(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体、この製造方法及びこれを用いて製造された成型品
(51)【国際特許分類】
C08L 69/00 20060101AFI20221014BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20221014BHJP
【FI】
C08L69/00 ZBP
C08L101/16
(21)【出願番号】P 2021534106
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 KR2019018251
(87)【国際公開番号】W WO2020130736
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-02-24
(31)【優先権主張番号】10-2018-0166051
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン-キョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、スン-ヨン
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/003191(WO,A1)
【文献】特開2006-265395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 69/00
C08L 101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続相と分散相を含み、
前記分散相のドメインサイズが0.2μmから1.0μmであり、
ハロゲン成分を含まず、非ハロゲンエーテル系溶媒を
0.02質量%以上0.1重量%以下で含む、ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体。
【請求項2】
前記非ハロゲンエーテル系溶媒は、1,3-ジオキソラン、1,2-ジオキソラン及びジオキサンからなる群から選択される1種以上のものである、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体。
【請求項3】
前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体は、ポリアルキレンカーボネートとポリ乳酸を1:9から9:1の重量比で含むものである、請求項1または2に記載のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体。
【請求項4】
前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体は、脂肪族/芳香族ポリエステルをさらに含むものである、請求項1~3のいずれかに記載のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体。
【請求項5】
前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体は、ポリアルキレンカーボネート、ポリ乳酸及び脂肪族/芳香族ポリエステルを1:1:0.1から5:5:1の重量比で含むものである、請求項4に記載のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体。
【請求項6】
前記ポリアルキレンカーボネートは、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリペンテンカーボネート、ポリヘキセンカーボネート、ポリオクテンカーボネート及びポリシクロヘキセンカーボネートからなる群から選択される1種以上のものである、請求項1~5のいずれかに記載のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体。
【請求項7】
前記ポリアルキレンカーボネートは、重量平均分子量が10,000g/molから1,000,000g/molであるものである、請求項1~6のいずれかに記載のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体。
【請求項8】
前記ポリ乳酸は、重量平均分子量が70,000g/molから300,000g/molであるものである、請求項1~7のいずれかに記載のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体。
【請求項9】
前記脂肪族/芳香族ポリエステルは、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート及びポリブチレンカーボネートからなる群から選択される1種以上のものである、請求項4または5に記載のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体。
【請求項10】
前記脂肪族/芳香族ポリエステルは、重量平均分子量が10,000g/molから500,000g/molであるものである、請求項4、5および9のいずれかに記載のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体。
【請求項11】
段階1)非ハロゲンエーテル系溶媒の存在下で、ポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸を撹拌して混合溶液を製造する段階;及び
段階2)前記混合溶液を脱揮発させて押出する段階を含む、請求項1~10のいずれかに記載のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体の製造方法。
【請求項12】
前記段階1)は、撹拌時に脂肪族/芳香族ポリエステルをさらに用いるものである、請求項11に記載のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体の製造方法。
【請求項13】
前記非ハロゲンエーテル系溶媒は、1,3-ジオキソラン、1,2-ジオキソラン及びジオキサンからなる群から選択される1種以上のものである、請求項11または12に記載のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体の製造方法。
【請求項14】
請求項1~10のいずれかに記載のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体を用いて製造された成型品。
【請求項15】
前記成型品は、フィルム、包装材料、配向膜、射出成型品、ブロー成型品、ラミネート、テープ、不織布及び糸からなる群から選択される1種以上のものである、請求項14に記載の成型品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年12月20日付韓国特許出願第10-2018-0166051号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、優れた透明性及び柔軟性を有しながらも、機械的物性が改善されたポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体、この製造方法及びこれを用いて製造された成型品に関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチックは、製造の容易性と使用の便宜性により各種物品の素材として用いられており、包装フィルム、使い捨てコップ及び使い捨て皿のような使い捨て用品はもちろん、建築材料及び自動車内装材など多様な分野で用いられている。
【0004】
しかし、プラスチックの使用量が多くなるのに伴いプラスチック廃棄物の量が増加しているが、プラスチックは、自然環境で殆ど分解されないため、主に焼却処理を介して廃棄物を処理しており、焼却時に有毒ガスなどが排出され環境汚染をもたらすという問題がある。よって、最近には、自然環境においても自然に分解される生分解性プラスチックが開発されている。
【0005】
生分解性プラスチックは、化学構造に起因して水分で徐々に分解が起こるプラスチックであり、土壌や海水のような湿式環境では数週内に分解され始めて1年から数年内に消滅する。また、生分解性プラスチックの分解物は、人体に無害な成分、例えば、水や二酸化炭素に分解されるため、環境の被害が少ない。
【0006】
このような、生分解性プラスチックのうちの1つとしてポリ乳酸が広く知られている。前記ポリ乳酸は、優れた引張強度を有しているが、特有の硬い性質のため脆性が良くないので割れやすく、延伸率が10%未満なので機械的衝撃に安定的ではなく、熱的安定性が不足し、熱により容易に変形される欠点があるので加工し難いという問題がある。よって、柔軟性の向上のために可塑剤などを混合して用いるが、可塑剤は時間の経過に伴い成型品の表面に流れ出るので透明性などの品質を低下させるという問題がある。
【0007】
他の方案として、生分解性プラスチックであるポリアルキレンカーボネートを混合して柔軟性、透明性、ガス遮断性などの物性を向上させようとしたが、混合時にポリ乳酸とポリアルキレンカーボネートとの間の相溶性の問題で透明性、柔軟性及び引張強度のような機械的物性を確保することが容易でなく、混合の方法により各物質が有する固有の性質が影響を受けるので、目的とするだけの物性の確保が難しいという問題がある。
【0008】
このような問題を考慮し、韓国公開特許第10-2016-0108062号公報には、ポリアルキレンカーボネート/ポリ乳酸複合体をジクロロメタンのようなクロロ化溶媒を用いた溶媒混合法(溶液混合法)で製造する方案を開示している。しかし、溶媒混合法で製造されたポリアルキレンカーボネート/ポリ乳酸複合体は、引張特性、透明性及び柔軟性の側面においては優れた特性を示し得るが、クロロ化溶媒の場合、前記複合体に残存して複合体を用いた成型品の製造時、あるいは製造された成型品の使用中に表面に移動(migration)して人体に悪影響を及ぼすことがあるので、食品容器又は人体に直接的に接触する製品としては適用することができないという限界がある。
【0009】
したがって、優れた透明性、柔軟性及び機械的物性をバランスよく有しながらも、食品容器などの素材としても容易に適用することができる生分解性プラスチック材料の開発が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国特許出願公開第2016-0108062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、優れた透明性及び柔軟性を有しながらも、機械的物性が改善されたポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
併せて、本発明は、前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体を用いて製造される成型品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本発明は、連続相と分散相を含み、前記分散相のドメインサイズが0.2μmから1.0μmであり、ハロゲン成分を含まないものであるポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体を提供する。
【0015】
また、本発明は、非ハロゲンエーテル系溶媒の存在下で、ポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸を撹拌して混合溶液を製造する段階(段階1);及び、前記混合溶液を脱揮発させて押出する段階(段階2)を含む前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体の製造方法を提供する。
【0016】
併せて、本発明は、前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体を用いて製造される成型品を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体は、ポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸を溶液混合して製造されることにより、分散相のドメインサイズが0.2μmから1.0μmで微細ながらも均一に調節されることにより機械的物性及び柔軟性に優れ、透明性が効果的に改善され、その後、成型品の製造に用いられて加工安定性に優れ得る。また、前記複合体は、非ハロゲンエステル系溶媒の存在下で製造されることにより、食品容器のように人体に直接的に影響を与え得る製品にも容易に適用することができる。
【0018】
また、本発明によるポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体の製造方法は、低毒性の非ハロゲンエーテル系溶媒を用いてポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸を溶液混合することにより物質間の相溶性に優れるので、透明性、柔軟性及び機械的物性に優れ、より親環境的な複合体を製造することができる。
【0019】
併せて、本発明による成型品は、ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体を用いて製造されることにより、透明性、柔軟性及び機械的物性に優れ得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書の下記図は、本発明の具体的な実施形態を例示するものであり、前述した発明の内容とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を担うものなので、本発明は、かかる図に記載された事項にのみ限定して解釈されてはならない。
【
図1】本発明の一実施形態に係る実施例1のペレット形態の複合体断面の電子走査顕微鏡(SEM)のイメージである。
【
図2】本発明の一実施形態に係る比較例1のペレット形態の複合体断面の電子走査顕微鏡(SEM)のイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に対する理解を深めるために本発明をさらに詳しく説明する。
【0022】
本発明の説明及び特許請求の範囲において用いられた用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最善の方法によって説明するために、用語の概念を適宜定義することができるという原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0023】
本発明で用いられる用語及び測定の方法は、別に定義しない限り、下記のように定義され得る。
【0024】
[用語]
本発明において用いる用語「複合体(composite)」は、2つ以上の物質が組み合わされ物理的及び化学的に優れた物性を有する状態の物質を示すものであり、例えば、本発明におけるポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体は、マスターバッチ(master batch)を含む意味であってよい。ここで、前記マスターバッチは、プラスチックを高濃度で配合して分散させておいたペレットを示すものであって、成型品の製造時、原料プラスチックとともに混ぜて加工成型することにより、前記マスターバッチが有する優れた物性を成型品に容易に発現させることができる。
【0025】
本発明において用いる用語「相溶性(compatibility)」は、互いに異なる物質が混合される際に相互間に均一に混合されるか分散される性質を示すものである。
【0026】
本発明において用いる用語「ドメイン(domain)」は、連続相と分散相が混在している系で連続相と分散相の境界面にて区分された分散相の領域を示すものである。
【0027】
本発明において用いる用語「連続相(continuous phase)」は、2つの相が混在している系で分散されている相を取り囲んで連続している相を意味するものであり、マトリックス(matrix)とも呼ばれる。また、本発明において用いる用語「分散相(dispersed phase)」は、分散系を構成している物質、すなわち2つの相が混在している系で粒子を構成している相を意味するものである。
【0028】
一方、本発明のポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体において、連続相と分散相は、複合体の製造において用いられたポリアルキレンカーボネートとポリ乳酸の混合比率により連続相と分散相が決定されてよく、例えば、ポリアルキレンカーボネートとポリ乳酸のうち実質的な混合比率が高い物質が連続相となり得る。
【0029】
[測定方法]
本発明における「重量平均分子量(g/mol)」は、GPC(Gel permeation Chromatography)分析を介して測定し、具体的に、GPCは、PLgel Olexis(Polymer Laboratories社製)カラム二本とPLgel mixed-C(Polymer Laboratories社製)カラム一本とを組み合わせて使用し、クロロホルムを測定溶媒として用いて、1.0ml/minの流量、40℃のカラム温度で示差屈折率検出器(RI)にて測定し、分子量計算時のGPC基準物質(Standard material)はPS(polystyrene)を用いた。
【0030】
本発明は、非ハロゲンエーテル系溶媒の存在下でポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸を溶液混合する後述の製造方法によって製造されることにより、分散相のドメインサイズが特定の範囲に微細かつ均一に調節され得、よって、機械的物性及び柔軟性に優れながらも透明性に著しく優れ、ハロゲン成分を含まないことにより、食品容器のように、人体に直接的に影響を与え得る製品などに広範囲な素材として適用され得るポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体を提供する。本発明の一実施形態に係る前記複合体は、連続相及び分散相を含み、前記分散相のドメインサイズが0.2μmから1.0μmであり、ハロゲン成分を含まないことを特徴とする。
【0031】
プラスチックの使用量の増加に伴い、廃棄物問題及び環境問題が台頭しており、よって、自然環境においても自然に分解される生分解性プラスチックの使用が拡大されている。一方、ポリ乳酸は、生分解性プラスチックとして最も広く知られたものであって、高剛性の優れた機械的物性を有しているが、柔軟性が不足して産業への適用に限界があり、これを補完するため、通常、可塑剤又はポリアルキレンカーボネートのような他の生分解性プラスチックを混合して用いているが、前記可塑剤の場合には時間の経過に伴い製品の表面に流れ出て製品の透明性などの外観特性を低下させるという問題がある。
【0032】
また、ポリアルキレンカーボネートとの混合時には、通常、溶融混合又は溶液混合で行われるところ、溶融混合の場合、混合時に2つのプラスチックが溶融(melt)状態で混合されるので、溶媒に完全に溶解された状態に比べて2つのプラスチック間の混合が均一になされない部分が発生することがあり、結果として透明性、柔軟性及び機械的物性がバランスよく確保され得ないという問題がある。一方、溶液混合の場合には、2つのプラスチックにおいて溶媒による高分子膨潤(swelling)が起こり、高分子鎖(chain)が解けた状態で混合が行われるため一層均一に混合され得るが、プラスチックを容易に溶解させることができる溶媒が用いられなければならないので、通常、ハロゲン系溶媒のように有毒な溶媒を用いて行われ、よって、ハロゲン系溶媒から由来された人体に有毒なハロゲン成分が残留し、食品容器のように、人体に直接的に影響を与え得る製品には適用することができないという限界がある。
【0033】
しかし、本発明による前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体は、ポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸を含むことにより機械的物性が改善され、安定性が改善されるので、これを成型品の製造に用いる際に成型安定性に優れ、低毒性の非ハロゲンエーテル系溶媒の存在下で溶液混合によって配合されることにより均一な配合物を形成することができ、マトリックス内の分散相のドメインサイズが特定の範囲に均一に調節されるので、透明性、柔軟性及び機械的物性にバランスよく優れ、食品容器のように、人体に直接的に影響を与え得る製品にも容易に適用することができる。
【0034】
具体的に、本発明の一実施形態に係る前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体は、後述する製造方法で製造されたもの、すなわち、非ハロゲンエーテル系溶媒の存在下でポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸を溶液混合して製造され、ハロゲン成分を含まないものであって、連続相及び分散相を含み、前記分散相のドメインサイズが0.2μmから1.0μmであってよく、よって、透明性が著しく改善されるという効果がある。
【0035】
また、前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体は、ハロゲン成分を含まず、非ハロゲンエーテル系溶媒を複合体の全体100重量%を基準として0.1重量%以下で含むものであってよい。
【0036】
前記非ハロゲンエーテル系溶媒は、ハロゲン元素を含有しない低毒性の有機溶媒として、ポリアルキレンカーボネート、ポリ乳酸及び脂肪族/芳香族ポリエステルを容易に溶解させることができるものであれば、特に限定するものではないが、具体的には、1,3-ジオキソラン(1,3-dioxolane)、1,2-ジオキソラン(1,2-dioxolane)、及びジオキサン(dioxane)からなる群から選択される1種以上であってよく、さらに具体的には、1,3-ジオキソランであってよい。このように、前記複合体は、ハロゲン成分を含まないことにより、食品容器のような、人体に直接的に影響を与え得る製品にも容易に適用することができるので、産業上の適用可能性に非常に優れるという効果がある。
【0037】
また、前記複合体は、ポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸を含むものであって、前記ポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸を1:9から9:1の重量比、具体的には1:1から7:3の重量比で含むものであってよい。この場合、ポリアルキレンカーボネートとポリ乳酸による透明性、柔軟性及び機械的物性がバランスよく発現され、前記透明性、柔軟性及び機械的物性に優れ得る。
【0038】
また他の例として、本発明の一実施形態に係る前記複合体は、脂肪族/芳香族ポリエステルをさらに含むものであってよく、すなわち、前記複合体は、ポリアルキレンカーボネート、ポリ乳酸及び脂肪族/芳香族ポリエステルを溶液混合して製造されたものであってよい。
【0039】
この場合、前記複合体は、ポリアルキレンカーボネート、ポリ乳酸及び脂肪族/芳香族ポリエステルを含むものであって、前記ポリアルキレンカーボネート、ポリ乳酸及び脂肪族/芳香族ポリエステルを1:1:0.1から5:5:1(あるいは1から5:1から5:0.1から1)の重量比で含むものであってよい。前記比率で含む場合、ポリアルキレンカーボネートとポリ乳酸による透明性、柔軟性及び機械的物性がバランスよく発現され得、脂肪族/芳香族ポリエステルによって柔軟性、機械的物性及び加工安定性がより向上され得る。
【0040】
本発明において、前記ポリアルキレンカーボネート(polyalkylene carbonate)は、-COO-(CH2)n-CH2CH2O-(nは2~12の整数)の繰り返し単位を有する高分子であって、具体的には、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリペンテンカーボネート、ポリヘキセンカーボネート、ポリオクテンカーボネート及びポリシクロヘキセンカーボネートからなる群から選択される1種以上のものであってよく、さらに具体的には、ポリエチレンカーボネート又はポリプロピレンカーボネートであってよい。
【0041】
また、前記ポリアルキレンカーボネートは、重量平均分子量が10,000g/molから1,000,000g/mol、具体的には50,000g/molから500,000g/mol又は100,000g/molから200,000g/molであってよい。この場合、これを含む複合体の柔軟性に優れ得る。
【0042】
一方、本発明において、前記ポリアルキレンカーボネートは、有機溶媒中で有機金属触媒の存在下でエポキシド系化合物と二酸化炭素をモノマーとして用い、共重合を介して製造された共重合体又は三元重合体であってよい。
【0043】
このとき、前記エポキシド系化合物は、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ペンテンオキシド、2-ペンテンオキシド、1-ヘキセンオキシド、1-オクテンオキシド、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド及びブタジエンモノオキシドからなる群から選択される1種以上であってよく、前記二酸化炭素は、例えば、5から30気圧に調節されるものであってよく、共重合は20~120℃で行われるものであってよい。
【0044】
また、前記有機溶媒は、例えば、ペンタン、オクタン、デカン及びシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどのような芳香族炭化水素、クロロメタン、メチレンクロライド、クロロホルム、カーボンテトラクロライド、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、エチルクロライド、トリクロロエタン、1-クロロプロパン、2-クロロプロパン、1-クロロブタン、2-クロロブタン、1-クロロ-2-メチルプロパン、クロロベンゼン及びブロモベンゼンのようなハロゲン化炭化水素のうちいずれか1つ以上であってよい。
【0045】
また、前記ポリ乳酸(polylatic acid)は、乳酸を単量体にして製造された高分子であって、ポリ(L-乳酸)、ポリ(D-乳酸)及びポリ(L,D-乳酸)からなる群から選択される1種以上のものであってよい。
【0046】
また、前記ポリ乳酸は、重量平均分子量が70,000g/molから300,000g/molであるものであってよく、この場合、機械的物性に一層優れ得る。
【0047】
また、本発明において、前記脂肪族/芳香族ポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体由来単位と、芳香族脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体由来単位とを有するポリエステル化合物であって、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体及び脂肪族二価アルコールの重縮合反応によって製造されるものであってよい。
【0048】
前記脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体は、例えば、コハク酸、グルタル酸、マロン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ノナジカルボン酸、及びこれらのC1~12アルキル又はアリールエステル誘導体からなる群から選択される1種以上であってよく、前記芳香族ジカルボン酸又はその誘導体は、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタリン-2,6-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン酸ジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、又はこれらのアルキルエステルからなる群から選択される1種以上であってよい。また、前記脂肪族二価アルコールは、例えば、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,3-オクタンジオール、1,4-オクタンジオール、1,5-オクタンジオール及び1,6-オクタンジオールからなる群から選択される1種以上であってよい。
【0049】
具体的に、前記脂肪族/芳香族ポリエステルは、ポリブチレンアジペートテレフタレート(polybutylene adipate-co-terephthalate)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(polybutylene succinate-co-terephthalate)、ポリブチレンサクシネートアジペート(polybutylene succinate-co-adipate)、ポリブチレンサクシネート(polybutylene succinate)及びポリブチレンカーボネート(polybutylene carbonate)からなる群から選択される1種以上のものであってよく、さらに具体的には、ポリブチレンアジペートテレフタレートであってよい。
【0050】
また、前記脂肪族/芳香族ポリエステルは、重量平均分子量が10,000g/molから500,000g/mol、具体的には30,000から150,000であってよく、この場合、これを含む複合体の機械的物性に一層優れ得る。
【0051】
また、本発明は、前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体の製造方法を提供する。
【0052】
本発明の一実施形態に係る前記製造方法は、非ハロゲンエーテル系溶媒の存在下で、ポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸を撹拌して混合溶液を製造する段階(段階1);及び、前記混合溶液を脱揮発させて押出する段階(段階2)を含むことを特徴とする。
【0053】
ここで、非ハロゲンエーテル系溶媒、ポリアルキレンカーボネート、ポリ乳酸及び脂肪族/芳香族ポリエステルの具体的な説明は前述したとおりである。
【0054】
前記段階1は、ポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸を均一に混合して混合溶液を製造するための段階であって、非ハロゲンエーテル系溶媒の存在下でポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸を混合して行うことができ、このとき、混合は撹拌して行うことができる。
【0055】
他の一例として、前記段階1は、撹拌時に脂肪族/芳香族ポリエステルをさらに用いてよく、すなわち、前記段階1は、非ハロゲンエーテル系溶媒の存在下でポリアルキレンカーボネート、ポリ乳酸及び脂肪族/芳香族ポリエステルを混合して行うことができる。
【0056】
このとき、前記混合溶液をポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸を混合して製造する場合には、前記ポリアルキレンカーボネートとポリ乳酸は1:9から9:1の重量比、具体的には1:1から7:3で混合するものであってよく、前記混合溶液をポリアルキレンカーボネート、ポリ乳酸及び脂肪族/芳香族ポリエステルを混合して製造する場合には、前記ポリアルキレンカーボネート、ポリ乳酸及び脂肪族/芳香族ポリエステルは1:1:0.1から5:5:1の重量比で混合するものであってよく、本発明において、前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体は、ポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸;又はポリアルキレンカーボネート、ポリ乳酸及び脂肪族/芳香族ポリエステルを溶液混合して製造されたものであって、何らかの化学的合成が起こったり、混合後に洗浄したりするものではないため、投入された比率が複合体内のポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸;又はポリアルキレンカーボネート、ポリ乳酸及び脂肪族/芳香族ポリエステルの比率と同一であってよい。
【0057】
一方、前記撹拌は、ポリアルキレンカーボネート及びポリ乳酸;又はポリアルキレンカーボネート、ポリ乳酸及び脂肪族/芳香族ポリエステルが非ハロゲンエーテル系溶媒内に完全に溶解されて均一な混合溶液を形成するように十分混合されさえすれば、特に限定せずに行ってよいが、例えば、25℃から100℃の温度範囲で0rpm超過、50rpmの撹拌速度で0.1時間から1時間の間行うことであってよい。この場合、均一な混合溶液を製造することができる。
【0058】
前記段階2は、混合溶液から溶媒を除去し、これを押出してポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体を製造するための段階であって、前記混合溶液を脱揮発させて押出して行ってよく、製造された前記複合体はペレット状を有してよい。
【0059】
前記脱揮発は、混合溶液から非ハロゲンエーテル系溶媒のみを完全に除去することができるものであれば特に限定せず、通常の方法により行ってよいが、例えば、50℃から120℃の温度範囲で行ってよく、このとき、圧力をかけるか常圧で進めてよく、具体的に、圧力をかける場合、1.33×10-6kPa以上、101.325kPa未満の圧力範囲で適宜調節してよい。この場合、混合溶液から溶媒のみが容易に除去され得る。
【0060】
また、前記押出は、通常の方法により行うことができ、例えば、二軸押出機(twin-screw extruder)、一軸押出機(single-screw extruder)、ロールミル(roll-mills)、ニーダー(kneader)又はバンバリーミキサー(banbury mixer)などの配合加工機器のうち1つを用いて行うことができる。
【0061】
併せて、本発明は、前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体を用いて製造された成型品を提供する。
【0062】
本発明の一実施形態に係る前記成型品は、前記複合体を射出などの加工をして製造したものであってよく、また他の例としては、前記複合体にポリアルキレンカーボネート、ポリ乳酸などのプラスチックを溶融混合した後、これを射出などの加工をして製造したものであってよく、この場合、本発明による前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体は、マスターバッチで適用されたものであってよい。
【0063】
また、本発明の一実施形態に係る前記成型品は、例えば、フィルム、包装材料、配向膜、射出成型品、ブロー(blow)成型品、ラミネート、テープ、不織布及び糸からなる群から選択される1種以上のものであってよい。ここで、前記成型品は、食品容器及び人体に直接的な接触が要求される製品の用途のいずれも含んでよい。
【0064】
本発明による前記成型品は、前記ポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体を用いて製造されることにより、透明性、柔軟性及び機械的物性にいずれも優れ得る。
【0065】
以下、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるよう、本発明の実施形態に対して詳細に説明する。しかし、本発明は幾つか異なる形態に具現されてよく、ここで説明する実施例に限定されない。
【0066】
(実施例1)
1,3-ジオキソランの存在下で、ポリエチレンカーボネート(Mw 140,000g/mol)及びポリ乳酸(PLA 2003D、NatureWorks社製)が完全に溶けるまで撹拌し、混合溶液を製造した。このとき、ポリエチレンカーボネート及びポリ乳酸は1:1の重量比で混合し、製造された混合溶液は、脱揮発工程を介して1,3-ジオキソランを除去し、押出機(extruder)を用いてペレット形態の複合体を製造した。
【0067】
(実施例2)
実施例1において、ポリエチレンカーボネート及びポリ乳酸の代わりにポリエチレンカーボネート、ポリ乳酸及びポリブチレンアジペートテレフタレート(Mw 130,000g/mol)を5:5:1の重量比で混合して混合溶液を製造したことを除いては、実施例1と同一に行ってペレット形態の複合体を製造した。
【0068】
(実施例3)
実施例2において、ポリエチレンカーボネート、ポリ乳酸及びポリブチレンアジペートテレフタレート(Mw 130,000g/mol)を1:1:0.1の重量比で混合して混合溶液を製造したことを除いては、実施例2と同一に行ってペレット形態の複合体を製造した。
【0069】
(比較例1)
ペレット形態のポリエチレンカーボネート(Mw 140,000g/mol)及びポリ乳酸(PLA 2003D、NatureWorks社製)を1:1の重量比でペレットが均一に混ざるようにし、押出機(extruder)を用いて混合ペレットを溶融混合し、ペレット形態の複合体を製造した。
【0070】
(比較例2)
ペレット形態のポリエチレンカーボネート(Mw 140,000g/mol)、ポリ乳酸(PLA 2003D、NatureWorks社製)及びポリブチレンアジペートテレフタレート(Mw 130,000g/mol)を5:5:1の重量比でペレットが均一に混ざるようにし、押出機(extruder)を用いて混合ペレットを溶融混合し、ペレット形態の複合体を製造した。
【0071】
(比較例3)
実施例2において、1,3-ジオキソランの代りにジクロロメタンを用いたことを除いては、実施例2と同一に行ってペレット形態の複合体を製造した。
【0072】
(実験例1)
NMRを用いて実施例及び比較例の各複合体ペレット内に残留する溶媒の含量を測定し、各ペレットの断面を電子走査顕微鏡で確認し、各複合体のマトリックス内の分散相の粒子の大きさを測定した。結果は、下記表1に示した。
【0073】
(1)NMR分析
NMR分析は、三重共鳴5mmプローブ(probe)を有するVarian Unity Inova(500MHz)分光計を含むNMR分光計を用いて常温(約25℃)で行った。NMR測定用溶媒(CDCl3)に各ペレットを10mg/ml程度の濃度で希釈させ、サンプルとして用いた。
【0074】
(2)電子走査顕微鏡(SEM)分析
電子走査顕微鏡の分析は、FESEM SU-8020を用いて加速電圧5kV、Emission current 10μAの条件で各ペレットの断面形状を確認し、
図1及び
図2に示した。各ペレットの断面SEMイメージから30個の分散相のドメインサイズを確認した。
【0075】
【0076】
一方、複合体の製造時に用いられた一つの原料物質であるポリエチレンカーボネートは、その製造時に1,3-ジオキソランが用いられ、よって、ポリエチレンカーボネートに1,3-ジオキソランが少量含まれていることがある。よって、前記表1、比較例1及び比較例2で検出された1,3-ジオキソランは、原料物質として用いられたポリエチレンカーボネートから起因したものである。
【0077】
前記表1で確認されるとおり、実施例1から実施例3は、比較例1及び比較例2に比べ分散相のドメインサイズの分布が0.2から1.0μmで、比較例1及び2に比べて非常に狭いことを確認した。また、
図1及び
図2を介してより画然たる差異を確認した。
図1は、分散相のドメインが殆ど一定の大きさで均一に分布しているが、
図2は、分散相のドメインサイズが相対的に非常に小さいものから非常に大きいものまで多様なサイズを示した。このとき、
図1は、実施例1のペレット断面のSEMイメージであり、
図2は、比較例1のペレット断面のSEMイメージである。
【0078】
前記結果を介し、本発明によるポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体は、溶液混合に製造されることにより、分散相のドメインサイズが微細で均一な特性を有することを確認した。
【0079】
また、表1に示されるとおり、実施例1から3は、ハロゲン成分が含まれていないので、食品容器のような産業分野にも広く用いられ得ることを確認した。
【0080】
(実験例2)
実施例及び比較例の各複合体ペレットからブローフィルムを製造し、これを用いて引張強度、延伸率、引裂強度及びヘイズ(Haze)を測定した。結果は、下記表2に示した。
【0081】
一方、前記各複合体ペレットのブローフィルムは、各ペレットを一軸押出機(single screw extruder、Blown Film M/C、50ファイ、L/D=20)を用いて押出温度150℃で0.06mmの厚さになるようにインフレーション成型してブローフィルムを製造した。このとき、ダイキャップ(die cap)は2.0mm、膨張比(blown-up ratio)は2.3とした。
【0082】
1)引張強度(kgf/cm2)及び延伸率(%)
UTM-5566(Universal Testing Machine、Instron社製)を用いて、ASTM D638規定によりダンベル状の試片5個をそれぞれ製作した後、50mm/minの速度で引張強度を測定し、各々試片5個に対する引張強度を測定し、その平均値で結果を示した。
【0083】
また、延伸率は、引張強度と同一の条件で測定し、ただし、各々5個の試片に対して切断される際までの延伸率を測定し、その平均値で結果を示した。一方、延伸率は、フィルムの柔軟性を表す尺度であって、150%以上であれば柔軟性に十分優れることを示す。
【0084】
2)引裂強度(kg/cm)
UTM-5566(Universal Testing Machine、Instron社製)を用いて、ASTM D1004規定により試片5個を各々製作した後、50mm/minの速度で引裂強度を測定し、試片5個に対する引裂強度を測定し、その平均値で結果を示した。
【0085】
3)ヘイズ(Haze、%)
5cm×5cm×0.3mm(横×縦×厚さ)の試片を製作した後、ASTM D1003の規定により、HM-150 Hazemeter(Murakami社製、JP)を用いて400nm~700nm波長の光を透過させて測定し、結果値として全透過光に対する散乱光を測定した不透明度(Haze、%)値を示した。ここで、ヘイズ(Haze)値が低いほど、透明性に優れることを示す。
【0086】
【0087】
前記表2に示されているとおり、本発明による実施例1から3は、比較例1から3に比べ、引張強度、延伸率、引裂強度及びヘイズにいずれもバランスよく優れた特性を示すことを確認した。具体的に、実施例1から3は、比較例1及び2に比べ、引張強度は約11%から26%、引裂強度は約27%から66%の水準に著しく向上され、ヘイズも1/4から1/24の水準に著しく減少した数値を示した。一方、このとき、実施例1から3の延伸率は、いずれも150%を超過して優れた特性を示した。これは、本発明の一実施形態に係るポリアルキレンカーボネート-ポリ乳酸複合体は溶液混合で製造されることにより、溶融混合に比べて物質間の相溶性に大きく優れることができ、よって、柔軟性及び機械的物性に優れながらも、透明性が著しく改善され得ることを示す結果である。
【0088】
また、実施例1から3は、比較例3に比べて引張強度、延伸率、引裂強度及びヘイズ値が改善され、特に、実施例2は、溶媒を除いては比較例3と同一の条件で製造されたものであって、ヘイズ値は同等以上の優れた水準を示しながらも、引張強度は8%、引裂強度は4%の水準に向上され、特に、延伸率は約172%に著しく向上された。一方、比較例3の場合、延伸率が150%未満と非常に低い数値を示しており、これは、比較例3は柔軟性が大きく減少することを示すものである。