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  • 特許-研磨ヘッドおよび研磨装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】研磨ヘッドおよび研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/30 20120101AFI20221014BHJP
   B24B 37/005 20120101ALI20221014BHJP
   H01L 21/304 20060101ALN20221014BHJP
【FI】
B24B37/30 E
B24B37/005 A
H01L21/304 622K
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018176354
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020044626
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100203611
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 大地
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】柏木 誠
(72)【発明者】
【氏名】石井 遊
(72)【発明者】
【氏名】吉田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢一
(72)【発明者】
【氏名】戸川 哲二
(72)【発明者】
【氏名】安田 穂積
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-094301(JP,A)
【文献】特開2002-252192(JP,A)
【文献】特開2015-039742(JP,A)
【文献】特開2006-176341(JP,A)
【文献】特開2002-046059(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0256414(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/30
B24B 37/005
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨テーブルに取り付けられた研磨パッドによって角形の基板を研磨するための研磨装置の研磨ヘッドであって、
ヘッド本体部と、
前記ヘッド本体部の、前記研磨テーブルに対向すべき面に設けられた複数の弾性バッグと、
前記基板を保持するための基板保持プレートであって、前記弾性バッグによって前記ヘッド本体部から離れる方向に押圧される、基板保持プレートと、
を備え、
前記ヘッド本体部には、前記弾性バッグのそれぞれの内部空間に流体を供給するための、前記弾性バッグのそれぞれと連通するバッグ用流路が設けられており、
前記研磨ヘッドはさらに、前記弾性バッグと前記基板保持プレートとの間に設けられた、少なくとも2つのサポートプレートを備え、
前記弾性バッグは、前記サポートプレートを介して前記基板保持プレートを押圧
前記サポートプレートの剛性は前記弾性バッグの剛性より高く、
前記基板保持プレートの剛性は前記弾性バッグの剛性より高い、
研磨ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の研磨ヘッドであって、
前記サポートプレートは前記基板保持プレートよりも高い剛性を備える、
研磨ヘッド。
【請求項3】
請求項1または2に記載の研磨ヘッドであって、前記弾性バッグは、前記基板の形状にあわせて行列状に設けられている、研磨ヘッド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨ヘッドであって、前記サポートプレートと前記基板保持プレートの接触面積の合計は、前記サポートプレートと前記弾性バッグの接
触面積の合計より大きい、研磨ヘッド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の研磨ヘッドであって、前記弾性バッグのうち、前記基板の外周部の押圧力を制御するための弾性バッグの大きさが、他の弾性バッグの大きさより小さい、研磨ヘッド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の研磨ヘッドであって、
前記バッグ用流路のうち、
前記基板の、ある領域を押圧するための第1の弾性バッグと、
前記基板のうち、前記第1の弾性バッグにより押圧される領域と基板の中心について対称な位置にある領域を押圧するための第2の弾性バッグと、
に連通するバッグ用流路が合流している、研磨ヘッド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の研磨ヘッドであって、前記サポートプレートは、前記弾性バッグのそれぞれと前記基板保持プレートとの間にそれぞれ設けられている、研磨ヘッド。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の研磨ヘッドであって、
前記基板の、ある領域を押圧するための第3の弾性バッグと、
前記基板のうち、前記第3の弾性バッグにより押圧される領域と基板の中心について対称な位置にある領域を押圧するための第4の弾性バッグと、
が、同一の前記サポートプレートを共用するように構成される、研磨ヘッド。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の研磨ヘッドであって、
前記基板保持プレートと前記サポートプレートの間に設けられた軟質中間プレートをさらに備える、研磨ヘッド。
【請求項10】
研磨パッドを着脱可能に取り付けるための研磨テーブルであって、前記研磨パッドが取り付けられる、研磨テーブルと、
請求項1から9のいずれか一項に記載の研磨ヘッドであって、前記研磨テーブルと対向する、研磨ヘッドと、
を備える研磨装置。
【請求項11】
請求項10に記載の研磨装置であって、前記バッグ用流路に接続された圧力調整機構をさらに備える、研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨ヘッドおよび研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板を研磨パッドに押し付けて基板を研磨する装置が知られている。研磨パッドを備える基板研磨装置において、基板と研磨パッドの間の局所的な押圧力を調整するために、弾性体の膜部材(以下では単に「メンブレン」という。)が用いられる場合がある。たとえば特開2017-164901号公報(特許文献1)には、ヘッド本体の下方に設けられたメンブレンであって、周壁により複数の圧力室に区分けされたメンブレンを備える基板研磨装置が記載されている。特許文献1では、圧力室のそれぞれの内部圧力を独立して制御することにより、基板に加えられる押圧力を基板の領域ごとに調整することができる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-164901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板研磨装置の構成によっては、角形の基板を研磨する場合に、基板の角部の研磨量および辺部の中央の研磨量が大きくなりやすいことが知られている。したがって、角形の基板を研磨する場合、基板の角部および辺部の中央の付近の押圧力を局所的に調整できることが好ましい。しかし、特許文献1のように円状または環状に区分けされたメンブレンを用いる場合、角形の基板の角部および辺部の中央の付近で局所的に押圧力を調整することは困難である。
【0005】
そこで本願は、角形の基板を研磨するための好ましい構成を提供することを一つの目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、一実施形態として、研磨テーブルに取り付けられた研磨パッドによって角形の基板を研磨するための研磨装置の研磨ヘッドであって、ヘッド本体部と、ヘッド本体部の、研磨テーブルに対向すべき面に設けられた複数の弾性バッグと、基板を保持するための基板保持プレート(substrate holding plate)であって、弾性バッグによってヘッド本体部から離れる方向に押圧される、基板保持プレートと、を備え、ヘッド本体部には、弾性バッグのそれぞれと連通するバッグ用流路が設けられており、研磨ヘッドはさらに、弾性バッグと基板保持プレートとの間に設けられた、少なくとも2つのサポートプレートを備え、弾性バッグは、サポートプレートを介して基板保持プレートを押圧する、研磨ヘッドを開示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】研磨装置の正面図である。
図2A】研磨ヘッドの正面断面図である。
図2B】研磨ヘッドの底面図である。
図3】弾性バッグのうち、基板の外周部の押圧力を制御するための弾性バッグの大きさが他の弾性バッグの大きさより小さい研磨ヘッドの底面図である。
図4】全体として対称な形状に構成されたサポートプレートを備える研磨ヘッドの底面図である。
図5】軟質中間プレートを備える研磨ヘッドの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。ただし、用いられる図面は模式図である。したがって、図示された部品の大きさ、位置および形状などは、実際の装置における大きさ、位置および形状などとは異なり得る。図1は、一実施形態にかかる基板研磨装置100を示す正面図である。基板研磨装置100は、研磨テーブル110に取り付けられた研磨パッド111によって角形の基板を研磨するための装置である。なお、図1における左右方向をX方向(紙面右側を正)、紙面に垂直な方向をY方向(紙面手前側を正)、上下方向をZ方向(紙面上側を正)とする。図1の基板研磨装置100は、いわゆるロータリー式かつフェースダウン式(即ち、基板の被研磨面を下方に向けて研磨を行うタイプ)のCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)装置である。ただし、後述するように、基板研磨装置100はフェースアップ式のCMP装置であってもよい。図1の基板研磨装置100は、研磨テーブル110、研磨ヘッド120、液体吐出機構130を備える。また、基板研磨装置100には、圧力調整機構140が接続されている。基板研磨装置100はさらに、各要素を制御するための制御部150を備える。
【0009】
研磨テーブル110は、Z方向を軸として、XY平面内で回転可能に構成されている。より具体的には、研磨テーブル110は図示しないモータなどにより少なくとも1方向に回転可能である。研磨テーブル110の上面には研磨パッド111が着脱可能に取り付けられる。図1の研磨テーブル110は上部から見て反時計回りに回転可能である。
【0010】
研磨ヘッド120は研磨テーブル110に対向するように研磨テーブル110の上部に設けられている。研磨ヘッド120の下面には角形の基板121が着脱可能に取り付けられる。研磨ヘッド120は図示しないモータなどにより少なくとも1方向に回転可能である。図1の研磨ヘッド120は上部から見て反時計回り(研磨テーブル110の回転方向と同じ方向)に回転可能である。また、研磨ヘッド120は図示しないヘッド上下動機構により上下に移動可能である。研磨テーブル110上の研磨パッド111に基板121を押し付け、かつ、研磨テーブル110および研磨ヘッド120の少なくとも片方、好ましくは双方を回転させることにより、基板121は研磨される。なお、研磨テーブル110および研磨ヘッド120の回転方向は一例に過ぎない。
【0011】
液体吐出機構130は研磨液、薬液および/または洗浄液などの液体を研磨パッド111に向かって吐出するために設けられている。好ましくは、基板121の研磨中に液体吐出機構130から研磨液が吐出される。好ましくは、研磨パッド111および/または基板121の洗浄中に液体吐出機構130から洗浄液が吐出される。液体吐出機構130の具体的な構成、たとえば液体吐出機構130の個数、形状および位置、吐出される液体の種類および量ならびに液体を吐出するタイミングなどは適宜設定されてよい。
【0012】
圧力調整機構140は後述する弾性バッグ210(図2参照)のそれぞれの内部に流体を供給することおよび/またはそれぞれの内部から流体を取り除くための機構である。圧力調整機構140は、流体を供給することまたは流体を取り除くことにより、弾性バッグ210のそれぞれの内部圧力を独立して調整することが可能である。圧力調整機構140は基板研磨装置100の一部を構成する要素であってよい。追加または代替として、基板研磨装置100と独立した圧力調整機構140を用いることも可能である。また、図1の例では、圧力調整機構140は基板121を真空吸着する際の減圧機構としても働く。ただし、圧力調整機構140ではなく、別途設けられた真空発生器によって基板121を真空吸着してもよい。圧力調整機構140から供給される代表的な流体は空気である。しか
し、圧力調整機構140は、たとえば純水または窒素ガスなどの空気以外の流体を供給するよう構成されていてもよい。圧力調整機構140はバルブまたはレギュレータなど流体の流れを調整する機構を備えてよい。追加または代替として、研磨ヘッド120内部に設けられた流路(たとえばバッグ用流路201(図2参照))にバルブまたはレギュレータなどを設けてもよい。
【0013】
次に、研磨ヘッド120の構成について図2を用いて詳述する。図2Aは研磨ヘッド120の正面断面図である。また、図2Aには基板121が想像線で図示されている。さらに、図2Aには圧力調整機構140もあわせて図示されている。図2Bは研磨ヘッド120の底面図である。
【0014】
研磨ヘッド120は、ヘッド本体部200と、弾性バッグ210と、サポートプレート220と、基板保持プレート230を備える。好ましくは、研磨ヘッド120にはリテーナ240が設けられる。図2では、四角柱状のヘッド本体部200が図示されているが、ヘッド本体部200の形状は四角柱に限らない。
【0015】
図2の例では、5行5列(25個)の弾性バッグ210が設けられている(図2では代表して1つの弾性バッグ210にのみ符号が付されている)。好ましくは、弾性バッグ210は、研磨ヘッド120のうち基板121が支持される位置の上部に設けられる。好ましくは、弾性バッグ210は、基板121の形状にあわせて行列状にまたは敷き詰められるように設けられる。基板121の形状にあわせて弾性バッグ210を配列することで、基板121と研磨パッド111との間の局所的な押圧力を制御することが容易となる。
【0016】
図2では円柱状の弾性バッグ210が図示されているが、弾性バッグ210の形状は円柱状に限らない。たとえば角柱状の弾性バッグ210を用いることも可能である。弾性バッグ210は少なくともZ方向に伸縮可能な弾性体から形成された袋状の部材である。弾性バッグ210は、ヘッド本体部200の、研磨テーブル110に対向すべき面(図2では下面)に設けられている。
【0017】
弾性バッグ210のそれぞれの内部空間に流体を供給するために、ヘッド本体部200にはバッグ用流路201(図2では代表して1つのバッグ用流路201にのみ符号が付されている)が設けられている。より具体的には、それぞれの弾性バッグ210のためにバッグ用流路201が1つずつ設けられている。バッグ用流路201は圧力調整機構140に接続されている。すなわち、弾性バッグ210のそれぞれは、バッグ用流路201のそれぞれを介して圧力調整機構140に接続されている。なお、複数の弾性バッグ210が1つのバッグ用流路201に接続されてもよく、1つのバッグ用流路201が複数の圧力調整機構140に設けられてもよい。
【0018】
弾性バッグ210の内部の空間は、弾性バッグ210外部の空間と隔離されている。弾性バッグ210の内部の空間は密封された空間である。圧力調整機構140が弾性バッグ210に流体を供給すると、弾性バッグ210の内部の空間が加圧される。弾性バッグ210の内部の空間が加圧されると、弾性バッグ210は少なくともヘッド本体部200から離れる方向(この例ではZ軸負方向、すなわち図2Aの下方向)に伸長する。伸長した弾性バッグ210は、後述するサポートプレート220を介して後述する基板保持プレート230をヘッド本体部200から離れる方向に押圧する。換言すれば、弾性バッグ210が伸長する際に発生する圧力が、サポートプレート220を介して基板保持プレート230に伝達される。サポートプレート220により押された基板保持プレート230は、基板121をZ軸負方向に押す。
【0019】
圧力調整機構140が弾性バッグ210の内部の空間を減圧すると、弾性バッグ210
が基板121を押す力は弱くなる。弾性バッグ210のそれぞれの内部圧力を独立して調整することにより、基板121と研磨パッド111との間の押圧力を局所的に制御することが可能になる。
【0020】
弾性バッグ210は弾性体であるので、不定形である。したがって、弾性バッグ210が後述する基板保持プレート230を直接押す構造を採用した場合、弾性バッグ210が基板保持プレート230を押す面の形状は、隣合う弾性バッグ210の影響により不安定になり得る。また、弾性バッグ210が基板保持プレート230を直接押す構造を採用した場合、研磨時に基板保持プレート230に加わるX-Y方向の力により、弾性バッグ210が基板保持プレート230を押す面の位置がずれることがあり得る。そこで、弾性バッグ210と基板保持プレート230の間には、サポートプレート220が設けられている(図2では代表して1つのサポートプレート220にのみ符号が付されている)。図2の例では、サポートプレート220は、弾性バッグ210のそれぞれと前記基板保持プレートとの間にそれぞれ設けられている。図2のサポートプレート220のそれぞれは、弾性バッグ210のそれぞれと対応するように設けられているとも表現できる。図2のサポートプレート220は、底面が正方形である四角柱状である。しかし、サポートプレート220の形状は図2に示した形状に限らない。
【0021】
サポートプレート220の剛性は弾性バッグ210の剛性より高いことが好ましい。たとえば、サポートプレート220はステンレス鋼から形成されてよい。サポートプレート220の剛性を弾性バッグ210の剛性より高くすることで、弾性バッグ210が基板保持プレート230を押す面はサポートプレート220の形状に倣うことになり、隣合う弾性バッグ210の影響を受けずに押す面の形状を保持できるようになる。好ましくは、サポートプレート220は、基板121の形状にあわせて敷き詰められるように配置される。さらに好ましくは、サポートプレート220と基板保持プレート230の接触面積の合計は、サポートプレート220と弾性バッグ210の接触面積の合計より大きい。隣り合うサポートプレート220同士間の空隙はできる限り小さいことが好ましい。基板保持プレート230との接触面積を大きくすることおよびサポートプレート220同士間の空隙を小さくすることで、基板保持プレート230のうち他の部材により押されることがない領域を小さくすることができる。
【0022】
基板保持プレート230は基板121を少なくとも一時的に保持するための部材である。図2の基板保持プレート230は断面U字状の部材である。基板保持プレート230のU字の「腕」の部分は、ヘッド本体部200に固定されている。基板保持プレート230のうち基板121と接触しない面は、サポートプレート220と結合している。基板保持プレート230は、前述の弾性バッグ210およびサポートプレート220を取り囲むように設けられている。好ましくは、基板保持プレート230の投影面積は、基板121の面積とおおよそ等しい。
【0023】
基板121を保持するために、かつ、基板121の研磨の基準面となるために、基板保持プレート230にはある程度の剛性が求められる。基板保持プレート230の剛性は少なくとも弾性バッグ210の剛性より高いことが好ましい。たとえば、基板保持プレート230は硬質のポリ塩化ビニル(PVC)などの硬質プラスチックから構成されてよい。
【0024】
基板保持プレート230の縁部の付近には、基板121を真空吸着するための開口231が設けられている(図2では代表して1つの開口231にのみ符号が付されている)。また、図2の例では、ヘッド本体部200に吸着用流路202が設けられている(図2では代表して1つの吸着用流路202にのみ符号が付されている)。吸着用流路202は開口231と連通しており、かつ、圧力調整機構140と接続されている。
【0025】
リテーナ240は基板121の側部を囲うようにヘッド本体部200に設けられている部材である。リテーナ240は、基板121が適切な位置に配置されることを確実にする。また、リテーナ240は、研磨パッド111を押圧して研磨パッド111の研磨面を平坦化するためにも用いられてよい。図2では、基板の各辺に沿うように配置された、4つの細長い直方体の部品がリテーナ240を構成する。他の例として、リテーナ240はたとえば四角環状の部材であってもよい。さらなる他の例として、基板の角部の直近に位置する部分が独立した部材で構成されたリテーナ240を用いてもよい。リテーナ240は、リテーナ加圧機構241を介してヘッド本体部200に固定されていてよい。図2のリテーナ加圧機構241は袋体である。図2のリテーナ加圧機構241は圧力調整機構140から流体の供給を受けることでリテーナ240を押圧する。ただし、リテーナ加圧機構241の構成は図2に示された構成に限らない。リテーナ240の最下部から基板121が突出するよう、リテーナ240およびその他の部品が構成され、かつ、リテーナ加圧機構241に対する流体の供給量が制御される。基板121の突出量は、たとえば基板121の厚みの半分以下である。
【0026】
図2に示した研磨ヘッド120は、円状又は環状に区分けされたメンブレンを用いた従来の研磨ヘッドよりも、より局所的に研磨パッド111と基板121の間の押圧力を制御することが可能である。たとえば基板の角部および基板の辺部の中央において過研磨が生じる場合、基板の角部および基板の辺部の中央に位置する弾性バッグ210の内部圧力を下げること、および/または、基板の角部および基板の辺部の中央に位置しない弾性バッグ210の内部圧力を上げることで、基板121の研磨を均一化することができる。
【0027】
従来用いられていた、周壁により複数の領域に区分けされたメンブレンの大きさは、基板121の大きさとおおよそ同じ大きさであった。したがって、従来用いられていたメンブレンを製作するためには、多大なコストおよび時間が必要であった。一方で、図2に示した研磨ヘッド120の各部品の大きさは、基板121の大きさと比較して小さい。したがって、図2の研磨ヘッド120は、従来の研磨ヘッドより容易に製作することが可能であると考えられる。さらに、図2の研磨ヘッド120は、弾性バッグ210およびサポートプレート220の個数、配列および形状等を変更することで、様々なサイズおよび形状の基板121に対応することが可能である。
【0028】
円形基板、特に円形のシリコンウエハについては、国際的な規格(Semiconductor Equipment and Materials International standards、SEMI規格とも)が確立されている。したがって、例外は存在し得るものの、基本的には、円形の基板は規格化された形状を有すると考えられる。一方で、本願の出願時点において出願人が知る限りにおいては、角形基板について、国際的に承認され、かつ、国際的に普及した規格は存在しない。したがって、角形基板のサイズおよび形状は、円形基板のサイズおよび形状より多種多様にわたると考えられる。よって、様々なサイズおよび形状の基板に対応することができることは、角形基板のための研磨装置において重要な機能であるといえる。
【0029】
さらに、出願人は、従来用いられていたメンブレンには以下に説明する課題があることを見出した。従来用いられていたメンブレンを加圧した場合、メンブレンのうち周壁が真上または真下に存在する部分と、それ以外の部分とではZ方向の伸長量が異なり得る。さらに、メンブレンのうち周壁が真上または真下に存在する部分と、それ以外の部分とではZ方向の剛性が異なり得る。したがって、従来のメンブレンを加圧した場合、メンブレンに凹凸が発生し、結果として基板121の研磨の均一性が低下し得るという課題がある。
【0030】
基板121の剛性が比較的高い場合、たとえば基板121が0.5~1mm厚のシリコンウエハである場合、メンブレンに凹凸が発生したとしても、研磨の均一性はそれほど低下しないと考えられる。しかし、基板121の剛性が比較的低い場合、たとえば基板12
1が0.1mm厚の樹脂基板である場合、メンブレンに発生した凹凸は大きな問題となる。前述のとおり、角形基板は円形基板に比べてバリエーションに富むと考えられるので、凹凸による研磨均一性の低下が問題となりやすい。
【0031】
図2に示した研磨ヘッド120には周壁が存在しない。さらに、図2に示した研磨ヘッド120では、メンブレンのような弾性体が基板121を保持しているわけではなく、基板保持プレート230が基板121を保持している。基板保持プレート230はたとえばPVCなど、従来のメンブレンより剛性が高い材質で形成されている。したがって、基板保持プレート230は、従来のメンブレンと比較して凹凸が発生しにくいと考えられる。したがって、図2に示した研磨ヘッド120を用いることで、基板121の研磨の均一性を向上させ得る。
【0032】
研磨ヘッド120の変形例を図3に示す。図3は変形例にかかる研磨ヘッド120の底面図である。図3では、基板121が基板保持プレート230により保持された際に基板121の外周部に位置する弾性バッグ210およびサポートプレート220のサイズが縮小されている。ここで、「弾性バッグ210およびサポートプレート220のサイズ」とは「Z方向から見た場合の大きさ」すなわち「XY平面上の投影面積」である。「基板121が基板保持プレート230により保持された際に基板121の外周部に位置する弾性バッグ210およびサポートプレート220」は、「基板121の外周部の押圧力を制御するための弾性バッグ210およびサポートプレート220」と表現することもできる。サイズが縮小された分、基板121の外周部に該当する領域には、図2の例より多数の弾性バッグ210およびサポートプレート220が配置されている。一方で、図3では、基板121の外周部の押圧力を制御するための弾性バッグ210以外の弾性バッグ210およびサポートプレート220(中央付近に位置する弾性バッグ210およびサポートプレート220)のサイズは、基板121の外周部の押圧力を制御するための弾性バッグ210以外の弾性バッグ210およびサポートプレート220のサイズよりも大きい。
【0033】
前述のとおり、基板研磨装置100の構成によっては、角形の基板121を研磨パッドに押し付けて研磨する場合、基板の角部の研磨量および基板の辺部の中央の研磨量が大きくなりやすい。したがって、角形の基板121の外周部における押圧力を精密に制御できることが好ましい。一方で、角形の基板121の中心付近では、外周部付近ほど精密に押圧力を制御しなくともよいと考えられる。図3の構成によれば、縮小化された多数の弾性バッグ210およびサポートプレート220により、基板121の外周部においてより精密、かつ、より局所的な押圧力の制御が可能になる。中心付近の弾性バッグ210およびサポートプレート220のサイズを大きく保つことにより、すべての弾性バッグ210およびサポートプレート220のサイズを小さくして敷き詰めた場合に比べて、部品点数の削減および制御の簡易化を実現できる。
【0034】
図3には、弾性バッグ210およびサポートプレート220の双方のサイズを小さくした例が示されている。しかし、弾性バッグ210およびサポートプレート220のどちらか一方のサイズのみを小さくすることも可能である。たとえば弾性バッグ210のサイズのみを小さくした場合、複数の弾性バッグ210が1つのサポートプレート220を共用することとなる。また、図3には、基板121の外周部の押圧力を制御するための弾性バッグ210およびサポートプレート220のサイズを小さくした例が示されている。代替として、基板121の角部の押圧力を制御するための弾性バッグ210および/またはサポートプレート220のサイズを小さくしてもよい。
【0035】
研磨ヘッド120のさらなる変形例を図4に示す。ただし、図示の便宜上、図4では吸着用流路202、基板保持プレート230、開口231、リテーナ240およびリテーナ加圧機構241は図示されていない。代替として、図4には基板121が想像線で図示さ
れている。
【0036】
基板121が対称性を有する場合、対称性を崩すような何らかの外的要因がなければ、基板121の研磨プロファイルも対象になると考えられる。そこで、図4の例では、図2と異なった形状のサポートプレート220を用いることにより、部品点数の削減、研磨の均一性の向上、および、制御の簡易化を実現している。図4のサポートプレート220は、全体として対称な形状に構成されている。なお、説明の便宜上、図4には弾性バッグ210の行番号および列番号が示されている。以下では、弾性バッグ210の位置を(列番号,行番号)で表示する。ここで、図中には列番号が「Col. x」と、行番号が「Row y」と示されている(xおよびyは1から始まる整数)。
【0037】
以下の位置の弾性バッグ210のために設けられたサポートプレート220は図2のサポートプレート220と類似している。(1,1)、(1,3)、(1,5)、(2,2)、(2,4)、(3,1)、(3,3)、(3,5)、(4,2)、(4,4)、(5,1)、(5,3)および(5,5)。
【0038】
(2,3)、(3,2)、(3,4)および(4,3)に位置する弾性バッグ210のために、中央がくりぬかれた十字状のサポートプレート220が設けられている。換言すれば、(2,3)、(3,2)、(3,4)および(4,3)に位置する弾性バッグ210は、1つの十字状のサポートプレート220を共用している。同様に、(1,2)および(2,1)に位置する弾性バッグ210のために、ダンベル状(より正確には、ダンベルを平面視した形状)のサポートプレート220が設けられている。ダンベル状のサポートプレート220は他にも、(1,4)および(2,5)、(4,1)および(5,2)、ならびに、(4,5)および(5,4)に位置する弾性バッグ210のためにも設けられている。
【0039】
(3,3)を中心として対称な位置にある複数の弾性バッグ210が1つのサポートプレート220を共用することで、サポートプレート220の個数を減少することが可能である。さらに、対称な位置にある複数の弾性バッグ210が1つのサポートプレート220を共用することで、対称な位置にある弾性バッグ210からの押圧力が均等化される。したがって、図4の構成によれば、基板121の研磨の均一性が向上すると考えられる。
【0040】
さらに、(3,3)を中心として対称な位置にある複数の弾性バッグ210の内部圧力がほぼ同圧力となるよう研磨ヘッド120を構成してもよい。たとえば、(2,3)、(3,2)、(3,4)および(4,3)に位置する弾性バッグ210に常に同一の圧力が印加されるように、それらの弾性バッグ210に接続されたバッグ用流路201が合流している構成を採用することができる。他の例として、(1,1)、(1,5)、(5,1)および(5,5)に位置する弾性バッグ210に接続されたバッグ用流路201を合流させてもよい。対称な位置にある弾性バッグ210の内部圧力がほぼ同圧力となるよう研磨ヘッド120を構成することで、すべての弾性バッグ210の内部圧力を独立に制御する必要がなくなる。すなわち、図4の構成によれば、弾性バッグ210の内部圧力の制御が簡易化される。また、対称な位置にある弾性バッグ210のバッグ用流路201を合流させることで、対称な位置にある弾性バッグ210の内部圧力を均一化することが可能である。一方で、サポートプレート220を弾性バッグ210のそれぞれの下部に1つずつ設ける場合(図2を参照)、図4の例より押圧力を局所的に制御することが可能である。
【0041】
なお、図4のサポートプレート220の構成はあくまで例示に過ぎない。サポートプレート220の構成は、基板121の形状、弾性バッグ210の形状および弾性バッグ210の個数などに応じて適宜決定されるべきであることを留意されたい。特に、サポートプレート220の構成は基板121の対称性に応じて決定されることが好ましい。ただし、
研磨ヘッド120は、少なくとも2つの独立したサポートプレート220を備える。
【0042】
さらなる変形例として、軟質中間プレート500を備える研磨ヘッド120について説明する。図5は軟質中間プレート500を備える研磨ヘッド120の正面断面図である。軟質中間プレート500はサポートプレート220と基板保持プレート230との間に設けられている、軟質の板状の部材である。ここで「軟質」とは、サポートプレート220および基板保持プレート230の双方より剛性の低い部材であることを意味する。なお、軟質中間プレート500の剛性は、弾性バッグ210の剛性より高くても低くてもよい。たとえば、軟質中間プレート500はスポンジまたはラバーなどの材料から形成されてよい。
【0043】
前述のとおり、基板保持プレート230はある程度の剛性を有する。さらに、サポートプレート220は基板保持プレート230よりも高い剛性を有することがある。剛性の高い部材同士を用いる場合、どちらかの部材の表面に凹凸が存在すると、双方の部材の一部の領域のみが接触することとなる。したがって、剛性の高い部材同士を接触させた場合には、一方の部材から他方の部材への力の伝達が不均一になる可能性がある。
【0044】
そこで、図5の研磨ヘッド120は、サポートプレート220と基板保持プレート230との間に軟質中間プレート500を介在させている。換言すれば、基板保持プレート230は軟質中間プレート500を介して間接的にサポートプレート220と結合されている。軟質中間プレート500は軟質であるため、サポートプレート220および/または基板保持プレート230の表面の凹凸に応じて変形することが可能である。したがって、軟質中間プレート500とサポートプレート220との接触、および、軟質中間プレート500と基板保持プレート230との接触は、剛性の高い部材同士の接触と比較して面接触に近い接触になる。したがって、研磨ヘッド120は、軟質中間プレート500を備えることにより、サポートプレート220から基板保持プレート230への押圧力の伝達を均一化することが可能である。
【0045】
なお、図5の例では、研磨ヘッド120は1枚の軟質中間プレート500を有するものとして説明した。換言すれば、図5の例では、すべてのサポートプレート220が1つの軟質中間プレート500を共用している。しかし、軟質中間プレート500の枚数は1枚に限られない。たとえば、それぞれのサポートプレート220と基板保持プレート230との間に軟質中間プレート500が1つずつ設けられていてもよい。この場合、軟質中間プレート500の数はサポートプレート220の数と同一となる。
【0046】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0047】
たとえば、弾性バッグ210の個数および形状は図示されたものに限らない。また、実施形態では基板121は正方形(より正確には、底面が正方形の四角柱)であるとして説明した。しかし、基板121の形状は長方形または台形などの正方形以外の四角形であってもよい。さらに、基板121は三角形または五角形など、四角系以外の形状であってもよい。また、たとえば図3に示された構成と図4に示された構成を組み合わせることもできる。
【0048】
上述の実施形態と変形例では、本発明の研磨ヘッドをフェースダウン式のCMP装置に
適用したが、これに替えてフェースアップ式(即ち、基板の被研磨面を上方に向けて研磨を行うタイプ)のCMP装置に適用することも可能である。したがって、本明細書における「上」または「下」という用語は、相対的な方向を表わす用語に過ぎない。たとえば、研磨ヘッドの上面に保持される角形の基板の上方に、角形の基板の中心と角部間が最長の距離の2倍(長方形の場合は対角線)とさらにリテーナの幅の2倍を合わせた長さよりも数cm長い研磨パッドを備える研磨テーブルを配置させることで、特開平10-291151のように研磨装置を小型化することが可能である。また、図1のフェースダウン式の基板研磨装置100で上下を逆にすることでも可能である。フェースアップ式の研磨装置の場合、研磨液、薬液および/または洗浄液などの基板の処理液体は研磨テーブルの内部を介して研磨パッドの開口から下に位置する基板の上面に供給するのが好ましい。
【0049】
本願は、一実施形態として、研磨テーブルに取り付けられた研磨パッドによって角形の基板を研磨するための研磨装置の研磨ヘッドであって、ヘッド本体部と、ヘッド本体部の、研磨テーブルに対向すべき面に設けられた複数の弾性バッグと、基板を保持するための基板保持プレートであって、弾性バッグによってヘッド本体部から離れる方向に押圧される、基板保持プレートと、を備え、ヘッド本体部には、弾性バッグのそれぞれと連通するバッグ用流路が設けられており、研磨ヘッドはさらに、弾性バッグと基板保持プレートとの間に設けられた、少なくとも2つのサポートプレートを備え、弾性バッグは、サポートプレートを介して基板保持プレートを押圧する、研磨ヘッドを開示する。
【0050】
この研磨ヘッドは、弾性バッグの内部圧力を制御することにより、基板と研磨パッドとの間の押圧力を局所的に制御することが可能になるという効果を一例として奏する。
【0051】
さらに本願は、一実施形態として、サポートプレートの剛性は弾性バッグの剛性より高く、基板保持プレートの剛性は弾性バッグの剛性より高い、研磨ヘッドを開示する。
【0052】
この研磨ヘッドは、弾性バッグが基板保持プレートを均一に押し得るという効果を一例として奏する。さらに、この研磨ヘッドは、従来のメンブレンを用いた装置と比較して基板を均一に研磨し得るという効果を一例として奏する。
【0053】
さらに本願は、一実施形態として、弾性バッグは、基板の形状にあわせて行列状に設けられている、研磨ヘッドを開示する。
【0054】
この研磨ヘッドは、基板と研磨パッドとの間の局所的な押圧力を制御することが容易となるという効果を一例として奏する。
【0055】
さらに本願は、一実施形態として、サポートプレートと基板保持プレートの接触面積の合計は、サポートプレートと弾性バッグの接触面積の合計より大きい、研磨ヘッドを開示する。
【0056】
この研磨ヘッドは、基板保持プレートのうち他の部材により押されることがない領域を小さくすることができるという効果を一例として奏する。
【0057】
さらに本願は、一実施形態として、弾性バッグのうち、基板の外周部の押圧力を制御するための弾性バッグの大きさが、他の弾性バッグの大きさより小さい、研磨ヘッドを開示する。
【0058】
この研磨ヘッドは、基板の外周部において、より精密、かつ、より局所的な押圧力の制御が可能になるという効果を一例として奏する。
【0059】
さらに本願は、一実施形態として、バッグ用流路のうち、基板の、ある領域を押圧するための第1の弾性バッグと、基板のうち、第1の弾性バッグにより押圧される領域と対称な位置にある領域を押圧するための第2の弾性バッグと、に連通するバッグ用流路が合流している、研磨ヘッドを開示する。
【0060】
この研磨ヘッドは、弾性バッグの内部圧力の制御を簡易化し得るという効果を一例として奏する。
【0061】
さらに本願は、一実施形態として、サポートプレートは、弾性バッグのそれぞれと基板保持プレートとの間にそれぞれ設けられている、研磨ヘッドを開示する。
【0062】
この研磨ヘッドは、2つ以上の弾性バッグが1つのサポートプレートを共用する場合に比べ、押圧力を局所的に制御することが可能であるという効果を一例として奏する。
【0063】
さらに本願は、一実施形態として、基板の、ある領域を押圧するための第3の弾性バッグと、基板のうち、第3の弾性バッグにより押圧される領域と対称な位置にある領域を押圧するための第4の弾性バッグと、が、同一のサポートプレートを共用するように構成される、研磨ヘッドを開示する。
【0064】
この研磨ヘッドは、対称な位置にある弾性バッグからの押圧力を均等化し得、かつ/または、弾性バッグの内部圧力の制御を簡易化し得るという効果を一例として奏する。
【0065】
さらに本願は、一実施形態として、基板保持プレートとサポートプレートの間に設けられた軟質中間プレートをさらに備える、研磨ヘッドを開示する。
【0066】
この研磨ヘッドは、サポートプレートから基板保持プレートへの押圧力の伝達を均一化し得るという効果を一例として奏する。
【0067】
さらに本願は、一実施形態として、研磨パッドを着脱可能に取り付けるための研磨テーブルであって、研磨パッドが取り付けられる、研磨テーブルと、請求項1から9のいずれか一項に記載の研磨ヘッドであって、研磨テーブルと対向する、研磨ヘッドと、を備える研磨装置を開示する。さらに本願は、一実施形態として、バッグ用流路に接続された圧力調整機構をさらに備える、研磨装置を開示する。
【0068】
この開示内容により、実施形態にかかる研磨ヘッドが適用される装置が明らかになる。
【符号の説明】
【0069】
100…基板研磨装置
110…研磨テーブル
111…研磨パッド
120…研磨ヘッド
121…基板
130…液体吐出機構
140…圧力調整機構
150…制御部
200…ヘッド本体部
201…バッグ用流路
202…吸着用流路
210…弾性バッグ
220…サポートプレート
230…基板保持プレート
231…開口
240…リテーナ
241…リテーナ加圧機構
500…軟質中間プレート
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5