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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】揚げ調理方法および揚げ物用調理器具
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/10 20160101AFI20221019BHJP
   A47J 37/12 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
A23L5/10 D
A47J37/12 371
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018094487
(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公開番号】P2019198266
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000187079
【氏名又は名称】昭和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】須永 智伸
(72)【発明者】
【氏名】矢内 千春
【審査官】▲高▼岡 裕美
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-164595(JP,U)
【文献】特表2002-502620(JP,A)
【文献】米国特許第04542685(US,A)
【文献】特開平10-337257(JP,A)
【文献】特開平11-169302(JP,A)
【文献】特開2008-206700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A47J
A21C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の型枠部を有し、互いに隣接する前記型枠部の間に隙間を有しない揚げ物用調理器具を用いて、揚げ物を調理する揚げ調理方法であって、
前記揚げ物用調理器具の上に複数個分の揚げ種の塊を載せ、前記揚げ種の塊を均して前記型枠部内に前記揚げ種を分配する工程を有し
前記型枠部は、前記揚げ物用調理器具の外枠を構成する外枠部、および、前記外枠部の内側に形成された区切り部材により、囲われて形成されており、前記外枠部の高さが前記区切り部材の高さよりも高い、揚げ調理方法。
【請求項2】
前記揚げ物用調理器具の前記複数の型枠部は、同一の形状および大きさであり、かつ、二次元方向に配列されている、請求項1に記載の揚げ調理方法。
【請求項3】
複数の型枠部を有し、互いに隣接する前記型枠部の間に隙間を有しない、揚げ物用調理器具であって、
前記複数の型枠部は、同一の形状および大きさであり、かつ、二次元方向に配列されており、
前記型枠部は、前記揚げ物用調理器具の外枠を構成する外枠部、および、前記外枠部の内側に形成された区切り部材により、囲われて形成されており、前記外枠部の高さが前記区切り部材の高さよりも高い、揚げ物用調理器具。
【請求項4】
複数個分の揚げ種の塊を前記複数の型枠部の上に跨って載せて、当該揚げ種の塊を均すことで同一の形状および大きさの揚げ種が複数個作成可能となっている、請求項に記載の揚げ物用調理器具。
【請求項5】
前記複数の型枠部は、全ての型枠部が2辺以上で他の型枠部と隣接しているように配列されている、請求項またはに記載の揚げ物用調理器具。
【請求項6】
前記区切り部材は、取り外し可能であり、前記区切り部材を取り換えることで、前記型枠部の形状または大きさを変更可能となっている請求項からのいずれか一項に記載の揚げ物用調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揚げ物を容易かつ迅速に製造することができる揚げ調理方法および揚げ物用調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の型枠を有し、各型枠にある程度成形したかき揚げの具を1つずつ入れることで、複数のかき揚げを同時に揚げることが可能な揚げ調理方法が知られている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-206700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術において、たとえば、かき揚げを製造する場合には、作業者が、かき揚げ用に具材と生地を合わせた揚げ種を準備し、揚げ種を各型枠に入る大きさに取り分け、1つずつ成形しながら型枠に手で入れる必要があるため、スーパーマーケットのバックヤード等で大量のかき揚げを製造する場合に、作業者の作業時間と労力が増大してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、揚げ物を容易かつ迅速に製造することができる揚げ調理方法および揚げ物用調理器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る揚げ調理方法は、複数の型枠部を有し、互いに隣接する前記型枠部の間に隙間を有しない揚げ物用調理器具を用いた揚げ調理方法であって、前記揚げ物用調理器具の上に複数個分の揚げ種の塊を載せ、前記揚げ種の塊を均して前記型枠部内に前記揚げ種を分配する工程を有し、前記型枠部は、前記揚げ物用調理器具の外枠を構成する外枠部、および、前記外枠部の内側に形成された区切り部材により、囲われて形成されており、前記外枠部の高さが前記区切り部材の高さよりも高い
(2)上記揚げ調理方法において、前記揚げ物用調理器具の前記複数の型枠部は、同一の形状および大きさであり、かつ、二次元方向に配列されているように構成することができる。
)本発明に係る揚げ物用調理器具は、複数の型枠部を有し、互いに隣接する前記型枠部の間に隙間を有しない揚げ物用調理器具であって、前記複数の型枠部は、同一の形状および大きさであり、かつ、二次元方向に配列されており、前記型枠部は、前記揚げ物用調理器具の外枠を構成する外枠部、および、前記外枠部の内側に形成された区切り部材により、囲われて形成されており、前記外枠部の高さが前記区切り部材の高さよりも高い。
)上記揚げ物用調理器具において、複数個分の揚げ種の塊を前記複数の型枠部の上に跨って載せ、当該揚げ種の塊を均すことで同一の形状および大きさの揚げ種が複数個作成可能となっているように構成することができる。
)上記揚げ物用調理器具において、全ての型枠部が2辺以上で他の型枠部と隣接しているように配列されている構成することができる。
)上記揚げ物用調理器具において、前記区切り部材は、取り外し可能であり、前記区切り部材を取り換えることで、前記型枠部の形状または大きさを変更可能となっているように構成することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、揚げ物用調理器具内に揚げ種の塊を投入し、揚げ種の塊を均して型枠部内に揚げ種を分配し成形することができるため、揚げ種を各型枠に入る大きさに取り分けて1つ1つ成形して型枠に投入する従来と比べて、作業者の作業時間および労力を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る揚げ物用調理器具の斜視図である。
図2】本実施形態に係る揚げ物用調理器具により揚げ調理した揚げ物の一例である。
図3】揚げ物用調理器具の実施例を説明するための図である。
図4】本実施形態に係る揚げ調理方法を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係る揚げ調理方法を説明するための図である(その1)。
図6】本実施形態に係る揚げ調理方法を説明するための図である(その2)。
図7】第2実施形態に係る揚げ物用調理器具の斜視図である。
図8】他の実施形態に係る揚げ物用調理器具の斜視図である。
図9】他の実施形態に係る揚げ物用調理器具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1実施形態≫
本発明の第1実施形態に係る揚げ物用調理器具を、図面を参照して説明する。以下においては、本実施形態に係る揚げ物用調理器具を用いてかき揚げを揚げ調理する場面を例示して説明する。なお、本発明に係る揚げ物用調理器具の調理対象は、かき揚げが最も適しているが、かき揚げに限定されず、揚げ物であれば調理することができる。
【0010】
まず、第1実施形態に係る揚げ物用調理器具1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る揚げ物用調理器具1を示す斜視図である。 図1に示すように、第1実施形態に係る揚げ物用調理器具1は、外枠部10、区切り部材20、底部30、および取手部40を備えている。また、本実施形態では、外枠部10と区切り部材20とで囲われた部分(型空間)を、型枠部50として説明する。
【0011】
外枠部10は、図1に示すように、揚げ物用調理器具1の周縁に設けられ、揚げ物用調理器具1を囲む外枠を構成する。また、区切り部材20は、外枠部10で囲まれた空間を複数の型枠部(型空間)50に区切るための部材である。これにより、揚げ物用調理器具1内に複数の型枠部50を隣接して設けることができるとともに、互いに隣接する型枠部50の間の隙間をなくすことができる。なお、本発明において「隙間がない」または「隙間を有しない」とは、互いに隣接する型枠部50の間に単に距離がないことを意味するのではなく、互いに隣接する型枠部50の間に揚げ種が調理台などにこぼれ落ちてしまうような穴(空間)がないことを意味する。
【0012】
また、第1実施形態において、区切り部材20は、外枠部10よりも高さを低く形成することができる。区切り部材20の高さと外枠部10との高さの差は、特に限定されないが、5ミリメートル以上とすることが好ましい。本実施形態では、作業者が、揚げ種の塊を揚げ物用調理器具1内に入れ、当該揚げ種の塊を揚げ物用調理器具1内で均すことで、揚げ種の分配と成形を同時に行う。このような作業を行うため、区切り部材20の高さを外枠部10の高さよりも低くすることで、揚げ種を揚げ物用調理器具1内で均す際に揚げ種が揚げ物用調理器具1の外側に飛び出てしまうことを有効に防止することができる。なお、区切り部材20の高さと外枠部10との高さの差は、40ミリメートル以下とすることができ、20ミリメートル以下とすることがより好ましい。
【0013】
なお、区切り部材20は、所望する型枠部50の形状(言い換えれば、所望する揚げ物の形状)に応じて決定することができる。本実施形態では、型枠部50の形状が上面視四角形となるように区切り部材20を構成しているが、たとえば、型枠部50の形状が上面視六角形となるように区切り部材20を構成することもできる。また、型枠部50の形状を同一形状の四角形または六角形とするように区切り部材20を構成することが好ましいが、この構成に限定されず、型枠部50の形状をこれら以外の形状となるように区切り部材20を構成することもできる。なお、このように型枠部50の形状を変える場合には、型枠部50の形状に合わせて、外枠部10や底部30の形状も変えられる。
【0014】
底部30は、揚げ物用調理器具1の底面を構成し、各型枠部(型空間)50の底面を塞ぐ底板としての作用も担っている。図1に示すように、各型枠部50の底面には、1又は複数の孔を設ける構成とすることができる。これにより、揚げ種を揚げた時に、揚げ物を底部30から剥がれやすくすることができる。なお、孔の大きさは、揚げ種が孔からこぼれ落ちない大きさであれば特に限定されず、たとえば直径3~8ミリメートルの範囲とすることができる。本実施形態とは異なり、揚げ物用調理器具1において底部30を設けない構成とすることができる。この場合、揚げ種を分配・成形する際には、揚げ物用調理器具1を別に用意した板の上に載置して使用するようにしてもよい。また、底部30を外枠部10および区切り部材20に着脱自在に連結する構成としてもよい。
【0015】
図2は、本実施形態に係る揚げ物用調理器具1を用いて揚げ調理したかき揚げの一例である。また、図2には、比較例として、従来の丸形の型枠を用いて揚げ調理したかき揚げも例示している。本実施形態に係る揚げ物用調理器具1では、型枠部50が四角形のため、従来と比べて、かき揚げ自体の形状も四角形に近い形状となる。このように、かき揚げ自体を四角形に近い形状とすることで、たとえば複数のかき揚げをトレイに立て掛けて並べやすくすることもできる。
【0016】
また、本実施形態において、外枠部10、区切り部材20、および底部30は、一体的に接合して形成されるが、このような構成に限定されず、区切り部材20を、外枠部10および底部30から取り外し可能に構成することもできる。これにより、区切り部材20を、所望する外枠部の形状に応じた区切り部材に取り換えるだけで、作業者が所望する形状または大きさの揚げ物を製造することが可能となる。たとえば、図1に示すように、四角形の型枠部50を6個形成する区切り部材20と、後述する図8に示すように半球形の型枠部50bを6個形成する区切り部材20bとを予め用意しておくことで、区切り部材20と区切り部材20bとを変更するだけで、製造するかき揚げの形状を容易に変更することができる。また、図1に示す区切り部材20とは異なり、四角形の型枠部を12個形成する区切り部材(不図示)なども用意することで、区切り部材を変更するだけで、製造するかき揚げの大きさや形状も容易に変更することができる。
【0017】
取手部40は、揚げ物用調理器具1を油中に沈めたり、油中から引き揚げたりする際に、作業者が把持するための部材である。
【0018】
(実施例)
本実施形態に係る揚げ物用調理器具1の実施例について説明する。本実施例に係る揚げ物用調理器具1は、図3に示すように、外枠部10および底部30における短辺の長さが200ミリメートル、長辺の長さが300ミリメートルとなっている。そして、区切り部材20は、各辺の長さが100ミリメートルである計6個の型枠部50が形成されるように形成されている。これにより、約100ミリメートル四方のかき揚げを6個同時に製造することができる。また、本実施例に係る揚げ物用調理器具1は、図3に示すように、外枠部10の高さが40ミリメートルであり、区切り部材20の高さは30ミリメートルとなっている。すなわち、外枠部10の高さと区切り部材20との高さの差が10ミリメートルとなっている。
【0019】
次に、本実施形態に係る揚げ物用調理器具1を用いた、揚げ調理方法について説明する。図4は、本実施形態に係る揚げ調理方法を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、作業者が手作業により揚げ種を製造し、かき揚げを製造する工程を例示して説明する。
【0020】
ステップS1では、作業者により、揚げ種の塊を準備する作業が行われる。たとえば、かき揚げの場合には、かき揚げ用に切った野菜等に小麦粉と水とを混ぜて、揚げ種を準備する。なお、揚げ種は数個分をボウルなどで一度に製造し、揚げ種の塊として準備する。
【0021】
たとえば、野菜かき揚げの揚げ種として、タマネギ430g、ニンジン50g、三つ葉20gの比率で混合したものを使用する。また、他の野菜以外に、小海老などの魚介類や肉類なども加えてもよい。さらに上記混合野菜500gに、昭和天ぷら職人(昭和産業株式会社製)150gを加え、よくまぶした後に、水150gを加えて、よく混合する。これにより、6枚分の野菜かき揚げの揚げ種の塊を製造することができる。
【0022】
ステップS2では、作業者により、揚げ種の塊が本実施形態に係る揚げ物用調理器具1の中に入れられる。この際、作業者は、揚げ種を各型枠に入る大きさに取り分けて、1つ1つ成形する必要はなく、図5に示すように、揚げ種の塊のまま無造作に揚げ物用調理器具1に入れることができる。
【0023】
そして、ステップS3では、作業者または専用の装置により、揚げ物用調理器具1に入れられた揚げ種の塊を均して、各型枠部50に揚げ種を分配・成形する作業が行われる。たとえば、作業者は、図6に示すように、揚げ物用調理器具1内において揚げ種の塊を手で均し、各型枠部50に揚げ種を分配することができ、専用の装置によって揚げ種の塊を均して各型枠部50に揚げ種を分配することもできる。これにより、揚げ種を各型枠に入る大きさに取り分けて成形し、各型枠に揚げ種を1つずつ入れる従来と比べて、揚げ種を各型枠部50に入れる作業が容易かつ迅速となる。
【0024】
そして、ステップS4では、作業者または専用の装置により、各型枠部50に揚げ種が入れられた状態で、揚げ物用調理器具1が油中に沈められる。たとえば、予め油槽の油を160℃程度まで温めておき、各型枠部50に揚げ種を入れた状態で揚げ物用調理器具1を油中に沈める。
【0025】
そして、ステップS5では、作業者により、揚げ調理が行われる。たとえば、揚げ物用調理器具1を油中に沈めた直後から約1分の間に揚げ物が油浴に浮かび、揚げ物用調理器具1を油中に沈めた直後から1分~3分程度揚げ物を油浴にて加熱する。作業者は、途中で揚げ物を反転してもよく、沈めたまま調理してもよい。そして、ステップS6では、作業者または専用の装置により、揚げ物用調理器具1が油浴から取り出される。揚げ物用調理器具1を油浴から取り出すタイミングは、揚げ物が油浴に浮かんだ後であれば、揚げ物の加熱中でも、揚げ物が完成した後でもよい。これにより、たとえば図2に示すようなかき揚げを製造することができる。
【0026】
以上のように、第1実施形態に係る揚げ物用調理器具1では、複数の型枠部50を有し、互いに隣接する型枠部50の間に隙間を有しない構成となっている。より具体的には、揚げ物用調理器具1は、外枠部10により囲われる空間を区切り部材20で区切る構成とすることで、複数の型枠部50が互いに隙間なく隣接するように構成されている。これにより、本実施形態では、図5に示すように、揚げ種を塊のまま無造作に揚げ物用調理器具1に入れ、図6に示すように、揚げ物用調理器具1内において揚げ種の塊を均すだけで、揚げ種が成形された状態で各型枠部50に揚げ種を入れることができる。すなわち、本実施形態では、従来のように、揚げ種を各型枠に入る大きさに取り分け、1つずつ成形して型枠に入れる必要がなく、揚げ種の分配と成形、および揚げ種を各型枠部50に入れる作業とを同時に行うことができるため、揚げ物を容易かつ迅速に製造することができる。たとえば、図1に示すように、型枠部50を6個有する揚げ物用調理器具1を用いてかき揚げを6個製造した場合に、従来の揚げ物用調理器具でかき揚げを6個製造した場合と比べて、約2倍の速度で揚げ種を揚げ物用調理器具に投入することができた。
【0027】
また、第1実施形態に係る揚げ物用調理器具1では、外枠部10の高さが区切り部材20の高さよりも高く構成されている。具体的には、本実施形態では、外枠部10の高さが区切り部材20の高さよりも10ミリメートル高く構成されている。これにより図6に示すように、揚げ物用調理器具1内において揚げ種の塊を均す作業を行う場合でも、揚げ種が揚げ物用調理器具1からこぼれてしまい、油槽や調理台を汚してしまうことを有効に防止することができる。
【0028】
さらに、第1実施形態に係る揚げ物用調理器具1は、区切り部材20を取り外し可能とすることができる。この場合、区切り部材20を取り換えることで、型枠部50の形状または大きさを自在に変更することができる。これにより、作業者が所望する形状および大きさの揚げ物を容易に製造することができる。
【0029】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態に係る揚げ物用調理器具1aを、図7に基づいて説明する。図7は、第2実施形態に係る揚げ物用調理器具1aを示す斜視図である。図7に示すように、第2実施形態に係る揚げ物用調理器具1aは、外枠部10aおよび区切り部材20aが以下に説明するように構成されること以外は、第1実施形態に係る揚げ物用調理器具1と同じように構成される。
【0030】
第2実施形態において、外枠部10aおよび区切り部材20aは、第1実施形態に係る外枠部10および区切り部材20と比べて、厚さT1,T2が厚く構成されている。また、外枠部10aと区切り部材20aとは同じ高さに形成されている。なお、第2実施形態においては、外枠部10aと区切り部材20aとは一体的に構成することもでき、外枠部10aと区切り部材20aとは取り外し可能に構成することもできる。
【0031】
以上のように、第2実施形態に係る揚げ物用調理器具1aは、第1実施形態に係る外枠部10および区切り部材20と比べて、外枠部10aおよび区切り部材20aの厚さが厚く構成されており、外枠部10aと区切り部材20aとの高さが同じ高さに形成されている。しかしながら、第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、区切り部材20aにより区切られた型枠部50aが互いに隙間なく隣接するように構成されている。そのため、第1実施形態と同様に、図5に示すように、揚げ種を塊のまま無造作に揚げ物用調理器具1aに入れ、図6に示すように、揚げ物用調理器具1a内において揚げ種の塊を均すだけで、揚げ種を各型枠部50aに分配、成形することができ、揚げ物を容易かつ迅速に製造することができる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態例の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0033】
たとえば、上述した実施形態では、底部30の一部に孔を設ける構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、底部30に孔を設けない構成とすることができる。また、外枠部10または区切り部材20に1または複数の孔を設ける構成としてもよい。
【0034】
また、上述した第1実施形態では、区切り部材20の高さを外枠部10の高さよりも低くする構成を例示したが、この構成に限定されず、第2実施形態と同様に、区切り部材20の高さを外枠部10の高さを同じ高さとすることもできる。
【0035】
さらに、上述した実施形態に加えて、図8に示すように、揚げ物用調理器具1bを、半球状の凹部である複数の型枠部50bを有する構成とすることができる。この揚げ物用調理器具1bも、互いに隣接する型枠部50bの間は区切り部材20bとなっており、揚げ種がこぼれ落ちてしまう隙間を有しない。さらに、揚げ物用調理器具1bは、区切り部材20bよりも高い外枠部10bで囲われているため、上述した実施形態と同様に、揚げ種の塊を無造作に揚げ物用調理器具1bに入れ、揚げ物用調理器具1b内において揚げ種の塊を均すだけで、揚げ物を容易かつ迅速に製造することができる。区切り部材20bは外枠部10bと着脱自在になっており、たとえば区切り部材20bを図1に図示する区切り部材20に交換することも可能である。なお、区切り部材20bは、図8に示すように型枠部50bを全て同一形状とする構成に限定されず、たとえば、半球状の型枠部を3個形成するとともに四角形の型枠部を3個形成するように区切り部材を構成することもできる。
【0036】
また同様に、図9に示すように、揚げ物用調理器具1cを、六角形の型枠部50cを有する構成とすることができる。この揚げ物用調理器具1cも、互いに隣接する型枠部50cの間は区切り部材20cとなっており、揚げ種がこぼれ落ちてしまう隙間を有しない。上述した実施形態と同様に、揚げ種の塊を無造作に揚げ物用調理器具1cに入れ、揚げ物用調理器具1c内において揚げ種の塊を均すだけで、揚げ物を容易かつ迅速に製造することができる。
【0037】
また、上述した実施形態の揚げ調理方法においては、ステップS2で揚げ種の塊を揚げ物用調理器具1の中に入れ、ステップS3で揚げ物用調理器具1に入れられた揚げ種の塊を均す作業を行っているが、これらの作業は、揚げ物用調理器具1を調理台の上に置いて行ってもよいし、揚げ物用調理器具1の一部(下側部分)を油に浸けた状態で、揚げ種の塊を揚げ物用調理器具1に入れ、揚げ種の塊を均す作業を行ってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1,1a~1c…揚げ物用調理器具
10,10a~10c…外枠部
20,20a~20c…区切り部材
30…底部
40…取手部
50,50a~50c…型枠部(型空間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9