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特許7158800粘着剤組成物、これを含む粘着フィルム、粘着フィルムを含むバックプレートフィルムおよび粘着フィルムを含むプラスチック有機発光ディスプレイ
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  • 特許-粘着剤組成物、これを含む粘着フィルム、粘着フィルムを含むバックプレートフィルムおよび粘着フィルムを含むプラスチック有機発光ディスプレイ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】粘着剤組成物、これを含む粘着フィルム、粘着フィルムを含むバックプレートフィルムおよび粘着フィルムを含むプラスチック有機発光ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/04 20060101AFI20221017BHJP
   C09J 183/06 20060101ALI20221017BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20221017BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
C09J133/04
C09J183/06
C09J7/38
H05B33/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020543785
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 KR2019009416
(87)【国際公開番号】W WO2020022859
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2020-08-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0087776
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソンウク・カン
(72)【発明者】
【氏名】ユンキョン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ビョンス・パク
(72)【発明者】
【氏名】フイ・ジェ・イ
(72)【発明者】
【氏名】サンフン・ハン
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/141294(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/163115(WO,A1)
【文献】特開2019-085441(JP,A)
【文献】国際公開第2015/190441(WO,A1)
【文献】特開2015-178539(JP,A)
【文献】特開2014-049441(JP,A)
【文献】特表2021-514412(JP,A)
【文献】特表2021-514020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
B32B
C08F
H01L27/32;51/50
H05B33/00-33/28;44/00;45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリレート系樹脂;および
溶融温度(melting temperature、Tm)が35℃以上45℃以下である重合体;
を含む粘着剤組成物であって、
前記重合体は、単官能ポリシロキサンおよび2種以上のモノマーの共重合体であり、
前記溶融温度が35℃以上45℃以下である重合体は、前記溶融温度が35℃以上45℃以下である重合体100重量部基準で、前記単官能ポリシロキサン10重量部以上40重量部以下、および前記モノマー60重量部以上90重量部以下で含まれるものであり、
前記粘着剤組成物は、(メタ)アクリレート系樹脂100重量部基準で、前記溶融温度が35℃以上45℃以下である重合体1~10重量部を含み、
前記溶融温度が35℃以上45℃以下である重合体の重量平均分子量は、3万~20万であり、
前記モノマーは、下記化学式1で表されるものであり、
前記単官能ポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサン骨格を有し、片末端に(メタ)アクリロキシ基を有する、粘着剤組成物(ただし、前記重合体の溶融温度が45℃の場合を除く):
【化1】
前記化学式1において、
Xは、Oであり、
は、水素またはメチル基であり、
nは、10~30の整数である。
【請求項2】
前記nが16~22の整数である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記2種以上のモノマーは、STMA(ステアリルメタクリレート)およびSTA(ステアリルアクリレート)を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
溶媒、分散剤、光開始剤、熱開始剤、および粘着付与剤からなる群より選択された1つ以上を追加的に含むものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
基材フィルムと、
前記基材フィルムの一面に備えられた請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物またはその硬化物を含む粘着シートと、
を含む粘着フィルム。
【請求項6】
前記粘着シートの前記基材フィルムが接する面の反対面に離型フィルムをさらに含む、請求項5に記載の粘着フィルム。
【請求項7】
前記粘着シートの前記基材フィルムと接する面の反対面をステンレス(SUS304基板)に対して接合後の23℃で2時間放置後の初期粘着力が100gf/2.54cm(インチ)以下であり、その後、40℃で20分熱処理した後の後期粘着力が500gf/2.54cm(インチ)以上である、請求項5または6に記載の粘着フィルム。
【請求項8】
前記後期粘着力/前記初期粘着力が3以上50以下である、請求項7に記載の粘着フィルム。
【請求項9】
前記粘着シートの厚さは、3μm以上100μm以下である、請求項5~8のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
【請求項10】
前記粘着フィルムの厚さは、50μm以上300μm以下である、請求項5~9のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
【請求項11】
請求項5~10のいずれか一項に記載の粘着フィルムと、
前記粘着フィルムの前記基材フィルム側に備えられた保護フィルムと、
を含むバックプレートフィルム。
【請求項12】
請求項5~10のいずれか一項に記載の粘着フィルムと、
前記粘着フィルムの前記粘着シート側に備えられたプラスチック基板と、
前記プラスチック基板の前記粘着フィルムと接する面の反対面に備えられた有機発光層と、
を含むプラスチック有機発光ディスプレイ。
【請求項13】
前記粘着フィルムの前記基材フィルム側に備えられた保護フィルムを含むものである、請求項12に記載のプラスチック有機発光ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年7月27日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0087776号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、粘着剤組成物、これを含む粘着フィルム、粘着フィルムを含むバックプレートフィルムおよび粘着フィルムを含むプラスチック有機発光ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
従来、粘着初期から高い粘着力を有する粘着シートが知られている。また、このような粘着シートを用いて基材を固定する場合、基材を固定するために十分な粘着力を有する粘着シートが選択される。
【0004】
一方、粘着シートを基材に接合する過程で発生する気泡または予想せぬ異物が流入することがあり、これによって美観や接着性の観点から好ましくなく、粘着シートの再粘着が要求される場合もある。しかし、粘着力が高い粘着シートの場合は、このような再粘着作業は困難である。
【0005】
そこで、このような気泡を低減する技術が考案されている。例えば、エンボス加工されたライナーによって減圧粘着剤の粘着面に凹凸の表面形態を形成する技術が考案されている。この場合、減圧粘着剤を基材に接合した時に両者間に気泡が混入されても、減圧粘着剤の表面溝を通して空気が外部に流出しやすくなるので、再粘着をせずに気泡を除去しやすくなる。しかし、前述した減圧粘着剤は、溝を形成させるためにある程度の厚さが必要になる。また、この減圧粘着剤を基材に軽く粘着した場合は、溝があることで粘着面積が小さくなって、リワーク(Rework)や位置直しなどの作業は行いやすくなるものの、十分な接着力が得られない可能性もある。
【0006】
さらに、再粘着作業だけでなく、アクティブベンディング(Active bending)実現のために、プラスチック有機発光素子(POLED、Plastic Organic Light Emitting Diode)のパネルの一部は粘着シートの除去される工程が必要であり、工程中に粘着シートの一部を基板から除去するために低い粘着力が要求される。
【0007】
しかし、一般的な粘着シートの場合、基板のような被着基材にラミネーション(lamination)された後は粘着力が高くて、粘着シートの除去時、パネルの損傷が発生することがあり、特に、特定の工程を経なくても、長時間保管時に粘着力が上昇する問題点が発生する。
【0008】
したがって、このような状況に鑑みて、粘着初期に粘着力が低く維持されると同時に、基材との粘着後にも粘着シート除去工程まで粘着力が低く維持され、以後、基材の固定に必要な十分な粘着力を発現できる粘着シートの開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開第2006-299283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本出願は、粘着剤組成物、これを含む粘着フィルム、粘着フィルムを含むバックプレートフィルムおよび粘着フィルムを含むプラスチック有機発光ディスプレイを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願の一実施態様は、(メタ)アクリレート系樹脂;および溶融温度(melting temperature、Tm)が35℃以上である重合体を含む粘着剤組成物であって、前記重合体は、単官能ポリシロキサンおよび2種以上のモノマーの共重合体である粘着剤組成物を提供する。
【0012】
他の実施態様は、基材フィルムと、前記基材フィルムの一面に備えられた本出願の一実施態様に係る粘着剤組成物またはその硬化物を含む粘着シートとを含む粘着フィルムを提供しようとするものである。
【0013】
さらに他の実施態様は、本出願に係る粘着フィルムと、前記粘着フィルムの前記基材フィルム側に備えられた保護フィルムとを含むバックプレートフィルムを提供する。
【0014】
最後に、本出願の一実施態様は、本出願に係る粘着フィルムと、前記粘着フィルムの前記粘着シート側に備えられたプラスチック基板と、前記プラスチック基板の前記粘着フィルムと接する面の反対面に備えられた有機発光層とを含むプラスチック有機発光ディスプレイを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本出願の一実施態様に係る粘着剤組成物は、溶融温度(melting temperature、Tm)が35℃以上である重合体および(メタ)アクリレート系樹脂を含むことで、これを含む粘着シートは被着基材と初期粘着力が低い特徴を有する。
【0016】
特に、本出願の一実施態様に係る粘着フィルムに含まれる粘着シートの場合、被着基材と初期粘着力が低いと同時に、特定の工程後に粘着力が上昇して被着基材を固定するために十分な粘着力が発現する特徴を有する。
【0017】
特に、アクティブベンディング(Active bending)実現のために、プラスチック有機発光素子(POLED、Plastic Organic Light Emitting Diode)のパネルの一部は粘着シートの除去される工程が必要であり、本出願に係る粘着シートを含むバックプレートフィルムは、初期粘着力が低く維持されて除去工程時の汚物が残らず、以後、特定の工程を経て粘着力が大きく上昇して被着基材とバックプレートフィルムが固定できる特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本出願の一実施態様に係る粘着フィルムの概略的積層構造を示す図である。
図2】本出願の一実施態様に係るバックプレートフィルムの概略的積層構造を示す図である。
図3】本出願の一実施態様に係るプラスチック有機発光ディスプレイの概略的積層構造を示す図である。
図4】ガラス転移温度の挙動を示す重合体のDSCグラフを示す図である。
図5】溶融温度の挙動を示す重合体のDSCグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
【0020】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0021】
本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例について添付した図面を参照して詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0022】
本出願の一実施態様は、(メタ)アクリレート系樹脂;および溶融温度(melting temperature、Tm)が35℃以上である重合体を含む粘着剤組成物であって、前記重合体は、単官能ポリシロキサンおよび2種以上のモノマーの共重合体である粘着剤組成物を提供する。
【0023】
また、本出願の一実施態様に係る粘着剤組成物は、硬化剤を含むことができ、本出願の一実施態様は、(メタ)アクリレート系樹脂;溶融温度(melting temperature、Tm)が35℃以上である重合体;および硬化剤を含む粘着剤組成物であって、前記重合体は、単官能ポリシロキサンおよび2種以上のモノマーの共重合体である粘着剤組成物を提供する。
【0024】
本出願の一実施態様において、前記重合体は、単官能ポリシロキサンおよび2種以上5種以下のモノマーの共重合体である粘着剤組成物を提供する。
【0025】
他の実施態様において、前記重合体は、単官能ポリシロキサンおよび2種以上4種以下のモノマーの共重合体である粘着剤組成物を提供する。
【0026】
さらに他の実施態様において、前記重合体は、単官能ポリシロキサンおよび2種または3種のモノマーの共重合体である粘着剤組成物を提供する。
【0027】
さらに他の実施態様において、前記重合体は、単官能ポリシロキサンおよび2種のモノマーの共重合体である粘着剤組成物を提供する。
【0028】
前記粘着剤組成物に含まれる重合体の成分はGC(Gas chromatography)分析により確認することができ、組成はNMR(Nuclear magnetic resonance)分析によりそれぞれを確認することができる。
【0029】
本出願の一実施態様に係る粘着剤組成物は、粘着シートに溶融温度が35℃以上である重合体を含むことにより、粘着シートの初期粘着力が低く維持され、後に特定の工程を経て粘着力が上昇する優れた可変特性を有する。前記可変特性に優れるというのは、初期粘着力と特定の工程後の後期粘着力との差が大きくなることを意味し、初期および後期粘着力の変化特性が特に優れ、熱処理工程後にさらに重合体の間に安定した配列を有するようになって、粘着特性が特に優れた特性を有する。
【0030】
特に、アクティブベンディング(Active bending)実現のために、プラスチック有機発光素子(POLED、Plastic Organic Light Emitting Diode)のパネルの一部は粘着シートが除去される工程が必要であり、本出願に係る粘着シートを含むバックプレートフィルムは、初期粘着力が低く維持されて除去工程時の汚物が残らず、以後、特定の工程を経て粘着力が大きく上昇して被着基材とバックプレートフィルムを固定できる特徴を有する。
【0031】
本出願に係る前記溶融温度は、物質が固体状(Solid state)から液体状(liquid state)に相転移が起こる温度を意味し、特に、高分子の場合、加熱するほど、特定の温度では立体構造に大きな変化が生じて、まるで相転移に相当する変化を観察することができ、この時の温度を溶融温度と定義することができる。
【0032】
前記溶融温度は、示差走査熱計量法(DSC、Differential Scanning calorimetry)で測定することができる。具体的には、約10mgの試料を専用パン(pan)に密封し、一定の昇温環境で加熱する時、相変移が起こることによる物質の吸熱および発熱量を温度によって描いて測定した値である。
【0033】
本出願の一実施態様において、前記モノマーは、下記化学式1で表されるものである粘着剤組成物を提供する。
【0034】
【化1】
【0035】
前記化学式1において、
Xは、NまたはOであり、
は、水素またはメチル基であり、
nは、10~30の整数である。
【0036】
本出願の一実施態様において、前記化学式1のnは、10~30の整数であってもよい。
【0037】
他の実施態様において、前記化学式1のnは、15~25の整数であってもよい。
【0038】
さらに他の実施態様において、前記化学式1のnは、16~22の整数であってもよい。
【0039】
本出願の一実施態様において、前記Xは、Nであってもよい。
【0040】
本出願の一実施態様において、前記Xは、Oであってもよい。
【0041】
前記化学式1において、特に、前記n値が前記範囲を有する場合、炭素の側鎖間の絡まり合いによって一部の結晶化が生じ始め、これによって、これを含む前記重合体が溶融温度(Tm)の挙動を示すことができる。
【0042】
下記の図4は、ガラス転移温度(Tg)の挙動を示す重合体に対するDSCグラフを示すものであり、下記の図5は、溶融温度(Tm)の挙動を示す重合体に対するDSCグラフを示すものである。
【0043】
図4から分かるように、ガラス転移温度の挙動を示す重合体の場合、安定区間(Glassy、ガラス状)に対して温度を徐々に高めるほど相転移が起こることを確認することができ、広い範囲の温度区間で徐々に相転移(Glassy→Rubbery(ゴム状))が発生することを確認することができる。すなわち、ガラス転移温度の挙動を示す重合体を含む場合、可変特性を発現できるが、その相転移温度区間が広くて、常温(25℃)で長時間保管時に相転移が一部起きて粘着剤層の粘着力が上昇して経時安定性が良くない結果をもたらすことがあり、可変特性も相転移状態がゴム状(Rubbery)の状態で優れないことがある。
【0044】
逆に、図5から分かるように、溶融温度の挙動を示す重合体の場合、安定区間(Solid)に対して温度を徐々に高める場合、特定の温度(melting)で急激な相転移(Solid→liquid)が起こることが分かる。すなわち、溶融温度の挙動を示す重合体を含む場合、特定の温度値で急激な相転移が起こり、溶融温度より下の温度では相転移が起こらず粘着力の上昇を抑制(経時安定性優秀)することができ、溶融温度より上の温度では相転移が発生して粘着力が急激に上昇(可変特性優秀)する特徴を有する。
【0045】
前記溶融温度が35℃以上である重合体は、前記単官能ポリシロキサンおよび前記化学式1で表される2種のモノマーを共重合した時、最終重合体の溶融温度が35℃以上の値を有するものを意味する。
【0046】
本出願の一実施態様において、前記重合体の溶融温度は、35℃以上であってもよいし、50℃以下、好ましくは45℃以下、さらに好ましくは40℃以下であってもよい。
【0047】
本出願の一実施態様において、前記重合体の溶融温度は、35℃以上40℃以下であってもよい。
【0048】
前記共重合体は、2種以上の異なるモノマーを重合することで得られるものを意味し、共重合体は、2種以上のモノマーが不規則または規則的に配列していてもよい。
【0049】
前記共重合体は、単量体が規則なしに互いに混ざった形態を有する不規則共重合体(Random Copolymer)、一定区間ごとに整列されたブロックが繰り返されるブロック共重合体(Block Copolymer)または単量体が交互に繰り返されて重合される形態を有する交互共重合体(Alternating Copolymer)があり得、本出願の一実施態様に係る溶融温度35℃以上である重合体は、不規則共重合体、ブロック共重合体、または交互共重合体であってもよい。
【0050】
本出願の一実施態様において、前記化学式1で表されるモノマーは、STMA(Stearyl methacrylate、ステアリルメタクリレート)またはSTA(Stearyl acrylate、ステアリルアクリレート)であってもよい。
【0051】
本出願に係る単官能ポリシロキサンとしては、Chisso社のFM-0721、信越社のKF2012などが使用可能であり、これに限定されない。
【0052】
本出願の一実施態様において、前記溶融温度が35℃以上である重合体は、重量平均分子量が3万g/mol~20万g/molであってもよい。
【0053】
他の実施態様において、前記溶融温度が35℃以上である重合体は、重量平均分子量が3万g/mol~15万g/mol、好ましくは3万g/mol~10万g/molであってもよい。
【0054】
本出願に係る溶融温度35℃以上である重合体が前記範囲の重量平均分子量の値を有する場合、重合体内の分子の配列に優れていて、後の粘着シート製造時に初期粘着力が低い特徴を有する。
【0055】
前記重量平均分子量とは、分子量が均一でなく、ある高分子物質の分子量が基準として使用される平均分子量の一つで、分子量分布がある高分子化合物の成分分子種の分子量を重量分率で平均して得られる値である。
【0056】
前記重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析により測定できる。
【0057】
前記溶融温度が35℃以上である重合体は、前記単官能ポリシロキサン;前記2種のモノマー;および溶媒を含む重合体組成物に熱重合開始剤を含んで製造することができる。
【0058】
前記溶媒としては、トルエン(Toluene)が使用できるが、前記単官能ポリシロキサンおよび前記2種のモノマーを溶解させることができればこれに限定されず、これによる一般的有機溶媒が使用できる。
【0059】
本出願の一実施態様において、前記溶融温度が35℃以上である重合体は、前記溶融温度が35℃以上である重合体100重量部基準で、前記単官能ポリシロキサン10重量部以上40重量部以下、および前記モノマー60重量部以上90重量部以下で含まれる粘着剤組成物を提供する。
【0060】
本出願の一実施態様において、前記溶融温度が35℃以上である重合体は、前記溶融温度が35℃以上である重合体100重量部基準で、前記単官能ポリシロキサン10重量部以上40重量部以下、好ましくは15重量部以上30重量部以下、さらに好ましくは18重量部以上25重量部以下で含まれる。
【0061】
本出願の一実施態様において、前記溶融温度が35℃以上である重合体は、前記溶融温度が35℃以上である重合体100重量部基準で、前記モノマー60重量部以上90重量部以下、好ましくは65重量部以上85重量部以下、さらに好ましくは70重量部以上85重量部以下で含まれる。
【0062】
本出願に係る前記溶融温度が35℃以上である重合体が前記単官能ポリシロキサンおよび前記モノマーを前記重量部含む場合、溶融温度値が適切に形成され、これによって、後の粘着シートの常温における初期粘着力が低く維持できる特性を有する。
【0063】
本出願の一実施態様において、前記溶融温度が35℃以上である重合体は、2種のモノマーを含み、前記2種のモノマーは、それぞれ1:1~1:10の比率で含まれる。
【0064】
他の実施態様において、前記溶融温度が35℃以上である重合体は、2種のモノマーを含み、前記2種のモノマーは、それぞれ1:4~1:8の比率で含まれる。
【0065】
さらに他の実施態様において、前記溶融温度が35℃以上である重合体は、2種のモノマーを含み、前記2種のモノマーは、STMA(ステアリルメタクリレート)およびSTA(ステアリルアクリレート)であり、前記2種のモノマーは、STMA(ステアリルメタクリレート):STA(ステアリルアクリレート)=7:1を満足する。
【0066】
前記2種のモノマーが前記比率で混合される場合、粘着シートに使用できる適切な溶融温度が設けられ、これによって所望の温度で可変特性を実現できる特徴を有する。
【0067】
本出願の一実施態様において、前記粘着剤組成物は、(メタ)アクリレート系樹脂100重量部基準で、前記溶融温度が35℃以上である重合体1~10重量部を含む粘着剤組成物を提供する。
【0068】
他の実施態様において、前記粘着剤組成物は、(メタ)アクリレート系樹脂100重量部基準で、前記溶融温度が35℃以上である重合体1~7重量部、好ましくは2~6重量部含まれる。
【0069】
前記溶融温度が35℃以上である重合体が前記粘着剤組成物に前記範囲の重量部含まれる場合、前記重合体が存在できる量が好適で常温でも経時安定性に優れていて、粘着力が一定に維持可能であり、後にプラスチック有機発光ディスプレイに適用時、可変工程に際して、可変性能に優れた特性を有する。
【0070】
本出願の一実施態様において、前記(メタ)アクリレート系樹脂は、重量平均分子量が10万g/mol~500万g/molである(メタ)アクリレート系樹脂を含むことができる。
【0071】
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートをすべて含む意味である。前記(メタ)アクリレート系樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体および架橋性官能基含有単量体の共重合体であってもよい。
【0072】
前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体は特に限定しないが、例えば、アルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、より具体的には、炭素数1~12のアルキル基を有する単量体として、ペンチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、およびデシル(メタ)アクリレートのうちの1種または2種以上を含むことができる。
【0073】
前記架橋性官能基含有単量体は特に限定しないが、例えば、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、および窒素含有単量体のうちの1種または2種以上を含むことができる。
【0074】
前記ヒドロキシル基含有単量体の例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、または2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0075】
前記カルボキシル基含有単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、アクリル酸二重体、イタコン酸、マレイン酸、またはマレイン酸無水物などが挙げられる。
【0076】
前記窒素含有単量体の例としては、(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、またはN-ビニルカプロラクタムなどが挙げられる。
【0077】
前記(メタ)アクリレート系樹脂にはさらに、相溶性などのその他の機能性向上の観点から、酢酸ビニル、スチレン、およびアクリロニトリルのうちの少なくとも1つが追加的に共重合されてもよい。
【0078】
本出願の一実施態様において、前記アクリレート系樹脂は、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、および窒素含有単量体からなる群より選択される。
【0079】
前記アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートとしては、炭素数1~12のアルキル基を有する単量体であって、ペンチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、およびデシル(メタ)アクリレートのうちの1種または2種以上を含むことができる。
【0080】
前記ヒドロキシアルキルアクリレートとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート、8-ヒドロキシオクチルアクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコールアクリレート、または2-ヒドロキシプロピレングリコールアクリレートなどが挙げられる。
【0081】
前記窒素含有単量体としては、VP(N-vinyl pyrrolidone、N-ビニルピロリドン)が挙げられる。
【0082】
本出願の一実施態様において、前記(メタ)アクリレート系樹脂は、(メタ)アクリレート系樹脂100重量部基準で、アルキルアクリレート50~70重量部、アルキルメタクリレート5~40重量部、窒素含有単量体0.1~10重量部、およびヒドロキシアルキルアクリレート1~30重量部を含むことができる。
【0083】
前記(メタ)アクリレート系樹脂がアルキルアクリレート50~70重量部、アルキルメタクリレート5~40重量部、窒素含有単量体0.1~10重量部、およびヒドロキシアルキルアクリレート1~30重量部を含むとの意味は、アルキルアクリレート単量体、アルキルメタクリレート単量体、窒素含有単量体、およびヒドロキシアルキルアクリレート単量体が前記重量比で重合されることを意味するものである。
【0084】
本出願の一実施態様において、前記(メタ)アクリレート系樹脂は、(メタ)アクリレート系樹脂100重量部基準で、アルキルアクリレート50~70重量部、好ましくは55~70重量部、さらに好ましくは60~70重量部を含むことができる。
【0085】
本出願の一実施態様において、前記(メタ)アクリレート系樹脂は、(メタ)アクリレート系樹脂100重量部基準で、アルキルメタクリレート5~40重量部、好ましくは7~35重量部、さらに好ましくは10~30重量部を含むことができる。
【0086】
本出願の一実施態様において、前記(メタ)アクリレート系樹脂は、(メタ)アクリレート系樹脂100重量部基準で、窒素含有単量体0.1~10重量部、好ましくは1~10重量部、さらに好ましくは3~10重量部を含むことができる。
【0087】
本出願の一実施態様において、前記(メタ)アクリレート系樹脂は、(メタ)アクリレート系樹脂100重量部基準で、ヒドロキシアルキルアクリレート1~30重量部、好ましくは5~25重量部、さらに好ましくは5~20重量部を含むことができる。
【0088】
前記(メタ)アクリレート系樹脂が前記組成および含有量を有する場合、後に粘着シートの可変特性に優れた特徴を有する。
【0089】
本出願の一実施態様において、前記粘着剤組成物は、溶媒、分散剤、光開始剤、熱開始剤、および粘着付与剤からなる群より選択された1つ以上を追加的に含むことができる。
【0090】
本明細書の一実施態様によれば、前記架橋性化合物は、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2~14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2-トリスアクリロイルオキシメチルエチルフタル酸、プロピレン基の数が2~14であるプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートの酸性変形物とジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの混合物(商品名で日本東亜合成社のTO-2348、TO-2349)などの多価アルコールをα,β-不飽和カルボン酸でエステル化して得られる化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物などのグリシジル基を含む化合物に(メタ)アクリル酸を付加して得られる化合物;β-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのフタル酸ジエステル、β-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのトルエンジイソシアネート付加物などの水酸基またはエチレン性不飽和結合を有する化合物と多価カルボン酸とのエステル化合物、またはポリイソシアネートとの付加物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;および9,9’-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンからなる群より選択される1種以上を含むことができ、これらのみに限定されず、当技術分野で知られている一般的なものを使用することができる。
【0091】
本明細書の一実施態様によれば、前記光開始剤は、トリアジン系化合物、ビイミダゾール化合物、アセトフェノン系化合物、O-アシルオキシム系化合物、チオキサントン系化合物、ホスフィンオキシド系化合物、クマリン系化合物、およびベンゾフェノン系化合物からなる群より選択される1または2以上の置換基で置換されたものであってもよい。
【0092】
具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記光開始剤は、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシフェニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(フィプロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(3’,4’-ジメトキシフェニル)-6-トリアジン、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロパン酸、2,4-トリクロロメチル-(4’-エチルビフェニル)-6-トリアジン、または2,4-トリクロロメチル-(4’-メチルビフェニル)-6-トリアジンなどのトリアジン系化合物;2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、または2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾールなどのビイミダゾール系化合物;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ)プロピルケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-メチル-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノ-1-プロパン-1-オン(Irgacure-907)、または2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン(Irgacure-369)などのアセトフェノン系化合物;Ciba Geigy社のIrgacure OXE01、Irgacure OXE02のようなO-アシルオキシム系化合物;4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、または4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、またはジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、またはビス(2,6-ジクロロベンゾイル)プロピルホスフィンオキシドなど
のホスフィンオキシド系化合物;3,3’-カルボニルビニル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-メトキシ-クマリン、または10,10’-カルボニルビス[1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-Cl]-ベンゾピラノ[6,7,8-ij]-キノリジン-11-オンなどのクマリン系化合物などを単独使用するか、2以上を混合して使用することができるが、これに限定されない。
【0093】
また、前記熱開始剤は、当業界で知られたものを用いることができる。
【0094】
前記溶媒としては、トルエン(Toluene)が使用できるが、特定の物質を溶解させることができればこれに限定されず、これによる一般的有機溶媒が使用できる。
【0095】
本出願の一実施態様において、基材フィルムと、前記基材フィルムの一面に備えられた本出願の一実施態様に係る粘着剤組成物またはその硬化物を含む粘着シートとを含む粘着フィルムを提供しようとする。
【0096】
前記粘着フィルムの積層構造は図1から確認することができ、具体的には、基材フィルム101および粘着シート102が順次に積層された構造を有する。
【0097】
本出願の一実施態様において、前記粘着シートは、本出願の一実施態様に係る粘着剤組成物をそのまま含むことができる。
【0098】
本出願の一実施態様において、前記粘着シートは、本出願の一実施態様に係る粘着剤組成物の硬化物を含むことができる。
【0099】
本出願の一実施態様において、前記粘着シートの前記基材フィルムが接する面の反対面に離型フィルムをさらに含む粘着フィルムを提供する。
【0100】
前記離型フィルムは、疎水性フィルムが使用可能であり、厚さが非常に薄い粘着シートを保護するための層であって、粘着シートの一面に付着する透明層をいうものであり、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れたフィルムを使用することができる。例えば、トリアセチルセルロース(TAC)のようなアセテート系、ポリエステル系、ポリエーテルスルホン系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリオレフィン系、シクロオレフィン系、ポリウレタン系、およびアクリル系樹脂フィルムなどを使用することができるが、市販のシリコーン処理離型フィルムであればこれに限定されない。
【0101】
本出願の一実施態様において、前記基材フィルムは、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエステル(polyester)、PC(ポリカーボネート)、PI(ポリイミド)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PAR(ポリアリレート)、PCO(ポリシクロオレフィン)、ポリノルボルネン(polynorbornene)、PES(ポリエーテルスルホン)、およびCOP(シクロオレフィンポリマー)からなる群より選択される。
【0102】
他の実施態様において、前記基材フィルムは、PET(ポリエチレンテレフタレート)であってもよい。
【0103】
本出願の一実施態様において、前記基材フィルムの厚さは、10μm以上200μm以下、好ましくは15μm以上100μm以下、さらに好ましくは20μm以上75μm以下であってもよい。
【0104】
また、前記基材フィルムは、透明であることが好ましい。ここでいう基材フィルムが透明であるとの意味は、可視光(400~700nm)の光透過率が80%以上であることを表す。
【0105】
基材フィルムが前記範囲を有する場合、積層された粘着フィルムが薄膜化可能な特性を有する。
【0106】
本出願の一実施態様において、前記粘着シートの厚さは、3μm以上100μm以下であってもよい。
【0107】
他の実施態様において、前記粘着シートの厚さは、3μm以上100μm以下、好ましくは5μm以上80μm以下、さらに好ましくは10μm以上50μm以下であってもよい。
【0108】
粘着シートの厚さが前記範囲を有する場合、誤付着時のリワーク(Rework)特性に優れ、特に、粘着シートを除去するに際して異物が残らない特性を有する。
【0109】
本出願の一実施態様において、前記粘着フィルムの厚さは、50μm以上300μm以下である粘着フィルムを提供する。
【0110】
他の実施態様において、前記粘着フィルムの厚さは、50μm以上300μm以下、好ましくは50μm以上250μm以下、さらに好ましくは55μm以上250μm以下であってもよい。
【0111】
前記粘着フィルムが前記範囲を有することにより、後にプラスチック有機発光ディスプレイに適用時、バックプレートとしての厚さが好適であり、また、誤付着時のリワーク(Rework)特性に優れ、特に、粘着シートを除去するに際して異物が残らない特性を有する。
【0112】
本出願の一実施態様において、前記粘着シートの前記基材フィルムと接する面の反対面をステンレス(SUS304基板)に対して接合後の23℃で2時間放置後の初期粘着力が100gf/2.54cm(インチ)以下であり、その後、40℃で20分熱処理した後の後期粘着力が500gf/2.54cm(インチ)以上であってもよい。
【0113】
前記初期粘着力および後期粘着力は、180゜の角度および1800mm/分の剥離速度でテクスチャーアナライザー(Texture analyzer(Stable Micro Systems社))を用いて測定し、本発明により製造された粘着シートを2kgのゴムローラで1回往復してステンレス(304基板)に付着させた後、それぞれ測定した。
【0114】
他の実施態様において、前記粘着シートの前記基材フィルムと接する面の反対面をステンレス(SUS304基板)に対して接合後の23℃で2時間放置後の初期粘着力が100gf/2.54cm(インチ)以下、好ましくは98gf/2.54cm(インチ)以下、さらに好ましくは95gf/2.54cm(インチ)以下であってもよい。
【0115】
さらに他の実施態様において、前記粘着シートの前記基材フィルムと接する面の反対面をステンレス(SUS304基板)に対して接合後の23℃で2時間放置後の初期粘着力が5gf/2.54cm(インチ)以上、好ましくは10gf/2.54cm(インチ)以上であってもよい。
【0116】
さらに他の実施態様において、前記粘着シートの前記基材フィルムと接する面の反対面をステンレス(SUS304基板)に対して接合後の40℃で20分熱処理した後の後期粘着力が500gf/2.54cm(インチ)以上、好ましくは505gf/2.54cm(インチ)以上、さらに好ましくは510gf/2.54cm(インチ)以上であってもよい。
【0117】
さらに他の実施態様において、前記粘着シートの前記基材フィルムと接する面の反対面をステンレス(SUS304基板)に対して接合後の40℃で20分熱処理した後の後期粘着力が5000gf/2.54cm(インチ)以下、好ましくは4000gf/2.54cm(インチ)以下、さらに好ましくは3000gf/2.54cm(インチ)以下であってもよい。
【0118】
本出願に係る粘着シートは、前記のように溶融温度(melting temperature、Tm)35℃以上である重合体を含むことにより、23℃で2時間放置後の初期粘着力が100gf/2.54cm(インチ)以下であり、その後、40℃で20分熱処理した後の後期粘着力が500gf/2.54cm(インチ)以上で可変特性を示すことができる。
【0119】
本出願の一実施態様において、前記後期粘着力は、前記初期粘着力の3倍以上50倍以下である粘着フィルムを提供する。
【0120】
本出願の一実施態様において、前記後期粘着力/前記初期粘着力が3以上50以下である粘着フィルムを提供する。
【0121】
他の実施態様において、前記後期粘着力/前記初期粘着力は、3以上50以下、好ましくは5以上35以下、さらに好ましくは7以上25以下であってもよい。
【0122】
本出願に係る粘着フィルムは、初期粘着力対比、後期粘着力が大きく上昇したことを特徴とし、これによって粘着初期に誤付着時のリワーク(Rework)特性に優れ、また、粘着フィルムを一部除去する工程に際して汚物が残らずに除去可能であり、特定の工程後の後期粘着力が大きく上昇して被着基材との接着力に優れた特性を有する。
【0123】
本出願の一実施態様において、前記粘着シートおよび前記基材フィルムは、複数積層される。
【0124】
本出願において、前記粘着フィルムは、基材フィルム上に粘着剤組成物をバーコーターで塗布して製造できる。
【0125】
本出願の一実施態様は、本出願に係る粘着フィルムと、前記粘着フィルムの前記基材フィルム側に備えられた保護フィルムとを含むバックプレートフィルムを提供する。
【0126】
本出願の一実施態様は、本出願に係る粘着フィルムと、前記粘着フィルムの一面に備えられた保護フィルムとを含むバックプレートフィルムであって、前記粘着フィルムは、基材フィルムおよび粘着シートからなり、前記基材フィルムの前記粘着シートと接する面の反対面に保護フィルムが備えられるものであるバックプレートフィルムを提供しようとする。
【0127】
前記バックプレートフィルムの積層構造は図2から確認することができる。具体的には、粘着フィルム103および保護フィルム104の積層構造を有し、さらに具体的には、前記粘着フィルム103は、基材フィルム101および粘着シート102から構成され、基材フィルム101の一面が保護フィルム104と接合されたバックプレートフィルム105を確認することができる。
【0128】
前記バックプレートフィルムにおいて、前記保護フィルムは、バックプレートフィルムの搬送または工程進行時に前記粘着フィルムを保護する役割を果たすもので、前記バックプレートフィルムが後にプラスチック有機発光ディスプレイに使用される場合、前記保護フィルムは除去可能である。
【0129】
本出願の一実施態様において、前記保護フィルムは、保護基材と、粘着層とから構成される。
【0130】
前記保護基材は、前記基材フィルムと同一のものが使用できる。
【0131】
前記粘着層としては、前記保護基材および前記基材フィルムを接着できればこれに限定されず、市販の一般的粘着層を使用することができる。
【0132】
本出願の一実施態様は、本出願に係る粘着フィルムと、前記粘着フィルムの前記粘着シート側に備えられたプラスチック基板と、前記プラスチック基板の前記粘着フィルムと接する面の反対面に備えられた有機発光層とを含むプラスチック有機発光ディスプレイを提供する。
【0133】
本出願の一実施態様は、本出願に係る粘着フィルムと、前記粘着フィルムの一面に備えられたプラスチック基板と、前記プラスチック基板の前記粘着フィルムと接する面の反対面に備えられた有機発光層とを含むプラスチック有機発光ディスプレイであって、前記粘着フィルムは、基材フィルムおよび粘着シートからなり、前記粘着シートの前記基材フィルムが接する面の反対面にプラスチック基板が備えられるものであるプラスチック有機発光ディスプレイを提供しようとする。
【0134】
本出願の一実施態様において、前記粘着フィルムの前記基材フィルム側に備えられた保護フィルムを含むものであるプラスチック有機発光ディスプレイを提供する。
【0135】
前記プラスチック有機発光ディスプレイの積層構造は図3から確認することができる。具体的には、保護フィルム104と、粘着フィルム103と、プラスチック基板106と、有機発光層107との積層構造であり、さらに具体的には、粘着フィルム103の粘着シート102とプラスチック基板106とが接合されたプラスチック有機発光ディスプレイの積層構造を確認することができる。
【0136】
前記プラスチック有機発光ディスプレイの積層構造において、前記保護フィルムは除去可能である。
【0137】
前記プラスチック基板としては、ポリイミド(PI、polyimide)が使用できる。
【0138】
前記有機発光層には、有機光電素子、有機トランジスタ、有機太陽電池、有機発光素子、およびマイクロLED素子からなる群より選択される。
【実施例
【0139】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0140】
<製造例>
<製造例1>(メタ)アクリレート系樹脂の重合
エチルヘキシルアクリレート(EHA、Ethylhexylacrylate)/メチルメタクリレート(MMA、Methylmethacrylate)/N-ビニルピロリドン(VP、N-Vinylpyrrolidone)/ヒドロキシエチルアクリレート(HEA、hydroxyethylacrylate)を70/20/5/5の重量比で酢酸エチル(EA、Ethyl Acetate)に投入した後に、熱重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を投入して、重量平均分子量100万g/molである(メタ)アクリレート系樹脂を製造した。
【0141】
<製造例2>重合体の重合
下記表1の組成および重量比を有する物質をトルエンに投入した後、熱重合開始剤であるAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を投入して、下記表1の溶融温度(Tm)、重量平均分子量を満足する重合体を製造した。
【0142】
【表1】
【0143】
前記表1中、FM0721は、単官能ポリシロキサンでChisso社の製品を使用し、前記FM0721は、ポリシロキサンが存在する(メタ)アクリレート単量体である。
【0144】
前記表1中、BYK-377は、一般的添加剤として使用される構造でBYK社の製品を使用した。
【0145】
前記FM0721は、重合可能な(メタ)アクリレートが含まれた構造で他のモノマーと反応可能であるが、前記BYK-377の構造は、重合不可能な単純添加剤である。
【0146】
前記表1中、BMAは、ブチルメタクリレート(Butyl methacrylate)であり、STAは、ステアリルアクリレート(stearyl acrylate)であり、STMAは、ステアリルメタクリレート(stearyl methacrylate)であり、HDMAは、ヘキサデシルメタクリレート(hexadecyl methacrylate)であり、EHMAは、エチルヘキシルメタクリレート(Ethylhexyl methacrylate)であり、MMAは、メチルメタクリレート(MMA、Methylmethacrylate)である。
【0147】
前記実施例1~3に使用したモノマーは、重合時にTm特性のみ現れるモノマーであり、また、比較例2~5の重合体の場合、結晶性を有しておらずTm特性がなく、比較例4に使用したBMAは、Tmの特性なしにTgのみ現れ、Tgは約20℃である。
【0148】
<製造例3>粘着剤組成物の製造
イソシアネート架橋剤(Sam Youngインク社のDR7030HD)を前記製造例1で製造された(メタ)アクリレート系樹脂100重量部に対して1重量部添加した後、前記製造例2で製造された重合体を下記表2の重量部の比率で添加した後、トルエン溶液で固形分が20%となるように希釈した。
【0149】
【表2】
【0150】
MPI社の両面静電気帯電防止(Anti-static、AS)処理されたポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)フィルム(T91455)に、前記製造例3で製造された粘着剤組成物を15μmの厚さにコーティングし、両面静電気帯電防止(Anti-static、AS)処理されたポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)(RF12AS)を塗布した後、40℃で2日間エージング(Aging)して粘着シートを製造した。
【0151】
前記T91455は、粘着剤コーティング基材フィルムであり、前記FR12ASは、離型フィルムで表すことができる。
【0152】
前記実施例1~3および比較例1~6の初期粘着力(gf/2.54cm)および後期粘着力(gf/2.54cm)を測定した結果を下記表3に記載した。
【0153】
【表3】
【0154】
1.初期粘着力:ステンレス(SUS304基板)に、前記実施例1~3および比較例1~比較例6で製造したフィルムのうちの1つの粘着シートを2kgのゴムローラで1回往復して貼り合わせ、23℃で2時間放置後、前記ステンレス(SUS304基板)においてフィルムを180゜の角度および1800mm/分の剥離速度でテクスチャーアナライザー(Texture analyzer(Stable Micro Systems社))を用いて測定した。
【0155】
2.後期粘着力:ステンレス(SUS304基板)に、前記実施例1~3および比較例1~比較例6で製造したフィルムのうちの1つの粘着シートを2kgのゴムローラで1回往復して貼り合わせ、40℃で20分放置後、前記ステンレス(SUS304基板)においてフィルムを180゜の角度および1800mm/分の剥離速度でテクスチャーアナライザー(Texture analyzer(Stable Micro Systems社))を用いて測定した。
【0156】
前記表3から確認できるように、本願の粘着剤組成物を含む粘着シートは、溶融温度(melting temperature、Tm)35℃以上である重合体および(メタ)アクリレート系樹脂を含むことで、初期粘着力が低い特徴を有する。特に、前記実施例1~3から確認できるように、比較例1~比較例6に比べて、初期粘着力が非常に低く維持されることを確認することができ、熱処理(40℃)工程後、粘着力が大きく上昇したことを確認することができた。
【0157】
特に、本出願の一実施態様に係る粘着フィルムの粘着シートの場合(実施例1~3)、粘着剤組成物に2種のモノマーを含むことで、溶融温度値を35℃以上の値を有するように製造したもので、比較例1~比較例6に比べて、被着基材と初期粘着力が低いと同時に、特定の工程後に粘着力が上昇して被着基材を固定するために十分な粘着力が発現する特徴を有する。これは、Tm挙動を示す重合体が粘着シートに含まれることにより現れる特徴で、Tg型重合体を含む時より経時安定性に優れると同時に、可変特性に優れることを確認することができた。
【0158】
また、前記実施例1~実施例3の場合、前記溶融温度が35℃以上である重合体を(メタ)アクリレート系樹脂100重量部対比1~10重量部を含むもので、可変特性に優れ、追加的に(メタ)アクリレート系樹脂を含まない比較例6の場合、粘着シートの形成が困難であることが分かり、重合体の重量部を増加させて形成しても粘着力が5gf/2.54cm(インチ)~10gf/2.54cm(インチ)の値を有して粘着剤としての役割を果たすことができず、可変特性が現れないことを確認することができた。
【0159】
特に、アクティブベンディング(Active bending)実現のために、プラスチック有機発光素子(POLED、Plastic Organic Light Emitting Diode)のパネルの一部は粘着シートの除去される工程が必要であり、本出願に係る粘着シートを含むバックプレートフィルムは、初期粘着力が低く維持されて除去工程時の汚物が残らず、以後、特定の工程を経て粘着力が大きく上昇して被着基材とバックプレートフィルムが固定できる特徴を有する。
【符号の説明】
【0160】
101:基材フィルム
102:粘着シート
103:粘着フィルム
104:保護フィルム
105:バックプレートフィルム
106:プラスチック基板
107:有機発光層
図1
図2
図3
図4
図5