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特許7160163露光装置、露光方法および高密度ラインのパターニングのためのEUVリソグラフィシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】露光装置、露光方法および高密度ラインのパターニングのためのEUVリソグラフィシステム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20221018BHJP
   G02B 19/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
G02B19/00
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2021144228
(22)【出願日】2021-09-03
(62)【分割の表示】P 2018560913の分割
【原出願日】2017-05-19
(65)【公開番号】P2021193456
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】62/504,908
(32)【優先日】2017-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/487,245
(32)【優先日】2017-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/490,313
(32)【優先日】2017-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/352,545
(32)【優先日】2016-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/476,476
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/353,245
(32)【優先日】2016-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/338,893
(32)【優先日】2016-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】フラジェロ, ドニス, ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムソン, デイヴィッド, エム.
(72)【発明者】
【氏名】レンウィック, ステファン, ピー.
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ダニエル, ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ビナード, マイケル, ビー.
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-513957(JP,A)
【文献】特開2004-233897(JP,A)
【文献】特開2011-114125(JP,A)
【文献】国際公開第2011/125827(WO,A1)
【文献】特開2015-103810(JP,A)
【文献】特開平07-159609(JP,A)
【文献】特開平05-241007(JP,A)
【文献】特表2011-508443(JP,A)
【文献】特開2000-021763(JP,A)
【文献】国際公開第2018/208912(WO,A2)
【文献】米国特許第06882477(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
G02B 19/00-21/00、21/06-21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極紫外線光源からの極紫外線放射光に基づいて、複数の1次元ラインを対象ワークピースに露光する露光装置において、
前記極紫外線光源からの前記極紫外線放射光を反射して、パターンソースを照明する照明光学系と、
前記照明光学系によって照明された前記パターンソースから発生する複数の回折光を反射する複数のミラーを有し、前記対象ワークピース上に前記複数の1次元ラインを投影する投影光学系と、
を備え、
前記照明光学系は、前記投影光学系の光軸方向に関して前記投影光学系の前記複数のミラーの間であって、前記パターンソースから発生する前記複数の回折光の光路の間に配置される照明ミラーを有し、前記照明ミラーの前記1次元ラインの長手方向の大きさは、前記1次元ラインのピッチ方向の大きさよりも大きい
露光装置。
【請求項2】
請求項に記載の露光装置において、
前記照明ミラーは、前記パターンソースで発生して前記対象ワークピースへ向かうゼロ次光を遮断する、露光装置。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載の露光装置において、
前記照明光学系は、
前記極紫外線光源からの前記放射光を集光するように配置された第1のフライアイ反射器と、
前記第1のフライアイ反射器からの前記放射光を受光するように配置された第2のフライアイ反射器と、
を備える、露光装置。
【請求項4】
請求項に記載の露光装置において、
前記照明ミラーは、前記第2のフライアイ反射器によって反射された前記放射光を前記パターンソースに向かって反射する、露光装置。
【請求項5】
請求項1または請求項に記載の露光装置において、
前記照明光学系は、
前記極紫外線光源からの前記極紫外線放射光を受光するように配置された第1の反射器と、
前記第1の反射器によって反射された前記極紫外線放射光を取得するように構成された第2の反射器と、を備え、
前記照明ミラーは、前記第2の反射器によって反射された前記極紫外線放射光を前記パターンソースに向かって反射する、露光装置。
【請求項6】
請求項に記載の露光装置において、
前記第1及び第2の反射器のそれぞれは、フライアイ反射器である、露光装置。
【請求項7】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の露光装置において、
前記照明光学系は、前記パターンソースの表面と実質的に直角に前記パターンソースを照射するように構成されている、露光装置。
【請求項8】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の露光装置において、
前記パターンソースは、1次元パターンを有し、
前記照明光学系から前記パターンソースへの光の入射面は、前記パターンソースの前記1次元パターンのラインと平行である、露光装置。
【請求項9】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の露光装置において、
前記パターンソースは、1次元パターンを有し、
前記照明光学系は、第1の軸に沿って前記パターンソースを照射するように構成され、前記パターンソースの表面への前記第1の軸の投影は、前記1次元パターンのラインと平行である、露光装置。
【請求項10】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の露光装置において、
前記パターンソースを実質的に固定された位置で保持するように構築されたホルダと、
前記極紫外線放射光が前記対象ワークピースの表面に供給されている間、前記ホルダによって保持された前記パターンソースに対して前記対象ワークピースを移動させるように構成されたワークピースステージと、
をさらに備える、露光装置。
【請求項11】
請求項10に記載の露光装置において、
前記ワークピースステージは、前記投影光学系を介して前記対象ワークピースが前記極紫外線放射光で露光されている期間中に、前記対象ワークピースを実質的に一定の速度で移動させるように構成されている、露光装置。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の露光装置において、
前記ワークピースステージは、前記1次元ラインの長手方向に沿って前記対象ワークピースを移動させる、露光装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の露光装置において、
前記パターンソースは、1次元パターンを有し、
前記対象ワークピースの表面は、前記パターンソースの前記1次元パターンに対して光学的に共役である、露光装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の露光装置において、
前記投影光学系は、第1投影ミラー及び第2投影ミラーを含んでおり、
前記第1及び第2投影ミラーのうちの少なくとも1つは、2つの空間的に異なる反射要素を含む、露光装置。
【請求項15】
請求項14に記載の露光装置において、
前記2つの空間的に異なる反射要素のうちの少なくとも1つは、回転対称である表面の一部を定義する、露光装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の露光装置において、
前記投影光学系は、前記パターンソースへの、前記照明光学系を介した前記極紫外線放射光の照射に応答して、前記パターンソースにおいて形成された2本の光束のみで前記対象ワークピースの表面に像を形成するように構成されている、露光装置。
【請求項17】
請求項1から請求項16までのいずれか一項に記載の露光装置において、
前記投影光学系は、複数の投影ミラーを含んでおり、
前記複数の投影ミラーのそれぞれが、前記パターンソースからの+1及び-1の回折の次数を反射するように配置されている、露光装置。
【請求項18】
請求項1から請求項17までのいずれか一項に記載の露光装置において、
前記パターンソースは、
反射回折グレーティング、
振幅回折グレーティング、及び、
伝送回折グレーティング、
のうちいずれかを含む、露光装置。
【請求項19】
請求項1から請求項17までのいずれか一項に記載の露光装置において、
前記パターンソースは、前記極紫外線放射光を回折させるように構成された位相回折グレーティングを含み、
前記位相回折グレーティングでの回折の次数が、+1及び-1の回折の次数を含む、露光装置。
【請求項20】
請求項1から請求項19までのいずれか一項に記載の露光装置において、
前記パターンソースの表面は、湾曲しているか、又は平坦である、露光装置。
【請求項21】
請求項1から請求項20までのいずれか一項に記載の露光装置において、
前記パターンソースは、
1次元ラインのみでパターン形成されたレチクル、及び、
1次元ラインのみによって定義された反射器アレイ、
のうちいずれかを含む、露光装置。
【請求項22】
複数の1次元ラインを対象ワークピースに露光する露光方法において、
請求項1から請求項21までのいずれか一項に記載の露光装置を用いて、前記対象ワークピースの表面に1次元ラインを露光する、露光方法。
【請求項23】
極紫外線光源からの極紫外線放射光に基づいて、複数の1次元ラインを対象ワークピースに露光する露光方法において、
前記極紫外線光源からの前記極紫外線放射光を反射して、パターンソースを照明することと、
照明された前記パターンソースから発生する複数の回折光を投影光学系の複数のミラーで反射して、前記対象ワークピース上に前記複数の1次元ラインを投影することと、
を含み、
前記照明することは、前記投影光学系の光軸方向に関して前記投影光学系の前記複数のミラーの間であって、前記パターンソースから発生する前記複数の回折光の光路の間に配置され、前記1次元ラインの長手方向の大きさは、前記1次元ラインのピッチ方向の大きさよりも大きい照明ミラーを用いて、前記極紫外線放射光を反射することを含む、露光方法。
【請求項24】
請求項22または請求項23に記載の露光方法において、
前記対象ワークピースの表面に前記1次元ラインが露光されている間、前記対象ワークピースを前記1次元ラインの長手方向に沿って移動させる、露光方法。
【請求項25】
1次元ラインを対象ワークピースにプリントするように構成された極紫外線(EUV)リソグラフィルーリングエンジンであって、
極紫外線放射光を射出するように構成された極紫外線光源と、
実質的に固定された位置で、実質的な1次元パターンを有するパターンソースを保持するように構築されたホルダと、
前記ホルダによって保持された前記パターンソースに対して相対的に前記対象ワークピースを移動するように構成されたワークピースステージと、
前記極紫外線放射光を前記パターンソースに照射するように構成された照明ユニットと、
前記照明ユニットと前記ワークピースステージの間の投影光学サブシステムであって、前記ワークピースステージによって前記対象ワークピースを再配置しながら、前記実質的な1次元パターンの光学像を前記対象ワークピースの表面である像面に形成するように構成された投影光学サブシステムと、
を備え、
前記投影光学サブシステムは、第1及び第2の反射器を含んでおり、
前記第1及び第2の反射器のうちの少なくとも1つは、2つの空間的に異なる反射要素を含んでおり、
前記照明ユニットは、前記投影光学サブシステムの光軸方向に関して前記投影光学サブシステムの前記第1及び第2の反射器の間であって、前記パターンソースから発生する複数の回折光の光路の間に配置され、前記1次元ラインの長手方向に沿った大きさが前記1次元ラインのピッチ方向に沿った大きさよりも大きい照明ミラーを有する、
極紫外線リソグラフィルーリングエンジン。
【請求項26】
前記像面は、前記実質的な1次元パターンに対して光学的に共役である、請求項25に記載の極紫外線リソグラフィルーリングエンジン。
【請求項27】
前記ワークピースステージは、前記投影光学サブシステムを介して前記対象ワークピースが前記極紫外線放射光で露光されている期間中に実質的に一定の速度となっている走査動作において、前記対象ワークピースを移動するように構成されている、請求項25に記載の極紫外線リソグラフィルーリングエンジン。
【請求項28】
前記照明ユニットが、
前記極紫外線光源からの前記放射光を集光するように配置された第1のフライアイ反射器と、
前記第1のフライアイ反射器からの前記放射光を受光するように配置された、前記照明ミラーとしての第2のフライアイ反射器と、
を備えており、
照明ユニット及び前記パターンソースは、前記投影光学サブシステムの、2つの平面図形の交差によって定義される照明瞳を形成するように光学的に協働し、
前記ルーリングエンジンは、前記極紫外線放射光の少なくとも一部を前記照明瞳の境界内に伝送するように構成されている、請求項25に記載の極紫外線リソグラフィルーリングエンジン。
【請求項29】
前記パターンソースは、前記極紫外線放射光の回折の次数を表す光束を形成するように構成された、前記実質的な1次元パターンとしての位相回折グレーティングを含んでおり、前記回折の次数が、+1及び-1の回折の次数を含んでいる、請求項25に記載の極紫外線リソグラフィルーリングエンジン。
【請求項30】
1次元ラインを対象ワークピースにプリントするように構成された極紫外線(EUV)リソグラフィルーリングエンジンであって、
極紫外線放射光を射出するように構成された極紫外線光源と、
実質的に固定された位置に配置され、実質的な1次元パターンを有するパターンソースと、
前記極紫外線放射光を前記パターンソースに照射するように構成された照明ユニットと、
前記1次元パターンの光学像を像面に形成するように構成された投影光学サブシステムと、
を備え、
前記投影光学サブシステムは、第1及び第2の反射器を含み、前記第1及び第2の反射器のうちの少なくとも1つは、第1及び第2の空間的に異なる反射要素を含んでおり、
前記照明ユニットは、前記投影光学サブシステムの光軸方向に関して前記投影光学サブシステムの前記第1及び第2の反射器の間であって、前記パターンソースから発生する複数の回折光の光路の間に配置され、前記1次元ラインの長手方向に沿った大きさが前記1次元ラインのピッチ方向に沿った大きさよりも大きい照明ミラーを有し、
前記対象ワークピースは、前記投影光学サブシステムによる前記像面に対して移動する、
極紫外線リソグラフィルーリングエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハのリソグラフィ処理に使用される露光装置(以下、露光ツールと記す)に関連しており、より詳細には、数10nm以下だけ互いに分離された平行線のパターンをウエハ上に形成するように構成された、簡略化された露光ツールに関連している。
【0002】
本出願は、2016年5月19日に出願された米国特許仮出願第62/338,893号「EUV Lithography System for Dense Line Patterning」、2016年6月20日に出願された第62/352,545号「Dense Line Extreme Ultraviolet Lithography System with Distortion Matching」、2016年6月22日に出願された第62/353,245号「Extreme Ultraviolet Lithography System that Utilizes Pattern Stitching」、2017年3月24日に出願された第62/476,476号「Temperature Controlled Heat Transfer Frame for Pellicle」、2017年4月19日に出願された第62/487,245号「Optical Objective for Dense Line Patterning in EUV Spectral Region」、2017年4月26日に出願された第62/490,313号「Illumination System with Flat 1D-Patterned Mask for Use in EUV-Exposure Tool」、及び2017年5月11日に出願された第62/504,908号「Illumination System with Curved 1D-Patterned Mask for Use in EUV-Exposure Tool」のそれぞれ、及びすべての優先権を請求する。上で識別された各特許文献の開示は、参照によって本明細書に包含されている。上で識別された特許文献は、本明細書では総称して我々の先行出願と呼ばれる。
【背景技術】
【0003】
現在市販されているEUVリソグラフィ機器(以下では、汎用EUVシステムと呼ばれる)は、任意の2次元(2D:two-dimensional)パターン(複数可)を有するレチクルマスクを、半導体ウエハ(基板)上の長方形のフィールドに結像するように構築される。レチクルから光学的に転写されてウエハ上に結像される必要があるそのようなパターンの2Dの性質のため、関連する技術であるEUVシステムは必然的に、基板とレチクルの間の相対的移動に備える走査システムとして実装され(現在、このシステムは、レチクルの1つの移動ステージ、及び基板の少なくとも1つの移動ステージ(複数可)を使用して実装されている)、この走査システムを使用しなければ、十分な精度及び分解能での、基板へのレチクルパターンのすべての特徴の転写はかなり複雑になり、実際、実現されない。現在使用されているシステムの構造上及び動作上の複雑さは、必然的に、運用コストを大幅に増やし、部分的に光学システムを通るEUV光の伝送が制限されることにより、単位時間当たりの基板の露光回数を減らす。さらに、パターンの転写が、2Dでの光学結像のプロセスを必要とするため、既存の汎用EUVシステムの光学的構成要素の列(train)は、高度な複雑さを必要とし、このような複雑さによって特徴付けられる。例えば、そのようなシステムは、ミラーの表面の粗さが0.1nm rms未満であり、ミラーの位置合わせの許容誤差が1nm程度である、光学縦列(optical train)の投影部分にある6つの磨かれたミラーと、光学縦列の構造的に複雑で調節可能な照明部分と、複雑な反射コーティングを含む大きいレチクル又はマスクとを含んでいる。加えて、適切なパターンの転写は、位置合わせマークの複雑な組み合わせの使用を必要とする。これらはすべて、必然的に、汎用EUVシステムの設計及び製造の高いコストにつながる。
【0004】
汎用EUVシステムの商業的競争力を保証することに伴う、十分認識されていて、実際的な解決策を必要とするその他の本質的な問題は、次を含んでいる。(A)汎用EUVシステムが通常は備えているEUV光源からの不十分な光学パワー。現在、典型的な出力は、約40W~80Wである。この問題は、EUVシステムの照明サブシステムによってEUV光源からレチクルに供給される光学パワーが、EUVミラーの(ミラーごとに約70%に)制限された反射率のためにさらに減少するという事実によって、悪化する。照明サブシステムは、交換可能なように照明ユニット(IU:illumination unit)又は照明レンズ(IL:illumination lens)とさらに呼ばれてもよい。(B)レチクルマスク上の欠陥及び/又は粒子に対する敏感さ。実際、汎用EUVシステムは、レチクルからウエハ上へ2Dパターンを高分解能で結像するように構成されるため、ウエハに転写されるパターンは、レチクル上の欠陥又は粒子によって容易に破損される可能性がある。言い換えると、数10ナノメートルよりも大きいレチクル上の各欠陥又は粒子は、ウエハ上にプリントされるパターンを破損する可能性がある。(C)プリントされる任意のパターンの2Dの性質及び高分解能によって課される、投影サブシステムの光学収差に対する極端に厳しい要件。投影サブシステムは、交換可能なように投影光学(PO:projection optics)サブシステムとさらに呼ばれてもよい(投影レンズ(PL:projection lens)と呼ばれてもよい)。
【0005】
EUVリソグラフィプロセス(具体的には、好ましくは193nmに近い波長を有する深紫外線(DUV:Deep Ultraviolet)光、及び液浸レンズを使用した、基板の複数のパターン形成を含むプロセス)の現在使用されている代替手段は、安価であり得るが、複数の露光間の複雑なウエハ加工を含んでいる。結局、特徴の必要な分解能が増加するにつれて、複数パターン形成プロセスのコストは、汎用EUV露光のコストと同程度になる。
【0006】
前述したどの理由の場合も、簡略化された形状を加工するパターンをプリントするための汎用EUVシステム及び/又は代替の液浸システムの使用は、経済的魅力がない。したがって、半導体基板への簡略化されたレチクルパターンの像転写に関与する光学機械の要件だけでなく、産業にとって有益であるコストも満たす設計及び動作の特性を有している、簡略化されたEUVシステムを構成する必要性が存在している。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、基板のパターン形成可能な表面に直線を要素とするアレイをプリントするように具体的に構成された専用1D極UV(EUV)露光ツール又はルーリングエンジンを説明する。さらに実施形態は、極UV(EUV)露光ツールを介して放射光を伝送し、物体(直線を要素とするアレイを含む)の光学像をそのような基板に形成するための方法を提供する。
【0008】
特に、実施形態は、EUV放射光を射出するように構成されたEUV光源と、実質的な1Dパターンを定義するパターンソースを実質的に固定された位置に保持するように構築されたホルダと、ホルダによって保持されたパターンソースと相対的にワークピースステージの表面を移動するように構成されたワークピースステージと、光源からのEUV放射光を実質的な1Dパターンに照射するように構築されたIUと、IUとワークピースステージの間のPOサブシステムであって、ワークピースステージによって像面の位置を変えながら、1Dパターンの光学像をこの像面に形成するように構成されているPOサブシステムと、を含んでいる1D EUVルーリングエンジンを提供する。特定の場合では、像面は実質的な1Dパターンと光学的に共役である。
【0009】
実施形態は、EUV放射光を射出するように構成されたEUV光源と、実質的な1Dパターンを有するパターンソースと、光源からのEUV放射光を実質的な1Dパターンに照射するように構成されたIUと、ワークピースステージと、IUとワークピースステージの間のPOサブシステムであって、ワークピースステージによって像面を移動させながら、1Dパターンの光学像をこの像面に形成するように構成されているPOサブシステムと、を含んでいる1D EUVルーリングエンジンも提供する。ここで、POサブシステムは、第1及び第2の反射器を含んでおり、第1及び第2の反射器のうちの少なくとも1つは、第1及び第2の空間的に異なる反射要素を含んでいる。1つの事例では、これらの空間的に異なる反射要素は、互いに空間的に分離されている。
【0010】
本発明の実施形態は、EUV放射光を射出するように構成されたEUV光源と、実質的な1Dパターンを有するパターンソースと、光源からのEUV放射光を実質的な1Dパターンに照射するように構成されたIUと、像面がパターンソースに対して相対的に位置変えされると同時に、像面が実質的な1Dパターンに光学的に共役となる状態において、1Dパターンの像であって縮小係数Nが1より大きい光学像を、像面に形成するように構成されたPOサブシステムとを含んでいる1D EUVルーリングエンジンも提供する。ここで、ルーリングエンジンは、1Dパターンが第1の空間周波数を有し、1Dパターンの光学像が第2の空間周波数を有し、第2の空間周波数が第1の空間周波数の少なくとも2倍であるように構成される。
【0011】
本発明は、以下の概して正確な縮尺ではない図面と併せて、以下の詳細な説明を参照することによって、さらに十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本発明の実施形態の一般化された概略図である。
図1B】本発明の実施形態の一般化された概略図である。
図2A】本発明のアイデアに従って構成された、側面から見た照明ユニットの実施形態の概略図である。
図2B図2Aの実施形態の、正面から見た反射器の概略図である。
図2C図2Aの実施形態の、正面から見た反射器の概略図である。
図2D】反射器が同等のレンズによって置き換えられた、図2Aの実施形態の一次レイアウトを示す図である。
図3A】投影光学設計の実施形態を示す図である。
図3B図3Aの投影光学(PO:projection optics)の設計のツェルニケパラメータを示す図である。
図4A】本発明の一実施形態の瞳のパラメータの決定及び関連するシステムを示す図である。
図4B】本発明の一実施形態の瞳のパラメータの決定及び関連するシステムを示す図である。
図5】本発明のシステムの代替の実施形態を示す図である。
図6】本発明のシステムの実施形態で使用するための、特定の条件下で必要な光源からの放射パワー出力を表すマップを示す図である。
図7A】本発明の実施形態及び関連する技術の標準的な高NA 2D EUVツールの焦点を介した最良の線量で、レジストモデルから出力されたデータを示す図である。
図7B】関連する技術において採用されているシステム、及び本発明の実施形態に従って構成されたシステムを使用して、リソグラフィによって形成されたパターンの特徴の重要な寸法の比較を提供する図である。
図7C】関連する技術において採用されているシステム、及び本発明の実施形態に従って構成されたシステムを使用して、リソグラフィによって形成されたパターンの特徴の重要な寸法の比較を提供する図である。
図8A】本発明のシステムによって像面に形成された露光フィールドの形状の例を示す図である。像面の各領域は、少なくとも2回走査(示された矢印に沿って)される。
図8B】本発明のシステムによって像面に形成された露光フィールドの形状の例を示す図である。像面の各領域は、(示された矢印に沿って)少なくとも2回走査される。
図8C】本発明のシステムによって像面に形成された露光フィールドの形状の例を示す図である。像面の各領域は、(示された矢印に沿って)少なくとも2回走査(示された矢印に沿って)される。
図9A】LPPからIFへEUV放射光の焦点を再び合わせるための楕円体ミラーを備えるレーザ駆動プラズマ光源の光集光システムの構成を示す図である(このシステムは、その後、本発明のIUの実施形態の光源として機能する)。比較のために、5srの集光器及び1.6srの副開口部の構成が概略的に示されている。
図9B】中央開口部910Aを備える集光器910、錫ジェット914、及び二次光源IF916を示している、図9Aのレーザ駆動プラズマ光源の光束で表現されたモデルの概略図である。
図9C】計算に使用されるモデルに従う、レーザ駆動プラズマ光源のプラズマの仮定した実質的なガウス分布を示す図である。
図9D】計算に使用されるモデルに従う、レーザ駆動プラズマ光源のプラズマの仮定した実質的なガウス分布を示す図である。
図10A】光軸から見下ろした、レーザ駆動プラズマ光源モデルの放射光の角度分布、及び光軸を横切る識別された断面内の、同じ光源の放射光の角度分布をそれぞれ示す図である。
図10B】光軸から見下ろした、レーザ駆動プラズマ光源モデルの放射光の角度分布、及び光軸を横切る識別された断面内の、同じ光源の放射光の角度分布をそれぞれ示す図である。
図11A】プラズマ光源の集光器によって反射された光束の収束点を通る二次光源の平面で、モデル化されたレーザ駆動プラズマ光源によって生成された光束の分布、及び該光束の方向余弦をそれぞれ示す図である。
図11B】プラズマ光源の集光器によって反射された光束の収束点を通る二次光源の平面で、モデル化されたレーザ駆動プラズマ光源によって生成された光束の分布、及び該光束の方向余弦をそれぞれ示す図である。
図12】本発明のアイデアに従う、1D EUV露光ツールの代替の実施形態の光学縦列の一部を概略的に示す図である。
図13A】POサブシステムの実施形態の特定の実装の透視図を概略的に示す図であり、このPOサブシステムでは、一次反射器及び二次反射器のうちの少なくとも1つが、互いに空間的に異なっている複数の反射要素を含むように構成される。
図13B】パターンソースの1Dパターンの要素の範囲の方向に対して、POサブシステムの複数の反射要素の反射器(複数可)の配置の対称性を図示することによって、図13Aの図を補完する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面の簡略さ、明確さ、及び理解を適切に促進するために、図面内の要素のサイズ及び相対的縮尺は、実際のサイズ及び縮尺とは異なるように設定されていることがある。同じ理由のため、1つの図面に存在するすべての要素が、別の図面において示されること及び/又はラベル付けされることは、必ずしもない。
【0014】
本発明の好ましい実施形態に従って、空間的に高密度に敷き詰められた平行線を含んでいる新しい1次元パターンを使用して、選択された基板(並びに特定の場合では、リソグラフィによって定義されたパターン、及び特定の場合では、空間的に変形されたパターンをすでに有する基板)にリソグラフィによってマークを付けるためのEUV露光ツール及び方法が開示される。
【0015】
本明細書において使用されるとき、及び特に明記されない限り、「1次元パターン」(又は、「1Dパターン」)という用語は、フォトマスク又はレチクルの表面上で定義され、通常は、互いに横切る2つの軸に沿って、該表面を横切って伸びる、幾何学的パターンを指す(フォトリソグラフィの方法を使用して、半導体ウエハなどの選択された基板上の感光性フォトレジストに転写されて、そのような1Dパターンの像を作成するため)。1Dパターンは、第2の軸に沿って大幅に変更されないまま、パターンの第1の軸に沿って変化してもよい(すなわち、1Dパターンは、第2の軸に沿った幾何学的変化によって特徴付けられてもよく、その変化の値は、第1の軸に沿って観察された変化の50%を超えず、第1の軸に沿って観察された変化の20%を超えないことが好ましく、第1の軸に沿って観察された変化の10%を超えないことがさらに好ましく、第1の軸に沿って観察された変化の5%以下であることがさらにいっそう好ましく、第1の軸に沿って観察された変化の1%以下であることが最も好ましい)。1Dパターンの例は、間隔が空けられた、基本的に同一、平行、かつ伸長されたパターン要素(例えば、フォトマスクで定義された、他の部分が不透明なスクリーン内の平行な直線又はスリットの組み合わせなど)の任意の集合によって提供される。特定の場合では、この1Dパターン等(the ID-pattern at hand)は、第1の選択された軸に沿った周期的に変化する振幅、及び第1の軸を横切るように選択された第2の軸に沿った一定の振幅によって特徴付けられた、線形(1D)のグレーティング(1D回析格子など)を形成してもよい。さらに、当業者によって理解されるように、それでもなお、光学システム又は基板の変形によって引き起こされる像のディストーション(複数可)を修正するために、1Dパターンは、第1及び/又は第2の軸に沿って小さい変動を有してもよい。本開示の目的では、実質的な1Dパターンを含んでいる要素又は構成要素は、パターンソースと交換可能なように呼ばれてもよい(例えば、レチクル又はマスクのいずれとしてであるかなどの、そのような要素又は構成要素の特定の構成に関わらない)。
【0016】
それと比較して、「2次元パターン(2Dパターン)」という用語は必然的に、相互に横切る軸の両方に沿って定義される変動又は変化を有するパターン要素の集合を表すように定義される。2Dパターンの最もシンプルな例の1つは、グリッド又はメッシュによって実現される(グリッド又はメッシュは、2つの横切る軸に沿って空間的周期が定義された場合、2Dグレーティングを形成する)。本明細書で開示されたレチクルのフォトマスクのパターンを参照すると、1D及び2Dパターンはそのようなものであると見なされており、これは、それらのパターンが形成される基板(又はフォトマスク)の表面の曲率に関わらない。簡単にするために、本発明のEUVシステム(このEUVシステムにおいて、本明細書で説明される目的の実施形態が使用されるよう意図されている)は、具体的に、1Dレチクルパターンを結像するよう意図的に構築され、本明細書では1D EUVシステムと呼ばれる。簡単にするために、対照的に、2Dパターンが形成されたレチクルの結像を実現するように構成されたEUVシステム(汎用EUVシステムなど)は、2D EUVシステムと呼ばれてもよい。
【0017】
本発明の実施形態は、2D EUVシステムを使用した関連する技術において発生する複雑な実際の問題に対する解決策を提供する。
【0018】
先端的な半導体の製造業者において、10nm(以下)のピッチの周期的特徴をプリントするように構成されたコスト効率の良いリソグラフィの方法及びシステムを現在利用できないという問題は、(1)EUV光と、(2)(2i)露光ツールの照明サブシステム及び投影サブシステムに対して実質的に固定された関係に位置し、(2ii)汎用EUVシステムとは対照的に、走査を行わず、(2iii)実質的に線形な回折グレーティング(振幅グレーティング又は位相グレーティングであってもよい)を有するように構成されたレチクル(適切なレチクルステージ上で構成)と、(3)0.40~0.60のNA及び20%~40%の遮蔽(obscuration)を有する投影光学システム(したがって、NAの観点からは、瞳の遮蔽は二乗の値になる)と、(4)ウエハ走査ステージとを使用して、高品質の線形グレーティング(本明細書では、「高密度ライン」と交換可能なように呼ばれる)の空間的に高密度のパターンを光学的に結像するように構築されたEUV露光ツールの設計によって解決される。
【0019】
レチクルパターンの像と、ウエハ上にすでに存在するその他のパターンの間の適切な一致するオーバーレイの不足によってもたらされる問題は、ウエハの走査及び露光のプロセスの間に、ウエハステージの走査の軌道を適切に調整することによって、及びレチクルパターンの光学的倍率及び「倍率傾斜」(後者の用語は露光フィールドにわたる倍率の線形変動を示す)を賢明に変化させることによって、本発明の1D EUVシステムを使用して解決される。そのような実行において、連続的に走査する露光フィールドを、従来のツール(従来のツールの動作は、隣接するショット間に不連続を作る)を使用してプリントされた層のディストーションに幾何学的に一致させる問題は、任意選択でウエハ上のすべての縞を2回走査し、1回目の通過時にショットを1つおきに露光し、2回目の通過時に他のショットを露光することによって、解決される。
【0020】
ウエハ上に形成された直接隣接する露光フィールド間の不十分な品質のスティッチングの持続する問題は、レチクル、ウエハ、及び中間像面のうちの1つに近接して配置され、ウエハの露光される領域全体にわたって空間的に一貫性のある規則正しい露光を生み出すような方法で個々の露光フィールドの外周を定義するように賢明に成形された、「ブラインド」視野絞りを、本発明の1D EUVシステムに含めることによって、解決される。特定の場合では、ブラインド視野絞りは、多角形の外周を有する開口部を含む。
【0021】
EUV光を利用する露光ツールでは一般的な、不十分な照明レベルの持続する問題は、本発明の高密度ラインの1D EUVリソグラフィシステムにおいて、(1)個眼化されたフライアイ反射器のアレイを含んでいる第1及び第2の反射器と、(2)そのような反射器とレチクルの間に配置された中継ミラーとを備える照明光学アセンブリを提供することによって、解決される。そのような1D EUVシステムでは、フライアイアレイ反射器のうちの1つの形状は、1Dレチクルパターンを特徴付けるピッチ値の全範囲にわたって二光束干渉に対して最適化された投影光学アセンブリの入射瞳の形状に一致するのが好ましい。
【0022】
EUV光を利用する露光ツールでは一般的な、不十分な照明レベルの持続する問題は、本発明の高密度ラインの1D EUVリソグラフィシステムにおいて、(1)個眼化されたフライアイ反射器のアレイを含んでいる第1及び第2の反射器と、(2)有限な曲率半径を有し(つまり、湾曲している)、実質的に線形の回折グレーティングパターンを含んでいる表面を有するレチクルとを備える照明光学アセンブリを提供することによって、解決される。そのような1D EUVシステムでは、フライアイアレイ反射器のうちの1つの形状は、1Dレチクルパターンを特徴付けるピッチ値の全範囲にわたって二光束干渉に対して最適化された投影光学アセンブリの入射瞳の形状に一致するのが好ましい。加えて、そのような1D EUVシステムは、フライアイアレイの1つにおける各反射器を、1Dレチクルパターンを特徴付けるピッチ値の全範囲にわたって二光束干渉に対して最適化された投影光学アセンブリの入射瞳に結像するように設計される。
【0023】
本発明のアイデアの実装は、10ナノメートル及び7ナノメートルのノードの半導体デバイス(国際半導体技術ロードマップ(例えば、ITRS 2.0)に従って定義される)を可能にするために、高密度のラインパターンを、コスト効率の良い方法で、高分解能で光学的に転写するように構成された露光ツール又は機械を提供する(高分解能は、周期的な線パターンにおいて、例えば、多くの場合、20ナノメートルまでのピッチ又は周期に対応し、10ナノメートル未満のピッチ又は周期に対応することが好ましく、数ナノメートル(例えば、5ナノメートル以下)のピッチ又は周期に対応することがさらに好ましい)。本発明のアイデアは、最新の高密度の半導体チップ設計がますます幾何学的1Dパターンに基づいているということの理解から生じている。1Dパターン(1Dグレーティングを表すパターンなど)をレチクルから対象の基板に光学的に結像するように特に構築された本発明の1D EUVシステムの実施形態は、以下において、汎用2D EUVシステムを上回る明確な構造上及び動作上の利点を保有している。
【0024】
1D EUVシステムの光学システム(複数可)は、2D EUVシステムの光学システムと比較して、大幅に簡略化され、より少ないミラーの表面を含む余裕があり、実際に、光源からの必要な光学パワー(例えば、数10ワット、1つの例では、約20W程度の低さ)を抑えて、良好な品質の露光を提供する。
【0025】
半導体ウエハに転写されるレチクルパターンの1Dの性質に起因して、(a)ウエハステージに対してレチクルステージを走査する必要性は存在しなくなっており、それに応じて、本実施形態のレチクルステージ又はレチクル支持台は、長い機械的ストロークを伴う走査ステージを含んでおらず、(b)特定の場合では、レチクルパターンは、線形グレーティングを定義し、実質的に線形な回折グレーティング(バイナリの純然たる振幅グレーティング、又は純然たる位相グレーティング)によって形成することができる。レチクルが位相グレーティングになるようにフォーマットされる特定の実装では、1D EUVシステム回折効率が大きく改善され、以て、製品の実効スループットを増やす。(c)1Dレチクルパターンの光学的結像が、本質的に1D結像に縮小されるため、すなわち、基板上のレジストに形成された像の空間的変動が1方向のみに存在するため、1D EUVシステムは、(従来の2D EUVシステムと比較して)PLの光学収差に対するより緩和された要件が課される。
【0026】
一部又はさらに多くの光学面(2D EUVシステムと比較した場合)、レチクル走査ステージ、ペリクル、及びその他の要素の、システムの光学縦列からの除去の結果として、提案されたEUVグレーティングマシンのコストを非常に低くすることができる。
【0027】
ウエハ上の任意の位置の露光が、レチクル全体のさまざまな位置でレチクルを横断する光の統合の結果であるため、レチクルのグレーティングパターン上のミラーの欠陥及び粒子は、露光に大きな影響を与えない、ということも理解される。例えば、レチクル上のミクロン単位の大きさの粒子又はパターンの欠陥は、2D EUVシステムによってプリントされる像の忠実性を破壊するが、露光フィールドのサイズが数ミリメートル以上である1D EUVシステムの露光線量においては、無視できるほどの変化しか引き起こさない。
【0028】
本発明のアイデアによれば、
1D EUVシステムの一実施形態は、少なくとも、少なくとも20Wの光学パワーを、中央が葉形状の単極照明パターンを有するIUに供給するように構築されたEUV光源を利用すること、
レジストに形成される像のピッチが20nm以下であり、位置合わせマーク又はフィールドカーフマークをプリントすることなく、反射レチクル又は透過レチクルから基板(300mm以上の直径を有することが好ましい)への、事前に定義された方向の1Dパターンの光学的結像を提供すること(任意選択で、異なる層の異なる方向に、例えば、第1の層上の特定の1Dパターンの垂直方向、及び第2の層上の1Dパターンの水平方向に、パターンを露光することを促進することであって、一部の層の露光のために、基板を90度回転させることができる)、
ウエハ面上で測定された約30mJ/cmの照射線量で、0.4以上のNA及びNAの40%以下の中心遮蔽、並びに少なくとも50枚の1時間当たりのウエハ数(wph:wafers per hour)(70wphが好ましく、100wphがさらに好ましく、100wphを超えるのがさらにいっそう好ましい)のスループットを有するPLを使用して、基板のリソグラフィ露光の動作を定義することであって、1つの実装では、信頼性のある反復可能な直接隣接するフィールド間のスティッチングを実現するために、(基板上の)露光フィールドが、ダイヤモンド形になるように構成されること、
1つの実装では、倍率傾斜(mag-tele)シフトを介して実装された光学的調整を採用すること、及び
1.7nm以下の平均+3シグマ値で、プリントされた層と下の層の間のオーバーレイを保証すること、
を実行するように構成される。
【0029】
さまざまな実施形態の詳細、部分、システム全体の構成要素が、(上で、総称して「我々の先行出願」として識別された)複数の優先仮出願において説明されており、それらの各仮出願の開示は、参照によって本開示に包含されている。
【0030】
1D EUVシステムの実施形態の概要
【0031】
本発明のアイデアに従って構成された1D EUVシステムの実施形態100の一般化された概略図が、図1A及び1Bに示されている。このシステムは、1つ又は複数のEUV光源(示されているように、例えば13.5nmの波長で動作する光源114)を含んでもよい。このシステムは、第1及び第2の反射器118、122、及び中継反射器126を含んでいる光学的照明サブシステム又はユニット(IU)と、2つ以上のミラーを含んでいるPOサブシステムの反射対物反射器であって、それらのミラーのうちの少なくとも1つが、光学的遮蔽を定義する領域を有している、反射対物反射器とを含む(2つの対物ミラーが、第1及び第2のミラー130、134を含むように示されており、それぞれ、対応する中心遮蔽130A、134Aを含んでいる)。光学的遮蔽という用語は、本明細書では、少なくとも1つの部分(光学要素の部分)を指すために使用され、その部分の境界内では、ある光学要素への入射光が、列内の次の光学要素にさらに転送されるのが防がれるか、又は遮断される。図に示された反射対物の場合における遮蔽の非限定的な例は、(i)湾曲したミラー(例えば、湾曲した一次ミラー130Aなど)の基板内の貫通開口部であって、この貫通開口部の境界内では、そのようなミラーへの入射光が、湾曲した二次ミラー130Bに向かってさらに反射されず、代わりに、貫通開口部を通って伝送される、貫通開口部と、(ii)ミラーの既定の領域内の反射コーティングの欠如(同じ光学的効果を実質的に定義)とによって実現される。中心遮蔽という用語は、光軸に中心がある遮蔽を定義する。
【0032】
反射器118は、光源(複数可)114によって射出された放射光150を集光し、反射器122からの反射を介して放射光140として中継ミラー126に転送する。このシステムは、IU及びPOと光学的に繋がるように配置されたパターンソース144(この例では、レチクルとして構成される)をさらに含む。パターンソース144は、空間的に高密度の1Dパターンを持ち、例えば、光源(複数可)114から供給されるとともに中継反射器126によって遮蔽134Aを通ってパターンソース144に反射される放射光148で照射されるように、配置される。図に示されているように、パターン144は、反射において動作するフォトマスクである(関連する実施形態では、レチクルは、任意選択で透過レチクルとして構成され得る)。システム100の特定の実装に応じて、1Dパターンを有するパターンソース144の基板の表面は、湾曲している(その場合、反射パターンソースは非ゼロの光学パワーを有し、湾曲したパターンソースと呼ぶことができる)か、又は平ら(その場合、反射パターンソースはゼロの光学パワーを有し、平らなパターンソースと呼ぶことができる)であってもよい、ということも意図される。
【0033】
さらに、レチクル上の1Dパターンは、POの望ましくないディストーションを補償するような方法で、変形されてもよい。レチクルの1Dパターンが、適切な寸法を有する線形回折グレーティングとして構成されている場合、パターンソース144は、入射した放射光148を回析して、空間的に異なる光束152A、152Bを含む回析光束を形成し、光束152A、152Bは、それぞれ回折次数(1つの例では、+1及び-1の回折次数)を表し、POのミラー130に向かって伝搬する(従来技術において知られているように、ゼロ次の回折を、そのような伝搬から適切に遮断することができる)。それと組み合わせて、POの第1及び第2の反射器130、134は、遮蔽130Aを通る回析光束の方向を、対象のワークピース又は基板156に変え、パターンソース144の1Dパターンの像を取得するフォトレジストの少なくとも1つの層を露光する。本発明のアイデアによれば、レチクルは、IU及びPOサブシステムに対して実質的に固定された空間的及び光学的関係で配置され、その配置において、レチクルの位置及び方向の両方が、1D EUV露光ツール内で選択されて定義された後に、固定される(焦点及び位置合わせを維持するために必要になることのある、必要に応じた小さい調整を除く)。「実質的に固定された」という用語は、露光ツールの動作中にワークピースステージ又はウエハステージの動きと同期された動きでレチクルを走査又は移動するように構成された構造を欠いている機械的支持台を有する1つの構成要素(例えば、レチクル)の位置が、それでもなお、露光ツールの動作中に焦点、倍率、及び位置合わせのいずれかにおける誤差を修正するために十分な大きさ(複数可)の小さい調整を受けることがある場合の、空間的関係及び/又は状況を指し、定義する。
【0034】
このシステムは、IU(図に示されているように、ミラー122、126の間にある)内に適切に配置された、サイズが固定されているか、又は可変の開口部160(例えば、特定の形状の可変スリット(「パターンのブラインド」又は「ブラインド視野絞り」、或いは単に「視野絞り」と交換可能なように呼ばれる))と、瞳絞り又は開口部164(POの入射瞳の望ましい形状に一致する寸法を有する)と、レチクルを支えるステージ/取り付けユニット(図示されていない)と、リソグラフィ露光プロセスによる任意選択で、パターンソース144及び光束152A、152Bに対するウエハ156の走査を可能にするための適切なステージ移動機(図示されていない)を備えるウエハステージ156Aと、必要に応じてその他の補助要素(例えば、真空室、計量システム、及び温度制御システム)とを含んでもよい。X軸は、システムの動作時に走査が実施される軸と直角になるように定義され、Y軸は、そのような走査の軸と平行になるように定義される。図1A、1Bに示されている実施形態では、1DパターンはY軸と平行なラインを含んでいる。
【0035】
提案された実装のさまざまな変形が、本発明の範囲に含まれる。例えば、図5は、1D EUVシステムの実施形態170を概略的に示しており、図1Bの実施形態100と比較すると、中継ミラー126が削除されている。この中継を欠いた反射器の1D EUVシステムについては、下でさらに詳細に説明されている。図12は、1D EUVシステムの光学縦列のさらに別の代替の実装を示しており、この実装では、パターンソース(144’として示されており、実質的な1Dパターンを有する表面に対する非ゼロの曲率を有している)は、下で説明されているように、軸外で照明される。
【0036】
図1A、1Bを再び参照すると、1D EUV露光ツールは、任意選択でプログラム可能なプロセッサを備え、少なくともウエハステージ、並びに一部の実施形態では、光源(複数可)、IU、及びPOサブシステムのうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成された、制御ユニット(制御電子回路)によってさらに補完される(説明を簡単にするために、図5及び12は制御ユニットを示していない)。
【0037】
照明ユニット(IU)の例
【0038】
本発明のアイデアによれば、実施形態の1つの例では、全体として、以下に説明され、我々の先行出願においてさらに詳細に説明されている、2ミラー(又は、関連する実施形態では、3ミラー)アナスチグマートを含んでいるPOの実施形態に動作可能に対応し、それと共に光学的に動作するように構成されており、「フライアイ」構造を有する少なくとも1つの反射器ユニットを、IUは含んでもよい。IU設計の1つの実装では、露光フィールドの適切なスティッチングを可能にする、像面(例えば、特定の場合ではウエハステージに配置されたウエハなどの、ワークピースの表面)上の16.5mm幅のダイヤモンド形露光フィールドを想定されている。パターンソース144の実質的な1Dパターンで形成されたゼロ次の回折光束が遮断され、それによって、+1次及び-1次の光束の光学的相互作用が、実質的な1Dパターンの光学像を像面に形成しながら、光学像における1Dパターンの空間周波数を2倍にし、垂直に近い入射角の照明も可能にするということも想定されている(ゼロ次の回折光束の適切な遮断は、必要な場合、POにおいて中心遮蔽によって、又は本明細書の他の場所で説明されているように、専用の放射光遮断要素を使用することによって、達成されてもよい)。
【0039】
IUの一実施形態の一部の詳細を表す概略図が、図2A、2B、2Cに示されている。その他の詳細及び/又は実施形態は、我々の先行出願において説明されている。照明器200の具体的な例は、EUV放射光の複数光源(以下で説明)と共に動作し、以下を提供するように構成される。
【0040】
提供される1つは、数10nm(例えば、20nm~30nm)のピッチで形成された直線を要素とするアレイのコントラストを喪失しないことに対応する、光の最大のインコヒーレンスを実現するように選択された形状を有する賢明に定義された照明パターンである。例えば、IU及びパターンソースは、2つの平面形状(平面図形を定義する形状、特定の実装では、2つの円形又は円盤など)の交差によって定義された(POサブシステムの)照明瞳を形成するように、動作可能なように連携する。可能限り高いコントラストを維持するという目標は、EUV光源からIUによって集光されたすべてのEUV放射光を、そのように定義された照明瞳の境界内に向けることによって実現される;
【0041】
提供される1つは、図2Bに示されている、個別の反射器210(ダイヤモンド形の外周を有していてもよい)の2つの第1のフライアイ反射器(FE1-A及びFE1-B)である。
【0042】
提供される1つは、葉形状の開口部224を定義し、エタンデュを保存しながら、放射光(214-A、214-B)の複数光源から受講した放射光入力LA、LBを効果的に組み合わせるように、反射器220(六角形又は円形の外周を有する)によって形成されたタイルから構成された、第2の「フライアイ」反射器アレイFE2である。
【0043】
提供される1つは、照明ユニットの一部としての湾曲した中継ミラーである。
【0044】
反射器のフライアイアレイ(FE1-A、FE1-B、FE2)はそれぞれ、それぞれに対応する2次元アレイのミラー(或いは、「小面(facets)」又は「アイ(eyes)」と呼ばれる)を使用して、それぞれに対応する放射物体から取得された放射エネルギーを捕捉して反射するように構成される。そのようなミラー又は小面のアレイは、「フライアイ反射器」(又は、従来技術においてしばしば呼ばれるように、「フライアイレンズ」)と呼ばれてもよく、通常は、追加のより視野の大きいレンズ及び/又は反射器の支援を伴わない。図に示されているように、光源214-Aからの光は反射器FE1-Aによって捕捉され、光源214-Bからの光は反射器FE1-Bによって捕捉され、FE1-A及びFE1-Bによって反射された光はFE2によって捕捉される。個々のミラーは、その個別のミラーの位置の視点から見える放射物体の像を形成する。言い換えると、FE1-A又はFE1-B(ただし、両方ではない)内には、FE2の各要素に関連付けられた一意の要素が存在する。したがって、構成されているように、FE1-A及びFE1-Bの個々のミラーはそれぞれ、FE2アレイ内に、それぞれに対応するミラーを有している。例えば、アレイFE1-Aの個別の反射器210-iは、光源214-Aの像をアレイFE2の個別の反射器220-iに形成し、一方、アレイFE1-Bの個別の反射器210-jは、光源214-Bの像をアレイFE2の個別の反射器220-jに形成する。
【0045】
前述した設計では、照明器を介して伝搬する光束の3つの連続する反射のみが存在しており、このことは、やはり各ミラーが通常は65%~70%の反射率しか有していないため、関連する技術のより複雑な設計と比較した場合に、光伝送における飛躍的な改善につながる。汎用EUVマシンで使用される既存の設計と比較して、反射の数が約半分であるため、本発明の実施形態のIUを介して伝送される光量は、汎用EUVシステムの光量と比べておおよそ2倍になる。実際、システムを介した伝送は、X^Nの値として推定することができ、Xは標準的な反射率(65~70%)であり、Nは反射の数である。従来の汎用EUVシステムでは、IUは少なくとも5つ(以上)のミラーを含んでいるが、本発明の実施形態は、3つ程度の少ないミラーを含んでいる。したがって、IUの伝送は、(5つのミラーを含む汎用EUVシステムの場合の)11%~17%から、本発明の実施形態の場合の27%~34%に増加する。この効果は、汎用EUVシステムでは約6つのミラーを使用し、本発明の実施形態では2つのミラーしか使用しないPOサブシステムについて考えたときに、さらにいっそう明白になる。その場合、標準的な汎用EUVシステムの場合の0.9%~2%の伝送(IU及びPOを介した伝送を含むが、レチクルの存在を含んでいない)は、本発明の実施形態が使用されたときに、12%~17%に桁違いに増える。
【0046】
図1、2A、2Bをさらに参照すると、IUの一次レイアウトが図2Dに概略的に示されており、図2Dでは、説明を簡単にするために、ミラー要素(それぞれ、特定の表面積a及び焦点距離fを有している)が、等価なレンズ要素として描かれている。一般に、複数光源から受光した光を多重化して、
【数1】

に等しいIUのエタンデュを提供するために、FE1ミラーの複数のアレイが使用されると理解されており、ここで、NFEはFE2アレイ内の個別のミラーの数(及び、FE1-AとFE-Bの個別のミラーの数の合計)である。
【0047】
実際、FE2アレイ内の個別のミラー要素の数は、レチクル144での光の必要な均一性及びPOの入射瞳の充填の検討に基づいて決定されてもよい。特定の一実施形態では、FE2ミラーアレイは、(図2Cに示されているように)98個の六角形要素220を含み、各六角形要素220の角度幅は、ウエハ156の位置から見たときに、0.01996ラジアンである。ウエハから見たときの要素220それぞれに対する立体角は3.451e-4ステラジアンであり、この値は、0.04698mmsr(16.5mm幅の規則正しいダイヤモンド形フィールド及びFE2アレイ全体で4.604mmsrの合計エタンデュの場合)の基本的なエタンデュ(要素220それぞれに関連付けられる)につながる。
【0048】
アレイFE1-A(又はFE1-B、それぞれ、98/2=49個のマイクロミラー要素を含んでいる)の個別の要素210の角サイズは、FE2アレイの個別の要素の角サイズ及び光源のサイズの知識を用いて、以下のように評価できる。
【0049】
【数2】
【0050】
【数3】
【0051】
【数4】

はそれぞれ、FE1及びFE2の個別のミラー要素に対する角度を表す。ダブルプライム記号は、結像された対角であることを示す。Lは、瞳から像面までの距離を表し、dは光源からFE1までの距離を表す。
【0052】
1D EUVシステムの一次設計の評価を完了させるために、自由パラメータがさらに次のように選択される。光源から対応するFE1アレイまでの距離が、特定の1つの実装ではt=500mmになるように選択される。中継ミラー126をグレーティングレチクル144から分離する距離が、t=1mになるように選択され、FE2アレイと中継ミラー126の間の距離(等倍結像の状況に対応する)はt=t+tである。FE1からFE2への距離は、t=d*t/dであり、この値は約872mmである。自由パラメータのその他のセットを使用して、関連する実施形態を考案できるということが理解される。
【0053】
さらに、FE1-Aアレイ、FE1-Bアレイ、及びFE2アレイの横軸の寸法は次のように設定される。
FE1の幅(ダイヤモンドの角と角の間):d=tδθ=39.7mm
FE2の幅(六角形の平坦なサイズと平坦なサイズの間):d=dp*t/(t+t)=7.24mm
【0054】
FE1-A(又はFE1-B)アレイ全体の合計寸法は、具体例ではそれぞれ39.7mm幅(角と角の間)の8つの要素であり、図B-2に示されているようにX方向では合計で約317.6mm幅、又は図B-2のX軸に対して45度に傾けられた軸に沿って9*39.7/sqrt(2) = 252.65mm幅である。通常、X軸に沿ったFE1アレイの幅は、概して10mm~300mmの範囲内である。
【0055】
FE2アレイの幅:図2Cの特定の実装では、アレイを横切るそれぞれ7.24mm幅の7個のミラー要素220が存在し、その結果、FE2アレイの幅は、図に示されているように、X軸に沿って50.68mmになる。ただし、通常、FE2アレイのそのような「ウエスト」は10mm~300mmの範囲内であり、30mm~70mmの範囲内であることが好ましい。
【0056】
中継ミラー126の幅はレチクル144から1m離れており、中継ミラー126に対する角度は、X方向及びY方向で0.125*0.429ラジアンである。レチクル144は、特定の場合で6* 16.5 = 99mm幅(角と角の間)であり、その結果、中継ミラー126の寸法は215mm×520mmになる。ただし、通常、中継ミラー126の寸法は、100mm×700mm~300mm×400mmの範囲内である。
【0057】
一実施形態では、ミラーの光学パワーは次のように選択される。
【0058】
(A)アレイFE1の場合:特定の一実施形態では、Φ=1/t+1/t=3.147m-1。通常は、0.01ジオプトリー~100ジオプトリーの範囲内である。
(B)中継ミラー126の場合:一実施形態では、Φ=1/t+1/(t+t)=0.6299m-1。通常は、0.01ジオプトリー~100ジオプトリーの範囲内である。
(C)アレイFE2の場合:一実施形態における
【数5】

は、通常、0.01ジオプトリー~100ジオプトリーの範囲内である。光学パワーという用語は、レンズ、ミラー、又はその他の光学システムの特性であり、そのようなシステムが入射光の空間分布を収束又は発散させる程度を定義すると理解されている。光学パワーの測定値は、光学システムの焦点距離の測定値の逆数の値に等しい。
【0059】
IUの提案された実施形態が、FE-2反射器122と中継ミラー126の間の像面を提供するということが理解される。この平面は、レチクル144及びウエハ156の平面の両方と光学的に共役であり、開口部160(任意選択でサイズ変更が可能)を配置するための適切な場所を提供し、レチクル144に渡される放射パワーの線量を制御し、ウエハに形成される露光フィールドの境界を定義する。
【0060】
本発明のアイデアに従って構成されたIUの追加の関連する実施形態(及び、特に、EUV放射光の1つのみの光源と共に動作するように構成された実施形態)が、我々の先行出願、及び特に、米国特許仮出願第62/490,313号及び第62/504,908号において説明されている。
【0061】
投影光学サブシステムの例
【0062】
一実施形態では、投影リソグラフィのための1D EUVシステムは、2ミラーシステムを含んでいるPO部分を採用するように構成され、このPO部分は、実質的な1Dマスクパターンを平坦な表面上に有するレチクルによって補完される(例えば、レチクルは、1D反射回折グレーティングを平行平面基板上で定義することによって形成される)。そのような実施形態では、POは、2ミラー、単極の(すなわち、瞳平面での光の分布が1つの「極」又は照明された領域を含んでいる)照明サブシステムを含むように構成される。関連する実施形態では、POは、3ミラーアナスチグマートを含む。
【0063】
図3Aに示された特定の1つの実装では、例えば、1D EUVシステムは、6分の1(結像結果としてのレチクルパターンを基準として)の反拡大又は縮小、NA=0.4、及びウエハ上の16.5mm(直径)×5mmのダイヤモンド形の露光(16.5mmは走査方向に垂直なX方向でのフィールドの幅を示し、5mmは、プリントされたライン及びウエハステージの走査の動きの方向と平行なY方向のフィールドの長さを示す)により光学像を提供するように構成されたアナスチグマチック(anastigmatic)投影光学2ミラーシステム300を含んでおり、この露光内では、軸上の照明が使用されたときの収差が小さかった(約12ミリ波以下)。そのようなダイヤモンド形露光フィールドの選択された形状は、直接隣接するフィールド間のスティッチングに適している。この設計の一次ミラー310は、約583mmの直径を有している。ミラー310、320の非球面の形状は、極めて小さい非点収差の項を含む、主に回転対称であった。コマ収差のツェルニケの項は、軸上の照明の場合には使用されなかったが、照明が軸外である特定の場合には、導入することができた。このシステムは、約800mm~2000mmmの範囲内の距離(図に示されているように、約1400mm)だけ二次ミラーから分離された平坦なレチクルをさらに利用する。システム300の入射瞳は、1D EUVシステムのレチクルから約2.175mの位置(ウエハ/基板の近く)にあり、レチクルからミラー310への距離は、約1mである。システム300のシミュレーションに使用されるツェルニケ収差のパラメータが、図3Bに示されている。そのように実装された1D EUVシステムでは、光源からの光束が、対象基板に向かって伝搬するときに、6つの反射器のみとの相互作用(IUの反射器アレイで2回、中継ミラーで1回、反射レチクルで1回、及びPOのミラーで2回の反射)が発生し、以て、2D EUVシステムと比較して、反射時の光学パワーの損失を低減し、したがって、EUV光源の出力パワーに対する要件を軽減する(実際、標準的な2D EUVシステムでは、光束は反射器によって少なくとも12回反射されて、システムの光学縦列を形成する)。
【0064】
レチクル上のパターンが1Dグレーティングを含んでいるため、入射光は、おおよそXZ平面内で回析される。したがって、各ミラー310、320を、理論的には連続する環状の湾曲した反射面の必要な一部を提供する、2つの別々の部品として構成することができる。
【0065】
関連する実施形態では、前述したように、835mmの直径を有する一次ミラー及びその他の構成要素を採用して、別の平坦なフィールドの6分の1の縮小が実装され、この場合、フィールドの直径が26mmに拡大された。
【0066】
別の関連する実施形態では、湾曲した基板上(すなわち、ゼロ以外の値の曲率、及びそれに応じて有限な曲率半径を有する基板の表面上(例えば、凹面上))で1Dマスクパターンを定義することによって形成されたレチクルと組み合わせて、2又は3ミラーPOサブシステムが利用された。そのようなレチクルに入射した放射光の波面の曲率は、レチクルとの相互作用時に変更される。
【0067】
通常、POサブシステムは、基準軸を有し、反射パターンソースから、IUを介して伝送されたEUV放射光を受光し、パターンソースと光学的に共役な平面上に、入射したEUV放射光の光束に応答してパターンソースで発生する2本の放射光束のみで、パターンソースの実質的な1Dパターンの像であって縮小係数Nが1より大きい光学像を形成するように構成される。通常、POサブシステムは、空間周波数に依存する方法で光学像のコントラストを減らさないように構成される。
【0068】
本発明のアイデアに従って構成されたPOサブシステムのその他の詳細及び/又は関連する実施形態は、我々の先行出願において開示されている。一部の実施形態では、POサブシステムは、特定のレベルの光学収差を動作可能なように許容するように設計される。言い換えると、POサブシステムは、光学収差が残存していることがあり、存在する場合、この光学収差は、100ミクロン以下の像面湾曲、0.1波数以下の球面収差、コマ収差、及び非点収差のいずれか、並びに20%以下のディストーションのうちの1つ以上を含むことがある。一部の実施形態では、POサブシステムは第1及び第2の反射器を含み、第1の反射器は第1の曲率半径を有しており、第2の反射器は第2の曲率半径を含んでおり、第1及び第2の曲率半径の符号は反対である。POサブシステムは、一次ミラーサブシステム及び二次ミラーサブシステムを含んでいる反射光学系を含んでもよく、その一次ミラーサブシステム及び二次ミラーサブシステムのうちの少なくとも1つは、互いに空間的に異なる(例えば、空間的に分離されている)2つの反射要素を含む(我々の先行出願において、及び特に、米国特許仮出願第62/487,245号において詳細に説明されている)。そのようなPOサブシステムの特定の実装は、図13の概略図から理解されるであろう。図13では、IUの要素(具体的には、中継反射器126)が示されており、POサブシステムの一次反射器(M1とラベル付けされている)及びPOサブシステムの二次反射器(M2とラベル付けされている)の両方がそれぞれ、空間的に異なるだけでなく、空間的に互いに分離されてもいる2つの反射要素(M1-A、M1-B、及びM2-A、M2-B)を含んでいる。パターンソース144、144’上の1D パターンの対称性を考慮して、POサブシステムの反射器の2つの反射要素間のギャップが、1Dパターンの方向に沿って配置されるのが好ましい(パターンが1D回折グレーティングによって形成される場合、要素M1-AとM1-Bの間のギャップ又は分割は、例えば、1D回折グレーティングラインと実質的に平行になる)。一部の実施形態では、POサブシステムの反射器の構成要素である反射要素は、POサブシステムの基準軸を含んでいる平面に対して互いに対称である。別の実施形態では、POサブシステムの特定の反射器を形成する反射要素の対からの反射要素のうちの少なくとも1つの反射面は、POサブシステムの基準軸に対して回転対称である表面の一部として定義される。
【0069】
瞳構造の要素
【0070】
瞳構造の要素は、我々の先行出願において詳述されているが、本明細書では、特定の実装に固有のいくつかのガイドライン及びパラメータについて説明する。
【0071】
本発明の実施形態の瞳の構造及び関連する寸法が、上で提示されたPO及びIUのパラメータの例に基づいて、図4A、4Bに示されている。ウエハで16.5mm幅の規則正しいダイヤモンド形フィールド(すなわち、16.5mmの長さの対角線を有する、X軸及びY軸に対して45°に向けられた正方形フィールド)を使用し、光が光源(114、214-A、214-B)から射出されるときの立体角Ω=0.03638srを仮定して、IUに対応するエタンデュ(etendue)は、
【数6】

で評価できる。
【0072】
さらに、図1及び2Aを参照する。実施形態100が(200の詳細と共に)、光学要素118(FE1-A、FE1-B)、160(ブラインド視野絞り)、144(レチクル)、及び従来技術において理解されているように、光学的に共役な要素になる、ウエハステージ156Aに関連付けられた表面(例えば、ウエハステージによって支えられたウエハ356の表面)を提供するように適切に構成され、この実施形態において、入射光を照射された要素のうちの1つの位置が、実施形態100の光学システムを介して、それらの要素のうちの別の要素の対応する位置に、光学的に結像される、ということが理解される。この実施形態は、レチクル要素144で、FE1-A及びFE1-Bのオーバーラップする像を形成するように構築される。実施形態100、200は、光学的に共役となる、光源(複数可)114(214-A、214-B)、要素122(FE2)、及び(POサブシステムの)開口絞りを有するように構成される。図1Bが概略図であり、システム100の特定の光学要素での反射又は伝送時の特定光束の発散又は収束の程度(この程度は、システム100の特定の詳細な設計に応じて変わることがある)は、図面では正確に表されていないことがある、ということが理解される。瞳構造のその他の詳細の開示については、我々の先行出願(それらの各出願の開示は、参照によって本明細書に包含されている)、及び特に、米国特許仮出願第62/487,245号を参照されたい。
【0073】
1D EUVシステムの関連する実施形態の概要
【0074】
図5は、1D EUVシステムの実施形態500を概略的に示しており、この図では、図1Bの実施形態100と比較して、中継ミラー126が削除されており、グレーティングパターンを有する(図示されていないレチクルホルダ内の)レチクル144’の基板の表面が、非ゼロの曲率、したがって非ゼロの光学パワーを有している。レチクル144’が反射において機能するように構築されている場合、レチクル144’は、FE2反射器122をPOサブシステムの入射瞳に結像する。光源(複数可)114からの伝送時に、放射光の光束510は、(破線EEによって概略的に示されているように)レチクルパターンによってPOサブシステムに向かって回析された放射光束全体で、レチクル144’(図示されている)に近接して又は代替としてウエハ156に近接して配置された視野絞り160’を横断する。視野絞り160’をレチクル(又はウエハ)から分離する近接距離は、通常、3mmよりも短く、1mmよりも短いことが好ましく、100ミクロンよりも短いことがさらに好ましく、50ミクロンよりも短いことがさらにいっそう好ましい。
【0075】
ブラインド視野絞り(パターンブラインド)
図8A、8B、8Cを参照すると、システムのブラインド視野絞り160が、実質的な多角形、特定の場合にはひし形(図8Aではダイヤモンド型810として示されている)、又は六角形(図8Bの820)の露光フィールド810、820、830を(像面156上に)形成するように、光束の寸法(dimension)を定めるために構築された、光学的開口部を定義している。露光フィールド、及びしたがって、露光フィールドを形成する光学的開口部が、凹多角形(図8Cの830)によって定義できるということが、意図される。それに応じて、実施形態100の開口部160の外周は、例えば、通常は多角形によって定義される。そのような構成は、像面/ウエハ156全体で均一に露光される領域を作成するために、直接隣接する露光フィールド間の効率的な空間的オーバーラップを提供するという実際的な問題に対処する。具体的には、当業者によって理解されているように、多角形は、その後形成される露光フィールドからの像の効果的な幾何学的スティッチングを容易にする。例えば、図8Aに示されている、基板156上の露光フィールドの例の向きは、多角形の露光フィールド810の対角線がシステムのX軸及びY軸と平行になるようになっている。開口部160は、図1Bでは伝送において機能するように示されているが、関連する実施形態では、パターンのブラインド160は、光学的開口部の多角形の外周の境界内で光を反射するように構築され得る、ということが理解される。
【0076】
多角形露光フィールドの特定の種類/形状に応じて、露光されない部分を残さずに、像面全体をすべて完全に露光するために、3回以上の露光の通過が必要になることがある、ということが理解される。このような目的で、実施形態830(露光サイクルを完了するために、6回の通過を必要とする)に従って露光フィールドが形成されるということの1つの利点は、そのような実装が、フィールドに依存する収差に対するシステム全体の許容度を高めることができるということである。
【0077】
その他の詳細及び/又は実施形態は、我々の先行出願、及び特に、米国特許仮出願第62/352,545号及び出願第62/353,245号において説明されている。
【0078】
パターンのブラインドのサイズは、露光時間に影響を与えず、照明光源(複数可)の合計エタンデュに一致するように選択される必要がある。ウエハステージの走査速度は、X軸に沿って測定されたパターンのブラインドの開口部の幅に反比例する。一部の状況下では、パターンのブラインドの開口部が高アスペクト比の形状(Xが広く、Yが非常に薄い)(例えば、5対1又はそれ以上高いアスペクト比)を有することが好ましいことがある。
【0079】
本発明の1D EUVシステムが備えることができる光源からの必要な光出力は、当然ながら、ウエハ上のレジストの適切な露光に必要な放射パワーの量及び経済的なスループットによって決まる。
【0080】
EUV光源及び放射パワーの検討
【0081】
本発明の1D EUVシステムで使用するための光源の一例は、例えば米国特許第8,242,695号及び/又は米国特許第8,525,138号に記載されているレーザ駆動(レーザ励起)プラズマ光源の少なくとも一部などの、プラズマベースの光源によって提供されてもよい。これらの各特許文献の開示は、参照によって本明細書に包含されている。任意選択で、プラズマ光源の筐体は、光源の窓を介して供給される光学パワー全体を変更するために、電気的に接地及び/又は再構築されてもよい。熱源として、そのような光源は、UVスペクトル領域、可視スペクトル領域、及びIRスペクトル領域の放射光を射出する。
【0082】
4πステラジアンの立体角で射出されるそのような光源のパワー全体は、その有効口径を通って光源から出るパワーに基づいて、約10Wであると評価することができるが、実施形態に適した光源からの有効な出力は、照明器200の開口部に供給される出力のみである。特に、1D EUVシステム全体の適切な動作に必要な、光源から出力される放射パワーは、システムの実行速度(例えば、1時間内に加工されるウエハの数(wph)において測定される)によっても決まる。1D EUVシステムの実行速度の関数として推定された必要な放射パワー出力を表すマップの例は、100wphの目標実行速度、30mJ/cmの合計線量でのウエハの各部分の二重の通過、正方形の露光フィールド(X軸及びY軸に対して45°に向けられ、両方の対角線に沿って16.5mmの大きさがある(図2Bの210を参照))、1ウエハ当たり5秒のオーバーヘッド時間(主に、ウエハの交換及び位置合わせ測定)、1ウエハ当たり5秒の合計加速時間、露光領域ごとに30パルス以上、レチクルでの50%の回折効率、それぞれ65%の反射率での6つの反射面、及び照明器とPOの間での一致しないエタンデュに起因する、可能性のある50%の損失の追加の「幾何学的係数」の仮定に基づいて作成された。言い換えると、「幾何学的係数」は、POの入射瞳に向けられる光源出力パワーのごく一部である。このマップは、特定の実行速度での照明器の入射で必要なパワー、並びに必要なパルス繰返し速度及びウエハステージの加速度を表す。そのようなマップの一部が、仮定されたパラメータの特定の値に関して、及び幾何学的係数の3つの異なる値に関して、図6に示されている。さらに、表1に、各結果をまとめている。
【0083】
表1:実行速度モデルの結果
【表1】
【0084】
1D EUVシステムの実施形態で使用するための光源の特定の選択に応じて、そのような光源のエタンデュは、IUのエタンデュよりも小さくなることがある、ということが理解される。その場合、複数光源(例えば、図2Aに示されているように、214-A及び214-B)を使用するように、システムを構成することができる。その場合に必要な(その他の点では同一な)光源の数は、Nsource=HIU/Hsingle sourceのように推定することができ、ここでHsingle sourceは、単一の光源のエタンデュである。
【0085】
本発明の1D EUVシステムにおいて動作するように賢明に構成されたEUV放射光の光源のその他の詳細及び/又は実施形態は、我々の先行出願に記載されている。例えば、1D EUV露光ツールの光学システムで使用するためのそのようなEUV光源の光集光の概要の例が、図9A、9Bに示されている。図9Aは、LPPからIFへEUV放射光の焦点を再び合わせるための楕円体ミラーを備えるレーザ駆動プラズマ光源の構成を示している(これは、その後、本発明のIUの実施形態の光源として機能する)。比較のために、5srの集光器及び1.6srの副開口部の構成が概略的に示されている。図9Bは、中央開口部910Aを備える集光器910、錫ジェット214、及び二次光源IF916を示している、図9Aのレーザ駆動プラズマ光源の光束で表されたモデルの概略図である。
【0086】
図9A、9BのEUV光源の特定のモデルは、IF916からの距離によって変化する光のガウス形状の放射照度分布の境界を設定する開口部及び遮蔽マスク(2つの円形及び1つの長方形の組み合わせによって形成される)を含んでいた。
【0087】
このモデルは、(i)プラズマ放射918の3次元(3D:Three-dimensional)分布、(ii)楕円形ミラーの収差、遮蔽、及び反射率の変動、(iii)錫ジェット214によって引き起こされる遮蔽の効果をさらに含んでいた。光源のモデルは、次を含んでいるとさらに仮定された。(a)直径650mmの楕円体集光器。(b)5srの立体角によって定義されたNAを有する光源。(c)FWHMでのおおよそ直径90ミクロン(又は1/e2レベルでの約910ミクロン)のガウス写像を有するプラズマ放射918の分布。FRED(登録商標)によるそのような分布のシミュレートされた投影の結果が、図9C、9Dに提示されている。(d)0.25のNAを有するIF916。(e)20%の円盤形の中心遮蔽910A(約直径130mm)。及び、(f)錫ジェット914によって引き起こされる15%の線形遮蔽(100mm幅)。集光器910の反射率は、約50%であると仮定され、レーザ駆動プラズマ光源の不安定性を許容するIF916の有効直径は、約2mmであると仮定された。プラズマ光源によって生成される光のモデル化された空間分布、及びIF916の平面での光のモデル化された空間分布は、強度分布を示している図10A、10Bと、図11Aに示されているIF916の平面での光束の点図と、図11Bに示されている同じ平面での光束の方向の図とから評価することができる。
【0088】
本発明の実施形態を使用したリソグラフィプロセスの検討
本発明の1D EUVシステムの実施形態で使用されるマスク(レチクル)144が、基板に形成される像のコントラストを増やすように位相シフトマスク(PSM:phase-shift mask)として構成された場合、プリントされたときに得られる像の特徴が、従来の2D EUVシステムを使用して達成される特徴と比較して、改善される。
【0089】
表2にまとめられた結像シミュレーション条件の下で、提案された1D EUVシステムのシミュレーションが実施された。比較のために、関連する技術の2D EUVシステムの関連するパラメータも示されている。
【表2】
【0090】
表3は、提案された1D EUVツールの実施形態、並びに0.33NA及び0.55NAでの関連する技術の標準的な2D EUVツールを使用してプリントされた1Dグレーティングの空中像のコントラストを示している。0.33ーNAツールは、20nmのピッチでグレーティングを全くプリントすることができず、0.55-NAツールを使用した結像によって、より低いコントラストが得られる。図7Aは、比較のために、本発明の実施形態及び関連する技術の標準的な高NA 2D EUVツールの焦点を介した最良の線量で、レジストモデルから出力されたデータを示している。
【表3】
【0091】
さらに、図7B、7Cはそれぞれ、0.55のNAを有し、バイナリマスクを利用する2D EUVシステム、及び上で説明された本発明の実施形態(NA=0.4、PSM)に関して、基板にプリントされるパターンの重要な寸法(CD:critical dimensions)の依存関係を、照射線量(mJ/cm)及びデフォーカス(ミクロン)の関数として示している。本発明の実施形態はより高い照射線量を必要とすることがあるが、実施形態は、像の品質の低下を大幅に抑えることを示す。比較すると、1D EUVシステムにおけるデフォーカスの特定の値に対するCDの悪化は、2D EUVシステムにおけるCDの悪化よりも大幅に少ない。例えば、図7B、7Cの曲線A及びBの比較から明らかなように、約0.05ミクロンのデフォーカスは、2D EUVシステムの場合は、約11nmから約14.5nmへのCDの増加をもたらし、1D EUVシステムの場合は、わずかに約12.5nmから約13.5nmへのCDの増加をもたらす。当業者は、本発明の実施形態を使用して達成される増加したコントラストの利点を容易に理解するであろう。
【0092】
図1~11を参照して説明された実施形態の例に従って、1D EUV露光ツールの概念の概要が説明された。この実施形態で選択された特定の値が列挙されたが、本発明の範囲内で、すべてのパラメータの値が、さまざまな適用に適するように広範囲にわたって変化してもよいということが、理解されるべきである。例えば、本発明の実施形態は、レチクルの平面でテレセントリックではなく、レチクルの位置が露光中に固定されているとして説明された。しかし、露光の実行と実行の間に、又は露光中に、レチクルは、像における倍率の変化を引き起こすため、及び基板上にすでにプリントされているパターンと幾何学的に一致するように、本発明の露光ツールが結像された1Dパターンを効果的に拡大/縮小できるようにするために、必要な場合にZ軸に沿ってわずかに移動することができる。
【0093】
実施形態は、メモリに格納された命令によって制御される制御回路/プロセッサを含んでいるとして説明された。メモリは、制御ソフトウェア又はその他の命令及びデータを格納するのに適した、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、読み取り専用メモリ(ROM:read-only memory)、フラッシュメモリ、又は任意のその他のメモリ、或いはこれらの組み合わせであってもよい。当業者は、本発明の機能を定義する命令又はプログラムが、書き込み不能なストレージ媒体(例えば、ROMなどの、コンピュータ内の読み取り専用メモリデバイス、或いはCD-ROMディスク又はDVDディスクなどの、コンピュータのI/Oアタッチメントによって読み取り可能なデバイス)に永続的に格納された情報、書き込み可能なストレージ媒体(例えば、フロッピーディスク、取り外し可能なフラッシュメモリ、及びハードドライブ)にすでに格納された情報、或いは有線又は無線コンピュータネットワークを含む通信媒体を介してコンピュータに伝達される情報を含むが、これらに限定されない、多くの形態でプロセッサに提供されてよいということも、容易に理解するはずである。加えて、本発明はソフトウェアにおいて具現化されてもよいが、本発明を実装するために必要な機能は、任意選択で、又は代替として、組み合わせ論理、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuits)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Arrays)、又はその他のハードウェア、或いはハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、及び/又はファームウェア構成要素の何らかの組み合わせなどの、ファームウェア構成要素及び/又はハードウェア構成要素を一部又は全体において使用して具現化されてもよい。
【0094】
表4は、本発明の特定の一実施形態の有利な動作パラメータを、2D EUVシステムの動作パラメータと比較してまとめている。
【表4】
【0095】
本開示及び我々の先行出願の開示の組み合わせに基づいて、当業者は、平行な直線を要素とするアレイを選択したワークピースにプリントするための専用の1D EUVシステムのさまざまな実施形態が説明されているということを、容易に理解するであろう。それらの実施形態は、以下を含むが、これらに限定されない。
【0096】
IU、反射器(実質的な1Dパターンを有するパターンソースを含み、そのような反射器は、IUからEUV放射光の入射光束を受光するように配置される)、基準軸を含んでおり、反射器から転送された入射光束から放射光を受光するように構成されたPOサブシステムを含む、(EUV)露光ツールの実施形態。一実施形態では、反射器は位相シフトマスクを含む。POサブシステムは、入射光束から反射器で発生する2本の放射光束のみで、1Dパターンの像であって縮小係数Nが1より大きい光学像を、反射器に対して光学的に共役な平面上に形成するようにも構成される。実質的な1Dパターンは第1の空間周波数を有しているが、実質的な1Dパターンの光学像は、第2の空間周波数を有しており、第2の空間周波数は、少なくとも第1の空間周波数の2倍である。反射器は、IU及びPOサブシステムに対して実質的に固定された空間的及び光学的関係で配置される。光学像を形成する2本の放射光束のみが、反射器での入射光束の鏡面反射を表す放射光束を含んでいない。露光ツールは、基準軸へ横に移動可能なように構成されたワークピースをさらに含んでもよい。特定の場合では、IUは、第1及び第2のフライアイ(FE:fly’s eye)反射器を含んでいる。追加又は代替として、反射器は、第1のFE反射器の個別の構成要素である反射要素の間に配置されてもよい。通常、POサブシステムは第1及び第2の反射器を含む(第1の反射器は第1の曲率半径を有しており、第2の反射器は第2の曲率半径を含んでおり、第1及び第2の曲率半径の符号は反対である)。1つの実装では、POサブシステムは、一次ミラーサブシステム及び二次ミラーサブシステムを含んでいる反射光学系であり、その一次ミラーサブシステム及び二次ミラーサブシステムのうちの少なくとも1つは、互いに空間的に異なる2つの反射要素を含む。
【0097】
IU(IUの構成要素である反射器として、第1及び第2のフライアイ反射器を含む)と、IUと光学的に繋がっているPOサブシステムと、IU及びPOサブシステムに対して実質的に固定された空間的及び光学的関係で配置され、実質的な1Dパターンを有する反射パターンソース(パターンソースは、IUから放射光束を受光し、該放射光束からの放射光をPOサブシステムに転送するように構成される)と、POサブシステムの基準軸に対して横に移動可能なワークピースとを含んでいる1D EUV露光ツールの関連する実施形態。IUは、第2のフライアイ反射器及び反射パターンソースの両方と光学的に繋がるように配置された中継ミラーをさらに含んでもよい。特定の1つの実装では、1D EUV露光ツールは、第2のフライアイ反射器と中継ミラーの間に配置された視野絞りをさらに含む。視野絞りは、通常、多角形外周を有する光学的開口部を定義する。追加又は代替として、1D EUV露光ツールは、第1のフライアイ反射器、視野絞り、パターンソース、及びワークピースに関連付けられた表面が互いに光学的に共役であるように、構成される。通常、POサブシステムは、第1及び第2のミラーを含み、第1及び第2のミラーのうちの少なくとも1つが中心遮蔽を含んでいる。これらの第1及び第2のミラーは、アナスチグマチック光学システムを集合的に定義するように構成される。特定の場合では、POサブシステムは、第3のミラーをさらに含む。特定の実装では、POサブシステムは2つの反射器のみを含む。関連する実装では、POサブシステムは3つの反射器のみを含む。露光ツールは、10個以下の反射器を使用して、放射光束からのEUV放射光が、IU及びPOサブシステムを介して、ワークピースに向けて、基準軸に沿って供給されるように構成されてもよい(これらの10個の反射器は、第1及び第2のフライアイ反射器及びPOサブシステムの反射器を含む)。このツールのパターンソースは、通常、パターンソース支持台を備えており、この支持台は、露光ツールの動作中に被加工物の動きと同期した動きでパターンソースを走査するように構成された構造を欠いている。1Dパターンを有するパターンソースの表面は、特定の実装では、パターンソースの非ゼロの光学パワーを定義するために、非ゼロの曲率半径を有してもよい。そのような場合、パターンソースのそのような表面は、第1の平面内で定義された第1の有限な曲率半径を有し、第1の平面は、そのような平面を横切り、そのような表面と直角なパターンソースの軸を含んでいる。加えて、パターンソースの表面は、第2の平面内で定義された第2の有限な曲率半径を有してもよい(第2の平面は、第1の平面を横切り、パターンソースの軸を含んでいる)。第1及び第2の有限な曲率半径は、実質的に互いに同じであってもよい。1D EUV露光ツールは、EUV波長で放射光を射出するように構成され、POサブシステムの第2のフライアイ反射器及び入射瞳の両方と光学的に共役になるように配置された、放射光の光源をさらに含んでもよい。1つの事例では、放射光の光源は、プラズマ駆動発光体を含む。1D EUV露光ツールは、(ワークピースと動作可能に繋がるように構成された)制御ユニットをさらに備えてもよく、この制御ユニットは、(i)(POサブシステムによって反射パターンソースから放射光が供給されるワークピースの表面に近接する平面内に形成された露光フィールドの位置に対する)第1の軸に沿って、及び第1の軸に沿って伸びる平行線の走査帯を形成するような、第1の走査の軌道に沿って、ワークピースを走査することと、(ii)対象の走査の前に、既存のパターンがワークピースに関連付けられている場合に、第1の走査の軌道を、既定されているように、走査帯を既存のパターンの一部に重ね合わせるように調整すること、とを実行するようにプログラムされたプロセッサを含んでいる。特定の場合では、プロセッサは、ワークピースを走査するプロセスの間に第1の走査の軌道を調整して、(a)第2の軸に沿った移動、及び(ii)第3の軸に沿った移動、のうちの少なくとも1つを含むようにプログラムされ、第2の軸は第1の軸と直角であり、第3の軸は第1及び第2の軸の両方と直角である。制御ユニットは、IU及びPOサブシステムのうちの少なくとも1つとさらに動作可能なように連携してもよく、プロセッサは、平行線の走査帯のピッチを調整して走査帯を変形させるように、さらにプログラムされてもよい。
【0098】
1D EUV露光ツールを介して放射光を伝送するための方法の実施形態。この方法は、(そのようなEUV露光ツールのIUの第1の反射器によって受光された)第1のEUV放射光を1D EUV露光ツールの反射パターンソースに転送するステップを含み、このパターンソースは、IUの第1の反射器に対して、実質的に固定された空間的関係にある。この方法は、第1のミラーの反射面を含んでいる表面を介して第1のEUV放射光(反射パターンソースと相互作用した)をさらに転送する第2のステップを含む。例えば、そのような転送は、第1のミラーの中央開口部又は中心遮蔽を介して第1のEUV放射光を伝送することを含んでもよい。中心遮蔽を介した第1のEUV放射光の伝送は、1つの事例では、第1のミラーの反射面の面積の40%を超えない表面積を有する中央開口部を介して、第1のEUV放射光を伝送することを含んでもよい。転送の動作は、第1のEUV放射光の第1の光束を第1のミラーの表面の第1の位置に衝突させること、及びこの第1のEUV放射光の第2の光束を同じ第1のミラーの表面の第2の位置に衝突させることを含んでもよく、第1及び第2の位置は、基準軸に対して第1のミラーの両側に定義される。代替又は追加として、この方法は、(a)実質的な1次元(1D:one-dimensional)パターンを有するパターンソースの表面からの第1の放射光を反射することをさらに含んでおり、及び/又は(b)実質的な1Dパターンの像であって縮小係数Nが1より大きい光学像を、反射パターンソースと光学的に共役な対象面に形成することをさらに含んでいる。光学像を形成するステップは、転送のステップの結果として反射パターンソースで発生する2本の放射光束のみを使用して光学像を形成することを含み、2本の放射光束のみが、反射パターンソースでの第1のEUV放射光の鏡面反射を表す光束を含んでいない。この方法は、光学像を形成するステップをさらに含むことができ、この光学像では、像の2つの直接隣接する線形要素間の分離距離が10nmを超えず、7nmを超えないことが好ましい。1つの実装では、この方法は、反射パターンソースとの第1のEUV放射光の相互作用時に、第1のEUV放射光の波面の曲率を変更するステップをさらに含む。この方法は、(i)第2のミラーを介して第1のEUV放射光を伝送し、この第2のミラーの表面で、第2のミラーの光軸に対して片側で、第1の放射光を部分的に反射することを、さらに含んでもよい。その場合、第2のミラーを介して第1の放射光をさらに転送及び伝送するステップは、少なくとも0.2の開口数を有するアナスチグマチックミラーシステムを介して放射光を伝送することを集合的に定義する。
【0099】
本開示及び添付の特許請求の範囲の目的では、本明細書における値、要素、属性、又は特性、等の記述を参照した用語「実質的に(substantially)」、「おおよそ(approximately)」、「約(about)」、及び類似する用語の使用は、参照される値、要素、属性、又特性が、必ずしも正確に述べられた通りではないが、それでも実用的な目的では、述べられた通りであると当業者によって見なされるであろうということを、強調するよう意図されている。これらの用語は、特定の特性又は品質の記述に適用されるとき、近似の言語を合理的に示し、特定の特性又は記述を、それらの範囲が当業者によって理解されるように説明するために、「ほとんど(mostly)」、「主に(mainly)」、「かなり(considerably)」、「概して(by and large)」、「基本的に(essentially)」、「大部分又はかなりの程度まで(to great or significant extent)」、「概ね同じだが、必ずしも完全に同じではない(largely but not necessarily wholly the same)」ということを意味する。1つの具体例では、「おおよそ」、「実質的に」、及び「約」という用語は、数値を参照して使用された場合、特定の値に対してプラス又はマイナス20%の範囲を表し、プラス又はマイナス10%の範囲を表すことがさらに好ましく、プラス又はマイナス5%の範囲を表すことがさらにいっそう好ましく、特定の値に対してプラス又はマイナス2%の範囲を表すことが最も好ましい。非限定的な例として、2つの値が互いに「実質的に等しい」ということは、2つの値の間の差が、その値の+/-20%の範囲内であることがあり、+/-10%の範囲内であることがあることが好ましく、+/-5%の範囲内であることがあることがさらに好ましく、+/-2%以下の範囲内であることがさらにいっそう好ましいことを意味する。
【0100】
選択された特性又は概念を説明することにおけるこれらの用語の使用は、不明確性の根拠を意味することも提供することもなく、特定の特性又は記述に対して数値限定を追加することの根拠を意味することも提供することもない。当業者によって理解されているように、述べられた正確な値又はそのような値の特性、要素、或いは性質からの実際の逸脱は、そのような目的に関して従来技術において認められている測定方法を使用する場合に特有の実験的測定の誤差によって定義された数値範囲内に収まり、その範囲内で変動することがある。
【0101】
例えば、識別されたベクトル又は線又は平面が、参照された線又は平面と実質的に平行であるということへの参照は、そのようなベクトル又は線又は平面が、参照された線又は平面と同じであるか、又は非常に近いと解釈されるべきである(関連する技術において実際に標準的であると考えられている、参照された線又は平面からの角度のずれ(例えば、0~15度の範囲内であり、0~10度の範囲内であることが好ましく、0~5度の範囲内であることがさらに好ましく、0~2度の範囲内であることがさらにいっそう好ましく、0~1度の範囲内であることが最も好ましい)を含む)。例えば、識別されたベクトル又は線又は平面が、参照された線又は平面と実質的に直角であるということへの参照は、そのようなベクトル又は線又は平面が、参照された線又は平面にあるか又は非常に近い表面に対する法線を有している、と解釈されるべきである(関連する技術において実際に標準的であると考えられている、参照された線又は平面からの角度のずれ(例えば、0~15度の範囲内であり、0~10度の範囲内であることが好ましく、0~5度の範囲内であることがさらに好ましく、0~2度の範囲内であることがさらにいっそう好ましく、0~1度の範囲内であることが最も好ましい)を含む)。「実質的に硬い」という用語は、対象の装置の機械的支持を提供する筐体又は構造要素を参照して使用される場合、通常は、そのような構造要素が支持する装置の硬さよりも硬い硬さを有する構造要素を識別する。別の例として、特定の表面を参照した「実質的に平坦」という用語の使用は、そのような表面が、本明細書における特定の状況等において当業者によって一般に理解されるようにサイズが決定されて表された非平坦性及び/又は粗さの程度を有することがある、ということを意味する。
【0102】
異なる実際の状況に適用される「実質的に」、「約」、及び/又は「おおよそ」という用語の意味のその他の特定の例が、本開示の他の場所で提供されていることがある。
【0103】
本発明のシステムの実施形態は、前述したような特定のデータの集合/処理及び計算ステップを実行するために、メモリに格納された命令によって制御される、電子回路(例えば、コンピュータプロセッサ)を含む。メモリは、制御ソフトウェア又はその他の命令及びデータを格納するのに適した、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、又は任意のその他のメモリ、或いはこれらの組み合わせであってもよい。当業者は、本発明の動作を定義する命令又はプログラムが、書き込み不能なストレージ媒体(例えば、ROMなどの、コンピュータ内の読み取り専用メモリデバイス、或いはCD-ROMディスク又はDVDディスクなどの、コンピュータのI/Oアタッチメントによって読み取り可能なデバイス)に永続的に格納された情報、書き込み可能なストレージ媒体(例えば、フロッピーディスク、取り外し可能なフラッシュメモリ、及びハードドライブ)にすでに格納された情報、或いは有線又は無線コンピュータネットワークを含む通信媒体を介してコンピュータに伝達される情報を含むが、これらに限定されない、多くの形態でプロセッサに提供されてよいということも、容易に理解するはずである。加えて、本発明はソフトウェアにおいて具現化されてもよいが、本発明の方法を実装するために必要な機能は、必要に応じて、又は代替として、組み合わせ論理、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はその他のハードウェア、或いはハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、及び/又はファームウェア構成要素の何らかの組み合わせなどの、ファームウェア構成要素及び/又はハードウェア構成要素を一部又は全体において使用して具現化されてもよい。
【0104】
本開示に添付されている特許請求の範囲に示された本発明は、全体として本開示の観点から評価されるよう意図されている。説明された詳細、ステップ、及び構成要素におけるさまざまな変更が、本発明の原理内及び範囲内で、当業者によって行われてもよい。
【0105】
例えば、図12を参照すると、概略図が、図5の実施形態と比較してやや変更された(本発明の1D EUV露光ツールの)光学システムの一部を示す概略図が示されている(図12のこの概略図が、説明を簡単にするために、描かれた構成要素の縮尺、形状、或いは相互の向き及び/又は配置の精度を考慮せずに提示されていることに注意する)。ここで、図5の実施形態500と同様に、実質的な1Dパターン(POサブシステム134、130を介して、ワークピース156に通常は関連付けられた像面に光学的に結像される)を取得するパターンソース144’の表面は、空間的に湾曲している。ただし、実施形態500と比較して、パターンソース144’は、軸外の向きと呼ばれてもよい向きで、二次光源IF916(前述したように、システムのEUV光源の動作の結果として形成される)から到着するEUV放射光(矢印1210として示されている)が照射される。具体的には、パターンソースへの入射であるEUV放射光の伝搬1210の全体的な方向が、湾曲したパターンソース144’の表面と直角な軸を定義する法線1220に対して、斜めの非ゼロの入射角を形成する。特定の場合では、パターンソース144’へのEUV放射光1210の入射角は、例えば、パターンソース144’の表面への放射光1210の平均波数ベクトルの投影が、実質的な1Dパターンのラインが伸びる軸と実質的に平行であることを保証するように、選択される。例えば、パターンソースの実質的な1Dパターンが、1D回折グレーティングによって形成される場合、パターンソース144’への放射光1210の入射面は、グレーティングライン及び基準軸(法線1220など)と実質的に平行である。図12の図に示されているように、パターンソース144’の実質的な1Dパターンのラインは、Y軸に沿って伸びる。
【0106】
例えば、図1Bを再び参照すると、同様に配置されたパターンソースの軸外照射を、実質的に平面的又は平坦なパターンソース144を採用する(1D EUV露光ツールの)光学システム及び/又は中継反射器126を採用する光学システムにおいて採用することができる、と理解されるであろう。通常は、視準の異なる角度によって特徴付けられるEUV放射光の光束を使用して、パターンソース(前述したように、平坦であろうと湾曲していようと)の軸外照射を実行できるということも理解される。例えば、パターンソースの軸外照射は、IUから到着するEUV放射光の実質的にコリメートされた光束を使用して配置することができ、別の非限定的な例では、そのようなEUV放射光の光束は、パターンソースに向かって空間的に収束することができる。
【0107】
それに応じて、本発明の範囲は、1D EUV露光ツールの光学システム内で、IU及びパターンソースのそのような相互の向きを含み、その光学システムでは、IUの最後の光学要素(FE反射器であろうと、中継反射器であろうと)は、EUV放射光を、実質的な1Dパターンの要素の縦方向の範囲と平行な、パターンソースのパターンを有する表面への投影を含んでいる軸に沿って、パターンソースに向かって反射する。
【0108】
軸外照射の配置の選択は、FOV全体の像のコントラスの損失を低減すること、及び場合によっては、(パターンソースからPOサブシステムを通って像面にさらに向かう放射光の伝搬に対する)位相効果を低減又は防止することに役立つことがあり、位相効果は、防止しなければ、光源の構造又はパターンソース自体の構造を変更することによる補償を必要とすることがある。通常は、少なくとも、本発明の実施形態で使用するためのパターンソースの構造に対する許容できる変形が制限されているということを考えると、パターンソースの軸外照射の実装は、実際に有利であるということを証明できる。パターンソース144、144’のパターンの実質的に1Dの性質、及び入射放射光1210からパターンソースで形成されるゼロ次の回折が概ね遮断され、システムが、光学的構成要素がPOサブシステムを通る+1及び-1の次数の回析の伝搬を妨げないことを保証するように構成される(我々の先行出願において説明されている)、ということのために、本発明の実施形態における特定の入射角に関する要件は、多少緩和される。例えば、図12を参照すると、一実施形態では、IUからパターンソースに到着する放射光の入射角は、約0度~約40度の範囲内であり、関連する実施形態では、約10度~約30度の範囲内である。これらの範囲が角度範囲の例のみを提供するということが、理解されるべきである。実際の実施形態では、0度から実質的に90度までのいずれかの、入射角の角度又は範囲を使用することができる。
【0109】
開示された態様又はこれらの態様の一部は、上で示されていない方法で組み合わせられてもよい。それに応じて、本発明は、開示された実施形態(複数可)に限定されると見なされるべきではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B