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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】撮像装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/235 20060101AFI20221018BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20221018BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20221018BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H04N5/235 300
G03B7/091
G03B15/00 U
H04N5/232 290
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018542966
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(86)【国際出願番号】 JP2017035653
(87)【国際公開番号】W WO2018062537
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】P 2016194630
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】關口 直樹
【審査官】佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-174078(JP,A)
【文献】特開2009-017474(JP,A)
【文献】特開2008-079222(JP,A)
【文献】国際公開第2015/098156(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/235
G03B 7/091
G03B 15/00
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像を生成する撮像装置であって、
被写体からの光を露光し、動画像データを出力する撮像素子と、
前記撮像装置の移動速度の情報を取得する取得部と、
前記撮像素子の露光時間を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記撮像装置の移動速度が速くなるにつれて、前記撮像素子の露光時間を長くする撮像装置。
【請求項2】
動画像を生成する撮像装置であって、
被写体からの光を露光し、動画像データを出力する撮像素子と、
前記撮像装置の移動速度の情報を取得する取得部と、
前記撮像素子の露光時間を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、被写体からの光を第1露光時間で露光させ、前記撮像装置の移動速度が第1移動速度よりも速い第2移動速度になると、前記撮像素子の露光時間を第1露光時間よりも長い第2露光時間に制御する撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記撮像素子は、第1時間間隔で動画像データを出力し、
前記制御部は、前記第1時間間隔と前記第2露光時間とに基づいて、前記第1時間間隔を変更する撮像装置。
【請求項4】
請求項に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第2露光時間が前記第1時間間隔によって決まる時間以上になると前記第1時間間隔を変更する撮像装置。
【請求項5】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記撮像素子は、第1時間間隔で動画像データを出力し、
前記制御部は、前記第1時間間隔と前記第2露光時間とに基づいて、前記第1時間間隔で出力される動画像データのうちの第1画像データと、前記第1画像データの後に出力される第2画像データとを合成する撮像装置。
【請求項6】
請求項に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第2露光時間が前記第1時間間隔によって決まる時間以上になると前記第1画像データと前記第2画像データとを合成する撮像装置。
【請求項7】
被写体を撮像する撮像素子から出力に基づいて動画像を生成する撮像装置で実行されるプログラムであって、
コンピュータに、
前記撮像装置の移動速度の情報を取得する第1手順と、
被写体からの光を第1露光時間で露光させ、前記撮像装置の移動速度が第1移動速度よりも速い第2移動速度になると、前記撮像素子の露光時間を第1露光時間よりも長い第2露光時間に制御する第2手順と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動する人や物体に取り付けられて、動画像を撮像する撮像装置が知られている(特許文献1参照)。撮像時に撮像装置が移動する場合があるが、移動して撮影するための撮影条件については考慮されているものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2012-205163号公報
【発明の概要】
【0004】
(1)本発明の第1の態様による撮像装置は、動画像を生成する撮像装置であって、被写体からの光を露光し、動画像データを出力する撮像素子と、前記撮像装置の移動速度の情報を取得する取得部と、前記撮像素子の露光時間を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記撮像装置の移動速度が速くなるにつれて、前記撮像素子の露光時間を長くする。
(2)本発明の第2の態様による撮像装置は、動画像を生成する撮像装置であって、動画像を生成する撮像装置であって、被写体からの光を露光し、動画像データを出力する撮像素子と、前記撮像装置の移動速度の情報を取得する取得部と、前記撮像素子の露光時間を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、被写体からの光を第1露光時間で露光させ、前記撮像装置の移動速度が第1移動速度よりも速い第2移動速度になると、前記撮像素子の露光時間を第1露光時間よりも長い第2露光時間に制御する。
)本発明の第の態様によるプログラムは、被写体を撮像する撮像素子から出力に基づいて動画像を生成する撮像装置で実行されるプログラムであって、コンピュータに、前記撮像装置の移動速度の情報を取得する第1手順と、被写体からの光を第1露光時間で露光させ、前記撮像装置の移動速度が第1移動速度よりも速い第2移動速度になると、前記撮像素子の露光時間を第1露光時間よりも長い第2露光時間に制御する第2手順と、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】第1の実施の形態のカメラの構成示すブロック図である。
図2】ゲレンデを滑り下りるスキーヤーの頭部にカメラを取り付けた様子を模式的に示す図である。
図3図2に示したスキーヤーの頭部に取り付けられたカメラで撮像した動画像のあるフレームにおける画像の一例であり、ゲレンデの様子を示している。
図4】一定のフレームレートで動画撮影されたフレームと露光時間との関係を示す図である。
図5】フレームと露光時間との関係を示す図である。
図6】第1の実施の形態のカメラの撮像に関する処理を示したフローチャートである。
図7】第2の実施の形態におけるフレームと、露光時間と、各フレームで撮像して得られる画像と、本実施の形態で得られる画像との関係を示す図である。
図8】第2の実施の形態のカメラの撮像に関する処理を示したフローチャートである。
図9】第3の実施の形態におけるフレームと、露光時間と、各フレームで撮像して得られる画像と、本実施の形態で得られる画像との関係を示す図である。
図10】第3の実施の形態のカメラの撮像に関する処理を示したフローチャートである。
図11】スキーヤーの視野について説明する図である。
図12】第4の実施の形態のカメラの構成示すブロック図である。
図13】第4の実施の形態における各フレームで撮像して得られる画像と、本実施の形態で得られる画像との関係を示す図である。
図14】第4の実施の形態のカメラの撮像に関する処理を示したフローチャートである。
図15】処理対象領域および非対象領域を説明するための図である。
図16】第5の実施の形態のカメラの撮像に関する処理を示したフローチャートである。
図17】変形例1のカメラの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
---第1の実施の形態---
図1図6を参照して、撮像装置の第1の実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態の撮像装置の一例としてのデジタルカメラの構成示すブロック図である。本実施の形態のカメラ1は、移動する人や物体に取り付けて被写体を撮像することにより、動画像や静止画像を生成するカメラであり、例えばアクションカメラ、アクションカム、ウェアラブルカメラ等の名称で呼ばれるカメラである。また、アクションカメラ等と呼ばれるものに限らず、デジタルカメラやカメラ機能を有した携帯型の電話機等であってもよい。カメラ1は、撮像光学系31と、撮像部33と、制御部34と、加速度センサ35と、表示部36と、操作部材37と、記録部38とを有する。
【0007】
撮像光学系31は、被写界からの光束を撮像部33へ導く。撮像光学系31には、不図示のレンズの他に絞り32が設けられている。撮像部33は、撮像素子33aおよび駆動部33bを含み、撮像光学系31によって結像された被写体の像を光電変換し、電荷を生成する。駆動部33bは、撮像素子33aに露光制御、すなわち電荷の蓄積制御を行わせるために必要な駆動信号を生成する。撮像部33に対する露光時間(蓄積時間)などの撮像指示は、制御部34から駆動部33bへ送信される。
【0008】
制御部34は、例えばCPUによって構成され、カメラ1による全体の動作を制御する。例えば、制御部34は、撮像部33で取得された光電変換信号に基づいて所定の露出演算を行い、適正露出に必要な撮像素子33aの電荷蓄積時間(露光時間)、ISO感度、絞り32の絞り値等の露出条件を決定して駆動部33bや絞り32へ指示する。
【0009】
制御部34には、露出演算部34aと、移動速度算出部34bと、撮像制御部34cと、画像処理部34dとが含まれる。これらは、制御部34が不図示の不揮発性メモリに格納されているプログラムを実行することにより、ソフトウェア的に実現されるが、これらをASIC等により構成しても構わない。
【0010】
露出演算部34aは、撮像素子33aからの画像信号に基づいて被写体の明るさを検出し、適正露出に必要な露光時間やISO感度や絞り値を決定する。
移動速度算出部34bは、カメラ1の加速度の情報に基づいて、カメラ1の移動速度を算出する。また移動速度算出部34bは、グローバルポジショニングシステム(GPS)からの信号により、カメラ1の移動速度を算出してもよい。
【0011】
撮像制御部34cは、後述するように、移動速度算出部34bで算出されたカメラ1の移動速度に基づいて、露出演算部34aで決定された露光時間(蓄積時間)を変更する。
画像処理部34dは、撮像部33によって取得された画像データに対する画像処理を行う。画像処理には、例えば、色補間処理、画素欠陥補正処理、輪郭強調処理、ノイズ低減(Noise reduction)処理、ホワイトバランス調整処理、ガンマ補正処理、表示輝度調整処理、彩度調整処理等が含まれる。さらに、画像処理部34dは、表示部36により表示する画像を生成する。
【0012】
加速度センサ35は、カメラ1の加速度を検出し、検出結果を制御部34の移動速度算出部34bに出力し、移動速度算出部34bは、加速度センサ35が検出した加速度に基づきカメラ1の移動速度を算出する。
表示部36は、画像処理部34dによって生成された画像や画像処理された画像、記録部38によって読み出された画像などを再生表示する。表示部36は、操作メニュー画面や、撮像条件を設定するための設定画面等の表示も行う。
【0013】
操作部材37は、レリーズボタンやメニューボタン等の種々の操作部材によって構成される。操作部材37は、各操作に対応する操作信号を制御部34へ送出する。操作部材37には、表示部36の表示面に設けられたタッチ操作部材も含まれる。
記録部38は、制御部34からの指示に応じて、不図示のメモリカードなどで構成される記録媒体に画像データなどを記録する。また、記録部38は、制御部34からの指示に応じて記録媒体に記録されている画像データを読み出す。
【0014】
このように構成されるカメラ1では、被写体を撮像して静止画像や動画像を生成し、撮像して得られた画像データを記録媒体に記録できる。また、このカメラ1は、図2に示すように移動する人物や物体に取り付けて撮像を行い、動画像を生成するのに適している。図2は、移動する人物の例としてゲレンデを滑り下りるスキーヤー(競技者)を挙げ、スキーヤーの頭部にカメラ1を取り付けた様子を模式的に示す図である。図2に示す例では、カメラ1は、スキーヤーの頭部に取り付けられているが、スキーヤーの胸部や腕部に取り付けられていてもよく、スキー板に取り付けられていてもよい。
図3は、図2に示したスキーヤーの頭部に取り付けられたカメラ1で撮像して生成した動画像のあるフレームにおける画像の一例であり、ゲレンデの様子を示している。この画像50には、雪が積もっている斜面51の両脇に複数の木52が存在している。画像50では、斜面51の向こう側には、山53が写っており、山53の上には空54が写っている。
【0015】
この種のカメラは、一般に撮影光学系31が短い焦点距離、即ち画角が広角で撮影され、また、比較的短い露光時間で撮影される場合が多い。撮像時にカメラ1が移動する場合、画角が広角で露光時間が短いと、周囲の風景の像ブレが少なくなる場合があり、再生時に動画像の滑らかさが感じられ難くなることがある。
これにより、撮影して生成された動画像を再生すると、実際に撮影時にスキーヤーが体感している速度感よりも速度感が薄れてしまうおそれがある。たとえば、図2に示すように、人物とともにカメラ1が移動する場合、カメラ1で撮像して得られる動画像では、たとえば図3における木52などの周囲の風景が移動する様子が記録されるが、再生時に滑らかさが感じられ難く、速度感が薄れてしまうおそれがある。
【0016】
そこで、本実施の形態のカメラ1では、カメラ1の速度情報に基づいて露光時間を制御する。ここで速度情報とは、例えば、カメラ1の移動速度の情報である。カメラ1の移動速度がある程度以上速くなると露光時間を長くするように撮像条件を変更することで、各撮像フレームで撮像して得られた画像において適度に像ブレが生じるようにしている。具体的には、制御部34は、次のようにしてカメラ1の移動速度が速くなると露光時間が長くなるように撮像条件を変更する。
【0017】
制御部34の移動速度算出部34bは、加速度センサ35で検出したカメラ1の加速度に基づきカメラ1の移動速度Vを算出する。撮像制御部34cは、移動速度算出部34bで算出されたカメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1未満であれば露出演算部34aで決定した露光時間を変更しない。しかし、移動速度算出部34bで算出されたカメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上であれば、撮像制御部34cは、露出演算部34aで決定した露光時間よりも長くなるように露光時間を変更する。
【0018】
詳述すると、撮像制御部34cは、カメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上であり、かつ、第2の所定値V2未満であれば、たとえば露出演算部34aで決定した蓄積時間をa倍(aは1よりも大きい値)に延長する。また、撮像制御部34cは、カメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上になれば、たとえば露出演算部34aで決定した蓄積時間をb倍(b>a)に更に延長する。なお、aおよびbは、固定値であってもよく、ISO感度や絞り値やフレームレート等の他の露光条件に基づいて変化する可変値であってもよい。さらにaおよびbは、整数であっても少数であってもよい。また、露光時間をa倍またはb倍する場合に限らず、露光時間をc秒長くするなどの処理を行ってもよい。
なお、カメラ1の移動速度Vに応じて2段階で露光時間を長くすることは、一例であり、1段階であってもよく、3段階以上であってもよい。また、上述したように露光時間を移動速度Vに応じて段階的に長くするのではなく、カメラ1の移動速度Vに応じて連続的に露光時間を長くするようにしてもよい。具体的には、カメラ1の移動速度が速くなるほど、露光時間を長くすることとしてもよい。例えば、初期設定では、露光時間をフレームレートによって決定される時間の4分の1~2分の1の値の間の露光時間Aにしておき、カメラ1の移動速度が速くなるほど、露光時間Aよりも長くすることとしてもよい。
【0019】
露出演算部34aは、カメラ1の移動速度に応じて露光時間を長くした場合には、露出過剰とならないように、撮像制御部34cが変更した露光時間で適正露出となるようにISO感度を低下させる。なお、露出演算部34aは、ISO感度を下げる代わりに、または、ISO感度を下げるとともに、絞りF値を大きくしてもよい。
【0020】
図4は、一定のフレームレートで動画撮影されたフレームと露光時間との関係を示す図である。図4において横軸は時刻tを示す。
時刻t1~t6は、各フレームF1~F6における露光開始時刻である。時刻t1~t2では、カメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1未満であるものとする。この場合、撮像制御部34cは、時刻t1,t2から露光が開始される各フレームF1,F2において、露出演算部34aで決定された露光時間Taを変更しない。
【0021】
時刻t2~時刻t3の間にカメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上に変化すると、撮像制御部34cは、時刻t3から露光が開始されるフレームF3の露光時間を露出演算部34aで決定した露光時間Taよりも長い露光時間Tbに変更する。なお、上述したように、撮像制御部34cは、カメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上であり、かつ、第2の所定値V2未満であれば、露出演算部34aで決定した露光時間Taをa倍に変更する。また、上述したように、撮像制御部34cは、カメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上であれば、露出演算部34aで決定した露光時間Taをb倍に変更する。
【0022】
時刻t3~時刻t4の間のカメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上であれば、撮像制御部34cは、フレームF4の露光時間をTbに維持する。すなわち、時刻t3~時刻t4の間のカメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上であり、かつ、第2の所定値V2未満であれば、フレームF4における露光時間は露光時間Taのa倍となる。また、時刻t3~時刻t4の間のカメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上であれば、フレームF4における露光時間は露光時間Taのb倍となる。
【0023】
その後、たとえば、時刻t4~t5の間で、カメラ1の移動速度Vが再び第1の所定値V1未満に変化すると、撮像制御部34cは、時刻t5から露光が開始されるフレームF5の露光時間を露出演算部34aで決定された露光時間Taに戻す。
時刻t5~時刻t6の間のカメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1未満のままであると、撮像制御部34cは、フレームF6の露光時間をTaに維持する。
【0024】
このように、カメラ1の移動速度Vが速くなると露光時間が長くなるので、動画像に適度な像ブレが付与される。これにより動画像が滑らかに再生され、速度感が薄れてしまうことを抑制でき、動画像の閲覧者に臨場感を与えることができる。
【0025】
なお、露光時間は、設定されたフレームレートによって決定される時間を超えて長くすることができない。そのため、露光時間には設定されたフレームレートによる上限値が存在する。そこで、本実施の形態のカメラ1では、カメラ1の移動速度Vに基づいて算出した露光時間が、上述した上限値を超える場合には、あらかじめ設定されたフレームレートを低下させる。具体的には、制御部34は、次のようにしてあらかじめ設定されたフレームレートを低下させる。ここで上述した「上限値」は、フレームレートによって決定される時間(例えば30分の1秒)であってもよく、フレームレートによって決定される時間よりも短い時間であってもよい。ここで、フレームレートによって決定される時間のよりも短い時間とは、例えば、フレームレートによって決定される時間の5分の4の値である。但し、5分の4は単なる例示であり、カメラ1で予め設定されていてもよく、ユーザが設定できることとしてもよい。
【0026】
本実施の形態のカメラ1では、撮像開始前のユーザの設定操作等によってフレームレートがあらかじめ所定の値に設定される。以下の説明では、このようにしてあらかじめ設定されたフレームレートを第1フレームレートと呼ぶ。
撮像制御部34cは、カメラ1の移動速度Vに基づいて露光時間を上述したようにして算出し、算出した露光時間と第1フレームレートにおける露光時間の上限値とを比較する。そして、撮像制御部34cは、算出した露光時間が第1フレームレートにおける露光時間の上限値を超えたと判断すると、フレームレートを第1フレームレートよりも小さい第2フレームレートに変更する。
【0027】
なお、第2フレームレートは、撮像制御部34cが算出した露光時間と撮像素子33aからの電荷の読み出し等に要する時間とを確保できるフレームレートであればよい。したがって、第2フレームレートは、第1フレームレート対してあらかじめ対応付けられたフレームレートであってもよく、算出した露光時間と撮像素子33aからの電荷の読み出し等に要する時間とに基づいて算出したフレームレートであってもよい。また、例えば、第1フレームレートの2分の1、あるいは3分の1としてもよい。
【0028】
撮像制御部34cは、算出した露光時間が第1フレームレートにおける露光時間の上限値を超えないと判断すると、フレームレートを第1フレームレートに設定する。
【0029】
図5は、フレームと露光時間との関係を示す図である。時刻t7,t8から露光が開始される各フレームF7,F8では、第1の所定値V1以上であるカメラ1の移動速度に基づき算出された露光時間Tb(Tb>Ta)で露光が行われる。但し、フレームF7,F8における露光時間Tbは第1フレームレートにおける露光時間の上限値以下であり、フレームF7,F8におけるフレームレートは第1フレームレートのままである。
【0030】
時刻t8~時刻t9の間において、カメラ1の移動速度Vがさらに速くなり、たとえば第2の所定値V2以上となったとする。この場合には、撮像制御部34cは、第2の所定値V2以上のカメラ1の移動速度に基づき、露光時間Tcを算出し、この露光時間Tcと、第1フレームレートにおける露光時間の上限値とを比較する。撮像制御部34cは、算出した露光時間Tcが上記の上限値を超えていると、フレームF9におけるフレームレートを、第1フレームレートよりも小さい第2フレームレートに変更する共に、フレームF9の露光時間を露光時間Tcに設定する。
時刻t9~時刻t10の間において、カメラ1の移動速度Vが時刻t8~時刻t9の間の移動速度のままであった場合には、撮像制御部34cは、フレームF10のフレームレートを第2フレームレートに維持すると共に、露光時間もTcに維持する。
【0031】
なお、図示はしていないが、時刻t10以降の時刻において、カメラ1の移動速度Vが遅くなり、移動速度Vに基づいて算出される露光時間が第1フレームレートにおける露光時間の上限値以下となれば、撮像制御部34cはフレームレートを第1フレームレートに戻すと共に、算出された露光時間で露光制御する。
【0032】
図6は、第1の実施の形態のカメラ1の撮像に関する処理を示したフローチャートである。図6に示されるフローチャートの処理は、カメラ1の不図示のメモリ等に記録されている。カメラ1の不図示の電源スイッチがオンされると、図6に示す処理が制御部34で実行される。ステップS11において、制御部34は、ユーザによってあらかじめ設定されたフレームレートの値を読み込むなどの初期設定を行ってステップS13へ進む。ステップS13において、制御部34は、レリーズボタンが操作されるなどして撮像開始が指示されるまで待機し、撮像開始が指示されると、初期設定された撮像条件で動画撮影を開始してステップS15へ進む。
【0033】
ステップS15において、制御部34の露出演算部34aは、撮像素子33aからの画像信号に基づいて被写体の明るさを検出し、適正露出を与える露光時間やISO感度や絞り値を決定し、決定された露出条件での撮像動作が行われてステップS17へ進む。ステップS17において、制御部34の移動速度算出部34bは、加速度センサ35で検出されたカメラ1の加速度の情報に基づいて、カメラ1の移動速度を算出してステップS19へ進む。
【0034】
ステップS19において、制御部34の撮像制御部34cは、ステップS17で算出されたカメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1未満であるか否かを判断する。ステップS19が肯定判断されるとステップS21へ進み、制御部34は、ステップS15で算出した露光時間やISO感度や絞り値を変更せずに撮像するように撮像部33および絞り32を制御してステップS35へ進む。
【0035】
ステップS17で算出されたカメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上であればステップS19が否定判断されてステップS23へ進む。ステップS23において、制御部34の撮像制御部34cは、ステップS17で算出されたカメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上であるか否かを判断する。
ステップS17で算出されたカメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上であればステップS23が肯定判断されてステップS25へ進み、制御部34の撮像制御部34cは、ステップS15で算出した露光時間をb倍にしてステップS29へ進む。
ステップS17で算出されたカメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2未満であればステップS23が否定判断されてステップS27へ進み、制御部34の撮像制御部34cは、ステップS15で算出した露光時間をa倍(a<b)にしてステップS29へ進む。
【0036】
ステップS29において、制御部34の撮像制御部34cは、ステップS25またはステップS27で算出した露光時間が第1フレームレートにおける露光時間の上限値を超えたか否かを判断する。ステップS29が肯定判断されるとステップS31へ進み、制御部34の撮像制御部34cは、フレームレートを、第1フレームレートよりも低い第2フレームレートに変更してステップS33へ進む。ステップS25またはステップS27で算出した露光時間が第1フレームレートにおける露光時間の上限値以下であればステップS29が否定判断されてステップS33へ進む。
【0037】
ステップS33において、制御部34の露出演算部34aは、ステップS25またはステップS27で算出(変更)した露光時間で適正露出となるようにISO感度や絞り値を変更する。そして、制御部34は、変更後の露光時間やISO感度や絞り値で撮像するように撮像部33および絞り32を制御してステップS35へ進む。
ステップS35において、制御部34は、動画像の撮像の終了が指示されたか否かを判断する。ステップS35が否定判断されるとステップS15へ戻り、ステップS35が肯定判断されるとステップS37へ進む。
【0038】
ステップS37において、制御部34は、不図示の電源スイッチがオフされたか否かを判断する。ステップS37が否定判断されるとステップS13へ戻り、ステップS37が肯定判断されると本プログラムを終了する。
【0039】
第1の実施の形態のカメラ1では、次の作用効果を奏する。
(1)カメラ1は、動画像の撮像が可能な撮像素子33aと、カメラ1の移動速度Vを検出する加速度センサ35および移動速度算出部34bと、加速度センサ35および移動速度算出部34bで検出された移動速度Vに基づいて撮像素子33aの動画撮像の露光時間を変更する撮像制御部34cとを備える。したがって、カメラ1の移動速度Vが速くなった場合に露光時間を長くすることができる。これにより、適度な像ブレによって動画像が滑らかに再生されるので、再生された動画像を閲覧した閲覧者が速度感を感じることができ、臨場感を味わうことができる。
【0040】
(2)撮像制御部34cは、加速度センサ35および移動速度算出部34bで検出された移動速度Vが速くなった場合に露光時間を長くする。これにより、適度な像ブレによって動画像が滑らかに再生されるので、再生された動画像を閲覧した閲覧者が速度感を感じることができ、臨場感を味わうことができる。
【0041】
(3)撮像制御部34cは、加速度センサ35および移動速度算出部34bで検出された移動速度Vが速くなった場合に露光時間を長くし、移動速度Vが更に速くなった場合に動画撮像のフレームレートを低下させると共に露光時間を更に長くする。したがって、カメラ1の移動速度Vが更に速くなっても露光時間を更に延長できる。これにより、カメラ1の移動速度Vが更に速くなっても、像ブレが適切に付与され、撮像して得られた動画像の再生が滑らかに行われるので、再生された動画像を閲覧した閲覧者が速度感を感じることができ、臨場感を味わうことができる。
【0042】
(4)制御部34は、露光時間を長くしたら撮像素子33aの感度を下げる。これにより、適正露出で撮像できるので、撮像して得られる画像の画質が良好となる。
(5)制御部34は、露光時間を長くしたら撮像光学系の絞り32の絞り値を下げる。これにより、適正露出で撮像できるので、撮像して得られる画像の画質が良好となる。
【0043】
---第2の実施の形態---
図7および図8を参照して、撮像装置の第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。
【0044】
第1の実施の形態でも説明したように、露光時間にはフレームレートに応じた上限値が存在する。そこで、第2の実施の形態のカメラ1では、カメラ1の移動速度Vに基づいて算出した露光時間が、上述した上限値を超える場合には、撮像により生成された第1の撮像フレームと、第1撮像フレームよりも後に生成された第2フレームとを合成する。ここで合成は、例えば第1撮像フレームと第2撮像フレームとの加算平均である。例えば、時間的に隣接する2つの撮像フレームのそれぞれで得られる画像信号に基づいて新たな画像データを得る。具体的には、制御部34は、次のようにして時間的に隣接する2つの撮像フレームのそれぞれで得られる画像信号に基づいて新たな画像データを得る。
【0045】
第2の実施の形態では、制御部34の画像処理部34dは、第1の撮像フレームで撮像素子33aが生成した第1の信号と、第1の撮像フレームの次に撮像された第2の撮像フレームで撮像素子33aが生成した第2の信号とを加算することで新たな画像データを生成する加算処理をさらに行うことができる。
【0046】
図7は、フレームと、露光時間と、各フレームで撮像して得られる画像と、本実施の形態で得られる画像との関係を示す図である。第2の実施の形態におけるカメラ1の制御部34は、カメラ1の移動速度Vに基づいて算出した露光時間が、上述した上限値以下であれば、第1の実施の形態と同様の処理を行う。たとえば、時刻t11,t12では、カメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上であり、時刻t11,t12から露光が開始される各フレームF11,F12において露光時間が露出演算部34aで決定した露光時間Taよりも長い露光時間Tbに変更されているものとする。但し、フレームF11,F12における露光時間Tbは第1フレームレートにおける露光時間の上限値以下であるものとする。フレームF11における撮像では画像511の画像データが得られる。フレームF12における撮像では画像512の画像データが得られる。
【0047】
時刻t12~時刻t13の間にカメラ1の移動速度Vがさらに速くなり、たとえば第2の所定値V2以上となって、カメラ1の移動速度Vに基づいて算出した露光時間が第1フレームレートにおける露光時間の上限値を超えた場合について説明する。この場合、撮像制御部34cは、フレームF13およびその次のフレームF14の露光時間Tdを第1フレームレートにおける露光時間の上限値に設定する。フレームF13における撮像では画像513の画像データが得られ、フレームF14における撮像では画像514の画像データが得られる。
【0048】
画像処理部34dは、フレームF13で撮像してられた画像513の画像データと、フレームF14で撮像してられた画像514の画像データとを加算する加算処理を行うことで画像601の画像データを生成する。なお、画像601の画像データを生成する際、画像513の画像データと画像514の画像データとを単純に加算しただけでは、加算して得られる画像601の明るさが明るすぎて不適切となるおそれがある。そこで、画像処理部34dは、フレームF13で撮像してられた画像513の画像データと、フレームF14で撮像してられた画像514の画像データとを加算する際、各画像513,514の画像データの信号値をそれぞれ0.5倍した後、それぞれの画像データを加算する処理を行うことが望ましい。なお、画像処理部34dは、フレームF13で撮像してられた画像513の画像データと、フレームF14で撮像してられた画像514の画像データとの平均値を算出することで画像601の画像データを生成してもよい。
【0049】
カメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上のままであれば、撮像制御部34cは、フレームF14の次のフレームの露光時間Tdを第1フレームレートにおける露光時間の上限値に設定する。画像処理部34dは、フレームF14で撮像してられた画像514の画像データと、フレームF14の次のフレームで撮像してられた画像の画像データとを加算する加算処理を行うことで画像602の画像データを生成する。
【0050】
このように、2つの撮像フレームの画像データから1つの画像データを生成することで、適度な像ブレを有する動画像が得られる。これにより、動画像が滑らかに再生されるので、再生された動画像を閲覧した閲覧者が速度感を感じることができ、臨場感を味わうことができる。
【0051】
図8は、第2の実施の形態のカメラ1の撮像に関する処理を示したフローチャートである。第2の実施の形態のカメラ1の撮像に関する処理は、ステップS29が肯定判断された後の処理を除き、図6に示した第1の実施の形態におけるフローチャートに示した処理と同じである。
【0052】
ステップS29が肯定判断されるとステップS51へ進み、制御部34の撮像制御部34cは、露光時間を第1フレームレートにおける露光時間の上限値に設定してステップS53へ進む。ステップS53において、制御部34の露出演算部34aは、ステップS51で設定(変更)した露光時間で適正露出となるようにISO感度や絞り値を変更する。そして、制御部34は、変更後の露光時間やISO感度や絞り値で撮像するように撮像部33および絞り32を制御してステップS55へ進む。ステップS55において、制御部34の画像処理部34dは、上述した加算処理を行ってステップS35へ進む。
【0053】
第2の実施の形態のカメラ1では、第1の実施の形態の作用効果に加えて次の作用効果を奏する。
(1)カメラ1は、第1の撮像フレームで撮像素子33aが生成した第1の信号と、第1の撮像フレームの次に撮像された第2の撮像フレームで撮像素子33aが生成した第2の信号とを加算する画像処理部34dをさらに備える。撮像制御部34cは、加速度センサ35および移動速度算出部34bで検出された移動速度Vが速くなった場合に露光時間を長くする。画像処理部34dは、移動速度Vが更に速くなった場合に第1の信号と第2の信号とを加算する。
したがって、2つの撮像フレームの画像データから1つの画像データを生成することで、適度な像ブレを有する動画像が得られる。これにより、動画像が滑らかに再生されるので、再生された動画像を閲覧した閲覧者が速度感を感じることができ、臨場感を味わうことができる。
【0054】
---第3の実施の形態---
図9および図10を参照して、撮像装置の第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1および第2の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1および第2の実施の形態と同じである。
【0055】
第1の実施の形態でも説明したように、露光時間にはフレームレートに応じた上限値が存在する。そこで、第3の実施の形態のカメラ1では、カメラ1の移動速度Vに基づいて算出した露光時間が、上述した上限値を超える場合には、ある撮像フレームで撮像して得られた画像データに対して、その次の撮像フレームで撮像して得られた画像データを参照して像ブレを付加する。具体的には、制御部34は、次のようにして時間的に隣接する2つの撮像フレームのそれぞれで得られる画像信号に基づいて新たな画像データを得る。
【0056】
第3の実施の形態では、制御部34の画像処理部34dは、第1の撮像フレームの次に撮像された第2の撮像フレームで撮像素子33aが生成した第2の信号に基づいて、第1の撮像フレームで撮像素子33aが生成した第1の信号に対して像ブレを付加する像ブレ付加処理をさらに行うことができる。
【0057】
図9は、フレームと、露光時間と、各フレームで撮像して得られる画像と、本実施の形態で得られる画像との関係を示す図である。第3の実施の形態におけるカメラ1の制御部34は、カメラ1の移動速度Vに基づいて算出した露光時間が、上述した上限値以下であれば、第1の実施の形態と同様の処理を行う。たとえば、時刻t21,t22では、カメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上であり、時刻t21,t22から露光が開始される各フレームF21,F22において露光時間が露出演算部34aで決定した露光時間Taよりも長い露光時間Tbに変更されているものとする。但し、フレームF21,F22における露光時間Tbは第1フレームレートにおける露光時間の上限値以下であるものとする。フレームF21における撮像では画像521の画像データが得られる。フレームF22における撮像では画像522の画像データが得られる。
【0058】
時刻t22~時刻t23の間にカメラ1の移動速度Vがさらに速くなり、たとえば第2の所定値V2以上となって、カメラ1の移動速度Vに基づいて算出した露光時間が第1フレームレートにおける露光時間の上限値を超えた場合について説明する。この場合、撮像制御部34cは、フレームF23およびその次のフレームF24の露光時間Tdを第1フレームレートにおける露光時間の上限値に設定する。フレームF23における撮像では画像523の画像データが得られ、フレームF24における撮像では画像524の画像データが得られる。
【0059】
画像処理部34dは、フレームF23で撮像してられた画像523の画像データと、フレームF24で撮像してられた画像524の画像データとに基づいて、次のようにして画像523の画像データに像ブレを付加する。画像処理部34dは、フレームF23で撮像してられた画像523の画像データと、フレームF24で撮像してられた画像524の画像データとを比較して、単位時間当たりの画像523中の像の移動量Xを算出する。そして、画像処理部34dは、上記移動量Xとカメラ1の移動速度Vに基づいて算出した露光時間との積、すなわち、カメラ1の移動速度Vに基づいて算出した露光時間だけ露光させたと仮定した場合の画像523中の像の像ブレ量を算出する。そして、画像処理部34dは、算出した像ブレ量に相当する像ブレを画像523に付加する画像処理を行う。これにより、カメラ1の移動速度Vに基づいて算出した露光時間だけ露光させたと場合と同様の像ブレが付加された画像611の画像データが得られる。
【0060】
カメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上のままであれば、フレームF24で撮像して得られた画像524に対しても上述した像ブレ付加処理が行われる。すなわち、画像処理部34dは、フレームF24で撮像してられた画像524の画像データと、フレームF24の次のフレームで撮像してられた画像の画像データとに基づいて、画像524の画像データに像ブレを付加した画像612の画像データを生成する。
【0061】
このように、時間的に隣接する2つの撮像フレームの画像データに基づいて、像ブレが付加された画像データを生成することで、適度な像ブレを有する動画像が得られる。これにより、動画像が滑らかに再生されるので、再生された動画像を閲覧した閲覧者が速度感を感じることができ、臨場感を味わうことができる。
【0062】
図10は、第3の実施の形態のカメラ1の撮像に関する処理を示したフローチャートである。第3の実施の形態のカメラ1の撮像に関する処理は、図8のステップS55の処理に代えてステップS61の処理が行われる点を除き、図8に示した第2の実施の形態におけるフローチャートに示した処理と同じである。
【0063】
ステップS53が実行されるとステップS61へ進み、制御部34の画像処理部34dは、上述した像ブレ付加処理を行ってステップS35へ進む。
【0064】
第3の実施の形態のカメラ1では、上述した各実施の形態の作用効果に加えて次の作用効果を奏する。
(1)カメラ1は、撮像素子33aが生成した信号に画像処理を行う画像処理部34dを備える。撮像制御部34cは、加速度センサ35および移動速度算出部34bで検出された移動速度Vが速くなった場合に露光時間を長くする。画像処理部34dは、移動速度Vが更に速くなった場合に像ブレを付加する画像処理を行う。
これにより、適度な像ブレを有する動画像が得られる。このようにして得られた動画像では、滑らかに再生されるので、再生された動画像を閲覧した閲覧者が速度感を感じることができ、臨場感を味わうことができる。
【0065】
---第4の実施の形態---
図11図14を参照して、撮像装置の第4の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。第4の実施の形態では、主に、カメラ1の移動速度Vが速くなると、露光時間を長くする代わりに、動画像の画角を変更する点が第1の実施の形態と異なる。
【0066】
一般的に、人間の視野は、その人間の移動速度が速くなるほど狭くなる傾向にある。図11図3と同様の図であって、図2に示した人物の頭部に取り付けられたカメラ1で撮像した動画像のあるフレームの画像の一例であり、ゲレンデの様子を示している。カメラ1では、画像50に示す範囲が撮像されるが、スキーヤーの滑降速度が速くなると、たとえば、スキーヤーの視野は、枠81で示すような範囲へと狭まる。
【0067】
そこで、第4の実施の形態のカメラ1では、動画像の閲覧者にスキーヤーが見ている視界に近い動画像を閲覧させるためカメラ1の移動速度Vが速くなると再生される動画像の範囲が狭まるようにする。すなわち、第4の実施の形態のカメラ1では、カメラ1の移動速度Vが速くなると撮像して得られた画像の一部だけを切り出し、切り出した画像を拡大して記録する。このように第4実施の形態のカメラ1では、カメラ1の移動速度Vが速くなるにつれて、撮影して記録される動画像の範囲は狭くなる。
【0068】
図12は、第4の実施の形態のカメラ1の構成示すブロック図である。制御部34Aには、露出演算部34aと、移動速度算出部34bと、画像処理部34dとが含まれる。画像処理部34dは、クロップ処理と、拡大処理とをさらに行うことができる。
【0069】
クロップ処理は、撮像して得られた画像の一部を切り出す処理である。以下の説明では、クロップ処理によって切り出す領域をクロップ領域と呼ぶ。たとえば、画像処理部34dは、撮像して得られた図11の画像50に対して、枠81で囲んだ範囲をクロップ領域に設定する。
なお、クロップ領域の中心位置は、撮像して得られた画像の中心位置としてもよく、カメラ1の移動方向に基づいて求めた位置としてもよい。なお、後述する拡大処理の便宜上、クロップ領域は、撮像して得られる画像と同じアスペクト比を有する矩形形状であることが望ましいがこれらの限られるものではない。例えば、クロップ領域は円形、楕円形、その他の形状であってもよい。
【0070】
画像処理部34dは、カメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上であり、かつ、第2の所定値V2未満であれば、撮像して得られた画像に対して第1のクロップ領域を設定する。また、画像処理部34dは、カメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上であれば、第1のクロップ領域よりも狭い第2のクロップ領域を設定する。
【0071】
拡大処理は、上述したクロップ処理によって切り出したクロップ領域の画像を、クロップ処理前の元の画像の大きさに拡大する処理である。
画像処理部34dは、撮像して得られた画像の画像データに代えて、上述したクロップ処理および拡大処理によって得られた画像の画像データを記録用の画像データとして扱う。
なお、画像処理部34dは、移動速度算出部34bで算出されたカメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1未満であれば、上述したクロップ処理と、拡大処理とを行わず、撮像して得られた画像の画像データを記録用の画像データとして扱う。なお、撮像してクロップ処理をした画像については、記録時にはクロップにより生成した動画像の拡大処理を行わずに記録することとしてもよい。
【0072】
図13は、各フレームで撮像して得られる画像と、本実施の形態で得られる画像との関係を示す図である。
時刻t31,t32では、カメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1未満であるものとする。この場合、画像処理部34dは、時刻t31,t32から露光が開始される各フレームF31,F32において撮像して得られた画像531,532に対して上述したクロップ処理および拡大処理を行わない。画像処理部34dは、各フレームF31,F32において撮像して得られた画像531,532の画像データを記録用の画像データとして扱う。
【0073】
たとえば、時刻t32~時刻t33の間にカメラ1の移動速度Vが速くなり、たとえば第1の所定値V1以上となった場合について説明する。この場合、画像処理部34dは、時刻t33から露光が開始されるフレームF33において撮像して得られた画像533に対して上述したクロップ処理および拡大処理を行う。すなわち、画像処理部34dは、時刻t33から露光が開始されるフレームF33において撮像して得られた画像533に対して、クロップ領域833を設定し、設定したクロップ領域833を切り出す。
なお、画像処理部34dは、カメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上であり、かつ、第2の所定値V2未満であれば、画像533に対して第1のクロップ領域を設定する。また、画像処理部34dは、カメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上であれば、画像533に対して第2のクロップ領域を設定する。
【0074】
そして、画像処理部34dは、クロップ領域833の画像をクロップ処理前の元の画像533の大きさに拡大する処理を行い、画像733の画像データを得る。画像処理部34dは、画像733の画像データをフレームF33における記録用の画像データとして扱う。
【0075】
時刻t33~時刻t34の間において、カメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上であれば、画像処理部34dは、時刻t34から露光が開始されるフレームF34において撮像して得られた画像534に対しても上述したクロップ処理および拡大処理を行う。すなわち、画像処理部34dは、画像534に対して、クロップ領域834を設定し、設定したクロップ領域834を切り出す。そして、画像処理部34dは、クロップ領域834の画像をクロップ処理前の元の画像534の大きさに拡大する処理を行い、画像734の画像データを得る。画像処理部34dは、画像734の画像データをフレームF34における記録用の画像データとして扱う。
【0076】
このように、カメラ1の移動速度Vが速くなると記録される画像の範囲が狭くなるので、本実施の形態のカメラ1で撮像された動画像を閲覧すると、閲覧者は、カメラ1の移動速度Vが速くなると視野が狭まったように感じる。これにより、速度感が薄れてしまうことを抑制でき、動画像の閲覧者に臨場感を与えることができる。
【0077】
図14は、第4の実施の形態のカメラ1の撮像に関する処理を示したフローチャートである。カメラ1の不図示の電源スイッチがオンされると、図14に示す処理が制御部34で実行される。ステップS11からステップS17までは、図6に示した第1の実施の形態と同じである。
【0078】
ステップS17が実行されるとステップS18へ進み、ステップS15で算出した露光時間やISO感度や絞り値で撮像するように撮像部33および絞り32を制御してステップS19へ進む。ステップS19において、制御部34の撮像制御部34cは、ステップS17で算出されたカメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1未満であるか否かを判断する。ステップS19が肯定判断されるとステップS35へ進む。ステップS35以降の処理は、図6に示した第1の実施の形態と同じである。
【0079】
ステップS17で算出されたカメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上であればステップS19が否定判断されてステップS23へ進む。ステップS23において、制御部34の撮像制御部34cは、ステップS17で算出されたカメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上であるか否かを判断する。
ステップS17で算出されたカメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上であればステップS23が肯定判断されてステップS71へ進み、制御部34の画像処理部34dは、上述したように第2のクロップ領域を切り出すクロップ処理を行ってステップS75へ進む。
ステップS17で算出されたカメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2未満であればステップS23が否定判断されてステップS73へ進み、制御部34の画像処理部34dは、上述したように第1のクロップ領域を切り出すクロップ処理を行ってステップS75へ進む。
【0080】
ステップS75において、制御部34の画像処理部34dは、ステップS71またはステップS73のクロップ処理で切り出されたクロップ領域の画像に対して上述した拡大処理を行ってステップS35へ進む。
【0081】
第4の実施の形態のカメラ1では、上述した各実施の形態の作用効果に加えて次の作用効果を奏する。
(1)カメラ1は、撮像素子33aが生成した信号に画像処理を行う画像処理部34dを備える。画像処理部34dは、加速度センサ35および移動速度算出部34bで検出された移動速度Vが速くなった場合に撮像して得られた画像の一部だけを切り出し、切り出した画像を拡大する。記録部38は、画像処理部34dが拡大した画像を記録する。
本実施の形態のカメラ1で撮像された動画像を閲覧すると、閲覧者は、カメラ1の移動速度Vが速くなると視野が狭まったように感じる。これにより、速度感が薄れてしまうことを抑制でき、動画像の閲覧者に臨場感を与えることができる。
【0082】
---第5の実施の形態---
図15および図16を参照して、撮像装置の第5の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1および第4の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1および第4の実施の形態と同じである。第5の実施の形態では、主に、カメラ1の移動速度Vが速くなると、動画像の画角を変更する代わりに、画像の周辺部分の像の鮮明度を下げる点が第4の実施の形態と異なる。
【0083】
上述したように、一般的に、人間の視野は、その人間の移動速度が速くなるほど狭くなる傾向にある。そこで、第5の実施の形態のカメラ1では、動画像の閲覧者にスキーヤーが見ている視界に近い動画像を閲覧させるため、カメラ1の移動速度Vが速くなると撮像して得られた画像の周辺部分の鮮明度を低下させて記録する。
【0084】
第5の実施の形態のカメラ1の構成は、図12に示した第4の実施の形態のカメラ1の構成と同じである。なお、第5の実施の形態のカメラ1では、制御部34Aの画像処理部34dは、クロップ処理および拡大処理に代えて、画像の周辺部分の鮮明度を低下させる鮮明度低下処理を行うことができる。以下、鮮明度低下処理について説明する。
【0085】
本実施の形態において、鮮明度低下処理は、撮像して得られた画像の周辺側の領域に対して、以下の(a)から(d)に挙げた処理の少なくとも1つを行う処理である。
(a)像をぼかす。例えば像の輪郭を不鮮明にする。
(b)コントラストを低下させる。
(c)彩度を低下させる。
(d)明度を低下させる。
【0086】
以下の説明では、鮮明度低下処理を行う領域を処理対象領域と呼び、鮮明度低下処理を行わない領域を非対象領域と呼ぶ。図15は、処理対象領域および非対象領域を説明するための図である。たとえば、画像処理部34dは、撮像して得られた画像50に対して、枠82の外側のハッチングを施した領域を処理対象領域83に設定する。枠82の内側の領域は非対象領域84である。なお、図15における枠82およびハッチングの線は、説明の便宜上記載したものであり、画像50の再生時には現れない。
なお、非対象領域84の中心位置は、撮像して得られた画像の中心位置としてもよく、カメラ1の移動方向に基づいて求めた位置としてもよい。また、非対象領域84の形状は、図15に示すように楕円形であってもよく、円形であってもよく、矩形であってもよく、直線や曲線で構成される閉じた形状であってもよい。
【0087】
画像処理部34dは、カメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1以上であり、かつ、第2の所定値V2未満であれば、撮像して得られた画像に対して第1の処理対象領域を設定する。また、画像処理部34dは、カメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上であれば、第1の処理対象領域よりも広い第2の処理対象領域を設定する。すなわち、画像処理部34dは、カメラ1の移動速度Vが速くなるほど処理対象領域83が広くなるように、換言すると非対象領域84が狭くなるように、処理対象領域83を設定する。そして、画像処理部34dは、設定した処理対象領域に対して、上述した鮮明度低下処理を行う。
なお、画像処理部34dは、処理対象領域の全体が同程度に不鮮明となるように鮮明度低下処理を行ってもよく、非対象領域から離れるにつれてより不鮮明となるように鮮明度低下処理を行ってもよい。具体的には、画像処理部34bは、非対象領域から離れるにつれて像をぼかす程度を大きくする。また、例えば、画像処理部34bは、非対象領域から離れるにつれてコントラスト、彩度あるいは明度の少なくともいずれかを低下させてもよい。これらのぼかし、コントラストの低下、彩度の低下、明度の低下は、いずれか一つのみを行ってもよく、2つ以上の画像処理を合わせて行ってもよい。
【0088】
画像処理部34dは、撮像して得られた画像の画像データに代えて、上述した鮮明度低下処理を施した画像の画像データを記録用の画像データとして扱う。
なお、画像処理部34dは、移動速度算出部34bで算出されたカメラ1の移動速度Vが第1の所定値V1未満であれば、上述した鮮明度低下処理を行わず、撮像して得られた画像の画像データを記録用の画像データとして扱う。
【0089】
このように、カメラ1の移動速度Vが速くなると記録される画像の周辺部分の鮮明度が低下するので、本実施の形態のカメラ1で撮像された動画像を閲覧すると、閲覧者は、カメラ1の移動速度Vが速くなると視野が狭まったように感じる。これにより、速度感が薄れてしまうことを抑制でき、動画像の閲覧者に臨場感を与えることができる。
【0090】
図16は、第5の実施の形態のカメラ1の撮像に関する処理を示したフローチャートである。カメラ1の不図示の電源スイッチがオンされると、図16に示す処理が制御部34で実行される。ステップS11からステップS23までは、図14に示した第4の実施の形態と同じである。
【0091】
ステップS23において、制御部34の撮像制御部34cは、ステップS17で算出されたカメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上であるか否かを判断する。
ステップS17で算出されたカメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2以上であればステップS23が肯定判断されてステップS81へ進み、制御部34の画像処理部34dは、上述したように第2の処理対象領域を設定し、鮮明度低下処理を行ってステップS35へ進む。
ステップS17で算出されたカメラ1の移動速度Vが第2の所定値V2未満であればステップS23が否定判断されてステップS83へ進み、制御部34の画像処理部34dは、上述したように第1の処理対象領域を設定し、鮮明度低下処理を行ってステップS35へ進む。
【0092】
第5の実施の形態のカメラ1では、上述した各実施の形態の作用効果に加えて次の作用効果を奏する。
(1)カメラ1は、撮像素子33aが生成した信号に画像処理を行う画像処理部34dを備える。画像処理部34dは、加速度センサ35および移動速度算出部34bで検出された移動速度Vが速くなった場合に撮像して得られた画像の周辺部分の鮮明度を低下させる鮮明度低下処理を行う。記録部38は、鮮明度低下処理が行われた画像を記録する。
本実施の形態のカメラ1で撮像された動画像を閲覧すると、閲覧者は、カメラ1の移動速度Vが速くなると視野が狭まったように感じる。これにより、速度感が薄れてしまうことを抑制でき、動画像の閲覧者に臨場感を与えることができる。
【0093】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)上述した各実施の形態では、ブレ補正機能については特に言及していなかった。変形例1のカメラ1は、第1の実施の形態のカメラ1が有する各機能に加えて、ブレ補正機能をさらに備えている。
【0094】
図17は、変形例1のカメラ1の構成を示すブロック図である。変形例1のカメラ1の構成は、第1の実施の形態カメラ1の構成に対して、以下の構成をさら備える。撮像光学系31Aは、ブレ補正を行うための不図示のブレ補正レンズと、ブレ補正レンズを駆動する防振駆動部41をさらに備えている。制御部34Bは、防振駆動部41を制御するブレ補正制御部34eをさらに含んでいる。ブレ補正制御部34eは、加速度センサ35で検出したカメラ1の加速度に基づいて、撮像して得られる画像の像ブレを抑制するように防振駆動部41に対して制御信号を出力する。防振駆動部41は、ブレ補正制御部34eからの制御信号によって不図示のブレ補正レンズを駆動する。
【0095】
カメラ1の振動の強弱は、カメラ1がどのような場所に取り付けられているのかによって異なる。たとえば、図2に示すようにカメラ1が人物の頭部に取り付けられている場合には、カメラ1がスキー板に取り付けられている場合と比べてカメラ1の振動は弱くなる。
そこで、変形例1のカメラでは、カメラ1の取り付け場所に関してユーザが設定可能に構成され、設定内容に基づいて、ブレ補正の強さが変更される。また、変形例1のカメラでは、上記設定内容に基づいて、第1の実施の形態における露光時間の延長倍数であるaおよびbの値が変更される。変形例1のカメラ1では、カメラ1の取り付け場所として、たとえば、「人体」と、「物体」の2箇所をユーザが操作部材37の操作によって設定可能である。
【0096】
カメラ1の取り付け場所として「人体」が設定されると、制御部34Bのブレ補正制御部34bは、第1の強さでブレ補正を行うように防振駆動部41に対して制御信号を出力する。これにより、防振駆動部41は、第1の強さで不図示のブレ補正レンズを駆動する。
また、カメラ1の取り付け場所として「人体」が設定されると、制御部34Bの撮像制御部34cは、露光時間を延長する場合に、露光時間の延長倍数であるaおよびbの値を第1の実施の形態における値から変更せずに露光時間を延長する。
【0097】
カメラ1の取り付け場所として「物体」が設定されると、制御部34Bのブレ補正制御部34bは、第1の強さよりも強い第2の強さでブレ補正を行うように防振駆動部41に対して制御信号を出力する。これにより、防振駆動部41は、第2の強さで不図示のブレ補正レンズを駆動する。したがって、カメラ1の取り付け場所が「人体」に設定された場合よりもブレ補正が強くなるので、像ブレが抑制される。
また、カメラ1の取り付け場所として「物体」が設定されると、制御部34Bの撮像制御部34cは、露光時間を延長する場合に、露光時間の延長倍数であるaおよびbの値を第1の実施の形態における値よりも小さくなるように変更する。これにより、カメラ1の取り付け場所が「人体」に設定された場合に比べて、延長された後の露光時間が短くなるので、像ブレが抑制される。
【0098】
(変形例2)上述した第1の実施の形態では、露出演算部34aは、露光時間を長くすることで露出過剰とならないように、撮像制御部34cが変更した露光時間で適正露出となるようにISO感度を低下させた。変形例2では、露光時間を長くすることで露出過剰とならないように、ISO感度を低下させることに代えて、または、ISO感度を低下させるとともに、制御部34がNDフィルタを光路中に挿入するように制御してもよい。
【0099】
(変形例3)上述した各実施の形態では、制御部34の移動速度算出部34bは、加速度センサ35で検出したカメラ1の加速度からカメラ1の移動速度Vを算出した。変形例3では、撮像素子からの信号に基づいて求められるデフォーカス量から被写体までの距離を算出し、算出した被写体までの距離の変化からカメラ1の移動速度を求める。
変形例3のカメラ1では、撮像素子33aは、像面位相差方式により測距を行うことができる撮像素子である。制御部34は、撮像素子33aからの信号を用いて瞳分割型の位相差検出方式によりデフォーカス量を算出し、算出したデフォーカス量に基づいて被写体までの距離を算出する。そして、制御部34は、算出した被写体までの距離の変化に基づいて被写体とカメラ1との相対速度を算出し、算出した相対速度をカメラ1の移動速度Vとする。
【0100】
(変形例4)上述した各実施の形態では、カメラ1の移動速度Vを算出するために加速度センサ35を用いた。変形例4では、加速度センサ35に代えて、いわゆるTOF(time of flight)センサを用いる。
TOFセンサは、公知のTOF法に用いるイメージセンサである。TOF法は、不図示の光源部から被写体に向けて光パルス(照射光)を発し、被写体で反射された光パルスがTOFセンサへ戻ってくるまでの時間に基づいて、被写体までの距離を検出する技術である。制御部34は、検出した被写体までの距離の変化に基づいて被写体とカメラ1との相対速度を算出し、算出した相対速度をカメラ1の移動速度Vとする。
なお、撮像素子33aをTOFセンサに利用してもよい。
【0101】
(変形例5)上述した各実施の形態では、カメラ1の移動速度Vを算出するために加速度センサ35を用いた。変形例5では、加速度センサ35に代えて、GPSセンサを用いる。
たとえば、GPSセンサが出力する情報に移動速度の情報が存在すれば、制御部34は、GPSセンサから出力された移動速度の情報をカメラ1の移動速度Vの情報として扱う。たとえば、GPSセンサが出力する情報に移動速度の情報が存在しない場合には、制御部34の移動速度算出部34bは、GPSセンサが出力する現在位置の情報の変化に基づいてカメラ1の移動速度Vを算出する。
【0102】
(変形例6)上述した第4の実施の形態では、カメラ1の移動速度Vが速くなると動画像の閲覧者に動画像の範囲が狭まったように感じさせるために、カメラ1の移動速度Vが速くなると、クロップ処理と拡大処理とによって、撮像して得られた画像の一部だけを切り出し、切り出した画像を拡大した。変形例6では、カメラ1の移動速度Vが速くなると、撮像して得られる画像の画角が狭くなるように、撮像光学系の焦点距離を短くする。すなわち、撮像光学系31に焦点距離の調節機能を持たせ、カメラ1の移動速度Vが速くなると焦点距離を短くするように、制御部34が撮像光学系31のズームレンズの駆動を制御する。これにより、第4の実施の形態におけるクロップ処理と拡大処理とによって、撮像して得られた画像の一部だけを切り出し、切り出した画像を拡大した場合と同様の作用効果が得られる。
【0103】
上述した第1の実施の形態から第5の実施の形態では、速度情報として、カメラ1の移動速度を例として説明したが、速度情報はカメラ1の移動速度に限られない。例えば、速度情報は、カメラ1と特定の対象物との距離の情報であってもよい。これは、カメラ1の速度が速くなると、特定の対象物までの距離の変化量が変わるためである。具体的には、カメラ1は、カメラ1と特定対象物との距離の変化の大きさ(変化量、変化率)に基づいて、露光時間を変更する。
【0104】
このような例では、制御部34がカメラ1から特定の対象物までの距離情報を取得する。距離情報は、例えば、デフォーカス量から取得(算出)してもよく、上述したTOFセンサの出力から算出してもよい。制御部34は取得した距離情報から距離の変化量K(または変化率)を算出する。撮像制御部34cは、第1のタイミングで算出した単位時間あたりの距離の変化量K(または変化率)が第1の所定値K1未満であれば露出演算部34aで決定した露光時間を変更しない。しかし、制御部34で算出された距離の変化量K(または変化率)が第1の所定値K1以上であれば、撮像制御部34cは、露出演算部34aで決定した露光時間よりも長くなるように露光時間を変更する。
【0105】
詳述すると、撮像制御部34cは、距離の変化量Kが第1の所定値K1以上であり、かつ、第2の所定値K2(K1<K2)未満であれば、たとえば露出演算部34aで決定した露光蓄積時間をa倍(aは1よりも大きい値)にする。また、撮像制御部34cは、距離の変化量K(または変化率)が第2の所定値K2以上になれば、たとえば露出演算部34aで決定した露光蓄積時間をb倍(b>a)にする。
なお、距離の変化量K(または変化率)に応じて2段階で露光時間を延長することは、一例であり、1段階であってもよく、3段階以上であってもよい。また、上述したように露光時間を距離の変化量K(または変化率)に応じて段階的に長くするのではなく、距離の変化量K(または変化率)に応じて連続的に露光時間を延長するようにしてもよい。具体的には、距離の変化量K(または変化率)が大きくなるほど、露光時間を長くすることとしてもよい。例えば、初期設定では、露光時間をフレームレートによって決定される時間間隔の4分の1~2分の1の値の間の露光時間Aにしておき、距離の変化量K(または変化率)が大きくなるほど、露光時間Aよりも長くすることとしてもよい。
【0106】
上述した第1の実施の形態から第5の実施の形態では、速度情報として、カメラ1の移動速度を例として説明したが、速度情報はカメラ1の移動速度に限られない。例えば、速度情報は、特定の対象物の大きさの情報であってもよい。これは、カメラ1の速度が速くなると、特定の対象物の大きさの変化量が変わるためである。具体的には、カメラ1は、特定対象物の大きさの変化の大きさ(変化量、変化率)に基づいて、露光時間を変更する。
【0107】
このような例では、制御部34が撮影している特定の対象物の大きさの情報を取得する。大きさの情報は、被写体認識(物体認識)の技術やエッジの抽出技術を用いて行えばよい。制御部34は取得した特定の被写体の大きさの情報から大きさの変化量M(または変化率)を算出する。撮像制御部34cは、第1のタイミングで算出した単位時間あたりの大きさの変化量M(または変化率)が第1の所定値M1未満であれば露出演算部34aで決定した露光時間を変更しない。しかし、制御部34で算出された大きさの変化量M(または変化率)が第1の所定値M1以上であれば、撮像制御部34cは、露出演算部34aで決定した露光時間よりも長くなるように露光時間を変更する。
【0108】
詳述すると、撮像制御部34cは、大きさの変化量Mが第1の所定値M1以上であり、かつ、第2の所定値M2(M1<M2)未満であれば、たとえば露出演算部34aで決定した露光蓄積時間をa倍(aは1よりも大きい値)にする。また、撮像制御部34cは、大きさの変化量M(または変化率)が第2の所定値M2以上になれば、たとえば露出演算部34aで決定した露光蓄積時間をb倍(b>a)にする。
なお、大きさの変化量M(または変化率)に応じて2段階で露光時間を延長することは、一例であり、1段階であってもよく、3段階以上であってもよい。また、上述したように露光時間を大きさの変化量Mに応じて段階的に長くするのではなく、大きさの変化量M(または変化率)に応じて連続的に露光時間を延長するようにしてもよい。具体的には、大きさの変化量M(または変化率)が大きくなるほど、露光時間を長くすることとしてもよい。例えば、初期設定では、露光時間をフレームレートによって決定される時間間隔の4分の1~2分の1の値の間の露光時間Aにしておき、大きさの変化量M(または変化率)が大きくなるほど、露光時間Aよりも長くすることとしてもよい。
【0109】
上述した第1の実施の形態から第5の実施の形態では、速度情報として、カメラ1の移動速度を例として説明したが、速度情報はカメラ1の移動速度に限られない。例えば、速度情報は、音の大きさであってもよい。これはカメラ1の速度が速くなるほど、取得する音の大きさ(特に風切音の大きさ)が大きくなるためである。具体的には、カメラ1は、撮影時に取得した音の大きさに基づいて、露光時間を変更する。
【0110】
このような例では、制御部34が撮影時の音の大きさの情報を取得する。音の大きさの情報は、撮影して記録する音の解析を行えばよい。また、制御部34は、風切音に対応する特定の周波数帯域の音の大きさの情報を取得することとしてもよい。制御部34は取得した音の大きさの情報から音の大きさSを算出する。撮像制御部34cは、音の大きさSが第1の所定値S1未満であれば露出演算部34aで決定した露光時間を変更しない。しかし、音の大きさSが第1の所定値S1以上であれば、撮像制御部34cは、露出演算部34aで決定した露光時間よりも長くなるように露光時間を変更する。
【0111】
詳述すると、撮像制御部34cは、音の大きさSが第1の所定値S1以上であり、かつ、第2の所定値S2(S1<S2)未満であれば、たとえば露出演算部34aで決定した露光蓄積時間をa倍(aは1よりも大きい値)にする。また、撮像制御部34cは、音の大きさSが第2の所定値S2以上になれば、たとえば露出演算部34aで決定した露光蓄積時間をb倍(b>a)にする。
なお、音の大きさSに応じて2段階で露光時間を延長することは、一例であり、1段階であってもよく、3段階以上であってもよい。また、上述したように露光時間を音の大きさSに応じて段階的に長くするのではなく、音の大きさSに応じて連続的に露光時間を長くするようにしてもよい。具体的には、音の大きさSが大きくなるほど、露光時間を長くすることとしてもよい。例えば、初期設定では、露光時間をフレームレートによって決定される時間間隔の4分の1~2分の1の値の間の露光時間Aにしておき、音の大きさSが大きくなるほど、露光時間Aよりも長くすることとしてもよい。
【0112】
また、上記の第1の実施の形態から第5の実施の形態では、移動速度V、距離の変化量K(変化率)、大きさの変化量M(変化率)、音の大きさSに基づいて、露光時間を長くする例を説明したが、当然、移動速度Vが相対的に遅くなった場合(距離の変化量Kが小さくなった場合、大きさの変化量が小さくなった場合、音の大きさが小さくなった場合)は、露光時間を相対的に短くすることとすればよい。
【0113】
また、上記のように露光時間を短くした場合に、フレームレートによって決定される時間間隔に対して、露光時間が短くなった場合には、フレームレートを上げることとしてもよい。たとえば、動画像の撮影を30分の1秒間隔て行っていた場合に、算出された露光時間が60分の1秒より小さくなった場合には、動画像の撮影を60分の1秒間隔での撮影に変更することとしてもよい。
【0114】
上述した第4の実施の形態では、速度情報として、カメラ1の移動速度を例として説明したが、速度情報はカメラ1の移動速度に限られない。例えば、速度情報は、カメラ1と特定の対象物との距離の情報であってもよい。これは、カメラ1の速度が速くなると、特定の対象物までの距離の変化量が変わるためである。具体的には、カメラ1は、カメラ1と特定対象物との距離の変化の大きさ(変化量、変化率)に基づいて、クロップ領域を変更する。
【0115】
このような例では、制御部34Aが、撮影時のカメラ1から特定の対象物までの距離情報を取得する。距離情報は、上述したように、例えば、デフォーカス量から取得(算出)してもよく、TOFセンサの出力から算出してもよい。これらの情報は、撮影時に取得して記録しておくこととしてもよい。制御部34Aは、取得した距離情報から距離の変化量K(または変化率)を算出する。画像処理部34dは、第1のタイミングで算出した単位時間あたりの距離の変化量K(または変化率)が第1の所定値K1未満であればクロップ領域を変更しない。しかし、制御部34Aで算出された距離の変化量K(または変化率)が第1の所定値K1以上であれば、画像処理部34dは、クロップ領域を狭くなるようにする。
【0116】
詳述すると、画像処理部34dは、距離の変化量Kが第1の所定値K1以上であり、かつ、第2の所定値K2未満(K1<K2)であるフレームについては、そのフレームの画像に対して第1のクロップ領域を設定する。また、画像処理部34dは、距離の変化量K(または変化率)が第2の所定値K2以上であるフレームについては、そのフレームの画像に対して第1のクロップ領域よりも狭い第2のクロップ領域を設定する。
なお、距離の変化量K(または変化率)に応じて2段階でクロップ領域を変更することは、一例であり、1段階であってもよく、3段階以上であってもよい。また、上述したようにクロップ領域を距離の変化の大きさに応じて段階的に長くするのではなく、距離の変化量K(または変化率)に応じて連続的にクロップ領域を変更するようにしてもよい。具体的には、距離の変化量K(または変化率)が大きくなるほど、クロップ領域を狭くすることとしてもよい。例えば、初期設定では、クロップ領域を設定せず(例えば全画角表示)、距離の変化量K(または変化率)が大きくなるほど、クロップ領域を狭くすることとしてもよい。
【0117】
上述した第4の実施の形態では、速度情報として、カメラ1の移動速度を例として説明したが、速度情報はカメラ1の移動速度に限られない。例えば、速度情報は、特定の対象物の大きさの情報であってもよい。これは、カメラ1の速度が速くなると、特定の対象物の大きさの変化量が変わるためである。具体的には、カメラ1は、特定対象物の大きさの変化の大きさ(変化量、変化率)に基づいて、クロップ領域を狭くなるようにする。
【0118】
このような例では、制御部34Aが、撮影された特定の対象物の大きさの情報を取得する。大きさの情報は、上述したように、被写体認識(物体認識)の技術やエッジの抽出技術を用いて行えばよい。画像処理部34dは、取得した特定の被写体の大きさの情報から大きさの変化量M(または変化率)を算出する。画像処理部34dは、第1のタイミングで算出した単位時間あたりの大きさの変化量M(または変化率)が第1の所定値M1未満であればクロップ領域を変更しない。しかし、表示回路101で算出された大きさの変化量M(または変化率)が第1の所定値M1以上であれば、画像処理部34dは、クロップ領域を狭くなるようにする。
【0119】
詳述すると、画像処理部34dは、大きさの変化量Mが第1の所定値M1以上であり、かつ、第2の所定値M2未満(M1<M2)であるフレームについては、そのフレームの画像に対して第1のクロップ領域を設定する。また、画像処理部34dは、大きさの変化量M(または変化率)が第2の所定値M2以上であるフレームについては、そのフレームの画像に対して第1のクロップ領域よりも狭い第2のクロップ領域を設定する。なお、大きさの変化量M(または変化率)に応じて2段階でクロップ領域を変更することは、一例であり、1段階であってもよく、3段階以上であってもよい。また、上述したようにクロップ領域を大きさの変化量Mに応じて段階的に長くするのではなく、大きさの変化量M(または変化率)に応じて連続的にクロップ領域を変更するようにしてもよい。具体的には、大きさの変化量M(または変化率)が大きくなるほど、露光時間を長くすることとしてもよい。例えば、初期設定では、クロップ領域を設定せず(例えば全画角表示)、大きさの変化量M(または変化率)が大きくなるほど、クロップ領域を狭くすることとしてもよい。
【0120】
上述した第4の実施の形態では、速度情報として、カメラ1の移動速度を例として説明したが、速度情報はカメラ1の移動速度に限られない。例えば、速度情報は、音の大きさであってもよい。これはカメラ1の速度が速くなるほど、取得する音の大きさ(特に風切音の大きさ)が大きくなるためである。具体的には、カメラ1は、撮影時に取得した音の大きさに基づいて、クロップ領域を狭くする。
【0121】
このような例では、制御部34Aが、撮影時の音の大きさの情報を取得する。音の大きさの情報は、上述したように、撮影して記録された音の解析を行えばよい。また、制御部34Aは、風切音に対応する特定の周波数帯域の音の大きさの情報を取得することとしてもよい。制御部34Aは取得した音の大きさの情報から音の大きさSを算出する。画像処理部34dは、音の大きさSが第1の所定値S1未満であればクロップ領域を変更しない。しかし、音の大きさSが第1の所定値S1以上であれば、画像処理部34dは、クロップ領域を狭くなるようにする。
【0122】
詳述すると、画像処理部34dは、音の大きさSが第1の所定値S1以上であり、かつ、第2の所定値S2未満(S1<S2)であるフレームについては、そのフレームの画像に対して第1のクロップ領域を設定する。また、画像処理部34dは、音の大きさSが第2の所定値S2以上であるフレームについては、そのフレームの画像に対して第1のクロップ領域よりも狭い第2のクロップ領域を設定する。なお、音の大きさSに応じて2段階でクロップ領域を変更することは、一例であり、1段階であってもよく、3段階以上であってもよい。また、上述したようにクロップ領域を音の大きさSに応じて段階的に長くするのではなく、音の大きさSに応じて連続的にクロップ領域を変更するようにしてもよい。具体的には、音の大きさSが大きくなるほど、クロップ領域を狭くすることとしてもよい。例えば、初期設定では、クロップ領域を設定せず(例えば全画角表示)、音の大きさSが大きくなるほど、クロップ領域を狭くすることとしてもよい。
【0123】
また、上記の第4の実施の形態では、移動速度V、距離の変化量K(変化率)、大きさの変化量M(変化率)、音の大きさSに基づいて、クロップ領域を狭くする例を説明したが、当然、移動速度Vが相対的に遅くなった場合(距離の変化量Kが小さくなった場合、大きさの変化量が小さくなった場合、音の大きさが小さくなった場合)は、クロップ領域を相対的に広くすることとすればよい。
【0124】
次に、第5の実施の形態で説明した鮮明度を下げる処理対象領域の設定の別の例について説明する。上述した第5の実施の形態では、速度情報として、カメラ1の移動速度を例として説明したが、画像の周辺部分の鮮明度を下げる処理を説明したが、速度情報はカメラ1の移動速度に限られない。例えば、速度情報は、カメラ1と特定の対象物との距離の情報であってもよい。具体的には、カメラ1は、カメラ1と特定対象物との距離の変化の大きさ(変化量、変化率)に基づいて、処理対象領域を変更する。
【0125】
制御部34Aは、取得した距離情報から距離の変化量K(または変化率)を算出する。画像処理部34dは、第1のタイミングで算出した単位時間あたりの距離の変化量K(または変化率)が第1の所定値K1未満であれば処理対象領域を変更しない。しかし、制御部34Aで算出された距離の変化量K(または変化率)が第1の所定値K1以上であれば、画像処理部34dは、処理対象領域を広くなるようにする。
【0126】
詳述すると、画像処理部34dは、距離の変化量Kが第1の所定値K1以上であり、かつ、第2の所定値K2未満(K1<K2)であるフレームについては、そのフレームの画像に対して第1の処理対象領域を設定する。また画像処理部34dは、距離の変化量K(または変化率)が第2の所定値K2以上であるフレームについては、そのフレームの画像に対して第1の処理対象領域よりも広い第2の処理対象領域を設定する。
なお、距離の変化量K(または変化率)に応じて2段階でクロップ領域を変更することは、一例であり、1段階であってもよく、3段階以上であってもよい。また、上述したように処理対象領域を距離の変化の大きさに応じて段階的に長くするのではなく、距離の変化量K(または変化率)に応じて連続的に処理対象領域を変更するようにしてもよい。具体的には、距離の変化量K(または変化率)が大きくなるほど、処理対象領域を広くすることとしてもよい。例えば、初期設定では、処理対象領域を設定せず(例えば全画角表示)、距離の変化量K(または変化率)が大きくなるほど、処理対象領域を広くすることとしてもよい。
【0127】
上述した第5の実施の形態では、速度情報として、カメラ1の移動速度を例として説明したが、速度情報はカメラ1の移動速度に限られない。例えば、速度情報は、特定の対象物の大きさの情報であってもよい。具体的には、カメラ1は、特定対象物の大きさの変化の大きさ(変化量、変化率)に基づいて、処理対象領域を広くなるようにする。
【0128】
このような例では、制御部34Aが、撮影された特定の対象物の大きさの情報を取得する。画像処理部34dは、第1のタイミングで算出した単位時間あたりの大きさの変化量M(または変化率)が第1の所定値M1未満であれば処理対象領域を変更しない。しかし、制御部34Aで算出された大きさの変化量M(または変化率)が第1の所定値M1以上であれば、画像処理部34dは、処理対象領域を広くなるようにする。
【0129】
詳述すると、画像処理部34dは、大きさの変化量Mが第1の所定値M1以上であり、かつ、第2の所定値M2未満(M1<M2)であるフレームについては、そのフレームの画像に対して第1の処理対象領域を設定する。また、画像処理部34dは、大きさの変化量M(または変化率)が第2の所定値M2以上であるフレームについては、そのフレームの画像に対して第1の処理対象領域よりも広い第2の処理対象領域を設定する。なお、大きさの変化量M(または変化率)に応じて2段階で処理対象領域を変更することは、一例であり、1段階であってもよく、3段階以上であってもよい。また、上述したように処理対象領域を大きさの変化量Mに応じて段階的に長くするのではなく、大きさの変化量M(または変化率)に応じて連続的に処理対象領域を変更するようにしてもよい。具体的には、大きさの変化量M(または変化率)が大きくなるほど、処理対象領域を広くすることとしてもよい。例えば、初期設定では、処理対象領域を設定せず(例えば全画角表示)、大きさの変化量M(または変化率)が大きくなるほど、処理対象領域を広くすることとしてもよい。
【0130】
上述した第5の実施の形態では、速度情報として、カメラ1の移動速度を例として説明したが、速度情報はカメラ1の移動速度に限られない。例えば、速度情報は、音の大きさであってもよい。具体的には、カメラ1は、撮影時に取得した音の大きさに基づいて、処理対象領域を広くする。
【0131】
このような例では、制御部34Aが、撮影時の音の大きさの情報を取得する。音の大きさの情報は、撮影して記録された音の解析を行えばよい。また、制御部34Aは、風切音に対応する特定の周波数帯域の音の大きさの情報を取得することとしてもよい。制御部34Aは取得した音の大きさの情報から音の大きさSを算出する。画像処理部34dは、音の大きさSが第1の所定値S1未満であれば処理対象領域を変更しない。しかし、音の大きさSが第1の所定値S1以上であれば、画像処理部34dは、処理対象領域を広くなるようにする。
【0132】
詳述すると、画像処理部34dは、音の大きさSが第1の所定値S1以上であり、かつ、第2の所定値S2未満(S1<S2)であるフレームについては、そのフレームの画像に対して第1の処理対象領域を設定する。また、画像処理部34dは、音の大きさSが第2の所定値S2以上であるフレームについては、そのフレームの画像に対して第1の処理対象領域よりも広い第2の処理対象領域を設定する。なお、音の大きさSに応じて2段階で処理対象領域を変更することは、一例であり、1段階であってもよく、3段階以上であってもよい。また、上述したように処理対象領域を音の大きさSに応じて段階的に広くするのではなく、音の大きさSに応じて連続的に処理対象領域を変更するようにしてもよい。具体的には、音の大きさSが大きくなるほど、処理対象領域を広くすることとしてもよい。例えば、初期設定では、処理対象領域を設定せず(例えば全画角表示)、音の大きさSが大きくなるほど、処理対象領域を狭くすることとしてもよい。
【0133】
また、上記の第5の実施の形態では、移動速度V、距離の変化量K(変化率)、大きさの変化量M(変化率)、音の大きさSに基づいて、処理対象領域を広くする例を説明したが、当然、移動速度Vが相対的に遅くなった場合(距離の変化量Kが小さくなった場合、大きさの変化量が小さくなった場合、音の大きさが小さくなった場合)は、処理対象領域を相対的に狭くすることとすればよい。
【0134】
上述した各実施の形態のカメラ1において、撮像部33として、撮像素子33aにおける撮像面の全域において同じ条件で撮像したり、撮像素子33aにおける撮像面の領域ごとに異なる条件で撮像したりすることができるものを用いてもよい。この場合、たとえば、第5の実施の形態における処理対象領域83に相当する撮像面の領域と、非対象領域84に相当する撮像面の領域とで、異なる撮像条件を設定してもよい。以下の説明では、処理対象領域83に相当する撮像面の領域を第1領域と呼び、非対象領域84に相当する撮像面の領域を第2領域と呼ぶ。
【0135】
たとえば、制御部34は、第1領域の感度を第2領域の感度よりも低く設定してもよい。これにより、処理対象領域83の画像が非対象領域84の画像よりも明度が低下するので、上述した鮮明度低下処理を行った場合と同様の作用効果が得られる。
たとえば、制御部34は、第1領域の露光時間を第2領域の露光時間よりも長く設定し、領域によって露光時間が違っても適正露出となるように第1領域の感度を第2領域の感度よりも低く設定してもよい。これにより、処理対象領域83の画像の像ブレの量が非対象領域84の画像の像ブレの量よりも多くなるので、処理対象領域83の画像に対して像ブレを付加した場合と同様の作用効果が得られる。
たとえば、制御部34は、第1領域のフレームレートを第2領域のフレームレートよりも下げる。これにより、第1領域の露光時間を第2領域の露光時間よりもさらに長く設定できるので、上記のように像ブレを付加した場合の作用効果をより一層高めることができる。
【0136】
上述した実施の形態および変形例は、以下のような撮像装置も含む。
(1)動画像を生成する撮像装置であって、被写体からの光を露光し、動画像データを出力する撮像素子と、速度情報を取得する取得部と、上記撮像素子の露光時間を制御する制御部と、を備え、上記制御部は、被写体からの光を第1露光時間で露光させ、上記撮像装置の上記速度情報に基づいて、上記第1露光時間から上記第1露光時間よりも長い第2露光時間に変えて蓄積させるように上記撮像素子を制御する撮像装置。
(2)(1)のような撮像装置において、上記取得部は、上記撮像装置の移動速度の情報を取得し、上記制御部は、上記撮像装置の移動速度が速くなるにつれて、上記撮像素子の露光時間を長くする。
(3)(2)のような撮像装置において、上記制御部は、上記撮像装置の移動速度が第1移動速度よりも速い第2移動速度になると、上記撮像素子の露光時間を第1露光時間よりも長い第2露光時間に制御する。
(4)(1)のような撮像装置において、上記取得部は、特定の対象物までの距離情報を取得し、上記制御部は、上記特定の対象物までの距離の変化の大きさが大きくなるにつれて、上記撮像素子の露光時間を長くする。
(5)(4)のような撮像装置において、上記制御部は、上記特定の対象物までの距離の変化の大きさが第1の大きさよりも大きい第2の大きさになると、上記撮像素子の露光時間を第1露光時間よりも長い第2露光時間に制御する。
(6)(1)のような撮像装置において、上記取得部は、特定の対象物の大きさの情報を取得し、上記制御部は、上記特定の対象物の大きさの変化が大きくなるにつれて、上記撮像素子の露光時間を長くする。
(7)(6)のような撮像装置において、上記制御部は、上記特定の対象物の大きさの変化の大きさが第1の大きさよりも大きい第2の大きさになると、上記撮像素子の露光時間を第1露光時間よりも長い第2露光時間に制御する。
(8)(1)のような撮像装置において、上記取得部は、音の情報を取得し、上記制御部は、上記音が大きくなるにつれて、上記撮像素子の露光時間を長くする。
(9)(8)のような撮像装置において、上記制御部は、上記音の情報による音が第1音量より大きい第2音量になると、上記撮像素子の露光時間を第1露光時間よりも長い第2露光時間に制御する。
(10)(9)のような撮像装置において、上記制御部は、上記音のうちの特定の周波数成分の音が第1音量より大きい第2音量になると、上記第1露光時間よりも長い上記第2露光時間に制御する。
(11)(1)~(10)のいずれかのような撮像装置において、上記撮像素子は、第1時間間隔で動画像データを出力し、上記制御部は、上記第1時間間隔と上記第2露光時間とに基づいて、上記第1時間間隔を変更する。
(12)(11)のような撮像装置において、上記制御部は、上記第2露光時間が上記第1時間間隔によって決まる時間以上になると上記第1時間間隔を変更する。
(13)(1)~(11)のいずれかのような撮像装置において、上記撮像素子は、第1時間間隔で動画像データを出力し、上記制御部は、上記第1時間間隔と上記第2露光時間とに基づいて、上記第1時間間隔で出力される動画像データのうちの第1画像データと、上記第1画像データの後に出力される第2画像データとを合成する。
(14)(13)のような撮像装置において、上記制御部は、上記第2露光時間が上記第1時間間隔によって決まる時間以上になると上記第1画像データと上記第2画像データとを合成する。
(15)動画像を生成する撮像装置であって、被写体からの光を蓄積し、動画像データを出力する撮像素子と、上記撮像装置の速度情報を取得する取得部と、上記取得部が取得した速度情報に基づいて、上記動画像データによる動画像に対して処理する領域を制御する制御部と、を備える撮像装置。
(16)(15)のような撮像装置において、上記制御部は、上記速度情報に基づいて、上記撮像素子から出力される動画像データのうちの一部の範囲のデータを記録媒体に記録させる。
(17)(16)のような撮像装置において、上記制御部は、上記速度情報に基づいて、上記撮像素子から出力される動画像データのうちの一部の領域に画像処理を付加した動画像データを上記記録媒体に記録する。
上述した実施の形態および変形例は、以下のようなプログラムも含む。
(18)被写体を撮像する撮像素子から出力に基づいて動画像を生成する撮像装置で実行されるプログラムであって、コンピュータに、速度情報を取得する第1手順と、被写体からの光を第1露光時間で露光させ、上記第1手順で取得した上記撮像装置の上記速度情報に基づいて、上記第1露光時間から上記第1露光時間よりも長い第2露光時間に変えて蓄積させるように上記撮像素子を制御する第2手順と、を実行させるプログラム。
(19)被写体を撮像する撮像素子から出力に基づいて動画像を生成する撮像装置で実行されるプログラムであって、コンピュータに、動画像データを出力する撮像素子と、上記撮像装置の速度情報を取得する第1手順と、上記第1手順で取得した速度情報に基づいて、上記動画像データによる動画像に対して処理する領域を制御する第2手順と、を実行させるプログラム。
【0137】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0138】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2016年第194630号(2016年9月30日出願)
【符号の説明】
【0139】
1;カメラ
31,31A;撮像光学系
32;絞り
33a;撮像素子
34,34A;制御部
34a;露出演算部
34b;移動速度算出部
34c;撮像制御部
34d;画像処理部
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