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特許7159518セミコンダクタオンインシュレータ基板の表面を平滑化するためのプロセス
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  • 特許-セミコンダクタオンインシュレータ基板の表面を平滑化するためのプロセス 図1
  • 特許-セミコンダクタオンインシュレータ基板の表面を平滑化するためのプロセス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】セミコンダクタオンインシュレータ基板の表面を平滑化するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20221018BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H01L27/12 B
H01L21/02 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019529245
(86)(22)【出願日】2018-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2018050558
(87)【国際公開番号】W WO2018130568
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-11-13
(31)【優先権主張番号】1750300
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598054968
【氏名又は名称】ソイテック
【氏名又は名称原語表記】Soitec
【住所又は居所原語表記】Parc Technologique des fontaines chemin Des Franques 38190 Bernin, France
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100154656
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 英彦
(72)【発明者】
【氏名】コノンチュク, オレグ
(72)【発明者】
【氏名】ランドル, ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ベン モハメド, ナディア
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-294754(JP,A)
【文献】特表2016-516304(JP,A)
【文献】特開2008-182203(JP,A)
【文献】国際公開第2005/024925(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a-1)ドナー基板を用意するステップと、
a-2)前記ドナー基板内にヘリウム及び水素を注入して、前記ドナー基板の内部に脆弱化ゾーンを形成するステップであって、前記脆弱化ゾーンが、前記ドナー基板の移動されるべき層と残余部との間に境界を形成する、ステップと、
b)前記ドナー基板をレシーバ基板に張り付けるステップであって、移動されるべき前記層が前記ドナー基板と前記レシーバ基板との間の界面に位置する、ステップと、
c)前記脆弱化ゾーンのところで、前記ドナー基板の前記残余部から、移動層とともに前記レシーバ基板を剥離するステップと、
を使用して、前記移動層を備える半導体基板を製造するためのプロセスにおいて、
前記プロセスが、剥離ステップc)の後で、前記移動層の表面に行われる平滑化の少なくとも1つのステップd)を含み、前記ステップd)ではステップc)から得られた前記半導体基板が、少なくとも剥離の瞬間から前記平滑化ステップの終わりまで、非酸化性不活性雰囲気中に又は非酸化性不活性ガスの混合物中に保たれ、
前記剥離ステップ及び平滑化ステップが、非酸化性不活性雰囲気中で又は非酸化性不活性ガスの混合物中で、10ppmよりも低いOのレベルで行われ、
前記平滑化ステップが、900℃よりも低い温度で行われ
前記ドナー基板が、単結晶シリコンであり、
前記非酸化性不活性雰囲気又は前記非酸化性不活性ガスの混合物が、水素、アルゴン及びキセノンのうちの1つ又は複数によって形成され、
前記移動層の二乗平均表面粗さが、前記平滑化ステップの後で前記移動層の全面にわたり0.3nmよりも小さい ことを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
前記平滑化ステップが、前記剥離ステップの直後に行われることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記剥離ステップ及び前記平滑化ステップが、1つのそして同じ装置内で行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記平滑化ステップが、少なくとも1時間にわたり行われることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記剥離ステップが、熱処理を適用して、前記ドナー基板の前記残余部から前記脆弱化ゾーンのところで剥離を達成することにより行われることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記レシーバ基板が、シリコン、単結晶シリコン、そうでなければ700℃よりも高い温度に耐えるいずれかのタイプのベース基板から選択されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セミコンダクタオンインシュレータ基板製造の分野に、特に、レシーバ基板上へとセミコンダクタオンインシュレータ層の移動を可能にするプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのセミコンダクタオンインシュレータ基板は、スマートカット(Smart Cut)(登録商標)プロセスにより得られることがある。このタイプのプロセスでは、熱アニーリング作業中に、層は、イオン注入によって前もって脆弱化されている界面に沿った破断波の伝播によりレシーバ基板上へと移動される。
【0003】
剥離の後で、移動層の表面は、50~100Å(5~10nm)程度のRMS(二乗平均)粗さを呈する。
【0004】
しかしながら、例えば、シリコンオンインシュレータ(SOI)半導体基板の製造の文脈では、極めて平滑なシリコン表面が望まれる。典型的な望まれる粗さ値は、3Å(0.3nm)未満のRMS値である。層移動をともなうスマートカット(登録商標)プロセスでは、受け入れられる最終基板を得るために剥離の後で平滑化処理を行うことがこれゆえ必要である。
【0005】
先行技術では、数多くのプロセスが剥離の後で表面を平滑化するために存在するが、2つが主に使用されている。第1は、「化学機械研磨(CMP)」として知られている機械的研磨技術であり、これは粗さが局所的に除去されることを可能にするが、ウェハスケールでの移動層の厚さの均一性に悪影響を及ぼす。
【0006】
第2は、中性又は還元性雰囲気下での、そうでなければ腐食性雰囲気下での高温処理である。平滑化は、そのときは、高温における表面原子の高い移動度の結果、表面の再構成に基づく。シリコン層のケースでは、これらの温度に基づく処理は、処理が表面自然酸化物層をエッチングすること又は蒸発させることのいずれかによって表面自然酸化物層を最初に分解する必要があるので、900℃を超えてのみ有効である。
【0007】
このように、移動したシリコン層の厚さの均一性の制御が決定的な意味を持つ半導体基板を製造することは、900℃よりも高い温度での熱平滑化処理の使用を必要としている。
【0008】
しかしながら、いくつかの製品に関して、仕上げ中に高温に曝すことは有害である。これは、例えば、高い温度が製品に対して有害である化学種の拡散をもたらすことがある合金層(例えば、SiGe)又は高濃度にドープした層を含有する構造に関するケースである。HT平滑化アニーリング作業は、シリコン中の酸素凝結物のモフォロジを改質し、したがって材料の機械的及び電気的特性を改変しがちである。最後に、高温に曝すことは、「スリップライン」又は「ボートマーク」タイプの構造欠陥を発生させ、これが基板を貫通する転位の応力下での高温伝播に結び付く。
【0009】
様々な方法が層の厚さの均一性を維持しながらスマートカット(登録商標)プロセスによって得られる移動層の表面の粗さを取り除く目的で提案されてきているけれども、解決策の改善が望まれている。
【発明の概要】
【0010】
したがって、発明の目的は、現在知られているプロセスによって要求されるものより低い温度で行うことができる剥離の後の表面の平滑化のステップの結果、小さい程度の粗さ及び厚さの改善した均一性を有するスマートカット(登録商標)技術による移動層を含んでいるセミコンダクタオンインシュレータ基板を製造することを可能にするプロセスを提供することにより上に述べた欠点を克服することである。
【0011】
発明の目的は、下記のステップを使用して移動層を備えている半導体基板を製造するためのプロセスにより達成され、上記ステップは、a)内部に脆弱化ゾーンを有するドナー基板を用意するステップであって、前記脆弱化ゾーンが、上記ドナー基板の移動されるべき層と残余部との間に境界を形成する、ステップと、b)上記ドナー基板をレシーバ基板に張り付けるステップであって、移動されるべき上記層が上記ドナー基板と上記レシーバ基板との間の境界に位置する、ステップと、c)上記脆弱化ゾーンのところで、上記ドナー基板の前記残余部から、上記移動層とともに上記レシーバ基板を剥離するステップとからなる。このプロセスは、剥離ステップc)の後に、上記移動層の表面に行われる平滑化の少なくとも1つのステップd)を含み、ステップc)から得られた上記半導体基板が、少なくとも剥離の瞬間から上記平滑化ステップの終わりまで、非酸化性不活性雰囲気中に又は非酸化性不活性ガスの混合物中に保たれる。剥離の後で導電性基板上へ移動した上記層を平滑化するための処理は、上記導電性基板上へ移動した上記層が少なくとも剥離の上記瞬間から上記平滑化ステップの終わりまで、非酸化性不活性雰囲気中に又は非酸化性不活性ガスの混合物中に維持されるときには、先行技術から知られているCMP技術と比較して厚さの均一性の向上をともなうウェハスケールでの極めて平滑である上記移動層の表面を得ることを可能にする。
【0012】
加えて、少なくとも剥離の上記瞬間から上記平滑化ステップの終わりまで上記移動層が中性雰囲気下に留まるという事実は、上記平滑化ステップが知られている先行技術と比較して低い温度で行われることを可能にする。このことが、半導体基板を製造するための上記基板用及び上記移動層用の材料の広い選択を可能にする。
【0013】
この文脈では、「厚さの均一性」という用語は、ウェハレベルでの厚さの最大差を指す。
【0014】
上記プロセスの1つの変形形態によれば、上記剥離ステップ及び平滑化ステップが、非酸化性不活性雰囲気中で又は非酸化性不活性ガスの混合物中で、特に10ppmよりも低いOのレベルで行われることがある。一旦剥離が実現されると、上記移動層の表面は、非酸化性である上記剥離ステップの炉の上記雰囲気を形成する上記ガスに曝され続ける。層の上記表面が自由な雰囲気に曝されると、自然酸化物層が発達する。このように、上記剥離ステップ及び上記平滑化ステップの上記雰囲気が非酸化性である場合、上記移動層の上記表面は、剥離の上記瞬間から上記平滑化ステップの終わりまで中性雰囲気下に保たれる。このように、上記移動層の上記表面には酸化物層の形成がない又はほとんどない。
【0015】
上記プロセスの1つの代替形態では、上記平滑化ステップが、上記剥離ステップの直後に行われることがある。このように、中性雰囲気を条件とする状態が、連続的に実現される。破断の直後の上記移動層の上記表面の特殊性は、上記表面がその周囲環境によりまだ酸化されないことである。酸化物層が表面に存在する状況と比較して、表面原子が高い移動度を有し、以て表面エネルギーを最小化することにより表面がそれ自体改変することを可能にするので、表面平滑化効果が観察されることがある。
【0016】
上記プロセスの1つの変形形態では、上記剥離ステップ及び上記平滑化ステップが、1つのそして同じ装置内で、特に1つのそして同じ炉内で行われることがある。このことは、剥離及び平滑化の2つの作業が1つのそして同じ作業に統合され、以てプロセスをより簡単に行うことを可能にする。上記剥離ステップは、熱処理を適用して、上記ドナー基板の上記残余部から上記脆弱化ゾーンを剥離することにより行われることがある。
【0017】
上記プロセスの1つの変形形態では、上記平滑化ステップが、少なくとも1時間にわたり、好ましくは1~3時間にわたり行われることがある。850℃において1時間で得られた平滑化のレベルは、1100℃で行ったRTAにより得られるものと同等である。急速熱アニーリング(RTA)は、10℃/秒を超える温度上昇の速度及び約30秒~1分までの比較的短いアニーリング時間を得ることを可能にするRTA装置内で行われる。
【0018】
上記プロセスの1つの変形形態では、上記平滑化ステップが、650℃~900℃の温度範囲内で行われることがある。このように、上記平滑化ステップが、炉内で冷却することを必要とせずに剥離直後に行われることがある。
【0019】
上記プロセスの1つの変形形態では、上記移動層のRMS表面粗さが、上記平滑化ステップの後で、0.1nmよりも小さく、特に0.3nmよりも小さく、そして特に表面全体にわたり小さいことがある。
【0020】
上記プロセスは、FDSOI(完全空乏型シリコンオンインシュレータ)基板の製造に特に適している。
【0021】
本発明の目的は、上記の請求項のいずれか一項に記載のプロセスを使用して製造した半導体基板によっても達成されてもよく、上記半導体基板が、移動層を含み、前記移動層のRMS表面粗さが、0.1nmよりも小さく、特に0.3nmよりも小さく、そして特に表面全体にわたり小さいことで特徴付けられる。
【0022】
発明は、添付した図とともに下記の説明を参照することにより理解されてもよく、図では、参照番号が発明の要素を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】発明の1つの実施形態にしたがった製造プロセスの様々なステップを模式的に示す図である。
図2】剥離ステップの後で様々なタイプの平滑化作業を受けた又は受けなかった基板の粗さのレベルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の製造プロセスは、図1によって詳細に説明される。本発明は、ステップAからEにおける、ドナー基板からレシーバ基板への層の形成、剥離及び移動のステップと、移動層の表面に行われる平滑化のステップとを含む。
【0025】
図1Aは、ドナー基板1を示し、好ましくはシリコン基板又は単結晶シリコン基板であるが、またゲルマニウム基板又はシリコン-ゲルマニウム(SiGe)基板であり、表面酸化物があってもなくてもよく、表面3を有する。
【0026】
図1Aは、表面7を有するレシーバ基板5を示す。レシーバ基板5は、シリコン、単結晶シリコン、そうでなければ任意の他のタイプのベース基板であってもよく、特に700℃よりも高い温度に耐える基板であり、表面酸化物があってもなくてもよい。
【0027】
次に、図1Bに図示したように、ドナー基板1は、イオン又は原子種9の注入を受ける。この注入プロセスは、脆弱化ゾーン11を作成する観点で、照射した表面3に対してドナー基板1の所定の深さのところに最大濃度でドナー基板1へと注入種9を導入する。脆弱化ゾーン11は、層13とドナー基板1の残余部15との間に境界を形成する。
【0028】
イオン又は原子種9の注入は、単一の注入操作、すなわち、例えば、水素、ヘリウム又は任意の他の希ガスなどを注入する操作などの単一の原子種の注入であってもよい。注入は、またイオン又は原子種9の同時注入、すなわち、例えば、水素とヘリウムとの同時注入などの少なくとも2つの異なる化学種を注入する操作であってもよい。
【0029】
図1Cは、レシーバ基板5がその一方の面7を介してドナー基板1の面3と接触するステップを示す。2つの基板1と5との間の結合が、分子接着により形成され、結合界面が、多層積層体19を形成するために参照番号17を含む。
【0030】
図1Dは、半導体基板21を作成するためにキャリア基板5上へと層13を移動させるために、脆弱化ゾーン11に沿ったドナー基板1の残余部15からの剥離のステップを示す。
【0031】
剥離は、熱処理又は機械的処理、そうでなければ熱処理及び機械的処理の両方を含む処理により行われてもよい。
【0032】
例として、熱剥離は、図3Cに図示した多層積層体19に熱アニーリングを受けさせ、これを経てドナー基板1の残余部15からの自然に生じる剥離が脆弱化ゾーン11に沿って生じる。この熱剥離作業は、100℃と600℃との間の温度で、好ましくは約500℃において炉23内で典型的には行われる。代替形態では、機械的剥離作業が、例えば、脆弱化ゾーン11のところにブレードを使用することにより実現されてもよい。
【0033】
炉23の雰囲気は、非酸化性であり、10ppm程度の又はさらに良いO混入のレベルをともなう。したがって、移動層13の表面は、表面酸化物の無い表面のままである。
【0034】
図1Eは、本発明による平滑化ステップを示しており、ここでは半導体基板21の移動層13の表面25の平滑化が炉内での熱処理によって行われる。ここで、使用する炉は、図1Dに図示したステップに関して既に使用したものと同じ炉23である。
【0035】
本発明によれば、この熱処理は、900℃よりも低い温度で、特に650℃~900℃の温度範囲内で、非酸化性不活性雰囲気又は非酸化性不活性ガスの混合物中で、特に10ppmよりも低いOのレベルで行われる。1つ又は複数の不活性ガスは、例えば、水素、アルゴン又はキセノンであってもよい。熱処理は、少なくとも1時間、好ましくは1~3時間にわたり適用される。
【0036】
ステップ同士の間の雰囲気は、表面酸化物の形成を避けるために非酸化性不活性雰囲気のままでなければならない。
【0037】
半導体基板21は、半導体基板の表面の全体にわたり1nmよりも小さい移動層13の表面25に関して得られたRMS粗さを示す。粗さ測定は、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)を使用して又はヘイズ測定によって行われた。
【0038】
図2は、本発明による製造プロセスの剥離ステップの後で様々なタイプの平滑化作業を受けた又は受けなかった基板について達せられたヘイズ粗さのレベルを示している。
【0039】
ppmで測定したこのヘイズ値は、特性を明らかにすべき表面の光学反射特性を使用する方法の結果である。「ヘイズアップ」測定値は、ウェハ上のヘイズの最大値に対応し、基板の粗さの非常に良い指標である。図2に図示した「ヘイズアップ」測定は、光リフレクトメトリ測定器を使用して行ってきている。
【0040】
図2は、7つの基板21aから21gについての「ヘイズアップ」測定の結果を示しており、そのすべてが、本発明による製造プロセスの形成ステップ及び剥離ステップを受けている。
【0041】
基板21aは、4000ppm程度の「ヘイズアップ」値を示し、図2では条件Aの、10ppm未満であるOのレベルを有するアルゴン単独の中性雰囲気中の、剥離ステップの後で直接測定されている。
【0042】
基板21b、21c及び21dは、280ppmと400ppmとの間の「ヘイズアップ」値を示し、図2では条件Bの、10ppm未満であるOのレベルを有するアルゴン単独の中性雰囲気中で、650℃で2時間行った平滑化のステップの後で測定されている。
【0043】
基板21eは、50ppmと60ppmとの間の「ヘイズアップ」値を示し、図2では条件Cの、10ppm未満であるOのレベルを有するアルゴン単独の中性雰囲気中で、850℃で2時間行った平滑化のステップの後で測定されている。このレベルは、1100℃の温度で行った30秒間のRTA熱処理に匹敵する。
【0044】
基板f及びgは、4000ppm程度の「ヘイズアップ」値を示し、図2では条件Dの、大気雰囲気中の剥離ステップの後で直接測定されている。
【0045】
先行技術から予想されたように、形成及び剥離ステップを受け、熱平滑化処理をその後受けていない基板(ここではa、f及びg)は、「ヘイズアップ」測定が大気雰囲気又は中性雰囲気中で行われたかどうかに無関係に4000ppm程度の高い「ヘイズアップ」値を示し、一方で、剥離の後で本発明にしたがって熱平滑化処理を受けた基板は「ヘイズアップ」値の実質的な減少を示す(基板bからe)。
【0046】
このように、850℃で2時間にわたり行った平滑化作業(基板e)は、1100℃で30秒間のRTA熱処理後に得られた「ヘイズアップ」値と同じ程度の「ヘイズアップ」値を与える。
【0047】
このように、RTA熱処理に関して得られたものと同等である平滑化の程度が、850℃での熱平滑化処理を使用して、これゆえ、はるかに低い温度で、非酸化性雰囲気中でそして剥離を行った直後に得られる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態が説明されてきた。しかしながら、様々な変更及び改善が、別記の特許請求の範囲から逸脱せずに行い得ることが認識されるだろう。
図1
図2