(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】積層造形のための光硬化性配合物の生成
(51)【国際特許分類】
C08F 2/50 20060101AFI20221024BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20221024BHJP
C08F 292/00 20060101ALI20221024BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20221024BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20221024BHJP
B29C 64/129 20170101ALI20221024BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20221024BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
C08F2/50
C08F2/44 Z
C08F292/00
B33Y70/00
B29C64/314
B29C64/129
B33Y10/00
B28B1/30
(21)【出願番号】P 2018563527
(86)(22)【出願日】2017-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2017062448
(87)【国際公開番号】W WO2017207366
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-22
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥールマン,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】シュロフ,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,クリス
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-143247(JP,A)
【文献】米国特許第06117612(US,A)
【文献】特開2014-231592(JP,A)
【文献】国際公開第2010/116821(WO,A3)
【文献】特表2003-520880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F2、251-298、293-297
B29C64、C04B35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形プロセスにおいて使用するための光硬化性配合物(F)の生成のための方法であって、
a)
成分(A)少なくとも2μmのD50値を有する少なくとも1種のセラミック材料と、
成分(B1)少なくとも1種の第1のアクリレートと、
成分(C)少なくとも1種の分散剤と
を含むセラミック分散体(CD)を用意する工程と、
b)
成分(B2)少なくとも1種の第2のアクリレートと、
成分(D)少なくとも1種の光開始剤と
を含む溶液(S)を用意する工程と、
c)工程a)において用意された前記セラミック分散体(CD)および工程b)において用意された前記溶液(S)を混合して、前記光硬化性配合物(F)を得る工程と
を含み、
工程a)で、セラミック分散体(CD)は、まず成分(B1)および(C)を混合し、次いでこの混合物に、凝集体の形成を防止するように、段階的に成分(A)が混合しつつ添加されることによって用意され、及び
工程c)において、前記セラミック分散体(CD)および前記溶液(S)の質量パーセントの合計に対して、75~99質量%の範囲内の前記セラミック分散体(CD)および1~25質量%の範囲内の前記溶液(S)を混合して、前記光硬化性配合物(F)を得る、方法。
【請求項2】
成分(A)が、SiO
2、ZrO
2、Al
2O
3、ZnO、Fe
2O
3、Fe
3O
4、Y
2O
3、TiO
2、SiC、Si
3N
4、TiBおよびAlNからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分(B1)および成分(B2)が、互いに独立して、アクリレートおよびメタクリレートからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
成分(C)が、エトキシル化脂肪アルコール、ポリオキシプロピレン/エチレンブロックコポリマー、エトキシル化ノニルフェノール、(ポリエチレングリコール)p-オクチルフェニルエーテル、アルコキシル化ジアミン、ラウリル硫酸ナトリウムおよびカチオン性分散剤からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
成分(D)が、ベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、ハロメチル化ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、アセトフェノン誘導体、フェニルグリオキシル酸、アントラキノン、メチルアントラキノン、アシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程a)において用意される前記セラミック分散体(CD)が、成分(A)、(B1)および(C)の体積パーセントの合計に対して、57~90体積%の範囲内の成分(A)、10~42体積%の範囲内の成分(B1)、および0.1~15体積%の範囲内の成分(C)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程b)において用意される前記溶液(S)が、成分(B2)および(D)の質量パーセントの合計に対して、75~99.9質量%の範囲内の成分(B2)、および0.1~25質量%の範囲内の成分(D)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
成分(B1)および成分(B2)が、互いに独立して、1以上~6の範囲内のC-C二重結合官能性を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程b)において用意される前記溶液(S)が、成分(C2)である少なくとも1種の分散剤をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
セラミック分散体(CD)の粘度は、Brookfield Viscometer(スピンドル64、6rpm)により25℃の温度で測定して15~50Pasの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層造形プロセスにおいて使用するための光硬化性配合物(F)の生成のための方法に関する。この方法において、少なくとも1種のセラミック材料と、少なくとも1種の第1のアクリレートと、少なくとも1種の分散剤とを含むセラミック分散体(CD)を、少なくとも1種の第2のアクリレートと、少なくとも1種の光開始剤とを含む溶液(S)と混合して、光硬化性配合物(F)を得る。本発明は、さらに、本発明の方法により得ることができる光硬化性配合物(F)、および光硬化性配合物(F)を硬化させることによる積層造形プロセスにおける成形物の生成のための方法に関する。さらに、本発明は、積層造形プロセスにおいて光硬化性配合物(F)を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ごく最近遭遇することが多い課題は、試作品および/または小規模シリーズの迅速な製造である。積層造形プロセスは、製作のための層ごとの積層プロセスであり、理想的には手作業での形成を経ることなく、既存の三次元コンピュータ支援設計データ(CAD)を直接的かつ迅速に加工対象物に変えるように設計されている。
【0003】
積層造形には異なるプロセスが知られており、これは光放射ベースのプロセスおよび光放射を使用しないプロセスに細分化され得る。
【0004】
光放射ベースプロセスでは、好ましくはUV発光レーザー、UV発光ダイオード(LED)、またはUVランプを用いて、UV照射スポットの高速走査によって、またはマイクロミラーアレイを使用した大面積UV光投影によって、硬化性液体組成物が層ごとに硬化される。硬化性液体組成物として、例えばモノマーまたはモノマー混合物が使用される。前記モノマーの重合は、UV放射を用いて誘起される。
【0005】
他の積層造形プロセスは、例えば、フォトポリマージェットプロセス(PPJ)、選択的レーザー焼結プロセス(SLS)、および熱溶解積層法(FDM)としても知られる熱溶解フィラメント製作プロセス(FFF)である。
【0006】
欧州特許第2151214号は、歯科用セラミックのステレオリソグラフィー製造のための光硬化性スリップを開示している。このスリップは、5~65質量%の重合性結合剤、0.001~1質量%の光開始剤、ならびに35~90質量%の表面改質セラミックおよび/またはガラスセラミック粒子を含む。セラミックまたはガラスセラミック粒子は、好ましくは、10~200ナノメートルの範囲内の粒径を有する。スリップは、1種または複数種の分散剤および顔料をさらに含んでもよい。
【0007】
欧州特許第2404590号も同様に、高強度セラミックのステレオリソグラフィー製造のための光硬化性セラミックスリップを開示している。このスリップは、1~30質量%の少なくとも1種の酸性モノマー、0~50質量%の少なくとも1種の非酸性ラジカル重合性モノマー、0.001~2質量%の光開始剤ならびに30~90質量%のセラミックおよび/またはガラスセラミック粒子を含む。セラミックまたはガラスセラミック粒子の粒径は、好ましくは、10~200ナノメートルの範囲内である。スリップは、分散剤および顔料をさらに含んでもよい。
【0008】
米国特許出願公開第2010/0003619号は、三次元物体の製作のためのシステムおよび方法を開示している。米国特許出願公開第2010/0003619号による例示的UV硬化性樹脂は、7ミクロンの平均粒径を有する76質量%のシリカ粉末、19.17質量%のSR238モノマー、2.34質量%のSR494モノマー、1.58質量%のVariquat C55分散剤、および0.86質量%のIrgacure 819を含む。
【0009】
最新技術において説明されている配合物は、セラミック粉末が高充填されている。したがって、これらの配合物は、経時的にセラミック成分を沈殿させ、送達または印刷デバイス容器の底部に沈降物を形成する。この沈降層は、再分散させるのが非常に困難であることが多い。これによって、セラミック成分が沈殿した配合物を積層造形プロセスにおいて使用することはほぼ不可能となる。印刷された型を用いて行われるある特定の金属鋳造プロセスに必要とされるようにセラミック粒子が大きい(ミクロンサイズ)場合には、上記の沈殿は特に強力である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許第2151214号
【文献】欧州特許第2404590号
【文献】米国特許出願公開第2010/0003619号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の根本にある技術的問題は、従来技術の上述の欠点を有さない、または大幅に低減された程度でのみその欠点を有する、光硬化性配合物の製造のための改善された方法を提供することであった。さらに、方法は、単純、安全およびコスト効率的な様式で行われるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、積層造形プロセスにおいて使用するための光硬化性配合物(F)の生成のための方法であって、
a)
成分(A)少なくとも2μmのD50値を有する少なくとも1種のセラミック材料と、
成分(B1)少なくとも1種の第1のアクリレートと、
成分(C)少なくとも1種の分散剤と
を含むセラミック分散体(CD)を用意する工程と、
b)
成分(B2)少なくとも1種の第2のアクリレートと、
成分(D)少なくとも1種の光開始剤と
を含む溶液(S)を用意する工程と、
c)
工程a)において用意されたセラミック分散体(CD)および工程b)において用意された溶液(S)を混合して、光硬化性配合物(F)を得る工程と
を含む方法により達成される。
【0013】
光硬化性配合物(F)は、好ましくは、UV光源への曝露により光硬化可能である。したがって、本発明の別の目的は、光硬化性配合物(F)がUV光源への曝露により光硬化可能である、光硬化性配合物(F)の生成のための方法である。
【0014】
セラミック分散体(CD)および溶液(S)は、工程c)において、一般的な混合デバイスにより混合され得る。これにより、本発明の方法は、非常に単純、堅牢、およびコスト効率的となる。
【0015】
さらに、驚くべきことに、セラミック材料は少なくとも2μmのD50値を有するが、セラミック分散体(CD)は長期間であっても崩れることがないことが判明した。
【0016】
得られた光硬化性配合物(F)は、積層造形プロセスにおける使用のために十分低い粘度を有する。
【0017】
さらに、本発明の方法により得られる光硬化性配合物(F)は、さらなる成分を添加する必要なく積層造形プロセスに直接使用することができ、また、プロセスの間、少なくとも12時間は沈降に対して安定である。
【0018】
積層造形プロセスにおいて光硬化性配合物(F)から得られた三次元部品は、高精度の部品である。さらに、未硬化の光硬化性配合物(F)は、積層造形プロセス中に得られた成形物から容易に除去され得る。さらに、積層造形技術により、光硬化性配合物(F)の得られた成形物は、機械的に安定であり、したがってそれらは容易にさらに加工することができ、例えば、容易に脱バインダーおよび焼結することができる。
【0019】
セラミック分散体(CD)および溶液(S)は、送達中安定であり、少なくとも12週間保存され得る。
【0020】
セラミック分散体(CD)は、その粘度が比較的高い場合、例えばBrookfield Viscometer(スピンドル64、6rpm)により25℃の温度で測定して15~50Pasの範囲内である場合、特に安定であることが判明している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、得られたセラミック分散体(CD)の12週間にわたる粘度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の方法を、以降でより詳細に説明する。
【0023】
工程a)
工程a)において、セラミック分散体(CD)が用意される。このセラミック分散体(CD)は、成分(A)として少なくとも2μmのD50値を有する少なくとも1種のセラミック材料と、成分(B1)として少なくとも1種の第1のアクリレートと、成分(C)として少なくとも1種の分散剤とを含む。
【0024】
本発明の目的において、「少なくとも1種のセラミック材料」および「成分(A)」という用語は同義であり、本発明全体を通して交換可能に使用される。
【0025】
「少なくとも1種の第1のアクリレート」および「成分(B1)」という用語、ならびに「少なくとも1種の分散剤」および「成分(C)」という用語に対しても同じことが言える。本発明の目的において、「少なくとも1種の第1のアクリレート」および「成分(B1)」という用語は同義であり、本発明全体を通して交換可能に使用される。本発明の目的において、「少なくとも1種の分散剤」および「成分(C)」という用語もまた同義であり、本発明全体を通して交換可能に使用される。
【0026】
成分(A)、(B1)および(C)を、以下でより詳細に議論する。
【0027】
セラミック分散体(CD)は、任意の比率で成分(A)、(B1)および(C)を含み得る。好ましくは、本発明の方法の工程a)において用意されるセラミック分散体(CD)は、成分(A)、(B1)および(C)の質量パーセントの合計に対して、好ましくはセラミック分散体(CD)の全質量に対して、74.9~95質量%の範囲内の成分(A)、0.1~25質量%の範囲内の成分(B1)、および0.1~15質量%の範囲内の成分(C)を含む。
【0028】
特に好ましくは、工程a)において用意されるセラミック分散体(CD)は、成分(A)、(B1)および(C)の質量パーセントの合計に対して、好ましくはセラミック分散体(CD)の全質量に対して、78~92質量%の範囲内の成分(A)、3~20質量%の範囲内の成分(B1)、および0.4~11質量%の範囲内の成分(C)を含む。
【0029】
より好ましくは、工程a)において用意されるセラミック分散体(CD)は、成分(A)、(B1)および(C)の質量パーセントの合計に対して、好ましくはセラミック分散体(CD)の全質量に対して、81~89質量%の範囲内の成分(A)、6~15質量%の範囲内の成分(B1)、および0.7~7質量%の範囲内の成分(C)を含む。
【0030】
好ましい実施形態において、本発明の方法の工程a)において用意されるセラミック分散体(CD)は、好ましくは、成分(A)、(B1)および(C)の体積パーセントの合計に対して、好ましくはセラミック分散体(CD)の全体積に対して、57~90体積%の範囲内の成分(A)、10~42体積%の範囲内の成分(B1)、および0.1~15体積%の範囲内の成分(C)を含む。
【0031】
特に好ましくは、工程a)において用意されるセラミック分散体(CD)は、成分(A)、(B1)および(C)の体積パーセントの合計に対して、好ましくはセラミック分散体(CD)の全体積に対して、62.1~84.1体積%の範囲内の成分(A)、10~37.2体積%の範囲内の成分(B1)、および0.7~15体積%の範囲内の成分(C)を含む。
【0032】
より好ましくは、工程a)において用意されるセラミック分散体(CD)は、成分(A)、(B1)および(C)の体積パーセントの合計に対して、好ましくはセラミック分散体(CD)の全体積に対して、66.3~78.9体積%の範囲内の成分(A)、11.3~28.1体積%の範囲内の成分(B1)、および1.3~13.2体積%の範囲内の成分(C)を含む。
【0033】
したがって、本発明の別の目的は、工程a)において用意されるセラミック分散体(CD)が、成分(A)、(B1)および(C)の質量パーセントの合計に対して、74.9~95質量%の範囲内の成分(A)、0.1~25質量%の範囲内の成分(B1)、および0.1~15質量%の範囲内の成分(C)を含む方法である。
【0034】
セラミック分散体(CD)中に含まれる成分(A)、(B1)および(C)の質量パーセントは、通常、合計100質量%となる。さらに、セラミック分散体(CD)中に含まれる成分(A)、(B1)および(C)の体積パーセントは、通常、合計100体積%となる。
【0035】
好ましい実施形態において、セラミック分散体(CD)は、光開始剤を含まず、特に成分(D)を含まない。
【0036】
したがって、本発明の別の目的はまた、セラミック分散体(CD)が光開始剤を含まない方法である。
【0037】
工程a)におけるセラミック分散体(CD)の用意は、当業者に知られている任意の方法により行うことができる。一般に、セラミック分散体(CD)は、成分(A)、(B1)および(C)を混合することにより用意される。好ましくは20~100秒-1の範囲内のせん断速度を有する高せん断混合機器が好ましい。好適な混合デバイスは、当業者に知られている。好適な混合デバイスの例は、ニーダー、遊星型ミキサー、および縦型ミキサー(例えばEirichインテンシブミキサー)を含む。
【0038】
好ましくは、セラミック分散体(CD)は、まず成分(B1)および(C)を混合することにより用意される。次いで、段階的に成分(A)が添加および混合される。混合中の温度は、好ましくは最高60℃、特に好ましくは5~60℃の範囲内である。
【0039】
セラミック分散体(CD)は、通常、成分(B1)および(C)中に分散した成分(A)を含む。
【0040】
したがって、成分(B1)および(C)は連続相であり、成分(A)はセラミック分散体(CD)中の分散相である。
【0041】
セラミック分散体(CD)は、成分(B1)および成分(C)の分解温度未満の任意の温度で用意され得る。
【0042】
好ましくは、セラミック分散体(CD)は、工程a)において、5~40℃の範囲内、より好ましくは10~35℃の範囲内、最も好ましくは15~30℃の範囲内の温度で用意される。
【0043】
セラミック分散体(CD)の粘度は、Brookfield Viscometer(スピンドル64、6rpm)により25℃の温度で測定して、好ましくは15~50Pasの範囲内、特に好ましくは18~40Pasの範囲内、より好ましくは20~30Pasの範囲内である。
【0044】
セラミック分散体(CD)は、好ましくは、-20~80℃の間の温度で少なくとも12週間の保存中、沈降に対して安定である。
【0045】
工程b)
工程b)において、成分(B2)として少なくとも1種の第2のアクリレートと、成分(D)として少なくとも1種の光開始剤とを含む溶液(S)が用意される。
【0046】
本発明の目的において、「少なくとも1種の第2のアクリレート」および「成分(B2)」という用語は同義であり、本発明全体を通して交換可能に使用される。
【0047】
「少なくとも1種の光開始剤」および「成分(D)」という用語に対しても同じことが言える。本発明の目的において、「少なくとも1種の光開始剤」および「成分(D)」という用語もまた同義であり、本発明全体を通して交換可能に使用される。
【0048】
成分(B2)および成分(D)を以下でより詳細に説明する。
【0049】
例えば、工程b)において用意される溶液(S)は、成分(B2)および(D)の質量パーセントの合計に対して、好ましくは溶液(S)の全質量に対して、75~99.9質量%の範囲内の成分(B2)、および0.1~25質量%の範囲内の成分(D)を含む。
【0050】
好ましくは、工程b)において用意される溶液(S)は、成分(B2)および(D)の質量パーセントの合計に対して、好ましくは溶液(S)の全質量に対して、80~99.9質量%の範囲内の成分(B2)、および0.1~20質量%の範囲内の成分(D)を含む。
【0051】
特に好ましくは、工程b)において用意される溶液(S)は、成分(B2)および(D)の質量パーセントの合計に対して、好ましくは溶液(S)の全質量に対して、84~97質量%の範囲内の成分(B2)、および3~16質量%の範囲内の成分(D)を含む。
【0052】
したがって、本発明の別の目的はまた、工程b)において用意される溶液(S)が、成分(B2)および(D)の質量パーセントの合計に対して、75~99.9質量%の範囲内の成分(B2)、および0.1~25質量%の範囲内の成分(D)を含む方法である。
【0053】
工程b)において用意される溶液(S)は、好ましくは、成分(C2)である少なくとも1種の第2の分散剤を含む。
【0054】
「成分(C2)」および「少なくとも1種の第2の分散剤」という用語は同義であり、本発明全体を通して交換可能に使用される。
【0055】
例えば、溶液(S)は、溶液(S)の全質量に対して、0.01~50質量%の範囲内、好ましくは0.01~30質量%の範囲内、特に好ましくは0.01~15質量%の範囲内の成分(C2)を含む。
【0056】
成分(C2)に対して、成分(C)に関して以下に示される実施形態および優先性が当てはまる。
【0057】
したがって、本発明の別の目的はまた、工程b)において用意される溶液(S)が成分(C2)である少なくとも1種の分散剤をさらに含む方法である。
【0058】
工程b)において用意される溶液(S)は、少なくとも1種の添加剤をさらに含んでもよい。好適な少なくとも1種の添加剤は、当業者に知られており、好ましくはUV吸収剤からなる群から選択される。
【0059】
したがって、本発明の別の目的はまた、工程b)において用意される溶液(S)がUV吸収剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む方法である。
【0060】
好適なUV吸収剤は、当業者に知られている。好ましいUV吸収剤は、2-ヒドロキシフェニル-ベンゾフェノン、2-(2-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾールおよび2-ヒドロキシフェニル-s-トリアジンからなる群から選択される。これらのUV吸収剤は、当業者に知られており、BASF SEからChimassorb(登録商標)およびTinuvin(登録商標)の商品名で入手可能である。
【0061】
溶液(S)が少なくとも1種の添加剤を含む場合、溶液(S)は、溶液(S)の全質量に対して、好ましくは0.1~3.7質量%の範囲内、より好ましくは0.1~2.5質量%の範囲内、特に好ましくは0.1~1.3質量%の範囲内の量で添加剤を含む。
【0062】
溶液(S)中に含まれる成分(B2)、成分(D)、および任意で成分(C2)、および少なくとも1種の添加剤の質量パーセントは、通常、合計100質量%となる。
【0063】
好ましい実施形態において、溶液(S)は、セラミック材料を含まず、特に成分(A)を含まない。
【0064】
したがって、本発明の別の目的はまた、工程b)において用意される溶液(S)がセラミック材料を含まない方法である。
【0065】
溶液(S)は通常、成分(B2)中に溶解した成分(D)を含む。
【0066】
溶液(S)の用意は、当業者に知られている任意の方法により行うことができる。
【0067】
好ましくは、溶液(S)は、成分(B2)および(D)、ならびに任意で成分(C2)、ならびに少なくとも1種の添加剤を混合することにより用意される。混合は、当業者に知られている任意の方法により、例えばプロペラ式撹拌器、パドルミキサー、または分散ディスクを用いて行うことができる。成分は、任意の順番で一緒に添加され、次いで1~2時間、または均質となるまで混合される。
【0068】
溶液(S)の用意は、成分(B2)および(D)の分解温度未満の任意の温度で行うことができる。
【0069】
好ましくは、溶液(S)は、工程b)において、5~40℃の範囲内、特に好ましくは10~35℃の範囲内、より好ましくは15~30℃の範囲内の温度で用意される。
【0070】
成分(A)
成分(A)は、少なくとも2μmのD50値を有する少なくとも1種のセラミック材料である。
【0071】
本発明に関連する「少なくとも1種のセラミック材料」は、厳密に1種のセラミック材料だけでなく、2種以上のセラミック材料の混合物も意味する。
【0072】
少なくとも1種のセラミック材料は、少なくとも2μmのD50値、好ましくは2μm~10μmの範囲内のD50値を有する。
【0073】
別の好ましい実施形態において、成分(A)は、
0.01~5μmの範囲内のD10値、
2~10μmの範囲内のD50値、および
20~35μmの範囲内のD90値を有する。
【0074】
特に好ましくは、成分(A)は、
0.1~2μmの範囲内のD10値、
4~10μmの範囲内のD50値、および
25~35μmの範囲内のD90値を有する。
【0075】
本発明に関連して、「D10値」は、粒子の全体積に対して10体積%の粒子がD10値以下であり、粒子の全体積に対して90体積%の粒子がD10値超である粒径である。本発明に関連して、「D50値」は、粒子の全体積に対して50体積%の粒子がD50値以下であり、粒子の全体積に対して50体積%の粒子がD50値超である粒径である。本発明に関連して、「D90値」は、粒子の全体積に対して90体積%の粒子がD90値以下であり、粒子の全体積に対して10体積%の粒子がD90値超である粒径である。
【0076】
D10値、D50値およびD60値は、Malvern Mastersizer 2000粒径分析計を使用して、レーザー回折により測定される。測定直前に、セラミック材料は、10分間の撹拌および超音波処理により脱イオン水中に分散される。
【0077】
成分(A)は、少なくとも1種のセラミック材料である。本発明に関連して、セラミック材料は、金属または第1の半金属および非金属または第2の半金属の非金属化合物を意味する。
【0078】
「金属」は、厳密に1種の金属だけでなく、2種以上の金属の混合物も意味する。「非金属」、「第1の半金属」および「第2の半金属」にも同じことが言える。「非金属」は、厳密に1種の非金属だけでなく、2種以上の非金属の混合物も意味する。「第1の半金属」は、厳密に1種の第1の半金属だけでなく、2種以上の第1の半金属の混合物も意味する。「第2の半金属」は、厳密に1種の第2の半金属だけでなく、2種以上の第2の半金属の混合物も意味する。
【0079】
好適な金属は、当業者に知られている。好ましくは、金属は、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、チタンおよびイットリウムからなる群から選択される。
【0080】
好適な非金属も同様に、当業者に周知である。本発明による非金属は、周期表の任意の非金属から選択することができ、好ましくは、非金属は、炭素、窒素、酸素、リンおよび硫黄からなる群から選択され、特に好ましくは、非金属は酸素である。
【0081】
半金属も同様に、当業者に周知である。第1の半金属および第2の半金属は、周期表の任意の半金属から選択することができる。好ましくは、第1の半金属および/または第2の半金属は、ホウ素およびケイ素からなる群から選択される。第1の半金属および第2の半金属は、互いに異なることが明確なはずである。例えば、第1の半金属がホウ素である場合、第2の半金属は、ホウ素以外の元素周期表の任意の他の半金属から選択される。
【0082】
好ましくは、成分(A)は、酸化物、炭化物、ホウ化物、窒化物およびケイ化物からなる群から選択され、特に好ましくは、成分(A)は、酸化物からなる群から選択される。
【0083】
好ましい実施形態において、成分(A)は、SiO2、ZrO2、Al2O3、ZnO、Fe2O3、Fe3O4、Y2O3、TiO2、SiC、Si3N4、TiBおよびAlNからなる群から選択される。
【0084】
特に好ましくは、成分(A)は、SiO2、ZrO2、Al2O3、ZnO、Fe2O3、Fe3O4、Y2O3およびTiO2からなる群から選択される。より特に好ましくは、成分(A)は、SiO2およびZrO2からなる群から選択される。
【0085】
したがって、本発明の別の目的はまた、成分(A)が、SiO2、ZrO2、Al2O3、ZnO、Fe2O3、Fe3O4、Y2O3、TiO2、SiC、Si3N4、TiBおよびAlNからなる群から選択される方法である。
【0086】
成分(B1)および(B2)
成分(B1)は、少なくとも1種の第1のアクリレートである。
【0087】
本発明に関連する「少なくとも1種の第1のアクリレート」は、厳密に1種の第1のアクリレートだけでなく、2種以上の第1のアクリレートの混合物も意味する。
【0088】
成分(B2)は、少なくとも1種の第2のアクリレートである。
【0089】
本発明に関連する「少なくとも1種の第2のアクリレート」は、厳密に1種の第2のアクリレートだけでなく、2種以上の第2のアクリレートの混合物も意味する。2種以上の第2のアクリレートの混合物が好ましい。
【0090】
成分(B1)および成分(B2)は、同じであってもよく、または互いに異なってもよい。
【0091】
好ましくは、成分(B1)および成分(B2)は、互いに独立して、アクリレートおよびメタクリレートからなる群から選択される。
【0092】
したがって、本発明の別の目的は、成分(B1)および成分(B2)が、互いに独立して、アクリレートおよびメタクリレートからなる群から選択される方法である。
【0093】
好適なアクリレートおよびメタクリレートは、当業者に知られている。
【0094】
アクリレートおよびメタクリレートは、以降で(メタ)アクリレートとまとめられる。
【0095】
好適な(メタ)アクリレートは、モノ(メタ)アクリレートおよび多官能性(メタ)アクリレートである。
【0096】
したがって、本発明の別の目的はまた、成分(B1)および成分(B2)が、互いに独立して、モノ(メタ)アクリレートおよび多官能性(メタ)アクリレートからなる群から選択される方法である。
【0097】
好適なモノ(メタ)アクリレートは、当業者に知られている。好適なモノ(メタ)アクリレートは、好ましくは、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、カプロラクトンアクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ベータ-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチルカルバミルエチル(メタ)アクリレート、n-イソプロピル(メタ)アクリルアミドフッ素化(メタ)アクリレートおよび7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。
【0098】
好適な多官能性(メタ)アクリレートは、当業者に周知であり、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジメタノールジ(メタ)アクリレート、[2-[1,1-ジメチル-2-[(1-オキソアリル)オキシ]エチル]-5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル]メチルアクリレート;3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンジ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、リン酸モノ-およびジ(メタ)アクリレート、C7~C20アルキルジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチルジ(メタ)アクリレートおよび前記モノマーのいずれかのアルコキシル化型(例えば、エトキシル化および/またはプロポキシル化)、ならびにビスフェノールAへのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAへのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ジグリシジルエーテルのビスフェノールAへの(メタ)アクリレート付加物であるエポキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキル化ビスフェノールAのジアクリレート、ならびにトリエチレングリコールジビニルエーテル、ならびにヒドロキシエチルアクリレートの付加物からなる群から選択される。
【0099】
特に好ましい成分(B1)および成分(B2)は、互いに独立して、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールAまたはビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジメタノールジ(メタ)アクリレート、[2-[1,1-ジメチル-2-[(1-オキソアリル)オキシ]エチル]-5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル]メチルアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびプロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0100】
最も好ましくは、成分(B1)および成分(B2)は、互いに独立して、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよび1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群から選択される。
【0101】
成分(B1)が1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートであり、成分(B2)が1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートおよびエトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの混合物であることが特に好ましい。
【0102】
したがって、本発明の別の目的は、成分(B1)および成分(B2)が、互いに独立して、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールAまたはビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジメタノールジ(メタ)アクリレート、[2-[1,1-ジメチル-2-[(1-オキソアリル)オキシ]エチル]-5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル]メチルアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびプロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される方法である。
【0103】
好ましくは、成分(B1)および成分(B2)は、互いに独立して、1以上~6の範囲内、より好ましくは1~4の範囲内、特に好ましくは2~3の範囲内のC-C二重結合官能性を有する。
【0104】
したがって、本発明の別の目的は、成分(B1)および成分(B2)が、互いに独立して、1以上~6の範囲内のC-C二重結合官能性を有する方法である。
【0105】
本発明に関連するC-C二重結合官能性は、分子当たりのアクリロイルおよびメタクリロイル単位の数を意味する。このC-C二重結合官能性の測定方法は、当業者に知られている。
【0106】
成分(B1)が2種以上の第1のアクリレートの混合物である場合、および/または成分(B2)が2種以上の第2のアクリレートの混合物である場合、C-C二重結合官能性は、分子当たりの全アクリロイルおよびメタクリロイル単位の平均である。
【0107】
成分(C)
成分(C)は、少なくとも1種の分散剤である。
【0108】
本発明に関連する「少なくとも1種の分散剤」は、厳密に1種の分散剤だけでなく、2種以上の分散剤の混合物も意味する。
【0109】
好適な分散剤は、当業者に知られている。好ましくは、成分(C)は、エトキシル化脂肪アルコール、ポリオキシプロピレン/エチレブロックコポリマー、エトキシル化ノニルフェノール、(ポリエチレングリコール)p-オクチルフェニルエーテル、アルコキシル化ジアミン、ラウリル硫酸ナトリウムおよびカチオン性分散剤からなる群から選択される。カチオン性分散剤が特に好ましい。
【0110】
したがって、本発明の別の目的はまた、成分(C)が、エトキシル化脂肪アルコール、ポリオキシプロピレン/エチレンブロックコポリマー、エトキシル化ノニルフェノール、(ポリエチレングリコール)p-オクチルフェニルエーテル、アルコキシル化ジアミン、ラウリル硫酸ナトリウムおよびカチオン性分散剤からなる群から選択される方法である。
【0111】
好適なカチオン性分散剤は、当業者に知られている。アルコキシル化第四級アンモニウム塩、特にポリプロポキシ第四級アンモニウムクロリドが好ましい。したがって、成分(C)は、好ましくは、ポリプロポキシ第四級アンモニウムクロリドからなる群から選択される。ポリプロポキシ第四級アンモニウムクロリドは、EvonikによりVariquat(登録商標)(好ましくはVariquat CC NS 42)の商品名で知られている。
【0112】
任意で溶液(S)に含まれる成分(C2)に対して、成分(C)に関して上述された実施形態および優先性が当てはまる。
【0113】
成分(D)
成分(D)は、少なくとも1種の光開始剤である。
【0114】
本発明に関連する「少なくとも1種の光開始剤」は、厳密に1種の光開始剤だけでなく、2種以上の光開始剤の混合物も意味する。
【0115】
本発明に関連する光開始剤は、UV放射に曝露されると反応種を形成する分子である。
【0116】
成分(D)として、UV放射に曝露されると反応種を形成する任意の光開始剤が好適である。
【0117】
好ましくは、成分(D)は、ベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、ハロメチル化ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、アセトフェノン誘導体、フェニルグリオキシル酸、アントラキノン、メチルアントラキノン、アシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドからなる群から選択される。アセトフェノン誘導体が特に好ましい。
【0118】
したがって、本発明の別の目的は、成分(D)が、ベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、ハロメチル化ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、アセトフェノン誘導体、フェニルグリオキシル酸、アントラキノン、メチルアントラキノン、アシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドからなる群から選択される方法である。
【0119】
好ましい成分(D)は、アルファ-ヒドロキシケトン、モノ-およびビス-アシルホスフィンオキシドである。
【0120】
上述の好ましい成分(D)は、当業者に知られている。ミヒラーケトンは、4,4’-ビス(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとしても知られている。
【0121】
好ましいアシルホスフィンオキシドは、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドおよびエチル-2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネートである。ビスアシルホスフィンオキシドの例は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドである。
【0122】
アセトフェノン誘導体の例は、ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンおよびヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。
【0123】
ベンゾフェノン、アセトフェノン、アセトナフトキノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α-フェニルブチロフェノン、p-モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4-モルホリノベンゾフェノン、4-モルホリノデオキシベンゾイン、p-ジアセチルベンゼン、4-アミノベンゾフェノン、4’-メトキシアセトフェノン、β-メチルアントラキノン、tert-ブチルアントラキノン、アントラキノンカルボン酸エステル、ベンズアルデヒド、α-テトラロン、9-アセチルフェナントレン、2-アセチルフェナントレン、10-チオキサンテノン、3-アセチルフェナントレン、3-アセチルインドール、9-フルオレノン、1-インダノン、1,3,4-トリアセチルベンゼン、チオキサンテン-9-オン、キサンテン-9-オン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、クロロキサンテノン、ベンゾインテトラヒドロピラニルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、7H-ベンゾインメチルエーテル、ベンズ[デ]アントラセン-7-オン、1-ナフトアルデヒド、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、ミヒラーケトン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、1-ベンゾイルシクロヘキサン-1-オール、2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシアセトフェノン、アセトフェノンジメチルケタール、o-メトキシベンゾフェノン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、ベンズ[ア]アントラセン-7,12-ジオン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタール、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、アントラキノン、例えば2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノンおよび2,3-ブタンジオンを、成分(D)の例として挙げることができる。
【0124】
特に好ましくは、成分(D)は、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは、BASF SEによりIrgacure(登録商標)184の商品名で知られている。
【0125】
工程c)
工程c)では、工程a)において用意されたセラミック分散体(CD)および工程b)において用意された溶液(S)を混合して、光硬化性配合物(F)を得る。
【0126】
セラミック分散体(CD)および溶液(S)は、当業者に知られている任意の方法により混合され得る。一般に知られている混合デバイス、例えば遊星型ミキサー、プロペラ式スターラー、および分散ディスクが好ましい。セラミック分散体(CD)および溶液(S)は、任意の順番で混合容器内に入れられ、混合デバイスに応じて少なくとも30分~2時間混合される。高せん断速度および長い混合時間は、光硬化性配合物(F)の安定性を促進する。
【0127】
セラミック分散体(CD)および溶液(S)の混合は、好ましくは60℃未満の任意の温度で行うことができる。好ましくは、混合は、15~50℃の範囲内、特に好ましくは17~35℃の範囲内、最も好ましくは20~30℃の範囲内の温度で行われる。
【0128】
したがって、本発明の別の目的は、工程c)における、光硬化性配合物(F)を得るための、工程a)において用意されたセラミック分散体(CD)および工程b)において用意された溶液(S)の混合が、15~40℃の範囲内の温度で行われる方法である。
【0129】
セラミック分散体(CD)および溶液(S)は、工程c)において任意の比率で混合され得る。好ましくは、工程c)において、セラミック分散体(CD)および溶液(S)の質量パーセントの合計に対して、75~99質量%の範囲内のセラミック分散体(CD)および1~25質量%の範囲内の溶液(S)が混合されて、光硬化性配合物(F)が得られる。
【0130】
特に好ましくは、工程c)において、セラミック分散体(CD)および溶液(S)の質量パーセントの合計に対して、85~95質量%の範囲内のセラミック分散体(CD)および5~15質量%の範囲内の溶液(S)が混合されて、光硬化性配合物(F)が得られる。
【0131】
したがって、本発明の別の目的は、工程c)において、セラミック分散体(CD)および溶液(S)の質量パーセントの合計に対して、75~99質量%の範囲内のセラミック分散体(CD)および1~25質量%の範囲内の溶液(S)が混合されて、光硬化性配合物(F)が得られる。
【0132】
光硬化性配合物(F)
工程c)において、光硬化性配合物(F)が得られる。
【0133】
光硬化性配合物(F)は、セラミック分散体(CD)中および溶液(S)中に含まれる成分を含む。光硬化性配合物(F)は、反応および/または未反応形態の成分を含んでもよい。好ましくは、光硬化性配合物(F)は、未反応形態の成分を含む。
【0134】
セラミック分散体(CD)がさらなる添加剤を含む場合、ならびに/または溶液(S)が少なくとも1種の添加剤および/もしくは成分(C2)を含む場合、工程c)において得られた光硬化性配合物(F)は、典型的には、同様にさらなる添加剤および/または成分(C2)および/または少なくとも1種の添加剤を含む。
【0135】
例えば、光硬化性配合物(F)は、成分(A)、(B1)、(B2)、(C)および(D)の質量パーセントの合計に対して、好ましくは光硬化性配合物(F)の全質量に対して、72~83質量%の成分(A)、14~25質量%の成分(B1)および(B2)、0.8~6.0質量%の成分(C)、ならびに0.1~2.0質量%の成分(D)を含む。
【0136】
配合物の粘度は、Brookfield粘度計(スピンドルタイプ62、12rpm)により25℃の温度で測定して、好ましくは0.1~3Pasの範囲内、特に好ましくは0.15~2.8Pasの範囲内、最も好ましくは0.2~2.5Pasの範囲内である。
【0137】
光硬化性配合物(F)は、好ましくは、積層造形プロセス中、20~30℃の範囲内の温度で少なくとも12時間、沈降に対して安定である。
【0138】
したがって、本発明の別の目的は、本発明の方法により得ることができる光硬化性配合物(F)である。
【0139】
積層造形プロセス
本発明の別の目的は、積層造形プロセスにおける成形物の生成のための方法であって、
i)請求項11による光硬化性配合物(F)を用意する工程と、
ii)工程i)において用意された光硬化性配合物(F)の第1の部分の層を形成し、形成された層の少なくとも一部を、UV光源を使用して硬化させ、成形物を得る工程と
を含む方法である。
【0140】
積層造形プロセスは、当業者に知られており、例えば米国特許第4,575,330号に記載されている。
【0141】
工程i)において、本発明の光硬化性配合物(F)が用意される。光硬化性配合物(F)は、工程i)において、当業者に知られている任意の方法により用意され得る。好ましくは、光硬化性配合物(F)は、液体状態で用意される。特に好ましくは、光硬化性配合物(F)は、容器内に液体状態で用意される。好適な容器は、当業者に知られている。容器は、好ましくは、加工表面を含む。
【0142】
工程ii)において、光硬化性配合物(F)の第1の部分の層が形成され、層の少なくとも一部がUV光源を使用して硬化される。光硬化性配合物(F)の第1の部分の層は、好ましくは、加工表面を使用することにより形成される。層は、好ましくは、50~150μmの範囲内、特に好ましくは70~130μmの範囲内、最も好ましくは80~120μmの範囲内の厚さを有する。
【0143】
次いで、光硬化性配合物の第1の部分の層が、UV光源への曝露により硬化される。
【0144】
好ましいUV光源は、UVレーザー、UVランプ、およびUV発光ダイオードである。
【0145】
硬化中、少なくとも1種の光開始剤(成分(D))のラジカルが形成し、少なくとも1種の第1のアクリレートおよび少なくとも1種の第2のアクリレートの重合を開始させる。これにより、成分(B1)および成分(B2)の重合による光硬化性配合物(F)の硬質化が生じる。
【0146】
好ましくは、第2の工程において、光硬化性配合物(F)の第2の部分の第2の層が形成される。この第2の層は、典型的には、容器内の液体光硬化性配合物(F)が加工表面上に、および光硬化性配合物(F)の硬化部分上に流動するように、加工表面を下方に移動させることにより形成される。層は、典型的には、リコーターブレードを使用して平坦化される。
【0147】
したがって、好ましくは、工程ii)は、
ii-1)工程i)において用意された光硬化性配合物(F)の第1の部分の層を形成する工程と、
ii-2)工程ii-1)において形成された光硬化性配合物(F)の第1の部分の層の少なくとも一部を、UV光源を使用して硬化させ、硬化層を得る工程と、
ii-3)工程i)において用意された光硬化性配合物(F)の第2の部分の第2の層を、工程ii-2)において得られた硬化層上に形成する工程と、
ii-4)工程ii-3)において形成された光硬化性配合物(F)の第2の部分の第2の層の少なくとも一部を、UV光源を使用して硬化させ、成形物を得る工程と
を含む。
【0148】
したがって、本発明の別の目的は、成形物の生成のための方法であって、工程ii)が、
ii-1)工程i)において用意された光硬化性配合物(F)の第1の部分の層を形成する工程と、
ii-2)工程ii-1)において形成された光硬化性配合物(F)の第1の部分の層の少なくとも一部を、UV光源を使用して硬化させ、硬化層を得る工程と、
ii-3)工程i)において用意された光硬化性配合物(F)の第2の部分の第2の層を、工程ii-2)において得られた硬化層上に形成する工程と、
ii-4)工程ii-3)において形成された光硬化性配合物(F)の第2の部分の第2の層の少なくとも一部を、UV光源を使用して硬化させ、成形物を得る工程と
を含む方法である。
【0149】
好ましくは、工程ii-1)およびii-2)は、少なくとも1回反復される。
【0150】
したがって、本発明の別の目的はまた、工程ii-1)およびii-2)が少なくとも1回反復される方法である。
【0151】
工程ii)において得られた成形物は、通常、その表面上に未硬化の光硬化性配合物(F)を含む。この未硬化の光硬化性配合物(F)は、得られた成形物を水溶性有機溶媒で洗浄することにより除去され得る。好適な水溶性有機溶媒は、当業者に知られている。好ましい水溶性有機溶媒は、グリコールおよびその誘導体である。トリプロピレングリコールメチルエーテルが特に好ましい。水溶性有機溶媒で洗浄された後、成形物は、好ましくは水で洗浄され、次いで乾燥される。
【0152】
したがって、本発明の別の目的は、積層造形プロセスにおいて光硬化性配合物(F)を使用する方法である。光硬化性配合物(F)は、好ましくは、UV光源への曝露により光硬化可能である。
【0153】
本発明は、以下で実施例を参照することにより例示されるが、それらに限定されない。
【実施例】
【0154】
セラミック分散体(CD)
高せん断分散機器として二重螺旋ミキサー(螺旋ピッチ1:1、撹拌器直径12.5インチ)を100rpmまでの撹拌器速度で使用して、成分(A)としての9μmのD50値を有する86.7質量%のシリカ(SiO2)粉末を、成分(B1)としてのヘキサンジオールジアクリレート(商品名:Laromer HDDA、BASF SE製)中で、成分(C)としての1.73質量%のポリプロポキシ第四級アンモニウムクロリド(商品名:Variquat CC NS 42、Evonik製)と混合することにより、セラミック分散体を製造した。
【0155】
混合手順は、10ガロンの反応器内で行った。成分(B1)および成分(C)を槽内に注ぎ込み、最低速度(15~20rpm)で混合した。次いで、最低速度で混合しながら成分(A)を段階的に添加した。温度制御を使用して、バッチ温度を35℃未満に維持した。成分(A)の添加後、トルクに基づいて決定された速度で2時間、混合物を撹拌した。トルクは90ft-lb未満に維持することが望ましかった。
【0156】
得られたセラミック分散体(CD)は、Brookfield粘度計(スピンドルタイプ64、6rpm)により25℃の温度で測定して、21Pasの粘度を有していた。
【0157】
10cmの高さまで充填された保持瓶の底部に沈降物形成は得られず、ドローダウンされた材料の光学顕微鏡観察では凝集体は視認されず、経時的な粘度の大きな変化は得られなかった。セラミック分散体(CD)は、温度変化サイクル(サイクル:-20℃で6時間保持、6時間で50℃まで上昇、50℃で6時間保持、6時間で-20℃まで下降)に供されながら、少なくとも12週間安定であった。
【0158】
図1において、得られたセラミック分散体(CD)の12週間にわたる粘度が示されている。粘度は、標準偏差内で経時的に一定であることが確認され得る。
【0159】
光硬化性配合物(F)
得られたセラミック分散体(CD)を、成分(B2)としてのヘキサンジオールジアクリレート(商品名:Laromer(登録商標)HDDA、Evonik製)およびエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:Laromer(登録商標)LR 8863、Evonik製)、成分(D)としてのヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:Irgacure(登録商標)184、BASF SE製)、分散剤としてのポリプロポキシ第四級アンモニウムクロリド(商品名:Variquat(登録商標)CC NS 42、Evonik製)、ならびにUV吸収剤としての2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-フェノール(商品名:Tinuvin(登録商標)171、BASF SE製)を含む溶液(S)と混合し、光硬化性配合物(F)を得た。得られた光硬化性配合物(F)は、以下の組成を有していた:80質量%のセラミック粉末、1.6質量%のポリプロポキシ第四級アンモニウムクロリド、15.5質量%のヘキサンジオールジアクリレート、1.94質量%のエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、1.05質量%のヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、および0.04質量%の2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-フェノール。セラミック分散体(CD)および溶液(S)の混合は、分散ディスク(直径:4cm)を使用して、800rpmで30分間行った。
【0160】
得られた光硬化性配合物(F)は、Brookfield粘度計(スピンドルタイプ62、12rpm)により25℃で測定して、2.1Pasの粘度を有していた。
【0161】
光硬化性配合物(F)の安定性を、室温(20℃)での沈降物形成の開始時間として定義した。沈降物形成は、光硬化性配合物(F)が10cmの高さまで充填された保持瓶の底部をスパチュラで引っかくことにより試験した。光硬化性配合物(F)は、12時間安定であった。
【0162】
成形物を得るために、光硬化性配合物(F)を、ステレオリソグラフィー装置(Raplas RPS450)で使用した。次いで、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPM)で濯いで優しくブラッシングし、続いて水で濯ぐことにより、成形物から未反応材料を取り除いた。得られた成形物は、高い精度および低い湾曲歪みを示した。