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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】自動車の要素の接続
(51)【国際特許分類】
   B62D 27/06 20060101AFI20221017BHJP
   B62D 29/04 20060101ALI20221017BHJP
   B62D 27/00 20060101ALI20221017BHJP
   B62D 65/00 20060101ALI20221017BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20221017BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20221017BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20221017BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20221017BHJP
   F16B 11/00 20060101ALI20221017BHJP
   F16B 5/08 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
B62D27/06
B62D29/04 B
B62D27/00
B62D65/00 Q
C09J133/00
C09J163/00
C09J175/04
C09J5/00
F16B11/00 A
F16B5/08 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019562594
(86)(22)【出願日】2018-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2018065393
(87)【国際公開番号】W WO2018234082
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】17177312.0
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【弁理士】
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ウェーバー
【審査官】藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第19929057(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0276969(US,A1)
【文献】米国特許第05228259(US,A)
【文献】特表2010-513129(JP,A)
【文献】実開昭61-047113(JP,U)
【文献】特表2005-511308(JP,A)
【文献】特表2015-502419(JP,A)
【文献】特表2008-531951(JP,A)
【文献】特開2014-128986(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0158741(US,A1)
【文献】特開2016-34787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 27/00 - 27/06
29/04
65/00
C09J 5/00
F16B 5/08
11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、自動車の要素を接続するための方法:
第1の要素(1)を提供すること、ここで、前記第1の要素(1)は、パネル状の形態を有し、かつ1つの表面上にエンボス加工、又は型押、又はスタンピングによって形成された凹部(3)を有する;
第2の要素(4)を提供すること;
前記第2の要素(4)の表面と前記第1の要素(1)の前記凹部(3)とが空洞(5)を形成するように前記第1の要素(1)及び前記第2の要素(4)を配置すること;
前記空洞(5)に接着剤を導入すること、ここで、前記接着剤を、充填口(2)を通じて前記空洞(5)に導入し、
前記空洞(5)への導入時の前記接着剤は、10~100℃の温度を有し、かつ/又は前記接着剤を、0.1~5cm /sの体積流量で前記空洞(5)に導入する
【請求項2】
以下の追加の工程を含む、請求項に記載の方法:
前記第1の要素(1)の前記表面上に前記凹部(3)を成形すること。
【請求項3】
以下の追加の工程を含む、請求項1又は2に記載の方法:
前記第1の要素(1)又は前記第2の要素(4)に前記充填口(2)を形成すること、ここで、前記充填口(2)は、前記空洞(5)へのアクセスを形成する。
【請求項4】
以下の追加の工程を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法:
前記接着剤を硬化させること。
【請求項5】
求項1~4のいずれか一項に記載の方法であって、下記を含む自動車のための接続された要素のシステムの要素(1、4)を用いて実行する方法:
1つの表面上に少なくとも1つの凹部(3)を有する前記第1の要素(1);
前記第2の要素(4)であって、前記第2の要素(4)の表面と前記第1の要素(1)の前記凹部(3)とが前記空洞(5)を形成するように前記第1の要素(1)上に配置される前記第2の要素(4);
前記空洞(5)へのアクセスを形成する前記充填口(2);及び
前記空洞(5)を少なくとも部分的に充填し、かつそれにより前記第1の要素(1)を前記第2の要素(4)に結合する接着剤
【請求項6】
前記第2の要素(4)は、パネル状の形態を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
前記第1の要素(1)及び/又は前記第2の要素(4)は、少なくとも部分的に金属、プラスチック又は繊維強化プラスチックからなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法
【請求項8】
前記第1の要素(1)の肩部(6)と前記第2の要素(4)との間の距離(9)は、最大で1mmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法
【請求項9】
凹部幅(17)は、3~50mmであり、つ/又は凹部深さ(18)は、0.5~5mmであり、つ/又は凹部長さ(16)は、15~500mmである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法
【請求項10】
前記接着剤は、以下の群:一成分型エポキシ接着剤、二成分型又は多成分型エポキシ接着剤、二成分型アクリル接着剤、二成分型ポリウレタン接着剤から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法
【請求項11】
前記充填口(2)は、0.5~10mmの直径(22)を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法
【請求項12】
前記凹部(3)は、長方形の、V字形の、U字形の又は不規則に成形された断面を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のための接続された要素のシステムに関し、また自動車の要素を接続するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
接続のために、押出形材、鋳物又はパネルなどの要素は、例えば、頻繁に互いに接着結合される。これは、接着剤の塊の形態で第1の要素に加えられる接着剤を使用して行われ、その後、2つの要素を結合するために、結合のための第2の要素が接着剤のこの塊に加えられる。しかしながら、この種の知られている方法の欠点は、結合される要素の管理及びまた接着剤の適用が、一方ではコストが高く、不便であり、他方では特定の制限を示すことである。例えば、この技術を使用して、互いの中で入れ子にされた要素を互いに結合することは難しい。この理由は、第2の要素の取付け時、第1の要素に加えられた接着剤の塊がはぎ取られることがあり、その結果、要素を互いに結合するために望ましい位置にもはや存在しないためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明が基づく目的は、自動車のための接続された要素の改良されたシステム及び自動車の要素を接続するための改良された方法を提供し、より経済的であり且つ管理がより容易である方法で自動車の要素を互いに接続することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、第一に、自動車のための接続された要素のシステムであって、1つの表面上に少なくとも1つの凹部を有する第1の要素と、第2の要素であって、第2の要素の表面と第1の要素の凹部とが空洞を形成するように第1の要素上に配置される第2の要素と、空洞へのアクセスを形成する充填口と、空洞を少なくとも部分的に充填し、且つそれにより第1の要素を第2の要素に結合する接着剤とを含むシステムによって実現される。
【0005】
ここで提案されるシステムの利点は、入れ子にされ、その結果、従来、接着剤の塊を使用して互いに接続できなかった要素を互いに接続するためにも使用できることである。したがって、ここで提案されるシステムは、それらの幾何学的形状に関係なく、要素を接続するために非常に広範に使用することができる。
【0006】
本発明の中心概念は、要素が互いに対してそれらの意図された位置に配置されるまで接着剤が加えられないことである。これは、要素を互いに対して配置するとき、すでに加えられた接着剤の塊を考慮する必要がなく、その結果、要素をより効率的に且つより経済的に配置できるという利点を有する。
【0007】
さらに、多数の要素が接続される場合、最初に要素のすべてをそれらの意図した位置に至らせることができる場合、次いで接着剤を一作業ですべての空洞に導入できることが利点である。結果的に、配置される前に、接続される要素ごとに個々に接着剤が与えられる必要はない。
【0008】
1つの例示的な実施形態において、第1の要素は、形材、鋳物又はパネル状要素であり、及び第2の要素は、形材、鋳物又はパネル状要素である。
【0009】
自動車のボディは、通常、そのような要素から構築される。その場合、互いに接続されるそのような要素の異なる組合せがあり得る。本発明の主要な利点は、したがって、ここで提案される要素を接続するためのシステムが、それらの成形、材料又は製造方法に関係なく、さまざまな要素に普遍的に適用できることである。したがって、本システムは、自動車の組立においてさまざまに採用することができる。
【0010】
本発明に関連して、名称「パネル状要素」は、金属から作られる要素だけでなく、プラスチック又は繊維強化プラスチックから作られる要素も明確に含む。したがって、この名称は、単に形態に関するものであり、要素の材料に関するものではない。
【0011】
本発明に関連して、名称「形材」は、異なる方法で製造される要素を明確に含む。それは、例えば、押出形材、内部高圧成形形材又は圧延パネル状要素を含む。
【0012】
本発明に関連して、名称「鋳物」は、異なる方法で製造される要素を明確に含む。例えば、それは、デッドモールド鋳造、インゴット鋳造又は連続ストランド鋳造によって製造される要素を含む。
【0013】
1つの例示的な実施形態では、第1の要素及び/又は第2の要素は、少なくとも部分的に金属、プラスチック又は繊維強化プラスチックからなる。
【0014】
好ましい改良形態では、第1の要素及び/又は第2の要素は、少なくとも部分的にポリアミド、特にPA 6.6(ナイロン)からなる。
【0015】
代替的な好ましい改良形態では、第1の要素及び/又は第2の要素は、少なくとも部分的に鋼、アルミニウム若しくはマグネシウム又はこれらの金属の組合せからなる。
【0016】
代替的な好ましい改良形態では、第1の要素及び/又は第2の要素は、少なくとも部分的にCFRP、GFRP又はSMCの群からの繊維強化プラスチックからなる。
【0017】
ここで提案されるシステムの利点は、特に異なる材料及び材料の組合せを互いに接続できることである。
【0018】
1つの例示的な実施形態において、肩部と第2の要素との間の距離は、最大で1mm、好ましくは最大で0.8mm、より好ましくは最大で0.5mm、より好ましくは最大で0.3mmである。
【0019】
肩部と第2の要素との間のそのような距離は、接着剤が第1の要素と第2の要素との間の開放空洞の領域に実質的にとどまり、その結果、その意図された位置で有効であることを保証する。選択される距離は、使用される接着剤に応じて、より詳細にはその粘性に応じてより大きいか又はより小さいことができる。原則として、肩部及び第2の要素は、直接的に互いを圧迫し、距離を0mmにし得る。
【0020】
1つの例示的な実施形態において、凹部幅は、3~50mm、好ましくは5~40mm、より好ましくは10~30mmである。
【0021】
1つの例示的な実施形態において、凹部深さは、0.5~5mm、好ましくは0.8~4mm、より好ましくは1~3mmである。
【0022】
1つの例示的な実施形態において、凹部長さは、15~500mm、好ましくは30~400mm、より好ましくは40~150mmである。
【0023】
そのような寸法形状の凹部の利点は、それが要素の接続と異なるシステムの用途を対象とするために使用できることである。
【0024】
凹部は、一定の断面を有し得るが、代替的な例示的実施形態では、凹部は、一定ではない断面も有し得る。その場合、凹部の長さ、幅及び深さは、形状が一定でなくてもよい。したがって、例えば、凹部の(例えば、充填口の下の)中間部よりも端部で深くない凹部又は平面図で楕円形状を有する凹部を実現することも可能である。
【0025】
当然のことながら、凹部は、その全長にわたって直線的に延在する必要はないが、代わりにまた湾曲し得るか又は方向がさまざまに変化し得る。
【0026】
1つの例示的な実施形態において、凹部は、V字形の、又はU字形の、又は角のある、又は半円形の、又は不規則に成形された断面を有する。
【0027】
さらなる例示的な実施形態において、凹部は、不規則に成形された断面を有する。その場合、例えば、凹部底部は、傾斜する設計であり得、その結果、その中で固化する接着剤は、楔形断面を有する。対応する相補性を有して形成されるこの種の接着剤の楔形断面及び凹部底部の楔形断面は、結合された要素の引張荷重を改良する効果を有することができ、それは、この幾何学的形状によって楔効果を実現することができるためである。したがって、例えば、第1の要素は、引張荷重に関してより効果的に第2の要素に結合することができる。
【0028】
同様に、凹部の断面は、要素間のさらにより良好な接続を実現するように、アンダーカット又は他の形態の接触を有しても形成され得る。
【0029】
さらなる例示的な実施形態において、凹部は、分岐を有する。
【0030】
さらなる例示的な実施形態において、凹部は、主要凹部と、それに接続された側方凹部とを有する。第1の要素の表面上の凹部の配置及び構成は、第1の要素が第2の要素に結合される位置に依存する。この目的のために、互いに離間して構成される複数の凹部を有する凹部が設けられ得るか、又は他に分岐及び/若しくは側方の凹部を有する凹部が設けられ得る。特に、側方凹部は、第1の要素と第2の要素との間の接合面を大きくするのに使用され得る。
【0031】
1つの好ましい実施形態において、第1の要素又は第2の要素は、空洞への接着剤の導入のための充填口を有する。
【0032】
この種の充填口の利点は、接着剤を空洞に直接導入できることである。
【0033】
1つの好ましい改良形態において、充填口は、直接凹部に通じている。その場合、充填口は、凹部の長さ及び/又は幅に対して中央に配置され得る。
【0034】
さらに、充填口は、凹部も有する第1の要素に配置され得るか、又は他に充填口は、第2の要素に配置され得る。原則として、充填口の配置は、(接着剤が導入される状況において)要素がどのようにアクセス可能であるかに依存する。
【0035】
1つの例示的な実施形態において、充填口は、0.5~10mm、好ましくは0.8~8mm、より好ましくは1~5mmの直径を有する。
【0036】
1つの例示的な実施形態において、第1の要素及び第2の要素は、第1の要素及び第2の要素の予備的な固定のため、接着剤が導入される前に少なくとも部分的に互いに接続される。1つの好ましい実施形態において、要素は、片側又は両側において機械的結合技術、より詳細にはリベット留め、溶接、螺合又はボルト留めによって事前に固定される。
【0037】
第2の要素に対して第1の要素を固定するためのこの種の要素は、接着剤が固化及び/又は完全に硬化する前に、要素が意図した位置にとどまるという利点を有する。
【0038】
1つの例示的な実施形態において、第1の要素及び第2の要素は、形材である。一例として、これらの形材は、異なる大きさの断面を有し、より小さい形材をより大きい形材に挿入することが可能である。その場合、凹部は、選択により、より小さい形材又はより大きい形材に設けることができ、それは、選択により、より大きい形材が本発明における第1の要素又は第2の要素であり得ることを意味する。
【0039】
さらなる例示的な実施形態において、第1の要素及び第2の要素は、いずれの場合にも、1つの形材及び1つのパネル状要素から形成される。また、その場合、凹部は、選択により、パネル状要素又は他に形材に設けることができる。したがって、それに応じて、形材は、第1の要素又は第2の要素となる。
【0040】
さらなる例示的な実施形態において、第1の要素及び第2の要素は、それぞれ鋳物及び形材である。その場合、例えば、鋳物は、形材を挿入することができる開口を有し得る。また、凹部は、形材又は鋳物のいずれにも設けられ得る。これも、鋳物が本発明における第1の要素又は他に第2の要素であり得ることを意味する。
【0041】
さらなる例示的な実施形態において、第1の要素及び第2の要素は、それぞれ鋳物である。その場合、例えば、ここで、鋳物の1つは、第2の鋳物の一部を挿入することができる開口を有し得る。また、凹部は、一方の鋳物又は他方の鋳物に設けられ得る。したがって、開口を有する鋳物は、選択により、本発明における第1の要素又は第2の要素である。
【0042】
さらなる例示的な実施形態において、第1の要素及び第2の要素は、パネル状要素である。その場合、凹部は、選択により、第1のパネル状要素又は第2のパネル状要素に設けることができる。同様に、第1のパネル状要素又は第2のパネル状要素は、本発明における第1の要素又は第2の要素である。
【0043】
さらなる例示的な実施形態において、第1の要素及び第2の要素は、それぞれパネル状要素及び鋳物である。例えば、U字形断面を有する2つのパネル状要素は、接着結合又は溶接されて空洞を形成し得る。鋳物は、例えば、この空洞に配置され得る。また、凹部は、パネル状要素又は鋳物のいずれにも配置され得る。同様に、鋳物は、本発明における第1の要素又は第2の要素である。
【0044】
3つ以上の要素を互いに結合することも可能であることが理解されるであろう。
【0045】
ここで提案されるシステムの本質的な利点は、形状が非常に異なる要素を互いに接続するために使用できることであり、それは、凹部を任意の望ましい要素上に設けることができるためである。これは、本明細書で提案される自動車のための接続された要素のシステムのさまざまな使用を可能にする。
【0046】
最初に述べられた目的は、自動車の要素を接続するための方法であって、第1の要素を提供するステップであって、第1の要素は、1つの表面上に凹部を有する、ステップと、第2の要素を提供するステップと、第2の要素の表面と第1の要素の凹部とが空洞を形成するように第1の要素及び第2の要素を配置するステップと、空洞に接着剤を導入するステップであって、接着剤は、充填口を通して空洞に導入される、ステップとを含む方法によってさらに実現される。
【0047】
ここで提案される方法は、本明細書で提案される接続された要素のシステムに関してすでに述べられたのと同じ利点も提供する。特に、結果として、要素の接着結合のための方法は、より経済的であり且つ管理をより容易にすることができる。
【0048】
1つの例示的な実施形態において、方法は、以下の追加のステップ:第1の要素の表面上に凹部を成形するステップを含む。
【0049】
この場合、凹部は、第1の要素の製造中に成形され得るか、又は他に凹部は、すでに製造された第1の要素上に成形され得る。適切な変形形態は、第1の要素の製造方法に従って選択され得る。
【0050】
1つの例示的な改良形態において、凹部は、成形中、エンボス加工、型押、スタンピング、機械加工、鋳造又は成型によって形成される。
【0051】
また、凹部を形成するための適切な方法は、第1の要素の製造方法に従ってここで選択することができる。
【0052】
1つの例示的な実施形態において、方法は、以下の追加のステップ:第1の要素又は第2の要素に充填口を形成するステップであって、充填口は、空洞へのアクセスを形成する、ステップを含む。
【0053】
1つの例示的な実施形態において、方法は、以下の追加のステップ:接着剤を硬化させるステップを含む。
【0054】
1つの例示的な改良形態において、接着剤の硬化は、少なくとも120℃、好ましくは少なくとも140℃、より好ましくは少なくとも160℃の温度の使用によって実行される。
【0055】
一例として、接着剤の硬化は、通常、ボディの陰極電気塗装(CEC)後に採用される種類の炉で行われ得る。そのような炉を占める温度は、通常、120℃~220℃である。そのような温度は、特に本発明に関連して使用することができる接着剤の完全硬化のために適切である。接続された要素及び固化された接着剤を有するボディは、いかなる場合でも、電気塗装及びそれに続く塗装系を完全に硬化させるための加熱の操作を受けるため、電気塗装後の炉でのこの加熱の利用は、接着剤を完全に硬化させるために特に有益である。
【0056】
1つの例示的な実施形態において、空洞への導入中の接着剤の温度は、10~100℃、好ましくは20~80℃、より好ましくは30~70℃である。
【0057】
1つの例示的な実施形態において、接着剤は、0.1~5cm/s、好ましくは0.5~4cm/s、より好ましくは1~3cm/sの体積流量で空洞に導入される。
【0058】
1つの例示的な実施形態において、接着剤は、空洞への導入時、ポンプを介して接着剤タンクから搬送される。
【0059】
1つの例示的な実施形態において、接着剤は、空洞への導入時、第1の要素又は第2の要素の充填口を通して搬送される。
【0060】
第1の要素又は第2の要素への充填口の提供は、それにより、接着剤を、例えばロボットを使用して単純な方法で空洞に導入できるという利点を有する。
【0061】
使用することができるさまざまな接着剤がある。一例として、接着剤は、以下の追加の群:一成分型(一液型)エポキシ接着剤、二成分型(二液型)若しくは多成分型(多液型)エポキシ接着剤、二成分型(二液型)アクリル酸又は二成分型(二液型)ポリウレタン接着剤から選択され得る。
【0062】
1つの特定の例示的な実施形態では、SikaPower(登録商標)という名称で市販されている接着剤が使用される。一例として、市販の製品SikaPower(登録商標)-497及びSikaPower(登録商標)-477Rを使用することができる。
【0063】
代替的な特定の実施例では、SikaFast(登録商標)又はSikaForce(登録商標)の名称で市販されている接着剤が使用される。
【0064】
適切な接着剤は、使用される第1の要素及び第2の要素の材料及び表面に従って且つ/又は接着剤の適用パラメータに従って選択され得る。
【0065】
本発明の詳細及び利点は、実施例を参照して且つ概咯図を参照して以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】自動車のボディの例示的な表現を示す。
図2】例示的な第1の要素の概略図を示す。
図3】例示的な第1の要素及び第2の要素の概略図を示す。
図4a-4c】例示的な第1の要素及び第2の要素の概略図を示す。
図5a-5b】例示的な第1の要素及び第2の要素の概略図を示す。
図6a-6b】例示的な第1の要素及び第2の要素の概略図を示す。
図7】導入装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
自動車のボディ10が図1に概略的に示される。ここで、ボディ10は、例えば、柱14及びクロスストラット12などのさまざまな構造を含む。この種の及び他の種類のボディ10の構造は、適切な方法で互いに接続されなければならない。特に、形材、鋳物及びパネル状要素が互いに接続され得る。
【0068】
第1の要素1の詳細が図2に概略的に示される。ここで、第1の要素1は、その表面上に凹部3を有する。第1の要素1の表面は、凹部3に隣接して肩部6を形成する。ここで、凹部3は、凹部長さ16を有する。
【0069】
第1の要素1及び第2の要素4の詳細の断面が図3に概略的に示される。第1の要素1は、第1の要素1の表面上に形成される凹部3も有する。ここで、凹部3は、凹部幅17及び凹部深さ18を有する。この例示的な実施形態における凹部3の断面は、長方形の形態である。肩部6は、凹部3にも隣接して形成される。
【0070】
次いで、第2の要素4は、空洞5が第1の要素1の凹部3と第2の要素4との間に形成されるように第1の要素1に対して配置される。
【0071】
この場合、第1の要素1の肩部6と第2の要素4の表面との間の距離9がある。図3において、この距離9は、より効果的な識別のために誇張されている。1つの例示的な実施形態によると、この距離9は、最大で1mmである。
【0072】
この例示的な実施形態の第2の要素4は、直径22を有する充填口2を有する。この充填口2を通して、接着剤(この図には示されていない)を空洞5に導入することができる。
【0073】
示されていない代替的な実施形態において、充填口は、第1の要素1にも配置され得る。アクセスのしやすさに応じて、第1の要素又は第2の要素への充填口の配置は、利点を伴い得る。
【0074】
図4a~4cは、例示的な第1の要素1及び例示的な第2の要素4のさまざまな実施形態を示す。凹部3は、いずれの場合にも、第1の要素1の1つの表面上に配置される。空洞5は、いずれの場合にも、この凹部3と第2の要素4との間に形成される。
【0075】
図4aの例示的な第1の要素1は、V字形の断面を有する凹部3を有する。この例示的な実施形態において、充填口2は、第2の要素4に配置される。
【0076】
図4bによる例示的な実施形態において、第1の要素1は、U字形又は半円形の断面を有する凹部3を有する。この例示的な実施形態において、充填口2は、第2の要素4にも配置される。
【0077】
図4cに示されている第1の要素1の例示的な実施形態は、長方形の断面を有する凹部3を有する。この例示的な実施形態において、充填口2は、第1の要素1に配置される。
【0078】
図5a及び5bは、それぞれ第1の要素1及び第2の要素4を示し、図5aは、結合のためにそれらを配置する前の要素を示し、図5bは、結合のために互いに対して配置された要素を示す。この例示的な実施形態において、要素1、4は、それぞれ金属パネルの形態である。この場合、第1の要素1の凹部3は、エンボス加工又はスタンピングによってパネルに成形された。
【0079】
図5aにおいて、穴20が要素1、4に示されている。図5bは、本例において、ネジとして実装され、穴20を通して突出する締結手段21を示す。これらの締結手段21は、接着剤が充填口2を通して導入される前に第1の要素1及び第2の要素4を互いに対して固定する役割を果たす。
【0080】
第1の要素1の第2の要素4との例示的な組合せが図6aに示されている。この場合、第1の要素1は、湾曲したパネル状要素の形態をとり、第2の要素4は、形材の形態をとる。この例示的な実施形態では、充填口2は、第1の要素1に配置される。
【0081】
第1の要素1の第2の要素4とのさらなる例示的な組合せが図6bに示されている。この場合、第1の要素1は、形材の形態をとり、第2の要素4は、鋳物の形態をとる。この例示的な実施形態では、充填口2は、第2の要素4に配置される。
【0082】
第1の要素と第2の要素との間の空洞(この描写では明確ではない)に接着剤を導入するための装置が図7に示されている。ここで、ポンプ25は、接着剤タンク24から第1の要素1の充填口2を通して、第1の要素1と第2の要素4との間の空洞に接着剤を搬送する。
【0083】
第1の要素1及び第2の要素4は、締結手段21によって事前に固定され、そのため、接着剤が導入されるとき、互いに対する要素の相対配置が変化しない。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む:
[1]自動車のための接続された要素のシステムであって、
1つの表面上に少なくとも1つの凹部(3)を有する第1の要素(1)
第2の要素(4)であって、前記第2の要素(4)の表面と前記第1の要素(1)の前記凹部(3)とが空洞(5)を形成するように前記第1の要素(1)上に配置される第2の要素(4);
前記空洞(5)へのアクセスを形成する充填口(2);及び
前記空洞(5)を少なくとも部分的に充填し、且つそれにより前記第1の要素(1)を前記第2の要素(4)に結合する接着剤;
を含むシステム。
[2]前記第1の要素(1)及び/又は前記第2の要素(4)は、パネル状要素、形材又は鋳物である、上記[1]に記載のシステム。
[3]前記第1の要素(1)及び/又は前記第2の要素(4)は、少なくとも部分的に金属、プラスチック又は繊維強化プラスチックからなる、上記[1]又は[2]に記載のシステム。
[4]前記第1の要素(1)の肩部(6)と前記第2の要素(4)との間の距離(9)は、最大で1mmである、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載のシステム。
[5]凹部幅(17)は、3~50mmであり、且つ/又は凹部深さ(18)は、0.5~5mmであり、且つ/又は凹部長さ(16)は、15~500mmである、上記[1]~[4]のいずれか一つに記載のシステム。
[6]前記接着剤は、以下の群:一成分型エポキシ接着剤、二成分型又は多成分型エポキシ接着剤、二成分型アクリル接着剤、二成分型ポリウレタン接着剤から選択される、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載のシステム。
[7]前記充填口(2)は、0.5~10mmの直径(22)を有する、上記[1]~[6]のいずれか一つに記載のシステム。
[8]前記凹部(3)は、長方形の、V字形の、U字形の又は不規則に成形された断面を有する、上記[1]~[7]のいずれか一つに記載のシステム。
[9]以下の工程を含む、自動車の要素を接続するための方法:
第1の要素(1)を提供すること、ここで、前記第1の要素(1)は、1つの表面上に凹部(3)を有する;
第2の要素(4)を提供すること;
前記第2の要素(4)の表面と前記第1の要素(1)の前記凹部(3)とが空洞(5)を形成するように前記第1の要素(1)及び前記第2の要素(4)を配置すること;
前記空洞(5)に接着剤を導入すること、ここで、前記接着剤を、充填口(2)を通じて前記空洞(5)に導入する。
[10]以下の追加の工程を含む、上記[9]に記載の方法:
前記第1の要素(1)の前記表面上に前記凹部(3)を成形すること。
[11]前記凹部(3)は、成形中、エンボス加工、又は型押、又はスタンピングによって形成される、上記[10]に記載の方法。
[12]以下の追加の工程を含む、上記[9]~[11]のいずれか一つに記載の方法:
前記第1の要素(1)又は前記第2の要素(4)に前記充填口(2)を形成すること、ここで、前記充填口(2)は、前記空洞(5)へのアクセスを形成する。
[13]以下の追加の工程を含む、上記[9]~[12]のいずれか一つに記載の方法:
前記接着剤を硬化させること。
[14]前記空洞(5)への導入時の前記接着剤は、10~100℃の温度を有し、且つ/又は前記接着剤を、0.1~5cm /sの体積流量で前記空洞(5)に導入する、上記[9]~[13]のいずれか一つに記載の方法。
[15]上記[1]~[8]のいずれか一つに記載のシステムの要素(1、4)を用いて実行する、上記[9]~[14]のいずれか一つに記載の方法。
【符号の説明】
【0084】
1 第1の要素
2 充填口
3 凹部
4 第2の要素
5 空洞
6 肩部
9 肩部と第2の要素との間の距離
10 ボディ
12 クロスストラット
14 柱
16 凹部長さ
17 凹部幅
18 凹部深さ
20 穴
21 締結手段
22 充填口の直径
24 接着剤タンク
25 ポンプ
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図7