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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】排出部材
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
B65D47/08 130
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2016256854
(22)【出願日】2016-12-28
(65)【公開番号】P2018108840
(43)【公開日】2018-07-12
【審査請求日】2019-11-13
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】清水 修
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】山崎 勝司
【審判官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-352352(JP,A)
【文献】特開2009-35261(JP,A)
【文献】特開2007-302295(JP,A)
【文献】特開2005-126105(JP,A)
【文献】実開昭62-93049(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成され液体が収容される容器本体に取り付けられる排出部材であって、
前記開口に取り付けられ、外部に露出する基面部が形成されており、前記基面部に、前記容器の内部と連通する連通孔が形成されている、取付部と、
前記取付部の基面部から突出し、前記容器本体内の液体を排出する排出孔が形成された排出部と、
前記取付部に取り付けられ、前記排出孔を開閉自在に閉じる、キャップと、
を備え、
前記排出部は、
一端部が前記連通孔と連通する筒状の本体部と、
前記本体部の他端部を閉じる蓋部と、
を備え、
前記キャップは、前記取付部にヒンジ部を介して接続され、
前記基面部を覆う支持部と、
前記支持部に取り付けられ、前記排出部の排出孔を覆う、閉鎖部と、
を備え、
前記支持部は、前記ヒンジ部を中心として、前記閉鎖部が前記排出孔を覆う第1の位置と、前記排出孔が開放された第2の位置との間を旋回するように構成され、
前記支持部が、前記第2の位置から第1の位置へ移動する過程で、前記閉鎖部が前記排出部の前記蓋部の外面に当接する第3の位置を通過するように構成され、
外力によって、前記支持部が、前記第3の位置から第1の位置への移動するように構成されている、排出部材。
【請求項2】
前記閉鎖部は、前記支持部が前記第1の位置にあるときに、前記排出部が嵌まるような筒状に形成されている、請求項1に記載の排出部材。
【請求項3】
前記排出孔は前記本体部に形成されている、請求項1または2に記載の排出部材。
【請求項4】
前記排出部の蓋部の外面は、球面状に形成されている、請求項1から3のいずれかに記載の排出部材。
【請求項5】
容器本体と、
前記容器本体の開口に取り付けられている、請求項1から4のいずれかに記載の排出部材と、
を備えている、容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口が形成され液体が収容される容器本体に取り付けられる排出部材、及びこれを備える容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、薬液などの液体が収容された種々の容器が提案されている。例えば、特許文献1に記載の容器では、液体を収容する容器本体の開口に排出部材が取り付けられている。この排出部材の上面には、筒状の排出部が取り付けられており、この排出部材の先端に液体の排出孔が形成されている。また、排出部材にはキャップが取り付けられるとともに、このキャップの内部には排出孔を塞ぐ閉鎖部が取り付けられている。これにより、キャップを閉じると、閉鎖部によって排出孔が塞がれるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5730172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のような容器では、排出孔が閉鎖部によって十分に塞がれているとはいえず、キャップが閉じられても、排出孔から液体が漏れることが想定される。したがって、排出孔を確実に閉鎖することができる排出部材が要望されていた。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、排出孔からの液体の漏れを確実に防止することができる、排出部材、及びこれを備えた容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、開口が形成され液体が収容される容器本体に取り付けられる排出部材であって、前記開口に取り付けられ、外部に露出する基面部が形成されており、当該基面部に、前記容器の内部と連通する連通孔が形成されている、取付部と、前記取付部の基面部から突出し、前記容器本体内の液体を排出する排出孔が形成された排出部と、前記取付部に取り付けられ、前記排出孔を開閉自在に閉じる、キャップと、を備え、前記排出部は、一端部が前記連通孔と連通する筒状の本体部と、前記本体部の他端部を閉じる蓋部と、を備え、前記キャップは、前記取付部にヒンジ部を介して接続され、前記基面部を覆う支持部と、前記支持部に取り付けられ、前記排出部の排出孔を覆う、閉鎖部と、を備え、前記支持部は、前記ヒンジ部を中心として、前記閉鎖部が前記排出孔を覆う第1の位置と、前記排出孔が開放された第2の位置との間を旋回するように構成され、前記支持部が、前記第2の位置から第1の位置へ移動する過程で、前記閉鎖部が前記排出部の蓋部に当接する第3の位置を通過するように構成され、外力によって、前記支持部が、前記第3の位置から第1の位置への移動するように構成されている。
【0006】
この構成によれば、キャップを閉じるときには、一旦、第3の位置にキャップが位置した後に、力を加えることで、第1の位置に変位するように構成されている。このとき、閉鎖部は、主としてヒンジ部の弾性力に抗して、排出部を覆う位置に配置される。したがって、閉鎖部は、弾性力が作用した状態で、排出孔を閉じることになるため、閉鎖部は排出部の外周面と強固に密着した状態となる。したがって、排出孔から液体が漏れるのを確実に防止することができる。なお、「排出孔を覆う」とは、閉鎖部が排出孔の周縁に直接接触していなくてもよく、閉鎖部により排出孔を密閉するような態様であってもよい。
【0007】
上記排出部材において、前記閉鎖部は、前記支持部が前記第1の位置にあるときに、前記排出部が嵌まるような筒状に形成することができる。これにより、排出部の全周を閉鎖部によって囲むことができ、排出孔を確実に閉じることができる。したがって、液体の漏れを確実に防止することができる。
【0008】
上記各排出部材において、前記排出孔は前記本体部に形成することができる。これにより、排出孔を閉鎖部によって確実に塞ぐことができる。
【0009】
上記各排出部材において、前記排出部の蓋部の外面は、球面状に形成することができる。これにより、閉鎖部が蓋部の外面を滑り、スムーズに排出孔を閉じる位置まで移動することができる。
【0010】
本発明に係る容器は、容器本体と、前記容器本体の開口に取り付けられている、上述したいずれかに記載の排出部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、排出孔からの液体の漏れを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る容器の正面図である。
図2】キャップが開位置にあるときの排出部材の断面図である。
図3図2の平面図である。
図4】キャップが仮閉位置にあるときの排出部材の断面図である。
図5】キャップが閉位置にあるときの排出部材の断面図である。
図6】キャップのヒンジ部が中間位置にあるときの断面図である。
図7】薬液の排出を示す断面図である。
図8】排出部の他の例を示す断面図である。
図9】閉鎖部の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る容器の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る容器の正面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る容器は、上部に開口が形成された容器本体1と、容器本体1の開口15に取り付けられる排出部材2と、を備えている。以下、各部材について詳細に説明する。
【0015】
<1.容器本体>
容器本体1は、矩形状の底部11と、この底部11の外周縁から上方に延びる胴体部12と、胴体部12の上部から上方にいくにしたがって外形が小さくなるように傾斜する肩部13と、肩部13の上縁から上方に延びる首部14と、を備えており、これらが一体的に形成されている。そして、これらの部位11~14によって囲まれる内部空間に、薬液が収容されている。
【0016】
首部14は、円筒状に形成されており、その上端に開口15が形成されている。これにより、内部空間に収容されている薬液は、開口15を介して排出部材2へと流出するようになっている。また、首部14の外周面には雄ネジ(図示省略)が形成されており、後述するように、排出部材2に形成された雌ねじと螺合するようになっている。
【0017】
容器本体1を形成する材料は特には限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどで形成することができ、インジェクションブロー成形などの公知のブロー成形で製造することができる。
【0018】
<2.排出部材>
次に、排出部材2について、図2図5を参照しつつ説明する。図2はキャップが開位置にあるときの排出部材の断面図、図3図2の平面図、図4はキャップが仮閉位置にあるときの排出部材の断面図、図5はキャップが閉位置にあるときの排出部材の断面図である。図2図5に示すように、この排出部材2は、容器本体1の首部14に螺合する取付部3と、この取付部3から突出する排出部4と、取付部3にヒンジ部5を介して取り付けられたキャップ6と、を備えており、これらが一体的に形成されている。以下、各部について、詳細に説明する。
【0019】
<2-1.取付部>
取付部3は、円筒状の取付本体31を備えている。この取付本体31は、下端部が開放し、上端部が板状の基面部32によって閉じられている。また、この取付本体31の内壁面は、容器本体1の首部14の雄ネジに螺合する雌ネジ(図示省略)が形成されている。そして、基面部32の中央には貫通孔33が形成されており、この貫通孔33は、取付本体31の内部空間、首部14を介して容器本体1の内部空間に通じている。
【0020】
<2-2.排出部>
排出部4は、円筒状の本体部41を備えており、この本体部41の下端は基面部32の貫通孔33の周縁に連結され、上端は半球面状の蓋部42によって閉じられている。そして、この蓋部42の内壁面も半球状に形成されている。また、本体部41の上端付近、つまり蓋部42よりも下側には円形状の排出孔43が形成されている。この排出孔43は、本体部41の外周面に対して垂直に延びており、本体部41の内部空間と外部とを連通するようになっている。したがって、容器本体1の内部空間の液体は、首部14、基面部32の貫通孔33、排出部4の本体部41を介して排出孔43から排出される。
【0021】
排出部4の本体部41の内径Aは、例えば、1~15mmとすることができる。また、排出孔43の内径Bは、例えば、1~5mmとすることができる。そして、内径Aと内径Bとの比は、例えば、1:0.3~1:1とすることができる。また、首部14の内径Cと、排出部4の本体部41の内径Aとの比は、例えば、1:0.1~1:0.5とすることができる。このようにすると、薬液の排出をスムーズに行うことができる。
【0022】
<2-3.キャップ>
次に、キャップ6について説明する。キャップ6は、ヒンジ部5を介して取付部3に連結される円形状の支持部61と、この支持部61の下面に取り付けられる円筒状の閉鎖部62とを備えている。
【0023】
支持部61は、円形状の基板611と、この基板611の周縁から下方へ延びる周縁部612と、を備えている。そして、後述するヒンジ部5によって、キャップ6は、図2に示すように、取付部3の基面部32が外部に露出する開位置(第2の位置)と、図5に示すように、基面部32を覆う閉位置(第1の位置)とを取り得るようになっている。
【0024】
図2図5に示すように、基板611は、取付部3の基面部32とほぼ同様の形状を有しており、キャップ6が閉じられたときには、周縁部612の下端が基面部32の周縁に接するようになっている。これにより、基面部32と支持部61との間に空間が形成され、この空間に上述した排出部4が収容されるようになっている。また、これら基板611と周縁部612の一部には、後述するヒンジ部5が配置される切欠き63,64が形成されている。この切欠きは、基板611の縁部付近から中央付近まで延びる第1切欠き63と、この第1切欠き63と連続し、周縁部612の上端から下端まで延びる第2切欠き64と、で構成されている。すなわち、この切欠き63,64は、基板611から周縁部612に亘るL字状に形成されている。
【0025】
また、支持部61の基板611の中央には、上述した閉鎖部62が取り付けられている。閉鎖部62の下端は開放されており、支持部61が閉位置にあるときには、排出部4が閉鎖部62の内部に挿入されるようになっている。このとき、閉鎖部62の内壁面が排出部4の外周面に接し、排出孔43が閉じられるようになっている。
【0026】
また、後に詳述するが、キャップ6が開位置から閉位置に変位する過程では、図4に示すように、閉鎖部62の下端部が排出部4の蓋部42に一旦当接し、そこから外力を作用させると、排出部4が閉鎖部62に収容される。このように、閉鎖部62の下端部が排出部4の蓋部42に当接する位置を仮閉位置(第3の位置)と称することとする。
【0027】
<2-4.ヒンジ部>
ヒンジ部5は、中央片51と、その両側に配される一対の端部片52,53と、で構成されている。端部片52,53は、帯状に形成され、支持部61の周縁部612の下端と、取付部3の基面部32の周縁とを連結するものであり、基面部32の周縁において、周方向に所定間隔をおいて配置されている。そして、端部片52,53の中央付近には薄肉部521,531がそれぞれ形成され、この薄肉部521,531が折れ曲がることで、キャップ6を取付部3に連結した状態で、開位置から閉位置へと変位させることができる。なお、図2に示すように、開位置では、キャップ6は、取付部3の基面部32に対し、約120度の角度まで開いた状態となる。
【0028】
中央片51は、帯状の第1部位511及び第2部位512を備え、これら2つの部位511,512が弾性変形可能にL字型に連結されたものである。すなわち、これら第1部位511と第2部位512のなす角は、平常状態では約90度であるが、弾性変形により、90度より大きい角度に広げられる。
【0029】
第1部位511の端部は、キャップ6の第1切欠き63における支持部61の中央側の端部に薄肉部514を介して連結されており、第1部位511は、支持部61に対して揺動可能となっている。一方、第2部位512の端部は、取付部3の取付本体31の外周面に薄肉部515を介して連結されており、第2部位512は、取付本体31に対して揺動可能になっている。
【0030】
そして、キャップ6が閉位置にあるときには、第1部位511は第1切欠き63に収容され、第2部位512は第2切欠き64に収容されるようになっている。この状態では、第1部位511と第2部位512の角度は平常状態にあるが、ここから、キャップ6が開位置に変位する過程では、第1部位511の薄肉部514が、図6に示すように第2部位512の薄肉部515の直上に位置する中間位置まで、第1部位511と第2部位512とが90度より大きい角度になるように弾性的に広げられる。この状態を開状態と称することとする。そして、この中間位置を過ぎ、キャップ6が開位置に変位すると、第1部位511と第2部位512の角度は平常状態に戻るように中央片51の両端部の位置が設定されている。
【0031】
そのため、閉位置から中間位置までの間は、弾性力に抗して、第1部位511と第2部位512との角度が平常状態から広げられるが、中間位置を越えるようにキャップ6に外力を作用させると、中央片51は開状態から平常状態まで、弾性力によって復元し、キャップ6は、自動的に開位置まで変位する。
【0032】
同様に、閉位置から開位置に変位させる場合でも、中間位置を越えるように、外力を作用させると、キャップ6は、弾性力により自動的に、上述した仮閉位置まで変位する。
【0033】
<2-5.材料>
排出部材2を形成する材料は特には限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂材料で形成することができる。
【0034】
<2-6.仮閉位置と閉位置との間のキャップの変位>
次に、仮閉位置と閉位置との間のキャップ6の変位について説明する。上記のようにキャップ6は中間位置から仮閉位置まではヒンジ部5の中央片51の弾性変形により、自動的に変位する。そして、仮閉位置では、図4に示すように、閉鎖部62の下端部が排出部4の蓋部42に接触する。より詳細には、閉鎖部62の下端部のうち、ヒンジ部5とは反対側の縁部が、蓋部42の上面における排出孔43側の傾斜面に接する。そして、この状態からキャップ6の支持部61を上方から押圧すると、ヒンジ部5が弾性変形することにより、支持部61が排出孔43側へ概ね水平方向に移動する。これにより、閉鎖部62の下端部が蓋部42の傾斜面を滑り、排出孔43を経て、排出部4の下端付近まで達する。その結果、閉鎖部62が排出部4の外周面を覆い、排出孔43が閉鎖され、キャップ6は閉位置に配置される。
【0035】
<3.容器の使用方法>
まず、キャップ6を閉位置から開位置まで変位させ、排出部4を露出させる。次に、容器本体1の外周面を手で把持し、排出部4の排出孔43が下向きになる程度まで、容器を傾ける。これにより、容器本体1内の薬液が首部14、排出部4を介して排出孔43から排出される。
【0036】
<4.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、排出部4において、排出孔43よりも上方に蓋部42の内壁面が設けられているため、容器を傾けたとき、薬液は容器本体1から排出部4に流入する。そして、薬液の大半は、図7に示すように、薬液の流れの勢いで、一旦、流れ方向の延長にある蓋部42の内壁面に衝突した後、下向きとなった排出孔43から排出させる。そのため、例えば、排出部の先端に排出孔が設けられているのと比べ、薬液が勢いよく排出されるのを防止することができる。したがって、薬液の排出方向をコントロールすることができる。特に、蓋部42の内壁面は半球状に形成されているため、蓋部42に衝突した薬液を排出孔43側にスムーズに戻るような流れを形成することができる。
【0037】
また、キャップ6を閉じるときには、一旦、仮閉位置にキャップ6が位置した後に、力を加えることで、閉位置に変位するように構成されている。このとき、閉鎖部62は、主としてヒンジ部5の弾性力に抗して、排出部4を覆う位置に配置される。したがって、閉鎖部62は、弾性力が作用した状態で、排出孔43を閉じることになる。特に、排出孔43が排出部4の本体部41の外周面に形成されているため、閉鎖部62の内壁面が排出孔43の周縁と強固に密着した状態となる。したがって、排出孔43から薬液が漏れるのを確実に防止することができる。
【0038】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は、適宜組合せ可能である。
【0039】
<5-1>
排出孔43の位置は特には限定されず、例えば、少なくとも蓋部42の内壁面の頂部よりも貫通孔側に配置することができる。したがって、図8に示すように、蓋部42に設けられていてもよい。すなわち、薬液を排出するときに、一旦、蓋部42の内壁面に薬液が衝突した後、排出孔43から排出できるようになっていればよいが、これに限定されるものではなく、蓋部42のさらに先端側に設けることもできる。なお、図8のような場合、排出孔43の周縁は閉鎖部62に接触しないが、少なくとも閉鎖部62は、排出部4の本体部41の外周面に強固に接触するため、排出孔43は、閉鎖部62の内部に密閉された状態となる。したがって、薬液の漏れを防止することができる。
【0040】
<5-2>
蓋部42は、球面でなくてもよく、平坦状、円錐状、角錐状など種々の形態にすることができる。但し、蓋部42の外面に傾斜面を形成すると、上記のように、閉鎖部62が蓋部42の外面を滑りやすくなり、仮閉位置から閉位置までスムーズに変位させることができる。また、排出部4の本体部41も円筒状ではなく、角筒状にすることもできる。
【0041】
<5-3>
閉鎖部62の形状は特には限定されず、例えば、図9に示すように、排出孔43側で、排出部4の本体部41の外周面に接するように、断面円弧状に形成することもできる。すなわち、閉鎖部62は、少なくとも、ヒンジ部5とは反対側で排出孔43を覆うように形成されていればよい。
【0042】
<5-4>
ヒンジ部5の構成は特には限定されず、上記実施形態以外の態様であってもよい。すなち、少なくともキャップ6と取付部3とを連結し、キャップ6が閉位置及び開位置との間を変位できるように構成されていればよい。また、ヒンジ部5、キャップ6を取付部とは別部材で構成することもできる。
【0043】
<5-5>
また、上記実施形態では、キャップ6が仮閉位置から閉位置へ変位するとき、主としてヒンジ部5の弾性変形により、閉鎖部62が排出部4を覆うように形成されているが、ヒンジ部5以外の閉鎖部62や排出部4の弾性変形によっても、仮閉位置から閉位置へ変位させることができる。したがって、閉鎖部62、排出部4、及びヒンジ部5の少なくとも1つが弾性変形可能であればよい。
【0044】
<5-6>
キャップ6の形状も特には限定されず、少なくとも支持部61と閉鎖部62が設けられていればよい。例えば、支持部61は必ずしも取付部3の基面部32を覆うような構造でなくてもよく、閉鎖部62が取り付けられるような構造であればよい。
【0045】
<5-7>
容器本体1の形状は特には限定されず、少なくとも取付部3が取り付けられるような開口15が形成されていればよい。したがって、取付部3の取付方法も特には限定されない。上記実施形態では、ネジ嵌合により、取付部3と首部14とを固定しているが、例えば、首部14の内周面に雌ネジを形成するとともに、取付部3の外周面に雄ネジを形成し、これらをネジ嵌合することもできる。あるいは、取付部3を首部14の内壁面に加締めによって固定することもできる。
【0046】
<5-8>
容器本体1の内部に収容されるものは、薬液に限定されるものではなく、種々の種類の液体を収容することができる。また、液体の粘度の高低も特には限定されず、25℃で流動性を有していればよい。
【符号の説明】
【0047】
1 容器本体
2 排出部材
3 取付部
4 排出部
41 本体部
42 蓋部
43 排出孔
5 ヒンジ部
6 キャップ
62 閉鎖部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9