(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】シリコンベース誘電体への選択的堆積のための方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/04 20060101AFI20221019BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20221019BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20221019BHJP
C23C 16/02 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
C23C16/04
H01L21/318 A
H01L21/31 C
C23C16/02
(21)【出願番号】P 2020503730
(86)(22)【出願日】2018-07-17
(86)【国際出願番号】 US2018042472
(87)【国際公開番号】W WO2019023001
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-03-18
(32)【優先日】2017-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】サリー マーク
(72)【発明者】
【氏名】ブーヤン バスカー ジョティ
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-287915(JP,A)
【文献】国際公開第2017/048911(WO,A1)
【文献】特表2018-506186(JP,A)
【文献】特表2017-528597(JP,A)
【文献】特表2013-520028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/04
H01L 21/318
H01L 21/31
C23C 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素終端を備えた第1の表面と、水酸化物終端を備えた第2の表面と、を有する基板を窒化剤に曝露して、アミン終端された第1の表面を形成するステップと、
前記アミン終端された第1の表面を、前記水酸化物終端を備えた第2の表面ではなく、前記アミン終端された第1の表面と反応することができるブロッキング分子に曝露して、前記第1の表面に、前記水酸化物終端を備えた第2の表面とは選択的に反応し、前記第1の表面とは反応しないよう、
原子層堆積または化学気相成長プロセス中の表面反応をブロックするブロッキング層を形成するステップと、
を含
み、
前記ブロッキング分子がウンデカナールを含む方法。
【請求項2】
前記第1の表面がシリコンを含み、前記第2の表面がシリコン誘電体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記窒化剤がアンモニア、ヒドラジンのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ブロッキング分子がアルデヒドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ブロッキング分子が約1~約20個の範囲の炭素原子を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ブロッキング分子が約6~約20個の範囲の炭素原子を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の表面に膜を選択的に堆積させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の表面に層を堆積させた後、前記第1の表面から前記ブロッキング層を除去するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ブロッキング層を除去するステップが前記ブロッキング層を酸化剤に曝露するステップを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化剤が酸素プラズマ、オゾン、高温酸素アニール、過酸化物、または水のうちの1つまたは複数を含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の表面に層を堆積させた後、前記ブロッキング層が前記第1の表面から除去されない、請求項
7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、膜を選択的に堆積させるための方法に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、膜を、水素終端シリコン表面ではなく、シリコンベース誘電体に選択的に堆積させる方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
半導体業界は、ナノスケール特徴の急速なスケーリングを伴うデバイスの小型化の追求において多くの難題に直面している。そのような問題には、複数のリソグラフィ工程およびエッチングを伴う複雑なデバイス製造プロセスの導入が含まれる。さらに、半導体業界は、複雑なアーキテクチャをパターニングするために高コストのEUVに代わる低コストの代替品を望んでいる。デバイスの小型化の流れを維持し、かつチップ製造コストを低く抑えるために、選択的堆積は、統合スキームを簡略化することによって高価なリソグラフィステップを削除できる可能性があるため、有望であることが示された。
【0003】
材料の選択的堆積は、様々なやり方で達成することができる。例えば、一部のプロセスは、表面の化学的性質のみに基づいて、表面に対する固有の選択性を有することがある。これらのプロセスは、かなりまれであり、通常、金属や誘電体など、表面エネルギーが大幅に異なる表面を有する必要がある。表面が類似している場合(SiO2対Si-H終端またはSiN)は、一方の表面とは選択的に反応し、もう一方の表面とは反応せずに、ALDまたはCVDプロセス中のあらゆる表面反応を効果的にブロックする表面処理を用いることによって表面を選択的にブロックする必要がある。
【0004】
可能にすべき最も困難な選択成長プロセスの1つは、(水素終端)Si上に成長させずに、(低K、SiO、SiONなどの)誘電体上に成長させることである。この難題は、ブロッキング分子を比較的強いシリコン水素結合とうまく反応させることができないことから生じる。Si(H終端)をうまくブロックし、その他の誘電体表面をブロックしないプロセスフローが可能になると、多くの統合スキーム(選択的キャップ、選択的拡散バリア、選択的エッチング停止、自己整合)がデバイスメーカに開放され、したがって当分野の発展を大幅に前進させる可能性がある。
【0005】
したがって、膜を誘導体の表面に選択的に堆積させる方法が当技術分野で継続的に必要である。
【発明の概要】
【0006】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、水素終端を備えた第1の表面および水酸化物終端を備えた第2の表面を有する基板を窒化剤に曝露して、アミン終端された第1の表面を形成するステップを含む方法を対象とする。アミン終端された第1の表面は、ブロッキング分子に曝露されて、第1の表面にブロッキング層を形成する。
【0007】
本開示のさらなる実施形態は、水素終端を備えた第1の表面を有する第1の材料と、水酸基終端を備えた第2の表面を有する第2の材料と、を含む基板を用意するステップを含む方法を対象とする。基板は、第1の表面の水素終端と反応してアミン終端された第1の表面を形成する核種を含む窒化剤に曝露される。アミン終端された第1の表面は、ブロッキング分子に曝露されて、第1の表面にブロッキング層を形成する。
【0008】
本開示のさらなる実施形態は、膜を堆積させる方法を対象とする。水素終端を備えた第1の表面を有するシリコンを含む第1の材料と、水酸基終端を備えた第2の表面を有する酸化ケイ素を含む第2の材料と、を含む基板が用意される。基板は、第1の表面の水素終端と反応してアミン終端された第1の表面を形成するアンモニアを含む窒化剤に曝露される。アミン終端された第1の表面は、ウンデカナールを含むブロッキング分子に曝露されて、第1の表面にブロッキング層を形成する。膜は、第2の表面に選択的に堆積する。
【0009】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、一部が添付図面に示される実施形態を参照することによって上で要約された本開示のより具体的な説明を行うことができる。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定していると考えられるべきではなく、その理由は本開示が他の等しく効果的な実施形態を受け入れることができるためであることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による選択的堆積プロセスである。
【
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態に従って調製されたサンプルに対する水接触角のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態は、有機層またはハイブリッド有機/無機層から構成された分子層を選択的に堆積させる方法を提供する。様々な実施形態のプロセスは、原子層堆積(ALD)に類似した分子層堆積技法を使用して基板上に分子層を設ける。
【0012】
「基板表面」は、本明細書で使用されるように、基板の任意の部分、または膜処理が行われる基板上に形成された材料表面の部分を指す。例えば、処理を行うことができる基板表面には、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガラス、サファイアなどの材料、および金属、金属窒化物、金属合金、および他の導電性材料などの任意の他の材料が含まれる。基板は、限定することなく、半導体ウエハを含む。基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化、および/またはベークするための前処理プロセスにさらされることがある。基板自体の表面での直接的な膜処理に加えて、本発明では、開示されたいずれの膜処理ステップも、以下でより詳細に開示されるように、基板上に形成された下層に対して行うこともでき、「基板表面」という用語は、文脈が示すような下層を含むことが意図されている。したがって、例えば、膜/層または部分的な膜/層を基板表面に堆積させる場合、新しく堆積させた膜/層の露出表面が基板表面になる。基板は、直径が200mmまたは300mmのウエハ、ならびに矩形または正方形のペインなどの様々な寸法を有することができる。一部の実施形態では、基板は、剛性の別個の材料を含む。
【0013】
本明細書で使用されるような「原子層堆積」または「分子層堆積」は、基板表面に材料の層を堆積させるために、2つ以上の堆積ガスの基板への連続的な曝露を指す。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、「反応性化合物」、「反応性ガス」、「反応性核種」、「前駆体」、「プロセスガス」、「堆積ガス」などの用語は、化学反応(例えば、置換、脱離、添加、酸化、還元)で基板表面または基板表面の材料と反応することができる核種を備えた物質を意味するために区別なく使用される。基板または基板の一部は、処理チャンバの反応ゾーンに導入される2つ以上の反応性化合物に連続的に曝露される。時間領域プロセスでは、各反応性化合物への曝露は、各化合物を基板表面と反応させ、次いで、処理チャンバからパージさせることができるように、時間遅延によって分離される。空間プロセスでは、基板表面の異なる部分、または基板表面の材料は、基板上の任意の所与の点が実質的に同時に2つ以上の反応性化合物に曝露されないように、2つ以上の反応性化合物に同時に曝露される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、この点に関して使用される「実質的に」という用語は、当業者によって理解されるように、基板の小さな部分が拡散により複数の反応性ガスに同時に曝露される可能性があること、および同時の曝露が意図されていないことを意味する。
【0014】
時間領域プロセスの一態様では、第1の反応性ガス(すなわち、第1の前駆体または化合物A)が反応ゾーンにパルスされ、その後第1の時間遅延が続く。次に、第2の前駆体または化合物Bが反応ゾーンにパルスされ、その後第2の遅延が続く。各時間遅延中に、アルゴンなどのパージガスが処理チャンバに導入され、反応ゾーンをパージするか、さもなければ反応ゾーンからあらゆる残留反応性化合物または反応副生成物を除去する。あるいは、パージガスは、反応性化合物のパルス間の時間遅延中にパージガスのみが流れるように、堆積プロセス全体にわたって絶えず流れてもよい。あるいは、望ましい分子層または層厚さが基板表面上に形成されるまで、反応性化合物がパルスされる。いずれのシナリオでも、化合物A、パージガス、化合物B、そしてパージガスをパルスするプロセスは、サイクルである。サイクルは、化合物Aまたは化合物Bのいずれかで始まり、所定の厚さを有する膜が達成されるまでサイクルのそれぞれの順序を続けることができる。
【0015】
空間プロセスの一実施形態では、第1の反応性ガスおよび第2の反応性ガスは、同時に反応ゾーンに供給されるが、不活性ガスカーテンおよび/または真空カーテンによって分離される。基板は、基板上の任意の所与の点が、同時にではないが、第1の反応性ガスおよび第2の反応性ガスに曝露されるようにガス供給装置に対して移動する。
【0016】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、様々な膜を、水素終端されたシリコン表面に実質的に堆積させず、(SiO2、SiON、および低Kなどの)誘電体に選択的に堆積させる方法を有利に提供する。一部の実施形態では、選択的堆積は、Si-NH2結合と選択的に反応して水素終端されたシリコン表面に安定化処理された表面を形成するブロッキング分子と結合した選択的表面窒化ステップを組み合わせることによって有利に達成される。
【0017】
本開示の1つまたは複数の実施形態の一般的な表面メカニズムを実行して、Si-H表面をブロックし、その後堆積を停止または最小限に抑えることができる。一部の実施形態では、水素終端されたSi表面は、NH3熱アニーリングまたはNH3プラズマ処理を介して選択的に窒化される。水素終端されたSi表面は、350℃を超える温度でNH3の下でアニールされ、Si-Hの濃度を下げ、Si-NH2核種の濃度を上げることができる。いかなる特定の動作理論によっても拘束されることなく、(SiO2、SiOC、SiONなどの)シリコンベース誘電体のNH3熱アニーリングは、Si-O結合を切断して、Si-NH2結合を形成することが熱力学的に有利ではないため、Si-NH2表面基の形成にはつながらないと考えられる。
【0018】
選択的窒化が完了すると、Si-NH2基は、Si-OHではなくSi-NH2との反応性を有するブロッキング分子と反応することができる。このカテゴリーに適合する分子には、ケトン、アルデヒド、塩化アシル、無水物、およびアルコールが含まれるが、これらに限定されない。これらの分子は、気相供給により、溶液の形態またはそのままの形態で基板に導入され得る。ウンデカナールは、Si-OHとは反応せず、シッフ塩基反応メカニズムを介して、Si-NH2基と選択的に反応して、Si-NH2を選択的に安定化処理することが観察された。選択的表面安定化処理後、ALDプロセスを用いてシリコンベース誘電体に膜を選択的に成長させることができる。
【0019】
図1を参照すると、本開示の1つまたは複数の実施形態は、膜を堆積させる方法を対象とする。本方法は、第1の材料20および第2の材料30を含む基板10を用意するステップを含む。このように使用される場合、「基板を用意する」という用語は、基板が処理のための位置(例えば、処理チャンバ内)に配置されることを意味する。第1の材料20は、水素終端21を備えた第1の表面を有する。第2の材料30は、水酸化物終端31を備えた第2の表面を有する。
【0020】
第1の材料20は、シリコンを含むが、これに限定されない任意の適切な材料とすることができる。一部の実施形態では、第1の材料20は、シリコンから本質的に構成され、第1の表面は、Si-H終端表面である。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、指定された組成物から「本質的に構成される」材料とは、対象材料の表面積の約95%、98%、または99%以上のR基が指定された組成物であることを意味する。
【0021】
第2の材料30は、シリコン誘電体(例えば、酸化ケイ素)を含むが、これに限定されない任意の適切な材料とすることができる。一部の実施形態では、第2の材料30は、酸化ケイ素から本質的に構成されている。
【0022】
基板10、第1の材料20および第2の材料30は、窒化剤50に曝露される。窒化剤50は、第1の材料20の第1の表面上の水素終端21と反応して、材料20上にアミン終端22された第1の表面を形成する。アミン終端22された表面は、-NH、-NH2の任意の組合せ、または窒素と水素原子の非化学量論的な組合せとすることができる。アミン終端された表面は、後続の化学曝露においてシッフ塩基型反応にさらすことができる。
【0023】
窒化剤50は、水素終端21と反応することができる任意の適切な化合物とすることができる。一部の実施形態では、窒化剤は、アンモニア、ヒドラジン、アンモニアプラズマ、またはヒドラジンプラズマのうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、窒化剤50は、熱アンモニアを含む。このように使用される場合、「熱アンモニア」という用語は、約200℃以上の温度で、プラズマなしで基板表面に曝露されるアンモニアを意味する。一部の実施形態では、窒化剤50は、アンモニアから本質的に構成されている。この点に関して使用される場合、「本質的に構成される」という用語は、(不活性ガス、希釈剤、または担体核種を含まない)窒化剤の反応性成分が、モルベースで、指定された核種の約95%、98%、または99%以上であることを意味する。一部の実施形態では、窒化剤は、熱アンモニアから本質的に構成されている。
【0024】
一部の実施形態では、窒化剤は、プラズマを含む。プラズマは、導電結合プラズマ(CCP)であっても、誘導結合プラズマ(ICP)であってもよい。プラズマは、直接プラズマであっても、遠隔プラズマであってもよい。一部の実施形態では、プラズマは、遠隔プラズマである。一部の実施形態では、プラズマは、ソフトラジカルプラズマであり、これは、約2:1以上のプラズマ核種のイオン:ラジカルを含むプラズマ核種があることを意味する。
【0025】
窒化剤は、気相成分として、溶液として、またはそのままで基板に曝露され得る。一部の実施形態では、窒化剤は、処理チャンバ(例えば、原子層堆積チャンバ)で供給される気相成分である。処理チャンバ内の圧力は、約1トール~約800トールの範囲とすることができる。処理チャンバ内の温度は、約室温(25℃)~約700℃の範囲とすることができる。一部の実施形態では、窒化剤は、湿式化学プロセスにおいて、溶液またはそのままで基板に曝露される。
【0026】
窒化後、アミン終端22された表面は、ブロッキング分子60に曝露され得る。ブロッキング分子は、水酸化物終端31された表面ではなく、アミン終端22された表面と反応することができる任意の適切な化合物とすることができる。ブロッキング分子60は、アミン終端22された表面と反応して、第1の材料20上にブロッキング層23を形成する。
【0027】
一部の実施形態のブロッキング分子60には、カルボン酸、アシルハロゲン化物、ケトン、無水物、アルコール、またはアルデヒドのうちの1つまたは複数が含まれる。一部の実施形態では、ブロッキング分子60は、アルデヒドを含む。一部の実施形態では、ブロッキング分子60は、アルデヒドから本質的に構成されている。このように使用される場合、「本質的に構成される」という用語は、(不活性ガス、希釈剤、または担体核種を含まない)ブロッキング分子の反応性成分が、モルベースで、指定された核種の約95%、98%、または99%以上であることを意味する。一部の実施形態では、ブロッキング分子60は、カルボン酸を含む。一部の実施形態では、ブロッキング分子60は、カルボン酸から本質的に構成されている。一部の実施形態では、ブロッキング分子60は、アシルハロゲン化物を含む。一部の実施形態では、ブロッキング分子60は、アシルハロゲン化物から本質的に構成されている。一部の実施形態では、ブロッキング分子60は、ケトンを含む。一部の実施形態では、ブロッキング分子60は、ケトンから本質的に構成されている。一部の実施形態では、ブロッキング分子60は、無水物を含む。一部の実施形態では、ブロッキング分子60は、無水物から本質的に構成されている。一部の実施形態では、ブロッキング分子60は、アルコールを含む。一部の実施形態では、ブロッキング分子60は、アルコールから本質的に構成されている。
【0028】
図1に示すブロッキング分子およびブロッキング層23は、Lで示されたヘッド基と、テールと、を有する。一部の実施形態のテールは、置換または非置換されていてもよい分枝あるいは非分枝炭素原子の鎖である。L基は、アミン終端22された表面と反応することができる任意のリガンドまたは化学核種を表す。一部の実施形態では、ブロッキング分子は、約1~約20個の範囲の炭素原子を有する核種を含む。一部の実施形態では、ブロッキング分子は、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16個以上の炭素原子かつ約20個以下の炭素原子を有する核種を含む。一部の実施形態では、ブロッキング分子は、約6~約20個の範囲の炭素原子を有する。ある特定の実施形態では、ブロッキング分子は、ウンデカナールを含み、またはウンデカナールから本質的に構成されている。
【0029】
ブロッキング層23の形成後、第2の材料30上の膜40の選択的堆積70を行うことができる。膜40は、当業者に知られている任意の適切な堆積技法によって堆積させることができる。適切な技法には、化学気相堆積、原子層堆積、または物理的気相堆積が含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
膜40の形成後、ブロッキング層23は、第1の材料20上に残されてもよく、除去されてもよい。ブロッキング層23は、基本的に単層の材料であるため、プロセス条件および堆積させる後続の膜に応じて、さらなる処理を妨げない可能性がある。一部の実施形態では、ブロッキング層23は、さらなる処理の前に除去される。ブロッキング層23は、第2の材料30に堆積させた膜40を実質的に損傷することなくブロッキング層23を除去することができる任意の適切な技法によって除去することができる。適切な技法には、酸化またはエッチングが含まれるが、これらに限定されない。酸化は、酸化剤(例えば、酸素プラズマ、オゾン、高温酸素アニール、過酸化物、または水)への曝露によるものであってもよい。
【実施例】
【0031】
ブロッキング分子としてウンデカナールを使用する水素終端されたシリコンの選択的なブロッキング。
【0032】
複数の水素終端されたシリコン基板(希釈HFに1分間浸す)およびSiO2基板を堆積チャンバにロードし、330℃で約15分間、20~30トールの圧力のNH3ガスで処理した。NH3アニール後、基板をロードロックに移動させ、約30分間冷却した(約23℃)。基板は、すぐにグローブボックスに配置され、以下のやり方のいずれかで処理された。(1)65℃で16時間、20mMのDMSO中のウンデカナール溶液に浸漬し、溶液から取り出し、室温まで冷却し、次いで、IPAですすいだ後、N2で乾燥するか、または(2)65℃で16時間、DMSOに浸漬し、溶液から取り出し、室温まで冷却し、次いで、IPAですすいだ後、N2で乾燥した。
【0033】
乾燥後に表面の水接触角を測定した。上で調製した基板の表面水接触角を測定することに加えて、アニールチャンバに配置する前、およびアニーリング後の基板の接触角も記録した。
図2は、1)アニーリング前(処理なし)、2)アニーリング後、3)DMSOに浸漬後、および4)ウンデカノール/DMSO溶液に浸漬後の基板の水接触角を示す。棒グラフは、窒化およびウンデカノール処理の後では、水素終端されたシリコン表面(約95
°)と二酸化ケイ素表面(約31
°)との間で水接触角(WCA)に顕著な差があったことを示しており、このことにより、水素終端された表面が、表面で安定化処理されたウンデカナール炭素鎖によって疎水性になることが示された。
【0034】
本明細書の開示は、特定の実施形態を参照して説明されたが、これらの実施形態は、本開示の原理および用途の単なる例示であることを理解されたい。本開示の精神および範囲から逸脱せずに、本開示の方法および装置に様々な変更および変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある変更および変形を含むことが意図されている。