IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラピスセミコンダクタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-表示ドライバ及び半導体装置 図1
  • 特許-表示ドライバ及び半導体装置 図2
  • 特許-表示ドライバ及び半導体装置 図3
  • 特許-表示ドライバ及び半導体装置 図4
  • 特許-表示ドライバ及び半導体装置 図5
  • 特許-表示ドライバ及び半導体装置 図6
  • 特許-表示ドライバ及び半導体装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】表示ドライバ及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20221019BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20221019BHJP
   G09G 3/3225 20160101ALI20221019BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20221019BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221019BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20221019BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
G09G3/20 623E
G09G3/20 670A
G09G3/36
G09G3/3225
G09G3/20 623F
G09G3/20 612F
G09G3/20 612E
G09G3/20 670Q
G02F1/133 550
H05B33/14 A
H01L27/32
H04N5/66 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019063042
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020160410
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】仁田脇 祥治
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-189785(JP,A)
【文献】特開2017-026899(JP,A)
【文献】特開平04-122865(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0231051(US,A1)
【文献】特開2012-109948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G02F 1/133
H01L 51/50
H01L 27/32
H04N 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1~第k(kは2以上の整数)の階調電圧を生成する階調電圧生成部と、
画素毎に輝度レベルを表す複数の画素データ片の各々毎に、前記第1~第kの階調電圧から前記画素データ片の輝度レベルに対応した1つの階調電圧を選択し、前記画素データ片毎に選択した前記階調電圧の各々を表示デバイスに印加するDA変換部と、を有し、
前記階調電圧生成部は、
一端の抵抗が第1の電圧を受け他端の抵抗が第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第1抵抗群を含む第1のラダー抵抗と、
各々が、前記第1抵抗群の抵抗同士の複数の接続点のうちの一群の接続点の各々に接続されており、前記一群の接続点各々の電圧を個別に増幅する複数のアンプと、
一端の抵抗が前記第1の電圧を受け他端の抵抗が前記第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第2抵抗群を含み、前記第2抵抗群の抵抗同士の接続点のうちの一群の接続点の各々に前記複数のアンプ各々の出力が接続されており、第2抵抗群の各抵抗の接続点の電圧を前記第1~第kの階調電圧として出力する第2のラダー抵抗と、
前記第1抵抗群の抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧のうちから1の電圧を選択し、これをテスト基準電圧として出力する第1のセレクタと、
前記第2抵抗群の抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧のうちから前記第1のセレクタが選択した前記1の電圧と同一の電圧値を有する1の電圧を選択し、これをテスト階調電圧として出力する第2のセレクタと、を含むことを特徴とする表示ドライバ。
【請求項2】
前記第1のセレクタは、前記第1抵抗群の抵抗同士の前記複数の接続点の各電圧として、前記複数のアンプ各々の出力電圧における互いに隣接する一対の出力電圧各々の出力電圧同士の中間又は中間に最近傍の電圧値を有する電圧を受け、
前記第2のセレクタは、前記第2抵抗群の抵抗同士の前記複数の接続点の各電圧として、前記複数のアンプ各々の出力電圧における互いに隣接する一対の出力電圧各々の出力電圧同士の中間又は中間に最近傍の電圧値を有する電圧を受けることを特徴とする請求項1に記載の表示ドライバ。
【請求項3】
前記第1及び第2のセレクタが夫々選択する前記1の電圧を指定する選択信号が記憶されるレジスタを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示ドライバ。
【請求項4】
前記レジスタには、前記第1抵抗群の抵抗同士の前記複数の接続点の各電圧を1つずつ順に指定すると共に、前記第2抵抗群の抵抗同士の前記複数の接続点の各電圧を1つずつ順に指定する前記選択信号の系列が記憶されていることを特徴とする請求項3に記載の表示ドライバ。
【請求項5】
前記テスト基準電圧の電圧値と前記テスト階調電圧の電圧値とが一致しているか否かを判定し、一致している場合には短絡故障無し、不一致であれば短絡故障有りを示す故障判定信号を出力する短絡故障判定回路を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の表示ドライバ。
【請求項6】
前記テスト基準電圧の電圧値と前記テスト階調電圧の電圧値との差が所定の許容範囲内であれば短絡故障無し、前記差が前記許容範囲外であれば短絡故障有りを示す故障判定信号を出力する短絡故障判定回路を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の表示ドライバ。
【請求項7】
第1~第k(kは2以上の整数)の階調電圧を生成する階調電圧生成部と、
画素毎に輝度レベルを表す複数の画素データ片の各々毎に、前記第1~第kの階調電圧から前記画素データ片の輝度レベルに対応した1つの階調電圧を選択し、前記画素データ片毎に選択した前記階調電圧の各々を表示デバイスに印加するDA変換部と、を有し、
前記階調電圧生成部は、
一端の抵抗が第1の電圧を受け他端の抵抗が第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第1抵抗群を含む第1のラダー抵抗と、
各々が、前記第1抵抗群の抵抗同士の複数の接続点のうちの一群の接続点の各々に接続されており、前記一群の接続点各々の電圧を個別に増幅する複数のアンプと、
一端の抵抗が前記第1の電圧を受け他端の抵抗が前記第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第2抵抗群を含み、前記第2抵抗群の抵抗同士の接続点のうちの一群の接続点の各々に前記複数のアンプ各々の出力が接続されており、第2抵抗群の各抵抗の接続点の電圧を前記第1~第kの階調電圧として出力する第2のラダー抵抗と、
前記第1抵抗群に含まれる抵抗同士の複数の接続点からなる第1の接続点群と接続されており、前記第1の接続点群に含まれる前記複数の接続点各々の電圧のうちから1の電圧を低側リミット電圧として選択する第1のセレクタと、
前記第1抵抗群に含まれる抵抗同士の複数の接続点からなる第2の接続点群と接続されており、前記第2の接続点群に含まれる前記複数の接続点各々の電圧のうちから、前記低側リミット電圧よりも高い1の電圧を高側リミット電圧として選択する第2のセレクタと、
前記第2抵抗群に含まれる抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧のうちから、前記低側リミット電圧よりも高く且つ前記高側リミット電圧より低い1つの電圧をテスト開階調電圧として選択する第3のセレクタと、
前記テスト開階調電圧が前記低側リミット電圧及び前記高側リミット電圧間の範囲に含まれるか否かを判定し、含まれている場合には短絡故障無し、含まれていなければ短絡故障有りを示す故障判定信号を出力する短絡故障判定回路と、を含むことを特徴とする表示ドライバ。
【請求項8】
第1~第k(kは2以上の整数)の階調電圧を生成する階調電圧生成部と、
画素毎に輝度レベルを表す複数の画素データ片の各々毎に、前記第1~第kの階調電圧から前記画素データ片の輝度レベルに対応した1つの階調電圧を選択し、前記画素データ片毎に選択した前記階調電圧の各々を表示デバイスに印加するDA変換部と、を有し、
前記階調電圧生成部は、
一端の抵抗が第1の電圧を受け他端の抵抗が第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第1抵抗群を含む第1のラダー抵抗と、
各々が、前記第1抵抗群の抵抗同士の複数の接続点のうちの一群の接続点の各々に接続されており、前記一群の接続点各々の電圧を個別に増幅する複数のアンプと、
一端の抵抗が前記第1の電圧を受け他端の抵抗が前記第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第2抵抗群を含み、前記第2抵抗群の抵抗同士の接続点のうちの一群の接続点の各々に前記複数のアンプ各々の出力が接続されており、第2抵抗群の各抵抗の接続点の電圧を前記第1~第kの階調電圧として出力する第2のラダー抵抗と、
前記第1抵抗群の抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧のうちから1の電圧を選択し、これをテスト基準電圧として出力する第1のセレクタと、
前記第2抵抗群の抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧のうちから前記第1のセレクタが選択した前記1の電圧と同一の電圧値を有する1の電圧を選択し、これをテスト階調電圧として出力する第2のセレクタと、を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
第1~第k(kは2以上の整数)の階調電圧を生成する階調電圧生成部と、
画素毎に輝度レベルを表す複数の画素データ片の各々毎に、前記第1~第kの階調電圧から前記画素データ片の輝度レベルに対応した1つの階調電圧を選択し、前記画素データ片毎に選択した前記階調電圧の各々を表示デバイスに印加するDA変換部と、を有し、
前記階調電圧生成部は、
一端の抵抗が第1の電圧を受け他端の抵抗が第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第1抵抗群を含む第1のラダー抵抗と、
各々が、前記第1抵抗群の抵抗同士の複数の接続点のうちの一群の接続点の各々に接続されており、前記一群の接続点各々の電圧を個別に増幅する複数のアンプと、
一端の抵抗が前記第1の電圧を受け他端の抵抗が前記第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第2抵抗群を含み、前記第2抵抗群の抵抗同士の接続点のうちの一群の接続点の各々に前記複数のアンプ各々の出力が接続されており、第2抵抗群の各抵抗の接続点の電圧を前記第1~第kの階調電圧として出力する第2のラダー抵抗と、
前記第1抵抗群に含まれる抵抗同士の複数の接続点からなる第1の接続点群と接続されており、前記第1の接続点群に含まれる前記複数の接続点各々の電圧のうちから1の電圧を低側リミット電圧として選択する第1のセレクタと、
前記第1抵抗群に含まれる抵抗同士の複数の接続点からなる第2の接続点群と接続されており、前記第2の接続点群に含まれる前記複数の接続点各々の電圧のうちから、前記低側リミット電圧よりも高い1の電圧を高側リミット電圧として選択する第2のセレクタと、
前記第2抵抗群に含まれる抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧のうちから、前記低側リミット電圧よりも高く且つ前記高側リミット電圧より低い1つの電圧をテスト開階調電圧として選択する第3のセレクタと、
前記テスト開階調電圧が前記低側リミット電圧及び前記高側リミット電圧間の範囲に含まれるか否かを判定し、含まれている場合には短絡故障無し、含まれていなければ短絡故障有りを示す故障判定信号を出力する短絡故障判定回路と、を含むことを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号に応じて表示デバイスを駆動する表示ドライバ及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶又は有機EL表示装置として、複数の走査線と複数の信号線(以下、データ線と称する)との各交叉部に表示セルが形成されている表示パネルと、この表示パネルの複数のデータ線を駆動する表示ドライバと、を有するものが一般的に知られている(例えば、特許文献1参照)。この表示ドライバは、ラッチ回路、階調電圧生成回路、及び表示パネルの各データ線に対応して設けられた複数のデコーダ回路を有する。
【0003】
ラッチ回路は、各表示セルに対応した輝度レベルを例えば6ビットの画素データ片の系列として表す映像信号を取り込み、1表示ライン分の複数の画素データ片を取り込む度に、当該複数の画素データ片を夫々に対応したデコーダ回路に供給する。
【0004】
階調電圧生成回路は、第1及び第2のラダー抵抗と、アンプ回路とを含む。第1のラダー抵抗は、表示パネルのガンマ特性に対する逆ガンマ特性に沿った複数の電圧を生成する。アンプ回路は、第1のラダー抵抗で生成された複数の電圧を夫々個別に利得1で増幅した電圧を出力する。第2のラダー抵抗は、当該アンプ回路から出力された出力電圧に基づき例えば64階調分の夫々電圧値が異なる64個の階調電圧を生成する。これら64個の階調電圧は、64本の配線を介して複数のデコーダ回路に供給される。各デコーダ回路は、これら64個の階調電圧のうちから自身に対応した画素データ片に対応した階調電圧を選択し、これを自身に対応した表示パネルのデータ線に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-137783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような表示ドライバは半導体ICチップに形成されているが、近年の表示デバイスの高精細化及び大画面化の要求により、当該半導体ICチップの高密度化が望まれている。
【0007】
よって、この半導体ICチップ内では、階調電圧生成回路と各デコーダ回路とを接続する例えば64個の階調電圧を伝送する64本の配線各々の配線幅及び配線間隔が狭くなり、一部の配線同士が短絡した状態で当該半導体ICチップが製造される可能性がある。
【0008】
そこで、当該半導体ICチップの製品出荷前に、当該半導体ICに対して、このような短絡故障が生じているか否かをテストする、いわゆる故障テストが行われる。
【0009】
具体的には、テスタに半導体ICチップを装着し、当該テスタにより、階調電圧生成回路から出力された複数の階調電圧に対して、夫々の電圧値が適切な値であるか否かを判定する。この際、テスタは、全ての階調電圧が適切な電圧値である場合には、短絡故障無しの「良品」と認定し、1つでも適切な電圧値ではない場合には短絡故障の虞がある「不良品」と認定する。
【0010】
しかしながら、このような故障テストで「良品」と認定された半導体ICチップを表示デバイスの複数のデータラインと接続する組み立て工程中に、階調電圧伝送用の配線同士が短絡してしまう場合があった。
【0011】
この際、表示デバイスに組み込まれた半導体ICチップをテスタに装着することができない為、組み立て後に、上記したような短絡故障が生じているか否かの故障テストを行うのは困難であった。
【0012】
そこで、本発明は、表示ドライバを表示デバイスと接続した状態で、表示ドライバ内に形成されている配線に短絡が生じているか否かを容易にテストすることが可能な表示ドライバ及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る表示ドライバは、第1~第k(kは2以上の整数)の階調電圧を生成する階調電圧生成部と、画素毎に輝度レベルを表す複数の画素データ片の各々毎に、前記第1~第kの階調電圧から前記画素データ片の輝度レベルに対応した1つの階調電圧を選択し、前記画素データ片毎に選択した前記階調電圧の各々を表示デバイスに印加するDA変換部と、を有し、前記階調電圧生成部は、一端の抵抗が第1の電圧を受け他端の抵抗が第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第1抵抗群を含む第1のラダー抵抗と、各々が、前記第1抵抗群の抵抗同士の複数の接続点のうちの一群の接続点の各々に接続されており、前記一群の接続点各々の電圧を個別に増幅する複数のアンプと、一端の抵抗が前記第1の電圧を受け他端の抵抗が前記第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第2抵抗群を含み、前記第2抵抗群の抵抗同士の接続点のうちの一群の接続点の各々に前記複数のアンプ各々の出力が接続されており、第2抵抗群の各抵抗の接続点の電圧を前記第1~第kの階調電圧として出力する第2のラダー抵抗と、前記第1抵抗群の抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧のうちから1の電圧を選択し、これをテスト基準電圧として出力する第1のセレクタと、前記第2抵抗群の抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧のうちから前記第1のセレクタが選択した前記1の電圧と同一の電圧値を有する1の電圧を選択し、これをテスト階調電圧として出力する第2のセレクタと、を含む。
【0014】
また、本発明に係る表示ドライバは、第1~第k(kは2以上の整数)の階調電圧を生成する階調電圧生成部と、画素毎に輝度レベルを表す複数の画素データ片の各々毎に、前記第1~第kの階調電圧から前記画素データ片の輝度レベルに対応した1つの階調電圧を選択し、前記画素データ片毎に選択した前記階調電圧の各々を表示デバイスに印加するDA変換部と、を有し、前記階調電圧生成部は、一端の抵抗が第1の電圧を受け他端の抵抗が第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第1抵抗群を含む第1のラダー抵抗と、各々が、前記第1抵抗群の抵抗同士の複数の接続点のうちの一群の接続点の各々に接続されており、前記一群の接続点各々の電圧を個別に増幅する複数のアンプと、一端の抵抗が前記第1の電圧を受け他端の抵抗が前記第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第2抵抗群を含み、前記第2抵抗群の抵抗同士の接続点のうちの一群の接続点の各々に前記複数のアンプ各々の出力が接続されており、第2抵抗群の各抵抗の接続点の電圧を前記第1~第kの階調電圧として出力する第2のラダー抵抗と、前記第1抵抗群に含まれる抵抗同士の複数の接続点からなる第1の接続点群と接続されており、前記第1の接続点群に含まれる前記複数の接続点各々の電圧のうちから1の電圧を低側リミット電圧として選択する第1のセレクタと、前記第1抵抗群に含まれる抵抗同士の複数の接続点からなる第2の接続点群と接続されており、前記第2の接続点群に含まれる前記複数の接続点各々の電圧のうちから、前記低側リミット電圧よりも高い1の電圧を高側リミット電圧として選択する第2のセレクタと、前記第2抵抗群に含まれる抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧のうちから、前記低側リミット電圧よりも高く且つ前記高側リミット電圧より低い1つの電圧をテスト開階調電圧として選択する第3のセレクタと、前記テスト開階調電圧が前記低側リミット電圧及び前記高側リミット電圧間の範囲に含まれるか否かを判定し、含まれている場合には短絡故障無し、含まれていなければ短絡故障有りを示す故障判定信号を出力する短絡故障判定回路と、を含む。
【0015】
本発明に係る半導体装置は、第1~第k(kは2以上の整数)の階調電圧を生成する階調電圧生成部と、画素毎に輝度レベルを表す複数の画素データ片の各々毎に、前記第1~第kの階調電圧から前記画素データ片の輝度レベルに対応した1つの階調電圧を選択し、前記画素データ片毎に選択した前記階調電圧の各々を表示デバイスに印加するDA変換部と、を有し、前記階調電圧生成部は、一端の抵抗が第1の電圧を受け他端の抵抗が第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第1抵抗群を含む第1のラダー抵抗と、各々が、前記第1抵抗群の抵抗同士の複数の接続点のうちの一群の接続点の各々に接続されており、前記一群の接続点各々の電圧を個別に増幅する複数のアンプと、一端の抵抗が前記第1の電圧を受け他端の抵抗が前記第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第2抵抗群を含み、前記第2抵抗群の抵抗同士の接続点のうちの一群の接続点の各々に前記複数のアンプ各々の出力が接続されており、第2抵抗群の各抵抗の接続点の電圧を前記第1~第kの階調電圧として出力する第2のラダー抵抗と、前記第1抵抗群の抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧のうちから1の電圧を選択し、これをテスト基準電圧として出力する第1のセレクタと、前記第2抵抗群の抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧のうちから前記第1のセレクタが選択した前記1の電圧と同一の電圧値を有する1の電圧を選択し、これをテスト階調電圧として出力する第2のセレクタと、を含む。
【0016】
また、本発明に係る半導体装置は、第1~第k(kは2以上の整数)の階調電圧を生成する階調電圧生成部と、画素毎に輝度レベルを表す複数の画素データ片の各々毎に、前記第1~第kの階調電圧から前記画素データ片の輝度レベルに対応した1つの階調電圧を選択し、前記画素データ片毎に選択した前記階調電圧の各々を表示デバイスに印加するDA変換部と、を有し、前記階調電圧生成部は、一端の抵抗が第1の電圧を受け他端の抵抗が第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第1抵抗群を含む第1のラダー抵抗と、各々が、前記第1抵抗群の抵抗同士の複数の接続点のうちの一群の接続点の各々に接続されており、前記一群の接続点各々の電圧を個別に増幅する複数のアンプと、一端の抵抗が前記第1の電圧を受け他端の抵抗が前記第2の電圧を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第2抵抗群を含み、前記第2抵抗群の抵抗同士の接続点のうちの一群の接続点の各々に前記複数のアンプ各々の出力が接続されており、第2抵抗群の各抵抗の接続点の電圧を前記第1~第kの階調電圧として出力する第2のラダー抵抗と、前記第1抵抗群に含まれる抵抗同士の複数の接続点からなる第1の接続点群と接続されており、前記第1の接続点群に含まれる前記複数の接続点各々の電圧のうちから1の電圧を低側リミット電圧として選択する第1のセレクタと、前記第1抵抗群に含まれる抵抗同士の複数の接続点からなる第2の接続点群と接続されており、前記第2の接続点群に含まれる前記複数の接続点各々の電圧のうちから、前記低側リミット電圧よりも高い1の電圧を高側リミット電圧として選択する第2のセレクタと、前記第2抵抗群に含まれる抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧のうちから、前記低側リミット電圧よりも高く且つ前記高側リミット電圧より低い1つの電圧をテスト開階調電圧として選択する第3のセレクタと、前記テスト開階調電圧が前記低側リミット電圧及び前記高側リミット電圧間の範囲に含まれるか否かを判定し、含まれている場合には短絡故障無し、含まれていなければ短絡故障有りを示す故障判定信号を出力する短絡故障判定回路と、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、階調電圧生成部において、基準電圧を生成する第1のラダー抵抗に含まれる複数の抵抗接続点各々の電圧のうちから1つの電圧を選択しこれをテスト基準電圧として出力する。更に、この第1のラダー抵抗で生成された基準電圧に基づいて階調電圧を生成する第2のラダー抵抗に含まれる複数の抵抗接続点各々の電圧のうちから、上記したテスト基準電圧と同一の電圧値を有する電圧を選択し、これをテスト階調電圧として出力する。
【0018】
ここで、第2のラダー抵抗で生成された複数の階調電圧を伝送する複数の配線の中に短絡した配線が存在する場合、この第2のラダー抵抗で生成されたテスト階調電圧は、その配線の短絡の影響を受ける。つまり、本来、配線に短絡故障が生じていなければ、テスト基準電圧と同一の電圧値となるテスト階調電圧の電圧値が、配線の短絡により、テスト基準電圧の電圧値と一致しなくなる。
【0019】
本発明では、上述したように出力されたテスト基準電圧と、テスト階調電圧とが一致しているか否かを判定することで、階調電圧を伝送する配線に短絡故障が生じているか否かを確認することができる。よって、本発明によれば、階調電圧生成部を含むソースドライバが形成されている半導体ICチップが表示デバイスと接続された状態で、当該半導体ICチップ内に形成されている階調電圧伝送用の複数の配線に短絡故障が生じているか否かを確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る表示ドライバを含む表示装置の構成を示すブロック図である。
図2】ソースドライバの内部構成を示すブロック図である。
図3】階調電圧生成部の内部構成の一例を示す回路図である。
図4】セレクタの内部構成の一例を示す回路図である。
図5】テスト制御回路が生成する選択信号SC1~SC8と、テスト基準電圧VREF及びテスト階調電圧GMA0の状態と、を表すタイムチャートである。
図6】階調電圧生成部の内部構成の他の一例を示す回路図である。
図7】階調電圧生成部の内部構成の他の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る表示ドライバを含む表示装置100の構成を示すブロック図である。
【0023】
表示装置100は、駆動制御部11、走査ドライバ12、ソースドライバ13、及び表示デバイス20を有する。
【0024】
表示デバイス20は、例えば液晶表示パネル又は有機EL(エレクトロルミネセンス)パネル等からなる。
【0025】
表示デバイス20は、夫々が2次元画面の水平方向に伸張する走査ラインG1~Gm(mは2以上の整数)と、夫々が2次元画面の垂直方向に伸張するソースラインS1~Sn(nは2以上の整数)と、を含む。表示デバイス20において、走査ラインG1~GmとソースラインS1~Snとの各交叉部(破線にて囲む領域)に、画素に対応した表示セルPCが形成されている。
【0026】
駆動制御部11は、映像信号VSを受け、当該映像信号VSから水平同期信号を検出する度にこれを走査ドライバ12に供給する。更に、駆動制御部11は、当該映像信号VSに基づき各表示セルPC毎の輝度レベルを例えば8ビットの階調で表す画素データ片の列を含む画像データ信号VPDを生成し、これをソースドライバ13に供給する。
【0027】
走査ドライバ12は、水平同期信号に応じて、走査パルスを生成しこれを走査ラインG1~Gmの各々に順次択一的に印加する。
【0028】
ソースドライバ13は、画像データ信号VPDに含まれる画素データ片の系列における1水平走査分のn個の画素データ片毎に、各画素データ片をその画素データ片が表す輝度レベルに対応した階調電圧に変換する。そして、ソースドライバ13は、n個の画素データ片の夫々に対応した階調電圧を有するn個の階調電圧を、表示デバイス20のソースラインS1~Snに夫々供給する。尚、ソースドライバ13は、単一の半導体ICチップ、或いは複数の半導体ICチップに分割して形成されている。
【0029】
図2は、表示ドライバとしてのソースドライバ13の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、ソースドライバ13は、データラッチ部131、DA(digital to analog)変換部132、及び階調電圧生成部133を含む。
【0031】
データラッチ部131は、半導体ICチップの外部端子TP1で上記した画像データ信号VPDを受ける。データラッチ部131は、当該画像データ信号VPDに含まれる、核画素の輝度レベルを例えば8ビットで表す画素データ片を1水平走査分のn個毎に、画素データP1~PnとしてDA変換部132に供給する。
【0032】
階調電圧生成部133は、表示デバイス20のガンマ特性に対する逆ガンマ特性に沿った階調電圧V0~V255を生成し、夫々を配線L0~L255を介してDA変換部132に供給する。
【0033】
更に、階調電圧生成部133は、配線L0~L255各々に短絡故障が生じているか否かを判定させるためのテスト基準電圧VREF及びテスト階調電圧GMA0を生成する。階調電圧生成部133は、テスト基準電圧VREを半導体ICチップの外部端子TP3を介して外部出力すると共に、テスト階調電圧GMA0を半導体ICチップの外部端子TP4を介して外部出力する。
【0034】
DA変換部132は、n個のデコーダ(DEC)を含む。各デコーダ(DEC)は、画素データP1~Pnの各々に対応して設けられており、配線L0~L255を介して階調電圧V0~V255を受ける。各デコーダは、階調電圧V0~V255のうちから、自身が受けた画素データPが示す輝度レベルに対応した1つの階調電圧を選択し、これを利得1で増幅したものを表示デバイス20の対応するソースラインDに印加する。
【0035】
すなわち、DA変換部132は、画素データP1~Pn毎に、階調電圧V0~V255のうちから画素データPの輝度レベルに対応した1つの階調電圧を選択する。そして、DA変換部132は、画素データP1~Pn毎に選択して得たn個の階調電圧を夫々利得1で増幅したものを階調電圧D1~Dnとして表示デバイス20のソースラインS1~Snに印加する。
【0036】
次に、上記した階調電圧生成部133の構成について詳細に説明する。
【0037】
図3は、階調電圧生成部133の内部構成を示す回路図である。
【0038】
図3に示すように、階調電圧生成部133は、アンプAM1及びAM2、アンプGA1~GA9、ラダー抵抗LD1及びLD2、セレクタSEL1及びSEL2、及び、テストレジスタTRGを有する。
【0039】
アンプAM1は、最低の階調に対応した電圧値を有する電圧VG1を受け、当該電圧VG1を利得1で増幅して得た電圧を第1の電圧としてラダー抵抗LD1の一端に印加する。
【0040】
アンプAM2は、最高の階調に対応した電圧値を有する電圧VG9を受け、当該電圧VG9を利得1で増幅して得た電圧を第2の電圧としてラダー抵抗LD1の他端に印加する。
【0041】
ラダー抵抗LD1は、直列接続された複数の抵抗からなる抵抗群を含み、その抵抗群の一端の抵抗で上記した第1の電圧を受け、他端の抵抗で第2の電圧を受ける。これにより、ラダー抵抗LD1は、当該第1の電圧及び第2の電圧間を分圧し、自身の抵抗同士の接続点各々のうちで7カ所で生じた、表示デバイス20の逆ガンマ特性に沿った各電圧を第2~第8の基準電圧VG2~VG8として、アンプGA2~GA8に夫々供給する。
【0042】
更に、ラダー抵抗LD1は、自身の抵抗同士の接続点各々のうちで上記した7箇所とは異なる8箇所の接続点の電圧をテスト基準電圧e1~e8としてセレクタSEL1に供給する。
【0043】
アンプGA1は、上記した電圧VG1を第1の基準電圧として受け、当該第1の基準利得1で増幅した電圧を出力電圧として、ラダー抵抗LD2に含まれる抵抗群のうちの一端の抵抗に印加する。尚、アンプGA1の出力電圧は、最低の階調に対応した階調電圧V0となる。
【0044】
アンプGA9は、上記した電圧VG9を第9の基準電圧として受け、当該第9の基準電圧を利得1で増幅した電圧を出力電圧として、ラダー抵抗LD2に含まれる抵抗群のうちの他端の抵抗に印加する。尚、アンプGA9の出力電圧は、最高の階調に対応した階調電圧V255となる。
【0045】
アンプGA2~GA8は、夫々が受けた第2~第8の基準電圧VG2~VG8を、夫々個別に利得1で増幅して得られた7つの出力電圧をラダー抵抗LD2に供給する。
【0046】
ラダー抵抗LD2は、直列接続された複数の抵抗からなる抵抗群を含み、複数の抵抗同士の接続点のうちの9カ所の接続点で、上記したアンプGA1~GA9から出力された9個の出力電圧、つまり第1~第9の基準電圧を夫々受ける。
【0047】
これにより、ラダー抵抗LD2は、自身の複数の抵抗のうちの255個の抵抗の各接続点で生じた電圧を階調電圧V0~V255として出力する。
【0048】
更に、ラダー抵抗LD2は、自身の複数の抵抗接続点のうちの8カ所の抵抗接続点で生じた各電圧を、テスト階調電圧f1~f8としてセレクタSEL2に供給する。
【0049】
具体的には、ラダー抵抗LD2は、アンプGA1~GA9各々の出力電圧において互いに隣接する一対の出力電圧各々の出力電圧同士の中間又は中間に最近傍の電圧値を夫々が有する合計8カ所の抵抗接続点各々の電圧を、テスト階調電圧f1~f8とする。
【0050】
例えば、ラダー抵抗LD2は、互いに隣接するアンプGA1及びGA2各々の出力電圧同士の中間又は中間の電圧に最も近い電圧が生じる1つの抵抗接続点の電圧を、テスト階調電圧f1とする。また、ラダー抵抗LD2は、互いに隣接するアンプGA2及びGA3各々の出力電圧同士の中間又は中間の電圧に最も近い電圧が生じる1つの抵抗接続点の電圧を、テスト階調電圧f2とする。更に、ラダー抵抗LD2は、互いに隣接するアンプGA3及びGA4各々の出力電圧同士の中間又は中間の電圧に最も近い電圧が生じる1つの抵抗接続点の電圧を、テスト階調電圧f3とする。
【0051】
ところで、ラダー抵抗LD1は、自身の複数の抵抗接続点のうちで、テスト階調電圧f1~f8の各々と同一の電圧が生じる8カ所の抵抗接続点での各電圧を、上記したテスト基準電圧e1~e8としてセレクタSEL1に供給する。
【0052】
つまり、ラダー抵抗LD1でもラダー抵抗LD2と同様に、アンプGA1~GA9各々の出力電圧において互いに隣接する一対の出力電圧各々の出力電圧同士の中間又は中間に最近傍の電圧値を夫々が有する合計8カ所の抵抗接続点各々の電圧を、テスト基準電圧e1~e8とする。
【0053】
セレクタSEL1は、前述したようにラダー抵抗LD1の8カ所の抵抗接続点で生じたテスト基準電圧e1~e8のうちから、選択信号SC1~SC8に応じた1つを選択し、これをテスト基準電圧VREFとし、これを外部端子TP3を介して出力する。
【0054】
セレクタSEL2は、前述したようにラダー抵抗LD2の8カ所の抵抗接続点で生じたテスト階調電圧f1~f8のうちから、選択信号SC1~SC8に応じた1つを選択し、これをテスト階調電圧VMA0とし、これを外部端子TP4を介して出力する。
【0055】
セレクタSEL1及びSEL2は同一の内部構成を有する。
【0056】
図4は、セレクタSEL1及びSEL2各々に共通の内部構成の一例を示す回路図である。図4に示すように、セレクタSEL1(SEL2)は、夫々がトランスミッションゲートTG及びインバータIVを含むスイッチ回路SW1~SW8を有する。スイッチ回路SW1~SW8は、図4に示すように、テスト基準電圧e1~e8(テスト階調電圧f1~f8)及び選択信号SC1~SC8を夫々個別に受ける。
【0057】
スイッチ回路SW1~SW8各々のトランスミッションゲートTGは、自身が受けた選択信号SCが論理レベル0の場合はオフ状態、論理レベル1の場合はオン状態となる。スイッチ回路SW1~SW8各々のトランスミッションゲートTGは、オン状態となった場合に、自身が受けたテスト基準電圧e(テスト階調電圧f)をラインLPを介して、テスト基準電圧VREF(テスト階調電圧GMA0)として出力する。
【0058】
図3に示すテストレジスタTRGには、テスト基準電圧e1~e8のうちの1つと、テスト階調電圧f1~f8のうちの1つと、を夫々セレクタSEL1及びSEL2で選択させるように指定する選択信号SC1~SC8が予め記憶されている。テストレジスタTRGは、かかる選択信号SC1~SC8をセレクタSEL1及びSEL2に供給する。例えば、セレクタSEL1でテスト基準電圧e1を選択させ、セレクタSEL2でテスト階調電圧f1を選択させる場合、論理レベル1の選択信号SC1、論理レベル0の選択信号SC2~SC8をテストレジスタTRGに記憶させておく。
【0059】
これにより、テスト基準電圧e1がテスト基準電圧VREFとして外部端子TP3から出力されると共に、テスト階調電圧f1がテスト階調電圧GMA0として外部端子TP4から出力される。
【0060】
尚、テスト基準電圧e1~e8を1つずつ順にテスト基準電圧VREFとして出力させると共に、テスト階調電圧f1~f8を1つずつ順にテスト基準電圧VREFとして出力させるような選択信号SC1~SC8の系列をテストレジスタTRGに記憶させても良い。
【0061】
図5は、このような選択信号SC1~SC8の系列がテストレジスタTRGに記憶されている場合に、テストレジスタTRGが出力する選択信号SC1~SC8と、テスト基準電圧VREF及びテスト階調電圧GMA0の状態と、を表すタイムチャートである。
【0062】
ここで、ラダー抵抗LD2で生成された階調電圧V0~V255を各デコーダ回路に伝送する配線L0~L255の中に短絡した配線が存在しなければ、図5に示すテスト基準電圧e1~e8は、夫々に対応するテスト階調電圧f1~f8と等しくなる。
【0063】
つまり、テスト基準電圧e1の電圧値はテスト階調電圧f1の電圧値と一致し、テスト基準電圧e2の電圧値はテスト階調電圧f2の電圧値と一致する。また、テスト基準電圧e3の電圧値はテスト階調電圧f3の電圧値と一致し、テスト基準電圧e4の電圧値はテスト階調電圧f4の電圧値と一致する。また、テスト基準電圧e5の電圧値はテスト階調電圧f5の電圧値と一致し、テスト基準電圧e6の電圧値はテスト階調電圧f6の電圧値と一致する。更に、テスト基準電圧e7の電圧値はテスト階調電圧f7の電圧値と一致し、テスト基準電圧e8の電圧値はテスト階調電圧f8の電圧値と一致する。
【0064】
しかしながら、階調電圧V0~V255を伝送する配線L0~L255の中に短絡した配線が存在する場合、テスト階調電圧f(t)(tは1~8の整数)はその短絡の影響を受ける。つまり、本来、テスト基準電圧e(t)と同一の電圧値であるべきテスト階調電圧f(t)の電圧値が、テスト基準電圧e(t)の電圧値と一致しなくなる。
【0065】
そこで、半導体ICチップの外部端子TP3から出力されたテスト基準電圧VREFと、外部端子TP4から出力されたテスト階調電圧GMA0とが一致しているか否かを判定することで、階調電圧を伝送する配線に短絡故障が生じているか否かを確認することが可能となる。つまり、ソースドライバ13が形成されている半導体ICチップが表示デバイス20と接続された状態で、当該半導体ICチップ内に形成されている階調電圧伝送用の複数の配線に短絡故障が生じているか否かをテストすることが可能となる。
【0066】
尚、上記実施例では、第1~第9の基準電圧を夫々9個のアンプGA1~GA9で増幅し、夫々の出力電圧がラダー抵抗LD2の複数の抵抗の接続点各々のうちの9カ所の接続点に印加することで256階調分の階調電圧V0~V256を生成している。また、上記実施例では、第1のセレクタSEL1は、ラダー抵抗LD1に含まれる抵抗同士による8カ所の接続点の各々で生じた電圧をテスト基準電圧e1~e8として受け、そのうちから1つを選択してテスト基準電圧VREFとして出力している。更に、第2のセレクタSEL2は、ラダー抵抗に含まれる抵抗同士による8カ所の接続点各々の電圧のうちから、セレクタSEL1が選択した1つの電圧と同一の電圧値を有する1つの電圧を選択し、これをテスト開階調電圧GMA0として出力している。
【0067】
しかしながら、基準電圧の数、当該基準電圧を夫々個別に増幅するアンプの数、階調電圧の数、セレクタSEL1及びSEL2が夫々受ける電圧の数は、上記した数に限定されない。
【0068】
要するに、階調電圧生成部133としては、以下の第1及び第2のラダー抵抗、複数のアンプ、第1及び第2のセレクタを含むものであれば良い。
【0069】
すなわち、第1のラダー抵抗(LD1)は、一端の抵抗が第1の電圧(VG1)を受け他端の抵抗が第2の電圧(VG9)を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第1抵抗群を含む。
【0070】
複数のアンプ(GA2~GA8)は、各々が、第1抵抗群(LD1)の抵抗同士の複数の接続点のうちの一群の接続点の各々に接続されており、この一群の接続点各々の電圧(VG2~VG8)を個別に増幅する。第2のラダー抵抗(LD2)は、一端の抵抗が第1の電圧(VG1)を受け他端の抵抗が第2の電圧(VG9)を受ける直列に接続された複数の抵抗からなる第2抵抗群を含む。この第2抵抗群の抵抗同士の接続点のうちの一群の接続点の各々に複数のアンプ(GA2~GA8)各々の出力が接続されており、第2抵抗群の各抵抗の接続点の電圧を第1~第kの階調電圧(V0~V255)として出力する。
【0071】
第1のセレクタ(SEL1)は、第1抵抗群(LD1)の抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧(e1~e8)のうちから1の電圧を選択し、これをテスト基準電圧(VREF)として出力する。第2のセレクタ(SEL2)は、第2抵抗群(LD2)の抵抗同士の複数の接続点と接続されており、当該複数の接続点各々の電圧(f1~f8)のうちから第1のセレクタ(SEL1)が選択した1の電圧と同一の電圧値を有する1の電圧を選択し、これをテスト階調電圧(GMA0)として出力する。
【0072】
また、上記実施例では、半導体ICチップの外部で、テスト基準電圧VREFと、テスト階調電圧GMA0とに基づき短絡故障の判定を行っているが、このような短絡故障判定を行う回路を半導体ICチップ内に設けても良い。
【0073】
図6は、かかる点に鑑みて為された階調電圧生成部133の他の一例を示す回路図である。尚、図6に示す構成では、外部端子TP3及びTP4を省き、短絡故障判定回路としてコンパレータCM0及び外部端子TP5を新たに設けた点を除く他の構成は、図3に示すものと同一である。
【0074】
コンパレータCM0は、テスト基準電圧VREFと、テスト階調電圧GMA0とが同一であれば短絡故障無しを表す論理レベル0の故障判定信号VDTを、半導体ICチップの外部端子TP5を介して外部出力する。一方、テスト基準電圧VREFと、テスト階調電圧GMA0とが不一致である場合には、コンパレータCM0は、短絡故障有りを表す論理レベル1の故障判定信号VDTを外部端子TP5を介して外部出力する。
【0075】
また、図6に示す一例では、テスト基準電圧VREFと、テスト階調電圧GMA0との差が僅かな場合でも、両者が一致していなければ短絡故障であると判定される。しかしながら、電圧に生じる誤差分を考慮した場合、コンパレータCM0は、テスト階調電圧f(t)とテスト基準電圧e(t)との差が予め設定した許容範囲内であれば短絡故障無し、この許容範囲外である場合に短絡故障有りと判定するようにしても良い。
【0076】
図7は、階調電圧生成部133の他の一例を示す回路図である。尚、図7に示す構成では、セレクタSEL1に代えてセレクタSELa及びSELbを採用し、新たにオアゲートOR、コンパレータCM1及びCM2を追加した点を除く他の構成は、図3に示すものと同一である。
【0077】
セレクタSELaは、ラダー抵抗LD1における複数の抵抗接続点のうちの8カ所での各電圧を、テスト基準電圧a1~a8として受ける。尚、テスト基準電圧a1~a8の各々は、上記したテスト基準電圧e1~e8各々の1階調分だけ低い電圧値を有する。すなわち、テスト基準電圧a(t)(tは1~8の整数)の電圧値は、テスト基準電圧e(t)よりも夫々1階調分だけ低い電圧値を有する。
【0078】
セレクタSELaは、テスト基準電圧a1~a8のうちから、選択信号SC1~SC8に応じた1つを選択し、これを低側リミット電圧LDEとしてコンパレータCM1に供給する。端子に供給する。
【0079】
セレクタSELbは、ラダー抵抗LD1における複数の抵抗接続点のうちの8カ所で生じた各電圧を、テスト基準電圧b1~b8として受ける。尚、テスト基準電圧b1~b8の各々は、上記したテスト基準電圧e1~e8各々の1階調分だけ高い電圧値を有する。すなわち、テスト基準電圧b(t)の電圧値は、テスト基準電圧e(t)よりも夫々が1階調分だけ高い電圧値を有する。
【0080】
セレクタSELbは、テスト基準電圧b1~b8のうちから、選択信号SC1~SC8に応じた1つを選択し、これを高側リミット電圧HDEとしてコンパレータCM2に供給する。
【0081】
コンパレータCM1は、セレクタSEL2から出力されたテスト階調電圧GMA0と、低側リミット電圧LDEとの大小比較を行う。ここで、テスト階調電圧GMA0が低側リミット電圧LDEより大きい場合には、コンパレータCM1は、当該テスト階調電圧GMA0が低電圧側の許容範囲内にあることを示す論理レベル0の信号をオアゲートORに供給する。一方、テスト階調電圧GMA0が低側リミット電圧LDE以下である場合には、コンパレータCM1は、当該テスト階調電圧GMA0が低電圧側の許容範囲外にあることを示す論理レベル1の信号をオアゲートORに供給する。
【0082】
コンパレータCM2は、テスト階調電圧GMA0と、高側リミット電圧HDEとの大小比較を行う。ここで、テスト階調電圧GMA0が高側リミット電圧LDEより小さい場合には、コンパレータCM2は、当該テスト階調電圧GMA0が高電圧側の許容範囲内にあることを示す論理レベル0の信号をオアゲートORに供給する。一方、テスト階調電圧GMA0が高側リミット電圧HDE以上である場合には、コンパレータCM2は、当該テスト階調電圧GMA0が高電圧側の許容範囲外にあることを示す論理レベル1の信号をオアゲートORに供給する。
【0083】
オアゲートORは、コンパレータCM1及びCM2から共に論理レベル0の信号を受けた場合にだけ、短絡故障無しを表す論理レベル0の故障判定信号VDTを、半導体ICチップの外部端子TP5を介して外部出力する。一方、コンパレータCM1及びCM2のうちの少なくとも一方から論理レベル1の信号を受けた場合には、オアゲートORは、短絡故障有りを表す論理レベル1の故障判定信号VDTを、半導体ICチップの外部端子TP5を介して外部出力する。
【0084】
よって、図7に示す構成によれば、テスト階調電圧GMA0が許容範囲内、つまり低側リミット電圧LDEから高側リミット電圧HDEの範囲内に含まれていれば短絡故障無しと判定され、この範囲内に含まれていない場合にだけ短絡故障有りと判定される。
【0085】
よって、図7に示す構成によれば、このような短絡故障判定回路を半導体ICチップの外部に設ける必要がなくなるので、短絡故障を検出するためのテストが容易化される。
【符号の説明】
【0086】
13 ソースドライバ
20 表示デバイス
132 DA変換部
133 階調電圧生成部
134 出力部
CM0~CM2 コンパレータ
LD1、LD2 ラダー抵抗
OR オアゲート
SEL1、SEL2 セレクタ
TRG テストレジスタ
GA1~GA9 アンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7