(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】警告装置、警告方法、および警告プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 30/00 20180101AFI20221024BHJP
【FI】
G16H30/00
(21)【出願番号】P 2019557204
(86)(22)【出願日】2018-11-22
(86)【国際出願番号】 JP2018043277
(87)【国際公開番号】W WO2019107286
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2017232053
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳児
(72)【発明者】
【氏名】位田 憲昭
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-310800(JP,A)
【文献】特開2014-229268(JP,A)
【文献】特開2004-062709(JP,A)
【文献】特開2002-215283(JP,A)
【文献】特開2011-008662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像の読影を支援する読影支援プログラムの実行中
において、1つの患者の医用画像に対する読影レポートを入力するための表示ウィンドウへの入力が可能なアクティブな状態から前記表示ウィンドウの入力が不可能な非アクティブな状態になったことを、前記1つの患者の医用画像に対する読影を中断する操作
として検出する検出部と、
前記中断する操作を検出した時刻から予め定められた時間内に
、前記非アクティブな状態になった表示ウィンドウをアクティブな状態にする操作が検出されなかった場合に
、前記1つの患者の医用画像に対する読影が中断されていることを警告する警告部と
を備えた警告装置。
【請求項2】
前記中断する操作は、前記読影支援プログラム以外の他のプログラムの実行を開始する操作である請求項1記載の警告装置。
【請求項3】
前記他のプログラムが、医用画像のカンファレンスに関するメッセージの送受信を他の端末装置と行うためのプログラムである請求項2記載の警告装置。
【請求項4】
前記中断する操作は、前記
表示ウィンドウへの入力が可能な前記1つの患者の医用画像以外の
他の患者の医用画像
の読影レポートを入力するための表示ウィンドウに切
り替える操作である請求項1記載の警告装置。
【請求項5】
警告装置が、
医用画像の読影を支援する読影支援プログラムの実行中
において、1つの患者の医用画像に対する読影レポートを入力するための表示ウィンドウへの入力が可能なアクティブな状態から前記表示ウィンドウの入力が不可能な非アクティブな状態になったことを、前記1つの患者の医用画像に対する読影を中断する操作
として検出する検出ステップと、
前記中断する操作を検出した時刻から予め定められた時間内に
、前記非アクティブな状態になった表示ウィンドウをアクティブな状態にする操作が検出されなかった場合に
、前記1つの患者の医用画像に対する読影が中断されていることを警告する警告ステップと
を備えた警告方法。
【請求項6】
コンピュータに、
医用画像の読影を支援する読影支援プログラムの実行中
において、1つの患者の医用画像に対する読影レポートを入力するための表示ウィンドウへの入力が可能なアクティブな状態から前記表示ウィンドウの入力が不可能な非アクティブな状態になったことを、前記1つの患者の医用画像に対する読影を中断する操作
として検出する検出ステップと、
前記中断する操作を検出した時刻から予め定められた時間内
、前記非アクティブな状態になった表示ウィンドウをアクティブな状態にする操作が検出されなかった場合に
、前記1つの患者の医用画像に対する読影が中断されていることを警告する警告ステップと
を実行させるための警告プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療における診断を支援するための警告装置、警告方法、および警告プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CT(Computed Tomography)、MRI(magnetic resonance imaging)、またはPET(positron emission tomography)をはじめとする撮影装置の普及が進み、多くの病院で採用されている。これらの撮影装置で撮影された医用画像の画像診断は、読影専門医(以下、読影医という)が読影端末を用いて行ない、様々な診断に活用されるようになってきた。
【0003】
読影医は、読影端末でリスト表示された複数の読影依頼を順に読影して読影レポート(診断または判断の結果、および、治療方針を記載したレポート)を作成する。この時、読影対象の症例の診断をひとりでは診断することができず、他の医師に相談を投げかける場合がある。あるいは他の症例の相談が他の医師から投げかけられることもある。このような相談は端末装置から離れた場所にいる医師とネットワークを介してメッセージをやり取りして行われることがあり、相談相手とのやり取りが終了するまで読影はいったん中断されることになる。それとは別に、依頼されているリストから順に読影しているときに、依頼リストになかった緊急で優先的に読影しなければならない別の依頼が来る場合がある。このような場合も、現在の読影は中断され、別の緊急案件に関する読影を開始することになる。
【0004】
また、読影医は、複数の医用画像の読影を長時間にわたって行うため、読影の途中で長時間離席したり、別作業を行なったりする場合がある。このように長時間にわたって端末装置において読影対象の医用画像を表示していると、その間は端末装置以外の他の装置において利用することができなくなる。そこで、特許文献1では、医用画像をディスプレイに表示させると、直ぐに時間の計測を開始し、読影時間が設定されている表示時間分だけ経過したと判断されると警告メッセージを表示部に表示する手法が開示されている。
【0005】
また、長時間にわたって読影が行われることにより読影医が疲労して読影に集中できなくなる場合がある。そこで、特許文献2では、読影医の疲労度を判断するためのテスト行うために、医用画像を表示部に表示させるとともに時間の計測を開始し、読影時間が設定されている表示時間分だけ経過したと判断されると警告メッセージを表示部に表示する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-82182号公報
【文献】特開2005-348936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、読影医は現在の読影作業をいったん中断し、別の読影を始めることが多い。しかし、他の医師にネットワークを利用して相談を投げかけていた場合に、相談相手から反応が無かったとき、あるいは、緊急の症例の読影が依頼されその読影に時間がかかったとき等、中断前に読影していたデータが長時間放置されることにより、その患者の対応が遅れてしまう可能性がある。
【0008】
そこで、本発明では、医師の操作を監視し、中断された読影が放置されないようにする警告装置、警告方法、および警告プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の警告装置は、医用画像の読影を支援する読影支援プログラムの実行中の操作入力が可能な状態において、読影を中断する操作を検出する検出部と、中断する操作を検出した時刻から予め定められた時間内に中断した読影を再開する操作が検出されなかった場合に警告する警告部とを備える。
【0010】
本発明の警告方法は、警告装置が、医用画像の読影を支援する読影支援プログラムの実行中の操作入力が可能な状態において、読影を中断する操作を検出する検出ステップと、中断する操作を検出した時刻から予め定められた時間内に中断した読影を再開する操作が検出されなかった場合に警告する警告ステップとを備える。
【0011】
本発明の警告プログラムは、コンピュータに、医用画像の読影を支援する読影支援プログラムの実行中の操作入力が可能な状態において、読影を中断する操作を検出する検出ステップと、中断する操作を検出した時刻から予め定められた時間内に中断した読影を再開する操作が検出されなかった場合に警告する警告ステップとを実行させる。
【0012】
「操作入力が可能な状態」とは、読影支援プログラムが提供するインターフェースに対して操作が可能な状態を指し、読影レポートが入力可能な状態をいう。
【0013】
また、中断する操作は、読影支援プログラム以外の他のプログラムの実行を開始する操作であってもよい。
【0014】
また、他のプログラムは、医用画像のカンファレンスに関するメッセージの送受信を他の端末装置と行うためのプログラムであってもよい。
【0015】
「カンファレンスに関するメッセージの送受信」とは、電子的に複数のユーザ間でカンファレンスを行うためのメッセージのやり取りを指し、例えば、チャット、電子会議、または、電子掲示板などの仕組みを用いて行ってもよい。
【0016】
また、中断する操作は、読影実行中の医用画像以外の医用画像に画像を切替える操作であってもよい。
【0017】
画像を切替える操作は、所定医用画像の読影実行中に読影を中断していた医用画像に画像を切替える操作、または所定医用画像の読影実行中に読影を開始していた新たな医用画像に画像を切替える操作であってもよい。
【0018】
本発明の他の警告装置は、コンピュータに実行させるための命令を記憶するメモリと、記憶された命令を実行するよう構成されたプロセッサとを備え、プロセッサは、医用画像の読影を支援する読影支援プログラムの実行中の操作入力が可能な状態において、読影を中断する操作を検出する検出ステップと、中断する操作を検出した時刻から予め定められた時間内に中断した読影を再開する操作が検出されなかった場合に警告する警告ステップとを実行する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、医用画像の読影中に、読影を中断する操作を検出した時刻から予め定められた時間内に中断した読影を再開する操作が検出されなかった場合に警告することによって、中断した読影を長時間は放置することがなくなり。患者の読影が放置されたままになることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本発明の第1の実施の形態の警告装置と端末装置の概略構成を表す図
【
図4A】本発明の第1の実施の読影の処理の流れを示すフローチャート(その1)
【
図4B】本発明の第1の実施の読影の処理の流れを示すフローチャート(その2)
【
図6】読影中の医用画像を切替えて他の医用画像の読影を開始した時の画面の一例
【
図8】読影中の画面を切替えてカンファレンスを行っているときの画面の一例
【
図9】本発明の第2の実施の形態の警告装置の概略構成を表す図
【
図10A】本発明の第2の実施の読影の処理の流れを示すフローチャート(その1)
【
図10B】本発明の第2の実施の読影の処理の流れを示すフローチャート(その2)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態の医療支援システムについて説明する。
図1は、本実施の形態の警告システムを設けた医療情報システムの概略構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示す医療情報システム1は、公知のオーダリングシステムを用いた診療科の医師からの検査オーダーに基づいて、被写体の検査対象部位の撮影、撮影により取得された医用画像の保管、読影医による医用画像の読影と読影レポートの作成、および依頼元の診療科の医師による読影レポートの閲覧と読影対象の医用画像の詳細観察とを行うためのシステムである。
図1に示すように、医療情報システム1は、複数のモダリティ(撮影装置)2、読影端末である複数の読影ワークステーション3(以下、読影WS3という)、診療科ワークステーション4(以下、診療科WS4という)、画像サーバ5、画像データベース6、読影レポートサーバ7、読影レポートデータベース8、および本実施の形態による警告装置10が、ネットワーク9を介して互いに通信可能な状態で接続されて構成されている。
【0023】
各機器は、医療情報システム1の構成要素として機能させるためのアプリケーションプログラムがインストールされたコンピュータである。アプリケーションプログラムは、DVD(Digital Versatile Disc)あるいはCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体からコンピュータにインストールされる。または、ネットワークに接続されたサーバコンピュータの記憶装置、もしくはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じてコンピュータにダウンロードされ、インストールされる。
【0024】
モダリティ2は、被写体の診断対象となる部位を撮影することにより、診断対象部位を表す医用画像を生成する装置である。具体的には、CT装置、MRI装置、CR(Computed Radiography)装置、PET装置、および超音波装置等であり、撮影された医用画像は、DICOM(Digital Imaging and COmmunicationin Medicine)規格に準拠した格納フォーマットおよび通信規格に従って、ネットワーク9を介して画像サーバ5に送信されて保存される。
【0025】
読影WS3は、医用画像の読影医が、医用画像の読影および読影レポートの作成に使用するコンピュータであり、処理装置、高精細ディスプレイ、並びにキーボードおよびマウス等の入力装置により構成される。読影WS3では、画像サーバ5に対する医用画像の閲覧要求、画像サーバ5から受信した医用画像に対する各種画像処理、医用画像の表示、読影レポートの作成の支援、読影レポートサーバ7に対する読影レポートの登録要求と閲覧要求、並びに読影レポートサーバ7から受信した読影レポートの表示等の各処理が、各処理のためのソフトウェアプログラムを実行することにより行われる。なお、各種画像処理を読影WS3において行わず、別途画像処理サーバをネットワーク9に接続しておき、読影WS3からの処理の要求に応じて、画像処理サーバが行うようにしてもよい。
【0026】
診療科WS4は、診療科の医師が画像の詳細観察、読影レポートの閲覧、および電子カルテの作成等に使用するコンピュータであり、処理装置、高精細ディスプレイ、並びにキーボードおよびマウス等の入力装置により構成される。診療科WS4では、画像サーバ5に対する画像の閲覧要求、画像サーバ5から受信した画像の表示、画像中の病変らしき部分の自動検出または強調表示、読影レポートサーバ7に対する読影レポートの閲覧要求、および読影レポートサーバ7から受信した読影レポートの表示等の各処理が、各処理のためのソフトウェアプログラムを実行することにより行われる。
【0027】
画像サーバ5は、汎用の比較的処理能力の高いコンピュータにデータベース管理システム(DataBase Management System: DBMS)の機能を提供するソフトウェアプログラムがインストールされたものである。また、画像サーバ5は画像データベース6が構成される大容量ストレージを備えている。このストレージは、画像サーバ5とデータバスによって接続された大容量のハードディスク装置であってもよいし、ネットワーク9に接続されているNAS(Network Attached Storage)およびSAN(Storage Area Network)に接続されたディスク装置であってもよい。また、画像サーバ5は、モダリティ2からの医用画像の登録要求を受け付けると、その医用画像をデータベース用のフォーマットに整えて画像データベース6に登録する。
【0028】
画像データベース6には、モダリティ2において取得された医用画像の画像データと付帯情報とが登録される。付帯情報には、例えば、個々の医用画像を識別するための画像ID、被写体を識別するための患者ID(identification)、検査を識別するための検査ID、医用画像毎に割り振られるユニークなID(UID:unique identification)、その医用画像が生成された検査日、検査時刻、その医用画像を取得するための検査において使用されたモダリティの種類、患者氏名、年齢、性別等の患者情報、検査部位(撮影部位)、撮影情報(撮影プロトコル、撮影シーケンス、撮像手法、撮影条件、造影剤の使用等)、1回の検査により複数の医用画像を取得したときのシリーズ番号あるいは採取番号等の情報が含まれうる。
【0029】
また、画像サーバ5は、読影WS3からの閲覧要求をネットワーク9経由で受信すると、画像データベース6に登録されている医用画像を検索し、抽出された医用画像を要求元の読影WS3に送信する。
【0030】
読影レポートサーバ7は、汎用のコンピュータにデータベース管理システム(DataBase
Management System)の機能を提供するソフトウェアプログラムが組み込まれる。読影レポートサーバ7は、読影WS3からの読影レポートの登録要求を受け付けると、その読影レポートをデータベース用のフォーマットに整えて読影レポートデータベース8に登録する。
【0031】
読影レポートデータベース8には、例えば、読影対象の医用画像を識別する画像ID、読影を行った画像診断医を識別するための読影医ID、病変名、病変の位置情報、所見、所見の確信度等の情報が記録された読影レポートが登録される。
【0032】
ネットワーク9は、病院内の各種機器を接続する有線または無線のローカルエリアネットワークである。読影WS3が他の病院あるいは診療所に設置されている場合には、ネットワーク9は、各病院のローカルエリアネットワーク同士をインターネットまたは専用回線で接続した構成としてもよい。いずれの場合にも、ネットワーク9は光ネットワーク等の医用画像の高速転送が実現可能な構成にすることが好ましい。
【0033】
本実施の形態の警告システムは、警告装置10と端末装置で構成される。
【0034】
警告装置10は、汎用のコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)
11、メモリ(主記憶装置)12、ストレージ(補助記憶装置)13、入出力インターフェース(不図示)、通信インターフェース(不図示)、および、データバス(不図示)等の周知のハードウェア構成を備え、周知のオペレーションシステムがインストールされている。ストレージは、ハードディスクまたはSSD(Solid State Drive)等で構成される。なお、必要に応じてコンピュータにGPU(Graphics Processing Unit)を設けるようにしてもよい。
【0035】
警告プログラムは、ネットワークに接続されたコンピュータの記憶装置もしくはネットワークストレージに対して、外部からアクセス可能な状態で記憶され、外部からの要求に応じてコンピュータにダウンロードされた後に、インストールされるようにしてもよい。または、警告プログラムは、DVDまたはCD-ROM等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体からコンピュータにインストールされる。
【0036】
このコンピュータの実行時に、メモリ12には、警告プログラムが記憶され、CPU11がメモリ12に記憶されたプログラムに従いこれらの処理を実行することにより、コンピュータが、警告装置10(以下、警告サーバ10という)として機能する。
【0037】
一方、 本実施の形態では、読影WS3が警告システムの端末装置として機能する。以下、読影WS3を端末装置3として説明する。
【0038】
端末装置3は、CPU31、メモリ32、ストレージ(不図示)、入出力インターフェース(不図示)、通信インターフェース(不図示)、およびデータバス(不図示)等の周知のハードウェア構成を備えたコンピュータであり、ディスプレイ36、並びにキーボードおよびマウス等の入力装置37が接続されている。このコンピュータの実行時に、メモリ32には、端末装置用プログラムが記憶され、CPU31がメモリ32に記憶されたプログラムに従いこれらの処理を実行することにより、コンピュータは、端末装置として機能する。
【0039】
また、端末装置3には複数のアプリケーションプログラムがインストールされ、インストールされているアプリケーションプログラム(以下、単にプログラムという)には、読影支援プログラムPが含まれる。読影支援プログラムPは、診断対象の医用画像の読影を行うために用いられるプログラムであり、診断対象の医用画像を表示する機能と読影結果を入力して読影レポートを作成する機能を有し、読影レポートの入力が終了すると医用画像と読影レポートを所定のフォーマットに整えて読影レポートデータベース8に記憶するためのプログラムである。
【0040】
まず、第1の実施の形態の警告サーバ10の機能について説明する。
図2に示すように、第1の実施の形態の警告サーバ10は、実行プログラム管理部13、検出部14、および警告部15として機能する。
【0041】
実行プログラム管理部13は、端末装置3にインストールされている全てのプログラムの状態を管理する。プログラムの状態には、プログラム実行中、プログラム終了、および、各プログラムに対する表示ウィンドウがアクティブな状態または非アクティブな状態等が含まれる。具体的には、各プログラムの状態に関する情報を端末装置3から受信し、受信した情報を状態遷移テーブルに記録する。状態遷移テーブルには、各プログラムごとに、プログラム実行中、プログラム終了、アクティブな状態、および、非アクティブな状態等が記録される。
【0042】
図11に状態遷移テーブルの一例を示す。端末装置3にインストールされているプログラムごとに、実行中であるか終了しているかが記録され、さらに、各プログラムの表示ウィンドウがアクティブな状態であるか、非アクティブな状態であるかが記録される。
図11では、読影支援プログラムPとカンファレンス用のプログラムが、実行中であり、ビューワープログラムは終了している。また、読影支援プログラムPにWD1とWD2の2つの表示ウィンドウが開かれており、WD1とWD2が非アクティブであることを示す。一方、カンファレンス用のプログラムの表示ウィンドウWD3がアクティブであることを示す。
【0043】
検出部14は、端末装置3において、読影支援プログラムPが実行され読影レポートなどの操作入力が可能な状態であるときに、読影を中断する操作が行われたことを検出する。状態遷移テーブルに記録されているプログラムの状態を、例えば、端末装置13からプログラムの状態の通知を受ける度にチェックして、プログラムの状態に基づいて、端末装置3で読影を中断する操作が行われたか否かを判断する。あるいは、定期的に、プログラムの状態に基づいて、端末装置3で読影を中断する操作が行われたか否かを判断してもよい。操作入力が可能な状態は、読影対象の医用画像に対する読影レポートを作成するための入力が可能な状態を指し、読影レポートを入力するための表示ウィンドウがアクティブな状態である。一方、読影が中断された状態は、読影レポートの入力ができない状態を指し、読影レポートを入力するための表示ウィンドウが非アクティブな状態である。そこで、読影対象の医用画像の表示ウィンドウがアクティブな状態から非アクティブな状態になった場合を、読影の中断として検出することができる。
【0044】
また、読影の中断は、端末装置3で読影支援プログラムPを実行中に現在読影中の医用画像から別の医用画像に切り替えて表示した場合、または、端末装置3で読影支援プログラムPを実行中に他のプログラムを実行した場合等に生じる。他のプログラムには、他の医師の端末装置とメッセージの送受信を行なって、例えば2人以上の医師間で医用画像等の診断対象のデータについてカンファレンスを行うためのプログラム等がある。このようなカンファレンス支援のためのプログラムは、チャット、電子会議、または掲示板等のリアルタイムにコミュニケーションが行われる形式が望ましい。
【0045】
さらに、検出部14は、端末装置3において、読影支援プログラムPが読影の中断から、読影を再開する操作が行われたことを検出する。状態遷移テーブルに記録されているプログラムの状態を、例えば、端末装置13からプログラムの状態の通知を受ける度、あるいは、定期的にチェックして、読影が中断された状態の読影プログラムが、操作入力が可能な状態になったかを否かを判断する。中断された状態の読影プログラムの表示ウィンドウがアクティブな状態になった場合を、読影の再開として検出することができる。
【0046】
読影の再開は、端末装置3で読影が中断されていた医用画像の表示ウィンドウをユーザが選択してアクティブにした場合、他の読影中の医用画像の読影が終了して他の医用画像の表示ウィンドウが閉じられた場合、または、他にプログラムの実行が終了した場合等に生じる。
【0047】
警告部15は、中断する操作を検出した時刻から予め定められた時間内に中断した読影を再開する操作が検出されなかった場合に、警告の通知を端末装置3に送信する。複数の医用画像が読影対象になっている場合には、各医用画像毎に読影の中断を検出する。
【0048】
次に、第1の実施の形態の端末装置3の機能について説明する。
図2に示すように、第1の実施の形態の端末装置3は、管理部33、通知部34、および警告報知部35として機能する。
【0049】
管理部33は、端末装置30にインストールされている全てのプログラムの状態を常時管理する。
【0050】
通知部34は、管理部33で管理しているプログラムの状態を警告サーバ10に通知する。通知は、例えば、所定の間隔で行う。あるいは、プログラムの状態が変わる度にプログラムの状態を警告サーバ10に通知するようにしてもよい。プログラムの状態の変化は、端末装置3のユーザの操作によって起こる状態の変化だけでなく、例えば、外部装置から受信したプッシュ通知のように、外部から受信した情報に起因して、状態の変化が生じた場合も含まれる。
【0051】
警告報知部35は、警告サーバ10より警告の通知を受け取ると警告を報知する。具体的には、ディスプレイ36の画面上にメッセージを表示して警告を行う。あるいは、画面上に警告を表すマークを表示するようにしてもよいし、警告音を鳴らすようにしてもよい。
【0052】
図3のプログラムの状態の遷移図と
図4Aと
図4Bのフローチャートに沿って、
図5~
図8の端末装置の表示画面の例を用いて、読影の中断および読影の再開を行う操作の検出方法について説明する。
図3は縦軸が時間軸である。
【0053】
読影を中断する場合は、読影支援プログラムの実行中に読影対象の医用画像を他の医用画像に切り替える場合、または読影支援プログラム実行中にプログラムを切替えて、他のプログラムを実行する場合に発生する。
【0054】
まず、読影支援プログラム実行中に読影対象の医用画像を他の医用画像に切り替える場合、すなわち、読影中の医用画像の読影を中断し、新たな医用画像の読影を開始する場合、または読影を中断していた医用画像の読影を再開する場合について説明する。
【0055】
図4Aは警告サーバ10の処理の流れを示し、
図4Bは端末装置3の処理の流れを示す。まず、読影支援プログラムで読影中の画像の読影を中断して、他の画像の読影を開始する場合について説明する。
【0056】
端末装置3に読影対象リストが表示され、ユーザが読影する医用画像1を選択すると、ステップST10の判断が肯定され、
図3に示すように、時刻t1から読影支援プログラムPが起動される(ステップST11)。また、読影支援プログラムPは、選択された読影対象の医用画像1を画像サーバ5から取得してディスプレイ36に医用画像1を表示する。例えば、
図5に示すように、表示ウィンドウの右側に医用画像1(患者:富士太郎、年齢:57歳、性別:男性の画像)が表示され、左側にレポート入力欄が表示される。端末装置3の管理部33は、医用画像1に対して読影支援プログラムPの実行中であることと、医用画像1の表示ウィンドウがアクティブな状態であることを、警告サーバ10に通知する(ステップST12)。警告サーバ10の実行プログラム管理部13は、通知を受信するとステップST30の判断が肯定され、受信したプログラムの状態を状態遷移テーブルに記録する(ステップST31)。状態遷移テーブルには、端末からの通知に応じて、読影支援プログラムに対してアクティブな画像の番号および非アクティブな画像の番号が記憶されるとともに、アクティブ画像に対するカウンター、および非アクティブ画像に対するカウンターが記憶される。
【0057】
端末装置3で医用画像1を読影中に、
図5の右上の枠に示すように、例えば緊急に読影する症例(患者:富士花子 年齢:44歳、性別 女性)が表示された場合、ユーザは読影対象リストに戻って緊急の症例を選択する。緊急の症例が選択されると、読影支援プログラムPは、選択された症例の医用画像2(上記の富士花子の画像)を画像サーバ5から取得して、医用画像1から医用画像2に切り替えてディスプレイ36に表示するので、ステップST13が肯定される。また、
図3に示すように時刻t2から、医用画像2の表示ウィンドウがアクティブになり、医用画像1の表示ウィンドウは非アクティブになる。ディスプレイ36には、例えば、
図6に示すように患者「富士花子」の読影画面が前面に表示され、患者「富士太郎」の読影画面が背面に表示される。端末装置3の管理部33から、医用画像2に対する読影支援プログラムPが実行中であることと、医用画像2の表示ウィンドウがアクティブな状態であることと、医用画像1の表示ウィンドウが非アクティブな状態であることとが、警告サーバ10に通知される(ステップST14)。通知が完了すると、ステップST15で読影支援プログラムの終了により読影が終了したか否かを判定し、読影支援プログラムが終了するまで、ステップST13に戻り、次の画像の切替またはプログラムの切替が発生するまで待ちの状態になる。ステップST13~ステップST14を繰り返す。
【0058】
警告サーバ10の実行プログラム管理部13は、端末装置3から通知を受け取るとステップST30が肯定され、上記で説明したように、受信したプログラムの状態を状態遷移テーブルに記録する(ステップST31)。警告サーバ10の検出部14は、状態遷移テーブルの情報に基づいて、医用画像1の読影の中断であるか、または、読影の再開(または、開始)であるかを判断する(ステップST33、ST36)。上記の緊急の症例に切替えた場合、医用画像1の表示ウィンドウは非アクティブになり医用画像1の読影の中断であると判断されるので、ステップST33は肯定され、
図3の時刻t2から医用画像1のカウンターC1のカウントをスタートさせる(ステップST34)。さらに、ステップST35からステップST33に戻って、医用画像2の読影の中断または読影の再開(または開始)の判断が行われる。新たに読影が行われる医用画像2は、読影が開始されるのでステップST33の判断が否定され、ステップST36の判断が肯定され、医用画像2に対するカウンターはリセットされたままにする(ステップST37)。なお、読影が中断されていた読影中断医用画像のカウンターがカウントアップする前に、読影中断医用画像の読影が再開された場合も同様に、読影中断医用画像のカウンターはリセットされる。読影中のアクティブな医用画像と非アクティブな医用画像の全てについて、読影の中断または読影の再開(または開始)の判断が完了するとステップST35からステップST30に戻り、端末装置3から次の通知を受信するまで待ちの状態になる。
【0059】
一方、カウント処理によって、カウントがスタートしているカウンターC1はカウントアップするまで周期的にチェックされる(ステップST38)。医用画像1の読影を中断してから、すなわち非アクティブになってから所定の時間、例えば、5分経過した時刻t3になると、カウンターC1はカウントアップするのでステップST38が肯定され、警告サーバ10の警告部15は端末装置3に警告を通知する(ステップST39)。
【0060】
端末装置3の警告報知部35は、警告サーバ10から警告の通知を受け取ると(ステップST20)、
図7に示すように、例えば「先ほど○○先生に読影依頼した富士太郎さんの件、○○先生から連絡なく5分を経過しました。」というメッセージをディスプレイ36上に表示する(ステップST21)。ユーザは医用画像2の読影を続ける場合には、「再連絡」のボタンを押して読影を続けるが、医用画像2の読影が終了している場合は、ユーザは「保存して富士太郎さんの案件に戻る」のボタンを押す。この操作を受けて、読影支援プログラムPは読影レポートサーバ7に読影レポートの保存を要求する。読影レポートサーバ7は、所定のフォーマットに整えて読影レポートと医用画像2とを対応付けて読影レポートデータベース8に記憶する。
【0061】
図3の時刻t4で、医用画像2の読影が終了すると、読影が終わった医用画像2の表示ウィンドウから医用画像1の表示ウィンドウに切り替わるのでステップST13が肯定される。端末装置3の管理部33は、医用画像2の表示ウィンドウが閉じられたことと、医用画像1表示ウィンドウがアクティブな状態であることを、警告サーバ10に通知する(ステップST14)。通知が完了するとステップST15で読影終了と判断されて、読影支援プログラムが終了するまで、ステップST13に戻り、次の画像の切替またはプログラムの切替が発生するまで待ちの状態になる。
【0062】
警告サーバ10の実行プログラム管理部13は、端末装置3から通知を受け取ると、ステップST30の判断が肯定され、上記で説明したように受信したプログラムの状態を状態遷移テーブルに記録する(ステップST31)。警告サーバ10の検出部14は、状態遷移テーブルの情報に基づいて、医用画像1の読影の中断であるか、または、読影の再開であるかを判断する(ステップST32)。医用画像1の表示ウィンドウがアクティブであり医用画像1の読影の再開であると判断されると(ステップST33は否定され、ステップST36は肯定される)、医用画像1のカウンターC1をリセットする(ステップST37)。一方、医用画像2の表示ウィンドウは既に閉じられているので、読影の中断または読影の再開の判断は行われない。読影中のアクティブな医用画像と非アクティブな医用画像全てに対して、読影の中断または読影の再開の判断が完了すると、ステップST35からステップST30に戻り、端末装置3から次の通知が来るまで待ちの状態になる。
【0063】
次に、読影支援プログラム以外の他のプログラムが起動された場合について説明する。ここでは、他のプログラムが、例えば、チャット形式でカンファレンスを行うカンファレンス支援プログラムである場合について説明する。
【0064】
引き続き医用画像1の読影を行っている間に、例えば、診療科の医師が診療科WS4から他の患者に対するカンファレンスへの招待を端末装置3に送信した場合には、端末装置3でカンファレンス支援プログラムが起動され(
図3の時刻t5)、カンファレンスへ招待された旨のメッセージが端末装置3に表示される。その招待メッセージを端末装置3で承認すると、例えば、
図8に示すように、カンファレンス支援プログラムのチャット画面が表示される。また、チャット用の表示ウィンドウがアクティブになり、医用画像1の表示ウィンドウは非アクティブになる。
図8は、例えば、「Dr.麻布」とカンファレンスを行う例である。読影支援プログラムPからカンファレンス支援プログラムに切替るのでステップST13の判断は肯定される。端末装置3の管理部33は、カンファレンス支援プログラムの実行中であることと、チャット用の表示ウィンドウがアクティブな状態であることと、医用画像1の表示ウィンドウが非アクティブな状態であることとを、警告サーバ10に通知する(ステップST14)。通知が完了すると、ステップST15で読影終了と判断されて、読影支援プログラムが終了するまで、ステップST13に戻り、カンファレンス支援プログラムから読影支援プログラムへの切替が発生するまで待ちの状態になる。
【0065】
警告サーバ10の実行プログラム管理部13は、端末装置3から通知を受け取ると、ステップST30の判断が肯定され、受信した読影支援プログラムの状態を状態遷移テーブルに記録する(ステップST31)。警告サーバ10の検出部14は、状態遷移テーブルの情報に基づいて、上記で説明したように、ステップST33で医用画像の読影の中断であるかを判断するとともに、ステップST36で医用画像の読影の再開(または開始)か否かを判断する。医用画像1の表示ウィンドウは非アクティブであり、医用画像1の読影の中断であると判断されるので、ステップST33が肯定され、
図3の時刻t5から医用画像1のカウンターC2のカウントをスタートさせる。他に読影中の医用画像は存在しないので、読影の中断と読影の再開の判断が終了していると判断され、ステップST35が肯定されてステップST30に戻る。
【0066】
カウンターC2がカウントアップする前に、ユーザが端末装置3のカンファレンス支援プログラムを終了させた場合(
図3のt6)、カンファレンス支援プログラムから再度読影支援プログラムPに切替った場合ステップST13が肯定される。また、チャット用の表示ウィンドウが閉じられ、医用画像1が表示されて操作入力である読影レポートの入力が可能になる。端末装置3の管理部33から、カンファレンス支援プログラムが終了したことと、チャット用の表示ウィンドウが閉じられたことと、医用画像1の表示ウィンドウがアクティブな状態であることが、警告サーバ10に通知される(ステップST14)。
【0067】
警告サーバ10の実行プログラム管理部13は、端末装置3から通知を受け取ると、ステップST30が肯定され、受信した読影支援プログラムの状態を状態遷移テーブルに記録する(ステップST31)。警告サーバ10の検出部14は、状態遷移テーブルの情報に基づいて、医用画像1の読影の中断または読影の再開(または開始)であるかを判断する(ステップST32)。医用画像1の表示ウィンドウがアクティブであり、医用画像1の読影の再開であると判断されると、ステップST33は否定され、ステップST36は肯定され、医用画像1のカウンターC2をリセットする(ステップST37)。読影中の画像は医用画像1だけなので読影の中断または読影の再開の判断が完了していると判断して、ステップST35からステップST30に戻って、端末装置3から次の通知が来るまで待ちの状態になる。
【0068】
ユーザが、端末装置3で医用画像1の読影を終了する操作を行うと、ステップST15は肯定され、読影支援プログラムPは、読影レポートサーバ7に読影レポートの保存を要求し、読影支援プログラムPを終了する(ステップST16)。読影レポートサーバ7は、所定のフォーマットに整えて読影レポートと医用画像1を対応付けて読影レポートデータベース8に記憶する。さらに、端末装置3から警告サーバ10に読影支援プログラムPの終了を通知する(ステップST17)。
【0069】
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、警告装置(警告サーバ)と端末装置をネットワークで接続し、端末装置のプログラムの状態を警告サーバで管理する場合について説明したが、第2の実施の形態では、警告装置で自身の装置にインストールされたプログラムの状態遷移を管理して、警告を表示する場合について説明する。第1の実施の形態と同一の構成には同一符号を付って詳細な説明は省略する。
【0070】
医療支援システムの全体の構成は第1の実施の形態の
図1と同様であるので、詳細な説明は省略する。本実施の形態では、読影WS3に警告プログラムがインストールされることにより、警告装置として機能する。以下、読影WS3を警告装置3として説明する。
【0071】
図9に示すように、第2の実施の形態の警告装置3は、実行プログラム管理部40、検出部41、および警告部42として機能する。
【0072】
実行プログラム管理部40は、第1の実施の形態の実行プログラム管理部13と同様に、警告装置3にインストールされている全てのプログラムについて、各プログラムの状態に関する情報を状態遷移テーブルに記録して、各プログラムの状態を管理する点では略同じ機能を備えるが、第1の実施の形態のように、警告装置3にインストールされているプログラムの状態を別途設けられたサーバにおいて管理するのではなく、自分のコンピュータで管理する点で第1の実施の形態と異なる。
【0073】
検出部41は、医用画像を読影するために読影支援プログラムPを実行し、読影レポートなどの操作入力が可能な状態であるときに、読影を中断する操作が行われたことを検出する。あるいは、読影支援プログラムPが読影の中断の状態から、読影を再開するための操作が行われたことを検出する。状態遷移テーブルに基づいて、読影の中断および読影の再開を判断する点では第1の実施の形態と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0074】
警告部42は、読影を中断する操作を検出した時刻から予め定められた時間内に中断した読影を再開する操作が検出されなかった場合に警告を報知する。具体的には、ディスプレイ36の画面上にメッセージを表示して警告を行う。あるいは、画面上に警告を表すマークを表示するようにしてもよいし、警告音を鳴らすようにしてもよい。
【0075】
次に、
図3のプログラムの状態の遷移図と
図10Aと
図10Bのフローチャートに沿って、
図5~
図8の表示画面の例を用いて、読影の中断および読影の再開を行う操作の検出方法について説明する。
図10Aは警告装置全体のメイン処理の流れを示し、
図10Bは検出処理の流れを示す。
図5~
図8の表示画面は、第1の実施の形態と同じであるので、表示画面の詳細な説明は省略する。まず、読影支援プログラムで読影中の画像の読影を中断して、他の画像の読影を開始する場合について説明する。
【0076】
警告装置3に読影対象リストが表示され、ユーザが読影する医用画像1を選択すると、ステップST50が肯定され、読影支援プログラムPが起動される(
図3の時刻t1、ステップST51)。また、読影支援プログラムPは、選択された読影対象の医用画像1を画像サーバ5から取得して、
図5に示すように、ディスプレイ36に医用画像1を表示する。実行プログラム管理部40は、医用画像1に対して読影支援プログラムPの実行中であることと、医用画像1の表示ウィンドウがアクティブな状態であることを状態遷移テーブルに記録する(ステップST52)。
【0077】
医用画像1の読影中に、ユーザによって読影対象リストから緊急の症例が選択されると、読影支援プログラムPは選択された読影対象の医用画像2を画像サーバ5から取得して、
図6に示すように、医用画像1から医用画像2に切り替えてディスプレイ36に表示するのでステップST53が肯定される。実行プログラム管理部40は、医用画像2に対する読影支援プログラムPが実行中であることと、医用画像2の表示ウィンドウがアクティブな状態であることと、医用画像1の表示ウィンドウが非アクティブな状態であることとを状態遷移テーブルに記録する(ステップST54)。状態遷移テーブルには、読影支援プログラムに対してアクティブな画像の番号および非アクティブな画像の番号が記憶されるとともに、アクティブ画像に対するカウンター、および非アクティブ画像に対するカウンターが記憶される。
【0078】
続いて、検出処理を実行し(ステップST55)、検出部41で読影の中断または読影の再開が判断される(ステップST60)。
図3の時刻t2から、
図6に示すように、医用画像2の表示ウィンドウがアクティブになり、医用画像1の表示ウィンドウは非アクティブになる。医用画像1の読影の中断であると判断されるので、ステップST61が肯定され、時刻t2から医用画像1のカウンターC1のカウントをスタートさせる(ステップST62)。さらに、ステップST63からステップST61に戻って、医用画像2の読影の中断または読影の再開の判断が行われる。医用画像2は、読影が開始されるので、ステップST61の判断が否定され、ステップST64の判断が肯定され、医用画像2に対するカウンターはリセットされたままにする(ステップST65)。読影中のアクティブな医用画像と非アクティブな医用画像の全てについて読影の中断または読影の再開の判断が完了するとステップST63の判断が肯定され、メイン処理(ステップST55)に戻る。ステップST56で読影終了と判断されて、読影支援プログラムによる読影が終了するまで、ステップST53に戻り、次の画像の切替またはプログラムの切替が発生するまで待ちの状態になる。
【0079】
一方、カウント処理によって、カウントがスタートしているカウンターC1はカウントアップするまで周期的にチェックされる(ステップST66)。医用画像1の読影を中断してから、すなわち非アクティブになってから所定の時間を経過すると(
図3の時刻t3)、カウンターC1はカウントアップするのでステップST66が肯定され、警告部42は
図7に示すように警告表示を行う(ステップST67)。
【0080】
さらに、
図3の時刻t4で、医用画像2の読影が終了すると、医用画像2の表示ウィンドウが閉じられて医用画像1の表示ウィンドウに切り替わり、ステップST53が肯定される。実行プログラム管理部40は、医用画像2の表示ウィンドウが閉じられたことと、医用画像1表示ウィンドウがアクティブな状態であることを状態遷移テーブルに記録する(ステップST54)。
【0081】
続いて、検出処理(ステップST55)に進み、検出部14は状態遷移テーブルの情報に基づいて、医用画像1の読影の中断であるか、または、読影の再開であるかを判断する(ステップST60)。医用画像1の表示ウィンドウがアクティブになり医用画像1の読影の再開であると判断され(ステップST61は否定され、ステップST64は肯定される)、医用画像1のカウンターC1をリセットする(ステップST65)。一方、医用画像2の表示ウィンドウは既に閉じられているので、読影の中断または読影の再開の判断は行われない。読影の中断または読影の再開の判断が終了すると、ステップST63は肯定され、メインの処理(ステップST55)に戻る。ステップST56で、読影が終了していないと判断され、ステップST53に戻り、次の画像の切替またはプログラムの切替が発生するまで、待ちの状態になる(ステップST53)。
【0082】
次に、読影支援プログラム以外の他のプログラムが起動された場合について説明する。第1の実施の形態と同様に、他のプログラムが、例えば、チャット形式でカンファレンスを行うカンファレンス支援プログラムである場合について説明する。
【0083】
警告装置3で医用画像1の読影を行っている間に、例えば、診療科の医師が診療科WS4から他の患者に対するカンファレンスに参加する要請を警告装置3(読影WS3)に行った場合には、警告装置3でカンファレンス支援プログラムが起動され(
図3の時刻t5)、カンファレンスへ招待された旨のメッセージが表示される。その招待メッセージを警告装置3で承認すると、
図8に示すように、カンファレンス用のチャット画面が表示される。また、チャット用の表示ウィンドウがアクティブになり、医用画像1の表示ウィンドウは非アクティブになる。読影支援プログラムPからカンファレンス支援プログラムに切替るので、ステップST53は肯定され、実行プログラム管理部40は、カンファレンス支援プログラムが実行中であることと、チャット用の表示ウィンドウがアクティブな状態であることと、医用画像1の表示ウィンドウが非アクティブな状態であることを、状態遷移テーブルに記録する(ステップST54)。
【0084】
続いて、検出処理に進み(ステップST55)、検出部41は、状態遷移テーブルの情報に基づいて、医用画像1の読影の中断であるかまたは読影の再開であるかを判断する(ステップST60)。医用画像1の表示ウィンドウが非アクティブとなっているので読影の中断であると判断される。ステップST61は肯定され、
図3の時刻t5から医用画像1のカウンターC2のカウントをスタートさせる(ステップST62)。医用画像1以外に読影中の画像は存在しないので、読影の中断と読影の再開の判断が終了していると判断され、ステップST63が肯定されメインの処理(ステップST55)に戻る。また、ステップST56で、読影が終了していないと判断され、ステップST53に戻り、次の画像の切替またはプログラムの切替が発生するまで待ちの状態になる(ステップST53)。
【0085】
カウンターC2がカウントアップする前に、ユーザが端末装置3のカンファレンス支援プログラムを終了させると(
図3のt6)、警告が表示されずに、カンファレンス支援プログラムから再度読影支援プログラムPに切替り、ステップST53が肯定される。また、チャット用の表示ウィンドウが閉じられ医用画像1が表示される。実行プログラム管理部40は、カンファレンス支援プログラムが終了したことと、チャット用の表示ウィンドウが閉じられたことと、医用画像1の表示ウィンドウがアクティブな状態であることを、状態遷移テーブルに記録する(ステップST54)。
【0086】
続いて、検出処理を実行し(ステップST55)、検出部41は、状態遷移テーブルの情報に基づいて、医用画像1の読影の中断であるかまたは読影の再開であるかが判断される(ステップST60)。医用画像1の読影の再開であると判断され(ステップST61は否定され、ステップST64は肯定される)、医用画像1のカウンターC2をリセットする(ステップST65)。ユーザが医用画像1の読影の終了を選択する操作を行うと、ステップST56は肯定され、読影支援プログラムPは、読影レポートサーバ7に読影レポートの保存を要求し、読影支援プログラムPは終了する(ステップST57)。読影レポートサーバ7は、所定のフォーマットに整えて読影レポートと医用画像1を対応付けて読影レポートデータベース8に記憶する。さらに、実行プログラム管理部40は、読影支援プログラムPの終了を状態遷移テーブルに記録する(ステップST58)。
【0087】
以上、第1の実施の形態および第2の実施の形態で詳細に説明したように、読影が中断されたことを検出して、所定の時間以上経過すると警告することにより、読影途中で他の患者の読影が依頼されたり、端末装置を使ったカンファレンスに参加したりした場合でも、読影を中断した患者を放置したままにすることがなく、読影を再開することが可能になる。
【0088】
なお、上記実施の形態において、診断支援装置のといった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウエア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA (Field Programmable Gate Array) などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0089】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合せ(例えば、複数のFPGA、またはCPUとFPGAの組み合わせ等)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウエアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上を用いて構成される。
【符号の説明】
【0090】
1 医療情報システム
2 モダリティ
3 読影ワークステーション
4 診療科ワークステーション
5 画像サーバ
6 画像データベース
7 読影レポートサーバ
8 読影レポートデータベース
9 ネットワーク
10 警告装置
11、31 CPU
12 メモリ
13 実行プログラム管理部
14 検出部
15 警告部
30 端末装置
32 メモリ
33 管理部
34 通知部
35 警告報知部
36 ディスプレイ
37 入力装置
40 実行プログラム管理部
41 検出部
42 警告部
C1 カウンター
C2 カウンター
P 読影支援プログラム