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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】検体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20221017BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
G01N35/04 G
B65G54/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021527371
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2020011970
(87)【国際公開番号】W WO2020261672
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2019118329
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田村 一真
(72)【発明者】
【氏名】山口 茂輝
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 洋
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-072591(JP,A)
【文献】特開昭62-125409(JP,A)
【文献】特開平09-264980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/04
B65G 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器を保持するとともに、磁性体が設けられた検体ホルダと、
搬送面の下に配置され、前記磁性体を吸引または反発することで前記検体ホルダを搬送および停止させる第1位置決め手段と、
を備えた検体搬送装置において、
前記検体ホルダまたは前記検体容器を押し付ける第2位置決め手段が、前記搬送面の上に配置され、
前記第1位置決め手段は、電磁石に電流を供給することで前記搬送面の上に磁場を発生させるものであって、
前記第2位置決め手段の少なくとも一部が、前記第1位置決め手段が発生させる磁場から受ける磁力によって、前記検体ホルダを押し付けることを特徴とする検体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体搬送装置において、
前記第1位置決め手段が、前記検体ホルダを目標位置の近辺まで搬送して停止させた後、
前記第2位置決め手段が、前記検体ホルダを前記目標位置へ更に近づけることを特徴とする検体搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検体搬送装置において、
前記第2位置決め手段は、前記検体ホルダまたは前記検体容器を複数個所から挟み込むことを特徴とする検体搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検体搬送装置において、
前記第2位置決め手段のうち前記検体ホルダまたは前記検体容器と当接する面に、凹部を有することを特徴とする検体搬送装置。
【請求項5】
請求項3に記載の検体搬送装置において、
前記第2位置決め装置は、前記検体ホルダまたは前記検体容器を押し付ける押し付け機構と、前記搬送面の上に固定された衝立と、を有することを特徴とする検体搬送装置。
【請求項7】
請求項1に記載の検体搬送装置において、
前記第2位置決め手段の少なくとも一部が、前記第1位置決め手段が発生させる磁場から受ける磁力によって、前記搬送面の上を移動することを特徴とする検体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や検査施設では、患者などから供される血液や尿などの検体が臨床検査のための分析装置により分析される。分析に先立ち、検体検査自動化システムでは遠心分離や開栓、分注といった前処理が検体に対して行われ、前処理後の検体が分析装置に搬送される。検体検査自動化システム内での検体の搬送には、検体の入った1本の検体容器を搭載可能な検体ホルダが用いられ、搬送面を滑走させて搬送させる。
【0003】
その搬送方法としては、搬送面の下方に固定されて配列された複数の電磁アクチュエータにより磁場を発生させることで、検体ホルダ内の磁石を吸引・反発させることにより搬送面上を滑走させる手法が知られている。例えば、特許文献1には、検体ホルダを停止させる際に「終点電磁アクチュエータが電磁的センタリング引力を印加し、終点電磁アクチュエータに隣接して配置された電磁アクチュエータがセンタリング斥力を印加する」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2017-527804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、電磁アクチュエータの吸引力や反発力だけで検体ホルダをセンタリングしようとしても、検体ホルダの重量や搬送面の摩擦力によって、センタリングの精度にバラツキが生じる懸念がある。このように、検体ホルダの停止位置がずれた状態にあると、検体容器をアームで挿抜したりする際に、アーム等が検体容器と接触するなどし、場合によっては、検体容器を転倒させてしまう可能性もある。
【0006】
本発明の目的は、検体ホルダを特定の場所に精度よく位置させ、安定した処理を行うことのできる、信頼性の高い検体搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、検体容器を保持するとともに磁性体が設けられた検体ホルダと、前記磁性体を吸引または反発することで前記検体ホルダを搬送および停止させる第1位置決め手段と、を備えた検体搬送装置において、前記検体ホルダまたは前記検体容器を押し付ける第2位置決め手段を設けた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検体ホルダを特定の場所に精度よく位置させ、安定した処理を行うことのできる、信頼性の高い検体搬送装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1における検体搬送装置の模式図(解放時)
図2】実施例1における押し付け機構の断面図(解放時)
図3】実施例1における検体搬送装置の模式図(押し付け時)
図4】実施例1における押し付け機構の断面図(押し付け時)
図5】実施例2における検体搬送装置の模式図(解放時)
図6】実施例2における押し付け機構の断面図(解放時)
図7】実施例2における検体搬送装置の模式図(押し付け時)
図8】実施例2における押し付け機構の断面図(押し付け時)
図9】実施例3における検体搬送装置の模式図(押し付け時)
図10】実施例3における押し付け機構の断面図(押し付け時)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本実施例に係る検体搬送装置を表す模式図である。制御装置2に接続された検体搬送装置1の搬送面4上面は、摩擦力の小さい平らな面で構成されており、その背面側(下方)には、制御装置2で制御可能な電磁アクチュエータ10が等間隔に配列されている。ここで、電磁アクチュエータ10は、磁性体からなるコアと、このコアの外周に巻かれた巻線と、により、電磁石としたものであり、第1位置決め手段に相当する。搬送ポジションa部5には、検体容器を1本搭載可能な検体ホルダ500が、検体容器501を搭載した状態で待機している。検体ホルダ500は、内部に図示しない磁性体が設けられている。そのため、制御装置2で電磁アクチュエータ10に電流を供給して搬送面4上に磁場を発生させることで、検体ホルダ500内の磁性体を吸引・反発することができる。その結果、電磁アクチュエータ10の配列に沿って搬送面4上を、2次元に検体ホルダ500を搬送させることが可能となる。なお、検体ホルダ500内に設けられる磁性体の例としては、ネオジムやフェライトなどの永久磁石が望ましいが、その他の磁石や軟磁性体でも良い。
【0012】
また、搬送ポジションb部6の上方には、検体容器501を把持するアームが備えられている。そして、搬送ポジションb部6に検体ホルダ500が搬送された状態のときに、検体ホルダ500に保持された検体容器501を、アームによって把持し挿抜することができる。また、搬送ポジションb部6を挟んで両側には、水平方向に移動して検体ホルダ500を押し付ける押し付け機構100a,100bが左右対称に設けられている。
【0013】
図2は、図1における搬送ポジションb部6を矢印900から見たときの断面を示したものである。搬送面4の下には、電磁アクチュエータ10a,10b,10cが配列されている。そして、搬送面4を挟んで電磁アクチュエータ10aの直上に押し付け機構100aが位置し、搬送面4を挟んで電磁アクチュエータ10cの直上に押し付け機構100bが位置している。
【0014】
ここで、第2位置決め手段に相当する押し付け機構100aは、主に搬送面設置部101a、スライド部102aおよび押し付け可動部103aから構成されている。搬送面設置部101aが搬送面4に固定され、スライド部102aが搬送面設置部101aに移動可能に固定され、押し付け可動部103aがスライド部102aに固定されている。また、押し付け可動部103aは、中央に凹部を有する先端部105aと、永久磁石104aと、を有している。この凹部は、押し付け機構100aで検体ホルダ500を押し付ける際、検体ホルダ500を押し付け可動部103aの中央に寄せ易くするものであり、検体ホルダ500の位置ずれを補正するのに寄与している。なお、永久磁石104aは、他の磁性体であっても良い。
【0015】
そして、電磁アクチュエータ10aが搬送面4上に磁場を発生させると、押し付け可動部103aの永久磁石104aに電磁力が作用し、スライド部102aの方向に沿って押し付け可動部103aが移動するようになっている。図2は、押し付け機構100aが最も開いた状態を示している。
【0016】
ここで、永久磁石104aの可動範囲は、電磁アクチュエータ10aの軸上よりも常に内側(電磁アクチュエータ10b側)にあるように制限している。このため、押し付け可動部103aが意図せず逆の向きに移動してしまうのを抑制できる。なお、押し付け機構100bは、押し付け機構100aと同じ構造で構成されている。
【0017】
次に、検体ホルダ500を搬送する方法について説明する。本実施例では、図1の搬送経路200に従い、検体ホルダ500を搬送ポジションa部5から搬送ポジションb部6へ搬送する場合について説明する。
【0018】
まず、検体ホルダ500が搬送ポジションa部5にあるとき、検体ホルダ500直下の電磁アクチュエータは、検体ホルダ500の磁性体に対して反発力が作用するような磁場を発生させる。このとき、進行方向にある隣接した電磁アクチュエータは、検体ホルダ500の磁性体に対して吸引力が作用するような磁場を発生させる。このような反発力と吸引力により、検体ホルダ500の磁性体に進行方向への推力が加わり、検体ホルダ500が搬送面4上で滑走し、進行方向にある隣接した電磁アクチュエータ直上に移動する。この電磁アクチュエータによる吸引と反発の制御を繰り返すことで、検体ホルダ500は搬送ポジションb部6まで到達する。しかし、検体ホルダ500は、搬送ポジションb部6直下の電磁アクチュエータ10bの軸上から少なからずずれた位置に停止する。
【0019】
このように、第1位置決め手段である電磁アクチュエータが、目標位置である電磁アクチュエータ10bの軸上の近辺まで検体ホルダ500を搬送して停止させた後は、第2の位置決め手段である押し付け機構100a,100bが、電磁アクチュエータ10bの軸上へ検体ホルダ500を更に近づける。次に、ずれた位置に停止した検体ホルダ500を、電磁アクチュエータ10bの軸上にセンタリングする方法について説明する。
【0020】
具体的には、まず電磁アクチュエータ10bへの電流供給を停止し、検体ホルダ500の磁性体に作用する吸引力を停止する。つぎに、押し付け機構100aの直下にある電磁アクチュエータ10aおよび押し付け機構100bの直下にある電磁アクチュエータ10cに対して、同時に電流を供給する。このときの電流は、押し付け可動部の各永久磁石104a,104bに反発力を作用させるような向きとする。すると、永久磁石104a,104bに対して、各電磁アクチュエータから遠ざかる向き(電磁アクチュエータ10b側)に力が加わる。その結果、押し付け可動部103a,103bが内側に移動し、図3および図4の通り、検体ホルダ500を相対するように挟み込んで、検体ホルダ500の位置ずれを補正できる。
【0021】
検体ホルダ500のセンタリングが完了すると、図示しないアームが、下降して検体ホルダ500上の検体容器501を把持した後、上昇して検体容器501を引き抜く。引き抜かれた検体容器501は、そのまま別の搬送装置や分析装置等へ移載される。
【0022】
また、空になった検体ホルダ500を再び搬送させるため、今度は電磁アクチュエータ10aおよび電磁アクチュエータ10cに対して、各永久磁石104a,104bに吸引力が作用するような向きに電流を同時に供給する。すると、永久磁石104a,104bに対して、各電磁アクチュエータに近づく向きに力が加わり、押し付け可動部103a,103bがセンタリング時とは反対の外側へ移動し、検体ホルダ500が押し付け状態から解放される。その後は、搬送経路201に従い、各電磁アクチュエータによって、検体ホルダ500が搬送ポジションc部7へ搬送される。
【0023】
このように、本実施例では、搬送面4の下に配置されて検体ホルダ500を磁気的に搬送および停止させる第1位置決め手段(電磁アクチュエータ)だけでなく、搬送面4の上に配置され、検体ホルダ500を機械的に押し付ける第2位置決め手段(押し付け機構)も有している。このため、検体ホルダ500の停止位置にずれがあっても、第2位置決め手段が検体ホルダ500に物理的に接触して、位置ずれを補正できる。その結果、検体容器501を挿抜する際にアームが検体容器501と接触したり、検体容器501に分注プローブを挿抜する際に検体容器501と接触したり、するのを防止できる。
【0024】
また、本実施例では、第2位置決め手段(押し付け機構)を動作させる際に、第1位置決め手段である電磁アクチュエータの電磁石を利用しているので、搬送面4上に新たなアクチュエータを追加する必要がない。したがって、新たなアクチュエータが発する熱による検体の劣化を防止できるだけでなく、検体搬送装置が大型化するのも防止できる。
【0025】
なお、本実施例では、押し付け機構が押し付ける対象は、検体ホルダ500であるが、検体容器501であっても良い。また、本実施例では、検体ホルダ500と当接する面である押し付け可動部103a,103b先端に凹部を設けたが、これに限らない。例えば、押し付け可動部103a,103bの先端にそれぞれベアリングを設けておき、検体ホルダ500を押し付けたときに、検体ホルダ500が2つのベアリングの間に入り込むようにして、位置ずれを補正しても良い。
【実施例2】
【0026】
実施例2の検体搬送装置11の構造を図5および図6に示す。本実施例は、搬送ポジションb部6で検体ホルダ500をセンタリングするための構成が、実施例1と異なっている。すなわち、本実施例では、押し付け機構100aが片側のみにあり、もう片側の押し付けのために衝立110が搬送面4上に固定されている。
【0027】
次に、本実施例における検体ホルダ500のセンタリングの方法について説明する。検体ホルダ500が電磁アクチュエータ10bの直上付近まで搬送されると、電磁アクチュエータ10bへの電流供給を停止し、検体ホルダ500の磁性体に作用する吸引力を停止する。その後、押し付け機構100aの直下にある電磁アクチュエータ10aに対して、押し付け可動部103aの永久磁石104aに反発力が作用するような向きに、電流を供給する。すると、永久磁石104aに対して、電磁アクチュエータ10aから遠ざかる向き(電磁アクチュエータ10b側)に力が加わる。その結果、押し付け可動部103aが内側に移動し、図7および図8の通り、検体ホルダ500を衝立110へ押し当てて、検体ホルダ500の位置ずれを補正できる。
【0028】
ただし、検体ホルダ500は、電磁アクチュエータ10bの軸上ではなく、衝立110へ押し当てられた位置でセンタリングされる。このため、検体容器501を挿抜する際には、当該位置の上方へアームを移動させることになる。
【0029】
また、検体容器501の挿抜が完了すると、空になった検体ホルダ500を再び搬送させるため、今度は電磁アクチュエータ10aに対して、永久磁石104aに吸引力が作用するような向きに電流を供給する。すると、押し付け可動部103aがセンタリング時とは反対の外側(電磁アクチュエータ10a側)へ移動し、検体ホルダ500の押し付け状態が解放される。
【0030】
このとき、検体ホルダ500は電磁アクチュエータ10b直上になく、このまま搬送ポジションc部7へ搬送すると、衝立110の凹部により、搬送が正常に行えない。このため、電磁アクチュエータ10bによって検体ホルダ500の磁性体を吸引することで、検体ホルダ500を電磁アクチュエータ10b直上にずらす。その後は、実施例1と同様の手法により、搬送ポジションa部5から搬送ポジションb部6へ搬送される。
【0031】
なお、衝立110は、凹部がなく平らな形状であっても、押し付け機構100aの先端部105aが凹部を有しているため、センタリングを行うことは可能である。したがって、凹部のない衝立110を、電磁アクチュエータ10b軸上から検体ホルダ500の半径の距離だけ離れた位置に設置することもできる。この場合、押し付け機構100aの先端部105aで検体ホルダ500を押し付けたとき、検体ホルダ500は電磁アクチュエータ10bの軸上付近にセンタリングされるため、検体ホルダ500の磁性体を吸引して電磁アクチュエータ10b直上にずらす制御は不要となる。
【0032】
本実施例によれば、実施例1と同様に、検体ホルダ500を押し付ける第2位置決め手段を有しているため、検体ホルダ500を特定の場所に精度よく位置させ、安定した処理を行うことのできる、信頼性の高い検体搬送装置を提供できる。さらに、本実施例では、第2位置決め手段の一部を、搬送面4上に固定された衝立110で構成し、押し付け機構を1つとしたため、実施例1よりも安価な検体搬送装置を提供することも可能である。
【0033】
なお、第2位置決め手段は、複数個所から検体ホルダ500を物理的に挟み込む構成であれば、複数個所のうちのどれかが固定されたものであっても構わない。ただし、一方側から検体ホルダ500と2点以上で接触させ、他方側からも検体ホルダ500と2点以上で接触させるような構成が、センタリングの精度向上のためには望ましい。
【実施例3】
【0034】
実施例3の検体搬送装置21の構造を図9および図10に示す。本実施例も、実施例1同様に、検体ホルダ500の両側に、押し付け機構120a,120bを設け、各押し付け機構120a,120bは永久磁石121a,121bを有しており、各先端部122a,122bは、中央に凹部が形成されている。
【0035】
本実施例では、検体ホルダ500をセンタリングするとき、押し付け機構120a,120b直下の電磁アクチュエータ10a,10cに対して、各永久磁石121a,121bに反発力を作用させるような向きに電流を同時に供給する。また、検体ホルダ500の直下付近にある電磁アクチュエータ10bに対しても、各永久磁石121a,121bに吸引力を作用させるような向きに電流を同時に供給する。このとき、電磁アクチュエータ10bに対して供給する電流は、電磁アクチュエータ10a,10cよりも弱いものとする。
【0036】
すると、電磁アクチュエータ10a,10cによる反発力と、電磁アクチュエータ10bによる吸引力の推力によって、押し付け機構120a,120bの各永久磁石121a,121bが電磁アクチュエータ10b側に引き寄せられる。つまり、本実施例では、押し付け機構120a,120bそのものが、相対する向きに移動することで、検体ホルダ500を挟み込んで、検体ホルダ500の位置ずれを補正する。このとき、検体ホルダ500も電磁アクチュエータ10bによって吸引された状態であるが、両隣の押し付け機構120a,120bの推力のほうが強力であるため、電磁アクチュエータ10bの軸上へセンタリングできる。
【0037】
なお、押し付け機構120a,120bが検体ホルダ500の押し付け状態を解放するときは、電磁アクチュエータ10bによる検体ホルダ500の吸引を停止し、電磁アクチュエータ10a,10cは反発から吸引に切り替える。これにより、押し付け機構120a,120bは、それぞれ電磁アクチュエータ10a,10b直上に移動し、検体ホルダ500の解放が完了する。
【0038】
次に、押し付け機構120aは、搬送ポジションd部8へ戻す方法について説明する。まず、移動前の押し付け機構120aの直下にある電磁アクチュエータ10aに対して、永久磁石121aに反発力を作用させるような向きに電流を供給すると同時に、移動先の隣接した電磁アクチュエータ10dに対して、永久磁石121aに吸引力を作用させるような向きに電流を供給する。すると、押し付け機構120aの永久磁石121aが電磁アクチュエータ10d側に引き寄せられ、押し付け機構120aは、電磁アクチュエータ10d直上の搬送ポジションd部8への移動が完了する。
【0039】
本実施例によれば、押し付け機構そのものを搬送面4上の任意の場所に移動できるので、検体ホルダ500を任意の場所に精度よく位置させることが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1 検体搬送装置
2 制御装置
4 搬送面
5 搬送ポジションa部
6 搬送ポジションb部
7 搬送ポジションc部
8 搬送ポジションd部
10, 10a, 10b, 10c、10d 電磁アクチュエータ
11 検体搬送装置
100a, 100b 押し付け機構
101a, 101b 搬送面設置部
102a, 102b スライド部
103a, 103b 押し付け可動部
104a, 104b 永久磁石
105a, 105b 先端部
110 衝立
120a, 120b 押し付け機構
121a, 121b 永久磁石
122a, 122b 先端部
200, 201, 202 搬送経路
500 検体ホルダ
501 検体容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10