(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】取り出し具付き容器
(51)【国際特許分類】
A45D 34/00 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
A45D34/00 510Z
(21)【出願番号】P 2019076392
(22)【出願日】2019-04-12
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】君島 美津志
(72)【発明者】
【氏名】片山 就介
(72)【発明者】
【氏名】久保 利昭
(72)【発明者】
【氏名】大友 唯一
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-090284(JP,A)
【文献】特開2011-234763(JP,A)
【文献】実開平06-072843(JP,U)
【文献】特開平11-049172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器本体、取り出し具、および、前記容器本体が載置されるトレイを有する取り出し具付き容器であって、
前記トレイは、前記容器本体の底面が載置される載置部、および、前記載置部の外周に位置する縁部を有し、
前記載置部は、上面が前記容器本体の底面と当接する凹部を有し、前記凹部に前記取り出し具を収容する溝部が形成されており、
前記溝部の一端は、前記縁部を横断して開口となっており、前記
溝部の他端は、前記載置部内に位置しており、
前記縁部の上面が、前記載置部との境界から外側に向かって下方に傾斜しており、前記縁部の上面が傾斜した部分に前記溝部の一端の開口が位置しており、
前記取り出し具を前記トレイに収容した時、前記取り出し具は、前記溝部に収容され、前記取り出し具の持ち手側の端部が前記溝部
の一端の前記開口から外部に突出した状態で収容可能であることを特徴とする取り出し具付き容器。
【請求項2】
前記載置部の表面の少なくとも一部に、前記容器本体の底面と接触しない凹状の湾曲面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の取り出し具付き容器。
【請求項3】
前記溝部の底面に
、前記取り出し具を支持する少なくとも1つの突部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の取り出し具付き容器。
【請求項4】
前記載置部内において前記溝部の幅は、前記載置部と前記縁部との境界において、他の箇所よりも狭くなっていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の取り出し具付き容器。
【請求項5】
前記縁部の一部が外側に突出していることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の取り出し具付き容器。
【請求項6】
前記縁部の上面を上下に貫通する貫通孔が設けられており、前記貫通孔に前記取り出し具を挿入することにより、前記取り出し具を立てた状態で保持することができることを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の取り出し具付き容器。
【請求項7】
前記縁部に、前記貫通孔から下方に延伸するリブが設けられており、
前記取り出し具を前記貫通孔に挿入した時に、前記リブによって、前記取り出し具の傾きが制限されることを特徴とする請求項
6に記載の取り出し具付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物および取り出し具を収容可能な取り出し具付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料などの内容物を収容する容器には、化粧料を塗布するためのスパチュラなどの取り出し具が付属されている場合があり、そのために前記取り出し具を収容する構造が設けられている。例えば、特許文献1のように、容器本体の首部に、平板状リング体に挿通孔を設けた保持具を取り付けて、挿通孔に塗布具を挿入して保持する構造が用いられている。その他に、特許文献2のように、取り出し具付き容器の中蓋にスパチュラを収容する構造も存在しており、付属の取り出し具を収容するために様々な容器の構造が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-201970号公報
【文献】特開2011-234763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スパチュラなどの取り出し具を立てた状態で保持した場合、内容物が取り出し具に付着した状態で外部に露出された状態となり、不衛生であるという問題がある。また、中蓋に取り出し具を収容する場合、取り出し具を中蓋内に収容できる大きさとする必要があり、取り出し具の大きさ、特に長さが制限されるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、取り出し具の先端を外部に露出しない状態で、簡単に出し入れ可能に収容することができ、さらに、中蓋から取り出し具の端部が外部に突出するような長い取り出し具を収容することができる取り出し具付き容器を提供することを目的とし、さらに、使用状況に応じて取り出し具を立てた状態で保持することができる取り出し具付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の取り出し具付き容器は、内容物を収容する容器本体、取り出し具、および、前記容器本体が載置されるトレイを有する取り出し具付き容器であって、前記トレイは、前記容器本体の底面が載置される載置部、および、前記載置部の外周に位置する縁部を有し、前記載置部は、上面が前記容器本体の底面と当接する凹部を有し、前記凹部に前記取り出し具を収容する溝部が形成されており、前記溝部の一端は、前記縁部を横断して開口となっており、前記縁部の他端は、前記載置部内に位置しており、前記取り出し具を前記トレイに収容した時、前記取り出し具は、前記溝部に収容され、前記取り出し具の持ち手側の端部が前記溝部から外部に突出した状態で収容可能であることを特徴とする。
【0007】
前記載置部の表面の少なくとも一部に、前記容器本体の底面と接触しない凹状の湾曲面が形成されている。
【0008】
前記溝部の底面に前記取り出し具を支持する少なくとも1つの突部が設けられている。
【0009】
前記載置部内において前記溝部の幅は、前記載置部と前記縁部との境界において、他の箇所よりも狭くなっている。
【0010】
前記縁部の上面が、前記載置部との境界から外側に向かって下方に傾斜しており、また、前記縁部の一部が外側に突出している。
【0011】
前記縁部の上面を上下に貫通する貫通孔が設けられており、前記貫通孔に前記取り出し具を挿入することにより、前記取り出し具を立てた状態で保持することができる。
【0012】
前記縁部に、前記貫通孔から下方に延伸するリブが設けられており、前記取り出し具を前記貫通孔に挿入した時に、前記リブによって、前記取り出し具の傾きが制限される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の取り出し具付き容器は、内容物を収容する容器本体、取り出し具、および、前記容器本体が載置されるトレイを有する取り出し具付き容器であって、前記トレイは、前記容器本体の底面が載置される載置部、および、前記載置部の外周に位置する縁部を有し、前記載置部は、上面が前記容器本体の底面と当接する凹部を有し、前記凹部に前記取り出し具を収容する溝部が形成されており、前記溝部の一端は、前記縁部を横断して開口となっており、前記縁部の他端は、前記載置部内に位置しており、前記取り出し具を前記トレイに収容した時、前記取り出し具は、前記溝部に収容され、前記取り出し具の持ち手側の端部が前記溝部から外部に突出した状態で収容可能であることにより、取り出し具の先端を外部に露出することなく収容することができ、かつ、手を汚すことなく簡単に取り出し具を出し入れすることができるようになり、従来よりも長い取り出し具を収容することができる。
【0014】
前記載置部の表面の少なくとも一部に、前記容器本体の底面と接触しない凹状の湾曲面が形成されていることにより、前記取り出し具を前記トレイから取り出し易くすることができる。
【0015】
前記溝部の底面に前記取り出し具を支持する少なくとも1つの突部が設けられていることにより、前記取り出し具の内容物をすくう部分を前記溝部から浮かせることができるようになり、前記取り出し具に付着した内容物が前記トレイに付着するのを防止することができる。
【0016】
前記載置部内において前記溝部の幅は、前記載置部と前記縁部との境界において、他の箇所よりも狭くなっていることにより、前記溝部は、収容した前記取り出し具の先端部分の周囲の空間が広くなり、前記取り出し具に付着した内容物が前記トレイに付着するのを防止することができる。
【0017】
前記縁部の上面を上下に貫通する貫通孔が設けられており、前記貫通孔に前記取り出し具を挿入することにより、前記取り出し具を立てた状態で保持することができるようになり、取り出し具を使用している時に、取り出し具を前記トレイに簡単に仮置きすることができるようになる。
【0018】
前記縁部に、前記貫通孔から下方に延伸するリブが設けられており、前記取り出し具を前記貫通孔に挿入した時に、前記リブによって、前記取り出し具の傾きが制限されることにより、前記貫通孔によって前記取り出し具を安定して保持することができ、また、前記リブの形態によって、前記取り出し具を傾けた状態で保持することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態の取り出し具付き容器の斜視図である。
【
図2】第1の実施形態の取り出し具付き容器のトレイの斜視図である。
【
図3】第1の実施形態の取り出し具付き容器のトレイの平面図である。
【
図4】取り出し具を取り外した状態の第1の実施形態の取り出し具付き容器の斜視図である。
【
図5】第1の実施形態の取り出し具付き容器のトレイに取り出し具を載せた状態の斜視図である。
【
図6】第1の実施形態の取り出し具付き容器のトレイの底面斜視図である。
【
図7】第2の実施形態の取り出し具付き容器の斜視図であり、取り出し具を立てて保持した状態を示す。
【
図8】第2の実施形態の取り出し具付き容器のトレイの斜視図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態の取り出し具付き容器の斜視図であり、取り出し具を載置部に収容した状態を示す。
【
図10】第2の実施形態の取り出し具付き容器のトレイの平面図である。
【
図11】第2の実施形態の取り出し具付き容器のトレイに取り出し具を載せた状態の斜視図である。
【
図12】第2の実施形態の取り出し具付き容器のトレイの底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の取り出し具付き容器1について、図を用いて以下に詳細に説明する。まず初めに、第1の実施形態の取り出し具付き容器1について、
図1~6を用いて説明する。本発明の取り出し具付き容器1は、化粧料などの内容物およびスパチュラなどの取り出し具を収容する容器であり、
図1に示すように、内容物を収容する容器本体2、取り出し具3、および、前記容器本体2が載置されるトレイ4を有する。前記容器本体2は、内容物が収容される本体21および前記本体21に着脱可能に取り付けられる蓋22を有し、場合によって中蓋などを備えることも可能であり、従来の様々な形態の容器を用いることができる。前記容器本体2の形状については、底面が前記トレイ4に載せることができればよい。
【0021】
前記取り出し具3は、内容物が化粧料の場合、従来のスパチュラなどを用いることが可能であるが、先端を直線とすることにより、本体21内の内容物を隅々まですくい易くすることができる。また、前記取り出し具3の内容物をすくうための窪みを2次曲面とすることも可能である。
【0022】
前記トレイ4は、
図2、3に示すように前記容器本体2の底面が載せられる載置部41および前記載置部41の外周に位置する縁部42を有している。本実施形態では、前記容器本体2を円柱形状とし、前記容器本体2の本体21の底面に合わせて前記載置部41の平面形状を円形としており、前記載置部41の上面は、前記本体21の底面の少なくとも一部と当接し、前記容器本体2を安定して載置できる形状を有している。本実施形態では、前記本体21の底面が平坦な面を有していることから、前記載置部41の上面も円形の平坦な面を有しており、さらに、前記本体21の底面の面取りの曲面に合わせた、前記縁部42へとつながる側面を有しており、全体として凹部の形態をなしている。
【0023】
前記縁部42は、
図2、3に示すように、前記載置部41の外周に位置し、環状の部分と、前記環状の部分から1つの突出した部分からなる平面形状を有している。前記縁部42の上面は、前記載置部41との境界から外側に向かって傾斜しており、突出した部分は先端に向かってそのまま傾斜して厚みが薄くなっている。前記縁部42の傾斜については、様々な形状が可能であり、例えば、凹状の湾曲面、凸状の湾曲面などが可能であり、デザイン性を考慮して部分的に傾斜角度を変えることも可能である。
【0024】
前記トレイ4の載置部41には、直径方向に延伸する溝部43が中心を通るように形成されており、前記溝部43の一端は、前記縁部42を横断して前記縁部42の外周部分で開口となっており、前記溝部43の他端は前記載置部41内に位置しており、前記取り出し具3を収容する空間を形成している。前記溝部43の底面には前記溝部43を横断するように1つの突部44が形成されている。
図5に示すように、前記取り出し具3を前記溝部43に収容した際、前記取り出し具3は、前記突部44によって内容物が付着している先端側が浮いた状態で支持されることから、前記取り出し具3から前記トレイ4に内容物が付着するのを防止することができる。前記突部44の数は、1つに限定するものではなく2つ以上設けることも可能であり、前記取り出し具3の先端側が前記溝部43と当接しないように配置すればよく、また、前記取り出し具3を取り出し易く配置することが好ましい。
【0025】
前記溝部43は、
図3に示すように、前記溝部43の途中から先端(前記縁部42の開口側)に向かって徐々に幅が狭くなっており、前記載置部41においては、前記載置部41と前記縁部42との境界において幅が最も狭くなるように形成されている。これにより、前記溝部43は、前記取り出し具3を収容した際に先端側が収容される部分の方が幅が広くなり、前記取り出し具3の先端に付着している内容物が前記溝部43の側面などに付着するのを防止することができ、前記取り出し具3を収容した状態で前記トレイ4を移動させた時に、前記取り出し具3の動きを制限することができる。前記溝部43の幅についてはこの形態に限定するものではなく、前記取り出し具3の先端が収容される部分に十分な幅があればよい。
【0026】
前記載置部41は、前記溝部43の両側に2つの窪みを有する湾曲面45が設けられている。前記湾曲面45は前記載置部41の上面から前記溝部43に向かって凹状に湾曲した傾斜面で形成されており、前記溝部43とつながった窪みとなっており、前記載置部41に前記容器本体2を載置した時に前記容器本体2の底面とは接触することが無い。前記湾曲面45は、前記溝部43に収容した取り出し具3を取り出し易くするために設けられており、
図5に示すように、前記トレイ4の溝部43内に前記取り出し具3を収容した状態から、前記取り出し具3を取り出す時に、2つの前記湾曲面45に指先を入れると前記取り出し具3の下側に指先を入れやすいことから、前記取り出し具3を簡単に取り出すことができる。また、前記突部44が前記湾曲面45と隣接して配置されていることにより、2つの前記湾曲面45に指先を入れると、前記突部44によって支持された前記取り出し具3の下にできた隙間へと指先を入れ易くなっていることから、よりスムーズに前記取り出し具3を取り出すことができる。
【0027】
前記載置部41の上面については、上述のように湾曲した傾斜面を一部分に形成するだけでなく、上面のほぼ全体を曲面とすることも可能である。この場合、前記載置部41に前記容器本体2を載せた時に安定する形状とする必要があり、また、前記容器本体2の底面も同様の曲面を少なくとも一部に形成する場合もある。
【0028】
前記溝部43の一端が、前記縁部42の外側に突出した部分へと延伸して形成されており、突出した部分の上面が傾斜していることによって、前記溝部43の一端が開口となって外部へとつながった状態となっている。これにより、
図4に示すように、前記容器本体2を前記トレイ4に載せた状態では、前記溝部43の一端が開口となり、開口から前記取り出し具3を出し入れすることができるので、
図1に示すように、前記溝部43に前記取り出し具3を収容し、前記容器本体2を載せた状態で、前記溝部43から前記取り出し具3の端部が突出した状態で収容することができる。このような状態から、前記溝部43から突出している前記取り出し具3の端部をつまんで前記取り出し具3を簡単に取り出すことができる。このように、本発明の取り出し具付き容器1は、前記取り出し具3の端部を突出した状態で収容することができることから、従来よりも長い取り出し具3を収容することが可能となる。
【0029】
本実施形態における前記トレイ4は、前記載置部41および前記縁部42が樹脂を用いて一体に射出成形されており、
図6に示すように、前記トレイ4の底面側には空間が存在し、前記溝部43が下方に突出するように形成されていることから、前記トレイ4の成形に必要な材料を低減することができる。しかしながら、前記トレイ4の材質および成形方法については特に限定するものではなく、樹脂以外を用いること、そして、他の成形方法を用いることも可能であり、底面が平坦な形状とすることも可能である。
【0030】
本発明の取り出し具付き容器1は、
図1に示すように、前記トレイ4に前記容器本体2を載せた状態で、前記溝部43内に前記取り出し具3を収容することができることから、前記取り出し具3の先端は、外部に露出されることがなくなり、また、このような状態から、前記取り出し具3が、前記溝部43から突出している部分をつまんで、簡単に取り出すことも可能であり、また、前記溝部43の端部の開口から簡単に前記取り出し具3を収容することもできる。さらに、前記容器本体2を前記トレイ4から取り外した状態であれば、前記取り出し具3は、
図5の状態から、上方に簡単に取り出すことも可能である。
【0031】
このように、本発明の取り出し具付き容器1は、前記取り出し具3を使用しない時に、先端を保護した状態で前記トレイ4内に収容可能であり、前記トレイ4に前記容器本体2を載せた状態および載せていない状態であっても、簡単に取り出すことが可能であり、様々な用途に使用することができる。
【0032】
本発明の取り出し具付き容器1については、内容物として化粧料を使用することを想定して説明しているが、内容物については特に限定するものではなく、様々な用途に用いることができる。内容物に応じて前記取り出し具3についても適宜、変更することができる。
【0033】
前記取り出し具付き容器1の容器本体2の形状については円柱形として記載しているが、多角形など様々な形状が可能であり、それに応じて、前記トレイ4の平面形状を変更すればよい。また、前記容器本体2を多角柱の形状としたとしても、前記本体21の底面に前記載置部41に載せることができる円形の突出した底部を設ければ、前記トレイ4の平面形状を変更することなく対応することも可能である。
【0034】
次に、第2の実施形態の取り出し具付き容器11について、
図7~12を用いて説明する。第2の実施形態の化粧料容器11は、第1の実施形態で用いた容器本体2および取り出し具3を用いていることから、前記容器本体2および前記取り出し具3の詳細な説明は省略する。
【0035】
第2の実施形態の取り出し具付き容器11は、
図7、9に示すように、容器本体2、取り出し具3、および、前記容器本体2が載置されるトレイ4’を有する。前記容器本体2は、本体21および蓋22から構成されている。
【0036】
前記トレイ4’は、
図8、10に示すように、前記容器本体2の底面が載せられる載置部41’および前記載置部41’の外周に位置する縁部42’を有している。前記載置部41’は、円柱形状の前記容器本体2の本体21の底面に合わせて平面形状が円形であり、外周部分が平坦な環状を有し、環状の部分の内側には凹状の湾曲面45’を有しており、環状の部分の外周から前記縁部42’へとつながる側面を有しており、全体として凹部の形態をなしている。
【0037】
前記トレイ4’の載置部41’には、
図10に示すように、直径方向に延伸する溝部43’が中心を通るように形成されている。前記溝部43’は、前記載置部41’の環状の部分および前記湾曲面45’を横断し、一端が前記縁部42’を横断して前記縁部42’の外周部分で開口となっており、前記溝部43’の他端は前記載置部41’内に位置しており、前記取り出し具3を収容する空間を形成している。前記溝部43’は前記湾曲面45’とつながっていることから、前記溝部43’の深さは、
図8に示すように、前記湾曲面45’によって変化しており、前記載置部41’の中央付近で最も浅くなっている。そのために、前記湾曲面45’を利用して、前記溝部43’に収容された前記取り出し具3の下側に指先を入れ易くなっており、前記溝部43’から取り出し具3を取り出し易くなっている。
【0038】
前記溝部43’の底面には1つの突部44’が形成されており、前記取り出し具3を前記溝部43’に収容した際、前記取り出し具3は、
図11に示すように、前記突部44’よって支持され、先端側が浮いた状態となる。これにより、前記取り出し具3の先端に付着した内容物が前記溝部43’内に付着するのを防止することができる。さらに、前記取り出し具3は、前記突部44’によって支持されていることにより、前記突部44’の付近では下方に隙間が生じており、このような状態にある前記取り出し具3を取り出す際に、前記湾曲面45’に沿って指先を入れると、前記取り出し具3の下の隙間へと指先をスムーズに入れることができ、前記取り出し具3を取り出し易くなっている。
【0039】
前記溝部43’は、
図10に示すように、前記溝部43’の途中から先端(前記縁部42’の開口側)に向かって徐々に幅が狭くなっており、前記載置部41’においては、前記載置部41’と前記縁部42’との境界において幅が最も狭くなるように形成されている。これにより、前記溝部43’は、前記取り出し具3を収容した際に先端側が収容される部分の方が幅が広くなり、前記取り出し具3の先端に付着している内容物が前記溝部43’の側面などに付着するのを防止することができる。
【0040】
前記湾曲面45’については、平坦な環状の部分をより少なくして、前記縁部42’の境界近くまで広げることも可能であり、また、平面形状を、前記溝部43’に沿って広がった楕円形状とすること、より複雑な湾曲面とすること、あるいは、前記湾曲面45’内にさらに別の湾曲面を設けることも可能であり、湾曲面の領域および形状については特に限定するものではなく、前記容器本体2を安定して載置することができればよい。
【0041】
前記縁部42’は、前記載置部41’の外周に位置し、環状の部分と、前記環状の部分から二方向に突出した部分からなる平面形状を有している。前記縁部42’の上面は、前記載置部41’との境界から外側に向かって傾斜しており、突出した部分は先端に向かってそのまま傾斜して厚みが薄くなっている。本実施形態では、第1の実施形態と異なり、
図8、10、12に示すように、前記縁部42’は、二方向に突出した部分を有しており、そのうちの1つの突出した部分の上面に、上下に貫通する貫通孔46が形成されており、さらに、前記貫通孔46から下方に延伸する筒状のリブ47が形成されている。前記貫通孔46に前記取り出し具3を立てた状態で上から端部を挿入することにより、
図7に示すように、前記トレイ4’は前記取り出し具3を立てた状態で保持することができる。本実施形態では、前記縁部42’の上面は厚みが薄いことから、
図12に示すような前記リブ47を設けることにより、前記取り出し具3を安定した状態で保持することができる。
【0042】
前記貫通孔46の平面形状は、前記取り出し具3を挿入して保持できるように形成されており、そして、前記リブ47は前記貫通孔46の輪郭に沿って下方に延伸されている。しかしながら、前記リブ47については、筒状の形態に限定するものではなく、前記取り出し具3を起立して保持できればよいことから、対向する2つのリブ、あるいは、間隔を空けて配置された複数のリブとすることも可能であり、また、前記リブ47の延伸方向についても垂直方向に限定するものではなく、傾斜をつけることも可能であり、例えば、前記取り出し具3の先端を前記容器本体2から離れる方向に傾斜した状態で前記取り出し具3を保持できるよう前記リブ47を傾斜させることも可能である。そして、前記縁部42’の上面の厚みを厚くすることにより、前記リブ47を省略することも可能である。
【0043】
前記溝部43’の一端は、前記縁部42’の突出した部分の1つに形成されており、突出した部分の上面が傾斜していることによって、前記溝部43’の一端は開口となって外部へとつながった状態となっている。これにより、
図9に示すように、前記溝部43’に前記取り出し具3を収容した際に、前記溝部43’から前記取り出し具3の端部が突出した状態で収容することができ、前記溝部43’から突出している前記取り出し具3の端部をつまんで前記取り出し具3を取り出すことができるようになる。
【0044】
本実施形態では、
図10に示すように、前記縁部42’の二方向に突出した部分が180°の位置関係で配置されているが、突出した部分の位置関係は特に限定するものではなく、また、その数についても二方向に限定するものではない。また、突出した部分を三方向以上とした場合、1つに前記溝部43’の一端を設け、残りの2つにそれぞれ貫通孔を形成することも可能である。また、前記貫通孔46については、前記縁部42’を突出させた部分に形成する必要は無く、前記縁部42’の幅を広げて貫通孔を形成することも可能であり、数についても限定するものではなく、複数形成することも可能である。
【0045】
本実施形態の取り出し具付き容器11は、第1の実施形態と同様に、
図9に示すように、前記トレイ4’に前記容器本体2を載せた状態で、溝部43’を用いて取り出し具3を収容することが可能であり、さらに、前記トレイ4’に貫通孔46を設けることによって、
図7に示すように、取り出し具3を立てた状態で前記トレイ4’に置くことも可能となる。これにより、前記トレイ4’に前記容器本体2を載せた状態で内容物を使用している時に、前記貫通孔46を利用して取り出し具3を簡単に前記トレイ4’に仮置きすることが可能となり、より、利便性が向上する。このように、本実施形態の取り出し具付き容器11は、使用状況に応じて異なる方法で取り出し具3を収容・保持することができるようになる。
【符号の説明】
【0046】
1,11 取り出し具付き容器
2 容器本体
21 本体
22 蓋
3 取り出し具
4,4’ トレイ
41,41’ 載置部
42,42’ 縁部
43,43’ 溝部
44,44’ 突部
45,45’ 湾曲面
46 貫通孔
47 リブ