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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/42 20060101AFI20221014BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20221014BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20221014BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A61F13/42 B
A61F13/514 211
A61F13/514 213
A61F13/514 400
A61F13/51
A61F13/15 310
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018248091
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020103829
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】深山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】坂口 智
(72)【発明者】
【氏名】大庭 徹
(72)【発明者】
【氏名】煙上 真路
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-120064(JP,A)
【文献】特表2007-532203(JP,A)
【文献】特表2015-530449(JP,A)
【文献】特開2012-120667(JP,A)
【文献】特開2008-136515(JP,A)
【文献】特開2014-104144(JP,A)
【文献】国際公開第2017/212858(WO,A1)
【文献】特開2008-161572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する前後方向及び幅方向と、
吸収体と、
前記吸収体よりも非肌面側に配置されており、かつ液不透過性を有する裏面シートと、
前記裏面シートよりも非肌面側に配置されている外装シートと、
排泄物との接触によって変色するインジケータと、を有する吸収性物品であって、
前記裏面シートは、透湿性を有し、
前記インジケータは、前記裏面シートの非肌面上に設けられており、
前記裏面シートは、透湿孔を有し、
前記インジケータは、前記透湿孔の肌面側の開孔面である前記裏面シートの肌面にまで延びている、吸収性物品。
【請求項2】
前記裏面シートの透湿度は、2000g/m2・24h以上である請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記インジケータは、水分を引き込む性質を有する物質が含まれる請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記裏面シートの前記非肌面上には、印刷によってインクが塗布された印刷領域が設けられ、
前記インジケータの少なくとも一部は、前記印刷領域に重ならない請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記インジケータの少なくとも一部は、図柄によって構成されている請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記外装シートは、凹凸加工が施された不織布である請求項1から5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記外装シートは、厚さ方向に貫通する開孔を有する不織布であり、
前記開孔は、前記インジケータと前記厚さ方向に重なっている請求項1から6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
互いに直交する前後方向及び幅方向と、
吸収体と、
前記吸収体よりも非肌面側に配置されており、かつ液不透過性を有する裏面シートと、
前記裏面シートよりも非肌面側に配置されている外装シートと、
排泄物との接触によって変色するインジケータと、を有し、前記裏面シートは、透湿孔を有する吸収性物品の製造方法であって、
印刷によってインクを前記裏面シートの非肌面上に塗布することによって、前記インクが塗布された印刷領域を設ける工程と、
透湿性を有する前記裏面シートの前記非肌面上に前記インジケータを設ける工程と、を有し、
前記裏面シートは、複数の裏面シートに切断される前の連続シートであり、
前記インジケータを設ける工程では、前記印刷領域を設けた後に前記連続シートを巻き取ることなく、前記インジケータを設け、
前記インジケータは、前記透湿孔の肌面側の開孔面である前記裏面シートの肌面にまで延びている、吸収性物品の製造方法。
【請求項9】
前記インジケータを設ける工程は、
前記インジケータ用の塗布剤を前記裏面シートの前記非肌面上に塗布する塗布工程と、
前記非肌面上に塗布された前記塗布剤を乾燥させる乾燥工程と、を有し、
前記塗布剤は、前記乾燥工程により気化する気化成分を含む請求項8に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項10】
前記気化成分は、水である請求項9に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項11】
前記気化成分は、揮発性有機溶媒である請求項9に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項12】
前記塗布工程では、前記塗布剤と前記インクとの両方を塗布し
前記乾燥工程では、前記塗布剤と前記インクとを乾燥する請求項から11のいずれか1項に記載の吸収性物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸収体と、吸収体よりも非肌面側に配置されている裏面シートと、裏面シートよりも非肌面側に配置されている外装シートと、排泄物との接触によって変色するインジケータと、を有する吸収性物品が開示されている。母親等の補助者は、吸収性物品を着用者に装着した状態で、吸収性物品の非肌面側からインジケータを確認し、吸収性物品の交換タイミングを把握する。
【0003】
裏面シートの肌面又は非肌面には、透明化剤がインジケータと厚さ方向に重なるように塗布されている。これにより、透明化剤が塗布された領域は、裏面シートの透明性が向上するため、吸収性物品の非肌面側からのインジケータの視認性を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-54991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
裏面シートに透明化剤を塗布しても、透明化剤が塗布された領域が完全に透明にならないケースでは、インジケータの視認性が十分でないことがあった。
【0006】
さらに、透明化剤が資材として必要になるため資材点数が増加すると共に、透明化剤の塗布により工程数が増加するため、吸収性物品の生産コストが増加するという問題があった。
【0007】
そこで、生産コストの増加を抑制しつつ、インジケータの視認性を向上できる吸収性物品が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る吸収性物品は、互いに直交する前後方向及び幅方向と、吸収体と、前記吸収体よりも非肌面側に配置されており、かつ液不透過性を有する裏面シートと、前記裏面シートよりも非肌面側に配置されている外装シートと、排泄物との接触によって変色するインジケータと、を有する吸収性物品である。前記裏面シートは、透湿性を有する。前記インジケータは、前記裏面シートの非肌面上に設けられている。
【0009】
一態様に係る吸収性物品の製造方法は、互いに直交する前後方向及び幅方向と、吸収体と、前記吸収体よりも非肌面側に配置されており、かつ液不透過性を有する裏面シートと、前記裏面シートよりも非肌面側に配置されている外装シートと、排泄物との接触によって変色するインジケータと、を有する吸収性物品の製造方法である。前記吸収性物品の製造方法は、透湿性を有する前記裏面シートの非肌面上にインジケータを設ける工程を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る吸収性物品を肌面側から見た模式平面図である。
図2図2は、実施の形態に係る吸収性物品を非肌面側から見た模式平面図である。
図3図3は、図1に示す3A-3A線に沿った模式断面図である。
図4図4は、裏面シート及びインジケータの模式拡大断面図である。
図5図5は、変更例1に係る吸収性物品を非肌面側から見た模式平面図である。
図6図6は、変更例2及び変更例3に係る吸収性物品における裏面シート及びインジケータの模式拡大断面図である。
図7図7は、吸収性物品の製造方法を説明するための図である。
図8図8は、吸収性物品の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【0011】
(1)実施形態の概要
一態様に係る吸収性物品は、互いに直交する前後方向及び幅方向と、吸収体と、前記吸収体よりも非肌面側に配置されており、かつ液不透過性を有する裏面シートと、前記裏面シートよりも非肌面側に配置されている外装シートと、排泄物との接触によって変色するインジケータと、を有する吸収性物品である。前記裏面シートは、透湿性を有する。前記インジケータは、前記裏面シートの非肌面上に設けられている。
【0012】
裏面シートが透湿性を有するため、排泄物が気化することにより、裏面シートの肌面側から非肌面側へ気化した排泄物が移動できる。気化した排泄物が、裏面シートの非肌面上に設けられているインジケータに接触することで、インジケータが変色する。
【0013】
インジケータは、裏面シートの非肌面上に設けられているため、補助者は、裏面シートを介さずにインジケータを視認可能である。従って、インジケータの視認性向上のために裏面シートへ透明化剤を塗布する必要がないため、生産コストの増加を抑制しつつも、インジケータの視認性を向上できる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記裏面シートの透湿度は、2000g/m2・24h以上であってよい。
【0015】
これにより、気化した排泄物が裏面シートを通り抜け易くなる。従って、インジケータと接触する排泄物の量が増えるため、インジケータが変色し易くなる。さらに、吸収性物品の蒸れを低減できる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記裏面シートは、透湿孔を有してよい。前記インジケータは、前記透湿孔内へ延びてよい。
【0017】
気化した排泄物が透湿孔内でインジケータと接触することができるため、インジケータの変色を早くすることができる。また、インジケータと接触した排泄物は、インジケータ内で拡散するため、インジケータの変色範囲が広がって、裏面シートの非肌面上のインジケータも変色する。従って、着用者が排泄してから吸収性物品の非肌面側からインジケータの変色を視認できるまでの時間を短縮できる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記インジケータは、水分を引き込む性質を有する物質が含まれてよい。
【0019】
これにより、インジケータに水分が引き込まれ易くなり、インジケータが変色し易くなるため、着用者が排泄してから吸収性物品の非肌面側からインジケータの変色を視認できるまでの時間を短縮できる。
【0020】
好ましい一態様によれば、前記裏面シートの前記非肌面上には、印刷によってインクが塗布された印刷領域が設けられてよい。前記インジケータの少なくとも一部は、前記印刷領域に重ならなくてよい。
【0021】
これにより、インジケータと印刷領域とを設けるために、裏面シートの片面のみに対して処理すればよく、インジケータと印刷領域とを裏面シートの異なる面上に設ける場合と比べて、製造工程を複雑にすることなく、インジケータと印刷領域とを設けることができる。従って、生産コストが増加することを抑制できる。
【0022】
また、インジケータと印刷領域とを異なる面に設けた場合、裏面シートの搬送時に、裏面シートの一方の面が搬送面に接触するため、インジケータ又は印刷領域のインクによって搬送面が汚れてしまう。一方で、インジケータと印刷領域とを裏面シートの同じ面に設けた場合には、インジケータ及びインクが設けられた面を搬送面と対向させて、裏面シートを搬送することで搬送面が汚れることを抑制できる。このため、設備のメンテナンスが容易になり、生産コストが増加することを抑制できる。
【0023】
インジケータの少なくとも一部は、印刷領域と厚さ方向に重ならないため、吸収性物品の非肌面側からインジケータの少なくとも一部を明確に視認することができる。
【0024】
好ましい一態様によれば、前記インジケータの少なくとも一部は、図柄によって構成されてよい。
【0025】
これにより、印刷領域が設けられていても、補助者がインジケータの少なくとも一部である図柄を注目し易くなり、インジケータの視認性を向上することができる。
【0026】
好ましい一態様によれば、前記外装シートは、凹凸加工が施された不織布であってよい。
【0027】
凹凸加工が施された不織布によって肌触りを良くすることができる。一方で、凹凸加工により外装シートの厚みが増すことで、一般的にインジケータの視認性が低下する。しかしながら、インジケータが裏面シートの非肌面上に設けられていることで、インジケータの視認性が良好であり、補助者は、インジケータを良好に視認可能である。
【0028】
好ましい一態様によれば、前記外装シートは、厚さ方向に貫通する開孔を有する不織布であってよい。前記開孔は、前記インジケータと厚さ方向に重なってよい。
【0029】
不織布によって肌触りを良くすることができる。加えて、開孔を通じて非肌面側からインジケータを直接視認することができるため、インジケータの視認性を向上することができる。
【0030】
一態様に係る吸収性物品の製造方法は、互いに直交する前後方向及び幅方向と、吸収体と、前記吸収体よりも非肌面側に配置されており、かつ液不透過性を有する裏面シートと、前記裏面シートよりも非肌面側に配置されている外装シートと、排泄物との接触によって変色するインジケータと、を有する吸収性物品の製造方法である。前記吸収性物品の製造方法は、透湿性を有する前記裏面シートの非肌面上にインジケータを設ける工程を有する。
【0031】
インジケータは、裏面シートの非肌面上に設けられているため、補助者は、裏面シートを介さずにインジケータを視認可能である。従って、インジケータの視認性向上のために裏面シートへ透明化剤を塗布する必要がないため、生産コストの増加を抑制しつつも、インジケータの視認性を向上できる。
【0032】
好ましい一態様によれば、前記裏面シートは、透湿孔を有してよい。前記インジケータを設ける工程は、前記インジケータ用の塗布剤を前記裏面シートの前記非肌面上に塗布する塗布工程と、前記非肌面上に塗布された前記塗布剤を乾燥させる乾燥工程と、を有してよい。前記塗布剤は、前記乾燥工程により気化する気化成分を含んでよい。
【0033】
乾燥工程において、インジケータの成分が気化成分と共に気化し、インジケータの成分が透湿孔に入り込む。透湿穴に入り込んだインジケータの成分は、透湿孔内で固化するため、透湿孔内へ延びたインジケータを設けることができる。
【0034】
好ましい一態様によれば、前記気化成分は、水であってよい。
【0035】
乾燥工程により気化成分が気化するため、製造された吸収性物品には気化成分が通常残らない。しかしながら、気化成分が万が一残ったとしても、気化成分が水であるため、着用者は安全に吸収性物品を着用することができる。
【0036】
好ましい一態様によれば、前記気化成分は、揮発性有機溶媒であってよい。
【0037】
揮発性有機溶媒は、水と比較して揮発し易いため、乾燥工程における乾燥時間を短くすることができる。吸収性物品の製造時間を短縮でき、吸収性物品の生産性を向上できる。
【0038】
好ましい一態様によれば、吸収性物品の製造方法は、印刷によってインクを前記裏面シートの前記非肌面上に塗布することによって、前記インクが塗布された印刷領域を設ける工程を有してよい。前記印刷領域を設ける工程では、前記インジケータの少なくとも一部が前記印刷領域に重ならないように、前記インクを塗布してよい。
【0039】
インジケータの少なくとも一部は、印刷領域と厚さ方向に重ならないため、吸収性物品の非肌面側からインジケータの少なくとも一部を明確に視認することができる。
【0040】
好ましい一態様によれば、前記裏面シートは、複数の裏面シートに切断される前の連続シートであってよい。前記インジケータと前記印刷領域との一方を設けて、次いで前記インジケータと前記印刷領域との他方を設けてよい。
【0041】
透湿性を有する連続シート(裏面シート)は、透湿孔を有するため、透湿孔を有さない非透湿性の裏面シートと比較すると、伸び易い。このため、連続シートが巻き取られることにより、インジケータ(又は印刷領域)が延びてしまう。このため、巻き取りの有無によって、インジケータ(又は印刷領域)自体の長さ及びインジケータ(又は印刷領域)間の長さ(ピッチ間隔)が変化する。従って、巻き取られた連続シートを、再び搬送して、印刷領域(又はインジケータ)を設けるケースでは、インジケータと印刷領域とのズレが発生し易い。特に、連続シートでは、搬送方向に隣接するインジケータ(又は印刷領域)のピッチ間隔のズレが累積するため、後半に印刷される印刷領域(又はインジケータ)ほど、インジケータと印刷領域との位置ズレが大きくなる。
【0042】
そこで、インジケータと印刷領域との一方を設けた後に、連続シートを巻き取ることなく、インジケータと印刷領域との他方を設けることによって、巻き取りに起因したインジケータと印刷領域との位置ズレを抑制できる。
【0043】
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品の製造方法は、前記塗布剤と前記インクとの両方を塗布して、次いで前記塗布剤と前記インクとを乾燥する乾燥工程を有してよい。
【0044】
乾燥工程では、乾燥温度によっては、裏面シートが伸びることがある。この場合、乾燥の前後において、先に設けられたインジケータ(又は印刷領域)自体の長さ及びインジケータ(又は印刷領域)間の長さが変化する。これにより、インジケータと印刷領域との位置ズレが発生するおそれがある。
【0045】
そこで、塗布剤とインクとの両方を塗布した後に、塗布剤とインクとを乾燥することによって、インジケータと印刷領域との位置ズレの発生を抑制できる。
【0046】
(2)実施形態の詳細説明
次に、図面を参照して、一実施形態に係る吸収性物品について説明する。本実施形態において、吸収性物品は、テープタイプの吸収性物品である。この代わりに、吸収性物品は、パンツタイプの吸収性物品であってもよい。なお、吸収性物品は、乳幼児用のおむつであってもよく、大人用のおむつであってもよい。
【0047】
以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0048】
図1は、一実施形態に係る吸収性物品を肌面側から見た模式平面図であり、図2は、吸収性物品を非肌面側から見た模式平面図である。図3は、図1に示す吸収性物品の3A-3A断面に沿った模式断面図であり、図1から図3に示す図は、伸長状態の吸収性物品を示している。図3に示す模式断面図では、説明の便宜上、各部材を厚さ方向Tにおいて離間して示しているが、実際の製品においては厚さ方向Tに接している。なお、本考案における伸長状態とは、吸収性物品10を皺が形成されない状態まで伸長させた状態である。また、本考案における自然状態とは、パッケージに収容されている吸収性物品10にあっては、パッケージから吸収性物品10を取り出し、20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において24時間放置した状態である。
【0049】
吸収性物品10は、前後方向Lと、幅方向Wと、厚さ方向Tと、を有する。前後方向Lは、着用状態において、吸収性物品10の腹側と背側とを結ぶ方向である。幅方向Wは、吸収性物品10の平面視で前後方向Lに直交する方向である。厚さ方向Tは、前後方向Lと幅方向Wの両方に直交する方向である。非肌面又は非肌面側T2は、吸収性物品の着用状態において、着用者の肌とは反対側に向く面又は側を意味する。一方、肌面又は肌面側T1は、吸収性物品の着用状態において、着用者の肌の方に向く面又は側を意味する。
【0050】
吸収性物品10は、前胴回り域S1と、股下域S3と、後胴回り域S2と、を有する。前胴回り域S1は、吸収性物品の使用時に、着用者の前胴回りに面する領域である。後胴回り域S2は、吸収性物品の使用時に、着用者の後胴回りに面する領域である。股下域S3は、吸収性物品の使用時に、着用者の股下に位置する領域であり、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に位置する。股下域S3は、着用者の脚回りに配置される脚回り開口部65が設けられた領域である。脚回り開口部65は、吸収性物品の外側縁から幅方向の内側に凹む部分である。
【0051】
吸収性物品10は、吸収材料を含む吸収コア31を含む。吸収コア31は、粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物等の吸収材料を含む。吸収コア31は、コアラップ32によって覆われてよい。吸収コア31とコアラップ32によって吸収体30が構成されてよい。コアラップ32は、ティッシュによって構成され、吸収コア31よりも肌面側T1と吸収コア31よりも非肌面側に配置されてよい。
【0052】
図1及び図3に示すように、吸収コア31を含む吸収体30よりも肌面側T1には、表面シート21及びサイドシート22が設けられてよい。表面シート21は、吸収体30の幅方向Wの中心を跨いで配置されてよい。サイドシート22は、表面シート21の外側部を覆うように配置されてよい。表面シート21及びサイドシート22は、例えば不織布や開孔プラスチックフィルムのような透液性シートによって構成されていてよい。サイドシート22の内側部は、折り返されて重なってよい。重なったサイドシート22間には、前後方向Lに伸縮する防漏伸縮部43が設けられてよい。防漏伸縮部43は、前後方向Lに伸縮する糸ゴムによって構成されてよい。サイドシート22と防漏伸縮部43は、着用時に肌面側T1に起立する防漏ギャザーを構成する。
【0053】
吸収体30よりも非肌面側T2には、裏面シート23及び外装シート24が設けられている。裏面シート23は、液不透過性を有する。裏面シート23は、吸収体30よりも非肌面側T2に配置されている。図3に示すように、裏面シート23は、透湿性を有する。外装シート24は、裏面シート23よりも非肌面側T2に配置されている。裏面シート23の幅方向Wの長さは、外装シート24の幅方向Wの長さよりも短く、裏面シート23の前後方向Lの長さは、外装シート24の前後方向Lの長さよりも短い。裏面シート23は、液不透過性のフィルムによって構成されてよい。外装シート24は、液透過性の不織布によって構成されてよい。
【0054】
後胴回り域S2の外側部には、ファスニングテープ90が設けられている。ファスニングテープ90は、ベース部92と係合部93を有する。ベース部92は、厚さ方向Tにおいて外装シート24及びサイドシート22の間に配置され、幅方向Wにおいて外装シート24及びサイドシート22から外側に延出している。係合部93は、ベース部92上に配置されており、ターゲット部95に係合する。ターゲット部95は、前胴回り域S1において幅方向に間隔を空けて配置されており、ファスニングテープ90の係合部93がそれぞれ止着するように構成されている。
【0055】
吸収性物品10は、吸収コア31を厚さ方向に変形させる変形誘導部40を有してよい。変形誘導部40は、吸収コア31に形成されたスリット、吸収材料の坪量が低い低坪量部、吸収コア等を厚さ方向に圧縮したエンボス部、及び吸収コアと厚さ方向に重なって配置された弾性部材のうち、少なくともいずれかによって構成される。図3に示すように、本実施の形態の変形誘導部40は、吸収コアに形成されたスリット41と、吸収コア31も非肌面側T2に配置された弾性部材42と、によって構成されている。
【0056】
スリット41は、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて配置されている。スリット41は、吸収コア31の幅方向Wの中心に配置されてなく、吸収コア31の幅方向Wの中心に対する両側に配置されてよい。弾性部材42は、裏面シート23と外装シート24の間に設けられてよい。弾性部材42は、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて配置されている。弾性部材42は、吸収コア31の幅方向Wの中心に配置されてなく、吸収コア31の幅方向Wの中心に対する両側にそれぞれ2本ずつ配置されている。弾性部材42は、前後方向Lに沿って配置された糸ゴムによって構成されている。なお、他の形態において、弾性部材42は、前後方向に伸縮する帯状の伸縮シートによって構成されてよいし、1本の糸ゴムによって構成されていてもよいし、3本以上の糸ゴムによって構成されてもよい。
【0057】
スリット41と弾性部材42は、部分的に、厚さ方向において重なってよい。本考案において重なっている状態とは、平面視にて一方の部材と他方の部材が重なっている状態であり、一方の部材の肌面側又は非肌面側に他方の部材が配置されている状態である。重なっている状態では、一方の部材と他方の部材が互いに接している状態のみならず、一方の部材と他方の部材の間に他の部材が介在している構成も含む。
【0058】
このように構成された吸収性物品10が着用された状態では、弾性部材42の収縮によって、吸収コア31がスリット41を基点に変形するとともに、スリット41及び弾性部材42が身体側に引き上げられる。一対の弾性部材42間に位置する領域は、一対の弾性部材42よりも幅方向の外側の領域に対して身体側に引き上げられる。よって、吸収コア31の幅方向Wの中央が吸収コア31の側部を基点として凸状に変形し、身体の股間に対するフィット性を確保できる。
【0059】
吸収性物品10は、排泄物との接触によって変色するインジケータ70を有する。インジケータ70は、吸収コア31が体液(排泄物)を吸収することによって変色し、吸収性物品10の非肌面側T2から体液の吸収状態を把握できるように構成されている。
【0060】
具体的には、裏面シート23が透湿性を有するため、排泄物が気化することにより、裏面シート23の肌面側T1から非肌面側T2へ気化した排泄物が移動できる。気化した排泄物が、裏面シートの非肌面上に設けられているインジケータ70に接触することで、インジケータ70が変色できる。
【0061】
インジケータ70は、裏面シート23の非肌面上に設けられているため、補助者は、裏面シート23を介さずにインジケータ70を視認可能である。従って、インジケータ70の視認性向上のために裏面シート23へ透明化剤を塗布する必要がないため、生産コストの増加を抑制しつつも、インジケータ70の視認性を向上できる。また、透明化剤が塗布されないため、透明化剤により透湿孔23hが塞がれなくなり、透明化剤に起因した透湿性の悪化が抑制でき、吸収性物品の蒸れを抑制できる。
【0062】
インジケータ70は、前後方向Lに延びて配置されている。インジケータ70は、少なくとも前後方向Lに延びていればよく、前後方向Lに延びつつ幅方向にも延びていてもよく、湾曲した曲線状であってもよいし、直線状であってもよい。
【0063】
インジケータ70は、股下域S3に設けられてよく、前胴回り域S1に設けられていてもよいし、後胴回り域S2に設けられていてもよい。
【0064】
インジケータ70は、吸収性物品10の幅方向Wの中央に配置されたセンターインジケータ71と、センターインジケータ71の幅方向Wの外側に配置された一対のサイドインジケータ72と、を有してよい。センターインジケータ71とサイドインジケータ72は、幅方向Wにおいて間隔を空けて配置されてよい。センターインジケータ71は、吸収性物品10の幅方向Wの中心を跨いでいればよく、センターインジケータ71の一部が、吸収性物品10の幅方向Wの中心から離間していてもよい。
【0065】
また、センターインジケータ71の前後方向の長さL71は、サイドインジケータ72の前後方向の長さL72よりも長くてよい。この構成によれば、センターインジケータ71が目立ちやすくなる。補助者は、センターインジケータ71によって排泄の有無を把握でき、適切なタイミングに吸収性物品の交換を行うことができる。
【0066】
インジケータ70の少なくとも一部は、図柄によって構成されてよい。例えば、センターインジケータ71及びサイドインジケータ72のそれぞれは、複数の構成要素が前後方向に並んだ集合体によって構成されてよい。具体的には、センターインジケータ71は、構成要素としてのセンター構成要素71Cを複数有する。サイドインジケータ72は、構成要素としてのサイド構成要素72Cを複数有する。センター構成要素71C及びサイド構成要素72Cは、前後方向又は幅方向において間隔を空けて配置されてよい。構成要素は、間隔を空けて配置され、インジケータを構成するものであればよく、図柄、数字、文字によって構成されてよい。
【0067】
センター構成要素71Cとサイド構成要素72Cは、視覚的に異なってよい。補助者は、構成要素の違いによってセンターインジケータ71とサイドインジケータ72を区別して把握できる。よって、補助者は、インジケータの反応状態を適切に把握し、排尿量を適切に把握し易い。本実施の形態のセンター構成要素71Cは、花の図柄と、葉っぱの図柄と、の組み合わせであり、サイド構成要素72Cは、星の図柄である。センター構成要素71C及び/又はサイド構成要素72Cが複数の図柄を有する場合には、複数の図柄のうち、いずれかが異なっていればよい。
【0068】
インジケータの構成要素は、一方向に間隔をあけて複数並んでいてよい。本実施形態では、構成要素は、前後方向Lに沿って並んでいる。互いに隣接する構成要素どうしの間の距離は、構成要素同士が並ぶ方向における構成要素の長さよりも短いことが好ましい。これにより、複数の構成要素が、比較的短い間隔で一方向に並ぶため、補助者は、構成要素の集合体全体としてのインジケータを認識し易い。また、構成要素が比較的短い間隔で一方向に並ぶため、吸収性物品10のどの領域まで尿が達しているかを判別し易くなる。
【0069】
(3)インジケータ70の詳細構成
次いで、インジケータ70の詳細構成について、図4を用いて説明する。図4は、裏面シート23及びインジケータ70の模式拡大断面図である。
【0070】
図4に示すように、インジケータ70は、裏面シート23の非肌面23b上に設けられている。
【0071】
裏面シート23は、透湿性を有するため、透湿孔23hを有する。透湿孔23hは、液体が通過不能であり、気体が通過可能な孔である。
【0072】
透湿孔23hは、裏面シート23の肌面23aから非肌面23bまでを気化した排泄物が通過可能な経路であればよい。例えば、透湿孔23hは、裏面シート23の肌面23aから非肌面23bを貫通する貫通孔であってよい。裏面シート23の少なくとも一部の層が、繊維が編み込まれることにより形成されている場合、透湿孔23hの少なくとも一部は、繊維間の隙間により構成されてよい。
【0073】
図4に示すように、インジケータ70は、透湿孔23h内へ延びてよい。具体的には、インジケータ70は、透湿孔23hの壁面23wに沿って裏面シート23の非肌面23bから肌面23aに向かって延びてよい。従って、透湿孔23hの壁面23w上にインジケータ70(孔インジケータ70h)が設けられてよい。なお、インジケータ70は、透湿孔23h内に充填されていてよい(図6参照)。
【0074】
図4Bに示すように、着用者が排泄物E(例えば、尿)を排泄した場合に、裏面シート23よりも肌面側T1に存在する排泄物Eが気化して、気化した排泄物Eが透湿孔23hに入り込む。
【0075】
気化した排泄物Eは、透湿孔23h内でインジケータ70と接触することができる。これにより、インジケータ70の変色を早くすることができる。また、インジケータ70と接触した排泄物Eは、インジケータ70内で拡散するため、インジケータ70の変色範囲が広がる。図4Bでは、透湿孔23hと厚さ方向Tに重なっているインジケータ70が変色している。その後、インジケータ70の変色範囲がさらに広がることにより、透湿孔23hと厚さ方向Tに重なっていないインジケータ70も変色する(図4C参照)。インジケータ70が透湿孔23h内へ延びていないケースと比べて、着用者が排泄してから吸収性物品10の非肌面側T2からインジケータ70の変色を視認するまでの時間を短縮できる。
【0076】
インジケータ70の変色範囲を広げるために、インジケータ70は、裏面シート23の非肌面23bよりも肌面23aの近くにまで延びていてよい。図4に示すように、インジケータ70は、透湿孔23hの肌面側T1の開口面(裏面シート23の肌面23a)にまで延びてよい。さらに、インジケータ70は、透湿孔23hから裏面シート23の肌面23a上にまで延びてよい。これにより、排泄物Eが気化しなくても、インジケータ70に接触することができるため、着用者が排泄してからインジケータ70が変色するまでの時間を短縮できる。
【0077】
インジケータ70は、水分を引き込む性質を有する物質を含んでよい。これにより、インジケータ70に水分が引き込まれ易くなり、インジケータが変色し易くなる。従って、用者が排泄してから吸収性物品10の非肌面側T2からインジケータ70の変色を視認するまでの時間を短縮できる。水分を引き込む性質を有する物質として、浸透圧調整物質(オスモライト)が挙げられる。浸透圧調整物質の一例として、例えば、第4級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0078】
インジケータ70は、インジケータ成分が尿と反応して変色する速度(反応速度)を増加させるための触媒を含んでいてもよい。これにより、インジケータ70の変色範囲が広がる速度が増加するため、着用者が排泄してから吸収性物品10の非肌面側T2からインジケータ70の変色を視認できるまでの時間を短縮できる。
【0079】
なお、インジケータ70は、公知のものを用いることができる。インジケータ70は、所定の範囲のpH(例えば、尿が示すpH)の排泄物と反応することで、変色してもよい。
【0080】
裏面シート23が透湿性を有するため、裏面シート23の透湿度は、0g/m2・24hより大きい。裏面シート23の透湿度は、2000g/m2・24h以上であってよい。これにより、気化した排泄物Eが裏面シート23を通り抜け易くなる。従って、インジケータ70と接触する排泄物Eの量が増えるため、インジケータ70が変色し易くなる。さらに、吸収性物品10の蒸れを低減できる。
【0081】
なお、裏面シート23の透湿度が高すぎると、衣服が湿気を帯びることがあるため、裏面シート23の透湿度は、5000g/m2・24h以下であってよい。
【0082】
なお、本明細書において、透湿度は、JIS Z 0208:1976の防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に準拠して測定する。透湿カップに、塩化カルシウムの代わりに20ccの水を充填し、温度40℃及び相対湿度60%の雰囲気条件下で24時間自然放置させた後の、単位面積(m2)あたりの水分の透過量(排出量)を測定する。
【0083】
(4)変更例
次いで、変更例に係る吸収性物品10について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、変更例1に係る吸収性物品10を非肌面側から見た模式平面図である。図6は、変更例2及び変更例3に係る吸収性物品10における裏面シート23及びインジケータ70の模式拡大断面図である。図6Aは、変更例2に係る吸収性物品10における裏面シート23及びインジケータ70の模式拡大断面図である。図6Bは、変更例3に係る吸収性物品10における裏面シート23及びインジケータ70の模式拡大断面図である。
【0084】
変更例1に係る吸収性物品10について説明する。図5に示すように、裏面シート23の非肌面上には、印刷によってインクが塗布された印刷領域PRが設けられてよい。インジケータの少なくとも一部は、印刷領域PRに重ならない。これにより、インジケータ70と印刷領域PRとを設けるために、裏面シート23の片面(非肌面)のみに対して処理すればよく、インジケータ70と印刷領域PRとを裏面シート23の異なる面上に設ける場合と比べて、製造工程を複雑にすることなく、インジケータ70と印刷領域PRとを設けることができる。従って、生産コストが増加することを抑制できる。
【0085】
また、インジケータ70と印刷領域PRとを異なる面に設けた場合、裏面シート23の搬送時に、裏面シート23の一方の面が搬送面に接触するため、インジケータ70又は印刷領域PRのインクによって搬送面が汚れてしまう。一方で、インジケータ70と印刷領域PRとを裏面シート23の同じ面に設けた場合には、インジケータ70及びインクが設けられた面を搬送面と対向させて、裏面シート23を搬送することで搬送面が汚れることを抑制できる。このため、設備のメンテナンスが容易になり、生産コストが増加することを抑制できる。
【0086】
インジケータ70の少なくとも一部は、印刷領域PRと厚さ方向Tに重ならないため、吸収性物品10の非肌面側T2からインジケータ70の少なくとも一部を明確に視認することができる。
【0087】
図5に示すように、インジケータ70は、印刷領域PRと厚さ方向Tに重ならなくてよい。これにより、インジケータ70を明確に視認することができる。
【0088】
インジケータ70の少なくとも一部が、図柄によって構成される場合、印刷領域PRが設けられていても、補助者がインジケータ70の少なくとも一部である図柄を注目し易くなり、インジケータ70の視認性を向上することができる。
【0089】
次に、変更例2に係る吸収性物品10について説明する。図6Aに示すように、外装シート24は、凹凸加工が施された不織布であってよい。具体的には、外装シート24は、凸部24pと凹部24qとを有してよい。凸部24pは、非肌面側T2に突出している。凹部24qは、肌面側T1に凹んでいる。なお、凸部24pは、肌面側T1に突出し、凹部24qは、非肌面側T2に凹んでいてもよい。
【0090】
凹凸加工が施された不織布によって肌触りを良くすることができる。凹凸加工により外装シート24の厚みが増すことで、一般的にインジケータ70の視認性が低下する。しかしながら、インジケータ70が裏面シート23の非肌面上に設けられていることで、インジケータ70の視認性が良好であり、補助者は、インジケータ70を良好に視認可能である。
【0091】
また、外装シート24は、インジケータ70と厚さ方向Tおいて重なっている。これにより、外装シート24がインジケータ70を保護することができ、裏面シート23の非肌面23b上に設けられていても、インジケータ70が損傷することを抑制できる。
【0092】
なお、図6Aに示すように、インジケータ70(孔インジケータ70h)は、透湿孔23hの肌面側T1の開孔面にまで達さずに、途中まで延びていてもよい。インジケータ70(孔インジケータ70h)は、透湿孔23hを充填するように延びてもよい。この場合、気化した排泄物が、孔インジケータ70hに触れ易くなるため、インジケータ70の変色を早くすることができる。
【0093】
次に、変更例3に係る吸収性物品10について説明する。図6Bに示すように、外装シート24は、厚さ方向Tに貫通する開孔24hを有してよい。開孔24hは、インジケータ70と厚さ方向Tに重なってよい。不織布によって肌触りを良くすることができる。加えて、開孔24hを通じて非肌面側T2からインジケータ70を直接視認することができるため、インジケータの視認性を向上することができる。
【0094】
なお、図6Aに示すように、インジケータ70(孔インジケータ70h)は、透湿孔23hの肌面側T1の開孔面にまで達するように延びていてもよい。インジケータ70(孔インジケータ70h)は、透湿孔23hを充填するように延びてもよい。これにより、排泄物Eが気化しなくても、液状の排泄物Eが孔インジケータ70hに接触することができる。排泄物Eが孔インジケータ70h内を拡散して、裏面シート23の非肌面23b上のインジケータ70にまで達する。このため、インジケータ70の変色範囲が、裏面シート23の非肌面23b上のインジケータ70にまで広がる。従って、インジケータ70が透湿孔23h内へ延びていないケースと比べて、着用者が排泄してから吸収性物品10の非肌面側T2からインジケータ70の変色を視認するまでの時間を短縮できる。
【0095】
なお、第4級アンモニウム化合物は、尿との馴染みが良好である。従って、インジケータ70は、第4級アンモニウム化合物を含むことにより、着用者が排泄してから吸収性物品10の非肌面側T2からインジケータ70の変色を視認するまでの時間をさらに短縮できる。
【0096】
(5)吸収性物品10の製造方法
次に、吸収性物品10の製造方法について、図7及び図8を用いて説明する。図7は、吸収性物品10の製造方法を説明するための図である。具体的には、図7は、裏面シート23及びインジケータ70の模式拡大断面図である。図8は、吸収性物品10の製造方法を説明するためのフローチャートである。なお、本発明に関連する内容、具体的には、裏面シート23にインジケータ70を設ける工程を中心に説明し、従来と同様の部分は説明を省略する。
【0097】
図7に示すように、ステップS10は、インジケータ70用の塗布剤を裏面シート23の非肌面上に塗布する工程(塗布工程)である。
【0098】
図8Aに示すように、裏面シート23を搬送面100sに載せて、搬送方向MDに搬送してもよい。裏面シート23は、複数の裏面シートに切断される前の連続シートであってよい。
【0099】
図8Bに示すように、裏面シート23の非肌面23b上に、インジケータ70用の塗布剤70eを塗布する。なお、裏面シート23の非肌面23bは、搬送面100sと対向する面(裏面シート23の肌面23a)と反対側の面である。
【0100】
インジケータ70用の塗布剤70eは、インジケータ成分を含む。インジケータ成分は、排泄物との接触(反応)によって変色する成分である。
【0101】
塗布剤70eは、乾燥工程により気化する気化成分を含んでよい。気化成分は、水であってよい。特に、吸収性物品が乳幼児用のものである場合、気化成分は、水であってよい。また、また、気化成分は、揮発性有機溶媒であってよい。揮発性有機溶媒として、例えば、エチルアルコール、イソプロピレンなどが挙げられる。エチルアルコール及びイソプロピレンは、安全性が高い揮発性有機溶媒である。
【0102】
図7に示すように、インジケータ70を塗布する工程において、印刷領域PRを設けてもよい。具体的には、印刷によってインクを裏面シート23の非肌面23b上に塗布することによって、インクが塗布された印刷領域PRを設けることができる。印刷領域PRを設ける工程では、インジケータ70の少なくとも一部が印刷領域PRに重ならないように、インクを塗布する。
【0103】
裏面シート23は、吸収体30が配置される領域と厚さ方向Tにおいて重なる領域である吸収体領域を有してよい。1つの吸収体領域において、インジケータ70用の塗布剤70eとインクとを裏面シート23の非肌面23b上に同時に塗布してよい。1つの吸収体領域において、インジケータ70用の塗布剤とインクとを同時に塗布するため、インジケータ70と印刷領域PRとの相対的な位置がズレなくなる。これにより、インジケータ70と印刷領域PRとが意図せずに重なる領域を低減できるため、インジケータ70の視認性の低下を抑制できる。
【0104】
塗布剤70eは、印刷により塗布されてよい。塗布剤70eとインクとを同じ印刷装置を用いて、裏面シート23の非肌面23b上に塗布してもよい。これにより、塗布剤70eとインクとが同期して印刷されるため、塗布剤70eとインクとが重なって印刷されることを抑制できる。
【0105】
また、印刷領域PRは、インジケータ70が設けられた後に設けられてもよい。インジケータ70が設けられる前に印刷領域PRが設けられてもよい。
【0106】
ここで、例えば、インジケータ70を先に設けて、印刷領域PRを後に設けるケースを想定する。透湿性を有する連続シート(裏面シート23)は、透湿孔を有するため、透湿孔を有さない非透湿性の裏面シートと比較すると、伸び易い。このため、連続シートが巻き取られることにより、インジケータ70が延びてしまう。このため、巻き取りの有無によって、インジケータ70自体の長さ及びインジケータ70間の長さ(ピッチ間隔)が変化する。印刷領域PRの長さ及び隣接する印刷領域PR間の長さ(ピッチ間隔)は一定であるため、インジケータ70と印刷領域PRとのズレが発生し易い。特に、連続シートでは、搬送方向MDに隣接するインジケータ70のピッチ間隔のズレが累積するため、後半に印刷される印刷領域PRほど、インジケータ70と印刷領域PRとの位置ズレが大きくなる。
【0107】
そこで、インジケータ70を設けて、次いで印刷領域PRを設ける。従って、インジケータ70を設けた後(塗布剤70eを塗布した後)に、連続シートを巻き取ることなく、印刷領域PRを設けてもよい(すなわち、インクを塗布してよい)。これにより、巻き取りに起因したインジケータ70と印刷領域PRとの位置ズレを抑制できる。なお、インジケータ70と印刷領域PRとの一方を設けて、次いでインジケータ70と印刷領域PRとの他方を設けてもよい。
【0108】
次に、ステップS20を実行する。ステップS20は、非肌面上に塗布された塗布剤70eを乾燥させる工程(乾燥工程)である。従って、塗布剤70eとインクとの両方を塗布して、次いで塗布剤70eとインクとを乾燥している。塗布剤70eが塗布された裏面シート23は、搬送されながら乾燥されてよい。
【0109】
乾燥によりインジケータ70を裏面シート23に定着させることができる。図8Cに示すように、乾燥工程において、インジケータ70の成分が気化成分と共に気化し、インジケータ70の成分が透湿孔23hに入り込む。透湿孔23hに入り込んだインジケータ成分は、透湿孔23h内で固化するため、透湿孔23h内へ延びたインジケータ70を設けることができる。
【0110】
ここで、乾燥工程により気化成分が気化するため、製造された吸収性物品には気化成分が通常残らない。しかしながら、塗布剤70eが水を含む場合、気化成分が万が一残ったとしても、水に触れても着用者に害はないため、着用者は安全に吸収性物品を着用することができる。
【0111】
また、塗布剤70eが揮発性有機溶媒を含む場合、揮発性有機溶媒は、水と比較して揮発し易いため、乾燥工程における乾燥時間を短くすることができる。吸収性物品10の製造時間を短縮でき、吸収性物品10の生産性を向上できる。
【0112】
なお、乾燥工程では、乾燥温度によっては、裏面シート23(連続シート)が伸びることがある。この場合、乾燥の前後において、例えば、先に設けられたインジケータ70自体の長さ及びインジケータ70間の長さ(ピッチ間隔)が変化する。これにより、乾燥した後に、インクを塗布した場合、インジケータ70と印刷領域PRとの位置ズレが発生するおそれがある。
【0113】
例えば、インジケータ70と印刷領域PRとを裏面シート23の異なる面に設けるケースでは、搬送面100sに塗布剤70e(又はインク)が付着しないように、塗布剤70e(又はインク)を裏面シート23の肌面23a上に塗布して乾燥させる。乾燥後に、インク(又は塗布剤70e)を裏面シート23の肌面23b上に塗布して乾燥させる。この場合、先に設けられたインジケータ70の長さ及びインジケータ70のピッチ間隔が長くなり易いため、インジケータ70と印刷領域PRとの位置ズレが発生するおそれがある。
【0114】
本実施形態では、塗布剤70eとインクとを裏面シート23の同一の面(すなわち、非肌面23b)に塗布するため、例えば、塗布剤70eを塗布した後に、裏面シート23を乾燥させなくても、搬送面100sが塗布剤70eに汚れることがない。従って、塗布剤70eとインクとの両方を塗布して、次いで塗布剤70eとインクとを乾燥することができる。すなわち、塗布剤70eとインクとの両方を塗布するまで乾燥せずに、塗布剤70eとインクとの両方を塗布した後に、塗布剤70eとインクとを乾燥することができる。これにより、インジケータ70と印刷領域PRとの一方が乾燥によって伸びた後に、インジケータ70と印刷領域PRとの他方を設ける場合に比べて、インジケータ70と印刷領域PRとの位置ズレの発生を抑制できる。
【0115】
なお、乾燥温度は、常温よりも高い温度で乾燥することができる。これにより、自然乾燥よりも早く塗布剤70eとインクとを乾燥させることができる。乾燥温度は、裏面シートが伸び得るような温度で乾燥してもよい。これにより、塗布剤70eとインクとを早く乾燥することができる。このような高温で乾燥したとしても、塗布剤70eとインクとを塗布した後に乾燥するため、インジケータ70と印刷領域PRとの位置ズレが発生しない。
【0116】
以上により、透湿性を有する裏面シート23の非肌面23b上にインジケータ70を設けることができる。
【0117】
ステップS30を実行する。ステップS30は、裏面シート23を用いて、吸収性物品10を製造する工程である。非肌面側T2にインジケータ70が設けられた裏面シート23を用いることを除いて、既存の吸収性物品と同様の製造方法により吸収性物品10を製造することができる。
【0118】
(6)その他実施形態
以上、上述の実施形態を用いて本考案について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本考案は、特許請求の範囲の記載により定まる本考案の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0119】
例えば、変更例2に係る吸収性物品10は、凹凸加工が施された吸収性物品の一例を示したが、他の凹凸加工により凹部と凸部が設けられてよい。例えば、凸部24pは、外装シート24の面に沿った第1方向(例えば、前後方向L)に向けて延設されると共に、第1方向と直交する第2方向(例えば、幅方向W)に予め定められた間隔で複数列設けられてよい。第2方向に対して隣り合う凸部の間の空間に、第1方向に延設されている溝部が、凸部が突出する面側(第1面側)と反対側(第2面側)に窪むように設けられてよい。溝部の底部には、第2面側に凹む複数の凹部が第1方向に不連続に設けられてよい。凹部内に、第2面側に通じる開孔が形成されてよい。開孔は厚さ方向Tおいてインジケータ70と重なってよい。これより、凹凸加工が施された不織布によって肌触りを良くすることができると共に、凹部に形成された開孔によって、インジケータ70の視認性を向上できる。
【0120】
なお、インジケータ70と印刷領域PRとの位置ズレを抑制できるため、インジケータ70の少なくとも一部を構成する図柄と、印刷領域PRの少なくとも一部を構成する図柄とが組み合わされることにより、1つの図柄が構成されてよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本態様によれば、生産コストの増加を抑制しつつ、インジケータの視認性を向上できる吸収性物品を提供できる。
【符号の説明】
【0122】
10 :吸収性物品
21 :表面シート
22 :サイドシート
23 :裏面シート
23a :肌面
23b :非肌面
23h :透湿孔
23w :壁面
24 :外装シート
24h :開孔
24p :凸部
24q :凹部
30 :吸収体
70 :インジケータ
E :排泄物
PR :印刷領域
S1 :前胴回り域
S2 :後胴回り域
S3 :股下域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8