(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】制御システム、制御システムのプログラムを記録した記録媒体、および制御システムの方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20221020BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221020BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/304 648H
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2019017336
(22)【出願日】2019-02-01
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】藤木 雅之
(72)【発明者】
【氏名】清澤 信人
(72)【発明者】
【氏名】北村 圭
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-085784(JP,A)
【文献】特開2015-138786(JP,A)
【文献】特開2003-272982(JP,A)
【文献】特開2009-210504(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0121789(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/304
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造装置を構成する複数のユニットを制御する制御システムであって、
前記制御システムは、
制御装置と、
前記制御装置に接続可能な複数の端末装置と、を備えており、
前記制御装置は、前記複数の端末装置のうちいずれか2つが同時に前記複数のユニットのうちいずれか1つを操作することを許容しないインターロック機能を有し、
前記複数のユニットは、
アクセス対象ユニットと、
前記アクセス対象ユニットにアクセス可能な調整対象ユニットと、を含み、
前記制御装置は、
処理プログラムを格納した記憶装置と、
前記処理プログラムに従って演算を実行する処理装置と、を備えており、
前記処理プログラムは、
前記アクセス対象ユニットの排他的操作権を前記複数の端末装置のいずれにも付与していないことを条件として、前記複数の端末装置のうちの1つである対象端末装置から前記制御装置に送信された前記調整対象ユニットの前記アクセス対象ユニットへのアクセス操作権の要求に応じて、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する指令
と、
前記対象端末装置が前記調整対象ユニットの前記アクセス操作権を取得すると、前記対象端末装置以外の端末装置が前記アクセス操作権の対象となる前記アクセス対象ユニットの前記排他的操作権を取得することを許容しない指令と、を含
み、
前記調整対象ユニットは、搬送ユニットであり、
前記アクセス操作権は、前記制御装置が前記調整対象ユニットに対して前記アクセス対象ユニットへのアクセスを許可する権利であり、
前記排他的操作権は、前記複数の端末装置のいずれかが前記調整対象ユニットおよび前記アクセス対象ユニットのいずれかを排他的に操作するための操作権である、制御システム。
【請求項2】
前記処理プログラムは、前記調整対象ユニットの排他的操作権を前記対象端末装置に付与していることを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する指令を含む、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記複数のユニットは、
前記調整対象ユニットに相当する第1調整対象ユニットと、
第2調整対象ユニットと、をさらに含み、
前記処理プログラムは、前記第2調整対象ユニットの前記アクセス対象ユニットへのアクセス操作権を取得した他の端末装置が存在していないことを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する指令を含む、請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記複数の端末装置のそれぞれは、
前記複数のユニットを操作するためのユニット操作画像を生成する画像生成部と、
前記ユニット操作画像を表示する画像表示器と、を備え、
前記ユニット操作画像は、前記アクセス操作権を要求するか否かを示すアクセス操作権要求アイコンを含んでいる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記アクセス操作権要求アイコンは、ボタン、チェックボックス、およびコンボボックスのいずれかであり、
前記画像生成部は、
画像表示プログラムを格納した記憶装置と、
前記画像表示プログラムに従って演算を実行する処理装置と、を備えており、
前記画像表示プログラムは、前記アクセス操作権の取得を条件に、前記アクセス操作権要求アイコンの表示を切り替える指令を含む、請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記ユニット操作画像は、前記調整対象ユニットの排他的操作権を要求するか否かを示す排他的操作権要求アイコンを含んでおり、
前記排他的操作権要求アイコンは、ボタン、チェックボックス、およびコンボボックスのいずれかであり、
前記画像表示プログラムは、前記排他的操作権の取得を条件に、前記排他的操作権要求アイコンの表示を切り替える指令を含む、請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
半導体製造装置を構成する複数のユニットを制御する制御システムの処理プログラムを記録した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
コンピュータに、
前記制御システムに備えられた複数の端末装置のうちの1つである対象端末装置から、前記複数のユニットに含まれる調整対象ユニットのアクセス対象ユニットへのアクセス操作権を制御装置に要求し、
前記アクセス対象ユニットの排他的操作権を前記複数の端末装置のいずれにも付与していないことを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する処理を実行させ
、
前記対象端末装置が前記調整対象ユニットの前記アクセス操作権を取得すると、前記対象端末装置以外の端末装置が前記アクセス操作権の対象となる前記アクセス対象ユニットの前記排他的操作権を取得することを許容しない処理を実行させ、
前記調整対象ユニットは、搬送ユニットであり、
前記アクセス操作権は、前記制御装置が前記調整対象ユニットに対して前記アクセス対象ユニットへのアクセスを許可する権利であり、
前記排他的操作権は、前記複数の端末装置のいずれかが前記調整対象ユニットおよび前記アクセス対象ユニットのいずれかを排他的に操作するための操作権である前記処理プログラムを記録した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】
前記コンピュータに、前記調整対象ユニットの排他的操作権を前記対象端末装置に付与していることを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する処理を実行させる、請求項7に記載の記録媒体。
【請求項9】
前記コンピュータに、前記調整対象ユニットに相当する第1調整対象ユニットとは異なる第2調整対象ユニットの前記アクセス対象ユニットへのアクセス操作権を取得した他の端末装置が存在していないことを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する処理を実行させる、請求項7または8に記載の記録媒体。
【請求項10】
半導体製造装置を構成する複数のユニットを制御する制御システムの方法であって、
前記制御システムに備えられた複数の端末装置のうちの1つである対象端末装置から、前記複数のユニットに含まれる調整対象ユニットのアクセス対象ユニットへのアクセス操作権を制御装置に要求し、
前記アクセス対象ユニットの排他的操作権を前記複数の端末装置のいずれにも付与していないことを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与
し、
前記対象端末装置が前記調整対象ユニットの前記アクセス操作権を取得すると、前記対象端末装置以外の端末装置が前記アクセス操作権の対象となる前記アクセス対象ユニットの前記排他的操作権を取得することを許容せず、
前記調整対象ユニットは、搬送ユニットであり、
前記アクセス操作権は、前記制御装置が前記調整対象ユニットに対して前記アクセス対象ユニットへのアクセスを許可する権利であり、
前記排他的操作権は、前記複数の端末装置のいずれかが前記調整対象ユニットおよび前記アクセス対象ユニットのいずれかを排他的に操作するための操作権である、方法。
【請求項11】
前記調整対象ユニットの排他的操作権を前記対象端末装置に付与していることを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記調整対象ユニットに相当する第1調整対象ユニットとは異なる第2調整対象ユニットの前記アクセス対象ユニットへのアクセス操作権を取得した他の端末装置が存在していないことを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する、請求項10または11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置を構成する複数のユニットを制御する制御システム、該制御システムのプログラムを記録した記録媒体、および該制御システムの方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置は、ウェハなどの基板の研磨、洗浄、乾燥を含む一連の処理を実行することができる複合装置である。このような半導体製造装置は、処理ユニット、搬送ユニットなどの種々のユニットから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-85784号公報
【文献】特開2015-138786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体製造装置の動作調整作業において、半導体製造装置のユニットの操作を行う端末装置を限定するために、ユニットの操作権を端末装置に設定することが知られている(特許文献1および特許文献2参照)。このような半導体製造装置では、処理ユニットおよび搬送ユニットの2つのユニットに対する操作権を1つの端末装置に対して設定して、基板の搬送動作を調整する。
【0005】
しかしながら、1つの端末装置が処理ユニットおよび搬送ユニットの2つのユニットに対する操作権を有していると、必要以上に長い時間、他の作業者が両方のユニットの動作調整を行うことができない。結果として、半導体製造装置の動作調整作業の効率を十分に上げることができないという問題がある。
【0006】
作業効率を上げるために、2つの端末装置に処理ユニットの操作権および搬送ユニットの操作権を分配する場合には、例えば、処理ユニットの動作調整中に、搬送ユニットが基板を処理ユニットに搬送するための動作を行ってしまうおそれがある。結果として、搬送アームの衝突や作業者のけがなどの危険(問題)が生じる可能性を排除することができない。
【0007】
このような問題は、半導体製造装置に限定される問題ではなく、複数のユニットを備える他の複合装置にも生じうる問題である。例えば、液体供給ユニットと液体供給ユニットから送られる液体を用いて基板を処理する基板処理ユニットとを備える複合装置(例えば、めっき装置)において、液体供給ユニットが予期しないタイミングで基板処理ユニットに液体を供給する動作を行ってしまうおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、動作調整作業を効率的に行い、かつ安全にユニットを調整することができる制御システムを提供することを目的とする。
本発明は、動作調整作業を効率的に行い、かつ安全にユニットを調整することができる制御システムのプログラムを記録した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
本発明は、動作調整作業を効率的に行い、かつ安全にユニットを調整することができる制御システムの方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、半導体製造装置を構成する複数のユニットを制御する制御システムであって、前記制御システムは、制御装置と、前記制御装置に接続可能な複数の端末装置と、を備えており、前記制御装置は、前記複数の端末装置のうちいずれか2つが同時に前記複数のユニットのうちいずれか1つを操作することを許容しないインターロック機能を有し、前記複数のユニットは、アクセス対象ユニットと、前記アクセス対象ユニットにアクセス可能な調整対象ユニットと、を含み、前記制御装置は、処理プログラムを格納した記憶装置と、前記処理プログラムに従って演算を実行する処理装置と、を備えており、前記処理プログラムは、前記アクセス対象ユニットの排他的操作権を前記複数の端末装置のいずれにも付与していないことを条件として、前記複数の端末装置のうちの1つである対象端末装置から前記制御装置に送信された前記調整対象ユニットの前記アクセス対象ユニットへのアクセス操作権の要求に応じて、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する指令を含む、制御システムが提供される。
【0010】
一態様では、前記処理プログラムは、前記調整対象ユニットの排他的操作権を前記対象端末装置に付与していることを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する指令を含む。
一態様では、前記複数のユニットは、前記調整対象ユニットに相当する第1調整対象ユニットと、第2調整対象ユニットと、をさらに含み、前記処理プログラムは、前記第2調整対象ユニットの前記アクセス対象ユニットへのアクセス操作権を取得した他の端末装置が存在していないことを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する指令を含む。
一態様では、前記複数の端末装置のそれぞれは、前記複数のユニットを操作するためのユニット操作画像を生成する画像生成部と、前記ユニット操作画像を表示する画像表示器と、を備え、前記ユニット操作画像は、前記アクセス操作権を要求するか否かを示すアクセス操作権要求アイコンを含んでいる。
【0011】
一態様では、前記アクセス操作権要求アイコンは、ボタン、チェックボックス、およびコンボボックスのいずれかであり、前記画像生成部は、画像表示プログラムを格納した記憶装置と、前記画像表示プログラムに従って演算を実行する処理装置と、を備えており、前記画像表示プログラムは、前記アクセス操作権の取得を条件に、前記アクセス操作権要求アイコンの表示を切り替える指令を含む。
一態様では、前記ユニット操作画像は、前記調整対象ユニットの排他的操作権を要求するか否かを示す排他的操作権要求アイコンを含んでおり、前記排他的操作権要求アイコンは、ボタン、チェックボックス、およびコンボボックスのいずれかであり、前記画像表示プログラムは、前記排他的操作権の取得を条件に、前記排他的操作権要求アイコンの表示を切り替える指令を含む。
【0012】
一態様では、半導体製造装置を構成する複数のユニットを制御する制御システムの処理プログラムを記録した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、コンピュータに、前記制御システムに備えられた複数の端末装置のうちの1つである対象端末装置から、前記複数のユニットに含まれる調整対象ユニットのアクセス対象ユニットへのアクセス操作権を制御装置に要求し、前記アクセス対象ユニットの排他的操作権を前記複数の端末装置のいずれにも付与していないことを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する処理を実行させる前記処理プログラムを記録した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0013】
一態様では、前記コンピュータに、前記調整対象ユニットの排他的操作権を前記対象端末装置に付与していることを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する処理を実行させる。
一態様では、前記コンピュータに、前記調整対象ユニットに相当する第1調整対象ユニットとは異なる第2調整対象ユニットの前記アクセス対象ユニットへのアクセス操作権を取得した他の端末装置が存在していないことを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する処理を実行させる。
【0014】
一態様では、半導体製造装置を構成する複数のユニットを制御する制御システムの方法であって、前記制御システムに備えられた複数の端末装置のうちの1つである対象端末装置から、前記複数のユニットに含まれる調整対象ユニットのアクセス対象ユニットへのアクセス操作権を制御装置に要求し、前記アクセス対象ユニットの排他的操作権を前記複数の端末装置のいずれにも付与していないことを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する、方法が提供される。
【0015】
一態様では、前記調整対象ユニットの排他的操作権を前記対象端末装置に付与していることを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する。
一態様では、前記調整対象ユニットに相当する第1調整対象ユニットとは異なる第2調整対象ユニットの前記アクセス対象ユニットへのアクセス操作権を取得した他の端末装置が存在していないことを条件として、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する。
【0016】
一参考例では、半導体製造装置を構成する複数のユニットを制御する制御システムであって、前記制御システムは、制御装置と、前記制御装置に接続可能な複数の端末装置と、を備えており、前記制御装置は、前記複数の端末装置のうちいずれか2つが同時に前記複数のユニットのうちいずれか1つを操作することを許容しないインターロック機能を有し、前記複数のユニットは、アクセス対象ユニットと、前記アクセス対象ユニットにアクセス可能な調整対象ユニットと、を含み、前記制御装置は、前記アクセス対象ユニットの排他的操作権を前記複数の端末装置のいずれにも付与していないことを条件として、前記複数の端末装置のうちの1つである対象端末装置から前記制御装置に送信された前記調整対象ユニットの前記アクセス対象ユニットへのアクセス操作権の要求に応じて、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与するように構成されている、制御システムが提供される。
【0017】
一参考例では、半導体製造装置を構成する複数のユニットを制御する制御システムであって、前記制御システムは、制御装置と、前記制御装置に接続可能な複数の端末装置と、を備えており、前記制御装置は、前記複数の端末装置のうちいずれか2つが同時に前記複数のユニットのうちいずれか1つを操作することを許容しないインターロック機能を有し、前記複数のユニットは、アクセス対象ユニットと、前記アクセス対象ユニットにアクセス可能な調整対象ユニットと、を含み、前記制御装置は、処理プログラムを格納した記憶装置と、前記処理プログラムに従って演算を実行する処理装置と、を備えており、前記処理プログラムは、前記アクセス対象ユニットの排他的操作権を前記複数の端末装置のいずれにも付与していないことを条件として、前記複数の端末装置のうちの1つである対象端末装置から前記制御装置に送信された前記調整対象ユニットの前記アクセス対象ユニットへのアクセス操作権の要求に応じて、前記アクセス操作権を前記対象端末装置に付与する動作を前記制御装置に実行させる、制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
制御システムは、アクセス対象ユニットの排他的操作権を複数の端末装置のいずれにも付与していないことを条件として、アクセス操作権を対象端末装置に付与する。したがって、作業者は、ユニットの動作調整作業を効率的に、かつ安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】半導体製造装置の一実施形態を示す模式図である。
【
図4】
図4(a)、
図4(b)、および
図4(c)は端末装置の操作画面を示す図である。
【
図5】メインアイコンの表示の切り替えを示す図である。
【
図6】ユニット操作画像の他の実施形態を示す図である。
【
図7】対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得する際の制御装置の処理フローの一実施形態を示す図である。
【
図8】対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得する際の制御装置の処理フローの他の実施形態を示す図である。
【
図9】端末装置とサーバー装置との間の通信を示す図である。
【
図10】対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得する際の制御装置の処理フローのさらに他の実施形態を示す図である。
【
図11】対象端末装置がアクセス操作権を取得する際の制御装置の処理フローの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、半導体製造装置1の一実施形態を示す模式図である。効率的に、かつ安全に半導体製造装置1の各ユニットを調整することができるシステム(以下、これを制御システム20と呼ぶことがある)は
図1に示す半導体製造装置1に適用可能である。
【0021】
制御システム20は、半導体製造装置1にのみ適用されるものではなく、複数のユニットを備える他の装置であっても同様に適用されてもよい。例えば、制御システム20は、複数のめっきユニットおよび搬送ユニットを備えるめっき装置にも適用可能である。一実施形態では、めっき装置は、液体供給ユニットと、液体供給ユニットから送られる液体を用いて基板を処理する基板処理ユニットとを備えてもよい。制御システム20の詳細については、後述する。
【0022】
図1に示すように、半導体製造装置1は、ウェハなどの基板を研磨し、洗浄および乾燥させる一連の工程を行うことができる複合装置である。半導体製造装置1は、ハウジング2を備えており、ハウジング2の内部は複数の隔壁(図示しない)によってロード/アンロードユニット3と、研磨ユニット4A,4Bと、洗浄ユニット5とに区画されている。半導体製造装置1は、各ユニット(本実施形態では、ロード/アンロードユニット3、研磨ユニット4A,4B、および洗浄ユニット5)の動作を制御する制御装置10を備えている。制御装置10はハウジング2の内部に配置されている。
【0023】
ロード/アンロードユニット3は、多数のウェハ(基板)を内部に収容したウェハカセットが載置される複数のロードポート11を備えている。ロード/アンロードユニット3に隣接して、第1搬送ユニット12が配置されている。第1搬送ユニット12に隣接して、ステージ15が配置されている。第1搬送ユニット12は、ロード/アンロードユニット3およびステージ15にアクセスして、ウェハを搬送することができる。
【0024】
研磨ユニット4A,4Bは、ウェハの表面を化学機械的に研磨するユニットである。研磨ユニット4A,4Bは、同一の構成を有している。図示しないが、研磨ユニット4A,4Bのそれぞれは、研磨テーブルと、ウェハを保持し、ウェハを研磨テーブル上の研磨パッドに押圧するためのトップリングと、研磨パッドに研磨液(スラリー)を供給するための研磨液供給ノズルとを備えている。
【0025】
研磨ユニット4A,4Bに隣接して、第2搬送ユニット16が配置されている。第2搬送ユニット16は、ステージ15および研磨ユニット4A,4Bにアクセスして、ウェハを搬送することができる。
【0026】
洗浄ユニット5は、研磨ユニット4A,4Bに隣接している。洗浄ユニット5は、研磨されたウェハを洗浄し、乾燥させるユニットである。第1搬送ユニット12は、洗浄ユニット5にアクセスして、ウェハを搬送することができる。
【0027】
ウェハを処理する処理フローについて、説明する。第1搬送ユニット12は、ロード/アンロードユニット3に存在するウェハ(未処理ウェハ)をステージ15に搬送する。第2搬送ユニット16は、ステージ15上に載置されたウェハを研磨ユニット4A,4Bのいずれかに搬送する。ウェハを受け取った研磨ユニットは、ウェハの表面を研磨する。研磨されたウェハは第2搬送ユニット16によって再びステージ15に搬送される。
【0028】
第1搬送ユニット12は、ステージ15上に載置されたウェハを洗浄ユニット5に搬送する。洗浄ユニット5は、ウェハを洗浄および乾燥する。乾燥されたウェハは、第1搬送ユニット12によってロード/アンロードユニット3に搬送される。このようにして、ウェハの研磨、洗浄、乾燥がこの順に行われる。
【0029】
ロード/アンロードユニット3、研磨ユニット4A,4B、ステージ15、および洗浄ユニット5のそれぞれは、処理ユニットと呼ばれる。第1搬送ユニット12は、ロード/アンロードユニット3、洗浄ユニット5、およびステージ15にアクセスすることができる。第2搬送ユニット16は、ステージ15および研磨ユニット4A,4Bにアクセスすることができる。したがって、搬送ユニット12,16は、それぞれ、処理ユニットにアクセス可能である。搬送ユニット12,16の動作は制御装置10によって制御される。
【0030】
図1に示すように、半導体製造装置1は、1つのユニットを排他的に操作するための操作権を端末装置に付与する制御システム20を備えている。制御システム20は、作業の安全性を確保しつつ、効率的に作業を実行させることができる排他システムを搭載している。制御システム20は、制御装置10と、制御装置10を通じて、複数のユニット(本実施形態では、処理ユニットおよび搬送ユニット)を選択的に操作する複数の端末装置T1,T2,T3と、を備えている。
【0031】
制御装置10は、半導体製造装置1の内部に組み込まれており、端末装置T1,T2,T3の一部またはすべては、半導体製造装置1の制御装置10に切り離し可能に接続される。制御装置10は、端末装置T1,T2,T3のうちいずれか2つが同時に複数のユニットのうちいずれか1つを操作することを許容しないインターロック機能を有している。
【0032】
ユニットは、ある目的(レシピの処理、ウェハの搬送など)を実行するための機器(センサ、モータなど)の集合体(ステージ、プロセスチャンバ、搬送ロボットなど)を意味する。本実施形態では、ユニットは、上記処理ユニットおよび上記搬送ユニットの総称である。
【0033】
本実施形態では、ユニットの数よりも少ない数の端末装置が設けられている。これら端末装置T1,T2,T3のそれぞれは、すべてのユニットのいずれか(本実施形態では、ロード/アンロードユニット3、研磨ユニット4A,4B、洗浄ユニット5、第1搬送ユニット12、第2搬送ユニット16、またはステージ15)を操作可能である。本実施形態では、3つの端末装置が設けられているが、端末装置の数は本実施形態には限定されない。
【0034】
半導体製造装置1の内部には、制御装置10、処理ユニット3,4A,4B,5,15、および搬送ユニット12,16を接続するネットワーク(図示しない)が構築されている。端末装置T1,T2,T3は、このネットワークに接続可能である。したがって、端末装置T1,T2,T3(および制御装置10)は、ネットワークを介して処理ユニットおよび搬送ユニットに接続可能である。端末装置T1,T2,T3の一例としては、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置などが挙げられる。
【0035】
本実施形態では、端末装置T1,T2,T3は、1つの装置(すなわち、半導体製造装置1)に接続されることが可能である。排他的操作権は、1つのユニットの排他的な操作を許可する権利である。したがって、1つの端末装置が1つのユニットの排他的操作権を動的に取得すると、排他的操作権を取得した端末装置は、調整の対象となる調整対象ユニットの操作を独占することができる。排他的操作権を取得した端末装置は、調整対象ユニットの排他的操作権を任意に解除することができる。
【0036】
図2は、制御システム20の構成を示す図である。
図2では、説明を簡単にするために、ユニットUA、ユニットUB、ユニットUCがハウジング2の内部に設けられている例について、説明する。本実施形態では、ユニットUA,UCは、処理ユニットであり、ユニットUBは、搬送ユニットである。ユニットUBは、ユニットUAおよびユニットUCにアクセス可能である。
【0037】
一実施形態では、ユニットUBは、液体供給ユニットであり、ユニットUA,UCは、液体供給ユニットから送られた液体を用いて、基板を処理する基板処理ユニットであってもよい。液体供給ユニット(すなわち、ユニットUB)は、液体供給ライン(図示しない)を通じて基板処理ユニット(すなわち、ユニットUA,UC)に液体を供給するように構成されている。この場合であっても、ユニットUBは、ユニットUAおよびユニットUCにアクセス可能である。本明細書において、「アクセス」とは、あるユニットに物理的な影響を及ぼすユニットの動作を意味する。
【0038】
図2に示すように、制御装置10は、端末装置T1,T2,T3に接続されたサーバー装置25と、ユニットUA、ユニットUB、およびユニットUCの動作を制御するためのシーケンサ(例えば、PLC)26とを備えている。
【0039】
サーバー装置25は、装置パラメータ、レシピ、ジョブなどのデータ管理、シーケンサ26に対するユニットの操作コマンドの発行、および/または、各端末装置へのユニットの状態の通知を行うサーバー処理プログラムがインストールされたコンピュータ(パーソナルコンピュータ)である。後述する、各ユニットの排他的操作権の調停(すなわち、排他的操作権の振り分け)も、サーバー処理プログラムにより実行される。
【0040】
本実施形態では、サーバー装置25は、コンピュータから構成される。
図3は、サーバー装置25の構成を示す模式図である。サーバー装置25は、プログラムやデータなどが格納される記憶装置110と、記憶装置110に格納されているプログラムに従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などの処理装置120と、データ、プログラム、および各種情報を記憶装置110に入力するための入力装置130と、処理結果や処理されたデータを出力するための出力装置140と、インターネットまたはローカルエリアネットワークなどの通信ネットワークに接続するための通信装置150を備えている。
【0041】
一実施形態では、サーバー装置25は、入力装置130および出力装置140を備えていなくてもよい。この場合、端末装置T1,T2,T3のそれぞれは、入力装置130および出力装置140の機能を有している。
【0042】
記憶装置110は、処理装置120がアクセス可能な主記憶装置111と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置112を備えている。主記憶装置111は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)であり、補助記憶装置112は、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)などのストレージ装置である。
【0043】
入力装置130は、キーボード、マウスを備えており、さらに、記録媒体からデータを読み出すための記録媒体読み出し装置132と、記録媒体が接続される記録媒体ポート134を備えている。記録媒体は、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、光ディスク(例えば、CD-ROM、DVD-ROM)や、半導体メモリー(例えば、USBフラッシュドライブ、メモリーカード)である。記録媒体読み出し装置132の例としては、CD-ROMドライブ、DVD-ROMドライブなどの光学ドライブや、メモリーリーダーが挙げられる。記録媒体ポート134の例としては、USBポートが挙げられる。記録媒体に記憶されているプログラムおよび/またはデータは、入力装置130を介してサーバー装置25に導入され、記憶装置110の補助記憶装置112に格納される。出力装置140は、ディスプレイ装置141、印刷装置142を備えている。
【0044】
図4(a)は端末装置T1の操作画面30を示す図であり、
図4(b)は端末装置T2の操作画面30を示す図であり、
図4(c)は端末装置T3の操作画面30を示す図である。
図4(a)乃至
図4(c)に示すように、端末装置T2,T3のそれぞれの操作画面30上には、端末装置T1の操作画面30と同一の画像が表示される。したがって、以下、端末装置T1の操作画面30上に表示される画像について説明する。
【0045】
端末装置T1の操作画面30上には、ユニットUAを操作するためのユニット操作画像31と、ユニットUBを操作するためのユニット操作画像32と、ユニットUCを操作するためのユニット操作画像33とが表示される。これらユニット操作画像31,32,33は、ユーザーインターフェースである。本実施形態では、ユニット操作画像31,32,33は、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)である。
【0046】
端末装置T1,T2,T3のそれぞれには、半導体製造装置1に備えられた装置を制御するためのプログラム(装置制御プログラム)がインストールされている。端末装置T1,T2,T3のそれぞれには、ユニットUA、ユニットUB、およびユニットUCの排他的操作権を取得するための複数のメインアイコン(排他的操作権要求アイコン)MCA,MCB,MCCを端末装置T1,T2,T3のそれぞれの操作画面30上に表示させる画像表示プログラムがインストールされている。したがって、各端末装置T1,T2,T3は、その操作画面30上に複数のメインアイコンMCA,MCB,MCCを表示する。
【0047】
制御装置10には、上記装置制御プログラムおよび画像表示プログラムと同一のプログラムがインストールされている。
図1に示すように、半導体製造装置1は、制御装置10に接続された表示装置40を備えている。作業者は、表示装置40を通じて、ユニットUA、ユニットUB、およびユニットUCのそれぞれを操作してもよい。
【0048】
本実施形態では、メインアイコンMCAは、ユニット操作画像31の一部に表示され、メインアイコンMCBは、ユニット操作画像32の一部に表示され、メインアイコンMCCは、ユニット操作画像33の一部に表示される。
【0049】
図4(a)乃至
図4(c)に示す実施形態では、メインアイコンMCA,MCB,MCCのそれぞれは、鍵マークを有するボタンである。メインアイコンMCA,MCB,MCCは、互いに識別するための識別子を有してもよい。識別子の一例として、ユニットごとに予め定義された数値、ビット情報、または文字列を挙げることができる。識別子を設けることにより、ユニットのメンテナンス性および安全性を向上させることができる。
【0050】
図5は、メインアイコンMCAの表示の切り替えを示す図である。メインアイコンMCAの切り替えの画像と、メインアイコンMCB,MCCの切り替えの画像とは同一である。したがって、
図5では、メインアイコンMCB,MCCの切り替えの画像の図示は省略されている。
【0051】
図5に示すように、端末装置T1,T2,T3のそれぞれは、調整対象ユニットの排他的操作権の取得を条件に、選択されたメインアイコンMCAの表示を切り替える。調整対象ユニットの排他的操作権が取得されると、メインアイコンMCAは、施錠された画像から解錠された画像に切り替えられる。
【0052】
端末装置T1,T2,T3のそれぞれは、ユニットUA、ユニットUB、およびユニットUCのそれぞれを操作するためのユニット操作画像を生成する画像生成部42と、画像生成部42によって生成された画像を表示する画像表示器43と、を備えている(
図2参照)。上記メインアイコンMCA,MCB,MCCおよび後述するサブアイコンSCA,SCCは、画像表示器43の操作画面30上に表示される。図示しないが、表示装置40もユニットUA、ユニットUB、およびユニットUCのそれぞれを操作するためのユニット操作画像を生成する画像生成部と、画像生成部によって生成された画像を表示する画像表示器と、を備えている。
【0053】
画像生成部42は、上記画像表示プログラムを格納した記憶装置(上記記憶装置110に相当する)と、画像表示プログラムに従って演算を実行する処理装置(上記処理装置120に相当する)と、を備えている。画像生成部42は、調整対象ユニットの排他的操作権の取得を条件に、メインアイコンMCAの表示を切り替える。
【0054】
図6は、ユニット操作画像31,32,33の他の実施形態を示す図である。
図6に示すように、メインアイコンMCA,MCB,MCCのそれぞれは、チェックボックス、またはコンボボックスであってもよい。このように、メインアイコンMCA,MCB,MCCのそれぞれは、操作画面30上に視認可能な状態で表示される。したがって、作業者は、排他的操作権の取得の有無を一見して容易に認識することができる。
【0055】
図7は、対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得する際の制御装置10の処理フローの一実施形態を示す図である。
図7に示すように、端末装置T1,T2,T3のうちの対象となる端末装置(対象端末装置)は、操作画面30上に表示された複数のメインアイコンMCA,MCB,MCCから選択された1つのメインアイコンに対応する調整対象ユニットの排他的操作権の取得を制御装置10(より具体的には、サーバー装置25)に要求する。より具体的には、対象端末装置から制御装置10に要求信号が送信される。
【0056】
制御装置10(より具体的には、サーバー装置25)は、記憶装置110に電気的に格納されたプログラムに従って動作する。制御装置10は、対象端末装置からの要求(要求信号)を受けると、対象端末装置が既に調整対象ユニットの排他的操作権を取得しているか否かを判定する(ステップS101参照)。対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得している場合(ステップS101の「Yes」参照)、制御装置10は、調整対象ユニットの排他的操作権の取得の成功を決定し、許可信号を対象端末装置に送信する。このようにして、制御装置10は、その処理を終了する。
【0057】
対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得していない場合(ステップS101の「No」参照)、制御装置10は、対象端末装置が調整対象ユニット以外の他のユニットの排他的操作権を取得しているか否かを判定する(ステップS102参照)。対象端末装置が他のユニットの排他的操作権を取得していない場合(ステップS102の「No」参照)、制御装置10は、調整対象ユニットの排他的操作権の取得の成功を決定する。
【0058】
対象端末装置が他のユニットの排他的操作権を取得している場合(ステップS102の「Yes」参照)、制御装置10は、既に取得している他のユニットの排他的操作権を解除して(ステップS103参照)、調整対象ユニットの排他的操作権の取得の成功を決定する。
【0059】
このように、制御装置10は、排他的操作権の取得を要求した対象端末装置が複数のユニットの排他的操作権のいずれも取得していない、または既に取得している排他的操作権を解除するとの要件を満たすことを条件に、調整対象ユニットの排他的操作権の取得を許可する。本実施形態によれば、対象端末装置は、1つの対象ユニットの排他的操作権を流動的に取得することができる。
【0060】
図4および
図6に示すように、操作画面30上には、複数のユニット操作画像が表示される。操作画面30上に表示される画像は、複数のユニット操作画像に限られず、装置パラメータ画像、レシピ設定画像も操作画面30上に表示される場合がある。このように、あらゆる画像が表示された状態で、作業者が、特定のユニットの操作を実行する場合、画像の選択ミスにより、異なるユニットの操作を行ってしまうおそれがある。本実施形態によれば、対象端末装置は、1つの対象ユニットの排他的操作権を取得する。したがって、仮に、作業者が画像の選択ミスを行ってしまっても、異なるユニットの操作が行われてしまうという問題は生じない。
【0061】
上述したステップをサーバー装置25に実行させるためのプログラムは、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶され、記録媒体を介してサーバー装置25に提供される。または、プログラムは、インターネットまたはローカルエリアネットワークなどの通信ネットワークを介してサーバー装置25に提供されてもよい。
【0062】
調整対象ユニットの排他的操作権の取得について、
図6を例に説明する。作業者が端末装置T1におけるユニット操作画像31のメインアイコンMCAを選択(例えば、マウスでクリック)すると、端末装置T1は、ユニットUAの排他的操作権を制御装置10に要求する。
【0063】
図6では、端末装置T1は、ユニットUA,UB,UCの排他的操作権のいずれも取得していない。したがって、制御装置10は、ユニットUAの排他的操作権の取得を端末装置T1に対して許可する。端末装置T1がユニットUAの排他的操作権を取得すると、制御装置10は、端末装置T1のユニット操作画像31上において、メインアイコンMCAの表示を切り替える。
【0064】
図8は、対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得する際の制御装置10の処理フローの他の実施形態を示す図である。制御装置10は、
図8に示す複数のステップを実行することによって、調整対象ユニットの排他的操作権の取得を許可してもよい。
【0065】
図8に示すように、制御装置10は、
図7のステップS101と同様のステップを実行し(ステップS201参照)、対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得している場合(ステップS201の「Yes」参照)、制御装置10は、調整対象ユニットの排他的操作権の取得の成功を決定する。
【0066】
対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得していない場合(ステップS201の「No」参照)、制御装置10は、調整対象ユニットの排他的操作権を取得した他の端末装置が存在するか否かを判定する(ステップS202参照)。調整対象ユニットの排他的操作権を取得した他の端末装置が存在する場合(ステップS202の「Yes」参照)、制御装置10は、調整対象ユニットの排他的操作権の取得の失敗を決定する。このようにして、制御装置10は、その処理を終了する。
【0067】
調整対象ユニットの排他的操作権を取得した他の端末装置が存在しない場合(ステップS202の「No」参照)、制御装置10は、
図7のステップS102,S103と同様のステップを実行し(ステップS203,S204参照)、調整対象ユニットの排他的操作権の取得の成功を決定する。
【0068】
同一の端末装置で排他的操作権を取得することができるユニットの数は1つである。すなわち、1つの端末装置は、1つのユニットの排他的操作権のみを取得することができる。
図6を例に説明すると、端末装置T1がユニットUAの排他的操作権を取得する場合、端末装置T1は、ユニットUBおよびユニットUCの排他的操作権を取得することができない(
図6の実線で囲まれた領域参照)。
【0069】
あるユニットを排他的に操作することができる端末装置は1つである。したがって、制御システム20は、複数の端末装置による1つのユニットの同時操作を防止することができる。
図6を例に説明すると、端末装置T1がユニットUAの排他的操作権を取得する場合、ユニットUAの排他的操作権を取得している他の端末装置T2,T3が存在していないことを条件として、端末装置T1はユニットUAの排他的操作権を取得することができる(
図6の点線で囲まれた領域参照)。
【0070】
図9は、端末装置とサーバー装置25との間の通信を示す図である。
図9に示すように、作業者が調整対象ユニットの排他的操作権の取得要求を操作すると、対象端末装置は、サーバー装置25に排他的操作権の取得要求(要求信号)を送信する。サーバー装置25が排他的操作権の取得要求を受けると、排他的操作権の取得が可能であるか否かを判定する。排他的操作権の取得が許可される場合、サーバー装置25は、その旨を示す信号(許可信号)を端末装置に送信する。排他的操作権の取得が許可されない場合、サーバー装置25は、その旨を示す信号(不許可信号)を端末装置に送信する。端末装置は、上記許可信号を受けると、排他的操作権を取得し、上記不許可信号を受けると、排他的操作権を取得しない。
【0071】
一実施形態では、調整対象ユニットの排他的操作権を取得することができなかった対象端末装置は、制御装置10を通じて、調整対象ユニットの排他的操作権を取得した他の端末装置に対して、排他的操作権の取得要求を実行することができる。対象端末装置が排他的操作権の取得要求を実行すると、制御装置10は、調整対象ユニットの排他的操作権を取得した他の端末装置に対して、対象端末装置による排他的操作権の取得を許可するか否かの確認を要求する。他の端末装置が対象端末装置による排他的操作権の取得を許可する場合、対象端末装置は調整対象ユニットの排他的操作権を取得する。他の端末装置が対象端末装置による排他的操作権の取得を許可しない場合、対象端末装置は調整対象ユニットの排他的操作権を取得しない。
【0072】
端末装置T1がユニットUAの排他的操作権を取得し、端末装置T2がユニットUBの排他的操作権を取得し、端末装置T3がユニットUCの排他的操作権を取得している場合、次のような問題が生じうる。ユニットUBが搬送ユニットである場合、ユニットUBはユニットUAおよびユニットUCの両方にアクセス可能である。したがって、ユニットの動作調整時において、作業者が端末装置T2でユニットUBをユニットUA(またはユニットUC)にアクセスさせると、例えば、ユニットUBの搬送ロボットの基板搬送ハンドがユニットUA(またはユニットUC)の基板処理ステージに衝突するおそれがある。あるいは、ユニットUA(またはユニットUC)で作業している作業者が危険にさらされるおそれがある。
【0073】
そこで、制御システム20は、調整対象ユニットのアクセス操作権を取得するための構成を有している。具体的には、端末装置T1,T2,T3のそれぞれは、ユニットUBのユニットUAへのアクセス操作権を取得するためのサブアイコン(アクセス操作権要求アイコン)SCAと、ユニットUCへのアクセス操作権を取得するためのサブアイコン(アクセス操作権要求アイコン)SCCと、を操作画面30上に表示する(
図4および
図6参照)。本実施形態では、サブアイコンSCA,SCCは、ユニット操作画像32の一部に表示される。なお、
図4では、サブアイコンSCCはユニット操作画像33の裏に隠れている。
【0074】
サブアイコンSCA,SCCのそれぞれは、ボタンであってもよく、チェックボックスまたはコンボボックスであってもよい。サブアイコンSCA、SCCのそれぞれは、メインアイコンMCA,MCB,MCCのそれぞれと同一の形態で表示されてもよく、または異なる形態で表示されてもよい。
【0075】
アクセス操作権は、搬送ユニットの他のユニット(処理ユニット)へのアクセスを許可する権利である。したがって、ある端末装置がアクセス操作権を取得すると、他の端末装置は、アクセス操作権の対象となるアクセス対象ユニットの排他的操作権を取得することができない。言い換えれば、他の端末装置がアクセス対象ユニットの排他的操作権を取得している場合、対象端末装置は、搬送ユニットのアクセス対象ユニットへのアクセス操作権を取得することができない。
【0076】
このような構成により、アクセス操作権を取得した端末装置は、搬送ユニットを処理ユニットに安全にアクセスさせることができる。アクセス操作権を取得した端末装置は、アクセス操作権を任意に解除することができる。なお、アクセス操作権を取得する場合における端末装置とサーバー装置25との間の通信は、
図9に示す実施形態と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0077】
図10は、対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得する際の制御装置10の処理フローのさらに他の実施形態を示す図である。制御装置10は、
図10に示す複数のステップを実行することによって、調整対象ユニットの排他的操作権の取得を許可してもよい。
【0078】
図10に示すように、制御装置10は、
図7のステップS101と同様のステップを実行し(ステップS301参照)、対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得している場合(ステップS301の「Yes」参照)、制御装置10は、調整対象ユニットの排他的操作権の取得の成功を決定する。
【0079】
対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得していない場合(ステップS301の「No」参照)、制御装置10は、
図8のステップS202と同様のステップを実行し(ステップS302参照)、調整対象ユニットの排他的操作権を取得した他の端末装置が存在する場合(ステップS302の「Yes」参照)、制御装置10は、調整対象ユニットの排他的操作権の取得の失敗を決定する。
【0080】
調整対象ユニットの排他的操作権を取得した他の端末装置が存在しない場合(ステップS302の「No」参照)、制御装置10は、調整対象ユニットへのアクセス操作権を取得した他の端末装置が存在するか否かを判定する(ステップS303参照)。典型的には、搬送ユニットがアクセスしうるアクセス対象ユニットが調整対象ユニットである場合に、搬送ユニットの排他的操作権を取得している他の端末装置がアクセス対象ユニットへのアクセス操作権を取得しているか否かを判定する。調整対象ユニットへのアクセス操作権を取得した他の端末装置が存在する場合(ステップS303の「Yes」参照)、制御装置10は、調整対象ユニットの排他的操作権の取得の失敗を決定する。
【0081】
調整対象ユニットへのアクセス操作権を取得した他の端末装置が存在しない場合(ステップS303の「No」参照)、制御装置10は、対象端末装置が他のユニットの排他的操作権を取得しているか否かを判定する(ステップS304参照)。対象端末装置が他のユニットの排他的操作権を取得していない場合(ステップS304の「No」参照)、制御装置10は、調整対象ユニットの排他的操作権の取得の成功を決定する。
【0082】
対象端末装置が他のユニットの排他的操作権を取得している場合(ステップS304の「Yes」参照)、制御装置10は、既に取得している他のユニットの排他的操作権を解除して(ステップS305参照)、調整対象ユニットの排他的操作権の取得の成功を決定する。
【0083】
対象端末装置が既に取得している他のユニットに属するアクセス操作権を取得している場合、制御装置10は、既に取得しているアクセス操作権を解除して、調整対象ユニットの排他的操作権の取得の成功を決定する(ステップS305参照)。
【0084】
このように、調整対象ユニットの排他的操作権を取得する場合、調整対象ユニットへのアクセス操作権を取得している他の端末装置が存在していないことが必要である。
図6を例に説明すると、端末装置T1がユニットUAの排他的操作権を取得する場合、端末装置T2,T3のいずれもがユニットUBのユニットUAへのアクセス操作権を取得していないことが必要である(
図6の点線の矢印参照)。
図1の例で説明すれば、対象端末装置が洗浄ユニット5の排他的操作権を取得する際に、すなわち洗浄ユニットが調整対象ユニットである場合に、第1搬送ユニット12が洗浄ユニット5にアクセスするアクセス操作権をいずれかの端末装置が取得していると、対象端末装置は洗浄ユニット5の排他的操作権を取得することはできない。
【0085】
図11は、対象端末装置がアクセス操作権を取得する際の制御装置10の処理フローの一実施形態を示す図である。制御装置10は、
図11に示す複数のステップを実行することによって、調整対象ユニットのアクセス対象ユニットへのアクセス操作権の取得を許可する。
【0086】
図11に示すように、対象端末装置は、操作画面30上に表示されたサブアイコンSCA,SCCから選択された少なくとも1つのサブアイコンに対応する、調整対象ユニット(すなわち、調整の対象となる搬送ユニット)の、アクセスの対象となるユニット(すなわち、アクセス対象ユニット)へのアクセス操作権の取得を制御装置10に要求する。以下、本明細書において、調整の対象となる搬送ユニットを対象搬送ユニットと呼ぶことがある。
【0087】
図4または
図6を例に説明すると、作業者が対象端末装置におけるユニット操作画像32のサブアイコンSCAまたはSCCを選択(例えば、マウスでクリック)すると、対象端末装置は、選択されたアクセス対象ユニットへのアクセス操作権を制御装置10に要求する。
【0088】
制御装置10は、対象端末装置からの要求を受けると、すでに対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得しているか否かを判定する(ステップS401参照)。対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得することができない場合(ステップS401の「No」参照)、制御装置10は、アクセス操作権の取得の失敗を決定する。この場合、制御装置10は、アクセス操作権を取得する前提として、自動的に
図8または
図10に示す処理フローを実行して、対象端末装置の調整対象ユニットの排他的操作権を取得する。あるいは、作業者は調整対象ユニットの排他的操作権を取得するために、調整対象ユニットに対応するメインアイコンを選択して、制御装置10に
図8または
図10に示す処理フローを実行させる。
【0089】
対象端末装置が調整対象ユニットの排他的操作権を取得した場合(ステップS401の「Yes」参照)、制御装置10は、すでに対象端末装置が調整対象ユニットのアクセス対象ユニットへのアクセス操作権を取得しているか否かを判定する(ステップS402参照)。対象端末装置がアクセス操作権を取得している場合(ステップS402の「Yes」参照)、制御装置10は、アクセス操作権の取得の成功を決定する。
【0090】
対象端末装置がアクセス操作権を取得していない場合(ステップS402の「No」参照)、制御装置10は、アクセス対象ユニットの排他的操作権を取得した他の端末装置が存在しているか否かを判定する(ステップS403参照)。この排他的操作権を取得した他の端末装置が存在している場合(ステップS403の「Yes」参照)、制御装置10は、アクセス操作権の取得の失敗を決定する。
【0091】
この排他的操作権を取得した他の端末装置が存在していない場合(ステップS403の「No」参照)、制御装置10は、他の調整対象ユニットのアクセス対象ユニットへのアクセス操作権を取得した他の端末装置が存在するか否かを判定する(ステップS404参照)。このアクセス操作権を取得した他の端末装置が存在する場合、制御装置10は、アクセス操作権の取得の失敗を決定する(ステップS404の「Yes」参照)。
【0092】
アクセス操作権を取得した他の端末装置が存在しない場合(ステップS404の「No」参照)、制御装置10は、アクセス操作権の取得の成功を決定する。
【0093】
上記アクセス操作権を取得するための処理フローを
図1の例で説明する。まず、調整対象ユニットが搬送ユニット12であり、アクセス対象ユニットがステージ15であり、搬送ユニット16の排他的操作権を取得した端末装置が存在している場合を想定する。この場合、搬送ユニット16の排他的操作権を取得した端末装置がステージ15に対するアクセス操作権も取得していた場合には、対象端末装置は搬送ユニット12がステージ15に対してアクセスするアクセス操作権を取得することはできない。これにより、搬送ユニット12を調整している作業者と搬送ユニット16を調整している作業者が同時にステージ15に対するアクセス動作を行うことで生じる問題(衝突等)を避けることができる。
【0094】
調整対象ユニット(すなわち、対象搬送ユニット)のアクセス対象ユニットへのアクセス操作権を取得する場合、アクセス対象ユニットの排他的操作権を取得している端末装置が存在していないことが必要である。
図6を例に説明すると、端末装置T1または端末装置T3がユニットUCの排他的操作権を取得している場合、端末装置T2は、ユニットUBのユニットUCへのアクセス操作権を取得することができない(
図6の一点鎖線の矢印参照)。言い換えれば、端末装置T2がユニットUBのユニットUCへのアクセス操作権を取得している場合、端末装置T1または端末装置T3がユニットUCの排他的操作権の取得を制御装置10に要求しても、制御装置10は、ユニットUCの排他的操作権の取得を端末装置T1または端末装置T3に対して許可しない。
【0095】
アクセス操作権を取得する場合、アクセス操作権が所属している搬送ユニット(すなわち、対象搬送ユニット)の排他的操作権を取得する必要がある。
図6を例に説明すると、端末装置T2がユニットUBのユニットUCへのアクセス操作権を取得する場合、制御装置10は、
図11に示す処理フローと、
図8(または
図10)に示す処理フローとを実行して、ユニットUBの排他的操作権を成功した場合に、端末装置T2は、ユニットUBのユニットUCへのアクセス操作権を取得する(
図6の実線の矢印参照)。
【0096】
対象端末装置は、複数のアクセス操作権を取得してもよい。
図6に示す実施形態では、端末装置T1はユニットUAの排他的操作権を取得しているため、端末装置T2はユニットUBのユニットUAへのアクセス操作権を取得することができない。端末装置T1がユニットUAの排他的操作権を取得していない場合、端末装置T2は、ユニットUBのユニットUCへのアクセス操作権のみならず、ユニットUBのユニットUAへのアクセス操作権をも取得することができる。
【0097】
対象端末装置は、アクセス操作権の取得を条件に、選択されたサブアイコンの表示を切り替える。すなわち、画像生成部42(
図2参照)は、アクセス操作権の取得を条件に、サブアイコンの表示を切り替える。アクセス操作権が取得されると、サブアイコンは、施錠された画像から解錠された画像に切り替えられる(
図5参照)。
【0098】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0099】
1 半導体製造装置
2 ハウジング
3 ロード/アンロードユニット
4A,4B 研磨ユニット
5 洗浄ユニット
10 制御装置
11 ロードポート
12 第1搬送ユニット
15 ステージ
16 第2搬送ユニット
20 制御システム
25 サーバー装置
26 シーケンサ
30 操作画面
31,32,33 ユニット操作画像
40 表示装置
42 画像生成部
43 画像表示器
110 記憶装置
111 主記憶装置
112 補助記憶装置
120 処理装置
130 入力装置
132 記録媒体読み出し装置
134 記録媒体ポート
140 出力装置
141 ディスプレイ装置
142 印刷装置
150 通信装置
T1,T2,T3 端末装置
UA,UB,UC ユニット
MCA,MCB,MCC メインアイコン(排他的操作権要求アイコン)
SCA,SCC サブアイコン(アクセス操作権要求アイコン)