(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】ポンプシステム
(51)【国際特許分類】
E03F 5/22 20060101AFI20221021BHJP
E03F 5/10 20060101ALI20221021BHJP
F04D 13/08 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
E03F5/22
E03F5/10 Z
F04D13/08 G
(21)【出願番号】P 2018102321
(22)【出願日】2018-05-29
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【氏名又は名称】串田 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】東海林 健太
(72)【発明者】
【氏名】平本 和也
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-163263(JP,A)
【文献】特開2018-080543(JP,A)
【文献】特開2018-003343(JP,A)
【文献】特開2006-257875(JP,A)
【文献】特開2005-034810(JP,A)
【文献】特開2018-062831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/22
E03F 5/10
F04D 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容可能な液体槽から前記液体を排出するために、前記液体槽内に設置される少なくとも1台の水中モータポンプを有したポンプシステムであって、
前記ポンプシステムは、
前記液体槽内に設置された全ての前記水中モータポンプが、気中連続運転における前記水中モータポンプの温度を所定の温度以下に抑制する冷却機構を備える、
ことを特徴とするポンプシステム。
【請求項2】
前記液体槽は、建築物その他の設備から生じる汚水および雑排水を貯留する汚水槽であって、
前記水中モータポンプは、前記汚水槽に流入および貯留された液体を排出し、
前記ポンプシステムは、
所定の始動条件にて起動された前記水中モータポンプを、前記汚水槽内の水位が停止水位未満となるまで気中連続運転できることを特徴とする請求項1記載のポンプシステム。
【請求項3】
前記液体槽は、建物の地下のドライピット内に備えられたパネルタンクまたはバレルであることを特徴とする請求項1または2記載のポンプシステム。
【請求項4】
前記液体槽内に設置された接続管に、前記水中モータポンプの吐出し管を着脱させるポンプ着脱装置を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポンプシステム。
【請求項5】
前記液体は汚水であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポンプシステム。
【請求項6】
前記水中モータポンプは、所定の時間間隔ごとに起動可能であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポンプシステム。
【請求項7】
前記所定の時間間隔の長さは、周囲温度の変化に応じて設定可能であることを特徴とする請求項6記載のポンプシステム。
【請求項8】
前記所定の時間間隔の長さは、前記液体槽に流入する液体の量に応じて設定可能であることを特徴とする請求項6または7記載のポンプシステム。
【請求項9】
前記水中モータポンプは、前記水中モータポンプの下方に伸びる吸込管を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のポンプシステム。
【請求項10】
前記水中モータポンプを複数有し、前記液体槽に蓄積される前記液体の量に応じて、動作する前記水中モータポンプの台数が変わることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のポンプシステム。
【請求項11】
前記水中モータポンプを複数有し、前記液体槽に流入する前記液体の量に応じて、動作する前記水中モータポンプの台数が変わることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のポンプシステム。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載のポンプシステムを用いた悪臭防止型排水設備。
【請求項13】
液体を収容可能な液体槽から前記液体を排出するために、前記液体槽内に設置される少なくとも2台の水中モータポンプを有し、前記水中モータポンプが、気中連続運転における前記水中モータポンプの温度を所定の温度以下に抑制する冷却機構を備えるポンプシス
テムのためのポンプ交換方法であって、
前記水中モータポンプのうちの少なくとも1台を用いて前記液体を排出して、前記水中モータポンプのうちの交換対象である前記水中モータポンプの、土台への固定具を露出させる工程と、
交換対象である前記水中モータポンプを前記液体槽外へ搬出する工程と、
交換対象である前記水中モータポンプの代替となる水中モータポンプを前記液体槽内へ搬入する工程とを有することを特徴とするポンプ交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポンプには、水中モータポンプと陸上ポンプ等がある。水中モータポンプは、水等の液体中で運転可能なポンプである。水中モータポンプには、汚水槽の内部または外部に設置される汚水処理用の水中モータポンプがある。汚水槽の外部に配置される水中モータポンプは、槽外形の汚水ポンプと呼ばれる。槽外形の汚水ポンプには、ドライピット内に配置された槽外形汚水ポンプがある。ここでドライピットとは、汚水があふれても大丈夫なように、防水加工がされているピットである。
【0003】
また、汚水ピットの一種にビルピットがある。ビルピットとは、建物の地下に設置され、公共下水道よりも低い位置に設置された排水槽である。建物内から排出された汚水は自然流下にてビルピットに流下する。汚水ポンプは、ビルピットに流下した汚水を公共下水道へ圧送する。
【0004】
こうしたビルピットを用いた排水設備では、ポンプは、流下された汚水の水位が所定の水位になった場合に運転が開始される。しかし、汚水の水位が所定の水位まで至らずにビルピット内に汚水等が長時間残留すると、腐敗が進行して、建物の地下から悪臭が漏れるおそれがある。
【0005】
上記問題は、残留する汚水等の水量が多くなるために顕著になっている。これを改善するため、ビルピット内に筒形水槽(バレル)等を設置して、該バレル内にポンプを配置した悪臭防止型排水設備が提案されている(たとえば特許文献1)。
【0006】
特許文献1には、建物の地下ピット内にバレルを設置して、ポンプの排水運転終了時の汚水や雑排水の残留量を極力少なくすることで、汚水の腐敗を抑制して悪臭の発生を防止した悪臭防止型排水設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
槽内形の水中モータポンプは、通常、電動機を槽内の汚水で冷却しながら連続運転を行う必要がある。特許文献1の
図6に示すように、ポンプが起動する起動水位(WL1)は、ポンプ全体が水没する水位より高い。ポンプが停止する停止水位(WL2)は、モータ部が露出しない水位とする。槽内形の水中モータポンプにおいては、電動機が気中露出した場合、電動機の発熱に起因する故障を回避するために、例えば、30分間程度で停止させ、再度ポンプを起動するためには、一定期間(例えば、気中露出運転を行った時間と同等の時間)停止させて電動機を冷却するための時間間隔が必要である。
【0009】
なぜならば、「設備排水用水中モータポンプJISB8325」において、設備排水用水中モータポンプに、最小限必要な条件として、「電動機が水面上に露出するポンプでは,運転中,電動機が大気中に露出し始めてから30分間は支障がなく運転できるものとする。ただし,停止させてから再運転されるまでの停止時間は,露出し始めてから停止する
までの運転時間よりも長いものとする。」と規定されているためである。
【0010】
従って、従来の水中モータポンプを連続して運転する時、電動機は水没している状態でポンプ運転させる必要があるため、任意のタイミングにてポンプを運転させることができない。この結果、汚水の水位が電動機が水没する水位より低いと、水中モータポンプを連続運転して排水することができない。このように、従来の水中モータポンプを用いた排水設備で、電動機が水面上に露出した状態で汚水槽内の汚水が長期滞留すると、悪臭が発生する虞がある。
【0011】
本発明の一形態は、このような問題点を解消すべくなされたもので、その目的は、汚水槽内に蓄積される汚水の量を低減して、悪臭の発生を低減したポンプシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、第1の形態では、液体を収容可能な液体槽から前記液体を排出するために、前記液体槽内に設置される少なくとも1台の水中モータポンプを有したポンプシステムであって、前記ポンプシステムは、前記液体槽内に設置された全ての前記水中モータポンプが、気体中での連続運転時に前記水中モータポンプの温度を所定の温度以下に抑える冷却機構を有することを特徴とするポンプシステムという構成を採っている。
【0013】
本実施形態では、気体中で(以下では、「気中」と呼ぶ。)連続運転可能な水中モータポンプを汚水槽等の液体槽内に配置する。気中連続運転可能な水中モータポンプは、気体中での連続運転時に所定の温度以下に抑える冷却機構を有するため、モータ部が水没していなくてもポンプを起動させることができるため、従来技術に比べて、より任意のタイミングにてポンプを起動させることができる。この結果、起動が必要になった時に、従来技術に比べて、より迅速に排水を開始することができる。汚水槽内の汚水の長期滞留による悪臭を従来よりも効果的に防止できる。
【0014】
また本実施形態によれば、以下に説明する効果もある。従来、気中連続運転可能な水中モータポンプは、槽外形ポンプとして使用されていた。気中連続運転可能な水中モータポンプを槽外形ポンプとして使用する目的は既述のとおりであるが、この従来技術には、以下の問題が生じる。
・槽外形ポンプのメンテナンス時に、ポンプの吸込み口を吸込み水槽と連結する配管から外す際に、配管の取り外し部分は吸込み水槽の外部にあるため、周囲が配管内の液にて汚れるおそれがある。
・吸込み水槽の外部にポンプ用の配管等を出す必要や、吸込み管を配管する必要があり、既設の建物に採用すると、設置工事時の断水時間が長くなる。
・ポンプと配管の連結部分において、ポンプ運転中に汚水が周囲に漏れない水密性が要求される。
【0015】
本実施形態によれば、気中連続運転可能な水中モータポンプを汚水槽等の液体槽内に配置するため、吸込み水槽の外部には配管が配置されない。これにより吸込み水槽の外部が配管内の汚水にて汚れるおそれを低減できる。また、吸込み水槽の外部にポンプ用の配管等を出す必要や、吸込み管を配管する必要がなく、既設の建物に採用すると、設置工事時の断水時間が短くなる。
【0016】
また、一例として、気中連続運転可能な水中モータポンプの冷却抑制機構は、気体中での連続運転時に前記水中モータポンプの飽和温度を所定の異常温度以下に抑える。
【0017】
第2の形態では、前記液体槽は、建築物その他の設備から生じる汚水および雑排水を貯留する汚水槽であって、前記水中ポンプは、前記汚水槽に流入および貯留された液体を排出し、前記ポンプシステムは、所定の始動条件にて起動された前記水中モータポンプを、前記汚水槽内の水位が停止水位未満となるまで気中連続運転できることを特徴とする第1の形態に記載のポンプシステムという構成を採っている。
【0018】
第3の形態では、前記液体槽は、建物の地下のドライピット内に備えられたパネルタンクまたはバレルであることを特徴とする第1の形態または第2の形態に記載のポンプシステムという構成を採っている。
【0019】
第4の形態では、前記液体槽内に設置された接続管に、前記水中モータポンプの吐出し管を着脱させるポンプ着脱装置を有することを特徴とする第1の形態ないし第3の形態のいずれかに記載のポンプシステムという構成を採っている。
【0020】
第5の形態では、前記液体は汚水であることを特徴とする第1の形態ないし第4の形態のいずれかに記載のポンプシステムという構成を採っている。
【0021】
第6の形態では、前記モータポンプは、所定の時間間隔ごとに起動可能であることを特徴とする第1の形態ないし第5の形態のいずれかに記載のポンプシステムという構成を採っている。
【0022】
第7の形態では、前記所定の時間間隔の長さは、周囲温度の変化に応じて設定可能であることを特徴とする第6の形態に記載のポンプシステムという構成を採っている。
【0023】
第8の形態では、前記所定の時間間隔の長さは、前記液体槽に流入する液体の量に応じて設定可能であることを特徴とする第6の形態または第7の形態に記載のポンプシステムという構成を採っている。
【0024】
第9の形態では、前記水中モータポンプは、前記水中モータポンプの下方に伸びる吸込管を有することを特徴とする第1の形態ないし第8の形態のいずれか1項に記載のポンプシステムという構成を採っている。本実施形態によれば、ポンプの下方に伸びる吸込管を設置したため、より低水位まで汚水を吸込み可能になり、残留汚水を低減することができる。
【0025】
第10の形態では、前記水中モータポンプを複数有し、前記液体槽に蓄積される前記液体の量に応じて、動作する前記水中モータポンプの台数が変わることを特徴とする第1の形態ないし第9の形態のいずれか1項に記載のポンプシステムという構成を採っている。
【0026】
第11の形態では、前記水中モータポンプを複数有し、前記液体槽に流入する前記液体の量に応じて、動作する前記水中モータポンプの台数が変わることを特徴とする第1の形態ないし第9の形態のいずれか1項に記載のポンプシステムという構成を採っている。
【0027】
第12の形態では、第1の形態ないし第11の形態のいずれか1項に記載のポンプシステムを用いた悪臭防止型排水設備という構成を採っている。
【0028】
なお、液体槽の底面に傾斜を設け、傾斜の一番低い部分に水中モータポンプを設けることが好ましい。これにより、傾斜がない場合に比べて、残留汚水を低減することができる。また、水中モータポンプの下方に、予旋回槽を設けてもよい。予旋回槽とは、ポンプが汚水を吸引するときに生じる汚水の流れを利用して渦流を発生させる装置である。予旋回槽はポンプの下部に設置され、ポンプの下方に伸びる吸込管と組み合せて、槽内に残留す
る浮遊物や沈殿物を渦流に巻込んで排出する。残留する物体を低減することができる。また、水中モータポンプを液体槽内から外部に搬送するための昇降装置を追加することとしてもよい。この場合、液体槽内に立ち入らずに、例えば液体槽の上部に設けた地下空間で水中モータポンプのメンテナンスができるため、安全にかつ衛生的にメンテナンスができる。
【0029】
第13の形態では、液体を収容可能な液体槽から 前記液体を排出するために、前記液体槽内に設置される少なくとも2台の水中モータポンプを有し、前記水中モータポンプが、気中連続運転における前記水中モータポンプの温度を所定の温度以下に抑制する冷却機構を備えるポンプシステムのためのポンプ交換方法であって、
前記水中モータポンプのうちの少なくとも1台を用いて前記液体を排出して、前記水中モータポンプのうちの交換対象である前記水中モータポンプの、土台への固定具を露出させる工程と、交換対象である前記水中モータポンプを前記液体槽外へ搬出する工程と、交換対象である前記水中モータポンプの代替となる水中モータポンプを前記液体槽内へ搬入する工程とを有することを特徴とするポンプ交換方法という構成を採っている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】一実施形態によるポンプシステムを用いたポンプ設備の全体構成図である。
【
図2】一実施形態によるモータポンプの構造を示す概要図である。
【
図3】一実施形態による制御装置の制御フロー図である。
【
図4】一実施形態によるポンプシステムを用いたポンプ設備の全体構成図である。
【
図5】一実施形態による制御装置の制御フロー図である。
【
図6】一実施形態による制御装置の制御フロー図である。
【
図7】一実施形態による制御装置の制御フロー図である。
【
図8】一実施形態による制御装置の制御フロー図である。
【
図9】一実施形態による制御装置の制御フロー図である。
【
図10】一実施形態による制御装置の構成図である。
【
図11】一実施形態によるパネルタンクの全体構成図である。
【
図12】一実施形態によるバレルの全体構成図である。
【
図13】一実施形態によるポンプ着脱装置を具備したポンプシステムの説明図である。
【
図14】基礎プレートを介して、ポンプ着脱装置を土台に設置した状態を示す図である。
【
図16】別の実施形態に係わる基礎プレートを介して、ポンプ着脱装置を土台に設置した状態を示す図である。
【
図18】基礎プレートを介して、ポンプ着脱装置を土台に設置する直前の状態を示す図である。
【
図22】モータポンプの交換ための準備作業について説明する図である。
【
図23】汚水槽内の水位が停止水位になった後の作業について説明する図である。
【
図24】板による囲いが終了した後の作業について説明する図である。
【
図25】モータポンプの囲いの内部の排水が終了した後の作業について説明する図である。
【
図26】モータポンプを槽外へ搬出した後の作業について説明する図である。
【
図27】新しい基礎プレートが基礎ボルトによって底面に固定された後の作業について説明する図である。
【
図28】新しいモータポンプが設置された後の作業について説明する図である。
【
図29】ポンプ着脱装置の交換作業の全体フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同一または相当する部材には同一符号を付して重複した説明を省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0032】
図1を参照して、本実施形態によるポンプシステム10の全体構成を説明する。
図1は、一実施形態によるポンプシステムを用いたポンプ設備500(排水設備)の全体構成図である。ポンプ設備500は、排水槽20内に貯留された中水、雨水や汚水等のような各種液体(以下、総称して「液体」という。)を排水するために、ポンプとポンプの駆動機であるモータを備えたモータポンプPと、該モータポンプPを制御する制御装置100と、有したポンプシステム10を用いている。具体的には、ポンプ設備500は、液体を収容可能な排水槽20(液体槽)と、排水槽20内に据え付けられるモータポンプPと、排水槽20内の水位を検出する水位検出器40と、モータポンプPの動作を制御する制御装置100と、を備える。モータポンプPは、気体中で連続運転可能な槽内形の水中モータポンプである。
【0033】
排水槽20は、建築物1000の地下の公共下水道よりも低い位置に設けられた 汚水ピットであるビルピットである。本実施形態では、液体槽はビルピットであるが、液体槽が、地上に設けられた水槽、工業用水等の汚水ピット、または、ドライピットやポンプ室等の中に設けられたパネルタンク、またはバレルである場合 にも、本実施形態のポンプシステム10を適用可能である。ここでドライピットとは、モータポンプPにて移送する液を貯留する液体槽が設置され、且つ、万が一、該液体槽から液体があふれても大丈夫なように、防水加工がされているピットである。パネルタンクとは、複数のパネル部材を結合して形成される水槽である。バレルとは、小型の筒型水槽である。また、本実施形態では、液体は汚水であるが、液体が汚水以外の上水、中水、廃液である場合にも、本実施形態を適用可能である。
【0034】
本実施形態によるポンプ設備500において、建築物1000の地階部分Bは、地階部分Bで生じた汚水および雑排水等(以下、「汚水等」という。)は、流入管12を介して更に下に設置された排水槽20に一時貯留される。その後、汚水等は、モータポンプPによって汚水ます91に汲み上げられ、汚水ます93を介して公共下水道管80に排水される。なお、建築物1000の1階以上の部分で生じる汚水等は、直接に自然流下で汚水ます91に排水されてもよいし、排水槽20に流下されモータポンプPによって排水されてもよい。
【0035】
排水槽20は、全体として略直方体状(箱状)であり、底面20b、側面20s、および上面20uにより画定される内部空間を有する。ポンプ設備500は流入管12および流出管21を備える。建築物1000内にて排出された汚水は、流入管12を通じて排水槽20に流入および貯留される。モータポンプPが運転されると、モータポンプPに接続された流出管21を通じて排水槽20の外に汚水が排水される。ポンプ設備500は、更に、排水槽20の底面20bに予旋回槽60を備え、モータポンプPと組み合わせて浮遊物や沈殿物を巻込んで排出する。底面20bのうち、予旋回槽60を設けた部分以外は、予旋回槽60に向かって傾斜していることで、排水槽20に流入された汚水が予旋回槽60に案内される。
【0036】
モータポンプPは、後述する
図2に示すように、吸込口222aを有し、羽根車221を収容するポンプケーシング部2、および羽根車221に回転駆動力を提供するモータ部4(電動機)を備える。また、モータポンプPは、モータポンプPの吸込口222aの下方に伸びる吸込管22を有するとよい。本実施形態では、モータポンプPは、ポンプ全体を電動機ごと液中につけて使用することができる水中モータポンプである。これにより、モータポンプPのモータ部4が被水しても故障することなく排水可能な排水設備を実現することができる。水中モータポンプに用いられる電動機の一例として、内部を液封入、ガス封入又はキャンドとしたキャンドモータポンプがあり、モータポンプPは、キャンドモータポンプでもよい。
【0037】
本明細書において、モータポンプPのモータ部4が液面上で気体中に露出した状態(即ち、液の水位が冷却を必要とするモータ部4以下の状態)でのモータポンプPによる連続運転のことを「気中連続運転」という。以下、本実施形態では、ポンプシステム10におけるモータポンプPの台数を1台として説明するが、2台以上でもよい。
【0038】
モータポンプPは、気中連続運転が可能である。具体的には、モータポンプPは、モータ部4の温度上昇を抑制するための冷却機構(
図2にて詳細を後述)を具備し、該冷却機構は例えば、気中連続運転中のモータ部4の温度を抑えることで、水中モータポンプの温度を、所定の温度(例えば、モータポンプPが故障する温度である異常温度)以下に抑えることができる。
【0039】
具体的には、連続運転で、モータポンプPは、温度上昇し所定の温度で飽和する。以下、連続運転で飽和したモータポンプPの温度を飽和温度と記す。モータポンプPが具備する冷却機構は、モータポンプPの飽和温度を所定の温度以下に抑制する。モータポンプPは、飽和温度が異常温度よりも高いと飽和温度に到達する前に保護停止される必要がある。モータポンプPは、冷却機構を具備しているため、気中連続運転を行ってもモータ部4の飽和温度が異常温度以下にて保たれる。本明細書では、このことを気中連続運転が可能と定義する。つまり、モータポンプPは気中連続運転が可能であるとは、モータポンプPの運転中に排水槽20内の水位がモータ部4より低い状態が継続し排水槽20内の液でモータ部4を冷却できない場合でも、モータ部4の温度上昇をモータポンプPの異常温度以下に抑えることができ、排水を継続することが可能になることを意味する。
【0040】
なお、本実施形態における一例としては、モータポンプPは、搬送液に含まれる固形物の大きさ20mm以下の汚水・雑排水を取り扱う片吸込単段遠心形ポンプとする。
【0041】
水位検出器40は、排水槽20内の現在の汚水の水位を検出する。水位検出器40は、例えばフロート式の水位検知器である。具体的には、水位検出器40は、ポンプ停止水位HLを検出するフロート40aと、ポンプ起動水位H1を検出するフロート40bと、満水水位HHを検出するフロート40cと、を備える。なお、水位検出器40は、少なくともポンプ停止水位HLを検出することができればよく、投げ込み式の水位センサ等の水位計でもよい。
【0042】
本実施形態によれば、ポンプ停止水位HLは、ポンプ停止水位HL以下にてモータポンプPを停止させるための水位であり、モータポンプPの吸込管22の吸込口以上の高さであって、且つ可能な限り吸込管22の吸込口と同等の高さに設定するのがよい。これにより、モータポンプPが運転中に空気を吸ってしまうことを防止し、且つモータポンプP停止後に排水槽20に残る汚水を極力少なくすることができる。
【0043】
ポンプ起動水位H1は、排水槽20の水位がポンプ起動水位H1以上の水位に達したら
モータポンプPを起動させるための水位であり、排水量、排水槽20の底面積、およびモータポンプPの容量等によって決定される。
【0044】
具体的には、ポンプ起動水位H1は、モータ部4におけるロータやステータ(例えば、
図2の242、243)の上端よりも高い位置であるのが一般的である。例えば、モータ部4の機構として、モータ部4の上部に接続された駆動電源用ケーブル(例えば、
図2の245)上部の数センチとなるようポンプ起動水位H1が設定されてもよい。また、他の例としては、主軸241と摺動する軸受(例えば、
図2の246)が水没する位置をポンプ起動水位H1としてもよい。ただし、モータポンプPは、気中連続運転が可能であるため、起動水位H1は、モータ部4が露出した水位、すなわち、モータポンプPの運転が気中連続運転となる水位でもよい。
【0045】
満水水位HHは、満水水位HH以上にて排水槽20の満水状態を判断するための基準であり、ポンプ起動水位H1よりも高い位置で、排水槽20の上面20uに近い高さに設定される。
【0046】
制御装置100は、モータポンプP、並びに水位検出器40とケーブル接続され、前述した水位HL、H1およびHHに応じて、モータポンプPの動作制御を行う。図示するように、制御装置100は、電源ケーブル50を通じてモータポンプPと接続され、信号ケーブル41を通じて水位検出器40と接続される。また、制御装置100は外部の商用電源(不図示)とも接続される。当該接続により、制御装置100は、水位検出器40からの水位検出信号(40a、40b、および40c)に応じて、モータ部4への駆動電源を適切に制御供給し、モータポンプPを運転/停止する。制御装置100はモータポンプPの動作を制御(例えば、自動運転、手動運転、および、異常の検出等)するための様々な機能を実装可能である。また、制御装置100は、モータポンプPを可変速制御するためにインバータを搭載してもよい。
【0047】
モータポンプPの構造の一例を、
図2を用いて説明する。
図2は、一実施形態によるモータポンプの構造を示す概要図である。モータポンプPは、軸線ALを中心に回転する羽根車221と、羽根車221を収容するポンプケーシング部2と、ポンプブラケット223と、を備える。羽根車221は、モータ部4の主軸241に接続され、主軸241の回転に伴って回転する。ポンプケーシング部2は、吸込口222aおよび吐出し口222bを有し、ポンプブラケット223と共に液の流路を画定するポンプケーシングを形成する。吸込管22は、吸込口222aに接続される。ポンプブラケット223は、ポンプケーシング部2にビス(不図示)などを用いて係合され、羽根車221の背面(
図1中、上側)を覆う。ポンプブラケット223は、例えば、アルミニウム合金または銅合金など、熱伝導性の高い素材で形成されることが好ましい。
【0048】
モータ部4は、羽根車221に回転駆動力を提供する。モータ部4は、軸線ALを中心に回転する主軸241と、主軸241と一体に回転するロータ242と、ロータ242の外周側に設けられたステータ243と、を備える。また、モータ部4は、モータフレーム244を備える。モータフレーム244は、略円筒状に形成され、内周面にステータ243が固定される。モータフレーム244は、ステンレスで形成されてもよいし、アルミニウム合金または銅合金などの金属で形成されてもよい。モータ部4の駆動により羽根車221が回転し搬送液を加圧することにより、吸込口222aから吐出し口222bへ汚水が圧送される。
【0049】
続いて、気中連続運転中にモータポンプPの温度を異常温度以下に抑えるための冷却機構の構造について説明する。モータポンプPにおける冷却機構の一例を
図2に示す。
図2では、モータフレーム244の外周に冷却ジャケット270を備え、冷却ジャケット27
0に冷却液が封入されるように構成される。この冷却液は、モータ部4による発熱を冷却するためにモータフレーム244と冷却ジャケット270間に封入され、一例としてプロピレングリコール等が用いられる。また、主軸241に取り付けた循環羽根271を回転させて、冷却液を冷却ジャケット270内で循環させる。この循環によりモータ部4とポンプブラケット223にて熱交換がなされ、モータ部4で発生した熱を搬送液に放出することができる。当該構造の場合、モータポンプPにおける搬送液(汚水)が冷却ジャケット270間に浸入しないので、搬送液の液質に影響を受けずにモータ部4の冷却が可能であり、メンテナンス、特に清掃が容易となる。なお、冷却液の熱を何らかの手段にて放出できれば、循環羽根271による循環は必要ない。つまり、冷却ジャケット270内の冷却液とポンプブラケット223内の液にて熱交換がなされることでモータ部4が冷却され、モータポンプPが異常温度以下で維持されればよい。循環羽根271による循環に代えて、冷却ジャケット270は、冷却液をポンプブラケット223にふりかけて冷却する不図示のパイプを備えてもよい。また、循環羽根271による循環に代えて、冷却ジャケット270内の冷却液とポンプブラケット223にて熱交換可能な冷却棒を用いてもよい。
【0050】
モータポンプPの冷却機構の他の例として、モータ部4の周囲に冷却フィン(図示しない)を設け、冷却フィンを通じて外気を導入するように構成できる。モータフレーム244の外周に冷却フィンを設けてモータ部4による発熱を空冷および放熱させることでモータ部4を冷却する。当該構造は、構造が単純であり比較的安価に実装可能である。なお、揚水に必要な容量よりも大きな容量のモータ部4を採用することで、気中連続運転でモータポンプPを異常温度以下に抑えることも可能である。
【0051】
モータポンプPの冷却機構の他の例として、モータフレーム244の外周に冷却ジャケット270を設け、冷却ジャケット270とモータフレーム244の間に羽根車221により加圧された揚水が、導入口(図示しない)より導かれるように構成してもよい。冷却ジャケット270とモータフレーム244の間を通った揚水は、戻り配管(図示しない)より排出される。つまり、モータポンプPによる揚水の一部をモータ部4の冷却水として利用する構成である。当該構造は、冷却フィンの構造と比べ、冷却効果が高い。
【0052】
図1に戻ると、本実施形態のポンプシステム10は、ポンプ設備500に用いられる。ポンプ設備500において、建築物1000の地階部分Bは、公共下水道管(図示しない)よりも下に位置し、地階部分Bで生じた汚水および雑排水等(以下、「汚水等」という。)は、流入管12を介して更に下に設置された排水槽20(ビルピット)内に一時貯留される。その後、汚水等は、モータポンプPによって汚水ます91に汲み上げられ、汚水ますを介して公共下水道管93に排水される。なお、建築物1000の1階以上の部分で生じる汚水等は、通常直接に自然流下で汚水ます91に排水されてもよい。排水槽20には、開口部15が形成されており、開口部15には開口部蓋16(例えば、マンホールの蓋)が取り付けられる。
【0053】
次に、モータポンプPの動作を制御する制御装置100について説明する。
図10は、制御装置100の例示の機能ブロック図である。
図3は、制御フロー図である。
図10に示すように、制御装置100は、排水槽20内の汚水の水位やモータポンプPの状態を検出する検出部120、情報処理を実行する処理部140、各種情報を記憶する記憶部160等の機能ブロックを含む。各機能ブロックは、ソフトウェアおよび/またはハードウェアの一部として実装される。上記以外にも、制御装置100は、モータポンプP並びに排水槽20の状態を表示する表示部(図示しない)、モータポンプPの運転停止を指令し、また各種設定値を変更するための操作を行う操作部(図示しない)等を備えてもよい。また、制御装置100は、リレーシーケンスのみで構成される制御盤としてもよい。なお、これらの機能ブロックは例示のものであり、これに限定されない。
【0054】
検出部120および処理部140はCPU(Central Processing Unit)等の処理装置によって実行される。検出部120は、ポンプ設備500にて検出される各種信号を入力する。検出部120は、水位検出器40との相互作用により液の水位を検出する水位検出部122と、モータポンプPとの相互作用によりポンプ状態を検出するポンプ状態検出部124と、を含む。また、検出部120は、後述する温度センサ52 からの温度検出値を入力する。水位検出部122は、水位検出器40にて検出したフロート40a、40b、および40cによる水位データを入力し、例えば、
図1の水位HL、H1およびHHを判断することによって、液の水位がどの間の水位範囲にあるかに関する水位状態を判定する。また、検出部120は、タイマ部144 と協働して、水位データに基づいて各水位状態にある期間を特定する。ポンプ状態検出部124は、例えば、モータポンプPのモータ部4の電流を検出して、稼働状況(例えば、運転/停止/故障等)を判定してもよいし、サーマル等の故障検知器を付加して、それらの信号を入力してもよい。また、モータポンプPの運転/停止の判断は、ポンプ司令部146の運転指令ならびに停止指令を代用してもよい。
【0055】
処理部140は、後述する制御フローの動作を実現するように、モータポンプPの稼働状況や水位等の各種状態に応じた期間を計時するタイマT0、T1、T2、TM等を含むタイマ部144と、モータポンプPに対し、運転/停止等の各種制御信号を出力するポンプ指令部146と、を含む。
【0056】
制御装置100の記憶部160は、これに限定されないが、揮発性メモリ(例えば、RAM(Random Access Memory)等)、不揮発性メモリ(例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュ・メモリ等)または任意のメモリの組み合わせが実装される。記憶部160は、ポンプシステム10の制御のための各種設定情報、制御情報、各種経過時間、および各種履歴情報等を格納する。ユーザが設定変更可能な設定情報は、設定部162に格納される。
【0057】
最初に、モータポンプPの制御の概略について説明する。制御は、後述する起動タイマ(タイマT0,T1、T2)と、水位検出器40を利用して行われる。起動タイマは、所定の時間間隔ΔTごとにモータポンプPを起動するためのタイマである。起動タイマは、モータポンプPの停止後から一定時間(すなわち、起動タイマ(タイマT0,T1、T2)による設定時間(ΔTM0、ΔTM1、ΔTM2))が経過した時に強制的にモータポンプPを始動するために用いられる。つまり、時間間隔ΔTは設定時間の長さと関連し、該設定時間の長さは、本実施形態では任意に設定できる。既述のように、従来の設定時間は、JISにより「電動機が水面上に露出するポンプでは,運転中,電動機が大気中に露出し始めてから30分間は支障がなく運転できるものとする。ただし,停止させてから再運転されるまでの停止時間は,露出し始めてから停止するまでの運転時間よりも長いものとする。」と規定されていたため、気中連続運転が行われた時間以上であった。
【0058】
従来のポンプシステムに用いられる水中モータポンプは、ポンプ全体を電動機ごと液中につけて冷却することで飽和温度が異常温度以下となるように設計されており、気中連続運転時に飽和温度が異常温度より高温となることが想定される。そこで、従来のポンプシステムに用いられる水中モータポンプは、気中連続運転時に異常温度に到達しないよう、気中連続運転を停止する所定の制限時間、および/または、気中連続運転の停止から再起動するまでの所定の冷却期間が設定され、該制限時間および/または冷却期間によって排水が制限される。ここで、JISでは「電動機が大気中に露出し始めてから30分間は支障がなく運転できるものとする」との記載があり、従来の制限時間は、一例として、30分間以上且つ温度上昇試験に基づく異常温度以下で気中連続運転できる時間に設定される。また、JISでは、「停止させてから再運転されるまでの停止時間は,露出し始めてから停止するまでの運転時間よりも長いものとする。」との記載があり、従来の冷却期間は、
一例として、前回の気中連続運転の運転時間以上が設定される。
【0059】
本実施形態では、モータポンプPは気中連続運転が可能であるため制限時間または冷却期間の制約がない。よって、設定時間の長さは、制御装置100が任意に設定できる。また、起動タイマの時間間隔ΔT、並びに、設定時間(ΔTM0、ΔTM1、ΔTM2)の長さは、気中連続運転の時間(制限時間、冷却期間)に依らないため、設定値情報としてユーザが設定してもよい。
【0060】
これにより、本実施形態のポンプシステム10では、以下の効果がある。ビルピットが排水槽20となる場合、ビルピットは、底面20bの面積が広いので、水位が起動水位H1からポンプ停止水位HLまで下がるのに時間を有する。その場合、本実施形態のモータポンプPは、排水槽20の水位がポンプ停止水位HL以下となるまで気中連続運転を継続することできる。従来の水中モータポンプは、気中連続運転が制限時間を超えると一旦停止する必要がある。または/および、従来の水中モータポンプは、気中連続運転にて温度上昇したモータ部4を冷却して、次に運転した時にモータポンプPが故障温度以下となるためには、次回の起動を遅らせるための冷却期間が必要である。しかし、本実施形態の気中連続運転可能なモータポンプPであれば、気中連続運転中のモータポンプPの飽和温度を故障温度以下に抑えることができるため、制御装置100は、制限時間および/または冷却期間に関わらず、起動タイマを任意に設定することができ、定期的にモータポンプPの運転を開始して排水槽20内の汚水の停滞を防止することができる。また、モータポンプPが気中連続運転を停止した直後に、排水槽20に大量の排水が流入して起動水位H1以上の水位となるような場合でも、制御装置100は、制限時間および/または冷却期間を設けることなくモータポンプPの運転ができるため、速やかに排水ができる。
【0061】
また、時間間隔ΔTや設定時間の長さは、季節や時刻に応じて設定可能である。制御装置100は、排水槽20内に設置された温度センサ52からの温度検出値が信号ケーブル54を介して入力できる。温度センサ52は、排水槽20内の雰囲気温度および/または汚水の液温を計測するとよい。例えば、夏場や昼間など周囲温度や汚水の温度が高い時は排水槽20内に滞留した汚水が腐敗しやすいため、制御装置100は、頻繁にモータポンプPを運転するとよい。具体的には、温度センサ52にて、周囲温度もしくは液の温度を計測し、例えば、温度が所定の基準値より高ければ起動タイマの設定時間を所定の基準時間より短くし、温度が所定の基準値より低ければ起動タイマの設定時間を所定の基準時間より長くする等して、制御装置100は、設定時間を算出するとよい。なお、温度センサ52は、排水槽20内における温度の変化を測定できればよく、制御装置100内等の制御装置100内と同床の場所や制御装置100内に設けてもよい。そうすれば、排水槽20内やピット内に温度センサを設けるのに比べて、配線作業が簡単になる。
【0062】
図4は、一実施形態によるポンプシステム10aを用いたポンプ設備500の構成図である。ポンプ設備500は、ポンプシステム10に代えて、ポンプシステム10aを用いる。ポンプシステム10aは、ポンプとポンプの駆動機であるモータを備えたモータポンプP1、P2と、該モータポンプP1、P2を制御する制御装置100と、有する。なお、
図4は、
図1と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略または簡易にする。モータポンプP1、モータポンプP2は、ポンプシステム10のモータポンプPと同様に、気中連続運転時の飽和温度を異常温度以下に抑える冷却機構を備える。以下、特にモータポンプP1、モータポンプP2を区別する必要がない場合は、モータポンプPと記す。
図4のポンプシステム10aは、複数台の水中モータポンプPを備え、液体槽20内に設置された全ての水中モータポンプPが気中連続運転可能である。
【0063】
制御装置100は、
図3,5~7に記載の制御フローに従ってポンプシステム10aのモータポンプPの動作を制御する。
図3に記載の制御フローで、制御装置100は、液体
槽20内の排水すべき汚水量が少ない時モータポンプP1およびモータポンプP2の何れか1台のみを運転するように制御し、液体槽20内の排水すべき汚水量が多い時はモータポンプP1およびモータポンプP2の両方を同時に運転するように制御する。以下では、最初に起動する1台目のモータポンプを先発ポンプと呼び、次に起動する2台目のモータポンプを後発ポンプと呼ぶ。また、
図3に記載の制御フローでは、2台のモータポンプP1、P2をできるだけ均等に運転することも考慮する。
【0064】
制御装置100に電源が印加され、自動運転が開始されると、
図3における全体の制御フローが開始される(ステップS10)。またはユーザからの指示に応じてステップS10が開始されてもよい。ステップS12では、先発ポンプをモータポンプP1とし、後発ポンプをモータポンプP2とする。
【0065】
次に、タイマT1とタイマT2をリセットする(ステップS14)。タイマT1、T2は、それぞれモータポンプP1、P2に対応している。タイマT1、T2は、ポンプ毎の停止時間を計測するためのものであり、それぞれモータポンプP1、P2が長時間停止状態となることを防止するためのタイマである。タイマT1、T2による計測時間が、それぞれの設定時間ΔT1、ΔT2より長くなった時に、後述するステップにより、停止時間が長くなったポンプを先発ポンプとするとよい。モータポンプP1、P2が長時間停止状態となることを防止する理由は、停止時間が長くなると、羽根車221や主軸241などの回転する部分とポンプケーシング部2やポンプブラケット223等の固定部が錆などで固着して起動不良を起こしやすくなったり、液体槽20内の汚水が滞留することで悪臭の原因となるためである。2つの設定時間ΔT1、ΔT2は、同じ時間とすることができ、また、異なる時間とすることができる。
【0066】
次に、タイマT0をリセットし、その後、タイマT0をスタートさせて、時間計測を開始する(ステップS16)。タイマT0は、全てのポンプ(モータポンプP1、P2の両方)が停止中の時間を計測するためのものであり、排水槽20内に汚水が長時間滞留することを防止するためのタイマである。
【0067】
次に、制御装置100は、現在の水位WLがポンプ停止水位HLより低いかどうかを判断する(ステップS18)。水位WLがポンプ停止水位HLより低いときは(ステップS18:Yes)、制御装置100は、水位WLがポンプ停止水位HL以上になるまで、水位WLがポンプ停止水位HLより低いかどうかの判断を継続する。水位WLがポンプ停止水位HL以上のときは(ステップS18:No)、制御装置100は、ポンプ始動フロー(ステップS20)に進む。
【0068】
ステップS20におけるポンプ始動フローを
図5に示す。ポンプ始動フローで、制御装置100は、最初に現在の水位WLがポンプ始動水位H1以上かどうかを判断する(ステップS110)。水位WLがポンプ始動水位H1以上(Yes)のとき、制御装置100は、既に設定されている先発ポンプを起動させる(ステップS112)。その後、
図3に示すステップS22に進む。
【0069】
ステップS110において、水位WLがポンプ始動水位H1未満(No)のとき、制御装置100は、タイマT0による時間計測値が設定時間ΔT0より長いかどうかを判断する(ステップS114)。タイマT0による時間計測値が設定時間ΔT0以上(YES)であるときは、排水槽20内に汚水が時間間隔ΔT以上滞留している可能性があるため、制御装置100は、既に設定されている先発ポンプを起動させる(ステップS112)。その後、
図3に示すステップS22に進む。
【0070】
ステップS114において、タイマT0による時間計測値が設定時間ΔT0未満(No
)であるときは、ステップS116に進んで、制御装置100は、モータポンプP1、P2のいずれかが時間間隔ΔT1、ΔT2以上停止状態であるかどうかを判断する。つまり、許容される停止時間を超過したか否かを判断する。まず、タイマT1による時間計測値が設定時間ΔT1以上であるかどうかを判断する(ステップS116)。タイマT1による時間計測値が設定時間ΔT1以上(Yes)であるときは、モータポンプP1が時間間隔ΔT1以上停止状態であるため、先発ポンプをモータポンプP1とし、後発ポンプをモータポンプP2とする(ステップS118)。その後、設定された先発ポンプを起動させる(ステップS112)。その後、
図3に示すステップS22に進む。
【0071】
ステップS116において、タイマT1による時間計測値が設定時間ΔT1未満(No)であるときは、モータポンプP2が時間間隔ΔT2以上停止状態であるかどうかを判断するために、ステップS120に進む。ステップS120において、タイマT2による時間計測値が設定時間ΔT2以上であるかどうかを判断する。タイマT2による時間計測値が設定時間ΔT2以上(Yes)であるときは、モータポンプP2が時間間隔ΔT2以上の間停止状態であるため、先発ポンプをモータポンプP2とし、後発ポンプをモータポンプP1とする(ステップS122)。その後、設定された先発ポンプを起動させる(ステップS112)。その後、
図3に示すステップS22に進む。
【0072】
ステップS120において、タイマT1による時間計測値が設定時間ΔT1未満(No)であるときは、モータポンプP1,P2のいずれも停止状態の時間が時間間隔ΔT未満で、かつ、水位WLがポンプ始動水位H1未満であるため、ポンプを始動させずに、
図3に示すステップS22に進む。なお、ステップS116の判断とステップS120の判断の順序を入れ替えてもよい。また、先発ポンプから停止時間超過の判断を行ってもよい。
【0073】
図3に戻り、ステップS22以降について説明する。ステップS22では、先発ポンプが始動したかどうかを判断する。先発ポンプが始動していない(No)ときは、ステップS18に戻る。先発ポンプが始動している(Yes)ときは、ステップS24に進む。ステップS24では、現在の水位WLがポンプ追加水位H2未満であるかどうかを判断する。水位WLがポンプ追加水位H2以上(No)のときは、ステップS26のポンプ追加フローに進む。なお、ポンプシステム100aが3台以上のモータポンプPを備える場合、台数分のポンプ追加水位があるとよい。
【0074】
ポンプ追加フローを
図6に示す。ポンプ追加フローでは最初に、起動できる後発ポンプがあるかどうかを判断する(ステップS210)。起動しているモータポンプPの他のモータポンプPに故障等がないときは、起動できる後発ポンプがあるため、起動できる後発ポンプがある(Yes)と判断する。更に、制御装置100は、モータポンプPの並列運転台数を記憶しており、運転中のモータポンプの台数が該並列運転台数以内であれば、起動できる後発ポンプがある(Yes)と判断してもよい。ステップS210がYesの場合、後発ポンプを始動する(ステップS212)。その後、
図3に示すステップS28に進む。
【0075】
ステップS210において、全てのモータポンプPが起動している、または起動していないモータポンプに故障等があり起動できない等、起動できる後発ポンプがないとき、制御装置100は、起動できる後発ポンプがない(No)と判断する。その後、
図3に示すステップS28に進む。
【0076】
図3に戻り、ステップS24において、現在の水位WLがポンプ追加水位H2未満(Yes)のときは、ステップS26のポンプ追加フローを行わないで、ステップS28に進む。
【0077】
次にステップS28について説明する。ステップS28では、現在の水位WLがポンプ停止水位HLより低いかどうかを判断する。水位WLがポンプ停止水位HL以上のときは(No)停止水位HLまで水位が下降していないと判断して、ステップS24に進んで、ポンプの追加が必要かどうかを判断する。水位WLがポンプ停止水位HLより低いときは(Yes)、ポンプ停止フロー(ステップS30)に進む。
【0078】
ポンプ停止フローを
図7に示す。ポンプ停止フローでは、最初に、運転中のポンプがモータポンプP1であるかどうかを判断する(ステップS310)。運転中のポンプがモータポンプP1である(Yes)ときは、ステップS312に進み、タイマT1をリセットし、その後、タイマT1をスタートさせて、時間計測を開始する。タイマT1により、モータポンプP1が停止している時間が計測される。その後、ステップS314に進む。ステップS310にて、運転中のポンプがモータポンプP1でない(No)ときは、ステップS314に進む。
【0079】
ステップS314では、運転中のポンプがモータポンプP2であるかどうかを判断する。運転中のポンプがモータポンプP2である(Yes)ときは、ステップS316に進み、タイマT2をリセットし、その後、タイマT2をスタートさせて、時間計測を開始する。タイマT2により、モータポンプP2が停止している時間が計測される。その後、ステップS318に進む。ステップS314にて、運転中のポンプがモータポンプP2でない(No)ときは、ステップS318に進む。
【0080】
ステップS318では、運転中の全てのモータポンプPを停止する。その後、先発ポンプのローテーションを行う(ステップS320)。先発ポンプのローテーションとは、先発ポンプを、モータポンプP1とモータポンプP2の間で入れ替えることである。例えば、先発ポンプがモータポンプP1であるときは、先発ポンプをモータポンプP2にする。先発ポンプのローテーション後、
図3に示すステップS16に進んで、ステップS16以降の既述の手順を繰り返す。
【0081】
なお、ポンプが3台以上ある場合の先発ポンプのローテーションとして、例えば以下のように行うことができる。最初に起動するモータポンプPを先発機、次に起動するモータポンプPを後発機1、最後に起動するモータポンプPを後発機2と呼ぶときに、これらの3台のモータポンプPの割り当て状態として、以下の3個の状態を考える。
状態A 先発機=モータポンプP1、後発機1=モータポンプP2、後発機2=モータポンプP3
状態B 先発機=モータポンプP2、後発機1=モータポンプP3、後発機2=モータポンプP1
状態C 先発機=モータポンプP3、後発機1=モータポンプP1、後発機2=モータポンプP2
モータポンプPが全て停止して、ステップS320の先発ポンプのローテーションを行うたびに、状態A→状態B→状態C→状態A・・・と、状態を切り替える。
【0082】
以上の
図3に示す実施形態では、排水槽20に蓄積される汚水の量に応じて、動作するモータポンプPの台数が変わる。次に、排水槽20に流入する前記汚水の量に応じて、動作するモータポンプPの台数が変わる実施形態について
図8、9を参照して説明する。制御装置100は、
図8、9に記載の制御フローに従って、
図4に示すモータポンプP1、P2の動作を制御する。
【0083】
図3に示す実施形態では、排水槽20に蓄積される汚水の量を測定する水位検出器40の水位HL,H1,H2,HHと、起動タイマT0,T1,T2を利用してモータポンプP1、P2を起動した。しかしながら、汚水に用いられる水位検出器40には接点部等に
異物が挟まる等して、過渡的に正確な水位を検出できなくなることがある。
図8,9に示す実施形態では、水位検出器40が示す水位に関わらず、起動タイマにより定期的(例えば30分)にモータポンプP1、P2を起動するため、水位検出器の水位誤検知によって起動不良となることを防止できる。結果として、悪臭防止効果が改善される。この場合、一定期間にて必ずモータポンプPのうちの少なくとも一台が運転されるので、水位HLより高い起動水位等は検知しないこととしてもよいため、本実施形態の水位検出器40は、少なくとも水位HLを検出できればよい。
【0084】
モータポンプPのうちの少なくとも一台が運転される時間間隔ΔTの長さは、排水槽20に流入する汚水の量に応じて設定可能である。例えば、制御装置100は、1日24時間における、水位検出器40によってモータポンプPが起動される時間間隔ΔTを学習して、1日24時間の時間帯ごとの汚水量の大きさを学習して、モータポンプPの運転に関する予測制御を行ってもよい。例えば、モータポンプPを2台、排水槽20内に設置して、
・汚水量が多い時間帯の時は2台同時に起動する。
・汚水量が多い時間帯の時は、早めに2台同時に起動する。
等の予測制御を行う。
【0085】
制御フロー
図8,9について以下説明する。制御装置100に電源が印加されると、
図8,9における全体の制御フローが開始される(ステップS50)。またはユーザからの指示に応じてステップS50が開始されてもよい。ステップS52では、先発ポンプをモータポンプP1とし、後発ポンプをモータポンプP2とする。
【0086】
次に、タイマTM0をリセットし、その後、タイマTM0をスタートさせて、時間計測を開始する(ステップS54)。タイマTM0は、全てのポンプが停止中の時間を計測するためのものであり、排水槽20内に汚水が長時間滞留することを防止するためのタイマである。タイマT0による計測時間が、その設定時間ΔTM0より長くなった時は、後述するステップにより、少なくとも1台のポンプを起動させる。タイマTM0は、例えば、30分(ΔTM0=30分)ごとにポンプを起動させるためのインターバルタイマである。ΔTM0は、ポンプの周囲温度によって、可変としてもよい。例えば、周囲温度が30℃以上の場合はΔTM0=30分、周囲温度が20℃以下の場合は、ΔTM0=60分等に設定できる。周囲温度が高いほど設定時間ΔTM0は短くなる。
【0087】
次に、タイマTM0による時間計測値が設定時間ΔTM0より長いかどうかを判断する(ステップS56)。タイマTM0による時間計測値が設定時間ΔTM0より長い(YES)ときは、ステップS58に進む。ステップS56において、タイマTM0による時間計測値が設定時間ΔTM0以下(No)であるときは、ステップS56を繰り返す。
【0088】
ステップS58では、現在の水位WLがポンプ停止水位HLより低いかどうかを判断する。水位WLがポンプ停止水位HLより低いときは(Yes)、水位WLがポンプ停止水位HLより高くなるまで、水位WLがポンプ停止水位HLより低いかどうかの判断を継続する。水位WLがポンプ停止水位HL以上のときは(No)、ステップS60に進む。
【0089】
ステップS60では、現在時刻の水使用量が小であるかどうかを判断する。この判断は次のように行われる。前回(前日、もしくは直近の過去一週間、過去1か月、及び、過去1年間、または、任意の期間の同時刻、同日、同曜日、および、同月の平均等の何れか)の同時刻、同日、同曜日、および、同月に起動したときの状態の何れかから現在時刻の水使用量を予測して判断する。予測は以下のように行われる。
・制御装置100の記憶部160は水使用量を記憶する第1記憶エリア164を持つ。
・前回の水使用量として、起動した時刻、日、曜日、および、月ごとに、「水使用量大」
または「水使用量小」を、第1記憶エリア164に記憶する。また、「水使用量大」または「水使用量小」は、以下のように決定する。
a) 先発ポンプを起動して設定時間ΔTM1以内にポンプ追加水位H2に達したときは、前回の水使用量は「水使用量大」に変更して、第1記憶エリア164に記憶する。
b) 前回、複数ポンプを起動して設定時間ΔTM2以内にポンプ停止水位HL以下になったときは、前回の水使用量は「水使用量小」に変更して、第1記憶エリア164に記憶する。
c) a),b)以外の状態のときは、第1記憶エリア164の「水使用量大」、「水使用量小」は変更しない。
d) a),b)、c)における「水使用量大」または「水使用量小」を第1記憶エリア164に記憶するタイミングは、後述するように、ステップS70またはステップS74である。
【0090】
ステップS60において、制御装置100は、第1記憶エリア164に記憶された水使用量が「水使用量小」であり現在時刻の水使用量が小であると判断したとき(Yes)は、先発ポンプのみを始動する(ステップS62)。ステップS60において、制御装置100は、第1記憶エリア164に記憶された水使用量が「水使用量大」であり現在時刻の水使用量が大であると判断したとき(No)は、複数のポンプを始動する(ステップS64)。
【0091】
ステップS62では、タイマTM1をリセットし、その後、タイマTM1をスタートさせて、時間計測を開始する。タイマTM1は、先発ポンプを始動して設定時間ΔTM1以内にポンプ追加水位H2に達したかどうかを判断するために用いられる。ステップS64では、タイマTM2をリセットし、その後、タイマTM2をスタートさせて、時間計測を開始する。タイマTM2は、複数ポンプを始動して設定時間ΔTM2以内にポンプ停止水位HL以下になったかどうかを判断するために用いられる。
【0092】
次に、
図9に示すように現在の水位WLがポンプ追加水位H2未満であるかどうかを判断する(ステップS66)。現在の水位WLがポンプ追加水位H2未満(Yes)のときは、モータポンプPの追加始動を行わないで、ステップS68に進む。水位WLがポンプ追加水位H2以上(No)のときは、ステップS70に進む。ステップS70では、起動できる後発ポンプがあるかどうかを判断する。起動しているモータポンプPが1台であり、かつ他の1台のモータポンプPに故障等がないときは、起動できる後発ポンプがあるため、起動できる後発ポンプがある(Yes)と判断する。この場合、後発ポンプを始動する(ステップS72)。その後、ステップS68に進む。
【0093】
ステップS70では、タイマTM1による時間計測値が設定時間ΔTM1より短いかどうかを判断する。タイマTM1による時間計測値が設定時間ΔTM1より短いときは、制御装置100は、「水使用量大」であることを第1記憶エリア164に記憶する。記憶する理由は、後日、ステップS60で「前回の水使用量が「水使用量大」であり、現在時刻の水使用量が小であるかどうかを判断する」ために使用するからである。
【0094】
ステップS70において、起動しているモータポンプPが2台であるとき、または起動していないモータポンプPに故障等があり起動できないときは、起動できる後発ポンプがないため、起動できる後発ポンプがない(No)と判断する。その後、ステップS68に進む。
【0095】
ステップS68では、制御装置100は、現在の水位WLがポンプ停止水位HLより低いかどうかを判断する。水位WLがポンプ停止水位HL以上のときは(No)、ステップS66に戻る。水位WLがポンプ停止水位HLより低いときは(Yes)、ステップS7
4に進んで、制御装置100は、全てのモータポンプPを停止する。
【0096】
ステップS74では、タイマTM2による時間計測値が設定時間ΔTM2より短いかどうかを判断する。タイマTM2による時間計測値が設定時間ΔTM2より短いときは、制御装置100は、「水使用量小」であることを第1記憶エリア164に記憶する。記憶する理由は、後日、ステップS60で「前回の水使用量が「水使用量小」であり、現在時刻の水使用量が小であるかどうかを判断する」ために使用するからである。
【0097】
その後、先発ポンプのローテーションを行う(ステップS76)。先発ポンプのローテーションは、
図7のステップS320と同様に行われる。その後、ステップS54に戻る。
【0098】
このように、気中連続運転可能な水中モータポンプであるモータポンプPは、起動水位に関係なく、時間間隔ΔTごとに起動させることができる。また、ポンプシステム10は、気中連続運転可能なモータポンプPを複数有し、排水槽20内に設置された全てのモータポンプPが、気中連続運転における飽和温度を異常温度以下に抑制する冷却機構を備え、制御装置100は、液体槽である排水槽20に流入する液体の量を予測し、該予測した液体の量に応じて、動作するモータポンプPの台数を変えることで、即時排水と残留汚水量減少を効率的に行うことができる。
【0099】
なお、上記の実施形態では、ピットである排水槽20に気中連続運転可能な水中モータポンプであるモータポンプPを設置したが、バレルやパネルタンクに気中連続運転可能な水中モータポンプであるモータポンプPを設置してもよい。バレルやパネルタンクに気中連続運転可能なモータポンプPを設置する場合、バレルやパネルタンクはピットよりも容量が小さく、モータポンプPの発停回数が増える。この点からは、容量の大きいピットを汚水槽として用いることがよい。しかし、即時排水と残留汚水量減少を効率的に行うことが目的である場合は、発停回数増加は必ずしも問題ではない。また、ピットよりも底面積の小さいバレルやパネルタンクの方が、即時排水と残留汚水量減少の点からは望ましい。ビルピット等の底面積の大きい槽に気中連続運転可能な水中モータポンプであるモータポンプPを設置するときは、槽内に釜場(ポンプピット)や予旋回槽を設ける等の対策により、即時排水と残留汚水量減少を効率的に行うことができる。釜場とは、底面20bの、モータポンプPが設置される部分に設けられる穴部であり、槽内の液は、釜場に最終的に流入する。なお、釜場に予旋回槽が設けられるとよい。
【0100】
ここで、ポンプ設備500において、排水槽20の底面の面積が大きすぎることにより、排水槽20内に汚水が長時間滞留し悪臭が顕著になる場合、悪臭防止型排水設備501または502が提案される。具体的には、
図11の悪臭防止型排水設備501、
図12の悪臭防止型排水設備502に示すように、
図1または
図4における排水槽20をドライピットであるピットPiとし、該ピットPi内に小型の水槽(パネルタンク、バレル等)を液体槽として配置し、該小型の水槽内にモータポンプPを配置する。小型の水槽はピットPiに比べて底面の面積が小さいので、モータポンプPによる即時排水ができると共に滞留する汚水の量を減らすことができ、悪臭を防止することができる。
【0101】
悪臭防止型排水設備の一例として、ポンプシステム10bを用いた実施形態を
図11に示す。
図11では、樹脂等により形成される複数のパネル部材によって構成されるパネルタンクを汚水槽20-1とし、ピットPi内に汚水槽20-1を設け、汚水槽20-1の内部に複数のモータポンプP1およびP2を設置する。また、悪臭防止型排水設備の他の一例として、
図12では、ポンプシステム10cを用いた実施形態を示す。ポンプシステム10cは、モータを備えたモータポンプP1、P2と、該モータポンプP1、P2を制御する制御装置100と、有する。そして、汚水槽20-2内に設置された全ての水中モー
タポンプPは、気中連続運転時の飽和温度を所定の異常温度以下に抑える冷却機構を備える。ピットPiの内部に筒型水槽(バレルBrl-N、バレルBrl-N-1、バレルBrl-2およびバレルBrl-1)を相互に連通させて配置することで液体槽である汚水槽20-2を形成する。そして、汚水槽20-2内に複数のモータポンプPを設置し、下流方向に向けて各バレルの底の高さが低くなるように高さを調整して汚水等を案内することが好ましい。ここで、少なくとも最下流のバレル内には、モータポンプPを1台以上配置して汚水槽20-2内に汚水が長時間滞留するのを防止する。なお、
図11,12ではモータポンプを2台(P1およびP2)示しているが、これに限定されず1台または3台以上としてもよい。
【0102】
図11に示した悪臭防止型排水設備501は、ピットPi内に設けられた汚水槽20-1(液体槽)と、ポンプシステム10bとを備える。そして、ポンプシステム10bは、汚水槽20-1内に設置された複数のモータポンプP1およびP2と、該モータポンプPを制御する制御装置100と、を備える。ピットPiには、ピット開口部15が形成されており、ピット開口部15にはピット開口部蓋16(例えば、マンホールの蓋)が取り付けられるとよい。そして、パネルタンクである汚水槽20-1内に設置された全ての水中モータポンプPは、気中連続運転時の飽和温度を所定の異常温度以下に抑える冷却機構を備える。
【0103】
汚水槽20-1は、複数のパネル部材が連結されることにより形成される。全体として略直方体状(箱状)であり、底面20-1a、側面20-1b、および上面20-1cにより画定される内部空間を有している。各パネル部材は開口15より搬入可能な大きさで、ピットPi内で組立可能であることが好ましい。
図11の例では、一点鎖線によって汚水槽20-1における複数のパネル部材の区切りを示す。汚水槽20-1は任意の枚数のパネル部材で形成されればよい。複数のパネル部材は、例えば樹脂または金属により形成される。また、パネル部材は、複数層の素材により形成されてもよく、例えば繊維強化プラスチック(FRP)、合成樹脂発泡体、および、合成樹脂外装などが積層されて形成されてもよい。
【0104】
汚水槽20-1には、上面20-1cに開口部13が形成されており、開口部13は蓋14で覆われる。開口部13は、モータポンプPの上方に形成され、モータポンプPが通過可能な大きさに形成される。具体的には、汚水槽20-1内に2台のモータポンプP1およびP2が設置され、各モータポンプPの位置に対応して開口部13および蓋14がそれぞれ設けられてもよい。そうすれば、例えば吊り具を用いてモータポンプP1またはP2を鉛直方向に移動させることにより、汚水槽20-1内にモータポンプP1またはP2を設置したり汚水槽20-1から取り出したりすることができる。つまり、汚水槽20-1の汚水等を抜くことなく、モータポンプP1またはP2の交換およびメンテナンス等を実施することができる。流入管12は、地階部分Bからピット開口部15を通じ、また汚水槽20-1の開口部13を通じて汚水槽20-1内部に配管される。汚水槽20-1内では2台のモータポンプP1およびP2の吐出口のそれぞれに流出管21が接続され、汚水槽20-1の外、且つピットPi内で統合されて汚水ます91側に接続される。
【0105】
図12に示した悪臭防止型排水設備502は、ピットPi内に設けられ、地階部分Bからの汚水等を一時貯留する複数基のバレルBrl-1からBrl-Nと、ポンプシステム10cとを備える。そして、悪臭防止型排水設備501は、バレル内に複数のモータポンプP1およびP2を収容し、該モータポンプPは、制御装置100にて制御される。複数基の連結されたバレル(Brl-1、Brl-2、、、Brl-N-1およびBrl-N)とバレルを連結する連結管(30-1、30-2、、、および、30N-1)は、汚水槽20-2を形成し、汚水槽20-2が
図1に示した水槽20に相当する。バレルBrl-1からBrl-Nは、連通管30-1から30-N-1によって連結されている。バレ
ルBrl-1に貯留した汚水等を外部に排水するために、当該バレル内部にモータポンプP1が設置される。また、バレルBrl-2に貯留した汚水等を外部に排水するために、モータポンプP2が設置される。これら以外のバレルにも同様にモータポンプPが設置されてもよい。また、1つのバレルに複数のモータポンプPが配置されてもよい。モータポンプP1およびP2が設置されるバレルBrl-1およびBrl-2のそれぞれには、水位検出器40が設置されて、それぞれバレル内部の水位を検出する。また、バレルBrl-1からBrl-Nの何れか1つに水位検出器40が設置され、バレル内部の水位を検出してもよい。
【0106】
流入管12は、地階部分Bからピット開口部15aを通じてピットPi内部に配管される。汚水等は最初にバレルBrl-N内に流入するよう配管される。バレルBrl-N内に流入した汚水等は、下流方向のバレルに順次流出する。汚水槽20-2内の汚水等は、モータポンプP1およびP2の吐出し口222bに接続される流出管21により、汚水槽20-2から汚水ます91へ排水される。なお、
図12では、ピット開口部15aおよび15bを別々に設けているが、ピット開口部は1つでも3つ以上でもよい。
【0107】
バレルBrl-2からBrl-Nを台の上に載せることによって、最下流のバレルBrl-1の底面の高さを、他のバレルよりもよりも低くなるように調整するとよい。これにより、汚水等を効果的に下流側のバレルBrl-1に案内することができる。バレル底面の高さを下流側に向かう程低くなるように調整するとよい。
【0108】
なお、パネルタンクとバレルとを組み合わせて排水槽を形成してもよい。具体的には、例えば、連通管30-1にてパネルタンクとバレルとを接続するとよい。その場合も下流側に向かう程、底面の高さが低くなるようにパネルタンクとバレルとを配置し、少なくとも最下流のパネルタンクまたはバレルには、1台以上のモータポンプPを配置するとよい。
【0109】
図3,5~7にて説明したモータポンプPの動作は、
図11,12による悪臭防止型排水設備501、502にも適用可能である。すなわち、
図11,12による悪臭防止型排水設備501、502においても、制御装置100を適用し、且つ
図3,5~7にて説明したモータポンプPの制御を実現することで同様の効果を得ることができる。
【0110】
(変形例1)
次に、上述したポンプシステムに係る変形例1として、
図13に示すようなポンプ着脱装置150を具備したモータポンプPについて説明する。
図13は、モータポンプPとポンプ着脱装置150の構成を示す。
図13においては、理解を容易にするためにポンプ設備500に設置されたポンプ着脱装置150とモータポンプPのみを拡大して示し、
図1または
図4と同様の構成については説明を省略する。排水槽20内の所定位置には、モータポンプPと流出管21を接続するための接続管110が取り付けられている。接続管110は、基台113に取り付けられた接続管路112が略水平に設置されたもので、一端側(流入側)の開口部112aが側方を向いて開口している。接続管路112の開口部112aの上側面には、接続管路112の軸方向と直角に接続管路112の全幅に渡って突起部115が設けられている。突起部115の断面形状は、上面が水平である略台形になっている。また接続管路112は他端側(流出側)の端部近傍で上方に向かって屈曲しており、流出側の開口部112bは上方を向いて開口し、その先は流出管21へと接続されている。なお、接続管110は、流出管21の一部として流出管21と一体的に形成されてもよい。
【0111】
さらに、接続管110の両側部に、基台113上面から上方に向かって2本のガイドパイプ111,111(一方のみ図示する)が取り付けられている。このガイドパイプ111,111によって、作業員が排水槽20内に入り込むことなく、モータポンプPを所定
の位置、即ちモータポンプPの吐出し管130の開口部131が接続管110に接続する位置まで降下させることが可能となる。つまり、水中モータポンプPを、ガイドパイプ111,111によってガイドしながら排水槽20内を昇降させる構成となっている。
【0112】
モータポンプPの吐出口222bには吐出し管130が取り付けられている。この吐出し管130は、その吐出側の開口部131が側方に向かって開口している。また、吐出し管130にはガイドパイプ111,111を通すガイド穴132a,132aが形成された案内部132,132(一方のみ図示する)が開口部131側の端面から突出して設けられている。
【0113】
さらに、吐出し管130の開口部131の上部の端面から略水平方向に突出した、案内部132と一体に形成された係合部133が設けられている。係合部133はその先端側が下方に向かって突出した爪部133aとして構成されている。そしてこの爪部133aと、開口部131の上部端面との間は溝部133bとなっている。この溝部133bの幅は、接続管路112に設けられた突起部115が嵌るように、突起部115と略同一の幅に形成されている。
【0114】
このモータポンプPを排水槽20内に設置するには、吐出し管130の案内部132,132をガイドパイプ111,111に通すとともに、モータポンプPの上部に取り付けた籠状のラック104に接続したチェーン105により、モータポンプPを排水槽20の外部から鉛直下方に吊下げて降下させる。このときモータポンプPはガイドパイプ111,111によりガイドされながら排水槽20内を降下する。そして、モータポンプPが接続管110の位置まで降下してくると、溝部133bに、突起部115が入り込み、爪部133aの側面と突起部115の側面とが当接する。このとき、接続管路112の開口部112aと吐出し管130の開口部131とが接合される。するとモータポンプPにはその自重により、爪部133aと当接部115との当接点を支点として、接続管路112の開口部112aに吐出し管130の開口部131が押し当てられる方向のモーメントが作用する。これにより、開口部112aと開口部131との接合部が圧接され、水密状態となりその状態が保持される。以上によりモータポンプPの取り付けが完了する。モータポンプPの取り外し時は、チェーン105により、モータポンプPを排水槽20の外部から鉛直上方に吊上げて上昇させる。
【0115】
モータポンプPは、―例を
図2にて説明したように、モータ部4を冷却するための冷却機構を具備するため、冷却機構の分だけ重量が増す。冷却機構の分だけ重量が増した分、接続管路112の開口部112aに吐出し管130の開口部131が押し当てられる方向のモーメントがより強く働き、開口部112aと開口部131との接合部がより強固に水密状態となる。
【0116】
なお、本実施形態に示すポンプ着脱装置150に代えて、既知のポンプ着脱装置を用いてもよい。具体的には、作業員が排水槽20内に入り込むことなく、モータポンプPを所定の位置、即ちモータポンプPの吐出し管130の開口部131が接続管110に接続する位置まで、排水槽20外から降下させることができ、該所定の位置からモータポンプPを排水槽20外へ取り出すことができればよい。
【0117】
ここで、接続管110との接合部が気中に露出した状態でモータポンプPを運転させることで、作業者は、モータポンプPの接合部からの漏水を排水槽20の外部(例えば、排水槽20の上部の開口16や汚水槽20-1の開口部13等)から目視で確認することができる。よって、モータポンプPと接続管110との接合部(例えば、開口部112aと開口部131との接合部)の少なくとも一部は、モータポンプPの停止水位HLよりも上方にあることが好ましい。気中連続運転が可能なモータポンプPは、モータポンプPと接
続管110との接合部がモータ部4の上端よりも下方(つまり、水位H1以下)であっても、気中連続運転にて接合部の漏水の確認ができる。更に、気中連続運転が可能なモータポンプPは、作業者がモータポンプPの運転と停止を任意のタイミングで繰り返したとしても、モータ部4の温度は故障する温度以下に抑えることができる。よって、作業者は、短時間で確実に接合部からの漏水の有無を確認することができる。
【0118】
図4に示すポンプシステム10bのように、排水槽20にモータポンプPが複数台設置されている場合には、モータポンプPにポンプ着脱装置150を設けることで、メンテナンスされるモータポンプP以外のモータポンプPにて排水を継続しながらモータポンプPの着脱を行うことができる。一般的に、モータポンプPのメンテナンスは汚水量の少ない時間帯(例えば深夜)に行われる。メンテナンスするモータポンプPを接続管110から取り外した際に、接流出管21の液が逆流して開口部112aより排出されるおそれがある。モータポンプPは何れも気中連続運転が可能であるため、この流出管21より排出された液が少量であっても、排水槽20内に残されたモータポンプPにて即時排水することができる。また、メンテナンス中に流入量の急増が予想される場合には、排水槽20の水位がHL以上であれば常にモータポンプPの気中連続運転を行うことができるので、排水槽20の水位が満水状態となるのを防止できる。
【0119】
また、液体槽が、地上に設けられた水槽、汚水ピット、または、ドライピット内に設けられたパネルタンク、またはバレルである場合にもポンプ着脱装置150を設置することで、同様の効果が得られる。
【0120】
次に、モータポンプP及びポンプ着脱装置150の交換について説明する。モータポンプPを交換する理由として、モータポンプPに対する要求が変化した場合がある。すなわち、既存のモータポンプPを設置した過去の時点と、現時点ではモータポンプPに対して求められる性能が異なる場合がある。例えば、以下の場合がある。1)少子化で汚水排水量が減ったため、小さいポンプに取り換えて省エネを図りたい。2)生活の多様化で一度に排水される汚水量が少なくなったため、小型のポンプを複数台設置したい。3)ゲリラ雷雨等で汚水に大量の雨水が混入した場合に、ポンプの揚水能力が不足するおそれがあるため、大きなポンプに取り換えたい。
【0121】
これらの理由から、既設のポンプシステムのモータポンプPをモータポンプPaに交換する際に、性能の異なるものに交換したい、という場合がある。一般的なポンプ用の着脱装置は、ポンプの吐出し配管と水密になるように接続する必要がある。さらに、上述した例では、モータポンプPは、ポンプ着脱装置150に、開口部112aと開口部131との接合部によって取り付けられ、空中に浮いているように設置する。このような設置方法の場合、ポンプ用の着脱装置はポンプの荷重に耐える必要がある。これらの必要性から、ポンプ用の着脱装置はポンプの口径等によって、サイズや形状等の設計が異なることが一般的である。
【0122】
この時に以下の問題が生じる。ポンプ用の着脱装置は、土台にボルト(基礎ボルト) により固定される。ポンプのサイズが変わると、それに応じて着脱装置のサイズが変わる。着脱装置のサイズが変わることで、土台にも基礎ボルトの位置を調整する作業が必要となる。よって、着脱装置の土台への取付部の位置(すなわち基礎ボルトの位置)が変更になると、ポンプの交換作業に土台の工事の工程が増え煩雑となる。
【0123】
そこで、以下に説明する実施例では、ポンプ着脱装置が取り付け可能な基礎プレートを用いる。交換可能な基礎プレートを、ポンプ着脱装置が設置される土台に基礎ボルトで固定する。ポンプ着脱装置は、基礎プレートに固定具(例えばボルトとナット)等の手段で取り付けられる。溶接又は一体加工で着脱装置を基礎プレートに取り付けてもよい。ポン
プ着脱装置の土台への取り付け位置の変更を、基礎プレート上の固定具の位置の変更で吸収する。このような基礎プレートを用いることで、ポンプの性能の変更に伴い着脱装置の土台への取り付け位置が変わっても、土台側の基礎ボルトの位置の変更は不要となる。土台側における基礎ボルトの取り付け位置の変更工事は、基礎ボルトの取り付け位置から排水槽20内の汚水が流出して外部を汚染しないように防水加工が伴う。基礎ボルトの取り付け位置の変更が不要となると、以下に述べるように、ポンプの着脱装置の交換時の作業工程が低減する。
【0124】
本実施形態の基礎プレートを基礎ボルトで固定することは簡単である。土台側の基礎ボルトの位置が変わらないため、基礎ボルトの位置変更に伴う土台の工事は不要である。ポンプのサイズが変わり、それに応じて着脱装置のサイズが変わったら、土台側の基礎ボルトの位置は変えずに、基礎プレートの設計変更を行えばよい。すなわち、基礎プレートにて着脱装置を土台に固定することは、清水に比べて厳密な防水加工が必要な汚水槽の 土台の土木工事と比較して容易である。
【0125】
なお、既設のポンプ設備に設けられたポンプを交換する際には、以下の問題が生じる場合がある。例えば、排水槽への汚水の流入を止めて交換作業を行うと、その汚水槽が設置された建物全体が断水となるため、交換作業中も汚水の排水槽への流入を止めることは極力控えたい。そのため、深夜等の汚水排出量が少ない短時間の間でポンプを交換することが求められる。
【0126】
この問題を解決するために、以下のポンプ交換の実施例では、既設のポンプ設備の周りに囲いを設置して、交換するポンプとは別のポンプで排水を継続しながらポンプ交換工事を行う。この場合、上述したポンプシステム10aのように、液体槽内に設置された全ての水中モータポンプPが、気中連続運転における水中モータポンプPの飽和温度を異常温度以下に抑制する冷却機構を備えるモータポンプPであれば、モータ部4が露出するような水位でも連続して排水が可能である。モータポンプPの気中連続運転の排水によって、槽内の水位が低い状態を保ちつつ、ポンプの交換工事ができるので、施工性が向上する。
【0127】
基礎プレートについて
図14、15により説明する。
図14は、基礎プレート300を介して、ポンプ着脱装置150を土台20bに設置した状態を示す図である。交換可能な基礎プレート300を、モータポンプPが設置される土台20bに、基礎ボルト302で固定する。本実施形態では、排水槽20の底面20bに所定の高さH1の土台20bが設けられる。モータポンプPは気中連続運転が可能なので、吸込み管22の吸込み口の高さHSをH1よりも低くして、可能な限り排水するとよい。具体的には、基礎プレート300は、底面20bの受け部306に、基礎ボルト302で固定される。受け部306は、交換前のポンプ着脱装置150を固定するために底面20bに形成されていた基礎ボルト302と螺合するネジ穴である。また、受け部306は、汚水が漏れないように防水加工が施してある。ポンプ着脱装置150は、基礎プレート300に固定具(例えばボルト304と不図示のナット)で取り付けられる。なお、排水槽20の底面20bの一部を土台20b1としてもよい。
【0128】
図15は、基礎プレート300の構造を示す。
図15(a)は、基礎プレート300の平面図、
図15(b)は側面図、
図15(c)は正面図である。基礎プレート300は、基礎ボルト302を取り付けるための4個の穴302aと、交換後のポンプ着脱装置150を基礎プレート300に取り付けるための4個の穴305を有する。基礎プレート300は、周辺部308と、側部309と、中央部310とを有する。基礎プレート300が土台20b1に設置された状態で、ポンプ着脱装置150が取り付けられる中央部310は、土台20b1に取り付けられる周辺部308より高い。周辺部308と側部309は、略直交して接続している。側部309と中央部310も略直交して接続しているが、こ
の形状に限らず、土台20b1に設置した状態で、中央部310が周辺部308よりも高い形状であればよい。
【0129】
ポンプ着脱装置150は、基礎プレート300の中央部310に取り付けられる。周辺部308に穴302aが設けられ、中央部310に穴305が設けられる。周辺部308には、2個の開口部312がある。ポンプ着脱装置150を基礎プレート300に取り付ける時は、開口部312から手を入れてボルト304にナットを固定するとよい。また、開口部312は、作業者が手を入れてボルト304にアクセスできればよく、形状や個数は問わない。穴305は、基礎プレート300の紙面左右方向に平行な長穴である2個の長穴305bと、基礎プレート300の長穴305bに垂直な長穴である2個の長穴305aからなる。長穴305aと305bの方向が直交していることにより、基礎プレート300の紙面左右方向と、紙面左右方向に垂直な方向の両方の方向に、ポンプ着脱装置150と基礎プレート300との位置合わせが容易になるとともに、長穴305aと305bの方向が略平行している場合に比べてモータポンプPの振動にて基礎プレート300がずれるのを防止できる。穴305を長穴にすることで、基礎プレート300は、複数の取り付け位置が異なるポンプ着脱装置150に対応することができる。
【0130】
基礎プレート300の材質は、ポンプ着脱装置150とモータポンプPの荷重に耐えられるものであればどのような材質のものでもよい。例えば、金属、プラスチック樹脂、木材等を使用することができる。ステンレス等の金属を用いる場合、1枚の金属板に穴や開口を加工し、その後、折り曲げて基礎プレート300を製作することができる。
【0131】
基礎プレートの別の実施例について
図16、17により説明する。
図16は、基礎プレート316を介して、ポンプ着脱装置150を土台20b1に設置した状態を示す図である。交換可能な基礎プレート316を、モータポンプPが設置される排水槽20の底面20bに、基礎ボルト302で固定する。
図17は、基礎プレート316の構造を示す。
図17(a)は、基礎プレート316の平面図、
図17(b)は側面図、
図17(c)は正面図である。
図17に示す基礎プレート316は、
図15に示す基礎プレート300の外周に、外周板314を設けたものである。その他の点では、基礎プレート316は、基礎プレート300と同一の構造を有する。
【0132】
外周板314は、基礎プレート316の外周を囲って、排水槽20内の液が外周板314の内側に入ることを防止する。外周板314は、周辺部308に溶接等により固定するか、周辺部308の一部を折り曲げて形成することができる。外周板314を設けることにより、モータポンプPの交換作業時で、水位が低い状態の時に排水槽20内の液が基礎プレート316の内部に入ることが防止できるため、モータポンプPの交換作業時に基礎ボルト302やボルト304を固定する作業が容易になる。
【0133】
基礎プレートの別の実施例について
図18、19,20により説明する。この実施形態では、基礎プレート330は、ポンプ着脱装置150側の第1基礎プレート318と、土台20b1側の第2基礎プレート320からなる。
図18は、基礎プレート330を介して、ポンプ着脱装置150を土台20b1に設置する直前の状態を示す図である。ポンプ着脱装置150に第1基礎プレート318を取り付けた後に、ポンプ着脱装置150を第2基礎プレート320に取り付ける。ポンプ着脱装置150は、基台113部分のみを示し、他の部分は、図示を省略している。
【0134】
第1基礎プレート318は、ポンプ着脱装置150にボルト304により取り付けられる。第2基礎プレート320は、底面20bに、基礎ボルト302で固定する。第1基礎プレート318がポンプ着脱装置150に固定され、第2基礎プレート320が底面20bに固定されたのちに、第1基礎プレート318は、プレート用ボルト(図示しない)に
より第2基礎プレート320に固定される。
【0135】
プレート用ボルトのための穴は、第1基礎プレート318に4個設けた穴322と、第2基礎プレート320に4個設けた穴324である。穴322と穴324の位置を合わせたのちに、プレート用ボルトを穴322と穴324に差し込んで、基礎プレート318と基礎プレート320を固定する。
【0136】
図19は、第1基礎プレート318の構造を示す。第1基礎プレート318は、1枚の板状であり、ポンプ着脱装置150を第1基礎プレート318に取り付けるための4個の穴305と、第1基礎プレート318を基礎プレート320に取り付けるための4個の穴322が設けられている。
【0137】
図20は、第2基礎プレート320の構造を示す。
図20(a)は、第2基礎プレート320の平面図、
図20(b)は側面図である。第2基礎プレート320は、基礎ボルト302を取り付けるための4個の穴302aと、第1基礎プレート318を第2基礎プレート320に取り付けるための4個の穴324を有する。第2基礎プレート320は、周辺部308と、側部309と、中央部310とを有する。中央部310は、周辺部308より高い。周辺部308と側部309は、略直交して接続している。側部309と中央部310も略直交して接続している。第2基礎プレート320は、2つの基礎プレートと、すなわち第3基礎プレート320aと第4基礎プレート320bからなる。
【0138】
本実施形態の利点としては、以下がある。第1基礎プレート318はポンプ着脱装置150に、地上で取り付けることができるので、この作業は容易である。第1基礎プレート318と第2基礎プレート320を取り付けるための穴322と穴324は、第1基礎プレート318と第2基礎プレート320の最外部に設けられているため、作業者がこれらの孔にアクセスしやすいため、作業が容易になる。また、第1基礎プレート318上の穴322の位置精度を高くすることは容易であるため、第1基礎プレート318上の穴322の位置を、第2基礎プレート320上の穴324の位置に精度よく合わせて加工することができる。この結果、作業現場での第1基礎プレート318との第2基礎プレート320との位置合わせが容易になり、現場での位置合わせ作業が容易になる。このように、基礎プレート330を用いることで、排水槽20内の作業時間が短縮できる。
【0139】
上述のように、基礎プレートは、1枚の板であること、もしくは、複数の板からなるものであることのいずれでもよい。複数の板からなる場合、基礎プレートは、ポンプ用着脱装置に取り付け可能な部品と、土台20b1に取り付け可能な部品とを有することができる。この例が
図18の第1基礎プレート318と第2基礎プレート320で構成された基礎プレート330である。
図18では、土台20b1側の第1基礎プレート318と、ポンプ側の第2基礎プレート320に基礎プレート330が分かれていて、土台20b1側の第2基礎プレート320に、ポンプ側の第1基礎プレート318を固定具で固定する。また、上述した基礎プレートは、土台20b1に別箇独立に取り付け可能な複数の部品を有することができる。この例が
図20の2個の第3基礎プレート320aと第4基礎プレート320bである。基礎プレートは、3個以上の土台20b1に別箇独立に取り付け可能な複数の部品を有することもできる。なお、上述した基礎プレート300、316、330とポンプ着脱装置150または土台20b1を固定する固定具は、ボルトとナット以外の固定具を用いてもよい。また、基礎プレート300、316、330とポンプ着脱装置150または土台20b1の間には、ポンプの振動を吸収する耐震ゴムなどの緩衝材を設けてもよい。
【0140】
次に、
図21~29により、基礎プレート300を用いたモータポンプP並びにポンプ着脱装置150の交換作業について説明する。
図21~28は、交換作業の各ステップに
おけるポンプ設備500等の状態を示し、
図29は、モータポンプP1におけるポンプ着脱装置150の交換作業の全体フローを示す。本実施形態は、一例として、
図4に示すポンプシステム10aを用いたポンプ設備500において、
図13に示すようなポンプ着脱装置150を具備したモータポンプPについて説明する。
図21により、交換前のポンプ設備の概要を示す。2台のモータポンプP1、P2は、ポンプの自重によってポンプ着脱装置150に固定されており、ポンプ着脱装置150にぶら下がっている状態である。モータポンプP1、P2は、連続気中運転可能な水中ポンプである。従って、深夜等の汚水量が少ない時間帯に実施される交換作業中に、モータポンプPは、連続気中運転ができる。排水槽20内にあるモータポンプPが、交換作業中に排水槽20に流入した液を気中連続運転で排水し、水位の上昇を抑制できるので、後述する囲い板326の高さが低くて済む。
【0141】
ポンプ着脱装置150は、基礎ボルト302にて、汚水槽の底面20bの基礎部分に固定されている。予旋回槽60と吸込管22を用いることにより、基礎ボルト302より停止水位HLを下げることができる。
図21~28に示すように、ポンプ着脱装置150の基礎ボルト302より吸込管22が低い位置にあれば、ポンプ着脱装置150の交換が容易となる。
【0142】
次に、
図22により、モータポンプP1ならびに並びにポンプ着脱装置150の交換のための準備作業について説明する。なお、交換作業は、汚水槽内に流入する汚水量が少ない時間帯に行うことが望ましい。
図29に示すステップS500の交換作業の準備作業として、モータポンプP1、P2を起動して、汚水槽20内の水位WLが停止水位HLとなるまで汚水を排出する。起動後、制御装置100は、水位検出器40により、水位をモニタして、水位WLが停止水位HLより高ければ(ステップS510で「NO」のとき)、ステップS510の排水を継続する。水位WLが停止水位HL以下になった時は(ステップS510で「YES」のとき)、排水を停止して、ステップS520に進む。
【0143】
次に、
図23により、汚水槽20内の水位WLが停止水位HLになった後の作業について説明する。作業者は、交換するモータポンプP1、P2のうち最初に交換する既設のモータポンプP1の周囲を、基礎ボルト302が排水槽20内の液に没するのを防止する囲い板326で囲う(
図29ステップS520)。モータポンプP1と、モータポンプP1のポンプ着脱装置150の廻りをベニヤ材等(囲い板326)で囲う。囲い板326の高さは、ポンプ着脱装置150の基礎ボルト302より高く、モータポンプP1の交換作業中に基礎ボルト302が排水槽20内の液に没するのを防止できる形状であればよい。囲い板326は、金属製、プラスチック樹脂製でもよい。また、囲い板326は、他の部材により補強されたもの、または他の部材により支持されたものでもよい。囲い板326は、その内部で作業者がポンプ着脱装置150の交換作業をできるように、上下が開口した筒形もしくは矩形等の形状であって、汚水槽20内に搬入した複数の板にて組み立ててもよい。
【0144】
次に、
図24により、囲い板326による囲いが終了した後の作業について説明する。囲い板326により囲われたモータポンプP1によって、モータポンプP1の囲い板326の内部の排水を行い、基礎ボルト302を汚水から露出させる(
図29ステップS530)。この作業は、基礎ボルト302が液中にあると、作業者は基礎ボルトの締め付けができないためである。但し、モータポンプP1の囲い板326内の水位が基礎ボルトより低い場合は、この排水作業は不要である。
図29に示すステップS530では、制御装置100は、モータポンプP1が起動後、水位検出器40により、水位をモニタして、囲い板326内の水位が停止水位HLより高ければ(ステップS540で「NO」のとき)、ステップS540で排水を継続する。囲い板326内の水位が停止水位HL以下になった時は(ステップS540で「YES」のとき)、排水を停止して、ステップS550に進む。
なお、ステップS530の囲い板326内の水位が停止水位HL以下か否かの判断は、作業者が行ってもよい。
【0145】
このときに、囲われていないモータポンプP2は、汚水槽20内の水位が停止水位HL以上であるときは、起動されて汚水槽20内を排水し、囲い板326より水位が上がるのを防止するとよい。本実施形態では、モータポンプP1、P2は気体中で連続運転可能なポンプであるため、モータポンプP1、P2が露出する低い水位で連続して排水することができる。このため、排水槽20内の水位の上昇を抑えることができ、交換作業が容易になる。また、モータポンプP1は、
図22にて気中連続運転を行った後冷却期間なしで再起動できるので、作業時間が短縮できる。
【0146】
次に、
図25により、モータポンプP1の囲い板326の内部の排水が終了した後の作業について説明する。この段階で、モータポンプP1を槽外へ搬出する(
図29のステップS550)。具体的には、汚水槽20外の作業者が、モータポンプP1用のポンプ着脱装置150を用いてモータポンプP1を汚水槽20外へ開口16を通して搬出する。この際に、モータポンプP2は、汚水槽20内の水位が停止水位HL以上であれば運転できるため、汚水槽20内の水位が囲い板326以上となるのを防止できる。
【0147】
次に、
図26により、モータポンプP1を槽外へ搬出した後の作業について説明する。この段階では、モータポンプP1用のポンプ着脱装置150の交換作業を行う。最初に、汚水槽20内の作業者によって汚水槽20の外へ搬出したモータポンプP1用のポンプ着脱装置150の基礎ボルト302が取り外され、開口16の上に設けられたクレーン等によって、ポンプ着脱装置150は、汚水槽20の外へ搬出される(
図29のステップS560)。次に、汚水槽20内の作業者は、新しいモータポンプP1a用のポンプ着脱装置150aのための基礎プレート300を基礎ボルト302にて底面20bの基礎部分に固定する(
図29のステップS570)。
【0148】
図26は、基礎プレート300が基礎ボルト302によって底面20bの基礎部分に固定された状態を示す。モータポンプP2は、汚水槽20内の水位が停止水位HL以上であれば排水することができるので、汚水槽20内の水位が囲い板326以上となるのを防止できる。また、モータポンプP2の気中連続運転によって、囲い板326の高さが低くて済む。これにより、例えば、基礎ボルト302が作業者の足元にある場合、ステップS560ステップS570の作業性が向上する。
【0149】
次に、
図27により、基礎プレート300が基礎ボルト302によって底面20bに固定された後の作業について説明する。この段階では、モータポンプP1a用のポンプ着脱装置150aを設置する(
図29のステップS580)。具体的には、汚水槽20内の作業者によって基礎プレート300に新しいポンプ着脱装置150aが固定される。次に、汚水槽20外の作業者は、新しいモータポンプP1aを、設置されたポンプ着脱装置150aを用いて、汚水槽20内に設置する(
図29のステップS590)。ここで、モータポンプP1とモータポンプP1aの吐出し口径が異なる場合は、一端の口径がモータポンプP1aの吐出し口径且つ他端の口径がモータポンプP1の吐出し口径である異径管継手(不図示)を介して、既設の流出管21とポンプ着脱装置150aの接続管110を接続するとよい。このときに、モータポンプP2は、汚水槽20内の水位が停止水位HL以上であれば運転継続して、排水する。なお、基礎プレート300は、基礎プレート316、または、基礎プレート330の何れを用いてもよい。
【0150】
次に、
図28により、新しいモータポンプP1aが設置された後の作業について説明する。この段階では、汚水槽20内の作業者によって、新しいモータポンプP1aの周りにある囲い板326が取り外される(ステップS600)。これにより、モータポンプP1
とモータポンプP1aの交換作業が完了する。モータポンプP2の交換作業を行う場合は、
図21~28において説明したモータポンプP1の交換作業と同様の作業を行えばよい。
【0151】
上述したように、囲い板326と基礎プレート300を用いることとで、大きさの異なるモータポンプPaならびに着脱装置150a時の交換作業中の断水時間が短縮できる。更に、本実施形態では、モータポンプP1、P2は連続気中運転可能な水中モータポンプなので、モータポンプP1の交換作業中、モータポンプP2は、汚水槽20内の水位が停止水位HL以上であれば排水を継続でき排水槽20内の水位を低水位に保つことができる。よって、連続気中運転が制限される水中モータポンプに比べて囲い板326の高さを抑えることができる。囲い板326の高さを抑えることで、例えば、作業者は、囲い板326の外からでも基礎ボルト302の取り付け作業を行うことができる。作業者が囲い板326の外で作業できれば囲い板326を小さくでき、囲い板326の運搬や設置の作業性が向上する。
【0152】
以上、本発明の実施形態の例について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0153】
P、P1,P2…モータポンプ
10、10a、10b、10c、10d…ポンプシステム
12…流入管
20、20X、20Y…排水槽
21…流出管
22…吸込管
40…水位検出器
60…予旋回槽
100…制御装置
1000…建築物