060101AFI20221014BHJP
C04B 18/16 20060101ALI20221014BHJP
C04B 14/06 20060101ALI20221014BHJP
C04B 18/14 20060101ALI20221014BHJP
C04B 16/08 20060101ALI20221014BHJP
C04B 40/02 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
C04B26/28
C04B18/16
C04B14/06 Z
C04B18/14 A
C04B16/08
C04B40/02
(21)【出願番号】P 2020548834
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(86)【国際出願番号】 JP2020026768
(87)【国際公開番号】W WO2021095297
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】P 2019204933
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517450703
【氏名又は名称】株式会社バイオアパタイト
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【氏名又は名称】大田黒 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100169236
【氏名又は名称】藤村 貴史
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雄也
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 有紀
(72)【発明者】
【氏名】川本 将大
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-055928(JP,A)
【文献】特開平10-202625(JP,A)
【文献】特開昭60-206838(JP,A)
【文献】特開昭52-150413(JP,A)
【文献】特開平09-150410(JP,A)
【文献】特開2012-011749(JP,A)
【文献】特開2014-047257(JP,A)
【文献】特開昭61-062574(JP,A)
【文献】特表2003-536002(JP,A)
【文献】特開2003-291130(JP,A)
【文献】ろう接便覧,ろう接便覧 ,中島 宏 株式会社産報,P196-197、奥付
【文献】酒井雄也ら,圧力作用によるセメント硬化体の再生と体積変化の制御,土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造),2016年,Vol.72 No.1,P.32-40
【文献】倉松竜平ら,木材粉末のホットプレスによる複雑形状容器の成形,塑性と加工,2009年,V0l.50 No.580,P.26-30
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B2/00-32/02, C04B40/00-40/06, C04B103/00-111/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム化合物を含む無機物と、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種を含む原料とを混合し、オートクレーブ養生することなく加圧しながら140℃~240℃の温度範囲で加熱することを特徴とする硬化物
(ただし、キチンを含有するもの、及び、チタン酸カリウム繊維を5~40質量%含有するものを除く。)の製造方法。
【請求項2】
石、礫、砂から選択される少なくとも一種の自然由来の無機物
、コンクリート、モルタル、コンクリートがれき、モルタル廃材、スラグ、フライアッシュ、セメント、及び、これらを破砕、粉砕したものから選択される少なくとも一種の無機物と、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種を含む原料とを混合し、オートクレーブ養生することなく加圧しながら
140℃~240℃の温度範囲で加熱することを特徴とする硬化物
(ただし、キチンを含有するもの、及び、チタン酸カリウム繊維を5~40質量%含有するものを除く。)の製造方法。
【請求項3】
前記無機物が、セメント、モルタル、コンクリート、砂、スラグ及びフライアッシュから選択される少なくとも一種の粒を含む請求項2記載の硬化物の製造方法。
【請求項4】
前記無機物と、前記リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種を含む原料に水を加える請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化物及び硬化物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントは、建築分野や土木分野において用いられるコンクリートの主要な材料であるが、セメントの製造における石灰石の焼成では大量のCO2が発生し、その量は全産業の5%に達する。そのため、セメントの使用量を低減することは、CO2排出の削減につながる。またコンクリートが用いられた工作物は、老朽化により解体、除去された後に、がれきが生じる。がれきの多くは破砕された後に、再生路盤材として、また、建築物の基礎に敷き詰められる再生砕石として再利用されている。また、アスファルト合材や再生骨材として再利用することも試みられるようになってきた。しかしながら再利用されているとしても、砂利の代用として、建築物の基礎や道路等に敷き詰めされる用途が大半である。このような用途は資源の循環利用の観点から望ましい利用ではなく、建設材料としての活用が望まれている。がれきの一部は、骨材を取り出して再生骨材として、再生コンクリートの製造に再利用されている。しかし再生骨材を用いたコンクリートは力学的性能や耐久性に劣るため、用途が限られているのが現状である。また、再生コンクリートの製造には新たなセメントが必要になるため、セメントの製造に伴うCO2排出の削減にはつながらない。建設材料としてがれきを再利用することは、資源の保全、地球温暖化の防止、循環型社会の実現に資するものである。
【0003】
さらに、製紙工場や木工場や野菜工場からは、植物由来の廃棄物が大量に発生している。植物由来の廃棄物の一部は堆肥として利用されているが、産業廃棄物として廃棄されていることが多いのが現状であり、植物由来の廃棄物のリサイクルのために植物バイオマスの用途拡大が目指されている。
【0004】
骨材と植物性繊維とを含む組成物に関し、粒状骨材の結合剤に熱硬化性樹脂を使用し、当該熱硬化性樹脂の添加剤に植物性繊維質であるセルロースまたはその誘導体を使用した高強度透水性樹脂舗装組成物がある(特許文献1)。しかしながら特許文献1に記載の組成物は、用途が道路などを舗装する透水性樹脂舗装材であって、用途が舗装用であることから、従来のがれきの再利用の用途と変わるものではなく、新たな用途を拓くものではなかった。また、透水性であるから多孔質であり、建材に用いるには強度が不十分であった。さらに、特許文献1においてエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が結合剤であり、セルロースは熱硬化性樹脂の粘度を高め骨材と骨材との間の接着を面接着にするための添加剤であり、接着力を生じさせるためのものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、がれきなどの用途の拡大を図ることができ、また、植物バイオマスの用途の拡大を図ることができる硬化物及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究検討した結果、無機物を含み、かつ、リグニン又はセルロースから選択される少なくとも一種を含む硬化物が、建材等として十分な強度を有することを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明は、
[1]無機物と、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種と、を含む非透水性硬化物、
[2]リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種が、植物由来である[1]の非透水性硬化物、
[3]無機物が、カルシウム化合物を含む、[1]又は[2]のいずれかの非透水性硬化物、
[4]無機物が、セメントコンクリート、砂、スラグ及びフライアッシュから選択される少なくとも一種の粒を含む[1]~[3]のいずれかの非透水性硬化物、
[5]無機物と、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種と、を含む熱硬化物、
[6]無機物と、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種を含む原料とを混合し、加熱することを特徴とする硬化物の製造方法、
[7]無機物と、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種を含む原料とを混合し、加圧することを特徴とする硬化物の製造方法、
[8]無機物と、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種を含む原料に水を加える[6]又は[7]の硬化物の製造方法、
[9]加熱しながら加圧する[6]~[8]のいずれかの硬化物の製造方法、
[10]加熱温度が140~240℃である[6]の硬化物の製造方法、
[11][1]~[4]のいずれかの硬化物からなる建材、
[12][5]の熱硬化物からなる建材、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の硬化物は、リグニンとセルロースとから選択される少なくとも一種を含む。本発明の硬化物は、高強度を有し、柱、壁材、床材、芯材、タイル、舗装材、ブロック、塀、屋根材などの建材(建設材料を含む。)等に使用することができる。また、原料のリグニンやセルロースは、例えば、製紙工場や木材工場や野菜工場等から排出される植物由来の廃棄物又は残渣から得ることができ、無機物は、コンクリート等の廃材を用いることができ、いずれもリサイクルに資することができる。
本発明の硬化物の製造方法は、上記硬化物を確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明の硬化物の表面近傍のSEM写真である。
【
図3】実施例5において得られた熱硬化物の外観写真である。
【
図4】実施例5において得られた熱硬化物の曲げ強さを示すグラフ図である。
【
図5】実施例6において得られた熱硬化物の外観写真である。
【
図6】実施例6において得られた熱硬化物の曲げ強さを示すグラフ図である。
【
図7】実施例7において用いた各無機物の外観写真である。
【
図8】実施例7において得られた熱硬化物の外観写真である。
【
図9】実施例7において得られた熱硬化物の曲げ強さを示すグラフ図である。
【
図10】実施例8において得られた熱硬化物の外観写真である。
【
図11】実施例8において得られた熱硬化物の曲げ強さを示すグラフ図である。
【
図12】実施例9において得られた熱硬化物の外観写真である。
【
図13】実施例9において得られた熱硬化物の曲げ強さを示すグラフ図である。
【
図14】実施例10において得られた熱硬化物の外観写真である。
【
図15】実施例10において得られた熱硬化物の曲げ強さを示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の硬化物及びその製造方法を、より具体的に説明する。
本発明の硬化物は、無機物とリグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種を含む。
【0012】
本発明者らの研究により、リグニン又はセルロースを、コンクリートや砂などの無機物と混合して加熱又は加圧すると予想外にも高強度を有する硬化物が得られることが分かった。また、リグニン又はセルロース或いはそれらを含む原料を、コンクリートや砂などの無機物と混合して加圧しながら加熱して熱硬化させると、さらに高強度を有する熱硬化物が得られることが分かった。リグニン又はセルロースの原料には木材チップやおがくず、植物の茎や葉等、又は植物由来の廃棄物又は残渣を用いることができ、コンクリートや砂などは建築・土木物の廃材を用いることができ、従来は有効活用される例が必ずしも多くなかった原料を加圧又は加圧加熱して特有の硬化物が得られることなど思いもよらなかったことである。硬化物は建材のうち、モルタルやコンクリートの代替としての用途も想定され、モルタルやコンクリートでは原料のセメントの製造時に石灰石の焼成で大量のCO2が発生するのに対して、本発明の硬化物は原料の製造時のCO2排出の削減につながる。
【0013】
また従来はリグニンスルホン酸系材料が、減水剤等としてコンクリート混和剤に用いられたことがあったが、本発明のようにリグニンと無機物とを加圧又は加圧加熱して特有の硬化物が得られることなど思いもよらなかったことである。
【0014】
硬化作用は、必ずしも明確ではないが、リグニンの材料として植物由来の廃棄物又は残渣を用いた加熱加圧反応による硬化を例に説明すると、植物由来の廃棄物又は残渣から発生する過熱水蒸気によりリグニンがその骨格を維持したまま低温で反応し、圧密効果と相乗的に作用することによって、熱硬化物が製造できるものと考えられる。熱硬化反応は、リグニン等に含まれるフェノール性の高分子間で反応活性点が誘発することにより進行する。つまり、硬化物としてみるとリグニンが熱硬化して、硬度の高い熱硬化物が得られたものと考えられる。
【0015】
またセルロースは、さまざまな植物体中に含まれる多糖類であり、接着作用を呈することからバインダーとして機能し、本発明の硬化物に含有させることで硬度の高い硬化物が得られたものと考えられる。
【0016】
本発明の硬化物は加熱して硬化したもの、加圧して硬化したもの又は加圧しながら加熱して熱硬化させたものである。木材は加圧すると圧力下で流動することから、加圧することでより硬化物は多くの隙間が埋められた、緻密で強度の高いものが得られる。また、加熱しなから加圧すると圧力下で流動するため、複雑な形状の硬化物も容易に作成することができる。常温硬化の場合は、硬化するまでに時間を要するが、熱硬化させると短時間での硬化物の製造が可能である。
さらに本発明の硬化物は、製造時に加圧している場合、この点でも緻密で強度の高い硬化物が製造できる。
【0017】
リグニン及びセルロースは、いずれも特定の微生物により分解され得る、いわゆる生分解性を有している。したがって本発明の硬化物は、建材に使用中は生分解されず、使用後に寿命等により廃棄されるときは、リグニン又はセルロースが土壌に含まれる微生物により生分解され得る。したがって、環境汚染のおそれが低いという効果がある。また、生分解後の残りの無機質は、がれきや砂等であるから、廃棄した場合であっても有害物質を生じさせないし、また、必要に応じて本発明の硬化物等として再利用され得る。
【0018】
本発明の硬化物がリグニンを含むときの当該リグニンは、特に限定されるものではなく、例えば、木材チップ由来のもの、より具体的には杉チップ由来、ヒノキチップ由来、広葉樹チップ由来、針葉樹チップ由来等が挙げられる。木材チップ以外にも、イネ科植物由来の例えば竹チップ由来のものが挙げられる。原材料には、純度の高いリグニンやリグニン単体を用いてもよく、リグニンを含む植物体、例えばケナフや、植物工場から排出される植物の葉や茎等の廃棄物や残渣を用いてもよく、さらに製紙工場から排出されるリグニンを含む廃物や残渣を用いてもよい。また、H型モノマー、G型モノマー、S型モノマーといったモノマーの種類も限定されず、これらの1種あるいは2種以上を含むモノマーが重合した構造を有する。また、これらのモノマー以外のモノマーを重合単位として含んでいてもよい。一般には、H型モノマー、G型モノマー及びS型モノマーの1種以上が重合した重合単位が検出されれば、リグニンが含有されていることが推定される。
【0019】
本発明の硬化物がセルロースを含むときの当該セルロースは、特に限定されるものではなく、植物繊維、例えば、木材チップ由来のもの、より具体的には杉チップ由来、ヒノキチップ由来、広葉樹チップ由来、針葉樹チップ由来等が挙げられる。木材チップ以外にも、イネ科植物由来の例えば竹チップ由来のものが挙げられる。原材料に、純度の高いセルロースやセルロース単体を用いてもよく、セルロースを含む植物体、例えばケナフや、植物工場から排出される植物の葉や茎等の廃棄物や残渣を用いてもよく、さらに製紙工場から排出されるセルロースを含む廃物や残渣を用いてもよい。
【0020】
本発明の硬化物の原料に木材チップ等を用いたときに、硬化作用がリグニンによるものか、セルロースによるものかは必ずしも明確ではないが、本発明者らの実験により木材チップ中のリグニンが硬化作用を有すること、及び木材チップの代わりにセルロース単体の場合であっても、無機物と混合させて加熱硬化することにより硬化物が得られることを確認している。したがって、本発明は、リグリン及びセルロースから選択される少なくとも一種を含むものである。もっとも、本発明者らの実験によれば木材チップを用いた場合のほうがセルロース単体よりも硬化物の強度が大きかったので、硬化物は、強度の観点からは少なくともリグニンを含むことが好ましい。
【0021】
原料は木材チップ等の粒状、粉末状のものの他、液体に分散したものであってもよい。原料が固体の粒状、粉末状であるときの粒径は、例えば0.01μm~100mm程度の粒径のものを広範囲に用いることができる。0.01μm程度よりも小さいと、微粉末にする製造コストが高くなる。100mm程度よりも大きいと、硬化物中の木材チップ等の原料の分散度が低くなり好ましくない。大型の建材用途には、木材チップ等の原料の粒径が大きいものを用いることができる。
原料の粒径及び平均粒径は、例えば、堀場製作所のLA-960 レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いての、レーザ回折/散乱法によって測定することができる。ただし、0.1mmを超えるような大きな粒子については篩い法によって粒径を測定することができる。また、本発明のリグニン又はセルロースを含む材料は、最大粒径が、0.1μm~100mmのものが好ましく、1μm~50mmのものがより好ましく、10μm~10mmのものがさらに好ましい。最大粒径を規定した粉末状の木材チップ等の材料は材料となる粉末を篩いにかけることで得ることができる。例えば、1mm径の篩いを用いて篩いにかけることによって、最大粒径1mmの粉末状の木材チップを得ることができる。
【0022】
本発明の硬化物は、無機物の粒を、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種で硬化させた複合材料と考えることができる。
図1に熱硬化物の内部のSEM写真を、
図2に熱硬化物の表面近傍のSEM写真をそれぞれ示す。熱硬化物の内部を示す写真では木材由来の細長い物体が確認できる。表面近傍の写真では木材由来の細長い物体が部分的に溶けていることが確認できる。部分的に溶けたものはリグニンと推察され、内部であっても表面近傍であっても、木材由来のリグニン及びセルロースの少なくとも一種、なかでもリグニンが接着作用を示すものと考えられる。
【0023】
本発明の硬化物の無機物は、石、礫や砂といった自然由来の無機物や、これらの自然由来の無機物を構成する各種鉱物、人工的なセラミックス、コンクリート、モルタルや、コンクリートがれきやモルタル廃材、スラグ、フライアッシュ、セメント等や、これらを破砕、粉砕したものを用いることができる。コンクリートがれきやモルタル廃材は砂や砂利の代わりとして用いるに留まっていたもの、スラグ、フライアッシュ等は一部の高品質のものを除いて、従来は廃棄されていたものであり、これらの材料を本発明の硬化物の無機物に用いることにより、リサイクル、自然環境保護に寄与する。無機物の強度が大きいほど高強度の硬化物を得ることができるので、建材用途に適した硬化物の原料としての無機物は、ある程度の強度を有するものが好ましい。
上記で例示した無機物のうち、炭酸カルシウムなどのカルシウム化合物を含むものは、硬化物の製造時の接着強度が増し、強度が高い硬化物が得られるので好ましい。
【0024】
無機物の粒径は、例えば0.001μm~100mm程度の粒径のものを広範囲に用いることができる。0.001μm程度よりも小さいと、微粉末にする製造コストが高くなる。100mm程度よりも大きいと、硬化物中の無機物の分散度が低くなり好ましくない。大型の建材用途には、無機物の粒径が大きいものを用いることができる。がれきを細かく粉砕するにはコストを要するために、細かい粉砕をしていない大粒のがれきを用いることで、硬化物の生産コストを低くすることができる。
無機物の粒径及び平均粒径は、例えば、堀場製作所のLA-960 レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いての、レーザ回折/散乱法によって測定することができる。ただし、0.1mmを超えるような大きな粒子については篩い法によって粒径を測定することができる。また、本発明の無機物は、最大粒径が、0.1μm~100mmのものが好ましく、1μm~50mmのものがより好ましく、10μm~10mmのものがさらに好ましい。最大粒径を規定した無機物は材料となる粉末を篩いにかけることで得ることができる。例えば、1mm径の篩いを用いて篩いにかけることによって、最大粒径1mmの粉末状の無機物を得ることができる。
【0025】
硬化物中における無機物と、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種との体積比率(無機物:リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種)は、95:5程度から15:85程度までの範囲が好ましい。リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種の比率が95:5程度以上であることにより、無機物が十分に接着し高い強度の硬化物とすることができる。リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種の比率が15:85程度以下であることにより硬化物中に無機物が十分な割合で存在し高い強度の硬化物を得ることができる。
また、硬化物中における無機物と、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種を含む材料との重量比率(無機物:リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種)は、95:5程度から15:85程度までの範囲が好ましい。
【0026】
本発明の硬化物は、上述した無機物並びにリグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種の他に、キチンや炭酸カルシウムなどの強化成分を含むことができる。キチンは甲殻類の殻、炭酸カルシウムは鶏卵の殻を原料に用いることができる。甲殻類の殻や鶏卵の殻は、いずれも食品工場から排出されて廃棄物として埋め立て処理されている。これらの廃棄物にされていた甲殻類の殻や鶏卵の殻を、強化成分として活用し硬化物の強度を高めることができ、また、リサイクルにも活用することができる。また、硬化物は、その他の強化材や接着剤、接着助剤、着色剤などを含むこともできる。また、原材料に含まれるか又は硬化物の製造時に添加されることがある水分を含む場合がある。
【0027】
本発明の硬化物は、軽量、高強度、耐熱性を有し、建材等に有用である。また、比熱が低いので断熱効率が高い点でも建材等の用途に有利である。更に、後述するように加圧する工程又は加熱しながら加圧するという工程により製造することができるので、大量生産に向いており、プレス型により種々の形状の製品を製造することができ、また、プレス機の大きさにもよるが、大型の製品も製造することができる。さらに、硬化物は生分解性を有し、建材等に使用され、その後に廃棄され、埋め立て処理されたとしても、リグニンやセルロースが土壌中で永年残存することはない。
【0028】
次に、本発明の硬化物の製造方法の例を説明する。
硬化物は、例えば、無機物粒と、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種を含む材料とを混合し、加熱する工程、加圧する工程又は加熱しながら加圧する工程により製造することができる。無機物は前述したように石、礫や砂といった自然由来の無機物や、これらの自然由来の無機物を構成する各種鉱物、人工的なセラミックス、コンクリート、モルタルや、コンクリートがれきやモルタル廃材、スラグ、フライアッシュ、セメント等や、これらを破砕、粉砕したものを用いることができる。無機物のリサイクルを考えると、コンクリートがれきやモルタル廃材、スラグ、フライアッシュ等や、これらを破砕、粉砕したものを用いることは好ましい。
【0029】
無機物は、硬化物の用途とする建材の用途、機能に応じて、必要により破砕又は粉砕をして粒の大きさを調整することができる。
【0030】
リグニンを含む材料として例えば、木材チップ、より具体的には杉チップ、ヒノキチップ、広葉樹チップ、針葉樹チップ等が挙げられる。木材チップ以外にも、イネ科植物由来の例えば竹チップのものが挙げられる。また、純度の高いリグニンやリグニン単体を用いてもよく、リグニンを含む植物体、例えばケナフや、植物工場から排出される植物の葉や茎等の廃棄物や残渣を用いてもよく、さらに製紙工場から排出されるリグニンを含む廃物や残渣を用いてもよい。リサイクルを考えると木材チップ由来のもの、植物工場や製紙工場から排出される廃棄物や残渣を用いることは好ましい。さらにリグニンを含む工業残渣や、野菜の生産者や更には木工場から排出される植物由来の廃棄物又は残渣、例えば野菜の茎や葉やおがくず等を用いることもできる。
リグニンを含む原料は、あらかじめ必要に応じて粉砕することができる。また、水分による影響を避けるために、必要に応じてオートクレーブにより水蒸気加熱処理することができる。
【0031】
セルロースを含む材料として植物繊維を含むもの、例えば、木材チップ、より具体的には杉チップ、ヒノキチップ、広葉樹チップ、針葉樹チップ等が挙げられる。木材チップにも、イネ科植物の例えば竹チップが挙げられる。また、純度の高いセルロースやセルロース単体を用いてもよく、セルロースを含む植物体、例えばケナフや、植物工場から排出される植物の葉や茎等の廃棄物や残渣を用いてもよく、さらに製紙工場から排出されるセルロースを含む廃物や残渣を用いてもよい。リサイクルを考えると木材チップ由来のもの、植物工場や製紙工場から排出される廃棄物や残渣を用いることは好ましい。さらにセルロースを含む工業残渣や、野菜の生産者や更には木工場から排出される植物由来の廃棄物又は残渣、例えば野菜の茎や葉やおがくず等を用いることもできる。
セルロースを含む原料は、あらかじめ必要に応じて粉砕することができる。また、水分による影響を避けるために、必要に応じてオートクレーブにより水蒸気加熱処理することができる。
【0032】
無機物粒と、リグニン及びセルロースのから選択される少なくとも一種を含む原料とを適正な割合で混合する。混合する手段は特に限定されず、各種のミキサーを用いることができる。また、ミキサーは、原材料を所定の粒径まで粉砕する機能を有するものであってもよく、この場合は植物由来の廃棄物又は残渣の粉砕及び微粉化と、混合とを一つの装置で行うことができる。
【0033】
混合時における無機物と、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種との体積比率(無機物:リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種)は、95:5程度から15:85程度までの範囲が好ましい。リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種の比率が95:5程度以上であることにより、無機物が十分に接着し高い強度の硬化物とすることができる。リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種の比率が15:85程度以下であることにより硬化物中に無機物が十分な割合で存在し高い強度の硬化物を得ることができる。
また、混合時における無機物と、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種との重量比率(無機物:リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種)は、95:5程度から15:85程度までの範囲が好ましい。
【0034】
無機物と、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種と混合物を得るに際し、水を加えることができる。水を加えることで、リグニン及びセルロースから選択される少なくとも一種の原料として木材チップのような固形物を用いるときに、無機物と十分に混合することができ、また、混合物を所定の形状に成形し易くし、さらに、後で行われる工程での加熱加圧時に、植物由来の廃棄物又は残渣から発生する過熱水蒸気によりリグニンがその骨格を維持したまま低温で反応するのを促進させることができる。もっとも、硬化物は水分を必ずしも要しない。加えられた水分は、後工程での加熱時に蒸発する。
【0035】
混合物は、加熱すること、加圧すること、加圧した後に加熱すること又は加熱しながら加圧することで所定の形状の硬化物を得る。
加圧は常温でもよい。加熱するときは加熱温度は140~240℃程度とすることが好ましい。140~240℃の範囲で、卵殻中のキチンや、植物由来の廃棄物又は残渣の繊維成分であるセルロースやヘミセルロースが含まれている場合には、そのセルロースやヘミセルロースも熱分解し接着効果を発現させ、また、植物由来の廃棄物又は残渣から発生する過熱水蒸気によりリグニンが反応し、圧密効果と相乗的に作用することによって、硬化物を製造できる。加熱温度は、160~200℃がより好ましい。
【0036】
加圧時又は加熱しながらの加圧時に加える圧力は、硬化物の用途にもよるが、5~50MPa程度で十分な強度が得られる。圧力が高いほど高強度の硬化物が得られる。圧力の上限は特になく、加圧装置の能力に応じて例えば300~400MPa程度をも加えることができる。
加熱・加圧時間は硬化物の大きさにもよるが、例えば1~60分とすることができる。5分以上であることが好ましい。
【0037】
加圧装置は特に限定されない。加熱しながら加圧する装置は、所定温度に加圧しながら加熱することができる装置であれば特に限定されず、特に硬化物を所定の形状に成形することができる型を有する装置が好ましい。また、上述した混合するための装置と組み合わせて、硬化物の製造装置として構成することができる。
【0038】
加熱・加圧成型を行った後は、得られた硬化物を40~50℃以下に冷却する。冷却は、送風機等を用いても良いし、硬化物を40~50℃以下に冷却することができる装置であればどのような装置でもよく、水冷ジャケットからの伝熱により冷却してもよい。冷却温度はこの温度よりも冷却温度が高いと接着効果が低下し、硬度の低下の原因となるおそれがある。冷却時間は30~60分程度かけることが好ましい。急速に冷却すると製造された硬化物表面にひび割れ等が生じ、硬度が低下するおそれがある。
得られた硬化物は、表面に防水コーティング被膜を形成したりすることができる。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
破砕したセメントコンクリート(最大粒径0.3mm)を5.64gと、杉チップ(平均粒径0.5mm、含水率10%)を10.15gとを混合した。このときのセメントコンクリート:杉チップの体積割合は25:75であった。混合物を平板用のプレス型に入れて160℃で50MPaで30分間加熱加圧して高さ4.55mm、幅47.70mm、長さ49.80mmの平板状の熱硬化物を得た。
得られた熱硬化物に、端から5mmの位置に支持棒をおき、熱硬化物の中央に荷重をかけて3点曲げ試験を行い、曲げ強さを測定したところ23.0MPaであり、建材として実用上十分な強度を有していた。
【0040】
(実施例2)
実施例1の杉チップの代わりにヒノキチップ(最大粒径0.178mm、含水率10%)を用いた以外は実施例1と同様にして高さ4.48mm、幅47.80mm、長さ49.90mmの熱硬化物を得た。得られた熱硬化物に実施例1と同様の3点曲げ試験を行ったところ、18.1MPaであった。
【0041】
(実施例3)
破砕したセメントコンクリート(最大粒径0.3mm)を11.82gと、セルロース粉末6.77gとを混合した。このときのセメントコンクリート:セルロース粉末の体積割合は50:50であった。混合物を平板用のプレス型に入れて160℃で50MPaで30分間加熱加圧して高さ4.55mm、幅47.70mm、長さ49.80mmの平板状の熱硬化物を得た。
得られた熱硬化物に実施例1と同様の3点曲げ試験を行い、曲げ強さを測定したところ28.05MPaであり、建材として実用上十分な強度を有していた。
【0042】
(実施例4)
実施例4として実施例1のセメントコンクリートと杉チップとの混合物を平板用のプレス型に入れ、加熱することなく常温で50MPaで30分間加圧して高さ6mm、幅60mm、長さ50mmの平板状の硬化物を得た。
得られた硬化物に、実施例1と同様の3点曲げ試験を行い、曲げ強さを測定したところ2.4MPaであった。
【0043】
(比較例1)
比較例1として実施例1の杉チップの代わりにリグニンスルホン酸系混和剤11.79gとを混合した。このときのセメントコンクリート:リグニンスルホン酸系混和剤の体積割合は35:65であった。混合物を平板用のプレス型に入れて160℃で50MPaで30分間加熱加圧したが、プレス型から取り外す際に崩壊する程度の強度しか有しておらず、建材としての利用は困難であった。
【0044】
(実施例5)
破砕したセメントコンクリート(コンクリートの廃材をコンクリート破砕器で破砕し、さらに破砕物を振動グラインダーにてグラインドし、最大粒径0.3mmの粉末としたもの)を8.00gと、杉チップ(最大粒径0.5mm、含水率10%)を8.00gとを混合した。混合物を平板用のプレス型に入れて180℃、50MPaで1分間、5分間、10分間又は30分間加熱加圧したところ、いずれに加熱時間においても、高さ約5.00mm、幅約50.00mm、長さ約65.00mmの平板状の熱硬化物が得られた。
得られた各熱硬化物の外観写真を
図3に示す。
図3の写真の熱硬化物の表面には、各熱硬化物の識別のために、マジックペンによるメモ書きがされている。写真左から、1分間、5分間、10分間、30分間加熱処理して得られた熱硬化物である。また、各熱硬化物の曲げ強さを
図4に示す。
図4のグラフは、横軸が、加熱処理時間、縦軸が曲げ強さである。この結果から、1分間の加熱でも十分な強度の熱硬化物が得られることが分かった。
【0045】
(実施例6)
破砕したセメントコンクリート(最大粒径0.3mm)を4.00gと、杉チップ(最大粒径0.5mm、含水率10%)を12.00gとを混合した。混合物を平板用のプレス型に入れて220℃で5分間、圧力を10MPa、20MPa、30MPa又は50MPaとしながら加熱加圧したところ、いずれに圧力下においても、高さ約5.00mm、幅約50.00mm、長さ約65.00mmの平板状の熱硬化物が得られた。
得られた各熱硬化物の外観写真を
図5に示す。
図5の写真の熱硬化物の表面には、各熱硬化物の識別のために、マジックペンによるメモ書きがされている。写真左から、10MPa、20MPa、30MPa又は50MPaの圧力下で加熱処理して得られた熱硬化物である。また、各熱硬化物の曲げ強さを
図6に示す。
図6のグラフは、横軸が、加熱処理時の圧力、縦軸が曲げ強さである。この結果から、10MPaの圧力でも十分な強度の熱硬化物が得られることが分かった。
【0046】
(実施例7)
下記表1に記載した組成の無機物(表に記載された混合物を破砕し、最大粒径0.3mmの粒子粉末としたもの。粒子粉末の外観写真を
図7に示す。)を8.00gと、杉チップ(最大粒径0.5mm、含水率10%)を8.00gとを混合した。混合物を平板用のプレス型に入れて200℃で5分間、圧力を10MPa、20MPa、30MPa又は50MPaとしながら加熱加圧したところ、いずれに圧力下においても、高さ約5.00mm、幅約50.00mm、長さ約65.00mmの平板状の熱硬化物が得られた。
【0047】
【表1】
OPC:普通ポルトランドセメント
BFS:高炉スラグ微粉末
BFSS:高炉スラグ細骨材
BFSG:高炉スラグ粗骨材
W:水
AE:AE減水剤
LS:石灰石
NS:砕砂
NG:砕石
【0048】
得られた各熱硬化物の外観写真を
図8に示す。
図8の写真の熱硬化物の表面には、各熱硬化物の識別のために、マジックペンによるメモ書きがされている。写真左から、表中のOPC-C、B50-C、BSBG100-C、LS-Cとの表記の無機物を用いて加熱処理して得られた熱硬化物である。また、各熱硬化物の曲げ強さを
図9に示す。
図9のグラフは、横軸が用いた各無機物、縦軸が曲げ強さである。この結果から、様々な無機物を用いて十分な強度の熱硬化物が得られることが分かった。
【0049】
(実施例8)
破砕したセメントコンクリート(最大粒径0.3mm)と、杉チップ(最大粒径1.0mm、含水率10%)とを、重量割合が2:1(セメントコンクリート10.67gと杉チップ5.33g)、1:1(セメントコンクリート8.00gと杉チップ8.00g)又は1:2(セメントコンクリート5.33gと杉チップ10.67g)になるように混合した。混合物を平板用のプレス型に入れて200℃で5分間、圧力を50MPaとしながら加熱加圧したところ、いずれに圧力下においても、高さ約5.00mm、幅約50.0mm、長さ約65.00mmの平板状の熱硬化物が得られた。
得られた各熱硬化物の外観写真を
図10に示す。
図10の写真の熱硬化物の表面には、各熱硬化物の識別のために、マジックペンによるメモ書きがされている。写真左から、セメントコンクリート:杉チップが2:1、1:1、1:2との割合の材料から得られた熱硬化物である。また、各熱硬化物の曲げ強さを
図11に示す。
図11のグラフは、横軸が、材料の割合(セメントコンクリート:杉チップ)、縦軸が曲げ強さである。
図11には、加熱時の温度を200℃から、180℃又は220℃に変更した試験の結果も併せて記載されている。
図11の一番下の折れ線グラフが加熱時の温度を180℃として得られた熱硬化物の曲げ強さを表すグラフである。その上の折れ線グラフが、加熱時の温度を200℃として得られた熱硬化物の曲げ強さを表すグラフである。さらにその上の折れ線グラフが、加熱時の温度を220℃として得られた熱硬化物の曲げ強さを表すグラフである。これらの結果から、様々な材料割合において十分な強度の熱硬化物が得られることが分かった。
【0050】
(実施例9)
杉チップの最大粒径を1.0mmから0.5mmに変更した以外は実施例8と同様にして熱硬化物を作製し、曲げ強さを測定した。
得られた各熱硬化物の外観写真を
図12に示す。
図12の写真の熱硬化物の表面には、各熱硬化物の識別のために、マジックペンによるメモ書きがされている。写真左から、セメントコンクリート:杉チップが2:1、1:1、1:2との割合の材料から得られた熱硬化物である。また、各熱硬化物の曲げ強さを
図13に示す。
図13のグラフは、横軸が、材料の割合(セメントコンクリート:杉チップ)、縦軸が曲げ強さである。
図13には、加熱時の温度を200℃から、180℃又は220℃に変更した試験の結果も併せて記載されている。
図13の一番下の折れ線グラフが加熱時の温度を180℃として得られた熱硬化物の曲げ強さを表すグラフである。その上の折れ線グラフが、加熱時の温度を200℃として得られた熱硬化物の曲げ強さを表すグラフである。さらにその上の折れ線グラフが、加熱時の温度を220℃として得られた熱硬化物の曲げ強さを表すグラフである。これらの結果から、様々な材料割合において十分な強度の熱硬化物が得られることが分かった。
【0051】
(実施例10)
杉チップの最大粒径を1.0mmから0.178mmに変更した以外は実施例8と同様にして熱硬化物を作製し、曲げ強さを測定した。
得られた各熱硬化物の外観写真を
図14に示す。
図14の写真の熱硬化物の表面には、各熱硬化物の識別のために、マジックペンによるメモ書きがされている。写真左から、セメントコンクリート:杉チップが2:1、1:1、1:2との割合の材料から得られた熱硬化物である。また、各熱硬化物の曲げ強さを
図15に示す。
図15のグラフは、横軸が、材料の割合(セメントコンクリート:杉チップ)、縦軸が曲げ強さである。
図15には、加熱時の温度を200℃から、180℃又は220℃に変更した試験の結果も併せて記載されている。
図15の一番下の折れ線グラフが加熱時の温度を180℃として得られた熱硬化物の曲げ強さを表すグラフである。その上の折れ線グラフが、加熱時の温度を200℃として得られた熱硬化物の曲げ強さを表すグラフである。さらにその上の折れ線グラフが、加熱時の温度を220℃として得られた熱硬化物の曲げ強さを表すグラフである。これらの結果から、様々な材料割合において十分な強度の熱硬化物が得られることが分かった。