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特許7160474アクリル系共重合体、その製造方法、およびそれを含むアクリル系共重合体組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】アクリル系共重合体、その製造方法、およびそれを含むアクリル系共重合体組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/28 20060101AFI20221018BHJP
   C08L 33/14 20060101ALI20221018BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20221018BHJP
【FI】
C08F220/28
C08L33/14
C08K3/013
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021531646
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 KR2020011183
(87)【国際公開番号】W WO2021071085
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2019-0125869
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0094657
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ヨン-ソク
(72)【発明者】
【氏名】ハン、チョン-ス
(72)【発明者】
【氏名】イ、チ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヨ、スン-ウク
(72)【発明者】
【氏名】シン、サン-チン
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-262831(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136697(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F、C08L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主単量体由来の繰り返し単位および多官能性単量体由来部を含むアクリル系共重合体であって、
前記主単量体由来の繰り返し単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の繰り返し単位、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体由来の繰り返し単位、および架橋性単量体由来の繰り返し単位を含み、
前記多官能性単量体は、アリルメタクリレートであり、
前記架橋性単量体は、ビニルクロロアセテート、ビニルベンジルクロリド、2-クロロアクリル酸エチル、および2-クロロエチルビニルエーテルからなる群から選択される1種以上であり、
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、炭素数1~8のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、
前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体は、炭素数1~8のアルコキシアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルであり、
前記主単量体由来の繰り返し単位の総100重量部に対して、
前記多官能性単量体由来部が、0.0005~1重量部
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の繰り返し単位は60~95重量部、
前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体由来の繰り返し単位は、1~35重量部、
前記架橋性単量体由来の繰り返し単位は、0.1~20重量部含まれ、
前記アクリル系共重合体は、式1で表す単位を含まない
【化1】
[式中、
1 は水素原子またはメチル基、
2 は炭素数3~20のアルキレン基、
3 は炭素数1~20の炭化水素基またはその誘導体、
lは、1~20の整数を示す。]
アクリル系共重合体。
【請求項2】
前記多官能性単量体由来部は、前記主単量体由来の繰り返し単位の総100重量部に対して0.001~0.05重量部で含まれる、請求項1に記載のアクリル系共重合体。
【請求項3】
前記架橋性単量体由来の繰り返し単位は、主単量体由来の繰り返し単位の総重量に対して0.5~10重量%で含まれる、請求項1または2に記載のアクリル系共重合体。
【請求項4】
ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が10~70である、請求項1~3のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体。
【請求項5】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体、および架橋性単量体を含む主単量体混合物多官能性単量体を投入して重合するステップむアクリル系共重合体の製造方法であって
前記主単量体混合物の総100重量部に対して多官能性単量体が、0.0005~1重量部、
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は60~95重量部、
前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体は、1~35重量部、
前記架橋性単量体は、0.1~20重量部投入され、
前記多官能性単量体は、アリルメタクリレートであり、
前記架橋性単量体は、ビニルクロロアセテート、ビニルベンジルクロリド、2-クロロアクリル酸エチル、および2-クロロエチルビニルエーテルからなる群から選択される1種以上であり、
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、炭素数1~8のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、
前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体は、炭素数1~8のアルコキシアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルであり、
前記アクリル系共重合体は、式1で表す単位を含まない
【化2】
[式中、
1 は水素原子またはメチル基、
2 は炭素数3~20のアルキレン基、
3 は炭素数1~20の炭化水素基またはその誘導体、
lは、1~20の整数を示す。]
アクリル系共重合体の製造方法。
【請求項6】
前記多官能性単量体が、前記主単量体混合物の総100重量部に対して0.001~0.05重量部で含まれる、請求項5に記載のアクリル系共重合体の製造方法。
【請求項7】
請求項1から4の何れか一項に記載のアクリル系共重合体および充填剤を含む、アクリル系共重合体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年10月11日付けの韓国特許出願第10-2019-0125869号および2020年7月29日付けの韓国特許出願第10-2020-0094657号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、アクリル系共重合体に関し、より詳細には、耐油性および圧縮永久ひずみに優れたアクリル系共重合体、その製造方法、およびそれを含むアクリル系共重合体組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とする重合体であって、耐熱性、耐油性、および耐オゾン性に優れたゴムとして知られており、自動車関連分野などで、シール、ホース、チューブ、ベルトなどの部品の素材として広く用いられている。アクリルゴムは、少量であっても、自動車の性能を左右する重要な部分に主に用いられており、その特性上、振動および騒音が発生する部位に適用される部分と、耐熱性および耐油性が必要な部位に適用される部分など、重要な部品とされている。
【0004】
アクリルゴムは、ゴム部品として使用可能であるように架橋させ、弾性を有する必要があり、高温下で優れた耐熱性および耐油性を有するべきである。近年、内燃機関の高出力化または排気ガスなどにより内燃機関の周囲の熱的環境条件が苛酷であることや、エンジンオイルが高温条件下で進行するなどのことから、ゴム部品の性能向上が求められている。
【0005】
このように多様な用途に用いられている架橋性アクリルゴムは、優れた耐油性とともに、一定程度のゴム物性である弾性が必要である。また、上記の使用用途に好適な耐久性を実現するためには、アクリルゴムの高い架橋密度が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明で解決しようとする課題は、上記の発明の背景となる技術で述べた問題を解決するために、耐油性に優れるとともに、圧縮永久ひずみが少ないアクリル系共重合体組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、本発明は、主単量体由来の繰り返し単位および多官能性単量体由来部を含むアクリル系共重合体であって、前記主単量体由来の繰り返し単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の繰り返し単位、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体由来の繰り返し単位、および架橋性単量体由来の繰り返し単位を含み、前記多官能性単量体は、ビニル基またはアリル基を含み、前記多官能性単量体由来部が、前記主単量体由来の繰り返し単位の総100重量部に対して0.0005~1重量部で含まれる、アクリル系共重合体を提供する。
【0008】
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体、および架橋性単量体を含む主単量体混合物を製造するステップと、前記主単量体混合物に多官能性単量体を投入して重合するステップと、を含み、多官能性単量体が、前記主単量体混合物の総100重量部に対して0.0005~1重量部で投入される、アクリル系共重合体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る多官能性単量体を含むアクリル系共重合体は、重合物の架橋密度を向上させ、耐油性に優れるとともに、ゴムの特徴である弾性力を維持することで、圧縮永久ひずみが小さいという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の説明および特許請求の範囲で用いられた用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0011】
本発明において、用語「由来の繰り返し単位」および「由来部」は、ある物質に起因した成分、構造、またはその物質自体を指し得て、具体的な例として、「由来の繰り返し単位」は、重合体の重合時に、投入される単量体が重合反応に関与して重合体中で成す繰り返し単位を意味し、「由来部」は、重合体の重合時に、投入される連鎖移動剤が重合反応に関与して重合物の連鎖移動反応を誘導するものを意味し得る。
【0012】
本発明において、用語「ゴム」は、弾性を有する可塑性物質を指し、ラバー、エラストマー、または合成ラテックスなどを意味し得る。
【0013】
本発明において、用語「共重合体(copolymer)」は、共単量体が共重合されて形成された共重合体を何れも含む意味であり、具体的な例として、ランダム共重合体およびブロック共重合体の両方を含む意味であり得る。
【0014】
以下、本発明が容易に理解されるように、本発明をより詳細に説明する。
【0015】
本発明に係るアクリル系共重合体は、主単量体由来の繰り返し単位と、多官能性単量体由来部と、を含んでもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によると、前記主単量体由来の繰り返し単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の繰り返し単位、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体由来の繰り返し単位、および架橋性単量体由来の繰り返し単位を含んでもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によると、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の繰り返し単位は、アクリル系共重合体中でガラス転移温度を調節し、最終製品での作業性、耐熱性、および耐寒性を増加させる役割を果たす成分であり、炭素数1~8のアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体であってもよい。この際、前記炭素数1~8のアルキル基は、炭素数1~8の直鎖状または環状アルキル基を含む意味であり得る。具体的な例として、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどであってもよい。ここで、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよく、具体的な例として、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル単量体などであってもよい。
【0018】
前記主単量体由来の繰り返し単位中の前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の繰り返し単位の含量は、60重量%~95重量%、75重量%~93重量%、または80重量%~90重量%であってもよく、この範囲内である場合、本発明に係るアクリル系共重合体の作業性、耐熱性、および耐寒性に優れる効果がある。
【0019】
前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体由来の繰り返し単位は、アクリル系共重合体中でガラス転移温度を調節し、最終製品での作業性、耐熱性、および耐寒性を増加させる役割を果たす成分であり、炭素数1~8のアルコキシアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を意味し得る。具体的な例として、前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体は、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチルなどであってもよい。具体的な例として、前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体は、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチルであってもよい。
【0020】
前記主単量体由来の繰り返し単位中の前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体由来の繰り返し単位の含量は、1重量%~35重量%、7重量%~25重量%、または10重量%~20重量%であってもよく、この範囲内である場合、本発明に係るアクリル系共重合体の作業性および耐油性に優れる効果がある。
【0021】
一方、本発明に係る前記主単量体由来の繰り返し単位に含まれる(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の繰り返し単位および(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体由来の繰り返し単位の総含量は、80重量%~99.9重量%、85重量%~99.9重量%、または90重量%~99.5重量%であってもよく、この範囲内である場合、本発明に係るアクリル系共重合体の作業性、耐寒性、および耐熱性に優れる効果がある。
【0022】
前記架橋性単量体由来の繰り返し単位は、アクリル系共重合体中に架橋性官能基を付与するための成分であり、ブテンジオン酸モノエステル単量体、エポキシ基含有単量体、およびハロゲン含有単量体からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0023】
前記ブテンジオン酸モノエステル単量体は、ブテンジオン酸、すなわち、マレイン酸またはフマル酸のカルボキシル基とアルコールを反応させて得られたマレイン酸モノエステル単量体またはフマル酸モノエステル単量体であってもよい。前記マレイン酸モノエステル単量体は、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノペンチル、マレイン酸モノデシルなどのマレイン酸モノアルキルエステル単量体;マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチル、マレイン酸モノシクロオクチル、マレイン酸モノメチルシクロヘキシル、マレイン酸モノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル、マレイン酸モノジシクロペンタニル、マレイン酸モノイソボルニルなどのマレイン酸モノシクロアルキルエステル単量体;マレイン酸モノシクロペンテニル、マレイン酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロヘプテニル、マレイン酸モノシクロオクテニル、マレイン酸ジシクロペンタジエニルなどのマレイン酸モノシクロアルケニルエステル単量体;などであってもよい。前記フマル酸モノエステル単量体は、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノヘキシル、フマル酸モノオクチルなどのフマル酸モノアルキルエステル単量体;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチル、フマル酸モノシクロオクチル、フマル酸モノメチルシクロヘキシル、フマル酸モノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル、フマル酸ジシクロペンタニル、フマル酸イソボルニルなどのフマル酸モノシクロアルキルエステル単量体;フマル酸モノシクロペンテニル、フマル酸モノシクロヘキセニル、フマル酸モノシクロヘプテニル、フマル酸モノシクロオクテニル、フマル酸モノジシクロペンタジエニルなどのフマル酸モノシクロアルケニルエステル単量体などであってもよい。
【0024】
前記エポキシ基含有単量体は、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテルなどであってもよい。具体的な例として、前記エポキシ基含有単量体は、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどであってもよい。
【0025】
前記ハロゲン含有単量体は、ビニルクロロアセテート、ビニルブロモアセテート、アリルクロロアセテート、ビニルクロロプロピオネート、ビニルクロロブチレート、ビニルブロモブチレート、2-クロロアクリル酸エチル、3-クロロプロピルアクリレート、4-クロロブチルアクリレート、2-クロロエチルメタクリレート、2-ブロモアクリル酸エチル、2-ヨードアクリル酸エチル、2-クロロエチルビニルエーテル、クロロメチルビニルエーテル、4-クロロ-2-ブテニルアクリレート、ビニルベンジルクロリド、5-クロロメチル-2-ノルボルネン、5-クロロアセトキシメチル-2-ノルボルネンなどであってもよい。具体的な例として、前記ハロゲン含有単量体は、ビニルクロロアセテート、ビニルベンジルクロリド、2-クロロアクリル酸エチル、2-クロロエチルビニルエーテルなどであってもよい。
【0026】
前記主単量体由来の繰り返し単位中の架橋性単量体由来の繰り返し単位の含量は、0.1~20重量%、0.1重量%~15重量%、または0.5重量%~10重量%であってもよく、この範囲内である場合、本発明に係るアクリル系共重合体の架橋密度が高く、機械的特性に優れるとともに、得られた架橋物の伸びが向上するだけでなく、圧縮永久ひずみを防止する効果がある。
【0027】
前記主単量体由来の繰り返し単位は、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の繰り返し単位、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体由来の繰り返し単位、および架橋性単量体由来の繰り返し単位の他に、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の繰り返し単位および(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体由来の繰り返し単位と共重合可能な他の単量体由来の繰り返し単位をさらに含んでもよい。
【0028】
前記多官能性単量体由来部は、アクリル系共重合体の製造時に、単量体間の架橋を誘導して重合物の架橋密度を高める成分であり、2つ以上のビニル基(vinyl group)とアリル基(allyl group)を含有する架橋剤に由来のものであってもよい。具体的な例として、多官能性単量体としては、ジビニルベンゼン、1,4-ジビニルオキシブタン、ジビニルスルホン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテートなどのアリル化合物、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチレンプロパントリメタクリレート、1,3-ブタンジオールメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。本発明では、前記多官能性単量体を単独でもしくは2種以上を混合して用いてもよい。具体的な例として、前記多官能性単量体は、ジビニルベンゼンまたはアリルメタクリレートであってもよい。
【0029】
前記多官能性単量体由来部の含量は、前記主単量体由来の繰り返し単位100重量部に対して、0.0005重量部~1.0重量部、0.001重量部~0.8重量部、または0.001重量部~0.05重量部であってもよい。この範囲内である場合、本発明に係るアクリル系共重合体の架橋密度が向上することができ、これにより、耐油性が高くなり、圧縮永久ひずみは低くなることで、アクリル系共重合体が過度に硬くなることが防止され、作業性および加工性にも優れる効果がある。
【0030】
前記アクリル系共重合体の重量平均分子量は、200,000g/mol~4,000,000g/mol、300,000g/mol~3,000,000g/mol、または500,000g/mol~2,500,000g/molであってもよい。この範囲内である場合、アクリル系共重合体の製造時間を低減するとともに、優れた機械的物性が実現可能である効果がある。
【0031】
前記アクリル系共重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、10~70、20~60、または25~50であってもよく、この範囲内である場合、作業性に優れる効果がある。
【0032】
本発明によると、アクリル系共重合体の製造方法が提供される。本発明に係るアクリル系共重合体の製造方法は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体、および架橋性単量体を含む主単量体混合物を製造するステップと、前記主単量体混合物の総100重量部に対して、多官能性単量体0.0005重量部~1重量部を投入して重合するステップと、を含んでもよい。ここで、前記多官能性単量体は、2つ以上のビニル基(vinyl group)とアリル基(allyl group)を含有する架橋剤を含有するものであってもよい。
【0033】
前記多官能性単量体の含量は、前記主単量体混合物の総100重量部に対して、0.0005重量部~1.0重量部、0.001重量部~0.8重量部、または0.001重量部~0.05重量部であってもよい。この範囲内である場合、本発明に係るアクリル系共重合体の架橋密度が向上することができ、これにより、耐油性が高くなり、圧縮永久ひずみは低くなることで、アクリル系共重合体が過度に硬くなることが防止され、作業性および加工性にも優れる効果がある。
【0034】
前記主単量体混合物を製造するステップは、アクリル系共重合体の主鎖を成す単量体を配合するステップであり、前記主単量体混合物を形成する単量体の種類および含量は、前述の主単量体由来の繰り返し単位を形成するための単量体の種類および含量と同一のものであってもよい。
【0035】
前記アクリル系共重合体は、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合などの方法を用いて行うことができ、開始剤、乳化剤、重合停止剤、イオン交換水、分子量調節剤、活性化剤、酸化還元触媒などの添加剤をさらに用いて、回分式、半回分式、連続式などの乳化重合方法により行ってもよい。
【0036】
前記開始剤は、一例として、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素などの無機過酸化物;ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、p-メンタンヒドロペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、アセチルペルオキシド、イソブチルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、3,5,5-トリメチルヘキサノールペルオキシド、t-ブチルペルオキシイソブチレートなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸(ブチル酸)メチルなどの窒素化合物などであってもよい。これらの重合開始剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。かかる開始剤は、主単量体混合物100重量部に対して、0.005重量部~0.2重量部で用いられてもよい。
【0037】
一方、有機過酸化物または無機過酸化物開始剤は、還元剤との組み合わせにより、レドックス系重合開始剤として用いてもよい。この還元剤としては、特に制限されないが、硫酸第一鉄、ナフテン酸第一銅などの還元状態にある金属イオンを含有する化合物;メタンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸化合物;ジメチルアニリンなどのアミン化合物;などが挙げられる。これらの還元剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記還元剤は、過酸化物1重量部に対して、0.005重量部~20重量部で用いられてもよい。
【0038】
前記乳化剤は、アニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、およびノニオン系乳化剤からなる群から選択される1種以上であってもよく、具体的な例として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルなどのノニオン性乳化剤;ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノレン酸などの脂肪酸の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩などのアニオン性乳化剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルアンモニウムクロリド、ベンジルアンモニウムクロリドなどのカチオン性乳化剤;α,β-不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β-不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテルなどの共重合性乳化剤などが挙げられる。中でも、アニオン性乳化剤が好適に用いられる。前記乳化剤は、主単量体混合物100重量部に対して、0.1重量部~10重量部で用いられてもよい。
【0039】
前記イオン交換水としては水が使用可能であり、前記イオン交換水は、主単量体混合物100重量部に対して、100重量部~400重量部で用いられてもよい。
【0040】
前記分子量調節剤は、一例として、a-メチルスチレンダイマー、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタンなどのメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;テトラエチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどの硫黄含有化合物などであってもよい。前記分子量調節剤は、主単量体混合物100重量部に対して、0.1重量部~3重量部で用いられてもよい。
【0041】
前記活性化剤は、一例として、ヒドロ亜硫酸ナトリウム、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、ソジウムエチレンジアミンテトラアセテート、硫酸第一鉄、ラクトース、デキストロース、リノレン酸ナトリウム、および硫酸ナトリウムから選択される1種以上であってもよい。前記活性化剤は、主単量体混合物100重量部に対して、0.01重量部~0.15重量部で用いられてもよい。
【0042】
前記酸化還元触媒は、一例として、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、硫酸第一鉄、ジソジウムエチレンジアミンテトラアセテート、第二硫酸銅などであってもよい。前記酸化還元触媒は、主単量体混合物100重量部に対して、0.01重量部~0.1重量部で用いられてもよい。
【0043】
本発明に係るアクリル系共重合体組成物は、上記のように得られたアクリル系共重合体と、充填剤と、を含んでもよい。
【0044】
前記充填剤は、カーボンブラック、シリカ、カオリンクレー、タルク、珪藻土などであってもよい。
【0045】
前記充填剤の使用含量は、アクリル系共重合体100重量部に対して、20重量部~80重量部、30重量部~65重量部、または45重量部~55重量部であってもよく、この範囲内である場合、作業性および機械的物性に優れる効果がある。
【0046】
一方、本発明に係るアクリル系共重合体組成物は、配合架橋効果を増大させるために、硫黄をさらに含んでもよい。
【0047】
また、前記アクリル系共重合体組成物は、架橋剤および架橋促進剤を選択的にさらに含んでもよい。前記架橋剤としては、アミン化合物、具体的な例として、多価アミン化合物が使用できる。
【0048】
多価アミン化合物としては、具体的に、脂肪族多価アミン架橋剤、芳香族多価アミン架橋剤などが挙げられる。
【0049】
脂肪族多価アミン架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、N,N’-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミンなどが挙げられる。
【0050】
芳香族多価アミン架橋剤としては、4,4’-メチレンジアニリン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-(m-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’-(p-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、m-キシレンジアミン、p-キシレンジアミン、1,3,5-ベンゼントリアミン、1,3,5-ベンゼントリアミノメチルなどが挙げられる。
【0051】
前記架橋剤の使用含量は、アクリル系共重合体100重量部に対して、0.05重量部~20重量部、0.1重量部~10重量部、または0.3重量部~6重量部であってもよく、この範囲内である場合、架橋物の形成及び保持が容易であり、弾性に優れる効果がある。
【0052】
前記架橋促進剤は、前記多価アミン架橋剤と組み合わせて使用可能な架橋促進剤であればよく、水中、25℃での塩基解離定数が10~106、または12~106であってもよい。具体的な例として、前記架橋促進剤は、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、第4級オニウム塩、第3級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。グアニジン化合物としては、1,3-ジフェニルグアニジン、ジ-o-トリルグアニジンなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールなどが挙げられる。第4級オニウム塩としては、テトラn-ブチルアンモニウムブロミド、オクタデシルトリn-ブチルアンモニウムブロミドなどが挙げられる。
【0053】
多価第3級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7などが挙げられる。第3級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリp-トリルホスフィンなどが挙げられる。弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩、もしくはステアリン酸塩、ラウリン酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
【0054】
前記架橋促進剤の使用含量は、アクリル系共重合体100重量部に対して、0.1重量部~20重量部、0.2重量部~15重量部、または0.3重量部~10重量部であってもよく、この範囲内である場合、架橋速度を適切に維持することができ、架橋物の引張強度に優れる効果がある。
【0055】
本発明に係るアクリル系共重合体組成物は、必要に応じて、補強材、老化防止剤、光安定剤、可塑剤、潤滑剤、粘着剤、難燃剤、防かび剤、帯電防止剤、着色剤などの添加剤がさらに含まれてもよい。
【0056】
本発明に係るアクリル系共重合体組成物の配合は、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適切な混合方法が採択可能であり、具体的な例として、ロール混合方法により行うことができる。配合順序は特に制限されないが、熱で反応もしくは分解しにくい成分を十分に混合した後、熱で反応しやすい成分もしくは分解しやすい成分として、例えば、架橋剤などを、反応もしくは分解が起こらない温度で短時間に混合すればよい。本発明に係るアクリル系共重合体組成物は、ロールで混練する際に、ロールへのゴムの付着程度が少なく、作業性に優れる効果がある。
【0057】
また、本発明に係るアクリル系共重合体組成物の成形方法は、圧縮成形、射出成形、トランスファー成形、もしくは押出成形などにより行ってもよい。また、架橋方法は、架橋物の形状などに応じて選択すればよく、成形と架橋を同時に行う方法、成形後に架橋する方法などにより行うことができる。本発明に係るアクリル系共重合体組成物は、上記の構成を有するアクリル系共重合体を利用するため、成形時におけるアクリル系共重合体の流動性に優れるとともに、成形時におけるバリの発生程度も低いだけでなく、得られた成形体の成形精度が高い効果がある。
【0058】
本発明に係るアクリル系共重合体組成物は、加熱することで架橋物として製造することができ、本発明のアクリル系共重合体は架橋されると、成形または押出工程を経て所望の形状に形成するか、これと同時に、または後続して、硬化させることで物品を製造することができる。
【0059】
また、前記製造された物品は、エンジンマウント用ゴム、トランスミッションシール(seal)、クランクシャフトシールなどの種々の自動車部品に用いられることができる
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、下記実施例は、本発明を例示するためのものにすぎず、本発明の範疇および技術思想の範囲内で多様な変更および修正が可能であることは、通常の技術者にとって明白なことであり、これらにのみ本発明の範囲が限定されるものではない。
【0060】
実施例
[実施例1]
<アクリル系共重合体の製造>
重合反応器に、ブチルアクリレート32.0重量%、エチルアクリレート50.0重量%、2-メトキシエチルアクリレート15.0重量%、およびビニルクロロアセテート3.0重量%から構成された主単量体混合物と、前記主単量体混合物100重量部に対して、ソジウムラウリルサルフェート3.0重量部、ソジウムメタバイサルファイト0.5重量部、クメンヒドロペルオキシド0.01重量部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.01重量部、ジビニルベンゼン(Divinylbezene、DVB)0.001重量部、水400重量部を入れた後、40℃の温度で重合を開始した。
【0061】
重合転換率が93%に達した時に、重合停止剤0.3重量部を添加して重合を停止させた。その後、酸化防止剤を添加し、65℃の温度の凝集剤を添加した水中で凝集することで、重合アクリル共重合体を得た。
【0062】
<アクリル系共重合体組成物の製造>
前記アクリル共重合体100重量部を、ハーケミキサー(Haake mixer)にて、30rpm、50℃で30秒間撹拌した後、カーボンブラック50重量部、ステアリン酸1.0重量部、酸化防止剤2.0重量部、硫黄0.3重量部、カリウム石鹸(potassium soap)0.3重量部、ナトリウム石鹸(sodium soap)2.5重量部を投入し、90℃で360秒間配合した後、ロールミル装置により配合されたアクリル系共重合体組成物を得た。
【0063】
[実施例2]
前記実施例1において、アクリル系共重合体の製造時に、ジビニルベンゼン(Divinylbezene、DVB)0.001重量部の代わりに、アリルメタクリレート(Allyl methacrylate、AMA)0.001重量部を投入したことを除き、前記実施例1と同様の方法により行った。
【0064】
[実施例3]
前記実施例1において、アクリル系共重合体の製造時に、ジビニルベンゼン(Divinylbezene、DVB)0.001重量部の代わりに0.005重量部を投入したことを除き、前記実施例1と同様の方法により行った。
【0065】
[実施例4]
前記実施例1において、アクリル系共重合体の製造時に、ジビニルベンゼン(Divinylbezene、DVB)0.001重量部の代わりに0.01重量部を投入したことを除き、前記実施例1と同様の方法により行った。
【0066】
[実施例5]
前記実施例2において、アリルメタクリレート(Allyl methacrylate、AMA)0.001重量部の代わりに0.05重量部を投入したことを除き、前記実施例2と同様の方法により行った。
【0067】
[実施例6]
前記実施例2において、アリルメタクリレート(Allyl methacrylate、AMA)0.001重量部の代わりに0.1重量部を投入したことを除き、前記実施例2と同様の方法により行った。
【0068】
[実施例7]
前記実施例1において、アクリル系共重合体の製造時に、ジビニルベンゼン(Divinylbezene、DVB)0.001重量部の代わりに0.06重量部を投入したことを除き、前記実施例1と同様の方法により行った。
【0069】
[実施例8]
前記実施例1において、アクリル系共重合体の製造時に、ジビニルベンゼン(Divinylbezene、DVB)0.001重量部の代わりに1.0重量部を投入したことを除き、前記実施例1と同様の方法により行った。
【0070】
[比較例1]
前記実施例1において、アクリル系共重合体の製造時に、ジビニルベンゼン(Divinylbezene、DVB)を投入していないことを除き、前記実施例1と同様の方法により行った。
【0071】
[比較例2]
前記実施例1において、アクリル系共重合体の製造時に、ジビニルベンゼン(Divinylbezene、DVB)0.001重量部の代わりに0.0001重量部を投入したことを除き、前記実施例1と同様の方法により行った。
【0072】
[比較例3]
前記実施例1において、アクリル系共重合体の製造時に、ジビニルベンゼン(Divinylbezene、DVB)0.001重量部の代わりに2.0重量部を投入したことを除き、前記実施例1と同様の方法により行った。
【0073】
実験例
[実験例1]
前記実施例および比較例で製造されたアクリル系共重合体組成物のムーニー粘度、架橋密度、耐油性、および圧縮永久ひずみを下記のような方法により測定し、その結果を下記表1および2に記載した。
【0074】
*ムーニー粘度(ML1+4、100℃):MV-2000(ALPHA Technologies社)にて、100℃、Rotor Speed 2±0.02rpmで、Large Rotorを用いて測定した。この際、用いられた試料は、室温(23±3℃)で30分以上放置した後、27±3gを採取してダイキャビティの内部に満たしておき、プラテン(Platen)を作動させて4分間測定した。
【0075】
*架橋密度(Torque(dNm)):配合後にロールミル工程を経た共重合体を、Moving die rheometer(MDR)により180℃で30分間架橋し、初期トルク値(ML)と最終トルク値(MH)の差から架橋密度を評価した。
【0076】
*耐油性試験:この試験片に対しては、シート状のアクリルゴム架橋物を得、得られたシート状のアクリルゴム架橋物からASTM-412Dに準じてダンベル状の試験片を製作した。
【0077】
この試験片を試験用液体500mLに入れ、試験片全体が液中に浸漬されるように設置した。これをオーブンに入れ、155℃で、168時間加熱を行った。一方、試験用液体としては、5W-30オイルを使用した。
【0078】
加熱後、試験用試験片を取り出し、試験用液体を取り除いた後、体積を測定し、初期体積との体積変化率ΔV(%)を計算した。体積変化率が小さい方が、耐油性に優れることを意味する。
【0079】
*圧縮永久ひずみ(%):圧縮永久ひずみ(C-セット)は、ASTM D395方法のBに準じて、155℃で22時間、25%圧縮条件下で測定した。圧縮永久ひずみは、下記方程式を用いて計算された:
圧縮永久ひずみ=(T1-T2)/(T1-T0)*100%
ここで、T0は装置の間隔距離であり、T1は試験前のサンプルの厚さであり、T2は試験後のサンプルの厚さである。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
前記表1を参照すると、適正範囲の本発明に係る多官能性単量体由来部を含んでいる実施例1~8は、架橋密度が向上することで、耐油性および圧縮永久ひずみに優れていることを確認することができる。
【0083】
これに対し、本発明に係る多官能性単量体由来部を含んでいない比較例1は、実施例に比べて架橋密度が低下し、これにより、耐油性および圧縮永久ひずみ特性が両方とも低下していることを確認することができる。
【0084】
また、本発明に係る多官能性単量体由来部を含んでいても、その使用含量が適正範囲より少ない比較例2は、比較例1と同様に、耐油性および圧縮永久ひずみ特性の改善効果が微小であって、実施例で確認される効果の改善が期待できなかった。その使用含量が適正範囲より多い比較例3は、却って多官能性単量体の含量が過度に多く含まれているため、ゴムの弾性がなくなって物性の測定が不可能であった。
【0085】
したがって、本発明によると、単量体間の架橋密度の向上により耐油性および圧縮永久ひずみに優れたアクリル系共重合体を提供することができることを確認した。