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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20221014BHJP
   A01K 23/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20221014BHJP
   A01K 1/015 20060101ALI20221014BHJP
   A01M 29/12 20110101ALI20221014BHJP
【FI】
A61F13/15 140
A01K23/00 Z
A61F13/49 312Z
A61F13/49 410
A01K1/015 A
A01M29/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019115762
(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公開番号】P2021000278
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹治 浩之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博彰
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-522618(JP,A)
【文献】特開2017-035437(JP,A)
【文献】特開2012-205542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
A01K 1/00- 1/12
A01K23/00
A01M 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用対象の体液を吸収可能な吸収コアを有する吸収性物品であって、
害虫忌避成分が付与された忌避領域を備え、
前記忌避領域は、前記吸収性物品の肌当接面と、前記吸収性物品の非肌当接面と、にそれぞれ設けられており、
前記非肌当接面の前記忌避領域の面積は、前記肌当接面の前記忌避領域の面積よりも大きく、
前記非肌当接面を構成する部材の害虫忌避成分の量は、前記肌当接面を構成する部材の害虫忌避成分の量よりも多い、吸収性物品。
【請求項2】
前記忌避領域は、親水性素材からなる繊維及び親油性素材からなる繊維のうち少なくとも一方の繊維を有するシート材に、害虫忌避成分を有する液状の忌避剤が付与された領域である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記忌避領域の全体は、着色されており、
前記忌避領域と前記忌避領域でない領域と、の色差ΔEは、3.0以上である、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記着用対象の胴回りを覆う外装体と、前記外装体よりも肌面側に配置され、前記吸収コアを有する吸収性本体と、を有し、
前記忌避領域の少なくとも一部は、前記吸収性本体の前後方向の中心よりも前側において、前記吸収性本体に少なくとも設けられている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記着用対象の胴回りを覆う外装体と、前記外装体よりも肌面側に配置され、前記吸収コアを有する吸収性本体と、を有し、
前記忌避領域の少なくとも一部は、前記吸収性本体の前後方向の中心よりも後側において、前記吸収性本体に少なくとも設けられている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収コアの肌面側に配置された表面シートと、前記吸収コアの非肌面側に配置された裏面シートを有する本体部と、
前記着用対象としての動物の胴回りに前記本体部が巻き付けられた装着状態において、互いに対向する前記本体部同士を接合する接合部と、を有し、
前記本体部は、前記装着状態において互いに対向する対向領域を有し、
前記忌避領域の少なくとも一部は、前記対向領域に設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間や動物等の着用対象の体液を吸収可能な吸収性物品及び吸収性物品の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、使用者の衣服等に貼付して、虫よけ機能を発揮する虫よけパッチが提供されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の虫よけパッチは、バリア性フィルム層の上層側に不織布層を積層し、バリア性フィルム層の下層側には被服に対して感圧接着可能な粘着剤層が設けられた粘着シール積層体である。粘着シール積層体に飛翔害虫忌避香料成分を注加している。特許文献1の虫よけパッチによれば、蚊、蚋、ユスリカ、ハエ類などの飛翔害虫に対する忌避機能を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-000279号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、虫よけパッチは、着用対象の着衣の外側に対して貼付されるものであり、着用対象の身体から離れた位置で機能する。従って、着用対象に対して十分な忌避機能を発揮できないおそれがあった。また、気候によっては、着用対象が吸収性物品を覆う衣服を着用せずに、過ごすことが考えられる。このような場合においては、衣服に虫よけパッチを貼付できず、害虫避機能を発揮できないことがあった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、吸収性物品を着用する着用対象に害虫忌避効果を発揮できる吸収性物品及び吸収性物品の包装体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品は、着用対象の体液を吸収可能な吸収コアを有しており、害虫忌避成分が付与された忌避領域を備える。
【0007】
他の態様に係る吸収性物品は、着用対象の体液を吸収可能な吸収コアを有する吸収性物品であって、前記吸収性物品の着用時に害虫忌避機能を発揮する。
【0008】
一態様に係る吸収性物品の包装体は、吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する収容体と、を有し、前記収容体は、前記吸収性物品を収容した空間を密封する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る吸収性物品の正面図である。
図2】第1実施形態に係る吸収性物品の展開状態の肌面側から見た平面図である。
図3図2に示すA-A線に沿った模式断面図である。
図4】第2実施形態に係る吸収性物品の肌面側から見た平面図である。
図5】第2実施形態に係る吸収性物品の非肌面側から見た平面図である。
図6図4に示すB-B線に沿った模式断面図である。
図7】第2実施形態に係る吸収性物品の着用状態を模式的に示した図である。
図8】第3実施形態に係る吸収性物品の展開状態の肌面側から見た平面図である。
図9】第3実施形態に係る吸収性物品の着用状態を模式的に示した図である。
図10】吸収性物品の収容体を模式的に示した図である。
【0010】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、着用対象の体液を吸収可能な吸収コアを有しており、害虫忌避成分が付与された忌避領域を備える。
【0011】
本態様によれば、害虫忌避成分が付与された忌避領域を有するため、吸収性物品を着用した着用対象に対して害虫忌避効果を発揮できる。吸収性物品自体が害虫忌避効果を発揮するため、着衣を着用しない場合にも害虫忌避効果を発揮できる。また、虫よけスプレーや虫よけパッチ等によって着衣に対して害虫忌避成分を付与する形態にあっては、害虫忌避成分を付与する行為が必要である。更に、着衣を着替えた際には、新たな着衣に害虫忌避成分を再度付与しなければならなかった。しかし、吸収性物品自体に害虫忌避成分が付与されているため、害虫忌避成分を付与する行為が不要となる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記忌避領域の少なくとも一部は、着用対象の肌に当接する肌当接面よりも非肌面側に少なくとも設けられてよい。
【0013】
忌避領域は、少なくとも肌当接面よりも非肌面側に少なくとも設けられている。そのため、害虫忌避成分は、着用対象に向かう内面側よりも吸収性物品の外側に向けられる外面側に向かって拡散し易い。よって、吸収性物品の外面側にて飛散する害虫を吸収性物品に寄せ付け難くできる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアよりも非肌面側に配置され、液不透過性を有する防漏シートを有し、前記忌避領域の少なくとも一部は、前記防漏シートよりも非肌面側に少なくとも設けられてよい。
【0015】
本態様によれば、防漏シートは、液を透過させず、害虫忌避成分を肌面側に拡散させにくい。よって、吸収性物品の着用時に、吸収性物品の外面側に向かって害虫忌避成分が拡散し易い。吸収性物品の外面側にて飛散する害虫を吸収性物品に寄せ付け難くできる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記忌避領域の少なくとも一部は、前記吸収性物品の外面に位置する非肌当接面よりも肌面側に少なくとも設けられてよい。
【0017】
本態様によれば、忌避領域は、非肌当接面よりも肌面側に少なくとも設けられている。そのため、害虫忌避成分は、着用対象側に向かって拡散し易い。特に、犬等の毛が多い着用対象にあっては、毛の周囲や毛と毛の空間に蚊などの害虫が入り込むことがある。着用対象の肌面に対して害虫を寄せ付け難くでき、毛の周囲等の害虫が入り込むことを抑制できる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアよりも非肌面側に配置され、液不透過性を有する防漏シートを有し、前記忌避領域の少なくとも一部は、前記防漏シートよりも肌面側に少なくとも設けられてよい。
【0019】
本態様によれば、防漏シートは、液を透過させず、害虫忌避成分を非肌面側に拡散させにくい。よって、吸収性物品の着用時に、吸収性物品の内面側に向かって害虫忌避成分が拡散し易い。着用対象の肌面に対して害虫を寄せ付け難くでき、毛の周囲等の害虫が入り込むことを抑制できる。
【0020】
好ましい一態様によれば、前記忌避領域は、親水性素材からなる繊維及び親油性素材からなる繊維のうち少なくとも一方の繊維を有するシート材に、害虫忌避成分を有する液状の忌避剤が付与された領域であってよい。
【0021】
親水性素材からなる繊維及び親油性素材からなる繊維のうち少なくとも一方の繊維を有するシート材は、液体の忌避剤を保持し続け易い。シート材の繊維に忌避剤が保持され続けることにより、忌避剤の忌避効果を発現までの時間を確保しやすくなる、吸収性物品を使用するまでの保管期間が長い場合であっても、害虫忌避効果を発揮し易くなる。
【0022】
好ましい一態様によれば、前記忌避領域の少なくとも一部は、着色されてよい。
【0023】
本態様によれば、使用者が、視覚的に忌避領域を認識出来る。使用者の害虫忌避効果に対する期待値が上がり、周囲の人も害虫忌避効果を認知し易く、安心感を付与できる。
【0024】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアよりも非肌面側において、少なくとも着用対象の胴回りを覆う外装体を有し、前記外装体は、幅方向に伸縮する外装伸縮性部材と、前記伸縮性部材を厚さ方向に挟んで配置された一対の外装シートと、を有し、前記忌避領域は、前記外装シートにおける前記外装伸縮性部材と当接する面以外において、前記外装体に設けられよい。
【0025】
本態様によれば、外装シートにおける伸縮性部材と当接する面に忌避領域が設けられていると、害虫忌避成分の機能によっては、伸縮性部材の伸縮性能に影響を及ぼすおそれがある。しかし、外装シートにおける外装伸縮性部材と当接する面以外の面に忌避領域が設けられていることにより、害虫忌避成分の機能に起因した伸縮性部材の伸縮性能への影響を抑制できる。また、外装体に忌避領域が設けられているため、吸収性物品の外面側に向かって害虫忌避成分が拡散し易い。よって、吸収性物品の外面側にて飛散する害虫を吸収性物品に寄せ付けないことができる。
【0026】
好ましい一態様によれば、着用対象の前側の胴回りを覆う前側外装体と、前記着用対象の後側の胴回りを覆う後側外装体と、を有し、前記忌避領域は、前記前側外装体と前記後側外装体のそれぞれに設けられてよい。
【0027】
本態様によれば、着用対象の腹側及び背側の両方において害虫忌避効果を発揮できる。着用対象が寝た姿勢においては、腹側と背側の少なくとも一方が寝具に接しない状態である。よって、寝た姿勢において害虫忌避成分を拡散できる。
【0028】
好ましい一態様によれば、前記前側外装体は、前記吸収コアの両側の外側縁から前側に延びる一対の側縁延長線間に延びる前側中央域と、前記前側中央域と前記前側外装体の一方の外側縁との間に延びる前側第1側域と、前記前側中央域と前記前側外装体の他方の外側縁との間に延びる前側第2側域と、を有し、前記後側外装体は、前記一対の側縁延長線間に延びる後側中央域と、前記後側中央域と前記後側外装体の一方の外側縁との間に延びる後側第1側域と、前記後側中央域と前記後側外装体の他方の外側縁との間に延びる後側第2側域と、を有し、前記前側第1側域、前記前側中央域、前記前側第2側域、前記後側第2側域、前記後側中央域、及び前記後側第1側域は、着用状態において、前記着用対象の胴回り方向に沿って前記前側第1側域、前記前側中央域、前記前側第2側域、前記後側第2側域、前記後側中央域、及び前記後側第1側域の順で互いに隣接しており、前記忌避領域は、前記前側第1側域、前記前側中央域、前記前側第2側域、前記後側第2側域、前記後側中央域、及び前記後側第1側域のうち、前記胴回り方向に間隔を空けて配置された2つの領域に設けられてよい。
【0029】
本態様によれば、6つの領域のうち、幅方向に間隔を空けて配置された2つの領域に忌避領域が設けられているため、忌避領域が胴回り方向において分散して設けられる。吸収性物品の全体に亘って忌避効果を発揮できる。また、着用者が寝た姿勢の際にも、体に覆われない領域があるために忌避効果を常に発揮し易い。
【0030】
好ましい一態様によれば、前記忌避領域の少なくとも一部は、前記前側外装体の前後方向の中心よりも股下側の領域と、前記後側外装体の前後方向の中心よりも股下側の領域と、の少なくともいずれか一方に設けられてよい。
【0031】
外装体は、胴回りを覆うように装着され、着用対象によっては、下半身を覆う着衣によって覆われる。特に、外装体の上側に位置する領域は、上半身を覆う着衣にも覆われることがある。前側外装体の前後方向の中心よりも股下側の領域、及び後側外装体の前後方向の中心よりも股下側の領域は、前側外装体及び後側外装体において股側に位置し、上半身によって覆われにくい。吸収性物品を覆う着衣の枚数が比較的少ない領域に忌避領域が設けられているため、吸収性物品の外面側に向かって害虫忌避成分が拡散し易い。よって、吸収性物品の外面側にて飛散する害虫を吸収性物品に寄せ付け難くできる。
【0032】
好ましい一態様によれば、前記忌避領域は、前記前側外装体の前後方向の中心よりもウエスト開口側の領域と、前記後側外装体の前後方向の中心よりもウエスト開口側の領域と、に少なくとも設けられてよい。
【0033】
前側外装体の前後方向の中心よりもウエスト開口側の領域及び後側外装体の前後方向の中心よりもウエスト開口側の領域は、地面から離れて配置され、例えば、水遊び用のおむつにあっては、水がかかり難い。よって、地面からの粉塵や水などによって、害虫忌避成分が劣化することを抑制し、害虫忌避成分を持続して発揮し易い。また、着用時に吸収性物品のウエスト開口部と着用対象の間に隙間が生じている場合であっても、飛散害虫がウエスト開口部を介して吸収性物品と着用対象の間に入り込むことを抑制できる。
【0034】
好ましい一態様によれば、着用対象の胴回りを覆う外装体と、前記外装体よりも肌面側に配置され、前記吸収コアを有する吸収性本体と、を有し、前記忌避領域の少なくとも一部は、前記吸収性本体の前記前後方向の中心よりも前側において、前記吸収性本体に少なくとも設けられてよい。
【0035】
本態様によれば、吸収性本体は、着用対象の股下を覆うように配置され、脚の動きや装着態様によって変形し、吸収性本体と着用対象の間に隙間が生じることがある。しかし、吸収性本体に忌避領域が設けられていることにより、吸収性本体と着用対象の間に隙間を介して吸収性物品の内部に害虫が侵入することを防ぐことができる。また、吸収性本体の前記前後方向の中心よりも前側の領域は、仰向けに寝た状態で寝具に接しない状態である。よって、寝た姿勢において害虫忌避成分を拡散できる。
【0036】
好ましい一態様によれば、着用対象の胴回りを覆う外装体と、前記外装体よりも肌面側に配置され、前記吸収コアを有する吸収性本体と、を有し、前記忌避領域の少なくとも一部は、前記吸収性本体の前記前後方向の中心よりも後側において、前記吸収性本体に少なくとも設けられよい。
【0037】
本態様によれば、吸収性本体は、着用対象の股下を覆うように配置され、脚の動きや装着態様によって変形し、吸収性本体と着用対象の間に隙間が生じることがある。しかし、吸収性本体に忌避領域が設けられていることにより、吸収性本体と着用対象の間に隙間を介して吸収性物品の内部に害虫が侵入することを防ぐことができる。また、吸収性本体の前記前後方向の中心よりも後側の領域は、うつ伏せに寝た状態で寝具に接しない状態である。よって、寝た姿勢において害虫忌避成分を拡散できる。
【0038】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアの肌面側に配置された表面シートと、前記吸収コアの非肌面側に配置された裏面シートを有する本体部と、前記着用対象としての動物の胴回りに前記本体部が巻き付けられた装着状態において、互いに対向する前記本体部同士を接合する接合部と、を有し、前記本体部は、前記装着状態において互いに対向する対向領域を有し、前記忌避領域の少なくとも一部は、前記対向領域に設けられてよい。
【0039】
本態様によれば、対向領域は、着用対象の胴回りに巻き付けられた装着状態で吸収性本体同士が向き合う領域である。吸収性本体同士は、接合部を介して接合されており、接合部以外の領域では、密着せずに隙間が生じることがある。当該隙間が発生した場合であっても、忌避領域によって対向領域を介して着用対象に害虫が侵入することを抑制できる。
【0040】
好ましい一態様によれば、前記着用対象としての動物の尻尾を挿通可能な尻尾穴部を有しており、前記忌避領域は、前記尻尾穴部を囲む穴部領域に設けられてよい。
【0041】
本態様によれば、穴部領域に忌避領域を設けることにより、尻尾穴部と着用対象の間に隙間があった場合であっても、尻尾穴部から着用対象側への害虫の侵入を防ぐことができる。特に、尻尾の形状及び太さは、ペットによって個体差があり、尻尾穴部がペットの尻尾が密着しないことがある。尻尾穴部がペットの尻尾に密着しない場合であっても、尻尾穴部から着用対象側への害虫の侵入を防ぐことができる。
【0042】
好ましい一態様によれば、前記尻尾穴部は、前記動物の尻尾を挿通可能な貫通穴と、前記貫通穴の寸法を拡大するための切り込み部と、を有しており、前記忌避領域は、前記貫通穴に隣接する領域及び切り込み部に隣接する領域のそれぞれに設けられてよい。
【0043】
本態様によれば、貫通穴及び切り込み部は、本体部を貫通して形成されており、害虫が侵入可能な隙間を形成することがある。貫通穴に隣接する領域及び切り込み部に隣接する領域のそれぞれに忌避領域を設けることにより、尾穴部から着用対象側への害虫の侵入を防ぐことができる。
【0044】
好ましい一態様によれば、前記着用対象の胴回り囲むウエスト開口部を有し、前記忌避領域は、前記ウエスト開口部に隣接するウエスト領域に設けられてよい。
【0045】
本態様によれば、ウエスト開口部と着用対象の間に隙間があった場合であっても、ウエスト開口部から着用対象側への害虫の侵入を防ぐことができる。
【0046】
好ましい一態様によれば、前記着用対象の脚回り囲む脚回り開口部を有し、前記忌避領域の少なくとも一部は、前記脚回り開口部に隣接する脚回り領域に設けられてよい。
【0047】
本態様によれば、脚の動きや装着態様によっては、脚回り開口部と着用対象の間に隙間が生じることがある。しかし、脚回り開口部と着用対象の間に隙間があった場合であっても、脚回り開口部から着用対象側への害虫の侵入を防ぐことができる。
【0048】
他の態様に係る吸収性物品は、着用対象の体液を吸収可能な吸収コアを有する吸収性物品であって、前記吸収性物品の着用時に害虫忌避機能を発揮する。
【0049】
本態様によれば、害虫忌避機能を発揮するため、吸収性物品を着用した着用対象に対して害虫忌避効果を発揮できる。吸収性物品自体が害虫忌避効果を発揮するため、着衣を着用しない場合にも害虫忌避効果を発揮できる。
【0050】
一態様に係る吸収性物品の包装体は、上記の吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する収容体と、を有し、前記収容体は、前記吸収性物品を収容した空間を密封する。
【0051】
本態様によれば、害虫忌避成分が付与された忌避領域を有するため、吸収性物品を着用した着用対象に対して害虫忌避効果を発揮できる。また、収容体は、吸収性物品を収容した空間を密封するため、使用前に害虫忌避成分が拡散及び劣化することを抑制できる。よって、吸収性物品が着用された状態で、害虫忌避効果を発揮できる。
【0052】
(2)第1実施形態に係る吸収性物品
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0053】
本発明に係る吸収性物品は、着用対象が着用し、着用対象の体液を吸収できる吸収性物品である。着用対象は、乳幼児、高齢者等の人間に限定されず、動物であってもよい。吸収性物品は、尿を吸収するおむつ及び失禁パッドであってもよいし、経血を吸収する生理用ナプキンであってもよいし、おりものを吸収するパンティーライナーであってもよいし。より詳細には、吸収性物品は、パンツ型おむつ、テープ型おむつ、水遊びパンツ、生理用ナプキン、失禁パッド、おりものシート、ペット用おむつであってもよい。
【0054】
第1実施形態に係る吸収性物品は、パンツ型の使い捨ておむつであり、着用対象は、人間である。図1は、第1実施形態に係る吸収性物品1の模式正面図である。図2は、第1実施形態に係る吸収性物品1の展開状態の肌面側から見た模式平面図である。図2に示す模式平面図は、後述するサイド接合部70を展開した状態において吸収性物品1を皺が形成されない状態まで伸長させた伸長状態を示している。
【0055】
吸収性物品1は、前胴回り域S1と、後胴回り域S2と、股下域S3と、を有する。前胴回り域S1は、着用対象の前胴回り(腹部)に対向する領域である。後胴回り域S2は、着用対象の後胴回り(背部)に対向する領域である。股下域S3は、着用対象の股下に位置し、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に配置された領域である。
【0056】
図1に示すように、幅方向Wにおける前胴回り域S1の端部と、幅方向Wにおける後胴回り域S2の端部と、を接合したサイド接合部70が設けられていてよい。サイド接合部70は、前胴回り域S1の外側部と、後胴回り域S2の外側部とを互いに係止した部分によって規定される。図1に示すように、サイド接合部70が形成された状態で、吸収性物品1には、着用対象の胴が通され、着用象の胴回り囲むウエスト開口部62と、着用対象の脚がそれぞれ挿入され、着用対象の脚回り囲む一対の脚回り開口部66と、が形成される。ウエスト開口部62は、前胴回り域S1の前端縁S1Fと、後胴回り域S2の後端縁S2Rとによって規定されていてよい。
【0057】
ここで、図2は、サイド接合部70における接合を解除し、吸収性物品1を展開した状態を示している。サイド接合部70は、後述する前側外装体51及び後側外装体52のそれぞれにおいて、前後方向Lに沿って延びていてよい。パンツ型の吸収性物品においては、前胴回り域S1と股下域S3との境界は、前側外装体51に設けられたサイド接合部70の後端縁によって規定されていてよい。同様に、後胴回り域S2と股下域S3との境界は、後側外装体52に設けられたサイド接合部70の前端縁によって規定されていてよい。なお、股下域S3は、脚回り開口部66が設けられた領域であってもよい。
【0058】
なお、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外縁である。本発明における内側部とは、幅方向Wにおける内縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Wにおける内縁である。また、本発明における前端部及び後端部は、前後方向Lにおける縁を含む前後方向Lに一定の範囲を占める部分であり、前端縁及び後端縁は、前後方向Lにおける縁である。外端部は、前端部及び後端部を含んでおり、外端縁は、前端縁及び後端縁を含んでいる。
【0059】
吸収性物品1は、外装体50と、吸収性本体15と、を有していてよい。外装体50は、吸収コア21よりも非肌面側T2において、少なくとも着用対象の胴回りを覆う。外装体50は、吸収性本体15と厚み方向Tに重なっている。外装体50は、前胴回り域S1に配置された前側外装体51と、後胴回り域S2に配置された後側外装体52と、を有してよい。前側外装体51は、前胴回り域S1において吸収性本体15の非肌面側T2に配置されている外装体である。後側外装体52は、前側外装体51と前後方向Lに離間し、かつ後胴回り域S2において吸収性本体15の非肌面側T2に配置されている外装体である。変形例において、前側外装体51と後側外装体52が一体化していてもよい。
【0060】
外装体50は、幅方向に伸縮する外装伸縮性部材(513,523)と、外装伸縮性部材を厚さ方向に挟んで配置された一対の外装シート(511,512,521,522)と、を有してよい。具体的には、前側外装体51は、幅方向Wに伸縮する前側外装伸縮性部材513と、一対の第1前側外装シート511及び第2前側外装シート512を有する。第2前側外装シート512は、第1前側外装シート511よりも非肌面側T2に配置されている。後側外装体52は、幅方向Wに伸縮する後側外装伸縮性部材523と、一対の第1後側外装シート521及び第2後側外装シート522を有する。第2後側外装シート522は、第1後側外装シート521よりも非肌面側T2に配置されている。なお、前側外装体51及び後側外装体52のそれぞれは、外装シートを3枚以上有してよい。また、外装体50は、伸縮可能な外装シート自体によって、幅方向Wに伸縮可能に構成されてよい。
【0061】
吸収性本体15は、前胴回り域S1、後胴回り域S2及び股下域S3にわたって配置されてよい。吸収性本体15は、前側外装体51及び後側外装体52とは別体として構成され、前胴回り域S1及び後胴回り域S2において、それぞれ前側外装体51及び後側外装体52と接合されていてよい。吸収性本体15は、吸収コア21と、吸収コア21よりも肌面側T1に配置された表面シート31と、吸収コア21よりも非肌面側T2に配置された裏面シート32と、を少なくとも有してよい。
【0062】
吸収コア21は、例えば粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物を含んでいてよい。吸収コア21は、吸収コア21とは別体のコアラップ22によって覆われていてよい。コアラップ22としては、ティッシュを例示できる。表面シート31は、液透過性のシートであってよい。表面シート31は、吸収コア21の幅方向Wの中央を覆うセンターシートと、吸収コア21の外側部又はセンターシートの外側部を覆うサイドシートを有してよい。裏面シート32は、液不透過性の防漏シート32Aと、防漏シート32Aよりも非肌面側に配置された本体外側シート32Bと、を有してよい。防漏シート32Aは、フィルムによって構成され、本体外側シート32Bは、不織布によって構成されてよい。
【0063】
本実施の形態の吸収性物品1は、害虫忌避成分が付与された忌避領域R10を備えており、吸収性物品1の着用時に害虫忌避機能を発揮するように構成されている。次いで、害虫忌避機能について説明する。ここで、吸収性物品1の忌避領域R10によって忌避する害虫は、蚊、蚋、ユスリカ、ハエ類などの飛翔害虫であってよい。
【0064】
本実施の形態の吸収性物品1は、害虫忌避成分が付与された忌避領域R10を有するため、吸収性物品1を着用した着用対象に対して害虫忌避効果を発揮できる。吸収性物品1自体が害虫忌避効果を発揮するため、着衣を着用しない場合にも害虫忌避効果を発揮できる。また、虫よけスプレーや虫よけパッチ等によって着衣に対して害虫忌避成分を付与する形態にあっては、害虫忌避成分を付与する行為が必要である。更に、着衣を着替えた際には、新たな着衣に害虫忌避成分を再度付与しなければならなかった。しかし、吸収性物品1自体に害虫忌避成分が付与されているため、害虫忌避成分を付与する行為が不要となる。
【0065】
なお、忌避領域R10は、害虫忌避成分を有する忌避剤が塗布された領域である。忌避領域R10は、ガスクロマトグラフィー(例えば島津製作所社製「GC-9A」)により行うことができる。ガスクロマトグラフィーで分析し、検出された化合物に害虫忌避成分が含まれている場合、分析対象の領域が忌避領域を構成する。他の特定方法としては、フェーリング反応等の呈色反応によって害虫忌避成分を有する領域の色を変化させることができる。呈色反応した領域が忌避領域を構成する。また、害虫忌避成分の量の比較方法としては、ガスクロマトグラフィーで分析し、検出された害虫忌避成分の量に基づいて害虫忌避成分の量を比較できる。また、害虫忌避成分を含む忌避剤自体が着色されている形態にあっては、色の濃さによって害虫忌避成分の量を比較することができる。または、呈色反応によって、害虫忌避成分を有する領域の色を変化させ、当該色の濃さによって害虫忌避成分の量を比較することができる。また、忌避剤としては、天然由来成分であれば、p-メンタン-3.8-ジオール、イソプレゴール、メントールのようなモノテルペンアルコール類や、シトロネラール、シトラール、イオノンのようなテルペン系アルデヒド類、及びそれらの成分を含有するレモンユーカリ油、ハッカ油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ラベンダー油、ペパーミント油、テロンオイル等を例示できる。合成系であれば、幼児に対する安全性の高いイカリジンやN-アセチル-N-ブチル-・アラニンエチル(Trade name:IR3535)を例示できる。また、忌避剤は、テロンオイル等、香料を有するものが好ましい。香料を有する忌避剤によれば、香りを付与することもでき、香りによって害虫忌避機能を有することを装着者に認識させることができる。装着者は、匂いによって、害虫忌避成分を認識でき、安心感を得ることができる。
【0066】
忌避領域R10は、複数設けられてよい。本実施の形態では、吸収性本体15と外装体50のそれぞれに忌避領域R10が設けられている。吸収性本体15に設けられた忌避領域R10は、防漏シート32Aと本体外側シート32Bの間において、防漏シート32Aの平面全体に設けられている。外装体50に設けられた忌避領域R10は、第2前側外装シート512の非肌面側T2の面において、後述する前側中央域F3に設けられるとともに、第2後側外装シート522の非肌面側T2の面において、後述する後側第1側域R1及び後側第2側域R2に設けられている。
【0067】
図3に示すように、忌避領域R10の少なくとも一部は、着用対象の肌に当接する肌当接面よりも非肌面側T2に少なくとも設けられてよい。着用対象の肌に当接する肌当接面は、着用対象の肌に当接する面であり、図2に示す展開平面図における表面全体である。具体的には、吸収性本体15の表面シート31の肌面側T1の面、吸収性本体15と重ならない領域における第1前側外装シート511の肌面側T1の面、及び吸収性本体15と重ならない領域における第1後側外装シート521の肌面側T1の面は、肌当接面を構成する。忌避領域R10は、肌当接面よりも非肌面側T2に少なくとも設けられていればよく、肌当接面に設けられていてもよい。忌避領域R10は、少なくとも肌当接面よりも非肌面側T2に少なくとも設けられている。そのため、害虫忌避成分は、着用対象に向かう内面側よりも吸収性物品1の外面側に向かって拡散し易い。よって、吸収性物品1の外面側にて飛散する害虫を吸収性物品1に寄せ付け難くできる。
【0068】
吸収性物品1の外面に位置する非肌当接面の忌避領域R10の面積は、肌当接面の忌避領域R10の面積よりも大きくてよい。また、非肌当接面を構成する部材(本体外側シート32B、第2前側外装シート512、第2後側外装シート522等)の害虫忌避成分の量は、肌当接面を構成する部材(表面シート31、第1前側外装シート511、第1後側外装シート521等)の害虫忌避成分の量よりも多くてよい。吸収性物品1の外面に位置する非肌当接面は、肌当接面と反対側の面である。具体的には、外装体50と重ならない領域における吸収性本体15の非肌面側T2の面、第2前側外装シート512の非肌面側T2の面、及び第2後側外装シート522の非肌面側T2の面は、非肌当接面を構成する。当該構成によっても、害虫忌避成分は、着用対象に向かう内面側よりも吸収性物品1の外面側に向かって拡散し易い。よって、吸収性物品1の外面側にて飛散する害虫を吸収性物品1に寄せ付け難くできる。
【0069】
忌避領域R10は、外装シートにおける外装伸縮性部材と当接する面以外において、外装体50に設けられてよい。本実施の形態における外装シートにおける外装伸縮性部材と当接する面は、第1前側外装シート511の非肌面側T2の面と、第2前側外装シート512の肌面側T1の面と、第1後側外装シート521の非肌面側T2の面と、第2後側外装シート522の肌面側T1の面と、を含む。外装シートにおける外装伸縮性部材と当接する面に忌避領域R10が設けられていると、害虫忌避成分の機能によっては、外装伸縮性部材の伸縮性能に影響を及ぼすおそれがある。しかし、外装シートにおける外装伸縮性部材と当接する面以外の面に忌避領域R10が設けられていることにより、害虫忌避成分の機能に起因した外装伸縮性部材の伸縮性能への影響を抑制できる。また、外装体50に忌避領域R10が設けられているため、吸収性物品1の外面側に向かって害虫忌避成分が拡散し易い。よって、吸収性物品1の外面側にて飛散する害虫を吸収性物品1に寄せ付けないことができる。
【0070】
図2に示すように、忌避領域R10は、前側外装体51と後側外装体52のそれぞれに設けられよい。着用対象の腹側及び背側の両方において害虫忌避効果を発揮できる。着用対象が寝た姿勢においては、腹側と背側の少なくとも一方が寝具に接しない状態である。よって、寝た姿勢において害虫忌避成分を拡散できる。
【0071】
図2に示すように、前側外装体51は、吸収コアの両側の外側縁から前側に延びる一対の側縁延長線VL間に延びる前側中央域F3と、前側中央域F3と前側外装体51の一方の外側縁との間に延びる前側第1側域F1と、前側中央域F3と前側外装体51の他方の外側縁との間に延びる前側第2側域F2と、を有する。また、後側外装体52は、吸収コア21の両側の外側縁から後側に延びる一対の側縁延長線VL間に延びる後側中央域R3と、後側中央域R3と後側外装体52の一方の外側縁との間に延びる後側第1側域R1と、後側中央域R3と後側外装体52の他方の外側縁との間に延びる後側第2側域R2と、を有する。前側第1側域F1、前側中央域F3、前側第2側域F2、後側第2側域R2、後側中央域R3、及び後側第1側域R1は、着用状態において、幅方向Wに沿って前側第1側域F1、前側中央域F3、前側第2側域F2、後側第2側域R2、後側中央域R3、後側第1側域R1、及び前側第1側域F1の順で互いに隣接する。パンツ型の吸収性物品1にあっては、着用前の状態においても、6つの領域が互いに隣接しており、テープ型の吸収性物品1にあっては、着用された状態で、6つの領域が互いに隣接していればよい。忌避領域R10は、前側第1側域F1、前側中央域F3、前側第2側域F2、後側第2側域R2、後側中央域R3、及び後側第1側域R1のうち、幅方向Wに間隔を空けて配置された2つの領域に設けられてよい。6つの領域のうち、幅方向Wに間隔を空けて配置された2つの領域に忌避領域R10が設けられているため、忌避領域R10が着用対象の胴回り方向において分散して配置される。吸収性物品1の全体に亘って忌避効果を発揮できる。また、着用者が寝た姿勢の際にも、体に覆われない領域があるために忌避効果を常に発揮し易い。
【0072】
図2に示すように、忌避領域R10の少なくとも一部は、前側外装体51の前後方向Lの中心51CLよりも股下側の領域と、後側外装体52の前後方向Lの中心52CLよりも股下側の領域と、の少なくともいずれか一方に設けられてよい。外装体50は、胴回りを覆うように設けられ、下半身を覆う着衣によって覆われる。特に、外装体50の上側に位置する領域は、上半身を覆う着衣にも覆われることがある。前側外装体51の前後方向Lの中心51CLよりも股下側の領域、及び後側外装体52の前後方向Lの中心52CLよりも股下側の領域は、前側外装体51及び後側外装体52において股側に位置し、上半身によって覆われにくい。吸収性物品1を覆う着衣の枚数が比較的少ない領域に忌避領域R10が設けられているため、吸収性物品1の外面側に向かって害虫忌避成分が拡散し易い。よって、吸収性物品1の外面側にて飛散する害虫を吸収性物品1に寄せ付け難くできる。
【0073】
図2に示すように、忌避領域R10は、前側外装体51の前後方向の中心51CLよりも前側の領域と、後側外装体52の前後方向の中心52CLよりも後側の領域と、に少なくとも設けられてよい。前側外装体51の前後方向Lの中心51CLよりも前側の領域と、後側外装体52の前後方向の中心52CLよりも後側の領域は、地面から離れて配置され、例えば、水遊び用のおむつにあっては、水がかかり難い。よって、地面からの粉塵や水などによって、害虫忌避成分が劣化することを抑制し、害虫忌避成分を持続して発揮し易い。また、着用時に吸収性物品1のウエスト開口部62と着用対象の間に隙間が生じている場合であっても、飛散害虫がウエスト開口部62を介して吸収性物品1と着用対象の間に入り込むことを抑制できる。
【0074】
忌避領域R10は、吸収性本体15に設けられてよい。吸収性本体15は、着用対象の股下を覆うように配置され、脚の動きや装着態様によって変形し、吸収性本体15と着用対象の間に隙間が生じることがある。しかし、吸収性本体15に忌避領域R10が設けられていることにより、吸収性本体15と着用対象の間に隙間を介して吸収性物品1の内部に害虫が侵入することを防ぐことができる。
【0075】
図2に示すように、忌避領域R10の少なくとも一部は、吸収性本体15の前後方向の中心15CLよりも前側に設けられてよい。吸収性本体15の前後方向の中心よりも前側の領域は、仰向けに寝た状態で寝具に接しない状態である。よって、寝た姿勢において害虫忌避成分を拡散できる。また、忌避領域R10の少なくとも一部は、吸収性本体15の前後方向の中心よりも後側に設けられてよい。吸収性本体15の前後方向の中心15CLよりも後側の領域は、うつ伏せに寝た状態で寝具に接しない状態である。よって、寝た姿勢において害虫忌避成分を拡散できる。
【0076】
図3に示すように、忌避領域R10の少なくとも一部は、吸収性本体15の防漏シート32Aよりも非肌面側T2に少なくとも設けられてよい。忌避領域R10は、防漏シート32Aよりも非肌面側T2に少なくとも設けられていればよく、防漏シート32Aよりも肌面側T1にも設けられてよい。防漏シート32Aよりも非肌面側T2の忌避領域R10は、防漏シート32Aの非肌側の面に忌避剤が塗布されることによって、防漏シート32Aの非肌面側T2に設けられた忌避領域R10を含む概念である。防漏シート32Aは、液を透過させず、害虫忌避成分を肌面側T1に拡散させにくい。よって、吸収性物品1の着用時に、吸収性物品1の外面側に向かって害虫忌避成分が拡散し易い。吸収性物品1の外面側にて飛散する害虫を吸収性物品1に寄せ付け難くできる。
【0077】
忌避領域R10の少なくとも一部は、着色されてよい。忌避領域R10に、着色剤が塗布されることによって着色されていてもよいし、害虫忌避成分が塗布される部材自体が着色されていてもよいし、害虫忌避成分を含む忌避剤自体が着色されていてもよい。また、忌避領域R10において着色された部分は、忌避領域R10全体であってもよいし、一部であってもよい。本態様によれば、使用者が、視覚的に忌避領域R10を認識出来る。使用者の害虫忌避効果に対する期待値が上がり、周囲の人も害虫忌避効果を認知し易く、安心感を付与できる。着色は、色のみが付されていてもよいし、図柄を示してもよい。また、忌避領域R10と非忌避領域(害虫忌避成分が塗布されていない領域)と、の色差ΔEは、3.0以上であってよい。出願人が種々検討を重ねた結果、使用者は、一般的に色差ΔEが3.0以上であると、2つの領域を別の領域として認識し易いことがわかった。忌避領域R10と非忌避領域との色差ΔEが3.0以上であるため、使用者は、忌避領域R10と非忌避領域を別体として認識し易く、忌避領域R10の存在を認識し易くなる。なお、忌避領域R10と非忌避領域の色差ΔEは、測定対象となる2点(2つの領域)について市販の測色器を用いて測色を行い、JIS Z 8729に規定されるCIE1976(L*a*b*)色空間に基づいて数値化した値を比較することによって求めることができる。具体的に、測定対象たる2点間のL*値の差、a*値の差、b*値の差がΔL*、Δa、Δb*であるときに、色差ΔE=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2によって求められる。
【0078】
忌避領域R10は、親水性素材からなる繊維及び親油性素材からなる繊維のうち少なくとも一方の繊維を有するシート材に、害虫忌避成分を有する液状の忌避剤が付与された領域であってよい。シート材は、親水性素材からなる繊維及び親油性素材からなる繊維を含んだ不織布又は織布であってよい。また、親水性素材からなる繊維及び親油性素材からなる繊維を含んだ不織布又は織布と、フィルムと、が積層された積層シートであってもよい。親水性素材からなる繊維及び親油性素材からなる繊維のうち少なくとも一方の繊維を有するシート材は、液体の忌避剤を保持し続け易い。シート材の繊維に忌避剤が保持され続けることにより、忌避剤の忌避効果を発現までの時間を確保しやすくなる、吸収性物品1を使用するまでの保管期間が長い場合であっても、害虫忌避効果を発揮し易くなる。
【0079】
(3)第2実施形態に係る吸収性物品
次いで、第2実施形態に係る吸収性物品1Mについて説明する。第2実施形態に係る吸収性物品1Mは、巻き付け型のペット用おむつであり、着用対象は、動物(犬)である。「ペット」本明細書において、は、脊椎動物や無脊椎動物を広く包含し、典型的には、猫、犬、ウサギ、ハムスターなどの愛玩動物を含む。なお、以下の実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
【0080】
図4は、第2実施形態に係る吸収性物品1Mの肌面側から見た平面図である。図5は、第2実施形態に係る吸収性物品1Mの非肌面側から見た平面図である。図6は、図4に示すB-B線に沿った模式断面図である。図7は、第2実施形態に係る吸収性物品1Mの着用状態を模式的に示した図である。吸収性物品1Mは、ペットの胴回り方向に沿って配置される胴回り方向Yと、胴回り方向Yと直交する交差方向Zと、胴回り方向Y及び交差方向Zと直交する厚み方向Tと、を有する。交差方向Zは、ペットの縦方向、すなわち股下側から股下から離れる側を繋ぐ方向に延びる。厚み方向Tは、着用状態においてペットに当てられる肌面側T1と、着用状態において外側に向けられる非肌面側T2と、に延びる。図7に示すように、第2実施形態に係る吸収性物品1Mは、ペットの腹側から股下を通って背側まで覆うように配置されず、胴回りに巻き付けるように装着される。よって、吸収性物品1Mの胴回り方向Yの長さは、吸収性物品1Mの交差方向Zの長さよりも長い。
【0081】
吸収性物品1Mは、本体部2と、接合部40と、を有する。本体部2は、吸収コア21と、吸収コア21の肌面側T1に配置された表面シート31と、吸収コア21の非肌面側に配置された裏面シート32と、を少なくとも有する。本体部2は、ペットの胴回りに巻き付けられる。第2実施形態の吸収性物品1Mは、第1実施形態の吸収性物品1における外装体50及び吸収性本体15の代わりに、本体部2を有する。本体部2は、ペットの胴回りに巻き付けられた装着状態において互いに対向する対向領域R20を有する。図4から図6において、対向領域R20の前後方向Lの範囲を示す。対向領域R20は、接合部40が設けられた本体部2の外面2Qと、接合部40の接合先となる内面2Pと、にそれぞれ設けられる。接合部40は、装着状態において、互いに対向する本体部2同士を接合する。具体的には、本体部2の裏面シート側の面である外面2Qを本体部2の表面シート31側の面である内面2Pに止めるための接合手段である。本実施の形態の接合部40は、本体部2の外面に配置されたメカニカルファスナである。接合部40は、本体部の表面シート31に係止可能に構成されている。接合部40は、本体部2の胴回り方向Yの一端部に設けられている。ペットに吸収性物品1Mを装着する際に、本体部2の胴回り方向の他端部によって接合部40を覆うように配置することで、接合部40が表面シート31に係止して、吸収性物品1Mの着用状態を維持できる。なお、変形例において、接合部は、本体部2の内面2Pに配置されており、本体部2の外面2Qに配置された裏面シート32に係止可能に構成されてよい。
【0082】
第2実施形態の吸収性物品1Mは、忌避領域R10を有する。図4には、本体部2の内面2Pに設けられた忌避領域R10を示し、図5には、本体部の外面2Qに設けられた忌避領域R10を示している。本体部2の内面2P側に設けられた忌避領域R10は、表面シート31の肌面側T1の面に忌避剤が塗布されている。本体部2の外面2Q側に設けられた忌避領域R10は、裏面シート32を構成する防漏シート32Aの肌面側T1の面に忌避剤が塗布されている。
【0083】
図4に示すように、忌避領域R10の少なくとも一部は、吸収性物品1の外面に位置する非肌当接面よりも肌面側T1に少なくとも設けられてよい。吸収性物品1の外面に位置する非肌当接面は、肌当接面と反対側の面であり、図5に示す展開平面における表面全体である。本実施の形態では、吸収性物品1の外面に位置する非肌当接面は、本体部2の外面2Qによって構成されている。忌避領域R10は、非肌当接面よりも肌面側T1に少なくとも設けられていればよく、非肌当接面に設けられていてもよい。忌避領域R10は、非肌当接面よりも肌面側に少なくとも設けられている。そのため、害虫忌避成分は、着用対象側に向かって拡散し易い。特に、犬等の毛が多い着用対象にあっては、毛の周囲や毛と毛の空間に蚊などの害虫が入り込むことがある。着用対象の肌面に対して害虫を寄せ付け難くでき、毛の周囲等の害虫が入り込むことを抑制できる。
【0084】
肌当接面の忌避領域R10の面積は、非肌当接面の忌避領域R10の面積よりも大きくてよい。また、肌当接面を構成する部材(表面シート等)の害虫忌避成分の量は、非肌当接面を構成する部材(本体外側シート32B等)の害虫忌避成分の量よりも多くてよい。肌当接面は、本体部2の内面2Pによって構成されている。当該構成によっても、害虫忌避成分は、着用対象側に向かって拡散し易い。よって、着用対象の肌面に対して害虫を寄せ付け難くでき、毛の周囲等の害虫が入り込むことを抑制できる。
【0085】
忌避領域R10の少なくとも一部は、防漏シート32Aよりも肌面側T1に少なくとも設けられてよい。忌避領域R10は、防漏シート32Aよりも肌面側T1に少なくとも設けられていればよく、防漏シート32Aよりも非肌面側T2にも設けられてよい。防漏シート32Aよりも肌面側T1の忌避領域R10は、防漏シート32Aの肌面側T1の面に忌避剤が塗布された忌避領域R10を含む概念である。防漏シート32Aは、液を透過させず、害虫忌避成分を非肌面側に拡散させにくい。よって、吸収性物品1の着用時に、吸収性物品1の内面側に向かって害虫忌避成分が拡散し易い。着用対象の肌面に対して害虫を寄せ付け難くでき、毛の周囲等の害虫が入り込むことを抑制できる。
【0086】
図4及び図5に示すように、忌避領域R10の少なくとも一部は、対向領域R20に設けられてよい。対向領域R20は、着用対象の胴回りに巻き付けられた装着状態で本体部2同士が向き合う領域である。本体部2同士は、接合部40を介して接合されており、接合部40以外の領域では、密着せずに隙間が生じることがある。当該隙間が発生した場合であっても、忌避領域R10によって対向領域R20を介して着用対象側に害虫が侵入することを抑制できる。また、使用者は、装着時に接合部40による操作を行うため、装着操作時に使用者が対向領域R20に対して注意を払う。対向領域R20に忌避領域R10を設けることにより、使用者が忌避領域R10の存在を気づきやすくなり、害虫に対する安心感を得ることができる。
【0087】
忌避領域R10は、ウエスト開口部62に隣接するウエスト領域R62に設けられてよい。図4及び図7に示すように、本実施の形態のウエスト開口部62は、本体部2の交差方向Zの端縁2ZEによって構成されている。ウエスト領域R62は、ウエスト開口部62から交差方向Zに延びる領域であってよく、具体的には、例えば、ウエスト開口部62から交差方向Zに向かって30mmまでの範囲であってよい。図4において、ウエスト領域R62の交差方向Zの範囲を示す。当該構成によれば、ウエスト開口部62と着用対象の間に隙間があった場合であっても、ウエスト開口部62から着用対象側への害虫の侵入を防ぐことができる。
【0088】
(4)第3実施形態に係る吸収性物品1
次いで、第3実施形態に係る吸収性物品1について説明する。第3実施形態に係る吸収性物品1Nは、テープ型のペット用おむつであり、着用対象は、動物(猫)である。図8は、第3実施形態に係る吸収性物品1Nの肌面側から見た平面図である。図9は、第3実施形態に係る吸収性物品1Nの着用状態を模式的に示した図である。吸収性物品1Nは、ペットの胴回り方向に沿って配置される胴回り方向Yと、胴回り方向Yと直交する交差方向Zと、胴回り方向Y及び交差方向Zと直交する厚み方向Tと、を有する。吸収性物品1Nは、本体部2Nと、接合部40Nと、を有する。第3実施形態の吸収性物品1Nは、ペットの腹側から股下を通って背側まで覆うように着用される。そのため、第3実施形態の吸収性物品1Nは、第2実施形態の吸収性物品1Mよりも交差方向Zにおける長さが長い。本体部2Nの交差方向Zの長さは、本体部2Nの胴回り方向Yの長さよりも長い。接合部40Nは、本体部2Nの交差方向Zの一端部において、本体部2Nよりも胴回り方向Yの両外側に延出したファスニングテープ90に設けられている。接合部40Nは、本体部2Nの内面2Pに配置されており、本体部2の外面2Qにもうけられたターゲット部45に接合可能に構成されている。なお、変形例において、本体部は、ターゲット部を備えず、接合部40Nは、本体部2の外面2Q側の裏面シートに接合するように構成されてよい。
【0089】
吸収性物品1Nを装着する際は、本体部2Nの交差方向Zの一端部(接合部40Nが設けられた側の端部)をペットの腹に当てる。このとき、本体部2Nの交差方向Zの他端部を、ペットの両足の間を通し、かつペットの後側に出しておく。そして、本体部2Nの交差方向Zの中央をペットの排泄口に当てて、本体部2Nの交差方向Zの他端部によってペットの臀部及び背中を覆う。次いで、接合部40Nをペットの背中側に引っ張り、背中側に位置する本体部の交差方向の他端部のターゲット部45に外面に止める。これにより、図9に示すように、ペットの腹、背中、及び股下を覆うように吸収性物品1Nを装着できる。吸収性物品1Nは、ペットの腹側から股下を通して、背側まで覆うように装着される。
【0090】
吸収性物品1Nは、ペットの尻尾を挿入可能な尻尾穴部60が設けられてよい。尻尾穴部60を有するおむつにあっては、装着時の本体部2Nの交差方向Zの他端部によってペットの臀部及び背中を覆う際に、尻尾穴部60にペットの尻尾を挿通させてよい。忌避領域R10は、尻尾穴部60を囲む穴部領域に設けられてよい。穴部領域は、尻尾穴部60を平面視にて囲む領域であってよい。穴部領域の範囲は、尻尾穴部60の平面視の最大寸法を基準として、尻尾穴部60から当該最大寸法までの範囲内であってよい。または、尻尾穴部60から20mmまでの範囲内であってもよい。穴部領域に忌避領域R10を設けることにより、尻尾穴部60と着用対象の間に隙間があった場合であっても、尻尾穴部60から着用対象側への害虫の侵入を防ぐことができる。特に、尻尾の形状及び太さは、ペットによって個体差があり、尻尾穴部60がペットの尻尾が密着しないことがある。尻尾穴部60がペットの尻尾に密着しない場合であっても、尻尾穴部60から着用対象側への害虫の侵入を防ぐことができる。
【0091】
尻尾穴部60は、ペットの尻尾を挿通可能な貫通穴60Xと、貫通穴の寸法を拡大するための切り込み部60Yと、を有してよい。貫通穴60Xは、半円形の切り込みであってよい。切り込み部60Yは、ミシン目等、表面シート31及び裏面シート32を引き裂き可能な構成であってよく、ペットの種類及び成長過程に応じて貫通穴60Xの寸法を調整できる。忌避領域R10は、貫通穴60Xに隣接する領域及び切り込み部60Yに隣接する領域のそれぞれに設けられてよい。貫通穴60X及び切り込み部60Yは、本体部2を貫通して形成されており、害虫が侵入可能な隙間を形成することがある。貫通穴60Xに隣接する領域及び切り込み部60Yに隣接する領域のそれぞれに忌避領域R10を設けることにより、尻尾穴部60から着用対象側への害虫の侵入を防ぐことができる。貫通穴(切り込み部)に隣接する領域は、貫通穴(切り込み部)平面視の最大寸法を基準として、貫通穴(切り込み部)から当該最大寸法までの範囲内であってよい。または、貫通穴(切り込み部)から20mmまでの範囲内であってもよい。
【0092】
図8に示すように、忌避領域R10の少なくとも一部は、脚回り開口部66に隣接する脚回り領域R66に設けられてよい。脚回り開口部66は、脚回り開口部66から胴回り方向Yの内側に延びる領域であってよく、具体的には、例えば、脚回り開口部66から胴回り方向の内側に向かって30mmまでの範囲であってよい。脚の動きや装着態様によっては、脚回り開口部66と着用対象の間に隙間が生じることがある。しかし、脚回り開口部66と着用対象の間に隙間があった場合であっても、脚回り領域R66に設けられた忌避領域R10によって、脚回り開口部66から着用対象側への害虫の侵入を防ぐことができる。
【0093】
(5)吸収性物品の収容体
次いで、図10に基づいて、吸収性物品が収容体に収容された吸収性物品の包装体100について説明する。包装体100は、吸収性物品1と、吸収性物品1を収容した収容体110と、を有する。収容体110は、図10に示すように、複数の吸収性物品を収容するように構成されていてもよいし、1個の吸収性物品を収容するように構成されていてもよい。1個の吸収性物品を収容する包装体にあっては、吸収性物品の使用前の直前まで密封状態を維持でき、害虫忌避成分の揮発を抑制できる。加えて、1個の吸収性物品を収容した包装体が連続する連続体であってもよい。連続体の吸収性物品を使用する際は、使用時に1個の包装体のみを開封する。そのため、1個の吸収性物品を使用する際に、他の吸収性物品が密封された状態を維持でき、他の吸収性物品の害虫忌避成分に対する影響を抑制できる。
【0094】
収容体110は、フィルム等の通気性を有しない材質で構成されてよく、吸収性物品1を収容した空間を密封する。収容体110が吸収性物品1を収容した空間を密封するため、使用前に害虫忌避成分が拡散及び劣化することを抑制できる。よって、吸収性物品1が着用された状態で、害虫忌避効果を発揮できる。
【0095】
収容体110には、吸収性物品を出し入れする開口を形成するためのミシン目115が形成されてよい。図10は、ミシン目115によって開封し、開口を形成した状態である。ミシン目115は、収容体の6面のうち、面積の小さい面に配置されていていることが好ましい。本実施の形態の収容体にあっては、好適には、側面110Sにミシン目が設けられていることが好ましい。ミシン目115による開口が側面に設けられていることにより、開封後の開口面積が小さくでき、害虫忌避成分の揮発をより抑制できる。また、ミシン目115は、吸収性物品の積層方向において、吸収性物品に対向して配置されてよい。吸収性物品において積層方向の外側に位置する面は、吸収性物品を重ねやすいように平面を有することが多く、当該平面によって使用前にミシン目に対して蓋をすることができ、収容体の開封前の害虫忌避成分の揮発をより抑制できる。より好適には、収容体110は、一旦開口を形成した後に、シールや蓋等の再封止手段によって開口を塞ぐことができるように構成されてよい。再封止手段によって開口を塞ぐことにより、害虫忌避成分の揮発を抑制できる。
【0096】
なお、吸収性物品1を収容した空間を密封する収容体の素材としては、ガスバリア性の高い素材が好ましく、望ましくは、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)層を含むフィルムであってよい。EVOH層を含むフィルムを有する収容体は、長期間の保管であっても、害虫忌避効果を維持し易い。また、密封した状態とは、特段の荷重をかけずに台等に載置した状態で、14日経過時にほぼ変化がない状態である。ミシン目を有する収容体にあっては、ミシン目となる切り目を挟んだ両側のフィルム同士が接した状態で維持され、空気の出し入れにほぼ寄与していない。そのため、吸収性物品1を収容した空間を密封している。
【0097】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
吸収性物品を着用する着用対象に害虫忌避効果を発揮できる吸収性物品及び吸収性物品の包装体を提供することができる。
【符号の説明】
【0099】
1、1M、1N :吸収性物品
2、2N :本体部
15 :吸収性本体
21 :吸収コア
31 :表面シート
32 :裏面シート
32A :防漏シート
40、40N :接合部
50 :外装体
51 :前側外装体
511 :第1前側外装シート(外装シート)
512 :第2前側外装シート(外装シート)
513 :前側外装伸縮性部材(外装伸縮性部材)
52 :後側外装体
521 :第1後側外装シート(外装シート)
522 :第2後側外装シート(外装シート)
523 :後側外装伸縮性部材(外装伸縮性部材)
60 :尻尾穴部
60X :貫通穴
60Y :切り込み部
62 :ウエスト開口部
66 :脚回り開口部
70 :サイド接合部
100 :包装体
110 :収容体
R10 :忌避領域
R20 :対向領域
F1 :前側第1側域
F2 :前側第2側域
F3 :前側中央域
R1 :後側第1側域
R2 :後側第2側域
R3 :後側中央域
R60 :穴部領域
R62 :ウエスト領域
R66 :脚回り領域
VL :側縁延長線
L :前後方向
T1 :肌面側
T2 :非肌面側
W :幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10