(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】ケーブル加工装置及びケーブル加工方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/12 20060101AFI20221018BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20221018BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20221018BHJP
B26D 1/06 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H02G1/12 056
H01B13/00 521
B26D3/00 603Z
B26D1/06 A
H02G1/12 053
(21)【出願番号】P 2019040735
(22)【出願日】2019-03-06
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 香菜子
(72)【発明者】
【氏名】大越 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】白川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】揚石 芳丈
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-120830(JP,A)
【文献】特開2013-041206(JP,A)
【文献】特開2008-271632(JP,A)
【文献】特開2001-309520(JP,A)
【文献】特開2014-207834(JP,A)
【文献】特開2001-327025(JP,A)
【文献】特開2005-125459(JP,A)
【文献】特開2012-076195(JP,A)
【文献】特開2019-009939(JP,A)
【文献】特開2003-032824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/12
H01B 13/00
B26D 3/00
B26D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケーブルからジャケット又は外部導体を除去するケーブル加工装置であって、
直線形状の刃先を有する第1ブレードを備える第1ユニットと、
直線形状の刃先を有する第2ブレードを備える第2ユニットと、
前記第1ブレードの刃先と前記第2ブレードの刃先とが対向し、前記第1ブレードの刃先と前記第2ブレードの刃先との距離が変化可能であるように、前記第1ユニット及び前記第2ユニットを保持する保持ユニットと、
前記複数のケーブルは、前記ジャケット又は前記外部導体が局所的に除去された部分を有し、当該除去された部分を前記第1ブレードの刃先及び前記第2ブレードの刃先で挟んだ状態で、前記複数のケーブルの端部が前記第1ブレード及び前記第2ブレードに近づくように、前記複数のケーブルと、前記第1ブレード及び前記第2ブレードとの相対的な位置関係を変化させるように構成された位置関係変化ユニットと、
を備え、
前記第1ユニットは、前記第1ブレードの板厚方向に延びる回転軸を中心として前記第1ブレードが回転可能であるように、前記第1ブレードを保持するケーブル加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル加工装置であって、
前記第1ユニットにおける前記第1ブレードの向きが一定の向きとなるように前記第1ブレードを付勢する付勢ユニットをさらに備えるケーブル加工装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のケーブル加工装置であって、
前記第1ブレード及び前記第2ブレードの少なくとも一方に、シボ加工又はフッ素コーティングが施されているケーブル加工装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のケーブル加工装置であって、
前記第1ブレード及び前記第2ブレードの少なくとも一方は、ポリテトラフルオロエチレンから成る部分を備えるケーブル加工装置。
【請求項5】
ケーブル加工装置を用いて複数のケーブルからジャケット又は外部導体を除去するケーブル加工方法であって、
前記ケーブル加工装置は、
直線形状の刃先を有する第1ブレードを備える第1ユニットと、
直線形状の刃先を有する第2ブレードを備える第2ユニットと、
前記第1ブレードの刃先と前記第2ブレードの刃先とが対向し、前記第1ブレードの刃先と前記第2ブレードの刃先との距離が変化可能であるように、前記第1ユニット及び前記第2ユニットを保持する保持ユニットと、
を備え、
前記第1ユニットは、前記第1ブレードの板厚方向に延びる回転軸を中心として前記第1ブレードが回転可能であるように、前記第1ブレードを保持し、
前記複数のケーブルは、前記ジャケット又は前記外部導体が局所的に除去された部分を有し、当該除去された部分を前記第1ブレードの刃先及び前記第2ブレードの刃先で挟み、
前記複数のケーブルの端部が前記第1ブレード及び前記第2ブレードに近づくように、前記複数のケーブルと、前記第1ブレード及び前記第2ブレードとの相対的な位置関係を変化させるケーブル加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はケーブル加工装置及びケーブル加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多芯ケーブルは複数のケーブルを備える。複数のケーブルを基板やコネクタに接続するために、それぞれのケーブルの端部においてジャケットを除去する必要がある。特許文献1~3には、ケーブルの端部においてジャケットを除去する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-114713号公報
【文献】特開2010-3431号公報
【文献】特開2006-158170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のケーブルのジャケットを除去する方法として、以下の方法が考えられる。まず、複数のケーブルを一列に整列させる。次に、複数のケーブルのそれぞれにCO2レーザを照射し、ジャケットを局所的に除去する。次に、複数のケーブルのうち、CO2レーザを照射した部分を、第1ブレード及び第2ブレードにより挟む。次に、複数のケーブルを、ケーブルの端部が第1ブレード及び第2ブレードに近づく方向に引っ張る。その結果、CO2レーザを照射した部分から端部までのジャケットが除去される。
【0005】
しかしながら、ケーブルに対する第1ブレード及び第2ブレードの当接の状態が、複数のケーブルの中でケーブルごとに大きく異なることがある。例えば、複数のケーブルのうち、一部のケーブルには、第1ブレード及び第2ブレードが十分に当接しないことがある。この場合、そのケーブルのジャケットを除去できない。また、複数のケーブルのうち、一部のケーブルには、第1ブレード及び第2ブレードが過度に強く当接することがある。この場合、そのケーブルに傷が付いてしまう。
【0006】
本開示の1つの局面は、複数のケーブルのそれぞれからジャケットを除去することができ、ケーブルに傷が付くことを抑制できるケーブル加工装置及びケーブル加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの局面は、複数のケーブルからジャケット又は外部導体を除去するケーブル加工装置であって、第1ブレードを備える第1ユニットと、第2ブレードを備える第2ユニットと、前記第1ブレードの刃先と前記第2ブレードの刃先とが対向し、前記第1ブレードの刃先と前記第2ブレードの刃先との距離が変化可能であるように、前記第1ユニット及び前記第2ユニットを保持する保持ユニットと、前記複数のケーブルは、前記ジャケット又は前記外部導体が局所的に除去された部分を有し、当該除去された部分を前記第1ブレードの刃先及び前記第2ブレードの刃先で挟んだ状態で、前記複数のケーブルの端部が前記第1ブレード及び前記第2ブレードに近づくように、前記複数のケーブルと、前記第1ブレード及び前記第2ブレードとの相対的な位置関係を変化させるように構成された位置関係変化ユニットと、を備え、前記第1ユニットは、前記第1ブレードの板厚方向に延びる回転軸を中心として前記第1ブレードが回転可能であるように、前記第1ブレードを保持するケーブル加工装置である。
【0008】
本開示の1つの局面であるケーブル加工装置では、第1ブレードは、第1ブレードの板厚方向に延びる回転軸を中心として回転可能であるように、第1ユニットに保持されている。
【0009】
そのため、複数のケーブルを第1ブレード及び第2ブレードにより挟んだとき、ケーブルに対する第1ブレード及び第2ブレードの当接の状態がケーブルごとに大きく異なってしまうことを抑制できる。その結果、本開示の1つの局面であるケーブル加工装置を用いれば、複数のケーブルのそれぞれからジャケットを除去することができ、ケーブルに傷が付くことを抑制できる。
【0010】
本開示の別の局面は、ケーブル加工装置を用いて複数のケーブルからジャケット又は外部導体を除去するケーブル加工方法である。使用するケーブル加工装置は、本開示の1つの局面であるケーブル加工装置である。
【0011】
本開示の別の局面であるケーブル加工方法では、前記複数のケーブルのうち、前記ジャケット又は前記外部導体が局所的に除去された部分を前記第1ブレード及び前記第2ブレードで挟み、前記複数のケーブルの端部が前記第1ブレード及び前記第2ブレードに近づくように、前記複数のケーブルと、前記第1ブレード及び前記第2ブレードとの相対的な位置関係を変化させる。
【0012】
本開示の別の局面であるケーブル加工方法によれば、複数のケーブルのそれぞれからジャケット又は外部導体を除去することができ、ケーブルに傷が付くことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ケーブル台11がD1方向に移動し、第1ユニット5が上昇している状態にあるケーブル加工装置1の構成を表す斜視図である。
【
図2】ケーブル台11がD2方向に移動し、第1ユニット5が下降している状態にあるケーブル加工装置1の構成を表す斜視図である。
【
図3】ケーブル台11がD2方向に移動し、第1ユニット5が上昇している状態にあるケーブル加工装置1の構成を表す側面図である。
【
図4】第1ユニット5が上昇している状態にあるケーブル加工装置1の構成を表す正面図である。
【
図5】ケーブル加工装置1の電気的構成を表すブロック図である。
【
図6】ジャケット除去部41が形成された複数のケーブル29を表す斜視図である。
【
図7】第1ユニット5を下降させるときの第1ユニット5の作用を表す説明図である。
【
図8】カバー43を備えるケーブル加工装置1の構成を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
1.ケーブル加工装置1の構成
ケーブル加工装置1の構成を、
図1~
図5に基づき説明する。
図1~
図4に示すようにケーブル加工装置1は、ベース部3と、第1ユニット5と、第2ユニット7と、柱部9と、ケーブル台11と、水平レール13と、を備える。
【0015】
ベース部3は板状の部材である。ベース部3の上面は水平である。第1ユニット5は、第1ブレード15と、ブレード支持体17と、支持ピン19と、2つのバネ21、23と、を備える。
【0016】
第1ブレード15は、その下端に刃先15Aを備える。第1ブレード15の厚み方向から見て、刃先15Aの形状は直線である。
ブレード支持体17は、複数の板状部材を積層した基本形態を有する。第1ブレード15は、ブレード支持体17の一方の面である第1面17Aに、支持ピン19により取り付けられている。第1面17Aは鉛直面である。
【0017】
支持ピン19は、第1ブレード15の幅方向における中央を貫通し、第1面17Aに差し込まれている。幅方向とは、刃先15Aと平行な方向である。支持ピン19の軸方向は、第1ブレード15の板厚方向と平行であり、第1面17Aに直交する。
【0018】
第1ブレード15は、支持ピン19を回転軸として、ブレード支持体17に対し回転可能である。よって、第1ブレード15は、第1ブレード15の板厚方向に延びる回転軸を中心として、ブレード支持体17に対し回転可能である。第1ブレード15には、例えば、シボ加工又はフッ素コーティングが施されている。
【0019】
ブレード支持体17は、第1面17Aのうち、第1ブレード15と対向する部分よりも上方に、突出部17Bを備える。突出部17Bは水平方向に突出している。突出部17Bと第1ブレード15の上端15Bとは、上下方向において対向している。
【0020】
バネ21、23は、突出部17Bと、上端15Bとの間に取り付けられている。バネ21は、第1ブレード15の板厚方向から見たとき、支持ピン19よりも、一方の側にずれた位置にある。バネ23は、第1ブレード15の板厚方向から見たとき、支持ピン19よりも、前記一方とは反対の側にずれた位置にある。
【0021】
バネ21、23は、それぞれ、突出部17Bと上端15Bとにより圧縮され、弾性変形している。第1ブレード15に外部から力がかかっていない状態において、バネ21、23の弾性変形量は、バネ21、23の最大弾性変形量より小さい。後述するように、第1ブレード15に対し、支持ピン19を回転軸としてXの方向に回転させる力が加わったとき、バネ21、23はさらに大きく弾性変形することができる。
バネ21、23は、それぞれ、上端15Bに対し下向きの力を加える。第1ブレード15に対し、バネ21、23による力以外の力を加えなければ、第1ユニット5における第1ブレード15の向きは、バネ21により加えられる力と、バネ23により加えられる力とが釣り合う向きとなる。
【0022】
この向きを以下では標準の向きとする。第1ブレード15は、バネ21、23により、標準の向きとなるように付勢されている。なお、第1ブレード15の向きとは、支持ピン19を回転軸とする回転における向きを意味する。バネ21、23は付勢ユニットに対応する。
【0023】
第2ユニット7は、第2ブレード25と、ブレード支持体27と、を備える。ブレード支持体27は、ベース部3の上面に固定されている。ブレード支持体27は角柱状の部材である。
【0024】
第2ブレード25は第1ブレード15と同様の形状を有する。第2ブレード25は、刃先25Aが上側となるように、ブレード支持体27に固定されている。第2ブレード25の板厚方向は水平である。第2ブレード25には、例えば、シボ加工又はフッ素コーティングが施されている。
【0025】
柱部9はベース部3の上面に固定されている。柱部9は上方に延びる板状の部材である。柱部9に対し、第1ユニット5が、上下方向にスライド可能に取り付けられている。柱部9の1つの表面であるスライド面9Aは鉛直面である。スライド面9Aに、ブレード支持体17の第2面17Cが対向している。第2面17Cは、第1面17Aとは反対側の面である。
【0026】
スライド面9Aと第2面17Cとが当接した状態を保ちながら、第1ユニット5は上昇及び下降することができる。柱部9に取り付けられた第1ユニット5の向きは、刃先15Aが下向きとなり、第1ブレード15の板厚方向が水平となる向きである。
【0027】
刃先25Aと刃先15Aとは、対向し、同一の鉛直面内にある。第1ユニット5を上昇又は下降させることにより、刃先25Aと、刃先15Aとの距離が変化する。
第1ユニット5を下降させるとともに、必要に応じて、支持ピン19を回転軸として第1ブレード15を回転させることで、刃先25Aの全体と、刃先15Aの全体とを当接させることができる。なお、ベース部3及び柱部9は保持ユニットに対応する。
【0028】
水平レール13はベース部3の上面に固定されている。ケーブル台11は板状の部材である。ケーブル台11は、水平レール13に対し、上側から取り付けられている。ケーブル台11は、水平レール13に対し、水平方向にスライド可能に取り付けられている。ケーブル台11の上面は水平である。
【0029】
上方から見て、水平レール13及びケーブル台11と、柱部9とは、第1ブレード15及び第2ブレード25を挟んで対向するように配置されている。ケーブル台11がスライドする方向は、第1ブレード15及び第2ブレード25の板厚方向と平行である。
【0030】
ケーブル台11の上に複数のケーブル29を載置することができる。
図1に示すように、ケーブル台11を、第1ブレード15及び第2ブレード25から遠ざかる方向(以下ではD1方向とする)にスライドさせることにより、ケーブル台11の上に載置された複数のケーブル29の位置を、上方から見て第1ブレード15及び第2ブレード25から離れた位置(以下では第1位置とする)とすることができる。
【0031】
また、
図2、
図3に示すように、ケーブル台11を、第1ブレード15及び第2ブレード25に近づく方向(以下ではD2方向とする)にスライドさせることにより、ケーブル台11の上に載置された複数のケーブル29を、第1ブレード15及び第2ブレード25により上下方向から挟まれた位置(以下では第2位置とする)に移動させることができる。
【0032】
図3に示すように、ケーブル台11の上に載置された複数のケーブル29が第2位置にあるとき、複数のケーブル29の下面は、刃先25Aと近接している。
ケーブル加工装置1は、
図5に示す電気的構成を有する。ケーブル加工装置1は、モータ31と、センサ33と、制御部35と、入力部37と、を備える。
【0033】
モータ31は、第1ユニット5を上昇又は下降させるための駆動源である。センサ33は、第1ユニット5の位置、又は、第1ユニット5に加わる力を検出する。制御部35は、センサ33の検出結果に基づき、モータ31を制御する。制御部35がモータ31を制御することにより、第1ユニット5は、刃先15Aが複数のケーブル29に接する位置まで自動的に下降する。入力部37は、ユーザの操作を受け付ける。制御部35は、入力部37で受け付けた操作に応じて制御を開始したり、終了したりする。
【0034】
2.ケーブル加工方法
ケーブル加工方法を、
図1~
図7に基づき説明する。
図6に示すように、複数のケーブル29を、並列配置となるように整列させる。ここでは、それぞれのケーブル29として、金属撚線導体と、ジャケット39とを備えた絶縁電線を用いた。ジャケット39は金属撚線導体の周囲を覆う。ジャケット39は絶縁性材料から成る。金属撚線導体は芯線に対応する。ジャケット39の厚みは、例えば、0.01mm~0.04mmである。
それぞれのケーブル29において、局所的にジャケット39を除去する。ジャケット39を局所的に除去する方法として、例えば、CO
2レーザを照射する方法等が挙げられる。ジャケット39が除去された部分を、ジャケット除去部41とする。ジャケット除去部41では、芯線が露出している。それぞれのケーブル29のジャケット除去部41は、複数のケーブル29の整列方向に沿って一列に並んでいる。複数のケーブル29の軸方向における一方の端部29Aと、ジャケット除去部41との間には、ジャケット39が残っている。
【0035】
次に、
図1に示すように、ケーブル台11をD1方向に移動させる。ケーブル台11の上に複数のケーブル29を載置し、ケーブル台11に対し、テープ又は押さえ治具等の固定手段により固定する。複数のケーブル29の位置は第1位置である。複数のケーブル29の向きは、上方から見て、ケーブル29の軸方向が、刃先15A及び刃先25Aと直交する向きである。また、複数のケーブル29の位置は、ケーブル台11のうち、第1ブレード15及び第2ブレード25の側の部分である。ジャケット除去部41は、ケーブル台11の端部よりも、第1ブレード15及び第2ブレード25の側に突出している。第1ユニット5は上昇させておく。
【0036】
次に、
図3に示すように、ケーブル台11をD2方向に移動させる。このとき、複数のケーブル29の位置は、第2位置となる。刃先15A、ジャケット除去部41、及び刃先25Aは、上下方向に並ぶ。端部29Aは、第1ブレード15及び第2ブレード25よりも、柱部9の側に位置する。
【0037】
次に、
図2に示すように、第1ユニット5を下降させる。ジャケット除去部41は、刃先15Aと刃先25Aとにより挟まれる。第1ユニット5を下降させるときの第1ユニット5の作用を
図7に基づき説明する。
図7のS1は、刃先15Aが複数のケーブル29のいずれにも未だ接触していない状態である。このとき、第1ブレード15の向きは、標準の向きである。
【0038】
S2は、S1よりもさらに第1ユニット5を下降させたときの状態である。S2では、複数のケーブル29のうち、整列方向における一方の端にあるケーブル29Bは刃先15A及び刃先25Aに当接している。整列方向における反対の端にあるケーブル29Cと、刃先15Aとの間には空間が存在する。第1ユニット5をさらに下降させると、第1ブレード15に対し、支持ピン19を回転軸としてXの方向に回転させる力が加わる。
【0039】
S3は、S2よりもさらに第1ユニット5を下降させたときの状態である。第1ブレード15が、支持ピン19を回転軸としてXの方向に回転したことにより、それぞれのケーブル29が、刃先15A及び刃先25Aにより、等しく挟まれている。
なお、ケーブル加工装置1は、例えば、S1及びS2の状態において、刃先25Aと刃先25Aとが平行になるように設計されている。
図7に示す例では、製造上の精度の問題等の原因により、製造者の意図とは異なり、S1及びS2の状態において、刃先25Aと刃先25Aとが平行ではなくなっている。
図7に示す例とは異なり、S1及びS2の状態において、刃先25Aと刃先25Aとが平行であってもよい。この場合は、第1ブレード15が回転しなくても、S3の状態となる。
【0040】
次に、ケーブル台11を、D1方向にスライドさせる。D1方向は、端部29Aが第1ブレード15及び第2ブレード25に近づく方向に対応する。ケーブル台11をD1方向にスライドさせると、複数のケーブル29はD1方向に引っ張られる。刃先15A及び刃先25Aは、ジャケット39のうち、ジャケット除去部41と端部29Aとの間の部分を、移動しないように押さえている。その結果、ジャケット39のうち、ジャケット除去部41と端部29Aとの間の部分が、複数のケーブル29から除去される。
なお、ケーブル台11をD1方向にスライドさせることは、複数のケーブル29の端部29Aが第1ブレード15及び第2ブレード25に近づくように、複数のケーブル29と、第1ブレード15及び第2ブレード25との相対的な位置関係を変化させることに対応する。ケーブル台11は、位置関係変化ユニットに対応する。
【0041】
3.ケーブル加工装置1及びケーブル加工方法が奏する効果
(1A)ケーブル加工装置1を用いれば、
図7のS3のように、複数のケーブル29のそれぞれを、刃先15A及び刃先25Aにより等しく挟むことができる。そのため、それぞれのケーブル29からジャケット39を除去することができる。また、刃先15A及び刃先25Aが一部のケーブル29に過度に強く当接することを抑制できるので、ケーブル29に傷が付くことを抑制できる。
【0042】
(1B)ケーブル加工装置1は、バネ21、23を備える。バネ21、23は、第1ブレード15を、標準の向きとなるように付勢する。そのため、第1ブレード15の向きを安定させることができる。
【0043】
(1C)第1ブレード15及び第2ブレード25には、例えば、シボ加工又はフッ素コーティングが施されている。第1ブレード15及び第2ブレード25にシボ加工又はフッ素コーティングが施されている場合、除去されたジャケット39が第1ブレード15や第2ブレード25に張り付いてしまうことを抑制できる。
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0044】
(1)ケーブル加工装置1は、第1ブレード15の位置を固定し、第2ブレード25を上昇又は下降させてもよい。また、ケーブル加工装置1は、第1ブレード15と第2ブレード25との両方を上昇又は下降させてもよい。
【0045】
(2)第1ブレード15及び第2ブレード25は、水平方向に並んで配置されていてもよい。そして、第1ブレード15及び第2ブレード25の一方又は両方は、水平方向に移動してもよい。
【0046】
(3)第1ユニット5は第1ブレード15を回転させる機構を備えず、第2ユニット7が、第2ブレード25を回転させる機構を備えていてもよい。
(4)ケーブル加工装置1は、バネ21、23の代わりに、他の付勢ユニットを備えていてもよい。他の付勢ユニットとして、例えば、ゴム等が挙げられる。ケーブル加工装置1は、付勢ユニットを備えていなくてもよい。
【0047】
(5)第1ユニット5を、ユーザが手動で上昇又は下降させてもよい。
(6)ケーブル加工装置1は、
図8に示すカバー43を備えていてもよい。カバー43は、第1ユニット5、第2ユニット7、及び柱部9を覆う。カバー43は、透明又は半透明の材料から成る。カバー43は、開口部45を備える。開口部45から、複数のケーブル29を、第1ブレード15及び第2ブレード25の方向に差し込むことができる。カバー43を備える場合、ケーブル加工方法を実施するときの安全性が一層向上する。
(7)第1ブレード15及び第2ブレード25の少なくとも一方は、ポリテトラフルオロエチレンから成る部分を備えていてもよい。この場合、除去されたジャケット39が第1ブレード15や第2ブレード25に張り付いてしまうことを抑制できる。ポリテトラフルオロエチレンから成る部分は、例えば、刃先15A、25Aを含む。
(8)ケーブル加工装置1は、S3の状態としてから、第1ブレード15及び第2ブレード25をD2方向に移動させてもよい。この場合も、複数のケーブル29の端部29Aが第1ブレード15及び第2ブレード25に近づくように、複数のケーブル29と、第1ブレード15及び第2ブレード25との相対的な位置関係が変化する。
また、ケーブル加工装置1は、S3の状態としてから、ケーブル台11をD1方向にスライドさせるとともに、第1ブレード15及び第2ブレード25をD2方向に移動させてもよい。この場合も、複数のケーブル29の端部29Aが第1ブレード15及び第2ブレード25に近づくように、複数のケーブル29と、第1ブレード15及び第2ブレード25との相対的な位置関係が変化する。
【0048】
(9)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
(10)上記実施形態においては、ケーブル29として絶縁電線を用いたが、同軸線や光ファイバを用いることもできる。同軸線を用いる場合は、ジャケットの除去以外に、外部導体の除去にも、上述したケーブル加工装置1を用いることができる。
同軸線から外部導体を除去する場合は、以下のケーブル加工方法を行う。複数の同軸線のうち、外部導体が局所的に除去された部分(以下では外部導体除去部とする)を刃先15A及び刃先25Aで挟み、複数の同軸線を、複数の同軸線の端部が第1ブレード15及び第2ブレード25に近づく方向に引っ張る。その結果、外部導体のうち、外部導体除去部と端部との間の部分が、複数の同軸線から除去される。
【0049】
(11)上述したケーブル加工装置の他、当該ケーブル加工装置を構成要素とするシステム、ケーブル加工装置の製造方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1…ケーブル加工装置、3…ベース部、5…第1ユニット、7…第2ユニット、9…柱部、9A…スライド面、11…ケーブル台、13…水平レール、15…第1ブレード、15A…刃先、15B…上端、17…ブレード支持体、17A…第1面、17B…突出部、17C…第2面、19…支持ピン、21、23…バネ、25…第2ブレード、25A…刃先、27…ブレード支持体、29、29B、29C…ケーブル、29A…端部、31…モータ、33…センサ、35…制御部、37…入力部、39…ジャケット、41…ジャケット除去部、43…カバー、45…開口部