(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】基板冷却ユニット、基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラム、および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/68 20060101AFI20221019BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20221019BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
H01L21/68 G
H01L21/68 N
H01L21/02 Z
(21)【出願番号】P 2021546607
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(86)【国際出願番号】 JP2020033693
(87)【国際公開番号】W WO2021054157
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2021-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2019167921
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 択弥
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲
(72)【発明者】
【氏名】檜山 真
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-134592(JP,A)
【文献】特表2007-537356(JP,A)
【文献】特開平6-120327(JP,A)
【文献】特開2005-251864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
H01L 21/683
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持する基板保持機構と、
前記基板保持機構を昇降させる駆動部と、
前記基板保持機構によって保持された前記基板の面に対する対向面を有する冷却プレートと、
前記基板保持機構によって保持された前記基板が昇降する空間の側方の一端に設けられ、前記基板保持機構が昇降される方向に幅を持って分布し、前記基板保持機構によって保持された前記基板の面に平行なレーザを射出するレーザ射出部と、
前記空間の側方の他端に設けられ、前記基板保持機構が昇降される方向における、前記レーザ射出部から射出されたレーザを受光する位置を示す受光位置特定情報を取得するレーザ受光部と、
前記レーザ受光部において取得された前記受光位置特定情報に基づいて、前記冷却プレートの前記対向面と、前記基板保持機構によって保持された前記基板の前記冷却プレートに対する対向面との間の距離を算出する算出部と、
を備える基板冷却ユニット。
【請求項2】
前記レーザ射出部は、前記基板保持機構が昇降される方向に所定の幅を有するレーザを射出するよう構成されている、請求項1記載の基板冷却ユニット。
【請求項3】
前記レーザ射出部は、前記基板保持機構が昇降される方向に所定の間隔で複数配列されたレーザ発振素子により構成されている、請求項1記載の基板冷却ユニット。
【請求項4】
前記レーザ射出部は、前記冷却プレートの前記対向面の高さ位置を前記レーザの分布に含むように前記レーザを照射するよう構成されている、請求項1記載の基板冷却ユニット。
【請求項5】
前記レーザ射出部は、前記基板保持機構によって保持された前記基板が昇降する高さ方向の範囲を前記レーザの分布に含むように、前記レーザを照射するよう構成されている、請求項4記載の基板冷却ユニット。
【請求項6】
前記レーザ受光部は、前記受光位置特定情報として、前記レーザの受光位置の情報を取得し、
前記算出部は、前記レーザ受光部において取得された前記受光位置の情報に基づいて、前記冷却プレートの前記対向面の高さ位置から連続する前記受光位置の幅を前記距離として算出する、請求項4又は5の何れかに記載の基板冷却ユニット。
【請求項7】
前記レーザ受光部は、前記受光位置特定情報として、前記レーザの非受光位置の情報を取得し、
前記算出部は、前記レーザ受光部において取得された前記非受光位置の情報に基づいて、前記冷却プレートの前記対向面の高さ位置から、前記非受光位置までの距離を前記距離として算出する、請求項4又は5の何れかに記載の基板冷却ユニット。
【請求項8】
前記レーザ射出部および前記レーザ受光部は、前記基板保持機構が内側に配置された冷却処理室の外側に設けられ、前記冷却処理室の側方の一端および他端にそれぞれ設けられた前記レーザを透過する窓を介して、それぞれ前記レーザの射出および受光を行う、請求項1~7の何れか1項記載の基板冷却ユニット。
【請求項9】
前記駆動部を制御して、前記基板保持機構に保持された前記基板を前記冷却プレートに近づけるように前記基板保持機構を所定の位置まで昇降させる昇降処理と、前記駆動部を制御して、前記昇降処理の後、前記基板保持機構の昇降を停止した状態を所定時間維持することで前記基板を冷却する冷却処理と、を行わせ、少なくとも前記冷却処理を行わせる際、前記算出部によって前記距離を算出する処理を行わせるように構成された制御部を備える、請求項1~8の何れか1項記載の基板冷却ユニット。
【請求項10】
前記制御部は、少なくとも前記冷却処理を行わせる間、前記算出部によって前記距離を算出する処理を継続して繰り返し行わせるように構成されている、請求項9記載の基板冷却ユニット。
【請求項11】
前記制御部は、前記冷却処理を開始する時点において算出された前記距離と、前記冷却処理を行う間継続して算出される前記距離との差分値を、前記冷却処理中に生じる前記基板の反り量として算出するように構成されている、請求項10記載の基板冷却ユニット。
【請求項12】
前記制御部は、前記算出部によって算出された前記距離が所定の閾値よりも小さくなった場合、前記駆動部を制御して、前記基板保持機構により保持された前記基板を前記冷却プレートから遠ざけるように構成されている、請求項10記載の基板冷却ユニット。
【請求項13】
前記制御部は、算出された前記差分値が所定の閾値を超えた場合、前記駆動部を制御して、前記基板保持機構により保持された前記基板を前記冷却プレートから遠ざけるように構成されている、請求項11記載の基板冷却ユニット。
【請求項14】
基板を水平に保持する基板保持機構と、前記基板保持機構を昇降させる駆動部と、前記基板保持機構によって保持された前記基板の面に対する対向面を有する冷却プレートと、前記基板保持機構によって保持された前記基板が昇降する空間の側方の一端に設けられ、前記基板保持機構が昇降される方向に幅を持って分布し、前記基板保持機構によって保持された前記基板の面に平行なレーザを射出するレーザ射出部と、前記空間の側方の他端に設けられ、前記基板保持機構が昇降される方向における、前記レーザ射出部から射出されたレーザを受光する位置を示す受光位置特定情報を取得するレーザ受光部と、前記レーザ受光部において取得された前記受光位置特定情報に基づいて、前記冷却プレートの前記対向面と、前記基板保持機構によって保持された前記基板の前記冷却プレートに対する対向面との間の距離を算出する算出部と、を備える基板冷却ユニットと、
前記基板を熱処理する処理室と、
前記処理室において処理された前記基板を前記基板冷却ユニットに搬送する基板搬送装置と、
を有する基板処理装置。
【請求項15】
前記駆動部を制御して、前記基板保持機構に保持された前記基板を前記冷却プレートに近づけるように前記基板保持機構を所定の位置まで昇降させる昇降処理と、前記駆動部を制御して、前記昇降処理の後、前記基板保持機構を停止した状態を所定時間維持することで前記基板を冷却する冷却処理と、を行わせる制御部を備え、
前記制御部は、前記算出部を制御して、少なくとも前記冷却処理を行わせる際、前記距離を算出する処理を行わせるように構成されている、請求項14記載の基板処理装置。
【請求項16】
基板を水平に保持する基板保持機構に前記基板を保持させる工程と、
前記基板保持機構によって保持された前記基板の面に対する対向面を有する冷却プレートに前記基板を近づけるように、前記基板保持機構を所定の位置まで昇降させる工程と、
前記基板保持機構を昇降させる工程の後、前記基板保持機構を停止した状態を所定時間維持することで前記基板を冷却する工程と、
前記基板保持機構によって保持された前記基板が昇降する空間の側方の一端から他端に向けて、前記基板保持機構が昇降される方向に幅を持って分布し、且つ、前記基板保持機構によって保持された前記基板の面に平行なレーザを射出するとともに、前記他端において前記レーザを受光し、前記基板保持機構が昇降される方向において前記レーザを受光した位置を示す受光位置特定情報を取得する工程と、
前記受光位置特定情報に基づいて、前記冷却プレートの前記対向面と、前記基板保持機構によって保持された前記基板の前記冷却プレートに対する対向面との間の距離を算出する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項17】
基板処理装置が備える基板冷却ユニットの基板保持機構に基板を水平に保持させる手順と、
前記基板保持機構によって保持された前記基板の面に対する対向面を有する冷却プレートに前記基板を近づけるように、前記基板保持機構を所定の位置まで昇降させる手順と、
前記基板保持機構を昇降させる工程の後、前記基板保持機構を停止した状態を所定時間維持することで前記基板を冷却する手順と、
前記基板保持機構によって保持された前記基板が昇降する空間の側方の一端から他端に向けて、前記基板保持機構が昇降される方向に幅を持って分布し、且つ、前記基板保持機構によって保持された前記基板の面に平行なレーザを射出するとともに、前記側方の他端において前記レーザを受光し、前記基板保持機構が昇降される方向において前記レーザを受光した位置を示す受光位置特定情報を取得する手順と、
前記受光位置特定情報に基づいて、前記冷却プレートの前記対向面と、前記基板保持機構によって保持された前記基板の前記冷却プレートに対する対向面との間の距離を算出する手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項18】
基板を水平に保持する基板保持機構に前記基板を保持させる工程と、
前記基板保持機構によって保持された前記基板の面に対する対向面を有する冷却プレートに前記基板を近づけるように、前記基板保持機構を所定の位置まで昇降させる工程と、
前記基板保持機構を昇降させる工程の後、前記基板保持機構を停止した状態を所定時間維持することで前記基板を冷却する工程と、
前記基板保持機構によって保持された前記基板が昇降する空間の側方の一端から他端に向けて、前記基板保持機構が昇降される方向に幅を持って分布し、且つ、前記基板保持機構によって保持された前記基板の面に平行なレーザを射出するとともに、前記他端において前記レーザを受光し、前記基板保持機構が昇降される方向において前記レーザを受光した位置を示す受光位置特定情報を取得する工程と、
前記受光位置特定情報に基づいて、前記冷却プレートの前記対向面と、前記基板保持機構によって保持された前記基板の前記冷却プレートに対する対向面との間の距離を算出する工程と、
を有する基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板冷却ユニット、基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラム、および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、成膜やアニール工程等において加熱された基板を、冷却装置に移載して冷却処理を施すことがある(例えば、特開2003-100579参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
基板の冷却処理では、基板に対して所望の冷却特性により冷却を行うことが望ましい。基板の冷却特性は、冷却部材と基板との距離など、冷却処理時の基板位置によって変化する。そのため、冷却処理時には、基板を再現性良く、正確な位置に配置することにより、所望の冷却特性に近づくように冷却を行うことが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様によれば、基板を水平に保持する基板保持機構と、前記基板保持機構を昇降させる駆動部と、前記基板保持機構によって保持された前記基板の面に対する対向面を有する冷却プレートと、前記基板保持機構によって保持された前記基板が昇降する空間の側方の一端に設けられ、前記基板保持機構が昇降される方向に幅を持って分布し、前記基板保持機構によって保持された前記基板の面に平行なレーザを射出するレーザ射出部と、前記空間の側方の他端に設けられ、前記基板保持機構が昇降される方向における、前記レーザ射出部から射出されたレーザを受光する位置を示す受光位置特定情報を取得するレーザ受光部と、前記レーザ受光部において取得された前記受光位置特定情報に基づいて、前記冷却プレートの前記対向面と、前記基板保持機構によって保持された前記基板の前記冷却プレートに対する対向面との間の距離を算出する算出部と、を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0005】
本開示における技術によれば、基板に対する冷却処理において、所望の冷却特性に近づくように冷却を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の一実施形態で用いられる基板処理装置の概略構成図であり、上面から見た水平断面で示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態で用いられる基板処理装置の概略構成図であり、側面から見た垂直断面で示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態で用いられる基板冷却ユニットの概略構成図であり、上面から見た水平断面で示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態で用いられる基板冷却ユニットの概略構成図であり、基板が基板搬入出位置にある状態を、側面から見た垂直断面で示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態で用いられる基板冷却ユニットの概略構成図であり、基板が基板冷却処理位置にある状態を、側面から見た垂直断面で示す図である。
【
図6】本開示の一実施例で用いられるレーザセンサユニットを構成する受光素子の配列を示す説明図である。
【
図7】本開示の一実施例で用いられる基板冷却ユニットの概略構成図であり、基板搬入出位置におけるレーザの射出及び受光の態様を示す説明図である。
【
図8】本開示の一実施例で用いられる基板冷却ユニットの概略構成図であり、基板冷却処理位置におけるレーザの射出及び受光の態様を示す説明図である。
【
図9】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の制御部(コントローラ)の構成を示す図である。
【
図10】本開示の一実施例で用いられる基板冷却ユニットの概略構成図であり、基板に反りが発生した場合におけるレーザの射出及び受光の態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<本開示の実施形態1>
以下、本開示の実施形態1について説明する。
【0008】
(1)基板処理装置の構成
図1、2を参照しながら、以下、本実施形態に係る基板処理装置10の構成を説明する。
【0009】
基板処理装置10は、搬送室12を中心として、ロードロック室14a,14b、2つの処理室16a,16bを備えている。また、搬送室12は、冷却処理筐体100の内部に構成される冷却処理室101を含んでおり、冷却処理室101内には基板冷却ユニット18が設けられている。ロードロック室14a,14bの搬送室12に対する反対側には、大気搬送室20が配置されている。大気搬送室20は、25枚までの基板22(本実施形態ではウエハ)を縦方向に一定間隔を隔てて収容可能なポッドを複数配置可能とする載置ステージを備えている。また、大気搬送室20には、大気搬送室20とロードロック室14a,14bとの間で基板を搬送する大気ロボット21が配置されている。
【0010】
搬送室12とロードロック室14a,14bの間、搬送室12と処理室16a,16bの間、ロードロック室14a,14bと大気搬送室20との間には、2つの空間の雰囲気を遮断するゲートバルブがそれぞれ設けられている。搬送室12、ロードロック室14a,14b、処理室16a,16bには真空ポンプがそれぞれ接続され、それぞれの空間が所望の圧力となるように制御される。
【0011】
基板処理装置10は、制御部としてのコントローラ121を備えている。コントローラ121は、前記構成において、装置全体を制御している。
【0012】
(真空ロボット)
搬送室12には、ロードロック室14a,14b、処理室16a,16b、及び基板冷却ユニット18との間で相互に基板22を搬送できるように構成された、基板搬送装置としての真空ロボット36が設けられている。真空ロボット36はフィンガ対40が設けられたアーム42を備えており、フィンガ対40は、基板搬送支持具としての上フィンガ38a(第1の基板搬送支持具)及び下フィンガ38b(第2の基板搬送支持具)から構成されている。
【0013】
上フィンガ38a及び下フィンガ38bは、共に二又状の同一の形状を有している。また、上フィンガ38a及び下フィンガ38bは、上下方向(鉛直方向)に所定の間隔で重なるように設けられ、アーム42からそれぞれ略水平に同一方向に延びて、それぞれ基板22を支持することができるように構成されている。
【0014】
アーム42は、鉛直方向に昇降する回転軸を軸として回転するようにされているとともに、水平方向に移動し、同時に2枚の基板22を上下方向及び水平方向に搬送可能にされている。以下、上フィンガ38aによって支持及び搬送される基板22を特に基板22a、下フィンガ38bによって支持及び搬送される基板22を特に基板22bと称する。
【0015】
(ロードロック室)
ロードロック室14a,14bにはそれぞれ、例えば25枚の基板22を縦方向に一定間隔を隔てて収容する基板支持体24が設けられている。基板支持体24は上部板26と下部板28、及びそれらを接続する支柱30により構成されている。支柱30の長手方向内側には載置部32が平行に形成されている。基板支持体24は、ロードロック室14a,14bのそれぞれの内において、L/L駆動装置25によって上下方向に移動するようにされているとともに、回転するようにされている。
【0016】
搬送室12からロードロック室14a又は14bへ基板22が搬入される際には、次の動作により載置部32に基板22が移載される。即ち、基板22が支持されたフィンガ対40がロードロック室14a又は14bの内の載置部32間に挿入される。次に基板支持体24が鉛直方向に移動する。このような動作をすることで、フィンガ対40に搭載された2枚の基板を載置部32の上面に移載することができる。また、ロードロック室14aが搬送室12からウエハを搬入する際の動作と逆の動作をすることで、載置部32に載置されているウエハを搬送室へ搬出する。
【0017】
(処理室)
処理室16a,16bはそれぞれ反応室を有し、各反応室内には基板保持台44a,44bとロボットアーム17がそれぞれ設けられている。基板保持台44aと基板保持台44bとの間の空間は、仕切り部材46が設けられている。ロボットアーム17は、真空ロボット36が保持する基板22を受け取り、基板保持台44a,44bにそれぞれ載置するように構成されている。処理室16a,16bでは、基板保持台44a,44bにそれぞれ載置された2枚の基板22が同一空間内で同時に処理される。基板保持台44a,44bには、加熱部としてのヒータがそれぞれ内蔵されており、基板22を例えば400℃以上まで昇温可能である。
【0018】
(基板冷却ユニット)
図3~5を用いて、基板冷却ユニット18について説明する。基板冷却ユニット18は、冷却処理筐体100により形成された冷却処理室101内に設けられている。基板冷却ユニット18は、後述する、複数の基板冷却部材としての冷却プレート(冷却板)102a(第1の基板冷却プレート),102b(第2の基板冷却プレート)、基板保持部103a(第1の基板保持部),103b(第2の基板保持部)、及び、支持シャフト104a,104bにより構成される。基板冷却ユニット18は、駆動部105a,105bを含むものと捉えてもよく、更に、冷却プレート102a,102b内にそれぞれ設けられた冷媒流路106a,106bに冷媒を供給する冷媒供給ユニット(冷媒供給部)109a,109bを含むものと捉えてもよい。
【0019】
基板冷却ユニット18は、基板22a,22bをそれぞれ保持するための2組の基板保持機構が設けられている。基板22aを保持する基板保持機構は、基板22aを上面に保持するように構成された4個の基板保持部103aと、基板保持部103aそれぞれに接続され支持する4本の支持シャフト104aとにより構成されている。同様に、基板22bを保持する基板保持機構は、基板22bを上面に保持するように構成された4個の基板保持部103bと、基板保持部103bそれぞれに接続され支持する4本の支持シャフト104bとにより構成されている。なお、本実施形態では、基板保持部103a,103bを板状の部材により構成しているが、これに限らず、基板22を下面から点で支持するピン形状とするなど、基板22を点又は面で支持できる構造であればよい。
【0020】
基板保持機構はそれぞれ、支持シャフト104a,104bに接続された駆動部(駆動装置)105a,105bによって昇降されるように構成されている。駆動部105a,105bは例えばエアシリンダにより構成されている。駆動部105a,105bがそれぞれ制御されることにより、基板保持部103a,103bにより保持された基板22a,22bを、後述する、基板搬入出位置と基板冷却処理位置の間で昇降させることが可能となっている。
【0021】
冷却プレート102a,102bは、例えばステンレス等の金属により構成される。また、冷却プレート102a,102bの内部には、冷媒が流れる冷媒流路106a、106bがそれぞれ設けられており、冷却プレート102aの下面側及び、冷却プレート102bの上面側をそれぞれ冷却するように構成されている。これにより、基板保持部103a,103bによって冷却プレート102a,102bの近傍で支持された基板22は冷却される。基板冷却ユニット18は更に、冷媒を冷媒流路106a,106bのそれぞれに供給する冷媒供給ユニット(冷媒供給部)109a,109bを備えている。
【0022】
冷却処理筐体100の側面には、冷却処理室101の外側と内側の間でレーザ等の光を透過させる光透過窓107a、107bが、冷却処理室101を挟んで対向する位置にそれぞれ設けられている。
【0023】
(レーザ射出ユニット)
冷却処理筐体100の外側には、光透過窓107aに対向する位置に、レーザを光透過窓107aを介して冷却処理室101内に射出するよう構成された、レーザ射出部としてのレーザ射出ユニット(レーザ射出器)50a,50bが設けられている。レーザ射出ユニット50a,50bはそれぞれ、基板保持部103a,103b上に保持された基板22の面に平行な方向であって、且つ、好ましくは当該基板22の面の中心軸を通過する方向にレーザを射出する。
【0024】
また、レーザ射出ユニット50a,50bはそれぞれ、鉛直方向(すなわち、基板保持機構が昇降される方向)に幅を持って分布するレーザを射出するように構成されている。具体的には、レーザダイオード等のレーザ発振素子から射出されたレーザを、拡散レンズ等によって鉛直方向に拡散させることにより、鉛直方向に幅を持って分布するレーザを構成することができる。また、鉛直方向に所定間隔で配列された複数のレーザダイオード等のレーザ発振素子を備えて、各レーザ発振素子から射出される複数のレーザによって、鉛直方向に幅を持って分布するレーザを構成してもよい。
【0025】
(レーザセンサユニット)
冷却処理筐体100の外側には、光透過窓107bに対向する位置に、レーザ射出ユニット50a,50bから射出されたレーザを光透過窓107bを介して受光するよう構成された、レーザ受光部としてのレーザセンサユニット(レーザセンサ)60a,60bが設けられている。
レーザ射出ユニット50aとレーザセンサユニット60aは互いに冷却処理室101を挟んで対向するように設けられている。同様に、レーザ射出ユニット50bとレーザセンサユニット60bは互いに冷却処理室101を挟んで対向するように設けられている。
【0026】
レーザセンサユニット60a,60bは、レーザ射出ユニット50a、50bから射出された、鉛直方向に幅を持って分布するレーザを受光し、鉛直方向(すなわち、基板保持機構が昇降される方向)において、レーザを受光した受光素子の位置(受光位置)の情報と、レーザを受光しなかった受光素子の位置(非受光位置)の情報と、の少なくとも一方を取得するように構成されている。以下、受光位置と非受光位置を含む、受光位置を特定する情報を総称して受光位置特定情報と称することがある。
【0027】
具体的には、レーザセンサユニット60a,60bはそれぞれ、
図6に示すように、鉛直方向に所定間隔で配列された、光を検出する複数のCCD(ChargeCoupled Devices)等の受光素子の配列(アレー)601を備えることにより、鉛直方向に幅を持って分布するレーザを受光し、検出するように構成することができる。本実施形態では、配列601は、受光素子601-1~601-n(nは自然数)のn個の受光素子により構成されている。例えば
図6のように、受光素子601-1から601-m(mは自然数)までの幅を持つレーザが受光された場合、レーザセンサユニット60a,60bは、受光素子601-1から601-mまでの受光素子が受光したことを検出し、それらが配列された位置を受光位置として取得する。一方、レーザを受光しなかった受光素子601-(m+1)から601-nまでの受光素子が配列された位置を非受光位置として取得する。
【0028】
配列601は、少なくともレーザ射出ユニット50a,50bから射出されるレーザの鉛直方向における分布幅の全域をカバーする幅(長さ)を有し、且つ、その分布幅の全域を受光可能な位置に設けられる。また、配列601における受光素子の配列間隔は、レーザ検出の精度に応じて適宜決定することができ、例えば1μm~1mm、好ましくは5~10μmの範囲で間隔を選択することができる。
【0029】
図7に示すように、本実施形態では、レーザ射出ユニット50aは、冷却プレート102aの下面(すなわち基板22aとの対向面)の高さ位置から、後述する基板搬入出位置における基板22aの上面の高さ位置までの間に分布を持つレーザを射出する。すなわち、当該レーザの分布は、上端が冷却プレート102aの下面の高さ位置を含み、基板22aが昇降する高さ方向の範囲を含んでいる。
同様に、レーザ射出ユニット50bは、冷却プレート102bの上面(すなわち基板22bとの対向面)の高さ位置から、後述する基板搬入出位置における基板22bの下面の高さ位置までの間に分布を持つレーザを射出する。
【0030】
換言すると、レーザ射出ユニット50a,50bはそれぞれ、基板保持機構によって保持された基板22が昇降する空間(後述する基板搬入出位置と基板冷却処理位置の間で基板22が昇降する空間)の側方の一端に設けられ、当該空間の鉛直方向(高さ方向)の幅に分布するレーザを当該空間へ向かって射出するように構成されている。
【0031】
また、
図7に示すように、レーザセンサユニット60aは、冷却プレート102aの下面の高さ位置から、後述する基板搬入出位置における基板22aの上面の高さ位置までの間に分布を持つレーザをその全ての分布範囲で受光可能なように構成されている。すなわち、レーザセンサユニット60aの配列601には、少なくともこのような鉛直方向の分布範囲においてレーザを受光可能なように受光素子が配列されている。本実施形態では特に、配列601の最上部の受光素子601-1が冷却プレート102aの下面の高さ位置に配置されるようにレーザセンサユニット60aが設けられる。
【0032】
同様に、レーザセンサユニット60bは、冷却プレート102bの上面の高さ位置から、後述する基板搬入出位置における基板22bの下面の高さ位置までの間に分布を持つレーザをその全ての分布範囲で受光可能なように構成されている。すなわち、レーザセンサユニット60bの配列601には、少なくともこのような鉛直方向の分布範囲においてレーザを受光可能なように受光素子が配列されている。本実施形態では特に、配列601の最下部の受光素子601-nが冷却プレート102bの上面の高さ位置に配置されるようにレーザセンサユニット60bが設けられる。
【0033】
したがって、レーザセンサユニット60a,60bはそれぞれ、基板保持機構によって保持された基板22が昇降する空間の側方の他端に設けられ、当該空間に向かって射出された当該空間の鉛直方向の幅に分布するレーザを受光するように構成されている。
【0034】
ここで
図3~5を用いて、基板搬入出位置と基板冷却処理位置について説明する。
図3,4は、基板22を基板冷却ユニット18に移載(ロード)する際の状態、及び基板22を基板冷却ユニット18から搬出(アンロード)する際の状態を示している。この状態における基板22の位置を基板搬入出位置と称する。
【0035】
基板22が基板冷却ユニット18に移載される工程では、
図4に示すように、フィンガ38a,38b上に支持された状態で冷却処理室101内に搬入された基板22a,22bが、真空ロボット36によってフィンガ38a,38bがそれぞれ下降する。これによって、基板搬入出時の位置までそれぞれ昇降されている基板保持部103a,103bの上面に載置される。
【0036】
また、基板22が基板冷却ユニット18から搬出される工程では、基板22a,22bが保持された状態で、基板保持部103a,103bが基板搬入出時の位置までそれぞれ昇降される。その後、真空ロボット36によって基板22a,22bの下方に差し込まれたフィンガ38a,38bがそれぞれ上昇することによって、基板22a,22bはフィンガ38a,38b上にそれぞれ支持される。その後、フィンガ38a,38b上に支持された基板22a,22bは基板冷却ユニット18から搬出される。
【0037】
また
図5は、基板22が冷却プレート102a,102bに近づけられることにより冷却処理される際の状態を示している。この状態における基板22の位置を基板冷却処理位置と称する。
【0038】
基板22が冷却処理される工程では、
図5に示すように、基板保持部103aが駆動部105aによって上昇し、基板保持部103a上に保持された基板22aが冷却プレート102aによって冷却処理される位置まで搬送される。同様に、基板保持部103bが駆動部105bによって下降し、基板保持部103b上に保持された基板22bが冷却プレート102bによって冷却処理される位置まで搬送される。
【0039】
(距離算出コントローラ)
レーザ射出ユニット50a及びレーザセンサユニット60aは、第1の算出部(第1の算出機)としての第1距離算出コントローラ70aに接続されている。同様に、レーザ射出ユニット50b及びレーザセンサユニット60bは、第2の算出部(第2の算出機)としての第2距離算出コントローラ70bに接続されている。また、第1距離算出コントローラ70a、第2距離算出コントローラ70bは、それぞれコントローラ121に接続されている。第1距離算出コントローラ70a及び第2距離算出コントローラ70bはそれぞれ、受光位置及び非受光位置の少なくとも一方のデータ(情報)をレーザセンサユニット60a,60bから取得する。
【0040】
第1距離算出コントローラ70aは、取得したデータに基づいて、冷却プレート102aの下面の高さ位置から、基板保持部103aにより保持された基板22aの上面の高さ位置までの距離(基板距離DA)を算出する。
【0041】
具体的には、第1距離算出コントローラ70aは、レーザセンサユニット60aから受光位置のデータを取得し、受光素子601-1から連続する受光位置の幅(長さ)を基板距離DAとして算出する。すなわち、冷却プレート102aの下面の高さ位置に配置された受光素子601-1の位置を基準点として、そこから連続する受光位置の幅(長さ)を基板距離DAとして算出する。
【0042】
なお、他の算出方法の例として、第1距離算出コントローラ70aは、レーザセンサユニット60aから非受光位置のデータを取得し、受光素子601-1の位置から見て配列601上で最初に現れる非受光位置までの長さを基板距離DAとして算出してもよい。
【0043】
同様に、第2距離算出コントローラ70bは、取得したデータに基づいて、冷却プレート102bの上面の高さ位置から、基板保持部103bにより保持された基板22bの下面の高さ位置までの距離(基板距離DB)を算出する。
【0044】
具体的には、第2距離算出コントローラ70bは、レーザセンサユニット60bから受光位置のデータを取得し、受光素子601-nから連続する受光位置の幅(長さ)を基板距離DBとして算出する。すなわち、冷却プレート102bの上面の高さ位置に配置された受光素子601-nの位置を基準点として、そこから連続する受光位置の幅(長さ)を基板距離DBとして算出する。
【0045】
なお、他の算出方法の例として、第2距離算出コントローラ70bは、レーザセンサユニット60bから非受光位置のデータを取得し、受光素子601-nの位置から見て配列601上で最初に現れる非受光位置までの長さを基板距離DBとして算出してもよい。
【0046】
(基板搬入出位置の場合)
基板22が基板搬入出位置にある状態の場合、
図7に示すように、レーザ射出ユニット50a,50bから射出されたレーザは、それぞれ、レーザセンサユニット60a,60bの配列601の受光素子601-1~601-n(すなわち全ての受光素子)で受光される。したがって、レーザセンサユニット60aの配列601の受光素子601-1から連続する受光位置の幅(長さ)である受光素子601-1~601-nの配列の幅(長さ)が基板距離DA(すなわち基板距離DA1)として算出される。同様に、レーザセンサユニット60bの配列601の受光素子601-nから連続する受光位置の幅(長さ)である受光素子601-1~601-nの配列の幅(長さ)が基板距離DB(すなわち基板距離DB1)として算出される。
【0047】
(基板冷却処理位置の場合)
また、基板22が基板冷却処理位置にある状態の場合、
図8に示すように、レーザ射出ユニット50a,50bから射出されたレーザはそれぞれ、基板22a,22bによってその一部の分布範囲で遮られる。このため、レーザセンサユニット60a,60bの配列601の受光素子のうち、基板22a,22bの高さ位置に対応するものはレーザを受光しない。つまりレーザセンサユニット60a,60bは、基板22a,22bの上面と下面の間の高さ位置に対応する受光素子の位置を非受光位置として取得し、レーザが受光されるそれ以外の受光素子の位置を受光位置として取得をする。
【0048】
例えば、レーザセンサユニット60aの配列601のうち、受光素子601-1~601-mの位置が受光位置として取得され、続く受光素子601-(m+1)~601-(m+100)の位置が非受光位置として取得された場合、第1距離算出コントローラ70aは、基準点となる受光素子601-1から連続する受光位置の幅(長さ)である受光素子601-1~601-mの配列の幅(長さ)を基板距離DA(すなわち基板距離DA2)として算出する。
【0049】
同様に、例えば、レーザセンサユニット60bの配列601のうち、受光素子601-(m´)~601-nの位置が受光位置として取得され、続く受光素子601-(m´-1)~601-(m-100)の位置が非受光位置として取得された場合、第2距離算出コントローラ70bは、基準点となる受光素子601-nから連続する受光位置の幅(長さ)である受光素子601-(m´)~601-nの配列の幅(長さ)を基板距離DB(すなわち基板距離DB1)として算出する。
【0050】
基板搬入出位置と基板冷却処理位置との間の区間については、基板冷却処理位置と同様の手順により、第1距離算出コントローラ70a、第2距離算出コントローラ70bそれぞれで、基板距離DA,DBが算出される。
【0051】
基板冷却ユニット18は、冷却プレート102a,102b、基板保持部103a,103b、支持シャフト104a,104b、駆動部105a,105bにより構成される。また、基板冷却ユニット18は、レーザ射出ユニット50a,50b、レーザセンサユニット60a,60b、第1距離算出コントローラ70a、第2距離算出コントローラ70bをさらに含む構成としてもよい。
【0052】
(コントローラ)
図9に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0053】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0054】
I/Oポート121dは、大気ロボット21、真空ロボット36、L/L駆動装置25、ロボットアーム17、駆動部105a,105b、冷媒供給ユニット109a,109b、第1距離算出コントローラ70a、第2距離算出コントローラ70b、ゲートバルブ、真空ポンプ、ヒータ等に接続されている。
【0055】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、大気ロボット21による基板搬送動作、真空ロボット36による基板搬送動作、駆動装置25による基板支持体24の昇降・回転動作、ロボットアーム17による基板搬送動作、冷媒供給ユニット109a,109bにおける冷媒の温度や流量調整、駆動部105a,105bによる基板昇降動作、第1距離算出コントローラ70aと第2距離算出コントローラ70bによる基板距離DA,DBの算出動作、ゲートバルブの開閉動作、真空ポンプの起動および停止、ヒータの温度調整動作、等を制御するように構成されている。
【0056】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0057】
(基板距離DA,DBについて)
以下、基板搬入出位置における基板距離DA(基板距離DA1)及び基板距離DB(基板距離DB1)と、基板冷却処理位置における基板距離DA(基板距離DA2)及び基板距離DB(基板距離DB2)について詳述する。
【0058】
(基板距離DA1,DB1)
基板距離DA1およびDB1は、冷却プレート102a,102bの位置やフィンガ38a,38bの間隔などに応じて適宜決定され、例えば、それぞれ10~200mmの範囲の所定の距離とされる。
【0059】
(基板距離DA2,DB2)
基板距離DA2,DB2は主に、基板冷却処理における、基板22に対する所望の冷却特性に応じて設定される。例えば、それぞれ1~20mm、好ましくは1~5mmの範囲の所定の距離とされる。ここで「冷却特性」とは、主に冷却時間に対する基板22の温度変化に関する特性を含み、特に、基板22の面内全体の平均温度の変化特性や、基板22の面内における温度偏差の変化特性なども含まれる。
【0060】
基板22に対する冷却特性は、基板冷却処理時の基板距離DA2,DB2の大きさに大きく依存する。そのため、基板22に対して所望の冷却特性により冷却処理を行うためには、基板距離DA2,DB2を正確に把握し、それらの距離が所望の値になるように駆動部105a,105bの動作量を設定することが求められる。
【0061】
また、基板22の冷却速度が大きくなるほど、一般に基板22の面内における温度偏差が大きくなりやすく、温度偏差の増大に伴って基板22の反り量が増大することがある。そのため、基板22の反り量増大を抑制するという観点では、基板22の反り量又は面内温度偏差が所定の値を超えないように、基板距離DA2,DB2を選択し、それらの選択された距離となるように、駆動部105a,105bの動作量を正確に設定することが求められる。
【0062】
また、基板距離DA2,DB2は小さいほど基板22は急速に冷却されるため、冷却処理のスループット向上の観点では、基板距離DA2,DB2は可能な限り小さいことが望ましい。しかし、冷却処理中に基板22の反り量が増大した場合、基板距離DA2,DB2の大きさが小さ過ぎると、基板22が冷却プレート102a,102bに接触する可能性がある。そのため、基板距離DA2,DB2は、このような接触の発生を避けるため、基板22の反りが発生する場合を考慮して、一定のマージンをとった値が選択されることが望ましい。
【0063】
このような課題に対して、本実施形態における基板冷却ユニット18は、基板冷却処理を実行中に、基板距離DA2,DB2を測定可能なように構成されている。ここで、特に基板22に反りが発生している場合、基板22の面内位置によって冷却プレート102a,102bとの距離が異なる。しかし、本実施形態によれば、
図10に示すように、基板22に反りが発生している場合であっても、基板22aの上面と冷却プレート102aの下面との最短距離を算出し測定することができる。基板22bの下面と冷却プレート102bの上面との距離についても同様である。最短距離を確実に測定可能であるため、特に基板22と冷却プレート102a,102bとの接触可能性の把握や、接触防止のためのマージンの設定などが容易となる。
【0064】
さらに、このような課題に対して、本実施形態における基板冷却ユニット18では、基板冷却処理の実行中に発生する基板22の反りの量を測定可能に構成されている。そして、測定した反り量に基づいて、基板22の反り量又は面内温度偏差が所定の値を超えないように、基板距離DA2,DB2を選択し、それらの選択された距離となるように、駆動部105a,105bの動作量を設定する。
【0065】
(2)基板処理装置の動作
次に、本実施形態にかかる基板処理装置10の動作について、
図1に示す基板処理装置10における基板処理フローを説明する。
【0066】
(大気側搬入工程S100)
まず、大気搬送室20からロードロック室14a内へ未処理の基板22を移載し、ロードロック室14a内が気密に閉塞する。その後、ゲートバルブを開放し、ロードロック室14aと搬送室12を連通させる。
【0067】
(第1の搬送工程S110)
続いて、真空ロボット36がアーム42を駆動させて、ロードロック室14a内の基板22をフィンガ対40上に受け取る。その後、基板22を処理室16a内へ搬入する。
【0068】
真空ロボット36は、フィンガ対40を処理室16a内に挿入し、基板保持台44a上に基板22aを載置する。さらに、真空ロボット36は、ロボットアーム17とフィンガ対40との間で基板22bの受け渡しを行う。ロボットアーム17は、受け取った基板22bを基板保持台44b上に載置するように動作する。
【0069】
(基板処理工程S120)
その後、基板保持台44a,44b上の基板22はヒータによってそれぞれ加熱され、所定の処理が施される。
【0070】
(第2の搬送工程S130)
処理室16a内での処理が完了すると、真空ロボット36は、フィンガ対40を処理室116a内へ挿入し、基板22aを基板保持台44a上から受け取るとともに、基板22bをロボットアーム17から受け取る。続いて、真空ロボット36は基板22を処理室16a内から基板冷却ユニット18へ搬送し装填する。
【0071】
(基板冷却工程S140)
基板冷却ユニット18へ搬送された基板22は、基板冷却ユニット18において所定の温度になるまで冷却される。第2の搬送工程S130及び基板冷却工程S140の詳細は、工程Aとして後述する。
【0072】
(第3の搬送工程S150)
基板22が所定の温度まで冷却されると、真空ロボット36はフィンガ対40を基板冷却ユニット18内に挿入して基板22をフィンガ対40上に受け取った後、基板22をロードロック室14b内へ移送する。
【0073】
(大気側搬出工程S160)
搬送室12側のゲートバルブを閉塞した後、ロードロック室14b内を大気に開放する。その後、基板22がロードロック室14b内から大気搬送室20へ移載され、図示しない外部搬送装置により外部に搬出される。
【0074】
(2-1)基板冷却ユニットにおける基板冷却の一連の工程(工程A)
続いて、基板冷却ユニット18で基板22を冷却する一連の工程において、真空ロボット36及び駆動部105a,105bを制御して基板22を搬送及び冷却する動作について以下詳述する。
【0075】
(基板搬入ステップSA10)
基板冷却ユニット18に基板22を搬入して基板保持部103a,103b上に保持させる工程は、以下のステップ(SA100~SA130)により行われる。
【0076】
(フィンガ載置ステップSA100)
処理室16a又は16bにおいてそれぞれ昇温され、熱処理(例えばアニール処理や成膜処理)が施された2枚の基板は、ロボットアーム17を介して、上フィンガ38a及び下フィンガ38bの上にそれぞれ支持されるように載置される。本実施形態では、当該ステップ時点において、基板22は約400℃まで昇温されている。
【0077】
(フィンガ挿入ステップSA110)
真空ロボット36は、上フィンガ38a及び下フィンガ38bの上に基板22a,22bが支持された状態で、上フィンガ38aが基板保持部103aの上方に、下フィンガ38bが基板保持部103bの上方に位置するようにフィンガ対40を冷却処理室101内に挿入する。この時、基板保持部103a,103bは駆動部105a,105bにより基板搬入出位置まで昇降させられている。本実施形態では、当該ステップ時点において、基板22は約300℃となっている。
【0078】
(フィンガ下降ステップSA120)
続いて真空ロボット36は、フィンガ対40を下降させることにより、基板22a,22bをそれぞれ基板保持部103a,103b上に保持させる。なお、基板22a,22bを基板保持部103a,103b上に保持させため、基板保持部103a,103bをそれぞれ昇降させるようにしてもよい。
【0079】
(フィンガ退避ステップSA130)
続いて真空ロボット36は、上フィンガ38aを基板保持部103aの下方から、下フィンガ38bを基板保持部103bの下方から、それぞれ冷却処理室101外に退避させるようにフィンガ対40を移動させる。
【0080】
基板搬入ステップSA10において、基板22a,22bが保持された後、第1距離算出コントローラ70a、第2距離算出コントローラ70bはそれぞれ、レーザ射出ユニット50a,50bを制御してレーザの射出を開始させ、レーザセンサユニット60a,60bから取得された受光位置および非受光位置の少なくとも一方に基づいて、基板距離DA,DBの算出する処理(すなわち距離測定処理)を開始する。
【0081】
本実施形態では、後述する基板搬出ステップS50まで、レーザの射出を継続し、距離測定処理を所定の周期で継続的に実行する。所定の周期は、距離測定の目的などに応じて任意に設定でき、例えば10ms~5sの範囲の所定の周期とする。
【0082】
ただし、他の実施形態として、駆動部105a,105bを制御して基板保持部103a,103bを昇降させる制御と連動して、基板22が基板搬入出位置にある状態と、基板冷却処理位置にある状態においてのみ、距離測定処理を実行するようにしてもよい。また、基板22が基板冷却処理位置にある状態においてのみ、距離測定処理を実行するようにしてもよい。
【0083】
(基板昇降ステップSA20)
続いて、駆動部105aにより、基板保持部103a及び基板22aを基板冷却処理位置まで上昇させる。同様に、駆動部105bにより、基板保持部103b及び基板22bを基板冷却処理位置まで下降させる。ここで、駆動部105a,105bは、それぞれ、コントローラ121により指示された動作量に基づいて昇降動作を行う。
【0084】
(基板冷却ステップSA30)
続いて、基板保持部103a,103bを基板冷却処理位置に所定時間の間に停止させた状態を維持したまま、基板22a,22bをそれぞれ近接した冷却プレート102a,102bによって冷却する。本実施形態では60sの間、当該ステップにおける冷却処理が行われ、基板22は100~150℃程度の温度まで冷却される。なお、冷却プレート102a,102bは、事前に冷媒供給ユニット109a,109bから冷媒流路106a,106b内に冷媒が供給されることで、冷却プレート102a,102bの基板22への対向面は所定の温度まで冷却されている。例えば所定の温度は、-10~50℃程度である。
後述する工程Bでは、特に本ステップを実行中に測定される基板距離DA2,DB2に基づいて、調整工程が行われる。また、後述する工程C及びDでは、本ステップを実行中に基板距離DA2,DB2を測定する工程を含んでいる。
【0085】
(基板昇降ステップSA40)
続いて、駆動部105aにより、基板保持部103a及び基板22aを基板搬入出位置まで下降させる。同様に、駆動部105bにより、基板保持部103b及び基板22bを基板搬入出位置まで下降させる。
【0086】
(基板搬出ステップSA50)
基板22が基板搬入出位置まで昇降された後、真空ロボット36により、それらを上フィンガ38a及び下フィンガ38bの上で再び支持し、冷却処理室101内から搬出する。当該ステップは、上述の基板搬入ステップSA10を逆の順序に実行することによりなされる。
【0087】
(2-2)基板距離測定に基づく駆動部の補正工程(工程B)
続いて、上述の基板冷却を行う一連の工程(工程A)において測定された基板距離DA,DBに基づいて、駆動部105a,105bの動作量の調整を行う工程について説明する。なお、工程B及び工程Bで調整を行う前に行う工程Aは、それぞれ基板冷却ユニット18の調整工程の一つとして行われる。
【0088】
エアシリンダ等で構成される駆動部105a,105bは、コントローラ121から指示される動作量に基づいて動作を行う。ここで、基板距離DA2,DB2を距離a,bに設定するのが望ましいところ、実際には、駆動部105a,105bの機械的な動作誤差などの要因により、基板距離DA2,DB2が異なる値(距離a´,b´)になることがある。そこで、本実施形態では、上述の工程Aの基板冷却ステップSA30において測定された基板距離DA2,DB2(距離a´,b´)と、所望の距離a,bを比較し、その差分(a-DA2、b-DB2)だけ駆動部の動作量の調整を行う。なお、基板距離DA2,DB2は、冷却処理中に基板22に反りが発生することで変動する可能性があるため、特に基板冷却ステップSA30が開始される時点において測定された基板距離DA2,DB2を距離a´,b´として、この差分を算出することが望ましい。
【0089】
具体的には、コントローラ121から駆動部105a,105bに指示される動作量を、この差分だけ値を補正する。また、駆動部105a,105bの動作幅を所定の範囲で規制する規制部(例えば規制プレート)を設けて、この差分だけ基板距離DA2,DB2が補正されるよう規制部を調整(例えば規制プレートの位置を調整)してもよい。
【0090】
このように本実施形態では、工程Aで測定した基板距離DA2,DB2に基づいて、それらの値が所望の値となるように、駆動部105a,105b(又は基板保持機構)の動作量を調整することができるで、基板22を所望の冷却特性で冷却することが容易になる。
【0091】
なお、本実施形態では、基板22aと基板22bは、冷却プレート102a,102bによって冷却される面の向きが表と裏で異なる。このため、冷却処理時の基板距離DA2,DB2も、基板22a,22bの面上に形成された膜種や構造等に応じて、互いに異なるように設定されることが望ましい。そのため、本実施形態の様に、基板距離DA2,DB2は、それぞれ個別に測定可能な構成とすることが好適である。
【0092】
(2-3)基板距離測定に基づく基板反り量モニタリング工程(工程C)
続いて、上述の基板冷却を行う一連の工程(工程A)において測定された基板距離DA,DBに基づいて、冷却処理中の基板22において発生する反りの検出、及び反り量の測定を行う工程について説明する。なお、工程Cは、工程Aの一工程として行うことができる。また、工程Cは、基板冷却ユニット18の調整工程の一つとして行われることもでき、また、製品用基板を処理する工程の一つとして行われることもできる。
【0093】
工程Cでは、工程Aにおける基板冷却ステップSA30の間、基板距離DA2,DB2の測定(算出)を継続して繰り返すことによって、基板22における反りの発生を検知、及び、反りの量を測定する。
【0094】
具体的には、まず、基板冷却処理を開始する基板冷却ステップSA30の開始時点、すなわち、基板22が基板冷却位置まで昇降された時点における基板距離DA2,DB2を測定する。ここで、この時点における基板距離DA2,DB2を、特にDA2(T0)、DB2(T0)と称する。
【0095】
続いて、基板冷却処理が実行されている間、すなわち、基板22が基板冷却位置に維持されている間、基板距離DA2,DB2を継続的に繰り返し測定する。ここで測定を開始してから、測定を実行した回数を1からk(kは自然数)までカウントしていき、k回目に測定された基板距離DA2,DB2を、特にDA2(Tk)、DB2(Tk)と称する。
【0096】
そして、コントローラ121は、DA2
(T0)とDA2
(Tk)との差分値を、冷却処理中に発生した基板22aの反り量として算出する。同様に、コントローラ121は、DB2
(T0)とDB2
(Tk)との差分値を、冷却処理中に発生した基板22bの反り量として算出する。特に、
図10に示すように、基板22が凸状に変形する反りが発生する場合、基板22の中央部の高さ位置の変化が、冷却処理中に発生した反り量として算出される。また、基板22が凹状に変形する反りが発生する場合、基板22の外縁部の高さ位置の変化が、冷却処理中に発生した反り量として算出される。
【0097】
DA2(T0)とDA2(Tk)との差分値(又はDB2(T0)とDB2(Tk)との差分値)が所定の第1閾値を超えた場合に基板22に反りが発生したと判定するように、コントローラ121を構成してもよい。
【0098】
さらに、この差分値が所定の第2閾値を超えた場合に駆動部105a,105bを制御して、基板22が冷却プレート102a,102bから遠ざかるように、コントローラ121を構成してもよい。これにより、基板22に発生する反りが所定の量を超えないようにすることができる。なお、本実施形態では、基板22aと基板22bは、冷却プレート102a,102bによって冷却される面の向きが表と裏で異なるため、基板22aに関する第2閾値と、基板22bに関する第2閾値とを異ならせるようにしてもよい。
【0099】
(2-4)基板距離測定に基づく基板接触回避工程(工程D)
続いて、上述の基板冷却を行う一連の工程(工程A)において測定された基板距離DA,DBに基づいて、冷却処理中の基板22において発生する反りによって基板22が冷却プレート102a,102bに接触することを回避する工程について説明する。なお、工程Dは、工程Aの一工程として行うことができる。
【0100】
工程Dでは、工程Aにおける基板冷却ステップSA30の間、基板距離DA2,DB2の測定(算出)を継続して繰り返すことによって、反りが発生した基板22が冷却プレート102a,102bに所定の距離よりも接近することを検知した場合、基板22が冷却プレート102a,102bに接触する前に、基板22を遠ざけるように駆動部105a,105bを制御する。
【0101】
具体的には、工程Dでは、工程Cと同様に、工程Aにおける基板冷却ステップSA30の間、DA2(Tk)を継続して測定(算出)する。そして、DA2(Tk)が所定の閾値よりも小さくなった場合、駆動部105aを制御して、基板22aを冷却プレート102aから遠ざけるように下降させるように、コントローラ121が構成される。同様に、DB2(Tk)が所定の閾値よりも小さくなった場合、駆動部105bを制御して、基板22bを冷却プレート102bから遠ざけるように上昇させるように、コントローラ121が構成される。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本開示における技術によれば、基板に対する冷却処理において、所望の冷却特性に近づくように冷却を行うことが可能となる。
【0103】
2019年9月17日に出願された日本国特許出願2019-167921号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載されたすべての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。