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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】光通信装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20221014BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20221014BHJP
【FI】
H04L12/44 Z
H04L12/44 200
H04B10/272
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019025220
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020136791
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083840
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 実
(72)【発明者】
【氏名】平瀬 貴博
(72)【発明者】
【氏名】井田 智永
(72)【発明者】
【氏名】稲村 卓也
(72)【発明者】
【氏名】平野 幸男
(72)【発明者】
【氏名】水口 潤
(72)【発明者】
【氏名】飯山 法子
(72)【発明者】
【氏名】金井 拓也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正満
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-246262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
H04B 10/272
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親局装置である光通信装置であって、
子局装置と通信する送受信制御装置と、
識別子を前記子局装置に割当てるための情報である第1のフレームと、前記子局装置に光信号の送信を開始させる時刻である送信開始時刻を含む情報である第2のフレームとを生成するフレーム生成装置と、
を有し、
前記第1のフレームは、前記フレーム生成装置と前記送受信制御装置を介した前記子局装置との間の通信における情報往復時間である第1の往復時間を含み、
前記送受信制御装置は、前記第1のフレームと前記第2のフレームを受信し、前記送信開始時刻、前記第1の往復時間、前記子局装置が送信する光信号を電気信号に変換する処理と前記電気信号に対する処理とを実行する処理時間である遅延時間、及び前記フレーム生成装置と前記送受信制御装置との間の通信における情報往復時間である第2の往復時間に基づいて、前記子局装置が送信する光信号を前記送受信制御装置が受信する時刻である受信時刻を算出する、
光通信装置。
【請求項2】
親局装置である光通信装置であって、
子局装置と通信する送受信制御装置と、
前記子局装置に光信号の送信を開始させる時刻である送信開始時刻を含む情報である第3のフレームを生成するフレーム生成装置と、
を有し、
前記第3のフレームは、前記フレーム生成装置と前記送受信制御装置を介した前記子局装置との間の通信における情報往復時間である第1の往復時間を含み、
前記送受信制御装置は、前記第3のフレームを受信し、前記送信開始時刻、前記第1の往復時間、前記子局装置が送信する光信号を電気信号に変換する処理と前記電気信号に対する処理とを実行する処理時間である遅延時間、及び前記フレーム生成装置と前記送受信制御装置との間の通信における情報往復時間である第2の往復時間に基づいて、前記子局装置が送信する光信号を前記送受信制御装置が受信する時刻である受信時刻を算出する、
光通信装置。
【請求項3】
前記第1の往復時間は、前記第3のフレームのパディング領域に登録されている、
請求項2に記載の光通信装置。
【請求項4】
前記第1の往復時間は、前記第3のフレームの領域のうち、前記フレーム生成装置の物理アドレスが登録される予定の領域である第1の領域に登録されており、
前記送受信制御装置は、
前記フレーム生成装置の物理アドレスを記憶しており、
前記第3のフレームを受信した場合、前記第3のフレームから前記第1の往復時間を抽出し、前記フレーム生成装置の物理アドレスを前記第1の領域に登録する、
請求項2に記載の光通信装置。
【請求項5】
親局装置である光通信装置が有する、子局装置と通信する送受信制御装置とフレーム生成装置とが実行する制御方法であって、
前記フレーム生成装置が、
前記フレーム生成装置と前記送受信制御装置を介した前記子局装置との間の通信における情報往復時間である第1の往復時間を含む、識別子を前記子局装置に割当てるための情報である第1のフレームと、前記子局装置に光信号の送信を開始させる時刻である送信開始時刻を含む情報である第2のフレームとを生成し、
前記送受信制御装置が、
前記第1のフレームと前記第2のフレームを受信し、
前記送信開始時刻、前記第1の往復時間、前記子局装置が送信する光信号を電気信号に変換する処理と前記電気信号に対する処理とを実行する処理時間である遅延時間、及び前記フレーム生成装置と前記送受信制御装置との間の通信における情報往復時間である第2の往復時間に基づいて、前記子局装置が送信する光信号を前記送受信制御装置が受信する時刻である受信時刻を算出する、
制御方法。
【請求項6】
親局装置である光通信装置が有する、子局装置と通信する送受信制御装置とフレーム生成装置とが実行する制御方法であって、
前記フレーム生成装置が、
前記フレーム生成装置と前記送受信制御装置を介した前記子局装置との間の通信における情報往復時間である第1の往復時間と、前記子局装置に光信号の送信を開始させる時刻である送信開始時刻とを含む情報である第3のフレームを生成し、
前記送受信制御装置が、
前記第3のフレームを受信し、
前記送信開始時刻、前記第1の往復時間、前記子局装置が送信する光信号を電気信号に変換する処理と前記電気信号に対する処理とを実行する処理時間である遅延時間、及び前記フレーム生成装置と前記送受信制御装置との間の通信における情報往復時間である第2の往復時間に基づいて、前記子局装置が送信する光信号を前記送受信制御装置が受信する時刻である受信時刻を算出する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムであるPON(Passive Optical Network)システムが、知られている。PONシステムは、通信事業者局舎に設置される光通信装置(親局装置とも言う)と、加入者側(子局側とも言う)の複数の光通信装置(子局装置とも言う)とを含む。親局装置は、OLT(Optical Line Termination)と言う。子局装置は、ONU(Optical Network Unit)と言う。
【0003】
PONシステムでは、上り信号の時分割多重に基づく制御が行われる。なお、上り信号とは、ONUがOLTに送信する光信号である。当該制御は、IEEE802.3で標準化されている。時分割多重に基づく制御が行われることで、光信号の衝突を防ぐことができる。また、時分割多重に関する技術が提案されている(特許文献1を参照)。
【0004】
従来、OLTは、1つの専用H/W(hardware)装置で実現していた。柔軟かつ迅速に、機能の追加及び機能の削除を可能にするため、OLTの一部の機能を汎用装置で実現することが検討されている。すなわち、検討されているOLTは、専用H/W装置と汎用装置で構成される。汎用装置は、上位装置とも言う。汎用装置は、OLTの機能のうち高レイヤの機能を有する。専用H/W装置は、下位装置とも言う。専用H/W装置は、OLTの機能のうち低レイヤの機能を有する。検討されているOLTのアーキテクチャとして、FASA(Flexible Access System Architecture)が挙げられる(非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-152773号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】NTTアクセスサービスシステム研究所「新アクセスシステムアーキテクチャ(FASA) ホワイトペーパー Ver. 2.0」、インターネット<URL:http://www.ansl.ntt.co.jp/j/FASA/index.html>
【文献】Ryo Koma, Masamichi Fujiwara, Jun-ichi Kani, Sang-Yuep Kim, Takahiro Suzuki, Ken-Ichi Suzuki, and Akihiro Otaka、「Demonstration of Real-Time Burst-Mode Digital Coherent Reception with Wide Dynamic Range in DSP-based PON Upstream」、「Journal of Lightwave Technology」、2016 IEEE
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、OLTの機能を複数の装置で実現することが考えられる。OLTの多くの機能は、専用H/W装置で実現するのではなく、汎用装置で実現することが望ましい。例えば、光信号の受信タイミングを決定する機能は、汎用装置で実現する。光信号を受信する機能は、専用H/W装置で実現する。このような機能の割当が行われている場合、汎用装置は、光信号の受信タイミングを算出する。汎用装置は、当該受信タイミングに基づいて、光信号を受信できるように専用H/W装置を制御する。ここで、例えば、10G-EPONシステムなどのシステムでは、16nsを1TQ(Time Quanta)として、時間が管理されている。そのため、汎用装置は、TQ単位で専用H/W装置を制御することになる。しかし、汎用装置がTQ単位で専用H/W装置を制御する場合、汎用装置と専用H/W装置は、高速な通信を実現するIF(interface)を備える必要がある。高速な通信を実現するIFを汎用装置と専用H/W装置に備えることは、コストが高くなる。
【0008】
本発明の目的は、コストを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る光通信装置が提供される。光通信装置は、親局装置である。光通信装置は、子局装置と通信する送受信制御装置と、識別子を前記子局装置に割当てるための情報である第1のフレームと、前記子局装置に光信号の送信を開始させる時刻である送信開始時刻を含む情報である第2のフレームとを生成するフレーム生成装置と、を有する。前記第1のフレームは、前記フレーム生成装置と前記送受信制御装置を介した前記子局装置との間の通信における情報往復時間である第1の往復時間を含む。前記送受信制御装置は、前記第1のフレームと前記第2のフレームを受信し、前記送信開始時刻、前記第1の往復時間、前記子局装置が送信する光信号を電気信号に変換する処理と前記電気信号に対する処理とを実行する処理時間である遅延時間、及び前記フレーム生成装置と前記送受信制御装置との間の通信における情報往復時間である第2の往復時間に基づいて、前記子局装置が送信する光信号を前記送受信制御装置が受信する時刻である受信時刻を算出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1の光通信システムを示す図である。
図2】実施の形態1のフレーム生成装置が有する主なハードウェア構成を示す図である。
図3】実施の形態1のOLTのプロトコルスタックの例(その1)を示す図である。
図4】実施の形態1のOLTのプロトコルスタックの例(その2)を示す図である。
図5】実施の形態1のMPCPプロセスを説明するための図である。
図6】実施の形態1のフレーム生成装置の構成を示す機能ブロック図である。
図7】実施の形態1のRegisterフレームのフォーマットを示す図である。
図8】実施の形態1の送受信制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
図9】実施の形態1の管理テーブルの例を示す図である。
図10】実施の形態1のRTTの算出処理を示す図である。
図11】実施の形態1のRTT補正値の算出処理を示す図である。
図12】実施の形態1の光信号の送受信処理の具体例(その1)である。
図13】実施の形態1の光信号の送受信処理の具体例(その2)である。
図14】実施の形態2のNormal Gateフレームのフォーマットを示す図である。
図15】実施の形態2の送受信制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施の形態を説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の光通信システムを示す図である。光通信システムは、OLT10及びONU21~24を含む。図1は、ONUの数が4つの場合を例示している。しかし、ONUの数は、4つに限らない。OLT10とONU21~24とは、光カプラ30を介して接続する。
【0014】
OLT10は、ONUに光信号を送信する。OLT10がONUに送信する光信号は、下り信号と称する。また、ONUがOLT10に送信する光信号は、上り信号と称する。
【0015】
ONU21,22は、10Gbpsの通信速度で通信する光通信装置である。ONU23,24は、1Gbpsの通信速度で通信する光通信装置である。
【0016】
このように、光通信システムは、複数の異なる通信速度で通信するシステムである。そのため、例えば、光通信システムは、10G-EPON(10Gigabit Ethernet Passive Optical Network)システムと考えてもよい。また、光通信システムでは、16nsを1TQとして、時間が管理されている。
また、光通信システムは、ONU毎に波長、受光感度、送信パワー、通信速度、変調、符号化、FEC(Forward Error Correction)、暗号、及びフィルタの1つ以上の方式が異なるPONシステムでもよい。
【0017】
OLT10は、フレーム生成装置100と送受信制御装置200とを有する。例えば、フレーム生成装置100は、汎用装置と考えてもよい。送受信制御装置200は、専用H/W装置と考えてもよい。また、OLT10は、フレーム生成装置100と送受信制御装置200とを含む親局制御システムと表現してもよい。
【0018】
フレーム生成装置100と送受信制御装置200とは、制御方法を実行する装置である。フレーム生成装置100は、OLT10の機能のうち高レイヤの機能を有する。送受信制御装置200は、OLT10の機能のうち低レイヤの機能を有する。フレーム生成装置100と送受信制御装置200とは、汎用なIFを用いて通信する。例えば、汎用なIFとは、高速なIFではないIFである。すなわち、汎用なIFとは、低速なIFである。例えば、低速なIFは、I2C(登録商標)などである。汎用なIFをフレーム生成装置100と送受信制御装置200に備えることは、コストを抑制することができる。
【0019】
次に、フレーム生成装置100の主なハードウェア構成について説明する。
図2は、実施の形態1のフレーム生成装置が有する主なハードウェア構成を示す図である。フレーム生成装置100は、プロセッサ101、揮発性記憶装置102、及び不揮発性記憶装置103を有する。
【0020】
プロセッサ101は、フレーム生成装置100全体を制御する。例えば、プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などである。プロセッサ101は、マルチプロセッサでもよい。フレーム生成装置100は、処理回路によって実現されてもよく、又は、ソフトウェア、ファームウェア若しくはそれらの組み合わせによって実現されてもよい。なお、処理回路は、単一回路又は複合回路でもよい。
【0021】
揮発性記憶装置102は、フレーム生成装置100の主記憶装置である。例えば、揮発性記憶装置102は、RAM(Random Access Memory)である。不揮発性記憶装置103は、フレーム生成装置100の補助記憶装置である。例えば、不揮発性記憶装置103は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)である。
送受信制御装置200とONU21~24は、フレーム生成装置100と同様に、プロセッサ、揮発性記憶装置、及び不揮発性記憶装置を有する。
【0022】
図3は、実施の形態1のOLTのプロトコルスタックの例(その1)を示す図である。フレーム生成装置100の枠104の中の機能は、プロセッサ101が予め決められたプログラムを実行することで、実現することができる。
フレーム生成装置100は、IF機能部110を有する。送受信制御装置200は、IF機能部210を有する。IF機能部110とIF機能部210は、通信できる。
【0023】
図3は、OLT機能のレイヤの分割点がRS(Reconciliation Sublayer)とPCS(Physical Coding Sublayer)の間であることを示している。しかし、OLT機能のレイヤの分割点は、RSとPCSの間以外でもよい。
ここで、OLT10は、従来のOLTとアダプタを有してもよい。ここで、従来のOLTは、専用装置と称する。
【0024】
図4は、実施の形態1のOLTのプロトコルスタックの例(その2)を示す図である。OLT10は、専用装置300とアダプタ400を有する。アダプタ400は、デジタル信号処理を行う。例えば、アダプタ400は、デジタル信号処理として、適応等化アルゴリズムを用いて、偏波モード分散(PMD:Polarization Mode Dispersion)及び波長分散(CD:Chromatic Dispersion)等の影響による波形歪みを補償する。また、例えば、適応等化アルゴリズムは、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)で変調された位相変調信号をデジタルコヒーレント受信するときに用いられるCMA(Constant Modulus Algorithm)である。なお、例えば、デジタル信号処理は、非特許文献2に記載されている。
【0025】
次に、MPCP(Multi-Point Control Protocol)プロセスについて説明する。
図5は、実施の形態1のMPCPプロセスを説明するための図である。図5は、OLT10とONU21とを用いて説明する。
【0026】
(ステップS101)OLT10は、論理的な接続関係を確立するために、Discovery Gateフレームを送信する。
(ステップS102)OLT10は、Discovery Gateフレームを送信する。
このように、OLT10は、定期的にDiscovery Gateフレームを送信する。
【0027】
(ステップS103)ONU21は、Discovery Gateフレームを受信した場合、Register RequestフレームをOLT10に送信する。
(ステップS104)OLT10は、Register Requestフレームを受信する。OLT10は、Register Requestフレームを受信することで、ONU21の存在を検出する。また、OLT10は、OLT10とONU21との間のフレーム往復時間を把握する。フレーム往復時間は、RTT(Round Trip Time)とも言う。
【0028】
OLT10は、Registerフレームを送信する。Registerフレームは、LLID(Logical Link Identifier)をONU21に割当てるための情報である。LLIDは、識別子とも言う。
ONU21にLLIDを割当てることで、ONU21は、割当てられたLLIDを含むフレームを受信した場合、自分宛に送信された情報であることを検出できる。
【0029】
(ステップS105)OLT10は、Normal Gateフレームを送信する。Normal Gateフレームは、上り信号の送信開始時刻を含む。送信開始時刻は、ONUに上り信号の送信を開始させる時刻である。また、送信開始時刻は、上り信号の送信の開始を許可する時刻と表現してもよい。
(ステップS106)ONU21は、Normal Gateフレームに含まれている送信開始時刻に、Register ACKフレームを送信する。
【0030】
(ステップS107)OLT10は、Register ACKフレームを受信する。OLT10は、Register ACKフレームを受信することで、LLIDの登録を完了する。これにより、OLT10とONU21との間で論理的な接続関係が確立する。ここで、論理的な接続関係をPONリンクとも言う。
OLT10は、Normal Gateフレームを送信する。
【0031】
(ステップS108)ONU21は、自装置内に蓄積しているデータのデータ量をReportフレームに登録する。ここで、当該データ量は、送信要求データ量とも言う。ONU21は、Reportフレームを送信する。
(ステップS109)OLT10は、上り信号の送信開始時刻と帯域とをNormal Gateフレームに登録する。OLT10は、Normal Gateフレームを送信する。
(ステップS110)ONU21は、Normal Gateフレームに含まれている送信開始時刻に、データを含む上り信号を送信する。
【0032】
ここで、実施の形態1の概要を説明する。なお、以下の説明では、ONU21を用いて説明するが、ONUは、ONU22~24の何れか1つのONUでもよい。
フレーム生成装置100は、RegisterフレームとNormal Gateフレームを生成する。Registerフレームは、第1のフレームとも言う。Normal Gateフレームは、第2のフレーム又は第3のフレームとも言う。Registerフレームは、RTTを含む。RTTは、第1の往復時間とも言う。第1の往復時間は、フレーム生成装置100と送受信制御装置200を介したONU21との間の通信における情報往復時間である。
【0033】
送受信制御装置200は、ONU21と通信する。送受信制御装置200は、RegisterフレームとNormal Gateフレームをフレーム生成装置100から受信する。送受信制御装置200は、送信開始時刻、RTT、遅延時間、及びΔRTTに基づいて、受信時刻を算出する。
【0034】
遅延時間は、ONU21が送信した光信号を送受信制御装置200が受信した時点から受信した光信号に基づく電気信号を送受信制御装置200がフレーム生成装置100に送信するまでの時間である。遅延時間は、ONU21が送信する光信号を電気信号に変換する処理と当該電気信号に対する処理とを実行する処理時間であると表現してもよい。なお、遅延時間は、後述するΔTである。
【0035】
ΔRTTは、フレーム生成装置100と送受信制御装置200との間の通信における情報往復時間である。ΔRTTは、RTT補正値又は第2の往復時間とも言う。
受信時刻は、ONU21が送信する光信号を受信する時刻である。
【0036】
このように、送受信制御装置200は、受信時刻を算出する。送受信制御装置200が受信時刻を算出することで、フレーム生成装置100は、受信時刻を算出しなくて済む。すなわち、フレーム生成装置100は、光信号の受信タイミングを算出しなくて済む。フレーム生成装置100が光信号の受信タイミングを算出しないのであれば、フレーム生成装置100は、受信タイミングに基づいて光信号を受信できるように送受信制御装置200を制御しなくて済む。フレーム生成装置100が当該制御を実行しないのであれば、フレーム生成装置100と送受信制御装置200とは、高速な通信を実現するIFを備えなくて済む。すなわち、フレーム生成装置100と送受信制御装置200とは、汎用なIFを備えれば済む。汎用なIFをフレーム生成装置100と送受信制御装置200とに備えることは、コストを抑制することができる。
【0037】
次に、フレーム生成装置100と送受信制御装置200について詳細に説明する。
図6は、実施の形態1のフレーム生成装置の構成を示す機能ブロック図である。フレーム生成装置100は、IF機能部110とフレーム生成部120を有する。
IF機能部110とフレーム生成部120の一部又は全部は、プロセッサ101によって実現してもよい。IF機能部110とフレーム生成部120の一部又は全部は、プロセッサ101が実行するプログラムのモジュールとして実現してもよい。
【0038】
IF機能部110は、フレーム生成部120が生成したMPCPフレームを送受信制御装置200に送信する。MPCPフレームとは、Discovery Gateフレーム、Registerフレーム、Normal Gateフレーム、Reportフレームなどである。また、IF機能部110は、送受信制御装置200から情報を受信する。なお、IF機能部110は、RSの機能を含むものとする。
【0039】
フレーム生成部120は、MPCP機能に関する制御、光信号の送受信におけるスケジューリング、及びMPCPフレームを生成する。具体的には、フレーム生成部120は、PONリンクの確立、RTTの算出、LLIDそれぞれに対応するONU種別及びRTTの管理、及び送信開始時刻の決定である。
【0040】
上記で説明したように、フレーム生成部120は、MPCPフレームのうちのRegisterフレームを生成する。ここで、フレーム生成部120が生成するRegisterフレームには、LLIDと当該LLIDに対応するONU種別及びRTTとが登録される。ここで、Registerフレームのフォーマットを説明する。
【0041】
図7は、実施の形態1のRegisterフレームのフォーマットを示す図である。図7は、LLIDがAssigned portフィールドに登録されることを示している。また、図7は、LLIDに対応するRTTとONU種別とがPaddingフィールドに登録されることを示している。
また、フレーム生成部120は、RTT補正値を算出する。RTT補正値の算出は、後で説明する。
【0042】
図8は、実施の形態1の送受信制御装置の構成を示す機能ブロック図である。送受信制御装置200は、IF機能部210、光送受信部220、信号処理部230、情報抽出部240、制御信号生成部250、時間管理部260、及び記憶部270を有する。
記憶部270は、送受信制御装置200が有する揮発性記憶装置及び不揮発性記憶装置に確保した記憶領域として実現できる。
【0043】
IF機能部210、光送受信部220、信号処理部230、情報抽出部240、制御信号生成部250、及び時間管理部260の一部又は全部は、送受信制御装置200が有するプロセッサによって実現してもよい。IF機能部210、光送受信部220、信号処理部230、情報抽出部240、制御信号生成部250、及び時間管理部260の一部又は全部は、送受信制御装置200が有するプロセッサが実行するプログラムのモジュールとして実現してもよい。
【0044】
IF機能部210は、フレーム生成装置100と通信する。IF機能部210は、Loopback機能を有する場合がある。Loopback機能については、後で説明する。
光送受信部220は、ONU21~24が送信した上り信号を受信する。光送受信部220は、上り信号を電気信号に変換する。光送受信部220は、変換した電気信号を信号処理部230に送信する。
【0045】
また、ONU21~24の通信速度は、1Gbps又は10Gbpsである。このように、通信速度が混在しているため、光送受信部220は、帯域、ゲインなどを動的に切り替える。すなわち、光送受信部220は、上り信号を送信する送信元を識別した上で上り信号を受信する必要がある。そのため、光送受信部220には、タイミング制御信号が送信される。光送受信部220は、タイミング制御信号に基づいて、制御される。タイミング制御信号は、レートセレクト信号と受信リセット信号の2つである。レートセレクト信号は、Rx_SELECT信号と記載する場合がある。受信リセット信号は、Rx_RESET信号と記載する場合がある。レートセレクト信号は、受信帯域に応じて、光送受信部220の受信回路を切り替えるための信号である。受信リセット信号は、受信帯域を切り替える際に受信回路に対してリセットを行うための信号である。なお、タイミング制御信号は、制御信号生成部250で生成される。
【0046】
また、光送受信部220は、信号処理部230から受信した電気信号を下り信号に変換する。光送受信部220は、下り信号を送信する。
信号処理部230は、FEC、暗号化、符号化などのPCS機能と、シリアル/パラレル変換、変調、復調などのPMA(Physical Media Attachment)機能を有する。このように、信号処理部230は、電気信号をフレーム生成装置100に送信するための前処理を行う。
【0047】
情報抽出部240は、MPCPフレームから情報を抽出する。具体的には、情報抽出部240は、RegisterフレームからLLID、RTT、及びONU種別を抽出する。情報抽出部240は、LLID、RTT、及びONU種別を管理テーブルに登録する。ここで、管理テーブルの具体例を示す。
【0048】
図9は、実施の形態1の管理テーブルの例を示す図である。管理テーブル271は、記憶部270に格納される。管理テーブル271は、項番、LLID、RTT、及びONU種別の項目を有する。
また、情報抽出部240は、Normal Gateフレームのプリアンブルに記載されたLLIDと、ONUの送信開始時刻を抽出する。なお、ONUの送信開始時刻は、GST(Grant Start Time)とも言う。情報抽出部240は、LLIDとONUの送信開始時刻とを制御信号生成部250に通知する。
【0049】
情報抽出部240は、Discovery GateフレームのTimeStampフィールドの値を抽出する。情報抽出部240は、抽出した値を時間管理部260に通知する。これにより、フレーム生成装置100と送受信制御装置200との時刻が同期する。また、情報抽出部240は、Discovery GateフレームのStart Timeフィールドの値を抽出する。情報抽出部240は、抽出した値を制御信号生成部250に通知する。
【0050】
情報抽出部240は、後述するLoopback OFFフレームからRTT補正値を抽出する。情報抽出部240は、RTT補正値を記憶部270に格納する。
制御信号生成部250は、Register Requestフレームを送受信制御装置200で正しく受信するために、Start TimeとONU種別に基づいて、Rx_SELECT信号とRx_RESET信号を生成する。制御信号生成部250は、Rx_SELECT信号とRx_RESET信号を光送受信部220に出力する。
【0051】
制御信号生成部250は、受信時刻を算出する。受信時刻の算出方法については、後で説明する。
また、制御信号生成部250は、ONUが送信したデータを送受信制御装置200で正しく受信するために、ONU種別に基づいて、Rx_SELECT信号とRx_RESET信号を生成する。なお、生成するタイミングは、受信時刻とガードタイムに基づいて、決定される。制御信号生成部250は、Rx_SELECT信号とRx_RESET信号を光送受信部220に出力する。
【0052】
時間管理部260は、情報抽出部240が抽出したTimeStampの値を16nsごとにインクリメントする。なお、TimeStampの値は、TQ単位で表される。時間管理部260は、カウンタした値を制御信号生成部250に提供する。
【0053】
次に、RTTの算出処理について説明する。
図10は、実施の形態1のRTTの算出処理を示す図である。図10の横軸は、時間である。
ここで、ONU22には、LLIDが割り当てられていないものとする。また、ONU22は、Discovery GateフレームをOLT10から受信しているものとする。例えば、ONU22は、図5のステップS102の状態である。Discovery Gateフレームには、GST0が登録されている。なお、GSTは、送信開始時刻である。
【0054】
ONU22は、上り信号としてRegister RequestフレームをGST0に送信する。
光送受信部220は、Register Requestフレームを受信する。なお、Register Requestフレームが送受信制御装置200に受信された時刻は、RX0_HWである。
【0055】
信号処理部230は、Register Requestフレームに対して処理を行う。当該処理が終了した後、IF機能部210は、Register Requestフレームをフレーム生成装置100に送信する。IF機能部110は、Register Requestフレームを受信する。なお、Register Requestフレームがフレーム生成装置100に受信された時刻は、RX0_SERVERである。
ここで、フレーム生成装置100は、式(1)を用いてRTTを算出できる。
【0056】
RTT#0=RX0_SERVER-GST0・・・(1)
【0057】
フレーム生成装置100と送受信制御装置200との間には、距離がある。そのため、フレーム生成装置100は、Register Requestフレームを受信するまでに時間がかかる。当該時間は、RTT補正値と表現する。また、RTT補正値は、ΔRTTと記載する。
ここで、RX0_HWは、式(2)を用いて表現できる。
【0058】
RX0_HW=GST0+RTT#0-(ΔT+ΔRTT)・・・(2)
【0059】
式(2)のΔTは、光送受信部220が上り信号を電気信号に変換する処理を実行する時間と、信号処理部230が当該電気信号に対する処理を実行する時間との合計時間である。
なお、ΔTとRTT補正値は、変動しない値である。光送受信部220と信号処理部230が実行する時間は、予め計測することが可能である。すなわち、ΔTは、予め計測することが可能である。そのため、予め計測されたΔTは、記憶部270に格納されてもよい。
【0060】
ここで、RTT補正値の算出処理について説明する。
図11は、実施の形態1のRTT補正値の算出処理を示す図である。図11の処理は、フレーム生成装置100と送受信制御装置200とが通信できる状態になった後、実行される。
フレーム生成部120は、Loopback ONフレームを生成する。IF機能部110は、Loopback ONフレームを送信する。IF機能部210は、Loopback ONフレームを受信する。IF機能部210は、Loopback機能をONにする。
【0061】
フレーム生成部120は、Time Stampを含むRTT補正値測定フレームを生成する。IF機能部110は、時刻t1に、RTT補正値測定フレームを送受信制御装置200に送信する。IF機能部210は、RTT補正値測定フレームをフレーム生成装置100に送信する。このように、RTT補正値測定フレームは、ループバックされる。IF機能部110は、時刻t2に、RTT補正値測定フレームを受信する。
フレーム生成部120は、式(3)を用いて、RTT補正値を算出する。なお、RTT補正値は、ΔRTTである。
【0062】
ΔRTT=t2-t1・・・(3)
【0063】
このように、RTT補正値は、算出される。
フレーム生成部120は、ΔRTTを含むLoopback OFFフレームを生成する。IF機能部110は、Loopback OFFフレームを送受信制御装置200に送信する。IF機能部210は、Loopback OFFフレームを受信する。IF機能部210は、Loopback機能をOFFにする。
【0064】
IF機能部210は、Loopback OFFフレームを情報抽出部240に送信する。情報抽出部240は、Loopback OFFフレームからΔRTTを抽出する。情報抽出部240は、ΔRTTを記憶部270に格納する。
【0065】
ΔRTTは、上記の方法以外の方法で記憶部270に格納されてもよい。例えば、ΔRTTは、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)などにより測定される。測定されたΔRTTを格納している外部端末(図示を省略)は、ΔRTTを記憶部270に格納する。
【0066】
次に、光信号の送受信処理について、図12,13を用いて説明する。
図12は、実施の形態1の光信号の送受信処理の具体例(その1)である。図13は、実施の形態1の光信号の送受信処理の具体例(その2)である。
ここで、ONU21には、LLIDが割り当てられていないものとする。ONU23には、LLIDが割り当てられているものとする。
【0067】
フレーム生成部120は、Discovery Gateフレームを時刻T1に生成する。IF機能部110は、Discovery Gateフレームを送受信制御装置200に送信する。
IF機能部210は、Discovery Gateフレームを受信する。情報抽出部240は、Discovery GateフレームのTime Stampフィールドに登録されている値T1とStart Timeフィールドに登録されている値T2とを抽出する。
【0068】
情報抽出部240は、値T1を時間管理部260に送信する。時間管理部260は、値T1を時刻カウンタにロードする。これにより、フレーム生成装置100と送受信制御装置200との時刻が同期する。
また、情報抽出部240は、Discovery Information fieldの値からONU種別を抽出する。ONU種別は、1である。すなわち、ONU種別は、10GbpsのONUであることを示している。情報抽出部240は、値T2とONU種別とを制御信号生成部250に送信する。
【0069】
制御信号生成部250は、時間管理部260が管理している時刻カウンタの値と値T2を比較する。制御信号生成部250は、値T2よりもガードタイム前にRx_SELECT信号とRx_RESET信号を生成する。ここで、Rx_SELECT信号の論理レベルは、ONU種別に基づいて決定される。ONU種別が1である場合、Rx_SELECT信号の論理レベルは、Highである。ONU種別が0である場合、Rx_SELECT信号の論理レベルは、Lowである。制御信号生成部250は、情報抽出部240が送信したONU種別が1であるため、Rx_SELECT信号の論理レベルをHighにする。制御信号生成部250は、Rx_SELECT信号とRx_RESET信号を光送受信部220に送信する。
【0070】
信号処理部230は、Discovery Gateフレームに対してPCSとPMAの処理を行う。処理が終わった後、光送受信部220は、Discovery Gateフレームを送信する。
【0071】
ONU21は、Discovery Gateフレームを受信する。ONU21は、Discovery GateフレームのTime Stampフィールドに登録されている値T1を抽出する。ONU21は、ONU21内で管理しているローカルタイムを値T1と同期させる。ONU21は、ローカルタイムがDiscovery GateフレームのStart Timeフィールドに登録されている値T2になった後、ランダム遅延時間の間、待機する。ONU21は、ランダム遅延時間後、Register Requestフレームを上り信号として、送信する。なお、Register Requestフレームが送信された時刻は、時刻T3とする。また、時刻T3は、Register RequestフレームのTime Stampフィールドに登録されている。
【0072】
光送受信部220は、Register Requestフレームを受信する。なお、光送受信部220は、Rx_SELECT信号の論理レベルがHighになっているため、Register Requestフレームを正しく受信できる。
信号処理部230は、Register Requestフレームに対してPCSとPMAの処理を行う。処理が終わった後、IF機能部210は、Register Requestフレームをフレーム生成装置100に送信する。
【0073】
フレーム生成部120は、Register Requestフレームを時刻T4に受信したとする。
フレーム生成部120は、式(4)を用いて、RTT#1を算出する。
【0074】
RTT#1=T4-T3・・・(4)
【0075】
なお、式(4)の時刻T3は、Register Requestフレームに含まれていた時刻である。
フレーム生成部120は、ONU21にLLIDを割り当てる。なお、LLIDは、0x0001とする。フレーム生成部120は、Registerフレームを生成する。また、Registerフレームには、RTT#1、ONU種別、及びLLIDが登録されている。なお、ONU種別は、1である。また、LLIDは、0x0001である。IF機能部110は、Registerフレームを送受信制御装置200に送信する。
【0076】
IF機能部210は、Registerフレームを受信する。情報抽出部240は、RTT#1、ONU種別、及びLLIDをRegisterフレームから抽出する。情報抽出部240は、RTT#1、ONU種別、及びLLIDを管理テーブル271に登録する。
情報抽出部240がRegisterフレームからRTT#1などを抽出した後、信号処理部230は、Registerフレームに対してPCSとPMAの処理を行う。処理が終わった後、光送受信部220は、Registerフレームを送信する。
【0077】
フレーム生成部120は、ONU21宛のNormal Gateフレームを生成する。Normal Gateフレームには、LLID、GST1、及びGL1が登録されている。LLIDは、0x0001である。また、GL1は、送信帯域情報である。IF機能部110は、Normal Gateフレームを送受信制御装置200に送信する。
【0078】
IF機能部210は、Normal Gateフレームを受信する。情報抽出部240は、Normal GateフレームからLLIDとGST1を抽出する。情報抽出部240は、LLIDとGST1を制御信号生成部250に送信する。制御信号生成部250は、LLIDをキーとして、管理テーブル271に登録されているRTTとONU種別を取得する。なお、取得されたRTTとONU種別は、RTT#1と1である。
制御信号生成部250は、式(5)を用いて、ONU21が送信する上り信号の受信時刻RX1_HWを算出する。
【0079】
RX1_HW=GST1+RTT#1-(ΔT+ΔRTT)・・・(5)
【0080】
制御信号生成部250は、時間管理部260が管理している時刻カウンタの値とRX1_HWを比較する。制御信号生成部250は、RX1_HWよりもガードタイム前にRx_SELECT信号とRx_RESET信号を生成する。なお、Rx_SELECT信号の論理レベルは、Highである。制御信号生成部250は、Rx_SELECT信号とRx_RESET信号を光送受信部220に送信する。
信号処理部230は、Normal Gateフレームに対してPCSとPMAの処理を行う。処理が終わった後、光送受信部220は、Normal Gateフレームを送信する。
【0081】
ONU21は、Normal Gateフレームを受信する。Local TimeがGST1になった場合、ONU21は、Register Ackフレームを送信する。
光送受信部220は、時刻RX1_HWにRegister Ackフレームを受信する。なお、光送受信部220は、Rx_SELECT信号の論理レベルがHighになっているため、Register Ackフレームを受信できる。
【0082】
信号処理部230は、Register Ackフレームに対してPCSとPMAの処理を行う。処理が終わった後、IF機能部210は、Register Ackフレームをフレーム生成装置100に送信する。
IF機能部110は、時刻RX1_SERVERに、Register Ackフレームを受信する。なお、時刻RX1_SERVERは、式(6)を用いて表現できる。
【0083】
RX1_SERVER=GST1+RTT#1・・・(6)
【0084】
フレーム生成部120は、Register Ackフレームに対して処理を行う。
フレーム生成部120は、ONU23宛のNormal Gateフレームを生成する。Normal Gateフレームには、LLID、GST2、及びGL2が登録されている。LLIDは、0x0002である。また、GL2は、送信帯域情報である。IF機能部110は、Normal Gateフレームを送受信制御装置200に送信する。
【0085】
ここで、管理テーブル271には、0x0002に対応するRTTがRTT#2であることが登録されているものとする。また、管理テーブル271には、0x0002に対応するONU種別が0であることが登録されているものとする。
【0086】
IF機能部210は、Normal Gateフレームを受信する。情報抽出部240は、Normal GateフレームからLLIDとGST2を抽出する。情報抽出部240は、LLIDとGST2を制御信号生成部250に送信する。制御信号生成部250は、LLIDをキーとして、管理テーブル271に登録されているRTTとONU種別を取得する。なお、取得されたRTTとONU種別は、RTT#2と0である。
制御信号生成部250は、式(7)を用いて、ONU21が送信する上り信号の受信時刻RX2_HWを算出する。
【0087】
RX2_HW=GST2+RTT#2-(ΔT+ΔRTT)・・・(7)
【0088】
制御信号生成部250は、時間管理部260が管理している時刻カウンタの値とRX2_HWを比較する。制御信号生成部250は、RX2_HWよりもガードタイム前にRx_SELECT信号とRx_RESET信号を生成する。なお、Rx_SELECT信号の論理レベルは、Lowである。制御信号生成部250は、Rx_SELECT信号とRx_RESET信号を光送受信部220に送信する。
【0089】
信号処理部230は、Normal Gateフレームに対してPCSとPMAの処理を行う。処理が終わった後、光送受信部220は、Normal Gateフレームを送信する。
ONU23は、Normal Gateフレームを受信する。Local TimeがGST2になった場合、ONU21は、データを送信する。
【0090】
光送受信部220は、時刻RX2_HWにデータを受信する。なお、光送受信部220は、Rx_SELECT信号の論理レベルがLowになっているため、上り信号を受信できる。
信号処理部230は、データに対してPCSとPMAの処理を行う。処理が終わった後、IF機能部210は、データをフレーム生成装置100に送信する。
IF機能部110は、時刻RX2_SERVERに、データを受信する。なお、時刻RX2_SERVERは、式(8)を用いて表現できる。
【0091】
RX2_SERVER=GST2+RTT#2・・・(8)
【0092】
このように、送受信制御装置200は、算出した受信時刻に上り信号を受信できる。
実施の形態1によれば、OLT10は、フレーム生成装置100と送受信制御装置200に高速なIFを備えなくて済む。よって、OLT10は、コストを抑制できる。
【0093】
また、実施の形態1では、RTTがRegisterフレームに含まれる場合を示した。しかし、RTTは、Normal GateフレームのPaddingフィールド(パディング領域)に含まれてもよい。また、RTTがNormal Gateフレームに含まれる場合、Paddingフィールドが、15byteから39byteに変動する。しかし、RTTがRegisterフレームに含まれる場合、Paddingフィールドのデータ長は固定であるため、Paddingフィールドは、32byteから変動しない。
【0094】
また、OLT10は、ONUそれぞれに対応するRTTを算出した後、次の処理を行ってもよい。OLT10は、RTTの値が小さいONUへの下り信号に対してFECを無効にする。理由は、OLT10とONUの距離が短い場合、光信号の劣化が小さいからである。
【0095】
実施の形態2.
次に、実施の形態2を説明する。実施の形態1と相違する事項を主に説明し、実施の形態1と共通する事項の説明を省略する。実施の形態2は、図1~6,8~13を参照する。
実施の形態1では、RTTがPaddingフィールドに登録される場合を説明した。実施の形態2では、RTTがMAC(Media Access Control)-SA(Source Address)に登録される場合を説明する。
【0096】
フレーム生成装置100について、説明する。
フレーム生成部120は、Normal Gateフレームを生成する。ここで、Normal Gateフレームのフォーマットの具体例を示す。
【0097】
図14は、実施の形態2のNormal Gateフレームのフォーマットを示す図である。フレーム生成部120は、MAC-SAフィールドにRTTとONU種別を登録する。このように、RTTは、Normal Gateフレームのフィールドのうち、フレーム生成装置100のMACアドレスが登録される予定の領域であるMAC-SAフィールドに登録される。また、MAC-SAフィールドは、第1の領域とも言う。
【0098】
ここで、MAC-SAフィールドに登録されているRTTは、RTT#2とする。また、Normal Gateフレームには、GST2が登録されているものとする。
IF機能部110は、Normal Gateフレームを送受信制御装置200に送信する。
【0099】
図15は、実施の形態2の送受信制御装置の構成を示す機能ブロック図である。送受信制御装置200は、さらに、上書き部280を有する。図8に示される構成と同じ又は対応する図15の構成は、図8に示される符号と同じ符号を付している。
情報抽出部240は、IF機能部210がDiscovery Gateフレームを受信した場合、Discovery GateフレームのMAC-SAフィールドの値を抽出する。MAC-SAフィールドの値は、フレーム生成装置100のMACアドレスである。なお、MACアドレスは、物理アドレスとも言う。情報抽出部240は、フレーム生成装置100のMACアドレスを記憶部270に格納する。
【0100】
情報抽出部240は、IF機能部210がNormal Gateフレームを受信した場合、Normal GateフレームからRTT#2、GST2、及びONU種別を抽出する。情報抽出部240は、RTT#2、GST2、及びONU種別を制御信号生成部250に送信する。
これにより、制御信号生成部250は、受信時刻を算出することができる。例えば、制御信号生成部250は、式(7)を用いて、受信時刻RX2_HWを算出する。
【0101】
情報抽出部240は、Normal Gateフレームを上書き部280に送信する。上書き部280は、フレーム生成装置100のMACアドレスを記憶部270から取得する。上書き部280は、Normal GateフレームのMAC-SAフィールドに登録されているRTT及びONU種別をフレーム生成装置100のMACアドレスに上書きする。このように、上書き部280は、Normal Gateフレームが受信された場合、Normal GateフレームのMAC-SAフィールドにフレーム生成装置100のMACアドレスを登録する。
【0102】
上書き部280は、Normal Gateフレームを信号処理部230に送信する。信号処理部230は、Normal Gateフレームに対してPCSとPMAの処理を行う。処理が終わった後、光送受信部220は、Normal Gateフレームを送信する。
【0103】
上記では、Normal GateフレームのMAC-SAフィールドにRTTが登録される場合を示した。しかし、MAC-SAフィールド以外のフィールドにRTTが登録されてもよい。例えば、MAC-DAフィールドにマルチキャストアドレスが登録される場合、MAC-DAフィールドにRTTが登録される。
【0104】
実施の形態2によれば、OLT10は、IEEE802.3の規定を逸脱したNormal Gateフレームを生成する。しかし、OLT10は、Normal Gateフレームを送信する段階でIEEE802.3の規定に準拠したNormal Gateフレームに修正する。そのため、OLT10は、IEEE802.3規定に準拠した動作を実現できる。
【0105】
以上に説明した各実施の形態における特徴は、互いに適宜組み合わせることができる。また、実施の形態1,2では、OLTの機能が2つの装置で実現できる場合を示した。しかし、OLTの機能は、3つ以上の装置で実現されてもよい。
実施の形態1,2は、10G-EPONシステムを例示した。しかし、実施の形態1,2は、10G-EPONシステム以外の光通信システムにも適用できる。
【符号の説明】
【0106】
10 OLT、 21,22,23,24 ONU、 30 光カプラ、 100 フレーム生成装置、 101 プロセッサ、 102 揮発性記憶装置、 103 不揮発性記憶装置、 104 枠、 110 IF機能部、 120 フレーム生成部、 200 送受信制御装置、 210 IF機能部、 220 光送受信部、 230 信号処理部、 240 情報抽出部、 250 制御信号生成部、 260 時間管理部、 270 記憶部、 271 管理テーブル、 280 上書き部、 300 専用装置、 400 アダプタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15