(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】半導体回路接続用接着剤組成物およびそれを含む接着フィルム
(51)【国際特許分類】
C09J 163/00 20060101AFI20221017BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20221017BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20221017BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20221017BHJP
H01L 21/60 20060101ALN20221017BHJP
【FI】
C09J163/00
C09J7/35
H01L23/30 R
H01L21/60 311Q
(21)【出願番号】P 2021500994
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 KR2020007338
(87)【国際公開番号】W WO2020251219
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-01-13
(31)【優先権主張番号】10-2019-0068110
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0067603
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョンハク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ジン・キョン
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ミンス・チョン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨンサム・キム
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0134293(KR,A)
【文献】特開2017-132919(JP,A)
【文献】特開2018-145346(JP,A)
【文献】特開2013-077557(JP,A)
【文献】特開2008-179682(JP,A)
【文献】特開2007-277525(JP,A)
【文献】鬼塚賢三,“エポキシ樹脂硬化剤について”,日本接着学会誌,日本,2017年,Vol.53, No.4,p.122-128,DOI https://doi.org/10.11618/adhesion.53.122,特に、p.123の
図1、127頁右欄10~12行を参照
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
B32B
H01B1/00-1/24
H01L21/447-21/449;21/60-21/607;23/28-23/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機系エポキシ樹脂および下記化学式1で表される繰り返し単位を有する有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂を1:0.03~1:4.0の重量比で含む熱硬化性樹脂を含む、半導体回路接続用接着剤組成物
であって、
前記熱硬化性樹脂は、(a1)10~35℃で固体である有機系エポキシ樹脂、(a2)10~35℃で液体である有機系エポキシ樹脂、および(a3)前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂を含み、
前記(a1):[(a2)+(a3)]の重量比は1:0.15~1:5.0であり、
前記(a2):(a3)の重量比は1:0.15~1:10である、半導体回路接続用接着剤組成物:
【化1】
前記化学式1において、
Rはそれぞれ独立して一つ以上のエポキシ基を有する1価の官能基であり、
nは1~30である。
【請求項2】
前記化学式1のRはそれぞれ独立して下記構造式からなる群より選ばれたいずれか一つの官能基である、請求項1に記載の半導体回路接続用接着剤組成物:
【化2】
前記構造式において
【化3】
表示は該当官能基が異なるグループと連結される部分を表す。
【請求項3】
前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂は、50g/eq.~300g/eq.の平均エポキシ当量を有する、請求項1または2に記載の半導体回路接続用接着剤組成物。
【請求項4】
前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂は、25℃で測定された0.1Pa・s~10000Pa・sの粘度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体回路接続用接着剤組成物。
【請求項5】
前記有機系エポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、ザイロック系エポキシ樹脂、トリスヒドロキシルフェニルメタン系エポキシ樹脂、テトラフェニルメタン系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、およびジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂からなる群より選ばれた1種以上の樹脂である、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体回路接続用接着剤組成物。
【請求項6】
熱可塑性樹脂、硬化剤、無機充填材、および硬化触媒をさらに含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の半導体回路接続用接着剤組成物。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリレート系樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、およびフェノキシ樹脂からなる群より選ばれた1種以上の樹脂である、請求項
6に記載の半導体回路接続用接着剤組成物。
【請求項8】
前記硬化剤は、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤および酸無水物系硬化剤からなる群より選ばれた1種以上の化合物である、請求項
6または
7に記載の半導体回路接続用接着剤組成物。
【請求項9】
前記無機充填材は、アルミナ、シリカ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、およびホウ酸アルミニウムからなる群より選ばれた1種以上の無機粒子である、請求項
6~
8のいずれか一項に記載の半導体回路接続用接着剤組成物。
【請求項10】
前記硬化触媒は、リン系化合物、ホウ素系化合物、リン-ホウ素系化合物、およびイミダゾール系化合物からなる群より選ばれた1種以上の化合物である、請求項
6~
9のいずれか一項に記載の半導体回路接続用接着剤組成物。
【請求項11】
前記熱硬化性樹脂100重量部を基準として、
前記熱可塑性樹脂5重量部~350重量部、
前記硬化剤10重量部~150重量部、
前記無機充填材5重量部~200重量部、および
前記硬化触媒0.1~20重量部
を含む、請求項
6~1
0のいずれか一項に記載の半導体回路接続用接着剤組成物。
【請求項12】
請求項1~1
1のいずれか一項に記載の半導体回路接続用接着剤組成物を含む、接着フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2019年6月10日付韓国特許出願第10-2019-0068110号および2020年6月4日付韓国特許出願第10-2020-0067603号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、半導体回路接続用接着剤組成物およびそれを含む接着フィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体パッケージの高密度化、高集積化に対する必要性が大きくなっている。それに伴い、半導体チップの大きさが次第に大きくなっており、集積度の改善のために半導体チップを多段積層するスタックパッケージ方法が広く適用されている。
【0004】
半導体チップのボンディングには熱圧着ボンディング(thermal compression bonding)が主に適用されている。熱圧着ボンディングにおいて、半導体回路接続用接着剤が有する熱に対する硬化特性は半導体ウエハの反り現象に影響を及ぼす。
【0005】
すなわち、半導体回路接続用接着剤の熱硬化特性は半導体スタックパッケージの信頼度とその製造工程の生産性に影響を及ぼす。例えば、半導体ウエハにチップを積層すればするほどウエハの反り現象が悪化して半導体パッケージを製造する連続工程の進行が難しいだけでなく工程進行中にウエハクラックが発生する可能性が大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は半導体回路の熱圧着ボンディング時に優れた接着力を示しながらも半導体回路の積層に伴うウエハの反り現象を最小化できる半導体回路接続用接着剤組成物を提供する。
【0007】
また、本発明は前記半導体回路接続用接着剤組成物を含む接着フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の一実施形態によれば、有機系エポキシ樹脂および下記化学式1で表される繰り返し単位を有する有機無機機系ハイブリッドエポキシ樹脂を1:0.03~1:4.0の重量比で含む熱硬化性樹脂を含む、半導体回路接続用接着剤組成物が提供される:
【0009】
【0010】
前記化学式1において、
Rはそれぞれ独立して一つ以上のエポキシ基を有する1価の官能基であり、
nは1~30である。
【0011】
前記化学式1のRはそれぞれ独立して下記構造式からなる群より選ばれたいずれか一つの官能基であり得る:
【0012】
【0013】
前記構造式において
【化3】
表示は該当官能基が異なるグループと連結される部分を表す。
【0014】
前記有機無機機系ハイブリッドエポキシ樹脂は、50g/eq.~300g/eq.の平均エポキシ当量を有し得る。
【0015】
前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂は、25℃で測定された0.1Pa・s~10000Pa・sの粘度を有し得る。
【0016】
前記有機系エポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、ザイロック系エポキシ樹脂、トリスヒドロキシルフェニルメタン系エポキシ樹脂、テトラフェニルメタン系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、およびジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂からなる群より選ばれた1種以上の樹脂であり得る。
【0017】
前記熱硬化性樹脂は、(a1)10~35℃で固体である有機系エポキシ樹脂、(a2)10~35℃で液体である有機系エポキシ樹脂、および(a3)前記有機無機機系ハイブリッドエポキシ樹脂を含み得、
前記(a1):[(a2)+(a3)]の重量比は1:0.15~1:5.0であり得、
前記(a2):(a3)の重量比は1:0.15~1:10であり得る。
【0018】
前記半導体回路接続用接着剤組成物は、熱可塑性樹脂、硬化剤、無機充填材、および硬化触媒をさらに含み得る。
【0019】
前記半導体回路接続用接着剤組成物は、前記熱硬化性樹脂100重量部を基準として、前記熱可塑性樹脂5重量部~350重量部、前記硬化剤10重量部~150重量部、前記無機充填材5重量部~200重量部、および前記硬化触媒0.1~20重量部を含み得る。
【0020】
発明の他の一実施例によれば、前記半導体回路接続用接着剤組成物を含む接着フィルムが提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明による半導体回路接続用接着剤組成物は、半導体回路の熱圧着ボンディング時に優れた接着力を示しながらも半導体回路の積層に伴うウエハの反り現象を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】発明の実施形態による半導体回路接続用接着フィルムの積層構成を示す断面図である。
【発明の実施のための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態による半導体回路接続用接着剤組成物およびそれを含む接着フィルムについてより詳細に説明する。
【0024】
本明細書で明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
【0025】
本明細書で使用される単数形態は文脈上明らかに逆の意味を示さない限り複数形態も含む。
【0026】
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるものではない。
【0027】
I.半導体回路接続用接着剤組成物
発明の一実施形態によれば、有機系エポキシ樹脂および下記化学式1で表される繰り返し単位を有する有機無機機系ハイブリッドエポキシ樹脂を1:0.03~1:4.0の重量比で含む熱硬化性樹脂を含む、半導体回路接続用接着剤組成物が提供される:
【0028】
【0029】
前記化学式1において、
Rはそれぞれ独立して一つ以上のエポキシ基を有する1価の官能基であり、
nは1~30である。
【0030】
本発明者らは研究を重ねた結果、前記構成の熱硬化性樹脂を含む接着剤組成物は、半導体回路の熱圧着ボンディング時優れた接着力を示しながらも半導体回路の積層に伴うウエハの反り現象を最小化できることを確認した。
【0031】
(A)熱硬化性樹脂
前記半導体回路接続用接着剤組成物は、前記熱硬化性樹脂として有機系エポキシ樹脂および前記化学式1で表される繰り返し単位を有する有機無機機系ハイブリッドエポキシ樹脂を1:0.03~1:4.0の重量比で含む混合物を含み得る。
【0032】
前記有機系エポキシ樹脂は、本発明が属する技術分野で良く知られている種類の有機系エポキシ樹脂として、その種類は特に制限されない。
【0033】
例えば、前記有機系エポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、ザイロック系エポキシ樹脂、トリスヒドロキシルフェニルメタン系エポキシ樹脂、テトラフェニルメタン系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、およびジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂からなる群より選ばれた1種以上の樹脂であり得る。
【0034】
前記ビスフェノール系エポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0035】
前記有機系エポキシ樹脂は、100g/eq.~1,000g/eq.の平均エポキシ当量を有し得る。前記平均エポキシ当量は、前記有機系エポキシ樹脂に含まれるそれぞれのエポキシ樹脂の重量比率およびエポキシ当量に基づいて計算される値である。
【0036】
一方、前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂は下記化学式1で表される繰り返し単位を有する化合物である:
【0037】
【0038】
前記化学式1において、
Rはそれぞれ独立して一つ以上のエポキシ基を有する1価の官能基であり、
nは1~30である。
【0039】
好ましくは、前記化学式1のR1はそれぞれ独立して下記構造式からなる群より選ばれたいずれか一つの官能基であり得る:
【0040】
【0041】
前記構造式において
【化7】
表示は該当官能基が異なるグループと連結される部分を表す。
【0042】
前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂は50g/eq.~300g/eq.の平均エポキシ当量を有し得る。前記平均エポキシ当量は、前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂に含まれるそれぞれのエポキシ樹脂の重量比率およびエポキシ当量に基づいて計算される値である。
【0043】
好ましくは、前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂は、50g/eq.~300g/eq.、あるいは100g/eq.~300g/eq.、あるいは100g/eq.~250g/eq.、あるいは150g/eq.~250g/eq.、あるいは150g/eq.~200g/eq.、あるいは160g/eq.~180g/eq.の平均エポキシ当量を有し得る。
【0044】
前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂の添加効果が発現できるようにするために、前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂は50g/eq.以上の平均エポキシ当量を有することが好ましい。ただし、高すぎるエポキシ当量は半導体回路接続用接着剤組成物の物性を低下させ得る。したがって、前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂は300g/eq.以下の平均エポキシ当量を有することが好ましい。
【0045】
前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂は、25℃で測定された0.1Pa・s~10000Pa・s、あるいは0.5Pa・s~5000Pa・sの粘度を有することが好ましい。
【0046】
前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂の粘度が高すぎる場合、半導体回路接続用接着剤組成物の物性の製造と接着フィルムの物性が低下し得る。したがって、前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂は10000Pa・s以下の粘度を有することが好ましい。
【0047】
前記熱硬化性樹脂は、前記有機系エポキシ樹脂および前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂を1:0.03~1:4.0、あるいは1:0.03~1:3.0、あるいは1:0.03~1:2.5の重量比で含むことが好ましい。
【0048】
前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂の添加効果が発現できるようにするために、前記有機系エポキシ樹脂および前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂は1:0.03以上の重量比で含まれることが好ましい。前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂が過度に少量で添加される場合、ウエハの反りが発生する問題が現れ得る。
【0049】
ただし、前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂が過量に添加される場合、半導体装置を製造した時フィレットが多く発生し得る。したがって、前記有機系エポキシ樹脂および前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂は、1:4.0以下、あるいは1:3.0以下、あるいは1:2.5以下の重量比で含まれることが好ましい。
【0050】
好ましくは、前記半導体回路接続用接着剤組成物には前記有機系エポキシ樹脂として10~35℃で液体である有機系エポキシ樹脂と10~35℃で固体である有機系エポキシ樹脂が含まれ得る。
【0051】
すなわち、前記熱硬化性樹脂は、(a1)10~35℃で固体である有機系エポキシ樹脂、(a2)10~35℃で液体である有機系エポキシ樹脂、および(a3)前記有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
【0052】
特に、前記熱硬化性樹脂には前記有機系エポキシ樹脂および前記有機無機ハイブリッドエポキシ樹脂が1:0.03~1:4.0の重量比([(a1)+(a2)]:(a3))で含まれると同時に、前記(a1):[(a2)+(a3)]の重量比は1:0.15~1:5.0であり、前記(a2):(a3)の重量比は1:0.15~1:10であることが好ましい。
【0053】
好ましくは、前記熱硬化性樹脂において前記(a1):[(a2)+(a3)]の重量比は、1:0.15~1:5.0、あるいは1:0.2~1:5.0、あるいは1:0.2~1:4.5、あるいは1:0.2~1:4.0であり得る。
【0054】
前記(a1)に対して前記[(a2)+(a3)]の重量比が低すぎる場合、接着剤組成物の導通信頼性が低くなってボイド不良と接続状態不良が誘発され得る。ただし、(a1)に対して前記[(a2)+(a3)]の重量比が高すぎる場合、接着剤組成物のフィレット特性と熱サイクル特性が劣る。
【0055】
好ましくは、前記熱硬化性樹脂において前記(a2):(a3)の重量比は、1:0.15~1:10、あるいは1:0.15~1:9.0、あるいは1:0.15~1:8.0、あるいは1:0.15~1:7.0であり得る。
【0056】
前記(a2)有機系液体エポキシに対して前記(a3)有機無機系ハイブリッドエポキシが過度に少量で添加される場合、ウエハの反り現象が発生する問題が現れ得る。ただし、前記(a2)有機系液体エポキシに対して前記(a3)有機無機系ハイブリッドエポキシが過度に過量で添加される場合、接着剤組成物のフィレット特性が劣り、ボイド不良と接続状態不良が誘発され得る。
【0057】
そして、前記熱硬化性樹脂において前記(a1):(a2)の重量比は、1:0.1~1:5.0、あるいは1:0.15~1:4.0、あるいは1:0.15~1:3.0であり得る。
【0058】
前記(a1)有機系固体エポキシ樹脂の含有量が前記(a2)有機系液体エポキシ樹脂に対して0.1重量比未満であれば、ダイアタッチ工程時樹脂が過多に流れ出て汚染を誘発し得、接着層のぺたつきが強くピックアップ特性が顕著に低下し得る。ただし、前記(a1)有機系固体エポキシ樹脂の含有量が前記(a2)有機系液体エポキシ樹脂に対して5.0重量比を超えると熱可塑性樹脂との相容性と反応性の側面から不利であり得る。
【0059】
前記有機系エポキシ樹脂は、50℃~100℃の軟化点を有するビフェニル系エポキシ樹脂とともに、50℃~100℃の軟化点を有するクレゾールノボラック型エポキシ樹脂および50℃~100℃の軟化点を有するビスフェノールAエポキシ樹脂からなる群より選ばれた1種以上のエポキシ樹脂をさらに含み得る。
【0060】
この時、前記エポキシ樹脂は50℃~100℃の軟化点を有するビフェニル系エポキシ樹脂に対して前記50℃~100℃の軟化点を有するクレゾールノボラック型エポキシ樹脂および50℃~100℃の軟化点を有するビスフェノールAエポキシ樹脂からなる群より選ばれた1種以上のエポキシ樹脂を1:0.25~1:1.25、または1:0.3~1:1.1の重量比で含み得る。
【0061】
一方、発明の実施形態によれば、前記半導体回路接続用接着剤組成物は、前記(A)熱硬化性樹脂とともに(B)熱可塑性樹脂、(C)硬化剤、(D)無機充填材、および(E)硬化触媒をさらに含み得る。
【0062】
(B)熱可塑性樹脂
前記半導体回路接続用接着剤組成物は、前記熱可塑性樹脂として(メタ)アクリレート系樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、およびフェノキシ樹脂からなる群より選ばれた1種以上の樹脂を含み得る。
【0063】
好ましくは、前記熱可塑性樹脂として、-10℃~30℃のガラス転移温度および50,000g/mol~1,200,000g/molの重量平均分子量を有する(メタ)アクリレート系樹脂が適用され得る。
【0064】
非制限的な例として、前記重量平均分子量は、長さ300mmのPolarGel MIXED-Lカラム(Polymer Laboratories)が取り付けられたAgilent PL-GPC 220機器を利用して測定することができる。測定温度は65℃であり、ジメチルホルムアミドを溶媒として使用し、流速は1mL/minの速度で測定する。サンプルは10mg/10mLの濃度に調剤した後、100μLの量で供給する。ポリスチレン標準を利用して形成された検定曲線を参照してMw値およびMn値を誘導する。ポリスチレン標準の分子量(g/mol)は、580/3,940/8,450/31,400/70,950/316,500/956,000/4,230,000の8種を使用する。
【0065】
好ましくは、前記熱可塑性樹脂は、エポキシ系官能基を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位を含む(メタ)アクリレート系樹脂であり得る。非制限的な例として、前記熱可塑性樹脂は、アルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリルおよびグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体である(メタ)アクリレート系樹脂であり得る。
【0066】
前記(メタ)アクリレート系樹脂は、エポキシ基含有アクリルアミド共重合体として、全体重量中のグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートを1~30重量%、あるいは2~20重量%、あるいは2.5~15重量%で含み得る。
【0067】
ここで、前記(メタ)アクリレート系樹脂内のエポキシ基含有量が1重量%未満の場合、エポキシ樹脂との相容性と接着力が充分でなく、30重量%を超えると硬化による粘度上昇速度が速すぎて半導体素子の熱圧着工程におけるはんだバンプの接合および埋めたてが十分になされない。
【0068】
前記熱可塑性樹脂の含有量は、接着フィルムの製造時組成物の流れ性、最終接着フィルムの物性などを考慮して決定され得る。好ましくは、前記(B)熱可塑性樹脂は、前記(A)熱硬化性樹脂100重量部を基準として5~350重量部、あるいは10~350重量部、あるいは20~200重量部、あるいは20~100重量部、あるいは20~70重量部で使用することができる。
【0069】
(C)硬化剤
前記半導体回路接続用接着剤組成物は、前記硬化剤としてアミン系硬化剤、フェノール系硬化剤および酸無水物系硬化剤からなる群より選ばれた1種以上の化合物を含み得る。
【0070】
前記硬化剤としてはノボラック系フェノール樹脂が好ましく適用される。
【0071】
前記ノボラック系フェノール樹脂は反応性官能基の間に環が位置する化学構造を有する。このような構造的特性によって、前記ノボラック系フェノール樹脂は前記接着剤組成物の吸湿性をより低くすることができ、高温のIRリフロー工程で安定性をより高めることができ、接着フィルムの剥離現象やリフロー亀裂などを防止する役割をすることができる。
【0072】
前記ノボラック系フェノール樹脂の具体的な例としてはノボラックフェノール樹脂、ザイロックノボラックフェノール樹脂、クレゾールノボラックフェノール樹脂、ビフェニルノボラックフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラックフェノール樹脂、およびビスフェノールFノボラックフェノール樹脂からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。
【0073】
前記ノボラック系フェノール樹脂は、60℃以上、または60℃~150℃、または105℃~150℃、または70℃~120℃の軟化点を有することが好ましく適用される。
【0074】
60℃以上の軟化点を有するノボラック系フェノール樹脂は、接着剤組成物の硬化後十分な耐熱性、強度および接着性を有し得るようにする。しかし、前記ノボラック系フェノール樹脂の軟化点が過度に高いと前記接着剤組成物の流動性が低くなって実際の半導体製造工程で接着剤の内部に空の空間(ボイド、void)が生成されて最終製品の信頼性や品質を大きく低下させ得る。
【0075】
前記ノボラック系フェノール樹脂は、80g/eq~300g/eqの水酸基当量および60℃~150℃の軟化点を有することが好ましい。
【0076】
前記硬化剤の含有量は、最終的に製造される接着フィルムの物性などを考慮して調節することができる。例えば、前記(C)硬化剤は前記(A)熱硬化性樹脂100重量部を基準として10~150重量部、あるいは20~100重量部、あるいは25~50重量部、あるいは25~40重量部で使用することができる。
【0077】
(D)無機充填材
前記半導体回路接続用接着剤組成物は、前記無機充填材としてアルミナ、シリカ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、およびホウ酸アルミニウムからなる群より選ばれた1種以上の無機粒子を含み得る。
【0078】
イオン性不純物を吸着して信頼性を向上させ得るイオン吸着剤を無機充填材として使用することもできる。前記イオン吸着剤としては水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウムのようなマグネシウム系、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミニウムウィスカー、ジルコニウム系無機物、およびアンチモンビスマス系無機物からなる群より選ばれた1種以上の無機粒子が適用され得る。
【0079】
前記無機充填材は、0.01~10μm、あるいは0.02~5.0μm、あるいは0.03~2.0μmの平均粒径(最長外径基準)を有することが好ましく適用される。前記無機充填材の粒径が過度に小さい場合、前記接着剤組成物内で凝集しやすくなる。反面、前記無機充填材の粒径が過度に大きい場合、前記無機充填材による半導体回路の損傷および接着フィルムの接着性低下が誘発され得る。
【0080】
前記(D)無機充填材は、前記(A)熱硬化性樹脂100重量部を基準として5~200重量部、あるいは50~200重量部、あるいは95~200重量部で使用することができる。
【0081】
(E)硬化触媒
前記半導体回路接続用接着剤組成物は、前記(E)硬化触媒としてリン系化合物、ホウ素系化合物、リン-ホウ素系化合物、およびイミダゾール系化合物からなる群より選ばれた1種以上の化合物を含み得る。
【0082】
前記硬化触媒は前記硬化剤の作用や前記半導体接着用樹脂組成物の硬化を促進させる役割をし、半導体接着フィルムなどの製造に使用されるものとして知られている硬化触媒を大きな制限なく使用することができる。
【0083】
前記硬化触媒の含有量は前記硬化剤の含有量と最終的に製造される接着フィルムの物性などを考慮して調節することができる。例えば、前記(E)硬化触媒は、前記(A)熱硬化性樹脂100重量部を基準として0.1~20重量部、あるいは0.5~15重量部、あるいは1.0~10重量部、あるいは1.5~5重量部、あるいは1.5~3重量部で使用することができる。
【0084】
(F)有機溶媒
前記半導体回路接続用接着剤組成物は有機溶媒をさらに含み得る。
【0085】
前記有機溶媒の含有量は、前記接着剤組成物およびそれを含む接着フィルムの物性、そしてこれら製造工程の生産性などを考慮して決定することができる。
【0086】
例えば、前記有機溶媒は、(A)熱硬化性樹脂、(B)熱可塑性樹脂、(C)硬化剤、(D)無機充填材、および(E)硬化触媒の総合計100重量部を基準として10~90重量部で含まれ得る。
【0087】
前記有機溶媒はエステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、およびスルホキシド類からなる群より選択された1種以上の化合物であり得る。
【0088】
前記エステル類溶媒は、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、エプシロン-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、オキシ酢酸アルキル(例えば、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなど、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチルなどであり得る。
【0089】
前記エーテル類溶媒は、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートなどであり得る。
【0090】
前記ケトン類溶媒は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、N-メチル-2-ピロリドンなどであり得る。
【0091】
前記芳香族炭化水素類溶媒は、トルエン、キシレン、アニソール、リモネンなどであり得る。
【0092】
前記スルホキシド類溶媒はジメチルスルホキシドなどであり得る。
【0093】
(G)カップリング剤
前記半導体回路接続用接着剤組成物はカップリング剤をさらに含み得る。
【0094】
前記カップリング剤の種類は特に制限されないが、好ましくは2-(3,4エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチル-ジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピル-トリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピル-トリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプトが含有された3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが好ましく適用される。
【0095】
(H)フラックス剤
前記半導体回路接続用接着剤組成物はフラックス剤をさらに含み得る。
【0096】
前記フラックス剤としては、カルボン酸類、フェノール類、およびアルコール類の中から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく適用される。
【0097】
前記カルボン酸類は、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸であり得る。
【0098】
前記脂肪族カルボン酸は、例えば、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、アリルマロン酸、2,2’-チオジ酢酸、3,3’-チオジプロピオン酸、2,2’-(エチレンジチオ)ジ酢酸、3,3’-ジチオジプロピオン酸、2-エチル-2-ヒドロキシ酪酸、ジチオジグリコール酸、ジグリコール酸、アセチレンジカルボン酸、マレイン酸、リンゴ酸、2-イソプロピルリンゴ酸、酒石酸、イタコン酸、1,3-アセトンジカルボン酸、トリカルバリン酸、ムコン酸、β-ヒドロムコン酸、コハク酸、メチルコハク酸、ジメチルコハク酸、グルタル酸、α-ケトグルタル酸、2-メチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、3,3-ジメチルグルタル酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、クエン酸、アジピン酸、3-tert-ブチルアジピン酸、ピメリン酸、フェニルシュウ酸、フェニル酢酸、ニトロフェニル酢酸、フェノキシ酢酸、ニトロフェノキシ酢酸、フェニルチオ酢酸、ヒドロキシフェニル酢酸、ジヒドロキシフェニル酢酸、マンデル酸、ヒドロキシマンデル酸、ジヒドロキシマンデル酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、スベリン酸、4,4’-ジチオジ酪酸、桂皮酸、ニトロ桂皮酸、ヒドロキシ桂皮酸、ジヒドロキシ桂皮酸、クマリン酸、フェニルピルビン酸、ヒドロキシフェニルピルビン酸、カフェ酸、ホモフタル酸、トリル酢酸、フェノキシプロピオン酸、ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ベンジルオキシ酢酸、フェニル乳酸、トロパ酸、3-(フェニルスルホニル)プロピオン酸、3,3-テトラメチレングルタル酸、5-オキソアゼライン酸、アゼライン酸、フェニルコハク酸、1,2-フェニレンジ酢酸、1,3-フェニレンジ酢酸、1,4-フェニレンジ酢酸、ベンジルマロン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ウンデカン二酸、ジフェニル酢酸、ベンジル酸、ジシクロヘキシル酢酸、テトラデカン二酸、2,2-ジフェニルプロピオン酸、3,3-ジフェニルプロピオン酸、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)吉草酸、ピマール酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、アガト酸などであり得る。
【0099】
前記芳香族カルボン酸は、例えば、安息香酸、2-ヒドロキシ安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,3,4-トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6-トリヒドロキシ安息香酸、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、2-[ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチル]安息香酸、1-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-1-ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸、3,5-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸、3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2-フェノキシ安息香酸、ビフェニル-4-カルボン酸、ビフェニル-2-カルボン酸、2-ベンゾイル安息香酸が挙げられる。これらの中でも、保存安定性や入手容易さの観点から、コハク酸、リンゴ酸、イタコン酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、アジピン酸、3,3’-チオジプロピオン酸、3,3’-ジチオジプロピオン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、スベリン酸、セバシン酸、フェニルコハク酸、ドデカン二酸、ジフェニル酢酸、ベンジル酸、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)吉草酸、アビエチン酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、2-[ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチル]安息香酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸などが挙げられる。
【0100】
前記カルボン酸類は単独で利用することもでき、2種以上を組み合わせて利用することもできる。
【0101】
前記フェノール類としては少なくとも2個のフェノール性水酸基を有する化合物であり得る。
【0102】
例えば、前記フェノール類は、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキシヒドロキノン、ピロガロール、メチリデンビフェノール(ビスフェノールF)、イソプロピリデンビフェノール(ビスフェノールA)、エチリデンビフェノール(ビスフェノールAD)、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシアセトフェノン、ポリp-ビニルフェノールなどであり得る。
【0103】
少なくとも2個のフェノール性水酸基を有する化合物としては、少なくとも1個のフェノール性水酸基を分子内に有する化合物から選択される1種以上の化合物;ハロメチル基、アルコキシメチル基またはヒドロキシルメチル基を分子内に2個有する芳香族化合物;およびジビニルベンゼンおよびアルデヒド類から選択される少なくとも1種の化合物との重縮合物が適用され得る。
【0104】
前記少なくとも1個のフェノール性水酸基を分子内に有する化合物としては、フェノール、アルキルフェノール、ナフトール、クレゾール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキシハイドロキノン、ピロガロール、メチリデンビフェノール(ビスフェノールF)、イソプロピリデンビフェノール(ビスフェノールA)、エチリデンビフェノール(ビスフェノールAD)、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシアセトフェノン、ポリp-ビニルフェノールが挙げられる。また、ハロメチル基、アルコキシメチル基またはヒドロキシルメチル基を分子内に2個有する芳香族化合物としては、例えば1,2-ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,3-ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2-ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、ビス(クロロメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニルが挙げられる。
【0105】
前記アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド(その水溶液としてホルマリン)、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミンが挙げられる。
【0106】
前記重縮合物としては、フェノールとホルムアルデヒドの重縮合物であるフェノールノボラック樹脂、クレゾールとホルムアルデヒドとの重縮合物であるクレゾールノボラック樹脂、ナフトール類とホルムアルデヒドとの重縮合物であるナフトールノボラック樹脂、フェノールと1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼンとの重縮合物であるフェノールアラルキル樹脂、ビスフェノールAとホルムアルデヒドの重縮合物、フェノールとジビニルベンゼンとの重縮合物、クレゾールとナフトールとホルムアルデヒドの重縮合物が挙げられる。そして、これらの重縮合物をゴム変性したものや分子骨格内にアミノトリアジン骨格やジシクロペンタジエン骨格を導入したものであり得る。
【0107】
また、前記フェノール性水酸基を有する化合物をアリル化することによって液状化したものとして、アリル化フェノールノボラック樹脂、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビフェノールなどが挙げられる。
【0108】
前記アルコール類としては分子内に少なくとも2個のアルコール性水酸基を有する化合物であり得る。
【0109】
例えば、前記アルコール類は、1,3-ジオキサン-5,5-ジメタノール、1,5-ペンタンジオール、2,5-フランジメタノール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、1,2,3-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、3-メチルペンタン-1,3,5-トリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、リビトール、ソルビトール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、1,3-ブチレングリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、N-ブチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)イソプロパノールアミン、ビス(2-ヒドロキシメチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1,1’,1’’,1’’’-(エチレンジニトリロ)テトラキス(2-プロパノール)等であり得る。
【0110】
中でも、N-ブチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)イソプロパノールアミン、ビス(2-ヒドロキシメチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1,1’,1’’,1’’’-(エチレンジニトリロ)テトラキス(2-プロパノール)等のように三級窒素原子を有する化合物はその他の化合物に比べて良好なフラックス活性を示すため好ましく使用することができる。
【0111】
II.半導体回路接続用接着フィルム
発明の他の一実施形態によれば、上述した接着剤組成物を含む半導体回路接続用接着フィルムが提供される。
【0112】
前記半導体回路接続用接着フィルムは上述した実施形態の半導体回路接続用接着剤組成物を含むことによって、半導体回路の熱圧着ボンディング時優れた接着力を示しながらも半導体回路の積層に伴うウエハの反り現象を最小化することができる。
【0113】
図1は発明の実施形態による半導体回路接続用接着フィルムの積層構成を示す断面図である。
【0114】
図1の(a)を参照すると、前記接着フィルムは支持基材1および接着層2が順に積層された構成を有し得る。
【0115】
図1の(b)を参照すると、前記接着フィルムは支持基材1、接着層2および保護フィルム3が順に積層された構成を有し得る。
【0116】
図1の(c)を参照すると、前記接着フィルムは、支持基材1、粘着層4、接着層2、および保護フィルム3が順に積層された構成を有し得る。
【0117】
前記支持基材としては、耐熱性や耐薬品性に優れた樹脂フィルム;前記樹脂フィルムを構成する樹脂を架橋処理した架橋フィルム;または前記樹脂フィルムの表面にシリコン樹脂などを塗布して剥離処理したフィルムなどが利用される。
【0118】
前記樹脂フィルムを構成する樹脂としてはポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタンなどを適用することができる。
【0119】
前記支持基材の厚さは特に限定されないが、3~400μm、あるいは5~200μm、あるいは10~150μmであり得る。
【0120】
前記接着層は上述した接着剤組成物からなる。前記接着剤組成物に関する内容は上述したとおりである。
【0121】
必要に応じて、前記支持基材と前記接着層との間には前記粘着層が介在し得る。前記粘着層としてはこの分野に公知されたものを特別な制限なしで適用することができる。
【0122】
前記保護フィルムの種類は特に制限されず、この分野に公知されたプラスチックフィルムを適用することができる。例えば、前記保護フィルムは低密度ポリエチレン、線状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレンのランダム共重合体、ポリプロピレンのブロック共重合体、ホモポリプロピレン、ポリメチルペンテン(polymethylpentene)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-アイオノマー共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリブテン、スチレンの共重合体などの樹脂を含むプラスチックフィルムであり得る。
【0123】
前記半導体回路接続用接着フィルムは、前記接着剤組成物の構成成分を混合した後、これを支持基材上に所定の厚さでコートして接着層を形成し、前記接着層を乾燥する方法で製造することができる。
【0124】
また、前記接着フィルムは前記支持基材上に接着層を形成した後前記接着層上に保護フィルムを積層する方法で製造することができる。
【0125】
また、前記接着フィルムは前記支持基材上に粘着層を形成した後前記粘着層上に接着層および保護フィルムを順に積層する方法で製造することができる。
【0126】
前記支持基材上に接着層を形成する方法は、前記接着剤組成物をそのままあるいは適切な有機溶媒に希釈してコンマコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなど公知の手段で前記支持基材または離型フィルム上に塗布した後、60℃~200℃の温度で10秒~30分間乾燥させる方法が用いられる。
【0127】
必要に応じて、前記接着層の十分な架橋反応を進行させるためのエージング工程が追加的に行われ得る。
【0128】
前記接着層の厚さは1~500μm、あるいは5~100μm、あるいは5~50μmの範囲で調節することができる。
【発明を実施するための形態】
【0129】
以下、発明の理解を深めるために好ましい実施例が提示される。しかし、下記の実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明はこれらにのみ限定するものではない。
【実施例】
【0130】
製造例1
(熱可塑性アクリレート樹脂の製造)
トルエン100gにブチルアクリレート40g、エチルアクリレート30g、アクリロニトリル30g,およびグリシジルメタクリレート5gを混合して80℃で約12時間の間反応してグリシジル基が分枝鎖に導入されたアクリレート系樹脂(重量平均分子量100,000g/mol、ガラス転移温度15℃)を合成した。
【0131】
製造例2
(熱可塑性アクリレート樹脂の製造)
トルエン100gにブチルアクリレート40g、エチルアクリレート30g、アクリロニトリル30g、グリシジルメタクリレート10gを混合して80℃で約12時間の間反応してグリシジル基が分枝鎖に導入されたアクリレート系樹脂(重量平均分子量500,000g/mol、ガラス転移温度17℃)を合成した。
【0132】
実施例1
(1)半導体回路接続用接着剤組成物の製造
エポキシ樹脂の硬化剤であるフェノール樹脂(GPH-65,日本化薬、水酸基当量198g/eq、軟化点65℃)30g;有機系液体エポキシ(KDS-8170,KUKDO化学、ビスフェノールFエポキシ樹脂、エポキシ当量157g/eq)15g;有機系固体エポキシ(EPPN-201L、日本化薬、エポキシ当量190g/eq)50g;有機無機系ハイブリッドエポキシ(EP0408,エポキシ当量177g/eq、エポキシシクロヘキシルPOSS、ハイブリッドプラスチックス)10g;前記製造例1で得られた熱可塑性アクリレート樹脂50g;無機充填材(YA050C、アドマテックス、球状シリカ、平均粒径約50nm)95g;およびイミダゾール硬化促進剤(C11Z-CNS,Curezol,SHIKOKU)2gをメチルエチルケトンに混合し、半導体回路接続用接着剤組成物(固形分50重量%)を得た。
【0133】
(2)接着フィルムの製造
コンマコーターを利用して前記接着剤組成物を離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)上に塗布した後110℃で3分間乾燥して約20μm厚さの接着層が形成された接着フィルムを得た。
【0134】
(3)半導体装置の製造
:高さ10μmおよびピッチ40μmの銅フィラに無鉛はんだが9μm高さで形成されている半導体素子であるバンプチップ(10.1mmx6.6mm)を含むウエハを準備した。
【0135】
前記ウエハのバンプ面に前記接着フィルムの接着層が位置するようにして50℃で真空ラミネーションを行った後、各チップに個別化した。
【0136】
個別化したバンプチップは熱圧着ボンダを利用して40μmピッチ接続パッドを有している12.1mmx8.1mm基材チップに熱圧着ボンディングを行った。その時の条件は、ヘッド温度120℃で2秒間100Nで仮接着し、ヘッド温度を瞬間260℃に上げて5秒間200Nで熱圧着ボンディングを行った。
【0137】
実施例2~12および比較例1~5
下記表1~表3に示す成分と含有量を適用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で半導体回路接続用接着剤組成物をそれぞれ準備した。
【0138】
そして前記接着剤組成物を使用して前記実施例1と同様の方法で接着フィルムを製造し、これを使用して半導体装置を製造した。
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
前記表1~表3に記載された成分は次のとおりである。
(a1)有機系固体エポキシ樹脂;(a2)有機系液体エポキシ樹脂;(a3)有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂;(B)熱可塑性樹脂;(C)硬化剤;(D)無機充填材;(E)硬化触媒
*EPPN-201L:固体エポキシ樹脂(日本化薬、エポキシ当量190g/eq.)
*NC-2000L:固体エポキシ樹脂(日本化薬、エポキシ当量237g/eq.)
*EOCN-104S:固体エポキシ樹脂(日本化薬、エポキシ当量218g/eq.)
*NC-3000:固体エポキシ樹脂(日本化薬、エポキシ当量275g/eq.)
*KDS-8170:液体エポキシ樹脂(KUKDO化学、エポキシ当量157g/eq.)
*CEL2021P:液体エポキシ樹脂(DAICEL、エポキシ当量130g/eq.)
*RE-310S:液体エポキシ樹脂(日本化薬、エポキシ当量180g/eq.)
*EP0408:前記化学式1の繰り返し単位を有する有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂(エポキシ当量177g/eq.、エポキシシクロヘキシルPOSS,(C8H13O)n(SiO1.5)n、粘度 500Pa・s、ハイブリッドプラスチックス)
*EP0409:前記化学式1の繰り返し単位を有する有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂(エポキシ当量167g/eq.、グリシジルPOSS,(C6H11O2)n(SiO1.5)n、粘度 48Pa・s、ハイブリッドプラスチックス)
*KHE-8000H:前記化学式1の繰り返し単位を有する有機無機系ハイブリッドエポキシ樹脂(エポキシ当量174g/eq.、黄色液体(無色~淡色)、粘度 1.9Pa・s,n=1である時推定分子量696g/mol、エポキシ基を有するRの推定分子量122g/mol、日本化薬)
*GPH-65:フェノール樹脂(日本化薬、水酸基当量198g/eq、軟化点:65℃)
*KA-1160:フェノール樹脂(DIC、水酸基当量:117g/eq、軟化点86℃)
*KH-6021:フェノール樹脂(DIC、水酸基当量:121g/eq、軟化点133℃)
*KPH-F3075:フェノール樹脂(コーロン油化、水酸基当量:175g/eq.、軟化点75℃)
*YA050C:充填材(アドマテックス、球状シリカ、平均粒径約50nm)
*YC100C:充填材(アドマテックス、球状シリカ、平均粒径約100nm)
*SC2050:充填材(アドマテックス、球状シリカ、平均粒径約400nm)
*C11Z-CNS:イミダゾール硬化促進剤(Curezol C11Z-CNS,SHIKOKU)
*2PZ:イミダゾール硬化促進剤(Curezol 2PZ,SHIKOKU)
【0143】
試験例
実施例および比較例による接着剤組成物、接着フィルム、または半導体装置についてそれぞれ下記のような試験を実施し、その結果を下記表4~表6に示した。
【0144】
(1)溶融粘度測定
実施例および比較例からそれぞれ得られた接着層を厚さ320μmになるまで重畳して積層した後60℃のロールラミネーターを利用してラミネートした。その後、各試験片を直径25mmの円形に成形した後、Anton Paar社のMCR302を利用して10Hzの剪断速度で10℃/分の昇温速度を適用して測定値の最も低い数値の粘度値を溶融粘度と判断した。
【0145】
(2)フィレット評価
実施例および比較例からそれぞれ得られた半導体装置について半導体素子の周辺にはみ出した接着剤組成物のうち最も長い長さを測定した。その結果、その長さが300μm以下の場合フィレット特性合格(O)、そしてその長さが300μm超過の場合フィレット特性不合格(X)と評価した。
【0146】
(3)ボイド評価
実施例および比較例からそれぞれ得られた半導体装置についてScanning Aco usitic Tomography(SAT)を介してバンプチップと基材チップの間にボイドが占める面積が1%以下になるものを合格(O)、そして1%超えるものを不合格(X)と評価した。
【0147】
(4)導通信頼性評価
実施例および比較例からそれぞれ得られた半導体装置についてデイジーチェーン接続が確認できたものを(O)、そしてデイジーチェーン接続が確認できなかったものを不合格(X)と評価した。
【0148】
(5)接続状態評価
実施例および比較例からそれぞれ得られた半導体装置について接続部を断面研磨して露出させて光学顕微鏡で観察した。接続部に接着組成物トラッピングが見られずハンダが配線に十分にぬれているものを合格(O)、そしてその以外のものを不合格(X)と評価した。
【0149】
(6)ウエハ反り特性評価
実施例および比較例からそれぞれ得られた厚さ20μm接着層を直径8インチおよび厚さ150μmのミラーウエハにラミネーションを行った後240℃オーブンで1時間硬化した後常温で縁の高さを測定した。その高さが2mm以内の場合は合格(O)、そして2mmを超えると不合格(X)と評価した。
【0150】
(7)信頼性評価(熱サイクルテスト)
実施例および比較例からそれぞれ得られた半導体装置について、各10個を準備して熱サイクル試験機条件-65℃~150℃、最低および最高温度で各45分支持の条件で処理して剥離発生の有無を評価した。500サイクルの終了後Scanning Acousitic Tomography(SAT)により10個すべてに剥離が確認されない場合は合格(O)、そして一つでも剥離が確認されると不合格(X)と評価した。
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
前記表4および5を参照すると、前記実施例1~12による接着剤組成物は半導体回路の熱圧着ボンディング時優れた接着力を示しながらも半導体回路の積層に伴うウエハの反り現象を最小化できることが確認される。
【0155】
それに比べて、前記表6を参照すると、前記比較例1~5による接着剤組成物はフィレット特性が良くないか、またはボイド不良および接続状態不良を誘発した。特に、前記比較例1~5による接着剤組成物は熱サイクルテストにおいてすべて不合格であった。
【符号の説明】
【0156】
1 支持基材
2 接着層
3 保護フィルム
4 粘着層