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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】組成物及び難燃性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 21/12 20060101AFI20221014BHJP
   C08K 5/3462 20060101ALI20221014BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20221014BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20221014BHJP
   C08K 7/10 20060101ALI20221014BHJP
   C08L 83/02 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
C09K21/12
C08K5/3462
C08L101/00
C08K3/22
C08K7/10
C08L83/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019532430
(86)(22)【出願日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 JP2018022813
(87)【国際公開番号】W WO2019021671
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2017143108
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倪 陽
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 陽平
(72)【発明者】
【氏名】米澤 豊
(72)【発明者】
【氏名】丹治 直子
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-095648(JP,A)
【文献】国際公開第2012/161070(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/080821(WO,A1)
【文献】特開2014-174959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 - 101/16
C08K 3/00 - 13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分、下記(B)成分及び下記(C)成分を含有し、
下記(A)成分及び下記(B)成分の合計100質量部に対して、下記(A)成分の含有量が10~50質量部であり、下記(B)成分の含有量が90~50質量部であり、下記(C)成分の含有量が0.1~50質量部である、組成物。
(A)成分:オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン及びポリリン酸メラミンよりなる群から選択される少なくとも一種のメラミン塩。
(B)成分:オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン及びポリリン酸ピペラジンよりなる群から選択される少なくとも一種のピペラジン塩。
(C)成分:シアヌール酸又はシアヌール酸亜鉛塩。
【請求項2】
更に(D)成分:酸化亜鉛を、前記(A)成分と前記(B)成分との合計100質量部に対して0.01~10質量部含有する、請求項記載の組成物。
【請求項3】
樹脂用組成物であって、
更に(E)成分:シリコーンオイル、エポキシ系カップリング剤、ハイドロタルサイト及び滑剤からなる群から選ばれる少なくとも一種を、前記(A)成分と前記(B)成分との合計100質量部に対して0.01~5質量部含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1~の何れか1項に記載の組成物からなる難燃剤。
【請求項5】
樹脂100質量部に対して請求項に記載の難燃剤を10~400質量部含有する難燃性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項記載の難燃性樹脂組成物の成形品。
【請求項7】
下記(A)成分、下記(B)成分及び下記(C)成分を含有し、
下記(A)成分及び下記(B)成分の合計100質量部に対して、下記(A)成分の含有量が10~50質量部であり、下記(B)成分の含有量が90~50質量部であり、下記(C)成分の含有量が0.1~50質量部である組成物を、樹脂と混合する、樹脂の難燃化方法。
(A)成分:オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン及びポリリン酸メラミンよりなる群から選択される少なくとも一種のメラミン塩。
(B)成分:オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン及びポリリン酸ピペラジンよりなる群から選択される少なくとも一種のピペラジン塩。
(C)成分:シアヌール酸又はシアヌール酸亜鉛塩。
【請求項8】
下記(A)成分、下記(B)成分及び下記(C)成分を含有し、
下記(A)成分及び下記(B)成分の合計100質量部に対して、下記(A)成分の含有量が10~50質量部であり、下記(B)成分の含有量が90~50質量部であり、下記(C)成分の含有量が0.1~50質量部である組成物の難燃剤としての使用。
(A)成分:オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン及びポリリン酸メラミンよりなる群から選択される少なくとも一種のメラミン塩。
(B)成分:オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン及びポリリン酸ピペラジンよりなる群から選択される少なくとも一種のピペラジン塩。
(C)成分:シアヌール酸又はシアヌール酸亜鉛塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピペラジンのリン酸塩及びメラミンのリン酸塩を含有する組成物及び該組成物を配合した難燃性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂は優れた化学的、機械的特性により、建材、自動車部品、包装用資材、農業用資材、家電製品のハウジング材、玩具等に広く用いられている。しかし、多くの合成樹脂は可燃性物質であり、用途によっては難燃化が不可欠である。難燃化方法としては、ハロゲン系難燃剤、赤燐やポリリン酸アンモニウム等のポリリン酸系難燃剤に代表される無機リン系難燃剤、トリアリールリン酸エステル化合物に代表される有機リン系難燃剤、金属水酸化物や難燃助剤である酸化アンチモン、メラミン化合物を単独又は組み合わせて用いることが広く知られている。
【0003】
リン系難燃剤として、ポリリン酸やピロリン酸と窒素含有化合物の塩を主成分とする、燃焼時に表面膨張層(Intumescent)を形成し、分解生成物の拡散や伝熱を抑制することにより難燃性を発揮させるイントメッセント系難燃剤が知られている。そのような難燃剤は、例えば特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献2には、ポリリン酸アンモニウム;アミン化合物と、リン酸、ピロリン酸、縮合リン酸及びシアヌール酸の中から選ばれる少なくとも一種類の酸とが反応して生成するアミン塩;、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとイソシアネート化合物との反応体;金属化合物及びイソシアヌル酸からなる難燃性樹脂組成物が提案されている。同文献には難燃性樹脂組成物がイソシアヌル酸を含有することでUL-94垂直燃焼試験において、ドリップ防止効果を高めることができる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2014/0200292号明細書
【文献】特開2002-128969号公報
【発明の概要】
【0006】
樹脂材料を使用する種々の用途において防火性への要求が高まっており、それに伴い、樹脂組成物に求められる難燃性能のレベルも益々高いものとなっている。例えばUL-94垂直燃焼試験におけるドリップ防止効果のみならず、発熱コーンカロリーメータ法による評価における発熱抑制効果への要求が強いものとなっている。
【0007】
しかしながら、前述した従来の難燃剤はドリップ防止効果とともに発熱抑制効果を与える点において、十分なものではなかった。
【0008】
従って本発明の課題は、樹脂に混合することにより、ドリップ防止効果とともに発熱抑制効果を与え、該樹脂に優れた難燃性を付与できる組成物、及び、該組成物と樹脂とを含有し、優れた難燃性を発揮する難燃性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決する構成を鋭意検討したところ、特定の2種のアミンのリン酸塩の組み合わせに、シアヌール酸又はシアヌール酸の亜鉛塩を更に組み合わせた組成物を樹脂に混合することにより、驚くべきことに、ドリップ防止効果のみならず、優れた発熱抑制効果が得られることを見出した。
【0010】
本発明は、前記の知見に基づくものであり、下記(A)成分、下記(B)成分及び下記(C)成分を含有する組成物を提供するものである。
(A)成分:オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン及びポリリン酸メラミンよりなる群から選択される少なくとも一種のメラミン塩。
(B)成分:オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン及びポリリン酸ピペラジンよりなる群から選択される少なくとも一種のピペラジン塩。
(C)成分:シアヌール酸又はシアヌール酸亜鉛塩。
【0011】
また本発明は、樹脂及び前記組成物を含有する難燃性樹脂組成物並びにその成形体を提供するものである。
【0012】
また本発明は、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分を含有する組成物を樹脂と混合する、樹脂の難燃化方法を提供するものである。
更に本発明は、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分を含有する組成物難燃剤としての使用を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
なお、以下の説明において、難燃性とは、物質が着火しにくく、また着火して燃焼が持続してもその速度が非常に遅かったり、その後、自己消火したりする性質であることを意味する。好ましくは、難燃性とは、下記実施例に記載されているUL-94V規格に従った燃焼ランクのうち、少なくともV-2のランクを有することを意味し、より好ましくはV-1又はV-0のランクを有することを意味する。難燃剤組成物とは、難燃剤の一種以上を含有する組成物を意味する。難燃性樹脂組成物とは、前記の難燃性を有し、且つ合成樹脂を少なくとも一種含有する組成物を意味する。
【0014】
本発明の組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分を全て含有している点に特徴の一つを有する。
(A)成分として用いられるメラミン塩は、オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン及びポリリン酸メラミンよりなる群から選択される。これらのメラミン塩は一種のみ使用される場合もあり、二種以上の混合物として使用される場合もある。これらの中でも、難燃性、ハンドリング性、保存安定性の点からピロリン酸メラミンを用いることが好ましい。メラミン塩を混合物で使用する場合は、該混合物中でのピロリン酸メラミンの質量基準での含有割合が最も高いことが好ましい。ポリリン酸とはいわゆる縮合リン酸と呼ばれるものであり鎖状ポリリン酸、環状ポリメタリン酸が挙げられる。ポリリン酸の縮合度は3以上である。
【0015】
これらリン酸とメラミンとの塩は、それぞれ対応するリン酸又はリン酸塩とメラミンを反応させることによって得ることができる。特に、本発明の(A)成分で使用されるメラミン塩は、オルトリン酸メラミンを加熱縮合させて得られたピロリン酸メラミン又はポリリン酸メラミンが好ましく、特にピロリン酸メラミンが好ましい。
【0016】
本発明の組成物において(B)成分として用いられるピペラジン塩は、オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン及びポリリン酸ピペラジンよりなる群から選択される。これらのピペラジン塩は一種のみ使用される場合もあり、二種以上の混合物として使用される場合もある。これらの中でも難燃性、ハンドリング性、保存安定性の点から、ピロリン酸ピペラジンを用いることが好ましく、ピペラジン塩を混合物で使用する場合は、該混合物中でのピロリン酸ピペラジンの質量基準での含有割合が最も高いことが好ましい。
【0017】
これらリン酸とピペラジンの塩は、それぞれ対応するリン酸又はリン酸塩とピペラジンを反応させることで得ることができる。特に本発明の(B)成分で使用されるピペラジン塩は、オルトリン酸ピペラジンを加熱縮合させて得られたピロリン酸ピペラジン又はポリリン酸ピペラジンが好ましく、特にピロリン酸ピペラジンが好ましい。
【0018】
本発明の組成物中の(A)成分と(B)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計を100質量部として、好ましくは(A)成分が10~50質量部、(B)成分が90~50質量部であり、より好ましくは(A)成分が20~40質量部、(B)成分が80~60質量部である。(A)成分と(B)成分の含有量をこの範囲に設定することで、後述する(C)成分と組み合わせた場合における燃焼中に形成されるイントメッセントのガスバリア性と自己消火が高くなるので好ましい。
【0019】
また、本発明の組成物中、(A)成分と(B)成分の合計量が70~99.9質量%であることが好ましく、80~99質量%であることがより好ましい。(A)成分と(B)成分の合計量が70質量%以上であることは、難燃性付与効果を高める点で好ましく、99.9質量%以下であることが、(C)成分及びその他の任意成分量を確保して本発明の効果を高める点で好ましい。
【0020】
次に本発明の組成物の(C)成分について説明する。
本発明の組成物における(C)成分は、シアヌール酸又はシアヌール酸亜鉛塩である。
従来、シアヌール酸のような酸成分は、直接樹脂に添加すると加工中に樹脂を劣化させるために酸単独ではほとんど使用されていなかった。本発明者は、シアヌール酸を前記(A)成分及び(B)成分と組み合わせた場合においては、ドリップ防止効果が得られるのみならず、優れた発熱抑制効果が得られること、更にシアヌール酸の代わりにシアヌール酸亜鉛塩を用いた場合においても、シアヌール酸と同等或いはそれ以上の効果が得られることを見出した。この理由は明確ではないが、本発明者は、シアヌール酸又はシアヌール酸亜鉛塩を(A)成分及び(B)成分と併用すると、樹脂の燃焼時に溶融速度が高まり、このことにより(A)成分と(B)成分との組み合わせによるイントメッセントの形成作用が促進されると考えている。本発明者は、このために、本発明の組成物を用いることで樹脂における難燃性の発現が速められ、燃焼防止又は抑制効果が発揮されるのではないかと推測している。
【0021】
(C)成分は、シアヌール酸のみ、又はシアヌール酸亜鉛塩のみ、を用いてもよく、両者の混合物であってもよい。
【0022】
シアヌール酸については一般に、エノール型であるトリアジン-2,4,6-トリオール(下記式(1)の化合物)と、ケト型であるトリアジン-2,4,6-トリオン(下記式(2)の化合物、イソシアヌール酸ともいう)が知られている。しかし、両者は互変異性体であるため、本発明では、シアヌール酸として、エノール型であるトリアジン-2,4,6-トリオールだけでなく、ケト型であるトリアジン-2,4,6-トリオンも使用することができる。
【0023】
【化1】
【0024】
シアヌール酸亜鉛塩としては、例えば、亜鉛にシアヌール酸が配位した構造の化合物であればよく、特開昭54-123145号公報、特開昭59-31779号公報、再表2011/162353号公報、再表2016/006585号公報、特開2012-236867号公報、特開2015-117245号公報などに記載されたものを特に制限なく使用することができる。
シアヌール酸亜鉛塩としては通常粉末を用いるところ、特に、レーザー回折法により測定される平均粒子径D50が0.1μm以上50μm以下であるものが、ハンドリング性や樹脂への分散性、難燃性の発現しやすさの点で好ましい。この観点からシアヌール酸亜鉛塩の前記の平均粒子径D50は0.5μm以上5μm以下であるものがより好ましい。また、シアヌール酸亜鉛塩としては、透過型電子顕微鏡で観察したときに、針状又は棒状等の一方向に長い形状を有するものが、難燃性付与効果が高い等の点で好ましく、例えば透過型電子顕微鏡で観察したときの長軸長さ/短軸長さが4以上、特に8以上であることが難燃性付与の点やドリップ防止の点で好ましい。長軸長さ/短軸長さは、透過型電子顕微鏡で例えば3万倍~20万倍で観察したときに、1個以上の粒子が前記の下限以上であればよく、10個以上粒子の平均値が前記の下限以上であることがより好ましい。
【0025】
本発明の組成物において、前記(C)成分の含有量は、前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.1~50質量部であることが好ましく、難燃性と加工性の点から、好ましくは0.5~40質量部、より好ましくは1~20質量部、さらに好ましくは3~10質量部である。(C)成分の含有量を0.1質量部以上に設定することで、ドリップ防止、イントメッセント形成の利点がある。一方、(C)成分の含有量を50質量部以下に設定することで、加工時の機器汚染および経済的観点から利点がある。
【0026】
本発明の組成物には、酸化亜鉛(ZnO)を更に含有させてもよい(以下、この成分を「(D)成分」とも言う。)。
【0027】
前記酸化亜鉛は、難燃助剤として機能する。該酸化亜鉛は表面処理されていてもよい。酸化亜鉛は市販品を使用することができ、例えば、酸化亜鉛1種(三井金属鉱業(株)製)、部分被膜型酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)製)、ナノファイン50(平均粒径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)、ナノファインK(平均粒径0.02μmの珪酸亜鉛被膜した超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0028】
本発明の組成物において、前記(D)成分である酸化亜鉛の含有量は、難燃性の点から、前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、より好ましくは0.5~8質量部、更に好ましくは1~5質量部である。酸化亜鉛の含有量を0.01質量部以上に設定することで難燃性がより良好となる。一方、酸化亜鉛の含有量を10質量部以下に設定することで、加工性に悪影響を生じさせにくい。
【0029】
本発明の組成物は、難燃剤粉末が凝集することを防止し、保存安定性の向上と、合成樹脂への分散性向上や難燃性向上を図る点から、更にシリコーンオイル、エポキシ系カップリング剤、ハイドロタルサイト及び滑剤から選ばれる少なくとも一種(E成分)を含有することが好ましい。
【0030】
シリコーンオイルの例としては、ポリシロキサンの側鎖、末端が全てメチル基であるジメチルシリコーンオイル、ポリシロキサンの側鎖、末端がメチル基であり、その側鎖の一部がフェニル基であるメチルフェニルシリコーンオイル、ポリシロキサンの側鎖、末端がメチル基であり、その側鎖の一部が水素であるメチルハイドロジェンシリコーンオイル等や、これらのコポリマーが挙げられ、またこれらの側鎖及び/又は末端の一部に有機基を導入した、アミン変性、エポキシ変性、脂環式エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メルカプト変性、ポリエーテル変性、長鎖アルキル変性、フロロアルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪酸アミド変性、シラノール変性、ジオール変性、フェノール変性及び/又はアラルキル変性、させた変性シリコーンオイルを使用してもよい。
【0031】
前記シリコーンオイルの具体例を挙げると、ジメチルシリコーンオイルとして、KF-96(信越化学(株)製)、KF-965(信越化学(株)製)、KF-968(信越化学(株)製)等が挙げられ、メチルハイドロジェンシリコーンオイルとして、KF-99(信越化学(株)製)、KF-9901(信越化学(株))、HMS-151(Gelest社製)、HMS-071(Gelest社製)、HMS-301(Gelest社製)、DMS-H21(Gelest社製)等が挙げられ、メチルフェニルシリコーンオイルの例としては、KF-50(信越化学(株)製)、KF-53(信越化学(株)製)、KF-54(信越化学(株)製)、KF-56(信越化学(株)製)等が挙げられ、エポキシ変性品としては、例えば、X-22-343(信越化学(株)製)、X-22-2000(信越化学(株)製)、KF-101(信越化学(株)製)、KF-102(信越化学(株)製)、KF-1001(信越化学(株)製)、カルボキシル変性品としては、例えば、X-22-3701E(信越化学(株)製)、カルビノール変性品としては、例えば、X-22-4039(信越化学(株)製)、X-22-4015(信越化学(株)製)、アミン変性品としては、例えば、KF-393(信越化学(株)製)等が挙げられる。
【0032】
本発明の組成物において、シリコーンオイルの中でも、難燃剤粉末が凝集することを防止し、保存安定性の向上と、合成樹脂への分散性向上の点から、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが好ましい。
【0033】
エポキシ系カップリング剤は、難燃剤粉末の凝集を防止し、保存安定性の向上のためや、耐水性、耐熱性を付与するという機能を有する。エポキシ系カップリング剤としては、例えば、一般式(5):A-(CH2k-Si(OR)3で表される化合物であってエポキシ基を有する化合物が挙げられる。Aはエポキシ基であり、kは1~3の数を表し、Rはメチル基又はエチル基を表す。ここでいうエポキシ基としては、グリシドキシ基や3,4-エポキシシクロヘキシル基が挙げられる。
【0034】
エポキシ系カップリング剤の具体例としては、例えば、エポキシ基を有するシランカップリング剤として、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0035】
ハイドロタルサイトとは、天然物や合成物として知られるマグネシウム、アルミニウム、水酸基、炭酸基および任意の結晶水からなる複合塩化合物であり、マグネシウム又はアルミニウムの一部をアルカリ金属や亜鉛など他の金属で置換したものや水酸基、炭酸基を他のアニオン基で置換したものが挙げられる。具体的には、例えば、下記式(3)で表されるハイドロタルサイトや、当該式(3)で表されるハイドロタルサイトの金属をアルカリ金属に置換したものが挙げられる。また、Al―Li系のハイドロタルサイトとしては、式(4)で表される化合物も用いることができる。
【0036】
【化2】
(式中、x1およびx2は各々下記式で表される条件を満たす数を表し、pは0または正の数を表す。0≦x2/x1<10,2≦x1+x2≦20である。)
【0037】
【化3】
(式中、Aq-は、q価のアニオンを表し、pは0または正の数を表す。)
また、上記ハイドロタルサイトにおける炭酸アニオンは、一部を他のアニオンで置換したものでもよい。
【0038】
上記ハイドロタルサイトは、結晶水を脱水したものであってもよく、ステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩等の有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル又はワックス等で被覆されたものであってもよい。
【0039】
滑剤としては、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン、ポリエチレンワックス等の純炭化水素系滑剤;ハロゲン化炭化水素系滑剤;高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤;脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系滑剤;金属石鹸、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル系の滑剤や、シリコーンオイル、鉱油等が挙げられる。滑剤は一種でもニ種以上でもよい。
【0040】
難燃性の向上の点から、本発明の組成物に、シリコーンオイル、エポキシ系カップリング剤、ハイドロタルサイト及び滑剤から選ばれる少なくとも一種(E成分)を含有させる場合、本発明の組成物中、E成分の含有量は、上記のE成分を含有する効果を効果的に発揮させる観点から、前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、0.01~3質量部がより好ましい。
【0041】
特に、シリコーンオイルを含有させる場合のシリコーンオイルの含有量は、シリコーンオイルを含有することによる上記の効果を高める点から、前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.01~3質量部が好ましく、0.1~1質量部がより好ましい。
【0042】
特に、本発明の組成物中にエポキシ系カップリング剤を含有させる場合のエポキシ系カップリング剤の含有量は、エポキシ系カップリング剤を含有することによる上記の効果を高める点から、前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01~3質量部であり、より好ましくは0.1~1質量部である。
【0043】
特に、本発明の組成物にハイドロタルサイトを含有させる場合のハイドロタルサイトの含有量は、ハイドロタルサイトを含有することによる上記の効果を高める点から、前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部であり、より好ましくは0.1~0.5質量部である。
【0044】
本発明の組成物に滑剤を含有させる場合の滑剤の含有量は、滑剤を含有することによる上記の効果を高める点から、前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01~3質量部であり、より好ましくは0.1~0.5質量部である。
【0045】
本発明で使用される組成物には、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、その他の酸化防止剤、核剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、充填剤、脂肪酸金属塩、帯電防止剤、顔料、染料等を配合してもよい。
これらの成分は本発明の組成物にあらかじめ配合してもよいし、合成樹脂に配合するときに合成樹脂に配合してもよい。これらを配合することにより合成樹脂を安定化することが好ましい。
【0046】
前記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス-(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2-メチル-4,6-ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール、2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、2,2’-オキサミド-ビス[エチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2-エチルヘキシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-エチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロパン酸及びC13-15アルキルのエステル、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、ヒンダードフェノールの重合物(アデカパルマロール社製商品名AO.OH.98)、2,2’-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール]、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルベンズ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフォビン、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[モノエチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート]カルシウム塩、5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)-3-ヒドロキシ-2(3H)-ベンゾフラノンとo-キシレンとの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、DL-a-トコフェノール(ビタミンE)、2,6-ビス(α-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、ビス[3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-フェニル)ブタン酸]グリコールエステル、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル-3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2-オクチルチオ-4,6-ジ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-s-トリアジン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス[3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’-ブチリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、ビス[2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’―ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、3,9-ビス[2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパノイルオキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[3-tert-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、ステアリル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、パルミチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ミリスチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ラウリル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド等の3-(3,5-ジアルキル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸誘導体等が挙げられる。これらフェノール系酸化防止剤は一種を単独で用いてもよく、ニ種以上を併用して用いてもよい。
これらのフェノール系酸化防止剤の使用量は、樹脂に配合したときに、難燃性樹脂組成物100質量部中、0.001~5質量部が好ましく、0.01~1.0質量部がより好ましい。
【0047】
前記ホスファイト系酸化防止剤は、例えば、トリフェニルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、ヘプタキス(ジプロピレングリコール)トリホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジオレイルヒドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2-tert-ブチル-4-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル〕ホスファイト、トリ(デシル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールとステアリン酸カルシウム塩との混合物、アルキル(C10)ビスフェノールAホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニル-テトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2―tert-ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、(1-メチル-1―プロペニル-3-イリデン)トリス(1,1-ジメチルエチル)-5-メチル-4,1-フェニレン)ヘキサトリデシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-オクタデシルホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フルオロホスファイト、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキス-tert-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン、3,9-ビス(4-ノニルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル-2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールホスファイト、4,4’-イソプロピリデンジフェノールC12-15アルコールホスファイト、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)-3,9-ビス-ジホスファ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、ジフェニル(イソデシル)ホスファイト、ビフェニルジフェニルホスファイト等が挙げられる。これらホスファイト系酸化防止剤は一種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
これらのホスファイト系酸化防止剤の使用量は、樹脂に配合したときに、難燃性樹脂組成物100質量部中、0.001~5質量部が好ましく、0.01~1.0質量部がより好ましい。
【0048】
前記チオエーテル系酸化防止剤は、例えば、3,3’-チオジプロピオン酸、アルキル(C12-14)チオプロピオン酸、ジ(ラウリル)-3,3’-チオジプロピオネート、3,3’-チオビスプロピオン酸ジトリデシル、ジ(ミリスチル)-3,3’-チオジプロピオネート、ジ(ステアリル)-3,3’-チオジプロピオネート、ジ(オクタデシル)-3,3’-チオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、テトラキス[メチレン-3-(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン、チオビス(2-tert-ブチル-5-メチル-4,1-フェニレン)ビス(3-(ドデシルチオ)プロピオナート)、2,2’-チオジエチレンビス(3-アミノブテノエート)、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2,2’-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-p-クレゾール)、2-エチルヘキシル-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)チオアセテート、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-[チオビス(メチレン)]ビス(2-tert-ブチル-6-メチル-1-ヒドロキシベンジル)、ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール-2-イル)スルファイド、トリデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルチオアセテート、1,4-ビス(オクチルチオメチル)-6-メチルフェノール、2,4-ビス(ドデシルチオメチル)-6-メチルフェノール、ジステアリル-ジサルファイド、ビス(メチル-4-[3-n-アルキル(C12/C14)チオプロピオニルオキシ]5-tert-ブチルフェニル)スルファイド等が挙げられる。これらチオエーテル系酸化防止剤は一種を単独で用いてもよく、ニ種以上を併用して用いてもよい。
これらのチオエーテル系酸化防止剤の使用量は、樹脂に配合したときに、難燃性樹脂組成物100質量部中、0.001~5質量部が好ましく、0.01~1.0質量部がより好ましい。
【0049】
前記その他の酸化防止剤は、例えば、N-ベンジル-α-フェニルニトロン、N-エチル-α-メチルニトロン、N-オクチル-α-ヘプチルニトロン、N-ラウリル-α-ウンデシルニトロン、N-テトラデシル-α-トリデシルニトロン、N-ヘキサデシル-α-ペンタデシルニトロン、N-オクチル-α-ヘプタデシルニトロン、N-ヘキサデシル-α-ヘプタデシルニトロン、N-オクタデシル-α-ペンタデシルニトロン、N-ヘプタデシル-α-ヘプタデシルニトロン、N-オクタデシル-α-ヘプタデシルニトロン等のニトロン化合物、3-アリールベンゾフラン-2(3H)-オン、3-(アルコキシフェニル)ベンゾフラン-2-オン、3-(アシルオキシフェニル)ベンゾフラン-2(3H)-オン、5,7-ジ-tert-ブチル-3-(3,4-ジメチルフェニル)-ベンゾフラン-2(3H)-オン、5,7-ジ-tert-ブチル-3-(4-ヒドロキシフェニル)-ベンゾフラン-2(3H)-オン、5,7-ジ-tert-ブチル-3-{4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}-ベンゾフラン-2(3H)-オン、6-(2-(4-(5,7-ジ-tert-2-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-3-イル)フェノキシ)エトキシ)-6-オキソヘキシル-6-((6-ヒドロキシヘキサノイル)オキシ)ヘキサノエート、5-ジ-tert-ブチル-3-(4-((15-ヒドロキシ-3,6,9,13-テトラオキサペンタデシル)オキシ)フェニル)ベンゾフラン-2(3H)オン等のベンゾフラン化合物等が挙げられる。これらその他の酸化防止剤は一種を単独で用いてもよく、ニ種以上を併用して用いてもよい。
これらのその他の酸化防止剤の使用量は、樹脂に配合したときに、難燃性樹脂組成物100質量部中、0.001~5質量部が好ましく、0.01~1.0質量部がより好ましい。
【0050】
前記核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4-第三ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ナトリウムビス(4-第三ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-((4-プロピルフェニル)メチレン)-ノニトール、1,3:2,4-ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-グルシトール(ジベンジリデンソルビトール)等の多価アルコール誘導体、N,N’,N”-トリス[2-メチルシクロヘキシル]―1,2,3-プロパントリカルボキサミド、N,N’,N”-トリシクロヘキシルー1,3,5-ベンゼントリカルボキサミド、N,N’-ジシクロヘキシル-ナフタレンジカルボキサミド、1,3,5-トリ(ジメチルイソプロポイルアミノ)ベンゼン等のアミド化合物等を挙げることができる。これら核剤は一種を単独で用いてもよく、ニ種以上を併用して用いてもよい。これらの核剤の使用量は、樹脂に配合したときに、難燃性樹脂組成物100質量部中、0.001~5質量部が好ましく、0.01~1.0質量部がより好ましい。
【0051】
前記紫外線吸収剤は、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)、2-ヒドロキシー4-ノルマルオクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシー4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシー4-ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ―4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系や、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-tert-オクチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-アクリロイルオキシエチル)-5-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-アミル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(2-メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系や、フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート系や、2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド、2-エチル-2’-エトキシ-5’-tert-ブチル-オキザニリド等の置換オキザニリド系や、エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート、テトラキス(α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリルロイルオキシメチル)メタン等のシアノアクリレート系や、2-(2-ヒドロキシ-4-(2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エチルオキシ)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール、2-(4,6-ジ(1,1´-ビフェニル)4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(2-エチルヘキシルオキシ)フェノール等のトリアジン系が挙げられる。
これら紫外線吸収剤は一種を単独で用いてもよく、ニ種以上を併用して用いてもよい。
これらの紫外線吸収剤の使用量は、樹脂に配合したときに、難燃性樹脂組成物100質量部中、0.001~5質量部が好ましく、0.05~0.5質量部がより好ましい。
【0052】
前記光安定剤は、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノ-ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-tert-オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8-12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、ビス{4-(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル)ピペリジル}デカンジオナート、ビス{4-(2,2,6,6-テトラメチル-1-ウンデシルオキシ)ピペリジル}カーボナート、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製TINUVINNOR371、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)1,3-プロパンジオール及び3-ヒドロキシー2,2-ジメチルプロパナールとのポリマー、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルエステル、1,3‐ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジンー4-イル)2,4-ジトリデシルベンゼン-1,2,3,4,テトラカルボキシレート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]-1,6-ヘキサンジイル[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]])等が挙げられる。これら光安定剤は一種を単独で用いてもよく、ニ種以上を併用して用いてもよい。
これらの光安定剤の使用量は、樹脂に配合したときに、難燃性樹脂組成物100質量部中、0.001~5質量部が好ましく、0.005~0.5質量部がより好ましい。
【0053】
前記可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化脂肪酸オクチルエステル等のエポキシ系や、メタクリレート系や、ジカルボン酸と多価アルコールとの重縮合物、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合物等のポリエステル系や、ジカルボン酸と多価アルコールとアルキレングリコールとの重縮合物、ジカルボン酸と多価アルコールとアリーレングリコールとの重縮合物、多価カルボン酸と多価アルコールとアルキレングリコールとの重縮合物、多価カルボン酸と多価アルコールとアリーレングリコールとの重縮合物等のポリエーテルエステル系や、アジピン酸エステル、コハク酸エステル等の脂肪族エステル系や、フタル酸エステル、テレフタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、安息香酸エステル等の芳香族エステル系などが挙げられる。 これら可塑剤は一種を単独で用いてもよく、ニ種以上を併用して用いてもよい。
これらの可塑剤の使用量は、樹脂に配合したときに、難燃性樹脂組成物100質量部中、0.1~500質量部が好ましく、1~100質量部がより好ましい。
【0054】
上記充填剤は、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、クレー、ドロマイト、マイカ、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラステナイト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、モンモリロナイト等を挙げることができ、粒子径(繊維状においては繊維径や繊維長及びアスペクト比)を適宜選択して用いることができる。これら充填剤は一種を単独で用いてもよく、ニ種以上を併用して用いてもよい。
これらの充填剤の使用量は、樹脂に配合したときに、難燃性樹脂組成物100質量部中、1~100質量部が好ましく、3~80質量部がより好ましい。
【0055】
前記脂肪酸金属塩の脂肪酸としては、例えば、カプリン酸、2-エチルヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸、4-デセン酸、4-ドデセン酸、パルミトレイン酸、α-リノレン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、ステアリドン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の直鎖不飽和脂肪酸、トリメシン酸等の芳香族脂肪酸であるものが挙げられ、特に、ミリスチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等の飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸金属塩の金属としては、例えば、アルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、マンガン、鉄、亜鉛、珪素、ジルコニウム、イットリウム、バリウム又はハフニウム等が挙げられるが、特に、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属が好ましい。これら脂肪酸金属塩は一種を単独で用いてもよく、ニ種以上を併用して用いてもよい。
これらの脂肪酸金属塩の使用量は、樹脂に配合したときに、難燃性樹脂組成物100質量部中、0.001~5質量部が好ましく、0.05~3質量部がより好ましい。
【0056】
前記帯電防止剤は、例えば、脂肪酸第四級アンモニウムイオン塩、ポリアミン四級塩等のカチオン系帯電防止剤や、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールEO付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アニオン型のアルキルスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物リン酸エステル塩等のアニオン系帯電防止剤や、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリコールリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオン系帯電防止剤や、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性型アルキルベタイン、イミダゾリン型両性活性剤等の両性帯電防止剤が挙げられる。これら帯電防止剤は一種を単独で用いてもよく、ニ種以上を併用して用いてもよい。これらの帯電防止剤の使用量は、樹脂に配合したときに、難燃性樹脂組成物100質量部中、0.01~20質量部が好ましく、3~10質量部がより好ましい。
【0057】
前記顔料は、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71や、ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185や、ピグメントグリーン7、10、36や、ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62、64や、ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。これら顔料は一種を単独で用いてもよく、ニ種以上を併用して用いてもよい。
これらの顔料の使用量は、樹脂に配合したときに、難燃性樹脂組成物100質量部中、0.0001~10質量部が好ましい。
【0058】
上記染料は、市販の染料を用いることもでき、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられる。これら染料は一種を単独で用いてもよく、ニ種以上を併用して用いてもよい。
これらの染料の使用量は、樹脂に配合したときに、難燃性樹脂組成物100質量部中、0.0001~10質量部が好ましい。
【0059】
本発明の組成物を得るためには、必須成分の(A)~(C)成分、及び必要に応じて(D)~(E)成分、並びに、更に必要に応じて他の任意成分を混合すればよく、混合には各種混合機を用いることができる。混合時には加熱してもよい。使用できる混合機の例を挙げると、ターブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型混合機、W型混合機、スーパーミキサー、ナウターミキサー等が挙げられる。
【0060】
本発明の組成物は、樹脂の難燃化に効果があり、樹脂用組成物(「樹脂用添加剤」と呼ばれることもある)、特に難燃剤として有用である。本発明の組成物は、これを樹脂に配合することで、難燃性樹脂組成物(以下、本発明の難燃性樹脂組成物ともいう)として好ましく用いられる。
【0061】
本発明の組成物によって難燃化される樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等の合成樹脂が挙げられる。具体的には、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、バイオマス含有ポリオレフィン系樹脂、含ハロゲン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、直鎖ポリエステル樹脂、分解性脂肪族、ポリアミド樹脂、セルロースエステル系樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂及びこれらのブレンド物を挙げることができる。一方、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
【0062】
本発明の組成物によって難燃化される別の合成樹脂として、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ニトリル系熱可塑性エラストマー、ナイロン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等も挙げることができる。
これら樹脂は、一種用いてもよく、ニ種以上を併用してもよい。また樹脂はアロイ化されていてもよい。
【0063】
本発明で使用する樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず、使用することができる。
【0064】
以上の各種の樹脂の中でも、優れた難燃性を付与できる点から、ポリオレフィン系樹脂又はポリウレタン系熱可塑性エラストマーが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ブロックコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、ハイインパクトコポリマーポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリブテン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ-3-メチル-1-ブテン、ポリ-3-メチル-1-ペンテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のα-オレフィン共重合体等が挙げられる。
【0065】
またポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)が挙げられる。熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)は分子構造中に、ウレタン基(-NHCOO-)を有するゴム状弾性体であり、ソフトセグメントと称される動きやすい長鎖部分と、ハードセグメントと称される極めて結晶性の強い部分とからなり、一般に、ポリオール、ジイソシアネート、及び鎖延長剤を用いて調製される。
また、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、その成形方法により、液状で型に注入・硬化反応させる注型タイプ、従来のゴムと同じくロール混練後プレス成形するタイプ及び一般熱可塑性樹脂と同様に加工できるタイプに大別できるが、本発明では、それらを区別するものではない。
【0066】
前記熱可塑性ポリウレタン樹脂の具体例としては、エステル(ラクトン)系ポリウレタン共重合体、エステル(アジぺート)系ポリウレタン共重合体、エーテル系ポリウレタン共重合体、カーボネート系ポリウレタン共重合体、エーテル・エステル系ポリウレタン共重合体が挙げられ、これらの熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)は、単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。
【0067】
本発明の難燃性樹脂組成物において、樹脂の含有量は、好ましくは50~99.9質量%であり、より好ましくは60~90質量%である。また難燃性樹脂組成物が本発明の組成物を難燃剤組成物として含有する場合、樹脂100質量部に対し、該難燃剤組成物を、10質量部~400質量部含有することが好ましく、より好ましくは20~80質量部である。難燃剤組成物の含有量を10質量部以上に設定することで、十分な難燃性が発揮され、400質量部以下に設定することで樹脂本来の物性が損なわれにくくなる。
【0068】
本発明の難燃性樹脂組成物はこれを成形することにより、難燃性に優れた成形品を得ることができる。成形方法は、特に限定されるものではなく、押し出し加工、カレンダー加工、射出成形、ロール、圧縮成形、ブロー成形等が挙げられ、樹脂板、シート、フィルム、異形品等の種々の形状の成形品が製造できる。
【0069】
本発明の難燃性樹脂組成物及びその成形体は、電気・電子・通信、エレクトロニック&エンジニアリング、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機器、木材、建材、土木、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に使用することができる。より具体的には、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、カード、ホルダー、文具等の事務、OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品及び通信機器、OA機器等のハウジング(枠、筐体、カバー、外装)や部品、自動車内外装材の用途に用いられる。この中でも特に、電線等の電子部品や自動車内外装部材等の自動車部品に好適に用いられる。
【0070】
更に、本発明の難燃性樹脂組成物及びその成形体は、座席(詰物、表地等)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被覆材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、デッキ材、壁材、柱材、敷板、塀の材料、骨組及び繰形、窓及びドア形材、こけら板、羽目、テラス、バルコニー、防音板、断熱板、窓材等の、自動車、ハイブリッドカー、電気自動車、車両、船舶、航空機、建物、住宅及び建築用材料や、土木材料、衣料、カーテン、シーツ、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、楽器等の生活用品、スポーツ用品、等の各種用途に使用される。
【実施例
【0071】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかし、本発明は以下の実施例より何ら制限されるものではない。なお、以下の表1~4中の数値の単位は質量部であり、表5~表8中の最大発熱速度の単位はkW・m-2である。
【0072】
<組成物の調製>
・実施例No.1~30、比較例No.1~22
下記表1~表4記載の成分を当該表に記載の割合で配合し、ヘンシェルミキサーを用いて混合し実施組成物No.1~30及び比較組成物No.1~22を得た。但し、エポキシ系カップリング剤、滑剤又はシリコーンオイルを添加する場合には、その他の成分を予備混合した後に、エポキシ系カップリング剤、滑剤又はシリコーンオイルを添加してヘンシェルミキサーを用いて混合し、組成物を得た。エポキシ系カップリング剤としては上記一般式(5)を満たす化合物を用いた。
なお、表1における*1の注釈は表2~4にも当てはまり、表2における*2~*6の注釈は、表3~4にも当てはまる。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
・実施例31~47、比較例23~44
熱可塑性ポリウレタン樹脂(BASF製 Elastollan 1185A、MFI=8g/10min)100質量部にステアリン酸カルシウム0.1質量部、グリセリンモノステアレート0.3質量部、テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル]メタン0.1質量部、及び、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト0.1質量部を配合し、ヘンシェルミキサーにて予備混合して熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物に対して、表5又は表6に示す組成物を43質量部配合し、ヘンシェルミキサーで混合し実施樹脂組成物No.31~47及び比較樹脂組成物No.23~44を得た。
【0078】
・実施例48~59、比較例45~54
ポリプロピレン(JIS K7210に準拠して測定された、荷重2.16kg、230℃におけるメルトフローレート=8g/10min)100質量部に、ステアリン酸カルシウム(高級脂肪酸金属塩)0.1質量部、テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル]メタン(フェノール系酸化防止剤)0.1質量部、トリス(2,4-ジ-第三ブチルフェニル)ホスファイト(リン系酸化防止剤)0.1質量部を配合し、ヘンシェルミキサーにて予備混合してポリプロピレン樹脂組成物を得た。得られたポリプロピレン樹脂組成物に対して、表7又は表8に示す組成物を43質量部配合し、ヘンシェルミキサーで混合し実施樹脂組成物No.48~59及び比較樹脂組成物No.45~54を得た。
【0079】
前記で得られた各実施樹脂組成物及び比較樹脂組成物を以下の方法にてペレットを作製し、このペレットから難燃性評価用試験片を作製し、この評価片について、以下の難燃性評価及び最大発熱速度評価に供した。
[評価]
<ペレットの作製>
熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有する実施樹脂組成物No.31~47及び比較樹脂組成物No.23~44を、二軸押出成形機(株式会社日本製鋼所製;TEX-30α)を用いて、シリンダー温度を190~200℃にして、スクリュー速度150rpmの条件で溶融混練した。ダイスから吐出されたストランドを冷却バスにより冷却し、ペレタイザーにて切断することにより、樹脂組成物のペレットを作製した。
【0080】
ポリプロピレン樹脂を含有する実施樹脂組成物No.48~59及び比較樹脂組成物No.45~54を、二軸押出成形機(株式会社日本製鋼所製;TEX-30α)を用いて、シリンダー温度を220~230℃にして、スクリュー速度150rpmの条件で溶融混練した。ダイスから吐出されたストランドを冷却バスにより冷却し、ペレタイザーにて切断することにより、樹脂組成物のペレットを作製した。
【0081】
<難燃性評価用試験片の作製>
熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有する実施樹脂組成物No.31~47及び比較樹脂組成物No.23~44のペレットを(日精樹脂工業社製;NEX-80)を用いてスクリュー設定温度200℃、金型温度40℃の条件で射出成形を行い、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの難燃性評価用試験片を得た。
【0082】
また、ポリプロピレン樹脂を含有する実施樹脂組成物No.48~59及び比較樹脂組成物No.45~54のペレットを(日精樹脂工業社製;NEX-80)を用いてスクリュー設定温度230℃、金型温度40℃の条件で射出成形を行い、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの難燃性評価用試験片を得た。
【0083】
<最大発熱速度評価用試験片の作製>
熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有する実施樹脂組成物No.31~47及び比較樹脂組成物No.23~44のペレットを(日精樹脂工業社製;NEX-80)を用いてスクリュー設定温度180℃、金型温度40℃の条件で射出成形を行い、長さ100mm×100mm、厚さ3mmの最大発熱量評価用試験片を得た。
【0084】
ポリプロピレン樹脂を含有する実施樹脂組成物No.48~59及び比較樹脂組成物No.45~54のペレットを(日精樹脂工業社製;NEX-80)を用いてスクリュー設定温度230℃、金型温度40℃の条件で射出成形を行い、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの難燃性評価用試験片を得た。
【0085】
<難燃性評価>
得られた試験片をISO1210に準拠し20mm垂直燃焼試験(UL-94V)を行なった。具体的には試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後で炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行い、1回目と同様にして着火した火が消える時間を測定した。また、落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。1回目と2回目の燃焼時間、綿着火の有無等からUL-94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV-0が最高のものであり、V-1、V-2となるにしたがって難燃性は低下する。但し、V-0~V-2のランクの何れにも該当しないものはNRとする。評価結果を下記表5~8に記す。
【0086】
<最大発熱速度評価>
得られた試験片をISO5660に準拠しコーンカロリメータ((株)東洋精機製作所製CONEIII)を用いて試験片への熱流50kW/mにて最大発熱速度(Heat Release Rate)の評価を行なった。評価結果を下表5~8に記す。
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
【表7】
【0090】
【表8】
【0091】
表5及び7に示す結果から明らかなとおり、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する組成物を樹脂に配合した各実施例において、UL-94V試験における樹脂の難燃性評価が向上するとともに、最大発熱速度も向上することが判る。しかし表6及び8に示すように、(C)成分を用いない場合(比較例23~37、45~47)、(A)成分及び(B)成分の一方を用いない場合(比較例40~43、50~53)、(A)成分、(B)成分又は(C)成分の代わりにリン酸エステル化合物(比較例38、39、48、49)や、亜鉛塩とは異なるシアヌール酸塩を用いる場合(比較例44、54)はいずれも、難燃性評価に劣り、最大発熱速度も不十分である。
従って、本発明の組成物が、高い難燃性を樹脂に付与でき、難燃剤として優れていることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明によれば、樹脂に混合することにより、ドリップ防止効果とともに優れた発熱抑制効果が得られ、該樹脂に優れた難燃性を付与できる組成物、及び、該組成物と樹脂とを含有し、優れた難燃性を発揮する難燃性樹脂組成物を提供することができる。