(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】キャリアテープ及び梱包体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/86 20060101AFI20221019BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
B65D85/86 300
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2017172855
(22)【出願日】2017-09-08
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】遠野 洋二
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-059725(JP,A)
【文献】特開2003-212290(JP,A)
【文献】特開2016-027620(JP,A)
【文献】特開2003-095373(JP,A)
【文献】特開2001-122328(JP,A)
【文献】特開2014-150105(JP,A)
【文献】特開2016-145080(JP,A)
【文献】米国特許第06056124(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/86
B65D 75/36
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に可撓性を有する発光装置と、
前記発光装置を収容するためのキャリアテープと、
を備える梱包体であって、
前記発光装置は、前記長手方向に配列された複数の発光素子と、前記複数の発光素子を覆い、上面が前記発光装置の発光面となる複数の透光性部材と、を備えており、
前記キャリアテープは、一方向に延長され、リール状に巻き取り可能なシートを備えており、
前記シートは、各発光装置の前記発光面を上向きに収容可能な凹状のテープ凹部を複数形成しており、
前記複数のテープ凹部は、
平面視において、短辺に対する長辺の比が5~20の矩形状であり、
前記長辺が前記一方向に交差する姿勢で、前記一方向に沿って等間隔に配置されてなり、
前記長辺の対向する両側において
部分的に幅広に形成された張り出し部を複数設けてなる梱包体。
【請求項2】
請求項
1に記載の梱包体であって、
前記テープ凹部の底面に複数の孔部を形成してなる梱包体。
【請求項3】
請求項
2に記載の梱包体であって、
前記テープ凹部の前記孔部と対応する側面に、前記張り出し部を設けてなる梱包体。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の梱包体であって、
前記シートは、前記テープ凹部同士の間に、平坦部を形成しており、
前記シートの延長方向における、前記テープ凹部の間隔と前記平坦部の間隔をほぼ等しくしてなる梱包体。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の梱包体であって、
前記発光装置が、
第1主面と該第1主面の反対側の第2主面とに導電パターンを有する基材と、
前記第1主面の前記導電パターン上に搭載された前記複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の側面を一体的に被覆する被覆部材と、
を備え、
前記発光装置は、前記発光素子間において前記基材の前記第2主面から第1主面に達する溝が設けられている梱包体。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の梱包体であって、
前記張り出し部は、平面視において円弧状である梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを収容させるためのキャリアテープ、及び、キャリアテープにLEDを梱包した梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)等の電子部品は、エンボスキャリアテープ(以下、「キャリアテープ」とも称する)のエンボス部(テープ凹部)に収容されて保管、搬送される。エンボス部の大きさや形状は、収容する電子部品の大きさや形状に応じて、種々の大きさや形状が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
例えば
図13に示すように、複数個の電子部品141を、キャリアテープ143とその上面に貼着したカバーテープ145とで包装する場合に、この包装体からプリント回路基板等に対する電子部品の供給が、複数個の電子部品について同時にできるようにして、その供給の作業性を向上する。具体的には、電子部品141の複数個を、プリント回路基板等に対して搭載するときと同じ配列に並べて、これらに一つのテープ片142を貼着して一つの電子部品群Aを構成し、この一つの電子部品群Aを、キャリアテープ143に設けた一つの凹所144内に収納する。
【0004】
しかしながら、この構成では、テープ片142で繋いだ電子部品141を、キャリアテープ143に収容した状態で、キャリアテープ143を円形のリールなどに捲回すると、捲回方向に沿ってキャリアテープ143が湾曲する結果、その収納部に収納されたテープ片142にも負荷がかかる。特にLEDのような発光素子は、変形して破損する虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一は、細長い形状の発光素子を安定的に保持可能なキャリアテープ及び梱包体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る梱包体は、一方向に延長された外形を有する発光装置と、前記発光装置を収容するためのキャリアテープとを備える梱包体であって、前記発光装置は、長手方向に可撓性を有し、前記長手方向に配列された複数の発光素子を備えており、前記キャリアテープは、一方向に延長され、リール状に巻き取り可能なシートを備えており、前記シートは、各発光装置を収容可能な凹状のテープ凹部を複数形成しており、前記複数のテープ凹部は、前記シートの延長方向に対して、交差する姿勢で等間隔で前記シートの延長方向に沿って配置することができる。
【0008】
また、本発明の他の形態に係るキャリアテープは、一方向に延長された外形を有する発光装置を収容するためのキャリアテープであって、一方向に延長され、リール状に巻き取り可能なシートを備えており、前記シートは、各発光装置を収容可能な凹状のテープ凹部を複数形成しており、前記複数のテープ凹部は、前記シートの延長方向に対して、交差する姿勢で等間隔で前記シートの延長方向に沿って配置することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上により、シートを捲回した状態で、細長い形状の発光装置が長さ方向に沿って撓ることが回避され、多数の発光装置を安定的に保持できる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】キャリアテープを捲回した梱包体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係るキャリアテープに発光装置を収納する梱包体を示す分解斜視図である。
【
図3】
図2の状態からキャリアテープに発光装置を収納した梱包体を示す斜視図である。
【
図4】キャリアテープに発光装置を収納した梱包体の断面図である。
【
図7】
図5のVII-VII線における断面図である。
【
図8】変形例に係るキャリアテープの平面図である。
【
図9】変形例に係るキャリアテープの平面図である。
【
図10】変形例に係るキャリアテープの平面図である。
【
図13】従来のキャリアテープに電子部品を収納する様子を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る梱包体は、一方向に延長された外形を有する発光装置と、前記発光装置を収容するためのキャリアテープと、を備え、前記発光装置は、長手方向に可撓性を有し、前記長手方向に配列された複数の発光素子を備えており、前記キャリアテープは、一方向に延長され、リール状に巻き取り可能なシートを備えており、前記シートは、各発光装置を収容可能な凹状のテープ凹部を複数形成しており、前記複数のテープ凹部は、前記シートの延長方向に対して、交差する姿勢で等間隔で前記シートの延長方向に沿って配置することができる。
【0012】
本発明の一実施形態に係るキャリアテープによれば、上記何れかの構成に加えて、前記テープ凹部を、矩形状に形成することができる。
【0013】
また、他の実施形態に係るキャリアテープによれば、上記何れかの構成に加えて、前記テープ凹部の矩形状の短辺に対する長辺の比を、5~20とできる。
【0014】
さらに、他の実施形態に係るキャリアテープによれば、上記何れかの構成に加えて、前記テープ凹部の底面に複数の孔部を形成することができる。上記構成により、空気抵抗を低減して、細長くて撓み易い発光装置をキャリアテープのテープ凹部内に落ち易くすることができる。
【0015】
さらにまた、他の実施形態に係るキャリアテープによれば、上記何れかの構成に加えて、前記テープ凹部の側面に、部分的に幅広に形成された張り出し部を1又は複数設けることができる。
【0016】
さらにまた、他の実施形態に係るキャリアテープによれば、上記何れかの構成に加えて、前記テープ凹部の前記孔部と対応する側面に、部分的に幅広に形成された張り出し部を設けることができる。
【0017】
さらにまた、他の実施形態に係るキャリアテープによれば、上記何れかの構成に加えて、前記シートは、前記テープ凹部同士の間に、平坦部を形成しており、前記シートの延長方向における、前記テープ凹部の間隔と前記平坦部の間隔をほぼ等しくすることができる。
【0018】
さらにまた、他の実施形態に係るキャリアテープによれば、上記何れかの構成に加えて、前記発光装置が、第1主面と該第1主面の反対側の第2主面とに導電パターンを有する基材と、前記第1主面の前記導電パターン上に搭載された前記複数の発光素子と、前記複数の発光素子の側面を一体的に被覆する被覆部材とを備え、前記発光装置は、前記発光素子間において前記基材の前記第2主面から前記第1主面に達する溝を設けることができる。
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのキャリアテープ及び梱包体を例示するものであって、本発明は、キャリアテープ及び梱包体を以下に限定するものではない。
【0020】
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0021】
本実施形態において、キャリアテープは、複数のテープ凹部(凹状に加工された部分)を備えた長尺のテープである。テープ凹部の対向する2つの長辺は略平行に形成されており、同様に対向する短辺も略平行に形成されている。尚、各面は、単一な平面であってもよく、段差や傾斜面等を有していてもよい。
(実施形態1)
【0022】
本発明の実施形態1に係るキャリアテープ、及びこのキャリアテープに発光装置を収納した梱包体を、
図1~
図7に示す。これらの図において、
図1はキャリアテープ100を捲回した梱包体1000を示す斜視図、
図2は本発明の実施形態1に係るキャリアテープ100に発光装置10を収納する梱包体1000を示す分解斜視図、
図3は
図2の状態からキャリアテープ100に発光装置10を収納した梱包体1000を示す斜視図、
図4はキャリアテープ100に発光装置10を収納した梱包体1000の断面図、
図5は
図2のキャリアテープ100の平面図、
図6は
図5のVI-VI線における断面図、
図7は
図5のVII-VII線における断面図を、それぞれ示している。
【0023】
キャリアテープ100は、多数の発光装置10を収納して、保管、運搬し易くするための部材である。このキャリアテープ100は
図1に示すように、一方向に延長された帯状のテープ材で構成され、リール状に巻き取り可能なシートを備える。シートは、
図2、
図3の拡大斜視図及び
図4の断面図に示すように、各発光装置10を収容可能な凹状のテープ凹部110を多数形成している。各テープ凹部110は、テープ凹部110の長辺がシートの延長方向に対して、交差する姿勢でほぼ等間隔に、シートの延長方向に沿って配置されている。また各テープ凹部110内に発光装置10を収納した後、必要に応じてキャリアテープのシートの上面にカバーテープ170を貼付して各凹部の開口部を封止する。
【0024】
一方、キャリアテープ100に収納される発光装置10は、後述する
図11A~
図11Cに示すように、一方向に延長された外形を有している。ここでは、長手方向に複数の発光素子1を並べた発光装置を用いている。近年は発光出力を増すため、多くの発光素子を用いた発光装置が開発されており、特に発光素子をライン状に配列した発光装置では、発光素子の使用数に応じて細長くなる傾向にある。このような発光装置は、細長くなる程、長さ方向に撓み易くなる。発光装置の運搬時や保管時に撓んだ状態が続くと、機械疲労や破損の原因となることも考えられる。そこで本願発明者らは、細長い形状の発光装置であっても、撓みを生じ難い状態に保持可能な構造を検討し、上述した構造のキャリアテープを知見するに至った。
【0025】
具体的には、
図5の拡大平面図及び
図6、
図7の断面図に示すように、シートは、各発光装置10を収容可能な凹状のテープ凹部110を、部分的に複数形成している。テープ凹部110はシートの延長方向に交差する幅方向の全体でなく、一部に形成される。
図5に示す例では、シートの幅方向の中心に対して、オフセットした位置にテープ凹部110が形成される。また、シートの延長方向に沿って、テープ凹部110の両側に形成される縁部の内、幅広の縁部には、貫通孔140が形成される。貫通孔140は、シートを送るスプロケットの歯に歯合される送り孔である。
(キャリアテープ100)
キャリアテープ100は、複数のテープ凹部110が所定の間隔(ピッチ)で配列された長尺のテープである。キャリアテープは、リールRLに巻かれた状態で運搬及び保管される。リールRLはキャリアテープ100をリール状に巻かれた状態で運搬及び/又は保管するための部材である。キャリアテープ100の幅は、収容する発光装置10のサイズにもよるが、約8mm~約24mm程度のものを用いることができる。また、キャリアテープ100の長さについては、リールRLのサイズ等によって種々選択することができる。リールRLは、例えば、φ180mm、φ330mm等のサイズを用いることができる。
【0026】
テープ凹部110は、キャリアテープ100の表面側(上面側)に開口を備えており、複数のテープ凹部110がキャリアテープ100の送り方向(長尺方向)に向かって一定間隔で形成されている。この間隔は、発光装置10の大きさ等によって任意に選択されるものである。テープ凹部110は、キャリアテープ100の幅方向において略中央もしくは、左右方向のいずれかに偏った位置に形成されている。そして、テープ凹部110が形成されるラインと平行するライン上に貫通孔140が形成されている。この貫通孔140はキャリアテープ100を送るための送り孔(スプロケットホール)である。
(テープ凹部110)
【0027】
このテープ凹部110は、シートの延長方向に対して、交差する姿勢でほぼ等間隔でシートの延長方向に沿って配置されている。このような構成としたことで、シートを延長方向と直交する方向に折曲させ易くして、
図1に示すようにシートを捲回し易くできる。さらに、捲回されてリールRLに幾重にも重ねられたシートは、安定的に保持され、言い換えると発光装置10の長さ方向に撓ることが抑制されるので、発光装置10への負荷が軽減され、発光装置10の運搬、保管時に適したキャリアテープ100が実現される。
【0028】
各テープ凹部110の大きさは、その内部に発光装置10が収納できる大きさに設計される。
図5の例では、テープ凹部110は平面視において矩形状に形成されている。またテープ凹部110の深さは、
図4及び
図6に示すように発光装置10をテープ凹部110に完全に収納でき、またテープ凹部110の開口面をカバーテープ170で封止できるよう、発光装置10の高さよりも若干大きくする。一方、矩形状のテープ凹部110の、短辺に対する長辺の比は、例えば5~20とする。このように縦横比が大きい、言い換えると細長い発光装置10ほど、撓り易くなるため、実施形態に係るキャリアテープ100でもって効果的に保護できる。
【0029】
シートは、捲回し易いように可撓性を有する素材、例えば樹脂製などとする。またテープ凹部110に収納する発光装置10などの電子部品を保護するため絶縁性を有することが望ましい。好適には、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン系樹脂(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を用いたシートで構成される。このシートを真空成型、圧空成形、プレス成型などによりテープ凹部110を有するキャリアテープ100として加工される。またテープ凹部110の内壁は、粗面とすることが好ましい。例えば、面粗さSaを0.4μm以上1.5μm程度とする。このような粗面は、テープ凹部110の内壁の全面又は一部に設けることができる。
【0030】
テープ凹部110は、好ましくはシートに一体に形成される。例えば平板状の樹脂シートを、エンボス加工や成形型を用いた型成形等により、凹状のテープ凹部110を形成する。この際、テープ凹部110の壁面は
図6、
図7の断面図に示すように型抜きを考慮して、底方向に向かって幅狭となるよう壁面の角度を若干傾斜させる。
(平坦部120)
【0031】
またシートには、
図2~
図6等に示すように、テープ凹部110同士の間に、部分的に幅広に形成された平坦部120を設けている。平坦部120は平面状に形成され、見方を変えると平坦部120同士の間にテープ凹部110を形成している。このように、シートを断面視において
図4等に示すような凹凸状の繰り返しパターンとすることで、シートの捲回時に平坦部120がテープ凹部110との境界部分で変形し易くなる。またシートの延長方向における平坦部120の幅は、テープ凹部110の幅とほぼ等しくすることが好ましい。これによって、シートを捲き回する際に折曲し易い平坦部120の両端が等間隔で並ぶため、よりスムーズにシートを巻き取りやすくできる。
【0032】
テープ凹部110や平坦部120の寸法は、キャリアテープ100に収納する発光装置10の寸法に応じて設計される。例えばテープ凹部110の幅を1mm~3mm、平坦部120の幅を1mm~3mm、テープ凹部110の長さを10mm~20mmとする。またシートの厚さは、0.1mm~1.0mmとする。
(孔部130)
【0033】
テープ凹部110の底面には、孔部130が形成される。孔部130を開口することで、発光装置10をテープ凹部110内に挿入する際、テープ凹部110内の空気の逃げ道を確保できる。特に、テープ凹部内に挿入された発光装置が抜け落ちないよう、あるいはテープ凹部内で発光装置が動かないよう、テープ凹部の内径が発光装置の外形とほぼ等しく、あるいはテープ凹部の弾性変形を考慮して発光装置の外形よりも若干小さく設計すると、発光装置をテープ凹部に挿入あるいは圧入する際、テープ凹部内の空気が抵抗となることが考えられる。そこで、テープ凹部110の壁面の一部に孔部130を形成することで、孔部130を空気穴としてここから空気を抜くことが可能となり、発光装置10の挿入作業をスムーズに行える。場合によっては、発光装置10の挿入時に孔部130から吸引することで、よりスムーズに発光装置10をテープ凹部110内に案内できる。
【0034】
図5の例では、孔部130をテープ凹部110の長さ方向のほぼ中央に一箇所形成している。ただ、本発明は孔部の位置や数をこの構成に限定せず、孔部を複数形成したり、また中央以外の部位、あるいはテープ凹部の底面以外、例えば側面等に形成してもよい。
図8に示す変形例においては、テープ凹部110の底面の長さ方向に沿って3箇所に孔部130を開口させている。このように複数の孔部130を形成することで、空気抵抗をより軽減でき、また細長い発光装置10をテープ凹部110内に収納する際、長さ方向において応力を均一に近付けることで、一部のみが押し込まれて撓む事態を回避できる。また、上述したように孔部130を介して空気を吸引する場合は、好ましくは、複数の孔部をほぼ等間隔で形成する。
【0035】
さらに好ましくは、孔部130の大きさは縁部に形成される貫通孔140と同じとする。これによって同じパンチで孔部130と貫通孔140を形成できるので、製造工程を簡略化できる。
(張り出し部150)
【0036】
またテープ凹部110の側面に、テープ凹部110の幅員が部分的に幅広となるように側壁を外方に膨らませた張り出し部150を形成することもできる。このような例を変形例として
図9に示す。特に、発光装置10をテープ凹部110内に挿入する際、発光装置10を吸引して保持する吸着ノズル等の先端部が発光装置10の幅員よりも幅広となる場合に、発光装置10を保持した状態でテープ凹部110に侵入できるように、いいかえるとテープ凹部110を画成する側壁と接触しないように、発光装置10の保持位置と対応するテープ凹部110の側壁を幅広に形成している。なお発光装置を吸着して保持する場合、発光装置の表面で比較的硬度の高い部位、例えば発光面のガラスの部分を吸着する。
【0037】
張り出し部150は孔部130と同じ位置に形成することが好ましい。発光装置10の保持位置にて孔部130を設けることにより、発光装置10に対する応力の作用点を一致させて、第一方向から発光装置10を収納させつつ、第一方向と反対の第二方向へと空気の逃げ道を設けることで、テープ凹部110内にスムーズに収納することが可能となる。
【0038】
張り出し部150の形状は、発光装置10を吸引するノズル等の形状に応じて選択される。例えばノズルの先端が円筒状の場合は、張り出し部150は円弧状に形成される。なお、発光装置10をテープ凹部110に挿入する際に発光装置10を保持する方法は、吸引に限らず、例えば把持等も利用できる。張り出し部150の形状は、用いるマニピュレータ等の先端形状に応じて適宜変更できる。
【0039】
張り出し部150は、一箇所でもよいが、テープ凹部110の長さ方向に沿って複数箇所に形成することが好ましい。特に発光装置10が細長い形状で可撓性を有する場合に、発光装置10の長さ方向に沿って複数箇所で吸着することにより、安定的に発光装置10を保持できる。また複数箇所で発光装置を保持する場合、各保持部から発光装置が放れるタイミングがずれると、発光装置が撓んでテープ凹部110内に綺麗に収まらないことがある。そこで、発光装置がテープ凹部110の底面に接触してから、各保持部から発光装置を離すようにする。このため、保持部の先端がテープ凹部110内に侵入できるように、各保持部の位置と対応する部位の側面に張り出し部150を設ける。
【0040】
張り出し部150を複数箇所に形成する際は、孔部130を、張り出し部150と対応する位置にそれぞれ形成することが好ましい。これにより、例えば、テープ凹部110底面の孔部130から発光装置10を吸引する際に、発光装置10の把持位置以外の部位を吸引して発光装置10が撓む事態を回避できる。さらに、発光装置10を取り出す際に、孔部130から突き上げピン等を用いて取出しを容易にすることができる。
(突起部160)
【0041】
さらに別の変形例として、テープ凹部110の内面に、その幅員が幅狭となるように突起部160を形成してもよい。このようにすることで、テープ凹部110に挿入された発光装置10がテープ凹部110から抜け落ちないように保持できる。このような例を
図10の変形例に示す。この図に示すテープキャリアは、テープ凹部110の長さ方向に沿った内壁の一部、例えば長さ方向のほぼ中央に、一対の突起部160を形成している。これにより、部分的に幅狭としたテープ凹部110でもって、ここに収納された発光装置10を確実に保持できる。なお突起部160は、
図10に示すようにテープ凹部110の対向する側壁の両側に形成する他、一方の側壁のみに形成してもよい。またテープ凹部110の長さ方向に沿って一箇所のみならず、複数箇所に形成してもよい。
(発光装置10)
キャリアテープ100のテープ凹部110に収納される発光装置10を、
図11A~
図12に示す。これらの図において
図11Aは発光装置10の平面図、
図11Bは
図11Aの正面図、
図11Cは
図11Aの底面図、
図11Dは
図11Aの側面図、
図12は
図11AのXII-XII線における断面図を、それぞれ示している。これらの図に示す発光装置10は、導電パターン3a、3bを有する基材2と、導電パターン3a上に搭載された複数の発光素子1と、複数の発光素子1の側面を一体的に被覆する被覆部材5と、基材2を分断する溝と2aとを備える。これらの基材2、発光素子1及び被覆部材5は、通常、一体的に1つの発光装置10を構成する。つまり、発光装置10は発光素子1が搭載された基材2を複数備え、これら複数の基材2が、発光素子1の側面を被覆する被覆部材により連結されている。発光装置10は、長手方向に可撓性を有し、複数の発光素子1は長手方向に配列されている。
【0042】
なお発光装置の説明において、「上」、「下」、「第1主面」、「第2主面」という用語は、発光装置の光を取り出す側とその逆側を指す用語としても用いる。例えば「上面」、「第1主面」とは発光装置の光を取り出す側にある面を指し、「下面」、「第2主面」とはその逆側の面を指す。
(基材2)
【0043】
基材2は、複数の発光素子1を搭載するものであり、複数の発光素子1が搭載される第1主面と、該第1主面の反対側の第2主面とを備える。このような基材2は、当該分野で公知であり、発光素子1等が実装されるために使用されるいずれの基材をも用いることができる。基材2は、通常、導電パターン3a、3bとそれを支持する基体とからなる。基体の材料としては、例えば、ガラスエポキシ、樹脂、セラミックスなどの絶縁材料から成る基体、絶縁材料を形成した金属部材等が挙げられる。なかでも、耐熱性及び耐候性の高いセラミックスを利用したものが好ましい。セラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどが挙げられる。これらのセラミックスに、例えば、BTレジン、ガラスエポキシ、エポキシ系樹脂等の絶縁材料を組み合わせてもよい。基体の厚みは、例えば100μm~1mm程度が挙げられる。放熱性および第1主面と第2主面との導電パターン3a、3bを電気的に接続させること等を考慮すると300μm~700μm程度であることが好ましい。
【0044】
発光装置10は、発光素子1間において、基材2の第1主面からと第1主面の反対側の第2主面側に達する溝2aを有している。つまり、基材2は、溝2aにより複数に分断されている。言い換えると、1つの発光装置10を構成する基材は、複数の平板状の基材が等間隔で所定の隙間を介して整列して配置されている。発光装置10は、発光素子1が載置された複数の基材2上を有し、複数の発光素子1の側面が後述する被覆部材5で被覆されることにより、複数の発光素子が配列された一体の発光装置10として構成されている。
【0045】
溝2aの幅は、発光素子1による発熱及び放熱を考慮して、熱サイクルによる基材2(導電パターン3a、3b及び/又は基体)自体の膨張及び縮小等を吸収又は逃がし得る幅とすることが好ましい。具体的には、10μm~200μm程度が挙げられ、100μm程度が好ましい。同様の観点から、複数の基材2が隙間を介して整列される場合の隙間の幅も上記溝2aの幅と同程度があげられる。
【0046】
溝2aは、当該分野で公知の方法、例えば、レーザ加工、ブレード等を利用して形成することができる。
【0047】
基材2は、基体と導電パターン3a、3bを有する。導電パターン3a、3bは、第1主面及び第2主面の双方に配置されていることが好ましい。さらに、第1主面及び第2主面の双方に隣接する側面に配置されていてもよい。あるいは、第1主面及び第2主面の双方におよぶ、つまり基体を貫通するビア3cが形成されていても良い。これによって、第1主面の導電パターン3aと第2主面の導電パターン3bが電気的に接続される。ここで、第1主面とは、発光素子1が搭載される面を意味し、第1主面と反対側の第2主面は発光装置10の発光面の反対側の面となる。
【0048】
導電パターン3a、3bは、基体の第1主面と第2主面との双方に配置され、第1主面側の導電パターン3aと、第1主面側の導電パターン3aの直下に配置される第2主面側の導電パターン3bとは両者が電気的に接続されていることが好ましいが、全ての導電パターンが接続されていなくてもよい。また、導電パターンは、1つの基材2に対応して一対の端子として機能し得るように配置されていてもよい。さらに、導電パターンは、電力供給制御等によって、複数の発光素子がそれぞれ独立して駆動し得るパターンに配置されていてもよいし、複数の発光素子が一括駆動し得るパターンに配置されていてもよい。独立した点滅制御は、当該分野で公知であり、通常使用される形態及び方法のいずれをも利用することができる。なお、複数の基材2のそれぞれの複数の導電パターン間を、ワイヤ等の導電部材によって電気的に接続させてもよい。このような導電部材としては、ワイヤの他に、導電性リボン、導電性シリコーンペースト等が挙げられる。
【0049】
このように、発光装置が溝2aを有することにより、つまり、発光装置が複数の基材を有することにより、発光装置10を実装基板に実装する場合において、発光装置10の実装基板への電気的接続を確保することができる。つまり、個々の発光素子1で発生した熱および実装時の熱履歴等に起因して、実装基板が膨張又は縮小しても、その応力は、基材2間の溝2aによって分散して逃がすことができる。その結果、発光素子1、基材2、接合部材等を構成する材料固有の膨張及び縮小差による接合剥がれなどの接合不良を効果的に防止することができる。溝2aの幅は、基材2の厚み以下程度が挙げられ、基材2の厚みの1/2以下が好ましく、1/4以下がより好ましい。実装基板が曲面を有する場合、1/10以上であることがさらに好ましい。
【0050】
溝2aは、必ずしも、複数の発光素子間のすべてに配置されていなくてもよい。例えば発光素子が複数列状に配置されている時は、一方向だけに溝2aを形成するなど、溝2aの数及び形状は、発光素子、基材の種類及び大きさによって、適宜選択することができる。
(発光素子1)
【0051】
発光素子1は、通常、発光ダイオードが用いられる。発光素子1は、その組成、発光色又は波長、大きさ、個数等、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、ZnSe、窒化物系半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPなどの半導体層を用いたもの、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどの半導体層を用いたものが挙げられる。
【0052】
発光素子1は、通常、成長用基板(例えば、サファイア基板)上に、半導体層を積層させて形成される。成長用基板は半導体層との接合面に凹凸を有していてもよい。これにより半導体層から出射された光が、基板に当たるときの臨界角を意図的に変えて、基板の外部に光を容易に取り出すことができる。発光素子1は、成長用基板が半導体層の積層後に除去されていてもよい。除去は、例えば、研磨、LLO(Laser Lift Off)等で行うことができる。
【0053】
発光素子1は、同一面側に正負一対の電極を有していてもよい。これにより、発光素子1を、導電パターン3aを有する基材2にフリップチップ実装することができる。この場合、一対の電極が形成された面と対向する面が光取り出し面となる。フリップチップ実装は、Au、Cu等の金属バンプ、半田等の導電性を有するペースト状の接合部材、薄膜状の接合部材等を用いて、発光素子1と基材2の導電パターン3aとが電気的に接続される。あるいは、フェイスアップ実装する場合には、一対の電極が形成された面を光取り出し面としてもよい。発光素子は、異なる側に正負一対の電極を有するものであってもよい。この場合、一方の電極が導電性接着材で基材2に接着され、他方の電極が導電性ワイヤ等で基材2と接続される。
【0054】
発光素子1は、1つの発光装置10において複数含まれている。複数の発光素子1は、整列して配置されている。例えば、一列に整列されてもよいし、複数列に整列されていてもよい。発光素子1の数は、得ようとする発光装置10の特性、サイズ等に応じて適宜設定することができる。
【0055】
整列する複数の発光素子1は、互いに近接していることが好ましく、車両用途、さらに輝度分布等を考慮すると、発光素子間距離は、発光素子1の最大辺の長さの5~50%程度が挙げられ、5~30%程度が好ましく、5~20%程度がさらに好ましい。このように発光素子同士を近接して配置させることにより、均一で良好な輝度分布を確保することができる。その結果、発光ムラの少ない発光品位の高い面光源の発光装置10とすることができる。
(被覆部材5)
【0056】
被覆部材5は、発光素子1の側面を被覆する。ここでの発光素子1の側面とは、少なくとも半導体層の側面の厚み方向の一部、好ましくは半導体層の厚み方向の全部及び/又は半導体層の側面の外周における一部、好ましくは半導体層の外周における全側面を指す。発光素子1の側面において、被覆部材5と半導体層との間には、後述する接着材又は埋設部材等の別の層が介在していてもよいが、被覆部材5が半導体層に接触していることが好ましい。なかでも、複数含まれる発光素子1の全ての外周側面が被覆部材5で一体的に被覆されていることが好ましい。これにより、発光素子1と被覆部材5との界面で、発光素子1から出射された光が、発光素子1内に反射される。その結果、隣接する発光素子1に光が吸収されることなく、光が、発光素子1の上面から外部へ効率的に出射される。発光素子1を均一かつ最小限の隙間で配列しながら、良好な輝度分布を得ることができる。また、上述したように、被覆部材5により、複数の基材2および複数の発光素子1を、1つの発光装置10として形成することができる。
【0057】
被覆部材5は、発光素子1の側面とともに、基材2の第1主面の少なくとも一部をも被覆していることが好ましい。これにより、上述したように、複数の基材2を一体的に保持することができる。特に、被覆部材5は、発光素子1の外周における基材2の第1主面を被覆していることがより好ましい。なお、基材2間における被覆部材5の基材2側の面は、基材2の第1主面と一致していてもよいし、被覆部材5側に凹んでいてもよい。さらに、基材間における被覆部材5の基材側の面は、別の部材で被覆されていてもよい。例えば、溝2aに被覆部材5または遮光性部材等を配置することにより、基材側への光漏れを抑制することが可能となる。
【0058】
発光素子1の側面を被覆する被覆部材5、つまり、発光素子1間に配置される被覆部材5は、発光素子1の上面(光取り出し面)と面一とすることができる。ここで面一とは、被覆部材5の厚みの±10%程度、好ましくは±5%程度の高低差が許容されることを意味する。あるいは、発光素子の上面に、後述するように発光素子の上面を被覆する透光性部材4をさらに備える場合には、上面側における透光性部材4及び被覆部材5は面一であることが好ましい。
【0059】
発光素子1間における被覆部材5の厚み(つまり平面視における幅)は、発光素子1間の距離に等しく、例えば、10~500μm程度が好ましく、100~300μm程度がより好ましく、50~200μm程度がさらに好ましい。このような厚みに設定することにより、隣接する発光素子1間の距離を近接させても、各発光素子1からの側面側への光漏れを最小限に止めることができる。よって、効率的な光反射を実現することができる。その結果、良好な輝度分布を確保することができる。
【0060】
被覆部材5は、発光素子1から出射される光を反射することができる材料から形成される。これによって、発光素子1と被覆部材5との界面で、発光素子1から出射される光を発光素子1内に反射させることができる。その結果、発光素子1内で光が伝播し、最終的に発光素子1の上面から透光性部材4の上面、外部へと光を出射させることができる。また、複数の発光素子1が独立して駆動され、隣接する発光素子1間で点灯/消灯の状態となる場合において、消灯している発光素子1が点灯している発光素子1に照らされて点灯しているように見えてしまうことが抑制される。つまり複数の発光素子1間の光漏れが抑制される。
【0061】
被覆部材5は、可撓性、弾性及び/又は柔軟性を有する材料によって形成されていることが好ましい。具体的には、樹脂材料で形成されていることが好ましい。樹脂材料としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステルの1種以上を含む樹脂又はハイブリッド樹脂と、光反射性物質とを用いて形成することができる。なかでも、耐熱性、電気絶縁性、柔軟性に優れたシリコーン樹脂をベースポリマーとして含有する樹脂が好ましい。これにより、上述した基材2の膨張および収縮による応力を吸収することができる。光反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、イットリア安定化ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが挙げられる。光反射性物質の含有量は、被覆部材5の光の反射量及び透過量等を変動させることができるため、得ようとする発光装置10の特性等によって適宜調整することができる。例えば、光反射性物質の含有量を被覆部材5の全重量の15wt%以上とすることが好ましく、30wt%以上とすることがさらに好ましい。
【0062】
被覆部材5が可撓性、弾性及び/又は柔軟性を有する材料によって形成されることにより、発光装置10は可撓性を有する。これにより、発光装置10を実装基板に実装する場合において、上述したように実装基板が膨張及び/又は縮小しても、その応力を、被覆部材5により分散、吸収することが可能となる。
【0063】
複数の発光素子1間に配置される被覆部材5は、複数の発光素子1間における被覆部材5間に、さらに遮光部材を備えてもよい。複数の発光素子1間の被覆部材5間に遮光性部材を配置させることにより、発光素子1間の光漏れによる影響をさらに低減することができる。また複数の発光素子1間の距離をより近づけたとしても、光漏れを抑制することが容易となる。遮光性部材としては、上述した被覆部材5に光吸収物質を含んだものが挙げられる。光吸収物質としては、例えば、黒色系の顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0064】
また、上述したように、導電パターン3a、3b間を電気的に接続するためにワイヤ等の導電部材を配置する場合には、このような導電部材を、被覆部材5中に埋め込んでもよい。この際、導電部材が発光装置10の外表面に露出しないように導電部材を被覆部材5に埋設することが好ましい。これにより、発光装置10を基板に実装する際の半田等の接続部材が溝2aに侵入して導電部材と半田がつながることによる発光装置10のショート等を防止することができる。
【0065】
被覆部材5は、例えば、射出成形、ポッティング成形、樹脂印刷法、トランスファーモールド法、圧縮成形などによって成形することができる。
(透光性部材4)
【0066】
発光装置10は、
図11A及び
図12に示すように、さらに、発光素子1の上面(つまり発光素子1の主な光取り出し面)を被覆する透光性部材4を備えていることが好ましい。透光性部材4は、発光素子1から出射される光を透過させ、その光を外部に放出することが可能な部材である。本実施形態では、透光性部材4は、平面視で発光素子1よりも大きな面積で形成され、発光素子1の上面の全部を透光性部材4で被覆するように配置されている。ただし、透光性部材4は平面視で発光素子1と同じ大きさまたは発光素子1よりも小さいものを用いてもよい。
【0067】
複数の発光素子1がそれぞれ透光性部材4を備える場合、透光性部材4間距離は、透光性部材4の大きさ(例えば一辺の長さ)よりも短いものが好ましく、例えば、透光性部材4自体のサイズの20%以下であることがより好ましい。このように透光性部材4同士を近接して配置させることにより、発光ムラの少ない発光品位の高い面光源の発光装置10とすることができる。
【0068】
透光性部材4は、複数の発光素子1を一体的に被覆するものであってもよいし、複数の発光素子1を個々に被覆するものでもよい。複数の発光素子1を個々に被覆する透光性部材4は、その側面4aが、発光素子1と同様に被覆部材5に被覆されていることが好ましい。これにより、複数の発光素子1が独立して駆動され、隣接する発光素子1間で点灯/消灯の状態となることがある場合において、消灯している発光素子1が点灯している発光素子1に照らされて点灯しているように見えてしまうことが抑制される。つまり複数の発光素子1間の光漏れが抑制される。複数の発光素子1を一体的に被覆する透光性部材4は、その側面4aが被覆部材5で被覆されていなくてもよいが、外側面からの光漏れを考慮すると、被覆されていることが好ましい。透光性部材4は、その上面側が、被覆部材5の上面と略面一であることが好ましい。これにより、透光性部材4の側面4aから発する光同士の干渉を確実に防止することができる。また、隣接する消灯した発光素子1に対する光の干渉を確実に防止することができる。
【0069】
透光性部材4の厚みは、例えば、50~300μm程度とすることができる。透光性部材4は、上面が凹凸形状、曲面、レンズ状の種々の形状とすることができ、下面は、発光素子1の光取り出し面に平行な面とすることが好ましい。
【0070】
透光性部材4を構成する材料は、例えば、ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラス材料、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、又はこれらの樹脂を1種類以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂成形体、サファイアなどが挙げられる。透光性部材4の透明度が高いほど、被覆部材5との界面において光を反射させやすいため、発光装置の輝度を向上させることが可能となる。透光性部材4は、蛍光体や拡散材等を有していてもよい。蛍光体や拡散材は透光性部材4の内部に含有させてもよいし、透光性部材4の両面又は片面に蛍光体や拡散材を含有する層を設けてもよい。蛍光体や拡散材を含有する層を形成する方法としては、例えば、印刷、スプレー法、電着法、静電塗装法を用いることができる。あるいは樹脂に蛍光体を含有させた材料から成る蛍光体シート等を透光性部材4に接着してもよい。
【0071】
蛍光体は発光素子1からの発光を吸収して異なる波長の光に波長変換するものが選択される。蛍光体としては、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG:Ce)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG:Ce)、ユーロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO-Al2O3-SiO2:Eu,Cr)、ユーロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)2SiO4:Eu)、βサイアロン蛍光体、クロロシリケート蛍光体、CASN系又はSCASN系蛍光体などの窒化物系蛍光体、希土類金属窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、KSF系蛍光体(K2SiF6:Mn)、硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色光発光素子または紫外光発光素子とを組み合わせることにより、様々な色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を得ることができる。青色の発光素子を用いて白色に発光可能な発光装置とする場合、透光性部材4に含有される蛍光体の種類、濃度によって白色となるよう調整される。このような蛍光体を透光性部材4に含有される場合、蛍光体の濃度は、例えば30~80重量%程度とすることが好ましい。発光装置10が複数の透光性部材4を有する場合、複数の透光性部材4それぞれに含有させる蛍光体の種類や量を異ならせても良い。含有される蛍光体の種類や組み合わせが異なる透光性部材4を複数組み合わせて用いることにより、所望の色調に適した演色性や色再現性を調整することができる。
【0072】
拡散材としては、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガン、ガラス、カーボンブラック等を用いることができる。
【0073】
透光性部材4は、発光素子1の上面を被覆するように接合されている。接合は、例えば、エポキシ又はシリコーンのような周知の接着材による接着、高屈折率の有機接着材による接着、低融点ガラスによる接着などで行うことができる。透光性部材4と発光素子1とを接着材により接合する場合、接着材に上述の蛍光体や拡散材を含有させることができる。なお、透光性部材4と発光素子1との接合は、圧着、焼結、水酸基接合法、表面活性化接合法、原子拡散接合法などの直接接合を用いてもよい。
【0074】
透光性部材4が発光素子1の上面を被覆するように接合される場合、特に、発光素子1より大きい透光性部材4を用いる場合、発光素子1からの光が透光性部材4に伝播されやすいように、接着材を発光素子1側面にまで配置することがある。この場合には、発光素子1の半導体層と被覆部材5との間に接着材が配置されることになる。ただし、接着材は、透光性部材4の直下から外側に配置されないようにすることが好ましい。これにより、発光素子1と被覆部材5との間で、光が適切に反射/伝播され、色むらの発生を防止することができる。
【0075】
また発光装置10には、ツェナーダイオード等の保護素子を搭載してもよい。例えば、保護素子を、被覆部材5に埋設することにより、発光素子1からの光が保護素子に吸収されたり、保護素子に遮光されたりすることによる光取り出しの低下を防止することができる。
(発光装置10の製造方法)
【0076】
上述した発光装置10は、以下の方法で製造することができる。
【0077】
第1主面と該第1主面の反対側の第2主面とに導電パターン3a、3bを有する基材2を準備し、第1主面の導電パターン3a上に複数の発光素子1を搭載し、複数の発光素子1の側面を一体的に被覆する被覆部材5を形成し、発光素子1間に対応する基材2の第2主面に第1主面に達する溝2aを形成する。さらに、発光素子1の上面に透光性部材4を配置することを含んでいてもよい。この工程は、発光素子1を基材2に搭載する前後のいずれに行ってもよい。
【0078】
以下、発光装置10の具体的構成を
図11A~
図12に基づいて詳述する。発光装置10は、導電パターン3a、3bを有する基材2と、2つの発光素子1と、被覆部材5とを備える。基材2は、厚みが400μm、熱電導率が170W/m・k程度の窒化アルミニウムのセラミックス板材によって形成されている。基材2は、第2主面から第1主面に達する溝2aを有している。つまり基材は複数に分断されている。溝2aの幅は、100μmである。基材2は、第1主面及び第2主面にそれぞれ、チタン、白金、金が蒸着されて、正負の一対に対応する導電パターン3a、3bを有している。第1主面の導電パターン3aと反対側の第2主面の導電パターン3bとは、ビア3cを通じて電気的に接続されている。
【0079】
発光素子1は、1.0mm×1.0mm×0.15mm(厚み)のサイズを有しており、サファイア基板上に半導体層を積層させ、同一面側に正負対の電極が形成されたものである。複数の発光素子1は、それぞれ、各基材2の第1主面の導電パターン3a上に、金からなるバンプによって、フリップチップ実装されている。従って、サファイア基板を光取り出し面としている。
【0080】
発光素子1の上面は、ガラス中にYAGが分散されてなる板状の透光性部材4によって被覆されている。透光性部材4は、YAG蛍光体を5~15重量%含有し、サイズは1.15mm×1.15mm×0.18mm(厚み)である。透光性部材4は、シリコーン樹脂からなる接着材による熱硬化を利用して発光素子1の上面に接着されている。隣接する発光素子1間の距離は、0.5mm程度で、発光素子1の最大辺の長さの50%程度である。隣接する透光性部材4間の距離は0.4mm程度である。
【0081】
発光素子1の側面と、発光素子1の上面に被覆された透光性部材4の側面4aを含む、これらの外周は、被覆部材5により被覆されている。また、発光素子1の直下であって、基材2又は導電パターン3aと対向する領域にも被覆部材5が配置されている。被覆部材5によって、発光素子1と基材2と透光性部材4とは、一体的に構成されている。被覆部材5は、シリコーン樹脂に酸化チタンが30wt%含有されており、熱伝導率が0.2W/m・K程度である。被覆部材5は、発光素子1の上面上の透光性部材4と面一である。
【0082】
図11A~
図12に示した発光装置10では発光素子は11個であるが、発光素子の数はこれに限らず、10個以下、あるいは12個以上の任意の数とできる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明のキャリアテープ及び梱包体は、照明用光源、各種インジケーター用光源、車載用光源、ディスプレイ用光源、液晶のバックライト用光源、信号機、車載部品、看板用チャンネルレターなど、種々の光源に使用される発光装置の収納に適用することができ、特に、ヘッドライト、リアランプ、昼間点灯(DRL)等の車載用光源に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1000…梱包体
1…発光素子
2…基材
2a…溝
3a、3b…導電パターン
3c…ビア
4…透光性部材;4a…側面
5…被覆部材
10…発光装置
100…キャリアテープ
110…テープ凹部
120…平坦部
130…孔部
140…貫通孔
150…張り出し部
160…突起部
170…カバーテープ
141…電子部品
142…テープ片
143…キャリアテープ
144…凹所
145…カバーテープ
RL…リール