IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファスフォードテクノロジ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図1
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図2
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図3
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図4
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図5
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図6
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図7
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図8
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図9
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図10
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図11
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図12
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図13
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図14
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図15
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図16
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図17
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図18
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図19
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図20
  • 特許-ダイボンダおよび半導体装置の製造方法 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ダイボンダおよび半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/52 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018121594
(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公開番号】P2020004812
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小橋 英晴
(72)【発明者】
【氏名】中島 宜久
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-010051(JP,A)
【文献】特開2013-021226(JP,A)
【文献】特開2008-196972(JP,A)
【文献】特開2017-147258(JP,A)
【文献】特開2015-177110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
G01N 21/84
G06T 1/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上にペースト状の接着剤を塗布するシリンジと、
前記接着剤が塗布された前記基板の上にダイを搭載するボンディングヘッドと、
前記シリンジの近傍に取り付けられ、第一状態および第二状態で撮像対象に光を照射する照明装置と、
認識用カメラと、
前記照明装置および前記認識用カメラを制御する制御装置と、
を備え、
前記基板に塗布される前記接着剤は前記基板表面の明度に近い明度を有し、
前記制御装置は、
前記照明装置を前記第一状態にして前記認識用カメラにより前記接着剤の塗布前における前記基板の状態を撮像し、前記基板の上に塗布された前記接着剤に前記照明装置により形成された輝線および暗部を撮像し、
前記接着剤に形成される輝線および暗部を移動させるため前記照明装置を前記第二状態にして前記認識用カメラにより前記接着剤の塗布前における前記基板の状態を撮像し、前記基板の上に塗布された前記接着剤に前記照明装置により形成された輝線および暗部を撮像し、
前記照明装置の前記第一状態において撮像した塗布後における前記接着剤の前記輝線および暗部の撮像画像と前記塗布前における前記基板の状態の撮像画像との差分の2値化データを求め、
前記照明装置の前記第二状態において撮像した塗布後における前記接着剤の前記輝線および暗部の撮像画像と前記塗布前における前記基板の状態の撮像画像との差分の2値化データを求め、
前記照明装置の前記第一状態において求めた前記2値化データと前記第二状態において求めた前記2値化データとを論理和して合成して前記接着剤の塗布パターンを得るよう構成されるダイボンダ。
【請求項2】
請求項1のダイボンダにおいて、
前記基板は金属メッキされたリードフレームであるダイボンダ。
【請求項3】
請求項1または2のダイボンダにおいて、
前記制御装置は、複数回の撮像により得た画像を平均化して前記撮像画像を得るよう構成されるダイボンダ。
【請求項4】
請求項1または2のダイボンダにおいて、
前記照明装置の前記第一状態は同軸照明による光の照射であり、前記第二状態は斜光照明による光の照明であるダイボンダ。
【請求項5】
請求項1または2のダイボンダにおいて、
前記制御装置は照明光の波長を切り換えて前記照明装置を前記第一状態および前記第二状態にするよう構成されるダイボンダ。
【請求項6】
請求項1または2のダイボンダにおいて、
前記照明装置は照射方向の異なる斜光照明を複数備え、
前記制御装置は前記斜光照明の点灯および消灯を制御して、前記照明装置を前記第一状態および前記第二状態にするよう構成されるダイボンダ。
【請求項7】
請求項6のダイボンダにおいて、
前記斜光照明のそれぞれは水平方向の照射方向が異なるダイボンダ。
【請求項8】
請求項6のダイボンダにおいて、
前記斜光照明のそれぞれは垂直方向の照射方向が異なるダイボンダ。
【請求項9】
基板の上にペースト状の接着剤を塗布するシリンジと、
前記接着剤が塗布された前記基板の上にダイを搭載するボンディングヘッドと、
前記シリンジの近傍に取り付けられ、第一状態および第二状態で撮像対象に光を照射する照明装置と、
認識用カメラと、
前記照明装置および前記認識用カメラを制御する制御装置と、
を備え、
前記照明装置は照射方向の異なる斜光照明を複数備え、
前記制御装置は
前記斜光照明の移動を制御して、前記照明装置を前記第一状態および前記第二状態にし、
前記照明装置を前記第一状態にして前記認識用カメラにより前記接着剤の塗布前における前記基板の状態を撮像し、前記基板の上に塗布された前記接着剤の状態を撮像し、
前記照明装置を前記第二状態にして前記認識用カメラにより前記接着剤の塗布前における前記基板の状態を撮像し、前記基板の上に塗布された前記接着剤の状態を撮像し、
前記照明装置の前記第一状態において撮像した塗布後における前記接着剤の撮像画像と前記塗布前における前記基板の撮像画像との差分の2値化データを求め、
前記照明装置の前記第二状態において撮像した塗布後における前記接着剤の撮像画像と前記塗布前における前記基板の撮像画像との差分の2値化データを求め、
前記照明装置の前記第一状態において求めた前記2値化データと前記第二状態において求めた前記2値化データとを合成して前記接着剤の塗布パターンを得るよう構成されるダイボンダ。
【請求項10】
基板の上にペースト状の接着剤を塗布するシリンジと、
前記接着剤が塗布された前記基板の上にダイを搭載するボンディングヘッドと、
前記シリンジの近傍に取り付けられ、第一状態および第二状態で撮像対象に光を照射する照明装置と、
認識用カメラと、
前記照明装置および前記認識用カメラを制御する制御装置と、
を備え、
前記照明装置は複数の領域を有するリング状斜光照明を備え、
前記制御装置は
前記リング状斜光照明の前記領域ごとに点灯および消灯を制御して、前記照明装置を前記第一状態および前記第二状態にし、
前記照明装置を前記第一状態にして前記認識用カメラにより前記接着剤の塗布前における前記基板の状態を撮像し、前記基板の上に塗布された前記接着剤の状態を撮像し、
前記照明装置を前記第二状態にして前記認識用カメラにより前記接着剤の塗布前における前記基板の状態を撮像し、前記基板の上に塗布された前記接着剤の状態を撮像し、
前記照明装置の前記第一状態において撮像した塗布後における前記接着剤の撮像画像と前記塗布前における前記基板の撮像画像との差分の2値化データを求め、
前記照明装置の前記第二状態において撮像した塗布後における前記接着剤の撮像画像と前記塗布前における前記基板の撮像画像との差分の2値化データを求め、
前記照明装置の前記第一状態において求めた前記2値化データと前記第二状態において求めた前記2値化データとを合成して前記接着剤の塗布パターンを得るよう構成されるダイボンダ。
【請求項11】
基板の上にペースト状の接着剤を塗布するシリンジと、
前記接着剤が塗布された前記基板の上にダイを搭載するボンディングヘッドと、
前記シリンジの近傍に取り付けられ、第一状態および第二状態で撮像対象に光を照射する照明装置と、
認識用カメラと、
前記照明装置および前記認識用カメラを制御する制御装置と、
を備え、
前記照明装置は平行光および拡散光を照射可能な照明装置であり、
前記制御装置は
前記平行光と前記拡散光との切換えを制御して、前記照明装置を前記第一状態および前記第二状態にし、
前記照明装置を前記第一状態にして前記認識用カメラにより前記接着剤の塗布前における前記基板の状態を撮像し、前記基板の上に塗布された前記接着剤の状態を撮像し、
前記照明装置を前記第二状態にして前記認識用カメラにより前記接着剤の塗布前における前記基板の状態を撮像し、前記基板の上に塗布された前記接着剤の状態を撮像し、
前記照明装置の前記第一状態において撮像した塗布後における前記接着剤の撮像画像と前記塗布前における前記基板の撮像画像との差分の2値化データを求め、
前記照明装置の前記第二状態において撮像した塗布後における前記接着剤の撮像画像と前記塗布前における前記基板の撮像画像との差分の2値化データを求め、
前記照明装置の前記第一状態において求めた前記2値化データと前記第二状態において求めた前記2値化データとを合成して前記接着剤の塗布パターンを得るよう構成されるダイボンダ。
【請求項12】
請求項11のダイボンダにおいて、
前記照明装置は前記平行光を照射するため照明と前記拡散光を照射するための照明とを有する同軸照明であるダイボンダ。
【請求項13】
基板の上にペースト状の接着剤を塗布するシリンジと、
前記接着剤が塗布された前記基板の上にダイを搭載するボンディングヘッドと、
前記シリンジの近傍に取り付けられ、第一状態および第二状態で撮像対象に光を照射する照明装置と、
認識用カメラと、
前記照明装置および前記認識用カメラを制御する制御装置と、
を備え、
前記照明装置は偏光フィルタまたは波長板を備え、
前記制御装置は
前記偏光フィルタの有無または回転、もしくは前記波長板の有無の切換えを制御して、前記照明装置を前記第一状態および前記第二状態にし、
前記照明装置を前記第一状態にして前記認識用カメラにより前記接着剤の塗布前における前記基板の状態を撮像し、前記基板の上に塗布された前記接着剤の状態を撮像し、
前記照明装置を前記第二状態にして前記認識用カメラにより前記接着剤の塗布前における前記基板の状態を撮像し、前記基板の上に塗布された前記接着剤の状態を撮像し、
前記照明装置の前記第一状態において撮像した塗布後における前記接着剤の撮像画像と前記塗布前における前記基板の撮像画像との差分の2値化データを求め、
前記照明装置の前記第二状態において撮像した塗布後における前記接着剤の撮像画像と前記塗布前における前記基板の撮像画像との差分の2値化データを求め、
前記照明装置の前記第一状態において求めた前記2値化データと前記第二状態において求めた前記2値化データとを合成して前記接着剤の塗布パターンを得るよう構成されるダイボンダ。
【請求項14】
(a)ダイが貼付されたダイシングテープを保持するウェハリングホルダを搬入する工程と、
(b)基板を搬入する工程と、
(c)前記ダイをピックアップする工程と、
(d)前記基板の上にペースト状の接着剤を塗布する工程と、
(e)前記ピックアップしたダイを前記基板の上にボンディングする工程と、
を含み、
前記基板に塗布される前記接着剤は前記基板表面の明度に近い明度を有し、
前記(d)工程は、
(d1)照明装置を第一状態にして前記基板の前記接着剤の塗布前における前記基板の状態を撮像する工程と、
(d2)前記照明装置を第二状態に切り換えて前記接着剤の塗布前における前記基板の状態を撮像する工程と、
(d3)前記照明装置を前記第一状態に切り換えて前記基板の上に塗布された前記接着剤に前記照明装置により形成された輝線および暗部を撮像する工程と、
(d4)前記接着剤に形成される輝線および暗部を移動させるため前記照明装置を前記第二状態に切り換えて前記基板の上に塗布された前記接着剤に前記照明装置により形成された輝線および暗部を撮像する工程と、
(d5)前記照明装置の前記第一状態において撮像した前記塗布後における前記接着剤の前記輝線および暗部の撮像画像と前記塗布前における前記基板の状態の撮像画像との差分を求め、前記差分の2値化データを求める工程と、
(d6)前記照明装置の前記第二状態において撮像した前記塗布後における前記接着剤の前記輝線および暗部の撮像画像と前記塗布前における前記基板の状態の撮像画像との差分を求め、前記差分の2値化データを求める工程と、
(d7)前記照明装置の前記第一状態において求めた前記2値化データと前記第二状態において求めた前記2値化データとを論理和して合成して前記接着剤の塗布パターンを得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程は前記ピックアップされたダイを中間ステージに載置し、
前記(e)工程は前記中間ステージに載置されたダイをピックアップする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項14の半導体装置の製造方法において、
前記基板は金属メッキされたリードフレームである半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はダイボンダに関し、例えばプリフォーム部を備えるダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一部に半導体チップ(以下、単にダイという。)を配線基板やリードフレーム等(以下、単に基板という。)に搭載してパッケージを組み立てる工程があり、パッケージを組み立てる工程の一部に、半導体ウェハ(以下、単にウェハという。)からダイを分割する工程(ダイシング工程)と、分割したダイを基板の上に搭載するボンディング工程とがある。ボンディング工程に使用される半導体製造装置がダイボンダである。
【0003】
ダイボンダは、はんだ、金メッキ、樹脂を接合材料として、ダイを基板または既にボンディングされたダイの上にボンディング(搭載して接着)する装置である。ダイを、例えば、基板の表面にボンディングするダイボンダにおいては、コレットと呼ばれる吸着ノズルを用いてダイをウェハから吸着してピックアップし、基板上に搬送し、押付力を付与すると共に、接合材を加熱することによりボンディングを行うという動作(作業)が繰り返して行われる。
【0004】
樹脂を接合材料として使用する場合、Agエポキシ及びアクリル等の樹脂ペーストが接着剤(以下、ペースト状接着剤という)として使用されている。ダイをリードフレーム等に接着するペースト状接着剤はシリンジ内に封入されている。このシリンジがリードフレームに対して上下動してペースト状接着剤を射出して塗布している。すなわち、ペースト状接着剤を封入したシリンジによってペースト状接着剤が所定の位置に所定量塗布され、そのペースト状接着剤上にダイが圧着されて接着される。
【0005】
シリンジの近傍には認識用カメラが取り付けられ、この認識用カメラで塗布されたペースト状接着剤が所定位置に所定量だけ塗布されているかを確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-197277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属メッキのなされた基板の表面にエポキシ樹脂等のペースト状接着剤を塗布する場合等、基板表面の明度とペースト状接着剤の塗布部の明度が近い場合、ペースト状接着剤の塗布エリア全面を検出することが難しい。
本開示の課題は、基板に塗布されたペースト状接着剤の塗布パターンの検出率を向上することが可能なダイボンダを提供することにある。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、ダイボンダは、(a)照明装置を第一状態にして基板の接着剤の塗布前の状態を撮像し、前記基板の上の前記接着剤の塗布後の状態を撮像し、(b)前記照明装置を第二状態にして前記基板の前記接着剤の塗布前の状態を撮像し、前記基板の上の前記接着剤の塗布後の状態を撮像し、(c)前記照明装置の前記第一状態で撮像した前記塗布後の状態の撮像画像と前記塗布前の状態の撮像画像との差分の2値化データを求め、(d)前記照明装置の前記第二状態で撮像した前記塗布後の状態の撮像画像と前記塗布前の状態の撮像画像との差分の2値化データを求め、(e)前記照明装置の前記第一状態で求めた前記2値化データと前記第二状態で求めた前記2値化データとを合成して前記接着剤の塗布パターンを得る。
【発明の効果】
【0009】
上記ダイボンダによれば、基板に塗布されたペースト状接着剤の塗布パターンの検出率を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ペースト状接着剤の塗布について説明する図である。
図2】ペースト状接着剤の塗布パターンについて説明する図である。
図3】ペースト状接着剤の塗布状態について説明する図である。
図4】金属メッキのなされた基板の表面にペースト状接着剤を塗布する場合の問題点について説明する図である。
図5】実施形態の光学系を示す図である。
図6図5の光学系を用いた画像処理を説明する図である。
図7】二つの照明の点灯を分けた方がよい理由を説明する図である。
図8】第二変形例の照明装置の配置を示す平面図である。
図9】第三変形例の照明装置の斜光照明の配置を示す斜視図である。
図10】第四変形例の照明装置を示す模式斜視図である。
図11】第五変形例の照明装置を示す模式斜視図である。
図12】第六変形例の照明装置を示す模式側面図である。
図13】第七変形例の照明装置を示す模式側面図である。
図14】第八変形例の照明装置を示す模式斜視図である。
図15】実施例のダイボンダを上から見た概念図である。
図16図15のダイボンダの光学系の構成図である。
図17図16のプリフォーム部光学系の構成図である。
図18図15のダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
図19】ペースト状接着剤の検査画像の取得方法を説明するフローチャートである。
図20図19の検査画像処理を説明するフローチャートである。
図21】半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態、変形例、比較例および実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0012】
まず、ペースト状接着剤の塗布について図1~3を用いて説明する。図1はペースト状接着剤の塗布について説明する図である。図2はペースト状接着剤の塗布パターンについて説明する図であり、図2(a)は×印形状であり、図2(b)は丸形状であり、図2(c)は×印形状の間にY形状を組合せた形状であり、図2(d)は枠形状である。図3はペースト状接着剤の塗布状態について説明する図であり、図3(a)は正常状態であり、図3(b)は不足状態であり、図3(c)ははみ出し状態であり、図3(d)は過多状態である。図3、4において、黒い部分が背景である基板であり、白い部分がペースト状接着剤である。
【0013】
ペースト状接着剤の塗布は図1(a)に示すようにペースト状接着剤が封入されているシリンジSYRの先端のノズルNZLから射出し、ノズルNZLの軌跡に従って塗布することによって行う。シリンジSYRは塗布したい形状によりXYZ軸で駆動され、その軌跡によって×印形状や十字形状など、図2に示すように自由な軌跡を描いて塗布する。このほか、図1(b)に示すように、ノズル先端の形状を加工したスタンプ形状のものがある。以下、ペースト状接着剤の塗布パターンは図2(a)の×印形状であるとして説明する。
【0014】
ダイボンダにはペースト状接着剤の塗布後の状態を検査する検査機能がある。図3に示すように、ペースト状接着剤の塗布状態によって不足(図3(b))、はみ出し(図3(c))、過多(図3(d))などがある。なお、図3(a)はペースト状接着剤の塗布状態は正常な場合である。検査はペースト状接着剤の塗布エリアの面積や形状から、理想形状に近いか、もしくはリファレンスとなる塗布形状を記憶したものとの比較などで行う。
【0015】
次に、パラジウムメッキ等の金属メッキのなされた基板の表面にエポキシ樹脂等のペースト状接着剤を塗布する場合の問題点について図4を用いて説明する。図4は金属メッキのなされた基板の表面にペースト状接着剤を塗布する場合の問題点について説明する図であり、図4(a)は斜光照明の画像であり、図4(b)は同軸照明の画像であり、図4(c)は斜光照明の反射を示す図であり、図4(d)は同軸照明の反射を示す図であり、図4(e)は斜光照明の画像を2値化した図であり、図4(f)は同軸照明の画像を2値化した図である。
【0016】
メッキ面に均一性がない場合が多く、メッキ面の明るさは一様ではなくばらつきがある。そこにエポキシ樹脂を塗布したときの状態を検査することになる。エポキシ樹脂は種類や混合物が多様で、透明、色つき透明、乳白色、グレー、金属粒子を含むものなどさまざまである。また、液状なのでその表面は鏡面反射するが、光が透過するものもある。基板表面のメッキ面の色や反射率(明度)とエポキシ樹脂塗布部の反射率(明度)が近いと以下のような現象を引き起こし、ペースト状接着剤の塗布エリア全面を検出することが難しい。ここで、明度は反射率および反射角度に依存する。また、金属メッキの有無や種類、基板材質等にかかわらず、基板とペースト状接着剤の反射率が近い場合、特に基板側の反射率が若干低い場合、同様な問題点がある。
【0017】
塗布エリアは液面であるため、照明により鏡面反射が発生し、照明の位置に準じた輝線や暗部が生じる。例えば、図4(a)に示すように、斜光照明により取得される画像は塗布エリアの周辺に輝線BIが現れ、塗布エリアの中心に暗部DPが現れる。これは、図4(c)に示すように、斜光照明OLでは照明の入射方向が低いためである。一方、図4(b)に示すように、同軸照明CLにより取得される画像は塗布エリアの中心に輝線BIが現れ、塗布エリアの周辺に暗部DPが現れる。これは、図4(d)に示すように、同軸照明CIでは照明の入射方向が高いためである。
【0018】
カメラの取得画像を2値化処理しても背景の影響を受け、塗布エリアだけを抽出できない。また、明部と暗部の境界は基板面と明るさが近く、これらも2値化処理では抽出できない。例えば、図4(e)に示すように、斜光照明の画像を2値化したり、図4(f)に示すように、斜光照明の画像を2値化したり、しても塗布エリアだけを抽出することはできない。
【0019】
次に、上記問題点を解決する実施形態について図5および図6を用いて説明する。図5は実施形態の光学系を示す図である。図6図5の光学系を用いた画像処理を説明する図であり、図6(a)は斜光照明を用いた画像処理を示す図であり、図6(b)は同軸照明を用いた画像処理を示す図であり、図6(c)は図6(a)と図6(b)を合成した図である。
【0020】
実施形態では、照明装置は複数の照明状態を有し、各々の照明状態によるペース状接着剤の塗布前と塗布後の画像を取得し、差分処理を行う。各照明状態の差分処理した画像から、2値化処理によって塗布エリアを求める。求めた塗布エリアは照明状態毎に論理和としてエリアを合成する。これにより、塗布エリアの検出率(検出できた塗布エリア/実際の塗布エリア)を高くすることができる。
【0021】
例えば、図5に示すように、照明装置IDの斜光照明OLを使って撮像装置であるカメラCAMにより塗布前後の画像を取得し差分画像処理し、さらに2値化する(図6(a))。また、図5に示すように、照明装置IDの同軸照明CLを使ってカメラCAMにより塗布前後の画像を取得し差分画像処理し、さらに2値化する(図6(a))。図6(c)に示すように、図6(a)の差分画像と図6(b)の差分画像を合成する。
【0022】
絶対値差分画像処理で背景の不均一な模様の影響を除去し、また複数の照明状態の画像で行い、それを合成することでペースト状接着剤PAの塗布エリアを抽出する。照明の照射位置の変更等照明状態を変更する(例えば同軸照明と斜光照明を切り替える)ことで、ペースト状接着剤PAの輝線や暗部を移動させることができる。移動させた画像でそれぞれ差分処理を行い、合成することで、ペースト状接着剤PAの塗布エリアを抽出することができる。
【0023】
次に、複数の照明状態を分けた(例えば、照明の点灯を分けた)ほうがよい理由について図7を用いて説明する。図7は二つの照明の点灯を分けた方がよい理由を説明する図であり、図7(a)はフラットな明るさの面に液体を塗布したときの画像である。図7(b)は明度分布を示すグラフであり、横軸は座標[×100]、縦軸は明度[×100]である。図7(c)は塗布前の明度に対する差分を示すグラフであり、横軸は座標[×100]、縦軸は明度オフセット[×100]である。
【0024】
フラットな明るさの面に液体を塗布したときの明部、暗部が正弦波状に分布していたとする。さらに照明の位置を変えて明部と暗部をわずかに移動させたとする。図7(a)に示すように、照明の位置の切換前をA、切換後をBとする。明度分布は横軸をX座標、縦軸を明度とすると図7(b)に示すグラフのようになる。実線BAはAの明度、実線BBはBの明度、破線BCは移動前と移動後の照明の同時点灯の明度、実線BDは塗布前の明度である。
【0025】
図7(b)の塗布前の明度(BD)に対する差分(明度オフセット)が図7(c)に示されている。明度オフセットが縦軸、X座標を横軸で表している。同時点灯のオフセットは破線Eとなり、2分の1周期でオフセットを十分取れない領域が発生する。これに対し各々の差分を行い、絶対値計算後に重ねたグラフは実線Fになる。実線Fは破線Eに比べ、オフセットを十分取れない領域がなくなっていることがわかる。
【0026】
以下、実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施形態の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0027】
実施形態では、照明の切換については同軸照明と斜光照明を例に記載したが、以下の変形例の照明状態の切換であってもよい。それぞれの切換を選択し、各照明での塗布前後の差分画像を取得する。塗布前に切換ごとに画像を取得し、塗布後に同じ切換を順次実施して画像を再取得する。例えば、第一状態の照明において、ペースト状接着剤の塗布前と塗布後の画像を取得し、差分画像処理による背景基板の模様の影響を除去する。第二状態の照明において、ペースト状接着剤の塗布前と塗布後の画像を取得し、差分画像処理による背景基板の模様の影響を除去する。第一状態および第二状態等の多連照明による各々の差分処理を合成し、ペースト状接着剤の液面に映る輝線もしくは暗部の影響を軽減する。第一状態と第二状態の二つの照明状態に限られるものではなく、三つ以上の照明状態であってもよい。
【0028】
(第一変形例)
第一変形例では、照明装置は照明の色(照明光の波長)を切り換えて複数の照明状態を得る。照射する照明の色を赤、緑、青の3原色のほか、白、赤外、紫外などを用いる。可視光外の光を使用するときは、その波長に受光感度を持つカメラを用いる。基板のメッキ面とペースト状接着剤の表面の分光反射特性の違いを利用する。
【0029】
(第二変形例)
第二変形例では、照明装置は斜光照明の照射方向を切り換えて複数の照明状態を得る。図8は第二変形例の照明装置の配置を示す平面図である。
【0030】
図8に示すように、照明装置は複数の斜光照明OL1~OL8を備える。斜光照明OL1,OL3,OL5,OL7は基板Sの隅付近から基板Sの中心付近に光が入射するように配置され、斜光照明OL2,OL4,OL6,OL8は基板Sの四辺のそれぞれと対向する位置から基板Sの中心付近に光が入射するように配置される。制御部8は照射方向毎に各々別点灯するように斜光照明OL1~OL8を制御する。
【0031】
点灯する斜光照明と消灯する斜光照明を変えて第一状態および第二状態を構成する。例えば、照明の第一状態として、斜光照明OL1,OL3,OL5,OL7を点灯し、斜光照明OL2,OL4,OL6,OL8を消灯する。照明の第二状態として、斜光照明OL1,OL3,OL5,OL7を消灯し、斜光照明OL2,OL4,OL6,OL8を点灯する。
【0032】
第一状態と第二状態の二つの照明状態に限られるものではなく、三つ以上の照明状態であってもよい。例えば、第一状態として斜光照明OL1を点灯して他の斜光照明を消灯し、第二状態として斜光照明OL2を点灯して他の斜光照明を消灯し、・・・、第八状態として斜光照明OL8を点灯して他の斜光照明を消灯するようにしてもよい。
【0033】
(第三変形例)
第三変形例では照明装置は複数の斜光照明を有し斜光照明を切り換えて複数の照明状態を得る。図9は第三変形例の照明装置の斜光照明の配置を示す斜視図である。
【0034】
図9に示すように、照明装置は照射角度の異なる複数の斜光照明OL1~OL3を備える。制御部8は照射角度毎に各々別点灯するように斜光照明OL1~OL3を制御する。例えば、第一状態として斜光照明OL1を点灯して斜光照明OL2,OL3を消灯し、第二状態として斜光照明OL2を点灯して斜光照明OL1,OL3を消灯する。第二状態として斜光照明OL3を点灯して斜光照明OL1,OL2消灯してもよい。なお、第三状態も設けて斜光照明OL3を点灯して斜光照明OL1,OL2を消灯するようにしてもよい。
【0035】
(第四変形例)
第四変形例では照明装置は斜光照明を移動して複数の照明状態を得る。図10は第四変形例の照明装置を示す模式斜視図である。
【0036】
第二変形例の場合、照明装置の斜光照明を固定して配置したが、図10に示すように、第四変形例では、バータイプの斜光照明(斜光バー照明)BLD1~BLD4を備える。制御部8は斜光バー照明BLD1~BLD4を矢印方向の水平方向に回転するよう制御する。例えば、第一状態において斜光バー照明BLD1~BLD4を基板Sの四辺に対向するように配置し、第二状態において斜光バー照明BLD1~BLD4を回転させて基板Sの四隅に配置する。第二状態は第一状態に対し45度回転するものに限定されず、0度よりも大きく90度よりも小さい任意の角度であってもよい。また、45度よりも小さくする場合は三つ以上の状態を設けてもよい。
【0037】
(第五変形例)
第五変形例では斜光リング照明の領域を分割し、点灯位置を切り換えて複数の照明状態を得る。図11は第五変形例の照明装置を示す模式斜視図である。
【0038】
実施形態、第二変形例および第三変形例の場合、斜光バー照明装置を用いたが、第五変形例では、図11に示すようにリングタイプの斜光照明(斜光リング照明)RLDを用い、領域R1~R8は領域毎に点灯および消灯の調光が可能にされている。制御部8は各領域R1~R8毎に各々別点灯するように斜光リング照明RLDを制御する。
【0039】
点灯する領域と消灯する領域を変えて第一状態および第二状態を構成する。例えば、照明の第一状態として、領域R1,R2,R3,R4を点灯し、領域R5,R6,R7,R8を消灯する。照明の第二状態として、領域R1,R2,R3,R4を消灯し、領域R5,R6,R7,R8を点灯する。
【0040】
第一状態と第二状態の二つの照明状態に限られるものではなく、三つ以上の照明状態であってもよい。例えば、第一状態として領域R1を点灯して他の領域を消灯し、第二状態として領域R2を点灯して他の斜光照明を消灯し、・・・、第八状態として領域R8を点灯して他の斜光照明を消灯するようにしてもよい。
【0041】
(第六変形例)
第六変形例では同軸照明において平行光と拡散光とを切り換えて複数の照明状態を得る。図12は第六変形例の照明装置を示す模式側面図であり、図12(a)は同軸照明が平行光を照射する状態を示す側面図であり、図12(b)は同軸照明が拡散光を照射する状態を示す側面図である。
【0042】
同軸照明CL1は、図12(a)に示すように、照明LS1の発光面にレンズLN1,LN2およびハーフミラーHM1を設置して平行光を出力する同軸照明と、図12(b)に示すように、照明LS2の発光面に拡散板DP1およびハーフミラーHM2を設置して拡散光を出力する同軸照明と、構成を備える。制御部8は、照明LS1、LS2の点灯および消灯を制御し、第一状態である図12(a)の斜光照明と第二状態である図12(b)の斜光照明の切換を行う。
【0043】
(第七変形例)
第七変形例では斜光照明において平行光と拡散光とを切り換えて複数の照明状態を得る。図13は第七変形例の照明装置を示す模式側面図であり、図13(a)は斜光照明が平行光を照射する状態を示す側面図であり、図13(b)は斜光照明が拡散光を照射する状態を示す側面図である。
【0044】
図13(a)に示すように、斜光照明OLの発光面にレンズLN3を設置して平行光を出力する状態と、図13(b)に示すように、斜光照明OLの発光面に拡散板DP2を設置して拡散光を出力する状態と、を備える。制御部8は、レンズLN3および拡散板DP2の切り換えを制御し、第一状態である図13(a)の状態と第二状態である図13(b)の状態の切換を行う。
【0045】
なお、第七変形例は第六変形例と組み合わせることにより、四つの照明状態を得ることができる。
【0046】
(第八変形例)
第八変形例では偏光方向や位相を切り換えて複数の照明状態を得る。図14は第八変形例の照明装置を示す模式斜視図である。
【0047】
照明LS3とペースト状接着剤PAとの間に偏光フィルタPF1や波長板WP1、ペースト状接着剤PAとカメラCAMとの間に偏光フィルタPF2や波長板WP2を設置する。制御部8は偏光フィルタPF1、PF2および波長板WP1,WP2をモータにより脱着できるように制御するか、または偏光フィルタPF1,PF2を回転できるように制御する。これにより、ペースト状接着剤PAに照射される光とカメラCAMが集光する光を偏光させたり(第一状態)、偏光させなかったり(第二状態)、位相をずらしたり(第三状態)、偏光方向を変えたり(第四状態)して、異なる模様のペースト状接着剤PAの画像を取得することができる。
【0048】
実施形態の照明装置を適用した例について実施例を用いて説明する。照明装置は第一変形例から第八変形例の何れかまたはその組み合わせであってもよい。
【実施例
【0049】
実施例のダイボンダの構成について図15~17を用いて説明する。図15は実施例のダイボンダを上から見た概念図である。図16図15のダイボンダの光学系の構成図である。図17図16のプリフォーム部光学系の構成図である。
【0050】
ダイボンダ10は大別してウェハ供給部1と、ワーク供給・搬送部2と、ダイボンディング部3と、を有する。
【0051】
ウェハ供給部1は、ウェハカセットリフタ11と、ピックアップ装置12とを有する。ウェハカセットリフタ11はウェハリング16が充填されたウェハカセット(図示せず)を有し,順次ウェハリング16をピックアップ装置12に供給する。ピックアップ装置12は、所望するダイDをウェハリング16からピックアップできるように、ウェハリング16を移動し、ダイDを突き上げる。
【0052】
ワーク供給・搬送部2はスタックローダ21と、フレームフィーダ22と、アンローダ23とを有し、リードフレーム等の基板Sを矢印方向に搬送する。スタックローダ21は、ダイDを接着する基板Sをフレームフィーダ22に供給する。フレームフィーダ22は、基板Sをフレームフィーダ22上の2箇所の処理位置を介してアンローダ23に搬送する。アンローダ23は、搬送された基板Sを保管する。
【0053】
ダイボンディング部3はプリフォーム部(ペースト塗布ユニット)31とボンディングヘッド部32とを有する。プリフォーム部31はフレームフィーダ22により搬送されてきた基板Sにシリンジ36でエポキシ樹脂等のペースト状接着剤PAを塗布する。基板Sが、例えば、複数個の単位リードフレームが横一列に並べられて一連に連設されている多連リードフレームの場合は、単位リードフレームのタブごとにペースト状接着剤PAを塗布する。ここで、基板Sはパラジウムメッキがされている。ボンディングヘッド部32は、ピックアップ装置12からダイDをピックアップして上昇し、ダイDをフレームフィーダ22上のボンディングポイントまで移動させる。そして、ボンディングヘッド部32はボンディングポイントでダイDを下降させ、ペースト状接着剤PAが塗布された基板S上にダイDをボンディングする。
【0054】
ボンディングヘッド部32は、ボンディングヘッド35をZ軸方向(高さ方向)に昇降させ、Y軸方向に移動させるZY駆動軸60と、X軸方向に移動させるX駆動軸70とを有する。ZY駆動軸60は、矢印Cで示すY軸方向、即ちボンディングヘッド35をピックアップ装置12内のピックアップ位置とボンディングポイントとの間を往復するY駆動軸40と、ダイDをウェハ14からピックアップする又は基板Sにボンディングするために昇降させるZ駆動軸50とを有する。X駆動軸70は、ZY駆動軸60全体を、基板Sを搬送する方向であるX方向に移動させる。
【0055】
図16に示すように、光学系88は、シリンジ36の塗布位置を把握するプリフォーム部光学系33と、ボンディングヘッド35が搬送されてきた基板Sにボンディングするボンディング位置を把握するボンディング部光学系34と、ボンディングヘッド35がウェハ14からピックアップするダイDのピックアップ位置を把握するウェハ部光学系15とを有する。各部光学系は、対象に対して照明する照明装置とカメラを有する。例えば、図17に示すように、プリフォーム部光学系33は、同軸照明CLおよび斜光照明OLを有する照明装置IDと、プリフォーム認識カメラ33aと、を有する。ウェハ14において網目状にダイシングされたダイDは、ウェハリング16に固定されたダイシングテープ17に固定されている。
【0056】
この構成によって、ペースト状接着剤PAがシリンジ36によって正確な位置に塗布され、ダイDがボンディングヘッド35によって確実にピックアップされ、基板Sの正確な位置にボンディングされる。
【0057】
制御系80について図18を用いて説明する。図18図15のダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。制御系80は制御部8と駆動部86と信号部87と光学系88とを備える。制御部8は、大別して、主としてCPU(Central Processor Unit)で構成される制御・演算装置81と、記憶装置82と、入出力装置83と、バスライン84と、電源部85とを有する。記憶装置82は、処理プログラムなどを記憶しているRAMで構成されている主記憶装置82aと、制御に必要な制御データや画像データ等を記憶しているHDDで構成されている補助記憶装置82bとを有する。入出力装置83は、装置状態や情報等を表示するモニタ83aと、オペレータの指示を入力するタッチパネル83bと、モニタを操作するマウス83cと、光学系88からの画像データを取り込む画像取込装置83dと、を有する。また、入出力装置83は、ウェハ供給部1のXYテーブル(図示せず)やボンディングヘッドテーブルのZY駆動軸等の駆動部86を制御するモータ制御装置83eと、種々のセンサ信号や照明装置などのスイッチ等の信号部87から信号を取り込み又は制御するI/O信号制御装置83fとを有する。光学系88には、ウェハ部光学系15のウェハ認識カメラ、プリフォーム部光学系33のプリフォーム認識カメラ33a、ボンディング部光学系34の基板認識カメラが含まれる。制御・演算装置81はバスライン84を介して必要なデータを取込み、演算し、ボンディングヘッド35等の制御や、モニタ83a等に情報を送る。
【0058】
制御部8は画像取込装置83dを介して光学系88で撮像した画像データを記憶装置82に保存する。保存した画像データに基づいてプログラムしたソフトウェアにより、制御・演算装置81を用いてダイDおよび基板Sの位置決め、ペースト状接着剤PAの塗布パターンの検査並びにダイDおよび基板Sの表面検査を行う。制御・演算装置81が算出したダイDおよび基板Sの位置に基づいてソフトウェアによりモータ制御装置83eを介して駆動部86を動かす。このプロセスによりウェハ14上のダイDの位置決めを行い、ウェハ供給部1およびダイボンディング部3の駆動部で動作させダイDを基板S上にボンディングする。光学系88で使用する認識カメラはグレースケール、カラー等であり、光強度を数値化する。
【0059】
ところで、図15に示したプリフォーム部31にはペースト状接着剤を塗布するためのシリンジ36が取り付けられている。このシリンジ36は上述したように内部にペースト状接着剤が封入されており、空気圧によりペースト状接着剤がノズル先端から基板S上に押し出されて塗布されるようになっている。
【0060】
基板S上に塗布されたペースト状接着剤が適切な位置と適切な量で塗布されているかはプリフォーム認識カメラ33aで確認している。
この確認作業を簡単に説明すると、プリフォーム認識カメラ33aでペースト状接着剤PAを塗布すべき面を確認する。塗布すべき面に問題なければシリンジ36からペースト状接着剤PAが塗布される。塗布後ペースト状接着剤PAが正確に塗布されているかをプリフォーム認識カメラ33aで再度確認する。塗布に問題なければダイがペースト状接着剤PA上に搭載されて接着が終了する。
【0061】
ペースト状接着剤PAの検査画像の取得方法について図19、20を用いて説明する。図19はペースト状接着剤の検査画像の取得方法を説明するフローチャートである。図20図19の検査画像処理を説明するフローチャートである。
【0062】
制御部8は照明装置IDの同軸照明CLのみ点灯させ、プリフォーム認識カメラ33aにより塗布前の基板Sの表面の画像(P1)を取得する(ステップS1)。必要感度により複数の画像を取得する。
【0063】
制御部8は照明装置IDの斜光照明OLのみ点灯させ、プリフォーム認識カメラ33aにより塗布前の基板Sの表面の画像(Q1)を取得する(ステップS2)。必要感度により複数の画像を取得する。
【0064】
制御部8はシリンジ36によりペースト状接着剤PAを基板Sに塗布する(ステップS3)。基板Sが多連リードフレームの場合はすべてのタブにペースト状接着剤PAを塗布する。
【0065】
複数の画像を取得する場合は、制御部8は複数の画像(P1)の平均化演算を行い(ステップS4)、複数の画像(Q1)の平均化演算を行う(ステップS5)。
【0066】
制御部8は照明装置IDの同軸照明CLのみ点灯させ、プリフォーム認識カメラ33aにより、塗布後の画像(P2)を取得する(ステップS6)。必要感度により複数の画像を取得する。
【0067】
制御部8は照明装置IDの斜光照明OLのみ点灯させ、プリフォーム認識カメラ33aにより塗布後の画像(Q2)を取得する(ステップS7)。必要感度により複数の画像を取得する。
【0068】
複数の画像を取得する場合は、制御部8は複数の画像(P2)の平均化演算を行い(ステップS8)、複数の画像(Q2)の平均化演算を行う(ステップS9)。
【0069】
検査画像処理では、図19に示すように、まず、制御部8はP1とP2の差分処理を行い、差分データ(ΔP)を得る(ステップSA1)。次に、制御部8は差分データ(ΔP)の2値化処理を行い、2値化データ(ΔPB)を得る(ステップSA2)。次に、制御部8はQ1とQ2の差分処理を行い、差分データ(ΔQ)を得る(ステップSA3)。次に、制御部8は差分データ(ΔQ)の2値化処理を行い、2値化データ(ΔQB)を得る(ステップSA4)。次に、2値化データ(ΔPB)と2値化データ(ΔQB)とを合成してペースト状接着剤PAの塗布エリアを求める(ステップSA5)。
【0070】
検査はペースト状接着剤PAの塗布エリアの面積や形状から、理想形状に近いか、またはリファレンスとなる塗布形状を記憶したものとの比較などで行う。塗布エリアの面積の抽出は特定の明度の画素をカウントするか(ヒストグラムデータからの抽出など)、ブロブ検出などを用いる。塗布エリアの形状の比較は2値化後のデータを比較できるリファレンスデータを倣いまたは理想形状で保持しておき、それと差分処理などで比較する。
【0071】
次に、実施例に係るダイボンダを用いた半導体装置の製造方法について図21を用いて説明する。図21は半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0072】
ステップS11:ウェハ14から分割されたダイDが貼付されたダイシングテープ17を保持したウェハリング16をウェハカセット(不図示)に格納し、ダイボンダ10に搬入する。制御部8はウェハリング16が充填されたウェハカセットからウェハリング16をウェハ供給部1に供給する。また、基板Sを準備し、ダイボンダ10に搬入する。制御部8はスタックローダ21より基板Sをフレームフィーダ22に供給する。
【0073】
ステップS12:制御部8は剥離したダイDをウェハ14からピックアップする。
【0074】
ステップS13:制御部8はフレームフィーダ22により搬送された基板Sにシリンジ36からペースト状接着剤PAを塗布する。制御部8はステップS1~SAによって塗布されたペースト状接着剤PAを検査する。制御部8はピックアップしたダイDをペースト状接着剤PAが塗布された基板Sにボンディングする。
【0075】
ステップS14:制御部8はフレームフィーダ22によりダイDがボンディングされた基板Sをアンローダ23に供給する。ダイボンダ10から基板Sを搬出する。
【0076】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施形態、変形例および実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態、変形例および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0077】
例えば、実施例では、ボンディングヘッド35でウェハ14からピックアップしたダイDを基板Sにボンディングする例を説明したが、ウェハ14と基板Sとの間に中間ステージを設け、ピックアップヘッドでウェハ14からピックアップしたダイDを中間ステージに載置し、ボンディングヘッド35で中間ステージから再度ダイDをピックアップし、搬送されてきた基板Sにボンディングするようにしてもよい。
【0078】
また、実施例ではパラジウムメッキ等の金属メッキのなされた基板の表面にエポキシ樹脂等のペースト状接着剤を塗布する例を説明したが、樹脂基板、樹脂ペーストの組合せでも適用可能であり、基板とペーストの反射率が近い場合や特に基板側が若干低い場合には、有効となる。
【符号の説明】
【0079】
1:ウェハ供給部 2:ワーク供給・搬送部
3:ダイボンディング部 10:ダイボンダ
12:ピックアップ装置 14:ウェハ
15:ウェハ部光学系 16:ウェハリング
17:ダイシングテープ 32:ボンディングヘッド部
33:プリフォーム光学系 34:ボンディング部光学系
35:ボンディングヘッド 88:光学系
80:制御系 81:制御・演算装置
82:記憶装置 83:入出力装置
84:バスライン 85:電源部
D:ダイ S:基板
CAM:カメラ ID:照明装置
CL:同軸照明 OL:斜光照明
PA:ペースト状接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21